説明

光拡散板及び面光源装置並びに液晶表示装置

【課題】黄色等の着色が十分に抑制されていると共に耐衝撃性に優れた光拡散板を提供する。
【解決手段】スチレン系樹脂及び光拡散粒子を含有してなる基層8の少なくとも片面に、ポリカーボネート樹脂を含有してなる表面層9を積層した構成とする。前記スチレン系樹脂としてスチレン系単量体−メタクリル酸共重合体樹脂を用いるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、黄色等の着色が十分に抑制されていると共に耐衝撃性に優れた光拡散板及び該光拡散板を用いて構成された面光源装置と液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置としては、例えば液晶セルを備えた液晶パネル(画像表示部)の背面側に面光源装置がバックライトとして配置された構成のものが公知である。前記バックライト用の面光源装置としては、ランプボックス(筐体)内に複数の光源が配置されると共にこれら光源の前面側に光拡散板が配置された構成の面光源装置が知られている。
【0003】
前記光拡散板としては、運搬や組み立て時の接触によって破損することがないように耐衝撃性に優れたものであることが求められている。このような要求に応えるものとして、スチレン系樹脂に光拡散粒子を含有せしめてなる中間層の両面に、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体系樹脂に架橋樹脂粒子を含有せしめてなる表層を積層した構成の光拡散板が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−199502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の光拡散板では、表層を構成するメタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体系樹脂は黄色味を帯びているために、板全体としても少し黄色がかった色合いになるという問題があった。
【0005】
また、上記従来の光拡散板は、良好な耐衝撃性を備えているものであるが、運搬や組み立て時の接触による破損を確実に防止する観点から、耐衝撃性をさらに向上させることも求められていた。
【0006】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、黄色等の着色が十分に抑制されていると共に耐衝撃性に優れた光拡散板、及び該光拡散板を備えた面光源装置と液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0008】
[1]スチレン系樹脂及び光拡散粒子を含有してなる基層の少なくとも片面に、ポリカーボネート樹脂を含有してなる表面層が積層されていることを特徴とする光拡散板。
【0009】
[2]前記スチレン系樹脂が、スチレン系単量体−メタクリル酸共重合体樹脂である前項1に記載の光拡散板。
【0010】
[3]前記基層の厚さ/前記表面層の厚さ=5〜100の範囲である前項1または2に記載の光拡散板。
【0011】
[4]前項1〜3のいずれか1項に記載の光拡散板と、該光拡散板の背面側に配置された複数の光源とを備えることを特徴とする面光源装置。
【0012】
[5]前項1〜3のいずれか1項に記載の光拡散板と、該光拡散板の背面側に配置された複数の光源と、前記光拡散板の前面側に配置された液晶パネルとを備えることを特徴とする液晶表示装置。
【発明の効果】
【0013】
[1]の発明では、基層が、スチレン系樹脂に光拡散粒子が分散された樹脂組成物からなるので、光拡散機能を有する。また、基層の少なくとも片面に、ポリカーボネート樹脂を含有してなる表面層が積層されているから、この光拡散板は、耐衝撃性に優れている。従って、例えばこの光拡散板を用いて面光源装置や液晶表示装置を組み立てる途中で該光拡散板が他の部品等と接触するようなことがあっても光拡散板が破損等するようなことがない。更に、ポリカーボネート樹脂は、黄色等の着色が少ないから、黄色等の着色が十分に抑制された光拡散板が提供される。
【0014】
[2]の発明では、基層を構成するスチレン系樹脂としてスチレン系単量体−メタクリル酸共重合体樹脂が用いられているから、耐熱性に優れた光拡散板が提供される。従って、この光拡散板を用いて構成された面光源装置や液晶表示装置では、内部温度がより高温になる画面サイズ32型以上の大型の装置であっても、光源(冷陰極線管等)を点灯したときの熱による光拡散板の変形が極めて少ないものとなる。
