説明

光学特性計測装置、光学特性計測方法、および光学特性計測装置の校正方法

【課題】機械駆動を必要とせず測定対象の光学特性を高精度に計測することが可能な光学特性計測装置、光学特性計測方法および光学特性計測装置の校正方法を提供すること。
【解決手段】光源12と、第1及び第2の偏光変調器20、40と、測定光の光強度情報を取得する光強度情報取得部50と、測定光の光強度をフーリエ解析し、当該フーリエ係数に基づき試料30のミュラー行列の要素を算出する演算処理部70とを含み、第1の偏光変調器20は、第1の偏光子21、第1及び第2の液晶素子22、24を含み、第2の偏光変調器40は、第2の偏光子46、第3及び第4の液晶素子42、44を含み、光源12から出射された光を、第1の偏光子21、第1及び第2の液晶素子22、24を介して試料30に入射させ、試料30によって変調された光を、第3及び第4の液晶素子42、44及び第2の偏光子46を介して受光部52に入射させるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象の光学特性を表す行列を算出する光学特性計測装置、光学特性計測方法、および光学特性計測装置の校正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物質のもつ偏光特性には二色性、円二色性、複屈折、旋光及び偏光解消がある。これらの偏光特性は4行4列のミュラー行列を用いて表すことができる。すなわち測定対象のミュラー行列を測定することにより測定対象の全ての偏光特性を測定することができる。測定対象のミュラー行列を求める手法として2重回転位相子法が知られている(例えば特許文献1参照)。この手法では位相子の回転を用いるため機械駆動が必要であり、装置が大型化する。また機械駆動を必要としない液晶リターダを用いたミュラー行列の計測手法が知られている(例えば特許文献2参照)。この手法では、サンプルを計測する前に理想サンプル(キャリブレーションサンプル)の計測とサンプルを設置しない状態での計測を必要する。この手法では、理想サンプルは必ずしも理想であるとは限らないため、正しい校正を行うことができない。またこの手法では、液晶リターダを4回変調してミュラー行列を求めているため、周期的なノイズを取り除くことができず高精度な計測を行うことができない。
【特許文献1】WO2007/111159号公報
【特許文献2】特開2004−271510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、機械駆動を必要とせず測定対象のミュラー行列を高精度に計測することが可能な光学特性計測装置、光学特性計測方法、および光学特性計測装置の校正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)本発明は、測定対象の光学特性を計測する光学特性計測装置であって、
所定の波長の光を出射する光源と、
第1及び第2の偏光変調器と、
前記第1及び第2の偏光変調器と前記測定対象で前記光を変調させることによって得られる測定光を受光する受光部と、を含む光学系と、
前記測定光の光強度情報を取得する光強度情報取得部と、
前記測定光の光強度をフーリエ解析し、当該フーリエ係数に基づき前記測定対象の光学特性を表す行列の行列要素の少なくとも1つを算出する演算処理を行う演算処理部とを含み、
前記第1の偏光変調器は、第1の偏光子、第1及び第2の液晶素子を含み、
前記第2の偏光変調器は、第2の偏光子、第3及び第4の液晶素子を含み、
前記光源から出射された光を、前記第1の偏光子、前記第1の液晶素子及び前記第2の液晶素子を介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第3の液晶素子、前記第4の液晶素子及び前記第2の偏光子を介して前記受光部に入射させるように構成される。
【0005】
本発明によれば、機械駆動とキャリブレーションサンプルを必要とせず測定対象の光学特性を表す行列の行列要素を計測することができる。
【0006】
(2)本発明は、測定対象の光学特性を計測する光学特性計測装置であって、
光学系に含まれる第1及び第2の偏光変調器及び前記測定対象によって変調された測定光の光強度情報を取得する光強度情報取得部と、
前記測定対象の光学特性を表す行列の行列要素の少なくとも1つを算出する演算処理を行う演算処理部とを含み、
前記第1の偏光変調器は、第1の偏光子、第1及び第2の液晶素子を含み、
前記第2の偏光変調器は、第2の偏光子、第3及び第4の液晶素子を含み、
前記測定光は、光源から出射された所定の波長の光を、前記第1の偏光子、前記第1の液晶素子及び前記第2の液晶素子を介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第3の液晶素子、前記第4の液晶素子及び前記第2の偏光子を介して受光部に入射させることで得られる光であり、
前記演算処理部では、
前記測定光の光強度をフーリエ解析し、当該フーリエ係数に基づき前記測定対象の光学特性を表す行列の行列要素の少なくとも1つを算出する演算処理を行う
ことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、機械駆動とキャリブレーションサンプルを必要とせず測定対象の光学特性を表す行列の行列要素を計測することができる。
【0008】
(3)また本発明に係る光学特性計測装置では、
前記第1及び第2の偏光子の主軸方位と、前記第2及び第3の液晶素子の主軸方位とがそれぞれ0°であり、前記第1及び第4の液晶素子の主軸方位がそれぞれ45°である。
【0009】
(4)また本発明に係る光学特性計測装置では、
前記演算処理部が、
