説明

光源モジュール及びそれを備えた電子機器

【課題】導光板の加工を伴うことなく、光源から導光板への結合効率を高め、光利用効率を向上させ、かつ輝度ムラを抑制し得る光源モジュールを提供する。
【解決手段】本発明の光源モジュールは、平板状の導光板13と、導光板13の下方に配されたLEDチップ25a・25bと、導光板13とLEDチップ25a・25bとの間に配された光結合部材30とを備えている。光結合部材30は、導光板13と平行な面で当接する頂部平坦面31と、LEDチップ25a・25bからの光を反射し頂部平坦面31へ導く垂下曲面32とを有する。本発明の光源モジュールは、導光板13に光結合せずに光結合部材30に戻った光を、頂部平坦面31に向けて反射する、LEDチップ25a・25bと同一面に設けられたプリズム35a・35bをさらに備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源モジュール及びそれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置においては、薄型化を図るために、光源からの光を導光板によって面状に出射させるサイドエッジ(「サイドライト」ともいう)型導光板を備えたバックライトが多用されている。
【0003】
このようなサイドエッジ型導光板では、導光板の長手方向の例えば両端部にLED等の光源を配置し、導光板の長手方向の各端面から、光を入射させ、導光板の内部中央へその光を全反射させながら、導光板の表面に光を出射するようになっている。
【0004】
しかしながら、サイドエッジ型導光板においては、熱膨張により導光板が伸縮し、導光板の長手方向においては伸縮量が大きい。このため、導光板の端部においては、光源を導光板に密着させることはできず、熱膨張による伸縮量を見越した隙間を有する構造となっている。この結果、隙間の存在により光源の導光板への入射効率が悪くなるという問題点を有している。この問題は、導光板が大型になればなるほど、伸縮量が大きくなり、光源と導光板との隙間を大きくしなければならないので、入射効率がさらに低下する。
【0005】
そこで、この問題を解決するために、例えば特許文献1及び2に開示された表示装置用バックライトが提案されている。
【0006】
図19に示すように、特許文献1のバックライト100では、導光板110の下方に発光ダイオード101が設けられている。そして、導光板110の表面における発光ダイオード101の直上においては、発光ダイオード101からの光を導光板101の両端部側へ反射すべく、曲面からなる反射面111・111が形成されている。また、発光ダイオード101の下側には反射シート102が設けられている。
【0007】
上記の構成により、導光板110の厚み方向の伸縮量は大きくないので、発光ダイオード101を導光板101に近接して配設することができる。また、発光ダイオード101の下側に設けられた反射シート102の存在とも相俟って、発光ダイオード101から出射された光の略全てが導光板110に導入されるので、サイドエッジ(「サイドライト」ともいう)型導光板よりも光の導光板110への結合効率及び光利用効率を向上できるものとなっている。
【0008】
また、図20に示すように、特許文献2のバックライト200では、導光板210の一端に受光面211a及び反射面211bを有する受光反射部211が形成されている。また、光源であるLED201は、導光板210における受光反射部211の真下に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−49324号公報(2006年2月16日公開)
【特許文献2】特開2004−319164号公報(2004年11月11日公開)
【特許文献3】特開2008−257921号公報(2008年10月23日公開)
【特許文献4】特開2009−193669号公報(2009年8月27日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1及び2のバックライトには、以下の問題がある。
【0011】
まず、特許文献1に開示された表示装置用バックライト100では、導光板110に曲面からなる反射面111・111を形成しなければならない。したがって、導光板110を加工しなければならないので、コスト高になり、特に、大型導光板の加工は面積が大きく困難であるという問題点を有している。
【0012】
また、反射面111・111で光が全反射するため、導光板110の表面における発光ダイオード101の直上は、光が全く透過せず暗部となり、輝度むらが発生する。また、反射面111・111について一部だけを反射させ残りの部分を透過させる構成とした場合であっても、反射率を極めて高精度で制御しないかぎり、暗部または明部が生じ輝度むらが発生する。
【0013】
また、特許文献1の表示装置用バックライト100では、導光板に加工を施す必要があるので、単なる平板状の導光板より、コスト高になる欠点がある。また、発光ダイオード101の直上の輝度が周囲より明るくなり、輝線が発生するので、均一な輝度分布を作ることができないという欠点がある。
【0014】
また、特許文献2のバックライト200では、導光板210の側部の一端のみに形成された受光反射部211から光を入射させる構成になっている。このため、導光板210の中央にLED201を配置することができない。それゆえ、特に大型の導光板を必要とする大型TVでは、導光板210における中央部の光強度が低下するという問題がある。
【0015】
また、バックライト200の製造方法に着目すると、受光反射部211の加工のため、コスト高となるという問題点がある。
【0016】
まず、導光板210の一部の形状を加工し受光反射部211を形成する場合、導光板210の加工にコストがかかるという問題がある。また、受光反射部211の加工に耐え得る程度に導光板210の厚さを大きくする必要がある。
【0017】
また、受光反射部211を導光板210と別部材で形成し導光板210に接着する場合、受光反射部211を厚さ数mmの導光板210の側面に接着する必要があるので、接着が非常に困難である。それゆえ、導光板210の側面と受光反射部211との接着にコストがかかるという問題がある。
【0018】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、導光板の加工を伴うことなく、光源から導光板への結合効率を高め、光利用効率を向上させ、かつ輝度ムラを抑制し得る、低コスト化が達成された光源モジュール及びそれを備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の光源モジュールは、上記の課題を解決するために、平板状の導光板と、上記導光板の下方に配された光源と、上記導光板と上記光源との間に配された光結合部材とを備え、上記光結合部材は、上記導光板と平行な面で当接する頂部平坦面と、光源からの光を反射し上記頂部平坦面へ導く反射面とを有し、上記導光板に光結合せずに上記光結合部材に戻った光を、上記頂部平坦面に向けて反射する、上記光源と同一面に設けられた第1反射部材をさらに備えていることを特徴としている。
【0020】
本発明の光源モジュールでは、平板状の導光板の下方に光源を設けると共に、導光板と光源との間に光源から出射された光を導光板に結合させる光結合部材が設けられている。このため、導光板の下方の光源から出射された光は光結合部材を介して導光板に光結合する。
