説明

光電変換エレクトロクロミック素子

【課題】色素増感型太陽電池に蓄電機能を付加した光電変換エレクトロクロミック素子を提供する。
【解決手段】光電変換色素(11b)を坦持した半導体微粒子(11a)を含有する光電変換層(11)、ホール輸送層、陽極電極層を有する光電変換素子部(10A)と、エレクトロクロミック化合物(12b)を坦持した半導体微粒子(12a)を含有するエレクトロクロミック層(12)、ホール輸送層、陽極電極層を有するエレクトロクロミック素子部(10B)と、が支持基板(1)上に隣接配置され、光電変換素子部(10A)の陽極電極層とエレクトロクロミック素子部(10B)の陽極電極層は、1つの共通の陽極電極層(3)からなり、光電変換素子部(10A)のホール輸送層とエレクトロクロミック素子部(10B)のホール輸送層は、1つの第1ホール輸送層(13)からなり、光電変換層(11)からエレクトロクロミック層(12)へ電子を輸送する電子輸送層(4)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロクロミック素子(electrochromic device, ECD)に関するものであり、特に、光電変換エレクトロクロミック素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
いわゆるエレクトロクロミック装置とは、導電材料で構成され、電場または電流を印加して可逆的に酸化還元(redox)反応が起きた時に色変化を行う装置である。このようなエレクトロクロミック装置の製作は、以下の条件を満たさなければならない:異なる電圧の下で、エレクトロクロミック装置の色を容易に認識することができる;色の変化が迅速かつ均一である;装置の色の可逆変化は、少なくとも1万回繰り返し可能である;装置の安定性が高い。
【0003】
従来のエレクトロクロミック装置は、表面制限薄膜型(surface confined thin-film)のエレクトロクロミック装置および溶液型のエレクトロクロミック装置であった。
このうち、表面制限薄膜型のエレクトロクロミック装置は、上部透明基板、底部透明基板、およびその間に設けられたエレクトロクロミック多層膜から形成される。特に、エレクトロクロミック多層膜は電池と類似した構造を有し、少なくとも5つの異なる機能の塗/堆積層を有する。この5つの塗/堆積層は、透明導電層、エレクトロクロミック層、電解質層、イオンストレージ層および別の透明導電層である。
【0004】
溶液型のエレクトロクロミック装置は、より簡単な構造を有し、電極層に向き合う方向でエポキシ樹脂系接着剤によって接合された上部透明導電層および底部透明導電層で形成され、上部と底部の透明導電層の間にエレクトロクロミック有機溶液が配置されている。溶液には、酸化型または還元型のエレクトロクロミック有機分子、ポリマー電解質および溶剤が含まれる。
【0005】
ところで、エレクトロクロミック技術の応用範囲を広げるため、光電技術と統合された研究が発展に向けて様々な方向に行われている。例えば、建材一体型太陽電池(building integrated photovoltaic, BIPV)は、エレクトロクロミック技術と協同して、室外と室内の照度の違いに基づいてエレクトロクロミック窓の色を自動的に調整し、室内の熱を下げることができ、追加の電力供給を必要としない。
【0006】
また、省エネルギーがますます重要な課題になってきているため、このような応用が新しい傾向となっており、例えば特許文献1では、シリコン薄膜太陽電池とエレクトロクロミック材料を統合したエレクトロクロミック装置が開示されている。その構造を見ると、2つの透明導電ガラス基板の間に、タンデム(tandem)構造のシリコン薄膜太陽電池、エレクトロクロミック装置および電解質層が順番に配置されており、最後にタンデム構造の2つの透明導電ガラス基板の外側にブリーダ抵抗が直列に接続され、シリコン薄膜太陽電池が発電した時に、エレクトロクロミック装置を駆動する電圧を活性化または不活性化するようになっている。
【0007】
このような両面電極構造はエレクトロクロミック装置と太陽電池を統合することができるが、無機材料は色変化を行うために大きな電荷密度(charge density)と大きな電圧を必要とし、必然的に、光電変換率を高めるため、真性層(intrinsic layer)をより厚くする必要があった。また、シリコン薄膜太陽電池の開放電圧(open circuit voltage, Voc)を上げるため、多接合タンデム(tandem)電池も適用される。その結果として、シリコン薄膜太陽電池の透過率が減少することになった。
【0008】
また、太陽電池にはいくつかの種類があるが、実用化されているものはシリコン半導体の接合を利用したダイオード型のものがほとんどである。これらの太陽電池は現状では製造コストが高く、このことが普及を妨げる要因となっている。
【0009】
これについて、スイスローザンヌ工科大学のGraetzelらが高効率の色素増感太陽電池(「DSSC」)を発表したことにより、低コスト化の可能性のある太陽電池として実用化への期待が高まっている(例えば、特許文献1、非特許文献1、2参照)。
【0010】
この高効率太陽電池は、透明導電性ガラス基板上に多孔質な金属酸化物半導体を設け、その表面に吸着した色素と、酸化還元対を有する電解質と、対向電極とからなる。Graetzelらは、酸化チタン等の金属酸化物半導体電極を多孔質化して表面積を大きくしたこと、並びに色素としてルテニウム錯体を単分子吸着させたことにより光電変換効率を著しく向上させた。
【0011】
このDSSCの性能を向上させるために、科学者は、増感剤色素の分子吸光係数、スペクトル帯幅、及び電荷輸送効率を高めることに関心をよせてきたが、増感剤色素からナノ粒子への電荷輸送効率を向上させ、ナノ粒子から増感剤色素への電子の逆輸送を減少させるために有効な方法は、今までのところ示されていない。
【0012】
また、太陽電池は光が照射されている間のみ発電するが、電力を必要する多くの場合、光が照射されている場合ばかりではない。そのため、一般に、常に電力を利用するためには蓄電を行う必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、以上の従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、色素増感型太陽電池に比較的簡単に蓄電機能を付加した光電変換エレクトロクロミック素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために提供する本発明は、以下の通りである。なお、カッコ内に本発明を実施するための形態において対応する部位及び符号等を示す。
〔1〕 光電変換色素(光電変換色素(11b))を坦持した半導体微粒子(半導体微粒子(11a))を含有する光電変換層(光電変換層(11))、ホール輸送剤が充填されたホール輸送層、陽極電極層を有する光電変換素子部(光電変換素子部(10A))と、エレクトロクロミック化合物(エレクトロクロミック化合物(12b))を坦持した半導体微粒子(半導体微粒子(12a))を含有するエレクトロクロミック層(エレクトロクロミック層(12))、ホール輸送剤が充填されたホール輸送層、陽極電極層を有するエレクトロクロミック素子部(エレクトロクロミック素子部(10B))と、が支持基板(支持基板(1))上に隣接配置され、前記光電変換素子部の陽極電極層と前記エレクトロクロミック素子部の陽極電極層は、1つの共通陽極電極層(陽極電極層(3))からなり、前記光電変換素子部のホール輸送層と前記エレクトロクロミック素子部のホール輸送層は、1つのホール輸送層(第1ホール輸送層(13))からなり、前記光電変換素子部の光電変換層から前記エレクトロクロミック素子部のエレクトロクロミック層へ電子を輸送する電子輸送経路(電子輸送層(4)、電子輸送経路(4’))が設けられていることを特徴とする光電変換エレクトロクロミック素子(光電変換エレクトロクロミック素子(10,20,30,40,50)、図1〜図5)。
〔2〕 前記電子輸送経路は、前記光電変換素子部の光電変換層及び前記エレクトロクロミック素子部のエレクトロクロミック層の下層として積層形成された電子輸送層(電子輸送層(4))であることを特徴とする前記〔1〕に記載の光電変換エレクトロクロミック素子(図1,図3,図4)。
〔3〕 前記電子輸送経路は、複数の粒子状の電子輸送材が電気的につながって形成されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の光電変換エレクトロクロミック素子(図2,図5)。
〔4〕 前記光電変換層及びエレクトロクロミック層は、前記半導体微粒子(半導体微粒子(11a,12a))が充填されてなることを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の光電変換エレクトロクロミック素子。
〔5〕 前記半導体微粒子は、酸化物半導体材料からなることを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の光電変換エレクトロクロミック素子。
〔6〕 前記半導体微粒子は、Ti及び/又はZnを含む化合物であることを特徴とする前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の光電変換エレクトロクロミック素子。
