説明

光照射装置

【課題】本発明は、反射傘を2分割以上の分割式とした上で、反射傘同士をずれ等のない適正な組み合わせ状態とするとともに、トリガ飛びを防止することができる光照射装置を得る。
【解決手段】本発明は、閃光放電管10と、該閃光放電管10を内挿する反射傘11とを備える光照射装置であって、反射傘11は、少なくとも二つに分割されて構成され、組み合わされた反射傘12,12同士が導電性を有する固定部材13で適正な状態で固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体に光を照射する光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々な光照射装置が提案されている。その代表例はストロボ装置である。ストロボ装置は、閃光放電管と、該閃光放電管を内挿する反射傘とを備え、トリガー電圧の印加により発光する閃光放電管からの放射光及び反射傘が反射した閃光放電管の反射光を被写体に向けて照射する。
【0003】
反射傘を分割式にして各反射傘の向きや位置を変更することにより照射角を可変にするストロボ装置も知られている(特許文献1、2)。さらに、反射傘をトリガー電極とする、即ち、反射傘に印加されたトリガー電圧が反射傘を介して閃光放電管に印加されることにより閃光放電管が発光するストロボ装置も知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−100536号公報
【特許文献2】特開2007−199167号公報
【特許文献3】特開2004−279577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、光照射装置として、ストロボ装置以外に、ある程度の広がりを持った被写体に光を均一に照射する光照射装置がある。本願出願人は、その一例として、特願2011−007456号(光照射治療・予防装置)を出願している。
【0006】
この種の光照射装置では、閃光放電管の光を広範囲に分配しないといけない都合上、奥行き方向(光の照射方向に沿った方向)が大きな反射傘が用いられる。この反射傘も、成型上の問題で、上記ストロボ装置の反射傘とは目的が違うものの、分割式とされることがある。
【0007】
しかしながら、反射傘を分割式とすると、各反射傘の寸法ばらつきにより組み合わせ部に隙間が生じることで、反射傘同士間にがたつきが生じたり、反射傘同士の位置決めに支障が生じる場合がある。この場合、当然、光学性能が諸元どおりとはならず、不良品扱いとなるため、歩留まりが悪くなる。
【0008】
また、反射傘を分割式とし、且つ、上記ストロボ装置のように、反射傘をトリガー電極とすると、各反射傘の寸法ばらつきにより組み合わせ部に隙間が生じることで、反射傘同士間に電位差が生じ、このため、トリガー電圧を印加する際にスパークが発生する場合がある。この場合も、光学性能が損なわれるし、それのみならず、閃光放電管が損傷するという懸念もある。
【0009】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、反射傘を分割式とした上で、反射傘同士を適正な組み合わせ状態とすることができる光照射装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、閃光放電管と、該閃光放電管を内挿する反射傘とを備える光照射装置であって、前記反射傘は、少なくとも二つに分割されて構成され、反射傘同士が導電性を有する固定部材で組み合わされる。
【0011】
かかる構成によれば、反射傘を分割式としても、反射傘同士が導電性を有する固定部材で組み合わされることで、各反射傘の寸法ばらつきにより組み合わせ部に隙間が生じることはなく、反射傘同士が適正な組み合わせ状態とされる。このため、反射傘同士間にがたつきが生じたり、反射傘同士の位置決めに支障が生じることはない。
【0012】
また、導電性を有する固定部材は各反射傘に跨って設けられるため、反射傘全体が電気的に導通された状態、即ち、反射傘同士間は同電位となる。このため、反射傘をトリガー電極とする場合、トリガー電圧を印加する際にスパークが発生することはない。
