説明

光磁気ディスク記録再生装置

【目的】 ディスクカートリッジの脱着時にディスクカートリッジと磁界ヘッドとの干渉を防止する。
【構成】 光磁気ディスクを収納するディスクカートリッジが挿入保持されるカートリッジホルダー33をシャーシ基板12に起伏回動可能に取付ける。磁界ヘッド14が支持されるヘッドアーム部材20を光学ピックアップ装置15を取付けた移動部材19に起伏可能に軸支して常時カートリッジホルダー33側に倒伏されるようにトーションスプリング22により付勢する。カートリッジホルダー33にはスライダー39を前後方向に摺動可能に取付けてカートリッジホルダー33が起上回動するときは前方へ摺動し、また倒伏回動するときは後方へ摺動するようにし、このスライダー39にヘッドアーム部材20の横方向の移動範囲に渡って跳上げバー41を設ける。そしてスライダー39の前方への摺動時に跳上げバー41によりヘッドアーム部材20を跳上げるようにする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁界ヘッドを有し、記録再生可能な光磁気ディスクに対して情報信号の記録・再生を行うための光磁気ディスク記録再生装置に関し、特に光磁気ディスクの脱着時に磁界ヘッドと光磁気ディスクとの干渉を防止するようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】記録再生可能な光磁気ディスクの記録再生装置は、図16に示すようにディスクカートリッジ内に収納された光磁気ディスクDあるいは光磁気ディスクDの単体を回転駆動するディスク回転駆動装置1と、このディスク回転駆動機構によって回転する光磁気ディスクDに情報信号を記録再生する光磁気記録再生機構2を備えて構成されている。
【0003】このディスク回転駆動機構1は、光磁気ディスクDをチャッキングしてこのディスクDと共に回転されるターンテーブル3と、このターンテーブル3を回転駆動するスピンドルモータ4とから構成されており、また、光磁気記録再生機構2は、ディスクテーブル3にチャッキングされる光磁気ディスクDの一方の面に対向して位置し、レーザー光を照射する光学ピックアップ装置5と、他方の面に対向して位置し、外部磁界をかける磁界ヘッド6とを有し、磁界ヘッド6はアーム部材7の先端部に支持されて、このアーム部材7を介して光学ピックアップ装置5の移動機構8に対して連結され、光学ピックアップ装置5と共に光磁気ディスクDの径方向に移動されるように構成されている。
【0004】そして、磁界ヘッド6は光磁気ディスクDに対して十分な外部磁界をかけるためにできるだけ近接して配置する必要があり、この磁界ヘッド6を光磁気ディスクDに対して所定のギャップ(一例として100μm)に維持するための一般的な方法として、磁界ヘッドのアクセス中、この磁界ヘッドの位置をサーボ制御し、常に光磁気ディスクとのギャップを一定に保持するものがある。
【0005】しかし、この方式ではアクチュエータやこれに伴う回路装置が必要でコスト高になるため、このサーボ制御方式に比べて安価な方式として図10に示す構成では磁界ヘッド6をアーム部材7に対してジンバルばね9を介して取付けて記録時に磁界ヘッド6の一部、即ち、スライダー面6aを光磁気ディスクDに接触摺動させて光磁気ディスクDの面振れに磁界ヘッド6を追従させ、その間のギャップを一定に保持するようになされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように構成される光磁気ディスク記録再生装置において、光磁気ディスクを単体で直接ターンテーブル上に載置するものは、装置の上蓋が十分大きく開放され、また、上蓋の開き角度と載置されるディスクとは何等の影響を及ぼし合わないため、磁界ヘッドをさらに移動させる必要はないが、ディスクカートリッジに収納された光磁気ディスクを用いるものにおいては、ディスクカートリッジを挿抜可能に保持するカートリッジホルダーが上蓋と連動して開くため磁界ヘッドとディスクカートリッジとが干渉し、磁界ヘッドが損傷又は破損するおそれが生じることになるので、これを避けるためカートリッジホルダーの開放動作時に磁界ヘッドを移動させて逃がす必要がある。
