説明

光脱炭酸反応による大環状ラクトンの合成方法

【課題】より容易かつ安価で、自由に炭素鎖の長さを調整できる、大環状ラクトンの合成方法を提供すること。
【解決手段】下式(I):


(式中、nは1〜20の整数を示す。)
で表される置換されていてもよいカルボン酸を、多環式炭素環誘導体およびシアノベンゼン誘導体の存在下、光脱炭酸反応に供する工程を包含する、下式(II):


(式中、nは上記で定義した通りである。)
で表される置換されていてもよい大環状ラクトンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料として有用であり、また、抗菌・抗腫瘍作用などの様々な生理活性を有する大環状ラクトンの合成に関する。
【背景技術】
【0002】
大環状ラクトンとは、12員環以上の環状ラクトン(マクロライド)の総称である。例えば、麝香臭を有する香料として著名なエキサルトリドは、16員環の大環状ラクトンである。また、抗菌作用や抗腫瘍作用などの強い生理活性を示すものが多く、抗生物質エリスロマイシン、クラリスロマイシン、抗真菌剤アムホテリシン、免疫抑制剤タクロリムスなどが医薬として実用に供されている。
【0003】
【化1】

【0004】
大環状ラクトンの合成方法としては、例えば、山口ラクトン化反応(非特許文献1)に代表されるヒドロキシカルボン酸またはそのエステルの分子内エステル化反応(特許文献1〜3)、末端不飽和カルボン酸と末端不飽和アルコールのエステル化合物のオレフィンメタセシス反応による閉環(特許文献4)などが挙げられる。
【0005】
【化2】

【0006】
しかしながら、分子内エステル化反応や山口ラクトン化反応では、目的の大環状ラクトンを合成するまでに、同じ炭素鎖のヒドロキシカルボン酸を合成しなければならず、また、オレフィンメタセシス反応では、特殊なエステル化合物を合成する必要があり、さらに高価な試薬を用いなければならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−138022号公報
【特許文献2】特開2001−199976号公報
【特許文献3】特開2007−63247号公報
【特許文献4】特開2000−53675号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Bull. Chem. Soc. Jpn., 1979, 52, 1989.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そのため、より容易かつ安価で、自由に炭素鎖の長さを調整できる、大環状ラクトンの合成方法が非常に強く望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、下式(I)で表される、末端にアクリロ酸エステル基を有するカルボン酸を、多環式炭素環誘導体およびシアノベンゼン誘導体の存在下、光脱炭酸反応に供することにより、分子内で効率よく閉環反応が進行して、大環状ラクトンを与えることを見出し、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、
(1)下式(I):
【0011】
【化3】

【0012】
(式中、nは1〜20の整数を示す。)
で表される置換されていてもよいカルボン酸を、多環式炭素環誘導体およびシアノベンゼン誘導体の存在下、光脱炭酸反応に供する工程を包含する、下式(II):
【0013】
【化4】

