説明

光拡散板積層体及び直下型点光源バックライト装置

【課題】優れた輝度均一性を有する直下型バックライト装置を提供する。
【解決手段】複数の光源と、複数の光源の上方に配設される光拡散板積層体と、を備える直下型バックライト装置であって、光拡散板積層体は、それぞれ表面に凸型錐構造が賦形された少なくとも2枚の光拡散板を備え、少なくとも2枚の光拡散板は、凸型錐構造の向きが同じとなるように積み重ねられており、且つ、少なくとも2枚の光拡散板は、凸型錐構造の頂点が光源と対向するように配置されており、更に、複数の光源のそれぞれの光ピーク角度が、±30〜89°である、直下型バックライト装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直下型バックライト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、液晶ディスプレイ用のバックライトとしては、エッジライト型バックライトと直下型バックライトと呼ばれる2つの方式があるが、大型の表示装置に対しては、安価で高輝度を実現できる直下型バックライトが多く用いられている。
【0003】
直下型バックライトの光源としては、従来は冷陰極管のような線状光源が主流であったが、近年は、環境問題や光源の寿命、省電力、及び画質向上の観点から、冷陰極管に替わって、発光ダイオード(LED)のような点光源が積極的に用いられている。
【0004】
一般に光源としては、光ピーク角度が狭く直上光の光線強度が高い点光源(例えばランバーシャン出光分布を有する光源)と、光ピーク角度が広角出光分布を有する光源(以下、広角光源とする。)と、の2種類の光源が存在するが、輝度ムラ抑制の観点から広角光源が一般的に用いられることが多い。
【0005】
しかし、近年液晶ディスプレイは、低コスト化の為に光源の数を少なく、そして薄型化の為に光源から拡散板までの距離を短くすることが求められており、広角光源を用いたとしても光源を均一な面光源に変換することは難しい。したがって、広角光源をいかに面光源に変換するかが課題となっている。
【0006】
これに対し、光源の光量ムラを低減させる手法として、光拡散板の出射面側に、それぞれアクリル樹脂からなるコーナーキューブ形状を有する複数の微小なプリズムが隙間なく形成された厚さ1mmのプリズムシートが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−274947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に提案されたプリズムシートでは、輝度及び輝度ムラについて十分な改善効果が得られない。
【0009】
本発明は上記課題を解決するものであり、その目的は、広角光源を用いた直下型バックライトにおいて、所望のバックライト厚みを有し、かつ少ない個数の光源で、優れた輝度均一性を有する直下型バックライト装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様によれば、複数の光源と、複数の光源の上方に配設される光拡散板積層体と、を備える直下型バックライト装置であって、光拡散板積層体は、それぞれ表面に凸型錐構造が賦形された少なくとも2枚の光拡散板を備え、少なくとも2枚の光拡散板は、凸型錐構造の向きが同じとなるように積み重ねられており、且つ、少なくとも2枚の光拡散板は、凸型錐構造の頂点が光源と対向するように配置されており、更に、複数の光源のそれぞれの光ピーク角度が、±30〜89°である、直下型バックライト装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所望のバックライト厚みを有し、かつ少ない個数の光源で、優れた輝度均一性を有する直下型バックライト装置を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態に係るバックライト装置の模式図である。
【図2】実施の形態に係る光拡散板積層体の第1の模式図である。
【図3】実施の形態に係る光拡散板の凸型錐構造も模式図である。
【図4】実施の形態に係る光拡散板積層体の第2の模式図である。
【図5】実施の形態に係る点光源の出光分布を示す第1のグラフである。
【図6】実施の形態に係る点光源の出光分布を示す第2のグラフである。
【図7】実施の形態に係る点光源の配置を示す模式図である。
【図8】比較例に係る点光源の出光分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について、詳細に説明する。なお、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0014】
〔直下型バックライト装置〕
