光学素子の製造装置、及び、光学素子の製造方法
【課題】光学素子の製造装置及び製造方法において、型セット内部に塵埃が侵入するのを防止する。
【解決手段】光学素子の製造装置は、複数のステージと、移送部(14−3)と、清掃部(14−3)と、を備える。複数のステージは、光学素子材料が収容された型セット200が順次移送され、この型セット200に当接可能な当接部材11a,12a、13aがこの型セット200に当接した状態で光学素子材料を加熱、加圧又は冷却する。移送部(14−3)は、複数の上記ステージに型セット200を移送可能である。清掃部(14−3)は、移送部(14−3)を動作させた状態で、当接部材11a,12a、13aを清掃する。
【解決手段】光学素子の製造装置は、複数のステージと、移送部(14−3)と、清掃部(14−3)と、を備える。複数のステージは、光学素子材料が収容された型セット200が順次移送され、この型セット200に当接可能な当接部材11a,12a、13aがこの型セット200に当接した状態で光学素子材料を加熱、加圧又は冷却する。移送部(14−3)は、複数の上記ステージに型セット200を移送可能である。清掃部(14−3)は、移送部(14−3)を動作させた状態で、当接部材11a,12a、13aを清掃する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、レンズ、プリズム、ミラー等の光学素子を製造する光学素子の製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造工程順に配置された複数のステージにより上型及び下型を有する複数の光学素子成形用型セットに対し加熱・加圧・冷却の工程を順次行って、光学素子成形用型セットに収容した光学素子材料を基に光学素子を製造する光学素子の製造装置が用いられている。
【0003】
上記の光学素子の製造装置では、ステージ投入前の光学素子成形用型セットをクリーニングする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−8769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ステージ投入前の光学素子成形用型セットをクリーニングする従来の装置および方法では、例えば光学素子の製造過程での光学素子成形用型セット内部に塵埃(例えば、粉塵や異物)が侵入するのを防止することができなかった。
【0006】
本発明の目的は、光学素子成形用型セット内部に塵埃が侵入するのを防止することができる光学素子の製造装置及び製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光学素子の製造装置は、光学素子材料が収容された型セットが順次移送され、この型セットに当接可能な当接部材がこの型セットに当接した状態で上記光学素子材料を加熱、加圧又は冷却する複数のステージと、複数の上記ステージに上記型セットを移送可能な移送部と、上記移送部を動作させた状態で、上記当接部材を清掃する清掃部と、を備える。
【0008】
また、上記光学素子の製造装置において、上記清掃部は、上記移送部であるようにしてもよい。
【0009】
また、上記光学素子の製造装置において、上記移送部は、上記当接部材に非接触の状態で吸引によりこの当接部材を清掃するようにしてもよい。
【0010】
また、上記光学素子の製造装置において、上記清掃部は、複数の上記ステージに順次移送されるようにしてもよい。
【0011】
本発明の光学素子の製造方法は、型セットに収容された光学素子材料を加熱する加熱工程と、加熱された上記光学素子材料を加圧する加圧工程と、加圧された上記光学素子材料を冷却する冷却工程と、複数のステージに上記型セットを順次移送可能な移送部を動作させた状態で、上記型セットに当接可能な当接部材を清掃する清掃工程と、を含み、上記加熱工程、上記加圧工程及び上記冷却工程のそれぞれは、上記複数のステージのうちの少なくとも1つにおいて、上記当接部材が上記型セットに当接した状態で行われる。
【0012】
また、上記光学素子の製造方法において、上記清掃工程は、上記当接部材を清掃する清掃部を複数の上記ステージに順次移送することで行われるようにしてもよい。
また、上記光学素子の製造方法において、上記当接部材に付着した塵埃を上記清掃部内に回収するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光学素子成形用型セット内部に塵埃が侵入するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態における光学素子の製造システムを示す断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態における当接部材及び搬送アームを示す平面図である。
【図3】本発明の一実施の形態における当接部材及び搬送アームを示す正面図である。
【図4A】本発明の一実施の形態における搬送アームの第1の例を示す正面図である。
【図4B】本発明の一実施の形態における搬送アームの第2の例を示す正面図である。
【図4C】本発明の一実施の形態における搬送アームの第3の例を示す正面図である。
【図5】本発明の一実施の形態における清掃工程について説明する説明図である。
【図6】本発明の他の実施の形態における当接部材及び清掃部を示す平面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態における当接部材及び清掃部を示す正面図である。
【図8A】本発明の他の実施の形態における清掃部の第1の例を示す正面図である。
【図8B】本発明の他の実施の形態における清掃部の第2の例を示す正面図である。
【図8C】本発明の他の実施の形態における清掃部の第3の例を示す正面図である。
【図8D】本発明の他の実施の形態における清掃部の第4の例を示す正面図である。
【図9】本発明の他の実施の形態における清掃工程について説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る光学素子の製造方法及び製造装置について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
<一実施の形態>
図1は、本発明の一実施の形態における光学素子の製造システム100を示す断面図である。
光学素子の製造システム100は、光学素子の製造装置1と、搬出路101と、回収投入路102と、搬入路103と、を備える。
【0017】
光学素子の製造装置1は、成形室10と、搬入予備室20と、搬出予備室30と、を備える。
