説明

免疫原性組成物

本発明は、ブドウ球菌PNAGならびに黄色ブドウ球菌の5型および/または8型莢膜多糖またはオリゴ糖を含む免疫原性組成物に関する。ワクチン、免疫原性組成物を用いた治療方法、PNAGならびに5型および/または8型莢膜多糖を含む組成物の製造方法も記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブドウ球菌免疫原性組成物およびワクチン、それらの製造、ならびにこのような組成物の薬剤における使用の分野に関する。さらに具体的には、本発明は、PNAG(PIA)多糖と黄色ブドウ球菌の5型および/または8型多糖とを含むワクチン組成物に関する。また、このようなワクチンを使用してブドウ球菌感染の治療または予防する方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
静脈内装置の使用の増加に伴い、地域および病院獲得感染の数はいずれも近年増加の一途をたどっている。病院獲得(院内)感染は、特に、毎年2百万人の患者が罹患する米国では、罹病および死亡の主な原因となっている。様々な研究から、米国人患者の約6%が入院中に感染するとされる。米国における経済的負担は、1992年に45億ドルを超えると推定された(EmoriおよびGaynes, 1993, Clin. Microbiol. Rev. 6; 428)。最も頻度が高い感染は、尿管感染(UTI:感染の33%)、次いで肺炎(15.5%)、外科手術部位感染(14.8%)および主要血流感染(13%)が続く(EmoriおよびGaynes, 1993, Clin. Microbiol. Rev. 6; 428)。
【0003】
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、血液凝固酵素陰性ブドウ球菌(ほとんどが表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis))、腸球菌、大腸菌および緑濃菌は、主な院内病原体である。これらの病原体はほぼ同数の感染を引き起こすが、これらが生み出しうる障害の重症度と、抗生物質耐性分離菌の頻度を考え合わせると、このような順位、すなわち、黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌を最も有意な院内病原体とする順位になる。
【0004】
黄色ブドウ球菌は、院内感染の最も一般的な病原体であり、有意な罹病率および死亡率を有する(Romero-Vivasら、1995, Infect, Dis. 21; 1417)。これは、場合によっては、骨髄炎、心内膜炎、敗血性関節炎、肺炎、膿瘍およびトキシックショック症候群の原因となることがある。
【0005】
表皮ブドウ球菌は、通常の皮膚共生生物であり、これは、移植した医療装置の感染および手術部位での感染を引き起こす重要な日和見性病原体でもある。表皮ブドウ球菌が感染する医療装置として、心臓ペースメーカー、髄液シャント、持続携帯式腹膜透析カテーテル、整形外科装置および人工弁が挙げられる。
【0006】
黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌感染は、抗生物質を用いて治療し、その際、選択される薬剤はペニシリンであるが、メチシリン耐性分離菌の場合にはバンコマイシンが用いられる。抗生物質に対して広範なスペクトル耐性を呈示するブドウ球菌株のパーセンテージは1980年代から益々優勢となっており(Panlinoら、Infect, Control. Hosp. Epidemiol. 13; 582)、有効な抗菌治療に脅威をもたらしている。加えて、近年、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌が出現したため、有効な治療法がみあたらないメチシリン耐性黄色ブドウ球菌株が出現および拡大するのではないかと危惧され始めた。
【0007】
受動免疫療法でブドウ球菌抗原に対する抗体を用いる別の手法が研究されている。ポリクローナル抗血清の投与を含む治療法(WO 00/15238、WO 00/12132)、ならびにリポテイコ酸(WO 98/57994)に対するモノクローナル抗体による治療も開発中である。
【0008】
別の手法は、活性ワクチン接種を用いて、ブドウ球菌に対する免疫応答を生み出すことである。ワクチン成分として含有させるいくつかの候補が確認されている。このような成分として、フィブロネクチン結合タンパク質(米国特許第5840846号)、MHC II類似体(米国特許第5648240号)、フィブロネクチン結合タンパク質(米国特許第6008341号)、GehD(米国特許第2002/0169288号)、コラーゲン結合タンパク質(米国特許第6288214号)、SdrF、SdrGおよびSdrH(WO 00/12689)、突然変異体SEAおよびSEB外毒素(WO 00/02523)および52kDaビトロネクチン結合タンパク質(WO 01/60852)が挙げられる。
【0009】
黄色ブドウ球菌ゲノムは配列決定され、コード配列の多くが同定されている(欧州特許第786519号、(WO 02/094868)。表皮ブドウ球菌についても同じことが言える(WO 01/34809)。この手法を改良したものとして、ブドウ球菌に感染した患者から超免疫血清により認識されるタンパク質もみいだされている(WO 01/98499、WO 02/059148)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
黄色ブドウ球菌または、これが産生する外タンパク質に対してターゲッティングしたワクチンの最初の作製は限定的にしか成功しなかった(Lee 1996 Trends Microbiol. 4; 162)。依然として、ブドウ球菌感染に対し有効なワクチンを開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
詳細な説明
本発明は、ブドウ球菌抗原の特定の組合せを開示し、これらを組み合わせることにより、ブドウ球菌感染を治療または予防するための免疫原性組成物を製造することができる。本発明の免疫原性組成物は、PNAG(PIA)および黄色ブドウ球菌の5型および/または8型多糖を組み込む。この抗原の組合せは、ブドウ球菌感染の範囲に対して免疫応答を誘発することができる。5型および8型多糖は、院内感染の最も一般的な原因である黄色ブドウ球菌のほとんどの菌株に対して免疫応答を誘発する強い免疫原であるのに対して、PNAG(PIA)は、グラム陽性菌で高度に保存されており、広範な細菌に対する防御を与える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
多糖
本発明の免疫原組成物は、PIA(PNAGとしても知られる)と、黄色ブドウ球菌の5型および8型多糖を含む。
【0013】
PIA(PNAG)
PS/A、PIAおよびSAAとして同定される様々な形態のブドウ球菌表面多糖は同じ化学的実体−PNAGであることが現在明らかになっている(Maria-Litranら、Vaccine 22; 872-879 (2004))。従って、PIAまたはPNAGという用語は、これらすべての多糖、またはそれらに由来するオリゴ糖を包含する。
【0014】
PIAは、多糖細胞間アドヘジンであり、N-アセチルおよびO-スクシニル成分で置換したβ-(1→6)-結合グルコサミンのポリマーからなる。この多糖は、黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌の両方に存在し、いずれの供給源からも単離することができる(Joyceら、2003, Carbohydrate Research 338; 903; Maira-Litranら、2002, Infect. Imun. 70; 4433)。例えば、PNAGは黄色ブドウ球菌株MN8m(WO 04/43407)から単離することができる。
【0015】
表皮ブドウ球菌から単離したPIAは、バイオフィルムの不可欠な成分である。これは、細胞間接着の仲介を担当し、恐らくはまた、宿主の免疫応答から成長するコロニーを保護する機能も果たすと考えられる。
【0016】
ポリ-N-スクシニル-β-(1→6)-結合グルコサミン(PNSG)として以前から知られる多糖は、N-スクシニル化の同定が間違っていたため、予想していた構造をしていないことが近年わかった(Maria-Litranら、2002, Infect. Immun. 70; 4433)。従って、これまでPNSGとして知られ、現在PNAGであることが認められた多糖も用語「PIA」に含まれる。
【0017】
PIA(またはPNAG)は、400 kDaを超えるものから、75〜400 kDaまで、10〜75 kDaまで、30以下の反復単位からなるオリゴ糖(N-アセチルおよびO-スクシニル成分で置換したβ-(1→6)-結合グルコサミンからなる)まで、様々なサイズのものでよい。本発明の免疫原性組成物には、あらゆるサイズのPIA多糖またはオリゴ糖を用いてよいが、40 kDaを超えるものが好ましい。サイジングは当分野で周知のあらゆる方法、例えば、マイクロ流動体化、超音波照射もしくは化学的切断(WO 03/53462、欧州特許第497,524号、欧州特許第495,525号)により達成することができる。
【0018】
