説明

光源ユニット、光源ユニットの整列治具、および、当該整列治具を用いて製造される光源ユニット

【課題】高品質の光源ユニットと、これを提供することが可能な光源ユニットの整列治具、および、当該整列治具を用いて製造される光源ユニットを提供する。
【解決手段】本発明の一形態である光源ユニットは、一つのヒートシンク22の一表面上に一つの分割部材30aをLEDチップおよびLED基板24aを挟んで配設している複数のユニット部が整列してなり、各ヒートシンク22には分割部材30aの一端辺に沿って並ぶ位置に位置決め孔22hが設けられており、位置決め孔22hを通してみると複数のユニット部の配列方向に沿って各分割部材30aの上記一端辺が一直線に整列している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源ユニット、光源ユニットの製造時に光源ユニットに構成される光学部材同士を整列させるための整列治具、および、当該当該整列治具を用いて製造される光源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置においては、薄型化を図るために、光源からの光を導光板によって面状に出射させるバックライトユニットが多用されている。
【0003】
このようなタイプのバックライトユニットは、導光板の一部分に光源ユニットを接合して、接合部から光を入射させ、導光板の内部中央へその光を全反射させながら、導光板の表面に光を出射するようになっている。
【0004】
また近年では大型の液晶表示装置の需給が高くなっており、大型で、且つ、薄型である液晶表示装置の開発研究が盛んになされている。そのため、上述のようなタイプのバックライトユニットが大型の液晶表示装置にも搭載されている。
【0005】
ここで、大型の液晶表示装置を想定したバックライトユニットの従来例を、図19に基づいて説明する。図19の(a)は、60型の比較的大型の液晶表示装置の正面図であり、図19の(b)は、その側面図である。図19の(a)および(b)に示すように、液晶表示装置101は、画面の端部に横切って帯状の光源ユニット120を設けることにより、液晶パネル104において均一で滑らかな輝度分布を得ている。図20は、帯状の光源ユニット120の平面図である。光源ユニット120は、光源ホルダー121、ヒートシンク122、LEDチップ123、LED基板124、スペーサ125a・125b、および光結合部材130を備えている。光結合部材130は、結合レンズの一種であり、各LEDチップ123a・123bから出射される光を、図19の(b)に示す導光板113に対して所定角度範囲(導光板113の背面側(基板裏面側)から入射して導光板113の発光面側(基板表面側)に到達した光がこの発光面側で全反射する角度範囲)で導光板113に入射するように導光板113の内部へ導くためのものである。図19のように大型の液晶表示装置の場合、光結合部材130は延伸方向に沿って並べられた複数の分割部材130aから構成される。このように分割されているほうが製造時に扱い易いからである。1つの分割部材130aは、LEDチップ123、LED基板124とともに、スペーサ125a・125bとともに、1つのヒートシンク122に実装される。このような各分割部材130aが、延伸方向に沿って整列して、1つの導光板113に接着される。
【0006】
各分割部材130aを延伸方向に沿って整列させる手法として、図21に示す治具200を用いた手法がある。治具200に、LEDチップ123を搭載したLED基板124と、スペーサ125a・125bとが配設されたヒートシンク122を載置するときに、治具200のガイド200a(位置決め基準)を用いてヒートシンク122を位置決めする。この位置決めにより、各ヒートシンク122が治具200の上において、分割部材130a同士を互いに延伸方向に沿って整列した状態で、載置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−025303号公報(2006年1月26日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、図21の手法を用いた場合、分割部材130aの整列がヒートシンク122を基準にしておこなわれている。そのため、ヒートシンク122、LED基板124、分割部材130aの各構成部材の配設精度が、分割部材130aの整列精度に影響し、公差を足し合わせた際のズレ量が許容の範囲を上回る。
【0009】
すなわち、上述の手法では、分割部材130aの整列精度が十分でないと言える。
【0010】
分割部材130aが精度良く整列しておらず蛇行した状態となると、分割部材130aの上に配置する導光板と、分割部材130aの接合面との間に隙間が生じて、光漏れが発生し、色ムラや輝度低下などが発生して、光源ユニットを搭載した表示装置においてその表示品質を著しく低減させる事態を招く。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みて為されたものであり、その目的は、高品質の光源ユニット、およびそれを提供することが可能な光源ユニットを整列するための整列治具、並びに、当該整列治具を用いて製造される光源ユニットを提供することにある。
【0012】
すなわち、本発明に係る光源ユニットは、上記の課題を解決するために、
一つの板状放熱体の一表面上に一つの光結合体を発光部材を挟んで配設している複数のユニット部が配列してなる光源ユニットであって、
各上記板状放熱体には、当該板状放熱体に配設された上記光結合体の一端辺に沿って並ぶ位置に孔が設けられており、
各板状放熱体の上記一表面とは反対側の面の側から各上記孔を通してみると上記複数のユニット部の配列方向に沿って各光結合体の上記一端辺が一直線に整列している、ことを特徴としている。
【0013】
上記の構成によれば、光結合体の頂上部が一直線状に配列しているので、整列している光結合体の頂上部と導光板とを隙間無く接合することができ、高品質な光源ユニットを実現することができる。
【0014】
また、各板状放熱体の上記一表面とは反対側の面の側から各上記孔を通してみた各光結合体の上記一端辺が、複数のユニット部の整列方向に沿って一直線状に整列していることにより、各光結合体の頂上部がユニット部の配列方向に沿って一直線に整列した状態を実現することができる。上記孔を設けることによって、板状放熱体の裏面側(光結合体が付いている面と逆側の面側)から位置を合わせることが可能となる。すなわち、位置合せの際に板状放熱体の表面側に何ら治具等が不要のため、放熱板の裏面を一平面に並べる作業の作業性が高くなる。
【0015】
ここで、上記「孔を通してみる」とは、例えば後述するように、各板状放熱体に設けた孔に複数の位置決めピンを設けた治具を用いて板状放熱体の孔に当該位置決めピンを挿入することによって確認する場合や、上記孔を通じて各光結合体の上記一端辺に光を照射することによって確認する場合などを含む。
【0016】
すなわち、本発明に係る、光源ユニットの整列治具は、上記の課題を解決するために、 一つの板状放熱体の一表面上に一つの光結合体を発光部材を挟んで配設している複数のユニット部を、当該光結合体同士が一列に整列して、且つ、各光結合体の頂上部が当該整列方向に一直線になるように位置決めするための整列治具であって、
上記複数のユニット部を載置する載置面を有した載置台を備えており、
上記載置面には、当該面から突出する複数の位置決めピンが、間隔をおいて一列に並んで設けられており、
上記板状放熱体には、当該板状放熱体に配設された上記光結合体の一端辺に沿って並ぶ位置に、上記位置決めピンを貫通させる位置決め孔が設けられており、
上記ユニット部における光結合体配設面とは反対側の面を上記載置面に対向させて上記載置台に上記複数のユニット部が載置されたときに、各ユニット部の板状放熱体の上記位置決め孔に挿入された上記位置決めピンを、各光結合体の上記一端辺に接触させることによって、上記位置決めすることを特徴としている。
【0017】
上記の構成によれば、簡易に、且つ、精度良く光結合体(分割部材)同士を整列させることが可能である。
【0018】
具体的には、上記の構成によれば、上記載置台に上記複数のユニット部が載置されたときに、各ユニット部の板状放熱体の上記位置決め孔に挿入された上記位置決めピンを、各光結合体の上記一端辺に接触させる。すなわち、位置決めピンが、光結合体(分割部材)に直接接触することによって位置決めされることから、上記した課題のように、板状放熱体(ヒートシンク)、発光部材(LED基板を含む)、分割部材の各構成部材の配設精度が、光結合体(分割部材)の整列精度に影響することがない。
【0019】
よって、精度良く光結合体(分割部材)同士を整列させることができ、よって、整列した光結合体(分割部材)の頂上部が一直線状になり、導光板の表面と隙間無く接合(接着)することができる。
【0020】
本発明に係る、光源ユニットの整列治具の一形態は、上記の構成に加えて、
上記ユニット部における光結合体配設面とは反対側の面を上記載置面に対向させて、各ユニット部の板状放熱体の上記位置決め孔に上記位置決めピンを挿入して、上記載置台に上記複数のユニット部が載置されたときに、上記光結合体を上記位置決めピンに寄せるように、上記板状放熱体に押圧を加えるプッシャを更に備えていることが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、プッシャによって上記光結合体を上記位置決めピンに寄せることから、光結合体と位置決めピンとの接触をより確実なものとすることができ、位置決めをより一層精度良く実現することができるという効果を奏する。