【0013】
ここで、本発明の一態様として、前記固定部材は、前記反射傘同士の組み合わせ部に貼着される導電テープであってもよい。かかる構成によれば、簡易な構成で反射傘同士を適正な組み合わせ状態とすることができる。また、導電テープは各反射傘に跨って設けられるため、反射傘同士間を同電位とすることができる。
【0014】
この場合、前記導電テープに、トリガーリード線が半田付けされるのが好ましい。かかる構成によれば、導電テープを介して反射傘をトリガー電極とすることができる。また、トリガーリード線を交換するなど、トリガーリード線を反射傘から外す場合、導電テープを反射傘から剥がすだけでよく、作業が簡単となる。
【0015】
また、本発明の他態様として、前記固定部材は、少なくとも一対の弾性片を有し、該弾性片にて前記反射傘同士の組み合わせ部を弾性挟持する挟持体であってもよい。かかる構成によれば、少なくとも一対の弾性片が反射傘同士の組み合わせ部、即ち、各反射傘が組み合わさった部分を弾性挟持する。反射傘同士は挟持体により挟持されるため、反射傘同士が分離してしまうことはない。このように、導電テープと同様、簡易な構成で反射傘同士を適正な組み合わせ状態とすることができる。また、挟持体は各反射傘に跨って設けられるため、反射傘同士間を同電位とすることができる。
【0016】
この場合、前記閃光放電管及び前記反射傘を収容する筐体を備え、該筐体は、前記挟持体を、該挟持体が前記反射傘同士の組み合わせ部を弾性挟持した状態で係止する係止部を有するのが好ましい。かかる構成によれば、係止体が挟持体を、該挟持体が反射傘同士の組み合わせ部を弾性挟持した状態で係止する。このため、挟持体が反射傘同士の組み合わせ部から不用意に離脱して反射傘同士が分離してしまうことはない。
【0017】
また、本発明の別の態様として、前記固定部材は、前記反射傘同士の組み合わせ部に外嵌されるキャップであってもよい。かかる構成によれば、キャップが反射傘同士の組み合わせ部に外嵌されることで、キャップは反射傘同士の組み合わせ部を保持(挟持)する。このため、反射傘同士が分離してしまうことはない。このように、導電テープや挟持体と同様、簡易な構成で反射傘同士を適正な組み合わせ状態とすることができる。また、キャップは各反射傘に跨って設けられるため、反射傘同士間を同電位とすることができる。
【0018】
この場合、前記キャップは、弾性材料からなるキャップ本体と、該キャップ本体の内面に形成される導電層とを備えるのが好ましい。かかる構成によれば、キャップが反射傘同士の組み合わせ部に外嵌されることで、キャップは反射傘同士の組み合わせ部を弾性保持(弾性保持)する。また、キャップ本体は絶縁性(但し、これに限定されない)であるとしても、キャップ本体の内面に導電層が形成されることで、キャップが反射傘同士の組み合わせ部に外嵌された状態で、導電層は各反射傘に跨って設けられ、反射傘同士間は導電層を介して同電位となる。
【0019】
そして、前記導電層は、キャップ本体の内面に重ねられる導電シートであるのがさらに好ましい。かかる構成によれば、キャップを容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、反射傘を分割式とした上で、反射傘同士を適正な組み合わせ状態とすることができる。従って、各反射傘の寸法ばらつきにより組み合わせ部に隙間が生じることで、反射傘同士間にがたつきが生じたり、反射傘同士の位置決めに支障が生じる、というのを防止することができる。この結果、安定した光学性能を得ることができる。
【0021】
また、反射傘をトリガー電極とする場合であれば、反射傘同士間に電位差が生じなくなるため、トリガー電圧を印加する際にスパークが発生するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る光照射装置の一実施形態である光照射治療・予防装置の全体斜視図
【図2】同光照射治療・予防装置の要部断面図
【図3】同光照射治療・予防装置のブロック図
