光電繊維、これを利用した光電池モジュール及びその製造方法
【課題】高効率で、軽く、可撓性を有して、織物の製造が容易な光電繊維を提供する。
【解決手段】基材繊維の上に電極と光吸収層が位置し、放射方向(radial direction)にPIN接合(PIN junction)またはPN接合(PN junction)を形成する光電繊維が提供される。製織されている光電繊維を含む光電織物が提供される。複数の孤立ブロック(isolation block)を含む光電池部を含む光電池モジュールが提供され、孤立ブロックの周りに孤立領域が位置し、孤立領域で基材繊維が露出する。ロール・ツー・ロール(roll−to−roll)方式で基材繊維の上に第1電極を形成する段階と、ロール・ツー・ロール方式で前記第1電極の上に光吸収層を形成する段階と、ロール・ツー・ロール方式で前記光吸収層の上に第2電極を形成する段階とを含む光電繊維の製造方法が提供される。
【解決手段】基材繊維の上に電極と光吸収層が位置し、放射方向(radial direction)にPIN接合(PIN junction)またはPN接合(PN junction)を形成する光電繊維が提供される。製織されている光電繊維を含む光電織物が提供される。複数の孤立ブロック(isolation block)を含む光電池部を含む光電池モジュールが提供され、孤立ブロックの周りに孤立領域が位置し、孤立領域で基材繊維が露出する。ロール・ツー・ロール(roll−to−roll)方式で基材繊維の上に第1電極を形成する段階と、ロール・ツー・ロール方式で前記第1電極の上に光吸収層を形成する段階と、ロール・ツー・ロール方式で前記光吸収層の上に第2電極を形成する段階とを含む光電繊維の製造方法が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電繊維、これを利用した光電池モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光電池は、光エネルギーを電気エネルギーに変換して貯蔵する素子であって、化石燃料の枯渇及び環境汚染を解消することができるので、高効率で、かつ原価が安価である光電池を開発するための研究が活発に進められている。
【0003】
特に、バルク型結晶性シリコン太陽電池(bulk c−Si solar cell)は、効率は高いが、壊れやすいため、携帯用太陽電池(mobile solarcell)に製作することが難しい。一方、フレキシブル基板(flexible substrate)に製作された非晶質シリコンPIN太陽電池(a−Si PIN solar cell)、CIGS(CuInGaSe2)太陽電池などの薄膜型太陽電池は、効率が低く、織物(textile)にすることが容易でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一側面は、高効率で、軽く、可撓性を有して、織物の製造が容易な光電繊維を提供することを目的とする。
【0005】
また、本発明の他の側面は、服のように着られる携帯用電子製品(mobile electronics)の電源として使用することを目的とする。
【0006】
また、本発明の他の側面は、製造原価を安価にすることを目的とする。
【0007】
さらに、本発明の他の側面は、大面積の蒸着装置がなくても、大面積の光電池モジュールを製造することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る光電繊維は、平板基板の代わりに基材繊維(base fiber)の上に電極、光吸収層の形成のための物質を塗布し、放射方向(radial direction)にPIN接合(PIN junction)またはPN接合(PN junction)を形成することによって製造される。基材繊維は、ガラス繊維(glass fiber)、プラスチック繊維(plastic fiber)、高分子繊維(polymer fiber)、及び炭素繊維(carbonfiber)などとすることができる。
【0009】
光吸収層として使用される物質は、非晶質シリコン(amorphous silicon、a−Si)、多結晶シリコン(multi−crystal silicon、mc−Si)、ナノ結晶シリコン(nanocrystallinesilicon、nc−Si)、CIGS(CuInGaSe2)、及びCdTeなどの化合物半導体(compound semiconductor)、有機化合物、マルチ接合(multi−junction)を有する物質などとすることができる。非晶質シリコンは水素化された非晶質シリコン(hydrogenated amorphous silicon、a−Si:H)とすることができ、多結晶シリコンは水素化された多結晶シリコン(hydrogenatedmulti−crystalsilicon、mc−Si:H)とすることができ、ナノ結晶シリコンは水素化されたナノ結晶シリコン(hydrogenated nanocrystalline silicon、nc−Si:H)とすることができる。
【0010】
本発明の一側面による光電織物(photovoltaic fabric)は、製織(weaving)されている光電繊維を含む。
【0011】
本発明の一側面による光電池モジュールは、光電池部(photovoltaic cell unit)を含む。光電池モジュールは、貯蔵部(storage unit)及びスイッチング部(switching unit)うちの少なくとも1つを含むことができる。スイッチング部の代わりに伝導性繊維(conductive fiber)を使用することも可能である。
【0012】
光電池部は、光エネルギーを電気エネルギーに変換させ、製織されている光電繊維を含むことができる。貯蔵部は、変換された電気エネルギーを貯蔵し、製織されているキャパシタ繊維、キャパシタ(capacitor)、及びバッテリーのうちの少なくとも1つを含むことができる。スイッチング部は、変換された電気エネルギー及び貯蔵された電気エネルギーのうちの少なくとも1つを管理し、製織されているスイッチング繊維及び薄膜トランジスタのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0013】
本発明の一側面による光電繊維は、大面積の蒸着装置なしに、ロール・ツー・ロール(roll−to−roll)工程によって製造することができる。
【発明の効果】
【0014】
高効率で、軽く、可撓性を有して、織物の製造が容易であり、製造原価が安価であり、大面積の蒸着装置がなくても大面積で製造することができ、服のように着られる携帯用電子製品の電源として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図2】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図3】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図4】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図5】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図6】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図7】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図8】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図9】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図10】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図11】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図12】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図13】本発明の一側面によって製織された光電繊維を概略的に示す図面である。
【図14】本発明の一側面によって製織された光電繊維を概略的に示す図面である。
【図15】図14のXV−XV線に沿った断面図である。
【図16】互いに直列に接続される複数の光電池ブロック(photovoltaiccell block)を概略的に示す図面である。
【図17】互いに並列に接続される複数の光電池ブロックを概略的に示す図面である。
【図18】1つの光電池ブロック内で互いに直列に接続される複数の光電池部を概略的に示す図面である。
【図19】互いに異なる層に位置した2つの電極の接続構造を概略的に示す図面である。
【図20】1個の光電池ブロック内で互いに並列に接続されている複数の光電池部を概略的に示す図面である。
【図21】本発明の一側面による光電池モジュールを概略的に示す図面である。
【図22】本発明の他側面による光電池モジュールを概略的に示す図面である。
【図23】本発明のまた他の側面による光電池モジュールを概略的に示す図面である。
【図24】本発明のまた他の側面による光電池モジュールを概略的に示す図面である。
【図25】本発明の一側面によるスイッチング部を概略的に示す図面である。
【図26】本発明の他側面によるスイッチング部を概略的に示す図面である。
【図27】本発明の他側面によるスイッチング部を概略的に示す図面である。
【図28】本発明の一側面による貯蔵部を概略的に示す図面である。
【図29】本発明の一側面による光電池モジュールのブロック図である。
【図30】本発明の他側面による光電池モジュールのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の側面について詳細に説明する。ただし、これは例示として提示したもので、これによって本発明が制限されるわけではなく、本発明は後述する請求項の範囲によって定義される。
【0017】
図面において、本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書の全体にわたって同一または類似する構成要素に対しては同一の図面符号を付けた。また、広く知られている公知技術の場合にその具体的な説明は省略する。