前記第1及び第2の液晶素子の複屈折位相差δ、δをδ、前記第3及び第4の液晶素子の複屈折位相差δ、δを5δとして位相変調したときの前記測定光の光強度をフーリエ解析し、当該フーリエ係数に基づき前記測定対象の光学特性を表す行列の行列要素の少なくとも1つを算出する演算処理を行う。
【0010】
(5)本発明は、測定対象の光学特性を計測する光学特性計測方法であって、
光学系に含まれる第1及び第2の偏光変調器及び前記測定対象によって変調された測定光の光強度情報を取得する光強度情報取得手順と、
前記測定対象の光学特性を表す行列の行列要素の少なくとも1つを算出する演算処理を行う演算処理手順とを含み、
前記第1の偏光変調器は、第1の偏光子、第1及び第2の液晶素子を含み、
前記第2の偏光変調器は、第2の偏光子、第3及び第4の液晶素子を含み、
前記測定光は、光源から出射された所定の波長の光を、前記第1の偏光子、前記第1の液晶素子及び前記第2の液晶素子を介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第3の液晶素子、前記第4の液晶素子及び前記第2の偏光子を介して受光部に入射させることで得られる光であり、
前記演算処理手順では、
前記測定光の光強度をフーリエ解析し、当該フーリエ係数に基づき前記測定対象の光学特性を表す行列の行列要素の少なくとも1つを算出する演算処理を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、機械駆動とキャリブレーションサンプルを必要とせず測定対象の光学特性を表す行列の行列要素を計測することができる。
【0012】
(6)本発明は、
所定の波長の光を出射する光源と、第1及び第2の偏光変調器と、前記第1及び第2の偏光変調器と前記測定対象で前記光を変調させることによって得られる測定光を受光する受光部と、を含む光学系と、
前記測定光の光強度情報を取得する光強度情報取得部と
前記測定光の光強度をフーリエ解析し、当該フーリエ係数に基づき前記測定対象の光学特性を表す行列の行列要素の少なくとも1つを算出する演算処理を行う演算処理部とを含み、
前記第1の偏光変調器は、第1の偏光子、第1及び第2の液晶素子を含み、
前記第2の偏光変調器は、第2の偏光子、第3及び第4の液晶素子を含み、
前記光源から出射された光を、前記第1の偏光子、前記第1の液晶素子及び前記第2の液晶素子を介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第3の液晶素子、前記第4の液晶素子及び前記第2の偏光子を介して前記受光部に入射させるように構成された光学特性計測装置の校正方法であって、
所定の波長の光を前記第1の偏光変調器に入射させ、前記第1の偏光変調器からの出射光のストークスパラメータをストークスポラリメータを用いて算出し、算出したストークスパラメータに基づき前記第1の偏光変調器の校正を行う手順と、
所定の波長の光を前記第2の偏光変調器に入射させ、前記第2の偏光変調器からの出射光のストークスパラメータをストークスポラリメータを用いて算出し、算出したストークスパラメータに基づき前記第2の偏光変調器の校正を行う手順と、
校正された前記第1及び第2の偏光変調器を含む前記計測装置において、前記測定対象を設置しない状態で光学特性を表す行列の行列要素を算出する手順と、
前記測定対象を設置しない状態での前記測定光の光強度をフーリエ解析した際の当該フーリエ係数と前記第3及び第4の液晶素子の主軸方位の設置誤差との関係式を、主軸方位の設置誤差を考慮した前記第3及び第4の液晶素子のミュラー行列に基づき算出する手順と、
前記フーリエ係数と前記設置誤差との関係式と、前記測定対象を設置した状態での測定光の光強度をフーリエ解析した際の当該フーリエ係数と前記測定対象の光学特性を表す行列の行列要素との関係式とに基づき、前記設置誤差と前記測定対象の光学特性を表す行列の行列要素との関係式を求める手順と、
前記設置誤差と前記測定対象の光学特性を表す行列の行列要素との関係式と、算出した前記光学特性を表す行列の行列要素とに基づき、前記設置誤差を算出する手順と、
算出した前記設置誤差と、算出した前記第2の偏光変調器からの出射光のストークスパラメータとに基づき前記第2の偏光変調器の校正を行う手順とを含む。
【0013】
本発明によれば、第1及び第2の偏光変調器を構成する各液晶素子の主軸方位の設置誤差と各液晶素子の複屈折位相差の変調誤差とを補正して光学特性計測装置の正しい校正を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0015】
1.装置の構成
図1は、本実施形態の計測装置(光学特性計測装置)の構成を説明するためのブロック図である。計測装置1は、測定対象である試料30のミュラー行列(光学特性を表す行列)を計測する装置である。計測装置1は、光学系10と、光強度情報取得部50と、制御装置60とを含む。光強度情報取得部50では、光学系10に含まれる光学素子及び試料30によって変調された測定光の光強度情報を取得する。制御装置60は演算処理部70を含み、演算処理部70では、光学系10に含まれる光学素子及び試料30を透過した光の光強度に基づき試料30のミュラー行列の要素を算出する演算処理を行う。以下、計測装置1の装置構成について説明する。
【0016】
1−1.光学系
光学系10は、光源12と受光部52を含む。また光学系10は、光源12と受光部52とを結ぶ光路L上に設けられた、第1の偏光子21と第1、第2の液晶素子22、24とを含む第1の偏光変調器20、第3、第4の液晶素子42、44と第2の偏光子46(検光子)とを含む第2の偏光変調器40を含む。これらの光学素子は、光源12から出射された光を、第1の偏光子21、第1の液晶素子22、第2の液晶素子24を介して試料30に入射させ、試料30を透過した光を、第3の液晶素子42、第4の液晶素子44、第2の偏光子46を介して受光部52に入射させるように配列されている。以下、それぞれについて説明する。