成形室10には、搬入予備室20から光学素子成形用型セット200が搬入される。この光学素子成形用型セット200は、加熱、加圧、冷却等の各工程を経て成形室10から搬出予備室30に搬出される。
【0018】
成形室10には、加熱ステージ11、加圧ステージ12及び冷却ステージ13が配置されている。これら加熱ステージ11、加圧ステージ12及び冷却ステージ13には、光学素子成形用型セット200が順次移送され(図1中の反時計回りである移送方向T)、光学素子成形用型セット200に収容された光学素子材料を加熱、加圧又は冷却する。
【0019】
なお、加熱ステージ11、加圧ステージ12及び冷却ステージ13は、それぞれ複数あってもよい。また、例えば、単一のステージが加熱ステージ及び加圧ステージを兼ねることなどにより、成形室10内に配置されるステージは少なくとも2つあればよい。
【0020】
搬出路101は、光学素子の製造装置1の搬出予備室30から搬出された光学素子成形用型セット200を搬送するベルトコンベア等の搬送手段を有する。
回収投入路102は、ベルトコンベア等の搬送手段を有する。回収投入路102では、搬出路101から搬送された光学素子成形用型セット200から光学素子が回収され、新たな光学素子材料が光学素子成形用型セット200に投入される。
【0021】
搬入路103は、光学素子の製造装置1の搬入予備室20に搬入される光学素子成形用型セット200を搬送するベルトコンベア等の搬送手段を有する。
図2及び図3は、本発明の一実施の形態における当接部材11a,12a,13a及び搬送アーム14を示す平面図及び正面図である。
【0022】
図2及び図3に示すように、複数のステージに光学素子成形用型セット200を順次移送可能な移送部の一例で、且つ、移送部を動作させた状態で当接部材11a,12a,13aを清掃する清掃部の一例である搬送アーム14は、光学素子成形用型セット200を、この光学素子成形用型セット200に当接可能な当接部材11a,12a,13aに載置される(当接する)ように各ステージ11,12,13に移送する。
【0023】
なお、搬送アーム14は、例えば、ステージ11,12,13ごとに設けられる。複数の搬送アーム14は、互いに連結して同一駆動源により移動するようにするとよい。また、搬送アーム14は、例えば、図1に示す搬入予備室20及び搬出予備室30にも設けられる。
【0024】
図3に示すように、当接部材11a,12a,13aには、加熱手段又は冷却手段の一例であるヒータ11b,12b,13bが例えば4本ずつ挿入されている。
光学素子成形用型セット200は、光学素子材料201を収容する。また、光学素子成形用型セット200は、上型(第1の成形型)202と、下型(第2の成形型)203と、スリーブ204と、を有する。なお、光学素子成形用型セット200は、光学素子材料201を収容した状態で光学素子材料201を加熱、加圧及び冷却することができるものであればよい。
【0025】
図4A〜図4Cは、本発明の一実施の形態における搬送アーム14の第1〜第3の例を示す正面図である。
図4Aに示す搬送アーム14−1は、例えばブラシである掃き出し部14−1aを有する。この掃き出し部14−1aは、光学素子成形用型セット200を移送する際に、当接部材11a(12a,13a)上の塵埃(例えば、粉塵や異物)Dを当接部材11a(12a,13a)上から掃き出すことで当接部材11a(12a,13a)を清掃する。
【0026】
図4Bに示す搬送アーム14−2は、例えばスクレーパである掻き取り部14−2aを有する。この掻き取り部14−2aは、光学素子成形用型セット200を移送する際に、当接部材11a(12a,13a)上の塵埃Dを当接部材11a(12a,13a)上から掻き取ることで当接部材11a(12a,13a)を清掃する。
【0027】
図5に示すように、掃き出し部14−1a及び掻き取り部14−2aが掃き出し又は掻き取った塵埃Dは、当接部材11,12,13間の間隙に落とした後で、例えば、光学素子成形用型セット200の移送を停止している間に回収するとよい。なお、塵埃Dは、光学素子成形用型セット200の移送方向(矢印T)に交差する左右方向に当接部材11,12,13から落としてもよい。
【0028】
なお、掃き出し部14−1aや掻き取り部14−2aの材質は、光学素子材料201の加熱温度にもよるが、例えば、石英、ジルコニア、サファイア、ALN(窒化アルミニウム)などの耐熱材料の塊か繊維で構成するとよい。
【0029】
図4Cに示す搬送アーム14−3は、配管15を介して真空ポンプ(吸引手段)40に接続されている。搬送アーム14−3の底面には、吸引口14−3aが形成されている。搬送アーム14−3は、光学素子成形用型セット200を移送する際あるいは静止している際に、真空ポンプ40の作用により吸引口14−3aから非接触の状態で塵埃Dを吸引することで当接部材11a(12a,13a)を清掃する。
【0030】
吸引された塵埃Dは、搬送アーム14−3の内部に溜めても配管15などから排出してもよいが、搬送アーム14−3の内部に溜める場合には、例えば、光学素子成形用型セット200の移送を停止している間に定期的に塵埃Dを回収するとよい。また、外部に排出する際には、図示しないフィルタを配管15の途上に設けて、このフィルタから定期的に塵埃Dを回収する方法を取っても良い。
【0031】
上述のように、搬送アーム14−1〜14−3は、光学素子成形用型セット200が複数のステージ11,12,13を動作させた状態、即ち、光学素子の製造装置1の稼動時において、当接部材11a,12a,13aを清掃する。
【0032】
なお、搬送アーム14−1〜14−3は、少なくとも1つのステージ11,12,13の当接部材11a,12a,13aを清掃すればよい。
【0033】
以下、本実施の形態に係る光学素子の製造方法について、上述の説明と重複する点については適宜省略しながら説明する。
図1に示すように、回収投入路102において、図3に示す光学素子材料201が光学素子成形用型セット200に投入され収容される。光学素子成形用型セット200は、搬入路103を搬送され、光学素子の製造装置1の搬入予備室20に搬入された後、成形室10に搬入される。
【0034】
その後、後述する加熱工程、加圧工程、冷却工程等の後、光学素子成形用型セット200は、成形室10から搬出予備室30に搬出され、搬出路101に搬出される。そして、光学素子成形用型セット200からは、回収投入路102において、製造された光学素子が回収される。
【0035】
また、光学素子が回収された光学素子成形用型セット200は、新たに光学素子材料201が投入され収容される。このように、光学素子成形用型セット200は、光学素子の製造装置1及び光学素子の製造システム100を循環する。