本実施形態に係る直下型バックライト装置は、図1に示すように、複数の光源1A、1B、1Cと、複数の光源1A、1B、1Cの上方に配設される光拡散板積層体2と、を備える。光拡散板積層体2は、図2に示すように、それぞれ表面に凸型錐構造が賦形された2枚の光拡散板A、Bを備える。2枚の光拡散板A、Bは、それぞれの凸型錐構造の向きが同じとなるよう、積み重ねられている。また、図1に示すように、光拡散板積層体2は、2枚の光拡散板A、Bのそれぞれの凸型錐構造の頂点が、複数の光源1A、1B、1Cと対向するように設けられている。さらに、複数の光源1A、1B、1Cのそれぞれの光ピーク角度は、±30〜89°である。
【0015】
光拡散板A、Bのそれぞれの凸型錐構造としては、角錐、円錐等が挙げられ、特に限定されないが、輝度均一性の観点から、三角錐が好ましい。凸型三角錐構造は、頂点と、底面の三角形の中心と、を結んだ直線(中心軸)が、底面と垂直であることが好ましいが、斜三角錐であってもよい。また、底面の三角形は正三角形であることが好ましい。
【0016】
凸型三角錐構造の側面の底面に対する傾斜角θ(以下、単に傾斜角θとする。)は30〜70度が好ましく、40〜65度がより好ましく、50〜62度更に好ましく、55〜60度が特に好ましい。なお、斜三角錐である場合には、傾斜角θは、3つの側面と底面がなす角のうち最も大きな角とする。
【0017】
凸型錐構造の側面は、本実施形態の効果を損なわない範囲で曲面であってもよく、その頂点は、本実施形態の効果を損なわない範囲で曲面を有していてもよい。なお、凸型三角錐において側面が曲面を含む場合は、図3に示すように、凸型三角錐の底面と、凸型三角錐の頂点及び凸型三角錐の底面を構成する三角形の頂点のうちの2点を通る平面と、のなす角度を傾斜角θとする。
【0018】
凸型三角錐の大きさについて特に限定は無いが、輝度均一性の観点からは凸型三角錐の大きさは小さいほど好ましい。しかし、凸型三角錐の大きさは小さいほど製造は困難になる。輝度均一性と、製造容易性と、のバランスから、凸型三角錐の底面の三角形の一辺は50μm〜600μm程度が好ましく、より好ましくは150μm以上500μm以下が更に好ましく、150μm以上400μm以下が特に好ましい。また、凸型三角錐の高さは50μ以上300μ以下が好ましく、より好ましくは80μ以上250μm以下である。
【0019】
凸型錐構造の屈折率は、輝度、色ムラ特性、正面輝度均一性、及び斜視輝度均一性の観点から1.43以上であることが好ましく、1.49以上がより好ましく、1.53以上が更に好ましく、1.55以上が特に好ましい。屈折率の上限は特に無いが、輝度、色ムラ特性、正面輝度均一性、及び斜視輝度均一性の観点から屈折率は1.71以下であることが好ましく、1.65以下であることがより好ましい。
【0020】
光拡散板A、Bのそれぞれを構成する材料については、限定はないが、光透過性の高い樹脂が好ましく用いられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、並びにこれらの共重合体;ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、及び脂環式ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン、スチレンーアクリロニトリル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、及びアルファメチルスチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート、及びポリエチルアクリレート等のアクリル系樹脂;メタクリル酸エステル樹脂、及びポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0021】
光拡散板A、Bのそれぞれは光拡散剤を含んでもよい。光拡散剤としては、例えば、アクリル系樹脂架橋微粒子、スチレン系樹脂架橋微粒子、シリコーン系樹脂架橋微粒子、MS(メチルメタクリレート・スチレン共重合体)系架橋微粒子、フッ素樹脂微粒子、ガラス微粒子、シリカ微粒子、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ、タルク、及びマイカ等が挙げられ、これらは単独もしくは併用して使用することができる。
【0022】
光拡散剤の形状としては、真球状、楕円状、不定形状、針状、板状、中空状、柱状、及び錐状等の形状が挙げられる。光拡散剤の平均粒径としては、輝度均一性、及び易製造の観点から1〜20μmが好ましく、2〜10μmが最も好ましい。平均粒径は、粒径分布計により求めることができる。
【0023】
