説明

光干渉断層画像生成装置用のプローブ

【課題】ノズルを簡単に着脱するとともに、ノズルの着脱時にノズルが落下するのを防ぐことができるプローブを提供することを課題とする。
【解決手段】光干渉断層画像生成装置用のプローブ1であって、計測光および散乱光の光路が設けられたハウジング10と、ハウジング10の先端開口部10aに連結された筒状のノズル支持体20と、ノズル支持体20に外嵌させた状態で、基端部がハウジングの先端開口部10aに挿入された筒状の直視撮影用ノズル30と、ハウジング10の周壁部の穴部に挿通させた係合部材40と、ハウジング10の外周面にスライド自在に設けられたスライド部材50と、を備え、スライド部材50の内面が係合部材40に当接し、係合部材40がノズル30の外周面に形成された係合溝31に挿入されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光のコヒーレント(干渉性)を利用して被写体の断層画像を撮影する光干渉断層画像生成装置に用いられるプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科患者の口腔内組織の断層画像を撮影するための光干渉断層画像生成装置(Optical Coherence Tomography:以下、OCT装置という)では、光源から照射されたレーザ光を計測光と参照光とに分配し、計測光をプローブから口腔内組織に照射するとともに、参照光を参照ミラーに照射している。そして、口腔内組織から反射して戻ってきた散乱光をプローブで回収し、散乱光と参照ミラーからの反射光とを光合波器で合成させ、その干渉光を解析して断層画像を生成している。
【0003】
従来のOCT装置用のプローブ(ハンドピース)としては、把持部にノズル(挿入部)が連結されており、撮影時にはノズルの先端部を口腔内組織に当接させるように構成されているものがある。そして、従来のプローブでは、ノズルの基部を把持部の先端開口部に挿入することで、把持部に対して挿入部が連結されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−83009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
口腔内組織の断層画像を撮影するためのプローブでは、前歯部や臼歯部など、その撮影対象の形状や配置に応じて、各種形状のノズルに交換することが好ましい。しかしながら、前記した従来のプローブでは、把持部を一方の手で把持しつつ、他方の手でノズルを把持部から強く引き抜く必要があるため、ノズルの交換作業が煩雑であるとともに、ノズルを落下させてしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、前記した問題を解決し、ノズルを簡単に着脱するとともに、ノズルの着脱時にノズルが落下するのを防ぐことができるプローブを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、計測光を被写体に照射するとともに、前記被写体から反射して戻ってきた散乱光を回収する光干渉断層画像生成装置用のプローブである。そして、前記計測光および前記散乱光の光路が設けられたハウジングと、前記ハウジングの先端開口部に連結された筒状のノズル支持体と、前記ノズル支持体に外嵌させた状態で、基端部が前記ハウジングの先端開口部に挿入された筒状のノズルと、前記ハウジングの周壁部を径方向に貫通した穴部に挿通させた係合部材と、前記ハウジングの外周面にスライド自在に設けられたスライド部材と、を備えている。また、前記スライド部材の内面が前記係合部材に当接し、前記係合部材が前記ノズルの外周面に形成された係合溝に挿入されている。
【0008】
この構成では、スライド部材を係合部材から離れさせると、係合部材がハウジングの径方向に移動自在となるため、ノズルとハウジングとの連結が解除することができる。また、スライド部材を係合部材に当接させることで、ノズルをハウジングに連結させることができる。このように、スライド部材をスライドさせることで、ノズルをハウジングに対して簡単に着脱させることができる。
【0009】
また、ノズルはノズル支持体に外嵌されており、ノズルをハウジングに着脱するときに、ノズルはノズル支持体に支持されているため、ノズルの着脱時にノズルが落下するのを防ぐことができる。
【0010】
また、ノズル支持体内にノズルの内径と略同じ内径の導光空間を確保することができるため、計測光の振り角を十分に確保することができる。
【0011】
前記した光干渉断層画像生成装置用のプローブにおいて、前記ノズル支持体と前記ハウジングとの間には弾性部材が介設されており、前記係合部材が前記ノズルの前記係合溝に挿入された状態では、前記弾性部材が圧縮されているように構成することが好ましい。