【0036】
成形室10において、図3に示すように、光学素子成形用型セット200が搬送アーム14によって加熱ステージ11に移送されると、光学素子材料201は当接部材11aのヒータ11bによって例えばガラス転移点温度以上まで加熱される(加熱工程)。なお、光学素子材料201は、光学素子成形用型セット200の上面に当接可能な図示しない上側の当接部材のヒータによって加熱されるようにしてもよい。あるいは、当該上側の当接部材のヒータと、当接部材11aのヒータ11bとの両方によって加熱されるようにしてもよい。
【0037】
その後、光学素子成形用型セット200は、搬送アーム14によって、加圧ステージ12に移送され、光学素子材料201は、当接部材12aと上記の図示しない上側の当接部材との間で光学素子成形用型セット200が加圧されることで、所望の厚さになるまで加圧される(加圧工程)。
【0038】
その後、光学素子成形用型セット200は、搬送アーム14によって、冷却ステージ13に移送され、光学素子材料201は、相対的に低温状態となるよう作動させた当接部材13aのヒータ13bを用いて冷却される(冷却工程)。なお、光学素子材料201は、上記の図示しない上側の当接部材のヒータを用いて冷却されるようにしてもよい。また、光学素子材料201は、ヒータを用いずに自然冷却されるようにしてもよい。あるいは、上述した上側の当接部材のヒータと、当接部材13aのヒータ13bとの両方を用いて冷却されるようにしてもよい。なお、加熱工程、加圧工程及び冷却工程のそれぞれは、複数のステージ11,12,13のうちの少なくとも1つにおいて、当接部材11a,12a,13aが光学素子成形用型セット200に当接した状態で行われる。
【0039】
また、上述のようにステージ11,12,13に光学素子成形用型セット200を移送する搬送アーム14を動作させた状態で、光学素子成形用型セット200に当接可能な当接部材11a,12a,13aを清掃する(清掃工程)。
【0040】
以上説明した実施の形態では、光学素子の製造装置1は、加熱ステージ11、加圧ステージ及び冷却ステージ13(複数のステージ)と、移送部及び清掃部の一例である搬送アーム14と、を備える。また、各ステージ11,12,13は、光学素子材料201が収容された光学素子成形用型セット200が順次移送され、この光学素子成形用型セット200に当接可能な当接部材11a,12a,13aが光学素子成形用型セットに当接した状態で光学素子材料201を加熱、加圧又は冷却する。搬送アーム(移送部)14は、複数のステージ11,12,13に光学素子成形用型セット200を移送可能である。また、搬送アーム(清掃部)14は、この搬送アームが動作した状態で、当接部材11a,12a,13aを清掃する。
【0041】
そのため、当接部材11a,12a,13aに堆積等した塵埃Dを清掃することで、光学素子の製造時の加熱工程、加圧工程、冷却工程等における各部の動作や摩擦によって生じた光学素子成形用型セット200内部に侵入しやすい当接部材11a,12a,13aの塵埃Dを確実に除去することができる。
【0042】
よって、本実施の形態によれば、光学素子成形用型セット200内部に塵埃Dが侵入するのを防止することができる。これにより、例えば、製造された光学素子の外観品質を確保することができる。また、光学素子成形用型セット200の表面に付着した異物等の塵埃の高温暴露による分子間結合や化学反応での光学素子成形用型セット200の表面劣化も抑制される。
【0043】
また、本実施の形態では、複数のステージ11,12,13に型セット200を移送する搬送アーム(移送部)14が当接部材11a,12a,13aの清掃を行う。そのため、簡素な構成で型セット200内部に塵埃Dが侵入するのを防止することができる。
【0044】
また、本実施の形態では、図4Cに示す搬送アーム(移送部)14−3は、当接部材11a,12a,13aに非接触の状態で吸引により当接部材11a,12a,13aを清掃する。そのため、清掃時の磨耗や当接部材からの熱伝導を防ぐことができる。
【0045】
<他の実施の形態>
本実施の形態では、当接部材11a,12a,13aを清掃する清掃部300が移送部(搬送アーム14)自体であるのではなく、型セット200と同様に移送部により移送される点において、上述の一実施の形態と主に相違し、その他の点は同様である。そのため、共通点の説明は省略する。
【0046】
図6及び図7は、本発明の他の実施の形態における当接部材11a,12a,13a及び清掃部300を示す平面図及び正面図である。
図6及び図7に示すように、清掃部300は、型セット200と同様に、当接部材11a,12a,13aに載置される(当接する)ように各ステージ11,12,13に移送され、型セット200と同様に、図1に示す光学素子の製造装置1及び光学素子の製造システム200を循環する。なお、清掃部300は、型セット200と図面上で区別できるようにするため、縦線模様で図示する。
【0047】
図6及び図7では、清掃部300と型セット200とを交互に並べているが、型セット200に対しての清掃部300を移送する間隔は、光学素子の製造装置1に応じて適宜決定されればよい。また、清掃部300は、単一の搬送アーム14により型セット200と一体に移動するようにしてもよい。
【0048】
図8A〜図8Dは、本発明の他の実施の形態における清掃部の第1〜第4の例を示す正面図である。
図8Aに示す清掃部300−1は、上述の一実施の形態の図4Aに示す搬送アーム14−1と同様に、例えばブラシである掃き出し部300−1aを有する。この掃き出し部300−1aは、それ自体が清掃部300を支えるようにしてもよいが、例えば、当接部材11a,12a,13aに清掃部300の他の部分も当接するとよい。
【0049】
清掃部300−1は、搬送アーム14により移送される際に、当接部材11a(12a,13a)上の塵埃Dを当接部材11a(12a,13a)上から掃き出すことで当接部材11a(12a,13a)を清掃する。なお、図8AのA方向矢視図に示すように、掃き出し部300−1aは、底面視において全体で円形状をなすが、形状は限定されず、また、円形状部分を回転させるようにしてもよい。
【0050】
図8Bに示す清掃部300−2は、上述の一実施の形態の図4Bに示す搬送アーム14−2と同様に、例えばスクレーパである掻き取り部300−2aを有する。この掻き取り部300−1bは、それ自体が清掃部300を支えるようにしてもよいが、例えば、当接部材11a,12a,13aに清掃部300の他の部分も当接するとよい。
