説明

光学的情報読取装置

【目的】 情報読取り信号の周波数及び振幅の大きな変動に対して正確に波形増幅ができ、光学系に広画角のレンズの使用を可能にし、小型化された光学的情報読取装置の提供を可能にすること
【構成】光源2によりレンズ3を介して情報が記録された部材5を照射し、その反射光をレンズ6、ミラー7を介してCCD8で情報の光像を受光し、受光したCCD8の出力電気信号を処理する処理回路とを有し、前記処理回路は入力回路に抵抗93と前記抵抗93と並列にコンデンサ95と抵抗96の直列回路が接続された対数増幅器9と前記対数増幅器9の出力信号を2値化する2値化回路10とを備え、高い周波数に対して増幅率を大きくした構成。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、バーコード等の情報を読取る光学的情報読取装置に関し、詳しくは読取り信号の周波数及び振幅の変動に対応することのできる光学的情報読取装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光を照射してバーコードや文字等を読取る光学的情報読取装置は、例えばバーコード情報を含む反射光をCCD(charge coupled device 電荷結合素子)で受光し、これを電気信号に変換し、この電気信号を前置増幅器、バンドパスフィルター及び主増幅器を介して二値化回路に送り、この二値化回路で二値化された信号をデコーダに出力し、このデコーダでバーコードに含まれている情報を識別するようにされている。
【0003】この場合、主増幅器としてAGC回路付増幅器やLOG(対数)増幅器を用いて出力信号を一定の振幅に調整されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、主増幅器がAGC回路付増幅器では、出力信号に基づき増幅器の増幅率を調整するフィードバック回路であるため、高速処理を行なった場合には振幅変動に追従できず、また、主増幅器がLOG(対数)増幅器では圧縮増幅されるために、読取り信号の周波数及び振幅の大きな変動に対して正確に波形増幅ができない場合があるといった問題がある。
【0005】本発明は、上記の問題に鑑みなされたもので、読取り信号の周波数及び振幅の大きな変動に対して正確に波形増幅ができ、光学系に広画角のレンズの使用を可能にし、小型化された光学的情報読取装置の提供を可能にすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下記(1)(2)(3)(4)とすることにより達成される。
【0007】(1)情報が記録された部材を照射する投光手段と、前記部材からの反射光を受光し、前記情報の光像を所定の位置に結象する光学系と、前記所定の位置に配置され前記光像を電気信号に変換するイメージセンサと、前記イメージセンサの出力信号を処理する処理回路とを有し、前記処理回路は前記イメージセンサの出力信号を入力する入力回路部として抵抗と前記抵抗と並列にコンデンサと抵抗の直列回路が接続された回路を有する対数増幅器と前記対数増幅器の出力信号を2値化する2値化回路と前記2値化回路の出力信号をデコードするデコード処理回路とからなることを特徴とする光学的情報読取装置。
【0008】(2)情報が記録された部材を照射する投光手段と、前記部材からの反射光を受光し、前記情報の光像を所定の位置に結象する広画角のレンズを有する光学系と、前記所定の位置に配置され前記光像を電気信号に変換するイメージセンサと、前記イメージセンサの出力信号を処理する処理回路とを有し、前記処理回路は前記イメージセンサの出力信号を入力する入力回路部として抵抗と前記抵抗と並列にコンデンサと抵抗の直列回路が接続された回路を有する対数増幅器と前記対数増幅器の出力信号を2値化する2値化回路と前記2値化回路の出力信号をデコードするデコード処理回路とからなることを特徴とする光学的情報読取装置。
【0009】(3)情報が記録された部材を照射する投光手段と、前記部材からの反射光を受光し、前記情報の光像を所定の位置に結象する光学系と、前記所定の位置に配置され前記光像を電気信号に変換するイメージセンサと、前記イメージセンサの出力信号を処理する処理回路とを有し、前記イメージセンサは複数の光電変換素子が線条に配列され電子走査により読み出されるとともに、前記処理回路は前記イメージセンサの出力信号を入力する入力回路部として抵抗と前記抵抗と並列にコンデンサと抵抗の直列回路が接続された回路を有する対数増幅器と前記対数増幅器の出力信号を2値化する2値化回路と前記2値化回路の出力信号をデコードするデコード処理回路とからなることを特徴とする光学的情報読取装置。
