説明

光強度検出装置、そのような装置を備えたディスプレイ装置、光強度検出方法、プログラム及びその記録媒体

【課題】ノイズの影響を受けることなく、光センサから出力されるパルス信号の継続時間に基づき光強度を検出可能な光強度検出装置等を提供する。
【解決手段】光強度検出装置1は、光センサ2から出力されるパルス信号の立ち上がりから経過した時間を計測する時間計測部10と、パルス信号の状態を取得する信号状態取得部12と、パルス信号の立ち上がりからの経過時間に応じたサンプリング間隔で、信号状態取得部12にパルス信号の状態を取得するよう指示するサンプリング部14と、パルス信号が立ち下がっている状態が2回連続して取得される場合に、パルス信号の立ち下がりを検出する立ち下がり検出部16とを有する。サンプリング部14は、パルス信号の立ち下がりが検出された場合に、信号状態取得部12にパルス信号の状態を取得するよう最後に指示した時点の時間をパルス信号の継続時間として出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光センサから出力されるパルス信号の継続時間に基づき光強度を検出する光強度検出装置及びそのような装置を備えたディスプレイ装置、光強度検出方法並びにプログラム及びその記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特に車載用及び携帯用のディスプレイ装置では、周辺光の明るさに応じて表示輝度を調整する輝度調整機能を備えることが一般的である。例えば、特表2001−522058号公報(特許文献1)には、周辺光センサにより検出された周辺光に基づいてディスプレイの輝度を変化させる明るさ制御器を備えたディスプレイシステムが開示されている。このような機能により、昼間の野外等の明るい場所ではディスプレイの輝度を増加させ、夜間又は屋内等の暗い場所ではディスプレイの輝度を減少させることが可能となる。
【0003】
一般的に、周辺光を検出するための光センサは、受光光量に応じて信号を出力する。この出力信号は、図7(a)に表されるように、原則的には単一のパルスであって、受光光量が多いほど、パルス幅Tが短くなる。言い換えると、光センサからは、周辺光が明るいほど、幅の短いパルス信号が出力される。このような光センサの例として、例えば特開2005−345286号公報(特許文献2)に記載されるものがある。従って、周辺光の明るさを検出するためには、周辺光を受光した光センサから出力される信号のパルス幅Tを測定すれば良い。
【特許文献1】特表2001−522058号公報
【特許文献2】特開2005−345286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、実際には、図7(b)に表されるように、外来ノイズの影響による光センサの誤動作によって、光センサから出力されるパルス信号にエラーが含まれる場合がある。特に、これは、周辺光が暗く、光センサによって受光される光が弱くなるほど現れやすい。周辺光が暗い場合は、光センサから出力されるパルス信号の継続時間が比較的長いので、従来技術では、図7(c)に表されるように、エラーが発生した区間Teを無視して、残りの区間(T−Te)から周辺光の明るさが求められる。しかし、エラーが発生した区間Teを無視した場合に求められる周辺光の明るさ強度は、実測値に対して約10パーセント程度の誤差が生ずるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題を鑑み、ノイズの影響を受けることなく、光センサから出力されるパルス信号の継続時間に基づき光強度を検出可能な光強度検出装置及びそのような装置を備えたディスプレイ装置、光強度検出方法並びにプログラム及びその記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の光強度検出装置は、光センサから出力されるパルス信号の継続時間に基づき光強度を検出する光強度検出装置であって、
前記パルス信号の立ち上がりから経過した時間を計測する時間計測手段と、
前記パルス信号の状態を取得する信号状態取得手段と、
前記時間計測手段によって計測された前記立ち上がりからの経過時間に応じたサンプリング間隔で、前記信号状態取得手段に前記パルス信号の状態を取得するよう指示するサンプリング手段と、
前記パルス信号が立ち下がっている状態が前記信号状態取得手段によって2回連続して取得される場合に、前記パルス信号の立ち下がりを検出する立ち下がり検出手段とを有し、
