光相関器
【課題】高精度な光学系の相対的配置関係が要求されることなく高精度の相関検出をすることができる光相関器を提供する。
【解決手段】光相関器1は、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するVander-Lugt型のものであって、光源11、入射光学系12、第1光変調部21、第2光変調部22、撮像部31および制御部41を備える。第1光変調部21に呈示される第1変調パターンは、入力パターンと第1フレネルレンズパターンとが重畳されたものである。第1フレネルレンズパターンは、入力パターンのフーリエ変換像を第2光変調部22に形成するためのものである。第2光変調部22に呈示される第2変調パターンは、参照パターンに対応する相関フィルタパターンと第2フレネルレンズパターンとが重畳されたものである。
【解決手段】光相関器1は、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するVander-Lugt型のものであって、光源11、入射光学系12、第1光変調部21、第2光変調部22、撮像部31および制御部41を備える。第1光変調部21に呈示される第1変調パターンは、入力パターンと第1フレネルレンズパターンとが重畳されたものである。第1フレネルレンズパターンは、入力パターンのフーリエ変換像を第2光変調部22に形成するためのものである。第2光変調部22に呈示される第2変調パターンは、参照パターンに対応する相関フィルタパターンと第2フレネルレンズパターンとが重畳されたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出する光相関器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1,2に記載されている光相関器は、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するVander-Lugt型のものであって、参照パターンに対応する相関フィルタに対して、入力パターンをフーリエ変換したものを入射させて、このとき相関フィルタからの出力光に基づいて上記相関を検出する。これらの光相関器は、光学的にフーリエ変換を行うためにレンズを用いている。
【非特許文献1】Alastair D. McAulay and JunqingWang, “Lensless 2-D correlation experiments”, SPIE Vol.1959 OpticalPattern Recognition IV (1993), pp.403-407
【非特許文献2】Natalie Clark, Kirk J Powell andMichael K. Giles, “Using Liquid Crystal Devices as Input and Filter SLMs”, SPIE Vol.1704Advances in Optical Information Processing V (1992), pp.237-247
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような光相関器では、光源、入力パターン呈示部、相関フィルタ呈示部およびレンズ等を含む光学系における相対的配置関係や、光源から出力される光の波長は、厳密な精度で管理されなければならない。上記光学系における相対的配置関係が僅かでも崩れたり、温度変動等の要因により光の波長が僅かでも変化したりすると、相関検出が困難となる。上記光学系における相対的配置関係はミクロンオーダーの精度で調整される必要がある。
【0004】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、高精度な光学系の相対的配置関係が要求されることなく高精度の相関検出をすることができる光相関器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る光相関器は、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出する光相関器であって、(1) 光を出力する光源と、(2) 光源から出力された光を入力し、2次元配列された複数の画素それぞれにおいて光の振幅または位相を変調する第1変調パターンを呈示して、その変調後の光を出力する第1光変調部と、(3)第1光変調部から出力された光を入力し、2次元配列された複数の画素それぞれにおいて光の振幅または位相を変調する第2変調パターンを呈示して、その変調後の光を出力する第2光変調部と、(4)第2光変調部から出力された光を受光する撮像面を有し、その撮像面における光の像を撮像する撮像部と、(5) 第1光変調部に第1変調パターンを呈示させるとともに、第2光変調部に第2変調パターンを呈示させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
さらに、本発明に係る光相関器に含まれる制御部は、(a) 入力パターンと、入力パターンのフーリエ変換像を第2光変調部に形成するための第1フレネルレンズパターンと、を重畳したパターンを第1変調パターンとして第1光変調部に呈示させるとともに、(b)参照パターンに対応する相関フィルタパターンと、入力パターンと参照パターンとの間に相関がある場合に第2光変調部から出力される光を撮像部の撮像面に集光させるための第2フレネルレンズパターンと、を重畳したパターンを第2変調パターンとして第2光変調部に呈示させて、(c)このときの撮像部による撮像の結果に基づいて、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出する、ことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る光相関器では、第1光変調部に呈示される第1変調パターンは、入力パターンと第1フレネルレンズパターンとが重畳されたものである。第1フレネルレンズパターンは、入力パターンのフーリエ変換像を第2光変調部に形成するためのものである。また、第2光変調部に呈示される第2変調パターンは、参照パターンに対応する相関フィルタパターンと第2フレネルレンズパターンとが重畳されたものである。第2フレネルレンズパターンは、入力パターンと参照パターンとの間に相関がある場合に第2光変調部から出力される光を撮像部の撮像面に集光させるためのものである。
【0008】
光源から出力され第1光変調部に入力された光は、第1変調パターンにより空間的に位相変調されて、第1光変調部から出力される。このとき第1光変調部から出力されて第2光変調部に入力される光の像は、第1フレネルレンズパターンの作用により入力パターンがフーリエ変換されたものとなる。第1光変調部から第2光変調部に入力される光の像(入力パターンのフーリエ変換)と第2光変調部における相関フィルタパターン(参照パターンのフーリエ変換)との間に相関がある場合、すなわち、入力パターンと参照パターンとの間に相関がある場合、第2光変調部から出力される光は、第2フレネルレンズパターンの作用により撮像部の撮像面に集光される。このようにして、撮像部による撮像の結果に基づいて、入力パターンと参照パターンとの間の相関が検出される。
【0009】
本発明に係る光相関器では、制御部は、第1フレネルレンズパターンを第1光変調部に呈示させるとともに、光入射位置によって光の回折の方向または強度が異なる回折パターンを第2光変調部に呈示させて、そのときの撮像部による撮像の結果を求め、この撮像結果に基づいて、第1光変調部における第1フレネルレンズパターンの呈示位置、第2光変調部における相関フィルタパターンの呈示位置、または、第1光変調部に呈示される入力パターンのフーリエ変換像を第2光変調部に形成する際の位置を調整するのが好適である。このようにすることにより、光相関器の構成要素を機械的に動かすことなく、また、高精度な光学系の相対的配置関係が要求されることなく、高精度の調整をすることができる。
【0010】
本発明に係る光相関器では、制御部は、第1変調パターンに第1ブレイズド位相回折格子パターンをも重畳したパターンを第1光変調部に呈示させて、第1光変調部からの出力光のうち第1ブレイズド位相回折格子パターンにより回折された光を第2光変調部に入射させ、第1光変調部からの出力光のうち0次光を第2光変調部に入射させないのが好適である。また、本発明に係る光相関器では、制御部は、第2変調パターンに第2ブレイズド位相回折格子パターンをも重畳したパターンを第2光変調部に呈示させて、第2光変調部からの出力光のうち第2ブレイズド位相回折格子パターンにより回折された光を撮像部の撮像面に入射させ、第2光変調部からの出力光のうち0次光を撮像部の撮像面に入射させないのも好適である。このようにすることにより、信号光とノイズ光(0次光)とを互いに分離することができ、撮像部の撮像面にノイズ光が到達するのを回避することができるので、相関検出のSN比が向上する。
【0011】
本発明に係る光相関器は、N個の第1光変調部を並列的に有する第1空間光変調器と、N個の第2光変調部を並列的に有する第2空間光変調器と、を用い、制御部は、N個の第1光変調部とN個の第2光変調部とを1対1に対応させて、その各々の対において入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するのが好適である。ここで、Nは2以上の整数である。この場合には、N個の光相関器が並列的に設けられた構成と同等の構成となり、装置規模を大きくすることなく、相関検出の効率が向上する。
【0012】
本発明に係る光相関器は、N個の第2光変調部を並列的に備え、制御部は、第1変調パターンにブレイズド位相回折格子パターンをも重畳したN個のパターンを多重化した多重化パターンを第1光変調部に呈示させ、N個のパターンに対して1対1に対応する第2変調パターンをN個の第2光変調部それぞれに呈示させ、第1光変調部からの出力光のうち各ブレイズド位相回折格子パターンにより所定方向に回折された光を、N個の第2光変調部のうちの何れかに入射させ、N個のパターンとN個の第2光変調部とを1対1に対応させて、その各々の対において入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するのが好適である。ここで、Nは2以上の整数である。この場合には、第1光変調部にN個の入力パターンが多重化して呈示され、各入力パターンのフーリエ変換像は、N個の第2光変調部の何れかに入力される。一方、N個の第2光変調部それぞれには、互いに異なる参照パターンに対応する相関フィルタパターンが呈示されてもよい。したがって、この場合にも、N個の光相関器が並列的に設けられた構成と同等の構成となり、装置規模を大きくすることなく、相関検出の効率が向上する。
【0013】
本発明に係る光相関器は、N個の第2光変調部を並列的に備え、制御部は、入力パターンのN個のフーリエ変換像を形成するためのパターンをも第1変調パターンに重畳して第1光変調部に呈示させ、N個のフーリエ変換像に対して1対1に対応する第2変調パターンをN個の第2光変調部それぞれに呈示させ、N個のフーリエ変換像それぞれをN個の第2光変調部のうちの何れかに入射させ、N個のフーリエ変換像とN個の第2光変調部とを1対1に対応させて、その各々の対において入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するのが好適である。ここで、Nは2以上の整数である。この場合には、第1光変調部に呈示された入力パターンのフーリエ変換像は、N個の第2光変調部それぞれに入力される。一方、N個の第2光変調部それぞれには、互いに異なる参照パターンに対応する相関フィルタパターンが呈示されてもよい。したがって、この場合にも、N個の光相関器が並列的に設けられた構成と同等の構成となり、装置規模を大きくすることなく、相関検出の効率が向上する。
【0014】
本発明に係る光相関器は、第1光変調部と第2光変調部とを並列的に有する空間光変調器を用い、第1光変調部から出力される光をミラーにより反射させて第2光変調部に入力させるのが好適である。この場合には、1つの空間光変調器を用いればよいので、安価な構成とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る光相関器は、高精度な光学系の相対的配置関係が要求されることなく、高精度の相関検出をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
