説明

光学素子、光学素子製造方法、および撮像装置

【課題】小型の撮像装置にも装着することができる小型の光学素子、光学素子製造方法、および撮像装置を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも所定の光軸方向については光を透過させる、磁性を有する光学素子と、筐体と、筐体上に設けられた、磁性を有し、光学素子が磁力によって着脱自在に装着されるマウント部と、筐体内に設けられた、マウント部に装着された光学素子を通ってきた被写体光に基づいて撮影画像を取得する撮像部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を透過する光学素子、光学素子製造方法、および被写体光を結像して画像データを取得する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交換式の接写レンズ、魚眼レンズ、リフレックスレンズなどをカメラに装着して、様々な光学条件で被写体を撮影することが行われている。通常、交換レンズには、ねじ溝等が設けられたマウントコネクタが取り付けられており、このマウントコネクタがカメラに取り付けられたマウントのねじ突条等と嵌合することによって、交換レンズがカメラに着脱自在に装着される。このような交換レンズ式の撮像装置は、所望の光学条件に適した交換レンズを選択することによって様々な撮影画像を取得することができるが、マウントやマウントコネクタの分だけカメラや交換レンズが大型化してしまうため、画質に重点が置かれた一眼レフカメラなどに適用範囲が限定されることが多い。
【0003】
しかし、近年では、通常のデジタルカメラや、携帯電話などに搭載される撮像装置で撮影される撮影画像も高画質化してきており、これらの小型の撮像装置にも交換レンズを装着したいという要望が挙がっている。この点に関し、特許文献1には、交換レンズにレンズを取り囲むドーナツ状の磁石を取り付け、カメラにはドーナツ状の磁性材料を取り付けて、磁石の磁力によってカメラに交換レンズを装着する技術について記載されている。この特許文献1に記載された技術によると、ねじ溝やねじ突条などが設けられたマウントやマウントコネクタを備えるよりも、撮像装置や交換レンズを小型化することができ、小型のデジタルカメラなどにも適用することができる。
【特許文献1】実用新案登録第3096603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された技術では、交換レンズを通過する光を妨げないように、交換レンズを取り囲むように磁石を取り付ける必要があるため、携帯電話などに装着するには交換レンズが大きくなりすぎてしまうという問題がある。
【0005】
尚、上述した問題は、レンズのみに限らず、平行平面板やプリズムなどといった光学素子を撮像装置に取り付けて光学条件を変える場合に一般的に生じる問題である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、小型の撮像装置にも装着することができる小型の光学素子、光学素子製造方法、および撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の第1の光学素子は、少なくとも所定の光軸方向については光を透過させる基体と、
前記基体の透明な面上に設けられた、光透過性を有する磁性膜とを備えたことを特徴とする。
【0008】
近年、光透過性を有する磁性体を作成できることが報告されている(特開2002−145622公報参照)。本発明は、このような光透過性の磁性体を利用するものである。
【0009】
本発明の第1の光学素子によると、光透過性を有する磁性膜が磁石に引き付けられるため、光学素子を通過する光を妨げない位置に新たに磁性体を取り付ける必要がない。このため、光学素子を小型化することができ、携帯電話などといった小型の撮像装置にも装着することができる。
【0010】
また、上記目的を達成する本発明の第2の光学素子は、少なくとも所定の光軸方向については光を透過させる基体と、
基体中に散在した、光透過性を有する磁性粒とを備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の第2の光学素子においても、光透過性を有する磁性粒が磁石に引き付けられるため、光学素子の大型化を回避することができる。
【0012】
また、本発明の第1および第2の光学素子において、上記基体がレンズ形状を有するものであることをが好ましい。
【0013】
基体がレンズ形状を有することによって、光学素子を接写レンズなどとして使用することができる。
【0014】
また、本発明の第1および第2の光学素子において、上記基体が板形状を有するものであってもよい。
【0015】
