説明

光源装置

【課題】モータの故障、あるいは、経年劣化等により、回転ロッドの位置とLEDのパルス点灯の同期が取れない場合でも、照明光を出射することができる光源装置を提供する。
【解決手段】光源一体型プロセッサ3は、LEDの点灯周期に対する回転ロッド111または発光ユニット部34の回転周期の位相を検出する位相検出部36と、位相検出部36の検出結果に基づき、LED制御部33により駆動された複数のLED103a〜103lの点灯タイミングと回転ロッド111または発光ユニット部34の位相との整合性を判定する比較部37とを有する。そして、光源一体型プロセッサ3のモータ制御部38は、比較部37により複数のLED103a〜103lの点灯タイミングと回転ロッド111または発光ユニット部34の位相とが不整合を起こしていると判定された際に、回転ロッド111または発光ユニット部34の回転を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置に関し、特に、複数の発光素子が円周上に配置された発光ユニット部を備えた光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のLEDを円周上に配置し、これらの複数のLEDを順次パルス点灯させることによりオーバードライブされた照明光を回転ロッドにより導光する方式の光源装置(以下、ロータリーライトエンジン方式の光源装置と略す)が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなロータリーライトエンジン方式の光源装置は、回転ロッドはモータで回転させており、回転ロッドの位置とLEDのパルス点灯のタイミングとの整合性がない場合、光が全く照射されない虞がある。そのため、ロータリーライトエンジン方式の光源装置は、回転ロッドの位置とLEDのパルス点灯のタイミングとを合わせる、即ち、同期をとる必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1に開示されている光源装置は、モータの回転周期とLDEを順次パルス点灯させる際のLEDの点灯周期とを比較し、その比較の結果、モータの回転周期がLEDの点灯周期よりも長い場合にはモータを加速し、LEDの点灯周期よりも短い場合にはモータを減速させる制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−15772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている光源装置には、モータの故障、あるいは、経年劣化等により、回転ロッドの位置とLEDのパルス点灯の同期を合わせることができない場合の制御については開示されていない。そのため、特許文献1に開示されている光源装置は、モータの故障、あるいは、経年劣化等により、回転ロッドの位置とLEDのパルス点灯の同期を合わせることができない場合、照明光が全く照射されない場合があり得る。
【0007】
そこで、本発明は、モータの故障、あるいは、経年劣化等により、回転ロッドの位置とLEDのパルス点灯の同期が取れない場合でも、照明光を出射することができる光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、複数の発光素子が円周上に配置された発光ユニット部と、前記複数の発光素子を順次発光させるように駆動する発光素子駆動手段と、前記複数の発光素子が順次発光する光を導光して外部に出射する光学ロッドと、該光学ロッドが前記発光素子駆動手段により駆動された前記複数の発光素子から順次発光させる光を順次導光するように前記光学ロッドまたは発光ユニット部を回転駆動させる回転駆動手段と、を備えた光源装置であって、前記発光素子の点灯周期に対する前記光学ロッドまたは前記発光ユニット部の回転周期の位相を検出する位相検出手段と、前記位相検出手段の検出結果に基づき、前記発光素子駆動手段により駆動された前記複数の発光素子の点灯タイミングと前記光学ロッドまたは前記発光ユニット部の位相との整合性を判定する整合性判定手段と、前記整合性判定手段により前記複数の発光素子の点灯タイミングと前記光学ロッドまたは前記発光ユニット部の位相とが不整合を起こしていると判定された際に、前記光学ロッドまたは前記発光ユニット部の回転を停止させる回転制御手段と、を具備することを特徴とする光源装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の光源装置によれば、モータの故障、あるいは、経年劣化等により、回転ロッドの位置とLEDのパルス点灯の同期が取れない場合でも、照明光を出射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係る医療用システムの構成を示す図である。