【0015】
[3]の発明では、基層の厚さ/表面層の厚さ=5〜100の範囲に設定されているから、コスト低減を図りつつ十分な耐衝撃性を確保することができる。
【0016】
[4]の発明では、光拡散板に黄色等の着色が少なく耐衝撃性にも優れているので、高品質の面光源装置が提供される。
【0017】
[5]の発明では、光拡散板に黄色等の着色が少なく耐衝撃性にも優れているので、高品質で高画質の液晶表示装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この発明に係る液晶表示装置の一実施形態を図1に示す。図1において、(30)は液晶表示装置、(11)は液晶セル、(12)(13)は偏光板、(1)は面光源装置(バックライト)である。前記液晶セル(11)の上下両側にそれぞれ偏光板(12)(13)が配置され、これら構成部材(11)(12)(13)によって画像表示部としての液晶パネル(20)が構成されている。なお、前記液晶セル(11)としては、カラー画像を表示可能なものが好ましく用いられる。
【0019】
前記面光源装置(1)は、前記液晶パネル(20)の下側の偏光板(13)の下面側(背面側)に配置されている。即ち、この液晶表示装置(30)は、直下型液晶表示(ディスプレイ)装置である。
【0020】
前記面光源装置(1)は、平面視矩形状で上面側(前面側)が開放された薄箱型形状のランプボックス(5)と、該ランプボックス(5)内に相互に離間して配置された複数の線状光源(2)と、これら複数の線状光源(2)の上方側(前面側)に配置された光拡散板(3)とを備えている。前記光拡散板(3)は、前記ランプボックス(5)に対してその開放面を塞ぐように載置されて固定されている。また、前記ランプボックス(5)の内面には光反射層(図示しない)が設けられている。前記光源(2)としては、特に限定されるものではないが、例えば冷陰極線管、発光ダイオード(LED)等が用いられる。
【0021】
前記光拡散板(3)は、図2に示すように、基層(ベース層)(8)の両面に表面層(9)(9)が積層一体化されてなる。前記基層(8)は、スチレン系樹脂及び光拡散粒子を含有した樹脂組成物からなり、前記表面層(9)は、ポリカーボネート樹脂を含有してなる。
【0022】
上記構成に係る光拡散板(3)は、基層(8)が、スチレン系樹脂に光拡散粒子が分散された樹脂組成物からなるので、光拡散機能が得られる。また、基層(8)の両面に、ポリカーボネート樹脂を含有してなる表面層(9)が積層されているから、この光拡散板(3)は、耐衝撃性に優れている。従って、例えばこの光拡散板(3)を用いて面光源装置(1)や液晶表示装置(30)を組み立てる途中で該光拡散板(3)が他の部品等と接触するようなことがあっても光拡散板(3)が破損等するようなことがない。更に、前記表面層(9)を構成するポリカーボネート樹脂は、黄色等の着色が少ないから、光拡散板(3)は、黄色等の着色が十分に抑制されたものとなる。
【0023】
この発明において、前記基層(8)は、スチレン系樹脂100質量部に対して光拡散粒子を0.1〜10質量部含有した樹脂組成物からなる構成であるのが好ましい。0.1質量部以上であることで十分な光拡散機能が得られると共に、10質量部以下であることで十分な機械的強度を確保できる。中でも、前記基層(8)は、スチレン系樹脂100質量部に対して光拡散粒子を0.2〜3質量部含有した樹脂組成物からなる構成であるのが特に好ましい。
【0024】
前記基層(8)を構成するスチレン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えばスチレン系単量体−メタクリル酸共重合体樹脂、スチレン系単量体−メタクリル酸メチル共重合体樹脂、スチレン系単量体−無水マレイン酸共重合体樹脂、ポリスチレン等が挙げられる。中でも、スチレン系単量体−メタクリル酸共重合体樹脂を用いるのが好ましく、この場合には光拡散板の耐熱性を向上させることができ、これにより光源(冷陰極線管等)(2)を点灯したときの熱による光拡散板(3)の変形を効果的に防止することができる。
【0025】
前記スチレン系単量体−メタクリル酸共重合体は、スチレン系単量体とメタクリル酸との共重合体であって、そのスチレン系単量体単位含有率は通常80モル%〜95モル%、好ましくは88モル%〜93モル%であり、メタクリル酸単位含有率は通常20モル%〜5モル%、好ましくは12モル%〜7モル%である。
