光電変換素子の製造方法、光電変換素子および光電変換素子モジュール
【課題】窒化物半導体を用いた大面積の光電変換素子を低コストで製造することが可能な光電変換素子の製造方法、光電変換素子および光電変換素子モジュールを提供する。
【解決手段】第1の基板1上に、第1のバッファ層2、第2のバッファ層600、i型窒化物半導体層500およびn型窒化物半導体層400を形成し、第1の基板1を切削工具4を用いて除去する光電変換素子の製造方法、光電変換素子および光電変換素子モジュールである。
【解決手段】第1の基板1上に、第1のバッファ層2、第2のバッファ層600、i型窒化物半導体層500およびn型窒化物半導体層400を形成し、第1の基板1を切削工具4を用いて除去する光電変換素子の製造方法、光電変換素子および光電変換素子モジュールである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換素子の製造方法、光電変換素子および光電変換素子モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン系材料からなる光電変換素子は、そのバンドギャップが1.1〜1.8eVであるため、エネルギーの高い0.5μm以下の短波長領域の光に対して感度が小さく、太陽光スペクトルの全ての波長領域を有効に活用できないという材料固有の課題が存在していた。
【0003】
一方、AlxInyGa(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、0<x+y≦1)で表される窒化物半導体のバンドギャップは、組成xおよびyに対応して0.7eV〜6.0eVという極めて広い範囲で変化する。このような窒化物半導体は、発光ダイオード(LED)およびレーザーダイオード(LD)等の発光素子用の材料として開発が盛んに行われてきたが、上記の組成を有する窒化物半導体を光電変換素子に用いた場合には、0.5μm以下の短波長領域の光に対しても感度を持たせることできるようになることから、このような窒化物半導体は、次世代の光電変換素子用の材料として大変注目されている。
【0004】
窒化物半導体を用いた従来の光電変換素子は、光の入射側から、p型不純物がドープされたGaN層の下に、光吸収層として、AlxInyGa(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、0<x+y≦1)の式で表わされる、InGaN、AlGaNまたはAlInGaNなどからなるi型窒化物半導体層、およびn型不純物をドープしたGaN層が設けられた構成を有している。
【0005】
たとえば特許文献1(特開2003−318434号公報)には、図14の模式的断面図に示すように、サファイア基板1000の[0001]面上に、窒化物半導体バッファ層(図示せず)、p型窒化物半導体層6000、i型窒化物半導体層5000、およびn型窒化物半導体層4000をこの順序で積層し、素子分離を行ない、保護膜8000を形成した後、n型窒化物半導体層4000にパッド電極3000および支持基板2000を形成し、サファイア基板1000側からエキシマレーザー光60を照射してサファイア基板1000を除去することによって作製した光電変換素子が開示されている。
【0006】
このような構成を有する光電変換素子は、n型窒化物半導体層からp型窒化物半導体に向かう積層方向を[000-1]方向に一致させることにより、格子定数の違いから生ずる圧電電界が、p−i界面近傍において光を吸収して発生した電子−正孔対の分離を促進しかつn−i界面近傍において伝導帯のヘテロ障壁を低くする方向に発生するため、高い変換効率を発現するとされている。
【0007】
しかしながら、このような光電変換素子については、大面積のものを作製することが困難であることから、比較的小面積の光電変換素子を多数実装して太陽電池モジュールなどの光電変換素子モジュールを作製する必要があった。
【0008】
また、たとえば特許文献2(特許第4672753号公報)には、サファイア基板上に窒化物半導体層を積層した後、サファイア基板の温度を常温に戻すことによって、窒化物半導体層をサファイア基板から自然に剥離する技術が開示されている。
【0009】
さらに、たとえば特許文献3(特許第4599442号公報)には、サファイア基板上に、AlNからなる第1のバッファ層、AlxGa1-xN(0.8≦s<1)からなる第2のバッファ層、GaN層またはAlGaInN層からなる半導体層、およびp型半導体層をこの順に成膜した後、GaNの禁制帯幅に相当するエネルギーを有する波長よりも波長が短いレーザー光を照射することによって、サファイア基板を剥離する技術が開示されている。
【0010】
しかしながら、特許文献2および特許文献3に記載のいずれの技術も、太陽電池モジュールなどの光電変換素子モジュールに必要な大面積の光電変換素子の作製に適用できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−318434号公報
【特許文献2】特許第4672753号公報
【特許文献3】特許第4599442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、窒化物半導体を用いた大面積の光電変換素子を低コストで製造することが可能な光電変換素子の製造方法、光電変換素子および光電変換素子モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、第1の基板上に第1のバッファ層を形成する工程と、第1のバッファ層上に第2のバッファ層を形成する工程と、第2のバッファ層上にi型窒化物半導体層を形成する工程と、i型窒化物半導体層上にn型窒化物半導体層を形成する工程と、n型窒化物半導体層上に金属層を形成する工程と、第1の基板を切削工具を用いて除去する工程と、金属層に第2の基板を貼り付ける工程と、第1のバッファ層を除去する工程と、第1のバッファ層の除去後に第2のバッファ層にp型窒化物半導体層を形成する工程と、を含む、光電変換素子の製造方法である。
【0014】
ここで、本発明の光電変換素子の製造方法において、第1の基板を除去する工程は、第1の基板と第1のバッファ層との界面近傍を切削工具で切削する工程を含むことが好ましい。
【0015】
また、本発明の光電変換素子の製造方法において、切削工具は、第1のバッファ層よりも硬度が高く、第1の基板よりも硬度が低いことが好ましい。
【0016】
また、本発明の光電変換素子の製造方法において、第1のバッファ層は、第2のバッファ層および第1の基板のそれぞれよりも硬度が低いことが好ましい。
【0017】
また、本発明の光電変換素子の製造方法において、第1のバッファ層は、GaAsまたはAlGaAsであることが好ましい。
【0018】
また、本発明の光電変換素子の製造方法において、p型窒化物半導体層を形成する工程は、第2のバッファ層の周辺領域以外の領域にp型不純物を注入する工程を含むことが好ましい。
【0019】
また、本発明の光電変換素子の製造方法において、i型窒化物半導体層は、Alx1Iny1Gaz1N(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、x1+y1+z1≠0)の式で表わされる窒化物半導体結晶を含み、n型窒化物半導体層は、Alx2Iny2Gaz2N(0≦x2≦1、0≦y2≦1、0≦z2≦1、x2+y2+z2≠0)の式で表わされる窒化物半導体結晶を含むことが好ましい。
【0020】
また、本発明の光電変換素子の製造方法は、第2の基板の表面にAgを含む金属膜を形成する工程をさらに含むことが好ましい。
【0021】
また、本発明は、第2の基板上に設けられた金属層と、金属層上に設けられたn型窒化物半導体層と、n型窒化物半導体層上に設けられたi型窒化物半導体層と、i型窒化物半導体層上に設けられた第2のバッファ層およびp型窒化物半導体層と、を備え、第2のバッファ層の周辺領域以外の領域にp型窒化物半導体層を設けた光電変換素子である。