【図4】同光照射治療・予防装置における反射傘の斜視図
【図5】同反射傘であって、(a)は側面図、(b)は側面断面図
【図6】同反射傘の分解斜視図
【図7】他実施形態に係る反射傘であって、(a)はトリガーリード線が接続された状態の斜視図、(b)は断面側面図
【図8】別の実施形態に係る反射傘に用いられるキャップであって、(a)は斜視図、(b)は断面側面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る光照射装置の一実施形態である光照射治療・予防装置について、図面を参酌しつつ、説明する。
【0024】
本実施形態に係る光照射治療・予防装置は、炎症性サイトカインの産生を抑制するものである。炎症性サイトカインは、生体内の多彩な細胞間情報を担う可溶性タンパク質の総称であるサイトカインの一種である。特に、炎症性サイトカインは、生体内における様々な炎症症状を引き起こす原因因子として関与し、活性化マクロファージや活性化血管内皮細胞から産生される。
【0025】
具体的に例示すると、炎症性サイトカインには、実験等で検証された代表的な炎症性サイトカインである、(h)VEGF(血管内皮細胞増殖因子、Vascular Endothelial Growth Factor)、TNFα(腫瘍壊死因子、Tumor Necrosis Factor−α)、iL−1β(インターロイキン1β、interLeukin−1β)、iFNγ(インターフェロンγ、interFeroNγ)、iL−6(インターロイキン6、interLeukin−6)、iL−12a(インターロイキン12a、interLeukin−12a)などが分類される。
【0026】
本願出願人は、この炎症性サイトカインが放電管から照射される照射光の特定の波長でhVEGFの産生量が他の波長と比較して強く抑制されることを発見した。即ち、キセノン放電管を発光させてヒト表皮細胞に照射した照射光を半値幅40nmのバンドパスフィルタで所定の中心波長ごとに分光し、中心波長毎のhVEGFの産生量を比較した結果、中心波長600nm〜中心波長700nmの間で産生量が最も少なくなることがわかった。
【0027】
また、同じくキセノン放電管を発光させてヒト表皮細胞に照射した照射光を半値幅40nmのバンドパスフィルタで所定の中心波長ごとに分光し、中心波長毎の炎症性サイトカインの産生比(照射しない場合を基準とした比率)を比較した結果、中心波長650nmで最も低くなる(強く抑制される)ことがわかった。
【0028】
また、炎症性サイトカインは、生体において多種類のサイトカインが複雑なネットワークを形成しながら、全体として方向性のある活性を発揮する。炎症性サイトカインは、同じく血球から産生され、炎症を抑制する活性を有する抗炎症性サイトカインとのバランスが崩れることにより、炎症反応の過剰な疾患状態を惹起させる。なお、抗炎症性サイトカインの一つであるIL−4(インターロイキン1α、InterLeukin−4)には、効果がない(産生が抑制されない)ことも実験等から判明している。
【0029】
そして、この炎症性サイトカインの産生を抑制することにより、新規メカニズムの炎症性疾患治療が可能となる。
【0030】
以下、本実施形態に係る光照射治療・予防装置の全体構成について、図1〜図3を参酌しつつ説明する。尚、本実施形態で特徴となる反射傘の詳細説明は、光照射治療・予防装置の全体構成を説明した後に行うものとする。
【0031】
本実施形態に係る光照射治療・予防装置は、主に、炎症性疾患の罹患を予防し又は罹患時の当該疾患の症状を軽減する予防治療を受ける被治療者や、炎症性疾患を抑制することにより炎症性疾患の治療を受ける被治療者(患者)などの治療を受けるために当該装置を使用する使用者に光を照射する光照射装置の一例である。
【0032】
本実施形態に係る光照射治療・予防装置は、光を放射する発光部1と、該発光部1からの放射光を反射する反射部2と、該反射部2からの反射光を透過させて被写体に導光する導光部3と、発光部1からの放射光のうち波長が特定の範囲内の放射光を透過させる波長透過手段4と、発光部1の発光を制御する発光制御手段5と、発光部1及び発光制御手段5に電力を供給する電源供給手段6と、発光部1、反射部2、導光部3、波長透過手段4、発光制御手段5及び電源供給手段6を収容するとともに、波長透過手段4から透過された透過光を使用者の予防したい部位又は罹患した部位(特定部位)に照射可能な構造を有する筐体7とを備える。