〔7〕 前記ホール輸送層は、前記光電変換素子部と前記エレクトロクロミック素子部との間に、前記ホール輸送剤が透過可能な多孔質状の隔離層(隔離層(16))を備えることを特徴とする前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の光電変換エレクトロクロミック素子(図1,図2,図5)。
〔8〕 前記ホール輸送剤は、ヨウ素含有電解液であることを特徴とする前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の光電変換エレクトロクロミック素子。
〔9〕 前記光電変換色素は、メタルフリーの有機色素であることを特徴とする前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の光電変換エレクトロクロミック素子。
〔10〕 前記共通陽極電極層は、Pt,Au,カーボンのいずれかを含有していることを特徴とする前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の光電変換エレクトロクロミック素子。
〔11〕 前記光電変換素子部の光電変換層及び前記エレクトロクロミック素子部のエレクトロクロミック層の前記共通陽極電極層とは反対側に共通陰極電極層(陰極電極層(2))を備えることを特徴とする前記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の光電変換エレクトロクロミック素子。
〔12〕 前記光電変換素子部と、前記エレクトロクロミック素子部とが、前記支持基板上に、アレイ状、格子状、ストライプ状のいずれかのパターン形状で交互に配置されていることを特徴とする前記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の光電変換エレクトロクロミック素子(図6,図7)。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光電変換エレクトロクロミック素子によれば、色素増感型太陽電池である光電変換素子部とエレクトロクロミック素子部を隣接配置し、陽極、ホール輸送層、電子輸送経路を適切に配置することにより、電導性が向上し、発電、蓄電効率が向上する。さらにコストの低減も可能である。また、エレクトロクロミック素子部における発色消色のコントラス比も向上し、窓に使用した場合は省エネルギー効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る光電変換エレクトロクロミック素子の第1の実施形態の構成を示す断面図である。
【図2】本発明に係る光電変換エレクトロクロミック素子の第2の実施形態の構成を示す断面図である。
【図3】本発明に係る光電変換エレクトロクロミック素子の第3の実施形態の構成を示す断面図である。
【図4】本発明に係る光電変換エレクトロクロミック素子の第3の実施形態の構成の変形例を示す断面図である。
【図5】本発明に係る光電変換エレクトロクロミック素子の第4の実施形態の構成を示す断面図である。
【図6】本発明に係る光電変換エレクトロクロミック素子の全体構造例(1)を示す概略図である。
【図7】本発明に係る光電変換エレクトロクロミック素子の全体構造例(2)を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る光電変換エレクトロクロミック素子について詳細に説明する。
本発明に係る光電変換エレクトロクロミック素子は、光電変換色素を坦持した半導体微粒子を含有する光電変換層、ホール輸送剤が充填されたホール輸送層、陽極電極層を有する光電変換素子部と、エレクトロクロミック化合物を坦持した半導体微粒子を含有するエレクトロクロミック層、ホール輸送剤が充填されたホール輸送層、陽極電極層を有するエレクトロクロミック素子部と、が支持基板上に隣接配置され、前記光電変換素子部の陽極電極層と前記エレクトロクロミック素子部の陽極電極層は、1つの共通陽極電極層からなり、前記光電変換素子部のホール輸送層と前記エレクトロクロミック素子部のホール輸送層は、1つのホール輸送層からなり、前記光電変換素子部の光電変換層から前記エレクトロクロミック素子部のエレクトロクロミック層へ電子を輸送する電子輸送経路が設けられていることを特徴とするものである。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る光電変換エレクトロクロミック素子の第1の実施形態の構成を示す断面図である。
光電変換エレクトロクロミック素子(10)は、光電変換素子部(10A)と、エレクトロクロミック素子部(10B)とが、支持基板(1)上で、その板面方向に隣接するように配置された構成となっている。
【0019】
[光電変換素子部(10A)]
光電変換素子部(10A)は、色素増感太陽電池の構造を有しており、支持基板(1)上に、図中下側から、陰極電極層(2)と、電子輸送層(4)と、光電変換層(11)と、ホール輸送剤が充填された第1ホール輸送層(13)と、第2ホール輸送層(14)と、陽極電極層(3)と、がその順番で積層された構成となっている。
なお、少なくとも、陰極電極層(2)、電子輸送層(4)、第1ホール輸送層(13)、陽極電極層(3)は、光電変換素子部(10A)とエレクトロクロミック素子部(10B)に共通のものとなっている。
【0020】
−光電変換層(11)−
光電変換層(11)は、後述する電子輸送層(4)上に積層形成されるものであり、粒子状の半導体材料である半導体微粒子(11a)を層として多孔質状を呈するように充填し、ついで該半導体微粒子(11a)に光電変換色素(11b)を吸着や結合により坦持させてなるものである。この光電変換層(11)は、単層であっても多層であってもよい。多層の場合、粒径の異なる半導体微粒子の分散液を多層塗布する方法や種類の異なる半導体や、樹脂、添加剤の組成が異なる塗布層を多層塗布する方法などにより形成するとよい。また、一度の塗布で膜厚が不足する場合には、多層塗布は有効な手段である。
【0021】
一般的に、光電変換層(11)の膜厚が増大するほど単位投影面積当たりの担持光電変換色素量も増えるため光の捕獲率が高くなるが、注入された電子の拡散距離も増えるため電荷の再結合によるロスも大きくなってしまう。従って、光電変換層(11)の膜厚は100nm〜100μmが好ましい。
【0022】
――半導体微粒子(11a)――
光電変換層(11)を構成する半導体微粒子(11a)は、半導体材料からなる微粒子であり、それに用いられる材料としては、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。具体的には、シリコン、ゲルマニウムのような単体半導体、あるいは金属のカルコゲニドに代表される化合物半導体、またはペロブスカイト構造を有する化合物等を挙げることができる。
【0023】
金属のカルコゲニドとしてはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、あるいはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。
他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム、等のリン化物、ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等が好ましい。
また、ペロブスカイト構造を有する化合物としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が好ましい。
【0024】
これらの中でも酸化物半導体が好ましく、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブが好ましく、単独、あるいは2種以上の混合で使用しても構わない。これらの半導体の結晶型は特に限定されるものではなく、単結晶でも多結晶でも、あるいは非晶質でも構わない。
【0025】
半導体微粒子(11a)の微粒子のサイズに特に制限はないが、一次粒子の平均粒径は1〜100nmが好ましく、5〜50nmがより好ましい。
また、より大きい平均粒径の半導体微粒子を混合し、入射光を散乱させる効果により、効率を向上させることも可能である。この場合の半導体の平均粒径は50〜500nmが好ましい。
【0026】
光電変換層(11)を多孔質状に形成する方法としては、特に制限はなく、スパッタリング等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式製膜法が挙げられる。
製造コスト等を考慮した場合、特に湿式製膜法が好ましく、半導体微粒子の粉末あるいはゾルを分散した分散液あるいはペーストを調製し、電子集電電極基板上に塗布する方法が好ましい。
この湿式製膜法を用いた場合、塗布方法は特に制限はなく、公知の方法に従って行なうことができる。例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。
【0027】
機械的粉砕、あるいはミルを使用して分散液を作製する場合、少なくとも半導体微粒子単独、あるいは半導体微粒子と樹脂の混合物を水あるいは有機溶剤に分散して形成される。
この時に使用される樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等によるビニル化合物の重合体や共重合体、シリコン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0028】
