説明

光走査型内視鏡システム

【課題】走査位置を自動で補正することが可能な光走査型内視鏡システムを提供すること。
【解決手段】光走査型内視鏡システムが、入射端に入射する光を出射端まで導光し該出射端から出射する光ファイバと、光ファイバの出射端近辺であって光ファイバの入射端寄りの位置に設けられ、光ファイバの側面を光ファイバの長手方向に直交し、かつ、互いに直交する第1及び第2の方向から押圧することにより光ファイバを屈曲させ、光ファイバの出射端を渦巻状に回転走査させる光ファイバ走査手段と、光ファイバの屈曲量及び屈曲方向を制御する制御手段と、光ファイバ走査手段よりも光ファイバの出射端側に配置され、光ファイバの出射端の回転軌跡を検出する検出手段とを備え、制御手段は、光ファイバの出射端の回転軌跡が略円形となるように、検出手段によって検出された光ファイバの出射端の回転軌跡に基づいて光ファイバの屈曲量及び屈曲方向を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバによって導光される光を観察部位に対して走査させ、その反射光を受光して画像化する光走査型内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバによって導光される光を観察部位に対して走査させ、その反射光を受光して画像化する光走査型内視鏡システムの1つとして、共焦点内視鏡装置が知られている(例えば、特許文献1)。共焦点内視鏡装置は、レーザ光を体腔内の生体組織に照射して、その照射された生体組織からの反射光のうち、対物光学系の物体側焦点面における反射光のみを抽出することにより、その生体組織を、通常の内視鏡光学系によって得られる観察像より高倍率で観察可能にするものである。共焦点内視鏡装置においては、生体組織に照射されるレーザ光を2次元若しくは3次元に走査させることで、通常の内視鏡光学系によって得られる観察像の倍率では観察できないような微小な対象物を観察したり、生体組織の断層部を観察したりすることができるように構成されている。
【0003】
また、近年、光ファイバによって導光される光を観察部位に対して渦巻状に走査させ、その反射光を受光して画像化する光走査型内視鏡システムが提案されている(例えば、特許文献2〜4)。このような光走査型内視鏡システムでは、シングルモード型の光ファイバを内視鏡内部に備えており、その基端部は、圧電アクチュエータによって片持ち梁状に保持される。そして、圧電アクチュエータは、振動の振幅を変調および増幅させながら、ファイバ先端部を固有振動数に従って2次元的に振動させて(共振させて)、光ファイバの先端部を渦巻状に駆動させる。その結果、光ファイバによって光源から導光された照明光が観察部位へ向けて渦巻状に照射され、その照射領域(走査領域)の画像が取得される。
【0004】
そして、近年、特許文献2〜4に記載されているような、光を渦巻状に走査させる構成の光走査型内視鏡システムを、特許文献1に記載されているような共焦点内視鏡装置に適用することも提案されている(例えば、特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−121961号公報
【特許文献2】米国特許第6,856,712号明細書
【特許文献3】米国特許第6,959,130号明細書
【特許文献4】米国特許第6,975,898号明細書
【特許文献5】特開2010−162090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2〜5に記載の光走査型内視鏡システムは、光ファイバを2次元的に走査させるために光ファイバの基端部に複数の圧電アクチュエータを備えており、各圧電アクチュエータに所定の周期及び振幅の電圧を印加することによって光ファイバを所定の方向に屈曲させることで光ファイバの先端を渦巻状に走査させている。しかし、通常、各圧電アクチュエータの特性が異なる(すなわち、バラツキがある)ため、各圧電アクチュエータに所定の周期及び振幅の電圧を印加したとしても正確な円形状の走査とはならず、歪んだ円形状(例えば、楕円状)の走査となる。そのため、従来は、渦巻状に照射される光をモニタしながら圧電アクチュエータに印加する電圧の調整を行う等、何らかの校正を行う必要があった。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ファイバの走査位置を検出し、正確な渦巻状走査となるように走査位置を自動で補正することが可能な光走査型内視鏡システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の光走査型内視鏡システムは、入射端に入射する光を出射端まで導光し該出射端から出射する光ファイバと、光ファイバの出射端近辺であって光ファイバの入射端寄りの位置に設けられ、光ファイバの側面を光ファイバの長手方向に直交し、かつ、互いに直交する第1及び第2の方向から押圧することにより光ファイバを屈曲させ、光ファイバの出射端を渦巻状に回転走査させる光ファイバ走査手段と、光ファイバの屈曲量及び屈曲方向を制御する制御手段と、光ファイバ走査手段よりも光ファイバの出射端側に配置され光ファイバの出射端の回転軌跡を検出する検出手段とを備え、制御手段は、光ファイバの出射端の回転軌跡が略円形となるように、検出手段によって検出された光ファイバの出射端の回転軌跡に基づいて光ファイバの屈曲量及び屈曲方向を制御することを特徴とする。
【0009】
このような構成により、光ファイバの出射端の回転軌跡が略円形となるように、走査位置が自動で補正されるため、ユーザは、従来のような煩わしい校正を行うことなく光走査型内視鏡システムを使用することが可能となる。
【0010】