【図2】光源一体型プロセッサの内部構成を示す図である。
【図3】発光ユニット部のうち、LEDユニットの具体的な構成を示す図である。
【図4】発光ユニット部のうち、回転ロッドの具体的な構成を示す図である。
【図5】駆動モータが故障していない場合の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図6】駆動モータが故障している場合の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図7】通常のパルス点灯時のパルス幅及び駆動モータを停止したときのパルス点灯時のパルス幅を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
まず、図1に基づき、本発明の一実施の形態に係る医療用システムの構成について説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態に係る医療用システムの構成を示す図である。
【0014】
図1に示すように、医療用システム1は、生体5の内部の被写体を撮像して撮像信号を出力する内視鏡2と、被写体を照明するための照明光を内視鏡2へ供給する光源及び内視鏡2から出力される撮像信号を映像信号に変換して出力するプロセッサを一体に備えた光源一体型プロセッサ3と、光源一体型プロセッサ3から出力される映像信号に応じた画像を表示するモニタ4とを有して構成されている。なお、照明光を内視鏡2へ供給する光源及び撮像信号を映像信号に変換して出力するプロセッサは別体にしてもよい。
【0015】
内視鏡2は、生体5の内部に挿入可能な細長の挿入部6と、挿入部6の後端に形成された操作部7と、操作部7から延出したユニバーサルケーブル8とを有して構成されている。また、内視鏡2は、ユニバーサルケーブル8の端部に設けられたコネクタ9により、光源一体型プロセッサ3に対して着脱可能に構成されている。
【0016】
挿入部6は、先端部10と、先端部10の後端に設けられた湾曲自在の湾曲部11と、湾曲部11の後端から操作部7の前端にかけて設けられた可撓管部12とを有して構成されている。
【0017】
一方、操作部7には、湾曲部11の湾曲動作に係る操作が可能な湾曲ノブ13が設けられている。また、操作部7の前端付近には、生検鉗子等の処置具を挿入可能な処置具挿入口18が設けられている。さらに、処置具挿入口18は、挿入部6の内部に形成された管路である処置具チャンネル19と連通している。
【0018】
そして、このような構成によれば、術者等は、処置具挿入口18から生検鉗子等の処置具を挿入し、処置具を処置具チャンネル19に挿通した後、処置具の先端側を先端部10から突出させた状態において、所望の部位に対する処置等を行うことができる。
【0019】
挿入部6及びユニバーサルケーブル8の内部には、ライトガイド14が挿通されている。ライトガイド14の光出射側の端面は、先端部10に配置されている。また、ライトガイド14の光入射側の端面は、コネクタ9の内部に設けられている。
【0020】
そして、このような構成によれば、光源一体型プロセッサ3から出射された照明光は、コネクタ9と光源一体型プロセッサ3とが接続された際に、ライトガイド14を介して伝送され、先端部10の照明窓に固定された先端面から前方に出射され、生体5の内部の被写体を照明する。
【0021】
照明光により照明された被写体は、照明窓に隣接して配置された観察窓に取り付けられた対物レンズ15により結像される。
【0022】
対物レンズ15の結像位置には、ベイヤ配列のカラーフィルタが撮像面に設けられたカラーCCDである、撮像素子16が配置されている。撮像素子16は、対物レンズ15により結像された被写体からの戻り光を、カラーフィルタにより色分離して光電変換することにより、その戻り光に応じた色成分の撮像信号を生成して出力する。すなわち、先端部10の撮像部17は、対物レンズ15及び撮像素子16を有して構成されている。
【0023】
撮像素子16から出力された各色成分の撮像信号は、挿入部6及びユニバーサルケーブル8の内部に設けられた信号線を介して、光源一体型プロセッサ3に入力される。光源一体型プロセッサ3は、入力された撮像信号に対して信号処理を施すことにより、映像信号を生成してモニタ4へ出力する。
【0024】
ここで、光源一体型プロセッサ3の具体的な構成について説明する。