基体が板形状を有することによって、板形状とした部材を特殊効果(軟焦点化や温度変換など)を持たせたフィルタとして利用できる。
【0016】
また、上記目的を達成する本発明の第1の光学素子製造方法は、光透過性の材料で所定形状の基体を形成する基体形成過程と、
光透過性の磁性材料を、基体形成過程で形成された基体上に複数層積層させて所定の厚さの磁性膜を形成する膜形成過程とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明の第1の光学素子製造方法によると、基体の透明な面上に光透過性を有する磁性膜が設けられた第1の光学素子を製造することができる。
【0018】
また、上記目的を達成する本発明の第2の光学素子製造方法は、光透過性を有する磁性材料を粒化する粒化過程と、
粒化過程で得られた磁性材料の粒を、光透過性を有する流動媒体中に混合する混合過程と、
混合過程で磁性材料が混合された流動媒体を固化して成型する成型過程とを有することを特徴とする。
【0019】
本発明の第2の光学素子製造方法によると、基体中に光透過性を有する磁性粒が散在した第2の光学素子を製造することができる。
【0020】
また、上記目的を達成する本発明の撮像装置は、少なくとも所定の光軸方向については光を透過させる、磁性を有する光学素子と、
筐体と、
筐体上に設けられた、磁性を有し、光学素子が磁力によって着脱自在に装着されるマウント部と、
筐体内に設けられた、マウント部に装着された光学素子を通ってきた被写体光に基づいて撮影画像を取得する撮像部とを備えたことを特徴とする。
【0021】
本発明の撮像装置によると、光学素子自体が磁力によってマウント部に装着されるため、光学素子の大型化が回避され、携帯電話などといった小型の撮像装置にも交換式の光学素子を適用することができる。
【0022】
また、本発明の撮像装置において、上記光学素子は、磁極を有する磁石であって、磁石の磁力によってマウント部に装着されるものであっても良く、また、上記マウント部は、磁極を有する磁石であって、磁石の磁力によって光学素子を引き付けて装着するものであっても良い。
【0023】
光学素子、あるいはマウント部が磁石で構成されることによって、光学素子をマウント部に着脱自在に装着することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、小型の撮像装置にも装着することができる小型の光学素子、光学素子製造方法、および撮像装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態が適用された携帯電話の外観斜視図である。この携帯電話100には、被写体を撮影する撮影機能が搭載されており、背面に設けられた撮影レンズ100上に交換レンズが着脱自在に装着される。
【0027】
図1のパート(A)には、携帯電話100の前面図が示されている。携帯電話100の前面には、メニュー画面や、撮影画像などが表示される液晶パネル101、内部にスピーカ(図2参照)が配備され、スピーカから発せられる音声を放つための送話口102、電話局を介して音声やメールなどのデータを送受信するための第1アンテナ103a、各種機能の選択や、撮影を行う際のシャッタボタンとして使用される選択ボタン104、電話番号を入力するためのプッシュボタン105、内部にマイクロフォン(図2参照)が配備され、声をマイクロフォンに伝えるための受話口106、ユーザが入力した電話番号などを確定する確定ボタン107、電源ボタン108、および電話局を介さずに、近距離用の無線通信によって画像やアドレス情報などを送受信するための第2アンテナ109aが備えられている。
【0028】
図1のパート(B)には、携帯電話100の背面図が示されている。携帯電話100の背面には、撮影レンズ110が設けられており、携帯電話100の筐体100aには、撮影レンズ110を取り囲むドーナツ状の磁石110aが取り付けられている。また、携帯電話100には、撮影レンズ110上に取り付けられる、ズームレンズや魚眼レンズなどといった各種の交換レンズ200が用意されている。交換レンズ200は、透明なレンズ部分201上に透明な磁性膜202が形成されたものである(磁性膜202を構成する物質、および交換レンズ200の製造方法については後述する)。この磁性膜202が撮影レンズ110に取り付けられた磁石110aに磁力で引き付けられることによって、交換レンズ200が携帯電話100に装着される。このレンズ部分201は、本発明にいう基体の一例にあたり、磁性膜202は、本発明にいう磁性膜の一例に相当する。また、筐体100aは、本発明にいう筐体の一例にあたり、磁石110aは、本発明にいうマウント部の一例に相当する。
【0029】
図2は、交換レンズ200が装着された携帯電話100の側面図である。
