説明

光論理演算方法および光論理演算装置

【課題】光信号を光のまま超高速で論理演算処理することができる光論理演算処理方法および光論理演算処理装置を提供すること。
【解決手段】2つの2値の光ディジタル入力信号を入力するとともに前記2つの光ディジタル入力信号の波長と異なる波長を有する光パルス列を入力する光信号入力ステップと、非線形光学効果を用いて前記2つの光ディジタル入力信号の光強度によって前記入力した光パルス列の光強度を制御することにより、前記光パルス列を、前記2つの光ディジタル入力信号に対する所定の論理演算結果を示す2値の光ディジタル出力信号に変換して出力する光論理演算ステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号を超高速で論理演算する光論理演算方法および光論理演算装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、論理演算装置の動作速度の高速化により電子計算機や信号処理装置の高性能化、高機能化が進んでいるが、現状ではその演算処理は半導体を用いた電子デバイスによる電気処理が中心である。論理演算装置は電気領域では既に半導体電子デバイスを用いた集積回路を用いたものが実用化されており、制御回路や電子計算機などに幅広く使用されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−318727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の論理演算装置の動作速度は論理演算を行う電子デバイスの応答速度に制限されるため、近年の光通信や電子計算機における高速化に対する要求に応えることが難しくなってきている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光信号を光のまま超高速で論理演算処理することができる光論理演算処理方法および光論理演算処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光論理演算処理方法は、2つの2値の光ディジタル入力信号を入力するとともに前記2つの光ディジタル入力信号の波長と異なる波長を有する光パルス列を入力する光信号入力ステップと、非線形光学効果を用いて前記2つの光ディジタル入力信号の光強度によって前記入力した光パルス列の光強度を制御することにより、前記光パルス列を、前記2つの光ディジタル入力信号に対する所定の論理演算結果を示す2値の光ディジタル出力信号に変換して出力する光論理演算ステップと、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、この発明に係る光論理演算方法は、上記の発明において、前記光信号入力ステップは、前記論理演算の種類に応じて前記2つの光ディジタル入力信号の光強度を調整する光強度調整ステップを含むことを特徴とする。
【0008】
また、この発明に係る光論理演算方法は、上記の発明において、前記光信号入力ステップは、波長が互いに異なる前記2つの光ディジタル入力信号を合成する光合成ステップを含み、前記光論理演算ステップは、光干渉計内に備えられた非線形光学媒質に前記合成した2つの光ディジタル入力信号を入力して、前記光干渉計に入力した光パルス列の光強度を制御することを特徴とする。
【0009】
また、この発明に係る光論理演算方法は、上記の発明において、前記光論理演算ステップは、光干渉計内に備えられた非線形光学媒質に前記2つの光ディジタル入力信号を互いに異なる経路を通るように入力して、前記光干渉計に入力した光パルス列の光強度を制御することを特徴とする。
【0010】
また、この発明に係る光論理演算方法は、上記の発明において、前記光干渉計は、非線形光ループミラーであることを特徴とする。
【0011】
また、この発明に係る光論理演算方法は、上記の発明において、非線形光学効果を用いて前記光ディジタル出力信号の光強度を非線形的に制御することにより、前記光ディジタル出力信号における2値の間の消光比を高める光閾値処理ステップを含むことを特徴とする。
【0012】
また、この発明に係る光論理演算方法は、上記の発明において、前記光閾値処理ステップは、非線形光ループミラーのループ内に備えられた光減衰手段を用いて、前記非線形光ループミラーに入力した前記光ディジタル出力信号の光強度を非線形的に制御することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る光論理演算装置は、2つの2値の光ディジタル入力信号の入力受付を行う光信号入力部と、前記2つの光ディジタル入力信号の波長と異なる波長を有する光パルス列を発生する光パルス列発生部と、非線形光学効果を用いて前記2つの光ディジタル入力信号の光強度によって前記入力した光パルス列の光強度を制御することにより、前記光パルス列を、前記2つの光ディジタル入力信号に対する所定の論理演算結果を示す2値の光ディジタル出力信号に変換して出力する光論理演算器と、前記光ディジタル出力信号を出力する光信号出力部と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、この発明に係る光論理演算装置は、上記の発明において、前記光信号入力部は、前記論理演算の種類に応じて前記2つの光ディジタル入力信号の光強度を調整する光強度調整器を備えることを特徴とする。
【0015】
また、この発明に係る光論理演算装置は、上記の発明において、前記光信号入力部は、波長が互いに異なる前記2つの光ディジタル入力信号を合成して出力する光合波器を備え、前記光論理演算器は、光入力端子と、2つの光出力端子と、非線形光学媒質を含む光干渉計と、前記光入力端子から入力した前記光パルス列の光を2分岐し、該2分岐した光を前記光干渉計内を互いに異なる経路で伝搬させた後に結合し、前記2つの光出力端子から出力するように接続した1つ以上の光方向性結合器と、前記光干渉計内の前記非線形光学媒質に前記光合波器から出力される光ディジタル入力信号を入力する光合波器と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、この発明に係る光論理演算装置は、上記の発明において、前記光論理演算器は、光入力端子と、2つの光出力端子と、1つ以上の非線形光学媒質を含む光干渉計と、前記光入力端子から入力した前記光パルス列の光を2分岐し、該2分岐した光を前記光干渉計内を互いに異なる経路で伝搬させた後に結合し、前記2つの光出力端子から出力するように接続した1つ以上の光方向性結合器と、前記光干渉計内の前記非線形光学媒質に前記2つの光ディジタル入力信号を互いに異なる経路を通るように入力する2つの光合波器と、を備えることを特徴とする。
【0017】
また、この発明に係る光論理演算装置は、上記の発明において、前記光干渉計は、非線形光ループミラーであることを特徴とする。
【0018】
また、この発明に係る光論理演算装置は、上記の発明において、前記光信号出力部は、前記光論理演算器の前記2つの光出力端子から出力される前記光ディジタル出力信号を切り換えて出力する切り換えスイッチを備えることを特徴とする。
【0019】
また、この発明に係る光論理演算装置は、上記の発明において、前記光信号出力部は、非線形光学効果を用いて前記光ディジタル出力信号の光強度を非線形的に制御することにより、前記光ディジタル出力信号における2値の間の消光比を高める光閾値処理器を備えることを特徴とする。