【0007】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、磁界ヘッドが取付けられるアーム部材をカートリッジホルダーの開き動作に連動して跳上げることにより、磁界ヘッドとディスクカートリッジとの干渉を無くし、磁界ヘッドの破損等を防止できるようにした光磁気ディスク記録再生装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明は、ディスク回転駆動機構にチャッキングされる光磁気ディスクの内外径方向へ移動可能で、この光磁気ディスクのトラックにレーザービームを照射する光学ピックアップ装置と、光学ピックアップ装置に光磁気ディスクを介して対向し、光学ピックアップ装置と同期して移動するアーム部材に弾性部材を介して取付けられ、光磁気ディスクに接触摺動しトラックに対して外部磁界を発生させる磁界ヘッドを備え、光磁気ディスクはホルダー部材の開閉動作によりディスク回転駆動機構に対して脱着されるようにして成る光磁気ディスク記録再生装置において、ホルダー部材の開き動作に連動して動作され、アーム部材を跳ね上げる跳上げ機構を設け、ホルダー部材の開閉動作と磁界ヘッドの光磁気ディスクに対する離隔・接触動作とを連動するように構成したものである。
【0009】
【作用】本発明においては、光磁気ディスクの脱着時において、磁界ヘッドを取付けたアーム部材はディスクカートリッジを挿抜保持するカートリッジホルダーの開き動作に連動して動作する跳上げ機構により、跳上げられて磁界ヘッドはディスクカートリッジ、光磁気ディスクとの干渉が防止され、磁界ヘッドの損傷、破損等が防止される。
【0010】
【実施例】以下、本発明の一実施例を説明するに、本発明を光磁気ディスクの記録再生装置に適用した実施例を挙げて説明する。
【0011】先ず、光磁気ディスク記録再生装置のメカデッキの一例を図1乃至図9を参照して説明する。
【0012】図において11はメカデッキ全体を示し、12はシャーシ基板で、このシャーシ基板12にディスク回転駆動機構13及び磁界ヘッド14と共に光磁気記録再生機構を構成する光学ピックアップ装置15が取付けられており、ディスク回転駆動機構13は前述した図に示す従来例と同様にターンテーブル16とこのターンテーブル16を回転駆動するスピンドルモータ17とから構成されている。スピンドルモータ17はシャーシ基板12の下面側に取付けられてスピンドル17aがシャーシ基板12の上面側に突出され、この先端にターンテーブル16が一体に回転するように固定されている。一方、光学ピックアップ装置15は、シャーシ基板12の下面側に横架され、ピックアップ送りモータMによって回転駆動される送りねじ18により支持されてターンテーブル16に対し接離方向に直線移動される移動部材19に取付けられている。この光学ピックアップ装置15は送りねじ18の回転によって移動部材19を介してターンテーブル16に対して接離方向、即ちターンテーブル16上の光磁気ディスクの径方向に移動される。
【0013】この光学ピックアップ装置15が取付けらさる移動部材19の後部にはシャーシ基板12の上面側に立上る軸受部19aが立設されてこの軸受部19aに先端部に磁界ヘッド14が取付けられたヘッドアーム部材20が軸21により起伏可能に軸支されてこの軸支部に巻装されるトーションスプリング22により常時倒伏方向、即ち、ターンテーブル16上にチャッキングされる光磁気ディスク方向に弾性偏倚されて磁界ヘッド14が光学ピックアップ装置15の対物レンズ15aに対向した状態でディスクに摺接されるようになされている。
【0014】このため磁界ヘッド14はヘッドアーム部材20にジンバルばね23を介して取付けられており、このジンバルばね23は磁界ヘッド14を支持する支持プレート部23aと、この支持プレート部23aの両側縁から切起し状に後方へ延長されるアーム片部23b,23cから形成されてこのアーム片部23b,23cの端末部においてヘッドアーム部材20の内面側に固定され、このアーム片部23b,23cの弾性撓みにより、磁界ヘッド14はヘッドアーム部材20に対して上下方向に揺動可能に支持される。
【0015】そして、ヘッドアーム部材20には磁界ヘッド14上下方向の揺動範囲を必要最小限に規制するためにヘッド規制部材24が取付けられている。
【0016】このヘッド規制部材24の一例としては板金をコ字状に折曲して形成し、このヘッド規制部材24はヘッドアーム部材20に、下面部24aが磁界ヘッド14を支持するジンバルばね23の支持プレート部23aの端縁部下面との間に所要の間隔aを置いて対向するように上面部24bにおいてねじにより取付けられており、このヘッド規制部材24の下面部24aにジンバルばね23の支持プレート部23aの端縁部下面が当接することにより、ジンバルばね23の下方への撓みが阻止されて磁界ヘッド14の下方向の揺動が規制される。
【0017】このヘッド規制部材24により規制される磁界ヘッド14の揺動範囲はディスクの面振れ、ディスクとヘッドアーム部材20とのクリアランス公差を見積もってディスク圧接位置から約±0.8mm必要となる。
【0018】なお、ヘッド規制部材24はヘッドアーム部材20を樹脂成形する場合は同時に一体に成形することができ、また、ヘッドアーム部材20を板金により形成する場合は切起し等により一体に形成できるものである。