【0021】
上記の構成によれば、上記光結合部材は、上記導光板と平行な面で当接する頂部平坦面と、光源からの光を反射し上記頂部平坦面へ導く反射面とを有するので、光源から出射された光は、光結合部材に入射し上記反射面にて反射する。そして、上記反射面にて反射された光は、上記頂部平坦面に導かれ、導光板の下面に対し斜め方向に入射する。導光板に対し斜め方向に入射した光は、導光板の内部を全反射しながら導光板の端部まで移動し、その途中で光路変換素子にて全反射条件が破れて外部に出射される。
【0022】
それゆえ、上記の構成によれば、従来のサイドエッジ型導光板とは異なり、導光板直下型のバックライトとなっているので、サイドエッジ型導光板においては必要であった熱膨張を回避するための光源と導光板との隙間が不要となる。したがって、上記の構成によれば、光源からの出射光が外部に直接漏れることを防止することができ、光源から導光板への結合効率を向上させることができる。
【0023】
また、上記の構成では、導光板とは別体の光結合部材を設けることにより、平板状の導光板に対して斜めに光を入射させるので、導光板の内部では入射光が全反射しながら導光される。
【0024】
この結果、導光板を加工しなくても光源からの光結合部材を介した入射光を導光板の内部にて導光させることができる。
【0025】
したがって、導光板の加工を伴うことなく、光源から導光板への結合効率を高め、光利用効率を向上し得る光源モジュールを提供することができる。
【0026】
また、上記の構成によれば、上記第1反射部材は、上記光源と同一面において、上記導光板に光結合せずに上記光結合部材に戻った光(迷光)を、上記頂部平坦面に向けて反射する。これにより、光源と光結合部材との位置ずれによって光路がずれた状態であっても、迷光を減少させ、かつ光結合率の低下を防ぐことができる。その結果、輝度ムラを抑制することができる。
【0027】
なお、特許文献1〜4には、本願発明における第1反射部材を設けることが一切記載されていない。つまり、特許文献1〜4では、導光板に光結合せずに光結合部に戻った光を、再度導光板に光結合するように再反射させることはできない。
【0028】
本発明の光源モジュールでは、上記第1反射部材は、再反射面を有し、上記再反射面によって反射され、かつ上記導光板に光結合する光が、上記光結合部材に戻らずに上記導光板に光結合する光と交差していることが好ましい。
【0029】
上記の構成によれば、上記再反射面によって反射され、かつ上記導光板に光結合(入射)する光の方向が、上記導光板における縦又は横方向の中心線に対して、上記光結合部材に戻らずに上記導光板に光結合(入射)する光の方向と逆方向を向いている。これにより、上記導光板の広範囲に光を照射することができる。
【0030】
本発明の光源モジュールでは、上記第1反射部材は、上記反射面にて上記導光板と反対方向へ反射された光を、さらに上記頂部平坦面に向けて反射することが好ましい。
【0031】
上記の構成によれば、上記光結合部材を小型化して、上記導光板に光結合しない光が増加した場合、すなわち、迷光が増加した場合でも、当該光を上記頂部平坦面に向けて反射することによって、輝度ムラを抑制することができる。
【0032】
本発明の光源モジュールでは、上記再反射面は、鏡面または金属膜が形成された面であってもよい。
【0033】
上記再反射面は、全反射が可能な面であることが好ましい。ただし、迷光と上記再反射面との角度によって、鏡面、金属膜が形成された面等を使い分けることができる。
【0034】
本発明の光源モジュールでは、上記光源から放射された光の全部が少なくとも1回上記反射面に当たるようになっていることが好ましい。
【0035】
光源は、所定の放射角度で光を放射する。このような放射角度で放射する光の一部が上記光結合部材の反射面で反射せずに導光板に入射した場合、導光板内部で反射せず光漏れが生じるおそれがある。上記の構成によれば、上記光源から放射された光の全部が少なくとも1回上記反射面に当たるようになっているので、上記光漏れを回避することができ、光結合効率をより向上させることができる。
【0036】
本発明の光源モジュールでは、上記反射面は、上記頂部平坦面から垂れ下がって形成された曲面であって、上記光源から放射された光が上記頂部平坦面で集光するようになっていることが好ましい。
【0037】
ここでいう「集光する」とは、光が絞られて(光束径が次第に小さくなりながら)上記頂部平坦面に導かれることを意味する。
【0038】
上記の構成によれば、上記反射面は、上記頂部平坦面から垂れ下がって形成された曲面であって、上記光源から放射された光が上記頂部平坦面で集光して導光板に入射するので、光結合効率をさらに向上させることができる。
【0039】
本発明の光源モジュールでは、上記反射面は、断面が放物線からなる放物面であり、上記放物面の焦点位置は、上記光源よりも上記光結合部材の中央部に近くなっていることが好ましい。
【0040】
ここでいう「放物面」とは、特定方向においてその断面形状が同一の放物線となる面を意味する。例えば、上記光結合部材が上記導光板における縦又は横方向の中心線上に設けられている場合、この中心線の方向に対して垂直な断面形状が該中心線の方向において同一の放物線となる面である。
【0041】
上記の構成によれば、上記反射面は、断面が放物線からなる放物面であり、上記放物面の焦点位置は、上記光源よりも上記光結合部材の中央部に近くなっている。すなわち、上記光源が上記放物面の焦点位置よりも端部側に存在するので、光源から放射される光を反射面で全反射することができ、効率よく頂部平坦面に光を到達させることが可能になる。その結果、光源から放射される光を効率的に導光板に光結合させることができる。
【0042】
本発明の光源モジュールでは、上記反射面は、断面が楕円からなる楕円面であり、上記楕円面の一方の焦点位置は、上記光源よりも上記光結合部材の中央部に近くなっており、他方の焦点位置は、上記導光板の下面上に存在することが好ましい。
【0043】
ここでいう「楕円面」とは、特定方向においてその断面形状が同一の楕円の弧となる面を意味する。例えば、上記光結合部材が上記導光板における縦又は横方向の中心線上に設けられている場合、この中心線の方向に対して垂直な断面形状が該中心線の方向において同一の楕円の弧となる面である。
【0044】
上記の構成によれば、上記反射面は、断面が楕円からなる楕円面であり、上記楕円面の一方の焦点位置は、上記光源よりも上記光結合部材の中央部に近くなっており(すなわち上記光源が上記楕円面の焦点位置よりも端部側に存在する)、他方の焦点位置は、上記導光板の下面上に存在する。これにより、光源から放射される光を反射面で全反射することができる。それゆえ、光源から放射される光を効率的に導光板に光結合させることができる。また、楕円面は、放物面よりも光を絞って導光板に光結合させることが可能である。
【0045】
本発明の光源モジュールでは、上記光源は、複数のLEDからなっており、上記反射面は、各LEDから放射された光を反射し上記頂部平坦面へ導くようになっていることが好ましい。
【0046】
上記の構成によれば、LEDは形状が小さくかつ照度も大きいので、光源モジュールの光源として適切である。