【0022】
本発明に係る、光源ユニットの整列治具の一形態は、上記の構成に加えて、
上記載置面には、弾性シートが敷設されていることが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、弾性シートを備えていることにより、光結合体(分割部材)の整列方向に延びる長軸に対して垂直な方向に、光結合体(分割部材)同士の高さにばらつきがある場合であっても、この弾性シートによってばらつきを吸収して、整列した光結合体(分割部材)の頂上部をより一層確実に一直線状になるように、且つ、帯状の光結合部材の頂上部がより一層確実に平坦になるようにすることができるという効果を奏する。
【0024】
本発明には、上記の構成を備えた整列治具を用いて位置決めされた複数のユニット部を備えていることを特徴とする光源ユニットも含まれる。
【0025】
更に本発明には、上記の構成を備えた光源ユニットを有した光源モジュールをバックライトとして具備していることを特徴とする表示装置も含まれる。
【0026】
更に本発明には、上記の構成を備えた整列治具を用いた、複数のユニット部の位置決め方法も含まれる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、高品質の光源ユニットを簡易に実現することができる。
【0028】
また本発明によれば、整列治具の載置台に設けた位置決めピンを、板状放熱体の位置決め孔に挿入させて、光結合体(分割部材)に直接接触することによって位置決めされることから、ユニット部に構成される板状放熱体(ヒートシンク)、発光部材(LED基板を含む)、分割部材の各構成部材の配設精度が、整列精度に影響せず、よって、精度良く光結合体(分割部材)同士を整列させることができ、よって、整列した光結合体(分割部材)の頂上面を光結合体の配列方向に沿って一直線状にすることができ、導光板の表面と隙間無く接合(接着)することができる。また、精度良く整列した複数の光結合体、すなわち帯状の光結合部材によって、高品質の光源ユニットを実現することができる。また、この光源ユニットを有した光源モジュールをバックライトとして具備した表示装置によれば、色ムラや輝度低下などが発生しない高い表示品質を実現した表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態の光源ユニットを備える液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図2】本実施形態の液晶表示装置の構成を示す分解斜視図である。
【図3】上記液晶表示装置における、光源ユニットを具備する光源モジュール(バックライト)の構成を示す斜視図である。
【図4】上記光源モジュールにおけるLED基板および光結合部材の接合部分を拡大して示す断面図である。
【図5】上記光源ユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図6】上記光源ユニットにおけるLED基板の構成を示す平面図である。
【図7】(a)はLEDチップから出射した光が放物面を有する光結合部材を介して導光板に入射するときの光路を示す断面図であり、(b)はLEDチップ近傍を示す要部断面図である。
【図8】(a)はLEDチップから出射した光が楕円面を有する光結合部材を介して導光板に入射するときの光路を示す断面図であり、(b)はLEDチップ近傍を示す要部断面図である。
【図9】2つのLEDチップから出射した光が放物面又は楕円面を有する光結合部材を介して導光板に入射するときの光路を示す断面図である。
【図10】本実施形態の光源ユニットを具備する光源モジュールの要部の構成を示す説明図である。
【図11】本実施形態の、光源ユニットの整列治具を示す斜視図である。
【図12】本実施形態の、光源ユニットの整列治具を示す上面図である。
【図13】本実施形態の光源ユニットを製造するときに用いる接着材料塗布装置の構成を示す説明図である。
【図14】(a)〜(d)は、本実施形態の光源ユニットに備えられる光結合部材に対する光硬化性樹脂溶液の塗布工程を示す説明図である。
【図15】本実施形態の光源ユニットを製造するときに用いる部材接着装置の模式図である。
【図16】本実施形態の光源ユニットを製造するときに用いる部材接着装置の別例を表した図である。
【図17】本実施形態の光源ユニットを製造するときに用いる部材接着装置の別例を表した図である。
【図18】図1に示す液晶表示装置の端部の構成を示す要部断面図である。
【図19】従来例を示す図である。
【図20】従来例を示す図である。
【図21】従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の一実施形態について図1〜図17に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0031】
本実施形態の光源ユニットと、それを備えた電子機器の一つである液晶表示装置の構成について、図1〜図4に基づいて説明する。
【0032】
〔液晶表示装置の構成〕
図1は液晶表示装置の構成を示す断面図であり、図2は液晶表示装置の構成を示す分解斜視図であり、図3は図1の液晶表示装置に搭載される光源ユニットの構成を示す斜視図であり、図4は図3の光源ユニットに具備されるLED基板および光結合部材の接合部分を拡大して示す断面図である。
【0033】
本実施形態の液晶表示装置1は、図2に示すように、下から順に(光の透過方向に沿って)、光源モジュールとしてのバックライト10、拡散シート2、プリズムシート3、液晶パネル4およびベゼル5にて構成されている。
【0034】
上記バックライト10は、下から順に、光源ユニット20、一筋の開口11aを有するシャーシ11、シャーシ11と同様に一筋の開口を有する反射シート12、および導光板13にて構成されている。
【0035】
上記光源ユニット20は、図3に示すように、帯状に形成された光源ホルダー21に、光源としての半導体の後述するLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)チップ23a(発光部材)と、レンズとしての光結合部材30(複数の光結合体)とを有している。なお、半導体のLEDチップは、非常に微細なサイズであるため、図3では、図面の煩雑さを防ぐため、割愛している。
【0036】
光源ユニット20には、図3および図4に示すように、帯状に形成された光源ホルダー21の上に板状のヒートシンク22(複数の板状放熱体)が設けられている。ヒートシンク22の上には、光源部材の基板としてのLED基板24a(発光部材)が設けられている。LED基板24a上には、LEDチップ23aが光源ユニット20の長手方向に沿って配置されている。
【0037】
LED基板24aおよびLEDチップ23aは、光結合部材30に設けられた2つの下端平坦面のうちの一方の下端平坦面33a側(図7(a))に配されている。光結合部材30の他方の下端平坦面33b側(図7(a))には、LED基板24aおよびLEDチップ23aは無い。
【0038】
LED基板24a上には、LED基板24aと光結合部材30との間に隙間を設けるための第1スペーサ25aが形成されている。上記第1スペーサ25aは、図4に示すように、光結合部材30の下端平坦面33aの一部から突出して形成されており、接着剤によりLED基板24aに固定されている。一方、LED基板24aおよびLEDチップ23aが無い側の光結合部材30の下端平坦面33bと、ヒートシンク22との間には、第2スペーサ25bが設けられている。第2スペーサ25bは、第1スペーサ25aとLED基板24aとを合わせた厚さ(高さ)を有している。
【0039】
複数のLEDチップ23aは、第1スペーサ25aよりも外側に配置されている。そして、LEDチップ23aは、上記第1スペーサ25aにより光結合部材30の下端平坦面33と隙間を有して離間している。この隙間により、LEDチップ23aと光結合部材30との衝突によるLEDチップ23aの破損を防いでいる。すなわち、この第1スペーサ25aの存在により、LED基板24aと光結合部材30の下端平坦面33aとの間にLEDチップ23aを配置し、且つ、LEDチップ23aを破損させない隙間を設けることができる。ただし、これに限られず、LEDチップ23aに損傷を与えない範囲であれば、LEDチップ23aが光結合部材30と密着していても構わない。
【0040】
〔光源ユニット〕
上記光源ユニット20の詳細構造について、図5および図6に基づいて更に説明する。図5は光源ユニット20の構成を示す分解斜視図であり、図6はLED基板24aの構成を示す平面図である。
【0041】
図5に示すように、LED基板24aの表面には、ダム26aが前記液晶表示装置1の幅方向に長尺に形成されている。上記ダム26aは、図4にも示すように、断面略方形の中央にスリットを形成したものからなる。ダム26aのスリットの内部には、図6にも示すように、複数のLEDチップ23aが、ダム26aの長手方向に例えば数mmの間隔を有して配置されている。また、ダム26aの外側には、光結合部材30(後述する分割部材30a)との位置調整のためのアライメントマーク27aが複数個設けられている。
【0042】
さらに、図4に示すように、ダム26aのスリット内には、複数のLEDチップ23aを封止する樹脂が充填されている。そして、この樹脂には、蛍光体が含まれている。蛍光体は、個々のLEDチップ23aに対して同一の種類のものが用いられている。