【0030】
交換レンズ200は、図1のパート(B)に示す磁性膜202が携帯電話100の磁石110aに引き付けられている。交換レンズ200の光透過面上に透明な磁性膜202を設けることによって、交換レンズ200を取り囲む部品などを取り付ける必要がなく、交換レンズ200を小型化することができる。
【0031】
ここで、携帯電話100の内部構造について説明する。
【0032】
図3は、携帯電話100の内部ブロック図である。
【0033】
携帯電話100の内部には、撮影レンズ110、アイリス111、CCD112、A/D(Analog/Degital)変換部113、マイクロフォン121、スピーカ122、インタフェース部120、第1送受信部103、入力コントローラ130、画像信号処理部140、ビデオエンコーダ150、画像表示装置160、第2送受信部109、メモリ170、CPU180、メディアコントローラ190、各種スイッチ181が具備されており、さらに、記録メディア300が接続されている。
【0034】
各種スイッチ181には、図1に示す選択ボタン104やプッシュボタン105などが含まれる。これら各種スイッチ181が押下されると、そのスイッチが入ったことがCPU180に伝えられる。
【0035】
CPU180は、図3に示す携帯電話100の各種要素に処理の指示を伝えて、各種要素を制御する。例えば、撮影を行う撮影モードが設定された状態で図1の選択ボタン104が押下されると、CPU180から図3に示す各種要素に指示が与えられ、撮影が開始される。
【0036】
本来、被写体を撮影する撮影装置には複数のレンズが配備されるが、この図3では、それら複数のレンズを撮影レンズ110として模式的に示している。また、アイリス111は、CCD112で受光される被写体光の光量を調整する絞りである。
【0037】
撮影が開始されると、CCD112は、撮影レンズ110を通ってきた被写体光を受光して、被写体光に基づく被写体像をアナログ信号である被写体信号として読み取る。このCCD112は、本発明にいう撮像部の一例に相当する。CCD112で生成された被写体信号は、A/D変換部115でデジタルの撮影画像データに変換される。変換後の撮影画像データは、入力コントローラ130を介して画像信号処理部140に送られる。
【0038】
画像信号処理部140では、画像データにRGBレベルの調節、ガンマ調整等といった画像処理が施され、さらに、画像処理後の画像データに圧縮処理が施される。圧縮後の画像データは、一旦メモリ170に送られる。
【0039】
メモリ170には、この携帯電話100内で実行されるプログラムが記憶されたり、中間バッファとして用いられる記録速度が高速なSDRAM、各種メニュー画面用のデータや、ユーザの設定内容などが記憶されたデータ保存用のメモリであるSRAM、圧縮された画像データが記憶されるVRAMが含まれている。VRAMは、複数領域に分割されており、画像データが複数領域に順番に記憶され、記憶された画像データはビデオエンコーダ150やメディアコントローラ190に順次に読み出される。
【0040】
ビデオエンコーダ150は、CPU180からの指示に従って、メモリ170から圧縮後の画像データを取得し、圧縮後の画像データを、液晶パネル101で表示できるデータ形式に変換する。変換後の画像データは画像表示装置130に送られ、画像表示装置130によって、画像データが表す画像が液晶パネル101に表示される。メディアコントローラ190は、メモリ170に記憶された圧縮後の画像データを記録メディア300へ記録したり、記録メディア300に記録された画像データを読み出すためのものである。
【0041】
また、図1に示すプッシュボタン105を使って電話番号が入力され、確定ボタン107が押下されると、電話番号が設定されて相手装置との通信が開始される。このとき、携帯電話100の電話番号や入力された電話番号などの通信情報がCPU180から第1送受信部103に伝えられ、通信情報が電波に変換されてアンテナ103aに伝えられ、アンテナ103aから電波が発せられる。第1アンテナ103aから発せられた電波は、建物や電柱などといった各所に設けられている共同アンテナ(図示しない)を介して電話局に伝わり、電話局で、指定された電話番号が割り当てられた相手装置との接続が確立される。
【0042】
相手装置との接続が確立すると、ユーザが携帯電話100に向けて発した声が、図1にも示すマイクロフォン106で集音され、集音された声がインタフェース部120で音声データを表わす電波に変換されて、第1送受信部103の第1アンテナ103aによって相手装置に送信される。また、第1アンテナ103aを介して受信された音声用の電波は、インタフェース部120で音声データに変換され、図1にも示すスピーカ102から音声として発せられる。第1送受信部103、第1アンテナ103aでは、音声データだけではなく、電話番号の代わりにメールアドレスを使ってメールを表わすメールデータも送受信される。第1アンテナ103aで受信されて、第1送受信部103でデジタル化されたメールデータは、入力コントローラ130によってメモリ170に記憶される。