【0010】(4)情報が記録された部材を照射する投光手段と、前記部材からの反射光を受光し、前記情報の光像を所定の位置に結象する広画角のレンズを有する光学系と、前記所定の位置に配置され前記光像を電気信号に変換するイメージセンサと、前記イメージセンサの出力信号を処理する処理回路とを有し、前記イメージセンサは複数の光電変換素子が線条に配列され電子走査により読み出されるとともに、前記処理回路は前記イメージセンサの出力信号を入力する入力回路部として抵抗と前記抵抗と並列にコンデンサと抵抗の直列回路が接続された回路を有する対数増幅器と前記対数増幅器の出力信号を2値化する2値化回路と前記2値化回路の出力信号をデコードするデコード処理回路とからなることを特徴とする光学的情報読取装置。
【0011】
【作用】本発明の上記構成によれば、イメージセンサの出力信号を入力する対数増幅器の入力回路部として入力抵抗とこの入力抵抗と並列にコンデンサと抵抗の直列回路が用いられている。そのためた対数増幅器は周波数に対してインピーダンスが変化し、高い周波数に対して増幅率が大きくなるため、細いバーやスペースで形成されているバーコード等でも振幅が強調され対数増幅器の出力は2値化しやすい波形となる。
【0012】また、広画角のレンズを用い光学的情報読取装置を小型にした場合、従来の読取り幅の仕様のままではイメージセンサの両端部分からの出力信号は、振幅が小さく、更に細いバーでは周波数が高くなるため、対数増幅器の特性として振幅が小さくなるが、このような場合にあっても2値化しやすい出力が得られる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施例の光学的情報読取装置のブロック回路図である。図1において、1は各部に制御信号や指令信号並びに2値化された信号をデコード処理等を行なう中央処理装置(CPU)、2はLEDからなる光源で、光源2は中央処理装置(CPU)1からの駆動信号に基づいて駆動する駆動回路4により駆動され、その光は投光レンズ3を介してバーコードによる情報が記録された部材5を照射する。この光源2、駆動回路4及び投光レンズ3により投光手段が形成されている。
【0014】6は受光レンズ、7はミラーでバーコードによる情報が記録された部材5からの反射光を受光レンズ6で集光しミラー7を介してバーコードの光像を所定の位置に結象する光学系を形成している。8はイメージセンサで線状に多数の光電変換素子が配列されたCCD(charge coupled device 電荷結合素子)から構成され、光学系により結象される位置に配置されている。このイメージセンサ8は中央処理装置(CPU)1からの制御信号に基づいて走査され、線状の端部の光電変換素子から順次光像に基づく電気信号が出力される。
【0015】9は、フィルタ回路15を介して入力されたイメージセンサ8の出力を増幅する対数増幅器、10は、増幅回路16を介して入力された対数増幅器9の出力信号を入力し2値化する2値化回路で、この対数増幅器9、2値化回路10及び2値化された信号をデコード処理を行なう中央処理装置(CPU)1によりイメージセンサ8の出力信号を処理する処理回路が形成される。
【0016】対数増幅器9は、演算増幅器91とこの演算増幅器91の反転入力端子に、入力抵抗93にコンデンサ95と抵抗96の直列回路が並列に接続された入力回路が接続され、非反転端子は接地もしくは所定(中間レベル)の電圧が与えられ、また、フイードバック回路に非線形素子(この実施例ではダイオードであるがトランジスタでも良い)92が設けられて構成され、イメージセンサ8の出力は入力回路を介して入力される。
【0017】なお、97は信号の直流成分をカットするたるのコンデンサであり、また、11及び12は、LEDからなるOK/NG及び安定状態を表示するランプであり、13は警報ブザー、14はトランシーバである。
【0018】このような構成を有する光学的情報読取装置で光学系を形成する受光レンズ6を広画角のレンズを用いて光学的情報読取装置を小型化すると、受光レンズ6を介してイメージセンサ8の線状に配列されたCCDの受光面に結像されるバーコードの光像は、受光レンズ6の中心部から端部に行くにしたがって照度は小さくなる。この光像に対応して出力するCCDの電気信号出力は、図2の(a)に示すように線状の端部方向に走査されるにしたがって振幅は小さくなる。更に、その端部において細いバーコードが来ときには受光周波数は高くなるため、対数増幅器の特性として増幅率が下がる。
【0019】しかし、この電気信号を入力する対数増幅器9は、その入力回路が入力抵抗93にコンデンサ95と抵抗96の直列回路が並列に接続されて構成されているため、周波数が高くなるほどインピーダンスが小さくなり、高い周波数に対して増幅率が大きくなる。したがって、対数増幅器9の出力は、図2の(b)に示すように線状に配列されたCCDの端部分からの電気信号出力も振幅は大きくなり、CCDの出力全体が平均化されて正確に2値化しやすい信号が形成できる。
【0020】なお、バーコード等の情報が記録された部材の光の照射は、情報の読み取り時その時間連続して行なうようにしても良く、レーザ光を回転する多面鏡又は振動する鏡にて走査するようにしても良い。また、光電変換素子は、CCDに限らずフォトダイオード等でも良い。
【0021】