(第1実施形態)
【0018】
図1は、第1実施形態に係る光相関器1の構成図である。この図に示される光相関器1は、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するVander-Lugt型のものであって、光源11、入射光学系12、第1光変調部21、第2光変調部22、撮像部31および制御部41を備える。
【0019】
光源11は、光相関の検出のために用いる光を出力するものであって、レーザ光源であるのが好適である。入射光学系12は、光源11から出力された光を入力し、その光のビーム径を適当な大きさにするとともに平行光として、その光を第1光変調部21へ出力する。
【0020】
第1光変調部21および第2光変調部22それぞれは、2次元配列された複数の画素それぞれにおいて光の振幅または位相を変調する変調パターンを呈示して、その変調後の光を出力するものである。この変調パターンは制御部41により与えられる。第1光変調部21および第2光変調部22それぞれは、空間光変調器(SLM: Spatial Light Modulator)により実現されるのが好適である。
【0021】
第1光変調部21および第2光変調部22それぞれは、透過型のものであってもよいし、反射型のものであってもよい。本実施形態では、第1光変調部21および第2光変調部22それぞれは、入射光のビーム断面位置に応じて透過光の振幅または位相を変調することができる透過型のものである。第1光変調部21および第2光変調部22は互いに平行に配置されている。
【0022】
第1光変調部21および第2光変調部22それぞれは、2次元配列された複数の画素それぞれにおいて光の振幅のみを変調することができるものであってもよいし、光の位相のみを変調することができるものであってもよいし、また、光の振幅および位相の双方を変調することができるものであってもよい。光利用効率の観点からは、第1光変調部21および第2光変調部22それぞれは、光の位相のみを変調することができる位相変調型のものであるのが好適である。本実施形態および以降の実施形態では、第1光変調部21および第2光変調部22それぞれは位相変調型のものであるとする。
【0023】
第1光変調部21は、制御部41により与えられる第1変調パターンを呈示し、光源11から出力されて入射光学系12により平行光とされた光を入力して、第1変調パターンにより変調された後の光を第2光変調部22へ出力する。入射光学系12から第1光変調部21へ光が垂直入射するのが好ましい。
【0024】
第2光変調部22は、制御部41により与えられる第2変調パターンを呈示し、第1光変調部21から出力された光を入力して、第2変調パターンにより変調された後の光を撮像部31へ出力する。
【0025】
撮像部31は、第2光変調部22から出力された光を受光する撮像面31aを有し、その撮像面31aにおける光の像を撮像する。撮像部31は、CCD(Charged Coupled Device)素子を含むものであってもよいし、フォトダイオードアレイを含むものであってもよい。
【0026】
制御部41は、第1光変調部21に第1変調パターンを呈示させるとともに、第2光変調部22に第2変調パターンを呈示させる。また、制御部41は、撮像部31による撮像結果を入力して、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出する。
【0027】
制御部41により第1光変調部21に呈示される第1変調パターンは、入力パターンと第1フレネルレンズパターンとが重畳されたものである。第1フレネルレンズパターンは、入力パターンのフーリエ変換像を第2光変調部22に形成するためのものである。
【0028】
制御部41により第2光変調部22に呈示される第2変調パターンは、参照パターンに対応する相関フィルタパターンと第2フレネルレンズパターンとが重畳されたものである。相関フィルタパターンは、参照パターンをフーリエ変換したものの位相共役パターンである。第2フレネルレンズパターンは、入力パターンと参照パターンとの間に相関がある場合に第2光変調部22から出力される光を撮像部31の撮像面31aに集光させるためのものである。
【0029】
制御部41は、このときの撮像部31による撮像の結果に基づいて、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出する。
【0030】
図2は、第1フレネルレンズパターンまたは第2フレネルレンズパターンを示す図である。この図で、第1光変調部21または第2光変調部22の各画素における位相変調量が濃淡で示されている。
【0031】
以上のように構成されるVander-Lugt型の光相関器1において、第1光変調部21に呈示される第1フレネルレンズパターンによって第2光変調部22に形成される入力パターンのフーリエ変換像と、第2光変調部22に呈示される相関フィルタパターンとは、位置が互いに一致し、大きさも互いに一致することが必要である。画素構造を有する第2光変調部22により相関フィルタパターンが呈示されるので、相関フィルタパターンの大きさは、第2光変調部22の画素の大きさに基づいて決定される。したがって、第2光変調部22における入力パターンのフーリエ変換像および相関フィルタパターンそれぞれの大きさを互いに一致させるためには、第1フレネルレンズパターンの焦点距離によって入力パターンのフーリエ変換像の大きさを調整しなくてはならない。焦点距離による大きさの調整方法を次に説明する。
【0032】
第1フレネルレンズパターンにより第2光変調部22に形成される入力パターンのフーリエ変換像の大きさは、第1光変調部21における光の回折の際の最大回折角度θによって決まる。この最大回折角度θは、入力パターンの最大空間周波数Pおよび光の波長λを用いて、下記(1)式で表される。入力パターンのフーリエ変換像の大きさDは、最大回折角度θおよび第1フレネルレンズパターンの焦点距離fを用いて、下記(2)式で表される。これらの式から、入力パターンのフーリエ変換像の大きさDは、下記(3)式で表される。この(3)式によるフーリエ変換像の大きさDと相関フィルタパターンの大きさとを互いに一致させるように、第1フレネルレンズパターンの焦点距離fに設定すればよい。
【0033】
【数1】
【0034】
【数2】
【0035】
【数3】
【0036】
第1光変調部21と第2光変調部22との間の距離をf1とし、第2光変調部22と撮像部31の撮像面31aとの間の距離をf2とする。このとき、第1光変調部21には、焦点距離f1の第1フレネルレンズパターンと入力パターンとが加算された第1変調パターンが呈示される。第2光変調部22は、第1光変調部21から第1フレネルレンズパターンの焦点距離だけ離れた位置に配置される。また、第2光変調部22に呈示される第2変調パターンに含まれる第2フレネルレンズパターンは、下記(4)式に求められる焦点距離f3とされる。
【0037】
【数4】
【0038】
このように構成される光相関器1では、制御部41により、入力パターンと第1フレネルレンズパターンとが重畳された第1変調パターンが第1光変調部21に呈示されるとともに、参照パターンに対応する相関フィルタパターンと第2フレネルレンズパターンとが重畳された第2変調パターンが第2光変調部22に呈示される。
【0039】
光源11から出力された光は、入射光学系12によりビーム径が適当な大きさにされるとともに平行光とされて、第1光変調部21に入力される。第1光変調部21に入力された光は、第1変調パターンにより空間的に位相変調され、第1光変調部21から透過して出力される。このとき第1光変調部21から出力されて第2光変調部22に入力される光の像は、第1フレネルレンズパターンの作用により入力パターンがフーリエ変換されたものとなる。
【0040】
第1光変調部21から第2光変調部22に入力される光の像(入力パターンのフーリエ変換)と第2光変調部22における相関フィルタパターン(参照パターンのフーリエ変換)との間に相関がある場合、すなわち、入力パターンと参照パターンとの間に相関がある場合、第2光変調部22から透過して出力される光は、第2フレネルレンズパターンの作用により撮像部31の撮像面31aに集光される。このようにして、撮像部31による撮像の結果に基づいて、入力パターンと参照パターンとの間の相関が検出される。
【0041】
本実施形態に係る光相関器1は、高精度な光学系の相対的配置関係が要求されることなく、高精度の相関検出をすることができる。例えば、第2光変調部22における入力パターンのフーリエ変換像と相関フィルタパターンとの間の位置関係の調整は、以下のような手順により容易にすることができる。
【0042】
光の波長λ、第1フレネルレンズパターンの直径d、および、第1フレネルレンズパターンの焦点距離fに対して、第1フレネルレンズパターンの集光作用による集光点の集光点の直径Dは、下記(5)式で表される。
【0043】
【数5】
【0044】
この集光点Dの大きさに合わせた幅を持つ図3に示されるような2値位相格子を作成して、この2値位相格子を第2光変調部22に呈示させる。この図3に示される2値位相格子は、第1方向に延びる3本の格子と、これに直交する第2方向に延びる3本の格子とを含む。この2値位相格子も位相格子であってよい。第1フレネルレンズパターンを第1光変調部21に呈示させ、このような2値位相格子を第2光変調部22に呈示させる。
【0045】
第2光変調部22において第1フレネルレンズパターンにより集光点と2値位相格子の中心点(第1方向の3本の格子と第2方向の3本の格子との交差位置)とが互いに一致しているときには、図4に示されるように、第2光変調部22からの回折光Aの強度が最も強くなり、撮像部31の撮像面31aに入力される0次光の強度が最も弱くなる。したがって、撮像部31の撮像面31aに入力される光の強度が最も弱くなるようにすれば、第2光変調部22において第1フレネルレンズパターンにより集光点と2値位相格子の中心点とを互いに一致させることができる。このときの2値位相格子の中心点を、相関フィルタパターンの中心点とすればよい。
【0046】
このように、制御部41は、第1フレネルレンズパターンを第1光変調部21に呈示させるとともに、光入射位置によって光の回折の方向または強度が異なる回折パターンを第2光変調部22に呈示させて、そのときの撮像部31による撮像の結果を求める。そして、制御部41は、この撮像結果に基づいて、第1光変調部21における第1フレネルレンズパターンの呈示位置、第2光変調部22における相関フィルタパターンの呈示位置、または、第1光変調部21に呈示される入力パターンのフーリエ変換像を第2光変調部22に形成する際の位置を調整すればよい。
【0047】
なお、第1光変調部21に呈示される入力パターンのフーリエ変換像を第2光変調部22に形成する際の位置を調整するには、入力パターンおよび第1フレネルレンズパターンに加えて更にブレイズド位相回折格子パターンが重畳された第1変調パターンを第1光変調部21に呈示させればよい。
【0048】
図5は、ブレイズド位相回折格子パターンを示す図である。この図でも、位相変調量が濃淡で示されている。この図に示されるように、ブレイズド位相回折格子パターンは、一方向に沿って一定の変化量で位相変調量が変化しているものである。このようなブレイズド位相回折格子パターンを用いることにより、第1光変調部21からの光の回折方向を微調整することができて、第2光変調部22において形成される入力パターンのフーリエ変換像の位置を微調整することができる。
【0049】
このような調整は、光源11から出力される光の波長が変動した場合等によって焦点距離が変化してしまった場合にも、有効である。このような調整は、光相関器1の使用に先立って行われるのが好適であり、また、光相関器1の使用の途中のおいても定期的に行われるのが好適である。このようにすることで、光の波長の変動や光学系の不安定性を除去した光相関器1を実現することができる。すなわち、この光相関器1は、高精度な光学系の相対的配置関係が要求されることなく、高精度の相関検出をすることができる。
【0050】
(第2実施形態)
【0051】