光拡散板積層体2を構成する2枚の光拡散板A、Bの間には、光をランダムに拡散させる層が無い方が輝度均一性の観点から好ましい。具体的には、図2に示すように、光拡散板積層体2を構成する2枚の光拡散板A、Bが接しており、2枚の光拡散板A、Bの間には固体又は液体が存在せず、真空又は気体のみが存在することが好ましい。
【0024】
図4に示すように、光拡散板積層体2を構成する2枚の光拡散板A、Bの間に別の層3を設ける場合、その層3のJIS K−7361に準拠して測定した全光線透過率Tbは、輝度均一性の観点から、75%以上が好ましく、より好ましくは85%以上であり、特に好ましくは90%である。
【0025】
光拡散板積層体2を構成する2枚の光拡散板A、Bのそれぞれの凸型錐構造が賦形された面に対して反対側の面は、輝度均一性の観点から、平坦であることが好ましい。具体的には、光拡散板積層体2を構成する2枚の光拡散板A、Bのそれぞれの凸型錐構造の反対側の面の表面粗さは、JIS B0601によって測定した算術平均粗さ(Ra)で10μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下、更に好ましくは2μm以下、特に好ましくは0.5μm以下である。
【0026】
複数の凸型錐構造は、輝度均一性の観点から、周期的に設けられていることが好ましい。また、複数の凸型錐構造は、光拡散板A、Bのそれぞれの一面の総てにあることが好ましい。また、光拡散板積層体2の上方又は下方に、更に他の光拡散部材を組み合わせてもよい。
【0027】
傾斜角θは、レーザー顕微鏡やSEM(電子顕微鏡)を用いて、拡散板表面の断面形状を観察することにより求めることができる。屈折率は、凸型錐構造を形成する部位を切断分離し、その後、熱プレス等で表面が平滑なフィルムを作製し、JIS K7142に準拠してアッベ屈折計を用いることにより求めることができる。また、凸型錐構造を平滑化できない場合は、凸型錐構造を切断した後、切断部位を粉砕して、ベッケ法により求めることもできる。
【0028】
図1に示す本実施形態に係るバックライトに使用する複数の光源1A、1B、1Cのそれぞれの光ピーク角度は、輝度均一性の観点から、±30〜89°の広角であり、±50〜89°がより好ましく、±60〜89°が更に好ましく、±70〜85°が特に好ましい。なお、光のピーク角度とは、点光源の出光角度と、その出光角度における光強度と、の分布(以下出光分布とする。)において、最も光強度が大きい出光角度のことである。図5に例示する出光分布を持つ点光源の場合、ピーク角度は75度となる。なお、図5のグラフは、ピーク角度における光強度が1となるように正規化されている。
【0029】
また、複数の光源1A、1B、1Cのそれぞれの、光ピーク角度における出光強度をEp、0度の出光強度をE0とした時の、E0/Epの値は、輝度均一性の観点から、2%以上50%以下とすることが好ましい。図6に示すグラフの場合、ピーク角度における相対出光強度を100%としているため、点1で示す0度の相対出光強度がE0/Epの値となり、6%である。E0/Epの値の下限値としては3%以上が好ましく、上限値としては40%以下がより好ましく、さらに好ましくは20%以下、特に好ましくは10%以下である。
【0030】
光源の種類は線状光源、点光源が考えられるが、光源の寿命、省電力、又画質向上の観点から、LEDのような点光源が好ましい。
【実施例】
【0031】
以下に、具体的な実施例及び比較例について説明する。まず、実施例で使用した評価方法を説明する。
[評価方法]
(1)表面形状の測定
以下で説明する実施例で作製した光拡散板A、Bのそれぞれの表面をレーザー顕微鏡(キーエンス社製、GenerationIIVK−9700)で観察し、凸略三角錐の傾斜
角を算出した。
【0032】
(2)LED出光分布の測定
LEDを実装したLED基板(PCB)を基準面とし、基準面において出光側の法線方向を0度としたときの光の出光分布を分光放射輝度計(コニカミノルタ社製、CS2000)で−90度〜90度の範囲で測定した。光ピーク角度とは、得られた出光分布の中で、最大の強度を示す角度を表す。また、0度出光強度は、光ピーク角度の出光強度に対する法線方向の出光強度を相対強度で表したもので、光ピーク角度の出光強度を100%とした場合の百分率で表す。
【0033】
(3)輝度及びランプムラの評価
(3−1)評価装置
LED基板上に白色LEDを図7に示すように、縦方向に間隔L1=54mm、横方向に間隔L2=54mmをおいて格子状に36個実装し、画面サイズが324mm×324mmのLED光源バックライト評価装置を作製した。
【0034】
図1に示すように、LED光源バックライト評価装置には、個々の白色LEDの背面に反射板(東レ製、E6SV)を配置し、さらに、白色LED上に光拡散板B、光拡散板A、及び2枚の拡散フィルム(東レセーハン社製、TDF127)をこの順に配置した。反射板からLED最上部までの距離は1.8mm、LED最上部から光拡散板Bの入光面までの距離は11.5mmであった。
