説明

光学部材

【課題】湿式成膜法により光学薄膜を形成する際、接合レンズに用いられている接合剤が溶解して光学性能が低下するのを防止した光学部材を提供する。
【解決手段】光学部材1は、2枚のレンズを接合して構成された接合レンズ5と、接合レンズ5における一端に位置する凸レンズ6の外面側のレンズ面6aに湿式成膜法により形成された光学薄膜15と、接合レンズ5における他端に位置する凹レンズ7の外周部と結合して接合レンズ5を保持するように取り付けられ、接合レンズ5と一体的に使用される保持部材10とを備え、保持部材10が凹レンズ7の外周部を囲む筒状に形成され、接合レンズ5の外周面における凹レンズ7と凸レンズ6との境界部8が外部に露出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止膜等の光学薄膜が塗布された光学部材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カメラレンズや顕微鏡対物レンズ等の光学系を構成する個々のレンズの表面には、光の反射を低減させるために反射防止膜がコーティング(塗布)されている。このような光学薄膜は、例えば、湿式成膜法を用いてレンズの表面に形成される。湿式成膜法では、コーティング液がレンズの曲面に追従して流れる性質を利用して光学薄膜を成膜できるため、比較的容易に均一な膜厚の光学薄膜を形成することができる。また、このような湿式成膜法の中でも、スピンコート法は、レンズに塗布したコーティング液を回転による遠心力で薄く均一に広げて成膜するため、より均一な膜厚の光学薄膜を形成することが可能である。
【0003】
ところが、スピンコート法を用いて光学薄膜を形成する場合、レンズの形状によっては塗布したコーティング液が塗布面と反対の面(裏面)に回り込むことがあり、特にレンズを吸引チャックしていると、レンズ固定治具とレンズの隙間からコーティング液が吸い込まれてレンズの裏面を汚してしまう場合があった。そこで、レンズと、当該レンズを保持するように取り付けられて一体化された保持部材と、レンズおよび保持部材の表面に形成された光学薄膜を備えた光学部材が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。このような光学部材によれば、レンズに保持部材が一体的に取り付けられているため、スピンコート法を用いて光学薄膜を形成する際、余分なコーティング液が回転によって保持部材の端部まで流れた後、周囲に飛び散るため、コーティング液がレンズの裏面に回り込んで汚れるのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/062817号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような光学部材において接合レンズを使用した場合、コーティング液が接合レンズに用いられる接合剤を溶かす成分を含有することがあるため、湿式成膜法により光学薄膜を形成する際、接合レンズを構成する各レンズの境界部にコーティング液が硬化しないまま長時間にわたり接触すると、接合レンズに用いられている接合剤が溶解して光学性能が低下するおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、湿式成膜法により光学薄膜を形成する際、接合レンズに用いられている接合剤が溶解して光学性能が低下するのを防止した光学部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的達成のため、第1の発明に係る光学部材は、複数のレンズを接合して構成された接合レンズと、前記接合レンズにおける一端に位置する一端側レンズの外面側のレンズ面に湿式成膜法により形成された光学薄膜と、前記接合レンズにおける他端に位置する他端側レンズの外周部と結合して前記接合レンズを保持するように取り付けられ、前記接合レンズと一体的に使用される保持部材とを備え、前記保持部材が前記他端側レンズの外周部を囲む筒状に形成され、前記接合レンズの外周面における前記他端側レンズと前記他端側レンズに隣接するレンズとの境界部が外部に露出している。
【0008】
なお、上述の光学部材において、前記接合レンズの一端側を向く前記保持部材の端部が前記境界部よりも前記接合レンズの他端側に位置することが好ましい。
【0009】