図6は、第2実施形態に係る光相関器2の構成図である。この図に示される光相関器2は、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するVander-Lugt型のものであって、光源11、入射光学系12、第1光変調部23、第2光変調部24、撮像部31および制御部41を備える。
【0052】
図1に示された第1実施形態に係る光相関器1の構成と比較すると、この図6に示される第2実施形態に係る光相関器2は、透過型の第1光変調部21および第2光変調部22に替えて、反射型の第1光変調部23および第2光変調部24を備える点で相違する。制御部41により第1光変調部23に呈示されるべき第1変調パターン、および、制御部41により第2光変調部24に呈示されるべき第2変調パターンは、第1実施形態の場合と同様である。
【0053】
第2実施形態に係る光相関器2においても、透過および反射の相違を除いて第1実施形態に係る光相関器1と同様に動作する。すなわち、光相関器2では、制御部41により、入力パターンと第1フレネルレンズパターンとが重畳された第1変調パターンが第1光変調部23に呈示されるとともに、参照パターンに対応する相関フィルタパターンと第2フレネルレンズパターンとが重畳された第2変調パターンが第2光変調部24に呈示される。
【0054】
光源11から出力された光は、入射光学系12によりビーム径が適当な大きさにされるとともに平行光とされて、第1光変調部23に入力される。第1光変調部23に入力された光は、第1変調パターンにより空間的に位相変調され、第1光変調部23から反射して出力される。このとき第1光変調部23から出力されて第2光変調部24に入力される光の像は、第1フレネルレンズパターンの作用により入力パターンがフーリエ変換されたものとなる。
【0055】
第1光変調部23から第2光変調部24に入力される光の像(入力パターンのフーリエ変換)と第2光変調部24における相関フィルタパターン(参照パターンのフーリエ変換)との間に相関がある場合、すなわち、入力パターンと参照パターンとの間に相関がある場合、第2光変調部24から反射して出力される光は、第2フレネルレンズパターンの作用により撮像部31の撮像面31aに集光される。このようにして、撮像部31による撮像の結果に基づいて、入力パターンと参照パターンとの間の相関が検出される。
【0056】
また、第2実施形態に係る光相関器2は、第1実施形態に係る光相関器1の調整と同様の調整が可能であり、高精度な光学系の相対的配置関係が要求されることなく、高精度の相関検出をすることができる。
【0057】
第2実施形態に係る光相関器2の具体的な構成は以下のとおりである。光源11として、波長633nmのレーザ光を出力するHe-Neレーザ光源が用いられた。第1光変調部23および第2光変調部24それぞれとして、浜松ホトニクス社製のLCOS(LiquidCrystal on Silicon)型の画素サイズ20μmの空間光変調器が用いられた。第1光変調部23に呈示される入力パターンにおける最大空間周波数を160μmとした。第2光変調部24に呈示される相関フィルタパターンの大きさを512ピクセルとした。このとき、上記(3)式から計算される第1フレネルレンズパターンの焦点距離を1294mmとした。第1フレネルレンズパターンの直径を512ピクセルに設定した。第1光変調部23から第2光変調部24までの距離と第2光変調部24から撮像部31の撮像面31aまでの距離とが互いに等しくなるように、第2光変調部24に呈示される第2フレネルレンズパターンの焦点距離を647mmに設定した。第2フレネルレンズパターンの直径を512ピクセルに設定した。
【0058】
このような具体的構成の光相関器2を用いた相関検出の実施例が図7〜図9に示されている。なお、図7,図8では、第1光変調部23または第2光変調部24における位相変調量が濃淡で示されている。また、図9では、撮像部31の撮像面31aにおける光強度分布が濃淡で示されている。
【0059】
図7は、第1光変調部23に呈示された第1変調パターンを示す図である。同図(a)は入力パターンを示し、同図(b)は第1フレネルレンズパターンを示し、また、同図(c)は第1変調パターンを示す。ここで、入力パターンは“HAMAMATSU” という文字列である。
【0060】
図8は、第2光変調部24に呈示された第2変調パターンを示す図である。同図(a)は参照パターンに対応する相関フィルタパターンを示し、同図(b)は第2フレネルレンズパターンを示し、また、同図(c)は第2変調パターンを示す。ここで、参照パターンは“A” という1文字である。相関フィルタパターンは、この参照パターンをフーリエ変換したものの位相共役パターンである。
【0061】
図9は、このとき撮像部31による撮像により得られた像を示す図である。この図に示されるように、入力パターン “HAMAMATSU” のうち文字 “A” が配置されている位置に光が集光されていることが確認された。すなわち、相関検出が為されていることが確認された。
【0062】
(第3実施形態)
【0063】
図10は、第3実施形態に係る光相関器3の構成図である。この図に示される光相関器3は、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するVander-Lugt型のものであって、光源11、入射光学系12、第1光変調部23、第2光変調部24、撮像部31および制御部41を備える。
【0064】
図6に示された第2実施形態に係る光相関器2の構成と比較すると、この図10に示される第3実施形態に係る光相関器3は、同様の構成要素を含むものの、制御部41により反射型の第1光変調部23に呈示されるべき第1変調パターンの点で相違し、また、制御部41により反射型の第2光変調部24に呈示されるべき第2変調パターンの点で相違する。
【0065】
第3実施形態では、制御部41は、第1変調パターンに第1ブレイズド位相回折格子パターンをも重畳したパターンを第1光変調部23に呈示させて、第1光変調部23からの出力光のうち第1ブレイズド位相回折格子パターンにより回折された光を第2光変調部24に入射させ、第1光変調部23からの出力光のうち0次光を第2光変調部24に入射させない。また、制御部41は、第2変調パターンに第2ブレイズド位相回折格子パターンをも重畳したパターンを第2光変調部24に呈示させて、第2光変調部24からの出力光のうち第2ブレイズド位相回折格子パターンにより回折された光を撮像部31の撮像面31aに入射させ、第2光変調部24からの出力光のうち0次光を撮像部31の撮像面31aに入射させない。
【0066】
第1ブレイズド位相回折格子パターンおよび第2ブレイズド位相回折格子パターンそれぞれは、図5に示されるような位相変調量分布を有するものである。このようなブレイズド位相回折格子パターンは、第1光変調部23および第2光変調部24のうち何れか一方のみに呈示されてもよい。
【0067】
このようにすることにより、信号光とノイズ光(0次光)とを互いに分離することができ、撮像部31の撮像面31aにノイズ光が到達するのを回避することができるので、相関検出のSN比が向上する。また、第1光変調部23および第2光変調部24は、互いに平行となるように配置することができ、また、入射光学系12の光軸に対して垂直となるように配置することができる。
【0068】
(第4実施形態)
【0069】
図11は、第4実施形態に係る光相関器4の構成図である。この図に示される光相関器4は、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するVander-Lugt型のものであって、光源11、入射光学系12、第1光変調部21a〜21d、第2光変調部22a〜22d、撮像部31および制御部41を備える。
【0070】
図1に示された第1実施形態に係る光相関器1の構成と比較すると、この図11に示される第4実施形態に係る光相関器4は、透過型の第1光変調部21に替えて透過型の第1光変調部21a〜21dを備える点で相違し、また、透過型の第2光変調部22に替えて透過型の第2光変調部22a〜22dを備える点で相違する。
【0071】
第4実施形態では、4個の第1光変調部21a〜21dは、1個の透過型の第1空間光変調器において並列的に2行2列に配置されて実現される。また、4個の第2光変調部22a〜22dは、1個の透過型の第2空間光変調器において並列的に2行2列に配置されて実現される。そして、第1光変調部21aと第2光変調部22aとが互いに対応し、第1光変調部21bと第2光変調部22bとが互いに対応し、第1光変調部21cと第2光変調部22cとが互いに対応し、また、第1光変調部21dと第2光変調部22dとが互いに対応している。
【0072】
図12は、第4実施形態に係る光相関器4に含まれる第1空間光変調器または第2空間光変調器において並列的に呈示される4個のフレネルレンズパターンを示す図である。この図でも、第1空間光変調器または第2空間光変調器の各画素における位相変調量が濃淡で示されている。
【0073】
制御部41は、第1光変調部21aに第1変調パターンを呈示させ、第2光変調部22aに第2変調パターンを呈示させて、第2光変調部22aから出力された光が撮像部31の撮像面31aの所定領域に集光される様子に基づいて、この対において入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出する。他の3組についても同様である。すなわち、第4実施形態に係る光相関器4は、4組の第1実施形態に係る光相関器1が並列的に設けられた構成と同等である。
【0074】
なお、4組に限られず、一般にN組であってもよい。ただし、Nは2以上の整数である。また、反射型の光変調部を用いても同様のことが可能である。
【0075】
(第5実施形態)
【0076】
図13は、第5実施形態に係る光相関器5の構成図である。この図に示される光相関器5は、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するVander-Lugt型のものであって、光源11、入射光学系12、第1光変調部21、第2光変調部22a〜22d、撮像部31および制御部41を備える。
【0077】
図1に示された第1実施形態に係る光相関器1の構成と比較すると、この図13に示される第5実施形態に係る光相関器5は、透過型の第1光変調部21に呈示されるパターンの点で相違し、また、透過型の第2光変調部22に替えて透過型の第2光変調部22a〜22dを備える点で相違する。
【0078】
第5実施形態では、第1光変調部21に、第1変調パターンにブレイズド位相回折格子パターンをも重畳した4個のパターンが多重化された多重化パターンが呈示される。各ブレイズド位相回折格子パターンは、互いに異なる方向に光を出力させる作用を有する。
【0079】
この多重化について2個の場合について説明すると以下のとおりである。或る第1変調パターン(図14(a))をejφAとし、これに対応するブレイズド位相回折格子パターン(図14(b))をejφBとする。また、他の第1変調パターン(図14(c))をejφCとし、これに対応するブレイズド位相回折格子パターン(図14(d))をejφDとする。第1光変調部21に呈示される多重化パターンejφmultiは、下記(6)式で表され、第1変調パターンejφAおよびブレイズド位相回折格子パターンejφBそれぞれの位相を加算したものと、第1変調パターンejφCおよびブレイズド位相回折格子パターンejφDそれぞれの位相を加算したものとを、複素振幅で加算したものとなる。一般にN個のパターンを多重化する場合も同様である。
【0080】
【数6】
【0081】
4個の第2光変調部22a〜22dは、並列的に2行2列に配置されている。これらは、別個の透過型の空間光変調器により実現されてもよいし、1個の透過型の空間光変調器において実現されてもよい。4個の第2光変調部22a〜22dそれぞれには、第1光変調部21において多重化されて呈示される4個のパターンに対して1対1に対応する第2変調パターンが呈示される。
【0082】
第1光変調部21からの出力光のうち各ブレイズド位相回折格子パターンにより所定方向に回折された光は、4個の第2光変調部22a〜22dのうちの何れかに入力される。そして、4個のパターンと4個の第2光変調部22a〜22dとが1対1に対応していて、その各々の対において入力パターンと参照パターンとの間の相関が検出される。
【0083】
なお、4組に限られず、一般にN組であってもよい。ただし、Nは2以上の整数である。また、反射型の光変調部を用いても同様のことが可能である。
