説明

光電変換素子の製造方法、光電変換素子およびタンデム型光電変換素子

【課題】安価な材料を用いた光電変換装置において、変換効率を向上する技術を提供する。
【解決手段】光電変換素子20の製造方法は、多結晶の亜酸化銅からなる第1の半導体層22を準備する準備工程と、第1の半導体層22の上に、ノンドープの酸化亜鉛からなる、層厚が10〜100nmの第2の半導体層24を形成する半導体層形成工程と、第2の半導体層24の上に透明導電層26を形成する導電層形成工程と、を含み、半導体層形成工程は、50℃以下の雰囲気温度で行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光エネルギーを電気エネルギーに変換できる光電変換素子の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新興国の飛躍的な経済発展に伴って、地球規模でのエネルギー需要が増大してきている。その結果、石油等の化石エネルギーコストが上昇している。また、これら新興国の化石エネルギー消費の増大は地球規模でのCO排出量の増加を招き、深刻な環境破壊を引き起こしている。これらの問題解決の有力な候補としては、自然エネルギーの積極的な利用が叫ばれており、中でも太陽電池による太陽光発電への期待は極めて大きい。
【0003】
太陽電池には、様々な材料が用いられており、主なものとしは、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、銅インジウムガリウムセレン化合物(CIGS化合物)などが挙げられる。シリコンは、地殻埋蔵量は豊富であるもの、太陽電池の原料となる高純度シリコンの場合、安価な材料とは言い難い。また、CIGS化合物は、埋蔵量が少なく入手が困難なレアメタルを含んでおり、材料コストの低減にも限界がある。
【0004】
そこで、主原料が極めて安価でかつ地殻埋蔵量も豊富な亜鉛や銅を用いた太陽電池の開発も行われている。
【0005】
例えば、多結晶CuOシート上にAlドープ酸化亜鉛(AZO)透明導電膜を積層したAZO/CuOショットキー障壁ダイオードにおいて、1%以上の光電変換効率が得られることが報告されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Hideki Tanaka et al、「Electrical and optical properties of TCO−Cu2O heterojunction devices」、Thin Solid Filmes、2004、469−470、p.80−85
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、安価な材料からなる太陽電池は実現されつつあるものの、実用的には変換効率の更なる向上が求められている。
【0008】
本発明はこうした状況に鑑みてなされており、その目的とするところは、安価な材料を用いた光電変換装置において、変換効率を向上する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の光電変換素子の製造方法は、多結晶の亜酸化銅からなる第1の半導体層を準備する準備工程と、第1の半導体層の上に、ノンドープの酸化亜鉛からなる、層厚が10〜100nmの第2の半導体層を形成する半導体層形成工程と、第2の半導体層の上に透明導電層を形成する導電層形成工程と、を含み、半導体層形成工程は、50℃以下の雰囲気温度で行われる。
【0010】
この態様によると、安価な材料である銅や亜鉛を主として使用した光電変換素子において、光電変換効率を向上することができる。
【0011】
半導体層形成工程は、第1の半導体層の上に到達する酸化亜鉛の粒子のエネルギーが約10eV未満となる方法で行われる。
【0012】
半導体層形成工程において、パルスレーザ蒸着法により第2の半導体層を形成してもよい。あるいは、真空アークプラズマ蒸着法により第2の半導体層を形成してもよい。あるいは、電子線蒸着法により第2の半導体層を形成してもよい。これにより、エネルギーの小さい粒子による蒸着が可能となる。また、化学的成膜法により第2の半導体層を形成してもよい。
【0013】
第2の半導体層の層厚は、20nm以上、好ましくは30nm、より好ましくは40nm以上であってもよい。また、第2の半導体層の層厚は、90nm以下、好ましくは70nm以下、より好ましくは50nm以下であってもよい。これにより、光電変換効率を更に向上することができる。
【0014】
本発明の別の態様もまた、光電変換素子である。この光電変換素子は、多結晶の亜酸化銅からなる第1の半導体層と、第1の半導体層の上に設けられ、ノンドープの酸化亜鉛からなる層厚が10〜100nmの第2の半導体層と、第2の半導体層の上に設けられた透明導電層と、を備える。第2の半導体層は、光電変換効率が1.5%以上であるように構成されている。