【0012】
この構成では、ノズルとハウジングとの連結が解除されると、弾性部材によってノズル支持体がハウジングから離れる方向に押し出される。このとき、ノズル支持体とともにノズルもハウジングから離れる方向に移動し、ノズルはハウジングから飛び出してノズル支持体に支持される。したがって、ノズルの着脱時にノズルを落下させることなく、ノズルをハウジングから簡単に取り外すことができる。
【0013】
前記した光干渉断層画像生成装置用のプローブにおいて、前記ハウジング内に前記計測光を走査する走査手段を収容することが好ましい。
なお、走査手段の構成は限定されるものではなく、例えば、二次元MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーやガルバノミラーを用いることができる。
【0014】
この構成では、ノズル内に電気部品や光学部品を配置する必要がないため、計測光を走査させるために十分な空間をノズル内に設けることができるとともに、ノズルを簡単に交換することができる。また、加熱滅菌などの感染防止対策を簡単に行うことができる。
また、走査手段から被写体までの距離が大きくなるため、僅かな角度で計測光を広範囲に走査させることができ、撮影速度を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のプローブでは、ノズルをハウジングに対して簡単に着脱させるとともに、ノズルの着脱時にノズルが落下するのを防ぐことができる。したがって、撮影対象の形状や配置に応じて、各種形状のノズルに短時間に交換することができる。
また、ノズル支持体内にノズルの内径と略同じ内径の導光空間を確保することができるため、計測光の振り角を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態のプローブを示した全体斜視図である。
【図2】本実施形態のプローブを示した側断面図である。
【図3】本実施形態のノズルとハウジングの連結構造を示した側断面図である。
【図4】本実施形態のノズルをハウジングから取り外す手順を示した図で、スライド部材をスライドさせた状態の側断面図である。
【図5】本実施形態のノズルをハウジングから取り外す手順を示した図で、(a)はノズルを飛び出させた状態の側断面図、(b)はノズルをノズル支持体から引き抜いた状態の側断面図である。
【図6】他の実施形態のノズルとハウジングの連結構造を示した図で、側視撮影用のノズルを用いた構成の側断面図である。
【図7】他の実施形態のプローブを示した図で、直線状のハウジングを用いた構成の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態では、歯科患者の歯部の断層画像を撮影するためのOCT装置に用いられるプローブを例として説明する。
以下の説明では、最初にOCT装置の全体構成を説明した後に、プローブの構成を詳細に説明する。
【0018】
OCT装置は、光のコヒーレントを利用して口腔内組織の断層画像を撮影するものであり、プローブと、光学ユニットと、制御ユニットとを備えている。
OCT装置では、光学ユニット内で光源から照射されたレーザ光を計測光と参照光とに分配している。計測光はプローブから口腔内組織に照射され、口腔内組織から反射して戻ってきた散乱光はプローブに回収される。また、参照光は光学ユニット内の参照ミラーに照射される。そして、光学ユニットで散乱光と参照ミラーからの反射光とを光合波器で合成させ、その干渉光を制御ユニットで解析して断層画像を生成している。
【0019】
図1に示すプローブ1は、計測光を口腔内組織に照射するとともに、口腔内組織から反射して戻ってきた散乱光を回収するものである。
プローブ1は、計測光および散乱光の光路が設けられたハウジング10と、ハウジング10の先端部に連結されたノズル支持体20(図3参照)と、ノズル支持体20に外嵌された直視撮影用ノズル30と、ハウジング10の先端部に設けられた係合部材40(図3参照)と、ハウジング10の外周面にスライド自在に設けられたスライド部材50と、を備えている。
【0020】
プローブ1は、使用者がハウジング10を手に持って、直視撮影用ノズル30の先端部を口腔内組織の表面に当接させ、光学ユニットからハウジング10内に導入された計測光を、直視撮影用ノズル30の先端部から口腔内組織に照射し、口腔内組織から反射して戻ってきた散乱光を、直視撮影用ノズル30の先端部で回収して光学ユニットに伝送するように構成されている。
【0021】