【0018】
図面において、種々の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“上”にあるという時、これは他の部分の“すぐ上”にある場合だけでなく、その中間に他の部分がある場合も含む。一方、ある部分が他の部分の“すぐ上”にあるという時には、中間に他の部分がないことを意味する。反対に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“下”にあるという時、これは他の部分の“すぐ下”にある場合だけでなく、その中間に他の部分がある場合も含む。一方、ある部分が他の部分の“すぐ下”にあるという時には、中間に他の部分がないことを意味する。
【0019】
本発明の一側面による光電繊維は、平板基板の代わりに基材繊維の上に、電極、光吸収層を形成するための物質を塗布し、放射方向にPIN接合またはPN接合を形成することによって製造される。また、光電繊維には必要によって電極物質、絶縁物質などを少なくとも1つ以上塗布することができる。
【0020】
光吸収層として使用される物質は、非晶質シリコン、多結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、CIGS、CdTeなどの化合物半導体、有機化合物、マルチ接合を有する物質などとすることができる。非晶質シリコンは水素化された非晶質シリコンとすることができ、多結晶シリコンは水素化された多結晶シリコンとすることができ、ナノ結晶シリコンは水素化されたナノ結晶シリコンとすることができる。
【0021】
電極物質としては、ITO、AZOなどの透明導電性物質、不透明導電性物質、炭素ナノチューブ(carbon nanotube、CNT)、及びグラフェン(graphene)を少なくとも1つ以上用いることができる。炭素ナノチューブ及びグラフェンは柔軟性に優れている。
【0022】
絶縁物質としては、有機絶縁物質、SiOx、SiNxなどの無機絶縁物質などを用いることができる。
【0023】
基材繊維は、ガラス繊維、プラスチック繊維、高分子繊維、炭素繊維などとすることができる。これら基材繊維は、柔軟で、入射した光の損失が少なく、直径を数マイクロメーターから数十マイクロメーター程度に製作可能である。また、ガラス繊維、高分子繊維など安価の材料を利用することによって原価が節減できる。また、基材繊維は、平板基板またはウエハーとは異なって、軽くて、壊れ難い。
【0024】
本発明の一側面による光電繊維を形成する時、ロール・ツー・ロール工程を利用することができる。例えば、繊維の上に物質を塗布する時、ガスジェット電子ビームプラズマ化学的気相蒸着(gas−jet electron beam plasma chemical vapor deposition、GJ EBP CVD)装置、超臨界蒸着装置などを利用すれば、繊維の上に物質を均一に塗布することができ、大面積の蒸着装置がなくても、ロール・ツー・ロール工程によって光電繊維は、安価で、効率的で、容易に、高い生産性で製造できる。同時に、これら装置はマルチチャンバを利用でき、低温で高速に多様な種類の物質を繊維に塗布することができる。例えば、光吸収層物質、電極物質、絶縁物質などを均一に塗布することができる。
【0025】
反面、通常平板基板の蒸着に使用されるPECVDなどの装置は、繊維の上に均一に蒸着するのが難しく、大面積の蒸着装置なので、高くて複雑である。
【0026】
また、繊維の上に塗布された物質をエッチングする時、自己整列印刷エッチング(self−aligned imprint lithography、SAIL)工程などを利用すれば、別途の整列工程(align process)がないため、ロール・ツー・ロール工程によって光電繊維を効率的に、かつ容易に形成することができる。
【0027】
反面、通常使用されるフォトエッチング(photo−lithograyphy)工程は、工程が複雑で、かつ生産性が低い。
【0028】
図1乃至図12は、本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【0029】
図1及び図2を参照すると、基材繊維の上にGJ EBP CVD装置、超臨界蒸着装置などを利用して、ロール・ツー・ロール方式で絶縁物質と電極物質を順次に塗布して、絶縁層(図示せず)と第1電極11を順次に形成する。第1電極11はコア電極(core electrode)ともいう。ここで、絶縁物質の塗布工程は省略可能である。
【0030】
図3を参照すると、第1電極11をレーザースクライビング(laser scribing)方法などでエッチングして、セルの間を孤立(isolation)させることができ、この領域を孤立領域(isolation region)という。その他にも、図3に示したのとは異なって、第1電極11は以降に行われるSAIL工程でエッチングすることも可能である。
【0031】
図4乃至図6を参照すると、第1電極11の上にGJ EBP CVD装置、超臨界蒸着装置などを利用して、ロール・ツー・ロール方式で、光吸収層物質、電極物質、及び保護膜物質を順次に塗布して、光吸収層12、第2電極13、及び保護膜14を順次に形成することができる。光吸収層は、PIN接合またはPN接合を形成することができる。PIN接合は、P、I、及びNの順序に形成するか、またはN、I、及びPの順序に形成することができる。PN接合は、P及びNの順序に形成するか、またはN及びPの順序に形成することができる。構造的な特徴により、PIN接合は、光捕獲(light trapping)がうまく行われて高効率が可能であり、多結晶シリコンまたはナノ結晶シリコンのI層(I−layer)は、厚さが薄くても、高効率が可能である。第2電極はシェル電極(shell electrode)ともいう。保護膜物質は、酸化アルミニウム(AlOx)などの無機物質、高分子物質などの有機物質とすることができる。光電繊維が光を受けると、光吸収層12で電流が発生し、第1電極11と第2電極13を通じて電流が流れる。保護膜としてアルミニウム薄膜などの反射性材料を塗布するとき、光電池を通過する光量が減少でき、そのために光電効率が改善可能である。
【0032】
図7乃至図12を参照すると、ロール・ツー・ロール工程によってSAIL工程を行うことが分かり、蒸着工程に続いてエッチング工程においてもロール・ツー・ロール工程が適用されるので、高い生産性で必要な構造を有する光電繊維1が製造できる。
【0033】
図10を参照すると、光吸収層、電極などが形成されている光電繊維1に高分子物質をコーティングして、上下方向に設置されているローラ2の間に光電繊維1を通過させる。ここで、第1電極11が既にエッチングされている場合には、複数の光電繊維1をパターニングされた第1電極11を基準として整列した後、ローラ2の間に複数の光電繊維1を通過させる。例えば、高分子物質はエチレンビニルアセテート(ethylene vinylacetate、EVA)の単独重合体(homo−polymer)または共重合体(copolymer)とすることができる。
【0034】
図8乃至図10を参照すると、ローラ2は刻印部(imprinting unit)21を含む。刻印部21は、本体(body)210、第1突出部(first protrusion portion)215、及び第2突出部(second protrusion portion)216を含むことができる。必要によって刻印部は3つ以上の突出部を含むことができる。ローラ2の間に位置した刻印部21によって一定の間隔で高分子が刻印できる。また、複数の刻印部21は互いに一定の間隔で離れていることができる。
【0035】
図11は、エッチング前の光電繊維1を示したものであり、図12は、エッチング後の光電繊維1を示したものである。
【0036】
図11及び図12を参照すると、GJ EBP CVDでアッシング(ashing)とマスクエッチング工程によって高分子フォトレジスト15の最も薄い部分が露出するようにする。続いて、光電繊維1の本体に対するエッチング工程によって基材繊維10を露出させることにより、第1電極11を孤立させる。次に、アッシングを通じたマスクエッチング工程及び光電繊維1の本体に対するエッチング工程によって第1電極11を露出させる。次に、アッシングを通じたマスクエッチング工程及び光電繊維1の本体に対するエッチング工程によって第2電極13を露出させる。光電繊維1の本体に対するエッチングは、GJ EBP CVDの代わりにウェットエッチング(wet etch)で行うことも可能である。
【0037】
図13を参照すると、製織機(weaving apparatus)を利用して光電繊維を製織すれば、列方向に延びている光電繊維と行方向に延びている光電繊維とが互いに交差するようになっている光電織物(photovoltaic fabric)を製造することができる。光電繊維は多様な方向で延びることができる。ここで、複数の光電繊維の第1電極11、光吸収層12、または第2電極13は、互いに整列されている。光電繊維の長さが増加するほど、抵抗が増加するので、出力電力を最適化するために、最も小さい長さを有する1つの孤立セル(isolation cell)を一辺とする1つの孤立ブロック(isolation block)に基づいて光電モジュールを管理することができる。さらに、孤立ブロックを利用して直列接続回路、並列接続回路などが構成でき、このような回路はインクジェット印刷方法によって形成できる。また、光電モジュールは大面積で製造することも可能である。
【0038】
具体的に、図13において、1つの孤立ブロックの底辺と右辺には光吸収層12または第2電極13が整列されており、上辺と左辺には第1電極11、光吸収層12または第2電極13が整列されている。露出している第1電極11、光吸収層12または第2電極13の長さは、複数の光電繊維の直径の合計と類似することができる。
【0039】
図14に示したように、複数の光電繊維1を製織して光電織物を形成することができる。図15に示したように、製織されている複数の光電繊維1は多層光電セル(multi−layered photovoltaic cell)の構造を有することができ、そのために光を効率的に吸収することができるので、高効率の太陽電池の製造が可能である。図14において、点線で表示された円は、第1電極11、光吸収層12または第2電極13が接続電極と接触できる領域を表わしたものである。