前記サンプリング手段は、前記立ち下がり検出手段によって前記パルス信号の立ち下がりが検出された場合に、前記信号状態取得手段に前記パルス信号の状態を取得するよう最後に指示した時点の時間を前記パルス信号の継続時間として出力する。
【0007】
これにより、ノイズの影響を受けることなく、光センサから出力されるパルス信号の継続時間に基づき光強度を検出可能な光強度検出装置を提供することができる。
【0008】
望ましくは、本発明の光強度検出装置において、前記サンプリング手段は、前記パルス信号の立ち上がりからの経過時間とサンプリング間隔との対応表を有し、前記時間計測手段によって計測された時間に応じて前記サンプリング間隔を変更することができる。
【0009】
また、前記信号状態取得手段に前記パルス信号の状態を取得するよう最後に指示した時点の時間は、現在のサンプリング間隔と、該サンプリング間隔に対応する前記パルス信号の立ち上がりからの経過時間と、前記現在のサンプリング間隔によって前記信号状態取得手段に前記パルス信号の状態を取得するよう指示した回数とに基づいて求めることができる。
【0010】
望ましくは、本発明の光強度検出装置は、前記サンプリング手段によって出力される前記パルス信号の継続時間の逆数に所定の定数を乗じて、該パルス信号の継続時間を補正する補正手段を更に有する。ここで、前記所定の定数は分解能を表す。
【0011】
望ましくは、本発明の光強度検出装置において、前記立ち下がり検出手段は、前記信号状態取得手段によって取得された前記パルス信号の1つ前の状態及び2つ前の状態を少なくとも記憶する信号状態記憶手段を有する。
【0012】
望ましくは、前記時間計測手段は、
所定のクロック周波数で発振するクロックと、
前記パルス信号の立ち上がりを検出する立ち上がり検出手段と、
前記立ち上がり検出手段によって前記パルス信号の立ち上がりが検出された時点からの前記クロックの発振数をカウントするカウンタとを有する。
【0013】
上記目的を達成するために、一実施例として、本発明の光強度検出装置はディスプレイ装置に組み込まれ得る。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の光強度検出方法は、光センサから出力されるパルス信号の継続時間に基づき光強度を検出する光強度検出方法であって、
前記パルス信号の立ち上がりから経過した時間を計測する時間計測ステップと、
前記時間計測ステップで計測される前記立ち上がりからの経過時間に応じたサンプリング間隔で、前記パルス信号の状態を取得する信号状態取得ステップと、
前記パルス信号が立ち下がっている状態が前記信号状態取得ステップで2回連続して取得される場合に、前記パルス信号の立ち下がりを検出する立ち下がり検出ステップと、
前記立ち下がり検出ステップで前記パルス信号の立ち下がりが検出された場合に、前記信号状態取得ステップで最後に前記パルス信号の状態を取得した時点の時間を前記パルス信号の継続時間として出力する時間出力ステップとを有する。
【0015】
これにより、ノイズの影響を受けることなく、光センサから出力されるパルス信号の継続時間に基づき光強度を検出可能な光強度検出方法を提供することができる。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の光強度検出プログラムは、光センサから出力されるパルス信号の継続時間に基づき光強度を検出するためにコンピュータに、
前記パルス信号の立ち上がりから経過した時間を計測する時間計測ステップと、
前記時間計測ステップで計測される前記立ち上がりからの経過時間に応じたサンプリング間隔で、前記パルス信号の状態を取得する信号状態取得ステップと、
前記パルス信号が立ち下がっている状態が前記信号状態取得ステップで2回連続して取得される場合に、前記パルス信号の立ち下がりを検出する立ち下がり検出ステップと、
前記立ち下がり検出ステップで前記パルス信号の立ち下がりが検出された場合に、前記信号状態取得ステップで最後に前記パルス信号の状態を取得した時点の時間を前記パルス信号の継続時間として出力する時間出力ステップとを実行させることができる。
【0017】
当該光強度検出プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録され得る。あるいは、当該光強度検出プログラムは、コンピュータがインターネット等のネットワークに接続される場合には、このネットワークを介して外部から取得され得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、ノイズの影響を受けることなく、光センサから出力されるパルス信号の継続時間に基づき光強度を検出可能な光強度検出装置及びそのような装置を備えたディスプレイ装置、光強度検出方法並びにプログラム及びその記録媒体を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を実施するための最良の形態を、以下、添付の図面を参照して説明する。