ハウジング10は、軸方向が垂直な把持部11と、軸方向が水平な挿入部12とが、直角に屈曲した角部13を介して接続された側面視で逆L字形状(ピストル形状)の中空なケースである。
【0022】
把持部11は、プローブ1の使用者が手で把持する部位であり、矩形断面に形成されている。
把持部11の基端部(下端部)には、光学ユニットに光学的に接続された光ファイバ60aと、制御ユニットに電気的に接続された通信ケーブル60bとが挿通されている。
【0023】
把持部11内には、図2に示すように、コリメータレンズ61およびシャッタ機構62が収容されている。
コリメータレンズ61は、光ファイバ60aから把持部11内に導入された計測光を受光して平行光に収束させるものである。
なお、本実施形態では、コリメータレンズ61の光軸方向の位置および光軸に対する傾きが調整可能となっており、計測光の光路長および光軸の傾きを調整することができる。
【0024】
シャッタ機構62は、計測光および散乱光の通過を遮断するものである。シャッタ機構62は、コリメータレンズ61よりも角部13側(上側)に配置されており、光軸上で開閉自在なシャッタ62aを有している。シャッタ機構62の駆動装置は、通信ケーブル60bによって制御ユニットに電気的に接続されている。
【0025】
角部13内には、コリメータレンズ61を通過した計測光を走査させる走査手段63が収容されている。本実施形態では、走査手段63として二次元MEMSミラーを用いている。
【0026】
走査手段63は、コリメータレンズ61を通過した計測光を反射させて照射方向を変化させるものであり、鏡面を斜め下方に向けて約45度に傾けた状態で、角部13内の隅に配置されている。走査手段63は、通信ケーブル60bによって制御ユニットに電気的に接続されている。
【0027】
走査手段63の素子は、例えば、鏡面や平面コイル等の可動構造体が形成されたシリコン層と、セラミック台座と、永久磁石との三層構造になっている。二次元MEMSミラーを用いた走査手段63では、通電された電流の大きさに比例して鏡面の傾斜角度を変更することができる。
【0028】
挿入部12は、先端側の部位が円形断面に形成され、先端面には円形の開口部12aが形成されている。
挿入部12内には、走査手段63で反射した計測光を集光して前歯部S1に照射するための集光レンズ64が収容されている。
【0029】
集光レンズ64は、レンズ収納筒体64a内に収容されている。レンズ収納筒体64aは、挿入部12の軸方向に移動自在となっている。レンズ収納筒体64aの下部には、リング状の操作ノブ64bが突設されている。操作ノブ64bは挿入部12の外部に突出しており、使用者の指が挿入される部位である。
【0030】
そして、操作ノブ64bを挿入部12の軸方向に移動させることで、集光レンズ64を光軸方向に移動させ、集光レンズ64と前歯部S1との間の距離を調整することで、前歯部S1に対する計測光の集光点を調整することができる。
【0031】
挿入部12の先端側の開口部12aには、図3に示すように、円筒状の連結部材70が取り付けられている。この連結部材70は、ハウジング10の先端開口部10aを構成するものである。
【0032】
連結部材70は、挿入部12の開口部12aに挿入された基端筒体71と、基端筒体71の先端側に連結された中間筒体72と、中間筒体72の先端側に連結された先端筒体73とによって構成されている。
【0033】
基端筒体71内には、固定式の集光レンズ74が収容されている。集光レンズ74には、中間筒体72の基端縁部72aが当接しており、基端筒体71の内周面の拡径部に位置決めされている。
【0034】
中間筒体72は、基端部が基端筒体71の内周面に螺合されている。中間筒体72の基端縁部72aは縮径されている。
中間筒体72の先端部の内径は拡径されており、中間筒体72の内周面に段部72bが形成されている。
【0035】
先端筒体73は、基端部が中間筒体72の内周面に螺合されている。先端筒体73の先端部の内径は、基端部の内径よりも縮径されており、先端筒体73の内周面に段部73aが形成されている。
先端筒体73において、中間筒体72に挿入された部位よりも先端側の外周面には、突起部73bが全周に亘って突設されている。
先端筒体73の先端部の周壁部には、径方向に貫通した複数の穴部73cが周方向に間隔を空けて配置されている。
【0036】
係合部材40は、穴部73cに挿通された球体であり、先端筒体73の径方向に移動自在となっている。係合部材40の直径は、先端筒体73の先端部の壁部の厚さよりも大きく形成されている。したがって、係合部材40は、先端筒体73の内周面上および外周面上に突出している。
【0037】
スライド部材50は、先端筒体73に外嵌された円筒状の部材である。スライド部材50は、先端筒体73に対して軸方向にスライド自在となっている。