【0084】
(第6実施形態)
【0085】
図15は、第6実施形態に係る光相関器6の構成図である。この図に示される光相関器6は、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するVander-Lugt型のものであって、光源11、入射光学系12、第1光変調部21、第2光変調部22a〜22d、撮像部31および制御部41を備える。
【0086】
図13に示された第5実施形態に係る光相関器5の構成と比較すると、この図15に示される第6実施形態に係る光相関器6は、透過型の第1光変調部21に呈示されるパターンの点で相違する。
【0087】
第6実施形態では、第1光変調部21に、入力パターンの4個のフーリエ変換像を形成するためのパターン(図16)をも第1変調パターンに重畳したパターンが呈示される。4個のフーリエ変換像に対して1対1に対応する第2変調パターンが、4個の第2光変調部22a〜22dそれぞれに呈示される。4個のフーリエ変換像それぞれは、4個の第2光変調部22a〜22dのうちの何れかに入力される。そして、4個のフーリエ変換像と4個の第2光変調部とが1対1に対応していて、その各々の対において入力パターンと参照パターンとの間の相関が検出される。
【0088】
なお、4組に限られず、一般にN組であってもよい。ただし、Nは2以上の整数である。また、反射型の光変調部を用いても同様のことが可能である。
【0089】
(第7実施形態)
【0090】
図17は、第7実施形態に係る光相関器7の構成図である。この図に示される光相関器7は、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するVander-Lugt型のものであって、光源11、入射光学系12、第1光変調部25、第2光変調部26、撮像部31および制御部41を備える。
【0091】
図6に示された第2実施形態に係る光相関器2の構成と比較すると、この図17に示される第7実施形態に係る光相関器7は、反射型の第1光変調部23および第2光変調部24に替えて反射型の第1光変調部25および第2光変調部26を備える点で相違し、これら第1光変調部25および第2光変調部26が1つの空間光変調器20により実現されている点で相違し、また、ミラー51を更に備える点で相違する。
【0092】
第7実施形態では、第1光変調部25および第2光変調部26は、1つの空間光変調器20において並列的に配置されている。図18は、第7実施形態に係る光相関器7に含まれる空間光変調器20において第1光変調部25および第2光変調部26それぞれ呈示されるパターンを示す図である。同図で、左のパターンは第1変調パターンであり、右のパターンは第2変調パターンである。
【0093】
この光相関器7では、制御部41により、入力パターンと第1フレネルレンズパターンとが重畳された第1変調パターンが空間光変調器20のうちの第1光変調部25に呈示されるとともに、参照パターンに対応する相関フィルタパターンと第2フレネルレンズパターンとが重畳された第2変調パターンが空間光変調器20のうちの第2光変調部26に呈示される。
【0094】
光源11から出力された光は、入射光学系12によりビーム径が適当な大きさにされるとともに平行光とされて、第1光変調部25に入力される。第1光変調部25に入力された光は、第1変調パターンにより空間的に位相変調され、第1光変調部25から反射して出力される。このとき第1光変調部25から出力されミラー51により反射されて第2光変調部26に入力される光の像は、第1フレネルレンズパターンの作用により入力パターンがフーリエ変換されたものとなる。
【0095】
第1光変調部25からミラー51を経て第2光変調部26に入力される光の像(入力パターンのフーリエ変換)と第2光変調部26における相関フィルタパターン(参照パターンのフーリエ変換)との間に相関がある場合、すなわち、入力パターンと参照パターンとの間に相関がある場合、第2光変調部26から反射して出力される光は、第2フレネルレンズパターンの作用により撮像部31の撮像面31aに集光される。このようにして、撮像部31による撮像の結果に基づいて、入力パターンと参照パターンとの間の相関が検出される。
【0096】
また、第7実施形態に係る光相関器7は、第1実施形態に係る光相関器1等の調整と同様の調整が可能であり、高精度な光学系の相対的配置関係が要求されることなく、高精度の相関検出をすることができる。また、第7実施径庭に係る光相関器7は、1つの空間光変調器を用いればよいので、安価な構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】第1実施形態に係る光相関器1の構成図である。
【図2】第1フレネルレンズパターンまたは第2フレネルレンズパターンを示す図である。
【図3】第1実施形態に係る光相関器1において第2光変調部22に呈示される2値位相格子を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る光相関器1において第2光変調部22に2値位相格子が呈示された場合の回折光Aの発生の様子を説明する図である。
【図5】ブレイズド位相回折格子パターンを示す図である。
【図6】第2実施形態に係る光相関器2の構成図である。
【図7】第1光変調部23に呈示された第1変調パターンを示す図である。
【図8】第2光変調部24に呈示された第2変調パターンを示す図である。
【図9】撮像部31による撮像により得られた像を示す図である。
【図10】第3実施形態に係る光相関器3の構成図である。
【図11】第4実施形態に係る光相関器4の構成図である。
【図12】第4実施形態に係る光相関器4に含まれる第1空間光変調器または第2空間光変調器において並列的に呈示される4個のフレネルレンズパターンを示す図である。
【図13】第5実施形態に係る光相関器5の構成図である。
【図14】第5実施形態に係る光相関器5に含まれる第1光変調部21に呈示される多重化パターンを説明する図である。
【図15】第6実施形態に係る光相関器6の構成図である。
【図16】第6実施形態に係る光相関器6に含まれる第1光変調部21に呈示される入力パターンの4個のフーリエ変換像を形成するためのパターンを説明する図である。
【図17】第7実施形態に係る光相関器7の構成図である。
【図18】第7実施形態に係る光相関器7に含まれる空間光変調器20において第1光変調部25および第2光変調部26それぞれ呈示されるパターンを示す図である。
【符号の説明】
【0098】
1〜7…光相関器、11…光源、12…入射光学系、21,23,25…第1光変調部、22,24,26…第2光変調部、31…撮像部、31a…撮像面、41…制御部、51…ミラー。
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出する光相関器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1,2に記載されている光相関器は、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するVander-Lugt型のものであって、参照パターンに対応する相関フィルタに対して、入力パターンをフーリエ変換したものを入射させて、このとき相関フィルタからの出力光に基づいて上記相関を検出する。これらの光相関器は、光学的にフーリエ変換を行うためにレンズを用いている。
【非特許文献1】Alastair D. McAulay and JunqingWang, “Lensless 2-D correlation experiments”, SPIE Vol.1959 OpticalPattern Recognition IV (1993), pp.403-407
【非特許文献2】Natalie Clark, Kirk J Powell andMichael K. Giles, “Using Liquid Crystal Devices as Input and Filter SLMs”, SPIE Vol.1704Advances in Optical Information Processing V (1992), pp.237-247
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような光相関器では、光源、入力パターン呈示部、相関フィルタ呈示部およびレンズ等を含む光学系における相対的配置関係や、光源から出力される光の波長は、厳密な精度で管理されなければならない。上記光学系における相対的配置関係が僅かでも崩れたり、温度変動等の要因により光の波長が僅かでも変化したりすると、相関検出が困難となる。上記光学系における相対的配置関係はミクロンオーダーの精度で調整される必要がある。
【0004】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、高精度な光学系の相対的配置関係が要求されることなく高精度の相関検出をすることができる光相関器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る光相関器は、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出する光相関器であって、(1) 光を出力する光源と、(2) 光源から出力された光を入力し、2次元配列された複数の画素それぞれにおいて光の振幅または位相を変調する第1変調パターンを呈示して、その変調後の光を出力する第1光変調部と、(3)第1光変調部から出力された光を入力し、2次元配列された複数の画素それぞれにおいて光の振幅または位相を変調する第2変調パターンを呈示して、その変調後の光を出力する第2光変調部と、(4)第2光変調部から出力された光を受光する撮像面を有し、その撮像面における光の像を撮像する撮像部と、(5) 第1光変調部に第1変調パターンを呈示させるとともに、第2光変調部に第2変調パターンを呈示させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
さらに、本発明に係る光相関器に含まれる制御部は、(a) 入力パターンと、入力パターンのフーリエ変換像を第2光変調部に形成するための第1フレネルレンズパターンと、を重畳したパターンを第1変調パターンとして第1光変調部に呈示させるとともに、(b)参照パターンに対応する相関フィルタパターンと、入力パターンと参照パターンとの間に相関がある場合に第2光変調部から出力される光を撮像部の撮像面に集光させるための第2フレネルレンズパターンと、を重畳したパターンを第2変調パターンとして第2光変調部に呈示させて、(c)このときの撮像部による撮像の結果に基づいて、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出する、ことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る光相関器では、第1光変調部に呈示される第1変調パターンは、入力パターンと第1フレネルレンズパターンとが重畳されたものである。第1フレネルレンズパターンは、入力パターンのフーリエ変換像を第2光変調部に形成するためのものである。また、第2光変調部に呈示される第2変調パターンは、参照パターンに対応する相関フィルタパターンと第2フレネルレンズパターンとが重畳されたものである。第2フレネルレンズパターンは、入力パターンと参照パターンとの間に相関がある場合に第2光変調部から出力される光を撮像部の撮像面に集光させるためのものである。
【0008】
光源から出力され第1光変調部に入力された光は、第1変調パターンにより空間的に位相変調されて、第1光変調部から出力される。このとき第1光変調部から出力されて第2光変調部に入力される光の像は、第1フレネルレンズパターンの作用により入力パターンがフーリエ変換されたものとなる。第1光変調部から第2光変調部に入力される光の像(入力パターンのフーリエ変換)と第2光変調部における相関フィルタパターン(参照パターンのフーリエ変換)との間に相関がある場合、すなわち、入力パターンと参照パターンとの間に相関がある場合、第2光変調部から出力される光は、第2フレネルレンズパターンの作用により撮像部の撮像面に集光される。このようにして、撮像部による撮像の結果に基づいて、入力パターンと参照パターンとの間の相関が検出される。