半導体微粒子を分散する溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、α−テルピネオール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒を挙げることができる。これらは単独、あるいは2種以上の混合溶媒として用いることができる。
【0029】
半導体微粒子の分散液、あるいはゾル−ゲル法等によって得られた半導体微粒子のペーストは、粒子の再凝集を防ぐため、塩酸、硝酸、酢酸等の酸、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル等の界面活性剤、アセチルアセトン、2−アミノエタノール、エチレンジアミン等のキレート化剤等を添加することができる。
また、製膜性を向上させる目的で増粘剤を添加することも有効な手段である。
この時加える増粘剤としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の高分子、エチルセルロース等の増粘剤等が挙げられる。
【0030】
半導体微粒子は、塗布した後に粒子同士を電子的にコンタクトさせ、膜強度の向上や基板との密着性を向上させるために焼成、マイクロ波照射、電子線照射、レーザー光照射、あるいはプレス処理を行なうことが好ましい。これらの処理は単独で行なってもあるいは二種類以上組み合わせて行なってもよい。
【0031】
焼成する場合、焼成温度の範囲に特に制限はないが、温度を上げ過ぎると基板の抵抗が高くなったり、溶融することもあるため、30〜700℃が好ましく、100〜600℃がより好ましい。また、焼成時間にも特に制限はないが、10分〜10時間が好ましい。
焼成後、半導体微粒子の表面積の増大や、光増感化合物から半導体微粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタンの水溶液や有機溶剤との混合溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行なってもよい。
【0032】
マイクロ波照射は、光電変換層(11)形成側から照射しても、裏側から照射しても構わない。
照射時間には特に制限がないが、1時間以内で行なうことが好ましい。
【0033】
プレス処理は、100kg/cm以上が好ましく、1000kg/cmが更に好ましい。プレスする時間は特に制限がないが、1時間以内で行なうことが好ましい。また、プレス処理時に熱を加えても構わない。
【0034】
あるいは、多孔質状の光電変換層(11)の形成方法として、特にガス中蒸着法が好ましい。この形成方法は、竜巻状のガス中に半導体微粒子(11a)を半溶解状態で飛ばし、親和性のよい同質材料に優先的に積層していくものである。
【0035】
直径が数十nmの半導体微粒子(11a)を焼結等によって積層(充填)した膜は、多孔質状態を形成する。このナノ多孔構造は、非常に高い表面積を持ち、その表面積はラフネスファクターを用いて表わすことができる。このラフネスファクターは、基板に塗布した半導体微粒子(11a)の面積に対する多孔質内部の実面積を表わす数値である。従って、ラフネスファクターは大きいほど好ましいが、光電変換層(11)の膜厚との関係もあり、本発明においては20以上が好ましい。
【0036】
――光電変換色素(11b)――
光電変換色素(11b)は、光電変換素子部(10A)に入射してきた光により、光励起され、つづいて半導体微粒子(11a)に電子注入するとともに、酸化されるものである。また、光変換効率の向上のため、光電変換色素(11b)は、半導体微粒子(11a)に化学吸着している。
【0037】
光電変換色素(11b)は使用される励起光により光励起される化合物であれば特に限定されないが、具体的には以下の化合物が挙げられる。
特表平7−500630号公報、特開平10−233238号公報、特開2000−26487号公報、特開2000−323191号公報、特開2001−59062号公報等に記載の金属錯体化合物、特開平10−93118号公報、特開2002−164089号公報、特開2004−95450号公報、J. Phys. Chem. C, 7224, Vol.111(2007)等に記載のクマリン化合物、同特開2004−95450号公報、Chem. Commun., 4887(2007)等に記載のポリエン化合物、特開2003−264010号公報、特開2004−63274号公報、特開2004−115636号公報、特開2004−200068号、特開2004−235052号公報、J. Am. Chem. Soc., 12218, Vol.126(2004)、Chem. Commun., 3036(2003)、Angew. Chem. Int. Ed., 1923, Vol.47(2008)等に記載のインドリン化合物、J. Am. Chem. Soc., 16701, Vol.128(2006)、J. Am. Chem. Soc., 14256, Vol.128(2006)等に記載のチオフェン化合物、特開平11−86916号公報、特開平11−214730号公報、特開2000−106224号公報、特開2001−76773号公報、特開2003−7359号公報等に記載のシアニン色素、特開平11−214731号公報、特開平11−238905号公報、特開2001−52766号公報、特開2001−76775号公報、特開2003−7360号等に記載メロシアニン色素、特開平10−92477号公報、特開平11−273754号公報、特開平11−273755号公報、特開2003−31273号等に記載の9−アリールキサンテン化合物、特開平10−93118号公報、特開2003−31273号等に記載のトリアリールメタン化合物、特開平9−199744号公報、特開平10−233238号公報、特開平11−204821号公報、特開平11−265738号、J. Phys. Chem., 2342, Vol.91(1987)、J. Phys. Chem. B, 6272, Vol.97(1993)、Electroanal. Chem., 31, Vol.537(2002)、特開2006−032260号公報、J. Porphyrins Phthalocyanines, 230, Vol.3(1999)、Angew. Chem. Int. Ed., 373, Vol.46(2007)、Langmuir, 5436, Vol.24(2008)等に記載のフタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物等を挙げることができる。
特にこの中で、金属錯体化合物、クマリン化合物、ポリエン化合物、インドリン化合物、チオフェン化合物を用いることが好ましい。
【0038】
半導体微粒子(11a)に光電変換色素(11b)を吸着させる方法としては、光電変換色素溶液中あるいは分散液中に半導体微粒子(11a)を含有する電子集電電極を浸漬する方法、溶液あるいは分散液を半導体微粒子(11a)を多孔質状の層に形成したものに塗布して吸着させる方法を用いることができる。
前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等を用いることができ、後者の場合は、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等を用いることができる。
また、二酸化炭素などを用いた超臨界流体中で吸着させても構わない。
【0039】
光電変換色素(11b)を吸着させる際、縮合剤を併用してもよい。
縮合剤は、無機物表面に物理的あるいは化学的に光電変換色素(11b)と半導体微粒子(11a)を結合すると思われる触媒的作用をするもの、または化学量論的に作用し、化学平衡を有利に移動させるものの何れであってもよい。
更に、縮合助剤としてチオールやヒドロキシ化合物を添加してもよい。
【0040】
光電変換色素(11b)を溶解、あるいは分散する溶媒は、水、メタノール、エタノール、あるいはイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒を挙げることができ、これらは単独、あるいは2種以上の混合として用いることができる。
【0041】
また、光電変換色素(11b)は、その種類によっては化合物間の凝集を抑制した方がより効果的に働くものが存在するため、凝集解離剤を併用しても構わない。
凝集解離剤としてはコール酸、ケノデオキシコール酸などのステロイド化合物、長鎖アルキルカルボン酸または長鎖アルキルホスホン酸が好ましく、用いる色素に対して適宜選ばれる。これら凝集解離剤の添加量は、色素1質量部に対して0.01〜500質量部が好ましく、0.1〜100質量部がより好ましい。
【0042】
これらを用い、光電変換色素(11b)、あるいは光電変換色素(11b)と凝集解離剤を吸着する際の温度としては、−50℃以上、200℃以下が好ましい。
また、この吸着は静置しても攪拌しながら行なっても構わない。
攪拌する場合の方法としては、スターラー、ボールミル、ペイントコンディショナー、サンドミル、アトライター、ディスパーザー、あるいは超音波分散等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
吸着に要する時間は、5秒以上、1000時間以下が好ましく、10秒以上、500時間以下がより好ましく、1分以上、150時間が更に好ましい。
また、吸着は暗所で行なうことが好ましい。
【0043】
−電子輸送層(4)−