PIA(またはPNAG)の好ましいサイズの範囲は、40〜400 kDa、50〜350 kDa、40〜300 kDa、60〜300 kDa、50〜250 kDaおよび60〜200 kDaである。
【0019】
PIA(PNAG)は、酢酸基によるアミノ基での置換によって、様々な程度のアセチル化を有しうる。in vitroで生産したPIAは、アミノ基でほぼ完全に(95〜100%)置換されている。あるいは、60%以下、好ましくは50%、40%、30%、20%、10%以下のアセチル化を有する脱アセチル化PIA(PNAG)を用いることもできる。PNAGの非アセチル化エピトープは、オプソニンによるグラム陽性菌、好ましくは黄色ブドウ球菌および/または表皮ブドウ球菌の死滅を仲介するのに効果的であるため、脱アセチル化PIA(PNAG)を用いるのが好ましい。最も好ましくは、PIA(PNAG)は、40 kDa〜300 kDaのサイズを有し、60%、50%、40%、30%もしくは20%以下のアミノ基がアセチル化されるように、脱アセチル化する。
【0020】
用語「脱アセチル化PIA(dPNAG)」とは、60%、50%、40%、30%、20%もしくは10%以下のアミノ基がアセチル化されているPNAG多糖またはオリゴ糖を意味する。
【0021】
一実施形態では、天然の多糖を化学的に処理することにより、PNAGを脱アセチル化して、dPNAGを形成する。例えば、天然PNAGを塩基性溶液で処理し、pHが10を超えるようにする。例えば、0.1〜5M、0.2〜4M、0.3〜3M、0.5〜2M、0.75〜1.5Mまたは1M NaOH、KOHもしくはNH4OHでPNAGを処理する。処理は、20〜100、25〜80、30〜60もしくは30〜50または35〜45℃の温度で、少なくとも10または30分、あるいは1、2、3、4、5、10、15もしくは20時間実施する。 dPNAGは、WO 04/43405に記載されているように調製することもできる。
【0022】
本発明の免疫原性組成物に含有させる多糖は、好ましくは、後述するように担体タンパク質と結合させるか、あるいは、結合させない。
【0023】
黄色ブドウ球菌由来の5型または8型多糖
ヒトへの感染を引き起こす黄色ブドウ球菌のほとんどの菌株が、5型または8型多糖のいずれかを含む。約60%のヒト菌株が8型であり、約30%が5型である。5型および8型莢膜多糖抗原の構造は、Moreauら、Carbohydrate Res. 201; 285 (1990)および Fournierら、Infect. Immun. 45; 87 (1984) に記載されている。両者とも、その反復配列にFucNAcpと、スルフヒドリル基を導入するのに用いることができるManNAcAを有する。これらの構造は以下のように報告されていた:
5型
→4)-β-D-ManNAcA(3OAc)-(1 →4)-α-L-FucNAc(1 →3)-β-D-FucNAc-(1 →
8型
→3)-β-D-ManNAcA(4OAc)-(1 →3)-α-L-FucNAc(1 →3)-β-D-FucNAc-(1 →
近年(Jones, Carbohydrate Research 340, 1097-1106 (2005))、NMR分光学的方法により、以下に示す構造に訂正された:
5型
→4)-β-D-ManNAcA-(1 →4)-α-L-FucNAc(3OAc)-(1 →3)-β-D-FucNAc-(1 →
8型
→3)-β-D-ManNAcA(4OAc)-(1 →3)-α-L-FucNAc(1 →3)-α-D-FucNAc(1 →
多糖は、当業者には周知の方法(例えば、米国特許第6294177号に記載の方法)を用いて、黄色ブドウ球菌の好適な菌株から抽出することができる。例えば、ATCC 12902は5型黄色ブドウ球菌株であり、ATCC 12605は8型黄色ブドウ球菌株である。
【0024】
多糖は天然のサイズでもよいし、あるいは、例えば、マイクロ流動体化、超音波照射もしくは化学処理によりサイジングしてもよい。本発明はまた、黄色ブドウ球菌由来の5および8型多糖から誘導したオリゴ糖も包含する。
【0025】
本発明の免疫原性組成物に含有させる5および8型多糖は、好ましくは、後述するように、担体タンパク質と結合させるか、あるいは、結合させない。
【0026】
あるいはまた、本発明免疫原性組成物は、5型または8型多糖のいずれかを含有する。
【0027】
黄色ブドウ球菌336抗原
一実施形態では、本発明免疫原性組成物は、米国特許第6294177号に記載の黄色ブドウ球菌336抗原を含む。
【0028】
336抗原は、β結合ヘキソサミンを含み、Oアセチル基を一切含まず、ATCC 55804で寄託された黄色ブドウ球菌336型に対する抗体に特異的に結合する。
【0029】
一実施形態では、336抗原は、天然のサイズの多糖であるか、あるいは、例えば、マイクロ流動体化、超音波照射もしくは化学処理によりサイジングしてもよい。本発明はまた、336抗原から誘導したオリゴ糖も包含する。
【0030】
336抗原は、本発明の免疫原性組成物に含有させる場合、好ましくは、後述するように、担体タンパク質と結合させるか、あるいは、結合させない。
【0031】
表皮ブドウ球菌由来のI、IIおよびIII型多糖
表皮ブドウ球菌の菌株ATCC-31432、SE-360およびSE-10は、3つの異なる莢膜タイプ:それぞれI、IIおよびIII型を特徴とする(IchimanおよびYoshida 1981, J. Appl. Bacteriol. 51; 229)。表皮ブドウ球菌の各血清型から抽出した莢膜多糖は、I、IIおよびIII型多糖を形成する。多糖は、いくつかの方法(例えば、米国特許第4197290に記載の方法、またはIchimanら、1991, J. Appl. Bacteriol. 71; 176に記載の方法など)により抽出することができる。
【0032】
本発明の一実施形態では、本免疫原性組成物は、表皮ブドウ球菌由来のIおよび/またはIIおよび/またはIII型多糖もしくはオリゴ糖を含む。
【0033】
多糖は、天然のサイズの多糖であるか、あるいは、例えば、マイクロ流動体化、超音波照射もしくは化学的切断によりサイジングしてもよい。本発明はまた、表皮ブドウ球菌株から抽出したオリゴ糖も包含する。
【0034】
これらの多糖は、非結合であるか、好ましくは、後述するように結合している。
【0035】
多糖の結合
ワクチン接種への多糖の使用に伴う問題として、多糖はそれ自体では不十分な免疫原であることが挙げられる。この免疫原性の不足を解消するために設計されてきた戦略には、バイスタンダー(bystander)T細胞の助けをもたらす大きなタンパク質担体と多糖を結合させるものがある。本発明で用いる多糖は、バイスタンダーT細胞の助けをもたらすタンパク質担体と結合するのが好ましい。多糖またはオリゴ糖免疫原との結合に一般に用いられるこれらの担体の例を以下に挙げる:ジフテリアおよび破傷風トキソイド(それぞれDT、DT crm197およびTT)、スカシガイヘモシアニン(KLH)、緑膿菌エキソプロテインA(rEPA)、ならびに、ツベルクリン精製タンパク質誘導物(PPD)、インフルエンザ菌由来のプロテインD、ニューモリシン、もしくはこれらのうちいずれかの断片。用いるのに適した断片として、Tヘルパーエピトープを含む断片が挙げられる。特に、プロテインD断片は、タンパク質のN末端1/3を含んでいるのが好ましい。プロテインDは、インフルエンザ菌(EP 0 594 610 B1)由来のIgD結合タンパク質である。
【0036】
これらの担体の一般的な使用と抗多糖抗体応答の誘発の成功にもかかわらず、担体は幾つかの不利益に結びつく。例えば、抗原特異的免疫応答は、この場合破傷風トキソイドに対する以前から存在する担体抗体の存在によって抑制され得ることが知られている(Di John et al; Lancet, December 16, 1989)。人々はDTとTTで定期的にワクチン接種を受けており、集団内で広く、非常に高い割合の人々がDTとTTの両方に対して、以前から存在する免疫を有している。英国では例えば95%の子供がDTとTTの両方を含むDTPワクチンを受ける。他の著者は、モデル動物におけるペプチドワクチンに対するエピトープ抑圧の問題を述べている(Sad et al, Immunology, 1991; 74:223-227; Schutze et al, J. Immunol. 135: 4, 1985; 2319-2322)。
【0037】
KLHは、有望な免疫原として知られ、ヒトの臨床試験においてIgEペプチドの担体として既に使用されている。しかしながら、抗体に対する抗体反応だけでなく、いくつかの不都合な反応(DTH様反応またはIgE感作)が観察されている。
【0038】
本発明の免疫原組成物に使用する別の担体タンパク質は、単一のブドウ球菌タンパク質またはその断片、あるいは後述のセクションで挙げるブドウ球菌タンパク質の少なくともまたは厳密に1、2、3、4つまたはそれ以上のタンパク質、またはそれらの断片を含む融合タンパク質である。
【0039】
