説明

光心線分岐部把持部品及びそれと組み合わせて用いる光心線収納ケース

【課題】光心線分岐部を現場で簡単に組み立てられる分岐部把持部品を提供する。光心線収納ケースを小型化する。
【解決手段】分岐部把持部品11は、多心光ケーブルを把持する幹側把持部15と、多心光ケーブルから分岐された少心光心線入り保護チューブを把持する中央把持部17A、側方把持部17B、17Cを有している。光心線収納ケース33は一端側の中央部とその両側のコーナー部に把持部品取付け部39A、39B、39Cを設けてあり、把持部品11の取付け方向を変えられる。分岐部把持部品11を収納ケース33の把持部品取付け部39A、39B、39Cのいずれかに取り付けると、中央把持部17Aの入口の閉塞板43が突出して中央把持部17Aが使えなくなる。分岐された少心光心線入り保護チューブは側方把持部17B、17Cから収納ケース33に導入され、余長を収納される。分岐部把持部品11を単独で使用するときは中央把持部17Aを使える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多心光ケーブル又は多心光心線から少心光心線への分岐部(ファンアウト分岐部)を把持する光心線分岐部把持部品と、それと組み合わせて使用される光心線収納ケースと、前記把持部品と光心線収納ケースとを組み合わせた光心線分岐部把持部品付き光心線収納ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
集合住宅などで、複数の加入者に光通信回線を開設する場合には、当該集合住宅に多心光ケーブル(ドロップケーブル)を引き込み、配線盤の中などで多心光ケーブルを少心光心線(通常は単心線)に分岐する必要がある。分岐された光心線は強度的に弱いので保護チューブを被せて補強される。しかし保護チューブを被せても、分岐部には短い区間ではあるが、光心線が露出するので、この部分を何らかの形で補強する必要がある。
【0003】
従来、多心光ケーブル又は多心光心線から少心光心線への分岐部を補強する手段としては、分岐部を樹脂で封止すること等が公知である(特許文献1参照)。
【0004】
また、光心線分岐部と分岐された複数本の光心線は通常、光心線収納ケースに収納される。加入者が発生したときは、分岐された光心線に加入者に配線される単心光ケーブルが接続され、その接続部は前記収納ケースに収納される(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−281509号公報
【特許文献2】特開2006−98611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
樹脂封止型ファンアウト分岐部は、組立が面倒で組立に時間がかかるため、工場生産は可能であるものの、集合住宅などに引き込んだ多心光ケーブルに、工事現場で作り付けることは困難である。
【0007】
また、従来の光心線分岐部を収納するケースは、大型なものが多く、大きな設置スペースを必要とするため、小規模の集合住宅などでは設置スペースを確保することが困難である。
【0008】
本発明の目的は、光心線分岐部を工事現場で簡単に組み立てることができ、光心線の保護も確実な光心線分岐部把持部品と、その把持部品と組み合わせて使用される小型な光心線収納ケースと、前記把持部品と収納ケースとを組み合わせた光心線分岐部把持部品付き光心線収納ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る光心線分岐部把持部品は、多心光ケーブル又は多心光心線から少心光心線への分岐部を把持する部品であって、
底板上に、分岐前の多心光ケーブル又は多心光心線入り保護チューブを把持する1つの幹側把持部と、分岐後の少心光心線入り保護チューブを把持する3つの枝側把持部とが一体に形成され、
前記3つの枝側把持部は、前記幹側把持部と同じ方向に設けられた1つの中央把持部と、その中央把持部の両側へ斜めに分かれるように設けられた2つの側方把持部とからなり、
前記底板の中央把持部の入口に相当する位置には、中央把持部に少心光心線入り保護チューブを押し込めないようにする閉塞板が挿入される閉塞板挿入穴が形成されている、
ことを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る光心線分岐部把持部品は、中央把持部と側方把持部の間に、保留心線装着部が形成されているものであることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る光心線収納ケースは、
