説明

光源カバーおよび照明装置

【課題】樹脂を用いて構成され、優れた光拡散性を有する光源カバーを提供し、その光源カバーを有する照明装置を提供する。
【解決手段】光源カバー1を、透光性の樹脂2に、屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子3を配合した光拡散層4を用いて構成する。光拡散層4は、透光性の樹脂基材上に配設してもよい。粒子3としては、中空粒子、コアシェル粒子または異形粒子を用いる。そして、光源カバー1と光源とを用いて照明装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源をカバーする光源カバーおよびそれを用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、住宅や店舗等の照明として、蛍光灯等の光源と安定器等とを備えた照明装置を天井に設置することや、照明装置を電線を介して天井から吊るして設置することが行われている。
【0003】
光源からの光を損失無く利用するためには、光源を露出させたまま使用する露出光源が最適である。しかし、破損時の危険を防止することや、照明の装飾効果を図ることを目的として、照明装置に、光源をカバーする光源カバーを取付けることが一般に行われている。
【0004】
こうした光源のカバーに用いられる光源カバーは、照明装置や表示灯の分野では照明カバーと称され、乳白ガラスや乳白状の樹脂を用いて構成されてきた。
光源カバーに乳白ガラス等のガラスを使用する場合、割れやすく重量が比較的重いという問題がある。そのため、光源カバーの分野において、耐衝撃性に優れ軽量化が可能な樹脂を用いる技術が注目されている。
【0005】
特許文献1には、ポリカーボネート樹脂100重量部、平均粒子径が5μm〜30μmのポリスチレン系粒子0.1重量部〜15重量部および光拡散剤0.001重量部〜6.0重量部からなるポリカーボネート樹脂組成物を成形して構成される照明カバーが記載されている。そして、特許文献1には、形成される照明カバーが、ポリカーボネート樹脂の優れた透明性を損なうことなく高い透明性を維持し、かつ光源が透けて見えないという性質を有することが記載されている。
【0006】
上述の特許文献1に記載の照明カバーが、透光性のポリカーボネート樹脂を成形して1層で照明カバーを構成するのに対し、透明樹脂層の上に光拡散層を配置して構成された積層構造の照明カバーも知られている。
【0007】
特許文献2には、2種類以上の層が積層された積層板からなる照明カバーであって、積層板が、光拡散剤を含有させた透明樹脂からなる光拡散層と、透明樹脂からなる透明樹脂層とを有してなる照明カバーが記載されている。光拡散剤としては、有機微粒子の他、硫酸バリウムや酸化チタン等の無機微粒子が開示されている。そして、特許文献2には、形成される照明カバーが、高級感のある外観・質感と高い光線透過率を有することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2010−277702号公報
【特許文献2】特開平2005−276566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、LED(Light Emitting Diode)、特に白色LEDの登場によって、光源にLEDを用いたLED照明装置等の開発が盛んに行われるようになっている。LED照明装置は、LED光源が高輝度、長寿命および省エネルギーといった特徴を有することから、今後ますますの発展が期待されている。
【0010】
しかし、LED光源は、蛍光灯に比べ指向性が強いという特徴も併せ持っている。LEDを照明光源として用いる場合には、通常、光の直進性を抑えて、眩しさや光源が透けて見えてしまう性質を緩和させる手段が必要となる。そのため、LED光源を用いて照明装置等を構成する場合、光源カバーとの組み合わせが求められる。その場合、光源カバーは、耐衝撃性等の信頼性や高い透明性を有するだけではなく、優れた光拡散性を備えて、光源が透けて見えない性質を実現することが求められる。
【0011】
しかしながら、従来の照明カバー等の光源カバーは、光拡散性が不十分であり、高い透明性と光源が透けて見えない性質とを十分なレベルで両立することができなかった。
そこで、光拡散性に優れ、LED光源等にも適用可能な光源カバーが求められている。そして、その光源カバーは、割れにくく軽量な光透過性の樹脂を用いて構成されることが好ましい。また、そのような光源カバーを有する照明装置が求められている。
【0012】
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、樹脂を用いて構成され、優れた光拡散性を有する光源カバーを提供することにある。
【0013】
また、本発明の目的は、樹脂を用いて構成され、優れた光拡散性を有する光源カバーを有する照明装置を提供することである。
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の態様は、透光性の樹脂に、屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子を配合した光拡散層を用いて構成されることを特徴とする光源カバーに関する。
【0015】
本発明の第1の態様において、光拡散層を透光性の樹脂基材の上に配置して構成されることが好ましい。
【0016】
本発明の第1の態様において、屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子は、中空粒子であって、
屈折率の異なる物質の一方が、第1の重合体を含むことが好ましい。
【0017】
本発明の第1の態様において、中空粒子は、粒子径が0.4μm〜5μmであることが好ましい。
【0018】
本発明の第1の態様において、第1の重合体を含む物質は、トルエン不溶分を40質量%以上含有することが好ましい。
【0019】
本発明の第1の態様において、屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子は、コア粒子と、そのコア粒子の少なくとも一部を被覆するシェル層とを有するコアシェル粒子であって、
コア粒子は、第2の重合体を含み、
シェル層は、第3の重合体を含むことが好ましい。
【0020】
本発明の第1の態様において、コアシェル粒子は、粒子径が0.8μm〜10μmであることが好ましい。
【0021】
本発明の第1の態様において、第2の重合体に含まれる単量体単位の少なくとも1種が、第3の重合体に含まれる単量体単位と異なることが好ましい。
【0022】
本発明の第1の態様において、第2の重合体が、
(a1)芳香族ビニル系単量体単位を20質量%〜98質量%、
(a2)極性官能基含有単量体単位を0質量%〜40質量%、
(a3)多官能単量体単位を0質量%〜40質量%、および
(a4)その他の単量体単位を0質量%〜10質量%
(但し、(a1)+(a2)+(a3)+(a4)=100質量%)を含むことが好ましい。
【0023】
本発明の第1の態様において、第3の重合体が、
(b1)芳香族ビニル系単量体単位を0質量%〜90質量%、
(b2)(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を10質量%〜100質量%、
(b3)多官能単量体単位を0質量%〜40質量%、および
(b4)その他の単量体単位を0質量%〜10質量%
(但し、(b1)+(b2)+(b3)+(b4)=100質量%)
を含むことが好ましい。
【0024】
本発明の第1の態様において、屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子は、第1の粒子と、その第1の粒子の表面の少なくとも一部に配置された第2の粒子とを有する、数平均粒子径が0.3μm〜8μmの異形粒子であって、
第1の粒子は、第4の重合体を含み、
第2の粒子は、第5の重合体を含むことが好ましい。
【0025】
本発明の第1の態様において、第1の粒子の数平均粒子径(La)と、第2の粒子の数平均粒子径(Lb)との比の値が、(La)/(Lb)=0.05〜20.0であることが好ましい。
【0026】
本発明の第1の態様において、第4の重合体および第5の重合体がともに、
(m1)芳香族ビニル系単量体単位、および
(m3)その他の単量体単位
を含有することが好ましい。
【0027】
本発明の第1の態様において、第4の重合体が、さらに
(m2)極性官能基含有単量体単位
を含有することが好ましい。
【0028】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の光源カバーと、
光源とを有することを特徴とする照明装置に関する。
【発明の効果】
【0029】
本発明の第1の態様によれば、軽量な樹脂を用いて構成され、優れた光拡散性を有する光源カバーが提供される。
【0030】
本発明の第2の態様によれば、軽量な樹脂を用い、優れた光拡散性を有する光源カバーを有する照明装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1実施形態の光源カバーの構造を模式的に示す断面図である。
【図2】第1実施形態で用いるコアシェル粒子の一例の構造を示す模式的な断面図である。
【図3】第1実施形態で用いる異形粒子の形状の第1の例を示す模式的な断面図である。
【図4】第1実施形態で用いる異形粒子の形状の第2の例を示す模式的な断面図である。
【図5】第1実施形態で用いる異形粒子の形状の第3の例を示す模式的な断面図である。
【図6】第1実施形態で用いる異形粒子の形状の第4の例を示す模式的な断面図である。
【図7】第1実施形態で用いる異形粒子の形状の第5の例を示す模式的な断面図である。
【図8】第1実施形態で用いる異形粒子の形状の第6の例を示す模式的な断面図である。
【図9】第2実施形態の光源カバーの構造を模式的に示す断面図である。
【図10】第3実施形態の照明装置の一例である照明管の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、透光性の樹脂に、屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子を配合した光拡散層を用いて構成される光源カバーに関する。そして、その光源カバーと光源とを用いて構成された照明装置に関する。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0033】
実施形態1.