【0009】
本発明に係る光相関器では、制御部は、第1フレネルレンズパターンを第1光変調部に呈示させるとともに、光入射位置によって光の回折の方向または強度が異なる回折パターンを第2光変調部に呈示させて、そのときの撮像部による撮像の結果を求め、この撮像結果に基づいて、第1光変調部における第1フレネルレンズパターンの呈示位置、第2光変調部における相関フィルタパターンの呈示位置、または、第1光変調部に呈示される入力パターンのフーリエ変換像を第2光変調部に形成する際の位置を調整するのが好適である。このようにすることにより、光相関器の構成要素を機械的に動かすことなく、また、高精度な光学系の相対的配置関係が要求されることなく、高精度の調整をすることができる。
【0010】
本発明に係る光相関器では、制御部は、第1変調パターンに第1ブレイズド位相回折格子パターンをも重畳したパターンを第1光変調部に呈示させて、第1光変調部からの出力光のうち第1ブレイズド位相回折格子パターンにより回折された光を第2光変調部に入射させ、第1光変調部からの出力光のうち0次光を第2光変調部に入射させないのが好適である。また、本発明に係る光相関器では、制御部は、第2変調パターンに第2ブレイズド位相回折格子パターンをも重畳したパターンを第2光変調部に呈示させて、第2光変調部からの出力光のうち第2ブレイズド位相回折格子パターンにより回折された光を撮像部の撮像面に入射させ、第2光変調部からの出力光のうち0次光を撮像部の撮像面に入射させないのも好適である。このようにすることにより、信号光とノイズ光(0次光)とを互いに分離することができ、撮像部の撮像面にノイズ光が到達するのを回避することができるので、相関検出のSN比が向上する。
【0011】
本発明に係る光相関器は、N個の第1光変調部を並列的に有する第1空間光変調器と、N個の第2光変調部を並列的に有する第2空間光変調器と、を用い、制御部は、N個の第1光変調部とN個の第2光変調部とを1対1に対応させて、その各々の対において入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するのが好適である。ここで、Nは2以上の整数である。この場合には、N個の光相関器が並列的に設けられた構成と同等の構成となり、装置規模を大きくすることなく、相関検出の効率が向上する。
【0012】
本発明に係る光相関器は、N個の第2光変調部を並列的に備え、制御部は、第1変調パターンにブレイズド位相回折格子パターンをも重畳したN個のパターンを多重化した多重化パターンを第1光変調部に呈示させ、N個のパターンに対して1対1に対応する第2変調パターンをN個の第2光変調部それぞれに呈示させ、第1光変調部からの出力光のうち各ブレイズド位相回折格子パターンにより所定方向に回折された光を、N個の第2光変調部のうちの何れかに入射させ、N個のパターンとN個の第2光変調部とを1対1に対応させて、その各々の対において入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するのが好適である。ここで、Nは2以上の整数である。この場合には、第1光変調部にN個の入力パターンが多重化して呈示され、各入力パターンのフーリエ変換像は、N個の第2光変調部の何れかに入力される。一方、N個の第2光変調部それぞれには、互いに異なる参照パターンに対応する相関フィルタパターンが呈示されてもよい。したがって、この場合にも、N個の光相関器が並列的に設けられた構成と同等の構成となり、装置規模を大きくすることなく、相関検出の効率が向上する。
【0013】
本発明に係る光相関器は、N個の第2光変調部を並列的に備え、制御部は、入力パターンのN個のフーリエ変換像を形成するためのパターンをも第1変調パターンに重畳して第1光変調部に呈示させ、N個のフーリエ変換像に対して1対1に対応する第2変調パターンをN個の第2光変調部それぞれに呈示させ、N個のフーリエ変換像それぞれをN個の第2光変調部のうちの何れかに入射させ、N個のフーリエ変換像とN個の第2光変調部とを1対1に対応させて、その各々の対において入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するのが好適である。ここで、Nは2以上の整数である。この場合には、第1光変調部に呈示された入力パターンのフーリエ変換像は、N個の第2光変調部それぞれに入力される。一方、N個の第2光変調部それぞれには、互いに異なる参照パターンに対応する相関フィルタパターンが呈示されてもよい。したがって、この場合にも、N個の光相関器が並列的に設けられた構成と同等の構成となり、装置規模を大きくすることなく、相関検出の効率が向上する。
【0014】
本発明に係る光相関器は、第1光変調部と第2光変調部とを並列的に有する空間光変調器を用い、第1光変調部から出力される光をミラーにより反射させて第2光変調部に入力させるのが好適である。この場合には、1つの空間光変調器を用いればよいので、安価な構成とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る光相関器は、高精度な光学系の相対的配置関係が要求されることなく、高精度の相関検出をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
(第1実施形態)
【0018】
図1は、第1実施形態に係る光相関器1の構成図である。この図に示される光相関器1は、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するVander-Lugt型のものであって、光源11、入射光学系12、第1光変調部21、第2光変調部22、撮像部31および制御部41を備える。
【0019】
光源11は、光相関の検出のために用いる光を出力するものであって、レーザ光源であるのが好適である。入射光学系12は、光源11から出力された光を入力し、その光のビーム径を適当な大きさにするとともに平行光として、その光を第1光変調部21へ出力する。
【0020】
第1光変調部21および第2光変調部22それぞれは、2次元配列された複数の画素それぞれにおいて光の振幅または位相を変調する変調パターンを呈示して、その変調後の光を出力するものである。この変調パターンは制御部41により与えられる。第1光変調部21および第2光変調部22それぞれは、空間光変調器(SLM: Spatial Light Modulator)により実現されるのが好適である。
【0021】
第1光変調部21および第2光変調部22それぞれは、透過型のものであってもよいし、反射型のものであってもよい。本実施形態では、第1光変調部21および第2光変調部22それぞれは、入射光のビーム断面位置に応じて透過光の振幅または位相を変調することができる透過型のものである。第1光変調部21および第2光変調部22は互いに平行に配置されている。
【0022】
第1光変調部21および第2光変調部22それぞれは、2次元配列された複数の画素それぞれにおいて光の振幅のみを変調することができるものであってもよいし、光の位相のみを変調することができるものであってもよいし、また、光の振幅および位相の双方を変調することができるものであってもよい。光利用効率の観点からは、第1光変調部21および第2光変調部22それぞれは、光の位相のみを変調することができる位相変調型のものであるのが好適である。本実施形態および以降の実施形態では、第1光変調部21および第2光変調部22それぞれは位相変調型のものであるとする。
【0023】
第1光変調部21は、制御部41により与えられる第1変調パターンを呈示し、光源11から出力されて入射光学系12により平行光とされた光を入力して、第1変調パターンにより変調された後の光を第2光変調部22へ出力する。入射光学系12から第1光変調部21へ光が垂直入射するのが好ましい。
【0024】
第2光変調部22は、制御部41により与えられる第2変調パターンを呈示し、第1光変調部21から出力された光を入力して、第2変調パターンにより変調された後の光を撮像部31へ出力する。
【0025】
撮像部31は、第2光変調部22から出力された光を受光する撮像面31aを有し、その撮像面31aにおける光の像を撮像する。撮像部31は、CCD(Charged Coupled Device)素子を含むものであってもよいし、フォトダイオードアレイを含むものであってもよい。
【0026】
制御部41は、第1光変調部21に第1変調パターンを呈示させるとともに、第2光変調部22に第2変調パターンを呈示させる。また、制御部41は、撮像部31による撮像結果を入力して、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出する。
【0027】
制御部41により第1光変調部21に呈示される第1変調パターンは、入力パターンと第1フレネルレンズパターンとが重畳されたものである。第1フレネルレンズパターンは、入力パターンのフーリエ変換像を第2光変調部22に形成するためのものである。
【0028】
制御部41により第2光変調部22に呈示される第2変調パターンは、参照パターンに対応する相関フィルタパターンと第2フレネルレンズパターンとが重畳されたものである。相関フィルタパターンは、参照パターンをフーリエ変換したものの位相共役パターンである。第2フレネルレンズパターンは、入力パターンと参照パターンとの間に相関がある場合に第2光変調部22から出力される光を撮像部31の撮像面31aに集光させるためのものである。
【0029】
制御部41は、このときの撮像部31による撮像の結果に基づいて、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出する。
【0030】
図2は、第1フレネルレンズパターンまたは第2フレネルレンズパターンを示す図である。この図で、第1光変調部21または第2光変調部22の各画素における位相変調量が濃淡で示されている。
【0031】
以上のように構成されるVander-Lugt型の光相関器1において、第1光変調部21に呈示される第1フレネルレンズパターンによって第2光変調部22に形成される入力パターンのフーリエ変換像と、第2光変調部22に呈示される相関フィルタパターンとは、位置が互いに一致し、大きさも互いに一致することが必要である。画素構造を有する第2光変調部22により相関フィルタパターンが呈示されるので、相関フィルタパターンの大きさは、第2光変調部22の画素の大きさに基づいて決定される。したがって、第2光変調部22における入力パターンのフーリエ変換像および相関フィルタパターンそれぞれの大きさを互いに一致させるためには、第1フレネルレンズパターンの焦点距離によって入力パターンのフーリエ変換像の大きさを調整しなくてはならない。焦点距離による大きさの調整方法を次に説明する。
【0032】
第1フレネルレンズパターンにより第2光変調部22に形成される入力パターンのフーリエ変換像の大きさは、第1光変調部21における光の回折の際の最大回折角度θによって決まる。この最大回折角度θは、入力パターンの最大空間周波数Pおよび光の波長λを用いて、下記(1)式で表される。入力パターンのフーリエ変換像の大きさDは、最大回折角度θおよび第1フレネルレンズパターンの焦点距離fを用いて、下記(2)式で表される。これらの式から、入力パターンのフーリエ変換像の大きさDは、下記(3)式で表される。この(3)式によるフーリエ変換像の大きさDと相関フィルタパターンの大きさとを互いに一致させるように、第1フレネルレンズパターンの焦点距離fに設定すればよい。
【0033】
【数1】
【0034】
【数2】
【0035】
【数3】
【0036】
第1光変調部21と第2光変調部22との間の距離をf1とし、第2光変調部22と撮像部31の撮像面31aとの間の距離をf2とする。このとき、第1光変調部21には、焦点距離f1の第1フレネルレンズパターンと入力パターンとが加算された第1変調パターンが呈示される。第2光変調部22は、第1光変調部21から第1フレネルレンズパターンの焦点距離だけ離れた位置に配置される。また、第2光変調部22に呈示される第2変調パターンに含まれる第2フレネルレンズパターンは、下記(4)式に求められる焦点距離f3とされる。
【0037】
【数4】
【0038】