【0026】
前記スチレン系単量体としては、スチレンの他、置換スチレン類を用いることもできる。該置換スチレン類としては、例えばクロロスチレン、ブロモスチレンのようなハロゲン化スチレン類、ビニルトルエン、α−メチルスチレンのようなアルキルスチレン類などが挙げられる。スチレン系単量体は、それぞれ単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられても良い。
【0027】
前記スチレン系単量体−メタクリル酸共重合体は、スチレン系単量体およびメタクリル酸以外の単量体単位を含んでいても良い。他の単量体単位を構成する単量体としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸トリシクロデシル、メタクリル酸フェンチル、メタクリル酸ノルボルニル、メタクリル酸ノルボルニルメチル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸トリシクロデシル等のアクリル酸エステル類、アクリル酸等の不飽和酸類、その他、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、無水グルタル酸、グルタルイミドなどが挙げられ、これらの単量体は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。
【0028】
前記基層(8)に含有される光拡散粒子としては、前記スチレン系樹脂と屈折率が異なる粒子であって、該粒子の分散含有により光拡散板を透過する光を拡散し得るものであれば、特に限定されない。例えば、ガラス粒子、ガラス繊維、シリカ粒子、水酸化アルミニウム粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、酸化チタン粒子、タルク等の無機粒子であっても良いし、スチレン系重合体粒子、アクリル系重合体粒子、シロキサン系重合体粒子等の有機粒子であっても良い。
【0029】
前記基層(8)を構成する樹脂組成物に、この発明の効果を阻害しない範囲において、紫外線吸収剤、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、光安定剤、蛍光増白剤、加工安定剤、造核剤等の添加剤の他、スチレン系樹脂以外の樹脂を含有せしめても良い。
【0030】
同様に、この発明の効果を阻害しない範囲において、前記表面層(9)に、紫外線吸収剤、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、光安定剤、蛍光増白剤、加工安定剤、造核剤等の添加剤の他、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂を含有せしめても良い。
【0031】
前記基層(8)の厚さ(S)は、通常500〜2990μmである。500μm以上であることで十分な機械的強度を確保できると共に、2990μm以下であることでコスト増大を抑制できる。中でも、前記基層(8)の厚さ(S)は700〜2980μmであるのが好ましい。
【0032】
また、前記表面層(9)の厚さ(T)は、通常10〜300μmである。10μm以上であることで十分な耐衝撃性が得られると共に、300μm以下であることでコスト増大を抑制できる。中でも、前記表面層(9)の厚さ(T)は20〜200μmであるのが好ましい。
【0033】
しかして、本発明の光拡散板(3)において、前記基層の厚さ/前記表面層の厚さ(S/T)=5〜100の範囲に設定されるのが好ましい。5以上であることでコスト増大を抑制できると共に、100以下であることで十分な耐衝撃性を確保できる。中でも、前記基層の厚さ/前記表面層の厚さ(S/T)=8〜80の範囲に設定されるのがより好ましい。なお、前記光拡散板(3)の厚さは、通常1〜3mmの範囲に設定される。
【0034】
なお、上記実施形態では、基層(8)の両面に表面層(9)(9)が積層一体化された構成が採用されていたが、特にこのような構成に限定されるものではなく、基層(8)の片面に表面層(9)が積層一体化された構成を採用しても良い。ただ、反りをより十分に防止できる点で、上記実施形態のように基層(8)の両面に表面層(9)(9)が積層一体化された構成を採用するのが好ましい。
【0035】
この発明の光拡散板(3)は、例えば共押出成形法、貼合法、熱接着法、溶剤接着法、重合接着法、キャスト重合法、表面塗布法等の方法によって製造できる。