【0019】また、このヘッド規制部材24の後側にはヘッドアーム部材20の支持片24cが設けられている。
【0020】このように、ヘッドアーム部材20に取付けられた磁界ヘッド14はターンテーブル16上の光磁気ディスクに接触した状態でヘッドアーム部材20と移動部材19を介して光学ピックアップ装置15と一体にディスクの径方向に移動される。
【0021】このように磁界ヘッド14が取付けられるヘッドアーム部材20は、軸支部から下方へヘッドアーム規制部25が一体的に延長形成されており、このヘッドアーム規制部25には後面側の上半部に凸段面部25aが形成され、下半部に凹段面部25bが形成されている。
【0022】そして、シャーシ基板12の後部にはヘッドアーム制御機構26が備えられている。このヘッドアーム制御機構26はシャーシ基板12の後部側面に軸ピン27により上下方向に回転可能に軸支され自由端部28aがシャーシ基板12の後端縁より後方に突出されるヘッドアーム制御板28と、このヘッドアーム制御板28の自由端部28aにヘッドアーム部材20の移動方向と平行に位置するように連結され、前述したヘッドアーム規制部25の凸段面部25aに当接するヘッドアーム制御軸29と、ヘッドアーム制御板28の中間部からシャーシ基板12の上面側に延設され先端部上面に後述するディスクカートリッジ111又は211の録再・再生専用の判別溝112a又は212aを検出する検出ピン30aを突設したカートリッジ検出板30とから構成されている。このヘッドアーム制御板28がシャーシ基板12のばね掛片31との間に懸架される引張りばね32により常時上方へ回転偏倚されてヘッドアーム制御軸29をヘッドアーム規制部25の凸段面部25aに対応させてヘッドアーム部材20をトーションスプリング22の付勢力に抗して跳ね上げ保持するようにしてある。
【0023】このように構成されるシャーシ基板12とヘッドアーム部材20との間にカートリッジホルダー33が起伏可能に設けられている。このカートリッジホルダー33は、光磁気ディスクを収納したディスクカートリッジを挿入保持するもので、シャーシ基板12に対して光学ピックアップ装置15及びターンテーブル16上を覆うようにして水平倒伏状態で停止するディスク装填位置とターンテーブル16側から離れるように起上して停止しディスクカートリッジの挿抜を可能とするカートリッジ挿抜位置に亘って回動するものである。
【0024】このカートリッジホルダー33はディスクカートリッジが挿入保持されるに十分な大きさの略平板状に形成されており、主面部34の両側縁を下方へ断面L字状に折曲してカートリッジ支持部35,36が形成されている。この両支持部35,36間にディスクカートリッジが挿抜可能な収容部33aが形成されており、主面部34には磁界ヘッド14の移動方向に対応して窓34aが形成され、両支持部35,36の下面側前端には傾斜ガイド面35a,36aが形成されてディスクカートリッジの挿入を案内するように構成されている。
【0025】また、このカートリッジホルダー33の主面部34の窓34aに隣接する一方のカートリッジ支持部35の外側面には、前後部に前後方向の長孔39a,39bが穿設されたスライダー39が、長孔39a,39bを通して支持部35に植設されるガイドピン40a,40bにより前後方向に摺動可能に取付けられており、このスライダー39に窓34aの上面側に横幅方向に渡る跳上げバー41が一体的に設けられている。
【0026】そして、このカートリッジホルダー33は、後端部両側において、シャーシ基板12の後部両側に切起し状に立設された軸受片42a,42bに軸43a,43bにより軸支され、また、シャーシ基板12の前部とスライダー39の前端部との間に連結片44を軸ピン45aと45bにより連結してあり、軸支部に備えたトーションスプリング(図示せず)により常時起上方向に回動偏倚されている。
【0027】このようにシャーシ基板12とヘッドアーム部材20との間に設置されるカートリッジホルダー33には、主面部34の前後部にシャーシ基板12側のカートリッジ位置決めピンに対応して夫々一対ずつカートリッジ押えばね51a,51b及び52a,52bが取付けられている。この押えばね51a,51b及び52a,52bは板ばね状で主面部34の上面側に、夫々一端部において片持ち状に固定され、自由端部側に下方へ膨曲する当接部51a1 ,51b1 及び52a1 ,52b1 が形成されて主面部34の下面(内面)側に突出されており、カートリッジ支持部35,36間に挿入されるディスクカートリッジをその上面側に当接して弾性的に押圧して押えるようになされている。