【0040】
例えば、複数の第1電極11に導電性物質を塗布して互いに接続でき、複数の光吸収層12に導電性物質を塗布して互いに接続でき、複数の第2電極13に導電性物質を塗布して互いに接続できる。そのために、図16及び図17に示したように、孤立ブロック間の直列接続または並列接続が実現でき、または図18及び図20に示したように、孤立ブロック内での直列接続または並列接続が実現できる。さらに、このような接続関係を多様に組み合せることにより、図21〜図24に示したように、多様な接続関係を有する光電モジュールの設計が可能である。
【0041】
図16を参照すると、2つの孤立ブロックが互いに直列接続されている光電モジュールが示されている。1つの孤立ブロックの光吸収層12または第2電極13は、接続電極3によって他の孤立ブロックの第1電極11と互いに接続されている。発生した電流は“+”から“−”に流れる。接続電極3は、印刷、蒸着、スピンコーティング、スリットコーティングなど多様な方式で形成できる。
【0042】
図17を参照すると、2つの孤立ブロックが互いに並列接続されている光電モジュールが示されている。1つの孤立ブロックの光吸収層12または第2電極13は、接続電極3によって他の孤立ブロックの光吸収層12または第2電極13と接続されている。また、1つの孤立ブロックの第1電極11は、接続電極4によって他の孤立ブロックの第1電極11と接続されている。発生した電流は“+”から“−”に流れる。この場合、互いに並列接続されている孤立ブロックのいずれか1つの孤立ブロックが不良であっても、それ以外の孤立ブロックが正常に作動できる。接続電極3、4は、第1電極11、光吸収層12または第2電極13の前面に位置することもでき、裏面に位置することも可能である。また、接続電極3、4は、印刷、蒸着、スピンコーティング、スリットコーティングなど多様な方式で形成することができる。
【0043】
図18を参照すると、1つの孤立ブロック内で列方向に延びている光電繊維と行方向に延びている光電繊維とが互いに直列接続されている。例えば、列方向に延びている複数の光電繊維の第1電極11は、1つの接続電極42によって互いに接続されており、列方向に延びている複数の光電繊維の光吸収層12または第2電極13は、1つの接続電極41によって互いに接続されている。また、行方向に延びている複数の光電繊維の第1電極11は1個の接続電極32によって互いに接続されており、行方向に延びている複数の光電繊維の光吸収層12または第2電極13は、1つの接続電極31によって互いに接続されている。接続電極31、32、41、42は、第1電極11、光吸収層12または第2電極13の前面に位置することもでき、裏面に位置することも可能である。また、接続電極31、32、41、42は印刷、蒸着、スピンコーティング、スリットコーティングなど多様な方式で形成できる。2つの接続電極31、42は接続部材5によって互いに接続できる。例えば、図19を参照すると、接続繊維51に固定されており、導電性物質を含む接続環52によって互いに接続されており、そのために、列方向に延びている光電繊維と行方向に延びている光電繊維とが互いに直列に接続できる。その他にも、多様な方式で光電繊維が互いに直列に接続できる。図18を参照すると、発生した電流は“+”から“−”に矢印方向に沿って流れる。
【0044】
図20を参照すると、1つの孤立ブロック内で列方向に延びている光電繊維と行方向に延びている光電繊維とが互いに並列接続されている。例えば、列方向に延びている複数の光電繊維の第1電極11と行方向に延びている光電繊維の第1電極11は1個の接続電極43によって互いに接続されている。また、列方向に延びている複数の光電繊維の光吸収層12、または第2電極13と行方向に延びている光電繊維の光吸収層12、または第2電極13は、1つの接続電極33によって互いに接続されている。接続電極33、43は、第1電極11、光吸収層12、または第2電極13の前面に位置することもでき、裏面に位置することも可能である。また、接続電極33、43は、印刷、蒸着、スピンコーティング、スリットコーティングなど多様な方式で形成できる。発生した電流は“+”から“−”に矢印方向に沿って流れる。
【0045】
図21〜図24を参照すると、2つの孤立ブロックの間の直列接続または並列接続、1つの孤立ブロック内での直列接続または並列接続を組み合わせた光電モジュールが示されており、その他にも多様な接続関係を有する光電モジュールが設計できる。接続電極34、35、36、37、44、45、46、47は、第1電極11、光吸収層12または第2電極13の前面に位置することもでき、裏面に位置することも可能である。また、接続電極34、35、36、37、44、45、46、47は、接続部材5によって互いに接続でき、接続部材5は、図19に示したように、接続繊維51及び接続環52を含むことができる。また、接続電極34、35、36、37、44、45、46、47及び接続部材5は、印刷、蒸着、スピンコーティング、スリットコーティングなど多様な方式で形成することができる。
【0046】
光電繊維を製造する時、列方向に延びている光電繊維と行方向に延びている光電繊維との上に互いに異なる種類のフォトレジスト(photoresist)を塗布した後、列方向に延びている光電繊維と行方向に延びている光電繊維に対して独立的にまたは一括的にフォトエッチング工程を進行することができる。例えば、列方向に延びている光電繊維にはネガティブフォトレジスト(negative photoresist)を塗布し、行方向に延びている光電繊維にはポジティブフォトレジスト(positive photoresist)を塗布することができる。このようなフォトエッチング工程を利用して、2つの孤立ブロックを接続するための接続電極を形成する時、列方向に延びている光電繊維と行方向に延びている光電繊維との間の干渉現象を減少させることができる。
図25は、本発明の一側面によるスイッチング部を概略的に示す図面である。スイッチング部の一例として、スイッチング繊維(switching fiber)6はトップゲート(top−gate)構造を有する。その他にも、ボトムゲート(bottom−gate)構造を有することも可能である。
【0047】
基材繊維60の上に絶縁層(insulating layer)61が形成されている。基材繊維60は、ガラス繊維、プラスチック繊維、高分子繊維、炭素繊維などとすることができる。このような基材繊維は、柔軟で、入射した光の損失が少なく、直径を数マイクロメーターから数十マイクロメーター程度に製作可能である。絶縁層61は、有機絶縁物質、SiOx、SiNxなどの無機絶縁物質などを含むことができる。
【0048】
絶縁層61の上に半導体層62が形成されている。半導体層62は、多結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、非晶質シリコン、GIZOなどの化合物半導体、グラフェン(graphene)などとすることができる。シリコンは水素化処理されたシリコンとすることができる。
【0049】
半導体層62の上にゲート絶縁層(gate insulating layer)64が形成されている。ゲート絶縁層64は、有機絶縁物質、SiOx、SiNxなどの無機絶縁物質などを含むことができる。
【0050】
ゲート絶縁層64の上にゲート電極(gate electrode)65が形成されている。ゲート電極65は、金属物質、多結晶シリコンなどを含むことができる。
【0051】
ゲート電極65の上に層間絶縁膜(interlayer insulating layer)66が形成されている。層間絶縁膜66は、有機絶縁物質、SiOx、SiNxなどの無機絶縁物質などを含むことができる。
【0052】
スイッチング繊維6を形成する時、光電繊維の形成工程のように、マルチチャンバを有するロール・ツー・ロール工程を利用することができる。GJ EBP CVD装置及び超臨界蒸着装置などを利用して塗布工程を行うことができ、SAIL工程を利用してパターニング工程を行うことができる。そのために、スイッチング繊維6は、基材繊維の上に均一に塗布でき、大面積の蒸着装置がなくても、安価で、効率的で、容易に、高い生産性で製造することができる。
【0053】
ソース電極とドレイン電極は、イオンシャワー(ion shower)、ショットキーバリア接合(Schottky barrier junction)、インプラント(implant)などの方法を利用して、半導体層62またはオーミックコンタクト層(ohmic contact layer)(図示せず)を定義(define)することができる。また、スペーサ(spacer)工程によってLDD領域(lightly doped drain region)が半導体層62またはオーミックコンタクト層を定義することができる。
【0054】
図26及び図27を参照すると、製織機を利用して列方向に延びているスイッチング繊維6と行方向に延びているスイッチング繊維6とが互いに交差できる。その他にも、列方向に延びているスイッチング繊維6と行方向に延びている通常の繊維(typical fiber)を製織することができ、列方向に延びている通常の繊維と行方向に延びているスイッチング繊維6を製織することも可能である。また、一方向に延びている複数のスイッチング繊維6の間に、それと同一の方向に延びている通常の繊維が1つ以上位置することもできる。
【0055】
ゲート電極線(gate electrode line)39、ソース電極線(source electrode line)49、及びドレイン電極線(drain electrode line)49のうちの少なくとも1つは、スイッチング繊維6の上面に位置してもよく、下面に位置してもよい。また、ゲート電極線(gate electrode line)39、ソース電極線(source electrode line)49、及びドレイン電極線(drain electrode line)49のうちの少なくとも1つはインクジェット印刷方法によって形成でき、ソース電極とドレイン電極を定義する工程やSAIL工程で一括的に形成することも可能である。
【0056】