【0020】
[構成]
図1は、本発明の光強度検出装置を備えるディスプレイ装置の正面図を表す。
【0021】
図1に表されるように、本発明の光強度検出装置1は、例えば、ディスプレイ装置100のモニタ外周の筐体内部に設けられる。ディスプレイ装置100は光センサ2を更に有する。光センサ2は、周辺光を受光して、光の明るさに応じたパルス幅を有するパルス信号を出力する。光強度検出装置1は、光センサ2から出力されるパルス信号の継続時間に基づき光強度を検出する。光強度検出装置1によって検出された光強度に応じて、ディスプレイ装置100は表示輝度を調整することができる。例えば、ディスプレイ装置100は、昼間の野外等の明るい場所では輝度を増加させ、夜間又は屋内等の暗い場所では輝度を減少させて、モニタに画像を表示する。
【0022】
図2は、本発明の光強度検出装置1の機能構成を表すブロック図である。
【0023】
図2の光強度検出装置1は、光センサ2から出力されるパルス信号の立ち上がりから経過した時間を計測する時間計測部10と、パルス信号の状態(即ち、ハイ(H)又はロー(L)。)を取得する信号状態取得部12と、時間計測部10によって計測された経過時間に応じたサンプリング間隔で、信号状態取得部12にパルス信号の状態を取得するよう指示するサンプリング部14と、信号状態取得部12がパルス信号のロー状態を2回連続して取得する場合に、パルス信号の立ち下がりを検出する立ち下がり検出部16とを有する。サンプリング部14は、立ち下がり検出部16がパルス信号の立ち下がりを検出した場合に、信号状態取得部12にパルス信号の状態を取得するよう最後に指示した時点の時間をパルス信号の継続時間として出力する。光強度検出装置1は、サンプリング部14によって出力されたパルス信号の継続時間の逆数に所定の定数を乗じることによってパルス信号の継続時間を補正するサンプリング補正部18を更に有する。サンプリング補正部18によって補正されたパルス信号の継続時間に係るデータは、その継続時間に応じてディスプレイの表示輝度を調整する輝度調整部3に供給される。
【0024】
時間計測部10は、所定のクロック周波数で発振するクロック20と、光センサ2から出力されるパルス信号の立ち上がりを検出する立ち上がり検出部22と、立ち上がり検出部22によってパルス信号の立ち上がりが検出された時点からのクロック20の発振数をカウントするカウンタ24とを有する。クロック20は、例えば、10メガヘルツ(MHz)の発振周波数で発振する。立ち上がり検出部22が光センサ2から出力されるパルス信号の立ち上がりを検出すると、カウンタ24は起動して、10MHzごとに1カウントする。このように、時間計測部10は、光センサ2から出力されるパルス信号の立ち上がりから経過した時間を計測することができる。
【0025】
サンプリング部14は、カウンタ24のカウント数を確認することによって、光センサ2から出力されるパルス信号の立ち上がりからの経過時間を知ることができる。そして、サンプリング部14は、その経過時間に応じたサンプリング間隔で、信号状態取得部12にパルス信号の状態(H/L)を取得するよう指示する。サンプリング部14は、図3に表されるようなパルス信号の立ち上がりからの経過時間とサンプリング間隔との対応表を有する。例えば、図3に表されるように、経過時間t(単位[sec])が0≦t<aである場合のサンプリング周波数fは10MHzであり、経過時間tがa≦t<bである場合のサンプリング周波数fは2.5MHzであり、経過時間tがb≦t<cである場合のサンプリング周波数fは635kHzであり、経過時間tがc≦tである場合のサンプリング周波数fは156.25kHzであるとする。このように、サンプリング部14は、時間計測部10によって計測された時間に応じてサンプリング間隔(1/f)を広げることができる。
【0026】
また、サンプリング部14は、現在のサンプリング間隔1/fと、そのサンプリング間隔に対応するパルス信号の立ち上がりからの経過時間tと、そのサンプリング間隔によって信号状態取得部12にパルス信号の状態を取得するよう指示した回数Nとに基づいて、パルス信号の継続時間として、信号状態取得部12にパルス信号の状態を取得するよう最後に指示した時点の時間T1を求めることができる。即ち、以下の式:
T1=経過時間t+(1/f)×N
によって、パルス信号の継続時間は求まる。
【0027】
信号状態取得部12は、サンプリング部14から指示が来るたびに、光センサ2から出力されるパルス信号の状態(H/L)を取得する。そして、立ち下がり検出部16は、信号状態取得部12がパルス信号のロー状態を2回連続して取得する場合に、パルス信号の立ち下がりを検出する。言い換えると、立ち下がり検出部16は、パルス信号が確かに立ち下がっていることを保証する。このために、立ち下がり検出部16は、信号状態取得部14が取得したパルス信号の1つ前の状態及び2つ前の状態を少なくとも記憶する信号状態記憶部30を有する。具体的には、パルス信号の状態はハイ又はローの2つしかないので、立ち下がり検出部16は、少なくとも2つの1ビットレジスタを有すれば足りる。
【0028】
立ち下がり検出部16がパルス信号の立ち下がりを検出すると、即ち、順次に“HLL”というパルス信号状態が取得された場合は、その旨が立ち下がり検出部16からサンプリング部14に通知される。この通知に応答して、サンプリング部16は、上記式によって求まるパルス信号の継続時間T1を出力する。
【0029】
しかし、この時間T1は、パルス信号が順次に“HLL”という状態となった場合に最後のロー(L)状態が取得された時点の時間であるから、実際のパルス信号の継続時間Tとは最大で2×(1/f)秒の誤差がある。
【0030】
このような誤差を補償するために、サンプリング補正部18は、サンプリング部16から出力されたパルス信号の継続時間T1の逆数をとり、それに所定の定数Xを乗ずる。定数Xは、後段の輝度調整部3の仕様に従って、且つ、光センサ2から出力されるパルス信号を表す数値及び実際の周辺光の明るさの数値の関係性を保つよう選択され、光強度検出装置1から出力されるデータの分解能を変更することができる。定数Xは、装置内に予め固定数として設定されても、あるいは、ユーザによって幾つかの数値の中から任意に選択されても良い。
【0031】
光センサ2から出力されるパルス信号の継続時間は、周辺光が明るいほど短くなるから、サンプリング補正部18からは、周辺光が明るいほど大きく、一方、周辺光が暗いほど小さい値が出力される。
【0032】
以下、図2に表される本発明の光強度検出装置1の動作について説明する。
【0033】
[動作]
図4は、図2に表される本発明の光強度検出装置1の光強度検出動作を表すフローチャートである。
【0034】
最初に、光センサ2は周辺光を受光して、周辺光の明るさに応じたパルス幅を有するパルス信号を出力する。光強度検出装置1は、このパルス信号を受信し、光強度検出動作を開始する。
【0035】
光強度検出装置1は、ステップS101で、立ち上がり検出部22によってパルス信号の立ち上がりを検出する。すると、ステップS102で、カウンタ24は起動し、クロック20の発振周波数(例えば、10MHz。)ごとに1カウントすることによって、パルス信号の立ち上がりからの経過時間を計測する。
【0036】
ステップS103で、サンプリング部14は、所定のサンプリング間隔で、信号状態取得部12にパルス信号の状態(H/L)を取得するよう指示し、信号状態取得部12は、サンプリング部14から指示が来るたびに、光センサ2から出力されるパルス信号の状態(H/L)を取得する。また、ステップS104で、サンプリング部14は、現在のサンプリング間隔によって信号状態取得部12にパルス信号の状態を取得するよう指示した回数をカウントする。
【0037】
ステップS105で、立ち下がり検出部16は、信号状態取得部12によって順次に“HLL”と続くパルス信号状態が取得されたかどうかを判断する。
【0038】
“HLL”と続くパルス信号状態が取得されない場合は、ステップS106で、サンプリング部14は、カウンタ24のカウント数に基づいて所定の時間が経過したかどうかを判断し、所定の時間が経過していた場合には、その時間に応じてサンプリング間隔を変更するとともに、ステップS108で、変更前のサンプリング間隔によって信号状態取得部12にパルス信号の状態を取得するよう指示した回数のカウントをリセットする。そして、ステップS103に戻り、変更後のサンプリング間隔で、サンプリング部14は、信号状態取得部12にパルス信号の状態(H/L)を取得するよう指示する。一方、所定の時間が経過していない場合は、ステップS103に戻り、同じサンプリング間隔で、サンプリング部14は、信号状態取得部12にパルス信号の状態(H/L)を取得するよう指示する。