このように構成される光相関器1では、制御部41により、入力パターンと第1フレネルレンズパターンとが重畳された第1変調パターンが第1光変調部21に呈示されるとともに、参照パターンに対応する相関フィルタパターンと第2フレネルレンズパターンとが重畳された第2変調パターンが第2光変調部22に呈示される。
【0039】
光源11から出力された光は、入射光学系12によりビーム径が適当な大きさにされるとともに平行光とされて、第1光変調部21に入力される。第1光変調部21に入力された光は、第1変調パターンにより空間的に位相変調され、第1光変調部21から透過して出力される。このとき第1光変調部21から出力されて第2光変調部22に入力される光の像は、第1フレネルレンズパターンの作用により入力パターンがフーリエ変換されたものとなる。
【0040】
第1光変調部21から第2光変調部22に入力される光の像(入力パターンのフーリエ変換)と第2光変調部22における相関フィルタパターン(参照パターンのフーリエ変換)との間に相関がある場合、すなわち、入力パターンと参照パターンとの間に相関がある場合、第2光変調部22から透過して出力される光は、第2フレネルレンズパターンの作用により撮像部31の撮像面31aに集光される。このようにして、撮像部31による撮像の結果に基づいて、入力パターンと参照パターンとの間の相関が検出される。
【0041】
本実施形態に係る光相関器1は、高精度な光学系の相対的配置関係が要求されることなく、高精度の相関検出をすることができる。例えば、第2光変調部22における入力パターンのフーリエ変換像と相関フィルタパターンとの間の位置関係の調整は、以下のような手順により容易にすることができる。
【0042】
光の波長λ、第1フレネルレンズパターンの直径d、および、第1フレネルレンズパターンの焦点距離fに対して、第1フレネルレンズパターンの集光作用による集光点の集光点の直径Dは、下記(5)式で表される。
【0043】
【数5】
【0044】
この集光点Dの大きさに合わせた幅を持つ図3に示されるような2値位相格子を作成して、この2値位相格子を第2光変調部22に呈示させる。この図3に示される2値位相格子は、第1方向に延びる3本の格子と、これに直交する第2方向に延びる3本の格子とを含む。この2値位相格子も位相格子であってよい。第1フレネルレンズパターンを第1光変調部21に呈示させ、このような2値位相格子を第2光変調部22に呈示させる。
【0045】
第2光変調部22において第1フレネルレンズパターンにより集光点と2値位相格子の中心点(第1方向の3本の格子と第2方向の3本の格子との交差位置)とが互いに一致しているときには、図4に示されるように、第2光変調部22からの回折光Aの強度が最も強くなり、撮像部31の撮像面31aに入力される0次光の強度が最も弱くなる。したがって、撮像部31の撮像面31aに入力される光の強度が最も弱くなるようにすれば、第2光変調部22において第1フレネルレンズパターンにより集光点と2値位相格子の中心点とを互いに一致させることができる。このときの2値位相格子の中心点を、相関フィルタパターンの中心点とすればよい。
【0046】
このように、制御部41は、第1フレネルレンズパターンを第1光変調部21に呈示させるとともに、光入射位置によって光の回折の方向または強度が異なる回折パターンを第2光変調部22に呈示させて、そのときの撮像部31による撮像の結果を求める。そして、制御部41は、この撮像結果に基づいて、第1光変調部21における第1フレネルレンズパターンの呈示位置、第2光変調部22における相関フィルタパターンの呈示位置、または、第1光変調部21に呈示される入力パターンのフーリエ変換像を第2光変調部22に形成する際の位置を調整すればよい。
【0047】
なお、第1光変調部21に呈示される入力パターンのフーリエ変換像を第2光変調部22に形成する際の位置を調整するには、入力パターンおよび第1フレネルレンズパターンに加えて更にブレイズド位相回折格子パターンが重畳された第1変調パターンを第1光変調部21に呈示させればよい。
【0048】
図5は、ブレイズド位相回折格子パターンを示す図である。この図でも、位相変調量が濃淡で示されている。この図に示されるように、ブレイズド位相回折格子パターンは、一方向に沿って一定の変化量で位相変調量が変化しているものである。このようなブレイズド位相回折格子パターンを用いることにより、第1光変調部21からの光の回折方向を微調整することができて、第2光変調部22において形成される入力パターンのフーリエ変換像の位置を微調整することができる。
【0049】
このような調整は、光源11から出力される光の波長が変動した場合等によって焦点距離が変化してしまった場合にも、有効である。このような調整は、光相関器1の使用に先立って行われるのが好適であり、また、光相関器1の使用の途中のおいても定期的に行われるのが好適である。このようにすることで、光の波長の変動や光学系の不安定性を除去した光相関器1を実現することができる。すなわち、この光相関器1は、高精度な光学系の相対的配置関係が要求されることなく、高精度の相関検出をすることができる。
【0050】
(第2実施形態)
【0051】
図6は、第2実施形態に係る光相関器2の構成図である。この図に示される光相関器2は、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するVander-Lugt型のものであって、光源11、入射光学系12、第1光変調部23、第2光変調部24、撮像部31および制御部41を備える。
【0052】
図1に示された第1実施形態に係る光相関器1の構成と比較すると、この図6に示される第2実施形態に係る光相関器2は、透過型の第1光変調部21および第2光変調部22に替えて、反射型の第1光変調部23および第2光変調部24を備える点で相違する。制御部41により第1光変調部23に呈示されるべき第1変調パターン、および、制御部41により第2光変調部24に呈示されるべき第2変調パターンは、第1実施形態の場合と同様である。
【0053】
第2実施形態に係る光相関器2においても、透過および反射の相違を除いて第1実施形態に係る光相関器1と同様に動作する。すなわち、光相関器2では、制御部41により、入力パターンと第1フレネルレンズパターンとが重畳された第1変調パターンが第1光変調部23に呈示されるとともに、参照パターンに対応する相関フィルタパターンと第2フレネルレンズパターンとが重畳された第2変調パターンが第2光変調部24に呈示される。
【0054】
光源11から出力された光は、入射光学系12によりビーム径が適当な大きさにされるとともに平行光とされて、第1光変調部23に入力される。第1光変調部23に入力された光は、第1変調パターンにより空間的に位相変調され、第1光変調部23から反射して出力される。このとき第1光変調部23から出力されて第2光変調部24に入力される光の像は、第1フレネルレンズパターンの作用により入力パターンがフーリエ変換されたものとなる。
【0055】
第1光変調部23から第2光変調部24に入力される光の像(入力パターンのフーリエ変換)と第2光変調部24における相関フィルタパターン(参照パターンのフーリエ変換)との間に相関がある場合、すなわち、入力パターンと参照パターンとの間に相関がある場合、第2光変調部24から反射して出力される光は、第2フレネルレンズパターンの作用により撮像部31の撮像面31aに集光される。このようにして、撮像部31による撮像の結果に基づいて、入力パターンと参照パターンとの間の相関が検出される。
【0056】
また、第2実施形態に係る光相関器2は、第1実施形態に係る光相関器1の調整と同様の調整が可能であり、高精度な光学系の相対的配置関係が要求されることなく、高精度の相関検出をすることができる。
【0057】
第2実施形態に係る光相関器2の具体的な構成は以下のとおりである。光源11として、波長633nmのレーザ光を出力するHe-Neレーザ光源が用いられた。第1光変調部23および第2光変調部24それぞれとして、浜松ホトニクス社製のLCOS(LiquidCrystal on Silicon)型の画素サイズ20μmの空間光変調器が用いられた。第1光変調部23に呈示される入力パターンにおける最大空間周波数を160μmとした。第2光変調部24に呈示される相関フィルタパターンの大きさを512ピクセルとした。このとき、上記(3)式から計算される第1フレネルレンズパターンの焦点距離を1294mmとした。第1フレネルレンズパターンの直径を512ピクセルに設定した。第1光変調部23から第2光変調部24までの距離と第2光変調部24から撮像部31の撮像面31aまでの距離とが互いに等しくなるように、第2光変調部24に呈示される第2フレネルレンズパターンの焦点距離を647mmに設定した。第2フレネルレンズパターンの直径を512ピクセルに設定した。
【0058】
このような具体的構成の光相関器2を用いた相関検出の実施例が図7〜図9に示されている。なお、図7,図8では、第1光変調部23または第2光変調部24における位相変調量が濃淡で示されている。また、図9では、撮像部31の撮像面31aにおける光強度分布が濃淡で示されている。
【0059】
図7は、第1光変調部23に呈示された第1変調パターンを示す図である。同図(a)は入力パターンを示し、同図(b)は第1フレネルレンズパターンを示し、また、同図(c)は第1変調パターンを示す。ここで、入力パターンは“HAMAMATSU” という文字列である。
【0060】
図8は、第2光変調部24に呈示された第2変調パターンを示す図である。同図(a)は参照パターンに対応する相関フィルタパターンを示し、同図(b)は第2フレネルレンズパターンを示し、また、同図(c)は第2変調パターンを示す。ここで、参照パターンは“A” という1文字である。相関フィルタパターンは、この参照パターンをフーリエ変換したものの位相共役パターンである。
【0061】
図9は、このとき撮像部31による撮像により得られた像を示す図である。この図に示されるように、入力パターン “HAMAMATSU” のうち文字 “A” が配置されている位置に光が集光されていることが確認された。すなわち、相関検出が為されていることが確認された。
【0062】
(第3実施形態)
【0063】
図10は、第3実施形態に係る光相関器3の構成図である。この図に示される光相関器3は、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するVander-Lugt型のものであって、光源11、入射光学系12、第1光変調部23、第2光変調部24、撮像部31および制御部41を備える。
【0064】
図6に示された第2実施形態に係る光相関器2の構成と比較すると、この図10に示される第3実施形態に係る光相関器3は、同様の構成要素を含むものの、制御部41により反射型の第1光変調部23に呈示されるべき第1変調パターンの点で相違し、また、制御部41により反射型の第2光変調部24に呈示されるべき第2変調パターンの点で相違する。
【0065】
第3実施形態では、制御部41は、第1変調パターンに第1ブレイズド位相回折格子パターンをも重畳したパターンを第1光変調部23に呈示させて、第1光変調部23からの出力光のうち第1ブレイズド位相回折格子パターンにより回折された光を第2光変調部24に入射させ、第1光変調部23からの出力光のうち0次光を第2光変調部24に入射させない。また、制御部41は、第2変調パターンに第2ブレイズド位相回折格子パターンをも重畳したパターンを第2光変調部24に呈示させて、第2光変調部24からの出力光のうち第2ブレイズド位相回折格子パターンにより回折された光を撮像部31の撮像面31aに入射させ、第2光変調部24からの出力光のうち0次光を撮像部31の撮像面31aに入射させない。
【0066】
第1ブレイズド位相回折格子パターンおよび第2ブレイズド位相回折格子パターンそれぞれは、図5に示されるような位相変調量分布を有するものである。このようなブレイズド位相回折格子パターンは、第1光変調部23および第2光変調部24のうち何れか一方のみに呈示されてもよい。
【0067】
このようにすることにより、信号光とノイズ光(0次光)とを互いに分離することができ、撮像部31の撮像面31aにノイズ光が到達するのを回避することができるので、相関検出のSN比が向上する。また、第1光変調部23および第2光変調部24は、互いに平行となるように配置することができ、また、入射光学系12の光軸に対して垂直となるように配置することができる。