【0014】
(式中、nは上記で定義した通りである。)
で表される置換されていてもよい大環状ラクトンの製造方法;
(2)多環式炭素環誘導体が、それぞれ置換されていてもよい、ビフェニル、ナフタレン、フェナントレン、トリフェニレンまたはクリセンである、(1)に記載の製造方法;
(3)多環式炭素環誘導体が、フェナントレンである、(2)に記載の製造方法;
(4)シアノベンゼン誘導体が、それぞれ置換されていてもよい、ジシアノベンゼンまたはシアノ安息香酸エステルである、(1)に記載の製造方法;
(5)シアノベンゼン誘導体が、1,4−ジシアノベンゼンである、(4)に記載の製造方法;
(6)nが3〜14の整数を示す、(1)に記載の製造方法;
等に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の製造方法によれば、天然に広く存在し、抗菌・抗腫瘍作用などの様々な生理活性を有する大環状ラクトンを容易に合成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の上記式(II)で表される大環状ラクトンの製造方法は、上記式(I)で表されるカルボン酸を、多環式炭素環誘導体およびシアノベンゼン誘導体の存在下、光脱炭酸反応に供する工程を包含する。
【0017】
上記式(I)で表されるカルボン酸および上記式(II)で表される大環状ラクトンは、置換されていてもよい。置換基としては、例えば、水酸基、アミノ基、C1−6アルキル基(例、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基など)、C1−6アルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基、ヘキソキシ基、イソヘキソキシ基など)、C6−14アリール基(例、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基など)、C6−14アリールオキシ基(例、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基など)、C1−6アルキルカルボニルオキシ基(例、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、イソブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、イソペンチルカルボニルオキシ基、ネオペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基、イソヘキシルカルボニルオキシ基など)、C6−14アリールカルボニルオキシ基(例、フェニルカルボニルオキシ基、1−ナフチルカルボニルオキシ基、2−ナフチルカルボニルオキシ基など)、C1−6アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペントキシカルボニル基、イソペントキシカルボニル基、ネオペントキシカルボニル基、ヘキソキシカルボニル基、イソヘキソキシカルボニル基など)、C6−14アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基など)、C1−6アルキルチオ基(例、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、イソヘキシルチオ基など)、C6−14アリールチオ基(例、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基など)、C1−6アルキルカルボニルチオ基(例、メチルカルボニルチオ基、エチルカルボニルチオ基、プロピルカルボニルチオ基、イソプロピルカルボニルチオ基、ブチルカルボニルチオ基、イソブチルカルボニルチオ基、sec−ブチルカルボニルチオ基、tert−ブチルカルボニルチオ基、ペンチルカルボニルチオ基、イソペンチルカルボニルチオ基、ネオペンチルカルボニルチオ基、ヘキシルカルボニルチオ基、イソヘキシルカルボニルチオ基など)、C6−14アリールカルボニルチオ基(例、フェニルカルボニルチオ基、1−ナフチルカルボニルチオ基、2−ナフチルカルボニルチオ基など)、C1−6アルキルチオカルボニル基(例、メチルチオカルボニル基、エチルチオカルボニル基、プロピルチオカルボニル基、イソプロピルチオカルボニル基、ブチルチオカルボニル基、イソブチルチオカルボニル基、sec−ブチルチオカルボニル基、tert−ブチルチオカルボニル基、ペンチルチオカルボニル基、イソペンチルチオカルボニル基、ネオペンチルチオカルボニル基、ヘキシルチオカルボニル基、イソヘキシルチオカルボニル基など)、C6−14アリールチオカルボニル基(例、フェニルチオカルボニル基、1−ナフチルチオカルボニル基、2−ナフチルチオカルボニル基など)、アミド基、チオアミド基、アリル基などが挙げられる。