【0051】
掻き取り部300−2aは、搬送アーム14により移送される際に、当接部材11a(12a,13a)上の塵埃Dを当接部材11a(12a,13a)上から掻き取ることで当接部材11a(12a,13a)を清掃する。なお、図8BのB方向矢視図に示すように、掻き取り部300−2aは、底面視において分離して位置する4箇所の部分により形成されているが、例えばスパイラル状をなす単一の部分により形成されるようにしてもよい。
【0052】
図9に示すように、掃き出し部300−1a及び掻き取り部300−2aが掃き出し又は掻き取った塵埃Dは、当接部材11,12,13間の間隙に落として後で、例えば、型セット200の移送を停止している間に回収するとよい。
【0053】
図8Cに示す清掃部300−3は、型セット200の移送方向(矢印T)先端に設けられたコロ(回収部)300−3aにより塵埃Dを内部に回収することで当接部材11a(12a,13a)を清掃する。なお、塵埃を内部に回収するためには、コロ300−3aではなく、ブラシやその他のものを用いてもよいが、例えば金属酸化物や金属窒化物などのセラミックスなどの耐熱材料を用いることが望ましい。
【0054】
図8Dに示す清掃部300−4は、型セット200が載置される下側の当接部材11a(12a,13a)を清掃する掃き出し部300−4aと、この当接部材に対向する上側の当接部材11c(12c,13c)を清掃する掃き出し部300−4bと、を有する。このように、上下両方の当接部材を清掃するようにしてもよく、また、上側の当接部材のみを清掃するようにしてもよい。なお、上側の当接部材を清掃するのは、上述の一実施の形態の搬送アーム14により行ってもよい。
【0055】
上述のように、清掃部300−1〜300−4は、型セット200が複数のステージ11,12,13に順次移送されている状態、即ち、光学素子の製造装置1の稼働時において、当接部材11a,12a,13a(11c,12c,13c)を清掃する。
【0056】
なお、清掃部300−1〜300−4は、複数種類のものを併用することで塵埃Dを効率良く除去することができる。
また、上述の一実施の形態で説明した清掃部を兼ねる搬送アーム(移送部)14によっても清掃を行うようにしてもよい。
【0057】
本実施の形態に係る光学素子の製造方法については上述の一実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0058】
以上説明した実施の形態においても、上述の一実施の形態と共通する点については、上述の一実施の形態の効果、例えば、型セット200内部に塵埃Dが侵入するのを防止することができるなどの効果を得ることができる。
【0059】
また、本実施の形態では、清掃部300は、複数のステージ11,12,13に順次移送される。そのため、例えば、図1に示す光学素子の製造装置1や光学素子の製造システム100の搬送経路全体などに清掃範囲を広げることもできる。これにより、搬送アーム14よりも清掃範囲を広くすることができ、型セット200内部に塵埃Dが侵入するのをより確実に防止することができる。
また、清掃部300は、搬入予備室20に投入された後、搬出予備室30から出て、搬送路101を経由し回収投入路102まで到達するため、新しい清掃部300との交換も製造システム100の連続動作を停止させることなく可能である。また、回収した清掃部300から塵埃を除去して清浄化した清掃部300を再投入することも可能となる。
【0060】
また、本実施の形態では、図8Cに示す清掃部300−3は、当接部材11a,12a,13aに付着した塵埃を製造部300−3内に回収する。そのため、型セット200内部に塵埃Dが侵入するのをより確実に防止することができる。
【0061】
また、本実施の形態では、図8Dに示す清掃部300−4は、上側の当接部材11c,12c,13cを清掃する。そのため、型セット200内部に塵埃Dが侵入するのを防止することができる。更には、図8Dに示す清掃部300−4は、上下の当接部材11a,12a,13a,11c,12c,13cを清掃する。そのため、型セット200内部に塵埃Dが侵入するのをより確実に防止することができる。
【0062】
なお、清掃部としては、搬送アーム14や、移送される清掃部300に限らず、例えば、当接部材11a,12a,13aを清掃する位置と、型セット200の移送を妨げない清掃を行わない位置とに移動する清掃部など、搬送アーム14や移送経路とは独立して設けられた清掃部であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 光学素子の製造装置
10 成形室
11 加熱ステージ
11a 当接部材
11b ヒータ
12 加圧ステージ
12a 当接部材
12b ヒータ
13 冷却ステージ
13a 当接部材
14b ヒータ
14 搬送アーム(移送部,清掃部)
14−1a 掃き出し部
14−2a 掻き取り部
14−3a 吸引口
15 配管
20 搬入予備室
30 搬出予備室
40 吸引ポンプ
100 光学素子の製造システム
101 搬出路
102 回収投入路
103 搬入路
200 型セット
201 光学素子材料
202 上型
203 下型
204 スリーブ
300 清掃部
300−1a 掃き出し部
300−2a 掻き取り部
300−3a コロ
300−4a 下側掃き出し部
300−4b 上側掃き出し部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、レンズ、プリズム、ミラー等の光学素子を製造する光学素子の製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造工程順に配置された複数のステージにより上型及び下型を有する複数の光学素子成形用型セットに対し加熱・加圧・冷却の工程を順次行って、光学素子成形用型セットに収容した光学素子材料を基に光学素子を製造する光学素子の製造装置が用いられている。
【0003】
上記の光学素子の製造装置では、ステージ投入前の光学素子成形用型セットをクリーニングする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−8769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ステージ投入前の光学素子成形用型セットをクリーニングする従来の装置および方法では、例えば光学素子の製造過程での光学素子成形用型セット内部に塵埃(例えば、粉塵や異物)が侵入するのを防止することができなかった。
【0006】