【0025】
図2は、光源一体型プロセッサの内部構成を示す図である。
【0026】
図2に示すように、光源装置としての光源一体型プロセッサ3は、タイミングジェネレータ20と、撮像素子駆動部21と、プリアンプ22と、プロセス回路23と、A/Dコンバータ24と、セレクタ25と、第1メモリ26aと、第2メモリ26bと、第3メモリ26cと、画像処理部27と、D/Aコンバータ28と、入出力インターフェース(I/O)29と、ユーザインターフェース(以下、ユーザI/Fという)30と、明るさ制御部31と、パルス幅生成部32と、LED制御部33と、発光ユニット部34と、磁気センサ35と、位相検出部36と、比較部37と、モータ制御部38とを有して構成されている。
【0027】
タイミングジェネレータ20は、撮像素子駆動部21、及び、セレクタ25、及び比較部37等の動作を同期させるためのタイミング信号、ここでは、垂直同期信号VDを生成して出力する。
【0028】
撮像素子駆動部21は、タイミングジェネレータ20から出力されるタイミング信号に応じて、撮像素子16を駆動させることにより、撮像素子16の露光期間等を制御する。
【0029】
撮像素子16から出力された各色成分の撮像信号は、プリアンプ22において増幅され、プロセス回路23においてノイズ除去等の信号処理が施され、A/Dコンバータ24においてデジタル画像信号に変換された後、セレクタ25へ出力される。
【0030】
セレクタ25は、タイミングジェネレータ20から出力されるタイミング信号に応じて、信号の出力先を切り換えることにより、A/Dコンバータ24から出力される画像信号を、第1メモリ26a、第2メモリ26b及び第3メモリ26cへ選択的に出力する。
【0031】
そして、このようなセレクタ25の動作により、例えば、モニタ4における画像表示の際の、赤色に対応するR成分の信号が第1メモリ26aに格納され、緑色に対応するG成分の信号が第2メモリ26bに格納され、青色に対応するB成分の信号が第3メモリ26cに格納される。
【0032】
画像処理部27は、第1メモリ26aに格納されたR成分の信号と、第2メモリ26bに格納されたG成分の信号と、第3メモリ26cに格納されたB成分の信号とを同時に読み出す。そして、画像処理部27は、所定のパラメータを用いたゲイン調整等の画像処理を各色成分の信号に対して行い、画像処理を行った後の各色成分の信号をD/Aコンバータ28へ出力する。また、画像処理部27は、画像処理の行った後の輝度成分の信号を明るさ制御部31に出力する。
【0033】
画像処理部27から出力された各色成分の信号は、D/Aコンバータ28においてアナログの映像信号に変換された後、入出力インターフェース(I/O)29を介してモニタ4へ出力される。
【0034】
自動調光手段としての明るさ制御部31は、ユーザI/F30からの操作信号または画像処理部27からの輝度成分の信号に基づいて、後述する複数のLEDを発光させるパルス幅を制御するための輝度制御信号をパルス幅生成部32に出力する。
【0035】
パルス幅生成部32は、明るさ制御部31からの輝度制御信号に基づいて、パルス点灯時のパルス幅を生成し、生成したパルス幅をLED制御部33に出力する。
【0036】
発光素子駆動手段としてのLED制御部33は、パルス幅生成部32からのパルス幅及びユーザI/F30からの操作信号に基づいて、発光ユニット部34のLEDのパルス点灯の制御を行う。
【0037】
発光ユニット部34は、円周上に配列された複数のLEDを有して構成されるとともに、LED制御部33の制御に応じて、照明光をライトガイド14に対して供給することが可能な構成を有している。なお、発光ユニット部34の詳細な構成については、後述する。
【0038】
磁気センサ35は、後述する回転ロッドの回転位置を検出し、その検出信号を位相検出部36に出力する。
【0039】
位相検出手段としての位相検出部36は、磁気センサ35からの検出信号に基づき、複数のLEDの点灯位置に対する回転ロッドの回転位置、言い換えると、複数のLEDの点灯周期に対する回転ロッドの回転周期の位相を検出し、検出した位相情報を比較部37に出力する。
【0040】
比較部37には、位相検出部36から位相情報が供給されるとともに、タイミングジェネレータ20から垂直同期信号VDが基準位相情報として供給される。整合性判定手段としての比較部37は、位相検出部36からの位相情報とタイミングジェネレータ20からの基準位相情報との位相を比較し、回転ロッドの位置とパルス点灯するLEDのタイミングとの整合性を判定する。比較部37は、この判定結果をモータ制御部38に出力する。