【0028】また、このカートリッジホルダー33にディスクカートリッジ111又は211のロック機構53が備えられている。このロック機構53はカートリッジロックレバー54とカートリッジロック解除アーム55とから構成され、カートリッジロックレバー54はカートリッジホルダー33の主面部34に回転自在に軸着されており、一方のカートリッジ支持部35内に突出し、ディスクカートリッジの周側及び下方に開口する係止凹部内に係脱する係止片54aと、カートリッジロック解除アーム55に対する係合突子54bを有し、トーションスプリング56により、係止片54aが常時カートリッジホルダー33内のディスクカートリッジを係止する方向に回転付勢されている。
【0029】一方、カートリッジ解除アーム55はカートリッジホルダー33の一方のカートリッジ支持部35の外側面に対応して前述したスライダー39に後方へ延長して内外方向に弾性揺動可能に一体的に形成されており、このアーム55の後端部にカートリッジロックレバー54の係合突子54bに係合するフック部55aとこれに連続する傾斜ガイド面55bが形成されている。
【0030】このカートリッジ解除アーム55はスライダー39が後方へ摺動位置している状態ではフック部55aがカートリッジロックレバー54の係合突子54bを傾斜ガイド面55bとアーム55自体の弾性により乗越えてその後方に位置し、スライダー39が前方へ摺動されることにより、フック部55aが係合突子54bに係合してカートリッジロックレバー54を、そのトーションスプリング56による付勢力に抗して回転させて係止片54aをカートリッジ支持部35から外方へ移動させ、即ち、ディスクカートリッジの凹部から外部に離脱されてディスクカートリッジのロックが解除される。
【0031】このように、ロック解除されたディスクカートリッジをカートリッジホルダー33から押出すために、カートリッジホルダー33の後端部には押出しアーム57が前後方向に回動可能に装着されて常時トーションスプリング57sにより回動付勢されており、カートリッジホルダー33はロックが解除されると直ちに押出しアーム56の弾性回動により押圧されてその前部がカートリッジホルダー33から突出される。
【0032】さらに、カートリッジホルダー33には倒伏状態、即ち、カートリッジホルダー33に挿入保持されたディスクカートリッジ内のディスクがターンテーブル16上にチャッキングされた状態でカートリッジホルダー33をロックするホルダーロックレバー58が取付けられている。このホルダーロックレバー58はカートリッジホルダー33の主面部34の前部に、他方のカートリッジ支持部36に向けて起伏可能に軸ピン59により軸着され、この先端部に他方のカートリッジ支持部36の外面側に折曲する折曲面58aを形成してこの外面側に係止突子60を突設し、またこのホルダーロックレバー58の下面側には主面部34の上面に当接する跳上げばね61が取付けられて常時起上方向に回動付勢されており、この起上方向の回動は軸着部から延長して突設されたL字状規制片58bが主面部34の上面に当接することにより所要起上角度で規制される。
【0033】このように構成されるホルダーロックレバー58を介してカートリッジホルダー33は倒伏状態でシャーシ基板11側に設置されるイジェクト機構62によりロック保持される。即ち、ホルダーロックレバー58を跳上げばね61の付勢力に抗して押圧してカートリッジホルダー33を最下位まで倒伏させることによりホルダーロックレバー58の係止突子60がイジェクト機構62に設けられたフック部材63に係止されてカートリッジホルダー33は倒伏状態でロック保持される。
【0034】この状態でイジェクト機構62を操作してフック部材63による係止を解除するとカートリッジホルダー33は起上回動される。この際ホルダーロックレバー58に跳上げばね61の付勢力が作用しているため、イジェクト機構62のロック解除操作によりフック部材63に対する係止突子60の係止が半自動的に解除され、カートリッジホルダー33の起上回動が確実に行われる。
【0035】以上の構成においてシャーシ基板11には上面側に、ディスクカートリッジを水平方向及び高さ方向に位置決めするための位置決め案内ピン64及び高さ位置決めピン65が植設されており、また両側脚部にゴム等の弾性体によって形成される緩衝体66が取付けられ、この緩衝体66は必要に応じてコイルばね67を内装することにより所定の弾性力を得るように構成されている。
【0036】この緩衝体66によりシャーシ基板11に外部から加わる振動等を緩和させて光学ピックアップ装置15の送り操作及び光磁気ディスクの回転に対する悪影響を阻止するようにしてある。
【0037】なお、カートリッジホルダー33の一方のカートリッジ支持部35側にはシャッターばね70が取付けられており、カートリッジホルダー33の収容部33aに挿入されたディスクカートリッジを他方のカートリッジ支持部36側に付勢し、この他方のカートリッジ支持部36の内側面に押し付けることによりディスクカートリッジの幅方向の位置決めを行うようにしてある。