このような置換基は、置換可能な位置に置換可能な数存在していてよい。但し、上記式(I)で表されるカルボン酸において、カルボキシル基は置換されていない。置換基が複数存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
【0018】
好適な実施態様では、上記式(I)で表されるカルボン酸および上記式(II)で表される大環状ラクトンは、1〜10個、好ましくは1〜3個の置換基で置換されていてもよく、無置換であるのがより好ましい。
【0019】
上記式(I)および(II)において、nは、1〜20の整数を示す。好適な実施態様では、nは2〜16の整数を示し、より好ましくは、生成物の精製の観点から、nは3〜14の整数を示す。
【0020】
本明細書において「多環式炭素環誘導体」とは、2〜4個の炭素環が結合または縮合した環系をいう。好適な実施態様では、多環式炭素環誘導体は、それぞれ置換されていてもよい、ビフェニル、ナフタレン、フェナントレン、トリフェニレンまたはクリセンである。置換基としては、例えば、水酸基、アミノ基、C1−6アルキル基(例、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基など)、C1−6アルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基、ヘキソキシ基、イソヘキソキシ基など)などが挙げられる。このような置換基は、置換可能な位置に置換可能な数存在していてよい。また、置換基が複数存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
【0021】
多環式炭素環誘導体は、より好ましくは、ビフェニル、ナフタレン、1,4−ジメチルナフタレン、フェナントレン、トリフェニレンまたはクリセンであり、最も好ましくは、フェナントレンである。
【0022】
本明細書において「シアノベンゼン誘導体」とは、シアノ基を有するベンゼンの誘導体をいう。好適な実施態様では、シアノベンゼン誘導体は、それぞれ置換されていてもよい、ジシアノベンゼンまたはシアノ安息香酸エステルである。ジシアノベンゼンとしては、例えば、1,2−ジシアノベンゼン、1,3−ジシアノベンゼン、1,4−ジシアノベンゼンなどが挙げられる。シアノ安息香酸エステルとしては、例えば、4−シアノ安息香酸メチル、4−シアノ安息香酸エチルなどが挙げられる。置換基としては、例えば、水酸基、アミノ基、C1−6アルキル基(例、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基など)、C1−6アルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基、ヘキソキシ基、イソヘキソキシ基など)などが挙げられる。このような置換基は、置換可能な位置に置換可能な数存在していてよい。また、置換基が複数存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
【0023】
シアノベンゼン誘導体は、より好ましくは、1,2−ジシアノベンゼン、1,3−ジシアノベンゼン、1,4−ジシアノベンゼン、4−シアノ安息香酸メチルまたは4−シアノ安息香酸エチルであり、最も好ましくは、1,4−ジシアノベンゼンである。
【0024】
次に、本発明の製造方法における光脱炭酸反応について説明する。
光脱炭酸反応は、以下の反応機構により進行すると考えられる(但し、以下の反応機構は、多環式炭素環誘導体としてフェナントレン、シアノベンゼン誘導体として1,4−ジシアノベンゼンを用いた場合を示している;Y. Yoshimi, T. Itou, and M. Hatanaka, Chem. Commun., 2007, 5244およびY. Yoshimi, et al., Org. Lett., 2009, 11, 4652を参照)。
【0025】
【化5】