【0041】
回転制御手段としてのモータ制御部38は、比較部37からの判定結果に応じて、回転ロッドの位置とパルス点灯するLEDのタイミングとが合うように、後述する駆動モータの制御を行う。また、モータ制御部38は、比較部37からの判定結果に基づいて、所定の時間、回転ロッドの位置とパルス点灯のタイミングとが合っていないと判定すると、駆動モータを停止させる制御を行う。この場合、モータ制御部38は、駆動モータの故障状態に応じて、駆動モータの制御を変更する。なお、モータ制御部38は、比較部37からの比較結果に基づいて、回転ロッドの位置とパルス点灯のタイミングとが合っているか否かを判定しているが、例えば、発光ユニット部34から出射される出射光量に基づいて、回転ロッドの位置とパルス点灯のタイミングとが合っているか否かを判定してもよい。
【0042】
モータ制御部38は、駆動モータが故障していない場合、駆動モータに対し通常の制御を行い、発光ユニット部34の複数のLEDのうち、あるLEDからの光を導光するように、回転ロッドを所定の位置で停止させる。一方、モータ制御部38は、駆動モータが故障している場合、駆動モータへの電源の供給を停止する制御を行い、回転ロッドを任意の位置で停止させる。
【0043】
次に、図3及び図4を用いて、発光ユニット部34の具体的な構成について説明する。
【0044】
図3は、発光ユニット部のうち、LEDユニットの具体的な構成を示す図であり、図4は、発光ユニット部のうち、回転ロッドの具体的な構成を示す図である。
【0045】
図3及び図4に示すように、発光ユニット部34は、ドラム形状に形成されたLEDユニット101と、LEDユニット101から出射された照明光を反射鏡により反射してライトガイド14へ供給する回転ロッド111と、回転ロッド111を出射光軸O周りに回転駆動させる駆動モータ121とを有して構成されている。
【0046】
LEDユニット101は、ドラム形状を有するドラム支持部材102と、ドラム支持部材102の内周の側面に沿って白色光を出射する複数、本実施の形態では、12個のLED103a〜103lとを配置して構成されている。
【0047】
LEDユニット101の複数の発光素子としてのLED103a〜103lは、LED制御部33の制御に応じて順次パルス点灯する。
【0048】
また、光学ロッドとしての回転ロッド111は、回転軸受け112と、回転軸受け112によって維持される回転軸113と、回転軸113の一方の端部に連結された平面反射鏡114と、回転軸113と一体的に形成された回転支持部材115と、回転支持部材115のレンズ枠115aにより配置状態が規定された集光レンズ116とを有して構成されている。
【0049】
回転駆動手段としての駆動モータ121は、回転軸113の平面反射鏡114が連結された端部とは他方の端部に連結されている。駆動モータ121は、モータ制御部38の制御に基づいて、LED103a〜103lから順次出射される光を導光するように、回転ロッド111を回転駆動させる。例えば、駆動モータ121は、モータ制御部38の制御に基づいて、回転ロッド111を3600rpmで回転させている。
【0050】
このような発光ユニット部34の構成によれば、LEDユニット101の各LED103a〜103lのうち、パルス点灯するLEDから出射された光は、集光レンズ116において一旦集束され、平面反射鏡114において反射された後、ライトガイド14の光入射側の端面に入射される。
【0051】
なお、本実施の形態では、LEDユニット101を固定し、駆動モータ121により回転ロッド111を回転させているが、回転ロッド111を固定し、駆動モータ121によりLEDユニット101を回転させてもよい。この場合、位相検出部36は、複数のLED103a〜103lの点灯周期に対する発光ユニット部34の回転周期の位相を検出し、検出した位相情報を比較部37に出力する。
【0052】
このように、光源一体型プロセッサ3は、LEDユニット101に白色光を出射する複数のLED103a〜103lを並べて、ロータリーライトエンジン方式の光源装置を構成する。
【0053】
LED制御部33は、通常動作時には、全LED103a〜103lに対してパルス点灯のパルスは幅を調整して調光(PWM調光)している。このように駆動することで、LED103a〜103lは平均的に点灯され、パルス点灯によるオーバードライブにより、明るさを向上させることができる。例えば、1つのLED103aを直流点灯させた際の光量をAとすると、光源一体型プロセッサ3は、パルス点灯によるオーバードライブにより約5倍、即ち、5Aの光量を得ることができる。