【0022】
ここで、本発明の光電変換素子において、第2の基板は可撓性を有することが好ましい。
【0023】
さらに、本発明は、上記の光電変換素子を含む光電変換素子モジュールである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、窒化物半導体を用いた大面積の光電変換素子を低コストで製造することが可能な光電変換素子の製造方法、光電変換素子および光電変換素子モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施の形態の光電変換素子の製造方法の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図2】実施の形態の光電変換素子の製造方法の製造工程の他の一部を図解する模式的な断面図である。
【図3】実施の形態の光電変換素子の製造方法の製造工程の他の一部を図解する模式的な断面図である。
【図4】実施の形態の光電変換素子の製造方法の製造工程の他の一部を図解する模式的な断面図である。
【図5】実施の形態の光電変換素子の製造方法の製造工程の他の一部を図解する模式的な断面図である。
【図6】実施の形態の光電変換素子の製造方法の製造工程の他の一部を図解する模式的な断面図である。
【図7】実施の形態の光電変換素子の製造方法の製造工程の他の一部を図解する模式的な断面図である。
【図8】実施の形態の光電変換素子の製造方法の製造工程の他の一部を図解する模式的な断面図である。
【図9】実施の形態の光電変換素子の製造方法の製造工程の他の一部を図解する模式的な断面図である。
【図10】実施の形態の光電変換素子の製造方法の製造工程の他の一部を図解する模式的な断面図である。
【図11】図1に示す第1のバッファ層上にマスク層を形成する工程の一例を図解する模式的な断面図である。
【図12】第2のバッファ層に形成されたp型窒化物半導体層の一例の模式的な平面図である。
【図13】実施の形態の光電変換素子モジュールの模式的な構成図である。
【図14】特許文献1に記載の光電変換素子の作製方法を図解する模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の光電変換素子の製造方法の一例である実施の形態の光電変換素子の製造方法について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0027】
まず、図1の模式的断面図に示すように、第1の基板1上に第1のバッファ層2を形成する工程を行なう。第1のバッファ層2は、たとえば有機金属気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法によって、大面積の第1の基板1の表面上に形成することができる。なお、大面積の第1の基板1の表面としては、たとえば、幅10mm×長さ10mmの表面以上の面積を有する表面を挙げることができる。
【0028】
第1の基板1の材質は、特に限定されないが、低コストで光電変換素子を作製する観点からは、サファイアを用いることが好ましい。
【0029】
また、第1のバッファ層2も、特に限定されないが、たとえばGaAsまたはAlGaAsなどを用いることができる。また、第1のバッファ層2は、たとえば、第1の基板1としてのサファイア基板の[0001]面上に1μm以上2μm以下の厚さで形成することができる。
【0030】
なお、図11の模式的断面図に示すように、第1のバッファ層2の表面上に、たとえば、格子状の開口部を有するマスク層3を形成してもよい。第1のバッファ層2の表面上に格子状の開口部を有するマスク層3を形成した場合には、マスク層3上に形成される窒化物半導体層の結晶性を向上することができる傾向にある。
【0031】
マスク層3としては、たとえば、SiO2またはSiNなどを用いることができる。また、マスク層3の厚さは、たとえば、50nm以上100nm以下とすることができる。
【0032】
次に、図2の模式的断面図に示すように、第1のバッファ層2上に第2のバッファ層600を形成する工程を行なう。第2のバッファ層600は、たとえばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法によって、第1の基板1上に形成することができる。
【0033】
第2のバッファ層600としては、たとえば、GaN、InGaN、AlGaN、InNまたはAlNなどを用いることができる。また、第2のバッファ層600の厚さは、たとえば、30nm以上50nm以下とすることができる。
【0034】
次に、図3の模式的断面図に示すように、第2のバッファ層600上にi型窒化物半導体層500を形成する工程を行なう。i型窒化物半導体層500は、たとえばMOCVD法によって、第2のバッファ層600上に形成することができる。
【0035】
i型窒化物半導体層500としては、たとえば、Alx1Iny1Gaz1N(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、x1+y1+z1≠0)の式で表わされる窒化物半導体結晶を用いることができる。また、i型窒化物半導体層500は、窒化物半導体結晶のMQW(多重量子井戸)構造またはSQW(単一量子井戸)構造を有していてもよい。
【0036】
i型窒化物半導体層500の厚さは、20nm以上400nm以下であることが好ましい。i型窒化物半導体層500の厚さが20nm以上である場合には、i型窒化物半導体層500が太陽光などの光を十分に吸収してフォトキャリアを十分に発生させることができる。i型窒化物半導体層500の厚さが400nm以下である場合には、i型窒化物半導体層500が厚くなりすぎないため、後述するn型窒化物半導体層とp型窒化物半導体層とによって形成される内部電界がi型窒化物半導体層500に十分に印加される傾向にある。
【0037】
i型窒化物半導体層500のより具体的な例としては、たとえば、厚さ45nmのノンドープのIn0.1Ga0.9N膜が挙げられる。ノンドープのIn0.1Ga0.9N膜は、たとえば、TMG(トリメチルガリウム)を10μmol、TMI(トリメチルインジウム)を54μmol、およびNH3(アンモニア)を420mmolの供給量でMOCVD装置の反応炉に供給するによって形成することができる。
【0038】
i型窒化物半導体層500のより具体的な他の例としては、たとえば、第2のバッファ層600上に、厚さ3.5nmのIn0.2Ga0.8Nからなる量子井戸層と、厚さ6nmのGaNからなる障壁層とが交互に6層積層されたMQW構造が挙げられる。なお、この場合に量子井戸層と障壁層との交互積層数は6層に限定されないことは言うまでもない。
【0039】
また、i型窒化物半導体層500は、後述するn型窒化物半導体層との格子不整合を緩和するための緩衝層を有していてもよい。緩衝層としては、たとえば、厚さ2nm未満のInsGa1-sN(s<0.1)からなる量子井戸層と、厚さ2nm未満のGaNから成る障壁層とが交互に20層積層されたMQW構造が挙げられる。
【0040】
次に、図4の模式的断面図に示すように、i型窒化物半導体層500上にn型窒化物半導体層400を形成する工程を行なう。n型窒化物半導体層400は、たとえばMOCVD法によって、i型窒化物半導体層500上に形成することができる。
【0041】
n型窒化物半導体層400としては、たとえば、Alx2Iny2Gaz2N(0≦x2≦1、0≦y2≦1、0≦z2≦1、x2+y2+z2≠0)の式で表わされる窒化物半導体結晶にn型不純物をドープしたものを用いることができる。n型不純物としては、たとえば、Si、P、AsまたはSbなどが挙げられる。なお、n型窒化物半導体層400とi型窒化物半導体層500とは同一の組成の窒化物半導体結晶を用いてもよく、異なる組成の窒化物半導体結晶を用いてもよいことは言うまでもない。