ブドウ球菌ワクチンの場合に使用するのに特に有利な新規の担体タンパク質は、ブドウ球菌αトキソイドである。これは、結合の過程で毒性が低減することから、天然形態のものを多糖と結合させてもよい。残留毒性が低減するため、His35LeuまたはHis35Arg変異体のような遺伝子的に解毒したαトキシンを用いるのが好ましい。あるいは、架橋試薬、ホルムアルデヒドもしくはグルタルアルデヒドでの処理により、αトキシンを化学的に解毒する。随意に、遺伝子的に解毒したαトキシンを、好ましくは、架橋試薬、ホルムアルデヒドもしくはグルタルアルデヒドでの処理により化学的に解毒し、毒性をさらに低減する。他のブドウ球菌タンパク質またはその断片、特に上に挙げたタンパク質等は、上記多糖の担体タンパク質として用いることができる。担体タンパク質は、上に挙げたブドウ球菌タンパク質の少なくともまたは厳密に1、2、3、4または5つを含む融合タンパク質であってよい。
【0040】
周知の方法(例えば、Likhiteによる米国特許第4,372,945号、Armorらによる米国特許第4,474,757号、およびJenningsら、米国特許第4,356,170号)のいずれかにより多糖を担体タンパク質に結合させてもよい。好ましくは、CDAP結合化学を実施する(WO 95/08348参照)。
【0041】
CDAPでは、シアニル化試薬1-シアノ−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート(CDAP)を多糖−タンパク質コンジュゲートの合成に用いるのが好ましい。シアニル化反応は、比較的穏やかな条件下で行なうことができ、これによって、アルカリ感受性多糖の加水分解を阻止する。この合成により、担体タンパク質に直接結合させることができる。
【0042】
多糖は水溶液または塩水に可溶性にすることができる。CDAPをアセトニトリルに溶解させ、多糖溶液に直接添加することができる。CDAPは、多糖のヒドロキシル基と反応して、シアネートエステルを形成する。活性化ステップの後、担体タンパク質を添加する。リシンのアミノ基が活性化多糖と反応して、イソ尿素共有結合を形成する。結合反応後、多量の過剰グリシンを添加することにより、残留活性化官能基をクエンチングする。生成物をゲル透過カラムに通過させ、非反応担体タンパク質と残留試薬を除去する。
【0043】
タンパク質
本発明の免疫原性組成物は、好ましくはブドウ球菌タンパク質、より好ましくは黄色ブドウ球菌または表皮ブドウ球菌のタンパク質を更に含む。本発明の幾つかの態様は、黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌の両方のタンパク質を含む。
【0044】
本発明の免疫原性組成物は、図1のいずれかの配列のアミノ酸配列に対し、少なくとも85%の同一性、好ましくは少なくとも90%の同一性、さらに好ましくは少なくとも95%の同一性、最も好ましくは少なくとも97〜99%の同一性もしくは完全な同一性を有するアミノ酸配列を含む単離タンパク質を含んでなる。
【0045】
本明細書でタンパク質について具体的に述べるとき、これは、好ましくは、あらゆるシグナル配列が除去された天然または組換え、全長タンパク質もしくは成熟タンパク質を意味する。タンパク質は、ブドウ球菌株から直接単離してもよいし、組換えDNA技術により作製してもよい。タンパク質の免疫原性断片を本発明の免疫原性組成物に組み込んでもよい。これらは、タンパク質のアミノ酸配列から連続的に取り出した少なくとも10個のアミノ酸、好ましくは20個のアミノ酸、さらに好ましくは30個のアミノ酸、さらに好ましくは40個または50個のアミノ酸、最も好ましくは100個のアミノ酸を含む断片である。加えて、このような免疫原性断片は、一般的に、ブドウ球菌タンパク質に対して産生された抗体、またはブドウ球菌への哺乳動物宿主の感染により産生された抗体と、免疫学的に反応性であり、またはT細胞エピトープを含む。免疫原性断片はまた、有効な用量で投与される(単独で、または担体に結合したハプテンとして)と、ブドウ球菌感染に対する防御免疫応答を誘発し、さらに好ましくは、黄色ブドウ球菌および/または表皮ブドウ球菌感染に対して防御的である。このような免疫原性断片としては、例えば、N末端リーダー配列を欠失したタンパク質、および/または膜貫通ドメインおよび/またはC末端アンカードメインが挙げられる。好ましい形態では、本発明の免疫原性断片は、図1から選択した配列のアミノ酸配列に対し、断片配列の長さ全体にわたって、少なくとも85%の同一性、好ましくは少なくとも90%の同一性、さらに好ましくは少なくとも95%の同一性、最も好ましくは少なくとも97〜99%の同一性を有するタンパク質の細胞外ドメインの実質的に全部を含む。
【0046】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物には、ブドウ球菌タンパク質の融合タンパク質、またはブドウ球菌タンパク質の断片を含んでもよい。このような融合タンパク質は、組換えにより作製することができ、少なくとも2、3、4、5もしくは6種のブドウ球菌タンパク質の1部を含んでいてもよい。あるいは、融合タンパク質は、少なくとも2、3、4、5もしくは6種のブドウ球菌タンパク質の複数部を含んでいてもよい。これらは、様々なブドウ球菌タンパク質またはその断片を組み合わせたものでもよい。前記以外に、本発明は、異種配列との融合タンパク質としての、ブドウ球菌タンパク質またはその断片の個々の融合タンパク質も含み、このような異種配列として、T細胞エピトープまたは精製タグの供給物(例えば、βガラクトシダーゼ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP))、エピトープタグ(例えば、FLAG、mycタグ、ポリヒスチジン)、もしくはウイルス表面タンパク質(例えば、インフルエンザウイルス赤血球凝集素)、あるいは細菌タンパク質(例えば、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、CRM197)が挙げられる。
【0047】
タンパク質
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、下記の1つまたはそれ以上のタンパク質を更に含む。好ましいタンパク質の多くは、細胞外成分結合タンパク質、輸送体タンパク質または毒素およびビルレンス(virulence)調節因子に分類される。本発明の免疫原性組成物は、随意に、ブドウ球菌細胞外成分結合タンパク質またはブドウ球菌輸送体タンパク質あるいはブドウ球菌の毒素またはビルレンス調節因子を更に含む。本発明の免疫原性組成物は、随意に、少なくともまたは厳密に、1、2、3、4、5または6つのブドウ球菌タンパク質を含む。
【0048】
以下の表に、図1および図2にそれぞれ示すタンパク質配列およびDNA配列の配列番号を記載する。SAは黄色ブドウ球菌由来の配列を、またSEは表皮ブドウ球菌由来の配列を示す。
【表1】

【0049】

【0050】
細胞外成分結合タンパク質
細胞外成分結合タンパク質とは、宿主細胞外成分に結合するタンパク質である。この用語は、アドヘジンを含むが、これに限定されるわけではない。
【0051】
細胞外成分結合タンパク質の例として、以下のものが挙げられる:ラミニン受容体(Naiduら、J. Med. Microbiol. 1992, 36; 177)、SitC/MntC/唾液結合タンパク質(米国特許第5801234号、WiltshireおよびFoster Infec. Immun. 2001, 69; 5198)、EbhA(Williamsら、Infect. Immun. 2002, 70; 6805)、EbhB、エラスチン結合タンパク質(EbpS)(Parkら、1999, J. Biol. Chem. 274; 2845)、EFB(FIB)(WastfeltおよびFlock 1995, J. Clin. Microbiol. 33; 2347)、SBI(Zhangら、FEMS Immun. Med. Microbiol. 2000, 28; 211)、自己溶解素(Ruppら、2001, J. Infect. Dis. 183; 1038)、ClfA(米国特許第6008341号、McDevittら、Mol. Microbiol. 1994, 11; 237)、SdrC、SdrG(McCreaら、Microbiology 2000, 146; 1535)、SdrH(McCreaら、Microbiology 2000, 146; 1535)、リパーゼGehD(米国特許第2002/0169288号)、SasA、FnbA(Flockら、Mol Microbiol. 1994, 12; 599, 米国特許第6054572号)、FnbB(WO 97/14799, Boothら、2001 Infec. Immun. 69; 345)、コラーゲン結合タンパク質Cna(Visaiら、2000, J. Biol. Chem. 275; 39837)、ClfB(WO 99/27109)、FbpA(Phonimdaengら、1988 J. Gen Microbiol.134; 75)、Npase(Flock 2001 J. Bacteriol. 183; 3999)、IsaA/PisA(Lonenzら、FEMS Immuno. Med. Microbiol. 2000, 29; 145)、SsaA(Langら、FEMS Immunol. Med. Microbiol. 2000, 29; 213)、EPB(Hussain およびHermann symposium on Staph Denmark 14-17th 2000)、SSP-1(Veenstraら、1996, J. Bacteriol. 178; 537)、SSP-2(Veenstraら、1996, J. Bacteriol. 178; 537)、17 kDaヘパリン結合タンパク質HBP(Fallgrenら、2001, J. Med. Microbiol. 50; 547)、ビトロネクチン結合タンパク質(Liら、2001, Curr. Microbiol. 42; 361)、フィブロネクチン結合タンパク質、血液凝固酵素、Fig(WO 97/48727)およびMAP(米国特許第5648240号)。