【0026】
まず、光反応で生成するフェナントレンのカチオンラジカルが、カルボキシアニオンと電子移動してカルボキシラジカルが生成し、このカルボキシラジカルが脱炭酸してラジカル[R・]が生成する。次いで、このラジカル[R・]が分子内で末端のアクリロ酸エステル基と反応して閉環し、大環状ラクトンが生成する。
【0027】
光脱炭酸反応は、通常溶媒中で行われる。このような溶媒としては、光脱炭酸反応に悪影響を及ぼさない限り特に限定されるものではなく、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒、水、これらの2種以上の混合溶媒などが挙げられる。生成物の収率の観点から、アセトニトリルと水との混合溶媒が好ましく、その混合比は、通常、アセトニトリル:水(体積比)=10:0〜6:4であり、好ましくは9:1〜7:3である。
【0028】
多環式炭素環誘導体の使用量は、上記式(I)で表されるカルボン酸1当量に対し、通常0.1〜30当量であり、好ましくは5〜25当量である。使用量が0.1当量未満であると、長時間の光照射が必要となるという問題があり、30当量を超えると、試料の無駄使いという問題がある。
【0029】
シアノベンゼン誘導体の使用量は、上記式(I)で表されるカルボン酸1当量に対し、通常0.1〜30当量であり、好ましくは5〜25当量である。使用量が0.1当量未満であると長時間の光照射が必要となるという問題があり、30当量を超えると、試料の無駄使いという問題がある。
【0030】
光脱炭酸反応の反応系には、上記式(I)で表されるカルボン酸からのプロトンの解離(すなわち、カルボキシアニオンの生成)を促進し、それにより光脱炭酸反応を促進するために、塩基を添加してもよい。このような塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられ、経済的な観点から水酸化ナトリウムが好ましい。塩基の使用量は、上記式(I)で表されるカルボン酸1当量に対し、通常0.5〜2当量であり、好ましくは0.5〜1.5当量である。使用量が0.5当量未満であると長時間の光照射が必要となるという問題があり、2当量を超えると、光脱炭酸反応以外の望ましくない反応が進行するという問題がある。
【0031】
光脱炭酸反応において照射する光は特に限定されないが、少なくとも波長250〜330nmの紫外線の一部または全体を含む光が好ましく、波長280〜320nmの紫外線の一部または全体を含む光がより好ましい。光の照射時間は、光源、上記式(I)で表されるカルボン酸の種類等にもよるが、通常、3〜24時間である。光源としては、特に限定されるものではなく、例えば、キセノンランプ、タングステンランプ、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、発光ダイオード、蛍光灯、ブラックライト、太陽光などが挙げられる。なかでも、波長313nmの紫外線を含む光を高出力で照射できることから、高圧水銀灯が好ましい。高圧水銀灯としては、光脱炭酸反応を適度な速度で進行させる観点から、100〜500Wのものが好ましい。
【0032】
光源は単一のものを使用してもよく、2種類以上のものを併用してもよい。また、光学フィルターを用いて目的としない波長の光などの特定の範囲の波長の光を除去してもよい。光は反応系の少なくとも一部に照射すればよいが、より多くの部分に照射することが好ましい。
【0033】
光脱炭酸反応の温度は特に限定されないが、通常、0〜40℃の範囲である。
【0034】
光脱炭酸反応のガス雰囲気は特に限定されないが、好ましくは、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気である。また、ラジカル連鎖反応による過酸化反応を抑制するために、光を照射する前に不活性ガスのバブリング等の操作を行うことによって溶媒中の酸素を除去してから、光の照射を行うことが好ましい。
【0035】
本発明の製造方法で得られる上記式(II)で表される大環状ラクトンは、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
【0036】
本発明の製造方法で原料として用いる上記式(I)で表されるカルボン酸は、市販品をそのまま用いてもよく、あるいは、それ自体公知の方法あるいはそれに準じた方法により製造することもできる。例えば、上記式(I)で表されるカルボン酸は、以下の反応スキームに従って製造することができる。
なお、各工程で得られた化合物は、反応液のままか粗生成物として、次の反応に用いてもよいし、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより、反応液から単離精製して次の反応に用いてもよい。
【0037】
【化6】