また、第2の発明に係る光学部材は、複数のレンズを接合して構成された接合レンズと、前記接合レンズにおける一端に位置する一端側レンズの外面側のレンズ面に湿式成膜法により形成された光学薄膜と、前記一端側レンズの外周部と結合して前記接合レンズを保持するように取り付けられ、前記接合レンズと一体的に使用される保持部材とを備え、前記保持部材が前記一端側レンズの外周部を囲む筒状に形成され、前記接合レンズの外周面における前記一端側レンズと前記一端側レンズに隣接するレンズとの境界部が外部に露出している。
【0010】
なお、上述の光学部材において、前記接合レンズの他端側を向く前記保持部材の端部が前記境界部よりも前記接合レンズの一端側に位置しており、前記保持部材の端部の内周部にテーパ面が形成され、前記一端側レンズの外周面と前記テーパ面とに跨って、前記一端側レンズと前記保持部材とを結合させる接着剤が塗布されていることが好ましい。
【0011】
また、上述の光学部材において、前記保持部材が絞り部材であることが好ましい。
【0012】
また、上述の光学部材において、前記一端側レンズの直径をDとし、前記一端側レンズの外面側のレンズ面の曲率半径をRとしたとき、次式
0.9≦D/R≦2.0
の条件を満足することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、湿式成膜法により光学薄膜を形成する際、接合レンズに用いられている接合剤が溶解して光学性能が低下するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態の光学部材を示す断面図である。
【図2】第1実施形態の光学部材におけるテーパ面の近傍を示す拡大図である。
【図3】第2実施形態の光学部材を示す断面図である。
【図4】第3実施形態の光学部材を示す断面図である。
【図5】第3実施形態の光学部材におけるテーパ面の近傍を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。第1実施形態の光学部材を図1に示しており、この光学部材1は、2枚のレンズを接合して構成された接合レンズ5と、接合レンズ5を保持するように取り付けられた保持部材10と、接合レンズ5のレンズ面に形成された光学薄膜15とを備えて構成される。接合レンズ5は、接合レンズ5の一端側に位置する凸レンズ6と、接合レンズ5の他端側に位置する凹レンズ7とを有して構成され、凸レンズ6と凹レンズ7とが所定の接合剤を用いて互いに接合されている。
【0016】
凸レンズ6の外面側(一端側)のレンズ面6aには、湿式成膜法により光学薄膜15が形成される。この光学薄膜15は、例えば、反射防止膜等である。なお、本実施形態では、凸レンズ6の直径をDとし、凸レンズ6の外面側のレンズ面6aの曲率半径をRとしたとき、次の条件式(1)で表される条件を満足することが好ましい。
【0017】
0.9≦D/R≦2.0 …(1)
【0018】
保持部材10は、凹レンズ7の外周部を囲む筒状に形成され、保持部材10の一端側の内周部には、凹レンズ7と嵌合するレンズ収容部11が形成されている。図2に示すように、接合レンズ5の一端側を向く保持部材10の端面12の内周部にテーパ面13が形成されており、保持部材10の一端側からレンズ収容部11と嵌合した凹レンズ7の外周面とテーパ面13とに跨って、凹レンズ7と保持部材10とを結合させる接着剤17が塗布されている。これにより、保持部材10は、凹レンズ7の外周部と結合して接合レンズ5を保持するように取り付けられ、当該接合レンズ5と一体的に使用される。
【0019】
また、図1および図2に示すように、接合レンズ5の外周面5aにおける凹レンズ7と当該凹レンズ7に隣接する凸レンズ6との境界部8が外部に露出している。すなわち、接合レンズ5の一端側を向く保持部材10の端面12は、リング形の平面状に形成されるとともに、凹レンズ7と凸レンズ6との境界部8よりも接合レンズ5の他端側に位置している。なお、保持部材10の一端側の端面12は、凹レンズ7と凸レンズ6との境界部8よりも接合レンズ5の他端側に(中心軸に沿った方向に)0.5mm以上離れて位置することが好ましい。
【0020】