【0020】
また、この発明に係る光論理演算装置は、上記の発明において、前記光閾値処理器は、光入力端子と、光出力端子と、非線形光学媒質を含む光ファイバループと、前記光入力端子から入力した前記光ディジタル出力信号の光を2分岐し、該2分岐した光を前記光ファイバループ内を互いに反対方向に伝搬させた後に結合し、前記光入力端子または前記光出力端子から出力するように接続した光方向性結合器と、前記光ファイバループ内に挿入された光減衰器と、を有した非線形光ループミラーを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、超高速応答の可能な非線形光学効果を用いて2つの2値の光ディジタル入力信号の光強度によって光パルス列の光強度を制御することにより、光パルス列を、2つの2値の光ディジタル入力信号に対する所定の論理演算結果を示す2値の光ディジタル出力信号に変換して出力するので、光信号を電気信号に変換せずに光のまま超高速で論理演算処理することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、図面を参照して本発明に係る光論理演算方法および光論理演算装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光論理演算装置の構成の概略を示すブロック図である。本実施の形態1に係る光論理演算装置100は、たとえば入力された2値の光ディジタル入力信号Sx1、Sy1に対するAND演算またはNAND演算の結果を示す2値の光ディジタル出力信号Sout11またはSout12を出力するものである。
【0024】
図1において、光論理演算装置100は、光信号入力部101と、光パルス列発生部102と、光論理演算器103と、光信号出力部105とを有する。また、光信号入力部101は、光強度調整器106を備える。また、光信号出力部105は、光閾値処理器107を備える。
【0025】
光信号入力部101は、“0”および“1”の符号を持つ2値のディジタル情報X、Yを搬送する2値の光ディジタル入力信号Sx1、Sy1の入力を受け付ける。光ディジタル入力信号Sx1は、時刻t1、t2では所定の光強度を有し符号“1”が割り当てられ、時刻t3、t4では光強度が実質的に零であり符号“0”が割り当てられている。光ディジタル入力信号Sy1は、時刻t1、t3では符号“1”が割り当てられ、時刻t2、t4では符号“0”が割り当てられている。光ディジタル入力信号Sx1、Sy1は同期し、波長はそれぞれλ11、λ11´である。
【0026】
また、光信号入力部101に備えられた光強度調整器106は、論理演算の種類に応じて光ディジタル入力信号Sx1、Sy1の光強度を調整し、光論理演算器103に出力する。
【0027】
一方、光パルス列発生部102は、波長がλ12であり、時刻t1〜t4で所定の光強度を有する光パルス列Sp1を発生し、光ディジタル入力信号Sx1、Sy1と同期させて光論理演算器103に出力する。なお、波長λ11、λ11´と波長λ12とは異なる値を有する。
【0028】
光論理演算器103は、非線形光学効果を用いて光ディジタル入力信号Sx1、Sy1の光強度によって光パルス列Sp1の光強度を制御することにより、光パルス列Sp1を、2値の光ディジタル出力信号である光ディジタル出力信号Sout11またはSout12に変換し、光信号出力部105に出力する。
【0029】
そして、光信号出力部105に備えられた光閾値処理器107は、光ディジタル出力信号Sout11またはSout12における2値の間の消光比を高めて光ディジタル出力信号Sout11またはSout12を光論理演算装置100の外部に出力する。
【0030】
光ディジタル出力信号Sout11は時刻t1では所定の光強度を有し符号“1”と識別され、時刻t2、t3、t4では光強度が実質上零であり符号“0”と識別される2値の光ディジタル入力信号であり、光ディジタル入力信号Sx1、Sy1に対するAND演算の結果を示すものである。また、光ディジタル出力信号Sout12は時刻t1では符号“0”と識別され、時刻t2、t3、t4では符号“1”と識別される2値の光ディジタル入力信号であり、光ディジタル入力信号Sx1、Sy1に対するNAND演算の結果を示すものである。
【0031】
次に、本実施の形態1に係る光論理演算装置100の詳細な構成を説明する。図2は、本実施の形態1に係る光論理演算装置100の詳細な構成を説明するブロック図である。光出力部101は、光ディジタル入力信号Sx1、Sy1の入力を受け付ける。次に、偏波コントローラPC1は光ディジタル入力信号Sx1の偏波状態を調整し、さらに可変光減衰器VOAは光ディジタル入力信号Sx1を減衰して光強度を調整する。一方、偏波コントローラPC2は光ディジタル入力信号Sy1の偏波状態を調整する。そして、光合波OC0は光ディジタル入力信号Sx1、Sy1を合成して合成光ディジタル入力信号Sxyとし、光増幅器OA1は合成光ディジタル入力信号Sxyを増幅して光強度を調整し、光論理演算器103に出力する。光ディジタル入力信号Sx1、Sy1は波長が互いに異なるので、光ディジタル入力信号Sx1、Sy1の位相がずれたときでも信号間の干渉が起こらず、合成光ディジタル入力信号Sxyの強度が不安定にならない。なお、光合波器OC0は3dBカプラなどである。
【0032】
一方、光パルス列発生部102は、パルス光源LS1から光パルス列Sp1を発生し、光ディレイラインODL1によって合成光ディジタル入力信号Sxyと同期するように光パルス列Sp1の位相を調整し、光論理演算器103に出力する。なお、この位相の調整は、合成光ディジタル入力信号Sxyの一部を分岐するためのモニタカプラを設け、分岐された光信号をモニタし、モニタの結果を光ディレイラインODL1に入力することによって行うことができる。
【0033】
光論理演算器103に入力した光パルス列Sp1は、光サーキュレータOCIR1を通って光干渉計である非線形光ループミラー104に入力する。非線形光ループミラー104は、光入力端子104aと、光出力端子104bと、非線形光学媒質である高非線形光ファイバHNLF1を含む光ファイバループ104cと、光入力端子104aから入力した光パルス列Sp1の光を2分岐し、2分岐した光を光ファイバループ104c内を互いに異なる経路を通るように反対方向に伝搬させた後に結合し、光入力端子104aまたは光出力端子104bから出力するように接続した分岐比が1:1の光方向性結合器OC1と、光ファイバループ104c内の非線形光ファイバHNLF1に光合波器OC0から出力される合成光ディジタル入力信号Sxyを入力する光合波器OC2と、光ファイバループ104c内を伝搬する光の偏波状態を調整するための偏波コントローラPC4とを有する。上述のように、非線形光ループミラー104において光入力端子104aは光が出力する端子としても機能する。
【0034】
非線形光ループミラー104は、高非線形光ファイバHNLF1において発生する非線形光学効果を用いて合成光ディジタル入力信号Sxyの光強度によって光パルス列Sp1の光強度を制御して所定の論理演算結果を示す光ディジタル出力信号Sout11またはSout12に変換し、光入力端子104aまたは光出力端子104bから出力する。以下、非線形光ループミラー104の動作原理について図を用いて具体的に説明する。
【0035】