【0017】
光源12は、所定の波長の光(単色光)を出射する。光源12として、レーザやSLDなどを利用してもよい。また光源12は、出射する光の波長を変更することが可能な構成をなしていてもよい。
【0018】
第1の偏光変調器20は、光源12から出射された光を任意の偏光に変調する。第1の偏光変調器20は、第1の液晶素子22への印加電圧を制御し、第1の液晶素子22の複屈折位相差δを変化させる第1の電圧制御部23と、第2の液晶素子24への印加電圧を制御し、第2の液晶素子24の複屈折位相差δを変化させる第2の電圧制御部25とを含む。また第1の偏光変調器20は、第1及び第2の液晶素子22、24の温度を一定に制御する温度制御部(温度センサ、ペルチェ素子等)を含むようにしてもよい。このようにすると、環境温度の変化によって同じ印加電圧に対する第1及び第2の液晶素子22、24の複屈折位相差に誤差(変動)が生じることを防止することができる。
【0019】
第1の偏光子21は、光源12からの光を直線偏光とする入射側の偏光子である。すなわち第1の偏光子21はその透過軸の方向(主軸方位)に偏光面を有する直線偏光を透過させる。第1の偏光子21は、その主軸方位が0°となるように設置されている。
【0020】
第1の液晶素子22は、その主軸方位が45°となるように設置され、第2の液晶素子24は、その主軸方位0°となるように設置されている。主軸方位がそれぞれ45°、0°である第1及び第2の液晶素子22、24の複屈折位相差δ、δを位相変調することにより、第1の偏光子21を透過した直線偏光を、任意の直線偏光または楕円偏光または円偏光に変えることができる。
【0021】
第2の偏光変調器40は、試料30を透過した光を偏光変調する。第2の偏光変調器40は、第3の液晶素子42への印加電圧を制御し、第3の液晶素子42の複屈折位相差δを変化させる第3の電圧制御部43と、第4の液晶素子44への印加電圧を制御し、第4の液晶素子44の複屈折位相差δを変化させる第4の電圧制御部45とを含む。また第2の偏光変調器40は、第3及び第4の液晶素子42、44の温度を一定に制御する温度制御部を含むようにしてもよい。
【0022】
第3の液晶素子42は、その主軸方位が0°となるように設置され、第4の液晶素子44は、その主軸方位が45°となるように設置されている。
【0023】
第2の偏光子46は、第4の液晶素子44を通過した光を直線偏光とする出射側の偏光子である。第2の偏光子46は、その主軸方位が0°となるように設置されている。
【0024】
すなわち第2の偏光変調器40は、第1の偏光変調器20と対称に各光学素子を配置した構成(第1の偏光変調器20を反転させた構成)となっている。
【0025】
受光部52は、例えば光電センサ(フォトディテクタ)からなり、第2の偏光子46からの出射光(測定光)を受光する。そして、光強度情報取得部50は、測定光の光強度を電圧に変換して光強度情報として出力する。
【0026】
なお第1及び第2の偏光変調器20、40を構成する各液晶素子は、ネマチック液晶により構成してもよいし、コレステリック液晶や強誘電性液晶により構成してもよい。
【0027】
また光学系10は、図1に示すように、試料30を透過した光が第3の液晶素子42(第2の偏光変調器40)に入射するように構成されていてもよいし、試料30を反射した光が第3の液晶素子42(第2の偏光変調器40)に入射するように構成されていてもよい。
【0028】
1−2 光強度情報取得部50
光強度情報取得部50は、測定光の光強度を取得する。すなわち、光強度情報取得部50は、光学系10に含まれる光学素子(第1の偏光子21、第1、第2の液晶素子22、24、第3、第4の液晶素子42、44、検光子46)及び、試料100によって変調された光(測定光)の光強度情報を取得する。すなわち、光強度情報取得部50は、受光部52で受光された光(測定光)の光強度情報を取得する。なお、受光部52は、光強度情報取得部50の一部を構成していてもよい。
【0029】
1−3.制御装置60
制御装置60は、演算処置部70、制御信号生成部80、記憶部90とを含む。
【0030】
演算処理部70は、光強度情報取得部50で取得された光強度情報に基づいて試料30のミュラー行列の要素を算出する演算処理を行う。すなわち演算処理部70は、測定光の光強度をフーリエ解析し、当該フーリエ係数に基づき前記測定対象のミュラー行列の要素を算出する。
【0031】
制御信号生成部80は、制御信号を生成して、第1の電圧制御部23(第1の液晶素子22の液晶ドライバ)、第2の電圧制御部25(第2の液晶素子24の液晶ドライバ)、第3の電圧制御部43(第3の液晶素子42の液晶ドライバ)、及び第4の電圧制御部45(第4の液晶素子44の液晶ドライバ)を制御し、第1、第2、第3及び第4の液晶素子22、24、42、44の複屈折位相差δ、δ、δ、δを変化させる。また制御信号生成部80は、第1及び第2の偏光変調器20、40に含まれる温度制御部の動作を制御するようにしてもよい。
【0032】
記憶部90は、種々のデータを一時記憶する機能を有し、例えば光強度情報取得部50から出力された光強度情報を、第1、第2、第3及び第4の液晶素子22、24、42、44の複屈折位相差δ、δ、δ、δと対応付けて記憶する。
【0033】
2.測定対象のミュラー行列計測原理
次に、本実施形態の光学特性計測装置が採用する、測定対象のミュラー行列計測原理を説明する。
【0034】
第1の偏光子21に入射する単色光のストークスパラメータ(入射偏光状態)をSinとし、第2の偏光子46から出射する光(測定光)のストークスパラメータ(出射偏光状態)をSoutとすると、Soutは、各光学素子のミュラー行列により、
【0035】
【数1】

