説明

光学用ポリエステルフィルム

【課題】 タッチパネル機能付きの携帯情報端末や携帯電話、携帯ゲーム機等の表示部材等の透明導電性フィルム用ベースフィルムとして用いられたときのクリア感に優れ、埃等の付着防止による光学的欠陥を防止することができ、傷つき防止、作業性、生産性に優れた光学用積層ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 透明度が83.5%以上であり、一方のフィルム表面の粗さ(Ra)が9.0nm以上であることを特徴とする光学用ポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学用に好適なポリエステルフィルムに関し、詳しくは、タッチパネル表示部材の透明導電性フィルム用ベースフィルムとして用いられたときのクリア感に優れ、埃等の付着防止による光学的欠陥を防止し、キズつき防止、作業性、生産性に優れた光学用積層ポリエステルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートに代表される二軸延伸ポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定性、平坦性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等に優れた特性を有し、また、コストパフォーマンスにも優れるため、各種用途に使用されている。
【0003】
最近では、タッチパネル式の表示装置に用いられる透明導電性フィルムのベースフィルムや液晶表示装置に用いられるプリズムシート用のベースフィルムやブラウン管、LCD、PDP等の、いわゆるフラットディスプレイの光学用フィルムとして広く用いられているが、ポリエステルフィルムはキズが付きやすいため、外観や光学特性が損なわれやすいという欠点がある。
【0004】
特に、最近需要の増えているタッチパネル機能付きの携帯情報端末や携帯電話、携帯ゲーム機においては、表示部を至近距離で見ることから、表示部ベース材として、キズや異物等の光学欠点の少ないフィルムが求められている。また、TVや動画再生等の高機能化が進むにつれ、表示部材ベースフィルムとしての透明性および鮮明性に対する要求も厳しくなっている。
【0005】
タッチパネル表示部材としては、ペン入力時の耐久性が良好かつ粘着剤のクッション効果による書き味が良好な点で、両面あるいは片面にハードコート処理したフィルムと片面に透明導電膜(ITO膜)を設けたフィルムの他面とを粘着層を介して接着積層したものが広く用いられている。
【0006】
透明導電性フィルムのベースフィルムとして透明性および鮮明性を改良するには、フィルム中に含有する滑剤粒子を減らすことで達成できるが、滑剤粒子を減らしすぎると製膜時や加工時の巻き作業性の低下や、フィルム表面へのキズ入りが多くなり、外観特性を損ない問題となる。
【0007】
フィルムの透明性の評価方法の一つとしてヘーズ測定がある。ヘーズには表面ヘーズと内部ヘーズがあり、表面ヘーズはフィルムの表面構造(粗面など)に起因する散乱を評価した物性であり、内部ヘーズはフィルムの内部構造(ボイドなど)に起因する散乱を評価した物性である。従って、内部ヘーズによればフィルムと他の材料(ハードコート、粘着材等)とを貼り合わせて積層した状態(表面構造に起因する散乱を除いた状態)にしたときのヘーズ値を予測することができる。そして、ポリエステルフィルムの内部ヘーズの測定は、粗面補償溶媒として例えばエタノールを用いることにより容易に行うことができる。
【0008】
ところが、特許文献1に示される内部ヘーズ0.6%以下の高透明ポリエステルフィルムであっても、目視検査では粒子感が確認される。つまり、内部ヘーズ値ではフィルムの透明性を十分に評価することはできず、透明性に優れたフィルムの要求に応えることがまだできていない現状にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平2009−214360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、表示部材として用いられたときの透明性および鮮明性に優れ、キズがつきにくく、作業性、生産性に優れた有用なフィルムを提供することにある。
【0011】
本発明者は、上記実情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、特定構成のポリエステルフィルムによれば上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の要旨は、透明度が83.5%以上であり、一方のフィルム表面の粗さ(Ra)が9.0nm以上であることを特徴とする光学用ポリエステルフィルムに存する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のポリエステルフィルムによれば、ディスプレイ等の表示部材としての視認性に優れ、かつフィルム表面へのキズ入りが少なく、作業性に優れた有用なフィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明で言うポリエステルフィルムとは、押出口金から溶融押出される、いわゆる押出法により押出した溶融ポリエステルシートを冷却した後、必要に応じ、延伸、熱処理を施したフィルムである。
【0015】
本発明のフィルムを構成するポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものである。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。また、用いるポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であればよい。
このような共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸およびオキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等から選ばれる一種または二種以上が挙げられる。一方のグリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等から選ばれる一種または二種以上が挙げられる。
【0016】
本発明で得られるポリエステルには、本発明の要旨を損なわない範囲で、耐候剤、耐光剤、帯電防止剤、潤滑剤、遮光剤、抗酸化剤、蛍光増白剤、マット化剤、熱安定剤、および染料、顔料などの着色剤などを配合してもよい。
【0017】