【0033】
発光部1は、光源10と、反射傘11と、波長透過手段4に入射する放射光の入射角度を整合するために、反射傘11の開口部に取り付けられるフレネルレンズ12とを備える。
【0034】
光源10は、炎症性サイトカインの産生を抑制するために使用者の生体の予防したい部位又は罹患した部位に照射する光源となる。光源10は、例えば、キセノン放電管やハロゲン放電管などの(閃光)放電管であって、特に、本実施形態では、キセノン放電管を用いる例を説明する。
【0035】
反射傘11は、導光部3の第1の導光面30に接する接線(本実施形態では平面である導光部3の第1の導光面30を延長させた面上の任意の直線)Aより導光部3の被写体側と反対側に向かう放射光を反射し、接線Aより導光部3の被写体側に向かう放射光を反射する。
【0036】
フレネルレンズ12は、波長透過手段4が入射角依存性を有するフィルタを用いる場合に用いられる。つまり、フレネルレンズ12は、光源10から入射される入射角度が使用する波長透過手段4の許容可能な角度以内となるように設けられている。尚、フレネルレンズ12は、例えば、入射角依存性がない色ガラスフィルターなどを用いる場合であれば、省略することもできる。
【0037】
反射部2は、波長透過手段4を透過した透過光が使用者の予防したい部位又は罹患した部位に照射されるように、光源10から略全方位に放射される放射光の照射範囲を制御する。反射部2は、発光部1からの放射光を導光部3の第1の導光面30に反射する第1の反射部20と、発光部1からの放射光の間接光を導光部3の(第1の導光面30とは別の)第2の導光面31に反射する第2の反射部21と、発光部1からの放射光の一部を第2の反射部21に反射する第3の反射部22とを備える。
【0038】
第1の反射部20は、導光部3の第1の導光面30に面して配置され、導光部3が反射光を透過させる位置が発光部1から遠くなるほど第1の反射部20の反射面と導光部3の第1の導光面30との間の光路長が短くなるように配置される。第1の反射部20は、発光部1の反射傘11から略連続して形成され、第1の導光面30の発光部1とは反対側の端部まで設けられている。
【0039】
第2の反射部21は、導光部3(第1の導光面30及び第2の導光面31)を挟んで第1の反射部20とは反対側に配置される。即ち、第2の反射部21は、第1の反射部20と対向するように配置される。第2の反射部21は、導光部3の第2の導光面31に面して配置され、導光部3が反射光を透過させる位置が発光部1から遠くなるほど第2の反射部21の反射面と導光部3の第2の導光面31との間の光路長が短くなるように配置される。
【0040】
第3の反射部22は、反射板である。この反射板22は、発光部1(のフレネルレンズ12)や波長透過手段4に対して傾斜するよう配置される。より詳しくは、反射板22は、発光部1から第1の反射部20に向かう方向と直交する軸回りにおいて、発光部1から第1の反射部20に向かう方向と直交するのではなく当該方向に対して所定角度で傾斜するよう配置される。
【0041】
また、反射板22は、発光部1からの放射光の一部を第2の反射部21に反射し、残りを第1の反射部20へ透過させる。具体的には、反射板22は、部分的にスリットや切り欠きを有する反射板である。
【0042】
導光部3は、それぞれ対向して配置される第1の導光面30と第2の導光面31とを備える。本実施形態では、第1の導光面30は、使用者の手の甲(手首から指先までの手の外側の面)に対向して配置される。第2の導光面31は、使用者の手の平(手首から指先までの手の内側の面)に対向して配置される。
【0043】
波長透過手段4は、発光部1から第1の反射部20に向けて放射される放射光の光路上に配置される。波長透過手段4は、第3の反射部22よりも発光部1側に配置される。