スライド部材50の内周面が、先端筒体73の突起部73bの外周面を摺動するように、スライド部材50の内径が設定されており、スライド部材50の内周面と、先端筒体73の外周面との間には隙間が形成されている。
スライド部材50の先端部の内周面には、当接部50aが全周に亘って突設されている。この当接部50aは、各係合部材40に対して基端側から当接する部位である。
【0038】
スライド部材50の当接部50aと、先端筒体73の突起部73bとの間には、先端筒体73を囲繞しているコイルスプリングである弾性部材51が収容されている。
図4に示すように、スライド部材50を基端側にスライドさせると、当接部50aと突起部73bとの間で弾性部材51が圧縮される。つまり、スライド部材50は、弾性部材51の押圧力によって、先端側に復帰するように構成されている。
【0039】
図3に示すように、スライド部材50が先端筒体73の先端部に外嵌された状態では、スライド部材50の当接部50aの内周面が、各係合部材40に基端側から当接している。この状態では、各係合部材40の外側への移動が規制され、各係合部材40が先端筒体73内に大きく突出した状態となる。
【0040】
ノズル支持体20は、基端部が先端筒体73および中間筒体72に挿入された円筒状の部材である。
ノズル支持体20の外径は、先端筒体73の内径よりも小さく形成されており、先端筒体73の内周面とノズル支持体20の外周面との間に隙間が形成されている。
【0041】
ノズル支持体20の軸方向の略中間部の外周面には突起部21が全周に亘って突設されている。ノズル支持体20が先端側に移動した場合には、突起部21が先端筒体73の段部73aに基端側から当接する(図4参照)。すなわち、先端筒体73の段部73aは、ノズル支持体20の抜け止め部となっている。
【0042】
ノズル支持体20の突起部21と、中間筒体72の基端縁部72aとの間には、ノズル支持体20を囲繞しているコイルスプリングである弾性部材22が収容されている。
【0043】
直視撮影用ノズル30は、ノズル支持体20に外嵌され、基端部がノズル支持体20の外周面と先端筒体73の内周面との間に挿入された円筒状の部材である。
直視撮影用ノズル30は、口腔内組織撮影や前歯部S1(図2参照)の唇側面側の撮影に用いられるものであり、軸方向の両端が開口している。
【0044】
直視撮影用ノズル30の外周面の基端部には、係合溝31が全周に亘って形成されている。また、係合溝31の先端側には、フランジ部32が外周面の全周に亘って突設されている。
フランジ部32の基端側の面には、先端筒体73およびスライド部材50の先端縁部が当接している。
【0045】
直視撮影用ノズル30の係合溝31には、スライド部材50によって外側への移動が規制された各係合部材40が挿入されている。これにより、直視撮影用ノズル30は先端筒体73(ハウジング10)に対して、軸回りに回転自在に連結されている。つまり、本実施形態では、直視撮影用ノズル30とハウジング10とがボールジョイント構造によって連結されている。
【0046】
直視撮影用ノズル30の基端縁部は、ノズル支持体20の突起部21に当接しており、直視撮影用ノズル30によってノズル支持体20は基端側に押し込まれている。これにより、突起部21と段部72bとの間で、弾性部材22が圧縮されている。
【0047】
直視撮影用ノズル30に対するノズル支持体20の挿入量(直視撮影用ノズル30とノズル支持体20との軸方向のラップ量)は、後記するように、直視撮影用ノズル30とハウジング10との連結状態が解除されたときに(図5(a)参照)、直視撮影用ノズル30がノズル支持体20に支持されているように設定されている。
なお、本実施形態では、直視撮影用ノズル30とハウジング10とが連結された状態において、ノズル支持体20の先端縁部が、直視撮影用ノズル30の軸方向の略中間位置に配置されるように、ノズル支持体20の長さが設定されている。
【0048】
次に、直視撮影用ノズル30をハウジング10に着脱する手順について説明する。
まず、図1に示すハウジング10から直視撮影用ノズル30を取り外す場合には、使用者は一方の手でハウジング10の把持部11を把持し、他方の手でスライド部材50を挿入部12の基端側(角部13側)にスライドさせる。このとき、ハウジング10の挿入部12の軸方向が水平よりも上向きとなるようにしておく。
【0049】
図4に示すように、スライド部材50が各係合部材40から離れることで、各係合部材40は外側に移動可能となる。
また、ノズル支持体20には、弾性部材22の押圧力が作用しているため、直視撮影用ノズル30およびノズル支持体20は、各係合部材40を外側に押し退けて、ハウジング10から離れる方向に移動する。