【0036】
前記共押出成形法により光拡散板(3)を製造する場合には、基層(8)を構成する樹脂組成物と、表面層(9)を構成する樹脂又は樹脂組成物とを共押出しすれば良い。即ち、例えば、基層(8)を構成する樹脂組成物と、表面層(9)を構成する樹脂又は樹脂組成物とをそれぞれ別個の押出機で加熱し、溶融混練しながら共押出用のダイから押し出して、両者を積層一体化せしめれば良い。前記押出機としては、一軸押出機、二軸押出機等を用いることができる。前記共押出用ダイとしては、例えばフィードブロックダイ、マルチマニホールドダイ等を用いることができる。ダイから押し出して積層一体化した後、通常は冷却ロールに挟み込んで冷却することで、光拡散板(3)を得ることができる。
【0037】
前記貼合法により光拡散板(3)を製造する場合には、先に成形された基層(8)の片面又は両面に、加熱されて溶融状態にある表面層形成用樹脂又は樹脂組成物を貼合すれば良い。貼合した後、表面層形成用樹脂又は樹脂組成物が冷却されて固化することで、基層(8)の片面又は両面に表面層(9)が積層一体化され、目的の光拡散板(3)が得られる。
【0038】
前記熱接着法により光拡散板(3)を製造する場合には、例えば表面層(9)をフィルム状に成形しておき、これを予め成形された基層(8)の表面に加熱しながらプレスすれば良い。プロピレン重合体の軟化点以上の温度に加熱してプレスすることで、表面層(9)と基層(8)とが熱融着により積層一体化され、目的の光拡散板(3)が得られる。
【0039】
前記溶剤接着法により光拡散板を製造する場合には、成形した基層(8)と、成形した表面層(9)とを準備し、これらの一方または両方の接着面に、これらの一方または両方を溶解し得る溶剤を塗布し、積層すれば良い。積層後、溶剤を揮発させることで、表面層(9)と基層(8)とが積層一体化され、光拡散板(3)を得ることができる。
【0040】
前記重合接着法により光拡散板を製造する場合には、成形した基層(8)と、成形した表面層(9)とを準備し、これらの一方または両方の接着面に、重合性接着剤を塗布し、積層すれば良い。積層後、重合性接着剤を重合させる。重合性接着剤には重合性の単量体及び重合開始剤が含まれるが、かかる重合開始剤は、加熱することで単量体の重合を開始させる熱重合開始剤であっても良いし、光を照射されることで単量体の重合を開始させる光重合開始剤であっても良い。重合性接着剤を重合させるには、用いた重合開始剤の種類に応じて加熱するか、または光を照射すれば良い。かくして表面層(9)と基層(8)とが積層一体化され、光拡散板(3)を得ることができる。
【0041】
上記製造方法は、その例を示したものに過ぎず、この発明の光拡散板(3)は、このような製造方法で製造されたものに限定されるものではない。
【0042】
なお、この発明の光拡散板(3)の大きさは、特に限定されるものではなく、例えば目的とする面光源装置(1)や液晶表示装置(30)の大きさに応じて適宜設定されるものであるが、中でも、20型(縦30cm、横40cm)以上の大きさに設計される光拡散板として特に好適である。
【0043】
この発明に係る光拡散板(3)、面光源装置(1)及び液晶表示装置(30)は、上記実施形態のものに特に限定されるものではなく、請求の範囲内であれば、その精神を逸脱するものでない限りいかなる設計的変更をも許容するものである。
【実施例】
【0044】
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0045】
<原料>
(光拡散粒子マスターバッチの製造)
スチレン−メタクリル酸共重合体(東洋スチレン社製「T080」)77.5質量部、シロキサン系重合体粒子(光拡散粒子)(東レ・ダウコーニング社製「トレフィルDY33−719」、体積平均粒子径2μm)3.0質量部、アクリル系重合体粒子(光拡散粒子)(積水化成品工業社製「MBX2H」、平均粒子径3μm)18.0質量部、スミライザーGP(安定剤、住友化学社製)0.75質量部、スミソーブ200(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、住友化学社製)0.75質量部、ホワイトフローPSNconc(オキサゾール系蛍光増白剤、住化カラー社製)0.03質量部をドライブレンドした後、2軸押出機に供給して250℃でストランド状に押出し、これをペレット状に切断して、光拡散粒子マスターバッチを得た。