【発明の効果】上述のように本発明によれば、イメージセンサの出力信号を入力する対数増幅器の入力回路部として入力抵抗とこの入力抵抗と並列にコンデンサと抵抗の直列回路が接続されている。そのため対数増幅器は周波数に対してインピーダンスが変化し、高い周波数に対して増幅率が大きくなるため、細いバーやスペースで形成されているバーコード等でも振幅が強調され対数増幅器の出力は2値化しやすい波形となり、様々な太さのバーコード等に対しても充分に対応することができる。
【0022】また、広画角のレンズを用い光学的情報読取装置を小型にした場合、従来の読取り幅の仕様のままではイメージセンサの両端部分からの出力信号は、振幅が小さく、更に細いバーの時は増幅率は下がるが、このような場合にあっても2値化しやすい出力が得られ、光学的情報読取装置を小型にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の光学的情報読取装置のブロック回路図である。
【図2】図1の光学的情報読取装置の対数増幅器の入力及び出力波形図である。
【符号の説明】
1 中央処理装置(CPU)
2 光源
3 投光レンズ
4 光源駆動回路
5 情報が記録された部材(バーコード)
6 受光レンズ
7 ミラー
8 CCD
9 対数増幅器
10 2値化回路
15 フィルタ回路
16 増幅回路
91 演算増幅器
92 非線形素子
93、96 抵抗
95 コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】情報が記録された部材を照射する投光手段と、前記部材からの反射光を受光し、前記情報の光像を所定の位置に結象する光学系と、前記所定の位置に配置され前記光像を電気信号に変換するイメージセンサと、前記イメージセンサの出力信号を処理する処理回路とを有し、前記処理回路は前記イメージセンサの出力信号を入力する入力回路部として抵抗と前記抵抗と並列にコンデンサと抵抗の直列回路が接続された回路を有する対数増幅器と前記対数増幅器の出力信号を2値化する2値化回路と前記2値化回路の出力信号をデコードするデコード処理回路とからなることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】情報が記録された部材を照射する投光手段と、前記部材からの反射光を受光し、前記情報の光像を所定の位置に結象する広画角のレンズを有する光学系と、前記所定の位置に配置され前記光像を電気信号に変換するイメージセンサと、前記イメージセンサの出力信号を処理する処理回路とを有し、前記処理回路は前記イメージセンサの出力信号を入力する入力回路部として抵抗と前記抵抗と並列にコンデンサと抵抗の直列回路が接続された回路を有する対数増幅器と前記対数増幅器の出力信号を2値化する2値化回路と前記2値化回路の出力信号をデコードするデコード処理回路とからなることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項3】情報が記録された部材を照射する投光手段と、前記部材からの反射光を受光し、前記情報の光像を所定の位置に結象する光学系と、前記所定の位置に配置され前記光像を電気信号に変換するイメージセンサと、前記イメージセンサの出力信号を処理する処理回路とを有し、前記イメージセンサは複数の光電変換素子が線条に配列され電子走査により読み出されるとともに、前記処理回路は前記イメージセンサの出力信号を入力する入力回路部として抵抗と前記抵抗と並列にコンデンサと抵抗の直列回路が接続された回路を有する対数増幅器と前記対数増幅器の出力信号を2値化する2値化回路と前記2値化回路の出力信号をデコードするデコード処理回路とからなることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項4】情報が記録された部材を照射する投光手段と、前記部材からの反射光を受光し、前記情報の光像を所定の位置に結象する広画角のレンズを有する光学系と、前記所定の位置に配置され前記光像を電気信号に変換するイメージセンサと、前記イメージセンサの出力信号を処理する処理回路とを有し、前記イメージセンサは複数の光電変換素子が線条に配列され電子走査により読み出されるとともに、前記処理回路は前記イメージセンサの出力信号を入力する入力回路部として抵抗と前記抵抗と並列にコンデンサと抵抗の直列回路が接続された回路を有する対数増幅器と前記対数増幅器の出力信号を2値化する2値化回路と前記2値化回路の出力信号をデコードするデコード処理回路とからなることを特徴とする光学的情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平8−287179
【公開日】平成8年(1996)11月1日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−125529
【出願日】平成7年(1995)4月13日
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)