【0038】ここで、光磁気ディスク記録再生装置に用いるディスクカートリッジの一例を図10乃至図12を参照して説明する。
【0039】図10及び図11において111は光磁気記録再生用のディスクカートリッジの全体を示し、上ハーフ113と下ハーフ114とを合体して形成されたカートリッジ本体112と、このカートリッジ本体112内に回転自在に収納された光磁気ディスク115とによって構成されている。
【0040】このディスクカートリッジ111は記録再生用であるためカートリッジ本体112の上下両ハーフ113及び114には対向して、光磁気ディスク115の一部が表出され、磁界ヘッド14及び光学ピックアップ装置15に対応される開口窓113a,114aが形成され、下ハーフ114の略中央部には光磁気ディスク115を回転駆動するディスク回転駆動機構13のターンテーブル16が挿入される円形開口部114bが形成されており、また、このカートリッジ本体112には開口窓113a及び114aを開閉する上下の覆板部116a及び116bを有する断面略コ字状の金属薄板からなるシャーシ116が摺動自在に取付けられている。
【0041】そして、このカートリッジ本体112の周縁部には下面側から周面側にかけて各種の検出部及び係止部が形成されており、112aはカートリッジ検出板30の検出ピン30aが挿入されカートリッジの種別を検出する検出溝で、このディスクカートリッジ111は記録再生用であるため浅く形成してあり、また112bはロック機構53の係止片54aが係合される係止凹部である。また、カートリッジ本体112の下面にはシャーシ基板12の案内ピン64が係合される位置決め孔112c,112dが形成されている。
【0042】また、図12において211は再生専用のディスクカートリッジの全体を示し、このディスクカートリッジ211も、カートリッジ本体212は上ハーフ213と下ハーフ214とを合体して形成され、このカートリッジ本体212内に光ディスク215が回転自在に収納されている。
【0043】このディスクカートリッジ211は再生専用であるため、カートリッジ本体211の上ハーフ213には磁界ヘッド14に対応される開口窓は形成されておらず、下ハーフ214のみに光学ピックアップ装置15に対応する開口窓214aが形成され、この下ハーフ214の略中央部にターンテーブル16が挿入される円形開口部214bが形成されており、また、このカートリッジ本体211には、開口窓214aを開口する覆板部216aを有するシャッター216が摺動自在に取付けられている。
【0044】そして、このカートリッジ本体212の周縁部にも各種の検出部及び係止部が形成されているが、カートリッジの種別を検出する検出溝212aは、このディスクカートリッジ211が再生専用であるため深く形成してあり、その他の係止凹部212b、位置決め孔212c,212dは前述した図11及び図12に示すディスクカートリッジ111と同様に形成されている。
【0045】次に、以上のように構成される光磁気ディスク記録再生装置のメカデッキ11に対するディスクカートリッジ111及び211の着脱動作について説明する。
【0046】先ず、光磁気記録再生用のディスクカートリッジ111の着脱動作について説明する。
【0047】メカデッキ11はディスクカートリッジを装填する前の状態では、カートリッジホルダー33はシャーシ基板12に対して軸43a,43bを中心に起上回転して傾斜状に位置し、これに伴いスライダー39は連結リンク片44の起上によりカートリッジホルダー33の前部側に摺動位置されてこのスライダー39に設けられた跳上げバー41がヘッドアーム部材20を、支持片24cを介して跳上げ支持して磁界ヘッド14はカートリッジホルダー33の上方に扛上された状態にある。
【0048】この状態でディスクカートリッジ111をカートリッジホルダー33のカートリッジ支持部35,36間に、開口窓113a,114a側が一方のカートリッジ支持部35側に対応するように挿入し、押出しアーム57の付勢力に抗して更に挿入することにより、シャッター116がホルダー側に係止されてカートリッジ本体112のみが移動されて開口窓113a及び114aが開放されると共に係止凹部112bにロック機構53の係止片54aが係合されて、ディスクカートリッジ111はカートリッジホルダー33に対してロック保持される。なお、この状態でディスクカートリッジ111はシャッターばね70により他方のカートリッジ支持部36の内側面に押付けられてカートリッジ幅方向の先行位置決めされている。
【0049】そして、この状態でカートリッジホルダー33をホルダーロックレバー58を介して押下げ、このロックレバー58をイジェクト機構62のフック部材63に係止突子60を介して係合することによりカートリッジホルダー33は下降位置で保持される。