【0043】
また、この携帯電話100には、電話局を介して他の携帯電話などといった相手装置と通信するための通信インタフェース(第1送受信部103、第1アンテナ103a)とは別に、電話局を介さずに、近距離用の無線通信によって通信するための無線通信インタフェース(第2送受信部109、第2アンテナ109a)も備えられている。近距離無線通信用の通信インタフェースとしては、赤外線通信やブルートゥース(Bluetooth)などを適用することができる。本実施形態では、通信インタフェースとして赤外線通信が適用されており、他の携帯電話などから直接送信されてきた赤外線が第2アンテナ109aで受信されると、その受信された赤外線に基づく電気信号が第2送受信部109でピックアップされて、デジタルのデータに変換される。逆に、外部装置にデータを送信するときには、第2送受信部109にデータが伝えられ、そのデータが第2送受信部109で電波に変換されて、第2アンテナ109aから発せられる。
【0044】
この第2アンテナ109aで画像を表わす赤外線が受信されると、第2送受信部109では赤外線に基づく電気信号が画像データに変換される。変換された画像データは、撮影画像データと同様にして、画像表示装置160に送られて画像データが表わす画像が液晶パネル101に表示されたり、メディアコントローラ190を介して記録メディア300に記録される。
【0045】
携帯電話100は、基本的には以上のように構成されている。
【0046】
ここで、携帯電話100は小型であるため、ズームレンズなどを内蔵することが困難であるが、小型の交換レンズ200を装着することによって、接写撮影を実現することができる。このとき、図2に示すように、交換レンズ200および撮影レンズ110を通過してきた被写体光がCCD112で受光され、被写体光に基づいた撮影画像データが生成される。このように、本実施系形態の携帯電話100によると、所望の光学条件に適した交換レンズ200を装着して、様々な撮影画像を取得することができる。
【0047】
続いて、交換レンズ200の製造方法について説明する。
【0048】
図4は、交換レンズ200の製造方法を説明する図である。
【0049】
まず、透明物質(例えば、ガラスやプラスチックなど)をレンズ形状に成型して、図1のパート(B)にも示すレンズ部分201を形成する(図4のステップS11)。このレンズ部分201を形成するステップS11の過程は、本発明の第1の光学素子製造方法における基体形成過程の一例に相当する。
【0050】
続いて、レンズ部分201上に形成される磁性膜202の元となるターゲットを作成する(図4のステップS12)。本実施形態では、ルチル結晶構造の二酸化チタンにコバルトを10mol%ドープして1000度で焼結することにより、二酸化チタン・コバルトで構成されたターゲット411を作成した。この二酸化チタン・コバルトは、透明な磁性体である。
【0051】
ターゲット411が作成されると、そのターゲット411を構成する磁性体(二酸化チタン・コバルト)を、レーザアブレーションによって、ステップS11で形成されたレンズ部分201上に積層させる(図4のステップS13)。このステップS13では、まず、レンズ部分201上の、磁性膜を形成しない部分をマスクする。続いて、レンズ部分201を加熱するとともに、ターゲット411にレーザ光を照射して表面を瞬間的に気化させることで二酸化チタン・コバルトの微小粒子412を発生させ、その二酸化チタン・コバルトの微小粒子412をレンズ部分201上に積層させる。このレンズ部分201を加熱する加熱装置としては、Nd:YAGレーザを使用した基板加熱装置などを使用することができ、ターゲット411にレーザを照射する照射装置としては、248nmのレーザ光を出射するKrFエキシマレーザなどを使用することができる。レンズ部分201上に微小粒子412を積層させるステップS13の過程は、本発明の第1の光学素子製造方法における膜形成過程の一例に相当する。
【0052】
尚、二酸化チタン・コバルトのターゲットと、ルチル結晶構造の二酸化チタンのみからなるターゲットとの2つのターゲットを使用し、これらのターゲットを所定数比率のレーザ光を交互に照射して磁性膜を形成しても良い。
【0053】
ここで、本発明においては、この交換レンズ200を透明磁石として用いてもよい。この場合、ステップS13において、上述した処理に加えて以下に示すような処理を実行して、交換レンズ200の磁性膜202を磁化する。