【0068】
(第4実施形態)
【0069】
図11は、第4実施形態に係る光相関器4の構成図である。この図に示される光相関器4は、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するVander-Lugt型のものであって、光源11、入射光学系12、第1光変調部21a〜21d、第2光変調部22a〜22d、撮像部31および制御部41を備える。
【0070】
図1に示された第1実施形態に係る光相関器1の構成と比較すると、この図11に示される第4実施形態に係る光相関器4は、透過型の第1光変調部21に替えて透過型の第1光変調部21a〜21dを備える点で相違し、また、透過型の第2光変調部22に替えて透過型の第2光変調部22a〜22dを備える点で相違する。
【0071】
第4実施形態では、4個の第1光変調部21a〜21dは、1個の透過型の第1空間光変調器において並列的に2行2列に配置されて実現される。また、4個の第2光変調部22a〜22dは、1個の透過型の第2空間光変調器において並列的に2行2列に配置されて実現される。そして、第1光変調部21aと第2光変調部22aとが互いに対応し、第1光変調部21bと第2光変調部22bとが互いに対応し、第1光変調部21cと第2光変調部22cとが互いに対応し、また、第1光変調部21dと第2光変調部22dとが互いに対応している。
【0072】
図12は、第4実施形態に係る光相関器4に含まれる第1空間光変調器または第2空間光変調器において並列的に呈示される4個のフレネルレンズパターンを示す図である。この図でも、第1空間光変調器または第2空間光変調器の各画素における位相変調量が濃淡で示されている。
【0073】
制御部41は、第1光変調部21aに第1変調パターンを呈示させ、第2光変調部22aに第2変調パターンを呈示させて、第2光変調部22aから出力された光が撮像部31の撮像面31aの所定領域に集光される様子に基づいて、この対において入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出する。他の3組についても同様である。すなわち、第4実施形態に係る光相関器4は、4組の第1実施形態に係る光相関器1が並列的に設けられた構成と同等である。
【0074】
なお、4組に限られず、一般にN組であってもよい。ただし、Nは2以上の整数である。また、反射型の光変調部を用いても同様のことが可能である。
【0075】
(第5実施形態)
【0076】
図13は、第5実施形態に係る光相関器5の構成図である。この図に示される光相関器5は、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するVander-Lugt型のものであって、光源11、入射光学系12、第1光変調部21、第2光変調部22a〜22d、撮像部31および制御部41を備える。
【0077】
図1に示された第1実施形態に係る光相関器1の構成と比較すると、この図13に示される第5実施形態に係る光相関器5は、透過型の第1光変調部21に呈示されるパターンの点で相違し、また、透過型の第2光変調部22に替えて透過型の第2光変調部22a〜22dを備える点で相違する。
【0078】
第5実施形態では、第1光変調部21に、第1変調パターンにブレイズド位相回折格子パターンをも重畳した4個のパターンが多重化された多重化パターンが呈示される。各ブレイズド位相回折格子パターンは、互いに異なる方向に光を出力させる作用を有する。
【0079】
この多重化について2個の場合について説明すると以下のとおりである。或る第1変調パターン(図14(a))をejφAとし、これに対応するブレイズド位相回折格子パターン(図14(b))をejφBとする。また、他の第1変調パターン(図14(c))をejφCとし、これに対応するブレイズド位相回折格子パターン(図14(d))をejφDとする。第1光変調部21に呈示される多重化パターンejφmultiは、下記(6)式で表され、第1変調パターンejφAおよびブレイズド位相回折格子パターンejφBそれぞれの位相を加算したものと、第1変調パターンejφCおよびブレイズド位相回折格子パターンejφDそれぞれの位相を加算したものとを、複素振幅で加算したものとなる。一般にN個のパターンを多重化する場合も同様である。
【0080】
【数6】
【0081】
4個の第2光変調部22a〜22dは、並列的に2行2列に配置されている。これらは、別個の透過型の空間光変調器により実現されてもよいし、1個の透過型の空間光変調器において実現されてもよい。4個の第2光変調部22a〜22dそれぞれには、第1光変調部21において多重化されて呈示される4個のパターンに対して1対1に対応する第2変調パターンが呈示される。
【0082】
第1光変調部21からの出力光のうち各ブレイズド位相回折格子パターンにより所定方向に回折された光は、4個の第2光変調部22a〜22dのうちの何れかに入力される。そして、4個のパターンと4個の第2光変調部22a〜22dとが1対1に対応していて、その各々の対において入力パターンと参照パターンとの間の相関が検出される。
【0083】
なお、4組に限られず、一般にN組であってもよい。ただし、Nは2以上の整数である。また、反射型の光変調部を用いても同様のことが可能である。
【0084】
(第6実施形態)
【0085】
図15は、第6実施形態に係る光相関器6の構成図である。この図に示される光相関器6は、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するVander-Lugt型のものであって、光源11、入射光学系12、第1光変調部21、第2光変調部22a〜22d、撮像部31および制御部41を備える。
【0086】
図13に示された第5実施形態に係る光相関器5の構成と比較すると、この図15に示される第6実施形態に係る光相関器6は、透過型の第1光変調部21に呈示されるパターンの点で相違する。
【0087】
第6実施形態では、第1光変調部21に、入力パターンの4個のフーリエ変換像を形成するためのパターン(図16)をも第1変調パターンに重畳したパターンが呈示される。4個のフーリエ変換像に対して1対1に対応する第2変調パターンが、4個の第2光変調部22a〜22dそれぞれに呈示される。4個のフーリエ変換像それぞれは、4個の第2光変調部22a〜22dのうちの何れかに入力される。そして、4個のフーリエ変換像と4個の第2光変調部とが1対1に対応していて、その各々の対において入力パターンと参照パターンとの間の相関が検出される。
【0088】
なお、4組に限られず、一般にN組であってもよい。ただし、Nは2以上の整数である。また、反射型の光変調部を用いても同様のことが可能である。
【0089】
(第7実施形態)
【0090】
図17は、第7実施形態に係る光相関器7の構成図である。この図に示される光相関器7は、入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出するVander-Lugt型のものであって、光源11、入射光学系12、第1光変調部25、第2光変調部26、撮像部31および制御部41を備える。
【0091】
図6に示された第2実施形態に係る光相関器2の構成と比較すると、この図17に示される第7実施形態に係る光相関器7は、反射型の第1光変調部23および第2光変調部24に替えて反射型の第1光変調部25および第2光変調部26を備える点で相違し、これら第1光変調部25および第2光変調部26が1つの空間光変調器20により実現されている点で相違し、また、ミラー51を更に備える点で相違する。
【0092】
第7実施形態では、第1光変調部25および第2光変調部26は、1つの空間光変調器20において並列的に配置されている。図18は、第7実施形態に係る光相関器7に含まれる空間光変調器20において第1光変調部25および第2光変調部26それぞれ呈示されるパターンを示す図である。同図で、左のパターンは第1変調パターンであり、右のパターンは第2変調パターンである。
【0093】
この光相関器7では、制御部41により、入力パターンと第1フレネルレンズパターンとが重畳された第1変調パターンが空間光変調器20のうちの第1光変調部25に呈示されるとともに、参照パターンに対応する相関フィルタパターンと第2フレネルレンズパターンとが重畳された第2変調パターンが空間光変調器20のうちの第2光変調部26に呈示される。
【0094】
光源11から出力された光は、入射光学系12によりビーム径が適当な大きさにされるとともに平行光とされて、第1光変調部25に入力される。第1光変調部25に入力された光は、第1変調パターンにより空間的に位相変調され、第1光変調部25から反射して出力される。このとき第1光変調部25から出力されミラー51により反射されて第2光変調部26に入力される光の像は、第1フレネルレンズパターンの作用により入力パターンがフーリエ変換されたものとなる。
【0095】
第1光変調部25からミラー51を経て第2光変調部26に入力される光の像(入力パターンのフーリエ変換)と第2光変調部26における相関フィルタパターン(参照パターンのフーリエ変換)との間に相関がある場合、すなわち、入力パターンと参照パターンとの間に相関がある場合、第2光変調部26から反射して出力される光は、第2フレネルレンズパターンの作用により撮像部31の撮像面31aに集光される。このようにして、撮像部31による撮像の結果に基づいて、入力パターンと参照パターンとの間の相関が検出される。
【0096】
また、第7実施形態に係る光相関器7は、第1実施形態に係る光相関器1等の調整と同様の調整が可能であり、高精度な光学系の相対的配置関係が要求されることなく、高精度の相関検出をすることができる。また、第7実施径庭に係る光相関器7は、1つの空間光変調器を用いればよいので、安価な構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】第1実施形態に係る光相関器1の構成図である。
【図2】第1フレネルレンズパターンまたは第2フレネルレンズパターンを示す図である。
【図3】第1実施形態に係る光相関器1において第2光変調部22に呈示される2値位相格子を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る光相関器1において第2光変調部22に2値位相格子が呈示された場合の回折光Aの発生の様子を説明する図である。
【図5】ブレイズド位相回折格子パターンを示す図である。
【図6】第2実施形態に係る光相関器2の構成図である。
【図7】第1光変調部23に呈示された第1変調パターンを示す図である。
【図8】第2光変調部24に呈示された第2変調パターンを示す図である。
【図9】撮像部31による撮像により得られた像を示す図である。
【図10】第3実施形態に係る光相関器3の構成図である。
【図11】第4実施形態に係る光相関器4の構成図である。
【図12】第4実施形態に係る光相関器4に含まれる第1空間光変調器または第2空間光変調器において並列的に呈示される4個のフレネルレンズパターンを示す図である。
【図13】第5実施形態に係る光相関器5の構成図である。
【図14】第5実施形態に係る光相関器5に含まれる第1光変調部21に呈示される多重化パターンを説明する図である。
【図15】第6実施形態に係る光相関器6の構成図である。
【図16】第6実施形態に係る光相関器6に含まれる第1光変調部21に呈示される入力パターンの4個のフーリエ変換像を形成するためのパターンを説明する図である。
【図17】第7実施形態に係る光相関器7の構成図である。
【図18】第7実施形態に係る光相関器7に含まれる空間光変調器20において第1光変調部25および第2光変調部26それぞれ呈示されるパターンを示す図である。
【符号の説明】
【0098】
1〜7…光相関器、11…光源、12…入射光学系、21,23,25…第1光変調部、22,24,26…第2光変調部、31…撮像部、31a…撮像面、41…制御部、51…ミラー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出する光相関器であって、
光を出力する光源と、
前記光源から出力された光を入力し、2次元配列された複数の画素それぞれにおいて前記光の振幅または位相を変調する第1変調パターンを呈示して、その変調後の光を出力する第1光変調部と、