【0050】これにより、ディスクカートリッジ111はシャーシ基板12上に水平方向位置決め案内ピン64及び高さ方向位置決めピン65により所定の状態で位置決めされると共に、下ハーフ114の円形開口部114bからディスク回転駆動機構13のターンテーブル16が挿入されて光磁気ディスク115がチャッキングされる。
【0051】そして、この状態でディスクカートリッジ111の検出溝112aがカートリッジ検出板30の検出ピン30aに対応されるが、この検出溝112aは浅いため、検出ピン30aが押下げられることになり、このためヘッドアーム制御機構26のヘッドアーム制御板28がカートリッジ検出板30を介して下方へ回転され、これによりヘッドアーム制御軸29がヘッドアーム規制部25の凹段面部25bに対応されてヘッドアーム部材20はトーションスプリング22により下方へ回転可能となる。
【0052】また、この状態ではカートリッジホルダー33が下降されていることによりスライダー39は連結リンク片44を介して後方へ摺動位置され、これに伴い跳上げバー41がヘッドアーム部材20の支持片24cから離れて後退しており、このためヘッドアーム部材20は下方へ回転されて、先端部のジンバルばね23により支持された磁界ヘッド14はカートリッジ本体112の上ハーフ113の開口窓113aに挿入されて光磁気ディスク115の上面側に摺接される。
【0053】一方、光学ピックアップ装置15はカートリッジ本体112の下ハーフ114の開口窓114aを通して光磁気ディスク115の下面側に対応させて、ディスク回転駆動機構13の駆動、即ちターンテーブル16の回転駆動により、光磁気ディスク115の記録・再生が行われる。
【0054】以上のようにして光磁気ディスク115の記録・再生を行った後、ディスクカートリッジ111を取出すには、イジェクト機構62を操作してそのフック部材63をホルダーロックレバー58の係止突子60から離すことにより、ホルダーロックレバー58は跳上げばね61により跳上げられると共にカートリッジホルダー33がトーションスプリングの付勢力により起上回動され、これに伴いスライダー39は連結リンク片44の起上回転により前方へ摺動される。
【0055】このスライダー39の前方への摺動により跳上げバー41がヘッドアーム部材20を、支持片24cを介して跳上げて磁界ヘッド14をディスクカートリッジ111と干渉しない位置まで扛上させると共にスライダー39に設けられたカートリッジ解除アーム55が前方へ移動することにより、この端部のフック部55aがカートリッジロックレバー54の係合突子54bに係合してこれを引張り、このためロックレバー54はトーションスプリング56の付勢力に抗して回転されて係止片54aがディスクカートリッジ111の係止凹部112bから離脱され(図9参照)、これにより、ディスクカートリッジ111はカートリッジホルダー33に対するロックが解除されて押出しアーム57によりカートリッジホルダー33から押出されて取出される。
【0056】次に、再生専用のディスクカートリッジ211の着脱動作について説明するも、ほとんど前述したディスクカートリッジ111の着脱動作と同じであるため異なる動作についてのみ説明する。
【0057】このディスクカートリッジ211をカートリッジホルダー33を挿入してカートリッジホルダー33を下降位置で保持させると、この状態でディスクカートリッジ211の検出溝212aがカートリッジ検出板30の検出ピン30aに対応されるが、この検出溝212aは深いため、前述の場合と異なり、検出ピン30aは押下げられることなく、従ってヘッドアーム制御機構26のヘッドアーム制御板28は回転されず、ヘッドアーム制御軸29はヘッドアーム規制部25の凸段面部25aに対応されたままで、これにより、ヘッドアーム部材20は回転が阻止される。
【0058】このため、カートリッジホルダー33の下降によりスライダー39が後方へ摺動され跳上げバー41がヘッドアーム部材20の支持片24cから離れてもヘッドアーム部材20は跳上げ状態で保持され、磁界ヘッド14はディスクカートリッジ211から離隔されたままとなり、このディスクカートリッジ211に当接することはない。
【0059】一方、光学ピックアップ装置15はカートリッジ本体212の下ハーフ214の開口窓214aを通して光ディスク215の下面側に対応させてターンテーブル16の回転駆動により、光ディスク215の再生が行われる。
【0060】以上の動作において、ディスクカートリッジ111,211はシャーシ基板12の位置決めピン64,65に係合された状態でカートリッジホルダー33に取付けられたカートリッジ押えばね51a,51b及び52a,52bの弾力により位置決めピン64,65側へ押え付けられることになって、振動等によるカートリッジ本体112の移動に伴うディスク115,215との接触が防止されると共に耐振性が向上されることになる。