【0044】
波長透過手段4は、発光部1からの放射光の、1以上の特定の波長、又は、1以上の特定範囲の波長の放射光のみを透過する光学フィルタである。本実施形態に係る光学フィルタは、特定範囲の波長(帯)の放射光のみを選択的に透過するバンドパスフィルタ(干渉フィルタ)である。
【0045】
波長透過手段4は、波長が566.5nm以上780nm以下の範囲内の放射光を透過させる。波長透過手段4は、好ましくは、波長が566.5nm以上746nm以下の範囲内の放射光を透過させる。波長透過手段4は、さらに好ましくは、波長が600nm以上700nm以下の範囲内の放射光を透過させる。
【0046】
発光制御手段5は、発光部1を1回又は複数回に分けて閃光発光させたり、所定の発光間隔で発光制御させたり、複数回に分けて閃光発光させる場合は、さらに、発光部1が放射する放射エネルギーを所定の放射エネルギー以下に抑えて閃光発光させるなどの様々な発光パターンで発光部1を発光制御する。
【0047】
電源供給手段6は、発光部1の発光エネルギーを蓄える主コンデンサ等の蓄電手段60と、該蓄電手段60を充電する充電回路61と、蓄電手段60に電気を供給する電源部62と、該電源部62のオン・オフを切り替える電源スイッチ63とを備える。電源供給手段6は、発光部1以外にも、発光制御手段5の電源としても用いられる。
【0048】
筐体7は、少なくとも一つの開口を有する略直方体形状に形成されており、発光部1、反射部2、導光部3、波長透過手段4、発光制御手段5、電源供給手段6などを内蔵させるケーシングである。筐体7は、一方の面(以下、「正面」と称する)に形成される開口部70から使用者の手を挿入して、手に特定範囲の波長の光を照射するための台である載置部71と、持ち運ぶために使用者が把持する把持部72とを備える。
【0049】
本実施形態に係る光照射治療・予防装置の全体構成の説明は以上のとおりであり、次に、本実施形態で特徴となる反射傘11について、図4〜図6を参酌しつつ説明する。
【0050】
反射傘11は、それぞれ内面が反射性を有する、上面部11a、下面部11b、左右一対の側面部11c,11c及び光源(閃光放電管)10が配置される奥面部11dで構成される。そして、本実施形態に係る反射傘11は、少なくとも二つ(本実施形態においては二つ)に分割されて構成される。具体的には、反射傘11は、上面部11a及び奥面部11dの一部が一体的に形成された第1の反射傘110と、下面部11b、一対の側面部11c,11c及び奥面部11dの残りの一部が一体的に形成された第2の反射傘111とで構成される。
【0051】
第1の反射傘110又は第2の反射傘111の一方には、係合部が設けられ、他方には、該係合部が係合する被係合部が設けられる。本実施形態では、第1の反射傘110に被係合部110aが設けられ、第2の反射傘111に係合部111aが設けられる。
【0052】
係合部111aは、本実施形態では、凸片であり、一対の側面部11c,11cのそれぞれ上縁から上方に向かって突出する。一方、被係合部110aは、本実施形態では、切り欠きであり、上面部11aの左右両側縁から内方に向かって切り欠かれる。凸片からなる係合部111aは、切り欠きからなる被係合部110aに入り込み、これにより、第1の反射傘110と第2の反射傘111とが大まかに一体化される。
【0053】
その上で(一対の側面部11c,11cのそれぞれ上縁が上面部11aの下面に当接乃至略当接し、分けられた奥面部11dの上縁及び下縁が当接乃至略当接した上で)、第1の反射傘110及び第2の反射傘111は、導電性を有する固定部材13(図4参照)で組み合わされる。固定部材13は、本実施形態では、導電テープである。導電テープ13は、第1の反射傘110及び第2の反射傘111に跨って貼着される。
【0054】
さらに、導電テープ13には、トリガーリード線14が半田付けされる。
【0055】