本発明の目的は、光学素子成形用型セット内部に塵埃が侵入するのを防止することができる光学素子の製造装置及び製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光学素子の製造装置は、光学素子材料が収容された型セットが順次移送され、この型セットに当接可能な当接部材がこの型セットに当接した状態で上記光学素子材料を加熱、加圧又は冷却する複数のステージと、複数の上記ステージに上記型セットを移送可能な移送部と、上記移送部を動作させた状態で、上記当接部材を清掃する清掃部と、を備える。
【0008】
また、上記光学素子の製造装置において、上記清掃部は、上記移送部であるようにしてもよい。
【0009】
また、上記光学素子の製造装置において、上記移送部は、上記当接部材に非接触の状態で吸引によりこの当接部材を清掃するようにしてもよい。
【0010】
また、上記光学素子の製造装置において、上記清掃部は、複数の上記ステージに順次移送されるようにしてもよい。
【0011】
本発明の光学素子の製造方法は、型セットに収容された光学素子材料を加熱する加熱工程と、加熱された上記光学素子材料を加圧する加圧工程と、加圧された上記光学素子材料を冷却する冷却工程と、複数のステージに上記型セットを順次移送可能な移送部を動作させた状態で、上記型セットに当接可能な当接部材を清掃する清掃工程と、を含み、上記加熱工程、上記加圧工程及び上記冷却工程のそれぞれは、上記複数のステージのうちの少なくとも1つにおいて、上記当接部材が上記型セットに当接した状態で行われる。
【0012】
また、上記光学素子の製造方法において、上記清掃工程は、上記当接部材を清掃する清掃部を複数の上記ステージに順次移送することで行われるようにしてもよい。
また、上記光学素子の製造方法において、上記当接部材に付着した塵埃を上記清掃部内に回収するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光学素子成形用型セット内部に塵埃が侵入するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態における光学素子の製造システムを示す断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態における当接部材及び搬送アームを示す平面図である。
【図3】本発明の一実施の形態における当接部材及び搬送アームを示す正面図である。
【図4A】本発明の一実施の形態における搬送アームの第1の例を示す正面図である。
【図4B】本発明の一実施の形態における搬送アームの第2の例を示す正面図である。
【図4C】本発明の一実施の形態における搬送アームの第3の例を示す正面図である。
【図5】本発明の一実施の形態における清掃工程について説明する説明図である。
【図6】本発明の他の実施の形態における当接部材及び清掃部を示す平面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態における当接部材及び清掃部を示す正面図である。
【図8A】本発明の他の実施の形態における清掃部の第1の例を示す正面図である。
【図8B】本発明の他の実施の形態における清掃部の第2の例を示す正面図である。
【図8C】本発明の他の実施の形態における清掃部の第3の例を示す正面図である。
【図8D】本発明の他の実施の形態における清掃部の第4の例を示す正面図である。
【図9】本発明の他の実施の形態における清掃工程について説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る光学素子の製造方法及び製造装置について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
<一実施の形態>
図1は、本発明の一実施の形態における光学素子の製造システム100を示す断面図である。
光学素子の製造システム100は、光学素子の製造装置1と、搬出路101と、回収投入路102と、搬入路103と、を備える。
【0017】
光学素子の製造装置1は、成形室10と、搬入予備室20と、搬出予備室30と、を備える。
成形室10には、搬入予備室20から光学素子成形用型セット200が搬入される。この光学素子成形用型セット200は、加熱、加圧、冷却等の各工程を経て成形室10から搬出予備室30に搬出される。
【0018】
成形室10には、加熱ステージ11、加圧ステージ12及び冷却ステージ13が配置されている。これら加熱ステージ11、加圧ステージ12及び冷却ステージ13には、光学素子成形用型セット200が順次移送され(図1中の反時計回りである移送方向T)、光学素子成形用型セット200に収容された光学素子材料を加熱、加圧又は冷却する。
【0019】
なお、加熱ステージ11、加圧ステージ12及び冷却ステージ13は、それぞれ複数あってもよい。また、例えば、単一のステージが加熱ステージ及び加圧ステージを兼ねることなどにより、成形室10内に配置されるステージは少なくとも2つあればよい。
【0020】
搬出路101は、光学素子の製造装置1の搬出予備室30から搬出された光学素子成形用型セット200を搬送するベルトコンベア等の搬送手段を有する。
回収投入路102は、ベルトコンベア等の搬送手段を有する。回収投入路102では、搬出路101から搬送された光学素子成形用型セット200から光学素子が回収され、新たな光学素子材料が光学素子成形用型セット200に投入される。
【0021】
搬入路103は、光学素子の製造装置1の搬入予備室20に搬入される光学素子成形用型セット200を搬送するベルトコンベア等の搬送手段を有する。
図2及び図3は、本発明の一実施の形態における当接部材11a,12a,13a及び搬送アーム14を示す平面図及び正面図である。
【0022】
図2及び図3に示すように、複数のステージに光学素子成形用型セット200を順次移送可能な移送部の一例で、且つ、移送部を動作させた状態で当接部材11a,12a,13aを清掃する清掃部の一例である搬送アーム14は、光学素子成形用型セット200を、この光学素子成形用型セット200に当接可能な当接部材11a,12a,13aに載置される(当接する)ように各ステージ11,12,13に移送する。
【0023】
なお、搬送アーム14は、例えば、ステージ11,12,13ごとに設けられる。複数の搬送アーム14は、互いに連結して同一駆動源により移動するようにするとよい。また、搬送アーム14は、例えば、図1に示す搬入予備室20及び搬出予備室30にも設けられる。
【0024】
図3に示すように、当接部材11a,12a,13aには、加熱手段又は冷却手段の一例であるヒータ11b,12b,13bが例えば4本ずつ挿入されている。