【0038】
(式中、MOMはメトキシメチル基を示し、Metalはナトリウム、カリウム等の金属を示し、nは上記で定義した通りである。)
(工程1)
化合物(2)は、化合物(1)を金属水酸化物で処理することにより製造することができる。金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられ、溶解性の観点から水酸化カリウムが好ましい。金属水酸化物の使用量は、化合物(1)1モルに対して、通常、1〜1.5モルである。化合物(1)は、市販品をそのまま用いてもよく、あるいはそれ自体公知の方法あるいはそれに準じた方法により製造することもできる。
【0039】
本反応は、反応に不活性な溶媒中で行うことが好ましい。このような溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール等のアルコール類等が挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0040】
反応時間は、通常、1〜3時間、好ましくは1.5〜2.5時間である。反応温度は、通常、50〜120℃、好ましくは70〜90℃である。
【0041】
(工程2)
化合物(3)は、アミン存在下、化合物(2)をクロロメトキシメタンと反応させることにより製造することができる。アミンとしては、例えば、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられ、生成物の収率の観点からピリジンが好ましい。クロロメトキシメタンの使用量は、化合物(2)1モルに対して、通常、1〜1.5モルである。アミンの使用量は、化合物(2)1モルに対して、通常、5〜50モルである。なお、クロロメトキシメタンは市販品をそのまま用いればよい。
【0042】
本反応は、反応に不活性な溶媒中で行うことが好ましい。このような溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0043】
反応時間は、通常、1〜24時間、好ましくは5〜12時間である。反応温度は、通常、0〜20℃、好ましくは0〜5℃である。
【0044】
(工程3)
化合物(5)は、アミン存在下、化合物(3)を化合物(4)と反応させることにより製造することができる。アミンとしては、例えば、トリエチルアミン、イソプロピルジエチルアミン、トリメチルアミンなどが挙げられ、経済的な観点からトリエチルアミンが好ましい。化合物(4)の使用量は、化合物(3)1モルに対して、通常、1〜1.5モルである。アミンの使用量は、化合物(3)1モルに対して、通常、5〜50モルである。なお、化合物(4)は、市販品をそのまま用いてもよく、あるいはそれ自体公知の方法あるいはそれに準じた方法により製造することもできる。
【0045】
本反応は、反応に不活性な溶媒中で行うことが好ましい。このような溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0046】
反応時間は、通常、1〜6時間、好ましくは2〜3時間である。反応温度は、通常、0〜20℃、好ましくは0〜5℃である。
【0047】
(工程4)
式(I)で表されるカルボン酸は、化合物(5)を金属ハロゲン化物で処理することにより製造することができる。金属ハロゲン化物としては、例えば、臭化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化アルミニウム、塩化アルミニウム、臭化ホウ素、フッ化ホウ素などが挙げられ、生成物の収率の観点から臭化マグネシウム(特にジエチルエーテル和物)が好ましい。金属ハロゲン化物の使用量は、化合物(5)1モルに対して、通常、2〜4モルである。
【0048】
本反応は、反応に不活性な溶媒中で行うことが好ましい。このような溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類等が挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0049】
反応時間は、通常、1〜6時間、好ましくは2〜3時間である。反応温度は、通常、0〜40℃、好ましくは10〜30℃である。
【0050】
このようにして得られる式(I)で表されるカルボン酸は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
【実施例】
【0051】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0052】
IRスペクトルは、赤外分光光度計(日本分光製、JASCO FT/IR−620)を用いて液膜法または錠剤法により測定し、特徴的なピークのみ示した。H−および13C−NMRスペクトルは、内部基準としてテトラメチルシランを用いて核磁気共鳴装置(日本電子製、JNM−AL 300)で測定し、全δ値をppmで示した。GC−MS分析は、ガスクロマトグラフ質量分析計(島津製作所製、Shimadzu GCMS−QP5000)を用い、カラム:DB1、カラム温度:50〜230℃、移動相:ヘリウム、イオン化法:EI(電子イオン化)の条件にて実施した。またシリカゲルカラムクロマトグラフィーにおける溶出溶媒の比は、特に断らない限り容量比を示す。
【0053】
実施例1
式(I)(式中、n=11、無置換)で表されるカルボン酸(1mM)、フェナントレン(20mM)および1,4−ジシアノベンゼン(20mM)を含有するアセトニトリル/水(体積比=9/1)混合溶液(400mL)をパイレックス(登録商標)試験管に封入し、20分間アルゴンガスを導入し、バブリングした(流量10ml/min)。その後、高圧水銀灯(理工科学産業(株)製、UVL−100HA(100W))を用いて室温にて6時間、該溶液の全体に光照射した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=30/0〜30/1)により精製し、式(II)(式中、n=11、無置換)で表される大環状ラクトンを得た。
スペクトルデータ:IR (neat, cm-1) 2925, 1734; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ4.10 (d, J=6.3 Hz, 2H), 2.31 (t, J=7.1 Hz, 2H), 1.65-1.60 (m, 4H), 1.24 (m, 20H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ173.9, 64.1, 34.7, 28.5, 28.2, 28.2, 28.1, 27.7, 27.2, 27.1, 26.8, 26.6, 26.2, 25.3, 25.0; GC-MS m/z 268 (M+).
【0054】
実施例2
水酸化ナトリウム(1mM)をさらに添加したこと以外は実施例1と同様にして、式(II)(式中、n=11、無置換)で表される大環状ラクトンを得た。
【0055】
実施例3
式(I)(式中、n=11、無置換)で表されるカルボン酸および水酸化ナトリウムをそれぞれ2mMとしたこと以外は実施例2と同様にして、式(II)(式中、n=11、無置換)で表される大環状ラクトンを得た。
【0056】
実施例4
式(I)(式中、n=11、無置換)で表されるカルボン酸および水酸化ナトリウムをそれぞれ3mMとしたこと以外は実施例2と同様にして、式(II)(式中、n=11、無置換)で表される大環状ラクトンを得た。
【0057】
実施例5
式(I)(式中、n=11、無置換)で表されるカルボン酸および水酸化ナトリウムをそれぞれ4mMとしたこと以外は実施例2と同様にして、式(II)(式中、n=11、無置換)で表される大環状ラクトンを得た。
【0058】
実施例6
式(I)(式中、n=11、無置換)で表されるカルボン酸および水酸化ナトリウムをそれぞれ5mMとしたこと以外は実施例2と同様にして、式(II)(式中、n=11、無置換)で表される大環状ラクトンを得た。
【0059】
実施例1〜6で得られた結果を以下の表1にまとめる。
【0060】
【表1】