電子輸送層(4)は、光電変換素子部(10A)の光電変換層(11)及びエレクトロクロミック素子部(10B)のエレクトロクロミック層(12)の共通の下層として支持基板(1)(陰極電極層(2))上に微粒子状の電子輸送材が緻密に充填されてなる層であり、光電変換素子部(10A)の光電変換層(11)からエレクトロクロミック素子部(10B)のエレクトロクロミック層(12)へ電子を輸送する電子輸送経路である。
なお、電子輸送層(4)の「緻密」とは、光電変換層(11)中の半導体微粒子(11a)の充填密度より高密度で無機酸化物半導体が充填されていることを意味する。
【0044】
ここで、電子輸送層(4)に用いられる電子輸送材としての半導体材料であれば特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。具体的には、シリコン、ゲルマニウムのような単体半導体、あるいは金属のカルコゲニドに代表される化合物半導体、またはペロブスカイト構造を有する化合物等を挙げることができる。
【0045】
金属のカルコゲニドとしてはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、あるいはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。
他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム、等のリン化物、ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等が好ましい。
また、ペロブスカイト構造を有する化合物としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が好ましい。
【0046】
これらの中でも酸化物半導体が好ましく、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブが好ましく、単独、あるいは2種以上の混合で使用しても構わない。これらの半導体の結晶型は特に限定されるものではなく、単結晶でも多結晶でも、あるいは非晶質でも構わない。
【0047】
半導体微粒子のサイズに特に制限はないが、一次粒子の平均粒径は1〜100nmが好ましく、5〜30nmがより好ましい。
【0048】
また、電子輸送層(4)の膜厚に制限はないが、10nm〜1μmが好ましく、20nm〜700nmがより好ましい。
【0049】
電子輸送層(4)の作製方法には特に制限はなく、スパッタリング等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式製膜法が挙げられる。製造コスト等を考慮した場合、特に湿式製膜法が好ましく、半導体微粒子の粉末あるいはゾルを分散した分散液あるいはペーストを調製し、電子集電電極基板上に塗布する方法が好ましい。
【0050】
この湿式製膜法を用いた場合、塗布方法は特に制限はなく、公知の方法に従って行なうことができる。例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。
【0051】
機械的粉砕、あるいはミルを使用して分散液を作製する場合、少なくとも半導体微粒子単独、あるいは半導体微粒子と樹脂の混合物を水あるいは有機溶剤に分散して形成される。
【0052】
この時に使用される樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等によるビニル化合物の重合体や共重合体、シリコン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0053】
半導体微粒子を分散する溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、α−テルピネオール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒を挙げることができる。これらは単独、あるいは2種以上の混合溶媒として用いることができる。
【0054】
半導体微粒子の分散液、あるいはゾル−ゲル法等によって得られた半導体微粒子のペーストは、粒子の再凝集を防ぐため、塩酸、硝酸、酢酸等の酸、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル等の界面活性剤、アセチルアセトン、2−アミノエタノール、エチレンジアミン等のキレート化剤等を添加することができる。
【0055】
また、製膜性を向上させる目的で増粘剤を添加することも有効な手段である。
この時加える増粘剤としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の高分子、エチルセルロース等の増粘剤等が挙げられる。
【0056】
半導体微粒子は、塗布した後に粒子同士を電子的にコンタクトさせ、膜強度の向上や基板との密着性を向上させるために焼成、マイクロ波照射、電子線照射、レーザー光照射、あるいはプレス処理を行なうことが好ましい。これらの処理は単独で行なってもあるいは二種類以上組み合わせて行なってもよい。
【0057】
焼成する場合、焼成温度の範囲に特に制限はないが、温度を上げ過ぎると基板の抵抗が高くなったり、溶融することもあるため、30〜700℃が好ましく、100〜600℃がより好ましい。また、焼成時間にも特に制限はないが、10分〜10時間が好ましい。
焼成後、半導体微粒子の表面積の増大や、光電変換色素から半導体微粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタンの水溶液や有機溶剤との混合溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行なってもよい。
【0058】
マイクロ波照射は、電子輸送層(4)形成側から照射しても、裏側から照射しても構わない。
照射時間には特に制限がないが、1時間以内で行なうことが好ましい。
【0059】
プレス処理は、100kg/cm以上が好ましく、1000kg/cmが更に好ましい。プレスする時間は特に制限がないが、1時間以内で行なうことが好ましい。また、プレス処理時に熱を加えても構わない。
【0060】
−ホール輸送層(15)−
ホール輸送層(15)は、異なるホール輸送材料からなる第1ホール輸送層(13)、第2ホール輸送層(14)が積層された構造である。
【0061】
――第1ホール輸送層(13)――
第1ホール輸送層(13)は、光電変換層(11)をホール輸送剤で被覆するように充填したものである。これにより、ホール輸送剤は、光電変換層(11)の上だけでなく、多孔質状の光電変換層(11)の空隙にも充填される。
【0062】
ここで、第1ホール輸送層(13)の材料(ホール輸送剤)としては、一般的に、支持塩を溶媒に溶解させたものが用いられる。
【0063】
支持塩として、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。具体的には、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BF等を用いることができる。
【0064】
また、溶媒として、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ-ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2-ジメトキシエタン、1,2-エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、ポリビニルカルバゾール、テトラニトロフロオルレノン、ポリピロールなどの導電性ポリマー、液体電解質、高分子固体電解質などのイオン導電体が用いられる。
【0065】
液状のイオン導電体としては、例えば、ヨウ化テトラプロピルアンモニウムおよびヨウ素をアセトニトリルなどに溶解したヨウ素系イオン導電体や、ヨウ化リチウム、ヨウ素、およびジメチルプロピルイミダゾリウムヨウ素を3−メトキシプロピオニトリルなどに溶解したヨウ素系イオン導電体などが挙げられる。
【0066】
高分子固体電解質は、酸化還元種を溶解あるいは酸化還元種を構成する少なくとも1つの物質と結合することができる固体状の物質であれば、特に限定されない。例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンサクシネート、ポリ−β−プロピオラクトン、ポリエチレンイミン、ポリアルキレンスルフィドなどの高分子化合物またはそれらの架橋体、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアルキレンオキサイドなどの高分子官能基に、ポリエーテルセグメントまたはオリゴアルキレンオキサイド構造を側鎖として付加したものまたはそれらの共重合体などが挙げられる。それらの中でも、ポリエーテルセグメントまたはオリゴアルキレンオキサイド構造を側鎖として付加したものが特に好ましい。
【0067】
第1ホール輸送層(13)の形成方法には特に制限はなく、製造コスト等を考慮した場合、湿式製膜法が好ましく、光電変換層(11)上に塗布する方法が好ましい。また、この湿式製膜法を用いた場合、塗布方法は特に制限はなく、公知の方法に従って行なうことができる。例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。
【0068】
なお、光電変換エレクトロクロミック素子(10)において、第1ホール輸送層(13)は、光電変換素子部(10A)のホール輸送層(15)とエレクトロクロミック素子部(10B)のホール輸送層(15)に共通のものである。すなわち、光電変換素子部(10A)の第1ホール輸送層(13)とエレクトロクロミック素子部(10B)の第1ホール輸送層(13)はホールの移動が可能につながっている、1つのホール輸送層となっている。