【0043】
本実施形態では、光源としてLEDチップ23aを用いているが、これは、半導体チップ状のLEDは形状が小さくかつ狭い領域に配置できるので、安価な低出力のLEDチップ23aを用いた場合にも、間隔を詰めて多くのLEDを配置することによって照度も向上し、高機能のバックライトの光源として利用できる点で好ましいためである。ただし、これに限るものではなく、例えば、パッケージに収納されたLEDでもよく、有機EL発光素子又は無機EL発光素子を用いることも可能である。
【0044】
LEDチップ23aは、例えば2列に並んで互いに平行に複数個設けられていると共に、それら複数のLEDチップ23aの上側には、光結合部材30の一方の下端平坦面33aが位置している。
【0045】
光結合部材30は、図7(a)に示すように、棒状、詳細には断面略U字形状をしており、前述したように、2つの下端平坦面のうちの一方の下端平坦面33aには、0.5mm程度の高さの第1スペーサ25aを有し、LED基板24aおよびLEDチップ23aと対向しない他方の下端平坦面33bには、第1スペーサ25aよりも高さ(厚さ)のある第2スペーサ25bを有している。
【0046】
この結果、本実施形態の液晶表示装置1は、図1に示すように、液晶パネル4と、液晶パネル4に光を照射する導光板13と、導光板13に光を結合する光学部材としての光結合部材30と、上記光結合部材30に入射光を発するLEDチップ23aとを備え、上記液晶パネル4、導光板13、光結合部材30、LEDチップ23aがこの順に並んで配設されている。
【0047】
光結合部材30は、図7(a)に示すように、断面略U字形状で構成されることにより、LEDチップ23aから出射された光を、光結合部材30の内部の反射面にて反射させて曲げながら伝搬させ、平板状の導光板13に対して斜めに入射させるように機能する。このため、LEDチップ23aからの光の殆どを導光板13に結合させることができる。
【0048】
この結果、液晶表示装置1におけるバックライト10は、LEDチップ23aが導光板13の下方に設けられた光源直下型のバックライト10となっている。そして、これらLEDチップ23aは、出射光の光軸方向つまり入射光における最も輝度の高い方向が、平板状の導光板13に対して直交するように配置されている。
【0049】
図1に示すように、液晶表示装置1の裏面側の端部には、突出部として光源ユニット20が設けられており、その内部に光結合部材30とLEDチップ23aとが格納されている。また、光源ユニット20は、液晶表示装置1の長手方向(図1の紙面奥行方向)に帯状に形成されており、内部に格納されている光結合部材30も液晶表示装置1の長手方向に帯状に形成されている。つまり、「突出部」は前記液晶パネル4の光源ユニット20を構成する部材の中の光結合部材30、LEDチップ23aおよびそのカバー等で構成されると換言できる。
【0050】
本実施形態では、突出部である光源ユニット20がシャーシ11の平坦面から突出した断面長方形状にて形成されているが、これに限定されるものではなく、断面が半円形、半楕円形、三角形等の四角形以外の多角形であっても構わない。つまり、突出部とは、断面四角形の凸部形状のみを意図するものではなく、内部に光結合部材又は光源等を格納できる機能を有する限り、種々の形状・大きさが許容される。
【0051】
このように本実施形態のバックライト10では、液晶パネル4の端部に光源が存在しないため、図18に示すように、液晶パネル4の端部に、直接、フレーム6を設けることが可能である。この結果、額縁寸法を例えば6mm以下にすることが可能となり、狭額縁化を図ることができる。
【0052】
以下、光結合部材30の詳細構造および光路について更に説明する。
【0053】
光結合部材30は、図7(a)および(b)に示すように、導光板13とLEDチップ23aからなる光源との間に設けられた断面略U字形状の帯状体つまり棒状体からなっている。
【0054】
ここで、光結合部材30の材質は、導光板13の材質と同じ樹脂からなっている。すなわち、同じ材質であれば、屈折率を同じにすることができるので、光結合部材30から導光板13への光の入射が円滑に行われる。導光板13の屈折率が光結合部材30の屈折率より僅かに高い構成でも構わない。また樹脂に限るものではなく硝子等の材質でも構わない。
【0055】
詳細には、図7(a)に示すように、光結合部材30における導光板13側の表面は、平板状の導光板13に当接する入射部としての頂部平坦面31(頂上部)と、この頂部平坦面31から両端側にそれぞれ反射面としての曲面32aを有する形状からなっている。
【0056】
上記曲面32aは、例えば、図7(a)に示す断面放物線とすることができる。ただし、必ずしもこれに限るものではなく、断面楕円、弓型等の湾曲形状、又は頂部平坦面31から斜めに傾斜する平面であっても、導光板に光を有効に結合できる形状であれば構わない。
【0057】
光結合部材30における導光板13側とは反対側の表面、つまり光結合部材30の下端平坦面33aの一部には前述した第1スペーサ25aが形成されており、この第1スペーサ25aによって、LEDチップ23aと光結合部材30との衝突を防ぐことができる。
【0058】
また、光結合部材30における下端側の中央部には凹部34が形成されている。本実施形態では、曲面32aにて反射する光の導光板13への光路が確保できればよいので、光路とならない部分は凹部34としてくり抜くことができる。これにより、コスト削減および軽量化を図ることができる。ただし、凹部34領域は、必ずしもこれに限らず、凹部34が存在しない断面が略半円状の詰った構成でも構わない。
【0059】
なお、上記凹部34に図示しない反射シート等の反射手段を設けることが可能である。これにより、頂部平坦面31近傍で迷光が発生する場合があっても、迷光の一部を導光板13側に反射させ液晶パネル4への照射を向上させることができる。
【0060】
上記光結合部材30の下端平坦面33aの下側には、LED基板24aにボンディングされたLEDチップ23aが下端平坦面33aに近接して設けられている。すなわち、LEDチップ23aは、第1スペーサ25aの近傍に接着剤等を塗布し、LED基板24aと接着固定されている。
【0061】
これらLEDチップ23aは、図7(b)に示すように、例えば断面放物線からなる曲面32aの焦点位置Fよりも端部側に存在することが好ましい。これにより、図7(a)に示すように、例えばLEDチップ23aから出射された光が光結合部材30の断面放物線の曲面32aにて反射され、その反射光が光結合部材30の頂部平坦面31に到達し、到達方向を維持して導光板13に斜めに入射する。そして、導光板13に入射された光は、図7(a)に示す導光板13の右側の内部を全反射して進みつつ、図示しない光路変換部である光散乱体と衝突することにより導光板13中を進む角度が変わり、全反射条件が破られ、導光板13から出射し、反射シート12で反射し、さらに導光板13内を通過し、導光板13の液晶パネル4側表面から出射し、前記拡散シート2およびプリズムシート3を通して液晶パネル4に向かう。
【0062】
このような光路は、図8(a)に示す断面楕円の光結合部材30においても同様である。そして、図8(b)に示すように、断面楕円の光結合部材30においても、LEDチップ23aは、例えば断面楕円からなる曲面32aの焦点位置Fよりも端部側に存在することが好ましい。
【0063】
この結果、図9に示すように、LEDチップ23aから出射された光は光結合部材30の曲面32aにて反射され、その反射光が光結合部材30の頂部平坦面31に到達し、到達方向を維持して導光板13に斜めに入射する。そして、導光板13に入射された光は、導光板13の内部を全反射して進みつつ、図示しない光路変換部である光散乱体と衝突することにより導光板13中を進む角度が変わり、全反射条件が破られ、導光板13の液晶パネル4側表面から出射し、前記拡散シート2およびプリズムシート3を通して液晶パネル4に向かう。
【0064】
このように、光結合部材30における曲面の形状を例えば断面放物線又は断面楕円とすることによって、LEDチップ23aからの出射光を、断面放物線又は断面楕円の曲面32aにて反射させて効率よく結合して頂部平坦面31から導光板13に入射させることができる。なお、断面放物線と断面楕円との対比においては、断面楕円の方が光を絞って導光板13に入射するよう結合できるので、結合効率を高くすることができる。
【0065】
この結果、本実施形態の液晶表示装置1におけるバックライト10では、液晶表示装置1の画面の端部に横切って帯状の光源ユニット20を設ける。このため、当然ながら、光結合部材30についても上記画面幅とほぼ同じ長さを有している。
【0066】
ところで、このような長尺の光結合部材30を単一の長尺部材として形成する場合、精度よく形成することが困難であり、また製造コストが高くなるという問題がある。すなわち、光結合部材30の製造方法としては、押し出し成形による製造方法や、金型成形による製造方法が考えられるが、それぞれの方法において以下のような問題がある。まず、押し出し成形は、アクリル樹脂等の透明樹脂を用いて長尺な光学部品を安価に製造することができるが、高精度な加工が困難である。また、金型成形は、大型な(長尺な)部材の成形を行う場合には、金型内部の熱的ひずみなどによってその精度が低下する。さらに、大型な(長尺な)部材を成形する場合には金型のコストが特に高くなり、製造コストが増大する。
【0067】