【0054】
磁性膜202が磁化されていない状態とは、磁性膜202を構成している各微小粒子412のN極とS極が揃っていない状態である。磁性膜202を磁化するには、微小粒子412を積層する際に、レンズ部分201の裏面に大きな磁極を印加しておく。例えば、レンズ部分201に磁石600のN極を近づけておくと、微小粒子412のS極が磁石600のN極に引き付けられ、微小粒子412が、S極側がレンズ部分201と接触するように磁極を揃えて積層される。その結果、N極側が表面に露出した磁性膜202が形成され、表面がN極の透明磁石である交換レンズ200が作成される。
【0055】
また、磁性体の磁化方法については、この他にも様々に知られており、それらの方法を適用することもできる。
【0056】
レンズ部分201上に二酸化チタン・コバルトが積層されたら、マスクを除去する(図4のステップS14)。このようにして、透明なレンズ部分201上に透明な二酸化チタン・コバルトの磁性膜202が形成された交換レンズ200を生成する。このようにして得られた二酸化チタン・コバルト磁性膜202の膜厚は、200nmであった。
【0057】
また、本実施形態においては、交換レンズ200に対して光透過性を向上させるためや、図1のパート(B)に示すリング状の磁石110aの正しい位置に装着されるように、レンズ部分201の周辺部分のみにリング状に磁性膜202を形成する例について説明したが、本発明においては、レンズ部分201上の面全体に磁性膜を形成してもよい。
【0058】
以上で、本発明の第1実施形態の説明を終了し、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態と第2実施形態とではほぼ同じ構成を有するため、以下では、第1実施形態との共通要素については同じ符号を付して説明を省略し、第1実施形態との相違点のみ説明する。
【0059】
図5は、本発明の第2実施形態の携帯電話の背面図である。
【0060】
本実施形態の携帯電話100´は、図1のパート(B)に示す第1実施形態の携帯電話100とほぼ同様の内部構造を有するが、携帯電話100´には、磁石110aに替えて磁性体110bが取り付けられている。また、この携帯電話100´には、透明な磁石で構成された平行平面板200´が取り付けられる。この平行平面板200´は、透明な媒体中に透明な磁性粒203が混合され、その磁性粒203が磁化されて形成されたものである(平行平面板200´を構成する物質、および製造方法については後述する)。磁性粒203は、本発明にいう磁性材料の粒の一例に相当する。携帯電話100´では、筐体100aに取り付けられた磁性体110bと、透明磁石で構成された平行平面板200´とが磁力で引き付けあい、平行平面板200´が携帯電話100´に装着される。このように、携帯電話にレンズではなく平行平面板を装着してもよく、また、携帯電話の筐体に磁性体を取り付けて、透明磁石で構成された平行平面板やレンズを装着してもよい。
【0061】
続いて、平行平面板200´の製造方法について説明する。
【0062】
図4は、平行平面板200´の製造方法を説明する図である。
【0063】
まず、チタンテトラアルコキサイドにコバルトを加えた磁性材料511を真空下で加熱する(図6のステップS1)。その結果、磁性材料511が脱アルコール処理されて、二酸化チタンとコバルトがドープされた磁性粒203が形成される(図6のステップS22)。さらに、磁性粒203に安定化剤(チタンカップリング剤:イソプロピルトリイソステアロイルチタネートなど)を添加して、磁性粒203を安定して分散させる。本実施形態においては、ルチル結晶構造の二酸化チタンにコバルトが10mol%ドープされた磁性粒203を生成したところ、磁性粒203の平均粒径は10nmであった。このステップS21およびステップS22における磁性粒を生成する過程は、本発明の第2の光学素子製造方法における粒化過程の一例に相当する。
【0064】
続いて、透明な流動媒体512に、磁性粒203を混合する(図6のステップS23)。本実施形態では、流動媒体512としてポリメチルメタクリレートが用いられ、この流動媒体512中に二酸化チタン・コバルトの磁性粒203が10mol%程度混合される。このステップS22における流動媒体に磁性粒を混合する過程は、本発明の第2の光学素子製造方法における混合過程の一例に相当する。
【0065】
さらに、磁性粒203が混合された流動媒体512を平行平面板形状に射出成型して固化する(図6のステップS24)。その結果、磁性粒203が混合された平行平面板200´が生成される。このステップS24の流動媒体を固化する過程は、本発明の第2の光学素子製造方法における成型過程の一例に相当する。
【0066】