図3は、非線形光ループミラー104の動作原理を説明するブロック図である。波長がλ12であって光強度がPp1である光パルス列Sp1が光サーキュレータOCIR1を通って光入力端子104aに入力すると、光方向性結合器OC1によって光強度が1:1の光パルス列Sp11およびSp12に2分岐され、光パルス列Sp11は光ファイバループ104c内を時計回りの方向d11に伝搬し、光パルス列Sp12は光ファイバループ104c内を反時計回りの方向d12に伝搬する。一方、波長がλ11、λ11´であって所定の光強度を有する合成光ディジタル入力信号Sxyは偏波コントローラPC3によって偏波状態が調整されて、光合波器OC2により光ファイバループ104c内に入力する。合成光ディジタル入力信号Sxyと光パルス列Sp11は同期しており、時間的に重ね合わせられて時計回りの方向d13から高非線形光ファイバHNLF1に入力する。
【0036】
高非線形光ファイバHNLF1は、光ファイバループ104cを構成する光ファイバよりも光学非線形性が高い光ファイバである。光パルス列Sp11は、高非線形光ファイバHNLF1を伝搬中に、時間的に重ね合わせられて伝搬する合成光ディジタル入力信号Sxyによって非線形光学効果である相互位相変調(Cross Phase Modulation:XPM)を受ける。その結果、光パルス列Sp11は光の位相が変化する。この位相の変化量をφ11、光ディジタル入力信号Sx1の光強度をPx、光ディジタル入力信号Sy1の光強度をPy、高非線形光ファイバHNLF1の非線形定数をγ、長さをLとすると、φ11はφ11=2AγPxL+2BγPyLで表される。2AγPxL=φxは、光ディジタル入力信号Sx1による位相の変化量であり、2BγPyL=φyは、光ディジタル入力信号Sy1による位相の変化量である。なお、A、Bは2/3より大きく2より小さい係数であり、Aは光パルス列Sp11と光ディジタル入力信号Sx1との偏波状態の関係により定まり、Bは光パルス列Sp11と光ディジタル入力信号Sy1との偏波状態の関係により定まる。本実施の形態1においては光ディジタル入力信号Sx1、Sy1はそれぞれ偏波コントローラPC1、PC2によって別々に偏波状態を調整することができるので、AおよびBが高い値となるように偏波コントローラPC1、PC2を調節して、より少ない光強度で効率よく位相を変化させることができる。
【0037】
一方、光パルス列Sp12は、反時計回りの方向d14から高非線形光ファイバHNLF1に入力するが、高非線形光ファイバHNLF1を伝搬中であっても反対方向に伝播する合成光ディジタル入力信号SxyによってXPMを受けない。したがって光パルス列Sp12は光の位相はほとんど変化しない。すなわち、光パルス列Sp12の光の位相の変化量をφ12とするとφ12≒0である。
【0038】
高非線形光ファイバHNLF1を通過した光パルス列Sp11、Sp12は、光ファイバループ104c内を伝搬し、光方向性結合器OC1によって結合される。結合した光は光ディジタル出力信号として光入力端子104aまたは光出力端子104bから出力される。光出力端子104bから透過ポート109aに出力される光ディジタル出力信号Sout11の光強度をPout11、位相シフト量をΔφ=φ11−φ12≒φx+φyとすると、Pout11=Pp1(1−cosΔφ)/2が成立する。また、光入力端子104aから反射ポート109bに出力される光ディジタル出力信号Sout12の光強度をPout12とすると、Pout12=Pp1(1+cosΔφ)/2が成立する。φxは光ディジタル入力信号Sx1の光強度であるPxに比例し、φyは光ディジタル入力信号Sy1の光強度であるPyに比例するから、非線形光ループミラー104の入力光強度に対する出力光強度は、2つの光ディジタル入力信号の光強度に応じて周期的に変化することになる。その結果、光ディジタル入力信号Sx1、Sy1の光強度を調整して位相シフト量を所定値に設定することにより、非線形光ループミラー104から出力される光ディジタル出力信号Sout11、Sout12を、光ディジタル入力信号Sx1、Sy1に対する所定の論理演算結果を示す光ディジタル信号とすることができる。
【0039】
次に、具体的な位相シフト量の設定について説明する。図4は、非線形光ループミラー104によってAND演算およびNAND演算を実行する場合の位相シフト量の設定について、位相シフト量に対する透過ポートおよび反射ポートへの出力光強度を示すグラフを用いて説明する図である。なお、このグラフでは位相シフト量は2πまで表示している。ここで出力光強度に対して所定の値を有する閾値Th1および閾値Th2を設定し、出力光強度が閾値より高ければ符号“1”、低ければ符号“0”と認識されることとする。
【0040】
AND演算またはNAND演算を行う場合、光ディジタル入力信号Sx1、Sy1の光強度を所定値に調整しておくと、以下の特性が実現できる。すなわち、図4の上部に示される透過ポートに出力される光ディジタル出力信号Sout11に関しては、光ディジタル入力信号Sx1、Sy1の符号が(0:0)の場合、位相シフト量であるΔφは0であるから、出力光強度であるPout11は0であり、符号“0”と認識される。また、符号が(1:0)または(0:1)の場合、Δφがφ1となり、Pout11はP1となる。P1は閾値Th1の値より低いから符号“0”と認識される。また、符号が(1:1)の場合、Δφはφ1+φ1=φ2となり、Pout11はP2となる。P2は閾値Th1の値より高いから符号“1”と認識される。つまり、光ディジタル出力信号Sout11は、光ディジタル入力信号Sx1、Sy1に対するAND演算結果を示すものとなる。
【0041】
一方、図4の下部に示される反射ポートに出力される光ディジタル出力信号Sout12に関しては、光ディジタル入力信号Sx1、Sy1の符号が(0:0)の場合、Δφは0であり、出力光強度であるPout12は閾値Th2の値よりも高くなるから符号“1”と認識される。また、(1:0)または(0:1)の場合、Δφはφ1となり、Pout12は閾値Th2の値より高くなるから符号“1”と認識される。また、(1:1)の場合、Δφはφ1+φ1=φ2となり、Pout12は閾値Th2の値より低くなるから符号“0”と認識される。つまり、光ディジタル出力信号Sout12は、光ディジタル入力信号Sx1、Sy1に対するNAND演算結果を示すものとなる。
【0042】
具体的には、図13の項目の番号「8」および「9」に示されるように、本実施の形態1では、光ディジタル入力信号Sx1、Sy1の光強度を、φxがπ/3、φyがπ/3となるように調整する。すると、光ディジタル出力信号Sout11については、符号が(0:0)ではPout11=0、(1:0)または(0:1)ではPout11=0.25Pp1、(1:1)ではPout11=0.75Pp1となるので、閾値Th1を0.5Pp1に設定すれば、上記のAND演算を実現できる。また、光ディジタル出力信号Sout12については、符号が0:0ではPout12=Pp1、1:0または0:1ではPout12=0.75Pp1、1:1ではPout12=0.25Pp1となるので、閾値Th2を0.5Pp1に設定すれば、上記のNAND演算を実現できる。
【0043】