図1は、本発明の第1実施形態の光源カバーの構造を模式的に示す断面図である。
【0034】
本実施の形態の光源カバー1は、光源(図示されない)を保護するとともに、光源からの光を拡散させる光拡散性を備えた光源カバーである。光源カバー1は、透光性の樹脂2に、屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子3を配合した光拡散層4からなる。
【0035】
すなわち、本発明の第1実施形態の光源カバー1は、1層の光拡散層4から構成されている。光拡散層4は、後述するように特徴のある構造の粒子3を樹脂2中に分散させて構成されており、光拡散層4における優れた光拡散性を実現する。
【0036】
光拡散層4を構成する樹脂2は、粒子3が配合され、粒子3を分散させて保持する。すなわち、粒子3の間を繋いで粒子3の分散一体化を実現するためのバインダ材としての機能も備える。そして、樹脂2は、光源からの光を透過させる光透過性を備えるとともに、光拡散層4を構成し、ひいては光源カバー1を構成するために、耐衝撃性や耐熱性等の信頼性を有する。
【0037】
そうした光源カバー1を構成するための樹脂2としては、ポリカーボネート樹脂やポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂等のアクリル樹脂等を挙げることができる。
光源カバー1の構成に好ましい樹脂であるポリカーボネート樹脂について、次に説明する。
【0038】
〔ポリカーボネート樹脂〕
本実施の形態の光源カバー1の樹脂2として使用されるポリカーボネート樹脂としては、特に限定されるものではなく、樹脂の技術分野で知られている任意の芳香族ホモポリカーボネートまたはコポリカーボネートを用いることができる。ポリカーボネート成分は、例えば、界面重縮合法、均一相における重縮合法またはエステル交換法等、樹脂の技術分野で一般に知られている方法の何れに従って製造されてもよい。これらの方法および関連する反応物、ポリマー、触媒、溶媒および条件は、この樹脂の技術分野で周知であり、米国特許第2,964,974号,第2,970,137号,第2,999,835号,第2,999,846号,第3,028,365号,第3,153,008号,第3,187,065号,第3,215,668号,第3,258,414号および第5,010,162号に記載されている。適当なポリカーボネートは、例えば、下記のビスフェノール類の1種またはそれ以上に基づいている:ジヒドロキシジフェニル類、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド類、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル類、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン類、アルキルシクロヘキシリデンビスフェノール類、α,α−ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン類、これらの核がアルキル化された誘導体或いは核がハロゲン化された誘導体、およびこれらの混合物である。
【0039】
これらのビスフェノール類の具体例は、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、α,α−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンである。特に好ましいビスフェノールは、より一般的にはビスフェノールAとして知られている2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである。上記ビスフェノール類をホスゲンと反応させ、芳香族ポリカーボネートを製造し得る。適当なポリカーボネートはまた、米国特許第4,677,162号にも述べられている。
【0040】
樹脂2として使用されるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、1万〜10万であり、好ましくは1.5万〜3.5万、より好ましくは1.7万〜2.8万である。
【0041】
次に、本実施の形態の光源カバー1の光拡散層4の構成に用いられる、屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子3について説明する。
【0042】
〔粒子〕
本実施の形態の光源カバー1は、LED光源等にも適用できるように、優れた光拡散性を有する。光源カバー1は、そうした優れた光拡散性を実現するため、光源カバー1を構成する光拡散層4を、樹脂2と、それに配合されて分散された粒子3とから構成する。
【0043】
従来、こうした光源カバーの光拡散を目的とする層の形成に用いられる粒子は、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、ガラスビーズ等、各部の組成が実質的に等しい均一な物質からなり、実質的に均一な構造のものが使用されてきた。そして、それら粒子を用いた光拡散を目的とする層を有する従来の光源カバーでは、粒子とそれを分散させる樹脂等の材料との界面またはその粒子と空気との間に形成される界面を利用し、それら界面で光を屈折または反射させて、光の拡散を実現してきた。
【0044】
本実施の形態の光源カバー1では、従来技術と異なって、光拡散層4に含有される粒子3が、屈折率の異なる複数の物質を用いて構成されている。すなわち、粒子3は、後に構造について詳述するように、屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子を構成し、全体として粒子形状を有している。上述の屈折率の異なる物質は、例えば、それぞれ異なる成分からなる物質である。粒子3は、従来の光源カバーの光拡散を目的とする層に用いる粒子には無い、新たな界面を内部に有していることになる。
【0045】
したがって、粒子3を用いた光拡散層4を有する本実施の形態の光源カバー1では、それを構成する光拡散層4において光を拡散させるに際し、粒子3と樹脂2との界面および粒子3と空気との界面に加え、新たに設けられた粒子3の有する界面を利用することができる。そして、光源カバー1は、より多く形成された界面を利用して、光拡散層4での効率的な光の拡散を実現する。その結果、光源カバー1では、光源からの光の高効率な拡散を実現する。
【0046】
粒子3の配合量は、樹脂100質量%に対して、0.1質量%〜20質量%である。配合量が0.1質量%未満では、光拡散層4において充分な光拡散性が実現されないので好ましくない。一方、20重量%を超えると、光拡散層4からなる光源カバー1の透過率が著しく低くなるので好ましくない。
以下、本実施の形態の光源カバー1を構成する光拡散層4の形成に用いられる粒子3の構造について図面を用いて説明する。
【0047】
<中空粒子>
本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有される粒子の例として、中空粒子を挙げることができる。この中空粒子は、上述した屈折率の異なる物質の一方が、重合体を含む物質であり、他方の物質が、例えば、空気からなって、屈折率の異なる物質同士の界面を内部に有している。
【0048】
この中空粒子の、第1の重合体を含む物質は、トルエン不溶分を40質量%以上含有する。
トルエン不溶分とは、中空粒子をトルエンに溶解させたときに、溶解せずに残存する分をいう。測定は、以下の方法により行う。
【0049】
(トルエン不溶分測定法)
中空粒子約1gを採取して精密秤量し((w1)g)、100mLのトルエンに浸漬させ、80℃で6時間攪拌後、遠心分離器を用いて15000rpmで30分間遠心分離し、分離液の一部((v)mL)を採取後、蒸発乾燥固化させ、得られた残存固形分(トルエン可溶分(w2)g)を秤量し、下記式によりトルエン不溶分を算出する。

【0050】
中空粒子に含有されるトルエン不溶分は、上述のように40質量%以上であり、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。40質量%未満であると、光拡散層における光拡散性が低くなり、さらに異物が生じやすくなる。異物とは、中空粒子の凝集体であり、通常、中空粒子の体積平均粒子径(外径)の10倍以上の直径を有する固体であることから、光学物品の塗膜中に光学顕微鏡で観察することができる。光拡散層中に異物が存在すると、光学的なムラ(輝点)となることがある。光拡散層中の中空粒子による異物は、好ましくは10cm当たり10個以下、さらに好ましくは2個以下、最も好ましくは1個未満である。
【0051】
本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層では、光源からの光の拡散性をより高めるために、中空粒子の外径が0.4μm〜5μmであることが好ましい。外径は、0.4μm〜4μmであることがより好ましく、0.4μm〜3μmであることがさらに好ましく、0.5μm〜2μmであることが特に好ましい。
【0052】
本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に用いる中空粒子の製造方法は、以下のようにして行うことができる。
特定のモノマー(第1重合性モノマー)(α)を水性媒体中で乳化重合させて第1ポリマー粒子(i)の分散体を調製し、次いで、第1ポリマー粒子(i)の表層を特定の第2重合性モノマー(β)に由来する第2ポリマーと未反応の第2重合性モノマー(β)を含むシェル層で被覆させたコアシェル状のポリマー粒子(ii)の分散体を調製し、次いで、コアシェル状のポリマー粒子(ii)の分散体のpHを揮発性塩基によって7以上(25℃換算値)に調整し、コアシェル状のポリマー粒子(ii)を中和膨潤させて、架橋中空ポリマー粒子水分散体(iii)を調製する。この架橋中空ポリマー粒子水分散体(iii)を乾燥させることにより、重合体を含む物質と空気という、異なる物質からなる中空粒子を得る。
【0053】
第1重合性モノマー(α)は、不飽和カルボン酸(α−1)(以下、「モノマー(α−1)」と言うことがある。)およびラジカル重合性モノマー(α−2)(以下、「モノマー(α−2)」と言うことがある。)からなる。
【0054】
モノマー(α−1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のモノまたはジカルボン酸、前記ジカルボン酸の酸無水物等を挙げることができる。
【0055】
モノマー(α−2)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族モノマー、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
【0056】
第1ポリマー粒子(i)の表層を特定の第2重合性モノマー(β)に由来する第2ポリマーと未反応の第2重合性モノマー(β)を含むシェル層で被覆させたコアシェル状のポリマー粒子(ii)の分散体を調製する方法については、次のようにして行うことが可能である。
【0057】
第2重合性モノマー(β)は、架橋性ラジカル重合性モノマー(β−1)(以下、「モノマー(β−1)」と言うことがある。)10質量%〜80質量%、不飽和カルボン酸(β−2)(以下、「モノマー(β−2)」と言うことがある。)0質量%〜20質量%およびモノマー(β−1)と共重合可能な他のラジカル重合性モノマー(β−3)(以下、「モノマー(β−3)」と言うことがある。)0質量%〜90質量%からなる。
上述の第1ポリマー粒子(i)を調製した後に、第1ポリマー粒子(i)5質量部〜1000質量部の存在下で、第2重合性モノマー(β)100質量部を水性溶媒中で乳化重合させて、第1ポリマー粒子(i)の表層に第2重合性モノマー(β)に由来する第2ポリマーと未反応の第2重合性モノマー(β)を含むシェル層を被覆させたコアシェル状のポリマー粒子(ii)の分散体を調製する。
【0058】
モノマー(β−1)としては、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジシクロペンタジエン、ブタジエン、イソプレン、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の架橋性ラジカル重合性モノマーを用いることができる。
【0059】
モノマー(β−2)としては、前述したモノマー(α−1)の例として示した不飽和カルボン酸と同じものを用いることができ、中でも、粒子の安定性の観点から、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等が好ましい。
【0060】
モノマー(β−3)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のモノエチレン性芳香族化合物、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の非架橋性ラジカル重合性モノマーを用いることができる。中でも、スチレン等のモノエチレン性芳香族化合物が好ましい。
【0061】
尚、中空粒子の製造方法の詳細については、再公表WO2005/071014号パンフレットに記載された方法に従うことが望ましい。
【0062】
<コアシェル粒子>
本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有される粒子の例として、コア粒子と、そのコア粒子の少なくとも一部を被覆するシェル層とを有するコアシェル粒子を挙げることができる。
このコアシェル粒子は、コア粒子が第2の重合体を含み、シェル層が第3の重合体を含んでおり、屈折率の異なる物質同士の界面を内部に有している。
尚、コア粒子に含有される重合体を第2の重合体と称し、シェル層に含有される重合体を第3の重合体と称して、上述した中空粒子を構成する物質に含有される重合体と区別する。
【0063】
図2は、本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に用いるコアシェル粒子の一例の構造を示す模式的な断面図である。
【0064】
コアシェル粒子11は、第2の重合体を含むコア粒子12と、コア粒子12の表面の少なくとも一部を被覆し、その厚みが0.1μm〜2.0μmの範囲である、第3の重合体を含むシェル層13とを有し、その平均粒子径が、0.8μm〜10μmであるものである。尚、コアシェル粒子11では、図2に示す例のように、シェル層13が、コア粒子12の全表面を被覆する構造であってもよい。本実施の形態の光源カバーは、それを構成する光拡散層に、このようなコアシェル粒子11を含有させることにより、優れた光拡散性を実現することができる。
【0065】
(コア粒子)
本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に用いる、コアシェル粒子を構成するコア粒子は、上述のように、第2の重合体を含んで構成されるものである。そして、コア粒子は、第2の重合体からなることが好ましい。第2の重合体としては、具体的には、スチレン系重合体、スチレン−ブタジエン共重合体等のスチレン系重合体や、アクリルエステル系重合体等を挙げることができる。
【0066】