そこで、本実施形態のバックライト10に設けられる光源ユニット20では、高精度に形成された光結合部材30を低コストに供給するため、光結合部材30を単一の長尺部材として形成するのではなく、一方向に延伸する部材を延伸方向に沿って複数並べて配置することによって光結合部材30を形成している。すなわち、光結合部材30は、延伸方向に沿って並べられた複数の分割部材(複数のユニット部)からなる。本実施形態では、これら各分割部材を金型成形にて形成した。このように金型成形を適用することで各分割部材を高精度に形成できる。また、光結合部材30を複数の分割部材に分割して製造することにより、大きな金型を必要とせず、金型コストを大幅に低減できるため、製造コストを安価に抑えられる。以下では、分割された各部材を分割部材30a(ユニット部)とする。光結合部材30の長さは画面幅とほぼ同じであり、一例として、当該画面幅を約1380mmとした場合、分割部材30aは12個設けることができる。なお、前記図2では、2つの分割部材30aが配された状態を示している。
【0068】
また、本実施形態のバックライト10では、LED基板24aおよびヒートシンク22も、分割部材30aに合わせて分割されている。各LED基板24aおよび各ヒートシンク22は、分割部材30aに対してビス留めされる。具体的には、各LED基板24aおよび各ヒートシンク22に、分割部材30aの延伸方向を長軸とする長穴からなるビス穴を設け、このビス穴を介してビス留めする。これにより、LED基板24aおよびヒートシンク22は、光結合部材30の延伸方向に対して上記長穴分の可動域を有することになる。光結合部材30および導光板13は、アクリル樹脂等の透明樹脂にて形成されるため、熱による膨張が生じやすいが、上記構成によりLED基板24aおよびヒートシンク22が可動することによって熱膨張による歪みを防止できる。図10は、光結合部材30(各分割部材30a)および導光板13に熱膨張が生じている場合の様子を示す説明図である。
【0069】
また、本実施形態では、各分割部材30aを導光板13に接着する際、隣接する分割部材30a同士にほとんど隙間を設けないように各分割部材30aを配置している。ただし、各分割部材30a同士は接合していないので、各分割部材30a同士の間には微小な間隙(約0.1mm〜約0.5mm程度の隙間)が生じている。ただし、分割部材30a間に隙間が生じていたとしても、分割部材30aを通過した光はさらに導光板13内を伝播してから液晶パネル4側へ出射される。このため、導光板13における光拡散作用によって、分割部材30a間の継ぎ目は視認されにくくなり、特に問題とならない。
【0070】
そして、本実施形態では、以下の手法によって光結合部材30における各分割部材の高精度の位置合わせを実現している。この手法を、図11を参照して説明する。
【0071】
〔分割部材の整列〕
図11は、各分割部材の位置合わせ(位置決め)を行うための整列治具70と、そこに載置した複数の分割部材30aの様子を示した斜視図である。本実施形態では、各分割部材30aに併せて、図3に示すようにヒートシンク22も分割部材ごとに設けられている。
【0072】
図1にも示しているように、各ヒートシンク22には、複数の位置決め孔22hが設けられている。
【0073】
一方、図11に示す整列治具70は、光源ユニット20の載置面に、上記位置決め孔22hに挿入される位置決めピン71が設けられている。
【0074】
この位置決めピン71は、ヒートシンク22の位置決め孔22hに挿入されると、位置決めピン71の側面が分割部材30aにおけるLEDチップ23aとは反対側の反射面32bと接触するように構成されている。
【0075】
各位置決めピン71は、整列治具70における光源ユニット20載置面に、精度良く一列に整列している。位置決めピン71の配置精度は、マシニングの加工精度とピンの公差が支配的であるため、十分な精度で形成することができる。そのため、位置決めピン71と反射面32bとが接触するようにヒートシンク22を配設することにより、各ヒートシンク22に実装された分割部材30a同士を精度良く整列させることが可能となる。
【0076】
ここで、位置決めピン71は、位置決め孔22hよりも直径が僅かに小さく構成されている。例えば、位置決め孔22hを直径8mmとして、位置決めピン71を直径3mmとする。このように設計することで、位置決め孔22hへの位置決めピン71の挿入工程を容易にすることができる。
【0077】
1つのヒートシンク22あたりの位置決め孔22hの設置数は、位置決めを精度良く実現するために2つ以上であることが望ましい。しかしながら、これに限定されるものではなく、位置決め孔22hの形状および/または位置決めピン71の形状によっては、1つのヒートシンク22あたりの1つの位置決め孔22hを設けた構成としてもよい。
【0078】
図12は、整列治具70における光源ユニット20載置面に、1つの光源ユニット20を載置した状態を示した上面図である。紙面手前に分割部材30aがあり、紙面奥側に向けて、LEDチップおよびLED基板(第1、第2スペーサも含む)と、ヒートシンク22と、整列治具70における光源ユニット20載置面とが、この順で配置している。
【0079】
整列治具70における光源ユニット20載置面には、ヒートシンク22の上に、LEDチップおよびLED基板(第1、第2スペーサも含む)と、分割部材30aとが既に実装された光源ユニットが載置される。
【0080】
更に整列治具70には、図12に示すように、位置決めピン71と反射面32bとの接触を確実なものとするためのプッシャ72が設けられている。プッシャ72は、ヒートシンク22におけるLED基板実装側の端部に接触し、図12の矢印で示す方向、すなわち、分割部材30aを位置決めピン71に押し付ける方向に押圧を加える。これにより、位置決めピン71に反射面32bを寄せることができ、位置決めピン71と反射面32bとの接触を確実なものとすることが可能となる。
【0081】
図12には、分割部材30aおよびヒートシンク22の寸法の一例を示している。分割部材30aは幅111mmとして、ヒートシンク22は、分割部材30aの幅111mmに対して110mmとして、110mm×170mmとする。
【0082】
このような整列治具70を用いて分割部材30aを位置決めすることにより、簡易に、複数の分割部材30aの一端辺を一直線状に整列させることが可能となり、よって、複数の頂部平坦面31を一直線状に整列させることができる。これにより、頂部平坦面31の上に接着する導光板13と、頂部平坦面31群との間を隙間無く接着することができる。これにより、光漏れが発生を抑制し、この光源ユニット20を実装した液晶表示装置において色ムラや輝度低下などが発生することを防いで、表示品質の向上に寄与することができる。
【0083】
ここで、整列治具70における光源ユニット20載置面に、弾性シートを敷いてもよい。弾性シートを敷くことにより、分割部材30a同士の高さのバラツキを弾性シートによって吸収させて、分割部材30a同士の頂部平坦面31を面一に配置することができる。これにより、頂部平坦面31の上に接着する導光板13と、頂部平坦面31群との間をより一層隙間無く接着することができる。弾性シートとしては、ゴムなどの従来周知の材質からなるシートを用いることができる。
【0084】
なお、位置決め孔22hは、図12に示すように、孔の一部の領域が分割部材30aと重畳していることが好ましい。これにより、位置決めピン71と反射面32bとをより一層確実に接触させることができる。
【0085】
なお、位置決め孔22hは、位置決めの際に用いられた後は、例えば図1に示す光源ホルダー21との位置決めや接続などにも用いられてもよい。
【0086】
〔接着材料の塗布〕
本実施形態では、光結合部材30を構成する各分割部材30aにおける導光板13との当接面、すなわち図7(a)に示した頂部平坦面31に赤外線吸収材溶液を塗布し、各分割部材30aと導光板13とを当接させた状態でこれら両部材の当接部に赤外線を照射する。これにより、赤外線吸収材溶液に含まれる赤外線吸収材が赤外線を吸収して発熱し、光結合部材30(各分割部材30a)および導光板13の表面が溶融して各分割部材30aと導光板13とが接合される。
【0087】
本実施形態では、上記の赤外線吸収材溶液として、GENTEX社製のクリアウェルド(登録商標)を用いる。この赤外線吸収材溶液は、エタノール、アセトン、メチルエチルケトンなどからなる有機溶剤をベースとする液体中に赤外線を吸収する赤外線吸収材(色素微粒子)を分散させたものであり、沸点が78.5℃、粘度が2mPa・sの低沸点・低粘度の液体である。上記の有機溶剤はキャリアとして使用され、塗布後に蒸発し、赤外線吸収材(色素微粒子)が被塗布部材(各分割部材30a)の表面に残る。そして、赤外線吸収材を介して光結合部材30(各分割部材30a)と導光板13とを当接させた状態で赤外線(レーザ波長940nmから1,064nmの範囲内のレーザ光)を照射することにより、赤外線吸収材が赤外線を吸収して発熱し、光結合部材30(各分割部材30a)および導光板13の表面が溶融して各分割部材30aと導光板13とが接合される。ただし、赤外線吸収材溶液の構成はこれに限るものではない。
【0088】