【0039】
また、ステップS105において“HLL”と続くパルス信号状態が取得された場合は、ステップS109で、立ち下がり検出部16は、パルス信号の立ち下がりを検出する。
【0040】
パルス信号の立ち下がりが検出されると、ステップS110で、サンプリング部14は、現在のサンプリング間隔1/fと、そのサンプリング間隔に対応するパルス信号の立ち上がりからの経過時間tと、そのサンプリング間隔によって信号状態取得部12にパルス信号の状態を取得するよう指示した回数Nとに基づいて、パルス信号の継続時間として、信号状態取得部12にパルス信号の状態を取得するよう最後に指示した時点の時間T1を求める。
【0041】
次に、ステップS111で、サンプリング補正部18は、求まった時間T1の逆数に所定の定数を乗じることによって時間T1を補正する。
【0042】
最後に、ステップS112で、補正された時間T1は、光強度を表すデータとして光強度検出装置1から輝度調整部3へ出力される。
【0043】
このような動作によって、本発明の光強度検出装置1は、ノイズの影響を受けることなく、光センサから出力されるパルス信号の継続時間に基づき光強度を検出することができる。
【0044】
図5(a)及び(b)は、夫々、ノイズによる影響がない場合及びある場合について、光センサによって出力される実際のパルス信号の波形を表す。いずれの場合のパルス信号も、その継続時間がTであるとする。上述したように、光センサから出力されるパルス信号の継続時間は、周辺光が明るいほど短く、周辺光が暗いほど長くなる。周辺光が暗い場合、光センサによって受光される光は弱く、外来ノイズの影響を受けやすい。その結果、光センサから出力されるパルス信号の波形は、図5(b)で表されるようなものとなる。周辺光が暗い場合は、光センサから出力されるパルス信号の継続時間が比較的長いので、従来技術では、エラーが発生した区間Teを無視して、残りの区間(T−Te)から周辺光の明るさを求めた。しかし、本発明によれば、パルス信号の実際の立ち下がりとエラーによる立ち下がりとを区別することができるので、図5(c)に表されるように、エラーが発生した区間Teを含めたパルス信号全体の継続時間Tを測定することが可能である。
【0045】
なお、本発明の光強度検出装置は、パルス信号が順次に“HLL”という状態となった場合に最後のロー(L)状態が取得された時点の時間T1をパルス信号の継続時間としているため、実際には、厳密にパルス信号の継続時間Tを求めることはできない。そして、時間T1は、実際のパルス信号の継続時間Tとは最大で2×(1/f)秒の誤差がある。しかし、時間T1の逆数をとることで、たとえこのような誤差があったとしても、従来技術のようにエラー発生区間を無視した場合よりも検出精度は高くなる。
【0046】
[変形例]
本発明は、主に、ディスプレイ装置に実装される光強度検出装置を例として、回路を含むハードウェアの形態で説明されたが、ハードディスク(HDD)、読出し専用メモリ(ROM)、又は、例えばコンパクトディスク(CD)のようなコンピュータ読取可能な記録媒体等のメモリに格納されたプログラムによってコンピュータで実施されても良い。例えば、本発明の光強度検出プログラムを実行するコンピュータの構成を図6に表す。
【0047】
図6のコンピュータ200は、バス40によって相互に接続されたドライブ装置50と、補助記憶装置52と、メモリ装置54と、マイクロプロセッサ等の演算処理装置56と、インターフェース装置58とを有する。
【0048】
ドライブ装置50は、記録媒体300を読み取るための装置である。コンピュータ200での処理を実現するプログラム(即ち、光強度検出プログラム。)を記録した記録媒体300がドライブ装置50にセットされると、プログラムが記録媒体300からドライブ装置50を介して補助記憶装置52にインストールされる。
【0049】
インターフェース装置58は、コンピュータ200を外部ネットワークへ接続するための装置である。コンピュータ200は、外部ネットワークを介してサーバ又はインターネットからプログラムを取得することもできる。あるいは、コンピュータ200は、内蔵するメモリに予めプログラムを記録されている場合もある。
【0050】
補助記憶装置52は、インストールされた又はネットワークを介して取得されたプログラムを格納すると共に、必要なファイル及びデータ等を格納する装置である。メモリ装置54は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置52からプログラムを読み出して格納する装置である。演算処理装置56は、メモリ装置54に格納されたプログラムに従う機能をコンピュータ200に実行させる装置である。