第2の重合体は、その重量平均分子量が、10万以上であることが好ましく、20万以上であることがより好ましく、50万以上であることがさらに好ましい。上記重量平均分子量が10万未満であると、第3の重合体を重合する際に、この第3の重合体が第2の重合体内部にまで含浸してしまうため、明確なコアシェル構造にならないおそれがある。ここで、本明細書において「重量平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法にてポリスチレンを標準物質として測定される値である。
【0067】
コア粒子は、その平均粒子径が、0.3μm〜4.0μmであり、0.5μm〜2.0μmであることが好ましく、0.8μm〜1.5μmであることがより好ましい。上記平均粒子径はコア粒子10個のSEM写真の撮影により評価できる。平均粒子径が、0.3μm未満であると、コアシェル粒子を含む光拡散層からなる光源カバーにおいて、優れた光拡散性を実現できなくなることがある。一方、4.0μmを超えると、重合安定性が悪化するおそれがある。
【0068】
第2の重合体は、(a1)芳香族ビニル系単量体単位(以下、「構成単位(a1)」と言う場合がある。)、(a2)極性官能基含有単量体単位(以下、「構成単位(a2)」と言う場合がある。)、(a3)多官能単量体単位(以下、「構成単位(a3)」と言う場合がある。)、および(a4)その他の単量体単位(以下、「構成単位(a4)」と言う場合がある。)を所定の割合で含むものであることが好ましい。
【0069】
((a1)芳香族ビニル系単量体単位)
構成単位(a1)を構成するために用いられる芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−エトキシスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、4−クロロ−3−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等を挙げることができる。これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル系単量体は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0070】
上記構成単位(a1)の割合は、構成単位(a1)、構成単位(a2)、構成単位(a3)、および構成単位(a4)の合計を100質量%とした場合に、20質量%〜98質量%であることが好ましく、25質量%〜95質量%であることがより好ましく、40質量%〜90質量%であることがさらに好ましい。第2の重合体に含まれる構成単位(a1)の割合が20質量%未満であると、コア粒子とシェル層との屈折率の差が小さくなり、コアシェル粒子を含む光拡散層からなる光源カバーにおいて、優れた光拡散性を実現できなくなることがある。一方、98質量%を超えると、重合安定性が悪化するおそれがある。
【0071】
((a2)極性官能基含有単量体単位)
構成単位(a2)を構成するために用いられる極性官能基含有単量体は、その分子中に極性官能基を有する単量体である。この極性官能基としては、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、グリシジル基、エステル基等を好適例として挙げることができる。これらの中でも、重合安定性に寄与するという観点から、カルボキシル基または水酸基を有する単量体が好ましい。尚、以下に例示する単量体は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0072】
カルボキシル基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、へキサヒドロフタル酸モノ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル等のカルボキシル基含有不飽和単量体、およびその無水物類等を挙げることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0073】
シアノ基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、クロトンニトリル、ケイ皮酸ニトリル等のシアン化ビニル系単量体;2−シアノエチル(メタ)アクリレート、2−シアノプロピル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの中でも、(メタ)アクリロニトリルが好ましい。
【0074】
水酸基を有する単量体としては、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(シクロ)アルキルモノ(メタ)アクリレート類;3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の置換ヒドロキシ(シクロ)アルキルモノ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。これらの中でも、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0075】
グリシジル基を有する単量体としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジルメチルアクリレート、エポキシ化シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの中でも、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0076】
エステル基を有する単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、p−メトキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類等を挙げることができる。これらの中でも、メチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0077】
上記構成単位(a2)の割合は、構成単位(a1)、構成単位(a2)、構成単位(a3)、および構成単位(a4)の合計を100質量%とした場合に、0質量%〜40質量%であることが好ましく、4質量%〜35質量%であることがより好ましく、8質量%〜30質量%であることがさらに好ましい。
【0078】
((a3)多官能単量体単位)
構成単位(a3)を構成するために用いられる多官能単量体は、例えば、ジビニルベンゼンに代表される非共役ビニル化合物、あるいはトリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPMA)に代表される多価アクリレート化合物等の、少なくとも2個以上の共重合性二重結合を有するモノマーを好ましい例として挙げることができる。
【0079】
また、前記多価アクリレート化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート等のジアクリレート化合物、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等のトリアクリレート類、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート等のジメタクリレート類、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート類等が挙げられる。以上のうち、特に、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等を好ましい例として挙げることができる。
【0080】
さらに、これらの中でも、重合安定性の観点から、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましい。尚、これらの単量体は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0081】
上記構成単位(a3)の割合は、構成単位(a1)、構成単位(a2)、構成単位(a3)、および構成単位(a4)の合計を100質量%とした場合に、0質量%〜40質量%であることが好ましく、5質量%〜35質量%であることがより好ましく、10質量%〜20質量%であることがさらに好ましい。第2の重合体に含まれる構成単位(a3)の割合が40質量%を超えると、重合安定性が悪化するおそれがある。
【0082】
((a4)その他の単量体単位)
第2の重合体は、上述した各種単量体と共重合可能なその他の単量体からなる単量体単位を含有していてもよい。この構成単位(a4)を構成するその他の単量体としては、例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド等のN−メチロール化不飽和カルボン酸アミド類;2−ジメチルアミノエチルアクリルアミド等のアミノアルキル基含有アクリルアミド類;(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等の不飽和カルボン酸のアミド類またはイミド類;N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等のN−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド類;2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル基含有(メタ)アクリレート類;2−(ジメチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート等のアミノアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレート類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、脂肪酸ビニルエステル等のハロゲン化ビニル化合物類;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等の共役ジエン化合物類等を挙げることができる。
尚、これらの単量体は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0083】
(シェル層)
本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有される、コアシェル粒子のシェル層は、上述のように、コア粒子の表面の少なくとも一部を被覆し、その厚みが0.1μm〜2.0μmの範囲であるシェル層である。シェル層は、第3の重合体を含んで構成される。特に、シェル層は、第3の重合体からなることが好ましい。こうしてシェル層を形成することにより、コアシェル粒子を含む光拡散層からなる光源カバーにおいて、優れた光拡散性を実現することができる。
【0084】
コアシェル粒子において、シェル層は、その厚みが0.1μm〜2.0μmの範囲であり、0.2μm〜1.5μmの範囲であることが好ましく、0.2μm〜1.0μmの範囲であることがより好ましい。シェル層の厚みが0.1μm未満であると、シェル層が薄すぎるため部分的にシェル層が形成されない箇所が生じやすくなるおそれがある。一方、2.0μmを超えると、光がコア粒子との界面に達する前に減衰し、コア粒子との界面からの光が得られないおそれがある。尚、シェル層の厚みは、コアシェル粒子10個についてSEM写真を撮影し、それらの画像解析を行うことにより測定した値を言うものとする。
【0085】
シェル層を構成する第3の重合体は、その重量平均分子量が、5万以上であることが好ましく、10万以上であることがより好ましく、20万以上であることがさらに好ましい。上記重量平均分子量が5万未満であると、光源カバーを構成する光拡散層の耐熱性、耐溶剤性が不十分になるおそれがあり、ひいては、光源カバーの耐熱性、耐溶剤性が不十分になるおそれがある。
【0086】
第3の重合体は、(b1)芳香族ビニル系単量体単位(以下、「構成単位(b1)」と言うことがある。)、(b2)(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(以下、「構成単位(b2)」と言うことがある。)、(b3)多官能単量体単位(以下、「構成単位(b3)」と言うことがある。)、および(b4)その他の単量体単位(以下、「構成単位(b4)」と言うことがある。)を所定の割合で含むものであることが好ましい。
【0087】
(b1)芳香族ビニル系単量体単位は、上述した(a1)芳香族ビニル系単量体単位と同様のものを好適に用いることができる。構成単位(b1)の割合は、構成単位(b1)、構成単位(b2)、構成単位(b3)、および構成単位(b4)の合計を100質量%とした場合に、0質量%〜90質量%であることが好ましく、0〜80質量%であることがより好ましく、0質量%〜70質量%であることがさらに好ましい。第3の重合体に含まれる構成単位(b1)の割合が、90質量%を超えると、コア粒子とシェル層との屈折率の差が小さくなり、コアシェル粒子を含む光拡散層からなる光源カバーにおいて、優れた光拡散性を実現することができなくなることがある。
【0088】
構成単位(b2)を構成するために用いられる(メタ)アクリル酸エステル単量体は、例えば、メチルメタクリレート(MMA)、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、p−メトキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類等を挙げることができる。これらの中でも、メチルメタクリレートが好ましい。
【0089】
コア粒子の構成に用いられる第2の重合体の屈折率は、シェル層の構成に用いられる第3の重合体の屈折率と異なることが好ましい。その結果、コア粒子の屈折率と、シェル層の屈折率とが異なることが好ましい。
【0090】
尚、コア粒子が第2の重合体からなり、シェル層が第3の重合体からなる場合、(a)コア粒子および(b)シェル層の屈折率は、以下のように測定した値である。まず、第2の重合体および第2の重合体にそれぞれ含有される各単量体単位によって構成される各重合体を合成し、合成した各重合体をそれぞれ基材上に塗工し、70℃にて2分間乾燥させて、厚さ10μmのフィルムをそれぞれ形成する。その後、形成したフィルムの屈折率をアッベ屈折率計にて測定する。測定される上記各重合体の屈折率(フィルムの屈折率)を用い、各単量体単位を構成する各単量体の、第2の重合体および第3の重合体中のそれぞれの混合比率から算出する。
【0091】
例えば、第2の重合体((a)コア粒子)の屈折率は、以下のように測定することができる。まず(a1)芳香族ビニル系単量体を単独で重合させて得られる重合体(以下、「(a1)重合体」と言うことがある。)、(a2)極性官能基含有単量体を単独で重合させて得られる重合体(以下、「(a2)重合体」と言うことがある。)、および(a3)多官能単量体を単独で重合させて得られる重合体(以下、「(a3)重合体」と言うことがある。)を製造(合成)する。その後、これら(a1)〜(a3)重合体をそれぞれ基材上に塗工して70℃にて2分間乾燥させて、厚さ10μmの(a1)〜(a3)重合体からなる(a1)〜(a3)フィルムを作製する。作製した(a1)〜(a3)フィルムについて、アッベ屈折率計にてそれぞれの屈折率X,Y,Zを測定する。そして、それぞれの屈折率X,Y,Zと、第2の重合体の製造に用いる(a1)〜(a3)の各単量体の混合比率x,y,zとから下記式に従って算出する。