【0042】
n型窒化物半導体層400としては、なかでも、SiがGaN結晶にドープされたn型GaN層を用いることが好ましい。
【0043】
n型窒化物半導体層400は、i型窒化物半導体層500よりも大きなバンドギャップエネルギーを有していることが好ましい。この場合には、n型窒化物半導体層400によって吸収される光強度の減少を最小限にすることができ、i型窒化物半導体層500に入射する光の光強度が大きくなるため、多くのフォトキャリアが発生する傾向にある。
【0044】
n型窒化物半導体層400におけるn型不純物濃度は、特に限定されないが、1×1018個/cm3以上1×1020個/cm3以下であることが好ましい。この場合には、n型窒化物半導体層400の導電率を高くすることができるとともに、n型窒化物半導体層400の表面が荒れることなく、i型窒化物半導体層500の結晶性を向上することができる傾向にある。
【0045】
次に、図5の模式的断面図に示すように、n型窒化物半導体層400上に金属層300を形成する工程を行なう。金属層300は、たとえばスパッタ法またはメッキ法によって、n型窒化物半導体層400上に形成することができる。なお、本実施の形態においては、金属層300は、n型窒化物半導体層400の上面だけでなく、n型窒化物半導体層400、i型窒化物半導体層500、第2のバッファ層600および第1のバッファ層2のそれぞれの側面にも形成されている。
【0046】
このような金属層300の具体的な例としては、厚さ40nmのNi層、厚さ200nmのPt層およびAu層、ならびに厚さ80nmのAg層をこの順序に積層した構成が挙げられる。
【0047】
次に、図6の模式的断面図に示すように、第1の基板1を切削工具4を用いて除去する工程を行なう。第1の基板1の除去は、たとえば第1の基板1と第1のバッファ層2との界面近傍に切削工具4を押し当てて、当該界面近傍を切削工具4で切削することにより行なうことができる。切削工具4としては、たとえばタングステンカーバイトなどからなる切削工具を用いることができる。
【0048】
切削工具4は、第1のバッファ層2よりも硬度が高く、第1の基板1よりも硬度が低いことが好ましい。この場合には、切削工具4で第1のバッファ層2を容易に削り取ることができるため、第1の基板1の剥離による除去が容易となる傾向にある。
【0049】
また、第1のバッファ層2は、第2のバッファ層600および第1の基板1のそれぞれよりも硬度が低いことが好ましい。この場合には、切削工具4で第1のバッファ層2のみを容易に削り取ることができるため、第1の基板1の剥離による除去が容易となる傾向にある。
【0050】
GaN、GaAs、AlGaAs、サファイアのヌープ硬度は、それぞれ、850kg/mm2、730kg/mm2、430〜520kg/mm2、および1500〜1800kg/mm2である。したがって、たとえば、第1のバッファ層2がGaAsまたはAlGaAsからなり、第1の基板1がサファイアからなる場合には、第1のバッファ層2と第1の基板1との界面近傍にタングステンカーバイトからなる切削工具4を押し当てて、第1のバッファ層2を削り取ることができる。
【0051】
より具体的には、ダイプラ・ウィンテス社製SAICAS(表面および界面切削加工装置)で、幅5mmの切削工具を用いて、第1のバッファ層2を幅5mm×長さ5mmの大きさに削り取ることができる。なお、幅のより広い切削工具を用いた場合には、幅5mm以上の第1のバッファ層2を削り取ることができる。
【0052】
次に、図7の模式的断面図に示すように、金属層300に第2の基板200を貼り付ける工程を行なう。第2の基板200は、たとえば銀ペーストなどを用いて金属層300に貼り付けることができる。
【0053】
第2の基板200の材質は、特に限定されないが、たとえば、アルミナ系または酸化チタン系のセラミック、セラミックよりも軽量である雲母などを用いることができるが、なかでも耐熱性樹脂等の可撓性を有する基板を用いることが好ましい。この場合には、可撓性を有する光電変換素子を作製することができる。
【0054】
第2の基板200の表面にAgを含む金属膜を形成する工程をさらに含むことが好ましい。この場合には、後述する工程において、第1のバッファ層2を王水で除去する場合に、金属膜を第2の基板200の保護膜として用いることができる。たとえば、第2の基板200の表面にAg膜を形成した場合には、王水によって、AgClの保護膜が形成されて、第2の基板200を除去せずに残すことができる傾向にある。また、第2の基板200の表面にAgを含む金属膜が形成された場合には、後述するように、光電変換素子をモジュール化する場合に、当該金属膜を配線の接続部とすることができる。
【0055】
次に、図8の模式的断面図に示すように、第1のバッファ層2を除去する工程を行なう。第1のバッファ層2は、たとえば王水またはプラズマエッチングなどによって除去することができる。なお、図11に示すように、第1のバッファ層2上にマスク層3が形成されている場合には、プラズマエッチングにより第1のバッファ層2を除去することが好ましい。
【0056】
次に、図9の模式的断面図に示すように、第1のバッファ層2の除去後に、第2のバッファ層600にp型窒化物半導体層602を形成する工程を行なう。ここで、p型窒化物半導体層602は、たとえば、第2のバッファ層600の周辺領域をマスクするパターンを有するマスク5をイオン注入マスクとして、p型不純物のイオン6を第2のバッファ層600にイオン注入し、その後、第2のバッファ層600をアニールすることによって形成することができる。これにより、たとえば図12の模式的平面図に示すように、第2のバッファ層600の周辺領域以外の領域に、p型窒化物半導体層602を形成することができる。
【0057】
p型不純物のイオン6としては、たとえばマグネシウムのイオンなどを用いることができる。また、p型不純物のイオン6の加速エネルギーは、たとえば30keVとすることができる。また、p型窒化物半導体層602におけるp型不純物濃度は、特に限定されないが、たとえば1×1017個/cm3以上2×1019個/cm3以下とすることが好ましい。
【0058】
また、第2のバッファ層600のアニールは、たとえば、800℃の窒素雰囲気で、5分間行なうことが好ましい。
【0059】
より具体的には、第2のバッファ層600の周辺領域以外の領域に、約30keVの加速エネルギーでp型不純物のイオン6としてのマグネシウムイオンをイオン注入し、窒素雰囲気中、800℃で5分間アニールを行なうことによって、p型不純物であるマグネシウム濃度が1×1019個/cm3程度のp型窒化物半導体層602を形成することができる。
【0060】
p型窒化物半導体層602は、第2のバッファ層600の周辺領域以外の領域に形成されることが好ましい。この場合には、光電変換素子の端面部での電流リークを回避することができる。
【0061】
次に、図10の模式的断面図に示すように、p型窒化物半導体層602上に透明電極層700を形成する工程を行なう。透明電極層700は、たとえばマグネトロンスパッタ法またはイオンプレーティング法によって、p型窒化物半導体層602上に形成することができる。
【0062】
透明電極層700の材質は、特に限定されないが、亜鉛、インジウム、錫およびマグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種の金属の酸化物からなる単層または複数層の積層体を用いることが好ましい。
【0063】
透明電極層700の具体的な例としては、厚さ320nmの2%のアルミニウムがドープされた酸化亜鉛が挙げられる。
【0064】
なお、透明電極層700上に集電電極を形成してもよい。集電電極としては、たとえば、ニッケル、白金、金および銀からなる群から選択された少なくとも1種からなる櫛形状の集電電極などを形成することができる。