図28は、本発明の一側面による貯蔵部を概略的に示す図面である。貯蔵部の一例として、キャパシタ繊維(capacitor fiber)7は、繊維の形状に合わせてキャパシタが形成されているものである。
【0057】
基材繊維70の上に絶縁層71が形成されている。基材繊維70は、ガラス繊維、プラスチック繊維、高分子繊維、炭素繊維などとすることができる。このような基材繊維は、柔軟で、入射した光の損失が少なく、直径を数マイクロメーターから数十マイクロメーター程度に製作可能である。絶縁層71は、有機絶縁物質、SiOx、SiNxなどの無機絶縁物質などを含むことができる。また、絶縁層71は省略可能である。
【0058】
基材繊維70の上に第1キャパシタ電極72が形成されている。第1キャパシタ電極72は金属物質及び多結晶シリコンなどを含むことができる。
【0059】
第1キャパシタ電極72の上にキャパシタ絶縁層73が形成されている。絶縁層73は、セラミック物質、高分子などの有機絶縁物質、無機絶縁物質などを含むことができる。
【0060】
キャパシタ絶縁層73の上に第2キャパシタ電極74が形成されており、第2キャパシタ電極74は金属物質及び多結晶シリコンなどを含むことができる。
【0061】
第2キャパシタ電極74の上に層間絶縁膜75が形成されている。層間絶縁膜75は、有機絶縁物質、SiOx、SiNxなどの無機絶縁物質などを含むことができる。
【0062】
キャパシタ繊維74を形成する時、光電繊維の形成工程と同様に、マルチチャンバを有するロール・ツー・ロール工程を利用することができる。GJ EBP CVD装置、超臨界蒸着装置などを利用して塗布工程を行うことができ、SAIL工程を利用してパターニング工程を行うことができる。これにより、キャパシタ繊維7は繊維の上に均一に塗布され、大面積の蒸着装置がなくても、安価で、効率的で、容易に、高い生産性で製造することができる。
【0063】
光電繊維1の製織と関連した図13〜図24及び関連説明はキャパシタ繊維7にも適用できる。例えば、キャパシタ繊維7は、光電繊維1の製織と同様の方法で製織でき、同一種類の孤立ブロックと同一種類の接続関係を有することができる。光電繊維1を通じて出力された電力はキャパシタ繊維7に保存される。
【0064】
図29は、本発明の一側面による光電池モジュールのブロック図である。光電池モジュールは一体式織物構造(monolithic textile structure)を有し、光電池部100、貯蔵部700、及びスイッチング部600のうちの少なくとも1つを含むことができる。スイッチング部600の代わりに伝導性繊維を用いることも可能である。
【0065】
光電池部100は、光エネルギーを電気エネルギーに変換させ、製織されている光電繊維1を含むことができる。貯蔵部700は、変換された電気エネルギーを貯蔵し、製織されているキャパシタ繊維7、キャパシタ、及びバッテリーのうちの少なくとも1つを含むことができる。また、キャパシタはスーパーキャパシタ(supercapacitor)とすることができる。スイッチング部600は、変換された電気エネルギー及び充電された電気エネルギーのうちの少なくとも1つを管理し、スイッチング繊維6及び薄膜トランジスタのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0066】
図29に示されている光電池モジュールは、選択的に光電池部100、貯蔵部700、及びスイッチング部600のうちの少なくとも1つを垂直に積み重ねて(stack)、互いに異なる平面に位置することもできる。
【0067】
図30は、本発明の他側面による光電池モジュールのブロック図である。光電池モジュールは、選択的に光電池部100、貯蔵部700、及びスイッチング部600のうちの少なくとも1つを、1つの平面に配置する(arrange)ことも可能である。
【0068】
光電繊維は製織されて人の身体によく合う服に作ることができ、このような光電繊維が製織されている光電池モジュールは、季節に無関係に適切な温度を維持することができる。また、光電繊維は、服のように着られる携帯用電子製品の電源として用いることができる。その他にも、光電繊維とこれを利用した光電池モジュールは、船舶の帆や宇宙航空船などに用いることができる。また、光電池モジュールは、電子製品のケースを構成する材料にエンベデッド(embedded)されることができる。
【0069】
以上、本発明について好ましい実施形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の技術的な思想の範囲内で当該分野における通常の知識を有する者によって種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 光電繊維
2 ローラ
3、4 接続電極
5 接続部材
6 スイッチング繊維
7 キャパシタ繊維
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電繊維、これを利用した光電池モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光電池は、光エネルギーを電気エネルギーに変換して貯蔵する素子であって、化石燃料の枯渇及び環境汚染を解消することができるので、高効率で、かつ原価が安価である光電池を開発するための研究が活発に進められている。
【0003】
特に、バルク型結晶性シリコン太陽電池(bulk c−Si solar cell)は、効率は高いが、壊れやすいため、携帯用太陽電池(mobile solarcell)に製作することが難しい。一方、フレキシブル基板(flexible substrate)に製作された非晶質シリコンPIN太陽電池(a−Si PIN solar cell)、CIGS(CuInGaSe2)太陽電池などの薄膜型太陽電池は、効率が低く、織物(textile)にすることが容易でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一側面は、高効率で、軽く、可撓性を有して、織物の製造が容易な光電繊維を提供することを目的とする。
【0005】
また、本発明の他の側面は、服のように着られる携帯用電子製品(mobile electronics)の電源として使用することを目的とする。
【0006】
また、本発明の他の側面は、製造原価を安価にすることを目的とする。
【0007】
さらに、本発明の他の側面は、大面積の蒸着装置がなくても、大面積の光電池モジュールを製造することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る光電繊維は、平板基板の代わりに基材繊維(base fiber)の上に電極、光吸収層の形成のための物質を塗布し、放射方向(radial direction)にPIN接合(PIN junction)またはPN接合(PN junction)を形成することによって製造される。基材繊維は、ガラス繊維(glass fiber)、プラスチック繊維(plastic fiber)、高分子繊維(polymer fiber)、及び炭素繊維(carbonfiber)などとすることができる。
【0009】
光吸収層として使用される物質は、非晶質シリコン(amorphous silicon、a−Si)、多結晶シリコン(multi−crystal silicon、mc−Si)、ナノ結晶シリコン(nanocrystallinesilicon、nc−Si)、CIGS(CuInGaSe2)、及びCdTeなどの化合物半導体(compound semiconductor)、有機化合物、マルチ接合(multi−junction)を有する物質などとすることができる。非晶質シリコンは水素化された非晶質シリコン(hydrogenated amorphous silicon、a−Si:H)とすることができ、多結晶シリコンは水素化された多結晶シリコン(hydrogenatedmulti−crystalsilicon、mc−Si:H)とすることができ、ナノ結晶シリコンは水素化されたナノ結晶シリコン(hydrogenated nanocrystalline silicon、nc−Si:H)とすることができる。
【0010】
本発明の一側面による光電織物(photovoltaic fabric)は、製織(weaving)されている光電繊維を含む。
【0011】
本発明の一側面による光電池モジュールは、光電池部(photovoltaic cell unit)を含む。光電池モジュールは、貯蔵部(storage unit)及びスイッチング部(switching unit)うちの少なくとも1つを含むことができる。スイッチング部の代わりに伝導性繊維(conductive fiber)を使用することも可能である。
【0012】
光電池部は、光エネルギーを電気エネルギーに変換させ、製織されている光電繊維を含むことができる。貯蔵部は、変換された電気エネルギーを貯蔵し、製織されているキャパシタ繊維、キャパシタ(capacitor)、及びバッテリーのうちの少なくとも1つを含むことができる。スイッチング部は、変換された電気エネルギー及び貯蔵された電気エネルギーのうちの少なくとも1つを管理し、製織されているスイッチング繊維及び薄膜トランジスタのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0013】
本発明の一側面による光電繊維は、大面積の蒸着装置なしに、ロール・ツー・ロール(roll−to−roll)工程によって製造することができる。
【発明の効果】
【0014】