以上の構成からなる反射傘11によれば、反射傘11を分割式とすることで、第1の反射傘110と第2の反射傘111とをそれぞれ別々に成型することができるようになる。従って、本実施形態に係る反射傘11は、奥行き方向(光の照射方向に沿った方向)が大きな反射傘ではあるが、分割式にしてそれぞれを別々に成型することで、容易に作製することができる。そして、簡易な構成で第1及び第2の反射傘110,111同士を適正な組み合わせ状態とすることができる。また、導電テープ13により、第1及び第2の反射傘110,111同士間を同電位とすることができる。
【0056】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0057】
例えば、上記実施形態において、反射傘11は、二つに分割されて構成される。しかし反射傘は三つ、あるいはそれ以上に分割されて構成されるようにしてもよい。
【0058】
また、二つに分割される反射傘であっても、上面部11a及び奥面部11dの一部が一体的に形成された第1の反射傘110と、下面部11b、一対の側面部11c,11c及び奥面部11dの残りの一部が一体的に形成された第2の反射傘111とで構成される反射傘11に限定されるものではない。例えば、一対の側面部11c,11cは、第1の反射傘110側にあってもよい。あるいは、一対の側面部11c,11cの一方は第1の反射傘110側、他方は第2の反射傘111側に分かれてもよい。また、奥面部11dは、第1の反射傘110側と第2の反射傘111側とに分かれずに、第1の反射傘110側のみ、あるいは第2の反射傘111側のみにあるようにしてもよい。
【0059】
また、上記実施形態において、固定部材13は、導電テープであった。しかし、固定部材はこれ以外のものも含み得る。
【0060】
図7は、第2の実施形態に係る固定部材15を示す。該固定部材15は、一対の弾性片15a,15aを有し、該弾性片15a,15aにて第1及び第2の反射傘110,111同士の組み合わせ部を弾性挟持する挟持体である。挟持体15は、略C字状の部材であり、機能面で見れば、クリップである。また、導電性を有している。一対の弾性片15a,15aを拡開させて第1及び第2の反射傘110,111同士の組み合わせ部に装着することで、一対の弾性片15a,15aは、互いに接近する方向に弾性変位しようとする。このため、第1及び第2の反射傘110,111同士の組み合わせ部は、挟持体に弾性挟持される。
【0061】
また、挟持体15が第1及び第2の反射傘110,111同士の組み合わせ部を弾性挟持した状態で挟持体15がそこから離脱しないようにするために、挟持体15は、筐体7(のうち、発光部1の筐体7a)に設けられた係止部7bに係止される。係止部7bは、一対設けられ、各係止部7bは、挟持体15の各弾性片15aを係止する。より詳しくは、各弾性片15aは、外面側の一部に凹部が形成されるように形成されており、該凹部に係止部7bの先端が引っ掛かるようになっている。
【0062】
尚、図7において、トリガーリード線14を半田付けした導電テープ13は、第1の反射傘110に貼着されている。しかし、上記実施形態と同じように、第1及び第2の反射傘110,111に跨って貼着するようにしてもよい。この場合、二種類の固定部材13,15で第1及び第2の反射傘110,111同士の組み合わせ部を固定することになる。
【0063】
図8は、第3の実施形態に係る固定部材16を示す。該固定部材16は、第1及び第2の反射傘110,111同士の組み合わせ部に外嵌されるキャップである。該キャップ16は、弾性材料からなるキャップ本体16aと、該キャップ本体16aの内面に形成される導電層としての導電シート16bとを備える。
【0064】
キャップ本体16aは、反射傘11の奥面部11dに外面から覆い被さる周面部16a1と、該周面部16a1の側面に形成される側面部16a2とを備える。また、各側面部16a2には、閃光放電管10が挿通される挿通孔16cが形成されている。該挿通孔16cは、閃光放電管10の径と同一乃至略同一であり、好ましくは、閃光放電管10の径よりも小さい。
【0065】