【0061】また、磁界ヘッド14を支持するジンバルばね23はヘッドアーム部材20に取付けたヘッド規制部材24によりその揺動範囲が規制されて磁界ヘッド14と他部品との干渉が防止されると共にジンバルばね23自体の変形等も防止され、特に磁界ヘッド14の不使用時のヘッドアーム部材20が跳上げられている状態で磁界ヘッド14及びジンバルばね23に不測の事態の発生が防止される。
【0062】次に、図13乃至図15を参照して本発明の他実施例を説明するに、前述した実施例と同種の部材には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0063】本例においては、シャーシ基板12に対して起伏回動可能に支持されるカートリッジホルダー33の主面部34と、カートリッジホルダー33に前後方向に摺動可能に取付けられ、シャーシ基板12に連結リンク片44を介してリンク結合されるスライダー39とに跨がってヘッドアーム部材20の跳上げ機構71が配設されている。この跳ね上げ機構71は、カートリッジホルダー33の主面部34に、その窓34aの前縁部に位置して回転可能に軸支される跳上げアーム部材72と、スライダー39に一体的に設けられ、跳上げアーム部材72に当接される操作カム部73とにより構成される。
【0064】跳上げアーム部材72は、カートリッジホルダー33の窓34aの横幅方向に渡る長さを有し、カートリッジホルダー33のスライダー39が取付けられる一側部に対応する外端部側において軸ピン74により軸支され、その外端部は周面カム部72aとして形成されており、また軸支部から他端(内端)にかけて後縁側へ低く傾斜する案内面72bが形成され、この傾斜案内面72bの上端に連続する前縁側に載置縁面72cが形成されている。
【0065】そして、この跳上げアーム部材72は引張りコイルスプリング75により軸ピン74による軸支部を支点として常時前方、即ち窓34aから離れる方向に回転付勢されて所定位置において主面部34に突設された係止ピン76により係止されるようになっている。
【0066】一方、スライダー39に設けられる操作カム部73は、主面部34の上面側に延出するように設けられて、その内側面、即ちカム面73aが後方へ拡がるように凸曲面状の傾斜面として形成されている。
【0067】このように構成される跳上げ機構71に対して磁界ヘッド14をジンバルばね23を介して支持するヘッドアーム部材20の前端部には押上げ片20aが前方へ延長突設されて、その押上げ片20aの先端部は下面側に傾斜する摺接面20bとして形成されている。
【0068】なお、図13乃至図15は本例の要部を略線的に図示したもので、カートリッジホルダー33にはカートリッジ押えばね、カートリッジロック機構、ホルダーロックレバー等を取付け、また、スライダー39にカートリッジ解除アームを備え、またヘッドアーム部材20にはヘッドアーム制御機構を備える等、前述した実施例と同様に構成できるものである。
【0069】このように構成される本例装置の動作について説明する。図13及び図14の実線で示す、ディスクカートリッジの挿抜時におけるカートリッジホルダー33が起上される状態では、前述の実施例の場合と同様にスライダー39は連結リンク片44の起上回動により前方へ摺動され、これにより操作カム部73のカム面73aが跳上げアーム部材72の周面カム部72aに摺接して押圧し、このアーム部材72を軸ピン74による軸支部を支点として引張りコイルスプリング75の付勢力に抗して後方へ回転させる。これにより跳上げアーム部材72は傾斜案内面72bがヘッドアーム部材20の押上げ片20aの摺接面20bに摺接して押上げ片20aの下側に入り込み載置縁面72c上に押上げ片20aを載置する状態になり、ヘッドアーム部材20は押上げられる。即ち、ヘッドアーム部材20は移動部材19に対する軸支部を支点として倒伏方向の付勢力に抗して跳上げ回動されて、カートリッジホルダー33の主面部34から上方へ離れ、これに伴って磁界ヘッド14がカートリッジホルダー33内から外出される。
【0070】この状態でカートリッジホルダー33に対してディスクカートリッジを挿抜するので、磁界ヘッド14はディスクカートリッジに接触されず、損傷、破損等が防止される。
【0071】このようにしてディスクカートリッジを挿入保持した状態でカートリッジホルダー33を押下げると図14の二点鎖線及び図15に示すようにスライダー39が連結リンク片44の倒伏回動により後方へ摺動され、操作カム部73は跳上げアーム部材72の周面カム部72aから離れる。