高効率で、軽く、可撓性を有して、織物の製造が容易であり、製造原価が安価であり、大面積の蒸着装置がなくても大面積で製造することができ、服のように着られる携帯用電子製品の電源として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図2】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図3】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図4】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図5】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図6】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図7】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図8】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図9】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図10】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図11】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図12】本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【図13】本発明の一側面によって製織された光電繊維を概略的に示す図面である。
【図14】本発明の一側面によって製織された光電繊維を概略的に示す図面である。
【図15】図14のXV−XV線に沿った断面図である。
【図16】互いに直列に接続される複数の光電池ブロック(photovoltaiccell block)を概略的に示す図面である。
【図17】互いに並列に接続される複数の光電池ブロックを概略的に示す図面である。
【図18】1つの光電池ブロック内で互いに直列に接続される複数の光電池部を概略的に示す図面である。
【図19】互いに異なる層に位置した2つの電極の接続構造を概略的に示す図面である。
【図20】1個の光電池ブロック内で互いに並列に接続されている複数の光電池部を概略的に示す図面である。
【図21】本発明の一側面による光電池モジュールを概略的に示す図面である。
【図22】本発明の他側面による光電池モジュールを概略的に示す図面である。
【図23】本発明のまた他の側面による光電池モジュールを概略的に示す図面である。
【図24】本発明のまた他の側面による光電池モジュールを概略的に示す図面である。
【図25】本発明の一側面によるスイッチング部を概略的に示す図面である。
【図26】本発明の他側面によるスイッチング部を概略的に示す図面である。
【図27】本発明の他側面によるスイッチング部を概略的に示す図面である。
【図28】本発明の一側面による貯蔵部を概略的に示す図面である。
【図29】本発明の一側面による光電池モジュールのブロック図である。
【図30】本発明の他側面による光電池モジュールのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の側面について詳細に説明する。ただし、これは例示として提示したもので、これによって本発明が制限されるわけではなく、本発明は後述する請求項の範囲によって定義される。
【0017】
図面において、本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書の全体にわたって同一または類似する構成要素に対しては同一の図面符号を付けた。また、広く知られている公知技術の場合にその具体的な説明は省略する。
【0018】
図面において、種々の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“上”にあるという時、これは他の部分の“すぐ上”にある場合だけでなく、その中間に他の部分がある場合も含む。一方、ある部分が他の部分の“すぐ上”にあるという時には、中間に他の部分がないことを意味する。反対に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“下”にあるという時、これは他の部分の“すぐ下”にある場合だけでなく、その中間に他の部分がある場合も含む。一方、ある部分が他の部分の“すぐ下”にあるという時には、中間に他の部分がないことを意味する。
【0019】
本発明の一側面による光電繊維は、平板基板の代わりに基材繊維の上に、電極、光吸収層を形成するための物質を塗布し、放射方向にPIN接合またはPN接合を形成することによって製造される。また、光電繊維には必要によって電極物質、絶縁物質などを少なくとも1つ以上塗布することができる。
【0020】
光吸収層として使用される物質は、非晶質シリコン、多結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、CIGS、CdTeなどの化合物半導体、有機化合物、マルチ接合を有する物質などとすることができる。非晶質シリコンは水素化された非晶質シリコンとすることができ、多結晶シリコンは水素化された多結晶シリコンとすることができ、ナノ結晶シリコンは水素化されたナノ結晶シリコンとすることができる。
【0021】
電極物質としては、ITO、AZOなどの透明導電性物質、不透明導電性物質、炭素ナノチューブ(carbon nanotube、CNT)、及びグラフェン(graphene)を少なくとも1つ以上用いることができる。炭素ナノチューブ及びグラフェンは柔軟性に優れている。
【0022】
絶縁物質としては、有機絶縁物質、SiOx、SiNxなどの無機絶縁物質などを用いることができる。
【0023】
基材繊維は、ガラス繊維、プラスチック繊維、高分子繊維、炭素繊維などとすることができる。これら基材繊維は、柔軟で、入射した光の損失が少なく、直径を数マイクロメーターから数十マイクロメーター程度に製作可能である。また、ガラス繊維、高分子繊維など安価の材料を利用することによって原価が節減できる。また、基材繊維は、平板基板またはウエハーとは異なって、軽くて、壊れ難い。
【0024】
本発明の一側面による光電繊維を形成する時、ロール・ツー・ロール工程を利用することができる。例えば、繊維の上に物質を塗布する時、ガスジェット電子ビームプラズマ化学的気相蒸着(gas−jet electron beam plasma chemical vapor deposition、GJ EBP CVD)装置、超臨界蒸着装置などを利用すれば、繊維の上に物質を均一に塗布することができ、大面積の蒸着装置がなくても、ロール・ツー・ロール工程によって光電繊維は、安価で、効率的で、容易に、高い生産性で製造できる。同時に、これら装置はマルチチャンバを利用でき、低温で高速に多様な種類の物質を繊維に塗布することができる。例えば、光吸収層物質、電極物質、絶縁物質などを均一に塗布することができる。
【0025】
反面、通常平板基板の蒸着に使用されるPECVDなどの装置は、繊維の上に均一に蒸着するのが難しく、大面積の蒸着装置なので、高くて複雑である。
【0026】
また、繊維の上に塗布された物質をエッチングする時、自己整列印刷エッチング(self−aligned imprint lithography、SAIL)工程などを利用すれば、別途の整列工程(align process)がないため、ロール・ツー・ロール工程によって光電繊維を効率的に、かつ容易に形成することができる。
【0027】
反面、通常使用されるフォトエッチング(photo−lithograyphy)工程は、工程が複雑で、かつ生産性が低い。
【0028】
図1乃至図12は、本発明の一側面による光電繊維を製造する工程を概略的に示す図面である。
【0029】
図1及び図2を参照すると、基材繊維の上にGJ EBP CVD装置、超臨界蒸着装置などを利用して、ロール・ツー・ロール方式で絶縁物質と電極物質を順次に塗布して、絶縁層(図示せず)と第1電極11を順次に形成する。第1電極11はコア電極(core electrode)ともいう。ここで、絶縁物質の塗布工程は省略可能である。
【0030】
図3を参照すると、第1電極11をレーザースクライビング(laser scribing)方法などでエッチングして、セルの間を孤立(isolation)させることができ、この領域を孤立領域(isolation region)という。その他にも、図3に示したのとは異なって、第1電極11は以降に行われるSAIL工程でエッチングすることも可能である。
【0031】
図4乃至図6を参照すると、第1電極11の上にGJ EBP CVD装置、超臨界蒸着装置などを利用して、ロール・ツー・ロール方式で、光吸収層物質、電極物質、及び保護膜物質を順次に塗布して、光吸収層12、第2電極13、及び保護膜14を順次に形成することができる。光吸収層は、PIN接合またはPN接合を形成することができる。PIN接合は、P、I、及びNの順序に形成するか、またはN、I、及びPの順序に形成することができる。PN接合は、P及びNの順序に形成するか、またはN及びPの順序に形成することができる。構造的な特徴により、PIN接合は、光捕獲(light trapping)がうまく行われて高効率が可能であり、多結晶シリコンまたはナノ結晶シリコンのI層(I−layer)は、厚さが薄くても、高効率が可能である。第2電極はシェル電極(shell electrode)ともいう。保護膜物質は、酸化アルミニウム(AlOx)などの無機物質、高分子物質などの有機物質とすることができる。光電繊維が光を受けると、光吸収層12で電流が発生し、第1電極11と第2電極13を通じて電流が流れる。保護膜としてアルミニウム薄膜などの反射性材料を塗布するとき、光電池を通過する光量が減少でき、そのために光電効率が改善可能である。
【0032】
図7乃至図12を参照すると、ロール・ツー・ロール工程によってSAIL工程を行うことが分かり、蒸着工程に続いてエッチング工程においてもロール・ツー・ロール工程が適用されるので、高い生産性で必要な構造を有する光電繊維1が製造できる。
【0033】
図10を参照すると、光吸収層、電極などが形成されている光電繊維1に高分子物質をコーティングして、上下方向に設置されているローラ2の間に光電繊維1を通過させる。ここで、第1電極11が既にエッチングされている場合には、複数の光電繊維1をパターニングされた第1電極11を基準として整列した後、ローラ2の間に複数の光電繊維1を通過させる。例えば、高分子物質はエチレンビニルアセテート(ethylene vinylacetate、EVA)の単独重合体(homo−polymer)または共重合体(copolymer)とすることができる。
【0034】