【0052】
SitC/MntC/唾液結合タンパク質
これは、肺炎球菌(S. pneumoniae)のアドヘジンPsaAの相同体であるABC輸送体タンパク質である。これは、高度に免疫原性の32kDaリポタンパク質であり、細菌の細菌壁を通じて分布する(Cockayneら、Infect, Immun. 1998 66; 3767)。これは、黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌に32kDaリポタンパク質として発現され、40kDa相同体がスタフィロコッカス・オミニス(S. hominis)に存在する。表皮ブドウ球菌においては、これは鉄調節オペロンの成分である。これは、ストレプトコッカス・パラサングイスのFimAを含むアドヘジンと、証明または推定金属イオン輸送機能を備えるABC輸送体ファミリーのリポタンパク質の両方に対して相当の相同性を示す。従って、SitCは細胞外結合タンパク質および金属イオン輸送体として含まれる。
【0053】
米国特許第5,801,234号に開示されている唾液結合タンパク質もSitCの形態であり、本発明の免疫原性組成物に含有させることができる。
【0054】
ClfAおよびClfB
これらのタンパク質はいずれも、フィブリノーゲン結合活性を有し、血漿の存在下で黄色ブドウ球菌を誘発して凝集塊を形成させる。両タンパク質は、細胞壁関連タンパク質に共通のLPXTGモチーフを含む。
【0055】
ClfAは米国特許第6008341号に記載され、ClfBはWO 99/27109に記載されている。
【0056】
血液凝固酵素(FbpA)
これは、フィブリノーゲン結合タンパク質であり、血漿の存在下で黄色ブドウ球菌を誘発して凝集塊を形成させる。このタンパク質については、血液凝固酵素(coagulase)に関する以下の参照文献に記載されている:Phonimdaengら(J. Gen. Microbio. 1988, 134:75-83)、Phonimdaengら(Mol Microbiol 1990; 4:393-404)、Cheungら(Infect Immun 1995; 63:1914-1920)およびShopsinら(J. CLin. Microbiol. 2000; 38:3453-3456)。
【0057】
本発明の免疫原性組成物に含有させるのに好ましい断片として、シグナルペプチドが除去された成熟タンパク質(アミノ酸27からC末端まで)が挙げられる。
【0058】
血液凝固酵素は、3つの異なるドメインを有する。すなわち、超らせん領域であるアミノ酸59〜297、プロリンおよびグリシンが豊富な領域であるアミノ酸326〜505、ならびに、βシートコンホメーションを有するアミノ酸506から645までのC末端領域である。これらドメインはいずれも本発明の免疫原性組成物に組み込むことができる断片である。
【0059】
SdrG
このタンパク質は、WO 00/12689において記載されている。SdrGは凝集酵素陰性ブドウ球菌に存在し、LPXTG配列を含む細胞壁関連タンパク質である。
【0060】
SdrGは、シグナルペプチド(アミノ酸1〜51)、フィブリノーゲン結合部位とコラーゲン結合部位を含む領域(アミノ酸51〜825)、2つのCnaBドメイン(アミノ酸627〜698と738〜809)、SD反復領域(アミノ酸825〜1,000)、ならびにアンカードメイン(アミノ酸1009〜1056)を含んでいる。
【0061】
SdrGの好ましい断片としては、シグナルペプチドおよび/またはSD反復単位ならびにアンカードメインが除去されたポリペプチドがある。このようなものとして、以下のものをを含む、またはこれらからなるポリペプチドが挙げられる:アミノ酸50〜825、アミノ酸50〜633、アミノ酸50〜597(WO 03/76470の配列番号2)、アミノ酸273〜597(WO 03/76470の配列番号3)、アミノ酸273〜577(WO 03/76470の配列番号6)、配列番号70または20または21のアミノ酸1〜549、アミノ酸219〜549、アミノ酸225〜549、アミノ酸219〜528、アミノ酸225〜528。
【0062】
好ましくは、配列番号70、20もしくは21に対し少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%もしくは100%相同の配列を有するSdrGポリペプチドを本発明の免疫原性組成物に組み込む。
【0063】
本発明の組成物は、随意に、前記SdrGポリペプチドの断片を含む。
【0064】
好ましい断片は、シグナルペプチドおよび/またはSD反復ドメインおよび/またはアンカードメインを欠失している。例えば、配列番号70のアミノ酸1〜713、1〜549、225〜549、225〜529、24〜717、1〜707、1〜690、1〜680、1〜670、1〜660、1〜650、1〜640、1〜630、1〜620、1〜610、1〜600、34〜707、44〜697、36〜689に対応する配列、あるいは、配列番号70もしくは20または21に対し、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%もしくは100%の同一性を有する配列が挙げられる。
【0065】
シグナルペプチドを欠失した好ましい断片は、正しい翻訳を確実にするために、該断片のN末端にメチオニン残基を有する。
【0066】
さらに好ましい断片は以下の配列を有する:
MEENSVQDVKDSNTDDELSDSNDQSSDEEKNDVINNNQSINTDDNNQIIKKEETNNYDGIEKRSEDRTESTTNVDENEATFLQKTPQDNTHLTEEEVKESSSVESSNSSIDTAQQPSHTTINREESVQTSDNVEDSHVSDFANSKIKESNTESGKEENTIEQPNKVKEDSTTSQPSGYTNIDEKISNQDE

LLNLPINEYENKARPLSTTSAQPSIKRVTVNQLAAEQGSNVNHLIKVTDQSITEGYDDSEGVIKAHDAENLIYDVTFEVDDKVKSGDTMTVDIDKNTVPSDLTDSFTIPKIKDNSGEIIATGTYDNKNKQITYTFTDYVDKYENIKAHLKLTSYIDKSKVPNNNTKLDVEYKTALSSVNKTITVEYQRPNENRTANLQSMFTNIDTKNHTVEQTIYINPLRYSAKETNVNISGNGDEGST

IIDDSTIIKVYKVGDNQNLPDSNRIYDYSEYEDVTNDDYAQLGNNNDVNINFGNIDSPYIIKVISKYDPNKDDYTTIQQTVTMQTTINEYTGEFRTASYDNTIAFSTSSGQGQGDLPPEKTYKIGDYVWEDVDKDGIQNTNDNEKPLSNVLVTLTYPDGTSKSVRTDEDGKYQFDGLKNGLTYKITFETPEGYTPTLKHSGTNPALDSEGNSVWVTINGQDDMTIDSGFYQTPKYSLGNY

VWYDTNKDGIQGDDEKGISGVKVTLKDENGNIISTTTTDENGKYQFDNLNSGNYIVHFDKPSGMTQTTTDSGDDDEQDADGEEVHVTITDHDDFSIDNGYYDDE
EbhAおよびEbhB
EbhAおよびEbhBは、黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌に発現し(ClarkeおよびFoster Infect. Immun. 2002, 70; 6680;Williamsら、Infect. Immun. 2002, 20; 6805)、かつ、フィブロネクチンに結合するタンパク質である。フィブロネクチンは細胞外マトリックスの重要な成分であることから、EbhAおよびEbhBは、ブドウ球菌を宿主細胞外マトリックスに接着させる上で重要な機能を有する。
【0067】
Ebhタンパク質は大きく、分子量が1.1メガダルトンである。生産および製剤化が容易であるため、完全な配列よりも、Ebhタンパク質の断片を用いる方が有利である。該タンパク質の中央領域は、フィブロネクチン結合部位を含む不完全な反復配列を含む。以下に記載する1以上の反復ドメインを含む断片は、本発明の免疫原性組成物に組み込むのに好ましい断片である。
【0068】
Ebhタンパク質は、以下の共通配列を含むことを特徴とする、長さ127アミノ酸の不完全な反復配列単位を含んでいる:
L.G.{10}A.{13}Q.{26}L…M..L.{33}A
好ましくは、
.{19}L.G.{10}A.{13}Q.{26}L…M..L.{33}A.{12}
さらに好ましくは、
.....I/V..A...I/V..AK.ALN/DG..NL..AK..A.{6}L..LN.AQK..L..QI/V..A..V..V.{6}A..LN/D.AM..L...I/V.D/E...TK.S.NY/F.N/DAD..K..AY/F..AV..A..I/V.N/D.......