【0047】
本発明の光源モジュールでは、上記光結合部材における上記頂部平坦面は、上記導光板における縦又は横方向の中心線上に設けられており、上記反射面は、上記中心線に対して対称になるように2つ形成されており、上記LEDは、上記反射面に対応するように2列に並んで設けられていることが好ましい。
【0048】
上記の構成によれば、上記光結合部材における上記頂部平坦面は、上記導光板における縦又は横方向の中心線上に設けられており、上記反射面は、上記中心線に対して対称になるように2つ形成されており、上記LEDは、上記反射面に対応するように2列に並んで設けられているので、導光板における縦又は横方向の中心線上の輝度が最も高くなる。例えば液晶パネルの縦又は横方向の中心線上の輝度を高くする方が見易い画面となる。この点で、例えば本発明の光源モジュールを液晶表示装置に組み込んだ場合、輝度分布において適切な液晶表示装置を提供することが可能となる。
【0049】
本発明の光源モジュールでは、上記導光板における上記中心線の方向及び厚さ方向の両方に垂直な方向において、上記頂部平坦面の幅は、上記LEDからの光により照射される上記導光板下面の光線照射領域の幅と同じであることが好ましい。
【0050】
上記の構成によれば、上記導光板における上記中心線の方向及び厚さ方向の両方に垂直な方向において、上記頂部平坦面の幅は、上記LEDからの光により照射される上記導光板下面の光線照射領域の幅と同じであるので、2列に並んだLEDから放射される光を効率的に導光板に光結合させることができる。
【0051】
本発明の光源モジュールでは、上記光結合部材は、上記反射面を2つ有し、この2つの反射面は、上記導光板における縦又は横方向の中心線に沿って延びるV字面を構成するように形成されており、上記頂部平坦面は、2つの反射面に連結し、かつ上記中心線に対して対称になるように2つ形成されており、上記LEDは、その出射光が上記V字面で分岐するように1列に並んで設けられていることが好ましい。
【0052】
上記の構成によれば、LEDから放射された光は、上記2つの反射面により構成されるV字面にて、光路が2つの方向に分岐する。そして、2つの方向の光路に分岐した光はそれぞれ、2つの反射面に連結し、かつ上記中心線に対して対称になるように形成された2つの頂部平坦面に導かれ、導光板と光結合することになる。
【0053】
それゆえ、従来のサイドエッジ型導光板とは異なり、導光板直下型のバックライトとなっているので、サイドエッジ型導光板においては必要であった熱膨張を回避するための光源と導光板との隙間が不要となる。したがって、上記の構成によれば、光源からの出射光が外部に直接漏れることを防止することができ、光源から導光板への結合効率を向上させることができる。また、導光板を加工しなくても光源からの光結合部材を介した入射光を導光板の内部にて導光させることができる。
【0054】
さらに、上記の構成によれば、1列に並んだLEDからの出射光をV字面で2つの光路に分岐させているので、LEDの配列が単純になり、LEDの実装にかかる労力を削減できるという利点がある。
【0055】
本発明の電子機器は、上記の課題を解決するために、上述の光源モジュールを備えたことを特徴としている。
【0056】
これにより、導光板の加工を伴うことなく、光源から導光板への結合効率を高め、光利用効率を向上させ、かつ輝度ムラを抑制し得る電子機器を提供することができる。
【発明の効果】
【0057】
本発明の光源モジュールは、以上のように、平板状の導光板と、上記導光板の下方に配された光源と、上記導光板と上記光源との間に配された光結合部材とを備え、上記光結合部材は、上記導光板と平行な面で当接する頂部平坦面と、光源からの光を反射し上記頂部平坦面へ導く反射面とを有し、上記導光板に光結合せずに上記光結合部材に戻った光を、上記頂部平坦面に向けて反射する、上記光源と同一面に設けられた第1反射部材をさらに備えている構成である。
【0058】
また、本発明の電子機器は、以上のように、上記光源モジュールを備えた構成である。
【0059】
それゆえ、導光板の加工を伴うことなく、光源から導光板への結合効率を高め、光利用効率を向上させ、かつ輝度ムラを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明における液晶表示装置の実施の一形態を示す断面図である。
【図2】上記液晶表示装置の構成を示す分解斜視図である。
【図3】上記液晶表示装置における光源モジュール本体の構成を示す斜視図である。
【図4】上記液晶表示装置におけるバックライトの構成を示す斜視図である。
【図5】(a)はLEDから出射した光が放物面を有する光結合部材を介して導光板に入射するときの光路を示す断面図であり、(b)はそのLED近傍を示す要部断面図である。
【図6】(a)はLEDから出射した光が楕円面を有する光結合部材を介して導光板に入射するときの光路を示す断面図であり、(b)はそのLED近傍を示す要部断面図であり、(b)は頂部平坦面近傍を示す要部断面図である。
【図7】図6(b)の構成におけるLEDと垂下曲面の焦点との位置関係を示し、(a)は、LEDの発光点が焦点よりも端部側にある場合の光路を示した断面図であり、(b)は、LEDの発光点が焦点と一致する場合の光路を示した断面図であり、(c)は、LEDの発光点が焦点よりも中央部側にある場合の光路を示した断面図であり、(d)は、LEDにおける中央部側の端部が焦点よりも端部側にある場合を示す断面図であり、(e)は、LEDにおける中央部側の端部が焦点よりも中央部側にある場合を示す断面図である。
【図8】(a)は、頂部平坦面の幅と導光板下面に照射される光線照射領域の幅との関係を模式的に示した断面図であり、(b)は、頂部平坦面の幅が光線照射領域の幅よりも小さい場合を示し、(c)は、頂部平坦面の幅が光線照射領域の幅よりも大きい場合を示す。
【図9】2つのLEDから出射した光が放物面・楕円面を有する光結合部材を介して導光板に入射するときの光路を示す断面図である。
【図10】(a)は、液晶表示装置の構成の一例を示す正面図であり、(b)は、その側面図である。
【図11】(a)は、液晶表示装置の構成の他の例を示す正面図であり、(b)は、その側面図である。
【図12】(a)は液晶表示装置の構成を示す断面図であり、(b)は導光板の高さ方向の輝度分布を示すグラフである。
【図13】上記液晶表示装置の端部の構成を示す要部断面図である。
【図14】上記液晶表示装置におけるバックライトの構成を示す斜視図である。
【図15】上記液晶表示装置におけるバックライトの構成を示す斜視図である。
【図16】LEDと光結合部材との位置ずれ量と、結合効率と、の関係を示すグラフである。
【図17】(a)は光源モジュールの変形例の構成を示すものであって、一個のLEDから出射した光が放物面を有する光結合部材を介して導光板に入射するときの光路を示す断面図であり、(b)は光源モジュールの変形例の構成を示すものであって、一個のLEDから出射した光が楕円面を有する光結合部材を介して導光板に入射するときの光路を示す断面図である。
【図18】光源モジュールのさらに他の変形例の構成を示す断面図である。
【図19】特許文献1の液晶表示装置のバックライトの構成を示す断面図である。