【0054】
しかしながら、回転ロッド111の位置と、パルス点灯のタイミングとが一致しないと、全く光が出射されなくなる虞がある。このような場合、モータ制御部38は、駆動モータ121を停止させる。
【0055】
モータ制御部38は、駆動モータ121の故障等以外で、回転ロッド111の位置と、パルス点灯のタイミングとが一致しない場合、所定の位置で回転ロッド111を停止させる。例えば、基準となるLEDをLED103aとした場合、モータ制御部38は、集光レンズ116がLED103aからの光を集光する位置に回転ロッド111を停止させる。そして、モータ制御部38は、LED制御部33にどのLEDを点灯させるかを通知する。この場合、モータ制御部38は、LED制御部33にLED103aを点灯させるように通知する。
【0056】
このような制御を行うことで、最大光量は、1つのLED103aを点灯させているのでAとなり、パルス点灯しているときの光量の1/5となる。しかしながら、非常灯としては十分な光量が得られるので、このように所定の位置で回転ロッド111を停止させ、所定の位置で停止した回転ロッド111の集光レンズ116に光を出射するLEDのみを点灯するように制御しても問題ない。
【0057】
一方、モータ制御部38は、駆動モータ121の故障等により回転ロッド111の位置と、パルス点灯のタイミングとが一致しない場合、即ち、所定の位置で回転ロッド111を停止できない場合、任意の位置で回転ロッドを停止させる。このとき、モータ制御部38は、駆動モータへの電源の供給を停止することにより、任意の位置で回転ロッドを停止させる。そして、LED制御部33は、LED103a〜103lを順次パルス点灯するように制御する。
【0058】
このような制御を行うことで、本実施の形態では、12個のLED103a〜103lを有しているため、最大光量は、パルス点灯しているときの光量の1/12、即ち、5A/12となる。しかしながら、非常灯としては十分な光量が得られるので、このように任意の位置で回転ロッド111を停止させ、LED103a〜103lを順次パルス点灯するように制御しても問題ない。
【0059】
ここで、このように構成される光源一体型プロセッサ3の動作について説明する。
【0060】
まず、駆動モータ121が故障していない場合の動作について説明する。
【0061】
図5は、駆動モータが故障していない場合の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【0062】
まず、初期値としてiに0が代入され(ステップS1)、位相が所定の範囲内で一致しているか否かが判定される(ステップS2)。位相が所定の範囲内で一致している場合、YESとなり、処理を終了する。一方、位相が所定の範囲内で一致していない場合、NOとなり、iに1が加算され(ステップS3)、iが5以上か否かが判定される(ステップS4)。iが5以上でない場合、NOとなり、ステップS2に戻り、同様の処理を繰り返す。一方、iが5以上の場合、YESとなり、駆動モータ121を制御し、回転ロッド111を所定の位置に停止させる(ステップS5)。そして、LED制御部33にどのLEDを点灯させるかが通知される(ステップS6)。モニタ4に非常灯モードになったことを表示させる、あるいは、図示しないスピーカ等から警告音を出力させて(ステップS7)、処理を終了する。これらのモニタ4及び図示しないスピーカ等が告知手段を構成する。
【0063】
次に、駆動モータ121が故障している場合の動作について説明する。
【0064】
図6は、駆動モータが故障している場合の処理の流れの例を示すフローチャートである。
なお、図6において、図5と同様の処理については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
ステップS4において、iが5以上と判定されると、駆動モータ121を停止し、回転ロッド111を任意の位置に停止させる(ステップS11)。この場合、例えば、駆動モータ121への電源の供給を停止することにより、駆動モータ121を停止させる。そして、ステップS7において、モニタ4に非常灯モードになったことを表示させる、あるいは、警告音を出力させて、処理を終了する。
【0066】
上述したように、駆動モータ121を停止し、回転ロッド111を任意の位置に停止させる場合、LED103a〜103lは、順次パルス点灯している。この場合、図7(a)及び図7(b)に示すように、最大光量を得るために、パルス点灯時のパルス幅を長くするようにしてもよい。図7(a)は、通常のパルス点灯時のパルス幅を示す図であり、図7(b)は、駆動モータを停止したときのパルス点灯時のパルス幅を示す図である。なお、パルス幅を長くする場合、図7(a)及び図7(b)に示すように、パルスの中心を基準として、パルス幅を長くするように制御する。