また、上記の赤外線吸収材溶液は、塗布前の液体状態では緑色を呈しているが、赤外線を照射して接着させた後は無色透明になる。このため、赤外線が照射される領域外に上記の赤外線吸収材溶液を塗布してしまうと、各分割部材30aと導光板13とを接着した後に赤外線が照射されずに緑色に呈色した領域が生じてしまい、液晶表示装置1の表示品位を低下させてしまう(色目に影響を与えてしまう)。特に、本実施形態にかかる光結合部材30(各分割部材30a)は、赤外線吸収材溶液の被塗布領域である頂部平坦面31のサイズが各分割部材30aについて幅5mm×長さ115mmと非常に狭く、しかも頂部平坦面31の両側が傾斜面(反射面)になっているので、低粘度の赤外線吸収材溶液がこれら各傾斜面に液ダレしやすい。また、全反射面32・32に赤外線吸収材溶液が塗布されてしまうと、光源から入射した光が全反射面32・32で適切に反射されず、光利用効率の低下を招来してしまう恐れがある。このため、赤外線吸収材溶液を被塗布部材である光結合部材30(各分割部材30a)の被塗布領域(頂部平坦面31)に対して当該被塗布領域からはみ出すことなく適切に塗布することが求められる。そこで、本実施形態では、以下に説明する接着材料塗布装置50を用いて赤外線吸収材溶液の塗布を行う。
【0089】
図13は、各分割部材30aに対する赤外線吸収材溶液の塗布に用いる接着材料塗布装置50の構成を示す説明図である。図13に示すように、接着材料塗布装置50は、塗布液を貯蔵するタンク(貯蔵部)51と、タンク51内を加圧するためのポンプ(加圧手段)52と、ポンプ52によって加圧された空気をタンク51に供給するための加圧管(加圧手段)53と、タンク51から塗布液を供給するための供給管(供給路)54と、供給管54の管路を開閉するためのバルブ55と、供給管54の先端に接続され、塗布液を含浸した状態で被塗布部材に当接することにより被塗布部材に塗布液を塗布する塗布部材56と、被塗布部材(本実施形態では分割部材30aおよび後述するダミー塗布部材D)を塗布部材56に対して相対的に移動(走査)させる搬送装置57と、制御部58とを備えている。
【0090】
塗布部材(塗布液保持部材)56の構成は、タンク51から供給管54を介して供給(補給)される塗布液(赤外線吸収材溶液)を含浸した状態で保持するとともに、当該塗布部材56に被塗布部材を当接させることにより、この被塗布部材に対して含浸している塗布液の一部を塗布できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、刷毛、ブラシ、布、スポンジなどを用いることができる。また、塗布部材56の形状についても特に限定されるものではなく、被塗布部材における被塗布領域の形状に応じて適宜設定すればよい。本実施形態では、光結合部材30における各分割部材30aの被塗布領域の幅を5mmとする。
【0091】
制御部58は、ポンプ52の動作を制御するタンク圧制御部61と、バルブ55の動作を制御するバルブ制御部62と、搬送装置57の動作を制御する相対位置制御部63とを備えている。
【0092】
タンク圧制御部61は、タンク51から塗布部材56に塗布液を供給する際、ポンプ52を制御してタンク51内を加圧する。これにより、塗布液が低沸点の液体(例えば低級アルコール(化学式における炭素数が5以下のアルコール)等の水よりも沸点が低い液体を主成分とする液体)であっても、タンク51内の圧力が低下することによって蒸発量が増大してしまうことを防止することができる。なお、タンク51の加圧圧力は、塗布液の沸点や粘度、供給管54の開口面積などに応じて、タンク51内における塗布液の蒸発を抑制でき、かつタンク51から供給管54に適切な量の塗布液を排出できるように適宜設定すればよい。また、タンク51内の圧力を検知する圧力センサ(図示せず)を設け、その検知結果に応じてタンク圧制御部61がポンプ52の動作を制御するようにしてもよい。また、ポンプ52および加圧管53は必須の構成ではなく、例えば、タンク51内における塗布液の蒸発等を考慮する必要ない場合などには省略してもよい。また、ポンプ52および加圧管53を省略する場合、タンク51内が負圧(タンク51の周囲の気圧よりも低い圧力)にならないように、タンク51の周囲の空気をタンク51内に導入するための通気孔(図示せず)を設けてもよい。
【0093】
バルブ制御部62は、タンク51から塗布部材56に塗布液を供給する処理を行う場合にバルブ55を開状態とし、その他の場合にはバルブ55を閉状態とする。なお、バルブ制御部62によってバルブ55が開状態とされる時間は、タンク51から塗布部材56への塗布液の供給量が塗布部材56の保持可能量を超えることがないように設定されている。これにより、塗布部材56の保持可能量を超えて塗布液が供給され、塗布部材56から余剰な塗布液が滴下してしまうことを防止している。
【0094】
相対位置制御部63は、搬送装置57の動作を制御し、被塗布部材(本実施形態では各分割部材30aおよび後述するダミー部材D)を塗布部材56に対して相対的に移動させる。具体的には、相対位置制御部63は、塗布部材56と被塗布部材の被塗布領域との当接状態(塗布部材56の被塗布部材に対する押し付け量あるいは押し付け力)および当接時間が、この被塗布領域に対する塗布液(赤外線吸収材溶液)の目標塗布量に応じた当接状態および当接時間になるように搬送装置57の動作を制御する。なお、搬送装置57の構成は特に限定されるものではなく、例えば、アクチュエータ、モーター、ギア等を組み合わせた従来から公知の搬送装置技術を用いることができる。また、本実施形態では搬送装置57が塗布対象物の位置を移動させるものとしているが、これに限らず、例えば塗布部材56を塗布対象物に対して相対的に移動させるようにしてもよく、塗布部材56および塗布対象物の両方を移動させることにより、これら両部材の相対位置を移動させるようにしてもよい。
【0095】
図14(a)〜図14(d)は、分割部材30a・30aに対する赤外線吸収材溶液(塗布液)の塗布工程を示す説明図である。
【0096】
まず、図14(a)に示すように、制御部58(バルブ制御部62)は、塗布部材56を被塗布部材から離間させた状態でバルブ55を開操作し、タンク51から塗布部材56に塗布液を供給(補給)する。この際、必要に応じて、制御部58(タンク圧制御部61)がポンプ52を制御し、タンク51内を加圧しておくようにしてもよい。なお、バルブ55を開状態とする時間は、上述したように、タンク51から塗布部材56への塗布液の供給量が塗布部材56の保持可能量を超えることがないように適宜設定しておけばよい。
【0097】
塗布部材56に対して当該塗布部材56の保持可能量を超えない範囲の所定量(例えば、12個の分割部材30aからなる光結合部材30の全体に対する塗布液の塗布を塗布液の補給処理を行わずに行える量)の塗布液が供給されると、制御部58は、図14(b)に示すように、バルブ55を閉操作し、塗布部材56に対する塗布液の供給を停止する。
【0098】
次に、相対位置制御部63は、図14(c)に示すように、バルブ55を閉じた状態で塗布部材56をダミー部材Dに当接させ、塗布部材56に保持されている塗布液の一部(余剰塗布液)をダミー部材に移行させる。すなわち、塗布部材56に保持可能量の上限に近い量の塗布液を保持させた状態で塗布部材56を分割部材30aに当接させると、当接開始当初に分割部材30aに対して必要量以上の塗布液が付着してしまう場合がある。そこで、本実施形態では、塗布部材56への塗布液の供給(補給)を行った後、分割部材30aに塗布液を塗布する前に、塗布部材56をダミー部材Dに当接させて塗布液の一部を移行させる。これにより、塗布部材56に保持されている塗布液の量を調整し、塗布部材56と分割部材30aとの当接開始当初から適切な量の塗布液を塗布することができる。ダミー部材Dの構成は特に限定されるものではなく、例えば分割部材30aと同様の構成であってもよく、分割部材30aとは異なる構成であってもよい。本実施形態では、塗布部材56とダミー部材Dとを当接させた状態でダミー部材Dを塗布部材56に対して2cm〜3cm程度移動させることにより、上記の余剰塗布液の除去を行っている。なお、塗布部材56とダミー部材Dとの当接処理は必須ではなく、例えば塗布部材56と分割部材30aとの当接開始当初における余剰塗布液の分割部材30aへの移行を考慮する必要がない場合には省略してもよい。
【0099】
その後、相対位置制御部63は、図14(d)に示すように、バルブ55を閉じたままの状態で塗布部材56と分割部材30aとを当接させ、当接させたまま分割部材30aを塗布部材56に対して相対的に移動させることにより、分割部材30aにおける被塗布領域に塗布液を塗布していく。この際、図14(d)に示すように、連接配置される各分割部材30aを連接させた状態で塗布部材56に対して相対的に移動させ、各分割部材30aに対して塗布液を順次塗布する。
【0100】
なお、本実施形態では、被塗布部材(光結合部材30を構成する各分割部材30a)に対して赤外線吸収材溶液を塗布する際、被塗布部材を搬送装置57に設けられた治具に被塗布領域(被塗布部材における被塗布領域を含む平面である被塗布面)が移動方向に対して水平になるように固定するとともに、相対位置制御部63が、塗布部材56の被塗布領域(被塗布面)に対する相対高さを一定に保ちながら被塗布部材を塗布部材56に対して相対的に移動させるよう搬送装置57の動作を制御する。また、相対位置制御部63は、塗布部材56と被塗布部材の被塗布領域の各部との当接時間が、被塗布領域の各部に目標塗布量の塗布液(赤外線吸収材溶液)を塗布するための当接時間になるように搬送装置57の動作を制御する。
【0101】
ここで、搬送装置57に設けられた上記治具とは、上記整列治具70(図11)とすることができる。
【0102】