【0035】
(3−2)輝度の測定
2次元色彩輝度計(サイバネット社製、ProMetric)をLED光源バックライト評価装置から法線方向に1m離れた位置に設置し、画面中央部の300mm×300mmの範囲の正面輝度を測定した。
【0036】
(3−3)ランプムラ値Xの算出
上記で測定した300mm×300mm範囲の輝度データを用いて、ランプムラ値Xを算出した。以下にその算出方法を示す。
【0037】
300mm×300mm範囲の輝度データにおいて、LED直上の位置を画面の垂直方向に直線で結び、その直線上にある輝度データを画面中心に最も近い方から4本選択した。この4本の垂直方向輝度データを水平方向に平均化した。これにより、画面垂直方向におけるLED直上ラインの平均輝度分布が得られた。この平均輝度分布に対して移動平均を算出し、平均輝度分布を算出した移動平均で除した。得られた分布は画面全体にわたって存在する輝度のうねりによって規格化されたLED直上ラインの輝度分布である。そして、この規格化された輝度分布に対して標準偏差を算出した。
【0038】
次に、画面水平方向についても垂直方向と同様の手順で輝度データを選択し、平均輝度分布の算出を算出し、規格化された輝度分布を得た。また、標準偏差の算出も行った。
【0039】
最後に、上記で算出した垂直方向及び水平方向の標準偏差を平均し、得られた値をランプムラ値Xとした。ランプムラ値Xは小さいほどランプムラが見えにくく画面全体の明るさがより均一であることを表している。
また、ランプムラの評価は、以下の基準に従って、目視によっても行った。
目視ランク◎(目視でランプムラが全く見えない):X≦0.0035
目視ランク○(目視でランプムラがほとんど見えない):0.0035<X≦0.0050
目視ランク△(目視でランプムラが少し見える)0.0050<X≦0.0100
目視ランク×(目視でランプムラがはっきり見える):0.0100<X
【0040】
[実施例1]
(原板A)
透光性樹脂としてポリスチレン樹脂(PSジャパン社製、GPPS:屈折率1.59)を押出機に投入した。押出機で溶融混練された樹脂をシート用Tダイ金型で拡幅吐出し、3本の冷却ロールに巻きつけ、接触させることによって、板厚1.5mmのシートに成形した。
【0041】
(原板B)
透光性樹脂としてポリスチレン樹脂(PSジャパン社製、GPPS)100重量部に、拡散材としてシリコーン系架橋微粒子(信越化学社製、KMP、平均粒子径2μm)1重量部を配合し、押出機に投入した。押出機で溶融混練された樹脂をシート用Tダイ金型で拡幅吐出し、3本の冷却ロールに巻きつけ、接触させることによって、板厚1.5mmのシートに成形した。
【0042】
(プレス成形)
原板Aのシートを約150℃に加熱した後、表面に所定形状が掘り込まれた金型と、鏡面の金型と、でシートを挟み、シートの両面に金型を熱圧着して、図1に示す拡散板Aを得た。また、原板Bのシートも原板Aと同様にしてプレス成形し、図1に示す拡散板Bを得た。
【0043】
得られた拡散板A及び拡散板Bは、いずれも表面に複数の凸三角錐形状が周期的に配列していた。この凸三角錐の底面形状は一辺の長さが346μmの正三角形で、三角錐の側面の底面に対する傾斜角は55度、三角錐の高さは143μmであった。
【0044】
上記のようにして得られた拡散板A及び拡散板Bを、いずれも凸略三角錐形状が形成された面がLEDと相対する位置になり、かつ、拡散板BがLED側に近くなるように2枚を重ねて、図1に示すようにLED光源バックライト評価装置に配置した。LEDには光ピーク角度が80度、0度出光強度が5%である白色LEDを使用した。
【0045】
LED光源バックライト評価装置の輝度を測定し、ランプムラ値を算出したところ、ランプムラ値は0.0019で、目視でもランプムラはほとんど見えなかった。評価結果を表1に示す。
【0046】
[実施例1〜18]
実施例1で作製した拡散板A及び拡散板Bをそれぞれ表1に示した特性を有するLEDを使用して評価した。表1に示すように、実施例1乃至13に係るLEDと、拡散板A、Bと、の組み合わせを用いた場合、いずれもランプムラが良好に抑制された。実施例14乃至18に係るLEDと、拡散板A、Bと、の組み合わせを用いた場合は、わずかにランプムラが確認されたが、実用上問題とならないレベルであった。
【0047】
[実施例19〜36]