以上のように構成される光学部材1において、例えば、湿式成膜法であるスピンコート法により光学薄膜15を形成する場合、接合レンズ5(凹レンズ7)と結合させた保持部材10を図示しないスピンコーターの支持部に取り付けた状態で、凸レンズ6の外面側のレンズ面6a(中心近傍)にコーティング液を滴下しつつ、接合レンズ5および保持部材10を中心軸回りに回転させる。そうすると、回転による遠心力により、コーティング液が凸レンズ6のレンズ面6a(および接合レンズ5の外周面5a)を流れていき、余分なコーティング液は保持部材10の一端側の端面12を流れてその外周部から周囲に飛び散る。これにより、塗布したコーティング液が凸レンズ6のレンズ面6a(塗布面)と反対の面(裏面)に回り込むのを防止できるとともに、接合レンズ5の辺縁部にコーティング液が溜まるのを防止することができ、膜厚の均一性が高い光学薄膜15を形成することができる。
【0021】
また、凹レンズ7と凸レンズ6との境界部8が外部に露出しているため、この境界部8近傍にコーティング液が溜まることがなく、コーティング液が硬化しないまま長時間にわたり境界部8に接触するのを防止することができ、接合レンズ5に用いられている接合剤が溶解して光学性能が低下するのを防止することが可能となる。このように、第1実施形態によれば、湿式成膜法により光学薄膜15を形成する際、接合レンズ5に用いられている接合剤が溶解して光学性能が低下するのを防止することができる。
【0022】
なお、接合レンズ5の一端側を向く保持部材10の端面12が凹レンズ7と凸レンズ6との境界部8よりも接合レンズ5の他端側に位置することで、境界部8近傍にコーティング液がより溜まりにくくなるので、接合レンズ5に用いられている接合剤が溶解して光学性能が低下するのを確実に防止することができる。
【0023】
また、前述の条件式(1)で表される条件を満足するレンズ面6a、すなわち、半球レンズもしくはこれに近いレンズのレンズ面に光学薄膜15を形成するようにすれば、膜厚の均一性に関してより高い効果を得ることができる。
【0024】
次に、光学部材の第2実施形態について説明する。図3に示すように、第2実施形態の光学部材21は、2枚のレンズを接合して構成された接合レンズ25と、接合レンズ25を保持するように取り付けられた保持部材30と、接合レンズ25のレンズ面に形成された光学薄膜35とを備えて構成される。接合レンズ25は、接合レンズ25の一端側に位置する凹レンズ26と、接合レンズ25の他端側に位置する凸レンズ27とを有して構成され、凹レンズ26と凸レンズ27とが所定の接合剤を用いて互いに接合されている。凹レンズ26の外面側(一端側)のレンズ面26aには、第1実施形態と同様の光学薄膜35が形成される。
【0025】
保持部材30は、凸レンズ27の外周部を囲む筒状に形成され、保持部材30の一端側の内周部には、凸レンズ27と嵌合するレンズ収容部31が形成されている。詳細な図示を省略するが、第1実施形態の場合と同様に、接合レンズ25の一端側を向く保持部材30の端面32の内周部にテーパ面(図示せず)が形成され、保持部材30の一端側からレンズ収容部31と嵌合した凸レンズ27の外周面とテーパ面とに跨って、凸レンズ27と保持部材30とを結合させる接着剤(図示せず)が塗布される。これにより、保持部材30は、凸レンズ27の外周部と結合して接合レンズ25を保持するように取り付けられ、当該接合レンズ25と一体的に使用される。
【0026】
また、接合レンズ25の外周面25aにおける凸レンズ27と当該凸レンズ27に隣接する凹レンズ26との境界部28が外部に露出している。すなわち、接合レンズ25の一端側を向く保持部材30の端面32は、リング形の平面状に形成されるとともに、凸レンズ27と凹レンズ26との境界部28よりも接合レンズ25の他端側に位置している。
【0027】
以上のように構成される光学部材21において、例えば、湿式成膜法であるスピンコート法により光学薄膜35を形成する場合、接合レンズ25(凸レンズ27)と結合させた保持部材30を図示しないスピンコーターの支持部に取り付けた状態で、凹レンズ26の外面側のレンズ面26a(中心近傍)にコーティング液を滴下しつつ、接合レンズ25および保持部材30を中心軸回りに回転させる。そうすると、第1実施形態の場合と同様に、塗布したコーティング液が凹レンズ26のレンズ面26a(塗布面)と反対の面(裏面)に回り込むのを防止できるとともに、接合レンズ25の辺縁部にコーティング液が溜まるのを防止することができ、膜厚の均一性が高い光学薄膜35を形成することができる。
【0028】