底面基板と、その底面基板の両側に平行に立設された壁により、多心光ケーブル又は多心光心線から分岐された少心光心線の余長を保護チューブに入れた状態で収納する余長収納部が形成され、
前記底面基板の一端側の中央部とその両側のコーナー部の3箇所に、請求項1又は2記載の光心線分岐部把持部品を取り付ける把持部品取付け部が設けられ、
前記底面基板の他端側の、前記壁の高さ方向中間位置に、両側の壁に跨るようにコネクタ支持板が設けられ、このコネクタ支持板上に分岐後の光心線の端部に取り付けられたコネクタを装着するコネクタ装着部が設けられ、
前記底面基板の各把持部品取付け部の領域内には、前記把持部品の閉塞板挿入穴に挿入される閉塞板が立設されている、
ことを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明に係る光心線分岐部把持部品付き光心線収納ケースは、上記のように構成された光心線収納ケースのいずれか1つの把持部品取付け部に、前記光心線分岐部把持部品を、閉塞板を閉塞板挿入穴に挿入し、係止片を係止片挿入穴に挿入した状態で取り付け、前記把持部品内に突出した閉塞板が把持部品の中央把持部の入口を塞ぐことにより中央把持部には分岐後の光心線入り保護チューブを押し込めないようになっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る光心線分岐部把持部品は、分岐前の多心光ケーブル又は多心光心線入り保護チューブを幹側把持部に押し込み、分岐後の少心光心線入り保護チューブを枝側把持部に押し込むだけで、簡単に補強された光心線分岐部を構成することができる。また、本発明に係る光心線分岐部把持部品は、光心線分岐部を保護する部品として単独で使用することもできるし、光心線収納ケースと組み合わせて、光心線収納ケースの導入口で光心線分岐部を保護する部品として使用することもできる。このため、部品点数を削減できると共に、光心線収納ケース内に光心線分岐部を収納する必要がなくなり、光心線収納ケースの小型化にも有効である。
【0014】
また、本発明に係る光心線収納ケースは、3方向に光心線分岐部把持部品を取り付けられるようになっているので、収納ケースを設置する現場の状況に応じて光心線分岐部把持部品を取り付ける方向を選択することができ、分岐前の多心光ケーブル又は多心光心線入り保護チューブの配線を容易に行うことができる。また、収納ケースに把持部品を取り付けると、把持部品の中央把持部には分岐後の少心光心線入り保護チューブを押し込めなくなるので、結局、分岐後の少心光心線入り保護チューブは両側の側方把持部に振り分けて、右回りと左回りで収納することになり、光心線の許容曲げ径を確保しやすくなると共に、コネクタの付いた少心光心線の収納スペースを小さくでき、収納ケースを小型化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明に係る光心線分岐部把持部品の一実施形態を示す。この把持部品11は、柄の付いた扇のような形の底板13を有し、この底板13の柄に相当する部分に分岐前の多心光ケーブル又は多心光心線入り保護チューブを把持する1つの幹側把持部15を形成し、扇形に広がった部分に分岐後の少心光心線入り保護チューブを把持する3つの枝側把持部17A、17B、17Cを形成したものである。
【0016】
3つの枝側把持部のうち、1つの把持部は、幹側把持部15と同じ方向に向く中央把持部17Aを構成しており、他の2つの把持部は、中央把持部17Aの両側へ斜めに分かれる側方把持部17B、17Cを構成している。中央把持部17Aに対する側方把持部17B、17Cの角度は45度にすることが好ましい。
【0017】
各把持部15、17A〜17Cは、底板13上に相対する壁を立設して溝を形成し、その溝の内面に深さ方向にリブ19を形成したものである。この把持部に多心光ケーブル又は多心光心線入り保護チューブを押し込むと、リブ19が光ケーブルの外被又は光心線の保護チューブに食い込んで、光ケーブル又は光心線入り保護チューブを把持できるようになっている。このような把持部は従来から公知のものである。
【0018】
また、底板13の中央把持部17Aの入口に相当する位置には、閉塞板挿入穴21が形成されている。この閉塞板挿入穴21は、把持部品11を後述する光心線収納ケースに組み付けたときに、収納ケース側の閉塞板が挿入されて、中央把持部17Aの入口に突出し、中央把持部17Aを使えないようにする(分岐された光心線入り保護チューブを押し込めないようにする)ためのものである。