【0036】
となる。
【0037】
なお、Iは第1の偏光子21に入射する単色光の光強度である。またPは、第1の偏光子21のミュラー行列である。またR、R、R及びRは、それぞれ第1、第2、第3及び第4の液晶素子22、24、42、44のミュラー行列である。またδ、δ、δ及びδは、それぞれ第1、第2、第3及び第4の液晶素子22、24、42、44の複屈折位相差である。またMは、試料30のミュラー行列であり、m00〜m33は、ミュラー行列Mの各要素である。またAは、第2の偏光子46のミュラー行列である。
【0038】
ここで、受光部52が受光する光の光強度をI(δ)とすると、I(δ)は、第2の偏光子46から出射する光のストークスパラメータのS0outに等しいから、式(1)より、
【0039】
【数2】

【0040】
となる。
【0041】
本実施形態では、第1、第2、第3及び第4の液晶素子22、24、42、44の複屈折位相差δ、δ、δ、δを変調させながら第2の偏光子46から出射する光の光強度を測定し、以下のように試料30のミュラー行列Mの各要素を算出する。
【0042】
すなわち、第1及び第2の液晶素子22、24の複屈折位相差δ、δを、δ=δ=δとし、第3及び第4の液晶素子42、44の複屈折位相差δ、δを、δ=δ=5δとして、δを0°から360°まで変調させる。このとき受光部52が検出する光の光強度I(δ)は、式(2)より、
【0043】
【数3】

【0044】
となり、フーリエ級数により表すことができる。ここでa、a、bは、それぞれフーリエ級数における係数(フーリエ係数)である。係数a、aは、試料30のミュラー行列の各要素mijを用いて、
【0045】
【数4】