前記第1光変調部から出力された光を入力し、2次元配列された複数の画素それぞれにおいて前記光の振幅または位相を変調する第2変調パターンを呈示して、その変調後の光を出力する第2光変調部と、
前記第2光変調部から出力された光を受光する撮像面を有し、その撮像面における前記光の像を撮像する撮像部と、
前記第1光変調部に前記第1変調パターンを呈示させるとともに、前記第2光変調部に前記第2変調パターンを呈示させる制御部と、
を備え、
前記制御部が、
前記入力パターンと、前記入力パターンのフーリエ変換像を前記第2光変調部に形成するための第1フレネルレンズパターンと、を重畳したパターンを前記第1変調パターンとして前記第1光変調部に呈示させるとともに、
前記参照パターンに対応する相関フィルタパターンと、前記入力パターンと前記参照パターンとの間に相関がある場合に前記第2光変調部から出力される光を前記撮像部の撮像面に集光させるための第2フレネルレンズパターンと、を重畳したパターンを前記第2変調パターンとして前記第2光変調部に呈示させて、
このときの前記撮像部による撮像の結果に基づいて、前記入力パターンと前記参照パターンとの間の相関を検出する、
ことを特徴とする光相関器。
【請求項2】
前記制御部が、
前記第1フレネルレンズパターンを前記第1光変調部に呈示させるとともに、光入射位置によって光の回折の方向または強度が異なる回折パターンを前記第2光変調部に呈示させて、そのときの前記撮像部による撮像の結果を求め、
この撮像結果に基づいて、前記第1光変調部における前記第1フレネルレンズパターンの呈示位置、前記第2光変調部における前記相関フィルタパターンの呈示位置、または、前記第1光変調部に呈示される前記入力パターンのフーリエ変換像を前記第2光変調部に形成する際の位置を調整する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光相関器。
【請求項3】
前記制御部が、前記第1変調パターンに第1ブレイズド位相回折格子パターンをも重畳したパターンを前記第1光変調部に呈示させて、前記第1光変調部からの出力光のうち前記第1ブレイズド位相回折格子パターンにより回折された光を前記第2光変調部に入射させ、前記第1光変調部からの出力光のうち0次光を前記第2光変調部に入射させない、ことを特徴とする請求項1に記載の光相関器。
【請求項4】
前記制御部が、前記第2変調パターンに第2ブレイズド位相回折格子パターンをも重畳したパターンを前記第2光変調部に呈示させて、前記第2光変調部からの出力光のうち前記第2ブレイズド位相回折格子パターンにより回折された光を前記撮像部の前記撮像面に入射させ、前記第2光変調部からの出力光のうち0次光を前記撮像部の前記撮像面に入射させない、ことを特徴とする請求項1に記載の光相関器。
【請求項5】
N個の前記第1光変調部を並列的に有する第1空間光変調器と、N個の前記第2光変調部を並列的に有する第2空間光変調器と、を用い、
前記制御部が、N個の前記第1光変調部とN個の前記第2光変調部とを1対1に対応させて、その各々の対において前記入力パターンと前記参照パターンとの間の相関を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光相関器(Nは2以上の整数)。
【請求項6】
N個の前記第2光変調部を並列的に備え、
前記制御部が、
前記第1変調パターンにブレイズド位相回折格子パターンをも重畳したN個のパターンを多重化した多重化パターンを前記第1光変調部に呈示させ、
前記N個のパターンに対して1対1に対応する前記第2変調パターンをN個の前記第2光変調部それぞれに呈示させ、
前記第1光変調部からの出力光のうち各ブレイズド位相回折格子パターンにより所定方向に回折された光を、N個の前記第2光変調部のうちの何れかに入射させ、
N個の前記パターンとN個の前記第2光変調部とを1対1に対応させて、その各々の対において前記入力パターンと前記参照パターンとの間の相関を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光相関器(Nは2以上の整数)。
【請求項7】
N個の前記第2光変調部を並列的に備え、
前記制御部が、
前記入力パターンのN個のフーリエ変換像を形成するためのパターンをも前記第1変調パターンに重畳して前記第1光変調部に呈示させ、
前記N個のフーリエ変換像に対して1対1に対応する前記第2変調パターンをN個の前記第2光変調部それぞれに呈示させ、
前記N個のフーリエ変換像それぞれをN個の前記第2光変調部のうちの何れかに入射させ、
前記N個のフーリエ変換像とN個の前記第2光変調部とを1対1に対応させて、その各々の対において前記入力パターンと前記参照パターンとの間の相関を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光相関器(Nは2以上の整数)。
【請求項8】
前記第1光変調部と前記第2光変調部とを並列的に有する空間光変調器を用い、
前記第1光変調部から出力される光をミラーにより反射させて前記第2光変調部に入力させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の光相関器。
【請求項1】
入力パターンと参照パターンとの間の相関を検出する光相関器であって、
光を出力する光源と、
前記光源から出力された光を入力し、2次元配列された複数の画素それぞれにおいて前記光の振幅または位相を変調する第1変調パターンを呈示して、その変調後の光を出力する第1光変調部と、
前記第1光変調部から出力された光を入力し、2次元配列された複数の画素それぞれにおいて前記光の振幅または位相を変調する第2変調パターンを呈示して、その変調後の光を出力する第2光変調部と、
前記第2光変調部から出力された光を受光する撮像面を有し、その撮像面における前記光の像を撮像する撮像部と、
前記第1光変調部に前記第1変調パターンを呈示させるとともに、前記第2光変調部に前記第2変調パターンを呈示させる制御部と、
を備え、
前記制御部が、
前記入力パターンと、前記入力パターンのフーリエ変換像を前記第2光変調部に形成するための第1フレネルレンズパターンと、を重畳したパターンを前記第1変調パターンとして前記第1光変調部に呈示させるとともに、
前記参照パターンに対応する相関フィルタパターンと、前記入力パターンと前記参照パターンとの間に相関がある場合に前記第2光変調部から出力される光を前記撮像部の撮像面に集光させるための第2フレネルレンズパターンと、を重畳したパターンを前記第2変調パターンとして前記第2光変調部に呈示させて、
このときの前記撮像部による撮像の結果に基づいて、前記入力パターンと前記参照パターンとの間の相関を検出する、
ことを特徴とする光相関器。
【請求項2】
前記制御部が、
前記第1フレネルレンズパターンを前記第1光変調部に呈示させるとともに、光入射位置によって光の回折の方向または強度が異なる回折パターンを前記第2光変調部に呈示させて、そのときの前記撮像部による撮像の結果を求め、
この撮像結果に基づいて、前記第1光変調部における前記第1フレネルレンズパターンの呈示位置、前記第2光変調部における前記相関フィルタパターンの呈示位置、または、前記第1光変調部に呈示される前記入力パターンのフーリエ変換像を前記第2光変調部に形成する際の位置を調整する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光相関器。
【請求項3】
前記制御部が、前記第1変調パターンに第1ブレイズド位相回折格子パターンをも重畳したパターンを前記第1光変調部に呈示させて、前記第1光変調部からの出力光のうち前記第1ブレイズド位相回折格子パターンにより回折された光を前記第2光変調部に入射させ、前記第1光変調部からの出力光のうち0次光を前記第2光変調部に入射させない、ことを特徴とする請求項1に記載の光相関器。
【請求項4】
前記制御部が、前記第2変調パターンに第2ブレイズド位相回折格子パターンをも重畳したパターンを前記第2光変調部に呈示させて、前記第2光変調部からの出力光のうち前記第2ブレイズド位相回折格子パターンにより回折された光を前記撮像部の前記撮像面に入射させ、前記第2光変調部からの出力光のうち0次光を前記撮像部の前記撮像面に入射させない、ことを特徴とする請求項1に記載の光相関器。
【請求項5】
N個の前記第1光変調部を並列的に有する第1空間光変調器と、N個の前記第2光変調部を並列的に有する第2空間光変調器と、を用い、
前記制御部が、N個の前記第1光変調部とN個の前記第2光変調部とを1対1に対応させて、その各々の対において前記入力パターンと前記参照パターンとの間の相関を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光相関器(Nは2以上の整数)。
【請求項6】
N個の前記第2光変調部を並列的に備え、
前記制御部が、
前記第1変調パターンにブレイズド位相回折格子パターンをも重畳したN個のパターンを多重化した多重化パターンを前記第1光変調部に呈示させ、
前記N個のパターンに対して1対1に対応する前記第2変調パターンをN個の前記第2光変調部それぞれに呈示させ、
前記第1光変調部からの出力光のうち各ブレイズド位相回折格子パターンにより所定方向に回折された光を、N個の前記第2光変調部のうちの何れかに入射させ、
N個の前記パターンとN個の前記第2光変調部とを1対1に対応させて、その各々の対において前記入力パターンと前記参照パターンとの間の相関を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光相関器(Nは2以上の整数)。
【請求項7】
N個の前記第2光変調部を並列的に備え、
前記制御部が、
前記入力パターンのN個のフーリエ変換像を形成するためのパターンをも前記第1変調パターンに重畳して前記第1光変調部に呈示させ、
前記N個のフーリエ変換像に対して1対1に対応する前記第2変調パターンをN個の前記第2光変調部それぞれに呈示させ、
前記N個のフーリエ変換像それぞれをN個の前記第2光変調部のうちの何れかに入射させ、
前記N個のフーリエ変換像とN個の前記第2光変調部とを1対1に対応させて、その各々の対において前記入力パターンと前記参照パターンとの間の相関を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光相関器(Nは2以上の整数)。
【請求項8】
前記第1光変調部と前記第2光変調部とを並列的に有する空間光変調器を用い、
前記第1光変調部から出力される光をミラーにより反射させて前記第2光変調部に入力させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の光相関器。
【図1】
【図4】
【図6】
【図10】
【図11】
【図13】
【図15】
【図17】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図12】
【図14】
【図16】
【図18】
【図4】
【図6】
【図10】
【図11】
【図13】
【図15】
【図17】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図12】
【図14】
【図16】
【図18】
【公開番号】特開2010−108410(P2010−108410A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282278(P2008−282278)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り ホームページのアドレス http://ip2008.i−photonics.jp/ 掲載日 平成20年9月1日 公開のタイトル 「インターナショナル トピカル ミーティング オン インフォメーション フォトニクス 2008 アドヴァンス プログラム」
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り ホームページのアドレス http://ip2008.i−photonics.jp/ 掲載日 平成20年9月1日 公開のタイトル 「インターナショナル トピカル ミーティング オン インフォメーション フォトニクス 2008 アドヴァンス プログラム」
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]