【0092】

【0093】
(b3)多官能単量体単位、および(b4)その他の単量体単位は、それぞれ、上述した(a3)多官能単量体単位、および(a4)その他の単量体単位と同様のものを同様の割合で好適に用いることができる。
【0094】
本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に用いるコアシェル粒子は、その平均粒子径が、0.8μm〜10μmであり、1.0μm〜8.0μmであることが好ましく、2.0μm〜5.0μmであることがより好ましい。コアシェル粒子の平均粒子径が、0.8μm未満であると、コアシェル粒子を含む光拡散層からなる光源カバーにおいて、優れた光拡散性を実現することができなくなるおそれがある。一方、10μmを超えると、コアシェル粒子が大き過ぎ、光拡散層中に分散されるコアシェル粒子の数が少なくなるため、やはり、コアシェル粒子を含む光拡散層からなる光源カバーにおいて、優れた光拡散性を実現することができなくなるおそれがある。
【0095】
尚、コアシェル粒子の平均粒子径は、そのSEM写真の画像解析を行うことにより測定した値を言うものとする。具体的には、少なくとも10個のコアシェル粒子のSEM写真を撮影し、コアシェル粒子の最も長い径(全体粒子最長径)をそれぞれ計測し、この全体粒子最長径の平均値を「コアシェル粒子の平均粒子径」とする。
【0096】
本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に用いるコアシェル粒子は、第2の重合体の組成と第3の重合体の組成が、同一であっても異なっていてもよいが、第2の重合体に含まれる単量体単位の少なくとも1種が、第3の重合体に含まれる単量体単位と異なっていることが好ましい。すなわち、その場合には、コアシェル粒子を構成する単量体単位のうち少なくとも1種は、第2の重合体と第3の重合体のいずれか一方の重合体にのみ含まれていることになる。このようにすることにより、その内部で屈折率差を有する粒子が得られる。すなわち、粒子内部に異組成界面を形成することができる。
【0097】
(コアシェル粒子の製造方法)
本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に用いるコアシェル粒子は、例えば、コア粒子をシードポリマー粒子とし、シェル層をシード重合により形成することができる。具体的には、特開2008−209855号公報に記載された方法に従って製造することができる。
【0098】
<異形粒子>
本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有される粒子の例として、第1の粒子と、その第1の粒子の表面の少なくとも一部に配置された第2の粒子とを有する異形粒子を挙げることができる。
【0099】
この異形粒子は、数平均粒子径が、0.3μm〜8μmであることが好ましい。そして、この異形粒子は、コア粒子が第4の重合体を含み、シェル層が第5の重合体を含んでおり、屈折率の異なる物質同士の界面を内部に有している。
【0100】
尚、第1の粒子に含有される重合体を第4の重合体と称し、第2の粒子に含有される重合体を第5の重合体と称して、上述した中空粒子を構成する物質に含有される重合体やコアシェル粒子を構成する重合体と区別する。
このような異形粒子は、本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有されて、優れた光拡散性を実現することができる。
【0101】
(第1の粒子)
本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有される異形粒子において、それを構成する第1の粒子は、第4の重合体を含んで構成される。特に、第1の粒子は、第4の重合体からなることが好ましい。この第4の重合体は、水溶解度が10−2質量%以下の有機化合物を含有する油溶性重合開始剤を吸収可能なシードポリマー粒子であることが好ましい。具体的には、スチレン系重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体等の芳香族ビニル化合物系粒子であることが好ましい。
【0102】
(第2の粒子)
本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に用いる異形粒子において、それを構成する第2の粒子は、上述した第1の粒子の表面の少なくとも一部に配置され、第5の重合体を含有して構成される粒子である。特に、第2の粒子は、第5の重合体からなることが好ましい。
【0103】
(第4の重合体および第5の重合体に含まれる構成単位)
上述した第4の重合体および第5の重合体は共に、例えば、構成単位として、(m1)芳香族ビニル系単量体単位(以下、「構成単位(m1)」と言うことがある。)、および(m3)その他の単量体単位(以下、「構成単位(m3)」と言うことがある。)を含むものであることが好ましい。
【0104】
((m1)芳香族ビニル系単量体単位)
構成単位(m1)を構成するために用いられる芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−エトキシスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、4−クロロ−3−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等を挙げることができる。これらの中でも、スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル系単量体は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0105】
((m3)その他の単量体単位)
第4の重合体には、必要に応じて、前述の各種単量体と共重合可能なその他の単量体からなる単量体単位(構成単位(m3)とも言う。)が含まれていてもよい。この構成単位(m3)を構成するその他の単量体としては、例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド等のN−メチロール化不飽和カルボン酸アミド類;2−ジメチルアミノエチルアクリルアミド等のアミノアルキル基含有アクリルアミド類;(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等の不飽和カルボン酸のアミド類またはイミド類;N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等のN−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド類;2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル基含有(メタ)アクリレート類;2−(ジメチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、等のアミノアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレート類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、脂肪酸ビニルエステル等のハロゲン化ビニル化合物類;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等の共役ジエン化合物類、
【0106】
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、p−メトキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類等のエステル基含有化合物類を挙げることができる。
【0107】
(構成単位(m1)、(m3)の割合)
第4の重合体に含まれる構成単位(m1)の割合は、第4の重合体に含まれる全構成単位の合計を100質量%とした場合に、60質量%〜98質量%であることが好ましく、65質量%〜95質量%であることがより好ましく、70質量%〜90質量%であることがさらに好ましい。第4重合体に含まれる構成単位(m1)の割合が60質量%未満であると、本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有されて、優れた光拡散性を実現することができなくなる場合がある。一方、98質量%を超えると、異形粒子の形成が困難になる傾向にある。
【0108】
第4の重合体に含まれる構成単位(m3)の割合は、第4の重合体に含まれる全構成単
位の合計を100質量%とした場合に、0質量%〜40質量%であることが好ましく、0質量%〜30質量%であることがより好ましく、0質量%〜20質量%であることがさらに好ましい。第4の重合体に含まれる構成単位(m3)の割合が40質量%を超えると、本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有されて、優れた光拡散性を実現することができなくなる場合がある。
【0109】
第5の重合体に含まれる構成単位(m1)の割合は、第5の重合体に含まれる全構成単位の合計を100質量%とした場合に、60質量%〜100質量%であることが好ましく、65質量%〜95質量%であることがより好ましく、70質量%〜90質量%であることがさらに好ましい。第5の重合体に含まれる構成単位(m1)の割合が60質量%未満であると、本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有されて、優れた光拡散性を実現することができなくなる場合がある。
【0110】
第5の重合体に含まれる構成単位(m3)の割合は、第5の重合体に含まれる全構成単位の合計を100質量%とした場合に、0質量%〜40質量%であることが好ましく、0質量%〜30質量%であることがより好ましく、0質量%〜20質量%であることがさらに好ましい。第5の重合体に含まれる構成単位(m3)の割合が40質量%を超えると、本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有されて、優れた光拡散性を実現することができなくなる場合がある。
【0111】
本実施形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有される異形粒子は、第4の重合体の組成と第5の重合体の組成が、同一であっても異なっていてもよいが、第4の重合体に含まれる単量体単位の少なくとも1種が、第5の重合体に含まれる単量体単位と異なっていることも好ましい。すなわち、この場合には、異形粒子を構成する単量体単位のうち少なくとも1種は、第4の重合体と第5の重合体のいずれか一方の重合体にのみ含まれていることになる。このような構成により、例えば、第1の粒子と第2の粒子とを非対称に分離させることができる。すなわち、第1の粒子と第2の粒子との少なくとも一部が接した全体として異形の粒子を得ることができる。
【0112】
((m2)極性官能基含有単量体単位)
本実施形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有される異形粒子において、第4の重合体には、上記の構成単位の他に、さらに(m2)極性官能基含有単量体単位(以下、「構成単位(m2)」と言うことがある。)が含まれているものであることが好ましく、構成単位(m2)が含まると、重合安定性を良好に保ちやすい。極性官能基含有単量体とは、その分子中に極性官能基を有する単量体である。この極性官能基としては、例えば、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、グリシジル基、エステル基等を好ましい例として挙げることができる。極性官能基含有単量体の具体例としては、(1)カルボキシル基含有単量体、(2)シアノ基含有単量体、(3)水酸基含有単量体、(4)グリシジル基含有単量体、(5)エステル基含有単量体等を挙げることができる。尚、これらの単量体は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0113】
((1)カルボキシル基含有単量体)
(1)カルボキシル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、へキサヒドロフタル酸モノ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル等のカルボキシル基含有不飽和単量体、その無水物類等を挙げることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0114】
((2)シアノ基含有単量体)
(2)シアノ基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、クロトンニトリル、ケイ皮酸ニトリル等のシアン化ビニル系単量体;2−シアノエチル(メタ)アクリレート、2−シアノプロピル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの中でも、(メタ)アクリロニトリルが好ましい。
【0115】
((3)水酸基含有単量体)
(3)水酸基含有単量体としては、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(シクロ)アルキルモノ(メタ)アクリレート類;3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の置換ヒドロキシ(シクロ)アルキルモノ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。これらの中でも、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0116】
((4)グリシジル基含有単量体)
(4)グリシジル基含有単量体としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジルメチルアクリレート、エポキシ化シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの中でも、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0117】
((5)エステル基含有単量体)
(5)エステル基含有単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、(ターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、p−メトキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの中でも、メチル(メタ)アクリレート、(ターシャリー)ブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0118】
(構成単位(m2)の割合)