【0015】
この態様によると、安価な材料である銅や亜鉛を主として使用した光電変換素子において、光電変換効率を従来よりも向上することができる。
【0016】
第1の半導体層は、p型半導体層であり、第2の半導体層はn型半導体層であってもよい。透明導電層は、アルミニウムをドープした酸化亜鉛からなってもよい。
【0017】
第2の半導体層の層厚は、20nm以上、好ましくは30nm、より好ましくは40nm以上であってもよい。また、第2の半導体層の層厚は、90nm以下、好ましくは70nm以下、より好ましくは50nm以下であってもよい。第2の半導体層は、50℃以下の雰囲気温度で形成されたものであってもよい。これにより、光電変換効率を更に向上することができる。
【0018】
本発明の更に別の態様は、タンデム型光電変換素子である。このタンデム型光電変換素子は、上述の光電変換素子をトップセルとし、薄膜Si、多結晶Siもしくは単結晶Siの少なくともいずれかからなるSi系光電変換素子をボトムセルとする素子構造を有する。
【0019】
また、他の態様のタンデム型光電変換素子は、上述の光電変換素子をトップセルとし、CIGS系化合物薄膜光電変換素子をボトムセルとするとする素子構造を有する。
【0020】
なお、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれうる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、安価な材料を用いた光電変換装置において、変換効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】光電変換素子の一例の構成を示す概略断面図である。
【図2】図1に示す光電変換素子で得られる光起電力特性のグラフを示す図である。
【図3】透明導電層の成膜温度[℃]と変換効率η[%]との関係を示す図である。
【図4】本実施の形態に係る光電変換素子の構成を示す概略断面図である。
【図5】図4に示す光電変換素子で得られる光起電力特性のグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0024】
(光電変換素子)
はじめに、本実施の形態に係る光電変換素子における透明導電層の形成条件の影響について説明する。本発明者らが鋭意検討した結果、多結晶のCuO(亜酸化銅)層の上に透明導電層を形成する際の雰囲気温度が、変換効率に大きな影響を与えることを見いだした。
【0025】
図1は、光電変換素子の一例の構成を示す概略断面図である。光電変換素子10は、多結晶のCuO層12と、CuO層12の一方の面上に設けられた透明導電層14と、CuO層12の他方の面上に設けられている電極16と、を備える。
【0026】
CuO層12は、10〜1000μmの厚みを有するp型半導体層である。また、透明導電層14は、AZO(アルミニウムをドープした酸化亜鉛)である。また、電極16は、φ2mmのAu(金)からなる。
【0027】
AZOからなる透明導電層14は、表1に示す成膜条件でパルスレーザ蒸着(PLD)法を用いて形成された。光起電力特性は、太陽光シミュレーターを用いてAM1.5G(100[mW/cm])光の照射下で、セル温度を25[℃]に保持して、測定された。
【0028】
【表1】

【0029】
図2は、図1に示す光電変換素子10で得られる光起電力特性のグラフを示す図である。図3は、透明導電層14の成膜温度[℃]と変換効率η[%]との関係を示す図である。図2の曲線C1はAZOの成膜温度が250℃の光電変換素子の場合、同じく曲線C2はAZOの成膜温度が100℃の光電変換素子の場合、同じく曲線C3はAZOの成膜温度が室温(25℃)の光電変換素子の場合、の光起電力特性を示している。
【0030】
このように、25℃、50℃、100℃、150℃、200℃、250℃、300℃の成膜温度でAZOが形成されている光電変換素子10をそれぞれ作製した。そして、各光電変換素子10について変換効率を測定した。その結果、図2に示すように、より低温で形成されたAZOを有する光電変換素子10は、変換効率ηが向上していることがわかる。特に、室温でAZOが成膜されている光電変換素子は、変換効率2.19%を達成している。このような変換効率の向上は主として曲線因子(F.F.)の改善によるものと考えられる。
【0031】
このように透明導電層14の成膜温度を最適化することで、CuO層12を用いた光電変換素子としては、従来にはない変換効率を達成できる点が見出された。
【0032】