光学素子成形用型セット200は、光学素子材料201を収容する。また、光学素子成形用型セット200は、上型(第1の成形型)202と、下型(第2の成形型)203と、スリーブ204と、を有する。なお、光学素子成形用型セット200は、光学素子材料201を収容した状態で光学素子材料201を加熱、加圧及び冷却することができるものであればよい。
【0025】
図4A〜図4Cは、本発明の一実施の形態における搬送アーム14の第1〜第3の例を示す正面図である。
図4Aに示す搬送アーム14−1は、例えばブラシである掃き出し部14−1aを有する。この掃き出し部14−1aは、光学素子成形用型セット200を移送する際に、当接部材11a(12a,13a)上の塵埃(例えば、粉塵や異物)Dを当接部材11a(12a,13a)上から掃き出すことで当接部材11a(12a,13a)を清掃する。
【0026】
図4Bに示す搬送アーム14−2は、例えばスクレーパである掻き取り部14−2aを有する。この掻き取り部14−2aは、光学素子成形用型セット200を移送する際に、当接部材11a(12a,13a)上の塵埃Dを当接部材11a(12a,13a)上から掻き取ることで当接部材11a(12a,13a)を清掃する。
【0027】
図5に示すように、掃き出し部14−1a及び掻き取り部14−2aが掃き出し又は掻き取った塵埃Dは、当接部材11,12,13間の間隙に落とした後で、例えば、光学素子成形用型セット200の移送を停止している間に回収するとよい。なお、塵埃Dは、光学素子成形用型セット200の移送方向(矢印T)に交差する左右方向に当接部材11,12,13から落としてもよい。
【0028】
なお、掃き出し部14−1aや掻き取り部14−2aの材質は、光学素子材料201の加熱温度にもよるが、例えば、石英、ジルコニア、サファイア、ALN(窒化アルミニウム)などの耐熱材料の塊か繊維で構成するとよい。
【0029】
図4Cに示す搬送アーム14−3は、配管15を介して真空ポンプ(吸引手段)40に接続されている。搬送アーム14−3の底面には、吸引口14−3aが形成されている。搬送アーム14−3は、光学素子成形用型セット200を移送する際あるいは静止している際に、真空ポンプ40の作用により吸引口14−3aから非接触の状態で塵埃Dを吸引することで当接部材11a(12a,13a)を清掃する。
【0030】
吸引された塵埃Dは、搬送アーム14−3の内部に溜めても配管15などから排出してもよいが、搬送アーム14−3の内部に溜める場合には、例えば、光学素子成形用型セット200の移送を停止している間に定期的に塵埃Dを回収するとよい。また、外部に排出する際には、図示しないフィルタを配管15の途上に設けて、このフィルタから定期的に塵埃Dを回収する方法を取っても良い。
【0031】
上述のように、搬送アーム14−1〜14−3は、光学素子成形用型セット200が複数のステージ11,12,13を動作させた状態、即ち、光学素子の製造装置1の稼動時において、当接部材11a,12a,13aを清掃する。
【0032】
なお、搬送アーム14−1〜14−3は、少なくとも1つのステージ11,12,13の当接部材11a,12a,13aを清掃すればよい。
【0033】
以下、本実施の形態に係る光学素子の製造方法について、上述の説明と重複する点については適宜省略しながら説明する。
図1に示すように、回収投入路102において、図3に示す光学素子材料201が光学素子成形用型セット200に投入され収容される。光学素子成形用型セット200は、搬入路103を搬送され、光学素子の製造装置1の搬入予備室20に搬入された後、成形室10に搬入される。
【0034】
その後、後述する加熱工程、加圧工程、冷却工程等の後、光学素子成形用型セット200は、成形室10から搬出予備室30に搬出され、搬出路101に搬出される。そして、光学素子成形用型セット200からは、回収投入路102において、製造された光学素子が回収される。
【0035】
また、光学素子が回収された光学素子成形用型セット200は、新たに光学素子材料201が投入され収容される。このように、光学素子成形用型セット200は、光学素子の製造装置1及び光学素子の製造システム100を循環する。
【0036】
成形室10において、図3に示すように、光学素子成形用型セット200が搬送アーム14によって加熱ステージ11に移送されると、光学素子材料201は当接部材11aのヒータ11bによって例えばガラス転移点温度以上まで加熱される(加熱工程)。なお、光学素子材料201は、光学素子成形用型セット200の上面に当接可能な図示しない上側の当接部材のヒータによって加熱されるようにしてもよい。あるいは、当該上側の当接部材のヒータと、当接部材11aのヒータ11bとの両方によって加熱されるようにしてもよい。
【0037】
その後、光学素子成形用型セット200は、搬送アーム14によって、加圧ステージ12に移送され、光学素子材料201は、当接部材12aと上記の図示しない上側の当接部材との間で光学素子成形用型セット200が加圧されることで、所望の厚さになるまで加圧される(加圧工程)。
【0038】
その後、光学素子成形用型セット200は、搬送アーム14によって、冷却ステージ13に移送され、光学素子材料201は、相対的に低温状態となるよう作動させた当接部材13aのヒータ13bを用いて冷却される(冷却工程)。なお、光学素子材料201は、上記の図示しない上側の当接部材のヒータを用いて冷却されるようにしてもよい。また、光学素子材料201は、ヒータを用いずに自然冷却されるようにしてもよい。あるいは、上述した上側の当接部材のヒータと、当接部材13aのヒータ13bとの両方を用いて冷却されるようにしてもよい。なお、加熱工程、加圧工程及び冷却工程のそれぞれは、複数のステージ11,12,13のうちの少なくとも1つにおいて、当接部材11a,12a,13aが光学素子成形用型セット200に当接した状態で行われる。
【0039】
また、上述のようにステージ11,12,13に光学素子成形用型セット200を移送する搬送アーム14を動作させた状態で、光学素子成形用型セット200に当接可能な当接部材11a,12a,13aを清掃する(清掃工程)。
【0040】
以上説明した実施の形態では、光学素子の製造装置1は、加熱ステージ11、加圧ステージ及び冷却ステージ13(複数のステージ)と、移送部及び清掃部の一例である搬送アーム14と、を備える。また、各ステージ11,12,13は、光学素子材料201が収容された光学素子成形用型セット200が順次移送され、この光学素子成形用型セット200に当接可能な当接部材11a,12a,13aが光学素子成形用型セットに当接した状態で光学素子材料201を加熱、加圧又は冷却する。搬送アーム(移送部)14は、複数のステージ11,12,13に光学素子成形用型セット200を移送可能である。また、搬送アーム(清掃部)14は、この搬送アームが動作した状態で、当接部材11a,12a,13aを清掃する。