【0019】
また、底板13の中央把持部17Aと側方把持部17B、17Cの間に相当する位置には、係止片挿入穴23が形成されている。この係止片挿入穴23は、把持部品11を後述する収納ケースに組み付けたときに、収納ケース側の係止片が挿入されて、把持部品11と収納ケースを結合する部分である。
【0020】
また、中央把持部17Aと側方把持部17B、17Cの間には、凹形の保留心線装着部25が形成されている。この保留心線装着部25は、加入者に接続されない保留心線を保持しておく部分である。
【0021】
また、幹側把持部15及び側方把持部17B、17Cの内端部付近の底板13上には、突条又は溝によるライン27が形成されている。このライン27は、各把持部に押し込まれる光ケーブルの外被の端部又は光心線の保護チューブの端部の位置を決める目安となるものである。光ケーブルの外被の端部又は光心線の保護チューブの端部の位置をライン27で規制することにより、把持部品11内に露出する光心線が許容曲げ径より小さい曲げ径に曲げられるのを防止できる。
【0022】
また、底板13の両側には、この把持部品11を単独で使用するときに、把持部品11を壁などに固定するためのブラケット29が形成されている。
【0023】
なお、この把持部品11には、底板13と同じ形の蓋(図示省略)が被せられるが、蓋を外したときに、把持部から光ケーブル又は光心線入り保護チューブが脱出することのないように、各把持部15、17A〜17Cの上端縁付近に飛び出し防止片31が突設されている。
【0024】
図2は、図1のように構成された把持部品11で、光心線分岐部を把持した状態の一例を示す。符号1は多心光ケーブル、2は多心光ケーブル1の外被3を剥いで露出させた複数本の光心線、4は光心線2に被せた保護チューブである。光ケーブル1は外被3の部分を幹側把持部15に押し込むことにより把持されている。また分岐された光心線2は保護チューブ4を被せた状態で一括して中央把持部17Aに押し込むことにより把持されている。このように、分岐前の多心光ケーブル1は幹側把持部15に把持され、分岐後の光心線2は保護チューブ4を被せた状態で中央把持部17Aに把持されているため、分岐部に露出する光心線2には外力がかかるおそれがなく、分岐部の保護は確実である。また封止用の樹脂を使用しないため工事現場での組立も簡単である。
【0025】
なお、図2では簡略化のため光ケーブル1が2心の場合を示したが、光ケーブル1は通常4心のテープ心線を有しており、6心、8心、16心の場合もある。また図2では分岐された光心線2を中央把持部17Aで把持する場合を示したが、側方把持部17A、17Bのどちらかで把持する場合や、2つの側方把持部17Aと17Bに振り分けて把持する場合もある。また、幹側把持部15は、多心光ケーブルではなく、多心テープ心線入り保護チューブを把持する場合もある。
【0026】
図3は本発明に係る光心線収納ケースの一実施形態を示す。この光心線収納ケース33は、ケースの底となる底面基板35と、その底面基板35の両側に平行に立設された壁37とを有しており、この両者は、多心光ケーブル又は多心光心線から分岐された少心光心線の余長を保護チューブに入れた状態で収納する余長収納部を構成している。
【0027】
底面基板35の一端側の中央部とその両側のコーナー部には、前述した光心線分岐部把持部品11を取り付けるための把持部品取付け部39A、39B、39Cが設けられている。コーナー部の把持部品取付け部39B、39Cは、中央部の把持部品取付け部39Aに対し45度の角度で設けることが好ましい。中央部の把持部品取付け部39Aとコーナー部の把持部品取付け部39B、39Cの間には支持突起41が立設されている。
【0028】
また底面基板35の各把持部品取付け部39A〜39Cの領域内には、前記把持部品11の閉塞板挿入穴21に挿入される閉塞板43と、係止片挿入穴23に挿入される係止片45とが立設されている。
【0029】
また、前記底面基板35の他端側には、両側の壁37が伸び出しており、この壁37の伸び出し部分の高さ方向中間位置には、両側の壁37、37に跨るようにコネクタ支持板47が設けられている。したがって、底面基板35とコネクタ支持板47は壁37の高さ方向に離れており、両者の間には光心線入り保護チューブを容易に通せるだけの隙間がある。コネクタ支持板47上には、分岐後の光心線の端部に取り付けられたコネクタを装着する4つのコネクタ装着部49が設けられている。