また、図5は、非線形光ループミラー104によってOR演算およびNOR演算を実行する場合の位相シフト量の設定について、位相シフト量に対する透過ポートおよび反射ポートへの出力光強度を示すグラフを用いて説明する図であり、図6は、非線形光ループミラー104によってXOR演算および一致演算を実行する場合の位相シフト量の設定について、位相シフト量に対する透過ポートおよび反射ポートへの出力光強度を示すグラフを用いて説明する図である。図5および6においても、図4の場合と同様に、所定の閾値Th3〜6を設定し、2つの光ディジタル入力信号の符号の組み合わせに対して所定の位相シフト量となるように光ディジタル入力信号の強度を調整することによって、所望の論理演算を実現できる。図4〜6における位相シフト量に対する透過ポートおよび反射ポートへの出力光強度を示すグラフは、いずれも非線形光ループミラー103の特性を示すものであり、構成を変更しなくても、光ディジタル入力信号Sx1、Sy1の光強度を調整し、位相シフト量の設定を変更するだけで、いずれの演算も実現することができる。そして、図13の本実施の形態1の場合について示すようにφx、φyを設定すれば、項目の番号「1」〜「16」に示す2入力1出力の全ての論理演算を同じ構成で実現することができる。
【0044】
なお、高非線形光ファイバなどのガラス中で発生する非線形光学効果はフェムト秒オーダーの応答速度を持つため、周波数が数百〜数テラHz以上での動作が原理的に可能である。したがって、高非線形光ファイバHNLF1を備える非線形光ループミラー104は、今後の高速化への対応が可能な超高速動作をするものとなる。
【0045】
次に、光論理演算器103は、光出力端子104bから出力されたAND演算結果を示す光ディジタル出力信号Sout11を光バンドパスフィルタBPF1に入力し、光信号出力部105に備えられたスイッチ109の透過ポート109aに出力するとともに、光入力端子104aから出力されたNAND演算結果を示す光ディジタル出力信号Sout12を、光サーキュレータOCIR1を介して光バンドパスフィルタBPF2に入力し、スイッチ109の反射ポート109bに出力する。なお、光バンドパスフィルタBPF1、BPF2は、波長がλ12の光ディジタル出力信号Sout11、Sout12を透過し、波長がλ11、λ11´の合成光ディジタル入力信号Sxyを透過させないので、光信号出力部105には合成光ディジタル入力信号Sxyが漏洩しない。
【0046】
次に、光信号出力部105に備えられたスイッチ109は、要求された論理演算に応じて、透過ポート109aに入力した光ディジタル出力信号Sout11および反射ポート109bに入力した光ディジタル出力信号Sout12のいずれかを切り換えて共通ポート109cに出力する。次に、光増幅器OA2は共通ポート109cから出力された光ディジタル出力信号Sout11またはSout12を増幅して光閾値処理器107に出力する。
【0047】
光閾値処理器107に入力した光ディジタル出力信号Sout11またはSout12は、光サーキュレータOCIR2を通って非線形光ループミラー108に入力する。非線形光ループミラー108は、光入力端子108aと、光出力端子108bと、非線形光学媒質である高非線形光ファイバHNLF2を含む光ファイバループ108cと、光入力端子108aから入力した光ディジタル出力信号Sout11またはSout12の光を2分岐し、2分岐した光を光ファイバループ108c内を互いに反対方向に伝搬させた後に結合し、光入力端子108aまたは光出力端子108bから出力するように接続した分岐比が1:1の光方向性結合器OC3と、光ファイバループ108c内に挿入された光減衰器ATT1と、光ファイバループ108cを伝搬する光の偏波状態を調整するための偏波コントローラPC5とを有する。
【0048】
非線形光ループミラー108は、高非線形光ファイバHNLF2において発生する非線形光学効果を用いて光ディジタル出力信号Sout11またはSout12の光強度を非線形的に制御することにより、光ディジタル出力信号における2値の間の消光比が高めて、光出力端子108bから光ディジタル出力信号Sout11またはSout12を光論理演算装置100の外部へと出力する。以下、非線形光ループミラー108の動作原理について具体的に説明する。
【0049】
光ディジタル出力信号Sout11が光サーキュレータOCIR2を通って光入力端子108aに入力すると、光方向性結合器OC3によって光強度が1:1であって光ファイバループ108c内を伝搬する方向が時計回りの光ディジタル出力信号と反時計回りの光ディジタル出力信号とに2分岐される。時計回りの光ディジタル出力信号は、高非線形光ファイバHNLF2に入力し、高非線形光ファイバHNLF2を伝搬中に非線形光学効果である自己位相変調(Self Phase Modulation:SPM)によって光の位相が変化し、その後光減衰器ATT1で光強度が減衰されて、再び光方向性結合器OC3に到達する。一方、反時計回りの光ディジタル出力信号は光減衰器ATT1で光強度が減衰されてから高非線形光ファイバHNLF2に入力するので、高非線形光ファイバHNLF2を伝搬中にSPMによる光の位相変化がほとんどおこらずに、再び光方向性結合器OC3に到達する。
【0050】
つまり、非線形光ループミラー108においては、光ファイバループ108cを時計回りに伝搬する光と反時計回りに伝搬する光とで光の位相に差が生じるので、上述した非線形光ループミラー104と同様に、入力光強度に対する出力光強度の特性は(1−cosΔφ´)/2に比例して周期的に変化する。ここで、Δφ´は光ファイバループ108cを時計回りに伝搬する光と反時計回りに伝搬する光の間の位相差すなわち位相シフト量である。
【0051】
図7は、非線形光ループミラー108の入力光強度に対する出力光強度の特性を示すグラフである。なお、入力光強度は、位相シフト量がπとなる入力光強度の値で規格化したものであり、出力光強度は、位相シフト量がπのときの出力光強度の値で規格化したものである。非線形光ループミラー108の入力光強度に対する出力光強度の特性は線L1のような非線形の特性を有する。一方、線L3は入力光強度に対する出力光強度の線形的な特性を示す線である。
【0052】
線L1が示すように、非線形光ループミラー108は、入力光強度が線L1と線L3の交点より小さければ線形的な特性を示す線L3よりも小さい値で出力される。一方、入力光強度が前記交点より大きければ線L3よりも大きい値で出力される。つまり、光論理演算器から符号“0”として出力された光は線形特性の場合よりも零に近い光強度で非線形光ループミラー108から出力され、符号“1”として出力された光は線形特性の場合よりも1に近い光強度で非線形光ループミラー108から出力される。その結果、非線形光ループミラー108は、入力した光ディジタル出力信号における2値の間の消光比を高めて出力する。なお、複数の非線形光ループミラー108を直列に接続することで、入力光強度に対する出力光強度の特性は線L2のようにすることができ、消光比を高める効果がより顕著になる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態1に係る光論理演算装置100は、超高速応答の可能な非線形光学効果を用いて2つの2値の光ディジタル入力信号の光強度によって光パルス列の光強度を制御することにより、光パルス列を、2つの2値の光ディジタル入力信号に対する所定の論理演算結果を示す2値の光ディジタル出力信号に変換して出力するので、光信号を電気信号に変換せずに光のまま超高速で論理演算処理することができる。また、2つの2値の光ディジタル入力信号の光強度によって光パルス列の光強度を信号処理するので、2つの2値の光ディジタル入力信号の光強度を調整するのみで論理演算の種類を変えることができ、2入力1出力の全ての論理演算を同じ構成で行うことができる。その結果、全光制御の光入出力論理演算が可能となるため、光通信や光コンピューティングで用いられている光信号を光のみで制御することが可能となる。