【0051】
あるいは、演算処理装置56は、本発明に従う光強度検出のための専用の半導体ICであっても良い。その場合には、演算処理装置56は、その内部又は外部のメモリに記録されたプログラムを実行して、光強度検出動作を行う。
【0052】
このように、プログラムによって、コンピュータに本発明の光強度検出方法を実行させることができる。
【0053】
以上、発明を実施するための最良の形態について説明を行ったが、本発明は、この最良の形態で述べた実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨を損なわない範囲で変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の光強度検出装置を備えるディスプレイ装置の正面図を表す。
【図2】本発明の光強度検出装置の機能構成を表すブロック図である。
【図3】パルス信号の立ち上がりからの経過時間とサンプリング間隔との対応表を表す。
【図4】本発明の光強度検出装置の光強度検出動作を表すフローチャートである。
【図5】本発明の光強度検出装置によって検出されるパルス継続時間を表す。
【図6】本発明の光強度検出プログラムを実行するコンピュータの構成例を表す。
【図7】従来技術で検出されるパルス継続時間を表す。
【符号の説明】
【0055】
1 光強度検出装置
2 光センサ
3 輝度調整部
10 時間計測部
12 信号状態取得部
14 サンプリング部
16 立ち下がり検出部
18 サンプリング補正部
20 クロック
22 立ち上がり検出部
24 カウンタ
30 信号状態記憶部
100 ディスプレイ装置
200 コンピュータ
300 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光センサから出力されるパルス信号の継続時間に基づき光強度を検出する光強度検出装置であって、
前記パルス信号の立ち上がりから経過した時間を計測する時間計測手段と、
前記パルス信号の状態を取得する信号状態取得手段と、
前記時間計測手段によって計測された前記立ち上がりからの経過時間に応じたサンプリング間隔で、前記信号状態取得手段に前記パルス信号の状態を取得するよう指示するサンプリング手段と、
前記パルス信号が立ち下がっている状態が前記信号状態取得手段によって2回連続して取得される場合に、前記パルス信号の立ち下がりを検出する立ち下がり検出手段とを有し、
前記サンプリング手段は、前記立ち下がり検出手段によって前記パルス信号の立ち下がりが検出された場合に、前記信号状態取得手段に前記パルス信号の状態を取得するよう最後に指示した時点の時間を前記パルス信号の継続時間として出力する、光強度検出装置。
【請求項2】
前記サンプリング手段は、前記パルス信号の立ち上がりからの経過時間とサンプリング間隔との対応表を有し、前記時間計測手段によって計測された時間に応じて前記サンプリング間隔を変更する、請求項1記載の光強度測定装置。
【請求項3】
前記信号状態取得手段に前記パルス信号の状態を取得するよう最後に指示した時点の時間は、現在のサンプリング間隔と、該サンプリング間隔に対応する前記パルス信号の立ち上がりからの経過時間と、前記現在のサンプリング間隔によって前記信号状態取得手段に前記パルス信号の状態を取得するよう指示した回数とに基づいて求まる、請求項1又は2記載の光強度検出装置。
【請求項4】
前記サンプリング手段によって出力される前記パルス信号の継続時間の逆数に所定の定数を乗じて、該パルス信号の継続時間を補正する補正手段を更に有する、請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の光強度検出装置。
【請求項5】
前記所定の定数は分解能を表す、請求項4記載の光強度検出装置。
【請求項6】
前記立ち下がり検出手段は、前記信号状態取得手段によって取得された前記パルス信号の1つ前の状態及び2つ前の状態を少なくとも記憶する信号状態記憶手段を有する、請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の光強度検出装置。
【請求項7】
前記時間計測手段は、
所定のクロック周波数で発振するクロックと、
前記パルス信号の立ち上がりを検出する立ち上がり検出手段と、