【0046】
と表され、係数bは、試料30のミュラー行列の各要素mijを用いて、
【0047】
【数5】

【0048】
と表される。
【0049】
式(4)〜式(28)の連立方程式の解から、試料30のミュラー行列の各要素mijは、
【0050】
【数6】

【0051】
となる。
【0052】
すなわち受光部52が受光した光強度I(δ)を離散フーリエ変換して、フーリエ係数a、a、bを求めることにより、試料30のミュラー行列の各要素mijを算出することができる。
【0053】
このように本実施形態によれば、機械駆動やキャリブレーションサンプルの計測を必要とせずに、測定対象のミュラー行列を計測することができる。
【0054】
3.計測装置の校正方法
次に、本実施形態の光学特性計測装置の校正方法について説明する。
【0055】
3−1.第1の偏光変調器の校正
ミュラー行列計測の誤差原因として、第1及び第2の偏光変調器20、40を構成する各液晶素子の主軸方位の設置誤差εnと各液晶素子の複屈折位相差の変調誤差Δnがある。
【0056】
ここで、第1の偏光変調器20の出射光の偏光状態を、図2に示す出射光のポアンカレ球を用いて説明する。図2では、出射光のストークスパラメータS、S、Sの各2値について平面座標系をそれぞれ示している。液晶素子22と第2の液晶素子24の主軸方位の設置誤差ε、εがε≠0、ε≠0である場合に、第1、第2の液晶素子22、24の複屈折位相差δ、δをδ=δの関係でそれぞれ0°から360°まで変調させると、出射光の偏光状態は、図2に示すポアンカレ球上の軌跡Bとなる。
【0057】
この軌跡Bは、主軸方位の設置誤差ε、εがε=ε=0である場合の軌跡C(ミュラー行列の計測に必要な変調域)と異なり、ミュラー行列計測の誤差原因となる。なお、主軸方位の設置誤差ε、εがε<εの条件を満たす場合には、図2に示すポアンカレ球上の領域Aの偏光状態を作り出すことができない。しかし軌跡Cは領域Aと重ならないため、液晶素子22と第2の液晶素子24の複屈折位相差δ、δを微小に制御しながら出射光の偏光状態(ストークスパラメータ)を計測し、軌跡Bを軌跡Cに近づける校正を行うことができる。
【0058】
図3(A)は、第1の偏光変調器20の校正について説明するための図である。
【0059】
図3(A)に示すように、光源100から出射された所定波長の光を、第1の偏光変調器20内の第1の偏光子21に入射させ、第1の液晶素子22を介して第2の液晶素子24から出射される光のストークスパラメータSoutをストークスポラリメータ110(偏光計)を用いて計測する。
【0060】
ストークスポラリメータ110は、1/4波長板112、偏光子114(検光子)、検出部116を含む。第1の偏光変調器20からの出射光は、1/4波長板112に入射され、1/4波長板112を透過した光は偏光子114を介して検出部116に入射される。検出部116は、偏光子114から出射された光の光強度を検出する。
【0061】
ここで、1/4波長板112と偏光子114は、それぞれ回転可能に構成されている。そして、1/4波長板112の主軸方位θと、偏光子114の主軸方位θを、θ:θ=1:3の関係で回転させたときに検出部116が検出する光強度をフーリエ解析することで、第1の偏光変調器20からの出射光のストークスパラメータSoutを計測することができる。
【0062】
本実施形態では、第1の液晶素子22と第2の液晶素子24のそれぞれに印加する電圧値V、Vを個別に変化させて複屈折位相差δ、δを個別に制御しながら、出射光のストークスパラメータSoutの計測を繰り返し、図4(A)に示すような、各電圧値V、Vに対応するストークスパラメータSoutの値を格納する計測データを作成する。図4(A)に示す例では、各電圧値V、Vをそれぞれ0.0Vから10.0Vまで0.2V刻みで変化させて計測している。そして、作成した計測データに基づいて、出射光の偏光状態の軌跡が図2に示す軌跡C(ミュラー行列の計測に必要な変調域)となるような電圧値V、Vの複数の組み合わせを求める。
【0063】
この手法によれば、図1における計測時で発生する第1及び第2の液晶素子22、24の主軸方位の設置誤差ε、εと、複屈折位相差の変調誤差Δ、Δとを補正して、第1の偏光変調器20を正しく校正することができる。
【0064】
3−2.第2の偏光変調器の校正
図3(B)は、第2の偏光変調器40の校正について説明するための図である。
【0065】
図3(B)に示す第2の偏光変調器40は、図1に示す計測装置1における第2の偏光変調器40と対称に各光学素子を配置した構成(図1に示す第2の偏光変調器40を反転させた構成)となっている。すなわち、光源100から出射された所定波長の光を、第2の偏光変調器40内の第2の偏光子46に入射させ、第4の液晶素子44を介して第3の液晶素子42から出射される光のストークスパラメータSoutをストークスポラリメータ110を用いて計測する。
【0066】
本実施形態では、第1の偏光変調器20の校正と同様の手法により、第3の液晶素子42と第4の液晶素子44のそれぞれに印加する電圧値V、Vを個別に変化させて複屈折位相差δ、δを個別に制御しながら、出射光のストークスパラメータSoutの計測を繰り返し、図4(B)に示すような、各電圧値V、Vに対応するストークスパラメータSoutの値を格納する計測データを作成する。そして、作成した計測データに基づいて、出射光の偏光状態の軌跡が図2に示す軌跡Cとなるような電圧値V、Vの複数の組み合わせを求める。
【0067】
この手法では、図1における計測時で発生する第3及び第4の液晶素子42、44の複屈折位相差の変調誤差Δ、Δを補正する校正を行うことはできるものの、図1における計測時で発生する主軸方位の設置誤差ε、εを補正する校正を行うことはできない。なぜなら、図1に示す計測装置1においては、図3(B)に示す第2の偏光変調器40を反転させて設置するため、図3(B)で主軸方位の設置誤差を補正したとしても、反転した際に、第2の偏光子46の主軸方位と反転軸との間の角度により第3及び第4の液晶素子42、44の主軸方位の設置誤差ε、εが更に生じてしまうからである。すなわち、第3及び第4の液晶素子42、44を1つの液晶素子として取り扱うと、生じる主軸方位の誤差ε=ε=εは、水平軸と第2の偏光子46の透過軸方位との角度差及び設置時の機械的誤差となり、第3及び第4の液晶素子42、44及び第2の偏光子46を1つの偏光変調器として取り扱うと、生じる主軸方位の誤差ε=ε=εは、設置時の機械的誤差となる。
【0068】
そこで本実施形態では、計測装置1に第2の偏光変調器40を設置した状態で、第3及び第4の液晶素子42、44の主軸方位の設置誤差ε、εを算出し、算出した設置誤差ε、εに基づいて、再度第2の偏光変調器40の校正を行う。
【0069】
3−3.主軸方位の設置誤差に基づく第2の偏光変調器の校正
上述したミュラー行列計測手法により、図5に示すように、計測装置1において試料30(測定対象)を設置しない状態でミュラー行列Mの各要素mijを算出する。なお、ここでは図3によるストークスポラリメータを用いて校正された第1及び第2の偏光変調器20、40を用いる。また、主軸方位の設置誤差を考慮しない各光学素子のミュラー行列P、R、R、R、R、Aを用いて算出する。試料30を設置しない状態で本計測装置により算出したミュラー行列Mは、理論的には単位行列となるはずであるが、実際には第3及び第4の液晶素子42、44の主軸方位の設置誤差ε、εにより誤差を含んだ値となる。
【0070】
試料30を設置しない状態での第2の偏光子46から出射する光(測定光)の光強度をフーリエ級数で表した場合の係数と、第3及び第4の液晶素子42、44の主軸方位の設置誤差ε、εとの関係式を、主軸方位の設置誤差ε、εを含んで算出された第3及び第4の液晶素子42、44のミュラー行列に基づき求める。以下、詳細に説明する。
【0071】
第3及び第4の液晶素子42、44の主軸方位の設置誤差ε、εを考慮した第3及び第4の液晶素子42、44のミュラー行列をR3(0+ε3)、R4(45+ε4)とすると、試料30を設置しない状態での測定光のストークスパラメータSoutは、
【0072】
【数7】