【0067】
また、LED103a〜103lを1つずつ順次パルス点灯し、1つの集光レンズ116により1つのLEDからの光を集光しているが、LED103a〜103lを複数ずつ順次パルス点灯し、複数の集光レンズ116により複数のLEDからの光を集光するようにしてもよい。例えば、まず3つのLED103a〜103cをパルス点灯し、次に3つのLED103b〜103dをパルス点灯する。そして、例えば、集光レンズ116を2つ設け、3つのLED103a〜103cからの光を集光する。これにより、光の取りこぼしを防ぐことができる。
【0068】
このように、光源一体型プロセッサ3は、回転ロッド111の位置と、LED103a〜103lのパルス点灯のタイミングが正しく合っているかどうか、即ち、整合性を検出し、タイミングが正しく合っていない不整合の場合には、積極的に駆動モータ121を停止させる。このとき、駆動モータ121が故障していない場合は、回転ロッド111を所定の位置に停止させ、駆動モータ121が故障している場合は、回転ロッド111を任意の位置に停止させる。
【0069】
駆動モータ121が故障した場合、回転ロッド111は任意の位置に停止することとなるが、LED103a〜103lは通常通りに順次パルス点灯しているため、LEDユニット101のLEDの個数分の1の光は必ず出射することができる。光量的には非常灯としての十分な光量が確保できるため、駆動モータ121に故障が発生しても、積極的に駆動モータ121を停止させることで、非常灯の役割を果たすことができる。
【0070】
よって、本実施の形態の光源一体型プロセッサによれば、モータの故障、あるいは、経年劣化等により、回転ロッドの位置とLEDのパルス点灯の同期が取れない場合でも、照明光を出射することができる。
【0071】
また、従来の光源装置は、回転ロッドの位置とLEDのパルス点灯のタイミングが不整合の場合には、光が全く照射されない虞があった。そのため、従来の光源装置は、非常灯を別途設け、回転ロッドの位置とLEDのパルス点灯のタイミングが不整合の場合、別途設けられた非常灯に切り換えていた。光源装置に別途非常灯を設けた場合には、非常灯の他にも光路の切り換え機構、制御回路等が必要となり、光源装置の規模及びコストが増大するという問題があった。
【0072】
しかしながら、本実施の形態の光源一体型プロセッサ3は、駆動モータ121に異常あった場合、その異常を検出し、駆動モータ121の駆動を止めることで、LEDユニット101を非常灯として使用することができるため、別途、非常灯を設ける必要がなくなるという効果がある。
【0073】
なお、本明細書における各フローチャート中の各ステップは、その性質に反しない限り、実行順序を変更し、複数同時に実行し、あるいは実行毎に異なった順序で実行してもよい。
【0074】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…医療用システム、2…内視鏡、3…光源一体型プロセッサ、4…モニタ、5…生体、6…挿入部、7…操作部、8…ユニバーサルケーブル、9…コネクタ、10…先端部、11…湾曲部、12…可撓管部、13…湾曲ノブ、14…ライトガイド、15…対物レンズ、16…撮像素子、17…撮像部、18…処置具挿入口、19…処置具チャンネル、20…タイミングジェネレータ、21…撮像素子駆動部、22…プリアンプ、23…プロセス回路、24…A/Dコンバータ、25…セレクタ、26a…第1メモリ、26b…第2メモリ、26c…第3メモリ、27…画像処理部、28…D/Aコンバータ、29…入出力インターフェース、30…ユーザI/F、31…明るさ制御部、32…パルス幅生成部、33…LED制御部、34…発光ユニット部、35…磁気センサ、36…位相検出部、37…比較部、38…モータ制御部、101…LEDユニット、102…ドラム支持部材、103a〜103l…LED、111…回転ロッド、112…回転軸受け、113…回転軸、114…平面反射鏡、115…回転支持部材、115a…レンズ枠、116…集光レンズ、121…駆動モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子が円周上に配置された発光ユニット部と、前記複数の発光素子を順次発光させるように駆動する発光素子駆動手段と、前記複数の発光素子が順次発光する光を導光して外部に出射する光学ロッドと、該光学ロッドが前記発光素子駆動手段により駆動された前記複数の発光素子から順次発光させる光を順次導光するように前記光学ロッドまたは発光ユニット部を回転駆動させる回転駆動手段と、を備えた光源装置であって、