【0065】
以上により、本発明の光電変換素子の一例である実施の形態の大面積の光電変換素子100を作製することができる。
【0066】
図10に示すように、光電変換素子100は、第2の基板200と、第2の基板200上に設けられた金属層300と、金属層300上に設けられたn型窒化物半導体層400と、n型窒化物半導体層400上に設けられたi型窒化物半導体層500と、i型窒化物半導体層500上に設けられた第2のバッファ層600およびp型窒化物半導体層602と、p型窒化物半導体層602上に設けられた透明電極層700とを備えている。また、第2のバッファ層600の周辺領域以外の領域にp型窒化物半導体層602が設けられている。
【0067】
光電変換素子100においては、透明電極層700側から入射し、透明電極層700およびp型窒化物半導体層602を透過して、i型窒化物半導体層500に到達した光は、光吸収層としてのi型窒化物半導体層500で吸収される。そして、i型窒化物半導体層500で発生したキャリアは、金属層300および透明電極層700から、光電変換素子100の外部に取り出すことができる。なお、金属層300は、n型窒化物半導体層400を透過してきた光をi型窒化物半導体層500側に反射する反射層として機能させることができる。
【0068】
たとえば図13の模式的構成図に示すように、上記のようにして作製された大面積の光電変換素子100の複数を電気的に接続することによって、光電変換素子モジュール101を作製することもできる。
【0069】
図13に示す光電変換素子モジュール101は、背面板11を備えた枠体10と、枠体10内にアレイ状に配列された複数の光電変換素子100と、光電変換素子100が電気的に直列または並列に接続された配線12と、を備えている。また、枠体10は、光電変換素子100と配線12とを外部環境および外部衝撃から保護するための封止材13および保護材14を備えている。
【0070】
なお、光電変換素子100の直列数および並列数は、光電変換素子モジュール101の定格電圧および定格電流に応じて定めることができる。
【0071】
また、枠体10の形状は、特に限定されず、たとえば、上記の四角形状以外にも、多角形状、円形状または楕円形状等の形状であってもよい。
【0072】
また、第2の基板200に可撓性を有する材質を用いた場合には、車体等の曲面に光電変換素子100を実装して軽量化した光電変換素子モジュール101を構成することができる。
【0073】
上記の光電変換素子100および光電変換素子モジュール101の作製においては、i型窒化物半導体層500およびn型窒化物半導体層400の成長に用いた大面積の第1の基板1の除去を、従来のようにレーザー光の照射や基板の温度変化によって行なうのではなく、切削工具4を用いて行なっている。そのため、第1の基板1として大面積の基板を用いた場合でも、第1の基板1の除去を従来よりも容易に、かつ低コストで行なうことができることから、大面積の光電変換素子100およびそれを用いた光電変換素子モジュール101を低コストで製造することができる。
【0074】
また、第1の基板1として、高価な窒化物半導体基板ではなく、再利用可能であって比較的安価なサファイア基板を用いた場合には、大面積の光電変換素子100をさらに低コストで製造することができる。
【0075】
さらに、実施の形態の光電変換素子100には、光吸収層として、窒化物半導体結晶からなるi型窒化物半導体層500を用いていることから、Si等に比べ光吸収率が非常高く、光電変換素子100を従来よりも薄く形成することができる。そのため、第2の基板200の選択の自由度が向上し、可撓性を有し、かつ軽量の光電変換素子100および光電変換素子モジュール101を形成することができる。
【0076】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、光電変換素子の製造方法、光電変換素子および光電変換素子モジュールに利用することができ、特に、太陽電池および太陽電池モジュールの製造に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 第1の基板、2 第1のバッファ層、3 マスク層、4 切削工具、5 マスク、6 p型不純物のイオン、10 枠体、11 背面板、12 配線、13 封止材、14 保護材、60 エキシマレーザー光、100 光電変換素子、101 光電変換素子モジュール、200 第2の基板、300 金属層、400 n型窒化物半導体層、500 i型窒化物半導体層、600 第2のバッファ層、602 p型窒化物半導体層、700 透明電極層、1000 サファイア基板、2000 支持基板、3000 パッド電極、4000 n型窒化物半導体層、5000 i型窒化物半導体層、6000 p型窒化物半導体層、8000 保護膜。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換素子の製造方法、光電変換素子および光電変換素子モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン系材料からなる光電変換素子は、そのバンドギャップが1.1〜1.8eVであるため、エネルギーの高い0.5μm以下の短波長領域の光に対して感度が小さく、太陽光スペクトルの全ての波長領域を有効に活用できないという材料固有の課題が存在していた。
【0003】
一方、AlxInyGa(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、0<x+y≦1)で表される窒化物半導体のバンドギャップは、組成xおよびyに対応して0.7eV〜6.0eVという極めて広い範囲で変化する。このような窒化物半導体は、発光ダイオード(LED)およびレーザーダイオード(LD)等の発光素子用の材料として開発が盛んに行われてきたが、上記の組成を有する窒化物半導体を光電変換素子に用いた場合には、0.5μm以下の短波長領域の光に対しても感度を持たせることできるようになることから、このような窒化物半導体は、次世代の光電変換素子用の材料として大変注目されている。
【0004】
窒化物半導体を用いた従来の光電変換素子は、光の入射側から、p型不純物がドープされたGaN層の下に、光吸収層として、AlxInyGa(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、0<x+y≦1)の式で表わされる、InGaN、AlGaNまたはAlInGaNなどからなるi型窒化物半導体層、およびn型不純物をドープしたGaN層が設けられた構成を有している。
【0005】
たとえば特許文献1(特開2003−318434号公報)には、図14の模式的断面図に示すように、サファイア基板1000の[0001]面上に、窒化物半導体バッファ層(図示せず)、p型窒化物半導体層6000、i型窒化物半導体層5000、およびn型窒化物半導体層4000をこの順序で積層し、素子分離を行ない、保護膜8000を形成した後、n型窒化物半導体層4000にパッド電極3000および支持基板2000を形成し、サファイア基板1000側からエキシマレーザー光60を照射してサファイア基板1000を除去することによって作製した光電変換素子が開示されている。
【0006】
このような構成を有する光電変換素子は、n型窒化物半導体層からp型窒化物半導体に向かう積層方向を[000-1]方向に一致させることにより、格子定数の違いから生ずる圧電電界が、p−i界面近傍において光を吸収して発生した電子−正孔対の分離を促進しかつn−i界面近傍において伝導帯のヘテロ障壁を低くする方向に発生するため、高い変換効率を発現するとされている。
【0007】
しかしながら、このような光電変換素子については、大面積のものを作製することが困難であることから、比較的小面積の光電変換素子を多数実装して太陽電池モジュールなどの光電変換素子モジュールを作製する必要があった。