【0030】
また、両側の壁37、37の外面には、この収納ケース33を、壁などに取り付けるためのブラケット51と、棚上で2本の垂直な支持棒に多段に取り付けるための弾性嵌合部53が突設されている。
【0031】
なお、この収納ケース33にも、壁37の上端縁に跨る形の蓋が被せられるが、図示を省略してある。
【0032】
図4(A)は上記のように構成された収納ケース33に、図1に示す光心線分岐部把持部品11と、コネクタ55を組み付ける前の状態を示し、同図(B)は収納ケース33の把持部品取付け部39Aに光心線分岐部把持部品11を取り付け、コネクタ装着部49にコネクタ55を装着した状態を示す。把持部品11を把持部品取付け部39Aに取り付けるときは、閉塞板挿入穴21に閉塞板43を挿入し、係止片挿入穴23に係止片45を挿入するようにして取り付ける。取付け後は、把持部品11の両側が支持突起41に支持された状態となる。また、係止片45には把持部品11側に引っ掛かる抜け止め突起57が形成されているので、把持部品11の取り付け状態は安定する。また、把持部品11を把持部品取付け部39A(又は39B、39C)に取り付けると、図5に示すように閉塞板43が把持部品11内に突出して、中央把持部17Aの入口を塞ぐため、中央把持部17Aには分岐後の光心線入り保護チューブを押し込めなくなる。
【0033】
図4(B)は把持部品11を中央部の把持部品取付け部39Aに取り付けた場合であるが、把持部品11をコーナー部の把持部品取付け部39Bに取り付けると図6のようになる。このように、この収納ケース33は、把持部品11を、方向の異なる3つの把持部品取付け部39A〜39Bのいずれかに選択的に取り付けることが可能である。
【0034】
次に、以上のように構成された光心線分岐部把持部品11及び光心線収納ケース33の使用状態を図7ないし図10を参照して説明する。
【0035】
まず、図7(A)〜(D)を参照して、光心線分岐部把持部品11を取り付けた光心線収納ケース33の使用状態を説明する。光心線収納ケース33は4心用であるので、把持部品11の幹側把持部15には4心光ケーブル(又は4心テープ心線入り保護チューブ)1が導入される。
【0036】
(A)は、把持部品11内で4心光ケーブル1を4本の光心線2に分岐し、そのうちの1本の光心線2に保護チューブ4を被せて一方の側方把持部17Cから収納ケース33内に引き出し、右回りに1ループ分の余長をとった上で、その先端に取り付けたコネクタ55を最も上記側方把持部17C寄りの第一のコネクタ装着部49に装着した状態である。残りの3本の光心線2は保留チューブ5を被せて保留心線装着部25から収納ケース33内に引き出し、ループ状にして、収納ケース33に収納しておく。コネクタ55には1軒目の加入者への光ケーブルが接続される。
【0037】
(B)は加入者が2軒に増えた場合である。この場合は、保留チューブ5から光心線2を1本引き出し、その光心線2に保護チューブ4を被せて一方の側方把持部17Cから収納ケース33内に導入し、右回りに1ループ分の余長をとった上で、その先端に取り付けたコネクタ55を上記第一のコネクタ装着部49の隣りの第二のコネクタ装着部49に装着する。2番目のコネクタ55には2軒目の加入者への光ケーブルが接続される。
【0038】
(C)は加入者が3軒に増えた場合である。この場合は、保留チューブ5から光心線2を1本引き出し、その光心線2に保護チューブ4を被せて今度は他方の側方把持部17Bから収納ケース33内に導入し、左回りに1ループ分の余長をとった上で、その先端に取り付けたコネクタ55を上記第二のコネクタ装着部49の隣りの第三のコネクタ装着部49に装着する。3番目のコネクタ55には3軒目の加入者への光ケーブルが接続される。
【0039】
(D)は加入者が4軒に増えた場合である。この場合は、保留チューブ5から残る1本の光心線2を引き出し、その光心線2に保護チューブ4を被せて他方の側方把持部17Bから収納ケース33内に導入し、左回りに1ループ分の余長をとった上で、その先端に取り付けたコネクタ55を最も上記側方把持部17B寄りの第四のコネクタ装着部49に装着する。4番目のコネクタ55には4軒目の加入者への光ケーブルが接続される。
【0040】