また、検出手段は、光ファイバの出射端近辺に設けられ、光ファイバが貫通する環状のマグネットと、光ファイバの回転中心軸から一定距離だけ離れた円周上に等間隔に配置される少なくとも3つ以上の磁気センサとを備えた構成とすることができる。この場合、磁気センサは、4つであり、第1及び第2の方向に沿って2つずつ配置されるのが好ましい。このような構成によれば、光ファイバの出射端の回転軌跡を正確に検出することが可能となる。
【0011】
また、第1の方向に沿って配置される磁気センサが検出する磁束の向きと、第2の方向に沿って配置される磁気センサが検出する磁束の向きが180°異なる構成としてもよい。このような構成によれば、光ファイバの出射端の回転軌跡を容易かつ正確に検出することが可能となる。
【0012】
また、光ファイバ走査手段は、第1及び第2の方向に沿って2つずつ配置された圧電アクチュエータを備え、制御手段は、各圧電アクチュエータに印加する電圧の振幅及び位相を制御することにより光ファイバの屈曲量及び屈曲方向を制御する構成とすることができる。このような構成によれば、各圧電アクチュエータに印加する電圧の振幅及び位相を制御することで、光ファイバの出射端の回転軌跡が略円形となるように容易に補正することができる。
【0013】
また、光ファイバの出射端を光ファイバの長手方向に移動させる光ファイバ移動手段を備え、検出手段は、光ファイバの長手方向の移動量を検出し、制御手段は、検出手段によって検出される移動量をモニタしながら光ファイバ移動手段を制御して光ファイバの出射端を光ファイバの長手方向に移動させるように構成してもよい。このような構成によれば、光ファイバの長手方向の移動量を検出するために別途センサ等を設ける必要がなくなるため装置全体をコンパクトに構成することが可能となる。
【0014】
また、光ファイバの出射端から出射される光を集光する光学系と、光学系によって集光される光の集光点と共役の位置に配置された共焦点ピンホールと、光ファイバの出射端から出射された光の反射光を、共焦点ピンホールを介して受光して画像信号を検出する画像信号検出手段と、検出された画像信号を用いて共焦点画像を生成する画像生成手段とを備える構成とすることもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ファイバの走査位置を検出し、正確な渦巻状走査となるように走査位置を自動で補正することが可能な光走査型内視鏡システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の光走査型内視鏡システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態の光走査型内視鏡システムが有する共焦点光学ユニットの構成を概略的に示す図である。
【図3】本発明の実施形態の光走査型内視鏡システムが有する2軸アクチュエータの構成を概略的に示す図である。
【図4】XY近似面上における光ファイバの先端の回転軌跡を示す図である。
【図5】XY近似面上における光ファイバの先端のX(又はY)方向の変位量と、サンプリング期間及び制動期間との関係を示す図である。
【図6】本発明の実施形態の光走査型内視鏡システムが有するファイバ位置検出センサの構成を概略的に示す図である。
【図7】磁気センサとマグネットとの関係を模式的に示す図である。
【図8】光ファイバの先端が渦巻状のパターンを描くように回転するときの磁気センサの出力電圧を示す図である。
【図9】光ファイバの先端がZ方向に進退したときのマグネットとファイバ位置検出センサとの位置関係を示す図である。
【図10】光ファイバの先端が渦巻状のパターンを描くように回転しながらZ方向に移動するときの磁気センサの出力電圧を示す図である。
【図11】本発明の実施形態の光走査型内視鏡システムにおいて実行される軌道補正処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の光走査型内視鏡システムについて説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態の光走査型内視鏡システム1の構成を示すブロック図である。本実施形態の光走査型内視鏡システム1は、共焦点顕微鏡の原理を応用して設計されたシステムであり、高倍率かつ高解像度の被写体を観察するのに好適に構成されている。図1に示されるように、光走査型内視鏡システム1は、システム本体100、共焦点プローブ200、モニタ300を有している。光走査型内視鏡システム1を用いた共焦点観察は、可撓性を有する管状の共焦点プローブ200の先端面を被写体に当て付けた状態で行う。
【0019】
システム本体100は、光源102、光分波合波器(フォトカプラ)104、ダンパ106、CPU108、CPUメモリ110、光ファイバ112、受光器114、映像信号処理回路116、画像メモリ118、映像信号出力回路120を有している。共焦点プローブ200は、光ファイバ202、共焦点光学ユニット220、サブCPU206、サブメモリ208、走査ドライバ210を有している。
【0020】
光源102は、CPU108の駆動制御に従い、患者の体腔内に投与された薬剤を励起する励起光を出射する。励起光は、光分波合波器104に入射する。光分波合波器104のポートの1つには、光コネクタ152が結合している。光分波合波器104の不要ポートには、光源102から出射された励起光を無反射終端するダンパ106が結合している。前者のポートに入射した励起光は、光コネクタ152を通過して共焦点プローブ200内に配置された光学系に入射する。
【0021】
光ファイバ202の基端は、光コネクタ152を通じて光分波合波器104と光学的に結合している。光ファイバ202の先端は、共焦点プローブ200の先端部に組み込まれた共焦点光学ユニット220内に収められている。光分波合波器104から出射された励起光は、光コネクタ152を通過して光ファイバ202の基端に入射後、光ファイバ202を伝送して光ファイバ202の先端から出射される。