【0046】
<実施例1>
スチレン−メタクリル酸共重合体ペレット(東洋スチレン社製「T080」)90質量部及び上記光拡散粒子マスターバッチ(ペレット)10質量部をドライブレンドした後、スクリュー径40mmの第1押出機に供給して250℃で溶融混練し、フィードブロックに供給した。
【0047】
一方、ポリカーボネート樹脂(住友ダウ社製「カリバーPC200−30」)90.8質量部、アクリル系重合体粒子(架橋重合体粒子)(住友化学社製「スミペックスXC1A」、体積平均粒子径約25μm)8.0質量部、アデカスタブLA31(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ADEKA社製)1.0質量部、スミライザーGP(加工安定剤、住友化学社製)0.2質量部を、ドライブレンドした後、スクリュー径20mmの第2押出機に供給して250℃で溶融混練し、フィードブロックに供給した。
【0048】
前記第1押出機からフィードブロックに供給される樹脂組成物が基層(8)となり、前記第2押出機からフィードブロックに供給される樹脂組成物が表面層(9)(9)となるように温度245〜250℃で共押出成形を行い、図2に示すような厚さ2.00mm(基層1.90mm、表面層0.05mm×2)の3層の積層板からなる光拡散板(3)を作製した。
【0049】
<実施例2>
基層の厚さを1.80mm、表面層の厚さを100μmに設定した以外は、実施例1と同様にして光拡散板を作製した。
【0050】
<実施例3>
基層の厚さを1.85mm、表面層の厚さを75μmに設定した以外は、実施例1と同様にして光拡散板を作製した。
【0051】
<実施例4>
基層の厚さを1.94mm、表面層の厚さを30μmに設定した以外は、実施例1と同様にして光拡散板を作製した。
【0052】
<比較例1>
スチレン−メタクリル酸共重合体ペレット(東洋スチレン社製「T080」)90質量部及び上記光拡散粒子マスターバッチ(ペレット)10質量部をドライブレンドした後、スクリュー径40mmの第1押出機に供給して250℃で溶融混練し、Tダイから温度245〜250℃で単層押出成形を行うことによって、厚さ2.00mmの単層の光拡散板を作製した。
【0053】
<比較例2>
第2押出機に供給する樹脂組成物(表面層形成用)として、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体樹脂(新日鐵化学社製「MS200NT」)90.55質量部、アクリル系重合体粒子(架橋重合体粒子)(住友化学社製「スミペックスXC1A」、体積平均粒子径約25μm)8.0質量部、アデカスタブLA31(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ADEKA社製)1.0質量部、スミライザーGP(加工安定剤、住友化学社製)0.2質量部、モノグリD(成型加工剤、日本油脂社製)0.25質量部からなる樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして光拡散板を作製した。
【0054】
<比較例3>
第2押出機に供給する樹脂組成物(表面層形成用)として、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体樹脂(新日鐵化学社製「MS200NT」)75.8質量部、アクリル系重合体粒子(架橋重合体粒子)(住友化学社製「スミペックスXC1A」、体積平均粒子径約25μm)23.0質量部、アデカスタブLA31(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ADEKA社製)1.0質量部、スミライザーGP(加工安定剤、住友化学社製)0.2質量部からなる樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして光拡散板を作製した。
【0055】
<比較例4>
第2押出機に供給する樹脂組成物(表面層形成用)として、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(MBS樹脂)(住友化学社製「HW」)90.55質量部、アクリル系重合体粒子(架橋重合体粒子)(住友化学社製「スミペックスXC1A」、体積平均粒子径約25μm)8.0質量部、アデカスタブLA31(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ADEKA社製)1.0質量部、スミライザーGP(加工安定剤、住友化学社製)0.2質量部、モノグリD(成型加工剤、日本油脂社製)0.25質量部からなる樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして光拡散板を作製した。