【図20】特許文献2のバックライトの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明の一実施形態について図1〜図18に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0062】
本実施の形態の液晶表示装置(電子機器)1は、図2に示すように、下から順に、バックライト10、拡散シート2、プリズムシート3、液晶パネル4及びベゼル5にて構成されている。
【0063】
上記バックライト10は、下から順に、光源モジュール20、一筋の開口を有するシャーシ11、反射シート12(第2反射部材)及び導光板13にて構成されている。シャーシ11は、図示せぬ光結合部材が導光板13に当接する部分で2つに区切られ11a・11bで構成される。反射シート12も、シャーシ11と同様に図示せぬ光結合部材が導光板13に当接する部分で2つに区切られ、反射シート12a・12bで構成される。シャーシ11a・11bと反射シート12a・12bとの間にスリット14が形成される。スリット14は、光結合部材30が導光板13に当接する位置付近で複数に区切られて形成されている。また、光源モジュール20には、図1及び図3に示すように、帯状に形成された光源ホルダー21の上にシート状のヒートシンク22が設けられていると共に、このヒートシンク22の上には、
LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)基板24a・24bが設けられ、光源としてのLEDチップ25a・25bがLED基板24a・24b上に配置されている。LEDチップ25a・25bは非常に微細なサイズであるため、図3では、図面の煩雑さを防ぐ目的で記載を割愛する。なお、本実施の形態では、光源としてLEDチップ25a・25bを用いているが、これに限るものではなく、例えば、パッケージに収納されたLEDでもよく、有機EL発光素子又は無機EL発光素子を用いることも可能である。なお、シャーシ11と光源ホルダー21が板状部材の成形等で一体に形成されていても構わない。
【0064】
上記LEDチップ25a・25bの上部には、上記光結合部材30が設けられている。すなわち、LED基板24a・24b上にLEDチップ25a・25bが配列され、その上部に光結合部材30が配置される。LEDチップが破損するのを防止するために、スペーサ23a・23bを設けていることが好ましい。
【0065】
すなわち、本実施の形態の液晶表示装置1は、図1に示すように、液晶パネル4と、液晶パネル4に光を照射する導光板13と、導光板13に光を結合する光学素子としての光結合部材30と、上記光結合部材30に入射光を発するLEDチップ(光源)25a・25bと、導光板13に光結合せずに光結合部材30に戻った光を頂部平坦面31に向けて反射するプリズム35a・35bとを備え、上記液晶パネル4、導光板13、光結合部材30、LEDチップ25a・25bがこの順に並んで設けられたものからなっている。プリズム35a・35bは、LEDチップ25a・25bと略同一面に設けられている。したがって、本実施の形態の液晶表示装置1におけるバックライト10は、LEDチップ25a・25bが導光板13の下方に設けられた光源直下型のバックライト10となっている。
【0066】
図1に示すように、液晶表示装置の裏面側には、突出部として光源モジュール20が設けられており、その内部に光結合部材30とLEDチップ25a・25bとが格納された構成となっている。また、光源モジュール20は、液晶表示装置1の長手方向に帯状に形成されており、内部に格納されている光結合部材30も液晶表示装置1の長手方向(図1の紙面奥行方向)に帯状に形成されている。つまり、「突出部」は後述する液晶パネルの光源モジュール20を構成する部材の中の光結合部材及び光源及びそのカバー等で構成されると換言できる。
【0067】
本実施の形態では、突出部(光源モジュール20)がシャーシ11の平坦面から突出した断面長方形状にて形成されているが、これに限定されるものではなく、断面が半円形、半楕円形、三角形等の四角形以外の多角形であっても構わない。つまり、本発明において、突出部とは、断面四角形の凸部形状のみを意図するものではなく、内部に光結合部材や光源等を格納できる機能を有する限り、種々の形状・大きさが許容される。
【0068】
本明細書において、「LEDチップ25a・25b(光源)と同一面に設けられたプリズム35a・35b(第1反射部材)」とは、プリズム35a・35bがLEDチップ25a・25bと同一面に設けられていることを意味し、プリズム35a・35bがLEDチップ25a・25bの配置されている面の延長線上に設けられていることも含む。
【0069】
ここで、本実施の形態では、光結合部材30は、図4に示すように、導光板13とLEDチップ25a・25bからなる光源25との間に設けられた断面略かまぼこ状の帯体からなっていると共に、光結合部材30の材質は導光板13の材質と同じ樹脂からなっている。詳細には、光結合部材30における導光板13側の表面は、平板状の導光板13に当接する頂部平坦面31と、この頂部平坦面31から両端側にそれぞれ垂下する垂下曲面(反射面)32・32(32a・32b)とからなっている。なお、導光板13と光結合部材30とは、別部材であり、その間に空気が介在しないようになっている。具体的には、両部材は、接着剤やレーザ溶着により接合されている。
【0070】
バックライト10によれば、例えばLEDチップ25aから出射された光が光結合部材30の垂下曲面32にて反射され、その反射光が光結合部材30の頂部平坦面31に到達し、到達方向を維持して導光板13に入射する。図5(a)に示すように、導光板13の下面には、反射シート12が設けられている。このため、導光板13に入射された光は、図4、図5(a)等に示す導光板13の右側の内部を全反射して進み、図示しない光路変換部である光散乱体と衝突することにより導光板13中を進む角度が変わり、全反射条件が破られ、導光板13の液晶パネル4側表面から出射し、前記拡散シート2及びプリズムシート3を通して液晶パネル4に向かう。なお、LEDチップ25bから出射された光も図9に示すように、LEDチップ25aからの光とは対称に進む。
【0071】
このようにバックライト10によれば、光結合部材30の厚さ方向の伸縮量は大きくないため、伸縮量を考慮して、LEDチップ25と光結合部材30との間にクリアランスを設ける必要がない。また、LEDチップ25からの出射光は、光結合部材30に入射すると、垂下曲面32にて反射され、頂部平坦面31を介して導光板13に入射する。光結合部材30の材質は導光板13の材質と同じ樹脂からなっているので、LEDチップ25からの出射光は、光の損失なしに頂部平坦面31を通過し導光板13に入射する。それゆえ、LEDチップ25からの出射光が外部に直接漏れることを防止することができ、光結合効率を向上させることができる。
【0072】
また、バックライト10によれば、導光板13と光結合部材30とは別部材であり、かつ通常使用されている平板状の導光板13に光結合部材30が接着された構造である。このため、特許文献1に開示されている技術思想である、導光板13への加工が不要となり、コストダウンを実現することができる。
【0073】