【0022】
図2は、共焦点光学ユニット220の構成を概略的に示す図である。以下、共焦点光学ユニット220を説明する便宜上、共焦点光学ユニット220の長手方向をZ方向と定義し、Z方向に直交しかつ互いに直交する2方向をX方向、Y方向と定義する。図2に示されるように、共焦点光学ユニット220は、各種構成部品を収容する金属製の外筒221を有している。外筒221は、外筒221の内壁面形状に対応する外壁面形状を持つ円筒状のマウント222を同軸(Z方向)にスライド自在に保持している。光ファイバ202の先端(以下、符号「202a」を付す。)は、外筒221及びマウント222の各基端面に形成された開口に挿通され、マウント222に固定、支持される。光ファイバ202の先端202aは、光走査型内視鏡システム1の二次的な点光源として機能し、点光源である先端202aの位置は、CPU108による制御に基づいて周期的に変化する。
【0023】
サブメモリ208(図1)は、共焦点プローブ200の識別情報や各種プロパティ等のプローブ情報を格納している。サブCPU206は、システム起動時にサブメモリ208からプローブ情報を読み出して、システム本体100と共焦点プローブ200とを電気的に接続する電気コネクタ154を介してCPU108に送信する。CPU108は、送信されたプローブ情報をCPUメモリ110に格納する。CPU108は、格納したプローブ情報を必要時に読み出して共焦点プローブ200の制御に必要な信号を生成して、サブCPU206に送信する。サブCPU206は、CPU108から送信された制御信号に従って走査ドライバ210に必要な設定値を指定する。
【0024】
走査ドライバ210は、指定された設定値に応じたドライブ信号を生成して、先端202a付近の光ファイバ202の外周面に接着固定された筒状の2軸アクチュエータ223を駆動制御する。図3は、2軸アクチュエータ223の構成を概略的に示す図である。図3に示されるように、2軸アクチュエータ223は、走査ドライバ210と接続された一対のX軸用電極(図中「223X」、「223X´」)及びY軸用電極(図中「223Y」、「223Y´」)を圧電体上に形成した圧電アクチュエータであり、各電極がそれぞれ独立した4つのアクチュエータを構成している。
【0025】
走査ドライバ210は、交流電圧Xを2軸アクチュエータ223のX軸用電極223Xに印加し、交流電圧Xと同一周波数で且つ略同一の振幅であって、位相が180°異なる交流電圧X´をX軸用電極223X´に印加して圧電体をX方向に共振させる。また、走査ドライバ210は、交流電圧Xと同一周波数で且つ略同一の振幅であって、位相が90°異なる交流電圧YをY軸用電極223Yに印加し、交流電圧Yと同一周波数で且つ略同一の振幅であって、位相が180°異なる交流電圧Y´をY軸用電極223Y´に印加して圧電体をY方向に共振させる。交流電圧X、X´、Y、Y´はそれぞれ、振幅が時間に比例して線形に増加して、時間(X)、(X´)、(Y)、(Y´)かけて実効値(X)、(X´)、(Y)、(Y´)に達する電圧として定義される。このように、圧電体がX方向に及びY方向に共振する結果、光ファイバ202の先端202aは、2軸アクチュエータ223によるX方向、Y方向への運動エネルギーが合成されて、X−Y平面に近似する面(以下、「XY近似面」と記す。)上において中心軸AXを中心に渦巻状のパターンを描くように回転する。先端202aの回転軌跡は、印加電圧に比例して大きくなり、実効値(X)、(X´)、(Y)、(Y´)の交流電圧が印加された時点で最も大きい径を有する円の軌跡を描く。図4に、XY近似面上の先端202aの回転軌跡を示す。
【0026】
励起光は連続光であり、2軸アクチュエータ223への交流電圧X、X´、Y、Y´の印加開始直後から印加停止までの期間中、光ファイバ202の先端202aから出射される。以下、説明の便宜上、この期間を「サンプリング期間」と記す。サンプリング期間が経過して2軸アクチュエータ223への交流電圧X、X´、Y、Y´の印加が停止すると、光ファイバ202の振動が減衰する。XY近似面上における先端202aの円運動は、光ファイバ202の振動の減衰に伴って収束し、所定時間後に中心軸AX上で停止する。以下、説明の便宜上、サンプリング期間が終了してから先端202aが中心軸AX上に停止するまでの期間(より正確には、中心軸AX上での停止を保証するため、停止までに要する計算上の時間より僅かに長い期間)を「制動期間」と記す。1フレームに対応する期間は、1つのサンプリング期間と1つの制動期間で構成される。制動期間を短縮するため、制動期間の初期段階に2軸アクチュエータ223に逆相電圧を印加して制動トルクを積極的に加えてもよい。図5に、XY近似面上における先端202aのX(又はY)方向の変位量(振幅)と、サンプリング期間及び制動期間との関係を示す。
【0027】
光ファイバ202の先端202aの前方には、対物光学系224(図2)が設置されている。対物光学系224は、複数枚の光学レンズで構成されており、図示省略されたレンズ枠を介して外筒221に保持されている。レンズ枠は、外筒221の内部において、マウント222と相対的に固定され支持されている。そのため、レンズ枠に保持された光学レンズ群は、外筒221の内部をマウント222と一体となってZ方向にスライドする。
【0028】
外筒221の基端面には、Z方向に延びる回転軸226aを備えたモータ226が取り付けられている。回転軸226aの表面にはネジが切られており、回転軸の先端は、マウント222に設けられたネジ穴に挿通されている。また、マウント222の基端面と外筒221の内壁面との間には、圧縮コイルばね225が取り付けられている。圧縮コイルばね225は、自然長からZ方向に初期的に圧縮狭持されており、モータ226に対してプリロードを与えている。走査ドライバ210は、サブCPU206が指定した設定値に応じたドライブ信号を生成して、モータ266を制御する。モータ226は、入力されるドライブ信号に応じてマウント222を光ファイバ202ごとZ方向に進退させる。