【0008】
また、たとえば特許文献2(特許第4672753号公報)には、サファイア基板上に窒化物半導体層を積層した後、サファイア基板の温度を常温に戻すことによって、窒化物半導体層をサファイア基板から自然に剥離する技術が開示されている。
【0009】
さらに、たとえば特許文献3(特許第4599442号公報)には、サファイア基板上に、AlNからなる第1のバッファ層、AlxGa1-xN(0.8≦s<1)からなる第2のバッファ層、GaN層またはAlGaInN層からなる半導体層、およびp型半導体層をこの順に成膜した後、GaNの禁制帯幅に相当するエネルギーを有する波長よりも波長が短いレーザー光を照射することによって、サファイア基板を剥離する技術が開示されている。
【0010】
しかしながら、特許文献2および特許文献3に記載のいずれの技術も、太陽電池モジュールなどの光電変換素子モジュールに必要な大面積の光電変換素子の作製に適用できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−318434号公報
【特許文献2】特許第4672753号公報
【特許文献3】特許第4599442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、窒化物半導体を用いた大面積の光電変換素子を低コストで製造することが可能な光電変換素子の製造方法、光電変換素子および光電変換素子モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、第1の基板上に第1のバッファ層を形成する工程と、第1のバッファ層上に第2のバッファ層を形成する工程と、第2のバッファ層上にi型窒化物半導体層を形成する工程と、i型窒化物半導体層上にn型窒化物半導体層を形成する工程と、n型窒化物半導体層上に金属層を形成する工程と、第1の基板を切削工具を用いて除去する工程と、金属層に第2の基板を貼り付ける工程と、第1のバッファ層を除去する工程と、第1のバッファ層の除去後に第2のバッファ層にp型窒化物半導体層を形成する工程と、を含む、光電変換素子の製造方法である。
【0014】
ここで、本発明の光電変換素子の製造方法において、第1の基板を除去する工程は、第1の基板と第1のバッファ層との界面近傍を切削工具で切削する工程を含むことが好ましい。
【0015】
また、本発明の光電変換素子の製造方法において、切削工具は、第1のバッファ層よりも硬度が高く、第1の基板よりも硬度が低いことが好ましい。
【0016】
また、本発明の光電変換素子の製造方法において、第1のバッファ層は、第2のバッファ層および第1の基板のそれぞれよりも硬度が低いことが好ましい。
【0017】
また、本発明の光電変換素子の製造方法において、第1のバッファ層は、GaAsまたはAlGaAsであることが好ましい。
【0018】
また、本発明の光電変換素子の製造方法において、p型窒化物半導体層を形成する工程は、第2のバッファ層の周辺領域以外の領域にp型不純物を注入する工程を含むことが好ましい。
【0019】
また、本発明の光電変換素子の製造方法において、i型窒化物半導体層は、Alx1Iny1Gaz1N(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、x1+y1+z1≠0)の式で表わされる窒化物半導体結晶を含み、n型窒化物半導体層は、Alx2Iny2Gaz2N(0≦x2≦1、0≦y2≦1、0≦z2≦1、x2+y2+z2≠0)の式で表わされる窒化物半導体結晶を含むことが好ましい。
【0020】
また、本発明の光電変換素子の製造方法は、第2の基板の表面にAgを含む金属膜を形成する工程をさらに含むことが好ましい。
【0021】
また、本発明は、第2の基板上に設けられた金属層と、金属層上に設けられたn型窒化物半導体層と、n型窒化物半導体層上に設けられたi型窒化物半導体層と、i型窒化物半導体層上に設けられた第2のバッファ層およびp型窒化物半導体層と、を備え、第2のバッファ層の周辺領域以外の領域にp型窒化物半導体層を設けた光電変換素子である。
【0022】
ここで、本発明の光電変換素子において、第2の基板は可撓性を有することが好ましい。
【0023】
さらに、本発明は、上記の光電変換素子を含む光電変換素子モジュールである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、窒化物半導体を用いた大面積の光電変換素子を低コストで製造することが可能な光電変換素子の製造方法、光電変換素子および光電変換素子モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施の形態の光電変換素子の製造方法の製造工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【図2】実施の形態の光電変換素子の製造方法の製造工程の他の一部を図解する模式的な断面図である。
【図3】実施の形態の光電変換素子の製造方法の製造工程の他の一部を図解する模式的な断面図である。
【図4】実施の形態の光電変換素子の製造方法の製造工程の他の一部を図解する模式的な断面図である。
【図5】実施の形態の光電変換素子の製造方法の製造工程の他の一部を図解する模式的な断面図である。
【図6】実施の形態の光電変換素子の製造方法の製造工程の他の一部を図解する模式的な断面図である。
【図7】実施の形態の光電変換素子の製造方法の製造工程の他の一部を図解する模式的な断面図である。
【図8】実施の形態の光電変換素子の製造方法の製造工程の他の一部を図解する模式的な断面図である。
【図9】実施の形態の光電変換素子の製造方法の製造工程の他の一部を図解する模式的な断面図である。
【図10】実施の形態の光電変換素子の製造方法の製造工程の他の一部を図解する模式的な断面図である。
【図11】図1に示す第1のバッファ層上にマスク層を形成する工程の一例を図解する模式的な断面図である。
【図12】第2のバッファ層に形成されたp型窒化物半導体層の一例の模式的な平面図である。
【図13】実施の形態の光電変換素子モジュールの模式的な構成図である。
【図14】特許文献1に記載の光電変換素子の作製方法を図解する模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の光電変換素子の製造方法の一例である実施の形態の光電変換素子の製造方法について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0027】
まず、図1の模式的断面図に示すように、第1の基板1上に第1のバッファ層2を形成する工程を行なう。第1のバッファ層2は、たとえば有機金属気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法によって、大面積の第1の基板1の表面上に形成することができる。なお、大面積の第1の基板1の表面としては、たとえば、幅10mm×長さ10mmの表面以上の面積を有する表面を挙げることができる。
【0028】
第1の基板1の材質は、特に限定されないが、低コストで光電変換素子を作製する観点からは、サファイアを用いることが好ましい。
【0029】
また、第1のバッファ層2も、特に限定されないが、たとえばGaAsまたはAlGaAsなどを用いることができる。また、第1のバッファ層2は、たとえば、第1の基板1としてのサファイア基板の[0001]面上に1μm以上2μm以下の厚さで形成することができる。
【0030】
なお、図11の模式的断面図に示すように、第1のバッファ層2の表面上に、たとえば、格子状の開口部を有するマスク層3を形成してもよい。第1のバッファ層2の表面上に格子状の開口部を有するマスク層3を形成した場合には、マスク層3上に形成される窒化物半導体層の結晶性を向上することができる傾向にある。
【0031】