また、本実施の形態のバックライト10では、LEDチップ25からの出射光は、導光板13に対して垂直方向に放射して、光結合部材30に入射する。そして、光結合部材30の側面の垂下曲面32にて反射し、光路の方向が、(導光板13に対して)垂直方向から(導光板13に対して)斜め方向に変換されて、頂部平坦面31を介して導光板13に光結合する。
【0074】
一方、光源からの光を光結合部材を介して導光板に対して斜め方向に導光板内部に導入し、導光板と光結合する技術として、上記特許文献3及び上記特許文献4に開示された技術が知られている。両公報に開示された技術では、光源(LED)は、導光板に対して斜めに配置されている。すなわち、光源からの光の出射方向が導光板に対して斜め方向である。上記特許文献4においては、光源を斜めに保持するための台座が開示されている。
【0075】
しかし、特許文献3及び特許文献4に開示された技術のように導光板に対して斜め方向に入射するようにLEDを斜めに配置することは、一般的に困難である。例えば、LEDを斜めに配置するために、シャーシにLEDを斜めに保持するための台座(例えば特許文献4に開示された台座)を設置した上で、この台座にLEDを斜め方向から実装する必要がある。このため、特許文献3及び特許文献4に開示された技術では、バックライトの組立が困難となり、実用に供し得ない。
【0076】
これに対し、バックライト10では、出射光が導光板13に対して垂直方向に放射するようにLEDチップ25が配置されている。すなわち、特許文献3及び4に記載の技術のように、導光板に対して斜め方向に入射するようにLEDを斜めに配置する必要がなく、LEDチップ25を平板状のシャーシ11に対し垂直にかつ真上から実装するのみである。それゆえ、本実施の形態のバックライト10では、組立方法や構造が単純化することが可能である。このように、本実施の形態のバックライト10は、特許文献3及び4の技術に対し、構造的な面で、LEDチップ25を垂直に実装できるというメリットがある。
【0077】
また、上記垂下曲面32・32の形状は、LEDチップ25からの出射光を全反射する機能を有していればよい。例えば、図5(a)に示すように、垂下曲面32・32の形状は、断面放物線(帯状体である光結合部材30の伸びる方向に垂直な断面において放物線となる形状)であってもよい。ただし、必ずしもこれに限らず、図6(a)〜(c)に示すように、断面楕円(帯状体である光結合部材30の伸びる方向に垂直な断面において楕円の弧となる形状)とすることも可能である。また、光結合部材30における導光板13側とは反対側の表面、つまり光結合部材30の下端は、下端平坦面33となっている。また、光結合部材30の下端側の中央部には凹部34が形成されている。ただし、必ずしもこれに限らず、凹部34が存在しなくてもよい。すなわち、本実施の形態では、垂下曲面32・32にて反射する光の導光板13への光路が確保できればよいので、光路とならない部分(光が通過しない部分)は凹部34としてくり抜くことができる。これにより、コスト削減を図ることができる。尚、凹部34に図示せぬ反射シート等の反射手段を設けることも可能である。これにより、頂部平坦面31での導光板13から液晶パネル4への照射を向上させることができる。
【0078】
また、光結合部材30の下端平坦面33・33の下側には、LEDチップ25a・25bがそれぞれ近接して設けられている。垂下曲面32が断面放物線からなる場合、これらLEDチップ25a・25b(における中央部側(頂部平坦面31側)の端部)は、図6(b)に示すように、断面放物線からなる垂下曲面32・32の焦点fの位置よりも端部側に存在することが好ましい。これにより、LEDチップ25a・25bから放射される光を垂下曲面32で全反射することができ、効率よく頂部平坦面31に光を到達させることが可能になる。その結果、LEDチップ25a・25bから放射される光を効率的に導光板13に光結合させることができ、サイドエッジ型の構成よりも光結合効率を向上させることができる。
【0079】
また、垂下曲面32が断面楕円からなる場合、図6(b)及び図7に示すように、LEDチップ25a・25b(における中央部側(頂部平坦面31側)の端部)は、断面楕円からなる垂下曲面32・32における一方の焦点fの位置よりも端部側に存在することが好ましい。さらに、この場合、図6(c)に示すように、垂下曲面32・32における他方の焦点fは、導光板13の下面に一致していることが好ましい。これにより、LEDチップ25a・25bから放射される光を垂下曲面32で全反射することができる。それゆえ、LEDチップ25a・25bから放射される光を効率的に導光板13に光結合させることができる。断面楕円からなる垂下曲面32は、断面放物線からなる垂下曲面32よりも光を絞って導光板13に光結合させることが可能である。それゆえ、光結合効率を向上させる観点から、垂下曲面32は、断面楕円からなることがより好ましい。
【0080】
LEDチップ25a・25bと垂下曲面32の焦点fとの位置関係について、図7を参照して、さらに詳述する。図7は、LEDチップ25a・25bと垂下曲面32の焦点fとの位置関係を示し、図7(a)は、LEDチップ25aの発光点が焦点fよりも端部側にある場合の光路を示した断面図であり、図7(b)は、LEDチップ25aの発光点が焦点fと一致する場合の光路を示した断面図であり、図7(c)は、LEDチップ25aの発光点が焦点fよりも中央部側にある場合の光路を示した断面図である。また、図7(d)は、LEDチップ25aにおける中央部側(頂部平坦面31側)の端部が焦点fよりも端部側にある場合を示す断面図であり、図7(e)は、LEDチップ25aにおける中央部側の端部が焦点fよりも中央部側にある場合を示す断面図である。
【0081】
LEDチップ25a・25bと垂下曲面32の焦点fとの位置関係は、図6(b)に示すように、(a)LEDチップ25aの発光点が焦点fよりも端部側にある場合、(b)LEDチップ25aの発光点が焦点fと一致する場合、(c)LEDチップ25aの発光点が焦点fよりも中央部側にある場合が考えられる。
【0082】
図7(a)から、LEDチップ25aの発光点が焦点fよりも端部側にある場合、LEDチップ25aから放射された光は、全て頂部平坦面31を通過し導光板13と光結合することがわかる。また、図7(b)から、LEDチップ25aの発光点が焦点fと一致する場合、LEDチップ25aから放射された光は、全て頂部平坦面31(導光板13の下面)上に存在する焦点fに集光する。一方、LEDチップ25aの発光点が焦点fよりも中央部側にある場合、図7(c)からLEDチップ25aから放射された光の大部分は、頂部平坦面31を通過せず導光板13と光結合しないことがわかる。
【0083】
ここで、LEDチップ25aは、有限のサイズを有している。それゆえ、LEDチップ25aからの放射光は、光結合部材30の下面(下端平坦面33)に、少なくともLEDチップ25aのサイズで入射する。このとき、図7(d)に示すように、LEDチップ25aにおける中央部側の端部が焦点fよりも端部側にある場合、LEDチップ25aから放射された全ての光は、光結合部材30の下面における焦点fまたは焦点fよりも端部側から出射するので、頂部平坦面31を通過し導光板13と光結合する。それゆえ、図7(d)に示すように、LEDチップ25aにおける中央部側の端部が焦点fよりも端部側にある場合、光結合効率が向上することが可能になる。
【0084】