【0054】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る光論理演算装置について説明する。本実施の形態2に係る光論理演算装置は、2つの光ディジタル入力信号を合成せずに別々に光論理演算器に入力する点が、実施の形態1に係る光論理演算装置とは異なる。
【0055】
図8は、本実施の形態2に係る光論理演算装置200の詳細な構成を説明するブロック図である。図8において、光論理演算装置200は、光信号入力部201と、光パルス列発生部202と、光論理演算器203と、光信号出力部205とを有する。光信号入力部201は、光強度調整器206を備える。また、光信号出力部205は、光閾値処理器207を備える。
【0056】
光出力部201は、光ディジタル入力信号Sx1、Sy1と同様の特性を有する光ディジタル入力信号Sx2、Sy2の入力を受け付ける。次に、光強度調整器206に備えられた光増幅器OA3は光ディジタル入力信号Sx2を増幅して光強度を調整し、光論理演算器204に出力する。一方、光増幅器OA4は光ディジタル入力信号Sy2を増幅して光強度を調整し、光論理演算器203に出力する。
【0057】
一方、光パルス列発生部202は、パルス光源LS2から光パルス列Sp1と同様の特性を有する光パルス列Sp2を発生し、光論理演算器203に出力する。
【0058】
光論理演算器203に入力した光パルス列Sp2は、光サーキュレータOCIR3を通って光干渉計である非線形光ループミラー204に入力する。非線形光ループミラー204は、光入力端子204aと、光出力端子204bと、非線形光学媒質である高非線形光ファイバHNLF3を含む光ファイバループ204cと、光入力端子204aから入力した光パルス列Sp2の光を2分岐し、2分岐した光を光ファイバループ204c内を互いに異なる経路を通るように反対方向に伝搬させた後に結合し、光入力端子204aまたは光出力端子204bから出力するように接続した分岐比が1:1の光方向性結合器OC4と、非線形光ファイバHNLF3の一端から光ディジタル入力信号Sx2を反時計回りの方向に伝搬するように入力させる光合波器OC6と、非線形光ファイバHNLF3のもう一端から光ディジタル入力信号Sy2を時計回りの方向に伝搬するように、つまり、光ディジタル入力信号Sx2とは異なる経路を通るように入力させる光合波器OC7と、光方向性結合器OC4によって2分岐した光パルス列Sp2のうち光ファイバループ204cを時計回りに伝搬する光パルス列と光ディジタル入力信号Sy2とが同期するように位相を調整するための光ディレイラインODL2と、2分岐した光パルス列Sp2のうち光ファイバループ204cを反時計回りに伝搬する光パルス列と光ディジタル入力信号Sx2とが同期するように位相を調整するための光ディレイラインODL3と、光ファイバループ204c内を伝搬する光の偏波状態を調整するための偏波コントローラPC8とを有する。上述のように、非線形光ループミラー204においても光入力端子204aは光が出力する端子としても機能する。また、光ディジタル入力信号Sx2、Sy2は、光合波器OC6またはOC7に入力する前に、偏波コントローラPC6またはPC7により偏波状態が調整される。また、上記の位相の調整は、光ディジタル入力信号Sx2、Sy2の一部を分岐するためのモニタカプラを設け、分岐された光信号をモニタし、モニタの結果を光ディレイラインODL2またはODL3に入力することによって行うことができる。
【0059】
非線形光ループミラー204は、高非線形光ファイバHNLF3において発生する非線形光学効果を用いて光ディジタル入力信号Sx2、Sy2の光強度によって光パルス列Sp2の光強度を制御して所定の論理演算結果を示す2値の光ディジタル光出力信号Sout21またはSout22に変換し、光入力端子204aまたは光出力端子204bから出力する。以下、非線形光ループミラー204の動作原理について図を用いて具体的に説明する。
【0060】
図9は、非線形光ループミラー204の動作原理を説明するブロック図である。波長がλ22であって光強度がPp2である光パルス列Sp2が光サーキュレータOCIR3を通って光入力端子204aに入力すると、光方向性結合器OC4によって光強度が1:1の光パルス列Sp21およびSp22に2分岐され、光パルス列Sp21は光ファイバループ204c内を時計回りの方向d21に伝搬し、光パルス列Sp22は光ファイバループ204c内を反時計回りの方向d22に伝搬する。一方、波長がλ21であって所定の光強度を有する光ディジタル入力信号Sx2は偏波コントローラPC6によって偏波状態が調整されて、光合波器OC6により光ファイバループ204c内に入力する。光ディジタル入力信号Sx2と光パルス列Sp22は光ディレイラインODL3によって同期しており、時間的に重ね合わせられて反時計回りの方向d24から高非線形光ファイバHNLF3に入力する。他方、波長がλ21であって所定の光強度を有する光ディジタル入力信号Sy2は偏波コントローラPC7によって偏波状態が調整されて、光合波器OC5により光ファイバループ203c内に入力する。光ディジタル入力信号Sy2と光パルス列Sp21は光ディレイラインODL2によって同期しており、時間的に重ね合わせられて時計回りの方向d23から高非線形光ファイバHNLF3に入力する。
【0061】
光パルス列Sp22は、高非線形光ファイバHNLF3を伝搬中に光ディジタル入力信号Sx2によってXPMを受け、光パルス列Sp21は、高非線形光ファイバHNLF3を伝搬中に光ディジタル入力信号Sy2によってXPMを受ける。その結果、光パルス列Sp22、Sp21は光の位相が変化する。この位相の変化量をそれぞれφ22、φ21、光ディジタル入力信号Sx2の光強度をPx、光ディジタル入力信号Sy2の光強度をPiny、高非線形光ファイバHNLF3の非線形定数をγ、長さをLとすると、φ22はφ22=2AγPxL=φx、φ21はφ21=2BγPyL=φyで表される。なお、AおよびBは2/3より大きく2より小さい係数であり、Aは光パルス列Sp22と光ディジタル入力信号Sx2との偏波状態の関係により定まり、Bは光パルス列Sp21と光ディジタル入力信号Sy2との偏波状態の関係により定まる。本実施の形態2においても光ディジタル入力信号Sx2、Sy2はそれぞれ偏波コントローラPC6、PC7で別々に偏波状態を調整することができるので、AおよびBが高い値となるように偏波コントローラPC6、PC7を調節して、より少ない光強度で効率よく位相を変化させることができる。
【0062】
次に、高非線形光ファイバHNLF3を通過した光パルス列Sp21、Sp21は、光ファイバループ204c内を伝搬し、光方向性結合器OC4によって結合される。結合した光は光ディジタル出力信号として光入力端子204aまたは光出力端子204bから出力される。光出力端子204bから透過ポート209aに出力される光ディジタル出力信号Sout21の光強度をPout21、位相シフト量をΔφ=|φ21−φ22|=|φy−φx|とすると、Pout21=Pp2(1−cosΔφ)/2が成立する。また、光入力端子204aから反射ポート209bに出力される光ディジタル出力信号Sout22の光強度をPout22とすると、Pout22=Pp2(1+cosΔφ)/2が成立する。φxは光ディジタル入力信号Sx2の光強度であるPxに比例し、φyは光ディジタル入力信号Sy2の光強度であるPyに比例するから、非線形光ループミラー204の入力光強度に対する出力光強度は、2つの光ディジタル入力信号の光強度に応じて周期的に変化することになる。その結果、光ディジタル入力信号Sx2、Sy2の光強度を調整して位相シフト量を所定値に設定することにより、非線形光ループミラー204から出力される光ディジタル出力信号Sout21、Sout22を、光ディジタル入力信号Sx2、Sy2に対する所定の論理演算結果を示す光ディジタル信号とすることができる。なお、実施の形態1においては位相シフト量はΔφ=φx+φyで表されたが、本実施の形態2では、位相シフト量はΔφ=|φy−φx|で表される点で異なる。