【0061】
実施例7
式(I)(式中、n=12、無置換)で表されるカルボン酸を用いたこと以外は実施例2と同様にして、式(II)(式中、n=12、無置換)で表される大環状ラクトンを得た(収率84%)。
スペクトルデータ:IR (neat, cm-1) 2925, 1734; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ4.11 (d, J=6.3 Hz, 2H), 2.31 (t, J=7.1 Hz, 2H), 1.67-1.60 (m, 4H), 1.30 (m, 22H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ174.1, 64.3, 34.6, 28.7, 28.6, 28.6, 28.5, 28.5, 28.3, 27.7, 27.7, 27.6, 27.5, 27.5, 27.4, 26.7, 25.8, 25.0; GC-MS m/z 282 (M+).
【0062】
実施例8
式(I)(式中、n=13、無置換)で表されるカルボン酸を用いたこと以外は実施例2と同様にして、式(II)(式中、n=13、無置換)で表される大環状ラクトンを得た(収率84%)。
スペクトルデータ:IR (neat, cm-1) 2925, 1734; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ4.09 (d, J=6.2 Hz, 2H), 2.30 (t, J=7.1 Hz, 2H), 1.64-1.59 (m, 4H), 1.29 (m, 24H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ173.9, 64.2, 34.6, 28.5, 28.5, 28.4, 28.4, 28.4, 28.2, 28.0, 27.8, 27.8, 27.5, 27.3, 27.2, 27.1, 27.0, 25.7, 25.0; GC-MS m/z 296 (M+).
【0063】
実施例9
式(I)(式中、n=14、無置換)で表されるカルボン酸を用いたこと以外は実施例2と同様にして、式(II)(式中、n=14、無置換)で表される大環状ラクトンを得た(収率83%)。
スペクトルデータ:IR (neat, cm-1) 2925, 1734; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ4.10 (d, J=6.3 Hz, 2H), 2.30 (t, J=7.1 Hz, 2H), 1.66-1.58 (m, 4H), 1.29 (m, 26H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ174.0, 64.3, 34.6, 28.9, 28.8, 28.7, 28.6, 28.6, 28.3, 28.3, 28.2, 27.8, 27.7, 27.7, 27.6, 27.5, 25.9, 25.0; GC-MS m/z 310 (M+).
【0064】
参考例1
式(I)(式中、n=11、無置換)で表されるカルボン酸の合成:
【0065】
【化7】