また、連接配置される各分割部材30aを連接させた状態で塗布部材56に対して相対的に移動させる際、分割部材30a同士の連接部が塗布部材56との対向部を通過するときに塗布部材56と各分割部材30aとを離間させてもよい。すなわち、塗布部材56が分割部材30a同士の連接部に当接しないようにしてもよい。これにより、塗布液が分割部材30a同士の連接部に塗布されることを防止することができる。
【0103】
また、本実施形態では、図14(d)に示すように、隣接する分割部材30a同士の対向面のうち、少なくとも一方に、上記塗布液に対する撥液性(塗布液をはじく性質)を有する撥液性材料42を予め塗布あるいは貼付しておく。これにより、塗布液が分割部材30a同士の対向部(連接部)に移行し、光結合部材30中に塗布液によって着色された領域が生じてしまうといった不具合が生じることを防止することができる。すなわち、分割部材30a同士の連接部の近傍に低粘度の塗布液を塗布した場合、この塗布液が毛管現象等によって分割部材30a同士の微小な間隙に移行してしまう場合があるが、上記対向面に撥液性材料42を塗布しておくことにより、上記間隙に塗布液が移行してしまうことを防止できる。上記の撥液性材料42は、分割部材30a同士の間隙に塗布液が毛管現象等によって浸透しようとする力よりも強い撥液力を実現できる材料であれば特に限定されるものではないが、例えばフッ素樹脂などを用いることができる。なお、撥液性材料42は、光結合部材30の性能に影響を及ぼさない(あるいは光結合部材30の性能に対する影響が少ない)ように、透明な材料であることがより好ましい。
【0104】
上記のように赤外線吸収材溶液を塗布した後、光結合部材30を搬送装置57に整列治具によって固定したままの状態で、赤外線吸収材溶液を塗布した光結合部材30の被塗布領域に導光板13を当接させ、当接させた状態で赤外線を照射することにより、赤外線吸収材溶液に含まれる赤外線吸収材を発熱させて光結合部材30を構成する各分割部材30aおよび導光板13の当接面を溶融させ、各分割部材30aと導光板13とを接着する。光結合部材30の被塗布領域に導光板13を当接させる手法については後述する。
【0105】
以上のように、接着材料塗布装置50は、塗布液を貯蔵するタンク51と、分割部材30aに塗布液を塗布する塗布部材56と、タンク51から塗布部材56への塗布液の供給路を開閉するバルブ55とを備え、塗布部材56を分割部材30aから離間させた状態で供給路を開状態とすることでタンク51から塗布部材56に塗布液を供給して塗布部材56に含浸させ、上記供給路を閉状態とすることで塗布部材56への塗布液の供給を停止し、塗布液の供給を停止した後、塗布部材56と分割部材30aとを当接させて塗布部材56に含浸している塗布液の一部を分割部材30aに塗布する。
【0106】
これにより、バルブ55の開閉タイミングを制御することにより、塗布液の粘度が低い場合であっても、塗布部材56に供給する塗布液の量を正確に制御することができる。また、塗布部材56による塗布液の保持力は、塗布液の沸点の影響をほとんど受けず、また塗布液の粘度が低い場合であっても安定している。このため、塗布部材56から分割部材30aへの塗布液の塗布量は、塗布部材56に含浸して保持されている塗布液の量と、塗布部材56と分割部材30aとの当接状態(押し当て量)と、塗布部材56と分割部材30aにおける被塗布領域との当接時間(走査速度)とに応じて決まる。したがって、これらの値を調整することにより、塗布液が低沸点・低粘度の場合であっても、分割部材30aの被塗布領域(頂部平坦面31)に対して適切な量の塗布液を正確に塗布し、頂部平坦面31以外の領域(反射面)に塗布液が塗布されてしまうことを防止することができる。
【0107】
また、本実施形態では、光結合部材30を構成する各分割部材30aに対して赤外線吸収材溶液を塗布する際、各分割部材30aを搬送装置57に設けられた整列治具70(図11)に被塗布領域が移動方向に対して水平になるように固定するとともに、相対位置制御部63が、塗布部材56の被塗布領域に対する相対高さを一定に保つように被塗布部材を塗布部材56に対して相対的に移動させるよう搬送装置57の動作を制御する。また、相対位置制御部63は、塗布部材56と被塗布部材の被塗布領域の各部との当接時間が、被塗布領域の各部に対して目標塗布量の塗布液を塗布することができる当接時間になるように搬送装置57の動作を制御する。これにより、被塗布部材に対する塗布液の塗布量を容易かつ適切に制御することができる。
【0108】
また、本実施形態では、赤外線吸収材溶液を塗布した後、各分割部材30aを搬送装置57に整列治具70(図11)によって固定したままの状態で、赤外線吸収材溶液を塗布した被塗布部材の被塗布領域に導光板13を当接させ、当接させた状態で赤外線を照射することにより、赤外線吸収材を発熱させて光結合部材30を構成する各分割部材30aおよび導光板13の当接面を溶融させて接着する。これにより、光結合部材30を構成する各分割部材30aを導光板13に対して略均一な接着強度で適切に接着することができる。
【0109】
なお、本実施形態では、光結合部材30(各分割部材30a)における導光板13との当接部(頂部平坦面31)に赤外線吸収材溶液を塗布するものとしたが、これに限らず、例えば導光板13における光結合部材30(各分割部材30a)との当接部に塗布してもよく、光結合部材30(各分割部材30a)における導光板13との当接部(頂部平坦面31)と導光板13における光結合部材30(各分割部材30a)との当接部の両方に塗布してもよい。
【0110】
なお塗布液は、赤外線吸収材溶液に限るものではなく、塗布部材56に保持させることができるものであればよい。本実施形態にかかる接着材料塗布装置50および液体塗布方法は、上述したように、低沸点・低粘度の液体を被塗布部材に塗布する場合であっても塗布量を正確に制御できるという特性を有している。このため、実施形態にかかる接着材料塗布装置50および液体塗布方法は、例えば、化学式における炭素数が5以下のアルコールである低級アルコール等の低沸点・低濃度の液体を主成分とする液体の塗布に特に適している。
【0111】
また、本実施形態では、ポンプ52、バルブ55、および搬送装置57の動作を制御部58が制御するものとしたが、これら各部材の動作の一部または全部をユーザが手動で制御してもよい。
【0112】
また、本実施形態において、接着材料塗布装置50に備えられる制御部58を、CPU等のプロセッサを用いてソフトウェアによって実現してもよい。この場合、接着材料塗布装置50は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである接着材料塗布装置50の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、接着材料塗布装置50に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによって達成される。
【0113】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0114】
また、接着材料塗布装置50を通信ネットワークと接続可能に構成し、通信ネットワークを介して上記プログラムコードを供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0115】
また、接着材料塗布装置50の制御部58は、ソフトウェアを用いて実現されるものに限らず、ハードウェアロジックによって構成されるものであってもよく、処理の一部を行うハードウェアと当該ハードウェアの制御や残余の処理を行うソフトウェアを実行する演算手段とを組み合わせたものであってもよい。
【0116】
〔光結合部材と導光板との当接方法〕
次に、上述した塗布方法により赤外線吸収材溶液を塗布した後の光結合部材30の被塗布領域に導光板13を当接させる手法について説明する。
【0117】
本実施形態では、光結合部材30と導光板13とを当接させるために、図15に示す部材接着装置80を用いる。なお、部材接着装置80は、上記した接着材料塗布装置50と異なる装置として存在してもよいし、あるいは、接着材料塗布装置50の機能を部材接着装置80に組み込んでなる装置としてもよい。
【0118】
部材接着装置80は、導光板13と光結合部材30との間の接触している領域に気泡が混入するのを防止することができる。
【0119】
部材接着装置80は、図15の(a)および(b)に示すように、導光板保持部41、対象部材保持部43、移動手段44、および、エネルギー照射部45を備えている。
【0120】
導光板保持部41は、導光板13を保持するためのものである。図15の(a)および(b)に示すように、導光板保持部41は、対をなす支持部41a,41bを有しており、支持部41a,41bが導光板13の縁部を左右において保持している。
【0121】
対象部材保持部43は、光結合部材30を保持するためのものであり、光結合部材30の下部に設置されている。この対象部材保持部43は、上記した整列治具70(図11)であってもよい。なお、図15の光結合部材30は、説明の便宜上、断面が台形であるが、この断面は例えば図11に示す断面略U字形状をなしていてよい。また、図15では、対象部材保持部43の上に直接光結合部材30が載置されているが、対象部材保持部43を上記した整列治具70(図11)とする場合には、光結合部材30の下方にヒートシンク22が設けられていても良い。
【0122】