【0063】
次に、具体的な位相シフト量の設定について説明する。図10は、非線形光ループミラー204によってAND演算およびNAND演算を実行する場合の位相シフト量の設定について、位相シフト量に対する透過ポートおよび反射ポートへの出力光強度を示すグラフを用いて説明する図である。なお、このグラフでは位相シフト量は2πまで表示している。ここで出力光強度に対して所定の値を有する閾値Th7および閾値Th8を設定し、出力光強度が閾値より高ければ符号“1”、低ければ符号“0”と認識されることとする。
【0064】
AND演算またはNAND演算を行う場合、光ディジタル入力信号Sx2、Sy2の光強度を所定値に調整しておくと、以下の特性が実現できる。すなわち、図10の上部に示される透過ポートに出力される光ディジタル出力信号Sout21に関しては、光ディジタル入力信号Sx2、Sy2の符号が(0:0)の場合、位相シフト量であるΔφは0であるから、出力光強度であるPout21は0であり、符号“0”と認識される。また、符号が(1:0)の場合はΔφがφ3、(0:1)の場合はΔφがφ4となり、Pout21はP3となる。P3は閾値Th7の値より低いから符号“0”と認識される。また、符号が(1:1)の場合、Δφはφ4−φ3=φ5となり、Pout21はP5となる。P5は閾値Th7の値より高いから符号“1”と認識される。つまり、光ディジタル出力信号Sout21は、光ディジタル入力信号Sx2、Sy2に対するAND演算結果を示すものとなる。
【0065】
一方、図10の下部に示される反射ポートに出力される光ディジタル出力信号Sout22に関しては、光ディジタル入力信号Sx2、Sy2の符号が(0:0)の場合、Δφは0であり、出力光強度であるPout22は閾値Th8の値よりも高くなるから符号“1”と認識される。また、符号が(1:0)の場合はΔφがφ3、0:1の場合はΔφがφ4となり、Pout22は閾値Th8の値より高くなるから符号“1”と認識される。また、(1:1)の場合、Δφはφ4−φ3=φ5となり、Pout22は閾値Th8の値より低くなるから符号“0”と認識される。つまり、光ディジタル出力信号Sout22は、光ディジタル入力信号Sx2、Sy2に対するNAND演算結果を示すものとなる。
【0066】
具体的には、図13の項目の番号「8」および「9」に示されるように、本実施の形態2では、光ディジタル入力信号Sx2、Sy2の光強度を、φxがπ/3、φyが5π/3となるように調整する。すると、光ディジタル出力信号Sout21については、符号が(0:0)ではPout21=0、(1:0)または(0:1)ではPout21=0.25Pp2、(1:1)ではPout21=0.75Pp2となるので、閾値Th7を0.5Pp2に設定すれば、上記のAND演算を実現できる。また、光ディジタル出力信号Sout22については、符号が(0:0)ではPout22=Pp2、(1:0)または(0:1)ではPout22=0.75Pp2、(1:1)ではPout22=0.25Pp2となるので、閾値Th8を0.5Pp2に設定すれば、上記のNAND演算を実現できる。
【0067】
また、図11は、非線形光ループミラー204によってOR演算およびNOR演算を実行する場合の位相シフト量の設定について、位相シフト量に対する透過ポートおよび反射ポートへの出力光強度を示すグラフを用いて説明する図であり、図12は、非線形光ループミラー204によってXOR演算および一致演算を実行する場合の位相シフト量の設定について、位相シフト量に対する透過ポートおよび反射ポートへの出力光強度を示すグラフを用いて説明する図である。図11および12においても、図10の場合と同様に、所定の閾値Th9〜12を設定し、2つの光ディジタル入力信号の符号の組み合わせに対して所定の位相シフト量となるように光ディジタル入力信号の強度を調整することによって、所望の論理演算を実現できる。図10〜12における位相シフト量に対する透過ポートおよび反射ポートへの出力光強度を示すグラフは、いずれも非線形光ループミラー204の特性を示すものであり、構成を変更しなくても、光ディジタル入力信号Sx2、Sy2の光強度を調整し、位相シフト量の設定を変更するだけで、いずれの演算も実現することができる。そして、図13の本実施の形態2の場合について示すようにφx、φyを設定すれば、項目の番号「1」〜「16」に示す2入力1出力の全ての論理演算を同じ構成で実現することができる。
【0068】
次に、光論理演算器203は、光出力端子204bから出力されたAND演算結果を示す光ディジタル出力信号Sout21を光バンドパスフィルタBPF3に入力し、光信号出力部205に備えられたスイッチ209の透過ポート209aに出力するとともに、光入力端子204aから出力されたNAND演算結果を示す光ディジタル出力信号Sout22を、光サーキュレータOCIR3を介して光バンドパスフィルタBPF4に入力し、スイッチ209の反射ポート209bに出力する。なお、光バンドパスフィルタBPF3、BPF4は、光バンドパスフィルタBPF1、BPF2と同様に、光ディジタル出力信号Sout21、Sout22を透過し、光ディジタル入力信号Sx2、Sy2を透過させないので、光信号出力部205には光ディジタル入力信号Sx2、Sy2が漏洩しない。
【0069】
次に、光信号出力部205に備えられたスイッチ209は、実施の形態1の場合と同様に、要求された論理演算に応じて光ディジタル出力信号Sout21またはSout22のいずれかを切り換えて共通ポート209cに出力する。次に、光増幅器OA5は共通ポート209cから出力された光ディジタル出力信号Sout21またはSout22を増幅して光閾値処理器207に出力する。
【0070】
光閾値処理器207は、光閾値処理器107と同様の構成および動作原理を有するものであり、高非線形光ファイバHNLF4において発生する非線形光学効果を用いて光ディジタル出力信号Sout21またはSout22の光強度を非線形的に制御することにより、光ディジタル出力信号における2値の間の消光比を高めて、光出力端子208bから光ディジタル出力信号Sout21またはSout22を光論理演算装置200の外部へと出力する。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態2に係る光論理演算装置200は、実施の形態1に係る光論理演算装置100と同様に、2つの2値の光ディジタル入力信号を電気信号に変換せずに光のまま超高速で論理演算処理することができる。また、2つの2値の光ディジタル入力信号の光強度を調整するのみで論理演算の種類を変えることができ、2入力1出力の全ての論理演算を同じ構成で行うことができる。その結果、全光制御の光入出力論理演算が可能となるため、光通信や光コンピューティングで用いられている光信号を光のみで制御することが可能となる。