フィルムに配合する粒子としては、酸化ケイ素、アルミナ、炭酸カルシウム、カオリン、酸化チタン、有機粒子および特公昭59−5216号公報に記載されているような架橋高分子微粉体等を挙げることができる。これらの粒子は、単独あるいは2成分以上を同時に使用してもよい。これら粒子の配合量は、フィルムを構成するポリエステルに対し、通常5〜90ppm以下、好ましくは20〜80ppmの範囲である。粒子の含有量が少ない場合には、フィルム表面を適度な粗面にすることができず、フィルム製造工程において、表面のキズが発生しやすかったり、巻き特性が劣ったりする傾向がある。また、粒子の含有量が90ppm以上の場合には、フィルム表面の粗面化の度合いが大きくなりすぎて透明性が損なわれることがある。
【0018】
ポリエステルフィルム中に配合する粒子の平均粒径としては、特に限定されるものではないが、通常0.02μm〜4.0μm、好ましくは0.6μm〜2.5μmの範囲である。平均粒径が0.02μm未満の粒子を用いた場合には、十分な易滑性の付与ができないため、フィルム製造工程における巻き特性が劣る傾向がある。また、平均粒径が4.0μmを超える場合には、フィルム表面の粗面化の度合いが大きくなりすぎてフィルムがヘージーとなる場合がある。
【0019】
フィルムの透明性を向上させるため、2層以上の積層フィルムとした場合、表層のみに粒子を配合する方法も好ましく採用される。この場合の表層とは、少なくとも表裏どちらか1層であり、もちろん表裏両層に粒子を配合することもできる。
【0020】
また、用いられる粒子の粒度分布はシャープな物が好ましい。具体的には、粒度分布のシャープさを表す指標である粒度分布値が1.0〜2.0のものが好ましい。なお、ここで粒度分布値とは、粒度分布値d25/d75(d25、d75は粒子群の積算堆積を大粒子側から計算し、それぞれ総体積の25%、75%に相当する粒径(μm)を示す)により定義される値である。粒度分布値が2.0を超える場合、透明性が不十分になる可能性がある。
【0021】
本発明において、後述する測定法におけるフィルムの透明度は83.5%以上であることが必要であり、84.0%以上であることが好ましい。フィルムの透明度が83.5%を下回る場合、フィルムの透明感が低下する。
【0022】
また、フィルムの表面粗さ(Ra)は、9.0nm以上、より好ましくは12.0nm以上である。フィルムのRaが9.0nmを下回る場合、フィルム表面が極端に平坦となり、フィルム製造工程における巻き特性が劣る。また、フィルムのRaが22.0nmを超える場合、表面の平面性が損なわれることがあり、フィルムが白っぽくなる恐れがあるので、Raの上限は22.0nmとすることが好ましい。
【0023】
本発明において、ポリエステルに粒子を配合する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用し得る。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し重縮合反応を進めてもよい。またベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
【0024】
なおポリエステルは、溶融重合後これをチップ化し、加熱減圧下または窒素等不活性気流中に必要に応じてさらに固相重合を施してもよい。得られるポリエステルの固有粘度は0.40dL/g以上であることが好ましく、0.40〜0.90dL/gであることがさらに好ましい。
【0025】
本発明のフィルムの総厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲で有れば特に限定されるものではないが、通常4〜300μm、好ましくは25〜188μmの範囲である。
【0026】
次に本発明のフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、以下の例示に特に限定されるものではない。
【0027】
まず、本発明で使用するポリエステルの製造方法の好ましい例について説明する。ここではポリエステルとしてポリエチレンテレフタレートを用いた例を示すが、使用するポリエステルにより製造条件は異なる。常法に従って、テレフタル酸とエチレングリコールからエステル化し、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールをエステル交換反応を行い、その生成物を重合槽に移送し、減圧しながら温度を上昇させ、最終的に真空下で280℃に加熱して重合反応を進め、ポリエチレンテレフタレート得る。
【0028】
次に例えば上記のようにして得、公知の手法により乾燥したポリエステルチップを溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーを口金から押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。本発明においては、このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化する。
延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向に90〜160℃で2〜6倍延伸を行い、150〜240℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。さらに、前記の未延伸シートを面積倍率が10〜40倍になるように同時二軸延伸を行うことも可能である。
【0029】
本発明のポリエステルフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆるインラインコーティングを施すこともできる。それは以下に限定するものではないが、例えば、1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前に、帯電防止性、滑り性、接着性等の改良、2次加工性改良、耐候性および表面硬度の向上等の目的で、水溶液、水系エマルジョン、水系スラリー等によるコーティング処理を施すことができる。また、フィルム製造後にオフラインコートで各種のコートを行ってもよい。このようなコートは片面、両面のいずれでもよい。コーティングの材料としてはオフラインコーティングの場合は水系、溶媒系のいずれでもよいが、インラインコーティングの場合は水系が好ましい。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0031】
(1)ポリエステルの極限粘度の測定
ポリエステルを1g精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mLに溶解させ、30℃で測定した。
【0032】
(2)平均粒径(d50)
島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP3型)を用いて測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒径を平均粒径d50とした。