【0073】
となる。ここでは、試料30のミュラー行列Mを単位行列としている。また、式(45)においては、cosε、cosεをそれぞれ1としてR3(0+ε3)、R4(45+ε4)を求めている。ここで、第1及び第2の液晶素子22、24の複屈折位相差δ、δを、δ=δ=δとし、第3及び第4の液晶素子42、44の複屈折位相差δ、δを、δ=δ=5δとして、δを0°から360°まで変調させたときの光強度I(δ)は、式(45)より、
【0074】
【数8】

【0075】
となり、フーリエ級数により表すことができる。そして当該フーリエ級数における係数(フーリエ係数)を求める。例えば、係数a、aは、第3及び第4の液晶素子42、44の主軸方位の設置誤差ε、εを用いて、
【0076】
【数9】

【0077】
と表される。ここで、式(47)は、係数aと設置誤差εとの関係式であり、式(48)は、係数aと設置誤差ε、εとの関係式である。
【0078】
次に、フーリエ係数と設置誤差ε、εとの関係式と、フーリエ係数と試料30のミュラー行列の要素mijとの関係式に基づき、設置誤差ε、εと試料30のミュラー行列の要素mijとの関係式を求める。ここで、要素mijは、ミュラー行列Mの要素m00で規格化する。
【0079】
ミュラー行列Mの要素m00は、式(45)より、
【0080】
【数10】