尚、上記配列において、‘.’は任意のアミノ酸を意味し、‘.{10}’は任意の10アミノ酸を意味し、I/Vは他のアミノ酸選択を示す。
【0069】
Kurodaら(2001)Lancet 357; 1225-1240、ならびに表2に開示された配列を参照することにより、Ebhタンパク質内の反復単位が容易に導き出される。
【0070】
本発明の免疫原性組成物に含有させるのに好ましい断片として、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個もしくはそれ以上の127アミノ酸反復単位を含むタンパク質が挙げられる。このような断片は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個もしくはそれ以上の127アミノ酸反復領域から構成されるものでもよいし、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個もしくはそれ以上の反復単位から構成され、しかも、該断片のいずれか一端または両端に別のアミノ酸が存在するものでもよい。別の好ましい断片は、Clarkeら、Infecttion and Immunity 70, 6680-6687, 2002に記載されるように、3つの反復単位(アミノ酸3202〜3595)にわたる約44 kDaのH2ポリペプチドである。このような断片は、好ましくは、フィブロネクチンに結合する、および/または全Ebhタンパク質に対して反応性である抗体を誘発することができる。
【0071】
Ebhタンパク質は、フィブロネクチンに結合することができる。これらポリペプチド配列の好ましい断片は、フィブロネクチンに結合する能力を保持する。フィブロネクチンとの結合は、Clarkeら(Infecttion and Immunity 70; 6680-6687, 2002)に記載されているように、ELISAにより評価することができる。
【0072】
さらに別の断片は、B細胞またはTヘルパーエピトープを含むものであり、例えば、表3および4に記載の断片/ペプチドが挙げられる。
【0073】
表2:Ebhの全長配列内の反復配列
Kurodaら(2001)Lancet 357; 1225-1240に、Ebhの全長配列が開示されている。以下の表は、全長配列内で127アミノ酸反復配列が開始および終了するアミノ酸残基を示す。
【表2】

【0074】

【0075】
表3:127アミノ酸反復配列についてのB細胞エピトープ推定
Kurodaら(2001)Lancet 357; 1225-1240に、全長配列が開示されている。全長配列のアミノ酸3204〜3331によりコードされる、これら反復配列の1つを選択し、エピトープ推定を実施した:
MDVNTVNQKAASVKSTKDALDGQQNLQRAKTEATNAITHASDLNQAQKNALTQQVNSAQNVHAVNDIKQTTQSLNTAMTGLKRGVANHNQVVQSDNYVNADTNKKNDYNNAYNHANDIINGNAQHPVI
【表3】

【0076】
‐「開始」および「終了」の縦列は、127アミノ酸反復配列において推定したB細胞エピトープの位置を示す。
【0077】
‐「開始」および「終止」の縦列は、Ebh全長配列において推定したB細胞エピトープの位置を示す。
【0078】
表4:EbhにおけるT細胞エピトープ推定
TrEMBLデータベースに、全長配列、基準配列Q8NWQ6が開示されている。全長配列のアミノ酸3204〜3331によりコードされる、これら反復配列の1つを選択し、エピトープ推定を実施した:
MDVNTVNQKAASVKSTKDALDGQQNLQRAKTEATNAITHASDLNQAQKNALTQQVNSAQNVHAVNDIKQTTQSLNTAMTGLKRGVANHNQVVQSDNYVNADTNKKNDYNNAYNHANDIINGNAQHPVI
【表4】

【0079】
−「反復配列位置」の縦列は、反復配列において推定したT細胞エピトープの位置を示す。
【0080】
−「配列位置」の縦列は、Ebh全長配列において推定したT細胞エピトープの位置を示す。
【0081】
本発明のタンパク質の断片を用いて、ペプチド合成により、対応する全長ポリペプチドを作製することができ;従って、これらの断片を中間体として用いて、本発明の全長タンパク質を作製することができる。
【0082】
数個、5〜10個、1〜5個、1〜3個、1〜2個もしくは1個のアミノ酸を任意に組み合わせて置換、欠失、もしくは付加した変異体が特に好ましい。
【0083】
エラスチン結合タンパク質(EbpS)
EbpSは、486個のアミノ酸を含む、分子量が83 kDaのタンパク質である。これは、黄色ブドウ球菌の細胞膜に関連し、膜にタンパク質を保持する3つの疎水領域を有する(Downerら、2002, J. Biol. Chem. 277; 243;Parkら、1996, J. Biol. Chem. 271; 15803)。
【0084】
アミノ酸1〜205と343〜486の間の2つの領域は、細胞膜の外側表面が露出している。EbpSのリガンド結合ドメインは、N末端で残基14〜34の間に位置する(Parkら、1999, J. Biol. Chem. 274;2845)。
【0085】
本発明の免疫原性組成物に含有させるのに好ましい断片は、エラスチン結合領域を含む表面露出断片(アミノ酸1〜205)である。いくつかの好ましい断片は、全露出ループを含まないが、エラスチン結合領域(アミノ酸14〜34)は含まなければならない。用いることができる別の断片は、第2の表面露出ループを形成するアミノ酸(アミノ酸343〜486)からなる。これ以外にも、一端または両端のアミノ酸が1、2、5、10、20、50個まで少ない別の断片を用いることも可能である。
【0086】
ラミニン受容体
黄色ブドウ球菌のラミニン受容体は、病原性に重要な役割を果たす。感染特有の特徴は、血流侵入であり、これによって、転移性膿瘍形成が拡大する。血流侵入には、血管基底膜を介して血液を溢出させる能力が必要である。これは、ラミニン受容体を介したラミニンとの結合により達成される(Lopesら、Science 1985, 229; 275)。
【0087】
ラミニン受容体は表面露出であり、黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌を含む多くのブドウ球菌株に存在する。
【0088】
SBI
Sbiは、プロテインAのみならず、第2のIgG結合タンパク質であり、ほとんどの黄色ブドウ球菌株に発現する(Zhangら、1998, Microbiology 144; 985)。
【0089】
Sbiの配列のN末端は、アミノ酸29の後に切断部位を備えた典型的な配列を有する。従って、本発明の免疫原性組成物に含有させるのに好ましいSbiの断片は、Sbi、例えば、配列番号26のアミノ酸残基30、31、32もしくは33から出発し、そのC末端まで続くものである。
【0090】
SbiのIgG結合ドメインは、アミノ酸41〜92からタンパク質のN末端に向かう領域として同定されている。このドメインは、プロテインAのIgG結合ドメインと相同である。
【0091】
Sbiの最小IgG結合ドメインは次の配列を含む:
【化1】

【0092】
尚、上記配列において、*はIgG結合ドメイン同士で類似するアミノ酸を示す。
【0093】
本発明の免疫原性組成物に含有させるのに好ましいSbiの断片は、IgG結合ドメインを含む。この断片は、上記配列において*で示すIgG結合ドメインの共通配列を含む。該断片は、上記の完全な配列を含むか、または該完全な配列からなるのが好ましい。さらに好ましくは、この断片は、Sbi、例えば、配列番号26のアミノ酸30〜92、33〜92、30〜94、33〜94、30〜146、33〜146、30〜150、33〜150、30〜160、33〜160、33〜170、33〜180、33〜190、33〜200、33〜205もしくは33〜210を含むか、またはこれらアミノ酸からなる。
【0094】
好ましい断片は、示した配列から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10のアミノ酸置換を含んでもよい。
【0095】
好ましい断片は、IgG結合ドメインの複数(2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10)の反復配列を含んでもよい。
【0096】
EFB-FIB
Fibは、19 kDaフィブリノーゲン結合タンパク質であり、黄色ブドウ球菌により細胞外媒質に分泌される。これは、被験黄色ブドウ球菌分離菌から産生される(WastfeltおよびFlock 1995, J. Clin. Microbiol. 33; 2347)。
【0097】
黄色ブドウ球菌は、フィブリノーゲンの存在下で凝集し、フィブリノーゲン被覆表面に結合する。この能力により、カテーテルおよび内皮細胞でのブドウ球菌コロニー形成が促進される。
【0098】
Fibは、アミノ酸(約)30に推定切断部位を備えるタンパク質のN末端にシグナル配列を含む。従って、本発明の免疫原性組成物に含有させるのに好ましい断片は、成熟タンパク質の配列(該タンパク質のアミノ酸(約)30からC末端まで)を含む。
【0099】
Fbe-EfB/FIG
Fbeは表皮ブドウ球菌の多くの分離菌に見出されるフィブリノーゲン結合タンパク質であり、推定分子量119KDaである(Nilsson et al 1998. Infect. Immun. 66; 2666)。その配列は黄色ブドウ球菌のクランピング因子(ClfA)の配列と関連する。Fbeに対する抗体は、フィブリノーゲン被覆プレート及びカテーテルへの表皮ブドウ球菌の結合を妨げることができる(Pei and Flock 2001, J. Infect. Dis. 184; 52)。
【0100】
Fbeは、アミノ酸51と52間の切断部位を有する推定シグナル配列である。従って、Fbeの好ましい断片は、アミノ酸52からC末端に伸長しているFbeの成熟型(アミノ酸1092)を含む。
【0101】
アミノ酸52からアミノ酸825のFbeのドメインは、フィブリノーゲン結合の原因である。従って、Fbeの好ましい断片は、アミノ酸52〜825からなるか、またはアミノ酸52〜825を含む。
【0102】
Fbeのアミノ酸373と516の間の領域は、FbeとClfA間にもっとも保存されている。従って好ましい断片は、Fbeのアミノ酸373〜516を含む。
【0103】
Fbeのアミノ酸825〜1041は、タンデムに繰返したアスパラギン酸とセリン残基から構成された高反復領域を含む。
【0104】
IsaA/PisA
IsaAは29 kDaタンパク質であり、PisAとしても知られ、入院患者の敗血症における免疫優性ブドウ球菌タンパク質であることがわかっている(Lorenzら、2000, FEMS Immunol. Med. Microb. 29; 145)。
【0105】
IsaA配列の最初の29個のアミノ酸は、シグナル配列であると考えられる。従って、本発明の免疫原性組成物に含有させるのに好ましいIsaA断片は、コードされた配列のアミノ酸残基30からその末端まで含む。
【0106】
フィブロネクチン結合タンパク質
フィブロネクチン結合プロテインAは、フィブロネクチンとの結合に関与する数個のドメインを含む(WO 94/18327)。これらは、D1、D2、D3およびD4と呼ばれる。フィブロネクチン結合プロテインAまたはBの好ましい断片は、D1、D2、D3、D4、D1-D2、D2-D3、D3-D4、D1-D3、D2-D4もしくはD1-D4を含むか、もしくはこれらからなる。