第4の重合体に構成単位(m2)が含まれる場合、構成単位(m2)の割合は、構成単位(m1)、構成単位(m2)、および構成単位(m3)の合計を100質量%とした場合に、2質量%〜40質量%であることが好ましく、4質量%〜35質量%であることがより好ましく、8質量%〜30質量%であることがさらに好ましい。第4の重合体に含まれる構成単位(m2)の割合が上記の範囲内であることで、第1の粒子と第2の粒子とを非対称に分離させやすくなる。上記割合が2質量%未満であると、本実施形態において意図する形状の粒子が得られなくなる可能性がある。一方、40質量%を超えると、本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有されて、優れた光拡散性を実現することができなくなる場合がある。
【0119】
反応性官能基として、エステル基、アミド基、アミン基、カルボキシル基、グリシジル基、または水酸基を有する重合体は、例えば、これらの反応性官能基を有する単量体を共重合させるか、または、これらの反応性官能基を有する化合物をグラフトさせることにより得ることができる。また、スルホン酸基を有する重合体は、例えば、スルホン酸基を有する反応性界面活性剤の存在下で、単量体を重合させることにより得ることができる。また、硫酸基を有する重合体は、例えば、過硫酸カリウム等の開始剤を用いて単量体を重合させることにより得ることができる。第4の重合体および/または第5の重合体に含まれる反応性官能基の量は、この反応性官能基の導入に用いられた化合物の量に換算すると、それぞれの重合体の総量に対して、0.5質量%〜50質量%であることが好ましく、2質量%〜30質量%であることがより好ましい。
【0120】
(異形粒子の形状)
本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有される異形粒子は、第1の粒子と第2の粒子とを有し、この第2の粒子が、第1の粒子の表面の少なくとも一部に配置されているものである。また、第2の粒子は、第1の粒子の表面の少なくとも一部に突起状に配置されていることが好ましい。
【0121】
ここで、本明細書に言う「異形」とは、一方の粒子(例えば、第1の粒子)が他方の粒子(例えば、第2の粒子)の表面の少なくとも一部に配置させて得られる形状を含むものであり、より詳しくは、その第1の粒子の中心と第2の粒子の中心を通る面で切断した断面における第1の粒子と第2の粒子との中心間距離が、第1の粒子の半径と第2の粒子の半径の和以下である形状をいう。
【0122】
本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有される異形粒子では、第1の粒子と第2の粒子は、いずれも実質的に単一の領域にまとまって存在するとともに、異形粒子全体の中心点に対して非対称に配置されていることが好ましい。別の言い方をすれば、本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有される異形粒子は、芯部が粒子表面に露出されていない、コア粒子とシェル層とからなる粒子とは異なり、第1の粒子と第2の粒子のいずれもが表面に露出していることが好ましい。さらに別の言い方をすると、第1の粒子の表面に第2の粒子が局在化して存在する形状、または第2の粒子の表面に第1の粒子が局在化して存在する形状が好ましい。尚、異形粒子の全体形状は、具体的には、第1の粒子と第2の粒子がそれぞれの一部分で少なくとも相互に接しているかまたは重なり合って形成された形状、いわゆる雪ダルマ形状(または西洋梨形状、瓢箪形状等と言うこともできる。)であることが好ましい。また、いわゆる雪ダルマ形状のくびれ部が、異形粒子全体の中央部または中央部近傍に位置する形状であることも好ましい。
【0123】
図3は、本実施の形態で用いる異形粒子の形状の好ましい第1の例を示す模式的な断面図である。
【0124】
図3に示す異形粒子21aでは、第1の粒子22aと第2の粒子23aとが、いわゆる雪ダルマ形状を構成し、そのくびれ部が、異形粒子21a全体の中央部または中央部近傍に位置している。
【0125】
以下に、本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有される異形粒子の形状を例示する。
【0126】
図4は、本実施の形態で用いる異形粒子の形状の好ましい第2の例を示す模式的な断面図である。
【0127】
図4は、本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有される異形粒子21bが、第1の粒子22bと第2の粒子23bとからなり、粒子全体の形状として、球状突起をもつ球状である場合を示す。
【0128】
図5は、本実施の形態で用いる異形粒子の形状の好ましい第3の例を示す模式的な断面図である。
【0129】
図6は、本実施の形態で用いる異形粒子の形状の好ましい第4の例を示す模式的な断面図である。
【0130】
図7は、本実施の形態で用いる異形粒子の形状の好ましい第5の例を示す模式的な断面図である。
【0131】
図5、図6および図7は、本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有される異形粒子21c〜21eが、それぞれ第1の粒子22c〜22eと第2の粒子23c〜23eとからなり、粒子全体の形状として、球状である場合を示す。
【0132】
図8は、本実施の形態で用いる異形粒子の形状の好ましい第6の例を示す模式的な断面図である。
【0133】
図8は、本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有される異形粒子21fが、第1の粒子22fと第2の粒子23fとからなり、粒子全体の形状として、ラクビーボール状である場合を示す。
【0134】
(異形粒子における長径/短径比)
本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有される異形粒子は、その長径の数平均値(L)と、短径の数平均値(D)との比の値((L)/(D))が、1.0〜2.0であることが好ましく、1.1〜1.9であることがより好ましく、1.2〜1.8であることがさらに好ましい。(L)/(D)の値が2.0を超えると、光拡散層の形成時に、樹脂への分散性が低下し、光拡散層における均一な光拡散性の発揮が実現できなくなるおそれがある。
【0135】
ここで、本明細書において「長径」および「短径」とは、例えば、異形粒子が、図4に示すような球状突起をもつ球状である場合、長径(L)は、図4に示すように、第1の粒子22bの端部から、第2の粒子23bの端部までの距離で表され、短径(D)は、第1の粒子22bまたは第2の粒子23bのうち、より大きい方の粒子(図4においては、第1の粒子22b)の径で表される。
【0136】
(異形粒子における数平均粒径比)
本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有される異形粒子は、第1の粒子の数平均粒子径(La)と、第2の粒子の数平均粒子径(Lb)との比の値((La)/(Lb))が、0.05〜20.0であることが好ましく、0.2〜18であることがより好ましく、0.4〜15であることがさらに好ましい。(La)/(Lb)の値が0.05未満であると、本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有されて、優れた光拡散性を実現することができなくなる場合がある。一方、(La)/(Lb)の値が20.0を超える場合も、本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有されて、優れた光拡散性を実現することができなくなる場合がある。
【0137】
尚、粒子の形状が、真球形状ではなく、いわゆる扁平形状や、図4に示すような球状突起をもつ球状等である場合には、長径と短径の平均値を「平均粒子径」とする。すなわち、この「平均粒子径」の値を用いて(La)/(Lb)の値を算出する。
【0138】
(異形粒子における屈折率比)
本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有される異形粒子は、第1の粒子の屈折率(Ra)と、第2の粒子の屈折率(Rb)との比の値((Ra)/(Rb))が、0.7〜1.4であることが好ましく、0.8〜1.3であることがより好ましく、0.85〜1.25であることがさらに好ましい。(Ra)/(Rb)の値が0.7未満であると、異形粒子を得難くなる傾向にある。一方、(Ra)/(Rb)の値が1.4超であっても、異形粒子を得難くなる傾向にある。尚、屈折率は、下記の方法により測定した値である。
【0139】
(異形粒子における屈折率測定)
(1)測定対象となる粒子を80℃で24時間乾燥した後に破砕し、60メッシュ金網で濾過して試験サンプル(乾燥一次粒子)を調製する。(2)調製した乾燥一次粒子と、適当な屈折率の屈折率標準液(Cargille社製)を混合して、一次粒子分散液を調製する。(3)調製した一次粒子分散液を顕微鏡で観察し、一次粒子の輪郭部分が視認可能か否かを確認し、視認不可能な場合における屈折率標準液の屈折率、すなわち、視認することができなくなったときの屈折率標準液の屈折率を、その粒子の「屈折率」とした。
【0140】
(異形粒子における表面の露出割合)
本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有される異形粒子の全表面積のうち、第1の粒子により形成される露出面と、第2の粒子により形成される露出面との割合(面積比=(a)/(b))は、5/95〜95/5であることが好ましく、10/90〜90/10であることがより好ましい。
第1の粒子と第2の粒子とのいずれか一方の上記割合が上記した範囲よりも少ない場合には、この異形粒子が「異形」であることによる効果が十分に得られない場合がある。尚、異形粒子の全表面積に占める第1の粒子と第2の粒子との露出面の割合は、例えば、電子顕微鏡写真から測定することができる。
【0141】
(異形粒子の製造方法)
本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有される異形粒子は、例えば、以下に示す方法に従って製造することができる。まず、第4の重合体からなる構成される第1の粒子は、水性媒体を用いた通常の乳化重合方法により得る。この「水性媒体」とは、水を主成分とする媒体を意味する。具体的には、この水性媒体中における水の含有率は、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。水と併用することのできる他の媒体としては、エステル類、ケトン類、フェノール類、アルコール類等の化合物を挙げることができる。例えば、コア粒子をシードポリマー粒子とし、シェル層をシード重合により形成することができる。
【0142】
第1の粒子の数平均粒子径は、0.1μm〜10μmであることが好ましく、0.2μm〜10μmであることがより好ましい。第1の粒子の数平均粒子径がこの範囲外であると、乳化重合により製造することが困難となる場合がある。
【0143】
次に、得られた第1の粒子の存在下において、第5の重合体用の単量体、すなわち、構成単位(m1)を構成するために用いられる芳香族ビニル系単量体、必要に応じて用いられる極性官能基含有単量体および構成単位(m3)を構成するその他の単量体を重合させる。そして、第1の粒子の表面の少なくとも一部に配置された第2の粒子を得て、異形粒子を形成する。
より具体的な製造方法については、再公表WO2008/123517号パンフレットに記載された方法に従うことが好ましい。
【0144】
以上のようにして得られる、異形粒子の数平均粒子径は、0.3μm〜8μmであり、好ましくは0.6μm〜8μm、より好ましくは0.8μm〜8μmである。数平均粒子径が0.3μmよりも小さい場合、本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有されて、優れた光拡散性能を実現することができなくなる場合がある。一方、8μmよりも大きいと、乳化重合法によって製造することが困難な場合がある。尚、異形粒子の「数平均粒子径」とは、異形粒子の最も長い方向に対する差し渡しの長さをいい、例えば、光散乱法により測定することができる。
【0145】
(異形粒子の別の実施形態)
本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有される異形粒子としては、中空粒子を用いた別の実施形態の異形粒子とすることも可能である。別の実施形態の異形粒子は、重合体からなる中空粒子と、この中空粒子の表面の少なくとも一部に配置された、重合体からなる粒子とを有して構成される。その数平均粒子径は、0.4μm〜10μmであることが好ましい。このような別の実施形態の異形粒子は、本実施の形態の光源カバーを構成する光拡散層に含有されて、優れた光拡散性を実現することが可能となる。
この異形粒子の別の実施形態としては、再公表WO2008/123517号パンフレットに記載された異形粒子を用いることができる。
【0146】
〔光拡散層の形成〕
光源カバーを構成する光拡散層を形成するためには、上述の樹脂と粒子とからなる樹脂組成物を形成して行う方法が好ましく、そのような方法であれば何ら制限はない。粒子としては、上述した、中空粒子、コアシェル粒子および異形粒子を、それぞれ単独で、または2種以上混合して含有させることができる。これら以外に含有可能な粒子としては、炭酸カルシウム、沸化カルシウム、沸化カリウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、アルミナ、ガラスビーズ等の無機粒子や、上述した中空粒子やコアシェル粒子等を除く、各部を構成する物質が等しく、内部組成の均一なポリスチレン系粒子等の樹脂粒子等を挙げることができる。
【0147】
樹脂にポリカーボネート樹脂を用いる場合、例えば、ポリカーボネート樹脂と上述の粒子を任意の配合量で計量し、タンブラー、リボブレンダー、高速ミキサー等により一括混合した後、混合物を通常の単軸押出機または2軸押出機を用いて溶融混練し、ペレット化させる方法、または、個々の成分を一部または全てを別々に計量し、複数の供給装置から押出機内へ投入し、溶融混合する方法、さらには、ポリカーボネート樹脂と上述の粒子とを高濃度に配合し、一旦溶融混合してペレット化し、マスターバッチとした後、そのマスターバッチとポリカーボネート樹脂を所望の比率により混合することもできる。そして、これらの成分を溶融混合する際の、押出機へ投入する位置、押出温度、スクリュウ回転数、供給量等、状況に応じて任意の条件が選択され、ペレット化することができる。
【0148】
本実施形態の光源カバーを製造する方法としては、一般に熱可塑性樹脂を成形加工する方法であれば特に制限されるものではなく、射出成形、シート押出成形、異型押出成形等が挙げられる。こうした方法を用いて、光拡散層1層からなり、光源からの光の拡散に好適な所望の形状を有する光源カバーを製造することができる。
【0149】
以上のようにして製造された本発明の第1実施形態の光源カバーは、上記した特徴のある構造の粒子を樹脂中に分散させてなる1層の光拡散層から構成されており、所望とする形状を備えるとともに優れた光拡散性を実現する。そして、光源を保護するように、耐衝撃性や耐熱性等の信頼性を有する。
【0150】
実施形態2.