図8乃至図10を参照すると、ローラ2は刻印部(imprinting unit)21を含む。刻印部21は、本体(body)210、第1突出部(first protrusion portion)215、及び第2突出部(second protrusion portion)216を含むことができる。必要によって刻印部は3つ以上の突出部を含むことができる。ローラ2の間に位置した刻印部21によって一定の間隔で高分子が刻印できる。また、複数の刻印部21は互いに一定の間隔で離れていることができる。
【0035】
図11は、エッチング前の光電繊維1を示したものであり、図12は、エッチング後の光電繊維1を示したものである。
【0036】
図11及び図12を参照すると、GJ EBP CVDでアッシング(ashing)とマスクエッチング工程によって高分子フォトレジスト15の最も薄い部分が露出するようにする。続いて、光電繊維1の本体に対するエッチング工程によって基材繊維10を露出させることにより、第1電極11を孤立させる。次に、アッシングを通じたマスクエッチング工程及び光電繊維1の本体に対するエッチング工程によって第1電極11を露出させる。次に、アッシングを通じたマスクエッチング工程及び光電繊維1の本体に対するエッチング工程によって第2電極13を露出させる。光電繊維1の本体に対するエッチングは、GJ EBP CVDの代わりにウェットエッチング(wet etch)で行うことも可能である。
【0037】
図13を参照すると、製織機(weaving apparatus)を利用して光電繊維を製織すれば、列方向に延びている光電繊維と行方向に延びている光電繊維とが互いに交差するようになっている光電織物(photovoltaic fabric)を製造することができる。光電繊維は多様な方向で延びることができる。ここで、複数の光電繊維の第1電極11、光吸収層12、または第2電極13は、互いに整列されている。光電繊維の長さが増加するほど、抵抗が増加するので、出力電力を最適化するために、最も小さい長さを有する1つの孤立セル(isolation cell)を一辺とする1つの孤立ブロック(isolation block)に基づいて光電モジュールを管理することができる。さらに、孤立ブロックを利用して直列接続回路、並列接続回路などが構成でき、このような回路はインクジェット印刷方法によって形成できる。また、光電モジュールは大面積で製造することも可能である。
【0038】
具体的に、図13において、1つの孤立ブロックの底辺と右辺には光吸収層12または第2電極13が整列されており、上辺と左辺には第1電極11、光吸収層12または第2電極13が整列されている。露出している第1電極11、光吸収層12または第2電極13の長さは、複数の光電繊維の直径の合計と類似することができる。
【0039】
図14に示したように、複数の光電繊維1を製織して光電織物を形成することができる。図15に示したように、製織されている複数の光電繊維1は多層光電セル(multi−layered photovoltaic cell)の構造を有することができ、そのために光を効率的に吸収することができるので、高効率の太陽電池の製造が可能である。図14において、点線で表示された円は、第1電極11、光吸収層12または第2電極13が接続電極と接触できる領域を表わしたものである。
【0040】
例えば、複数の第1電極11に導電性物質を塗布して互いに接続でき、複数の光吸収層12に導電性物質を塗布して互いに接続でき、複数の第2電極13に導電性物質を塗布して互いに接続できる。そのために、図16及び図17に示したように、孤立ブロック間の直列接続または並列接続が実現でき、または図18及び図20に示したように、孤立ブロック内での直列接続または並列接続が実現できる。さらに、このような接続関係を多様に組み合せることにより、図21〜図24に示したように、多様な接続関係を有する光電モジュールの設計が可能である。
【0041】
図16を参照すると、2つの孤立ブロックが互いに直列接続されている光電モジュールが示されている。1つの孤立ブロックの光吸収層12または第2電極13は、接続電極3によって他の孤立ブロックの第1電極11と互いに接続されている。発生した電流は“+”から“−”に流れる。接続電極3は、印刷、蒸着、スピンコーティング、スリットコーティングなど多様な方式で形成できる。
【0042】
図17を参照すると、2つの孤立ブロックが互いに並列接続されている光電モジュールが示されている。1つの孤立ブロックの光吸収層12または第2電極13は、接続電極3によって他の孤立ブロックの光吸収層12または第2電極13と接続されている。また、1つの孤立ブロックの第1電極11は、接続電極4によって他の孤立ブロックの第1電極11と接続されている。発生した電流は“+”から“−”に流れる。この場合、互いに並列接続されている孤立ブロックのいずれか1つの孤立ブロックが不良であっても、それ以外の孤立ブロックが正常に作動できる。接続電極3、4は、第1電極11、光吸収層12または第2電極13の前面に位置することもでき、裏面に位置することも可能である。また、接続電極3、4は、印刷、蒸着、スピンコーティング、スリットコーティングなど多様な方式で形成することができる。
【0043】
図18を参照すると、1つの孤立ブロック内で列方向に延びている光電繊維と行方向に延びている光電繊維とが互いに直列接続されている。例えば、列方向に延びている複数の光電繊維の第1電極11は、1つの接続電極42によって互いに接続されており、列方向に延びている複数の光電繊維の光吸収層12または第2電極13は、1つの接続電極41によって互いに接続されている。また、行方向に延びている複数の光電繊維の第1電極11は1個の接続電極32によって互いに接続されており、行方向に延びている複数の光電繊維の光吸収層12または第2電極13は、1つの接続電極31によって互いに接続されている。接続電極31、32、41、42は、第1電極11、光吸収層12または第2電極13の前面に位置することもでき、裏面に位置することも可能である。また、接続電極31、32、41、42は印刷、蒸着、スピンコーティング、スリットコーティングなど多様な方式で形成できる。2つの接続電極31、42は接続部材5によって互いに接続できる。例えば、図19を参照すると、接続繊維51に固定されており、導電性物質を含む接続環52によって互いに接続されており、そのために、列方向に延びている光電繊維と行方向に延びている光電繊維とが互いに直列に接続できる。その他にも、多様な方式で光電繊維が互いに直列に接続できる。図18を参照すると、発生した電流は“+”から“−”に矢印方向に沿って流れる。
【0044】
図20を参照すると、1つの孤立ブロック内で列方向に延びている光電繊維と行方向に延びている光電繊維とが互いに並列接続されている。例えば、列方向に延びている複数の光電繊維の第1電極11と行方向に延びている光電繊維の第1電極11は1個の接続電極43によって互いに接続されている。また、列方向に延びている複数の光電繊維の光吸収層12、または第2電極13と行方向に延びている光電繊維の光吸収層12、または第2電極13は、1つの接続電極33によって互いに接続されている。接続電極33、43は、第1電極11、光吸収層12、または第2電極13の前面に位置することもでき、裏面に位置することも可能である。また、接続電極33、43は、印刷、蒸着、スピンコーティング、スリットコーティングなど多様な方式で形成できる。発生した電流は“+”から“−”に矢印方向に沿って流れる。
【0045】
図21〜図24を参照すると、2つの孤立ブロックの間の直列接続または並列接続、1つの孤立ブロック内での直列接続または並列接続を組み合わせた光電モジュールが示されており、その他にも多様な接続関係を有する光電モジュールが設計できる。接続電極34、35、36、37、44、45、46、47は、第1電極11、光吸収層12または第2電極13の前面に位置することもでき、裏面に位置することも可能である。また、接続電極34、35、36、37、44、45、46、47は、接続部材5によって互いに接続でき、接続部材5は、図19に示したように、接続繊維51及び接続環52を含むことができる。また、接続電極34、35、36、37、44、45、46、47及び接続部材5は、印刷、蒸着、スピンコーティング、スリットコーティングなど多様な方式で形成することができる。
【0046】
光電繊維を製造する時、列方向に延びている光電繊維と行方向に延びている光電繊維との上に互いに異なる種類のフォトレジスト(photoresist)を塗布した後、列方向に延びている光電繊維と行方向に延びている光電繊維に対して独立的にまたは一括的にフォトエッチング工程を進行することができる。例えば、列方向に延びている光電繊維にはネガティブフォトレジスト(negative photoresist)を塗布し、行方向に延びている光電繊維にはポジティブフォトレジスト(positive photoresist)を塗布することができる。このようなフォトエッチング工程を利用して、2つの孤立ブロックを接続するための接続電極を形成する時、列方向に延びている光電繊維と行方向に延びている光電繊維との間の干渉現象を減少させることができる。
図25は、本発明の一側面によるスイッチング部を概略的に示す図面である。スイッチング部の一例として、スイッチング繊維(switching fiber)6はトップゲート(top−gate)構造を有する。その他にも、ボトムゲート(bottom−gate)構造を有することも可能である。
【0047】
基材繊維60の上に絶縁層(insulating layer)61が形成されている。基材繊維60は、ガラス繊維、プラスチック繊維、高分子繊維、炭素繊維などとすることができる。このような基材繊維は、柔軟で、入射した光の損失が少なく、直径を数マイクロメーターから数十マイクロメーター程度に製作可能である。絶縁層61は、有機絶縁物質、SiOx、SiNxなどの無機絶縁物質などを含むことができる。
【0048】
絶縁層61の上に半導体層62が形成されている。半導体層62は、多結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、非晶質シリコン、GIZOなどの化合物半導体、グラフェン(graphene)などとすることができる。シリコンは水素化処理されたシリコンとすることができる。