キャップ16の取付方法であるが、まず、第1及び第2の反射傘110,111を組み合わせ、閃光放電管10を装着する前に、第1及び第2の反射傘110,111同士の組み合わせ部にキャップ16を外嵌する。そして、キャップ16の一方の挿通孔16cから閃光放電管10を通していき、他方の挿通孔16cから閃光放電管10の端部を出す。これで完了する。この場合、反射傘11に装着したキャップ16の挿通孔16cの位置が反射傘11に対する閃光放電管10の位置よりも奥面部11dの内面側に設定されていれば、キャップ16の挿通孔16cに挿通された閃光放電管10は、奥面部11dの内面に引きつけられることとなる。従って、キャップ16は、閃光放電管10を反射傘11の奥面部11dの内面に密接させるためのブッシングを兼用する。
【0066】
また、反射傘11の側面部11c,11cのうち、奥面部11d側は、閃光放電管100を挿通させるため、閃光放電管10よりも比較的大きな開口を有している。これをキャップ16の側面部16a2で覆うことにより、光漏れあるいは内部への光の侵入を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、閃光放電管と、該閃光放電管を内挿する反射傘とを備える光照射装置であって、前記反射傘は、少なくとも二つに分割されて構成され、反射傘同士が導電性を有する固定部材で組み合わされる構成とすることにより、反射傘を分割式とした上で、反射傘同士を適正な組み合わせ状態とすることができることが必要な用途に適用できる。
【符号の説明】
【0068】
1 発光部
10 光源
11 反射傘
11a 上面部
11b 下面部
11c 側面部
11d 奥面部
110 第1の反射傘
110a 被係合部(切り欠き)
111 第2の反射傘
111a 被係合部(凸片)
12 フレネルレンズ
13 固定部材(導電テープ)
14 トリガーリード線
15 固定部材(挟持体)
15a 弾性片
16 固定部材(キャップ)
16a キャップ本体
16a1 周面部
16a2 側面部
16b 導電層(導電シート)
16c 挿通孔
2 反射部
20 第1の反射部
21 第2の反射部
22 第3の反射部
3 導光部
30 第1の導光面
31 第2の導光面
4 波長透過手段
5 発光制御手段
6 電源供給手段
60 蓄電手段
61 充電回路
62 電源部
7 筐体
7a 発光部の筐体
7b 係止部
70 開口部
71 載置部
72 把持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閃光放電管と、該閃光放電管を内挿する反射傘とを備える光照射装置であって、
前記反射傘は、少なくとも二つに分割されて構成され、
反射傘同士が導電性を有する固定部材で組み合わされる
光照射装置。
【請求項2】
前記固定部材は、前記反射傘同士の組み合わせ部に貼着される導電テープである請求項1に記載の光照射装置。
【請求項3】
前記導電テープに、トリガーリード線が半田付けされる請求項2に記載の光照射装置。
【請求項4】
前記固定部材は、少なくとも一対の弾性片を有し、該弾性片にて前記反射傘同士の組み合わせ部を弾性挟持する挟持体である請求項1に記載の光照射装置。
【請求項5】
前記閃光放電管及び前記反射傘を収容する筐体を備え、
該筐体は、前記挟持体を、該挟持体が前記反射傘同士の組み合わせ部を弾性挟持した状態で係止する係止部を有する
請求項4に記載の光照射装置。
【請求項6】
前記固定部材は、前記反射傘同士の組み合わせ部に外嵌されるキャップである請求項1に記載の光照射装置。
【請求項7】
前記キャップは、弾性材料からなるキャップ本体と、該キャップ本体の内面に形成される導電層とを備える請求項6に記載の光照射装置。
【請求項8】
前記導電層は、キャップ本体の内面に重ねられる導電シートである請求項7に記載の光照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−83736(P2013−83736A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222492(P2011−222492)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】