【0107】
フィブロネクチン結合タンパク質は、36アミノ酸シグナル配列、例えば、次の配列を含む:
VKNNLRYGIRKHKLGAASVFLGTMIVVGMGQDKEAA
随意に、このシグナル配列を除去した成熟タンパク質を本発明の免疫原性組成物に含有させる。
【0108】
輸送体タンパク質
グラム陽性細菌の細胞壁は、代謝物が細菌に自由に拡散するのを阻止する遮断壁として作用する。一ファミリーのタンパク質は、細菌内への必須栄養素の経路を組織化するため、細菌の生存に必須である。「輸送体タンパク質」という用語は、代謝物(例えば、鉄)との結合の初期段階に関与するタンパク質、ならびに細菌内への代謝物の実際の輸送に関与するタンパク質を包含する。
【0109】
分子鉄は細菌増殖の必須補因子である。遊離鉄に結合するサイドロホア(siderophore)は、分泌された後、細胞膜を通した輸送のために鉄を送達する細菌表面受容体により捕捉される。鉄獲得は、ヒト感染の確立のために重要であることから、このクラスのタンパク質に対する免疫応答が発生すれば、ブドウ球菌生存能の喪失につながる。
【0110】
輸送体タンパク質の例として、免疫優性ABC輸送体(Burnieら、2000 Infect. Immun. 68; 3200)、IsdA(Mazmanianら、2002 PNAS 99; 2293)、IsdB(Mazmanianら、2002 PNAS 99; 2293)、Mg2+輸送体、SitC(WiltshireおよびFoster 2001 Infect. Immun. 69; 5198)およびNi ABC輸送体が挙げられる。
【0111】
免疫優性ABC輸送体
免疫優性ABC輸送体は、良好に保存されたタンパク質であり、これは、様々なブドウ球菌株に対して交差防御的な(cross-protective)免疫応答を生み出すことができる(Meiら、1997, Mol. Microbiol. 26; 399)。このタンパク質に対する抗体は、敗血症の患者にみいだされている(Burnieら、2000 Infect. Immun. 68; 3200)。
【0112】
免疫優性ABC輸送体の好ましい断片としては、ヒト免疫系により認識されるエピトープを含む配列であることから、次のペプチドが挙げられる:DRHFLN、GNYD、RRYPF、KTTLLK、GVTTSLS、VDWLR、RGFL、さらに好ましくはKIKVYVGNYDFWYQS、TVIVVSHDRHFLYNNVおよび/またはTETFLRGFLGRMLFS。
【0113】
IsdA-IsdB
黄色ブドウ球菌のisd遺伝子(鉄調節表面決定因子)は、ヘモグロビン結合および細胞質へのヘム鉄の輸送を担当するタンパク質をコードし、該細胞質においてヘム鉄は必須栄養素として作用する。IsdAおよびIsdBは、ブドウ球菌の細胞壁内に位置する。IsdAは、プロテイナーゼK消化を被りやすいため、細菌の表面に露出していると考えられる。IsdBは一部が消化されていたことから、細菌の表面に一部露出していることを示唆している(Mazmanianら、2003 Science 299; 906)。
【0114】
IsdAおよびIsdBはいずれも、ヘムに結合する29 kDaタンパク質である。これらの発現は、Furリプレッサーを介した鉄の利用性により調節される。これらの発現は宿主への感染時に高くなり、その際、宿主における鉄の濃度は低くなる。
【0115】
また、上記タンパク質は、FrpAおよびFrpBとしても知られる(Morrisseyら、2002, Infect. Immun. 70; 2399)。FrpAおよびFrpBは、高い電荷を有する主要表面タンパク質である。これらは、プラスチックへの接着に大きく寄与することがわかっている。
【0116】
一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、WO 01/98499またはWO 03/11899に記載されているIsdAおよび/またはIsdBの断片を含む。
【0117】
毒素およびビルレンスの調節物質
このタンパク質ファミリーのメンバーには、αトキシン、溶血素、エンテロトキシンBおよびTSST-1のような毒素、ならびに、RAPのような毒素の産生を調節するタンパク質が含まれる。
【0118】
αトキシン(Hla)
αトキシンは、ほとんどの黄色ブドウ球菌により産生される重要なビルレンス決定因子である。これは、溶血活性を有する細孔形成毒素である。αトキシンに対する抗体は、動物モデルにおいてαトキシンの有害および致死作用を中和することが示されている(Adlamら、1977 Infect. Immun. 17; 250)。ヒト血小板、内皮細胞および単核細胞はαトキシンの作用を受けやすい。
【0119】
αトキシンには高い毒性があるため、免疫原として用いる前に解毒する必要がある。これは、化学的処理、例えば、ホルムアルデヒド、他の架橋試薬のグルタルアルデヒドで処理するか、もしくは後述するように細菌多糖またはLTAと化学的に結合させることにより、達成することができる。
【0120】
毒性を除去する別の方法は、毒素の抗原性は保持しながら、毒性を除去する点突然変異を導入するものである。αトキシンのアミノ酸35に点突然変異を導入し、そこでヒスチジン残基をロイシン残基で置換することにより、毒素の抗原性は保持しながら、毒性を除去する(MenziesおよびKernodle 1996; Infect. Immun. 64; 1839)。ヒスチジン35は、細孔形成に必要な適正なオリゴマー化に重要であると考えられ、この残基の突然変異により、毒性が失われる。
【0121】
本発明の免疫原性組成物に含有させる場合には、His 35の突然変異、最も好ましくは、His 35をLeuまたはArgで置換することにより、解毒するのが好ましい。別の実施形態では、免疫原性組成物の別の成分、好ましくは、莢膜多糖またはLTA、最も好ましくは、黄色ブドウ球菌V型多糖および/または黄色ブドウ球菌VIII型多糖および/またはPIAとの結合により、αトキシンの解毒を実施する。
【0122】
RNA III活性化タンパク質(RAP)
RAPはそれ自体毒素ではないが、ビルレンス因子の発現の調節物質である。RAPは、黄色ブドウ球菌により産生および分泌される。これは、別のブドウ球菌のagr調節系を活性化し、溶血素、エンテロトキシンBおよびTSST-1のようなビルレンス因子の発現および後の放出を活性化する。
【0123】
RAPに対して生み出される免疫応答は、細菌を死滅させないが、細菌の病原性を妨害する。これは、新たな耐性菌株が出現するための低選択性圧力をもたらすという利点がある。
【0124】
これには、感染の罹患率を低減する上で役立つ免疫応答を生み出すという第2の利点もある。
【0125】
具体的には、別の抗原が、細菌を死滅させることができる免疫応答をもたらす場合に、ワクチンにRAPと別の抗原を組み合わせれば特に有利である。
【0126】
その他の免疫優性タンパク質
蓄積関連タンパク質(Aap)
Aapは、表面への表皮ブドウ球菌株の蓄積に必須の140 kDaタンパク質である(Hussainら、Infect. Immun. 1997, 65; 519)。このタンパク質を発現する菌株は有意に多量のバイオフィルムを産生するため、Aapはバイオフィルム形成に関与すると考えられる。Aapに対する抗体はバイオフィルム形成を阻害し、表皮ブドウ球菌の蓄積を阻害することができる。
【0127】
ブドウ球菌分泌抗原SsaA
SsaAは、黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌の両方に存在する30 kDaの強度に免疫原性のタンパク質である(Langら、2000 FEMS Immunol. Med. Microbiol. 29; 213)。心内膜炎におけるその発現は、感染性疾患の病因に特異的なビルレンスを有することを示唆している。
【0128】
SsaAは、N末端リーダー配列およびシグナルペプチダーゼ切断部位を含む。リーダーペプチドの後に、残基30から残基130までの約100個のアミノ酸からなる親水領域が続く。
【0129】
本発明の免疫原性組成物に含有させるのに好ましいSsaAの断片は、成熟タンパク質(アミノ酸27からC末端またはアミノ酸30からC末端)からなる。
【0130】
別の好ましい断片は、アミノ酸30からアミノ酸130までのSsaAの親水領域を含む。
【0131】
好ましい組合せ
ブドウ球菌感染は、いくつかの異なる段階を経て進行する。例えば、ブドウ球菌生活環は、共生生物コロニー形成、隣接する組織または血流への進入による感染の開始、血液中の嫌気的増殖、黄色ブドウ球菌のビルレンス決定因子と宿主防御機構間の相互作用、さらには、心内膜炎、転移性膿瘍形成および敗血症候群などの合併症の誘発を含む。細菌の表面における様々な分子が、感染周期の様々な段階に関与すると考えられる。ブドウ球菌感染の様々な過程に関与する具体的抗原の組合せに対する免疫応答をターゲッティングすることにより、ブドウ球菌の機能の複数の特徴に作用し、これにより、良好なワクチン効果をもたらすことができる。
【0132】
特に、異種クラス由来の特定の抗原(そのうちのいくつかは宿主細胞との接着に関与し、またいくつかは鉄獲得または輸送機能に関与し、さらにいくつかは毒素、またはビルレンスの調節因子および免疫優性抗原である)の組合せにより、複数の感染段階から防御する免疫応答を誘発することができる。
【0133】
抗原の幾つかの組合わせは免疫応答を誘発するのに特に効果的である。これは、実施例で述べたモデル動物アッセイおよび/または実施例で述べたオプソニン食作用アッセイを用いるいずれかで測定できる。理論に縛られたくはないが、このような抗原の効果的な組み合わせは、その抗原の組み合わせに対する免疫応答の特性の数によって可能であると考えられる。その抗原自体は、通常、ブドウ球菌細胞の表面に露出され、それらは保存されやすいが、単独の抗原に対して誘導される抗体を使って起こる最適な殺菌応答に十分な量で表面細胞に存在しない傾向にある。本発明の抗原を組合わせることにより、臨界閾値を越えてブドウ球菌細胞と相互作用する抗体の有利な組み合わせを誘導する製剤にすることができる。この臨界値では、十分な質の十分な抗体が細菌の表面に結合して補体または細菌の中和のいずれかにより効率的に殺菌できる。これは、実施例で述べた動物チャレンジモデルまたはオプソニン作用アッセイのいずれかで測定できる。
【0134】
本発明の好ましい免疫原性組成物は、ブドウ球菌内で異なる機能を有する、タンパク質の少なくとも2つの異なるカテゴリーから選択される複数のタンパク質を含む。このようなタンパク質のカテゴリーの例は、細胞外結合タンパク質、Fe獲得タンパク質などの輸送体タンパク質、毒素またはビルレンスの調節因子およびその他の免疫優性タンパク質である。
【0135】
好ましい態様において、本発明の免疫原性タンパク質は、以下の2つまたは3つの異なる群から選択された2、3、4、5もしくは6以上の数のタンパク質を含む。
【0136】
a)群 細胞外成分結合タンパク質
b)群 輸送体タンパク質
c)群 毒素またはビルレンスの調節因子
好ましい態様において、本発明の免疫原性組成物は、以下の群の2つまたは3つから選択された2、3、4、5もしくは6以上の数のタンパク質を更に含む:
a群)ラミニン受容体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質、EbhA、EbhB、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EFB(FIB)、SBI、自己溶解素、ClfA、SdrC、SdrG、SdrH、リパーゼGehD、SasA、FnbA、FnbB、Cna、ClfB、FbpA、Npase、IsaA/PisA、SsaA、EPB、SSP-1、SSP-2、HBP、ビトロネクチン結合タンパク質、フィブリノーゲン結合タンパク質、血液凝固酵素、FigおよびMAPからなる群より選択される少なくとも1つのブドウ球菌細胞外成分結合タンパク質またはその断片;
b群)免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitCおよびNi ABC輸送体からなる群より選択される少なくとも1つのブドウ球菌輸送体タンパク質またはその断片;
c群)αトキシン(Hla)、αトキシンH35R突然変異体、RNA III活性化タンパク質(RAP)からなる群より選択される少なくとも1つのブドウ球菌のビルレンスの調節因子、毒素、もしくはその断片。
【0137】
好ましい実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、a群)から選択した少なくとも1つのタンパク質と、b群)および/またはc群)から選択した別のタンパク質を含む。
【0138】
別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、b群)から選択した少なくとも1つの抗原と、c群)および/またはa群)から選択した別のタンパク質を含む。
【0139】
別の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、c群)から選択した少なくとも1つの抗原と、a群)および/またはb群)から選択した別のタンパク質を含む。
【0140】
本発明の免疫原性組成物における好ましいタンパク質の組合せは、ラミニン受容体と、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0141】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、SitCと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0142】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、EbhAと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0143】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、EbhBと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0144】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、EbpSと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0145】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、EFB(FIB)と、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0146】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、SBIと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0147】
本発明の免疫原性組成物における好ましいタンパク質の組合せは、自己溶解素と、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0148】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、ClfAと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0149】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、SdrCと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0150】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、SdrGと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0151】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、SdrHと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0152】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、リパーゼGehDと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0153】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、SasAと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0154】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、FnbAと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0155】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、FnbBと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0156】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、Cnaと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0157】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、ClfBと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0158】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、FbpAと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0159】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、Npaseと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0160】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、IsaA/PisAと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0161】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、SsaAと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0162】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、EPBと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0163】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、SSP-1と、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0164】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、SSP-2と、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0165】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、HPBと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0166】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、ビトロネクチン結合タンパク質と、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0167】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、フィブリノーゲン結合タンパク質と、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0168】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、血液凝固酵素と、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0169】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、Figと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0170】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、MAPと、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0171】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、免疫優性ABC輸送体と、ラミン受容体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質、EbhA、EbhB、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EFB(FIB)、SBI、自己溶解素、ClfA、SdrC、SdrG、SdrH、リパーゼGehD、SasA、FnbA、FnbB、Cna、ClfB、FbpA、Npase、IsaA/PisA、SsaA、EPB、SSP-1、SSP-2、HBP、ビトロネクチン結合タンパク質、フィブリノーゲン結合タンパク質、血液凝固酵素、Fig、MAP、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0172】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、IsdAと、ラミン受容体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質、EbhA、EbhB、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