【0069】
――第2ホール輸送層(14)――
第2ホール輸送層(14)は、第1ホール輸送層(13)上に積層され、陽極電極層(3)に接するホール輸送性化合物を含む高分子材料からなる層である。製膜性に優れる高分子材料を用いることで多孔質状の光電変換層(11)の表面をより平滑化することができ、光電変換特性を向上することができる。また、高分子材料は、多孔質状の光電変換層(11)内部へ浸透することが困難であるため、逆に多孔質状の光電変換層(11)表面の被覆にも優れ、電極を設ける際の短絡防止にも効果を発揮するため、より高い性能を得ることが可能となる。
【0070】
第2ホール輸送層(14)に用いられるホール輸送性化合物としては、公知のホール輸送性化合物が用いられ、その具体例としては特公昭34−5466号公報等に示されているオキサジアゾール化合物、特公昭45−555号公報等に示されているトリフェニルメタン化合物、特公昭52−4188号公報等に示されているピラゾリン化合物、特公昭55−42380号公報等に示されているヒドラゾン化合物、特開昭56−123544号公報等に示されているオキサジアゾール化合物、特開昭54−58445号公報に示されているテトラアリールベンジジン化合物、特開昭58−65440号公報あるいは特開昭60−98437号公報に示されているスチルベン化合物等を挙げることができる。
【0071】
また、第2ホール輸送層(14)に用いられる高分子材料としては、公知のホール輸送性高分子材料が用いられ、その具体例としては、ポリ(3−n−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−n−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(9,9’−ジオクチル−フルオレン−コ−ビチオフェン)、ポリ(3,3’’’−ジドデシル−クォーターチオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(2,5−ビス(3−デシルチオフェン−2−イル)チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルチオフェン−コ−チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−チオフェン)、ポリ(3.6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−ビチオフェン)等のポリチオフェン化合物、ポリ[2−メトキシー5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[2−メトキシー5−(3,7−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[(2−メトキシ−5−(2−エチルフェキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン)−コ−(4,4’−ビフェニレンービニレン)]等のポリフェニレンビニレン化合物、ポリ(9,9’−ジドデシルフルオレニル−2,7−ジイル)、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(9,10−アントラセン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(4,4’−ビフェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジイル)−コ−(1,4−(2,5−ジヘキシルオキシ)ベンゼン)]等のポリフルオレン化合物、ポリ[2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニレン]、ポリ[2,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシー1,4−フェニレン]等のポリフェニレン化合物、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(N,N’−ジフェニル)−N,N’−ジ(p−ヘキシルフェニル)−1,4−ジアミノベンゼン]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(N,N’−ビス(4−オクチルオキシフェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[(N,N’−ビス(4−オクチルオキシフェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[(N,N’−ビス(4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[フェニルイミノ−1,4−フェニレンビニレン−2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニレンビニレン−1,4−フェニレン]、ポリ[p−トリルイミノ−1,4−フェニレンビニレン−2,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン−1,4−フェニレン]、ポリ[4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルイミノ−1,4−ビフェニレン]等のポリアリールアミン化合物、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(1,4−ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール]、ポリ(3,4−ジデシルチオフェン−コ−(1,4−ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール)等のポリチアジアゾール化合物を挙げることができる。
この中で、キャリア移動度やイオン化ポテンシャルを考慮するとポリチオフェン化合物とポリアリールアミン化合物が特に好ましい。
【0072】
また、上記に示したホール輸送化合物に各種添加剤を加えても構わない。
添加剤としては、ヨウ素、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化銅、ヨウ化鉄、ヨウ化銀等の金属ヨウ化物、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム、ヨウ化ピリジニウム等の4級アンモニウム塩、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化セシウム、臭化カルシウム等の金属臭化物、臭化テトラアルキルアンモニウム、臭化ピリジニウム等の4級アンモニウム化合物の臭素塩、塩化銅、塩化銀等の金属塩化物、酢酸銅、酢酸銀、酢酸パラジウム等の酢酸金属塩、硫酸銅、硫酸亜鉛等の金属硫酸塩、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩、フェロセン−フェリシニウムイオン等の金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等のイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン等、ヨウ化1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾイニウム塩、ヨウ化1−メチル−3−n−ヘキシルイミダゾリニウム塩、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムトリフロオロメタンスルホン酸塩、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムノナフルオロブチルスルホン酸塩、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド等のInorg. Chem. 35 (1996) 1168に記載のイオン液体、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ベンズイミダゾール等の塩基性化合物、リチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド、リチウムジイソプロピルイミド等のリチウム化合物を挙げることができる。
【0073】
また導電性を向上させる目的で、ホール輸送化合物の一部をラジカルカチオンにするための酸化剤を添加しても構わない。
その酸化剤としては、ヘキサクロロアンチモン酸トリス(4−ブロモフェニル)アミニウム、ヘキサフルオロアンチモネート銀、ニトロソニウムテトラフルオボラート等が好ましい。
この酸化剤の添加によって全てのホール輸送材料が酸化される必要はなく、一部のみが酸化されていればよい。また添加した酸化剤は添加した後、系外に取り出しても、取り出さなくてもよい。
【0074】
なお、光電変換エレクトロクロミック素子(10)において、第2ホール輸送層(14)を、光電変換素子部(10A)のホール輸送層(15)とエレクトロクロミック素子部(10B)のホール輸送層(15)に共通のものとしてもよい。
【0075】
−隔離層(16)−