【0072】
なお、上述した実施の形態1、2では、いずれも光干渉計として非線形光ループミラーを用いて光論理演算器103、203および光閾値処理器107、207を実現しているが、これにかぎらず、各種の非線形光学効果を用いた光干渉計や光スイッチを用いてもよい。たとえば、非線形光媒質を含む導波路型マハツェンダ干渉計を用いて実現してもよいし、非線形光媒質を含む複屈折性光導波路と偏光子を組み合わせた光カーシャッターを用いて実現してもよい。
【0073】
図14は、実施の形態1の変形例として光論理演算器103において光干渉計として導波路型マハツェンダ干渉計110を用いた構成を説明するブロック図である。マハツェンダ干渉計110は、光入力端子110aと、光出力端子110b、110cと、非線形光学媒質である高非線形光導波路部HNLWG1を含む光導波路110dと、光導波路110eと、光入力端子110aから入力した光パルス列Sp1の光を2分岐し、2分岐した光を互いに異なる光導波路110d、110eを通るように伝搬させた後に結合し、光出力端子110bまたは光出力端子110cから出力するように接続した分岐比が1:1の光方向性結合器OC8、OC9と、光導波路110d内の高非線形光導波路部HNLWG1に合成光ディジタル入力信号Sxyを入力する光合波器OC10とを有する。
【0074】
導波路型マハツェンダ干渉計110は、光導波路110dを構成する導波路よりも光学非線形性が高い高非線形光導波路部HNLWG1において発生する非線形光学効果を用いて合成光ディジタル入力信号Sxyの光強度によって光パルス列Sp1の光強度を制御して所定の論理演算結果を示す光ディジタル出力信号Sout11またはSout12に変換し、光出力端子110cまたは110bから出力する。
【0075】
導波路型マハツェンダ干渉計110の動作原理は非線形光ループミラー104とほぼ同様である。すなわち、光方向性結合器OC8が偏波コントローラPC10により偏波状態を調整した光パルス列Sp1を1:1に分岐する。そして導波路110dを伝搬する光パルス列は合成光ディジタル入力信号SxyによってXPMを受けて光の位相が変化し、導波路110eを伝搬する光パルス列はXPMを受けずに光の位相が変化しない。その結果、方向性結合器OC9が2つの光パルス列を合波して出力する出力光強度は、2つの光ディジタル入力信号Sx1、Sy1の光強度に応じて周期的に変化することになる。なお、図14における光バンドパスフィルタBPF5、6は、それぞれ図2における光バンドパスフィルタBPF2、1に対応する。
【0076】
図15は、実施の形態2の変形例として光論理演算器203において光干渉計として導波路型マハツェンダ干渉計210を用いた構成を説明するブロック図である。マハツェンダ干渉計210は、光入力端子210aと、光出力端子210b、210cと、非線形光学媒質である高非線形光導波路部HNLWG2を含む光導波路210dと、非線形光学媒質である高非線形光導波路部HNLWG3を含む光導波路210eと、光入力端子210aから入力した光パルス列Sp2の光を2分岐し、2分岐した光を互いに異なる光導波路210d、210eを通るように伝搬させた後に結合し、光出力端子210bまたは光出力端子210cから出力するように接続した分岐比が1:1の光方向性結合器OC11、OC12と、高非線形光導波路部HNLWG2に光ディジタル入力信号Sx2を入力する光合波器OC13と、高非線形光導波路部HNLWG3に光ディジタル入力信号Sy2を入力する光合波器OC14とを有する。
【0077】
導波路型マハツェンダ干渉計210は、光導波路210d、210eを構成する導波路よりも光学非線形性が高い高非線形光導波路部HNLWG2、HNLWG3において発生する非線形光学効果を用いて光ディジタル入力信号Sx2、Sy2の光強度によって光パルス列Sp2の光強度を制御して所定の論理演算結果を示す光ディジタル出力信号Sout21またはSout22に変換し、光出力端子210cまたは210bから出力する。
【0078】
導波路型マハツェンダ干渉計210の動作原理は非線形光ループミラー204とほぼ同様である。すなわち、光方向性結合器OC11が偏波コントローラPC13により偏波状態を調整された光パルス列Sp2を1:1に分岐する。そして導波路210dを伝搬する光パルス列は、偏波コントローラPC11により偏波状態を調整し光ディレイラインODL4によって光パルス列と同期した光ディジタル入力信号Sx2によってXPMを受けて光の位相が変化する。一方、導波路210eを伝搬する光パルス列は、偏波コントローラPC12により偏波状態を調整し光ディレイラインODL5によって光パルス列と同期した光ディジタル入力信号Sy2によってXPMを受けて光の位相が変化する。その結果、方向性結合器OC12が2つの光パルス列を合波して出力する出力光強度は、2つの光ディジタル入力信号Sx2、Sy2の光強度に応じて周期的に変化することになる。なお、図14における光バンドパスフィルタBPF7、8は、それぞれ図2における光バンドパスフィルタBPF2、1に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光論理演算装置の構成の概略を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る光論理演算装置の詳細な構成を説明するブロック図である。
【図3】実施の形態1に係る光論理演算器に備えられた非線形光ループミラーの動作原理を説明するブロック図である。
【図4】図3に示す非線形光ループミラーによってAND演算およびNAND演算を実行する場合の位相シフト量の設定について説明する図である。
【図5】図3に示す非線形光ループミラーによってOR演算およびNOR演算を実行する場合の位相シフト量の設定について説明する図である。
【図6】図3に示す非線形光ループミラーによってXOR演算および一致演算を実行する場合の位相シフト量の設定について説明する図である。
【図7】実施の形態1に係る光閾値処理器に備えられた非線形光ループミラーの入力光強度に対する出力光強度の特性を示すグラフである。
【図8】本発明の実施の形態2に係る光論理演算装置の詳細な構成を説明するブロック図である。
【図9】実施の形態2に係る光論理演算器に備えられた非線形光ループミラーの動作原理を説明するブロック図である。
【図10】図9に示す非線形光ループミラーによってAND演算およびNAND演算を実行する場合の位相シフト量の設定について説明する図である。
【図11】図9に示す非線形光ループミラーによってOR演算およびNOR演算を実行する場合の位相シフト量の設定について説明する図である。
【図12】図9に示す非線形光ループミラーによってXOR演算および一致演算を実行する場合の位相シフト量の設定について説明する図である。
【図13】所定の論理演算内容に対する真理値表、および実施の形態1および2の場合における位相シフト量の設定値と使用ポートとを示す図である。
【図14】実施の形態1の変形例として光論理演算器において光干渉計として導波路型マハツェンダ干渉計を用いた構成を説明するブロック図である。
【図15】実施の形態2の変形例として光論理演算器において光干渉計として導波路型マハツェンダ干渉計を用いた構成を説明するブロック図である。
【符号の説明】
【0080】
100、200 光論理演算装置
101、201 光信号入力部
102、202 光パルス列発生部
103、203 光論理演算器