【0033】
(3)透明度の測定
フィルム透明度は、村上色彩技術研究所製の透明度測定器(TM-1D小数点以下2桁型:光源波長546±5nm)を用いてASTM D1746に準じて測定した。
【0034】
(4)ヘーズの測定
ヘーズは、スガ試験機製のヘーズメーター(HZ−2)を用いてJIS K7136に準じて測定した。
【0035】
(5)内部ヘーズの測定
内部ヘーズは、スガ試験機製のヘーズメーター(HZ−2)を用いて測定した。測定は、フィルムをガラスセルにセットし、エタノールに浸漬することで行った。
【0036】
(6)Raの測定
Raは、小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE3500型)を用いて、JIS B0601−1994に準じて測定した。なお測定長は2.5mmとした。
【0037】
(7)3波長蛍光灯下でのクリア感観察
フィルムに3波長蛍光灯光を透過させてフィルムのクリア感を目視観察した。フィルムのクリア感(透明度、鮮明度、粒子感など)は下記基準で評価した。
<3波長蛍光灯下での粒子感観察 判定基準>
(クリア感高) ○>△>× (クリア感低)
なお、上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
【0038】
(8)キズのつきにくさの評価
作製したロール状フィルムの表面のキズの個数を数え、キズのつきにくさを3段階で評価した。評価はロールサンプルをA4サイズに切り出して行った。
(キズがつきにくい) ○>△>× (キズがつきやすい)
○:キズ発生頻度が3本以下
△:キズ発生頻度が5本以下
×:キズ発生頻度が5本以上
なお、上記判定基準中、○以上が実使用上問題なく使用できるレベルである。
上記(3)、(6)、(7)、(8)の評価結果を踏まえてフィルム性能を総合的に評価した。
【0039】
実施例1〜4および比較例1〜5:
<ポリエステル(A)の製造>
テレフタル酸ジメチル100重量%とエチレングリコール60重量%とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩を加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。
4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェートを添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。
一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.64dL/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステルのチップ(A)を得た。この、ポリエステルの極限粘度は0.64dL/gであった。
【0040】
<ポリエステル(B1〜B4)の製造>
ポリエステル(A)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェートを添加後、平均粒子径の異なるジビニルベンゼン/メタクリル酸メチル共重合架橋粒子のエチレングリコールスラリーを粒子のポリエステルに対する含有量が0.5重量%となるように添加した以外は、ポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(B1〜B4)を得た。ジビニルベンゼン/メタクリル酸メチル共重合架橋粒子の製法は以下のとおりである。メタクリル酸メチル100部、ジビニルベンゼン25部、エチルビニルベンゼン22部、過酸化ベンゾイル1部、トルエン100部の均一溶液を水700部に分散させ、次に窒素雰囲気下80℃で6時間攪拌しながら加熱しながら重合を行った。得られたエステル基を有する架橋高分子粒状体の平均粒径は約0.1mmであった。生成ポリマーを脱塩水で水洗し500部のトルエンで2回抽出し、少量の未反応モノマー線状ポリマーを除去した。次に、この架橋高分子粒状体をアトライターおよびサンドグラインダーで粉砕することで粒径の異なる平均粒子径0.8、1.4、2.3、4.4μmのジビニルベンゼン/メタクリル酸メチル共重合架橋粒子を得た。粒径0.8μmの粒子を含有するポリエステルチップをB1、1.4μmの粒子を含有するチップをB2、2.3μmの粒子を含有するチップをB3、4.4μmの粒子を含有するチップをB4とした。得られたポリエステルチップ(B1〜B4)はいずれも極限粘度0.62dL/gであった。
【0041】
<ポリエステル(C)の製造>
ポリエステル(B)の製造方法において、添加粒子を平均粒子径2.7μmのシリカ粒子に、ポリエステルに対する含有量を0.3重量%にした以外は、ポリエステル(B)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(D)を得た。得られたポリエステル(D)は極限粘度0.61dL/gであった。
であった。
【0042】
<ポリエステル(D)の製造>
ポリエステル(B)の製造方法において、添加粒子を、平均粒子径3.2μmのシリカ粒子に、ポリエステルに対する含有量を、0.6重量%にした以外は、ポリエステル(B)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(D)を得た。なお、平均粒径はレーザー法により求めた。得られたポリエステル(D)は極限粘度0.62dL/gであった。
【0043】
<フィルムの製造>
上記ポリエステル(A)チップと、ポリエステル(B)、(C)、(D)チップとを、下記表1および2に示すとおりの割合で混合した混合原料を最外層(表層)および中間層の原料とし、2台の押出機に各々供給し、280℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を30℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、85℃にて縦方向に3.5倍延伸した後、テンター内で予熱工程を経て105℃で4.3倍の横延伸を施した後、235℃で10秒間の熱処理を行い、幅250mmのポリエステルフィルムを各々得た。得られたフィルムの全厚みは50μm、それぞれの層厚みは2.5μm/45μm/2.5μmであった。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のフィルムは、例えば、タッチパネル表示部材の透明導電性フィルム用ベースフィルムとして好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明度が83.5%以上であり、一方のフィルム表面の粗さ(Ra)が9.0nm以上であることを特徴とする光学用ポリエステルフィルム。