一方、図7(e)に示すように、LEDチップ25aにおける中央部側の端部が焦点fよりも中央部側にある場合、LEDチップ25aから放射された光の一部は、光結合部材30の下面における焦点fよりも中央部側から出射することになり、導光板13と光結合しない光となる。よって、図7(e)のように、LEDチップ25aにおける中央部側の端部が焦点fよりも中央部側にある場合、光結合効率が低くなるので、好ましくない。
【0085】
また、帯状体である光結合部材30の伸びる方向(以下、単に「伸長方向」とする)及び導光板13の厚さ方向の両方に垂直な方向(以下、単に「幅方向」とする)において、頂部平坦面31の幅Xは、LEDチップ25a・25bにより導光板13の下面に照射される光線照射領域の幅と同じであることが好ましい。これにより、LEDチップ25a・25bから放射される光を効率的に導光板13に光結合させることができる。図8(a)は、頂部平坦面31の幅と導光板13下面に照射される光線照射領域の幅との関係を模式的に示した断面図であり、図8(b)は、頂部平坦面31の幅が光線照射領域の幅よりも小さい場合を示し、図8(c)は、頂部平坦面31の幅が光線照射領域の幅よりも大きい場合を示す。なお、図8(a)〜(c)では、図面の明確さの観点から、LEDチップ25aから放射された光のみを示している。なお、図8(a)〜(c)において、プリズム35aの記載を省略している。
【0086】
実際には、LEDチップ25bからも光が放射されている。図8(a)に示す構成においては、LEDチップ25aから放射された光の光路は、LEDチップ25bから放射された光の光路と、導光板13下面で交差する。ここでいう「光線照射領域」とは、LEDチップ25a・25bの放射光により照射された導光板13下面の領域を意味する。
【0087】
頂部平坦面31の幅が光線照射領域の幅よりも小さい場合(垂下曲面32・32’が形成され頂部平坦面31の幅がX1である場合)、光結合効率が低下するため好ましくない。図8(b)に示すように、LEDチップ25aから放射される光は、垂下曲面32で反射して、その一部が点線で囲んだ部分に到達する。点線で囲んだ部分に到達した光は、光結合部材30の外部に漏れるか、あるいは反射されて反対側のLEDチップ25bに到達し迷光L1となる。その結果、光結合効率が低下する。
【0088】
また、頂部平坦面31の幅が光線照射領域の幅よりも大きい場合(垂下曲面32・32’’が形成され頂部平坦面31の幅がX2である場合)も、光結合効率が低下するため好ましくない。図8(c)に示すように、頂部平坦面31を通過し導光板13に入射した光の一部L2が光結合部材30内に再度反射してしまう。この結果、光結合効率が低下する。
【0089】
このように伸長方向及び導光板13の厚さ方向に垂直な方向において、頂部平坦面31の幅は、光線照射領域の幅よりも大きくても小さくても、光結合効率が低下してしまう。したがって、頂部平坦面31の幅は、LEDチップ25a・25bにより導光板13の下面に照射される光線照射領域の幅と同じであることが好ましい。
【0090】
また、光結合部材30の高さは、LEDチップ25a・25bから放射された光が垂下曲面32・32で少なくとも1回当たる高さであることが好ましい。LEDチップ25a・25bは、所定の放射角度で光を放射する。一般的に、LEDチップ25a・25bの放射角度は、84°である。このような放射角度で放射する光の一部が垂下曲面32・32で反射せずに導光板13に入射した場合、導光板13内部で反射せず光漏れが生じるおそれがある。このような光漏れを回避するために、LEDチップ25a・25bからの放射光の全てが垂下曲面32・32で少なくとも1回反射されるように、光結合部材30の高さが設定されていることが好ましい。
【0091】
この結果、本実施の形態の液晶表示装置1におけるバックライト10では、図10(a)(b)に示すように、液晶表示装置1の画面の中央部に横切って帯状の光源モジュール20を設けることにより、図12(a)(b)に示す輝度分布を有する導光板13からの出射光を得ることができる。そして、この画面の中央が明るいという輝度分布は、液晶表示装置1を適切に表示するための輝度分布に一致している。したがって、従来のサイドエッジ型のバックライトよりも、優れているといえる。なお、図10(a)(b)に示す中央直下型導光板方式の他に、図11(a)(b)に示す下辺直下型導光板方式で光源モジュール20を設けることも可能である。
【0092】
また、本実施の形態のバックライト10では、従来のサイドエッジ型のバックライトとは異なり、図13に示すように、液晶パネル4の端部に光源が存在しないので、液晶パネル4の端部に直接、フレーム6を設けることが可能である。その結果、額縁寸法を小さくすることが可能になる。
【0093】
また、本実施の形態の液晶表示装置1におけるバックライト10では、導光板13の直下にLEDチップ25を備えた光源モジュール本体20が配置されている。導光板110の厚み方向の伸縮量は大きくないので、導光板13の伸縮量を考慮したクリアランスを設定する必要がない。それゆえ、光結合効率を向上させることができる。
【0094】
表1は、本実施の形態のバックライト10とサイドエッジ型バックライトとについて、光結合効率を比較した結果を示す。表1においては、光結合部材30の垂下曲面32が断面放物線からなる構成、光結合部材30の垂下曲面32が断面楕円からなる構成、及び比較例としてサイドエッジ型バックライトについて、光結合効率を算出した。
【0095】
【表1】

【0096】
表1の結果から、光結合部材30を備えたバックライト10は、サイドエッジ型バックライトよりも光結合効率が大きくなっていることがわかる。
【0097】
ところで、上述したように、本実施形態の光源モジュール20は、図15に示すように、液晶パネル4と、液晶パネル4に光を照射する導光板13と、導光板13に光を結合する光学素子としての光結合部材30と、上記光結合部材30に入射光を発するLEDチップ25a・25bとを備え、導光板13に光結合せずに光結合部材30に戻った光を頂部平坦面31に向けて反射するプリズム35a・35bをさらに備え、上記液晶パネル4、導光板13、光結合部材30、LEDチップ25a・25bがこの順に並んで設けられたものからなっている。なお、LEDチップ25a・25bとプリズム35a・35bとは略同一面上、好ましくは同一面上に並んで設けられている。また、LEDチップ25(LEDチップ25a・25b)の一部分とプリズム35(プリズム35a・35b)の一部分とが同一面に存在していれば、本実施形態に含まれる。例えば、LEDチップ25(LEDチップ25a・25b)の上面とプリズム35(プリズム35a・35b)の下面とが略同一面上、好ましくは同一面上に存在していれば、本実施形態に含まれる。
【0098】
ここで、図14のように、プリズム35a・35bを備えていない場合、LEDチップ25a・25bを、光結合部材30に対する所定の位置からずれた場所に配置すると、導光板13に統合しない光が迷光L3となり、輝度ムラが発生するおそれがある。具体的には、図14に示すように、導光板13に統合しない一部の光が、LEDチップ25aと反対側の垂下曲面32にて、LEDチップ25aからの出射方向(導光板13に向かう方向)とは反対側に反射され、反射された光が迷光L3となる。さらに具体的には、光結合部材30の位置ずれにより光路がずれた場合に、光結合部材30以外の余分な個所にも光照射されて、当該余分な箇所により下方(導光板13と反対の方向)に反射される光成分が迷光となる。また、位置ずれに強い光結合部材30を設計すると、装置が大型になる。