ホール輸送層(15)は、図1に示すように、光電変換素子部(10A)とエレクトロクロミック素子部(10B)との間に、少なくとも第1ホール輸送層(13)のホール輸送剤が透過可能な多孔質状の隔離層(16)を備える。この隔離層(16)は、エレクトロクロミック素子部(10B)における蓄電状態を保持する時間を延長させる効果がある。
【0076】
隔離層(16)の材料としては、ホール輸送剤を透過する多孔質状となるものであればよく特に限定されるものではないが、絶縁性、耐久性及び成膜性に優れた材料を用いることができ、特に、少なくともZnSを含む材料を用いることができる。あるいは、ITO(スズドープ酸化インジウム)などの導電性の材料を用いてもよい。
【0077】
ZnSは、スパッタ法によって、エレクトロクロミック層(エレクトロクロミック層(12))にダメージを与えることなく高速に成膜できるという特徴を有する。更に、ZnSを主な成分として含む材料として、ZnO-SiO、ZnS-SiC、ZnS-Si、ZnS-Ge等を用いることができる。ZnSの含有率は、隔離層(16)を形成した際の結晶性を良好に保つために、約50〜90mol%とすることが好ましい。従って、特に好ましい材料は、ZnS-SiO(8/2)、ZnS-SiO(7/3)、ZnS、ZnS-ZnO-In-Ga(60/23/10/7)である(カッコ内は質量部比率)。
このような隔離層(16)の材料を用いることにより、薄膜で良好な絶縁効果が得られ、多層化による膜強度低下(すなわち膜のはがれ)を防止することができる。
【0078】
また、隔離層(16)を多孔質膜にすることは、隔離層(16)を粒子膜として形成することによって行うことができる。特にZnS等をスパッタで形成する場合、予め下引き層として粒子膜を形成することによって、ZnS等の多孔質膜を形成することができる。この場合、後述の金属酸化物層(17)を粒子膜として形成することもできるが、隔離層(16)の一部としてシリカ、アルミナ等を含む多孔質粒子膜を形成することもできる。
【0079】
このような手法を用いて隔離層(16)を多孔質膜にすることにより、第1ホール輸送層(13)のホール輸送剤が隔離層(16)を透過することが可能となるため、酸化還元反応に伴う第1ホール輸送層(13)中のイオンとしての電荷の移動が容易となる。
【0080】
なお、隔離層(16)の膜厚は20〜500nmとすることができ、更に好ましくは50〜150nmの範囲とすることができる。この範囲よりも膜厚が薄い場合、絶縁性を得にくくなる。またこの範囲よりも膜厚が厚い場合、製造コストが増大する。
【0081】
−陰極電極層(2),陽極電極層(3)−
電子集電電極である陰極電極層(2)は、光電変換素子部(10A)の光電変換層(11)及びエレクトロクロミック素子部(10B)のエレクトロクロミック層(12)に対して陽極電極層(3)とは反対側に、光電変換素子部(10A),エレクトロクロミック素子部(10B)共通の陰極電極であり、電子輸送層(4)形成前に支持基板(1)上に形成されるものでる。
【0082】
また、ホール集電電極である陽極電極層(3)は、光電変換素子部(10A),エレクトロクロミック素子部(10B)共通の陽極電極であり、ホール輸送層(15)形成後に付与されるものである。
【0083】
陰極電極層(2),陽極電極層(3)は、ともに同様の電極材料を用いることができ、強度や密封性が充分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要ではない。その電極材料の具体例としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム等の金属、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ等の炭素系化合物(カーボン)、ITO、FTO等の導電性金属酸化物、ポリチオフェン、ポリアニリン等の導電性高分子が挙げられる。
【0084】
また、陰極電極層(2),陽極電極層(3)それぞれの膜厚には特に制限はなく、また単独あるいは2種以上の混合で用いても構わない。
【0085】
陰極電極層(2)の形成については、用いられる電極材料の種類により、適宜支持基板(1)上に塗布、ラミネート、蒸着、CVD、貼り合わせ等の手法により形成可能である。また、陽極電極層(3)の形成については、用いられる電極材料の種類やホール輸送層(15)の種類により、適宜ホール輸送層(15)上(図1では第2ホール輸送層(14)上)に塗布、ラミネート、蒸着、CVD、貼り合わせ等の手法により形成可能である。
【0086】
光電変換素子として動作するためには、陰極電極層(2),陽極電極層(3)の少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の場合、陰極電極層(2)が透明であり、光を陰極電極層(2)側から入射させる方法が好ましい。この場合、陽極電極層(3)側には光を反射させる材料を使用することが好ましく、金属、導電性酸化物を蒸着したガラス、プラスチック、あるいは金属薄膜が好ましい。また、太陽光の入射側に反射防止層を設けることも有効な手段である。
【0087】
[エレクトロクロミック素子部(10B)]
エレクトロクロミック素子部(10B)は、支持基板(1)上に、図中下側から、陰極電極層(2)と、電子輸送層(4)と、エレクトロクロミック層(12)と、ホール輸送剤が充填された第1ホール輸送層(13)と、第2ホール輸送層(14)と、陽極電極層(3)と、がその順番で積層された構成となっている。
ここで、陰極電極層(2)、電子輸送層(4)、第1ホール輸送層(13)、陽極電極層(3)は、前述の通り、光電変換素子部(10A)と共通のものであり、第2ホール輸送層(14)は、光電変換素子部(10A)におけるものと同じものであるため、説明は省略する。
【0088】
−エレクトロクロミック層(12)−
エレクトロクロミック層(12)は、電子輸送層(4)上に積層形成されるものであり、粒子状の半導体材料である半導体微粒子(12a)を層として多孔質状を呈するように充填するとともに、該半導体微粒子(12a)にエレクトロクロミック化合物(12b)を坦持させてなるものである。このエレクトロクロミック層(12)は、単層であっても多層であってもよい。
【0089】
ここで、半導体微粒子(12a)は、光電変換層(11)で使用される半導体微粒子(11a)と同じものでよい。
【0090】
エレクトロクロミック化合物(12b)の材料としては、酸化還元により色の変化を起こす材料が用いられ、例えば、ポリマー系、色素系、金属錯体、金属酸化物等の公知のエレクトロクロミック化合物が用いられる。具体的には、ポリマー系、色素系、のエレクトロクロミック化合物として、アゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系、等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性高分子化合物が挙げられる。
【0091】
上記中、特に、好ましくは、下記一般式(1)で表されるビオロゲン系化合物または、下記一般式(2)で表されるテレフタル酸系化合物を含む。これらの材料は発消色電位が低いため、複数の表示電極を有するエレクトロクロミック表示装置を構成した場合においても良好な発色の色値を示す。
【0092】
【化1】

【0093】
【化2】

【0094】
また、下記一般式(3)で表される2つのピリジン環アルキルカチオン構造の間に複素環式化合物誘導体構造よりなる化合物を含むことが好ましい。これらの材料はメモリ特性が高いため、画像保持時間が長く、消費電力を小さくできる。
【0095】
【化3】

【0096】
−封止材(7)−
封止材(7)は、ホール輸送層(15)を構成する材料が漏れ出さないように光電変換エレクトロクロミック素子(10)をシールできるものであれば、特に限定されない。例えば、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。また、ホール輸送層(15)を構成する材料が固体であって、光電変換エレクトロクロミック素子(10)からの流出の恐れがない場合には、封止材(7)は必ずしも設けなくてもよい。
【0097】
以上のように構成された光電変換エレクトロクロミック素子(10)において、陰極電極層(2)側から光が入射すると、まず光電変換素子部(10A)の光電変換層(11)における光電変換色素(11b)が光励起され、つづいて光電変換色素(11b)から半導体微粒子(11a)に電子注入が行われ、光電変換色素(11b)が酸化される。ついで、半導体微粒子(11a)に注入された電子が電子輸送層(4)を経由してエレクトロクロミック素子部(10B)に移動し、さらにエレクトロクロミック層(12)において半導体微粒子(12a)を通ってエレクトロクロミック化合物(12b)に伝送される。また、光電変換色素(11b)で生成されたホール(正孔)はホール輸送層(15)(及び陽極電極層(3))を通ってエレクトロクロミック素子部(10B)に伝送される。これにより、エレクトロクロミック化合物(12b)において酸化還元反応が起こり、蓄電状態となる。
ついで、蓄電状態となった光電変換エレクトロクロミック素子(10)について、陰極電極層(2)及び陽極電極層(3)と、所定の外部回路とを電気的に接続すると、エレクトロクロミック素子部(10B)が放電状態となり、外部回路に電力を供給することができる。
【0098】
(第2実施形態)
図2は、本発明に係る光電変換エレクトロクロミック素子の第2の実施形態の構成を示す断面図である。