【0081】
であるから、例えばm12/m00は、式(35)、式(47)及び式(49)より、
【0082】
【数11】

【0083】
と表され、m10/m00は、式(33)、式(47)、式(48)及び式(49)より、
【0084】
【数12】

【0085】
と表される。そして、設置誤差ε、εは、それぞれ式(50)、式(51)より、
【0086】
【数13】

【0087】
となる。ここで、式(52)は、設置誤差εと試料30のミュラー行列の要素m00、m12との関係式であり、式(53)は、設置誤差εと試料30のミュラー行列の要素m00、m10との関係式である。すなわち、試料30を設置しない状態で算出したミュラー行列Mの要素m00、m10、m12(誤差を含んだ値)と、式(52)、式(53)とに基づき、第3及び第4の液晶素子42、44の主軸方位の設置誤差ε、εを算出することができる。
【0088】
次に、算出した第3及び第4の液晶素子42、44の主軸方位の設置誤差ε、εに基づいて、再度第2の偏光変調器40の校正を行う。すなわち、まず図2に示すポアンカレ球上の軌跡C(ミュラー行列の計測に必要な変調域)を、算出した設置誤差ε、εを考慮してずらした軌跡Dを求める。例えば、軌跡Cを関数f(ε,ε)だけずらした軌跡Dを求めるようにしてもよい。次に、既に作成した図4(B)に示す測定データを参照して、図3(B)に示す第2の偏光変調器40の出射光の偏光状態の軌跡が軌跡Dとなるような電圧値V、Vの複数の組み合わせを求める。
【0089】
この手法によれば、第2の偏光変調器40を計測装置1に設置した状態における、第3及び第4の液晶素子42、44の主軸方位の設置誤差ε、εを補正することができる。
【0090】
このように本実施形態によれば、第1及び第2の液晶素子22、24の主軸方位の設置誤差ε、ε及び複屈折位相差の変調誤差Δ、Δ、並びに第3及び第4の液晶素子42、44の主軸方位の設置誤差ε、ε及び複屈折位相差の変調誤差Δ、Δとを補正して、計測装置を正確に校正することができ、測定対象のミュラー行列を高精度に計測することが可能な計測装置を提供することができる。
【0091】
4.計測結果
以下、本実施形態の計測装置の計測結果を示す。
【0092】
【数14】