また、第1実施形態の場合と同様に、凸レンズ27と凹レンズ26との境界部28が外部に露出している。そのため、第2実施形態によれば、第1実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0029】
次に、光学部材の第3実施形態について説明する。図4に示すように、第3実施形態の光学部材41は、2枚のレンズを接合して構成された接合レンズ45と、接合レンズ45を保持するように取り付けられた保持部材50と、接合レンズ45のレンズ面に形成された光学薄膜55とを備えて構成される。接合レンズ45は、接合レンズ45の一端側に位置する凸レンズ46と、接合レンズ45の他端側に位置する凹レンズ47とを有して構成され、凸レンズ46と凹レンズ47とが所定の接合剤を用いて互いに接合されている。
【0030】
凸レンズ46の外面側(一端側)のレンズ面46aには、第1実施形態と同様の光学薄膜55が形成される。なお、本実施形態では、凸レンズ46の直径をDとし、凸レンズ46の外面側のレンズ面46aの曲率半径をRとしたとき、前述の条件式(1)で表される条件を満足することが好ましい。
【0031】
保持部材50は、凸レンズ46の外周部を囲む筒状に形成され、保持部材50の他端側の内周部には、凸レンズ46と嵌合するレンズ収容部51が形成されている。図5に示すように、接合レンズ45の他端側を向く保持部材50の端面54の内周部にテーパ面53が形成されており、保持部材50の他端側からレンズ収容部51と嵌合した凸レンズ46の外周面とテーパ面53とに跨って、凸レンズ46と保持部材50とを結合させる接着剤57が塗布されている。これにより、保持部材50は、凸レンズ46の外周部と結合して接合レンズ45を保持するように取り付けられ、当該接合レンズ45と一体的に使用される。なお、保持部材50の一端側の内周面50aは、一端側で径が最大となる円錐形に形成されている。
【0032】
また、図4および図5に示すように、接合レンズ45の外周面45aにおける凸レンズ46と当該凸レンズ46に隣接する凹レンズ47との境界部48が外部に露出している。すなわち、接合レンズ45の他端側を向く保持部材50の端面54は、リング形の平面状に形成されるとともに、凸レンズ46と凹レンズ47との境界部48よりも接合レンズ45の一端側に位置している。
【0033】
以上のように構成される光学部材41において、例えば、湿式成膜法であるスピンコート法により光学薄膜55を形成する場合、接合レンズ45(凸レンズ46)と結合させた保持部材50を図示しないスピンコーターの支持部に取り付けた状態で、凸レンズ46の外面側のレンズ面46a(中心近傍)にコーティング液を滴下しつつ、接合レンズ45および保持部材50を中心軸回りに回転させる。そうすると、回転による遠心力により、コーティング液が凸レンズ46のレンズ面46aを流れていき、余分なコーティング液は保持部材50の一端側の内周面50aおよび端面52を流れてその外周部から周囲に飛び散る。これにより、塗布したコーティング液が凸レンズ46のレンズ面46a(塗布面)と反対の面(裏面)に回り込むのを防止できるとともに、接合レンズ45の辺縁部にコーティング液が溜まるのを防止することができ、膜厚の均一性が高い光学薄膜55を形成することができる。
【0034】
また、凸レンズ46と凹レンズ47との境界部48が外部に露出しているため、この境界部48近傍にコーティング液が溜まることがなく、コーティング液が硬化しないまま長時間にわたり境界部48に接触するのを防止することができ、接合レンズ45に用いられている接合剤が溶解して光学性能が低下するのを防止することが可能となる。このように、第3実施形態によれば、湿式成膜法により光学薄膜55を形成する際、接合レンズ45に用いられている接合剤が溶解して光学性能が低下するのを防止することができる。
【0035】
なお、第3実施形態では、接合レンズ45の他端側を向く保持部材50の端面54が凸レンズ46と凹レンズ47との境界部48よりも接合レンズ45の一端側に位置しており、凸レンズ46の外周面と保持部材50のテーパ面53とに跨って、凸レンズ46と保持部材50とを結合させる接着剤57が塗布されている。これにより、凸レンズ46と保持部材50との隙間にコーティング液が流れ込んだとしても、接着剤57が塗布された部分でコーティング液が接合レンズ45の他端側へ流れるのを防止することができるため、境界部48近傍にコーティング液がより溜まりにくくなるので、接合レンズ45に用いられている接合剤が溶解して光学性能が低下するのを確実に防止することができる。