【0041】
そのため、当接部材11a,12a,13aに堆積等した塵埃Dを清掃することで、光学素子の製造時の加熱工程、加圧工程、冷却工程等における各部の動作や摩擦によって生じた光学素子成形用型セット200内部に侵入しやすい当接部材11a,12a,13aの塵埃Dを確実に除去することができる。
【0042】
よって、本実施の形態によれば、光学素子成形用型セット200内部に塵埃Dが侵入するのを防止することができる。これにより、例えば、製造された光学素子の外観品質を確保することができる。また、光学素子成形用型セット200の表面に付着した異物等の塵埃の高温暴露による分子間結合や化学反応での光学素子成形用型セット200の表面劣化も抑制される。
【0043】
また、本実施の形態では、複数のステージ11,12,13に型セット200を移送する搬送アーム(移送部)14が当接部材11a,12a,13aの清掃を行う。そのため、簡素な構成で型セット200内部に塵埃Dが侵入するのを防止することができる。
【0044】
また、本実施の形態では、図4Cに示す搬送アーム(移送部)14−3は、当接部材11a,12a,13aに非接触の状態で吸引により当接部材11a,12a,13aを清掃する。そのため、清掃時の磨耗や当接部材からの熱伝導を防ぐことができる。
【0045】
<他の実施の形態>
本実施の形態では、当接部材11a,12a,13aを清掃する清掃部300が移送部(搬送アーム14)自体であるのではなく、型セット200と同様に移送部により移送される点において、上述の一実施の形態と主に相違し、その他の点は同様である。そのため、共通点の説明は省略する。
【0046】
図6及び図7は、本発明の他の実施の形態における当接部材11a,12a,13a及び清掃部300を示す平面図及び正面図である。
図6及び図7に示すように、清掃部300は、型セット200と同様に、当接部材11a,12a,13aに載置される(当接する)ように各ステージ11,12,13に移送され、型セット200と同様に、図1に示す光学素子の製造装置1及び光学素子の製造システム200を循環する。なお、清掃部300は、型セット200と図面上で区別できるようにするため、縦線模様で図示する。
【0047】
図6及び図7では、清掃部300と型セット200とを交互に並べているが、型セット200に対しての清掃部300を移送する間隔は、光学素子の製造装置1に応じて適宜決定されればよい。また、清掃部300は、単一の搬送アーム14により型セット200と一体に移動するようにしてもよい。
【0048】
図8A〜図8Dは、本発明の他の実施の形態における清掃部の第1〜第4の例を示す正面図である。
図8Aに示す清掃部300−1は、上述の一実施の形態の図4Aに示す搬送アーム14−1と同様に、例えばブラシである掃き出し部300−1aを有する。この掃き出し部300−1aは、それ自体が清掃部300を支えるようにしてもよいが、例えば、当接部材11a,12a,13aに清掃部300の他の部分も当接するとよい。
【0049】
清掃部300−1は、搬送アーム14により移送される際に、当接部材11a(12a,13a)上の塵埃Dを当接部材11a(12a,13a)上から掃き出すことで当接部材11a(12a,13a)を清掃する。なお、図8AのA方向矢視図に示すように、掃き出し部300−1aは、底面視において全体で円形状をなすが、形状は限定されず、また、円形状部分を回転させるようにしてもよい。
【0050】
図8Bに示す清掃部300−2は、上述の一実施の形態の図4Bに示す搬送アーム14−2と同様に、例えばスクレーパである掻き取り部300−2aを有する。この掻き取り部300−1bは、それ自体が清掃部300を支えるようにしてもよいが、例えば、当接部材11a,12a,13aに清掃部300の他の部分も当接するとよい。
【0051】
掻き取り部300−2aは、搬送アーム14により移送される際に、当接部材11a(12a,13a)上の塵埃Dを当接部材11a(12a,13a)上から掻き取ることで当接部材11a(12a,13a)を清掃する。なお、図8BのB方向矢視図に示すように、掻き取り部300−2aは、底面視において分離して位置する4箇所の部分により形成されているが、例えばスパイラル状をなす単一の部分により形成されるようにしてもよい。
【0052】
図9に示すように、掃き出し部300−1a及び掻き取り部300−2aが掃き出し又は掻き取った塵埃Dは、当接部材11,12,13間の間隙に落として後で、例えば、型セット200の移送を停止している間に回収するとよい。
【0053】
図8Cに示す清掃部300−3は、型セット200の移送方向(矢印T)先端に設けられたコロ(回収部)300−3aにより塵埃Dを内部に回収することで当接部材11a(12a,13a)を清掃する。なお、塵埃を内部に回収するためには、コロ300−3aではなく、ブラシやその他のものを用いてもよいが、例えば金属酸化物や金属窒化物などのセラミックスなどの耐熱材料を用いることが望ましい。
【0054】
図8Dに示す清掃部300−4は、型セット200が載置される下側の当接部材11a(12a,13a)を清掃する掃き出し部300−4aと、この当接部材に対向する上側の当接部材11c(12c,13c)を清掃する掃き出し部300−4bと、を有する。このように、上下両方の当接部材を清掃するようにしてもよく、また、上側の当接部材のみを清掃するようにしてもよい。なお、上側の当接部材を清掃するのは、上述の一実施の形態の搬送アーム14により行ってもよい。
【0055】
上述のように、清掃部300−1〜300−4は、型セット200が複数のステージ11,12,13に順次移送されている状態、即ち、光学素子の製造装置1の稼働時において、当接部材11a,12a,13a(11c,12c,13c)を清掃する。
【0056】
なお、清掃部300−1〜300−4は、複数種類のものを併用することで塵埃Dを効率良く除去することができる。
また、上述の一実施の形態で説明した清掃部を兼ねる搬送アーム(移送部)14によっても清掃を行うようにしてもよい。
【0057】
本実施の形態に係る光学素子の製造方法については上述の一実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0058】