104、108、204、208 非線形光ループミラー
104a、108a、110a、204a、208a、210a、 光入力端子
104b、108b、110b、110c、204b、208b、210b、210c 光出力端子
104c、204c、108c、208c 光ファイバループ
105、205 光信号出力部
106、206 光強度調整器
107、207 光閾値処理器
110、210 導波路型マハツェンダ干渉計
110d、110e、210d、210e 光導波路
ATT1、2 光減衰器
BPF1〜8 光バンドパスフィルタ
HNLF1〜4 高非線形光ファイバ
HNLWG1〜3 高非線形光導波路部
LS1、2 パルス光源
OA1〜5 光増幅器
OC1、OC3、OC4、OC7、OC8〜9、OC11〜12 光方向性結合器
OC0、OC2、OC5、OC6、OC10、OC13、OC14 光合波器
OCIR1〜4 光サーキュレータ
PC1〜13 偏波コントローラ
Sx1、Sy1、Sx2、Sy2 光ディジタル入力信号
Sxy 合成光ディジタル信号
Sout11、Sout12、Sout21、Sout22 光ディジタル出力信号
Sp1、Sp2 光パルス列
VOA 可変光減衰器
X、Y ディジタル情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの2値の光ディジタル入力信号を入力するとともに前記2つの光ディジタル入力信号の波長と異なる波長を有する光パルス列を入力する光信号入力ステップと、
非線形光学効果を用いて前記2つの光ディジタル入力信号の光強度によって前記入力した光パルス列の光強度を制御することにより、前記光パルス列を、前記2つの光ディジタル入力信号に対する所定の論理演算結果を示す2値の光ディジタル出力信号に変換して出力する光論理演算ステップと、
を含むことを特徴とする光論理演算方法。
【請求項2】
前記光信号入力ステップは、前記論理演算の種類に応じて前記2つの光ディジタル入力信号の光強度を調整する光強度調整ステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の光論理演算方法。
【請求項3】
前記光信号入力ステップは、波長が互いに異なる前記2つの光ディジタル入力信号を合成する光合成ステップを含み、
前記光論理演算ステップは、光干渉計内に備えられた非線形光学媒質に前記合成した2つの光ディジタル入力信号を入力して、前記光干渉計に入力した光パルス列の光強度を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の光論理演算方法。
【請求項4】
前記光論理演算ステップは、光干渉計内に備えられた非線形光学媒質に前記2つの光ディジタル入力信号を互いに異なる経路を通るように入力して、前記光干渉計に入力した光パルス列の光強度を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の光論理演算方法。
【請求項5】
前記光干渉計は、非線形光ループミラーであることを特徴とする請求項3または4に記載の光論理演算方法。
【請求項6】
非線形光学効果を用いて前記光ディジタル出力信号の光強度を非線形的に制御することにより、前記光ディジタル出力信号における2値の間の消光比を高める光閾値処理ステップを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の光論理演算方法。
【請求項7】
前記光閾値処理ステップは、非線形光ループミラーのループ内に備えられた光減衰手段を用いて、前記非線形光ループミラーに入力した前記光ディジタル出力信号の光強度を非線形的に制御することを特徴とする請求項6に記載の光論理演算方法。
【請求項8】
2つの2値の光ディジタル入力信号の入力受付を行う光信号入力部と、
前記2つの光ディジタル入力信号の波長と異なる波長を有する光パルス列を発生する光パルス列発生部と、
非線形光学効果を用いて前記2つの光ディジタル入力信号の光強度によって前記入力した光パルス列の光強度を制御することにより、前記光パルス列を、前記2つの光ディジタル入力信号に対する所定の論理演算結果を示す2値の光ディジタル出力信号に変換して出力する光論理演算器と、
前記光ディジタル出力信号を出力する光信号出力部と、
を有することを特徴とする光論理演算装置。
【請求項9】
前記光信号入力部は、前記論理演算の種類に応じて前記2つの光ディジタル入力信号の光強度を調整する光強度調整器を備えることを特徴とする請求項8に記載の光論理演算装置。
【請求項10】
前記光信号入力部は、波長が互いに異なる前記2つの光ディジタル入力信号を合成して出力する光合波器を備え、
前記光論理演算器は、
光入力端子と、
2つの光出力端子と、
非線形光学媒質を含む光干渉計と、
前記光入力端子から入力した前記光パルス列の光を2分岐し、該2分岐した光を前記光干渉計内を互いに異なる経路で伝搬させた後に結合し、前記2つの光出力端子から出力するように接続した1つ以上の光方向性結合器と、
前記光干渉計内の前記非線形光学媒質に前記光合波器から出力される光ディジタル入力信号を入力する光合波器と、
を備えることを特徴とする請求項8または9に記載の光論理演算装置。
【請求項11】
前記光論理演算器は、
光入力端子と、
2つの光出力端子と、
1つ以上の非線形光学媒質を含む光干渉計と、
前記光入力端子から入力した前記光パルス列の光を2分岐し、該2分岐した光を前記光干渉計内を互いに異なる経路で伝搬させた後に結合し、前記2つの光出力端子から出力するように接続した1つ以上の光方向性結合器と、
前記光干渉計内の前記非線形光学媒質に前記2つの光ディジタル入力信号を互いに異なる経路を通るように入力する2つの光合波器と、
を備えることを特徴とする請求項8または9に記載の光論理演算装置。
【請求項12】
前記光干渉計は、非線形光ループミラーであることを特徴とする請求項10または11に記載の光論理演算装置。
【請求項13】
前記光信号出力部は、前記光論理演算器の前記2つの光出力端子から出力される前記光ディジタル出力信号を切り換えて出力する切り換えスイッチを備えることを特徴とする請求項10〜12のいずれか一つに記載の光論理演算装置。
【請求項14】
前記光信号出力部は、非線形光学効果を用いて前記光ディジタル出力信号の光強度を非線形的に制御することにより、前記光ディジタル出力信号における2値の間の消光比を高める光閾値処理器を備えることを特徴とする請求項8〜13のいずれか一つに記載の光論理演算装置。
【請求項15】
前記光閾値処理器は、
光入力端子と、
光出力端子と、
非線形光学媒質を含む光ファイバループと、
前記光入力端子から入力した前記光ディジタル出力信号の光を2分岐し、該2分岐した光を前記光ファイバループ内を互いに反対方向に伝搬させた後に結合し、前記光入力端子または前記光出力端子から出力するように接続した光方向性結合器と、
前記光ファイバループ内に挿入された光減衰器と、
を有した非線形光ループミラーを備えることを特徴とする請求項14に記載の光論理演算装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−279599(P2007−279599A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−108980(P2006−108980)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】