【0050】
図5(a)に示すように、ノズル支持体20は、先端筒体73の段部73aに当接して止まるが、直視撮影用ノズル30は慣性力によって、ノズル支持体20に対してハウジング10から離れる方向にさらに移動し、直視撮影用ノズル30の基端部がノズル支持体20の先端部に外嵌された位置で止まる。つまり、直視撮影用ノズル30がハウジング10に対して飛び出した状態となる。
【0051】
本実施形態のプローブ1では、使用者が片手でスライド部材50をスライドさせることで、直視撮影用ノズル30とハウジング10との連結を解除することができる。さらに、直視撮影用ノズル30とハウジング10との連結を解除したときに、直視撮影用ノズル30はノズル支持体20に支持されているため、使用者が直視撮影用ノズル30を持っていなくても、直視撮影用ノズル30は落下しない。
【0052】
図5(b)に示すように、使用者は直視撮影用ノズル30の基端部をノズル支持体20から引き抜いて、直視撮影用ノズル30をハウジング10から取り外す。このとき、直視撮影用ノズル30に対するノズル支持体20の挿入量が小さいため、直視撮影用ノズル30をノズル支持体20から簡単に引き抜くことができる。
【0053】
直視撮影用ノズル30をハウジング10に取り付ける場合には、図5(b)の状態から直視撮影用ノズル30の基端部をノズル支持体20に外嵌させ、直視撮影用ノズル30の基端縁部をノズル支持体20の突起部21に当接させる。そして、直視撮影用ノズル30およびノズル支持体20を挿入部12側に押し込み、図3に示すように、ノズル支持体20の基端縁部が、中間筒体72の基端縁部72aに当接する位置まで、直視撮影用ノズル30およびノズル支持体20を移動させる。
【0054】
さらに、各係合部材40が直視撮影用ノズル30の係合溝31に挿入されると、スライド部材50が弾性部材51の押圧力によって先端側に移動し、スライド部材50の当接部50aが各係合部材40に当接して、各係合部材40は係合溝31に挿入された状態に保持される。
このように、本実施形態のプローブ1では、直視撮影用ノズル30をハウジング10の先端開口部10aに押し込むことで、直視撮影用ノズル30とハウジング10とを簡単に連結させることができる。
【0055】
以上のような本実施形態のプローブ1では、図3および図4に示すように、スライド部材50をスライドさせることで、直視撮影用ノズル30をハウジング10に対して簡単に着脱させることができる。また、図5(a)に示すように、直視撮影用ノズル30はノズル支持体20に支持されているため、直視撮影用ノズル30の着脱時に直視撮影用ノズル30が落下するのを防ぐことができる。したがって、撮影対象の形状や配置に応じて、各種形状のノズルに短時間に交換することができる。
【0056】
また、図3に示すように、ノズル支持体20内に直視撮影用ノズル30の内径と略同じ内径の導光空間を確保することができるため、計測光の振り角を十分に確保することができる。
【0057】
また、プローブ1では、図2に示すように、ハウジング10の角部13内に走査手段63を収容されており、直視撮影用ノズル30内に電気部品や光学部品を配置する必要がないため計測光を走査させるために十分な空間を直視撮影用ノズル30内に設けることができるとともに、直視撮影用ノズル30を簡単に交換することができる。また、直視撮影用ノズル30の滅菌処理を簡単に行うことができる。
また、走査手段63から前歯部S1での距離が大きくなるため、僅かな角度で計測光を広範囲に走査させることができ、撮影速度を高めることができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
前記実施形態では、図2に示すように、直視撮影用ノズル30がハウジング10に連結されているが、ノズルの形状は限定されるものではない。
例えば、図6に示すように、側視撮影用ノズル30Aをハウジング10に連結することもできる。側視撮影用ノズル30Aは、口腔内組織撮影や直視撮影用ノズル30(図1参照)で撮影困難な部位、例えば、臼歯部S2の咬合面、舌側面、頬側面の撮影のほか、前歯部の舌側面側を撮影する場合に用いられる。
【0059】
側視撮影用ノズル30Aは、先端面が閉塞され、先端部の側面に開口部33が形成されている。つまり、軸方向に直交する方向に開口部33が形成されている。
側視撮影用ノズル30A内において開口部33の反対側の隅部には、計測光および散乱光の光軸を直交する方向に変換する斜鏡80が配置されている。
【0060】