【0072】この動作により、跳上げアーム部材72は引張りコイルスプリング75の付勢力により前方へ回転されてヘッドアーム部材20の押上げ片20aから離れる。これによりヘッドアーム部材20は押上げが解除されて倒伏方向の付勢力により倒伏回転され、磁界ヘッド14がカートリッジホルダー33内に入りディスクカートリッジの開口窓を通して光磁気ディスクに光学ピックアップ装置15と相対して摺接されて光磁気ディスクの記録・再生が行われる。
【0073】このように本例においては、ヘッドアーム部材20の跳上げ動作は、カートリッジホルダー33の起上回動に連動するスライダー39の摺動により回転される跳上げ部材72により行われて磁界ヘッド14がカートリッジホルダー33から確実に離れることになり損傷、破損等が防止され、また、ヘッドアーム部材20が倒伏され磁界ヘッド14が光磁気ディスクに摺接される状態においては跳上げ部材72はヘッドアーム部材20から完全に離れる状態になるため、ヘッドアーム部材20は何等の影響を受けることなく全く自由な状態で磁界ヘッド14を光磁気ディスクに確実に摺接されるように動作されることになる。
【0074】以上の構成において、跳上げ機構71の各部材、即ち、跳上げアーム部材72、操作カム部73及びヘッドアーム部材20の押上げ片20a等の形状は図示のものに限ることなく、前述した動作と同様に動作するものであればよい。
【0075】
【発明の効果】以上のように本発明によればディスクカートリッジを挿入保持するホルダー部材の開き動作に連動し、磁界ヘッドを支持するアーム部材を跳上げる跳上げ機構を設けたことにより、アーム部材は開き動作されるホルダー部材の開き位置より更に跳上げられることになって、ディスクカートリッジ脱着時のディスクカートリッジと磁界ヘッドとの干渉を無くし、磁界ヘッドの損傷、破損等を防止することかできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の一実施例の一部省略した斜視図。
【図2】同、一部分の後方側斜視図。
【図3】同、側面図。
【図4】同、ディスクカートリッジを装填した状態の一部截断した側面図。
【図5】同、他のディスクカートリッジを装填した状態の一部截断した側面図。
【図6】同、ディスクカートリッジを装填した状態の横断面図。
【図7】同、ディスクホルダーの一部省略した平面図。
【図8】ディスクカートリッジのロック状態を示す説明図。
【図9】ディスクカートリッジのロック解除状態を示す説明図。
【図10】本発明装置に適用する一例のディスクカートリッジの斜視図。Aはシャッターを閉じた状態を示す。Bはシャッターを開いた状態を示す。
【図11】同、ディスクカートリッジの裏面側の斜視図。
【図12】他例のディスクカートリッジの斜視図。Aは表面側を示す。Bは裏面側を示す。
【図13】本発明装置の他実施例の略線的側面図。
【図14】同、一部省略した略線的平面図。
【図15】同、ディスクカートリッジを装填した状態の略線的側面図。
【図16】従来例の略線的説明図。
【符号の説明】
12 シャーシ基板
13 ディスク回転駆動機構
14 磁界ヘッド
15 光学ピックアップ装置
16 ターンテーブル
20 ヘッドアーム部材
20a 押上げ片
20b 摺接面
33 カートリッジホルダー
39 スライダー
41 跳上げバー
71 跳上げ機構
72 跳上げアーム部材
72a 周面カム部
72b 案内面
73 操作カム部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ディスク回転駆動機構にチャッキングされる光磁気ディスクの内外径方向へ移動可能で、この光磁気ディスクのトラックにレーザービームを照射する光学ピックアップ装置と、上記光学ピックアップ装置に上記光磁気ディスクを介して対向し、上記光学ピックアップ装置と同期して移動するアーム部材に弾性部材を介して取付けられ、上記光磁気ディスクに接触摺動し、上記トラックに対して外部磁界を発生させる磁界ヘッドを備え、上記光磁気ディスクはホルダー部材の開閉動作によりディスク回転駆動機構に対して脱着されるようにして成る光磁気ディスク記録再生装置において、上記ホルダー部材の開き動作に連動して動作され、上記アーム部材を跳ね上げる跳上げ機構を設け、上記ホルダー部材の開閉動作と上記磁界ヘッドの上記光磁気ディスクに対する離隔・接触動作とを連動するようにしたことを特徴とする光磁気ディスク記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図16】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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