【0099】
これに対して、本実施形態では、図15に示すように、LEDチップ25a・25bと略同一面上、好ましくは同一面上にプリズム(第1反射部材)35(プリズム35a・35b)が設けられている。プリズム35によって、迷光を再度、光結合部材30に指向させることができる。これにより、光結合部材30の位置がずれた状態であっても、迷光を低減し、かつ光結合率の低下を防ぐことができる。
【0100】
要するに、プリズム35a・35bを備えていない場合、図14に示すように、主として、「LEDチップ25a・25bと同じ側の垂下曲面32にてLEDチップ25a・25bからの出射方向(導光板13に向かう方向)と同じ側に反射された光」が、頂部平坦面31に入射する。これに対して、プリズム35a・35bを備えている場合、図15に示すように、主として、「LEDチップ25a・25bと同じ側の垂下曲面32にてLEDチップ25a・25bからの出射方向(導光板13に向かう方向)と同じ側に反射された光」、並びに、「LEDチップ25a・25bと同じ側の垂下曲面32にてLEDチップ25a・25bからの出射方向(導光板13に向かう方向)と同じ側に反射され、かつLEDチップ25a・25bと反対側の垂下曲面32にて導光板13と反対方向へ反射された光を、プリズム35a・35bにてさらに反射した光」が、頂部平坦面31に入射する。
【0101】
また、本実施形態の光源モジュール20は、(i)製造上の公差が大きくなり、組み立てが容易になる、(ii)より大きな光源を用いることが可能となる、(iii)光結合部材(レンズ)を小型化することができる、(iv)より薄い導光板に結合させることが可能となる、という効果を奏する。
【0102】
プリズム35(プリズム35a・35b)について、以下に詳しく説明する。
【0103】
プリズム35の形成位置は、光結合部材30の下面(導光板13と反対側の面)で迷光成分が集光する箇所である。
【0104】
プリズム35の形状は、特に限定されず、迷光成分が導光板13に再結合するような形状である。具体的には、プリズム35は、LEDチップ25を配置している面との間の角度が、好ましくは35°〜50°、より好ましくは40°〜46°の範囲となるように、LEDチップ25からの近位端を起点として起立して設けられている再反射面を有していることが好ましい。これにより、35°〜50°に設定しておけば、30%以上の迷光成分を再結合させることができ、40°〜46°に設定しておけば、30%以上の迷光成分を再結合させることができる。また、上記再反射面によって反射され、かつ導光板13に入射する光が、光結合部材30に戻らずに導光板13に入射する光と交差する(逆方向になる)。
【0105】
プリズム35の形成は、光結合部材30の一部を上記形状にくり抜くこと、等によって行うことができる。
【0106】
プリズム35の高さ(導光板13の厚さ方向における距離)は、LEDチップ25から放射される光の障害にならないような高さである。
【0107】
プリズム35の反射面(上記再反射面)は、全反射が可能な面であることが好ましい。ただし、迷光と上記再反射面との角度によって、鏡面(ミラー面)、金属膜が形成された面等を使い分けることができる。なお、金属膜が形成された面は、金属等の蒸着膜を形成することなどによって製造することができる。
【0108】
本実施形態の光源モジュール20における製造上の公差について、以下に詳しく説明する。
【0109】
図16に、LEDチップと光結合部材(レンズ)との位置ずれ量と、結合効率と、の関係を、プリズムがある場合(図16におけるAのグラフ)とプリズムが無い場合(図16におけるBのグラフ)とで比較して示した。
【0110】
その結果、プリズムが無い場合には、0.2mmの位置ずれによって10%以上結合効率が低下する。一方、本実施形態におけるプリズムを有する場合には、0.2mmの位置ずれが生じても結合効率は一定であることが分かる。また、10%結合効率が低下するのは0.3mmの位置ずれが生じた場合であり、プリズムを有する場合の公差は、プリズムが無い場合に対して1.5倍となる。
【0111】
言い換えれば、図14に示すように、光結合部材を、シリンダ型の光結合部材と導光板とを接着する構造とし、シリンダ形状の曲面付近から光を入光させることにより、LEDチップから直接光が漏れることの抑制が可能となっている。しかしながら、LEDチップを所定の位置からずれた場所に配置すると、図14に示すように、導光板に結合しない光が迷光となり、輝度ムラが発生する。迷光への対策として、図15に示すように、シリンダ型の光結合部材の下部にプリズム形状を設けて、導光板に結合せず、かつLEDチップと反対の曲面で反射された光を、プリズム形状で反射させることによって、導光板に再結合させる。これにより、光結合部材を小型化しつつ、位置ずれに強くすることができる。
【0112】
尚、本実施の形態においては光源モジュール本体20には、2列のLEDチップ25a・25bが設けられていた。しかし、必ずしもこれに限らず、例えば、図17(a)(b)に示すように、光結合部材40の片側のみに1列のLEDチップ25が配された構成とすることも可能である。
【0113】
また、1列のLEDチップ25が配された構成としては、図18に示すような構成であってもよい。以下、本実施形態のバックライト10の変形例について、さらに詳述する。図18は、バックライト10の変形例を模式的に示した断面図である。
【0114】
図18に示すように、光結合部材30’は、2つの反射面32’を有している。そして、この2つの反射面32’は、導光板13における縦又は横方向の中心線Lに沿って延びるV字面を構成するように形成されている。また、頂部平坦面31は、2つの反射面32’に連結し、かつ中心線Lに対して対称になるように2つ形成されている。
【0115】
また、図18に示す構成では、LEDチップ25は、1列に並んで配置されている。そして、LEDチップ25から放射された光は、2つの反射面32’により構成されたV字面で、2つの方向に分岐するようになっている。なお、V字面を構成する2つの反射面32’は、LEDチップ25からの出射光を全反射する面であればよく、例えば図5や図6に示された、断面放物線または断面楕円からなる垂下曲面32であってもよい。
【0116】
図18に示す構成であっても、LEDチップ25からの出射光が外部に直接漏れることを防止することができ、光結合効率を向上させることができる。また、導光板13と光結合部材30とは別部材であり、かつ通常使用されている平板状の導光板13に光結合部材30が接着された構造である。このため、導光板13への加工が不要となり、コストダウンを実現することができる。
【0117】
さらに、図18に示された構成では、1列に並んだLEDチップ25からの出射光をV字面で2つの光路に分岐させて、光結合部材30’の幅方向の両側から出射させている。それゆえ、LEDチップ25の配列が単純になり、LEDチップ25の実装にかかる労力を削減できるという利点がある。
【0118】