【0066】
化合物(1a)(エキサルトリド)(5.4g)をエタノール(80mL)に溶解し、水酸化カリウム(1.7g)を加え、80℃にて2時間攪拌した。エバポレーターにより反応混合物からエタノールを除去した後、残渣をエーテルで洗浄し、化合物(2a)(6.4g、収率99%)を得た。
スペクトルデータ:1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ3.52 (t, J=6.6 Hz, 2H), 2.13 (t, J=7.5 Hz, 2H), 1.58-1.49 (m, 4H), 1.28 (m, 20H).
【0067】
上記で合成した化合物(2a)(4.9g)をDMF(80mL)に溶解し、クロロメトキシメタン(MOMCl、1.6g)およびピリジン(8mL)を加え、0℃にて8時間攪拌した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=30/0〜30/5)により精製し、化合物(3a)(4.2g、収率94%)を得た。
スペクトルデータ:IR (KBr, cm-1) 3274, 2915, 1724; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ5.23 (s, 2H), 3.67-3.61 (m, 2H), 3.46 (s, 3H), 2.35 (t, J=7.3 Hz, 2H), 1.64-1.56 (m, 4H), 1.25 (m, 20H).
【0068】
上記で合成した化合物(3a)(3g)をジクロロメタン(50mL)に溶解し、化合物(4)(1g)およびトリエチルアミン(5mL)を加え、0℃にて2時間攪拌した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=30/0〜30/1)により精製し、化合物(5a)(3.3g、収率92%)を得た。
スペクトルデータ:IR (KBr, cm-1) 2916, 1727; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ6.37 (d, J=17.2 Hz, 1H), 6.09 (dd, J=17.2, 10.3 Hz, 1H), 5.78 (d, J=10.3 Hz, 1H), 5.20 (s, 2H), 4.11 (d, J=6.8 Hz, 2H), 3.43 (s, 3H), 2.32 (t, J=7.3 Hz, 2H), 1.66-1.57 (m, 4H), 1.23 (m, 20H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ173.3, 166.3, 130.3, 128.6, 90.1, 64.6, 57.5, 34.3, 29.5, 29.5, 29.5, 29.4, 29.4, 29.2, 29.0, 28.5, 25.8, 24.7.
【0069】
上記で合成した化合物(5a)(3.5g)をジエチルエーテル(50mL)に溶解し、臭化マグネシウム・ジエチルエーテル和物(6.4g)を加え、20℃にて2時間攪拌した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=30/0〜30/10)により精製し、式(I)(式中、n=11、無置換)で表されるカルボン酸(2.5g、収率97%)を得た。
スペクトルデータ:IR (KBr, cm-1) 3105, 2918, 1723, 1699; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ6.38 (d, J=17.2 Hz, 1H), 6.10 (dd, J=17.2, 10.3 Hz, 1H), 5.79 (d, J=10.3 Hz, 1H), 4.13 (d, J=6.8 Hz, 2H), 2.33 (t, J=7.3 Hz, 2H), 1.66-1.57 (m, 4H), 1.24 (m, 20H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ179.9, 166.3, 130.4, 128.6, 64.7, 34.0, 29.5, 29.5, 29.5, 29.4, 29.3, 29.2, 29.2, 29.0, 28.5, 25.8, 24.6.
【0070】
参考例2
式(I)(式中、n=12、無置換)で表されるカルボン酸の合成:
オキサシクロへプタデカン−2−オンを出発原料として用い、参考例1と同様にして、式(I)(式中、n=12、無置換)で表されるカルボン酸を得た(収率83%)。
スペクトルデータ:IR (KBr, cm-1) 3105, 2917, 1723, 1699; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ6.39 (d, J=17.2 Hz, 1H), 6.11 (dd, J=17.2, 10.3 Hz, 1H), 5.80 (d, J=10.3 Hz, 1H), 4.14 (d, J=6.8 Hz, 2H), 2.34 (t, J=7.3 Hz, 2H), 1.68-1.58 (m, 4H), 1.25 (m, 22H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ180.2, 166.4, 130.4, 128.6, 64.7, 34.1, 29.6, 29.5, 29.5, 29.5, 29.4, 29.2, 29.0, 28.6, 25.9, 24.6.
【0071】
参考例3
式(I)(式中、n=13、無置換)で表されるカルボン酸の合成:
実施例1で得られた式(II)(式中、n=11、無置換)で表される大環状ラクトンを出発原料として用い、参考例1と同様にして、式(I)(式中、n=13、無置換)で表されるカルボン酸を得た(収率82%)。
スペクトルデータ:IR (KBr, cm-1) 3103, 2920, 1724, 1699; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ6.39 (d, J=17.2 Hz, 1H), 6.11 (dd, J=17.2, 10.3 Hz, 1H), 5.80 (d, J=10.3 Hz, 1H), 4.14 (d, J=6.8 Hz, 2H), 2.35 (t, J=7.3 Hz, 2H), 1.68-1.58 (m, 4H), 1.25 (m, 24H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ179.5, 166.3, 130.4, 128.6, 64.7, 33.9, 29.6, 29.6, 29.5, 29.5, 29.4, 29.4, 29.2, 29.2, 29.0, 28.5, 25.9, 24.6.
【0072】
参考例4
式(I)(式中、n=14、無置換)で表されるカルボン酸の合成:
実施例7で得られた式(II)(式中、n=12、無置換)で表される大環状ラクトンを出発原料として用い、参考例1と同様にして、式(I)(式中、n=14、無置換)で表されるカルボン酸を得た(収率81%)。
スペクトルデータ:IR (KBr, cm-1) 3103, 2917, 1724, 1699; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ6.38 (d, J=17.2 Hz, 1H), 6.11 (dd, J=17.2, 10.3 Hz, 1H), 5.80 (d, J=10.3 Hz, 1H), 4.14 (d, J=6.8 Hz, 2H), 2.34 (t, J=7.3 Hz, 2H), 1.68-1.58 (m, 4H), 1.24 (m, 26H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ179.0, 166.4, 130.4, 128.6, 64.7, 33.9, 29.6, 29.6, 29.5, 29.5, 29.5, 29.4, 29.2, 29.2, 29.0, 28.6, 25.9, 24.7.
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の製造方法によれば、天然に広く存在し、香料として有用であり、また、抗菌・抗腫瘍作用などの様々な生理活性を有する大環状ラクトンを、容易に合成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(I):
【化1】