そこで、このような知見に基づいて、本発明者らは更なる変換効率の向上を図るべく検討し、CuO層12と透明導電層14との間に介在層を設ける点に想到した。介在層の一つとしては、ノンドープのZnO(酸化亜鉛)が好適である。
【0033】
図4は、本実施の形態に係る光電変換素子の構成を示す概略断面図である。光電変換素子20は、多結晶のCuO(亜酸化銅)からなる第1の半導体層22と、第1の半導体層22の一方の面上に設けられ、ノンドープのZnO(酸化亜鉛)からなる第2の半導体層24と、第2の半導体層24の上に設けられた透明導電層26と、第1の半導体層22の他方の面上に形成されている電極28と、を備える。
【0034】
本実施の形態に係る第1の半導体層22であるCuOは、10〜1000μmの厚みを有するp型半導体層である。また、第2の半導体層24であるノンドープのZnOは、10〜100nmの厚みを有するn型半導体層であり、10〜50℃の雰囲気温度で後述の方法により形成されたものである。また、透明導電層26は、AZOである。また、電極28は、φ2mmのAu(金)からなる。
【0035】
(光電変換素子の製造方法)
次に、本実施の形態に係る光電変換素子の製造方法について説明する。はじめに、銅板(純度99.96[%])を洗浄後、約1010[℃]で酸化処理することで、基板および活性層を兼ねる多結晶のp型CuOシート(厚さ150μm)を作製し、第1の半導体層22を準備する。
【0036】
次に、前述のPLD法を用いて、厚さ10〜100nm程度のノンドープのZnO(酸化亜鉛)を第2の半導体層24として第1の半導体層22の一方の面上に形成する。この際、雰囲気温度は、10〜50℃程度が好ましい。より好ましくは、20〜40℃程度の雰囲気温度で第2の半導体層24を形成するとよい。更に好ましくは、20〜30℃程度の雰囲気温度で第2の半導体層24を形成するとよい。
【0037】
その後、前述の透明導電層14を形成する方法と同様に透明導電層26が第2の半導体層24の上に形成される。そして、電極28が公知の方法で第1の半導体層22の他方の面上に形成され、光電変換素子20が作製される。
【0038】
このように作製した光電変換素子20の光起電力特性は、前述と同様の条件で、太陽光シミュレーターを用いて測定された。図5は、図4に示す光電変換素子20で得られる光起電力特性のグラフを示す図である。図5の曲線C3は図2の曲線C3と同じである。また、図5の曲線C4は、第2の半導体層24であるノンドープのZnOの膜厚が90nmである光電変換素子の場合、同じく曲線C5は第2の半導体層24であるノンドープのZnOの膜厚が90nmである光電変換素子の場合、の光起電力特性を示している。
【0039】
図5に示す曲線C4の光起電力特性を有する光電変換素子20は、変換効率2.66%、曲線因子0.48である。また、図5に示す曲線C5の光起電力特性を有する光電変換素子20は、変換効率3.26%、曲線因子0.61である。これは、図5(または図2)に示す曲線C3の光起電力特性を有する光電変換素子10の変換効率2.19%を更に上回る値である。このように、第2の半導体層24は、光電変換効率が1.5%以上、好ましくは2.0%以上、より好ましくは2.5%以上、更により好ましくは3.0%以上であるように構成されているとよい。
【0040】
ノンドープのZnOを有する光電変換素子20は、ノンドープのZnOを有していない光電変換素子10と比較して、開放端電圧(Voc)が大きく向上していることがわかる。これは、透明導電層26のAZOと第2の半導体層24のノンドープのZnOとのフェルミレベルの差に応じて、仕事関数が大きくなるためと考えられる。また、膜厚30nmのノンドープのZnOを有している光電変換素子20で得られた変換効率3.26[%]は、これまでに報告されているCuOを主成分とする太陽電池の変換効率としては最高値である。
【0041】
以上のように、安価な材料である銅や亜鉛を主として使用した光電変換素子20において、光電変換効率を従来よりも飛躍的に向上することができる。
【0042】
なお、第2の半導体層24の層厚は、20nm以上、好ましくは30nm、より好ましくは40nm以上であってもよい。また、第2の半導体層の層厚は、90nm以下、好ましくは70nm以下、より好ましくは50nm以下であってもよい。これにより、光電変換効率を更に向上することができる。
【0043】
次に、第2の半導体層24の形成方法について詳述する。本発明者らの検討により、第1の半導体層22の表面に第2の半導体層24を形成する際、第2の半導体層24を構成する粒子が第1の半導体層22の表面に到達する際に大きなエネルギーを持たない成膜方法が好ましいことが明らかになりつつある。つまり、スパッタリング法のような数百eVのエネルギーを有する粒子が堆積して薄膜を形成する方法では変換効率の向上という観点ではあまり好ましくない。