側視撮影用ノズル30Aは、前記した直視撮影用ノズル30(図3参照)と同じ構成でハウジング10に連結されており、軸回りに回転自在となっている。したがって、側視撮影用ノズル30Aでは、開口部33の向き(撮影する方向)を軸回りに自由に変えられるため、口腔内の奥にある臼歯部S2の咬合面など、直視撮影用ノズル30(図1参照)で撮影困難な部位を簡単に撮影することができる。
【0061】
そして、側視撮影用ノズル30Aを用いたプローブ1では、前記実施形態と同様に、スライド部材50をスライドさせることで、側視撮影用ノズル30Aをハウジング10に対して簡単に着脱させることができる。また、側視撮影用ノズル30Aはノズル支持体20に支持されているため、側視撮影用ノズル30Aの着脱時に側視撮影用ノズル30Aが落下するのを防ぐことができる。したがって、撮影対象の形状や配置に応じて、各種形状のノズルに短時間に交換することができる。
また、ノズル支持体20内に側視撮影用ノズル30Aの内径と略同じ内径の導光空間を確保することができるため、計測光の振り角を十分に確保することができる。
【0062】
また、前記実施形態では、図1に示すように、ハウジング10が逆L字形状(ピストル形状)に形成されているが、その形状は限定されるものではなく、図7に示すプローブ1Aのように、直線状のハウジング100を用いてもよい。
【0063】
また、前記実施形態では、図3に示すように、係合部材40が球体であるが、その形状は限定されるものではなく、係合部材を棒状のピン部材によって構成してもよい。
また、前記実施形態では、複数の係合部材40が設けられているが、その数は限定されるものではなく、一つの係合部材40によって、直視撮影用ノズル30をハウジング10に連結させてもよい。
【0064】
また、前記実施形態では、円筒状のスライド部材50を用いているが、その構成は限定されるものではなく、例えば、板状のスライド部材をハウジング10の外周面に対してスライド自在に設けてもよい。さらに、板状のスライド部材がハウジング10の周方向にスライドして係合部材に当接するように構成してもよい。
【0065】
また、前記実施形態では、計測光を走査するための走査手段63として、二次元MEMSミラーを用いているが、走査手段の構成は限定されるものではなく、例えば、ガルバノミラーを用いてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 プローブ
10 ハウジング
10a 先端開口部
11 把持部
12 挿入部
13 角部
20 ノズル支持体
22 弾性部材
30 直視撮影用ノズル
30A 側視撮影用ノズル
31 係合溝
40 係合部材
50 スライド部材
51 弾性部材
60a 光ファイバ
61 コリメータレンズ
62 シャッタ機構
63 走査手段
64 集光レンズ
70 連結部材
71 基端筒体
72 中間筒体
73 先端筒体
73c 穴部
80 斜鏡
S1 前歯部
S2 臼歯部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測光を被写体に照射するとともに、前記被写体から反射して戻ってきた散乱光を回収する光干渉断層画像生成装置用のプローブであって、
前記計測光および前記散乱光の光路が設けられたハウジングと、
前記ハウジングの先端開口部に連結された筒状のノズル支持体と、
前記ノズル支持体に外嵌させた状態で、基端部が前記ハウジングの先端開口部に挿入された筒状のノズルと、
前記ハウジングの周壁部を径方向に貫通した穴部に挿通させた係合部材と、
前記ハウジングの外周面にスライド自在に設けられたスライド部材と、を備え、
前記スライド部材の内面が前記係合部材に当接し、前記係合部材が前記ノズルの外周面に形成された係合溝に挿入されていることを特徴とする光干渉断層画像生成装置用のプローブ。
【請求項2】
前記ノズル支持体と前記ハウジングとの間には弾性部材が介設されており、
前記係合部材が前記ノズルの前記係合溝に挿入された状態では、前記弾性部材が圧縮されていることを特徴とする請求項1に記載の光干渉断層画像生成装置用のプローブ。
【請求項3】
前記ハウジング内には、前記計測光を走査する走査手段が収容されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光干渉断層画像生成装置用のプローブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−94547(P2013−94547A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242367(P2011−242367)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000141598)株式会社吉田製作所 (117)
【Fターム(参考)】