図9は、本発明の第2実施形態の光源カバーの構造を模式的に示す断面図である。
【0151】
本実施の形態の光源カバー31は、光源(図示されない)を保護するとともに、光源からの光を拡散させる光拡散性を有する光源カバーである。光源カバー31は、透光性の樹脂32に、屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子33を配合した光拡散層34を用いて構成される。光源カバー31は、図9に示すように、光拡散層34が透光性の樹脂からなるシート状の支持層35の上に設けられ、さらにその光拡散層34の設けられた支持層35が、透光性の樹脂からなる基材36上に配置されて構成される。光源カバー31では、支持層35および基材36によって支持された光拡散層34によって優れた光拡散性を実現する。
【0152】
光源カバー31が以上の構造をとることにより、初めにシート状の支持層35の上に光拡散層34を形成し、次いで、光拡散層34の形成された支持層35を基材36の上に貼り付けて光源カバー31を製造することができる。そして、多様な形状の基材36の表面に光拡散層34を容易に配置することができ、LED光源にも適用可能な優れた光拡散性と、所望とする形状を備えた光源カバー31をより簡便に製造することが可能となる。
【0153】
得られた光源カバー31では、光拡散層34が、透光性の樹脂基材である支持層35および基材36によって支持される構造となる。したがって、光源カバー31は、光拡散層34と、それを支持する透光性の樹脂基材である支持層35および基材36とからなる多層構造を有して構成される。そして、光源カバー31は、構成する各層が樹脂から構成されて軽量性を実現する。
【0154】
光源カバー31では、支持層35および基材36によって支持された光拡散層34によって優れた光拡散性を実現するが、その場合、光拡散層34の形成面の裏面を光源側に向けて光源をカバーするようにすることが好ましい。すなわち、光源カバー31では、図9に示すように、樹脂基材である基材36の、支持層35が配置されない面を光源側に向けて光源をカバーすることが好ましい。光源カバー31では、このような配置構造をとることによって、光源からの光に対して優れた光拡散性を実現する。
【0155】
光源カバー31を構成する樹脂基材である基材36は、上述したように、例えば、透明(無色透明、有色透明、または半透明)な樹脂から構成されて透光性である。基材36は、光源を保護するとともに、支持層35上に配置された光拡散層34を支持するため、耐衝撃性や耐熱性等の信頼性を有することが好ましい。基材36を構成する樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等を含むポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、メチルメタクリレート−スチレン共重合樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン樹脂等が挙げられる。
【0156】
光源カバー31を構成する樹脂基材であって、その上に光拡散層34を配置して支持する支持層35は、上述したように、例えば、透明(無色透明、有色透明、または半透明)な樹脂から構成されて透光性であることが好ましい。支持層35を構成する樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等を含むポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィンポリマー、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスチレン樹脂、メチルメタクリレート−スチレン共重合樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂等の熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、ビニルエーテル樹脂、2つ以上のメタクリル基を有するメタクリレート、オキセタン樹脂、ビニルエステル樹脂等の熱または活性エネルギー線で硬化可能な硬化性樹脂を挙げることができる。
【0157】
さらに、支持層35を構成する樹脂としては、例えば、環状オレフィン系開環重合体水添物、環状オレフィン系付加重合体、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリイミド等の樹脂および上記以外のアクリル系樹脂等も好ましく用いることができる。
【0158】
支持層35を構成する樹脂として特に好ましものは、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、またはトリアセチルセルロースである。
【0159】
支持層35の上に配置される光拡散層34は、上述したように、粒子33と、それらを繋いで分散一体化させるバインダ材として機能する透光性の樹脂32とからなる。粒子33としては、図1に示した本発明の第1実施形態の光源カバー1に用いた粒子3と同様のものを用いることができる。すなわち、粒子33としては、上述した第1実施形態の光源カバー1を構成する光拡散層4に含有可能とされた中空粒子、コアシェル粒子および異形粒子を単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
【0160】
従来、こうした光源カバーの光拡散を目的とする光拡散層の形成に用いられる粒子は、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、ガラスビーズ等、各部の組成が実質的に等しい均一な物質からなり、実質的に均一な構造のものが使用されてきた。そして、従来の光源カバーは、多層構造を有して構成される場合、それら粒子およびバインダ材からなら光拡散層と、その層を支持する基材とから構成される。そして、光拡散層の有する、粒子とそれを分散させるバインダ材との界面およびその粒子と外部の空気との間に形成される界面を利用し、それら界面で光を屈折させまたは反射させて、光の拡散を実現してきた。
【0161】
本実施の形態の光源カバー31では、従来技術と異なり、光拡散層34に含有される粒子33が、屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子であって、上述したように、中空粒子、コアシェル粒子および異形粒子を構成している。上述の屈折率の異なる物質は、例えば、それぞれ異なる成分からなる物質である。粒子33は、従来の光源カバーの光拡散を目的とする層に用いる粒子には無い、新たな界面を内部に有していることになる。
【0162】
したがって、粒子33を用いた光拡散層34を有する本実施の形態の光源カバー31では、それを構成する光拡散層34において光を拡散させるに際し、粒子33と樹脂32との界面および粒子33と外部の空気との界面に加え、新たに設けられた粒子33の有する界面を利用することができる。そして、光源カバー31は、より多く形成された界面を利用して、光拡散層34での優れた光の拡散を実現する。その結果、光源カバー31は、光源からの光の優れた拡散を可能とする。
本実施の形態の光源カバー31の光拡散層34の構成について、以下でさらに詳しく説明する。
【0163】
〔光拡散層〕
本実施の形態の光源カバーの光拡散層は、透光性の樹脂に、屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子を分散させて構成されており、優れた光拡散性を実現する。粒子としては、上述したように、本発明の第1実施形態の光源カバーに用いた粒子と同様のものを用いることができる。具体的には、上述した、第1実施形態の光源カバーに用いた中空粒子、コアシェル粒子および異形粒子を用いることができる。
【0164】
光拡散層を構成する樹脂は、配合された粒子を分散一体化させるように、粒子の間を繋ぐバインダ材として機能する。すなわち、本実施の形態の光源カバーの光拡散層は、上記粒子と、粒子の間を繋ぐバインダ材として機能する透光性の樹脂とから構成される。その場合、樹脂は、バインダ材として好適に機能するよう、配合される各粒子に好適な樹脂が選択されて使用される。すなわち、樹脂に配合可能な粒子としては中空粒子、コアシェル粒子および異形粒子があるが、それぞれの粒子に対し好適な樹脂が選択されて、粒子とともに光拡散層の形成に用いられる。
次に、粒子に中空粒子、コアシェル粒子および異形粒子のそれぞれを用いた場合の光拡散層の構成について、特に、それぞれの粒子に好適な樹脂について説明する。
【0165】
(中空粒子を用いた光拡散層に好適な樹脂)
本実施の形態の光源カバーの光拡散層を中空粒子を用いて構成する場合、光拡散層は、中空粒子間がバインダ材として機能する樹脂によって繋がれて分散一体化されている。したがって、樹脂としては、中空粒子間を繋ぐとともに分散一体化させることのできる樹脂の選択が好ましい。そして、その樹脂は、可視光線に対して高い透過性を有する透明なものが好ましい。尚、透明とは、無色透明の他に、有色透明、半透明が概念的に含まれるものであり、以下の記載においても同様である。
【0166】
そのような樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂および光硬化性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。このような樹脂をバインダ材として使用することにより、本実施の形態の光源カバーの、中空粒子を含有する光拡散層において優れた光拡散性を実現することができる。
【0167】
中空粒子に好適な樹脂のさらなる具体例として、熱硬化性樹脂としては、公知のものが使用できるが、好ましくは、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂である。これらの樹脂を使用することで、特に光拡散層の耐傷つき性と耐熱性が優れるようになる。これらは単独でも2種以上の混合でもよい。本実施の形態の光源カバーの光拡散層において、熱硬化性樹脂と中空粒子の比率は、中空粒子100質量部に対して、熱硬化性樹脂の量として好ましくは0.2質量%〜1000質量%、より好ましくは0.3質量%〜10質量%である。熱硬化性樹脂の量が0.2質量%未満では光拡散層の強度に劣る場合があり、1000質量部を超えると、より効率的に光拡散性を実現できない場合がある。
【0168】
中空粒子に好適な樹脂のさらなる具体例として、熱可塑性樹脂としては、公知のものが使用できるが、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、MS樹脂、スチレン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン等のフルオロオレフィン系樹脂であり、より好ましくは、アクリル樹脂、MS樹脂、スチレン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン等のフルオロオレフィン系樹脂である。アクリル樹脂、MS樹脂、スチレン系樹脂を用いた場合、光拡散層における優れた光拡散性を実現することができる。フルオロオレフィン系樹脂が特に好ましい。これらは単独でも2種以上の混合でもよい。光拡散層における熱可塑性樹脂と中空粒子の比率は、上記熱硬化性樹脂の場合と同様である。
【0169】
中空粒子に好適な樹脂のさらなる具体例として、感光性樹脂としては、高分子量の感光性樹脂を挙げることができる。
【0170】
高分子量の感光性樹脂としては、ポリマー骨格に光重合性基が導入されたものであれば、特に制限なく公知のものが使用できる。このようなポリマー骨格としては、ポリエチレン骨格、ポリウレタン骨格、ポリエステル骨格、ポリアミド骨格、ポリイミド骨格、ポリオキシアルキレン骨格、ポリフェニレン骨格等が挙げられ、好ましくは、ポリエチレン骨格、ポリウレタン骨格である。光重合性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、シンナモイル基、シンナミリデンアセチル基、ベンザルアセトフェノン基、スチリルピリジン基、α−フェニルマレイミド、フェニルアジド基、スルフォニルアジド基、カルボニルアジド基、ジアゾ基、o−キノンジアジド基、フリルアクリロイル基、クマリン基、ピロン基、アントラセン基、ベンゾフェノン基、ベンゾイン基、スチルベン基、ジチオカルバメート基、キサンテート基、1,2,3−チアジアゾール基、シクロプロペン基アザジオキサビシクロ基等が挙げられ、好ましい光重合性基は(メタ)アクリロイル基およびシンナモイル基であり、特に好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
【0171】
これらは単独でも2種以上の混合でもよい。光拡散層における感光性樹脂と中空粒子の比率は、上記熱硬化性樹脂の場合と同様である。
【0172】
(コアシェル粒子を用いた光拡散層に好適な樹脂)
本実施の形態の光源カバーの光拡散層をコアシェル粒子を用いて構成する場合、光拡散層は、コアシェル粒子間がバインダ材として機能する樹脂によって繋がれて分散一体化されている。したがって、樹脂としては、コアシェル粒子間を繋ぐとともに分散一体化させることのできる樹脂の選択が好ましい。そして、そのコアシェル粒子に好適な樹脂は、可視光線に対して高い透過性を有する透明なものが好ましい。
【0173】
そのような樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等の熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、ビニルエーテル樹脂、2つ以上の(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリレート、オキセタン樹脂、ビニルエステル樹脂等の熱または活性エネルギー線で硬化可能な硬化性樹脂を挙げることができる。また、樹脂には、上述した樹脂を1種単独でまたは2種以上を組み合わせたものを用いることもできる。
【0174】
これらの中でも、熱的に安定である観点から、熱または活性エネルギー線で硬化可能な硬化性樹脂が好ましく、エポキシ樹脂、2つ以上の(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
【0175】
コアシェル粒子を用いた光拡散層における、バインダ材として機能する樹脂の含有割合は、その樹脂とコアシェル粒子とを含む全樹脂材料の100質量%に対して、バインダ材として機能する樹脂が1質量%〜99質量%であることが好ましく、10質量%〜95質量%であることがより好ましく、30質量%〜90質量%であることがさらに好ましい。バインダ材として機能する樹脂の含有割合が1質量%未満であると、コアシェル粒子を光拡散層中に固定化できないおそれがある。一方、99質量%を超えると、コアシェル粒子を含む光拡散層において、優れた光拡散性を実現できなくなることがある。
【0176】
一方、コアシェル粒子を用いた光拡散層における、コアシェル粒子の含有割合は、バインダ材として機能する樹脂とコアシェル粒子とを含む全樹脂材料100質量%に対して、1質量%〜99質量%であることが好ましく、5質量%〜90質量%であることがより好ましく、10質量%〜70質量%であることがさらに好ましい。コアシェル粒子の含有割合が1質量%未満であると、コアシェル粒子を含む光拡散層において、優れた光拡散性の実現ができなくなることがある。一方、99質量%を超えると、コアシェル粒子を光拡散層中に固定化できないおそれがある。
【0177】
(異形粒子を用いた光拡散層に好適な樹脂)
本実施の形態の光源カバーの光拡散層を異形粒子を用いて構成する場合、光拡散層は、異形粒子間がバインダ材として機能する樹脂によって繋がれて分散一体化されている。したがって、樹脂としては、異形粒子間を繋ぐとともに分散一体化させることのできる樹脂の選択が好ましい。そして、その樹脂は、可視光線に対して高い透過性を有する透明なものが好ましい。
【0178】
そのような樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ニトロセルロース等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、電子線あるいは紫外線照射により硬化する電離放射線硬化型樹脂等が挙げられる。また、バインダ材には、上述したバインダ材となる樹脂を1種単独でまたは2種以上を組み合わせたものを用いることもできる。
【0179】
本実施の形態の光拡散層におけるバインダ材として機能する樹脂の含有割合は、異形粒子100質量%に対して、1質量%〜10000質量%であることが好ましく、2質量%〜5000質量%であることがより好ましく、3質量%〜1000質量%であることがさらに好ましい。バインダ材として機能する樹脂の含有割合が1質量%未満であると、例えば、光拡散層中に異形粒子を分散一体化させることが困難となる傾向にある。一方、バインダ材として機能する樹脂の含有割合が10000質量%を超える場合、本実施の形態の光拡散板において、優れた光拡散性が実現できなくなることがある。
【0180】
〔光拡散層の形成〕
光源カバーの光拡散層を支持層の上に形成するためには、上述したシート状の支持層の上に光拡散層を形成するための組成物を準備する。この組成物には、上述した屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子が、これらを分散または溶解可能な溶媒に、分散または溶解されて含有される。屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子として具体的には、上述した中空粒子、コアシェル粒子および異形粒子のうちの少なくとも1種が含まれる。すなわち、中空粒子、コアシェル粒子および異形粒子のうちの2種以上が混合されて含有されることも可能である。そして、この組成物には、中空粒子等の粒子のそれぞれに好適なバインダ材となる樹脂を形成するための樹脂形成成分が、分散または溶解されて含有される。粒子および樹脂形成成分を分散または溶解させる溶媒としては、例えば、水、トルエン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等を挙げることができる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0181】
尚、上述の組成物には、中空粒子等の屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子以外に、炭酸カルシウム、沸化カルシウム、沸化カリウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、アルミナ、ガラスビーズ等の無機粒子や、上述した中空粒子やコアシェル粒子等を除く、各部を構成する物質が等しく、内部組成の均一なポリスチレン系粒子等の樹脂粒子等を含有することも可能である。
【0182】
また、これら組成物の調製方法の詳細については、再公表WO2005/071014号パンフレット、特開2008−209855号公報および再公表WO2008/123517号パンフレットに記載された方法に従うことが好ましい。
【0183】
そして、調製された組成物を用い、上述したシート状の支持層の上に、スクリーン印刷等の印刷法を用いて塗布し、乾燥および/または硬化させることにより、支持層上に、中空粒子等の屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子を含有する光拡散層を形成することができる。形成された支持層上の光拡散層は、上述した基材上に、直接にまたは適当な接着層を介して貼り付けられて、光源カバーを構成することができる。
【0184】
尚、本実施の形態の光源カバーでは、光拡散層と支持層と基材とからなる3層構造以外に、光拡散層が直接に基材上に配置された2層構造とすることも可能である。その場合、上述した光拡散層を形成するための組成物を用い、上述した基材上に直接塗布し、乾燥および/または硬化させることにより、基材上に、中空粒子等の屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子を含有する光拡散層を形成することができる。そして、形成された光拡散層の形成された基材を用い、光源カバーを構成することができる。得られた光源カバーは、光拡散性を十分に発揮できるように、光源に対して光拡散層の形成されない面を向けて配置され、例えば、照明装置を構成することが好ましい。
【0185】
実施形態3.