【0029】
光ファイバ202の先端202aから出射した励起光は、対物光学系224を透過して被写体の表面又は表層でスポットを形成する。スポット形成位置は、点光源である先端202aの進退に応じてZ軸方向に変位する。すなわち、共焦点光学ユニット220は、2軸アクチュエータ223による先端202aのXY近似面上の周期的な円運動とZ方向の進退を併せることで、被写体を三次元走査する。
【0030】
光ファイバ202の先端202aは、対物光学系224の前側焦点位置に配置されているため、共焦点ピンホールとして機能する。従って、先端202aには、励起光により励起された被写体の散乱成分(蛍光)のうち先端202aと光学的に共役な集光点からの蛍光のみが入射する。蛍光は、光ファイバ202によって伝搬され、光コネクタ152を通過して光分波合波器104に入射する。光分波合波器104は、入射した蛍光を光源102から出射される励起光と分離して光ファイバ112に導く。蛍光は、光ファイバ112を伝搬して受光器114で検出される。受光器114には、微弱な光を低ノイズで検出するため、例えば光電子増倍管等の高感度光検出器が用いられる。
【0031】
受光器114によって検出された検出信号は、映像信号処理回路116に入力する。映像信号処理回路116は、CPU108の制御下で動作して、検出信号を一定のレートでサンプルホールド及びAD変換してデジタル検出信号を得る。ここで、サンプリング期間中の光ファイバ202の先端202aの位置(軌跡)が決まると、当該位置に対応する観察領域(走査領域)中のスポット形成位置、当該スポット形成位置からの戻り光を検出してデジタル検出信号を得る信号取得タイミングがほぼ一義的に決まる。後述するように、本実施形態においては、予め、光ファイバ202の先端202aの回転軌跡を検出し、回転軌跡に歪がある場合には自動で補正を行っている。従って、サンプリング期間中の光ファイバ202の先端202aの位置(軌跡)が安定的に求まるため、光ファイバ202の先端202aの位置から求まる所定のタイミングでデジタル検出信号を取得している。CPUメモリ110には、決定されたデジタル検出信号の信号取得タイミングと画素位置(画素アドレス)とを関連付けたリマップテーブルが格納されている。
【0032】
映像信号処理回路116は、リマップテーブルを参照して、各デジタル検出信号により表現される点像の画素アドレスへの割り当てを信号取得タイミングに応じて行う。以下、説明の便宜上、上記の割り当て作業をリマッピングと記す。映像信号処理回路116は、リマッピング結果に従って、各点像の空間的配列によって構成される画像の信号を画像メモリ118にフレーム単位でバッファリングする。バッファリングされた信号は、映像信号処理回路116によって所定のタイミングで画像メモリ118から読み出され、映像信号出力回路120に掃き出される。そして、映像信号出力回路120によって、NTSC(National Television System Committee)やPAL(Phase Alternating Line)等の所定の規格に準拠した映像信号に変換されてモニタ300に出力される。モニタ300の表示画面には、高倍率かつ高解像度の被写体の三次元共焦点画像が表示される。
【0033】
上述したように、本実施形態においては、2軸アクチュエータ223を構成するX軸用電極223X、223X´及びY軸用電極223Y、223Y´に交流電圧X、X´、Y、Y´をそれぞれ印加し、2軸アクチュエータ223をX方向及びY方向に共振(すなわち、屈曲)させることで、光ファイバ202の先端202aを渦巻状のパターンを描くように回転させている。ここで、2軸アクチュエータ223のX方向及びY方向における変位量(振幅)は、基本的に各電極に印加する電圧に依存するところ、各アクチュエータを構成するセラミックの結晶構造のバラツキ、分極時の温度設定のバラツキ、分極時の印加電圧のバラツキ等に因り、各アクチュエータの特性にバラツキが生じる。このため、各電極に同一の電圧を印加しても必ずしも同じ量だけ変位するとは限らず、各アクチュエータの特性が異なる場合、光ファイバ202の先端202aは理想的な円形の渦巻状のパターンとはならない。そこで、本実施形態においては、後述するように、予め、光ファイバ202の先端202aの回転軌跡を検出し、回転軌跡に歪がある場合には自動で補正を行うように構成されている。
【0034】
図6は、ファイバ位置検出センサ227の構成を概略的に示す図であり、図2における外筒221の先端側から外筒221の基端側(すなわち、図2の左側から右側)を見たときの正面図である。但し、説明の便宜のため、図6においては、対物光学系224を省略して示している。
【0035】
図2及び図6に示すように、光ファイバ202の先端202a近傍であって、2軸アクチュエータ223よりも光ファイバ202の先端202a側に、環状のマグネット228が取り付けられている。また、マグネット228を取り囲むように、環状のファイバ位置検出センサ227が外筒221の内壁面に沿って取り付けられている。ファイバ位置検出センサ227は、マグネット228と対向する面(内面)に4つの磁気センサ227a、227b、227c、227dを備えている。磁気センサ227aはX軸用電極223Xに対向し、磁気センサ227bはX軸用電極223X´に対向し、磁気センサ227cはY軸用電極223Yに対向し、磁気センサ227dはY軸用電極223Y´に対向するように、光ファイバ202の中心軸AXを中心とする円周上に一定の間隔をおいて配置されている。磁気センサ227a、227b、227c、227dは、例えば、ホール素子で構成され、X方向に沿って配置される磁気センサ227a及び227cで検出される磁界の向きと、Y方向に沿って配置される磁気センサ227b及び227dで検出される磁界の向きとが逆向きになるように(すなわち、磁気センサの向きを180°反転して)配置されている。各磁気センサで検出された磁界は電圧に変換されて走査ドライバ210、サブCPU206及び電気コネクタ154を経由してCPU108に送られる。