プレス金型を変更した以外は実施例1と同様にして、原板Aから拡散板A’を、原板Bから拡散板B’をそれぞれ作製した。各実施例で得られた拡散板は、いずれも表面に複数の凸三角錐形状が周期的に配列していた。この凸三角錐の底面形状は一辺の長さが346μmの正三角形で、三角錐の側面の底面に対する傾斜角は60度、三角錐の高さは173μmであった。得られた拡散板をそれぞれ表2に示す特性を有するLEDを使用して評価した。表2に示すように、実施例19乃至31に係るLEDと、拡散板A、Bと、の組み合わせを用いた場合、いずれもランプムラが良好に抑制された。実施例32乃至36に係るLEDと、拡散板A、Bと、の組み合わせを用いた場合は、わずかにランプムラが確認されたが、実用上問題とならないレベルであった。
【0048】
[比較例1]
実施例1と同様にして拡散板Bを作製した。拡散板Aと組み合わせずに、得られた拡散板Bを表1に示した特性を有するLEDを使用して評価した。結果、表3に示すように、ランプムラ値は0.0200であり、ランプムラがはっきりと見えた。
【0049】
[比較例2]
LEDにCree社製の光ピーク角度が、図8に示すように、0度である白色LED(LM6−EWN1−03−N3)を使用した以外は実施例1と同様にして評価を行った。結果、表3に示すように、ランプムラ値は0.0215であり、ランプムラがはっきりと見えた。
【0050】
[比較例3]
LEDにCree社製の光ピーク角度が、図8に示すように、0度である白色LED(LM6−EWN1−03−N3)を使用した以外は実施例3と同様にしてバックライト装置を作成して評価を行った。結果、表3に示すように、ランプムラ値は0.0233であり、ランプムラがはっきりと見えた。
【0051】
[実施例37]
実施例1で作製した拡散板A2枚と、拡散板B1枚と、を、いずれも凸略三角錐形状が形成された面がLEDと相対する位置で、かつ、拡散板BがLED側に最も近くなるように3枚を重ねて、光拡散板積層体2を作成した以外は実施例1と同様にバックライト装置を作成して評価を行った。結果、表3に示すように、ランプムラ値は0.0021であり、ランプムラは良好に抑制された。
【表1】

【表2】

【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と、
前記複数の光源の上方に配設される光拡散板積層体と、
を備える直下型バックライト装置であって、
前記光拡散板積層体は、それぞれ表面に凸型錐構造が賦形された少なくとも2枚の光拡散板を備え、
前記少なくとも2枚の光拡散板は、前記凸型錐構造の向きが同じとなるように積み重ねられており、且つ、
前記少なくとも2枚の光拡散板は、前記凸型錐構造の頂点が前記光源と対向するように配置されており、更に、
前記複数の光源のそれぞれの光ピーク角度が、±30〜89°である、直下型バックライト装置。
【請求項2】
前記光源の光ピーク角度における出光強度をEp、0度の出光強度をE0とした時の、
E0/Epの値が2%以上50%以下である、請求項1に記載の直下型点光源バックライト装置。
【請求項3】
前記E0/Epの値が3%以上10%以下である、請求項2に記載の直下型バックライト装置。
【請求項4】
前記点光源の光ピーク角度が±70〜85°である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の直下型バックライト装置。
【請求項5】
前記光拡散板積層体を構成する前記2枚の光拡散板が接している、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の直下型バックライト装置。
【請求項6】
前記凸型錐構造が凸型三角錐構造である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の直下型バックライト装置。
【請求項7】
前記凸型三角錐構造の側面の底面に対する傾斜角が30度以上70度以下である、請求項6に記載の直下型バックライト装置。
【請求項8】
前記凸型三角錐構造の側面の底面に対する傾斜角が55度以上60度以下である、請求項7に記載の直下型バックライト装置。
【請求項9】
前記光源が点光源である、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の直下型バックライト装置。
【請求項10】
表面に凸型錐構造が賦形された2枚の光拡散板を前記凸型錐構造の向きが同じとなるように積み重ねた、光ピーク角度が±30〜89°の光源用光拡散板積層体。
【請求項11】
前記凸型錐構造の側面の底面に対する傾斜角が30度以上70度以下の三角錐構造である、請求項10に記載の光源用光拡散板積層体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−209087(P2012−209087A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72989(P2011−72989)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【Fターム(参考)】