マスク層3としては、たとえば、SiO2またはSiNなどを用いることができる。また、マスク層3の厚さは、たとえば、50nm以上100nm以下とすることができる。
【0032】
次に、図2の模式的断面図に示すように、第1のバッファ層2上に第2のバッファ層600を形成する工程を行なう。第2のバッファ層600は、たとえばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法によって、第1の基板1上に形成することができる。
【0033】
第2のバッファ層600としては、たとえば、GaN、InGaN、AlGaN、InNまたはAlNなどを用いることができる。また、第2のバッファ層600の厚さは、たとえば、30nm以上50nm以下とすることができる。
【0034】
次に、図3の模式的断面図に示すように、第2のバッファ層600上にi型窒化物半導体層500を形成する工程を行なう。i型窒化物半導体層500は、たとえばMOCVD法によって、第2のバッファ層600上に形成することができる。
【0035】
i型窒化物半導体層500としては、たとえば、Alx1Iny1Gaz1N(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、x1+y1+z1≠0)の式で表わされる窒化物半導体結晶を用いることができる。また、i型窒化物半導体層500は、窒化物半導体結晶のMQW(多重量子井戸)構造またはSQW(単一量子井戸)構造を有していてもよい。
【0036】
i型窒化物半導体層500の厚さは、20nm以上400nm以下であることが好ましい。i型窒化物半導体層500の厚さが20nm以上である場合には、i型窒化物半導体層500が太陽光などの光を十分に吸収してフォトキャリアを十分に発生させることができる。i型窒化物半導体層500の厚さが400nm以下である場合には、i型窒化物半導体層500が厚くなりすぎないため、後述するn型窒化物半導体層とp型窒化物半導体層とによって形成される内部電界がi型窒化物半導体層500に十分に印加される傾向にある。
【0037】
i型窒化物半導体層500のより具体的な例としては、たとえば、厚さ45nmのノンドープのIn0.1Ga0.9N膜が挙げられる。ノンドープのIn0.1Ga0.9N膜は、たとえば、TMG(トリメチルガリウム)を10μmol、TMI(トリメチルインジウム)を54μmol、およびNH3(アンモニア)を420mmolの供給量でMOCVD装置の反応炉に供給するによって形成することができる。
【0038】
i型窒化物半導体層500のより具体的な他の例としては、たとえば、第2のバッファ層600上に、厚さ3.5nmのIn0.2Ga0.8Nからなる量子井戸層と、厚さ6nmのGaNからなる障壁層とが交互に6層積層されたMQW構造が挙げられる。なお、この場合に量子井戸層と障壁層との交互積層数は6層に限定されないことは言うまでもない。
【0039】
また、i型窒化物半導体層500は、後述するn型窒化物半導体層との格子不整合を緩和するための緩衝層を有していてもよい。緩衝層としては、たとえば、厚さ2nm未満のInsGa1-sN(s<0.1)からなる量子井戸層と、厚さ2nm未満のGaNから成る障壁層とが交互に20層積層されたMQW構造が挙げられる。
【0040】
次に、図4の模式的断面図に示すように、i型窒化物半導体層500上にn型窒化物半導体層400を形成する工程を行なう。n型窒化物半導体層400は、たとえばMOCVD法によって、i型窒化物半導体層500上に形成することができる。
【0041】
n型窒化物半導体層400としては、たとえば、Alx2Iny2Gaz2N(0≦x2≦1、0≦y2≦1、0≦z2≦1、x2+y2+z2≠0)の式で表わされる窒化物半導体結晶にn型不純物をドープしたものを用いることができる。n型不純物としては、たとえば、Si、P、AsまたはSbなどが挙げられる。なお、n型窒化物半導体層400とi型窒化物半導体層500とは同一の組成の窒化物半導体結晶を用いてもよく、異なる組成の窒化物半導体結晶を用いてもよいことは言うまでもない。
【0042】
n型窒化物半導体層400としては、なかでも、SiがGaN結晶にドープされたn型GaN層を用いることが好ましい。
【0043】
n型窒化物半導体層400は、i型窒化物半導体層500よりも大きなバンドギャップエネルギーを有していることが好ましい。この場合には、n型窒化物半導体層400によって吸収される光強度の減少を最小限にすることができ、i型窒化物半導体層500に入射する光の光強度が大きくなるため、多くのフォトキャリアが発生する傾向にある。
【0044】
n型窒化物半導体層400におけるn型不純物濃度は、特に限定されないが、1×1018個/cm3以上1×1020個/cm3以下であることが好ましい。この場合には、n型窒化物半導体層400の導電率を高くすることができるとともに、n型窒化物半導体層400の表面が荒れることなく、i型窒化物半導体層500の結晶性を向上することができる傾向にある。
【0045】
次に、図5の模式的断面図に示すように、n型窒化物半導体層400上に金属層300を形成する工程を行なう。金属層300は、たとえばスパッタ法またはメッキ法によって、n型窒化物半導体層400上に形成することができる。なお、本実施の形態においては、金属層300は、n型窒化物半導体層400の上面だけでなく、n型窒化物半導体層400、i型窒化物半導体層500、第2のバッファ層600および第1のバッファ層2のそれぞれの側面にも形成されている。
【0046】
このような金属層300の具体的な例としては、厚さ40nmのNi層、厚さ200nmのPt層およびAu層、ならびに厚さ80nmのAg層をこの順序に積層した構成が挙げられる。
【0047】
次に、図6の模式的断面図に示すように、第1の基板1を切削工具4を用いて除去する工程を行なう。第1の基板1の除去は、たとえば第1の基板1と第1のバッファ層2との界面近傍に切削工具4を押し当てて、当該界面近傍を切削工具4で切削することにより行なうことができる。切削工具4としては、たとえばタングステンカーバイトなどからなる切削工具を用いることができる。
【0048】
切削工具4は、第1のバッファ層2よりも硬度が高く、第1の基板1よりも硬度が低いことが好ましい。この場合には、切削工具4で第1のバッファ層2を容易に削り取ることができるため、第1の基板1の剥離による除去が容易となる傾向にある。
【0049】
また、第1のバッファ層2は、第2のバッファ層600および第1の基板1のそれぞれよりも硬度が低いことが好ましい。この場合には、切削工具4で第1のバッファ層2のみを容易に削り取ることができるため、第1の基板1の剥離による除去が容易となる傾向にある。
【0050】
GaN、GaAs、AlGaAs、サファイアのヌープ硬度は、それぞれ、850kg/mm2、730kg/mm2、430〜520kg/mm2、および1500〜1800kg/mm2である。したがって、たとえば、第1のバッファ層2がGaAsまたはAlGaAsからなり、第1の基板1がサファイアからなる場合には、第1のバッファ層2と第1の基板1との界面近傍にタングステンカーバイトからなる切削工具4を押し当てて、第1のバッファ層2を削り取ることができる。
【0051】
より具体的には、ダイプラ・ウィンテス社製SAICAS(表面および界面切削加工装置)で、幅5mmの切削工具を用いて、第1のバッファ層2を幅5mm×長さ5mmの大きさに削り取ることができる。なお、幅のより広い切削工具を用いた場合には、幅5mm以上の第1のバッファ層2を削り取ることができる。
【0052】
次に、図7の模式的断面図に示すように、金属層300に第2の基板200を貼り付ける工程を行なう。第2の基板200は、たとえば銀ペーストなどを用いて金属層300に貼り付けることができる。
【0053】