【0036】
上述したように、光ファイバ202の先端202aが渦巻状のパターンを描くように回転すると、光ファイバ202の先端202a近傍に配置されたマグネット228と、磁気センサ227a、227b、227c、227dとの相対的な位置関係が変化する。図7は、磁気センサ227a(227b、227c又は227d)とマグネット228との関係を模式的に示す図である。図7(a)は、光ファイバ202の先端202aが中心軸AX上で停止しているときのマグネット228と磁気センサ227aとの関係を示す図である。図7(b)は、光ファイバ202の先端202aが渦巻状に回転しているときのマグネット228と磁気センサ227aとの関係を示す図である。図7(a)に示すように、本実施形態においては、光ファイバ202の先端202aが中心軸AX上で停止している場合、マグネット228と磁気センサ227aとの間の距離が十分に大きく、マグネット228の磁束(磁界)が磁気センサ227aによって検出されないように構成されている。一方、図7(b)に示すように、光ファイバ202の先端202aが回転するときには、マグネット228が磁気センサ227aに接近するため、マグネット228と磁気センサ227aとの間の距離に応じた磁束が磁気センサ227aによって検出されるように構成されている。
【0037】
図8は、光ファイバ202の先端202aが渦巻状のパターンを描くように回転するときの磁気センサ227a、227b、227c、227dの出力電圧を説明する図である。図8(a)は、光ファイバ202の先端202aが正常な円軌道で渦巻状に回転するときの磁気センサ227a、227b、227c、227dの出力電圧を示す図である。図8(b)は、光ファイバ202の先端202aがX方向に延びた楕円軌道で渦巻状に回転するときの磁気センサ227a、227b、227c、227dの出力電圧を示す図である。図8(c)は、光ファイバ202の先端202aがX方向及びY方向に対して斜め方向に延びた楕円軌道で渦巻状に回転するときの磁気センサ227a、227b、227c、227dの出力電圧を示す図である。なお、図8(a)〜(c)においては、説明の便宜のため、光ファイバ202の先端202aが1回転するときの様子のみ示している。
【0038】
図8(a)に示すように、光ファイバ202の先端202aが中心軸AXを中心として正常な円軌道で1回転すると、マグネット228は、磁気センサ227a、227c、227b、227dに囲まれた空間を1回転する。このとき、磁気センサ227a、227c、227b、227dが配置される円周と、光ファイバ202の先端202aが回転する円軌道とは中心軸AXを中心とする同心円となり、マグネット228は、磁気センサ227a、227c、227b、227dの順に一定の速度で接近し、離間する。従って、磁気センサ227a、227c、227b、227dからの出力電圧は、横軸を時間としたときに4つの山形の波形を組み合わせた波形となり、各山形の波形の振幅(すなわち、各磁気センサの出力電圧の振幅)及び周期(各磁気センサの出力電圧のピークからピークまでの時間)は、略一定となる。CPU108がこのような電圧を受信すると、CPU108は、光ファイバ202の先端202aが正常な円軌道で回転していると判断する。
【0039】
図8(b)に示すように、光ファイバ202の先端202aがX方向に延びた楕円軌道で1回転すると、マグネット228は、磁気センサ227a、227c、227b、227dに囲まれた空間を1回転する。しかし、Y方向の振幅がX方向の振幅に比較して小さいため、マグネット228が磁気センサ227a及び227bに最接近した時のマグネット228と磁気センサ227a及び227bとの間の距離と、マグネット228が磁気センサ227c及び227dに最接近した時のマグネット228と磁気センサ227c及び227dとの間の距離とは異なる。従って、磁気センサ227a、227c、227b、227dからの出力電圧は、図8(a)と同様、横軸を時間としたときに一定の周期の4つの山形の波形を組み合わせたものとなるものの、磁気センサ227c及び227dの出力電圧の振幅は、磁気センサ227a及び227bの出力電圧の振幅に比較して小さくなる。CPU108がこのような電圧を受信すると、CPU108は、後述する軌道補正処理の中で光ファイバ202の先端202aが正常な円軌道で回転していないと判断し、X方向に延びた楕円軌道を正常な円軌道に補正する。
【0040】
図8(c)に示すように、光ファイバ202の先端202aがX方向及びY方向に対して斜め方向に延びた楕円軌道で1回転すると、マグネット228は、磁気センサ227a、227c、227b、227dに囲まれた空間を1回転する。しかし、楕円軌道の長軸及び短軸がX軸及びY軸に対して傾いているため、マグネット228が各磁気センサ227a、227c、227b、227dに最接近したときのマグネット228と各磁気センサ間の距離は、図8(a)の場合(正常な円軌道で回転する場合)のそれと比較して長くなる。また、マグネット228が各磁気センサ227a、227c、227b、227dに最接近するまでの時間がそれぞれ異なることとなる。従って、磁気センサ227a、227c、227b、227dからの出力電圧は、図8(a)及び(b)と同様、横軸を時間としたときに4つの山形の波形を組み合わせたものとなるものの、磁気センサ227c及び227dの波形の振幅は、図8(a)及び(b)の場合と比較して小さくなり、また山形の波形の周期も一定とはならない。CPU108がこのような電圧を受信すると、CPU108は、後述する軌道補正処理の中で光ファイバ202の先端202aが正常な円軌道で回転していないと判断し、X方向及びY方向に対して斜め方向に延びた楕円軌道を正常な円軌道に補正する。