【0049】
半導体層62の上にゲート絶縁層(gate insulating layer)64が形成されている。ゲート絶縁層64は、有機絶縁物質、SiOx、SiNxなどの無機絶縁物質などを含むことができる。
【0050】
ゲート絶縁層64の上にゲート電極(gate electrode)65が形成されている。ゲート電極65は、金属物質、多結晶シリコンなどを含むことができる。
【0051】
ゲート電極65の上に層間絶縁膜(interlayer insulating layer)66が形成されている。層間絶縁膜66は、有機絶縁物質、SiOx、SiNxなどの無機絶縁物質などを含むことができる。
【0052】
スイッチング繊維6を形成する時、光電繊維の形成工程のように、マルチチャンバを有するロール・ツー・ロール工程を利用することができる。GJ EBP CVD装置及び超臨界蒸着装置などを利用して塗布工程を行うことができ、SAIL工程を利用してパターニング工程を行うことができる。そのために、スイッチング繊維6は、基材繊維の上に均一に塗布でき、大面積の蒸着装置がなくても、安価で、効率的で、容易に、高い生産性で製造することができる。
【0053】
ソース電極とドレイン電極は、イオンシャワー(ion shower)、ショットキーバリア接合(Schottky barrier junction)、インプラント(implant)などの方法を利用して、半導体層62またはオーミックコンタクト層(ohmic contact layer)(図示せず)を定義(define)することができる。また、スペーサ(spacer)工程によってLDD領域(lightly doped drain region)が半導体層62またはオーミックコンタクト層を定義することができる。
【0054】
図26及び図27を参照すると、製織機を利用して列方向に延びているスイッチング繊維6と行方向に延びているスイッチング繊維6とが互いに交差できる。その他にも、列方向に延びているスイッチング繊維6と行方向に延びている通常の繊維(typical fiber)を製織することができ、列方向に延びている通常の繊維と行方向に延びているスイッチング繊維6を製織することも可能である。また、一方向に延びている複数のスイッチング繊維6の間に、それと同一の方向に延びている通常の繊維が1つ以上位置することもできる。
【0055】
ゲート電極線(gate electrode line)39、ソース電極線(source electrode line)49、及びドレイン電極線(drain electrode line)49のうちの少なくとも1つは、スイッチング繊維6の上面に位置してもよく、下面に位置してもよい。また、ゲート電極線(gate electrode line)39、ソース電極線(source electrode line)49、及びドレイン電極線(drain electrode line)49のうちの少なくとも1つはインクジェット印刷方法によって形成でき、ソース電極とドレイン電極を定義する工程やSAIL工程で一括的に形成することも可能である。
【0056】
図28は、本発明の一側面による貯蔵部を概略的に示す図面である。貯蔵部の一例として、キャパシタ繊維(capacitor fiber)7は、繊維の形状に合わせてキャパシタが形成されているものである。
【0057】
基材繊維70の上に絶縁層71が形成されている。基材繊維70は、ガラス繊維、プラスチック繊維、高分子繊維、炭素繊維などとすることができる。このような基材繊維は、柔軟で、入射した光の損失が少なく、直径を数マイクロメーターから数十マイクロメーター程度に製作可能である。絶縁層71は、有機絶縁物質、SiOx、SiNxなどの無機絶縁物質などを含むことができる。また、絶縁層71は省略可能である。
【0058】
基材繊維70の上に第1キャパシタ電極72が形成されている。第1キャパシタ電極72は金属物質及び多結晶シリコンなどを含むことができる。
【0059】
第1キャパシタ電極72の上にキャパシタ絶縁層73が形成されている。絶縁層73は、セラミック物質、高分子などの有機絶縁物質、無機絶縁物質などを含むことができる。
【0060】
キャパシタ絶縁層73の上に第2キャパシタ電極74が形成されており、第2キャパシタ電極74は金属物質及び多結晶シリコンなどを含むことができる。
【0061】
第2キャパシタ電極74の上に層間絶縁膜75が形成されている。層間絶縁膜75は、有機絶縁物質、SiOx、SiNxなどの無機絶縁物質などを含むことができる。
【0062】
キャパシタ繊維74を形成する時、光電繊維の形成工程と同様に、マルチチャンバを有するロール・ツー・ロール工程を利用することができる。GJ EBP CVD装置、超臨界蒸着装置などを利用して塗布工程を行うことができ、SAIL工程を利用してパターニング工程を行うことができる。これにより、キャパシタ繊維7は繊維の上に均一に塗布され、大面積の蒸着装置がなくても、安価で、効率的で、容易に、高い生産性で製造することができる。
【0063】
光電繊維1の製織と関連した図13〜図24及び関連説明はキャパシタ繊維7にも適用できる。例えば、キャパシタ繊維7は、光電繊維1の製織と同様の方法で製織でき、同一種類の孤立ブロックと同一種類の接続関係を有することができる。光電繊維1を通じて出力された電力はキャパシタ繊維7に保存される。
【0064】
図29は、本発明の一側面による光電池モジュールのブロック図である。光電池モジュールは一体式織物構造(monolithic textile structure)を有し、光電池部100、貯蔵部700、及びスイッチング部600のうちの少なくとも1つを含むことができる。スイッチング部600の代わりに伝導性繊維を用いることも可能である。
【0065】
光電池部100は、光エネルギーを電気エネルギーに変換させ、製織されている光電繊維1を含むことができる。貯蔵部700は、変換された電気エネルギーを貯蔵し、製織されているキャパシタ繊維7、キャパシタ、及びバッテリーのうちの少なくとも1つを含むことができる。また、キャパシタはスーパーキャパシタ(supercapacitor)とすることができる。スイッチング部600は、変換された電気エネルギー及び充電された電気エネルギーのうちの少なくとも1つを管理し、スイッチング繊維6及び薄膜トランジスタのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0066】
図29に示されている光電池モジュールは、選択的に光電池部100、貯蔵部700、及びスイッチング部600のうちの少なくとも1つを垂直に積み重ねて(stack)、互いに異なる平面に位置することもできる。
【0067】
図30は、本発明の他側面による光電池モジュールのブロック図である。光電池モジュールは、選択的に光電池部100、貯蔵部700、及びスイッチング部600のうちの少なくとも1つを、1つの平面に配置する(arrange)ことも可能である。
【0068】
光電繊維は製織されて人の身体によく合う服に作ることができ、このような光電繊維が製織されている光電池モジュールは、季節に無関係に適切な温度を維持することができる。また、光電繊維は、服のように着られる携帯用電子製品の電源として用いることができる。その他にも、光電繊維とこれを利用した光電池モジュールは、船舶の帆や宇宙航空船などに用いることができる。また、光電池モジュールは、電子製品のケースを構成する材料にエンベデッド(embedded)されることができる。
【0069】
以上、本発明について好ましい実施形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の技術的な思想の範囲内で当該分野における通常の知識を有する者によって種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 光電繊維
2 ローラ
3、4 接続電極
5 接続部材
6 スイッチング繊維
7 キャパシタ繊維
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材繊維(base fiber)と、
前記基材繊維を囲む第1電極と、
前記第1電極を囲み、放射方向(radial direction)にPIN接合(PIN junction)が位置する光吸収層と、
前記光吸収層を囲む第2電極と
を含む光電繊維。
【請求項2】
前記光吸収層はシリコンを含む、請求項1に記載の光電繊維。
【請求項3】
前記光吸収層は多結晶シリコンまたはナノ結晶シリコンを含む、請求項2に記載の光電繊維。
【請求項4】
前記第2電極を囲む保護膜をさらに含む、請求項1に記載の光電繊維。
【請求項5】
前記保護膜は反射性材料を含む、請求項4に記載の光電繊維。
【請求項6】
前記保護膜は高分子材料を含む、請求項4に記載の光電繊維。
【請求項7】
前記光電繊維は孤立領域(isolation region)を含み、前記孤立領域で前記基材繊維が露出する、請求項1に記載の光電繊維。
【請求項8】
前記孤立領域で前記第1電極及び前記第2電極のうちの少なくとも1つが露出する、請求項7に記載の光電繊維。
【請求項9】
製織(weaving)されている光電繊維を含み、
前記光電繊維は、
基材繊維と、
前記基材繊維を囲む第1電極と、
前記第1電極を囲み、放射方向にPIN接合が位置する光吸収層と、
前記光吸収層を囲む第2電極と
を含む光電織物。
【請求項10】
前記光吸収層はシリコンを含む、請求項9に記載の光電織物。
【請求項11】
前記光吸収層は多結晶シリコンまたはナノ結晶シリコンを含む、請求項10に記載の光電織物。
【請求項12】
前記光電織物は複数の孤立ブロック(isolation block)を含み、前記孤立ブロックの周りに孤立領域が位置し、前記孤立領域に基材繊維が露出しており、
前記孤立ブロックは、第1方向に延びる第1光電繊維及び第2方向に延びる第2光電繊維を含み、前記第1方向及び前記第2方向は互いに異なる、請求項9に記載の光電織物。
【請求項13】
前記複数の孤立ブロックは、直列または並列に互いに電気的に接続される、請求項12に記載の光電織物。
【請求項14】
前記第1光電繊維の端部と前記第2光電繊維の端部とは互いに接続される、請求項13に記載の光電織物。
【請求項15】
製織されている光電繊維を含み、光エネルギーを電気エネルギーに変換させる光電池部を含み、