本実施の形態の照明装置について、適宜図面を用いて説明する。
本発明の第3実施形態である照明装置は、図1に示す本発明の第1実施形態である光源カバー1と光源とを有して構成される。光源としては蛍光灯等の公知の光源を用いることができる。
光源カバー1は、上述したように、優れた光拡散性を有する。したがって、光源としては発光する光の直進性が強いLED光源の使用も可能である。すなわち、本発明の第3実施形態である照明装置は、本発明の第1実施形態である光源カバーとLED光源とを有して構成することができる。例えば、本実施形態の照明装置の一例として、白色LEDを光源として用いた直管型蛍光管タイプの照明管を構成することができる。
【0186】
図10は、本発明の第3実施形態の照明装置の一例である照明管の模式的な断面図である。
【0187】
図10に示す本実施形態の照明管101は、直管型蛍光管タイプであり、外観は従来の直管型蛍光管と同様である。本実施形態の照明管101は、図1に示した本発明の第1実施形態である光源カバー1と、内部に配置された白色LED103とを有して構成される。
照明管101は、その両端に電源供給するソケット部(図示されない)を設けると共に内部に基盤102が配設されている。照明管101は、その基盤102の上に白色LED103を配列して設けている。照明管101は、白色LED103の正面側に光源カバー1を配置し、背面側には放熱板104を配置して一体の筒状のカバーとして形成されている。
【0188】
そして、図10に示す白色LED103が配列された点状光源からの光を、光源カバー1で拡散させ、点状光源が点々と連なるイメージを消失させ、光源カバー1の全体が、従来の蛍光管のように明るく光る。そして、照明管101は、従来の直管型蛍光管に代替する、省電力で長寿命の照明装置として使用することができる。
【0189】
尚、本実施の形態においては、図10に示す本実施形態の照明管101の別の例として、光源カバー1に代えて図9に示した本発明の第2実施形態である光源カバー31を用い、他は照明管101と同様にして照明管を構成することが可能である。
【実施例】
【0190】
以下、実施例に基づいて本発明の実施形態をより具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0191】
〔屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子の製造〕
(製造例1:中空粒子の製造)
初めにシード粒子の水性分散体を調製する。
容量2リットルの反応容器に、予め、媒体として水109.5部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王(株)製、商品名:F65)0.2部、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.5部を投入した。その一方で、メタクリル酸メチル90部、メタクリル酸10部、分子量調整剤としてオクチルチオグリコール2.5部、乳化剤(花王(株)製、商品名:F65)0.1部および水40部を混合攪拌してモノマー混合物の水性分散体を調製した。このモノマー混合物の水性分散体の20%を前記反応容器に投入し、反応容器内の液を攪拌しながら温度75℃まで昇温して1時間重合反応を行い、その後温度を75℃に保ちながら残りのモノマー混合物の水性分散体を連続的に2時間かけて反応容器に添加し、さらに、2時間熟成を行い、固形分40%、粒子径0.2μm、重量平均分子量15000のシード粒子の水性分散体を得た。
【0192】
次に、シード粒子を用いて架橋中空ポリマー粒子水分散体(iii)を製造する。
容量2リットルの反応容器に、予め、媒体として水186部を投入し、これに上述のようにして調製したシード粒子の水性分散体を固形分で10部(水性分散体で25部)、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.5部を投入した。その一方で、メタクリル酸メチル79.5部、メタクリル酸20部、ジビニルベンゼン0.5部(純度81%)、オクチルチオグリコール3部、乳化剤(花王(株)製、商品名:F65)0.1部および水40部を混合攪拌してモノマー混合物の水性分散体を調製した。次に、反応容器内の液を攪拌しながら温度80℃まで昇温、保持し、上記モノマー混合物の水性分散体を反応容器に連続的に3時間かけて投入した。その後、さらに2時間熟成を行ない、固形分31%、粒子径0.41μmの第1ポリマー粒子(i)の水性分散体を得た。
【0193】
容量2リットルの反応容器に、予め、媒体として水240部を投入し、これに前述のように調製した第1ポリマー粒子(i)の水性分散体を固形分で15部(水性分散体で48.4部)、スチレン20部、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.4部を投入し、反応容器内の液を攪拌しながら温度80℃まで昇温、保持して30分間でスチレンの重合を行い、第1ポリマー粒子(i)にスチレンが複合したポリマー粒子を得た。その一方で、スチレン56.5部、エチレングリコールジメタクリレート3部、乳化剤(花王(株)製、商品名:F65)0.1部および水40部を混合攪拌して第2重合性モノマーの水性分散体を調製し、前記反応容器内の液を攪拌しながら80℃に保持してこの第2重合性モノマー(β)の水性分散体を反応容器に連続的に4時間かけて投入した。この際、第2重合性モノマー(β)の水性分散体を投入開始後2時間経過時に、アクリル酸0.5部を反応容器に一括投入してスチレンと共重合させた。さらに上記第2重合性モノマー(β)の水性分散体をすべて反応容器に投入し終わった後、ジビニルベンゼン20部(純度81%)を一括投入し、第1ポリマー粒子(i)の表層にスチレン、アクリル酸、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼンを重合・積層させたコアシェル状のポリマー粒子(ii)を得た。すべての第2重合性モノマー(β)の投入終了後およそ15分後に攪拌を続けながら20%アンモニア水溶液5部を一括投入して、温度を90℃に上げ、2時間攪拌熟成した。20%アンモニア水溶液投入直前の未反応の第2重合性モノマー(β)の第2重合性モノマー(β)全体に対する質量比率は6%であった。その後、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.3部とホルムアルデヒド樹脂0.1部を投入し、そのまま1時間攪拌放置して、固形分26.5%、粒子径1.1μm、内径0.9μm、容積空孔率55%の単一の空孔を有する球状の架橋中空ポリマー粒子の水性分散体(iii)を得た。
【0194】
得られた架橋中空ポリマー粒子水分散体(iii)を大川原化工機(株)製スプレードライヤ(パイロットシリーズL−12型)を用いて乾燥し、中空粒子を得た。
【0195】
(製造例2:コアシェル粒子の製造)
まず、単分散粒子を乳化重合によって製造する。具体的には、スチレン90部、メタクリル酸10部を水溶性開始剤として過硫酸カリウムを用いて乳化重合することにより、スチレンに由来する構造単位とメタクリル酸に由来する構造単位との組成比(質量比)が90:10である、平均粒子径1.0μmの単分散粒子を製造した。
【0196】
次に、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシサイド(商品名「パーロイル(登録商標)355」、日油(株)製、水溶解度:0.01%)2部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1部、および水20部を撹拌して乳化後、超音波ホモジナイザー(みずほ工業(株)製)でさらに微粒子化し、水性分散体を得た。得られた水性分散体に、上記単分散粒子を15部添加し、16時間撹拌した。撹拌後、スチレン(ST)95部、ジビニルベンゼン(DVB)5部を加え、40℃で3時間ゆっくり撹拌して、スチレンおよびジビニルベンゼンを単分散粒子に吸収させた。その後、75℃に昇温して、3時間重合反応を行うことにより、第2の重合体からなる(a)コア粒子を含有するエマルジョンを得た。尚、(a)コア粒子の平均粒子径は2.0μmであり、凝固物はほとんど発生しなかった。また、第2の重合体は、(a1)芳香族ビニル系単量体単位としてスチレンに由来する構造単位を94.3質量%、(a2)極性官能基含有単量体単位としてメタクリル酸に由来する構造単位を1.4質量%、(a3)多官能単量体単位としてジビニルベンゼンに由来する構造単位を4.3質量%、および(a4)その他の単量体単位を0質量%含むものであった。
【0197】
次に、前述の水性分散体と同一の水性分散体22.1部、および上述の(a)コア粒子(シードポリマー粒子)を含有するエマルジョン40部(但し、固形分として)を混合し、16時間撹拌した。撹拌後、メチルメタクリレート(MMA)8部、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPMA)2部を加え、40℃で1時間ゆっくり撹拌して、メチルメタクリレートおよびトリメチロールプロパントリメタクリレートを(a)コア粒子に吸収させた。その後、75℃に昇温して、3時間重合反応を行うことにより、(a)コア粒子の表面を被覆した、第3の重合体からなる(b)シェル層を形成した。このようにして、(a)コア粒子と(b)シェル層とからなる、コアシェル粒子(以下、「粒子(A)」と記す場合がある。)を含有するエマルジョンを得た。エマルジョン中の粒子(A)はコアシェル構造であり、その平均粒子径は約2.2μmであり、凝固物はほとんど発生しなかった。尚、(b)シェル層の厚さは、粒子(A)の平均粒子径と(a)コア粒子の平均粒子径との差として算出し、0.2μmであった。また、第3の重合体は、(b1)芳香族ビニル系単量体単位を0質量%、(b2)(メタ)アクリル酸エステル単量体単位としてメチルメタクリレートに由来する構造単位を80質量%、(b3)多官能単量体単位としてトリメチロールプロパントリメタクリレートに由来する構造単位を20質量%、および(b4)その他の構造単位を0質量%含むものであった。
【0198】
次に、得られた粒子(A)を含有するエマルジョンを、スプレードライヤ(型番「B−290型」、日本ビュッヒ(株)製)を使用して乾燥させ、粉末状の粒子(A)、すなわち、コアシェル粒子を得た。
【0199】
(製造例3:異形粒子の製造)
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(商品名「パーブチル(登録商標)O」、日油(株)製)2部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1部、および水20部を撹拌して乳化後、超音波ホモジナイザーでさらに微粒子化し、水性分散体を得た。得られた水性分散体に、数平均粒子径1.0μmの単分散ポリスチレン粒子15部を添加し、16時間撹拌した。次いで、スチレン(ST)70部、ジビニルベンゼン(DVB)20部、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)10部を加え、40℃で3時間ゆっくり撹拌して、モノマー成分(ST、DVB、およびHEMA)を単分散ポリスチレン粒子に吸収させた。その後、75℃に昇温して、3時間重合反応を行うことにより、第4の重合体からなる第1の粒子を含有するエマルジョンを得た。尚、第1の粒子の数平均粒子径は1.7μmであり、凝固物はほとんど発生しなかった。
【0200】