【0093】
ここで、式(54)、式(55)は、試料を設置しない状態で計測したミュラー行列Mの計測値である。また、式(54)は計測装置を校正せずに計測した計測値であり、式(55)は、計測装置を本実施形態の手法により校正した後に計測した計測値である。式(55)から、校正後の測定値は理論値である単位行列と概ね等しいことがわかる。従って本実施形態の手法により、測定装置を正確に校正できることが分かる。
【0094】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本実施形態の計測装置のブロック図。
【図2】偏光変調器の出射光の偏光状態について説明するための図。
【図3】偏光変調器の校正について説明するための図。
【図4】計測データの一例。
【図5】偏光変調器の校正について説明するための図。
【符号の説明】
【0096】
1 計測装置、10 光学系、12 光源、20 第1の偏光変調器、21 第1の偏光子、22 第1の液晶素子、23 第1の電圧制御部、24 第2の液晶素子、25 第2の電圧制御部、30 試料(測定対象)、40 第2の偏光変調器、42 第3の液晶素子、43 第3の電圧制御部、44 第4の液晶素子、45 第4の電圧制御部、46 第2の偏光子、50 光強度情報取得部、52 受光部、60 制御装置、70 演算処理部、80 制御信号生成部、90 記憶部、110 ストークスポラリメータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の光学特性を計測する光学特性計測装置であって、
所定の波長の光を出射する光源と、
第1及び第2の偏光変調器と、
前記第1及び第2の偏光変調器と前記測定対象で前記光を変調させることによって得られる測定光を受光する受光部と、を含む光学系と、
前記測定光の光強度情報を取得する光強度情報取得部と、
前記測定光の光強度をフーリエ解析し、当該フーリエ係数に基づき前記測定対象の光学特性を表す行列の行列要素の少なくとも1つを算出する演算処理を行う演算処理部とを含み、
前記第1の偏光変調器は、第1の偏光子、第1及び第2の液晶素子を含み、
前記第2の偏光変調器は、第2の偏光子、第3及び第4の液晶素子を含み、
前記光源から出射された光を、前記第1の偏光子、前記第1の液晶素子及び前記第2の液晶素子を介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第3の液晶素子、前記第4の液晶素子及び前記第2の偏光子を介して前記受光部に入射させるように構成された光学特性計測装置。
【請求項2】
測定対象の光学特性を計測する光学特性計測装置であって、
光学系に含まれる第1及び第2の偏光変調器及び前記測定対象によって変調された測定光の光強度情報を取得する光強度情報取得部と、
前記測定対象の光学特性を表す行列の行列要素の少なくとも1つを算出する演算処理を行う演算処理部とを含み、
前記第1の偏光変調器は、第1の偏光子、第1及び第2の液晶素子を含み、
前記第2の偏光変調器は、第2の偏光子、第3及び第4の液晶素子を含み、
前記測定光は、光源から出射された所定の波長の光を、前記第1の偏光子、前記第1の液晶素子及び前記第2の液晶素子を介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第3の液晶素子、前記第4の液晶素子及び前記第2の偏光子を介して受光部に入射させることで得られる光であり、
前記演算処理部では、
前記測定光の光強度をフーリエ解析し、当該フーリエ係数に基づき前記測定対象の光学特性を表す行列の行列要素の少なくとも1つを算出する演算処理を行う
ことを特徴とする光学特性計測装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第1及び第2の偏光子の主軸方位と、前記第2及び第3の液晶素子の主軸方位とがそれぞれ0°であり、前記第1及び第4の液晶素子の主軸方位がそれぞれ45°である光学特性計測装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記演算処理部が、
前記第1及び第2の液晶素子の複屈折位相差δ、δをδ、前記第3及び第4の液晶素子の複屈折位相差δ、δを5δとして位相変調したときの前記測定光の光強度をフーリエ解析し、当該フーリエ係数に基づき前記測定対象の光学特性を表す行列の行列要素の少なくとも1つを算出する演算処理を行う光学特性計測装置。
【請求項5】
測定対象の光学特性を計測する光学特性計測方法であって、
光学系に含まれる第1及び第2の偏光変調器及び前記測定対象によって変調された測定光の光強度情報を取得する光強度情報取得手順と、
前記測定対象の光学特性を表す行列の行列要素の少なくとも1つを算出する演算処理を行う演算処理手順とを含み、
前記第1の偏光変調器は、第1の偏光子、第1及び第2の液晶素子を含み、
前記第2の偏光変調器は、第2の偏光子、第3及び第4の液晶素子を含み、
前記測定光は、光源から出射された所定の波長の光を、前記第1の偏光子、前記第1の液晶素子及び前記第2の液晶素子を介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第3の液晶素子、前記第4の液晶素子及び前記第2の偏光子を介して受光部に入射させることで得られる光であり、
前記演算処理手順では、
前記測定光の光強度をフーリエ解析し、当該フーリエ係数に基づき前記測定対象の光学特性を表す行列の行列要素の少なくとも1つを算出する演算処理を行う
ことを特徴とする光学特性計測方法。
【請求項6】
所定の波長の光を出射する光源と、第1及び第2の偏光変調器と、前記第1及び第2の偏光変調器と前記測定対象で前記光を変調させることによって得られる測定光を受光する受光部と、を含む光学系と、
前記測定光の光強度情報を取得する光強度情報取得部と、
前記測定光の光強度をフーリエ解析し、当該フーリエ係数に基づき前記測定対象の光学特性を表す行列の行列要素の少なくとも1つを算出する演算処理を行う演算処理部とを含み、
前記第1の偏光変調器は、第1の偏光子、第1及び第2の液晶素子を含み、
前記第2の偏光変調器は、第2の偏光子、第3及び第4の液晶素子を含み、
前記光源から出射された光を、前記第1の偏光子、前記第1の液晶素子及び前記第2の液晶素子を介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第3の液晶素子、前記第4の液晶素子及び前記第2の偏光子を介して前記受光部に入射させるように構成された光学特性計測装置の校正方法であって、
所定の波長の光を前記第1の偏光変調器に入射させ、前記第1の偏光変調器からの出射光のストークスパラメータをストークスポラリメータを用いて算出し、算出したストークスパラメータに基づき前記第1の偏光変調器の校正を行う手順と、
所定の波長の光を前記第2の偏光変調器に入射させ、前記第2の偏光変調器からの出射光のストークスパラメータをストークスポラリメータを用いて算出し、算出したストークスパラメータに基づき前記第2の偏光変調器の校正を行う手順と、
校正された前記第1及び第2の偏光変調器を含む前記計測装置において、前記測定対象を設置しない状態で光学特性を表す行列の行列要素を算出する手順と、
前記測定対象を設置しない状態での前記測定光の光強度をフーリエ解析した際の当該フーリエ係数と前記第3及び第4の液晶素子の主軸方位の設置誤差との関係式を、主軸方位の設置誤差を考慮した前記第3及び第4の液晶素子のミュラー行列に基づき算出する手順と、
前記フーリエ係数と前記設置誤差との関係式と、前記測定対象を設置した状態での測定光の光強度をフーリエ解析した際の当該フーリエ係数と前記測定対象の光学特性を表す行列の行列要素との関係式とに基づき、前記設置誤差と前記測定対象の光学特性を表す行列の行列要素との関係式を求める手順と、
前記設置誤差と前記測定対象の光学特性を表す行列の行列要素との関係式と、算出した前記光学特性を表す行列の行列要素とに基づき、前記設置誤差を算出する手順と、
算出した前記設置誤差と、算出した前記第2の偏光変調器からの出射光のストークスパラメータとに基づき前記第2の偏光変調器の校正を行う手順と
を含む光学特性計測装置の校正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−145332(P2010−145332A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325444(P2008−325444)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(504132881)国立大学法人東京農工大学 (595)