前記立ち上がり検出手段によって前記パルス信号の立ち上がりが検出された時点からの前記クロックの発振数をカウントするカウンタとを有する、請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の光強度検出装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちいずれか一項記載の光強度検出装置を備えるディスプレイ装置。
【請求項9】
光センサから出力されるパルス信号の継続時間に基づき光強度を検出する光強度検出方法であって、
前記パルス信号の立ち上がりから経過した時間を計測する時間計測ステップと、
前記時間計測ステップで計測される前記立ち上がりからの経過時間に応じたサンプリング間隔で、前記パルス信号の状態を取得する信号状態取得ステップと、
前記パルス信号が立ち下がっている状態が前記信号状態取得ステップで2回連続して取得される場合に、前記パルス信号の立ち下がりを検出する立ち下がり検出ステップと、
前記立ち下がり検出ステップで前記パルス信号の立ち下がりが検出された場合に、前記信号状態取得ステップで最後に前記パルス信号の状態を取得した時点の時間を前記パルス信号の継続時間として出力する時間出力ステップとを有する、光強度検出方法。
【請求項10】
前記時間計測ステップで計測された時間に応じて前記サンプリング間隔を変更するステップを更に有する、請求項9記載の光強度検出方法。
【請求項11】
前記信号状態取得ステップで最後に前記パルス信号の状態を取得した時点の時間は、現在のサンプリング間隔と、該サンプリング間隔に対応する前記パルス信号の立ち上がりからの経過時間と、前記現在のサンプリング間隔によって前記信号状態取得ステップで前記パルス信号の状態を取得した回数とに基づいて求まる、請求項9又は10記載の光強度検出方法。
【請求項12】
前記時間出力ステップで出力される前記パルス信号の継続時間の逆数に所定の定数を乗じて、該パルス信号の継続時間を補正する補正ステップを更に有する、請求項9乃至11のうちいずれか一項記載の光強度検出方法。
【請求項13】
前記所定の定数は分解能を表す、請求項12記載の光強度検出方法。
【請求項14】
光センサから出力されるパルス信号の継続時間に基づき光強度を検出するためにコンピュータに、
前記パルス信号の立ち上がりから経過した時間を計測する時間計測ステップと、
前記時間計測ステップで計測される前記立ち上がりからの経過時間に応じたサンプリング間隔で、前記パルス信号の状態を取得する信号状態取得ステップと、
前記パルス信号が立ち下がっている状態が前記信号状態取得ステップで2回連続して取得される場合に、前記パルス信号の立ち下がりを検出する立ち下がり検出ステップと、
前記立ち下がり検出ステップで前記パルス信号の立ち下がりが検出された場合に、前記信号状態取得ステップで最後に前記パルス信号の状態を取得した時点の時間を前記パルス信号の継続時間として出力する時間出力ステップとを実行させるための光強度検出プログラム。
【請求項15】
コンピュータに、更に、
前記時間計測ステップで計測された時間に応じて前記サンプリング間隔を変更するステップを実行させる、請求項14記載の光強度検出プログラム。
【請求項16】
前記信号状態取得ステップで最後に前記パルス信号の状態を取得した時点の時間は、現在のサンプリング間隔と、該サンプリング間隔に対応する前記パルス信号の立ち上がりからの経過時間と、前記現在のサンプリング間隔によって前記信号状態取得ステップで前記パルス信号の状態を取得した回数とに基づいて求まる、請求項14又は15記載の光強度検出プログラム。
【請求項17】
コンピュータに、更に、
前記時間出力ステップで出力される前記パルス信号の継続時間の逆数に所定の定数を乗じて、該パルス信号の継続時間を補正する補正ステップを実行させる、請求項14乃至16のうちいずれか一項記載の光強度検出プログラム。
【請求項18】
前記所定の定数は分解能を表す、請求項17記載の光強度検出プログラム。
【請求項19】
請求項14乃至18のうちいずれか一項記載の光強度検出プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−287977(P2009−287977A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138547(P2008−138547)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(503002765)統寶光電股▲ふん▼有限公司 (37)
【Fターム(参考)】