以降、光結合部材30における接着材料49の表面を接着材料付着面46と記載し、光結合部材30(接着材料付着面46)と接着する導光板13の面を被接着面47を記載する。また、接着材料付着面46と被接着面47とが接着(当接)した領域を接着領域48と記載する。なお、図15に示す接着材料49が塗布されている光結合部材30の表面が、例えば図11に示した頂部平坦面31である。
【0123】
移動手段44は、導光板保持部41および対象部材保持部43の少なくともいずれかの保持部の位置を変化させることによって、導光板13および光結合部材30の相対的位置を変化させる。これにより、後述するように接着領域48を形成すること、および、接着領域48の面積を徐々に拡大することができる。移動手段44の構成は、特に限定されるものではなく、例えば、アクチュエータ、モーター、ギア等を組み合わせた従来から公知の駆動装置技術を用いることができる。また、導光板13を光結合部材30に対して移動させてもよく、導光板13および光結合部材30の両方を移動させることにより、これら両部材の相対的位置を変化させてもよい。
【0124】
本実施形態は、この接着(当接)工程において、導光板13を撓ませて、接着材料付着面46に対して導光板13の被接着面47を傾斜させる。導光板13を撓ませ、導光板13の被接着面47を傾斜させる方法としては、例えば次の3つの方法を挙げることができる。
【0125】
・ 導光板13を撓ませる方法1
上述のように、導光板保持部41の支持部41a、41bは、導光板13の中心を挟んで対向する2箇所の縁部を支持する。支持部41aと支持部41bとは離間して配置されている。このような構成の導光板保持部41が導光板13の2箇所の縁部を支持することによって、導光板13の中心およびその近傍は、導光板13の自重による重力方向下方への湾曲(撓み)が生じる。また支持部41aと支持部41bとは、互いに水平面から同じ高さにある。そのため、図15の(a)のように、導光板13の中心付近に左右対称に撓みが発生する。
【0126】
ここで、自重による湾曲を大きくするため、導光板保持部41は、図15の(a)のように導光板13の縁部を保持することが望ましい。導光板13の保持部同士の距離をなるべく離すことによって、湾曲をより大きくすることが可能であり、保持部同士の距離が近すぎる場合には、自重による湾曲が十分に発生しないためである。しかしながら、必ずしも縁部を支持する必要はなく、自重による湾曲を生じさせることができれば、支持部の支持位置は、縁部よりも中心に近い位置であってもよい。また、本実施形態では、2つの支持部(支持部41a、41b)を有しているが、自重による湾曲を生じさせることができれば、その数は2つに限定されるものではない。また、各支持部は、水平面から厳密に同じ高さで保持されている必要は無く、略同じ高さであってもよい。
【0127】
一方、光結合部材30の上部に形成された接着材料付着面46は、水平面に平行に広がるように対象部材保持部43に保持されている。図15の(a)に示すように、本実施形態では、導光板13よりも下方に光結合部材30を配置して接着工程を進める。そのため、導光板13が自重により撓んでいることにより、接着材料付着面46と、導光板13の被接着面47とは平行の関係になく、接着材料付着面46(または被接着面47)が被接着面47(または接着材料付着面46)に対して傾斜している関係をもつ。
【0128】
このように傾斜している状態で、移動手段44を用いて、導光板保持部41を光結合部材30に近づけるように鉛直方向に移動させると、接着材料付着面46に対して被接着面47は傾斜を有しているため、接着材料付着面46の端部から被接着面47に接触し始める。そして、移動が進むにつれて、接触面積から徐々に広がる。ここで、接着領域48の面積が徐々に拡大していくと同時に、導光板13の撓みは次第に解消されていく。そして、接着領域48の面積が最大になったとき、つまり接着材料付着面46全面が被接着面47と接着したときは、導光板13は、水平面に対して平行になっており、撓みもなくなっている。
【0129】
そして、傾斜を有した被接着面47は接着材料付着面46の端部と接触(接着)し始め、接着領域48の面積が徐々に大きくなるため、接着領域48への気泡混入を防止することができる。
【0130】
なお、導光板保持部41および対象部材保持部43の相対的移動は鉛直方向に限定する必要は無く、水平方向に移動させることを組み合わせてもよい。この場合にも、撓みを解消しつつ、接着領域48を拡大することができるからである。
【0131】
また、接着材料49を塗布する部材を、光結合部材30に限定する必要は無く、導光板13に塗布し、その面を接着材料付着面とし、対応する光結合部材30の表面を被接着面としてもよい。さらに、図15の(a)において、導光板13は上方に記載され、光結合部材30は下方に記載されているが、逆であってもよい。この場合も導光板には撓みを形成させることが可能であり、気泡混入を防止することができるからである。
【0132】
なお、導光板13の質量が大きいまたは全長が長いほど自重による撓みは大きくなるが、導光板13の厚さが大きいほど自重による撓みは小さくなる。このことを考慮して、適切な撓みを形成する必要がある。
【0133】
・ 導光板13を撓ませる方法2
上記方法1では、導光板13の湾曲を導光板13の中心に左右対称となるようにしているが、左右対称で無い場合にも、光結合部材30の接着材料付着面46に対して導光板13の被接着面47を傾斜させたまま両表面を接触させることによって、気泡の混入を防止するという本発明の目的を達成できる。すなわち、図16に示すように、導光板13の高さが、2箇所の縁部において異なってもよい。これは、支持部41aと支持部41bとに高低差を設けたことによる。
【0134】
導光板保持部41が導光板13を保持する高さが、左右において互いに異なる場合においても、自重によって導光板13を撓ませることができる。また、上記保持する高さが左右において異なるため、高低差による傾斜も生じている。
【0135】
つまり、導光板13の自重による撓みおよび高低差による傾斜によって、導光板保持部41を光結合部材30に対して鉛直方向に相対的に移動させた場合、接着材料付着面46の端部から被接着面47に接触させることが可能である。
【0136】
そのため、導光板保持部41が導光板13を保持する高さが左右において同じである場合と同様、気泡混入を防止しつつ接着領域48の面積を徐々に大きくすることが可能である。なお、この場合には、導光板保持部41が導光板13を保持する高低差を、移動手段44を用いて徐々に減らしていってもよい。高低差を徐々に減らしていくことによって、撓みが解消されていき、当該高低差が無くなったときに、接着領域48の面積が最大になり、撓みもなくなっている。この場合にも接着領域48に気泡が混入することを防止することが可能である。また、必要に応じて対象部材保持部43を鉛直方向に移動させることが必要である。
【0137】
また、上記方法1によって導光板13の中心から対称に撓み生じた場合、当該中心およびその近傍では、傾斜が緩やかな状態、換言すれば水平に近い状態となるので、本発明の目的を実現するためには、光結合部材30は、大きく傾斜した導光板13の縁部近傍に接着させることが望ましい。しかし、本方法2で撓みを生じさせた場合には、導光板13の中心も比較的大きく傾斜していることになるので、当該中心にも光結合部材30を良好に接着させることが可能である。すなわち、方法1よりも方法2のほうが、当該中心を含む広範にわたって接着材料付着面46を導光板13に良好に接着させることが可能である。
【0138】
・ 導光板13を撓ませる方法3
上記方法1および方法2では、導光板13の自重により撓みを生じさせているが、導光板13の自重以外の要因によっても、導光板13に湾曲(撓み)を生じさせることが可能である。
【0139】
例えば、本方法3のように、図17に示すように、支持部41aと支持部41bとが間隔を狭める方向に移動して、圧縮応力を加えことにより撓みを生じさせてもよい。つまり、導光板13に形成される撓みは、物理的に力を加えることによって形成された撓みでもよく、自重による撓みに限定される必要は無い。また、自重によって形成される導光板13の撓みが不十分である場合には、上記加圧を導光板13に施すことが、十分な撓みを形成する補助になり得る。
【0140】
上記のように、保持している導光板13が、加圧により撓んでいる場合には、水平に位置している接着材料付着面46に対して導光板13の被接着面47を傾斜させることができる。
【0141】
圧縮応力の大きさは、導光板13が、座屈、ひずみによる塑性変形、亀裂等を生じることがない程度に適切に調節される。
【0142】
本方法3を採用する場合、支持部41aおよび支持部41bによって導光板13が確実に保持固定される構成とすれば、支持部41aと支持部41bとを鉛直方向に配置し、導光板13の表面が鉛直方向に広がっている状態で導光板13が設置される態様としてもよい。
【0143】
なお、接着領域48の形成、気泡混入の防止等は上記2つの方法と同様のため説明を省略する。
【0144】
次に、上接着領域48への加圧とエネルギー照射による接着領域の固定化について、図15の(b)に基づいて記載する。
【0145】
図15の(b)に示すエネルギー照射部45は、接着領域48に圧力を加え、エネルギーを照射するためのものである。
【0146】