第2の基板200の材質は、特に限定されないが、たとえば、アルミナ系または酸化チタン系のセラミック、セラミックよりも軽量である雲母などを用いることができるが、なかでも耐熱性樹脂等の可撓性を有する基板を用いることが好ましい。この場合には、可撓性を有する光電変換素子を作製することができる。
【0054】
第2の基板200の表面にAgを含む金属膜を形成する工程をさらに含むことが好ましい。この場合には、後述する工程において、第1のバッファ層2を王水で除去する場合に、金属膜を第2の基板200の保護膜として用いることができる。たとえば、第2の基板200の表面にAg膜を形成した場合には、王水によって、AgClの保護膜が形成されて、第2の基板200を除去せずに残すことができる傾向にある。また、第2の基板200の表面にAgを含む金属膜が形成された場合には、後述するように、光電変換素子をモジュール化する場合に、当該金属膜を配線の接続部とすることができる。
【0055】
次に、図8の模式的断面図に示すように、第1のバッファ層2を除去する工程を行なう。第1のバッファ層2は、たとえば王水またはプラズマエッチングなどによって除去することができる。なお、図11に示すように、第1のバッファ層2上にマスク層3が形成されている場合には、プラズマエッチングにより第1のバッファ層2を除去することが好ましい。
【0056】
次に、図9の模式的断面図に示すように、第1のバッファ層2の除去後に、第2のバッファ層600にp型窒化物半導体層602を形成する工程を行なう。ここで、p型窒化物半導体層602は、たとえば、第2のバッファ層600の周辺領域をマスクするパターンを有するマスク5をイオン注入マスクとして、p型不純物のイオン6を第2のバッファ層600にイオン注入し、その後、第2のバッファ層600をアニールすることによって形成することができる。これにより、たとえば図12の模式的平面図に示すように、第2のバッファ層600の周辺領域以外の領域に、p型窒化物半導体層602を形成することができる。
【0057】
p型不純物のイオン6としては、たとえばマグネシウムのイオンなどを用いることができる。また、p型不純物のイオン6の加速エネルギーは、たとえば30keVとすることができる。また、p型窒化物半導体層602におけるp型不純物濃度は、特に限定されないが、たとえば1×1017個/cm3以上2×1019個/cm3以下とすることが好ましい。
【0058】
また、第2のバッファ層600のアニールは、たとえば、800℃の窒素雰囲気で、5分間行なうことが好ましい。
【0059】
より具体的には、第2のバッファ層600の周辺領域以外の領域に、約30keVの加速エネルギーでp型不純物のイオン6としてのマグネシウムイオンをイオン注入し、窒素雰囲気中、800℃で5分間アニールを行なうことによって、p型不純物であるマグネシウム濃度が1×1019個/cm3程度のp型窒化物半導体層602を形成することができる。
【0060】
p型窒化物半導体層602は、第2のバッファ層600の周辺領域以外の領域に形成されることが好ましい。この場合には、光電変換素子の端面部での電流リークを回避することができる。
【0061】
次に、図10の模式的断面図に示すように、p型窒化物半導体層602上に透明電極層700を形成する工程を行なう。透明電極層700は、たとえばマグネトロンスパッタ法またはイオンプレーティング法によって、p型窒化物半導体層602上に形成することができる。
【0062】
透明電極層700の材質は、特に限定されないが、亜鉛、インジウム、錫およびマグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種の金属の酸化物からなる単層または複数層の積層体を用いることが好ましい。
【0063】
透明電極層700の具体的な例としては、厚さ320nmの2%のアルミニウムがドープされた酸化亜鉛が挙げられる。
【0064】
なお、透明電極層700上に集電電極を形成してもよい。集電電極としては、たとえば、ニッケル、白金、金および銀からなる群から選択された少なくとも1種からなる櫛形状の集電電極などを形成することができる。
【0065】
以上により、本発明の光電変換素子の一例である実施の形態の大面積の光電変換素子100を作製することができる。
【0066】
図10に示すように、光電変換素子100は、第2の基板200と、第2の基板200上に設けられた金属層300と、金属層300上に設けられたn型窒化物半導体層400と、n型窒化物半導体層400上に設けられたi型窒化物半導体層500と、i型窒化物半導体層500上に設けられた第2のバッファ層600およびp型窒化物半導体層602と、p型窒化物半導体層602上に設けられた透明電極層700とを備えている。また、第2のバッファ層600の周辺領域以外の領域にp型窒化物半導体層602が設けられている。
【0067】
光電変換素子100においては、透明電極層700側から入射し、透明電極層700およびp型窒化物半導体層602を透過して、i型窒化物半導体層500に到達した光は、光吸収層としてのi型窒化物半導体層500で吸収される。そして、i型窒化物半導体層500で発生したキャリアは、金属層300および透明電極層700から、光電変換素子100の外部に取り出すことができる。なお、金属層300は、n型窒化物半導体層400を透過してきた光をi型窒化物半導体層500側に反射する反射層として機能させることができる。
【0068】
たとえば図13の模式的構成図に示すように、上記のようにして作製された大面積の光電変換素子100の複数を電気的に接続することによって、光電変換素子モジュール101を作製することもできる。
【0069】
図13に示す光電変換素子モジュール101は、背面板11を備えた枠体10と、枠体10内にアレイ状に配列された複数の光電変換素子100と、光電変換素子100が電気的に直列または並列に接続された配線12と、を備えている。また、枠体10は、光電変換素子100と配線12とを外部環境および外部衝撃から保護するための封止材13および保護材14を備えている。
【0070】
なお、光電変換素子100の直列数および並列数は、光電変換素子モジュール101の定格電圧および定格電流に応じて定めることができる。
【0071】
また、枠体10の形状は、特に限定されず、たとえば、上記の四角形状以外にも、多角形状、円形状または楕円形状等の形状であってもよい。
【0072】
また、第2の基板200に可撓性を有する材質を用いた場合には、車体等の曲面に光電変換素子100を実装して軽量化した光電変換素子モジュール101を構成することができる。
【0073】
上記の光電変換素子100および光電変換素子モジュール101の作製においては、i型窒化物半導体層500およびn型窒化物半導体層400の成長に用いた大面積の第1の基板1の除去を、従来のようにレーザー光の照射や基板の温度変化によって行なうのではなく、切削工具4を用いて行なっている。そのため、第1の基板1として大面積の基板を用いた場合でも、第1の基板1の除去を従来よりも容易に、かつ低コストで行なうことができることから、大面積の光電変換素子100およびそれを用いた光電変換素子モジュール101を低コストで製造することができる。
【0074】
また、第1の基板1として、高価な窒化物半導体基板ではなく、再利用可能であって比較的安価なサファイア基板を用いた場合には、大面積の光電変換素子100をさらに低コストで製造することができる。
【0075】
さらに、実施の形態の光電変換素子100には、光吸収層として、窒化物半導体結晶からなるi型窒化物半導体層500を用いていることから、Si等に比べ光吸収率が非常高く、光電変換素子100を従来よりも薄く形成することができる。そのため、第2の基板200の選択の自由度が向上し、可撓性を有し、かつ軽量の光電変換素子100および光電変換素子モジュール101を形成することができる。