【0056】
【表1】

【0057】
上記のようにして得られた各光拡散板について下記評価法に従い評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0058】
<全光線透過率測定法>
JIS K7361−1997に準拠して光拡散板の全光線透過率(%)を測定した。
【0059】
<拡散光線透過率測定法>
JIS K7136−2000に準拠して光拡散板の拡散光線透過率(%)を測定した。
【0060】
<曇価測定法>
JIS K7136−2000に準拠して光拡散板の曇価(ヘーズ率)(%)を測定した。
【0061】
<耐衝撃性評価法>
光拡散板を5cm×5cm角の試験片に切り出し、この試験片を23℃、湿度50%の雰囲気下で24時間放置した後、この雰囲気中でデュポン落錘試験機(株式会社安田精機製作所製:「Y.S.S.Tester」)で荷重150gの落錘型(1/4inch)を用いて試験片に対して落錘テストを行った。水平状に配置された試験片に対して高さ20cmの高さから落錘型を落下させた後、落錘型の衝突によって試験片に亀裂、割れ等の破損が生じたか否か調べた。各光拡散板について10個の試験片を準備し、これら10個の試験片に対して前記落錘試験を行い、10枚の試験片のうち何枚に亀裂、割れ等の破損が生じたか調べ、耐衝撃性を評価した。
【0062】
<光拡散板の着色の有無の評価>
白壁を背景にして光拡散板を目視で正面方向から観察し、板の着色の有無を調べた。黄色等の着色が比較的少なかったものを「なし」、少し黄色がかっていたものを「有り」と評価した。
【0063】
表から明らかなように、この発明の実施例1〜4の光拡散板は、黄色等の着色が少ない上に、十分な耐衝撃性を備えていた。
【0064】
これに対し、比較例1〜4の光拡散板は、十分な耐衝撃性が得られなかった。また、比較例4の光拡散板は、少し黄色がかった着色があった。
【産業上の利用可能性】
【0065】
この発明の光拡散板は、面光源装置用の光拡散板として好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。また、この発明の面光源装置は、液晶表示装置用のバックライトとして好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この発明に係る液晶表示装置の一実施形態を示す模式図である。
【図2】この発明に係る光拡散板の一実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1…面光源装置
2…光源
3…光拡散板
8…基層
9…表面層
20…液晶パネル
30…液晶表示装置
S…基層の厚さ
T…表面層の厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン系樹脂及び光拡散粒子を含有してなる基層の少なくとも片面に、ポリカーボネート樹脂を含有してなる表面層が積層されていることを特徴とする光拡散板。
【請求項2】
前記スチレン系樹脂が、スチレン系単量体−メタクリル酸共重合体樹脂である請求項1に記載の光拡散板。
【請求項3】
前記基層の厚さ/前記表面層の厚さ=5〜100の範囲である請求項1または2に記載の光拡散板。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の光拡散板と、該光拡散板の背面側に配置された複数の光源とを備えることを特徴とする面光源装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の光拡散板と、該光拡散板の背面側に配置された複数の光源と、前記光拡散板の前面側に配置された液晶パネルとを備えることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−180895(P2009−180895A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19180(P2008−19180)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】