光電変換エレクトロクロミック素子(20)は、光電変換素子部(20A)と、エレクトロクロミック素子部(20B)とが、支持基板(1)上で、その板面方向に隣接するように配置された構成となっている。
【0099】
ここで、光電変換エレクトロクロミック素子(20)は、第1実施形態である光電変換エレクトロクロミック素子(10)と比較すると、電子輸送層(4)の代わりに、電子輸送経路(4’)が設けられ、第2ホール輸送層(14)が省略されている点で異なる。また、それ以外は光電変換エレクトロクロミック素子(10)を構成するものと同じであり、同じ符号を付している。
【0100】
−電子輸送経路(4’)−
電子輸送経路(4’)は、複数の粒子状の電子輸送材が電気的につながって形成されてなるものであり、陰極電極層(2)上において隔離層(16)を貫通し、光電変換層(11)の半導体微粒子(11a)とエレクトロクロミック層(12)の半導体微粒子(12a)とを電気的につなぐように配置されている。
また、電子輸送経路(4’)を構成する粒子状の電子輸送材は、半導体微粒子(11a),(12a)と同じものでよい。
【0101】
本実施形態の光電変換エレクトロクロミック素子においても、第1実施形態と同じメカニズムで、光が入射すると蓄電が行われ、必要に応じて陰極電極層(2)及び陽極電極層(3)から電力を引き出すことが可能である。
【0102】
(第3実施形態)
図3は、本発明に係る光電変換エレクトロクロミック素子の第3の実施形態の構成を示す断面図である。
光電変換エレクトロクロミック素子(30)は、光電変換素子部(30A)と、エレクトロクロミック素子部(30B)とが、支持基板(1)上で、その板面方向に隣接するように配置された構成となっている。
【0103】
ここで、光電変換エレクトロクロミック素子(30)は、第1実施形態である光電変換エレクトロクロミック素子(10)と比較すると、隔離層(16)が省略され、光電変換素子部(30A)側の第2ホール輸送層(14)と陽極電極層(3)との間に金属酸化物層(17)が設けられている点で異なる。また、それ以外は光電変換エレクトロクロミック素子(10)を構成するものと同じであり、同じ符号を付している。
【0104】
−金属酸化物層(17)−
金属酸化物層(17)は、第2ホール輸送層(14)と陽極電極層(3)との間に設けられ、光電変換素子部(10A)において、陽極電極層(3)からホール輸送層(15)へホール(正孔)が戻らないようにするためのものである。
【0105】
金属酸化物層(17)を構成する金属酸化物としては、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化ニッケルを挙げることができ、特に酸化モリブデンが好ましい。
【0106】
これら金属酸化物をホール輸送材料上に設ける方法としては特に制限はなく、スパッタリングや真空蒸着等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式製膜法が挙げることができる。
湿式製膜法においては、金属酸化物の粉末あるいはゾルを分散したペーストを調製し、ホール輸送層上に塗布する方法が好ましい。この湿式製膜法を用いた場合、塗布方法は特に制限はなく、公知の方法に従って行なうことができる。例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。
金属酸化物層(17)の膜厚としては、0.1〜50nmが好ましく、1〜10nmがより好ましい。
【0107】
なお、この金属酸化物層(17)を、図4に示すように、光電変換素子部(10A)からエレクトロクロミック素子部(10B)にわたって、設けてもよい。
【0108】
本実施形態の光電変換エレクトロクロミック素子においても、第1実施形態と同じメカニズムで、光が入射すると蓄電が行われ、必要に応じて陰極電極層(2)及び陽極電極層(3)から電力を引き出すことが可能である。
【0109】
(第4実施形態)
図5は、本発明に係る光電変換エレクトロクロミック素子の第4の実施形態の構成を示す断面図である。
光電変換エレクトロクロミック素子(50)は、光電変換素子部(50A)と、エレクトロクロミック素子部(50B)とが、支持基板(1)上で、その板厚方向(板面に対して垂直方向)に隣接するように配置された構成となっている。
【0110】
ここで、光電変換素子部(50A)は、色素増感太陽電池の構造を有しており、支持基板(1)上に、図中下側から、エレクトロクロミック素子部(50B)と共通の陰極電極層(2)と、電子輸送層(4)と、光電変換層(11)と、エレクトロクロミック素子部(50B)と共通の陽極電極層(3)と、が図中上下方向に配置された構成となっている。
【0111】
また、エレクトロクロミック素子部(50B)は、支持基板(1)上に、図中下側から、光電変換素子部(50A)と共通の陰極電極層(2)と、エレクトロクロミック層(12)と、光電変換素子部(50A)と共通の陽極電極層(3)と、が図中上下方向に配置された構成となっている。
【0112】
また、光電変換層(11)及びエレクトロクロミック層(12)の空隙には、ホール輸送剤が充填され第1ホール輸送層(13)が形成されている。
【0113】
また、光電変換素子部(50A)とエレクトロクロミック素子部(50B)の境界領域には、隔離層(16)が設けられている。この隔離層(16)は、第1ホール輸送層(13)のホール輸送剤が透過可能なものであり、例えばシリカ(SiO)粒子が充填された第1隔離層(16a)と、穴の開いたITO膜からなる第2隔離層(16b)が積層された構造を有する。
【0114】
なお、光電変換層(11)の半導体微粒子(11a)と、エレクトロクロミック層(12)の半導体微粒子(12a)は、隔離層(16)を突き破るように配置されており、お互いが接触している。
【0115】
以上のように構成された光電変換エレクトロクロミック素子(50)において、陰極電極層(2)側から光が入射すると、まず光電変換素子部(50A)の光電変換層(11)における光電変換色素(11b)が光励起され、つづいて光電変換色素(11b)から半導体微粒子(11a)に電子注入が行われ、光電変換色素(11b)が酸化される。ついで、半導体微粒子(11a)に注入された電子が該半導体微粒子(11a)に接触している半導体微粒子(11a),(12a)を経由してエレクトロクロミック素子部(50B)に移動し、さらにエレクトロクロミック層(12)においてエレクトロクロミック化合物(12b)に伝送される。また、光電変換色素(11b)で生成されたホール(正孔)は第1ホール輸送層(13)を通ってエレクトロクロミック素子部(50B)に伝送される。これにより、エレクトロクロミック化合物(12b)において酸化還元反応が起こり、蓄電状態となる。
ついで、蓄電状態となった光電変換エレクトロクロミック素子(50)について、陰極電極層(2)及び陽極電極層(3)と、所定の外部回路とを電気的に接続すると、エレクトロクロミック素子部(50B)が放電状態となり、外部回路に電力を供給することができる。
【0116】
(光電変換エレクトロクロミック素子の全体構造)
本発明に係る光電変換エレクトロクロミック素子の全体構造として、光電変換素子部(10A,20A,30A,40A)と、エレクトロクロミック素子部(10B,20B,30B,40B)とが、支持基板(1)上に、アレイ状、格子状、ストライプ状のいずれかのパターン形状で交互に配置されていることが好ましい。図6,図7にその構造例を示す。
【0117】
図6は、光電変換素子部(10A)と、エレクトロクロミック素子部(10B)とが、支持基板(1)上に、ストライプ状のパターン形状で交互に配置された構造例である。
また、図7は、光電変換素子部(10A)と、エレクトロクロミック素子部(10B)とが、支持基板(1)上に、格子状のパターン形状で交互に配置された構造例である。
いずれも、光電変換素子部(10A,20A,30A,40A)と、エレクトロクロミック素子部(10B,20B,30B,40B)とが、平面(支持基板(1))上に、効率的に配置され、蓄電池として十分な性能を有する。
【実施例】
【0118】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の実施の形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0119】
(実施例1)
本実施例では、以下のようにして、光電変換エレクトロクロミック素子を形成した。
(光電変換層(11)の形成)
まず、上面にITOからなる陰極電極層(2)を形成したガラス基板(縦30mm×横30mm)を準備し、その上面の10mm×20mmの領域に、酸化チタンナノ粒子(半導体微粒子(11a))分散液、T20(商品名:ソーラロニクス社製)を2μm程度ずつ4回、印刷法により塗布し、550℃で30分間アニール処理を行うことによって、膜厚9μmの酸化チタン粒子膜を形成した。
つぎに、この酸化チタン粒子膜の全領域の半分の領域(10mm×10mmの領域)を、下記構造式(A)で表される光電変換色素(Ruthenium 535-bisTBA 商品名:ソーラロニクス社製)0.5mMとしたt−BuOH/CHCN(1:1)溶液に72時間浸漬して光電変換色素(11b)を担持させて、光電変換層(11)とした。
【0120】
【化4】

【0121】
(エレクトロクロミック層(12)の形成)