【0036】
また、前述の条件式(1)で表される条件を満足するレンズ面46a、すなわち、半球レンズもしくはこれに近いレンズのレンズ面に光学薄膜55を形成するようにすれば、膜厚の均一性に関してより高い効果を得ることができる。
【0037】
なお、上述の第3実施形態において、光学部材41が図示しない光学装置等に組み込まれたときに、保持部材50が開口絞り等の絞り部材として機能するようにしてもよい。このようにすれば、光学部材41が組み込まれる光学装置等において、部品点数を低減させることができる。
【0038】
また、上述の各実施形態において、接合レンズが2枚のレンズ(ダブレット)を接合して構成されているが、これに限られるものではなく、例えば、3枚のレンズ(トリプレット)を接合して構成されるようにしてもよく、複数のレンズを接合して構成されていればよい。
【0039】
また、上述の各実施形態において、スピンコート法により光学薄膜を形成しているが、これに限られるものではなく、例えば、ディップコート法により光学薄膜を形成するようにしてもよく、湿式成膜法により光学薄膜を形成するようにすればよい。
【符号の説明】
【0040】
1 光学部材(第1実施形態)
5 接合レンズ
6 凸レンズ(一端側レンズ) 7 凹レンズ(他端側レンズ)
8 境界部
10 保持部材 12 一端側の端面
15 光学薄膜
21 光学部材(第2実施形態)
25 接合レンズ25
26 凹レンズ(一端側レンズ) 27 凸レンズ(他端側レンズ)
28 境界部
30 保持部材 32 一端側の端面
35 光学薄膜
41 光学部材(第3実施形態)
45 接合レンズ
46 凸レンズ(一端側レンズ) 47 凹レンズ(他端側レンズ)
48 境界部
50 保持部材
53 テーパ面 54 他端側の端面
55 光学薄膜 57 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズを接合して構成された接合レンズと、
前記接合レンズにおける一端に位置する一端側レンズの外面側のレンズ面に湿式成膜法により形成された光学薄膜と、
前記接合レンズにおける他端に位置する他端側レンズの外周部と結合して前記接合レンズを保持するように取り付けられ、前記接合レンズと一体的に使用される保持部材とを備え、
前記保持部材が前記他端側レンズの外周部を囲む筒状に形成され、
前記接合レンズの外周面における前記他端側レンズと前記他端側レンズに隣接するレンズとの境界部が外部に露出していることを特徴とする光学部材。
【請求項2】
前記接合レンズの一端側を向く前記保持部材の端部が前記境界部よりも前記接合レンズの他端側に位置することを特徴とする請求項1に記載の光学部材。
【請求項3】
複数のレンズを接合して構成された接合レンズと、
前記接合レンズにおける一端に位置する一端側レンズの外面側のレンズ面に湿式成膜法により形成された光学薄膜と、
前記一端側レンズの外周部と結合して前記接合レンズを保持するように取り付けられ、前記接合レンズと一体的に使用される保持部材とを備え、
前記保持部材が前記一端側レンズの外周部を囲む筒状に形成され、
前記接合レンズの外周面における前記一端側レンズと前記一端側レンズに隣接するレンズとの境界部が外部に露出していることを特徴とする光学部材。
【請求項4】
前記接合レンズの他端側を向く前記保持部材の端部が前記境界部よりも前記接合レンズの一端側に位置しており、
前記保持部材の端部の内周部にテーパ面が形成され、
前記一端側レンズの外周面と前記テーパ面とに跨って、前記一端側レンズと前記保持部材とを結合させる接着剤が塗布されていることを特徴とする請求項3に記載の光学部材。
【請求項5】
前記保持部材が絞り部材であることを特徴とする請求項3または4に記載の光学部材。
【請求項6】
前記一端側レンズの直径をDとし、前記一端側レンズの外面側のレンズ面の曲率半径をRとしたとき、次式
0.9≦D/R≦2.0
の条件を満足することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の光学部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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