(式中、nは1〜20の整数を示す。)
で表される置換されていてもよいカルボン酸を、多環式炭素環誘導体およびシアノベンゼン誘導体の存在下、光脱炭酸反応に供する工程を包含する、下式(II):
【化2】


(式中、nは上記で定義した通りである。)
で表される置換されていてもよい大環状ラクトンの製造方法。
【請求項2】
多環式炭素環誘導体が、それぞれ置換されていてもよい、ビフェニル、ナフタレン、フェナントレン、トリフェニレンまたはクリセンである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
多環式炭素環誘導体が、フェナントレンである、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
シアノベンゼン誘導体が、それぞれ置換されていてもよい、ジシアノベンゼンまたはシアノ安息香酸エステルである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
シアノベンゼン誘導体が、1,4−ジシアノベンゼンである、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
nが3〜14の整数を示す、請求項1に記載の製造方法。

【公開番号】特開2011−144153(P2011−144153A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8217(P2010−8217)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年9月14日 http://pubs.acs.org/doi/pdfplus/10.1021/ol9019277を通じて発表、平成21年9月16日 群馬コングレスサポート発行の「2009年光化学討論会 講演要旨集」に発表、平成21年11月20日 株式会社 日刊県民福井発行の「日刊県民福井 平成21年11月20日付」に発表。
【出願人】(504145320)国立大学法人福井大学 (287)
【Fターム(参考)】