前記光電池部は複数の孤立ブロックを含み、前記孤立ブロックの周りに孤立領域が位置し、前記孤立領域に基材繊維が露出しており、
前記孤立ブロックは、第1方向に延びる複数の第1光電繊維及び第2方向に延びる複数の第2光電繊維を含み、前記第1方向及び前記第2方向は互いに異なる光電池モジュール。
【請求項16】
前記光電繊維は、
基材繊維と、
前記基材繊維を囲む第1電極と、
前記第1電極を囲み、放射方向にPIN接合またはPN接合が位置する光吸収層と、
前記光吸収層を囲む第2電極とを含む、請求項15に記載の光電池モジュール。
【請求項17】
前記複数の孤立ブロックは直列または並列に互いに電気的に接続される、請求項15に記載の光電池モジュール。
【請求項18】
前記第1光電繊維の端部と前記第2光電繊維の端部とは互いに接続される、請求項17に記載の光電池モジュール。
【請求項19】
前記複数の孤立ブロックは接続電極を通じて互いに接続される、請求項17に記載の光電池モジュール。
【請求項20】
前記電気エネルギーを貯蔵する貯蔵部をさらに含む、請求項15に記載の光電池モジュール。
【請求項21】
前記貯蔵部は製織されているキャパシタ繊維を含む、請求項20に記載の光電池モジュール。
【請求項22】
前記キャパシタ繊維は、
基材繊維と、
前記基材繊維を囲む第1キャパシタ電極と、
前記第1キャパシタ電極を囲むキャパシタ絶縁層と、
前記キャパシタ絶縁層を囲む第2キャパシタ電極とを含む、請求項21に記載の光電池モジュール。
【請求項23】
前記電気エネルギーを管理するスイッチング部をさらに含む、請求項15に記載の光電池モジュール。
【請求項24】
前記スイッチング部は製織されているスイッチング繊維を含む、請求項22に記載の光電池モジュール。
【請求項25】
前記スイッチング繊維は、
基材繊維と、
前記基材繊維の上に位置する半導体層と、
前記基材繊維の上に位置するゲート電極と、
前記半導体層と前記ゲート電極との間に位置するゲート絶縁層とを含む、請求項24に記載の光電池モジュール。
【請求項26】
ロール・ツー・ロール(roll−to−roll)方式で基材繊維の上に第1電極を形成する段階と、
ロール・ツー・ロール方式で前記第1電極の上に光吸収層を形成する段階と、
ロール・ツー・ロール方式で前記光吸収層の上に第2電極を形成する段階と
を含む光電繊維の製造方法。
【請求項27】
前記第1電極、前記光吸収層、及び前記第2電極は、ガスジェット電子ビームプラズマ化学的気相蒸着(gas−jet electron beam plasma chemical vapor deposition)装置または超臨界蒸着装置によって形成される、請求項26に記載の光電繊維の製造方法。
【請求項28】
前記第1電極、前記光吸収層、及び前記第2電極は、塗布工程及び自己整列印刷エッチング(self−aligned imprint lithography)方式によって形成される、請求項27に記載の光電繊維製造方法。
【請求項29】
前記第2電極の上に高分子物質を塗布する段階と、
刻印部を含むローラによって前記高分子物質が刻印される段階とをさらに含む、請求項26に記載の光電繊維の製造方法。
【請求項30】
前記ロール・ツー・ロール方式はマルチチャンバを利用する、請求項26に記載の光電繊維の製造方法。
【請求項31】
前記第1電極は前記基材繊維を囲み、前記光吸収層は前記第1電極を囲み、前記第2電極は前記光吸収層を囲む、請求項26に記載の光電繊維の製造方法。
【請求項1】
基材繊維(base fiber)と、
前記基材繊維を囲む第1電極と、
前記第1電極を囲み、放射方向(radial direction)にPIN接合(PIN junction)が位置する光吸収層と、
前記光吸収層を囲む第2電極と
を含む光電繊維。
【請求項2】
前記光吸収層はシリコンを含む、請求項1に記載の光電繊維。
【請求項3】
前記光吸収層は多結晶シリコンまたはナノ結晶シリコンを含む、請求項2に記載の光電繊維。
【請求項4】
前記第2電極を囲む保護膜をさらに含む、請求項1に記載の光電繊維。
【請求項5】
前記保護膜は反射性材料を含む、請求項4に記載の光電繊維。
【請求項6】
前記保護膜は高分子材料を含む、請求項4に記載の光電繊維。
【請求項7】
前記光電繊維は孤立領域(isolation region)を含み、前記孤立領域で前記基材繊維が露出する、請求項1に記載の光電繊維。
【請求項8】
前記孤立領域で前記第1電極及び前記第2電極のうちの少なくとも1つが露出する、請求項7に記載の光電繊維。
【請求項9】
製織(weaving)されている光電繊維を含み、
前記光電繊維は、
基材繊維と、
前記基材繊維を囲む第1電極と、
前記第1電極を囲み、放射方向にPIN接合が位置する光吸収層と、
前記光吸収層を囲む第2電極と
を含む光電織物。
【請求項10】
前記光吸収層はシリコンを含む、請求項9に記載の光電織物。
【請求項11】
前記光吸収層は多結晶シリコンまたはナノ結晶シリコンを含む、請求項10に記載の光電織物。
【請求項12】
前記光電織物は複数の孤立ブロック(isolation block)を含み、前記孤立ブロックの周りに孤立領域が位置し、前記孤立領域に基材繊維が露出しており、
前記孤立ブロックは、第1方向に延びる第1光電繊維及び第2方向に延びる第2光電繊維を含み、前記第1方向及び前記第2方向は互いに異なる、請求項9に記載の光電織物。
【請求項13】
前記複数の孤立ブロックは、直列または並列に互いに電気的に接続される、請求項12に記載の光電織物。
【請求項14】
前記第1光電繊維の端部と前記第2光電繊維の端部とは互いに接続される、請求項13に記載の光電織物。
【請求項15】
製織されている光電繊維を含み、光エネルギーを電気エネルギーに変換させる光電池部を含み、
前記光電池部は複数の孤立ブロックを含み、前記孤立ブロックの周りに孤立領域が位置し、前記孤立領域に基材繊維が露出しており、
前記孤立ブロックは、第1方向に延びる複数の第1光電繊維及び第2方向に延びる複数の第2光電繊維を含み、前記第1方向及び前記第2方向は互いに異なる光電池モジュール。
【請求項16】
前記光電繊維は、
基材繊維と、
前記基材繊維を囲む第1電極と、
前記第1電極を囲み、放射方向にPIN接合またはPN接合が位置する光吸収層と、
前記光吸収層を囲む第2電極とを含む、請求項15に記載の光電池モジュール。
【請求項17】
前記複数の孤立ブロックは直列または並列に互いに電気的に接続される、請求項15に記載の光電池モジュール。
【請求項18】
前記第1光電繊維の端部と前記第2光電繊維の端部とは互いに接続される、請求項17に記載の光電池モジュール。
【請求項19】
前記複数の孤立ブロックは接続電極を通じて互いに接続される、請求項17に記載の光電池モジュール。
【請求項20】
前記電気エネルギーを貯蔵する貯蔵部をさらに含む、請求項15に記載の光電池モジュール。
【請求項21】
前記貯蔵部は製織されているキャパシタ繊維を含む、請求項20に記載の光電池モジュール。
【請求項22】
前記キャパシタ繊維は、
基材繊維と、
前記基材繊維を囲む第1キャパシタ電極と、
前記第1キャパシタ電極を囲むキャパシタ絶縁層と、
前記キャパシタ絶縁層を囲む第2キャパシタ電極とを含む、請求項21に記載の光電池モジュール。
【請求項23】
前記電気エネルギーを管理するスイッチング部をさらに含む、請求項15に記載の光電池モジュール。
【請求項24】
前記スイッチング部は製織されているスイッチング繊維を含む、請求項22に記載の光電池モジュール。
【請求項25】
前記スイッチング繊維は、
基材繊維と、
前記基材繊維の上に位置する半導体層と、
前記基材繊維の上に位置するゲート電極と、
前記半導体層と前記ゲート電極との間に位置するゲート絶縁層とを含む、請求項24に記載の光電池モジュール。
【請求項26】
ロール・ツー・ロール(roll−to−roll)方式で基材繊維の上に第1電極を形成する段階と、
ロール・ツー・ロール方式で前記第1電極の上に光吸収層を形成する段階と、
ロール・ツー・ロール方式で前記光吸収層の上に第2電極を形成する段階と
を含む光電繊維の製造方法。
【請求項27】
前記第1電極、前記光吸収層、及び前記第2電極は、ガスジェット電子ビームプラズマ化学的気相蒸着(gas−jet electron beam plasma chemical vapor deposition)装置または超臨界蒸着装置によって形成される、請求項26に記載の光電繊維の製造方法。
【請求項28】
前記第1電極、前記光吸収層、及び前記第2電極は、塗布工程及び自己整列印刷エッチング(self−aligned imprint lithography)方式によって形成される、請求項27に記載の光電繊維製造方法。
【請求項29】
前記第2電極の上に高分子物質を塗布する段階と、
刻印部を含むローラによって前記高分子物質が刻印される段階とをさらに含む、請求項26に記載の光電繊維の製造方法。
【請求項30】
前記ロール・ツー・ロール方式はマルチチャンバを利用する、請求項26に記載の光電繊維の製造方法。
【請求項31】
前記第1電極は前記基材繊維を囲み、前記光吸収層は前記第1電極を囲み、前記第2電極は前記光吸収層を囲む、請求項26に記載の光電繊維の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図19】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図9】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図19】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図9】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−160700(P2012−160700A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257507(P2011−257507)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
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