その一方で、図18に示された構成では、LEDチップ25からの出射光がV字面で2つの光路に分岐しているため、LEDチップ25の真上にある導光板13領域の輝度が低下するという課題が残されている。しかし、この課題は、光結合部材30’を複列配置し、光結合部材30’上の暗部(中心線Lの沿ったV字面近傍)に光を入射させることで解決することができる。それゆえ、図18に示す構成では、光結合部材30’は、複列配置されていることが好ましい。なお、導光板13における中心線L近傍の輝度を向上させる観点では、図4に示すような、2列のLEDチップ25a・25bを備える構成が好ましい。
【0119】
また、図18に示された構成では、LEDチップ25が少しでもずれると、出射光の輝度が大きく変動するという課題が残されている。この課題に対しては、LEDチップ25の位置決め精度を向上させることで解決することができる。
【0120】
具体的には、図18に示すように、プリズム35を備えることによって、上記課題を解決することができる。プリズム35を備えていれば、迷光を低減し、かつ光結合率の低下を防ぐことができため、輝度ムラを抑制することが可能となる。
【0121】
なお、本発明は、照明装置として、以下のように表現することもできる。
【0122】
略平板状の導光板と、該導光板の下方に配置された光源および光再反射部材と、該導光板と該光源との間に配置された光結合部材と、を備え、該光結合部材の表面部は、該導光板と略平行な平面で該導光板に当接した光結合部と、頂部の該平面に対して傾斜した、平面または曲面からなる光反射部と、を備え、前記光源の光は、上記光結合部の一部と上記光反射部の一部とを少なくとも含む照射領域に導光板に垂直な方向から傾斜した方向に照射され、前記光源の光のうちで前記光反射部に照射された光成分は、前記光反射部で反射されたうえでさらに前記光再反射部材による再反射を経て前記光結合部に照射されることを特徴とする照明装置。
【0123】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、テレビ、モニター等の液晶表示装置のバックライトに用いることができ、特に、光源直下型のバックライトに適用可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 液晶表示装置
2 拡散シート
3 プリズムシート
4 液晶パネル
10 バックライト(光源モジュール)
11 シャーシ
11a・11b シャーシ
12 反射シート(第2反射部材)
13 導光板
14 スリット
20 光源モジュール本体
23 スペーサ
23a・23b スペーサ
24 LED基板
24a・24b LED基板
25 LEDチップ(光源、LED)
25a・25b LEDチップ(光源、LED)
30 光結合部材
31 頂部平坦面
32 垂下曲面(反射面)
33 下端平坦面
34 凹部
35 プリズム(第1反射部材)
35a・35b プリズム(第1反射部材)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の導光板と、
上記導光板の下方に配された光源と、
上記導光板と上記光源との間に配された光結合部材とを備え、
上記光結合部材は、上記導光板と平行な面で当接する頂部平坦面と、光源からの光を反射し上記頂部平坦面へ導く反射面とを有し、
上記導光板に光結合せずに上記光結合部材に戻った光を、上記頂部平坦面に向けて反射する、上記光源と同一面に設けられた第1反射部材をさらに備えていることを特徴とする光源モジュール。
【請求項2】
上記第1反射部材は、再反射面を有し、
上記再反射面によって反射され、かつ上記導光板に光結合する光が、上記光結合部材に戻らずに上記導光板に光結合する光と交差していることを特徴とする請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項3】
上記第1反射部材は、上記反射面にて上記導光板と反対方向へ反射された光を、さらに上記頂部平坦面に向けて反射することを特徴とする請求項1または2に記載の光源モジュール。
【請求項4】
上記再反射面は、鏡面または金属膜が形成された面であることを特徴とする請求項2または3に記載の光源モジュール。
【請求項5】
上記光源から放射された光の全部が少なくとも1回上記反射面に当たるようになっていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の光源モジュール。
【請求項6】
上記反射面は、上記頂部平坦面から垂れ下がって形成された曲面であって、
上記光源から放射された光が上記頂部平坦面で集光するようになっていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の光源モジュール。
【請求項7】
上記反射面は、断面が放物線からなる放物面であり、
上記放物面の焦点位置は、上記光源よりも上記光結合部材の中央部に近くなっていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の光源モジュール。
【請求項8】
上記反射面は、断面が楕円からなる楕円面であり、
上記楕円面の一方の焦点位置は、上記光源よりも上記光結合部材の中央部に近くなっており、他方の焦点位置は、上記導光板の下面上に存在することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の光源モジュール。
【請求項9】
上記光源は、複数のLEDからなっており、
上記反射面は、各LEDから放射された光を反射し上記頂部平坦面へ導くようになっていることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の光源モジュール。
【請求項10】
上記光結合部材における上記頂部平坦面は、上記導光板における縦又は横方向の中心線上に設けられており、
上記反射面は、上記中心線に対して対称になるように2つ形成されており、
上記LEDは、上記反射面に対応するように2列に並んで設けられていることを請求項9に記載の光源モジュール。
【請求項11】
上記導光板における上記中心線の方向及び厚さ方向の両方に垂直な方向において、上記頂部平坦面の幅は、上記LEDからの光により照射される上記導光板下面の光線照射領域の幅と同じであることを特徴とする請求項10に記載の光源モジュール。
【請求項12】
上記光結合部材は、上記反射面を2つ有し、この2つの反射面は、上記導光板における縦又は横方向の中心線に沿って延びるV字面を構成するように形成されており、
上記頂部平坦面は、2つの反射面に連結し、かつ上記中心線に対して対称になるように2つ形成されており、
上記LEDは、その出射光が上記V字面で分岐するように1列に並んで設けられていることを特徴とする請求項9に記載の光源モジュール。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか1項に記載の光源モジュールを備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−216428(P2012−216428A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81167(P2011−81167)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】