以上説明した実施の形態においても、上述の一実施の形態と共通する点については、上述の一実施の形態の効果、例えば、型セット200内部に塵埃Dが侵入するのを防止することができるなどの効果を得ることができる。
【0059】
また、本実施の形態では、清掃部300は、複数のステージ11,12,13に順次移送される。そのため、例えば、図1に示す光学素子の製造装置1や光学素子の製造システム100の搬送経路全体などに清掃範囲を広げることもできる。これにより、搬送アーム14よりも清掃範囲を広くすることができ、型セット200内部に塵埃Dが侵入するのをより確実に防止することができる。
また、清掃部300は、搬入予備室20に投入された後、搬出予備室30から出て、搬送路101を経由し回収投入路102まで到達するため、新しい清掃部300との交換も製造システム100の連続動作を停止させることなく可能である。また、回収した清掃部300から塵埃を除去して清浄化した清掃部300を再投入することも可能となる。
【0060】
また、本実施の形態では、図8Cに示す清掃部300−3は、当接部材11a,12a,13aに付着した塵埃を製造部300−3内に回収する。そのため、型セット200内部に塵埃Dが侵入するのをより確実に防止することができる。
【0061】
また、本実施の形態では、図8Dに示す清掃部300−4は、上側の当接部材11c,12c,13cを清掃する。そのため、型セット200内部に塵埃Dが侵入するのを防止することができる。更には、図8Dに示す清掃部300−4は、上下の当接部材11a,12a,13a,11c,12c,13cを清掃する。そのため、型セット200内部に塵埃Dが侵入するのをより確実に防止することができる。
【0062】
なお、清掃部としては、搬送アーム14や、移送される清掃部300に限らず、例えば、当接部材11a,12a,13aを清掃する位置と、型セット200の移送を妨げない清掃を行わない位置とに移動する清掃部など、搬送アーム14や移送経路とは独立して設けられた清掃部であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 光学素子の製造装置
10 成形室
11 加熱ステージ
11a 当接部材
11b ヒータ
12 加圧ステージ
12a 当接部材
12b ヒータ
13 冷却ステージ
13a 当接部材
14b ヒータ
14 搬送アーム(移送部,清掃部)
14−1a 掃き出し部
14−2a 掻き取り部
14−3a 吸引口
15 配管
20 搬入予備室
30 搬出予備室
40 吸引ポンプ
100 光学素子の製造システム
101 搬出路
102 回収投入路
103 搬入路
200 型セット
201 光学素子材料
202 上型
203 下型
204 スリーブ
300 清掃部
300−1a 掃き出し部
300−2a 掻き取り部
300−3a コロ
300−4a 下側掃き出し部
300−4b 上側掃き出し部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子材料が収容された型セットが順次移送され、該型セットに当接可能な当接部材が該型セットに当接した状態で前記光学素子材料を加熱、加圧又は冷却する複数のステージと、
複数の前記ステージに前記型セットを移送可能な移送部と、
前記移送部を動作させた状態で、前記当接部材を清掃する清掃部と、を備える、光学素子の製造装置。
【請求項2】
前記清掃部は、前記移送部である、請求項1記載の光学素子の製造装置。
【請求項3】
前記移送部は、前記当接部材に非接触の状態で吸引により該当接部材を清掃する、請求項2記載の光学素子の製造装置。
【請求項4】
前記清掃部は、複数の前記ステージに順次移送される、請求項1記載の光学素子の製造装置。
【請求項5】
型セットに収容された光学素子材料を加熱する加熱工程と、
加熱された前記光学素子材料を加圧する加圧工程と、
加圧された前記光学素子材料を冷却する冷却工程と、
複数のステージに前記型セットを順次移送可能な移送部を動作させた状態で、前記型セットに当接可能な当接部材を清掃する清掃工程と、を含み、
前記加熱工程、前記加圧工程及び前記冷却工程のそれぞれは、前記複数のステージのうちの少なくとも1つにおいて、前記当接部材が前記型セットに当接した状態で行われる、
光学素子の製造方法。
【請求項6】
前記清掃工程は、前記当接部材を清掃する清掃部を複数の前記ステージに順次移送することで行われる、請求項5記載の光学素子の製造方法。
【請求項7】
前記当接部材に付着した塵埃を前記清掃部内に回収する、請求項6記載の光学素子の製造方法。
【請求項1】
光学素子材料が収容された型セットが順次移送され、該型セットに当接可能な当接部材が該型セットに当接した状態で前記光学素子材料を加熱、加圧又は冷却する複数のステージと、
複数の前記ステージに前記型セットを移送可能な移送部と、
前記移送部を動作させた状態で、前記当接部材を清掃する清掃部と、を備える、光学素子の製造装置。
【請求項2】
前記清掃部は、前記移送部である、請求項1記載の光学素子の製造装置。
【請求項3】
前記移送部は、前記当接部材に非接触の状態で吸引により該当接部材を清掃する、請求項2記載の光学素子の製造装置。
【請求項4】
前記清掃部は、複数の前記ステージに順次移送される、請求項1記載の光学素子の製造装置。
【請求項5】
型セットに収容された光学素子材料を加熱する加熱工程と、
加熱された前記光学素子材料を加圧する加圧工程と、
加圧された前記光学素子材料を冷却する冷却工程と、
複数のステージに前記型セットを順次移送可能な移送部を動作させた状態で、前記型セットに当接可能な当接部材を清掃する清掃工程と、を含み、
前記加熱工程、前記加圧工程及び前記冷却工程のそれぞれは、前記複数のステージのうちの少なくとも1つにおいて、前記当接部材が前記型セットに当接した状態で行われる、
光学素子の製造方法。
【請求項6】
前記清掃工程は、前記当接部材を清掃する清掃部を複数の前記ステージに順次移送することで行われる、請求項5記載の光学素子の製造方法。
【請求項7】
前記当接部材に付着した塵埃を前記清掃部内に回収する、請求項6記載の光学素子の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【公開番号】特開2012−224495(P2012−224495A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92483(P2011−92483)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
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