続いて、その部分(光電変換層(11)の領域)をテープでマスクし、下記構造式(B)で表されるビオロゲン化合物の5wt%2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液と酸化チタンナノ粒子分散液SP210(商品名:昭和タイタニウム社製)とを2.4/4の質量部比率で混合した塗布液をスピンコート法により塗布し、120℃で10分間アニール処理を行うことによって、酸化チタン粒子(半導体微粒子(12a))とエレクトロクロミック化合物(12b)よりなるエレクトロクロミック層(12)を形成した。
【0122】
【化5】

【0123】
(対向電極(陽極電極層(3))の形成)
一方、先ほどのガラス基板とは別に、10mm×20mmのFTO付ガラス基板を準備し、その全面に、Ptをスパッタ法で成膜し、膜厚100nmの陽極電極層(3)を形成した。
【0124】
(光電変換エレクトロクロミック素子の作製)
光電変換層(11)及びエレクトロクロミック層(12)を形成した基板と陽極電極層(3)を形成した対向基板を75μmのスペーサを介して貼り合わせ、セルを作製した。
次に、過塩素酸クロライド(0.1M)、LiI(0.1M)、I(0.05M)をアセトニトリル、バレロニトリルに溶解させた溶液に、一次粒径300nmの酸化チタン粒子(石原産業株式会社製)を35wt%分散させ、電解質溶液(ホール輸送剤)を調製し、セル内に封入して第1ホール輸送層(13)を形成し、本発明の光電変換エレクトロクロミック素子を完成した。
【0125】
以上のように作製した光電変換エレクトロクロミック素子に太陽光を照射したところ、エレクトロクロミック素子部の深色化が確認された。ついで、光照射をやめた後は、エレクトロクロミック素子部は無色に戻り、電力スイッチを切り替えて、陰極電極層(2)及び陽極電極層(3)から電力を取り出すことができた。なお。このときの開放電圧は0.55V、電流密度は5mA、であった。
【0126】
(実施例2)
実施例1において、陽極電極層(3)の構成材料であるPtをAuに代えた以外は、実施例1と同じ条件で光電変換エレクトロクロミック素子を作製した。
この光電変換エレクトロクロミック素子に太陽光を照射したところ、エレクトロクロミック素子部の深色化が確認された。光照射をやめた後は、エレクトロクロミック素子部は無色に戻り、電力スイッチを切り替えて、陰極電極層(2)及び陽極電極層(3)から電力を取り出すことができた。
【0127】
(実施例3)
実施例2において、半導体微粒子(11a,12a)の構成材料である酸化チタンを酸化亜鉛に代えた以外は、実施例2と同じ条件で光電変換エレクトロクロミック素子を作製した。
なお、酸化亜鉛粒子膜は、酸化亜鉛ナノ粒子分散液(商品名:ハクスイテック社製)を2μm程度ずつ4回、印刷法により塗布し、550℃で30分間アニール処理を行うことによって、形成した。
この光電変換エレクトロクロミック素子に太陽光を照射したところ、エレクトロクロミック素子部の深色化が確認された。光照射をやめた後は、エレクトロクロミック素子部は無色に戻り、電力スイッチを切り替えて、陰極電極層(2)及び陽極電極層(3)から電力を取り出すことができた。
【0128】
なお、これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0129】
すなわち、種々の態様において、第1ホール輸送層(13)のホール輸送剤ゲル電解質は、適切なレドックス活性成分、及び金属イオン錯体形成プロセスによってゲル化された、少量の、複数のリガンドを備えるポリマー分子や非ポリマー分子を含む。種々の実施形態において、複数のサイトで金属イオンと錯体を形成し得る(例えば、束縛基の存在によって)有機化合物が用いられる。所与のレドックス成分は、それ自体液体であっても、又は液体溶媒中に溶解している固体成分であってもよい。束縛基とは、電子密度の高い少なくとも1つのドナー原子、例えば、特に酸素、窒素、硫黄、三価のリンを含むもの、を有する官能基である。非ポリマー物質あるいはポリマー物質に存在し得る複数の束縛基は、当該物質の側鎖あるいは主鎖部分の何れかに存在することができ、又はデンドリマーあるいはスターバースト分子の一部として存在することができる。
また、種々の態様に従って金属イオン、特にリチウムイオンをホール輸送剤における無機の液体電解質組成物に導入することによって、光電流及び開回路電圧が向上し、電池効率が高くなる。
【符号の説明】
【0130】
1 支持基板
2 陰極電極層
3 陽極電極層
4 電子輸送層
4’ 電子輸送経路
7 封止材
10,20,30,40,50 光電変換エレクトロクロミック素子
10A,20A,30A,40A,50A 光電変換素子部
10B,20B,30B,40B,50B エレクトロクロミック素子部
11 光電変換層
11a 半導体微粒子
11b 光電変換色素
12 エレクトロクロミック層
12a 半導体微粒子
12b エレクトロクロミック化合物
13 第1ホール輸送層
14 第2ホール輸送層
15 ホール輸送層
16 隔離層
16a 第1隔離層
16b 第2隔離層
17 金属酸化物層
【先行技術文献】
【特許文献】
【0131】
【特許文献1】米国特許第5377037号公報
【特許文献2】特許第2664194号公報
【非特許文献】
【0132】
【非特許文献1】Nature, 353 (1991) 737
【非特許文献2】J. Am. Chem. Soc., 115 (1993) 6382

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換色素を坦持した半導体微粒子を含有する光電変換層、ホール輸送剤が充填されたホール輸送層、陽極電極層を有する光電変換素子部と、エレクトロクロミック化合物を坦持した半導体微粒子を含有するエレクトロクロミック層、ホール輸送剤が充填されたホール輸送層、陽極電極層を有するエレクトロクロミック素子部と、が支持基板上に隣接配置され、
前記光電変換素子部の陽極電極層と前記エレクトロクロミック素子部の陽極電極層は、1つの共通陽極電極層からなり、
前記光電変換素子部のホール輸送層と前記エレクトロクロミック素子部のホール輸送層は、1つのホール輸送層からなり、
前記光電変換素子部の光電変換層から前記エレクトロクロミック素子部のエレクトロクロミック層へ電子を輸送する電子輸送経路が設けられていることを特徴とする光電変換エレクトロクロミック素子。
【請求項2】
前記電子輸送経路は、前記光電変換素子部の光電変換層及び前記エレクトロクロミック素子部のエレクトロクロミック層の下層として積層形成された電子輸送層であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換エレクトロクロミック素子。
【請求項3】
前記電子輸送経路は、複数の粒子状の電子輸送材が電気的につながって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光電変換エレクトロクロミック素子。
【請求項4】
前記光電変換層及びエレクトロクロミック層は、前記半導体微粒子が充填されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光電変換エレクトロクロミック素子。
【請求項5】
前記半導体微粒子は、酸化物半導体材料からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換エレクトロクロミック素子。
【請求項6】
前記半導体微粒子は、Ti及び/又はZnを含む化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換エレクトロクロミック素子。
【請求項7】
前記ホール輸送層は、前記光電変換素子部と前記エレクトロクロミック素子部との間に、前記ホール輸送剤が透過可能な多孔質状の隔離層を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光電変換エレクトロクロミック素子。
【請求項8】
前記ホール輸送剤は、ヨウ素含有電解液であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光電変換エレクトロクロミック素子。
【請求項9】
前記光電変換色素は、メタルフリーの有機色素であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光電変換エレクトロクロミック素子。
【請求項10】
前記共通陽極電極層は、Pt,Au,カーボンのいずれかを含有していることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の光電変換エレクトロクロミック素子。
【請求項11】
前記光電変換素子部の光電変換層及び前記エレクトロクロミック素子部のエレクトロクロミック層の前記共通陽極電極層とは反対側に共通陰極電極層を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の光電変換エレクトロクロミック素子。
【請求項12】
前記光電変換素子部と、前記エレクトロクロミック素子部とが、前記支持基板上に、アレイ状、格子状、ストライプ状のいずれかのパターン形状で交互に配置されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の光電変換エレクトロクロミック素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−194411(P2012−194411A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58863(P2011−58863)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】