このように、光心線分岐部把持部品11を取り付けた光心線収納ケース33は、小規模の集合住宅などで加入者の増加に順次対応することができる。また、収納ケース33の幅はコネクタ55を横並びに4個装着できる幅に抑えてあるが、分岐後の光心線2は左右の側方把持部17B、17Cにより2本ずつ右回りと左回りに振り分けて余長を確保するようにしているので、光心線2が無理に小さな曲げ径に曲げられるおそれがない。したがって収納ケース33が非常に小型なものとなり、配電盤内の空きスペース等に設置することが可能となる。
【0041】
また、分岐部把持部品11の2つの側方把持部17B、17Cは中央把持部17Aに対し45度の角度で形成されており、かつ、収納ケース33のコーナー部2箇所の把持部品取付け部39B、39Cも中央部1箇所の把持部品取付け部39Aに対し45度の角度で形成されているため、分岐部把持部品11の2つの側方把持部17B、17Cから収納ケース33内に導入される光心線2入り保護チューブ4はスムーズに右回りと左回りに案内されて余長ループを形成することができる。図7の例は把持部品11を収納ケース33の中央の把持部品取付け部39Aに取り付けた場合であるが、把持部品11をコーナー部の把持部品取付け部39B又は39Cに取り付けた場合も同様である。
【0042】
さらに、分岐部把持部品11を収納ケース33の把持部品取付け部39A〜39Cのいずれかに取り付けると、把持部品11の中央把持部17Aの入口に閉塞板43が突出して(図5参照)、中央把持部17Aが使えないようになるため、分岐後の光心線2入り保護チューブ4を誤って中央把持部17Aに押し込むおそれがなく、この点からも光心線2が無理に小さな曲げ径に曲げられるのを防止できる。
【0043】
ところで、光心線分岐部把持部品11は、図7のように光心線収納ケース33に組み付けて使用する場合以外に、単独で使用することもできる。その使用例を図8〜図10に示す。図8〜図10において、59は小規模集合住宅などに設置された配電盤、61はその中に既に組み付けられている電気機器である。つまり、これらの例は、配電盤59内の空きスペースに光心線分岐部把持部品11付きの光心線収納ケース33を設置する場合を示している。
【0044】
図8及び図9は配電盤59内に8心光ケーブル1が引き込まれた場合である。光心線収納ケース33は4心用であるから、この場合は配電盤59内に把持部品11付きの光心線収納ケース33を2組設置する。そのほかに光心線分岐部把持部品11を単独で設置する。8心光ケーブル1は2本の4心テープ心線6に分岐し、それぞれの4心テープ心線6に保護チューブ7を被せる。この状態で、図8では、単独で設置された光心線分岐部把持部品11の幹側把持部15に8心光ケーブル1を押し込み、中央把持部17Aに2本の4心テープ心線6入り保護チューブ7を押し込んで、1段目の分岐部を完成させる。その後、2本の4心テープ心線6の先端側を単心線に分岐して、4心テープ心線6が入った保護チューブ7の先端部を、収納ケース33に取り付けられた把持部品11の幹側把持部15に押し込む。その後の処理は図7の場合と同様である。
【0045】
また図9の例は、配電盤59内に2組の把持部品11付き光心線収納ケース33が離れて設置されているため、単独で設置された把持部品11の側方把持部17B、17Cに4心テープ心線6入り保護チューブ7を1本ずつ押し込んで、4心テープ心線6入り保護チューブ7の引き出し方向を収納ケース33の配置に合わせたものである。それ以外は図8の例と同じである。
【0046】
図10は配電盤59内に把持部品11付き収納ケース33が1組設置され、4心光ケーブル1が引き込まれる場合であるが、光ケーブル1の引き込位置と収納ケース33の設置位置が横方向ずれているため、光ケーブル1の引き込み位置に把持部品11を単独で設置し、光ケーブル1を、単独で設置された把持部品11の幹側把持部15と一方の側方把持部17Cに押し込んで、光ケーブル1の配線が無理なく安定して行えるようにしたものである。つまり、この例では把持部品11を光ケーブル1のガイド部品として使用している。
【0047】
以上のように光心線分岐部把持部品11は、光心線収納ケース33と組み合わせて使用することもできるし、単独で使用することもできるので、部品の種類を削減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る光心線分岐部把持部品の一実施形態を示す、(A)は平面図、(B)は斜視図。
【図2】図1の光心線分岐部把持部品で光心線分岐部を組み立てた状態を示す、(A)は平面図、(B)は斜視図。
【図3】本発明に係る光心線収納ケースの一実施形態を示す、(A)は平面図、(B)は斜視図。