【0076】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、光電変換素子の製造方法、光電変換素子および光電変換素子モジュールに利用することができ、特に、太陽電池および太陽電池モジュールの製造に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 第1の基板、2 第1のバッファ層、3 マスク層、4 切削工具、5 マスク、6 p型不純物のイオン、10 枠体、11 背面板、12 配線、13 封止材、14 保護材、60 エキシマレーザー光、100 光電変換素子、101 光電変換素子モジュール、200 第2の基板、300 金属層、400 n型窒化物半導体層、500 i型窒化物半導体層、600 第2のバッファ層、602 p型窒化物半導体層、700 透明電極層、1000 サファイア基板、2000 支持基板、3000 パッド電極、4000 n型窒化物半導体層、5000 i型窒化物半導体層、6000 p型窒化物半導体層、8000 保護膜。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板上に第1のバッファ層を形成する工程と、
前記第1のバッファ層上に第2のバッファ層を形成する工程と、
前記第2のバッファ層上にi型窒化物半導体層を形成する工程と、
前記i型窒化物半導体層上にn型窒化物半導体層を形成する工程と、
前記n型窒化物半導体層上に金属層を形成する工程と、
前記第1の基板を切削工具を用いて除去する工程と、
前記金属層に第2の基板を貼り付ける工程と、
前記第1のバッファ層を除去する工程と、
前記第1のバッファ層の除去後に前記第2のバッファ層にp型窒化物半導体層を形成する工程と、を含む、光電変換素子の製造方法。
【請求項2】
前記第1の基板を除去する工程は、前記第1の基板と前記第1のバッファ層との界面近傍を前記切削工具で切削する工程を含む、請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項3】
前記切削工具は、前記第1のバッファ層よりも硬度が高く、前記第1の基板よりも硬度が低い、請求項2に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項4】
前記第1のバッファ層は、前記第2のバッファ層および前記第1の基板のそれぞれよりも硬度が低い、請求項1から3のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項5】
前記第1のバッファ層は、GaAsまたはAlGaAsである、請求項1から4のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項6】
前記p型窒化物半導体層を形成する工程は、前記第2のバッファ層の周辺領域以外の領域にp型不純物を注入する工程を含む、請求項1から5のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項7】
前記i型窒化物半導体層は、Alx1Iny1Gaz1N(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、x1+y1+z1≠0)の式で表わされる窒化物半導体結晶を含み、
前記n型窒化物半導体層は、Alx2Iny2Gaz2N(0≦x2≦1、0≦y2≦1、0≦z2≦1、x2+y2+z2≠0)の式で表わされる窒化物半導体結晶を含む、請求項1から6のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項8】
前記第2の基板の表面にAgを含む金属膜を形成する工程をさらに含む、請求項1から7のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項9】
第2の基板上に設けられた金属層と、
前記金属層上に設けられたn型窒化物半導体層と、
前記n型窒化物半導体層上に設けられたi型窒化物半導体層と、
前記i型窒化物半導体層上に設けられた第2のバッファ層およびp型窒化物半導体層と、を備え、
前記第2のバッファ層の周辺領域以外の領域に前記p型窒化物半導体層を設けた、光電変換素子。
【請求項10】
前記第2の基板は、可撓性を有する、請求項9に記載の光電変換素子。
【請求項11】
請求項9または10に記載の光電変換素子を含む、光電変換素子モジュール。
【請求項1】
第1の基板上に第1のバッファ層を形成する工程と、
前記第1のバッファ層上に第2のバッファ層を形成する工程と、
前記第2のバッファ層上にi型窒化物半導体層を形成する工程と、
前記i型窒化物半導体層上にn型窒化物半導体層を形成する工程と、
前記n型窒化物半導体層上に金属層を形成する工程と、
前記第1の基板を切削工具を用いて除去する工程と、
前記金属層に第2の基板を貼り付ける工程と、
前記第1のバッファ層を除去する工程と、
前記第1のバッファ層の除去後に前記第2のバッファ層にp型窒化物半導体層を形成する工程と、を含む、光電変換素子の製造方法。
【請求項2】
前記第1の基板を除去する工程は、前記第1の基板と前記第1のバッファ層との界面近傍を前記切削工具で切削する工程を含む、請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項3】
前記切削工具は、前記第1のバッファ層よりも硬度が高く、前記第1の基板よりも硬度が低い、請求項2に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項4】
前記第1のバッファ層は、前記第2のバッファ層および前記第1の基板のそれぞれよりも硬度が低い、請求項1から3のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項5】
前記第1のバッファ層は、GaAsまたはAlGaAsである、請求項1から4のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項6】
前記p型窒化物半導体層を形成する工程は、前記第2のバッファ層の周辺領域以外の領域にp型不純物を注入する工程を含む、請求項1から5のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項7】
前記i型窒化物半導体層は、Alx1Iny1Gaz1N(0≦x1≦1、0≦y1≦1、0≦z1≦1、x1+y1+z1≠0)の式で表わされる窒化物半導体結晶を含み、
前記n型窒化物半導体層は、Alx2Iny2Gaz2N(0≦x2≦1、0≦y2≦1、0≦z2≦1、x2+y2+z2≠0)の式で表わされる窒化物半導体結晶を含む、請求項1から6のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項8】
前記第2の基板の表面にAgを含む金属膜を形成する工程をさらに含む、請求項1から7のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項9】
第2の基板上に設けられた金属層と、
前記金属層上に設けられたn型窒化物半導体層と、
前記n型窒化物半導体層上に設けられたi型窒化物半導体層と、
前記i型窒化物半導体層上に設けられた第2のバッファ層およびp型窒化物半導体層と、を備え、
前記第2のバッファ層の周辺領域以外の領域に前記p型窒化物半導体層を設けた、光電変換素子。
【請求項10】
前記第2の基板は、可撓性を有する、請求項9に記載の光電変換素子。
【請求項11】
請求項9または10に記載の光電変換素子を含む、光電変換素子モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−105869(P2013−105869A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248311(P2011−248311)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]