【0044】
そこで、前述のPLD法や、レーザMBE法、レーザーアブレーション法、電子線蒸着(EB)法、真空アークプラズマ蒸着法(Vacuum Arc Plasma Evaporation:以下、VAPE法という)などの方法を用いて第2の半導体層24を形成するとよい。これらの方法によれば、第1の半導体層22の表面に到達する酸化亜鉛の粒子のエネルギーを約50ev未満、より好ましくは約10eV未満に抑えることが可能となる。つまり、エネルギーの小さい粒子による蒸着が可能となる。
【0045】
以下、VAPE法を行う装置について説明する。装置は、比較的高いガス圧下での大電力(低電圧、大電流)直流アーク放電を利用するアークプラズマ発生室を備える。この発生室で発生したアークプラズマを真空チャンバー内の円形加熱蒸発源(鋼製ハース)に導き、ハース内に充填された蒸着物質を加熱蒸発させて、基板上に堆積させる。すなわち、アルゴン(Ar)ガスの直流放電を利用するアークプラズマ発生室から磁界でガイドされたArプラズマを圧力差を利用して真空蒸着室へ引き出し、蒸発源に照射することにより蒸着物質が加熱される。
【0046】
真空蒸着室に導入されたプラズマは拡散等により真空蒸着室部全体に広がっているため、蒸発した蒸気や導入したガスがプラズマにより活性化される可能性があり、活性化反応性蒸着(Activated Reactive Evaporation:ARE)を実現できる。特に、低電圧アーク放電を使用して発生するプラズマのエネルギーは低いため、基板上へ到達する粒子のエネルギーは、数十eV程度であり、粒子による衝撃やスパッタリング等によるダメージを生じる可能性が極めて低い。すなわち、VAPE法はソフトなAREが可能な成膜方法である。
【0047】
なお、第2の半導体層24の形成には、上述の各種蒸着方法以外に、化学浴析出法(Chemical Bath Deposition:CBD法)やCVDなどの化学的成膜法を用いてもよい。
【0048】
上述した本実施の形態に係る光電変換素子の利点を列挙すると以下の通りである。
【0049】
(1)酸化亜鉛(ZnO)/亜酸化銅(CuO)を主成分とするヘテロ接合型光電変換素子は、主原料が極めて安価でかつ地殻埋蔵量も豊富な亜鉛や銅であり、加えて希少金属(レアアース)をほぼ使用しないことから原料調達コストの低減と安定供給の両方を実現できる。
【0050】
(2)また、亜鉛や銅は人体に対して無毒・無害であり、「環境にやさしい」材料である。主原料の亜酸化銅は銅板を熱酸化させるだけで比較的簡単に製造できる。
【0051】
(3)亜酸化銅に組み合わせるI層やN層となる新規な無機化合物半導体薄膜の作製には、PLD法やVAPE法等のソフトでダメージフリーな成膜技術を適用できる。結果として、既存のSi系若しくはCIGS系太陽電池と比較して、圧倒的な価格優位性を実現できる。例えば、主原料である銅の価格はSi系太陽電池の主原料である高純度Siの4千分の1以下である。
【0052】
(4)また、亜酸化銅製造時のCO排出量はSiウエハー製造時の10分の1以下であり、加えてI層若しくはN層に製造エネルギーの低減が期待できる薄膜材料を導入することにより、太陽電池製造時の対環境負荷の大幅な低減が期待できる。
【0053】
(5)また、携帯電話や携帯ゲーム機器用の太陽光発電器等への応用を考えた場合には室内での使用が前提になるため、Si系材料と比較して広いバンドギャップを有する亜酸化銅(約2eV)は、蛍光灯やLED照明下における発電に有利である。
【0054】
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて実施の形態における組合せや工程の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【0055】
例えば、図4に示す本実施の形態に係る光電変換素子を用いてタンデム型光電変換素子としてもよい。一例としては、図4に示す光電変換素子20において、第1の半導体層22であるCuO層の厚さを10μm程度まで薄く作製し、波長が約650nm以上の長波長領域の透光性を改善した光電変換素子をトップセルとする。そして、波長700nm付近から赤外域にかけて光電変換感度特性を有する多結晶Si系光電変換素子(ボトムセル)上に前述のトップセルを形成し、タンデム型光電変換素子を作製する。このような構成のタンデム型光電変換素子は、19%以上の高い光電変換効率を達成することができる。
【0056】