【図4】(A)は図3の光心線収納ケースに図1の光心線分岐部把持部品及びコネクタを組み付ける前の状態を示す斜視図、(B)は同じく組み付けた後の斜視図。
【図5】図3の光心線収納ケースに図1の光心線分岐部把持部品を組み付けた状態を図4(B)と反対側から見た斜視図。
【図6】図3の光心線収納ケースの図4(B)とは別の箇所に図1の光心線分岐部把持部品を組み付けた状態を示す斜視図。
【図7】(A)〜(C)は本発明に係る光心線分岐部把持部品付き光心線収納ケースの使用状態を示す正面図。
【図8】本発明に係る光心線分岐部把持部品及び光心線分岐部把持部品付き光心線収納ケースの使用状態の一例を示す正面図。
【図9】同じく他の例を示す正面図。
【図10】同じくさらに他の例を示す正面図。
【符号の説明】
【0049】
1:多心光ケーブル
2:光心線
3:多心光ケーブルの外被
4:保護チューブ
5:保留チューブ
6:4心テープ心線
7:保護チューブ
11:光心線分岐部把持部品
13:底板
15:幹側把持部
17A:中央把持部(枝側把持部)
17B、17C:側方把持部(枝側把持部)
21:閉塞板挿入穴
23:係止片挿入穴
25:保留心線装着分岐部
33:光心線収納ケース
35:底面基板
37:壁
39A:中央部の把持部品取付け部
39B:39C:コーナー部の把持部品取付け部
41:支持突起
43:閉塞板
45:係止片
47:コネクタ支持板
49:コネクタ装着分岐部
55:コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多心光ケーブル又は多心光心線から少心光心線への分岐部を把持する部品であって、
底板上に、分岐前の多心光ケーブル又は多心光心線入り保護チューブを把持する1つの幹側把持部と、分岐後の少心光心線入り保護チューブを把持する3つの枝側把持部とが一体に形成され、
前記3つの枝側把持部は、前記幹側把持部と同じ方向に設けられた1つの中央把持部と、その中央把持部の両側へ斜めに分かれるように設けられた2つの側方把持部とからなり、
前記底板の中央把持部の入口に相当する位置には、中央把持部に少心光心線入り保護チューブを押し込めないようにする閉塞板が挿入される閉塞板挿入穴が形成されている、
ことを特徴とする光心線分岐部把持部品。
【請求項2】
中央把持部と側方把持部の間に、保留心線装着部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の光心線分岐部把持部品。
【請求項3】
底面基板と、その底面基板の両側に平行に立設された壁により、多心光ケーブル又は多心光心線から分岐された少心光心線の余長を保護チューブに入れた状態で収納する余長収納部が形成され、
前記底面基板の一端側の中央部とその両側のコーナー部の3箇所に、請求項1又は2記載の光心線分岐部把持部品を取り付ける把持部品取付け部が設けられ、
前記底面基板の他端側の、前記壁の高さ方向中間位置に、両側の壁に跨るようにコネクタ支持板が設けられ、このコネクタ支持板上に分岐後の光心線の端部に取り付けられたコネクタを装着するコネクタ装着部が設けられ、
前記底面基板の各把持部品取付け部の領域内には、前記把持部品の閉塞板挿入穴に挿入される閉塞板が立設されている、
ことを特徴とする光心線収納ケース。
【請求項4】
請求項3記載の光心線収納ケースのいずれか1つの把持部品取付け部に、請求項1又は2記載の光心線分岐部把持部品を、閉塞板を閉塞板挿入穴に挿入し、係止片を係止片挿入穴に挿入した状態で取り付け、前記把持部品内に突出した閉塞板が把持部品の中央把持部の入口を塞ぐことにより中央把持部には分岐後の光心線入り保護チューブを押し込めないようになっていることを特徴とする光心線分岐部把持部品付き光心線収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−116595(P2008−116595A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−298460(P2006−298460)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(591199590)株式会社正電社 (34)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(595083051)株式会社ジャパンリーコム (40)
【Fターム(参考)】