【0041】
このように、本実施形態の光走査型内視鏡システム1においては、光ファイバ202の先端202aの回転軌道が検出され、正常な円軌道でないと判断された場合には、後述する軌道補正処理によって正常な円軌道となるように補正される。そして、光ファイバ202の先端202aが正常な円軌道となるように調整された上で、さらにZ方向に微小距離(例えば、0.5mm)進退駆動され、被写体が三次元走査される。
【0042】
図9は、光ファイバ202の先端202aがZ方向に進退したときのマグネット228とファイバ位置検出センサ227との位置関係を説明する模式図である。図9(a)は、光ファイバ202の先端202aが最もZ方向に退避した(Z方向マイナス側に移動した)ときのマグネット228とファイバ位置検出センサ227との位置関係を示した図である。図9(c)は、光ファイバ202の先端202aが最もZ方向に突出した(Z方向プラス側に移動した)ときのマグネット228とファイバ位置検出センサ227との位置関係を示した図である。図9(b)は、光ファイバ202の先端202aが、図9(a)の位置と図9(c)の位置の中間に位置したときのマグネット228とファイバ位置検出センサ227との位置関係を示した図である。本実施形態の共焦点光学ユニット220においては、光ファイバ202の先端202aは渦巻状のパターンを描くように回転しながら1サンプリング期間内で1フレームの画像を取得している。そして、光ファイバ202の先端202aが、制動期間を迎える毎に図9(a)に示す位置から図9(c)に示す位置まで所定のピッチで移動することにより、Z方向に複数の画像を得ている。図10は、光ファイバ202の先端202aが渦巻状のパターンを描くように回転しながらZ方向に移動するときの磁気センサ227a(227b、227c又は227d)の出力電圧を示す図である。図10中、のこぎり波状の細い実線は各時間における(Z方向の各位置における)磁気センサ227aの出力電圧を示しており、太い実線は、のこぎり波状に変化する磁気センサ227aの出力電圧のピークを結んだ曲線である。また、図10の「a」は、図9(a)の位置(以下、「退避位置」という。)に光ファイバ202が位置したときに対応し、「b」は、図9(b)の位置(以下、「中間位置」という。)に光ファイバ202が位置したときに対応し、「c」は、図9(c)の位置(以下、「突出位置」という。)に光ファイバ202が位置したときに対応している。
【0043】
図9(a)及び図10に示すように、光ファイバ202が退避位置にある状態では、マグネット228は、磁気センサ227aよりもZ方向マイナス側にオフセットして配置される。そして、この状態で光ファイバ202の先端202aが渦巻状のパターンを描くように回転するとき、磁気センサ227a(227b、227c又は227d)はマグネット228から所定の磁束(出力電圧がVthとなる磁束)を受ける。この状態から光ファイバ202の先端202aがZ方向プラス側に移動すると、マグネット228が磁気センサ227aに接近し、磁気センサ227aが検出する磁束が増えるため、磁気センサ227aの出力電圧は徐々に大きくなる。そして、マグネット228が磁気センサ227aと対向する位置(すなわち、中間位置)まで移動すると、磁気センサ227aの出力電圧のピークは略一定となる(図9(b)、図10中「b」)。次いで、この状態からさらに光ファイバ202の先端202aがZ方向プラス側に移動すると、マグネット228は磁気センサ227aから離間し、磁気センサ227aが検出する磁束が減るため、磁気センサ227aの出力電圧は徐々に小さくなる。そして、光ファイバ202の先端202aが突出位置まで移動すると、マグネット228は、磁気センサ227aよりもZ方向プラス側にオフセットして配置される。そして、この状態で光ファイバ202の先端202aが渦巻状のパターンを描くように回転するとき、磁気センサ227aはマグネット228から所定の磁束(出力電圧がVthとなる磁束)を受ける(図9(c)、図10中「c」)。
【0044】
このように、光ファイバ202の先端202aがZ方向に移動するとき、磁気センサ227a、227b、227c、227dの出力が変化する。本実施形態においては、このような磁気センサ227a、227b、227c、227dの出力の変化を利用し、光ファイバ202の先端202aのZ方向への移動量をモニタしている。従って、マウント222とモータ226の回転軸226aとの間でバックラッシュがあるような場合であっても、光ファイバ202の先端202aの位置がZ方向において正確に制御される。
【0045】
次に、本実施形態のCPU108において実行される軌道補正処理について説明する。図11は、本実施形態のCPU108において実行される軌道補正処理のフローチャートである。本実施形態の軌道補正処理は、光走査型内視鏡システム1の画像取得・表示動作に先立って行われる一種の校正サブルーチンであり、光走査型内視鏡システム1のシステム起動時に、CPU108が不図示のメモリに記憶されているプログラムをCPUメモリ110に読み出して実行することにより行われる。図11に示すように、軌道補正処理が開始されると、CPU108はステップS1を実行する。
【0046】
ステップS1では、CPU108は、補正回数パラメータiを「0」にリセットする。ここで、補正回数パラメータiは、後述する補正処理(ステップS9)の実行回数をカウントする変数である。次いで、処理は、ステップS2に進む。
【0047】
ステップS2では、CPU108は、サブCPU206、走査ドライバ210を介してモータ226を駆動し、光ファイバ202の先端202aを中間位置(図9(b)に示す位置)まで移動させる。次いで、処理は、ステップS3に進む。