尚、ステップS24の固化過程で、上述したステップS13と同様にして流動媒体512に磁石600の磁極を印加すると、磁性粒203の磁極が揃った状態で固化されて、平行平面板200´が磁化される(図6のステップS25)。
【0067】
以上のようにして、透明磁石である平行平面板200´が作成される。
【0068】
ここで、上記では、本発明にいう撮像装置の一例として携帯電話が示されているが、本発明にいう撮像装置はデジタルカメラなどであってもよい。
【0069】
また、上記では、本発明にいう撮像部の一例としてCCDが示されているが、本発明にいう撮像部はCMOSセンサなどであってもよい。
【0070】
また、上記では、本発明にいうマウント部の一例として不透明な磁石や磁性体が示されているが、本発明にいうマウント部も透明な磁石や磁性体で構成されたものであってもよい。上記では、大きな磁力を得るために、通常の不透明な磁石などを使用した。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施形態が適用された携帯電話の外観斜視図である。
【図2】交換レンズ200が装着された携帯電話100の側面図である。
【図3】携帯電話100の内部ブロック図である。
【図4】交換レンズ200の製造方法を説明する図である。
【図5】本発明の第2実施形態の携帯電話の背面図である。
【図6】平行平面板200´の製造方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0072】
100 携帯電話
100a 筐体
101 液晶パネル
102 送話口
103 第1送受信部
103a 第1アンテナ
104 選択ボタン
105 プッシュボタン
106 受話口
107 確定ボタン
108 電源ボタン
109 第2送受信部
109a 第2アンテナ
110 撮影レンズ
110a 磁石
111 アイリス
112 CCD
113 A/D変換部
120 インタフェース部
121 マイクロフォン
122 スピーカ
130 入力コントローラ
140 画像信号処理部
150 ビデオエンコーダ
160 画像表示装置
170 メモリ
180 CPU
181 各種スイッチ
190 メディアコントローラ
200 交換レンズ
201 レンズ部分
202 磁性膜
300 記録メディア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも所定の光軸方向については光を透過させる基体と、
前記基体の透明な面上に設けられた、光透過性を有する磁性膜とを備えたことを特徴とする光学素子。
【請求項2】
少なくとも所定の光軸方向については光を透過させる基体と、
前記基体中に散在した、光透過性を有する磁性粒とを備えたことを特徴とする光学素子。
【請求項3】
前記基体がレンズ形状を有するものであることを特徴とする請求項1または2記載の光学素子。
【請求項4】
前記基体が板形状を有するものであることを特徴とする請求項1または2記載の光学素子。
【請求項5】
光透過性の材料で所定形状の基体を形成する基体形成過程と、
光透過性の磁性材料を、前記基体形成過程で形成された基体上に複数層積層させて所定の厚さの磁性膜を形成する膜形成過程とを有することを特徴とする光学素子製造方法。
【請求項6】
光透過性を有する磁性材料を粒化する粒化過程と、
前記粒化過程で得られた磁性材料の粒を、光透過性を有する流動媒体中に混合する混合過程と、
前記混合過程で前記磁性材料が混合された流動媒体を固化して成型する成型過程とを有することを特徴とする光学素子製造方法。
【請求項7】
少なくとも所定の光軸方向については光を透過させる、磁性を有する光学素子と、
筐体と、
前記筐体上に設けられた、磁性を有し、前記光学素子が磁力によって着脱自在に装着されるマウント部と、
前記筐体内に設けられた、前記マウント部に装着された光学素子を通ってきた被写体光に基づいて撮影画像を取得する撮像部とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
前記光学素子は、磁極を有する磁石であって、該磁石の磁力によって前記マウント部に装着されるものであることを特徴とする請求項7記載の撮像装置。
【請求項9】
前記マウント部は、磁極を有する磁石であって、該磁石の磁力によって前記光学素子を引き付けて装着するものであることを特徴とする請求項7記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−251150(P2006−251150A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−65390(P2005−65390)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】