前述の水性分散体と同一の水性分散体22.1部、および上述の第1の粒子を含有するエマルジョン20部(但し、固形分として)を混合し、16時間撹拌した。次いで、スチレン(ST)90部、およびジビニルベンゼン(DVB)10部を加え、40℃で3時間ゆっくり撹拌して、モノマー成分(STおよびDVB)を第1の粒子に吸収させた。その後、75℃に昇温して、3時間重合反応を行うことにより第5の重合体からなる第2の粒子を形成し、第1の粒子と第2の粒子とからなる異形粒子を含有するエマルジョンを得た。得られた異形粒子は、図4に示すような形状の異形粒子であった。第1の粒子の数平均粒子径は2.5μm、異形粒子の数平均粒子径は3.8μm、La(μm)/Lb(μm)=1.7/2.5であり、凝固物はほとんど発生しなかった。
【0201】
異形粒子を含有するエマルジョンを、スプレードライヤ(型番「L−8型」、大川原化工機(株)製)を使用して乾燥し、粉末状の異形粒子を得た。
【0202】
(実施例1)
ポリカーボネート樹脂を100部、および製造例1で得られた中空粒子を3部、それぞれタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、2軸押出機を用いて、溶融温度260℃にて混錬し、ペレットを得た。
得られたペレットを用いて290℃の条件下、射出成形機にて、中空粒子を含有してなる板状の光源カバーを製造した。
得られた光源カバーは光拡散性に優れており、背面側に点灯可能な白色LED光源を配置して照明装置を構成したところ、光源点灯時に光源が透けて見えない性質を備えた、明るい照明装置が構成されることがわかった。
【0203】
(実施例2)
ポリカーボネート樹脂を100部、および製造例2で得られたコアシェル粒子を3部、それぞれタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、2軸押出機を用いて、溶融温度260℃にて混錬し、ペレットを得た。
得られたペレットを用いて290℃の条件下、射出成形機にて、コアシェル粒子を含有してなる板状の光源カバーを製造した。
得られた光源カバーは光拡散性に優れており、背面側に点灯可能な白色LED光源を配置して照明装置を構成したところ、光源点灯時に光源が透けて見えない性質を備えた、明るい照明装置が構成されることがわかった。
【0204】
(実施例3)
ポリカーボネート樹脂を100部、および製造例3で得られた異形粒子を3部、それぞれタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、2軸押出機を用いて、溶融温度260℃にて混錬し、ペレットを得た。
得られたペレットを用いて290℃の条件下、射出成形機にて、異形粒子を含有してなる板状の光源カバーを製造した。
得られた光源カバーは光拡散性に優れており、背面側に点灯可能な白色LED光源を配置して照明装置を構成したところ、光源点灯時に光源が透けて見えない性質を備えた、明るい照明装置が構成されることがわかった。
【0205】
(実施例4)
製造例1で得られた中空粒子の5部をシクロヘキサノン95部に超音波分散機を用いて分散し、中空粒子含有液状組成物を得た。中空粒子含有液状組成物の100部に樹脂としてポリメチルメタクリレートを5部混合して、樹脂含有する中空粒子含有液状組成物を得た。これを用い、支持層となる100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シート上にアプリケーターで塗布、100℃で乾燥し、光拡散層の形成されたPETシートを得た。このPETシートを用い、表面の研磨された透明なアクリル樹脂製基材上に貼り付け、中空粒子を含有する光拡散層を備えた板状の光源カバーを製造した。
得られた光源カバーは光拡散性に優れており、光拡散層の形成されていない側である背面側に点灯可能な白色LED光源を配置して照明装置を構成したところ、光源点灯時に光源が透けて見えない性質を備えた、明るい照明装置が構成されることがわかった。
【0206】
(実施例5)
ジペンタエリストールペンタおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(商品名「アロニックス(登録商標)M402」、東亞合成(株)製)100部、および有機溶媒(トルエン/シクロヘキサノン=9/1)100部を混合して得られた混合液を調製した。得られた混合液に対して、製造例2で得られたコアシェル粒子を10部添加して分散させて、コアシェル粒子を含有する液状組成物を得た。
得られた液状組成物を用い、支持層となる100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シート上にアプリケーターで塗布した。次いで、乾燥の後、高圧水銀灯にて紫外線を500mJ/cmで照射して硬化させることにより、光拡散層の形成されたPETシートを得た。このPETシートを用い、表面の研磨された透明なアクリル樹脂製基材上に貼り付け、コアシェル粒子を含有する光拡散層を備えた板状の光源カバーを製造した。
得られた光源カバーは光拡散性に優れており、光拡散層の形成されていない側である背面側に点灯可能な白色LED光源を配置して照明装置を構成したところ、光源点灯時に光源が透けて見えない性質を備えた、明るい照明装置が構成されることがわかった。
【0207】
(実施例6)
ポリメチルメタクリレート(商品名「パラペット(登録商標)HR−L」、(株)クラレ製、メルトインデックス:2g/10分)50部、およびメチルイソブチルケトン300部を混合して得られた混合液に対して、製造例3で得られた異形粒子を50部添加して分散させることにより、異形粒子含有液状組成物を得た。
得られた異形粒子含有液状組成物を用い、支持層となる100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シート上にアプリケーターで塗布した。次いで、60℃で3時間乾燥することにより、光拡散層の形成されたPETシートを得た。このPETシートを用い、表面の研磨された透明なアクリル樹脂製基材上に貼り付け、異形粒子を含有する光拡散層を備えた板状の光源カバーを製造した。
得られた光源カバーは光拡散性に優れており、光拡散層の形成されていない側である背面側に点灯可能な白色LED光源を配置して照明装置を構成したところ、光源点灯時に光源が透けて見えない性質を備えた、明るい照明装置が構成されることがわかった。
【0208】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0209】
本発明の光源カバーは、優れた光拡散性を有し、発光する光の直進性が高い光源と組み合わせて光源が透け難い照明装置を提供するのに好適である。したがって、LED光源と組み合わせて、省エネルギーで長寿命が求められる照明装置や表示灯の構成に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0210】
1、31 光源カバー
2、32 樹脂
3、33 粒子
4、34 光拡散層
11 コアシェル粒子
12 コア粒子
13 シェル層
21a、21b、21c、21d、21e、21f 異形粒子
22a、22b、22c、22d、22e、22f 第1の粒子
23a、23b、23c、23d、23e、23f 第2の粒子
35 支持層
36 基材
101 照明管
102 基盤
103 白色LED
104 放熱板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性の樹脂に、屈折率の異なる物質同士の界面を少なくとも一部に有する粒子を配合した光拡散層を用いて構成されることを特徴とする光源カバー。
【請求項2】
前記光拡散層を透光性の樹脂基材の上に配置して構成されることを特徴とする請求項1に記載の光源カバー。
【請求項3】
前記粒子は、中空粒子であって、
前記屈折率の異なる物質の一方が、第1の重合体を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光源カバー。
【請求項4】
前記中空粒子は、粒子径が0.4μm〜5μmであることを特徴とする請求項3に記載の光源カバー。
【請求項5】
前記第1の重合体を含む物質は、トルエン不溶分を40質量%以上含有することを特徴とする請求項3または4に記載の光源カバー。
【請求項6】
前記粒子は、コア粒子と、前記コア粒子の少なくとも一部を被覆するシェル層とを有するコアシェル粒子であって、
前記コア粒子は、第2の重合体を含み、
前記シェル層は、第3の重合体を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光源カバー。
【請求項7】
前記コアシェル粒子は、粒子径が0.8μm〜10μmであることを特徴とする請求項6に記載の光源カバー。
【請求項8】
前記第2の重合体に含まれる単量体単位の少なくとも1種が、前記第3の重合体に含まれる単量体単位と異なることを特徴とする請求項6または7に記載の光源カバー。
【請求項9】
前記第2の重合体が、
(a1)芳香族ビニル系単量体単位を20質量%〜98質量%、
(a2)極性官能基含有単量体単位を0質量%〜40質量%、
(a3)多官能単量体単位を0質量%〜40質量%、および
(a4)その他の単量体単位を0質量%〜10質量%
(但し、(a1)+(a2)+(a3)+(a4)=100質量%)を含むことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の光源カバー。
【請求項10】
前記第3の重合体が、
(b1)芳香族ビニル系単量体単位を0質量%〜90質量%、
(b2)(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を10質量%〜100質量%、
(b3)多官能単量体単位を0質量%〜40質量%、および
(b4)その他の単量体単位を0質量%〜10質量%
(但し、(b1)+(b2)+(b3)+(b4)=100質量%)
を含むことを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の光源カバー。
【請求項11】
前記粒子は、第1の粒子と、前記第1の粒子の表面の少なくとも一部に配置された第2の粒子とを有する、数平均粒子径が0.3μm〜8μmの異形粒子であって、
前記第1の粒子は、第4の重合体を含み、
前記第2の粒子は、第5の重合体を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光源カバー。
【請求項12】
前記第1の粒子の数平均粒子径(La)と、前記第2の粒子の数平均粒子径(Lb)との比の値が、(La)/(Lb)=0.05〜20.0であることを特徴とする請求項11に記載の光源カバー。
【請求項13】
前記第4の重合体および前記第5の重合体がともに、
(m1)芳香族ビニル系単量体単位、および
(m3)その他の単量体単位
を含有することを特徴とする請求項11または12に記載の光源カバー。
【請求項14】
前記第4の重合体が、さらに
(m2)極性官能基含有単量体単位
を含有することを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の光源カバー。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の光源カバーと、
光源とを有することを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−97063(P2013−97063A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237794(P2011−237794)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】