【0048】
ステップS3では、CPU108は、光ファイバ202の先端202aの軌道検出を行う。具体的には、CPU108は、サブCPU206を介して走査ドライバ210に基準の設定値を送信して、2軸アクチュエータ223のX軸用電極223X、223X´及びY軸用電極223Y、223Y´に交流電圧X、X´、Y、Y´をそれぞれ印加する。ここで、基準の設定値とは、光ファイバ202の先端202aを基準の渦巻状のパターンを描くように回転させるための走査ドライバ210のパラメータであり、これによってX軸用電極223X、223X´及びY軸用電極223Y、223Y´には基準の交流電圧X、X´、Y、Y´が印加される。そして、CPU108は、磁気センサ227a、227b、227c、227dからの出力電圧を受信して光ファイバ202の先端202aの軌道検出を行う。次いで、処理は、ステップS4に進む。
【0049】
ステップS4では、CPU108は、磁気センサ227a、227b、227c、227dからの出力電圧をモニタし、正常な円軌道で回転しているか否かを判断する。図8(a)に示す波形を検出し、正常な円軌道で回転していると判断された場合(ステップS3:YES)、処理は、ステップS5に進み、光ファイバ202を退避位置(すなわち、Z方向における初期位置)に移動して、軌道補正処理を終了する。一方、ステップS4において、図8(b)又は(c)に示すような波形を検出し、正常な円軌道で回転していないと判断された場合(ステップS4:NO)、処理は、ステップS6に進む。
【0050】
ステップS6では、CPU108は、補正回数パラメータiをインクリメントし、処理は、ステップS7に進む。
【0051】
ステップS7では、CPU108は、補正回数パラメータiが所定の上限値に達したか否かを判断する。後述する補正処理(ステップS9)において、2軸アクチュエータ223のX軸用電極223X、223X´及びY軸用電極223Y、223Y´に印加される交流電圧X、X´、Y、Y´の振幅及び位相が調整され、光ファイバ202の先端202aの軌道が円軌道となるように補正されるが、2軸アクチュエータ223のX軸用電極223X、223X´及びY軸用電極223Y、223Y´に印加できる電圧には所定の許容範囲があるため、補正回数パラメータiが所定の上限値に達したか否かを判断することにより、2軸アクチュエータ223の不具合(故障)を判断している。ステップS7において、補正回数パラメータiが所定の上限値に達していると判断された場合(ステップS7:YES)、CPU108は、2軸アクチュエータ223に不具合があると判断し、モニタ300にエラー表示を行って(ステップS8)、軌道補正処理を終了する。一方、ステップS7において、補正回数パラメータiが所定の上限値に達していないと判断された場合(ステップS7:NO)、処理は、ステップS9に進む。
【0052】
ステップS9では、CPU108は、光ファイバ202の先端202aの軌道が円軌道となるように補正処理を実行する。具体的には、磁気センサ227a、227b、227c、227dからの出力電圧をモニタし、基準の渦巻状のパターンとなるように、2軸アクチュエータ223のX軸用電極223X、223X´及びY軸用電極223Y、223Y´に印加される交流電圧X、X´、Y、Y´の振幅及び位相をそれぞれ所定量調節する。例えば、図8(b)に示すように、光ファイバ202の先端202aがX方向に延びた楕円軌道で回転している場合には、CPU108は、Y軸用電極223Y、223Y´に印加する交流電圧Y、Y´の振幅が所定量増加するように、走査ドライバ210の設定値を変更する。また、例えば、図8(c)に示すように、光ファイバ202の先端202aがX方向及びY方向に対して斜め方向に延びた楕円軌道で回転している場合には、CPU108は、X軸用電極223X、223X´及びY軸用電極223Y、223Y´に印加する交流電圧X、X´、Y、Y´の振幅及び位相がそれぞれ所定量増加又は減少するように、走査ドライバ210の設定値を変更する。このように、交流電圧X、X´、Y、Y´の振幅及び位相が所定量調節される結果、光ファイバ202の先端202aの軌道が円軌道となる方向に補正される。そして、処理は、ステップS3に戻り、ステップS3からS9までの処理が繰り返されることにより、光ファイバ202の先端202aの軌道が基準の渦巻状のパターンとなるまで補正される。
【0053】
このように、軌道補正処理のサブルーチンが実行されることにより、光ファイバ202の先端202aの軌道が基準の渦巻状のパターンとなるように自動的に校正される。そして、本実施形態の光走査型内視鏡システム1においては、この状態で、光ファイバ202の先端202aを渦巻状のパターンで回転させながらZ方向に移動させ、被写体を三次元走査することにより、三次元画像を取得している。
【0054】
以上が本発明の実施形態の説明であるが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内において様々な変形が可能である。例えば、本実施形態においては、X軸用電極223X、223X´及びY軸用電極223Y、223Y´を備えた2軸アクチュエータ223を用いる構成として説明したが、3軸、4軸等の多軸アクチュエータを用いる構成としてもよい。この場合、軸数に応じて電極が増えるため、電極数に応じて磁気センサを増やすことが望ましい。
【0055】
また、本実施形態においては、X軸用電極223X、223X´及びY軸用電極223Y、223Y´に対向するように4つの磁気センサ227a、227b、227c、227dを、中心軸AXを中心とした円周上に配置する構成として説明したが、光ファイバ202の先端202aの軌道が円軌道であるか否かを判別できればよいため、少なくとも3つ以上の磁気センサを、中心軸AXを中心とした円周上に配置すればよい。