エネルギー照射部45による加圧は、移動手段44による相対移動により接着領域48の面積が所定の大きさになった後に行われる。本実施形態では、接着領域48の面積が接着材料49の塗布面積と等しくなった、すなわち、接着面積が最大になった場合を、「接着領域48の面積が所定の大きさになった」とする。接着が不十分であっても、エネルギー照射部45を用いて接着領域48を加圧することによって、接着材料付着面46と被接着面47との接着を強固にすることが可能である。
【0147】
エネルギー照射部45による加圧は、図15のように導光板13の上部から導光板13に押圧を加えることによって行うことができる。なお、エネルギー照射部45は光結合部材30の下部から光結合部材30に接触させて押圧を加えてもよく、導光板13の上部および光結合部材30の下部の両方向から押圧を加えてもよい。
【0148】
エネルギー照射部45における導光板13との接触部の構造は、平坦構造であってもよいし、湾曲構造であってもよい。例えば導光板13に向けて凸形状を有する湾曲構造とすれば、凸の突端から徐々に導光板13に接触するので、万が一、接着工程によって接着材料49に気泡が混入した場合であっても、押圧によって当該気泡を接着材料内から追い出すことが可能となる。
【0149】
エネルギー照射部45は、接着領域48の接着材料49にエネルギーを照射することによって硬化させ、導光板13と光結合部材30との接着を固定する。
【0150】
エネルギー照射部45は、加圧しながらエネルギー照射を行っても(加圧とエネルギー照射とが同時)よいし、十分な加圧を終えた後でエネルギー照射を行ってもよい。なお、エネルギー照射部45の加圧を解除した後で、エネルギー照射を行った場合、接着領域48の強固な接着が解除される恐れがあるため、加圧しながら、エネルギー照射を行うことが望ましい。そのため、エネルギー照射部45の加圧と照射とは同時に行うことが望ましい。
【0151】
エネルギー照射部45の加圧と照射とを同時に行うことによって、効率的に、かつ短時間に接着領域48を硬化することができ、表示装置等の接着部材を製造することができる。
【0152】
エネルギーの照射方向としては、導光板13および光結合部材30の透過性に応じて任意の方向が可能である。つまり、導光板13および光結合部材30のうち、一方が光等のエネルギーを透過しない物質である場合には、透過性を有している部材方向からエネルギーを照射するようにエネルギー照射部45を設置する。
【0153】
エネルギー照射部45によるエネルギー照射は、接着材料49が硬化され、導光板13および光結合部材30の接着が完了した後に終了する。接着が完了したかは、硬化後に外観の変化がほとんどない接着材料49に関しては、接着領域48に必要な接着強度が得られる光量が照射されているかによって判断する。接着強度と光の照射量との関係は、どの程度の光の照射量によって硬化が完了するのかについて、試験を行うことにより導出できる。例えば、多数のサンプルを作成し、それぞれに異なる量の光を照射することによって接着強度と光の照射量との関係は導出できる。
【0154】
また、光硬化性樹脂に関して、硬化に必要な光の照射量は、単純な光のエネルギー量だけでなく、硬化に適した波長等にも依存する。そのため、接着剤のデータシートに記載されている照射するエネルギーの目安量を接着領域48に照射したとしても十分に硬化しない可能性がある。よって、硬化に使用する光源に対応した光の照射量と接着強度との関係を導くことが好ましい。
【0155】
このように部材接着装置を用いることによって、バックライト等の液晶表示装置を効率的にかつ安価に製造することが可能である。
【0156】
〔変形例〕
本発明は、一つのヒートシンク22の一表面上に一つの分割部材30aをLEDチップ23aおよびLED基板24aを挟んで配設している複数のユニット部が配列してなる光源ユニット20であって、各ヒートシンク22には、ヒートシンク22に配設された分割部材30aの一端辺に沿って並ぶ位置に位置決め孔22hが設けられており、各ヒートシンク22の上記一表面とは反対側の面の側から各位置決め孔22hを通してみると、複数のユニット部の配列方向に沿って各分割部材30aの上記一端辺が一直線に整列していることを特徴とする光源ユニットを含む。
【0157】
そして、上述した実施形態では、位置決めピンを備えた整列治具を用いて当該複数のユニット部を整列させる構成について説明したが、上記孔を整列基準として複数のユニット部を整列させる構成であれば、位置決めピンによるものに限定されない。例えば、孔を通して分割部材30aの上記一端辺に対して光あるいはビームを照射してそれらの反射光(ビーム)により得られた分割部材の端辺位置に基づいて、整列してもよい。
【0158】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、本実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明に係る光源ユニットは、液晶表示装置、照明装置に適用することができる。
【0160】
また本発明に係る整列治具は、導光板に接合する光結合部材を構成する複数の分割部材を、簡易且つ精度良く一列に整列させることができる。この整列治具を用いることによって、光ディスク、フィルム配線版、液晶表示装置、照明装置等を安価で効率的に製造することが可能である。
【符号の説明】
【0161】
1 液晶表示装置(表示装置)
2 拡散シート
3 プリズムシート
4 液晶パネル
5 ベゼル
6 フレーム
10 バックライト
11 シャーシ
11a 開口
12 反射シート
13 導光板
20 光源ユニット
21 光源ホルダー
22 ヒートシンク(複数の板状放熱体)
22h 位置決め孔(孔)
23a LEDチップ(発光部材)
24a LED基板(発光部材)
25a 第1スペーサ
25b 第2スペーサ
26a ダム
27a アライメントマーク
30 光結合部材
30a 分割部材(光結合体)
31 頂部平坦面(頂上部)
32a 曲面
32b 反射面
33 下端平坦面
33a 下端平坦面
33b 下端平坦面
34 凹部
41 導光板保持部
41a 支持部
41a,41b 支持部
41b 支持部
42 撥液性材料
43 対象部材保持部
44 移動手段
45 エネルギー照射部
46 接着材料付着面
47 被接着面
48 接着領域
49 接着材料
50 接着材料塗布装置
51 タンク
52 ポンプ
53 加圧管
54 供給管
55 バルブ
56 塗布部材
57 搬送装置
58 制御部
61 タンク圧制御部
62 バルブ制御部
63 相対位置制御部
70 整列治具(載置台)
71 位置決めピン
72 プッシャ
80 部材接着装置
D ダミー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの板状放熱体の一表面上に一つの光結合体を発光部材を挟んで配設している複数のユニット部が配列してなる光源ユニットであって、
各上記板状放熱体には、当該板状放熱体に配設された上記光結合体の一端辺に沿って並ぶ位置に孔が設けられており、
各板状放熱体の上記一表面とは反対側の面の側から各上記孔を通してみると上記複数のユニット部の配列方向に沿って各光結合体の上記一端辺が一直線に整列している、ことを特徴とする光源ユニット。
【請求項2】
一つの板状放熱体の一表面上に一つの光結合体を発光部材を挟んで配設している複数のユニット部を、当該光結合体同士が一列に整列して、且つ、各光結合体の頂上部が当該整列方向に一直線になるように位置決めするための整列治具であって、
上記複数のユニット部を載置する載置面を有した載置台を備えており、
上記載置面には、当該面から突出する複数の位置決めピンが、間隔をおいて一列に並んで設けられており、
上記板状放熱体には、当該板状放熱体に配設された上記光結合体の一端辺に沿って並ぶ位置に、上記位置決めピンを貫通させる位置決め孔が設けられており、
上記ユニット部における光結合体配設面とは反対側の面を上記載置面に対向させて上記載置台に上記複数のユニット部が載置されたときに、各ユニット部の板状放熱体の上記位置決め孔に挿入された上記位置決めピンを、各光結合体の上記一端辺に接触させることによって、上記位置決めすることを特徴とする整列治具。
【請求項3】
上記ユニット部における光結合体配設面とは反対側の面を上記載置面に対向させて、各ユニット部の板状放熱体の上記位置決め孔に上記位置決めピンを挿入して、上記載置台に上記複数のユニット部が載置されたときに、上記光結合体を上記位置決めピンに寄せるように、上記板状放熱体に押圧を加えるプッシャを更に備えていることを特徴とする請求項2に記載の整列治具。
【請求項4】
上記載置面には、弾性シートが敷設されていることを特徴とする請求項2または3に記載の整列治具。
【請求項5】
請求項2から4までの何れか1項に記載の整列治具を用いて位置決めされた複数のユニット部を備えていることを特徴とする光源ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の光源ユニットを有した光源モジュールをバックライトとして具備していることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項2から4までの何れか1項に記載の整列治具を用いた、複数のユニット部の位置決め方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−62091(P2013−62091A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198857(P2011−198857)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】