前記発光素子の点灯周期に対する前記光学ロッドまたは前記発光ユニット部の回転周期の位相を検出する位相検出手段と、
前記位相検出手段の検出結果に基づき、前記発光素子駆動手段により駆動された前記複数の発光素子の点灯タイミングと前記光学ロッドまたは前記発光ユニット部の位相との整合性を判定する整合性判定手段と、
前記整合性判定手段により前記複数の発光素子の点灯タイミングと前記光学ロッドまたは前記発光ユニット部の位相とが不整合を起こしていると判定された際に、前記光学ロッドまたは前記発光ユニット部の回転を停止させる回転制御手段と、
を具備することを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記光学素子駆動手段は、前記回転制御手段により前記回転ロッドまたは前記発光ユニット部の回転が停止された際に、前記回転ロッドまたは前記発光ユニット部が回転されている時よりも前記発光素子の発光パルス幅を長くするように前記発光素子を駆動することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記回転制御手段は、前記整合性判定手段により前記不整合を起こしていると判定された場合、所定の発光素子から光を導光するように前記光学ロッドまたは前記発光ユニット部の回転を停止させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記回転制御手段により前記回転ロッドまたは前記発光ユニット部の回転が停止されたことを告知するための告知手段を更に備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項5】
複数の発光素子が円周上に配置された発光ユニット部と、前記複数の発光素子が順次発光する光を導光して外部に出射する光学ロッドと、該光学ロッドが前記発光素子駆動手段により駆動された前記複数の発光素子から順次発光させる光を順次導光するように前記光学ロッドまたは発光ユニット部を回転駆動させる回転駆動手段と、を備えた光源装置であって、
入力される輝度信号に応じて、前記複数の発光素子を発光させるパルス幅を制御する自動調光手段と、
前記自動調光手段により制御された前記パルス幅で前記複数の発光素子を順次発光させるように駆動する発光素子駆動手段と、
前記発光素子の点灯周期に対する前記光学ロッドまたは前記発光ユニット部の回転周期の位相を検出する位相検出手段と、
前記位相検出手段の検出結果に基づき、前記発光素子駆動手段により駆動された前記複数の発光素子の点灯タイミングと前記光学ロッドまたは前記発光ユニット部の位相との整合性を判定する整合性判定手段と、
前記整合性判定手段により前記複数の発光素子の点灯タイミングと前記光学ロッドまたは前記発光ユニット部の位相とが不整合を起こしていると判定された際に、前記光学ロッドまたは前記発光ユニット部の回転を停止させる回転制御手段と、
を具備することを特徴とする光源装置。
【請求項6】
前記光学素子駆動手段は、前記回転制御手段により前記回転ロッドまたは前記発光ユニット部の回転が停止された際に、前記回転ロッドまたは前記発光ユニット部が回転されている時よりも前記発光素子の発光パルス幅を長くするように前記発光素子を駆動することを特徴とする請求項5に記載の光源装置。
【請求項7】
前記回転制御手段は、前記整合性判定手段により前記不整合を起こしていると判定された場合、所定の発光素子から光を導光するように前記光学ロッドまたは前記発光ユニット部の回転を停止させることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記回転制御手段により前記回転ロッドまたは前記発光ユニット部の回転が停止されたことを告知するための告知手段を更に備えたことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の光源装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−109119(P2012−109119A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257083(P2010−257083)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】