【0056】
また、本実施形態の軌道補正処理のステップS3においては、走査ドライバ210に基準の設定値を送信して、2軸アクチュエータ223のX軸用電極223X、223X´及びY軸用電極223Y、223Y´に基準の交流電圧X、X´、Y、Y´を印加する構成としたが、軌道補正処理によって調整された設定値をメモリに記憶する構成とし、ステップS3において、前回の軌道補正処理によって調整された設定値をメモリから読み出す構成としてもよい。このような構成とすれば、軌道補正処理にかかる時間が短縮される。
【0057】
また、本実施形態の軌道補正処理は、光走査型内視鏡システム1の画像取得・表示動作に先立って行われる一種の校正サブルーチンであるとして説明したが、通常の画像取得・表示動作中も磁気センサ227a、227b、227c、227dの出力電圧をモニタし、光ファイバ202の先端202aの軌道が基準の渦巻状のパターンとなるように常に交流電圧X、X´、Y、Y´にフィードバックする構成としてもよい。
【0058】
また、本実施形態においては、光走査型内視鏡システム1は、励起光を出射する共焦点プローブ220を備える構成として説明したが、この構成に限定されるものではなく、特許文献2〜4に記載されているような白色光を出射する通常の光走査型内視鏡システムに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 光走査型内視鏡システム
100 システム本体
102 光源
104 光分波合波器
106 ダンパ
108 CPU
110 CPUメモリ
112 光ファイバ
114 受光器
116 映像信号処理回路
118 画像メモリ
120 映像信号出力回路
200 共焦点プローブ
202 光ファイバ
206 サブCPU
208 サブメモリ
210 走査ドライバ
220 共焦点光学ユニット
221 外筒
222 マウント
223 2軸アクチュエータ
223X、223X´ X軸用電極
223Y、223Y´ Y軸用電極
224 対物光学系
225 圧縮コイルばね
226 モータ
227 ファイバ位置検出センサ
227a、227b、227c、227d 磁気センサ
228 マグネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射端に入射する光を出射端まで導光し、該出射端から出射する光ファイバと、
前記光ファイバの出射端近辺であって前記光ファイバの入射端寄りの位置に設けられ、前記光ファイバの側面を前記光ファイバの長手方向に直交し、かつ、互いに直交する第1及び第2の方向から押圧することにより前記光ファイバを屈曲させ、前記光ファイバの出射端を渦巻状に回転走査させる光ファイバ走査手段と、
前記光ファイバの屈曲量及び屈曲方向を制御する制御手段と、
前記光ファイバ走査手段よりも前記光ファイバの出射端側に配置され、前記光ファイバの出射端の回転軌跡を検出する検出手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記光ファイバの出射端の回転軌跡が略円形となるように、前記検出手段によって検出された前記光ファイバの出射端の回転軌跡に基づいて前記光ファイバの屈曲量及び屈曲方向を制御することを特徴とする光走査型内視鏡システム。
【請求項2】
前記検出手段は、前記光ファイバの出射端近辺に設けられ、前記光ファイバが貫通する環状のマグネットと、前記光ファイバの回転中心軸から一定距離だけ離れた円周上に等間隔に配置される少なくとも3つ以上の磁気センサと、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光走査型内視鏡システム。
【請求項3】
前記磁気センサは、4つであり、前記第1及び第2の方向に沿って2つずつ配置されていることを特徴とする請求項2に記載の光走査型内視鏡システム。
【請求項4】
前記第1の方向に沿って配置される前記磁気センサが検出する磁束の向きと、前記第2の方向に沿って配置される前記磁気センサが検出する磁束の向きが180°異なることを特徴とする請求項3に記載の光走査型内視鏡システム。
【請求項5】
前記光ファイバ走査手段は、前記第1及び第2の方向に沿って2つずつ配置された圧電アクチュエータを備え、
前記制御手段は、前記各圧電アクチュエータに印加する電圧の振幅及び位相を制御することにより前記光ファイバの屈曲量及び屈曲方向を制御することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光走査型内視鏡システム。
【請求項6】
前記光ファイバの出射端を前記光ファイバの長手方向に移動させる光ファイバ移動手段を備え、
前記検出手段は、前記光ファイバの長手方向の移動量を検出し、
前記制御手段は、前記検出手段によって検出される前記移動量をモニタしながら前記光ファイバ移動手段を制御して前記光ファイバの出射端を前記光ファイバの長手方向に移動させることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光走査型内視鏡システム。
【請求項7】
前記光ファイバの出射端から出射される光を集光する光学系と、
前記光学系によって集光される光の集光点と共役の位置に配置された共焦点ピンホールと、
前記光ファイバの出射端から出射された光の反射光を、前記共焦点ピンホールを介して受光して画像信号を検出する画像信号検出手段と、
前記検出された画像信号を用いて共焦点画像を生成する画像生成手段と、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光走査型内視鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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