また、他の例としては、図4に示す光電変換素子20において、第1の半導体層22であるCuO層の厚さを10μm程度まで薄く作製し、波長が約650nm以上の長波長領域の透光性を改善した光電変換素子をトップセルとする。そして、波長750nm付近から赤外域にかけて光電変換感度特性を有するCIGS系化合物薄膜光電変換素子(ボトムセル)上に前述のトップセルを形成し、タンデム型光電変換素子を作製する。このような構成のタンデム型光電変換素子は、21%以上の高い光電変換効率を達成することができる。
【符号の説明】
【0057】
10 光電変換素子、 12 CuO層、 14 透明導電層、 16 電極、 20 光電変換素子、 22 第1の半導体層、 24 第2の半導体層、 26 透明導電層、 28 電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多結晶の亜酸化銅からなる第1の半導体層を準備する準備工程と、
前記第1の半導体層の上に、ノンドープの酸化亜鉛からなる、層厚が10〜100nmの第2の半導体層を形成する半導体層形成工程と、
前記第2の半導体層の上に透明導電層を形成する導電層形成工程と、を含み、
前記半導体層形成工程は、50℃以下の雰囲気温度で行われることを特徴とする光電変換素子の製造方法。
【請求項2】
前記半導体層形成工程は、前記第1の半導体層の上に到達する酸化亜鉛の粒子のエネルギーが10eV未満となる方法で行われることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項3】
前記半導体層形成工程において、パルスレーザ蒸着法により前記第2の半導体層を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項4】
前記半導体層形成工程において、真空アークプラズマ蒸着法により前記第2の半導体層を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項5】
前記半導体層形成工程において、電子線蒸着法により前記第2の半導体層を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項6】
前記半導体層形成工程において、化学的成膜法により前記第2の半導体層を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項7】
前記第2の半導体層の層厚は、20〜70nmであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項8】
多結晶の亜酸化銅からなる第1の半導体層と、
前記第1の半導体層の上に設けられ、ノンドープの酸化亜鉛からなる層厚が10〜100nmの第2の半導体層と、
前記第2の半導体層の上に設けられた透明導電層と、を備え、
前記第2の半導体層は、光電変換効率が2.5%以上であるように構成されていることを特徴とする光電変換素子。
【請求項9】
前記第1の半導体層は、p型半導体層であり、前記第2の半導体層はn型半導体層であることを特徴とする請求項8に記載の光電変換素子。
【請求項10】
前記透明導電層は、アルミニウムをドープした酸化亜鉛からなることを特徴とする請求項8または9に記載の光電変換素子。
【請求項11】
前記第2の半導体層の層厚は、20〜70nmであることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の光電変換素子。
【請求項12】
前記第2の半導体層は、50℃以下の雰囲気温度で形成されたものであることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の光電変換素子。
【請求項13】
請求項8乃至12のいずれか1項に記載の光電変換素子をトップセルとし、
薄膜Si、多結晶Siもしくは単結晶Siの少なくともいずれかからなるSi系光電変換素子をボトムセルとすることを特徴とするタンデム型光電変換素子。
【請求項14】
請求項8乃至12のいずれか1項に記載の光電変換素子をトップセルとし、
CIGS系化合物薄膜光電変換素子をボトムセルとすることを特徴とするタンデム型光電変換素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−186415(P2012−186415A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50035(P2011−50035)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成23年2月21日に金沢工業大学発行の「平成22年度工学設計III公開発表審査会予稿集」に発表
【出願人】(593165487)学校法人金沢工業大学 (202)
【Fターム(参考)】