EFB(FIB)、SBI、自己溶解素、ClfA、SdrC、SdrG、SdrH、リパーゼGehD、SasA、FnbA、FnbB、Cna、ClfB、FbpA、Npase、IsaA/PisA、SsaA、EPB、SSP-1、SSP-2、HBP、ビトロネクチン結合タンパク質、フィブリノーゲン結合タンパク質、血液凝固酵素、Fig、MAP、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0173】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、IsdBと、ラミン受容体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質、EbhA、EbhB、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EFB(FIB)、SBI、自己溶解素、ClfA、SdrC、SdrG、SdrH、リパーゼGehD、SasA、FnbA、FnbB、Cna、ClfB、FbpA、Npase、IsaA/PisA、SsaA、EPB、SSP-1、SSP-2、HBP、ビトロネクチン結合タンパク質、フィブリノーゲン結合タンパク質、血液凝固酵素、Fig、MAP、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0174】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、SitCと、ラミン受容体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質、EbhA、EbhB、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EFB(FIB)、SBI、自己溶解素、ClfA、SdrC、SdrG、SdrH、リパーゼGehD、SasA、FnbA、FnbB、Cna、ClfB、FbpA、Npase、IsaA/PisA、SsaA、EPB、SSP-1、SSP-2、HBP、ビトロネクチン結合タンパク質、フィブリノーゲン結合タンパク質、血液凝固酵素、Fig、MAP、αトキシン、αトキシンH35L OR H35R突然変異体、RAP、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0175】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、αトキシンと、ラミン受容体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質、EbhA、EbhB、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EFB(FIB)、SBI、自己溶解素、ClfA、SdrC、SdrG、SdrH、リパーゼGehD、SasA、FnbA、FnbB、Cna、ClfB、FbpA、Npase、IsaA/PisA、SsaA、EPB、SSP-1、SSP-2、HBP、ビトロネクチン結合タンパク質、フィブリノーゲン結合タンパク質、血液凝固酵素、Fig、MAP、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0176】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、αトキシンH35L OR H35R変異体と、ラミン受容体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質、EbhA、EbhB、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EFB(FIB)、SBI、自己溶解素、ClfA、SdrC、SdrG、SdrH、リパーゼGehD、SasA、FnbA、FnbB、Cna、ClfB、FbpA、Npase、IsaA/PisA、SsaA、EPB、SSP-1、SSP-2、HBP、ビトロネクチン結合タンパク質、フィブリノーゲン結合タンパク質、血液凝固酵素、Fig、MAP、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0177】
本発明の免疫原性組成物における別の好ましいタンパク質の組合せは、RAPと、ラミン受容体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質、EbhA、EbhB、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EFB(FIB)、SBI、自己溶解素、ClfA、SdrC、SdrG、SdrH、リパーゼGehD、SasA、FnbA、FnbB、Cna、ClfB、FbpA、Npase、IsaA/PisA、SsaA、EPB、SSP-1、SSP-2、HBP、ビトロネクチン結合タンパク質、フィブリノーゲン結合タンパク質、血液凝固酵素、Fig、MAP、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、AapおよびSsaAからなる群より選択される1、2、3、4もしくは5の別の抗原とを含む。
【0178】
前述および後述の組合せにおいて、指定したタンパク質は、前述したように、断片または融合タンパク質として随意に本発明の免疫原性組成物に含有させることができる。
【0179】
3つのタンパク質の組合せ
本発明の好ましい免疫原性組成物は、αトキシン、細胞外成分結合タンパク質(好ましくは、アドヘジン)および輸送体タンパク質(好ましくは鉄結合タンパク質)を組み合わせた3つのタンパク質を更に含む。
【0180】
このような組合せの場合、αトキシンは、化学的に、または点突然変異、好ましくはHis35Leu点突然変異の導入により遺伝子的に解毒することができる。αトキシンは、遊離タンパク質として存在するか、あるいは、免疫原性組成物の多糖またはLTA成分に結合している。
【0181】
好ましい組合せを以下に挙げる:
αトキシン、IsdAと、ラミン受容体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質、EbhA、EbhB、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EFB(FIB)、SBI、自己溶解素、ClfA、SdrC、SdrG、SdrH、リパーゼGehD、SasA、FnbA、FnbB、Cna、ClfB、FbpA、Npase、IsaA/PisA、SsaA、EPB、SSP-1、SSP-2、HBP、ビトロネクチン結合タンパク質、フィブリノーゲン結合タンパク質、血液凝固酵素、FigおよびMAPからなる群より選択される細胞外成分結合タンパク質とを含む免疫原性組成物。
【0182】
αトキシン、IsdBと、ラミン受容体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質、EbhA、EbhB、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EFB(FIB)、SBI、自己溶解素、ClfA、SdrC、SdrG、SdrH、リパーゼGehD、SasA、FnbA、FnbB、Cna、ClfB、FbpA、Npase、IsaA/PisA、SsaA、EPB、SSP-1、SSP-2、HBP、ビトロネクチン結合タンパク質、フィブリノーゲン結合タンパク質、血液凝固酵素、FigおよびMAPからなる群より選択される細胞外成分結合タンパク質とを含む免疫原性組成物。
【0183】
αトキシン、IsdAと、ラミン受容体、EbhA、EbhB、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EFB(FIB)、ClfA、SdrC、SdrG、SdrH、自己溶解素、FnbA、FnbB、Cna、ClfB、FbpA、Npase、SSP-1、SSP-2、ビトロネクチン結合タンパク質、フィブリノーゲン結合タンパク質、血液凝固酵素、FigおよびMAPからなる群より選択されるアドヘジンとを含む免疫原性組成物。
【0184】
αトキシン、IsdBと、ラミン受容体、EbhA、EbhB、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EFB(FIB)、自己溶解素、ClfA、SdrC、SdrG、SdrH、FnbA、FnbB、Cna、ClfB、FbpA、Npase、SSP-1、SSP-2、ビトロネクチン結合タンパク質、フィブリノーゲン結合タンパク質、血液凝固酵素、FigおよびMAPからなる群より選択されるアドヘジンとを含む免疫原性組成物。
【0185】
αトキシン、IsdAおよびラミン受容体を含む免疫原性組成物。
【0186】
αトキシン、IsdAおよびEbhAを含む免疫原性組成物。
【0187】
αトキシン、IsdAおよびEbhBを含む免疫原性組成物。
【0188】
αトキシン、IsdAおよびEbpSを含む免疫原性組成物。
【0189】
αトキシン、IsdAおよびFEB(FIB)を含む免疫原性組成物。
【0190】
αトキシン、IsdAおよびSdrGを含む免疫原性組成物。
【0191】
αトキシン、IsdAおよびClfAを含む免疫原性組成物。
【0192】
αトキシン、IsdAおよびClfBを含む免疫原性組成物。
【0193】
αトキシン、IsdAおよびFnbAを含む免疫原性組成物。
【0194】
αトキシン、IsdAおよび血液凝固酵素を含む免疫原性組成物。
【0195】
αトキシン、IsdAおよびFigを含む免疫原性組成物。
【0196】
αトキシン、IsdAおよびSdrHを含む免疫原性組成物。
【0197】
αトキシン、IsdAおよびSdrCを含む免疫原性組成物。
【0198】
αトキシン、IsdAおよびMAPを含む免疫原性組成物。
【0199】
IsaAとSbiを含む免疫原性組成物。
【0200】
IsaAとIsdBを含む免疫原性組成物。
【0201】
IsaAとIsdAを含む免疫原性組成物。
【0202】
IsaAとSdrCを含む免疫原性組成物。
【0203】
IsaAとEbhまたは前述したその断片を含む免疫原性組成物。
【0204】
SbiとSdrCを含む免疫原性組成物。
【0205】
SbiとEbhまたは前述したその断片を含む免疫原性組成物。
【0206】
IsaA、SbiもしくはSdrCを含む免疫原性組成物。
【0207】
様々なクローン系統に発現させた抗原の選択
黄色ブドウ球菌の集団構造に関するビルレンス因子発生の分析から、黄色ブドウ球菌の天然の集団にビルレンス遺伝子が不定に存在することがわかった。
【0208】
黄色ブドウ球菌の臨床分離菌のうち、少なくとも5つのクローン系統が極めて優勢であることがわかった(Boothら、2001 Infect Immun. 69(1):345-52)。α溶血素(hla)、フィブロネクチン結合プロテインA(fnbA)および凝集因子(clumping factor)A(clfA)は、系統同一性に関係なく、ほとんどの分離菌に存在することが明らかになり、これは、黄色ブドウ球菌の生存にこれらのタンパク質が重要な役割を有することを示唆している(Boothら、2001 Infect Immun. 69(1):345-52)。さらに、Peacockら、2002によれば、fnbA、clfA、血液凝固酵素、spa、map、pvl(パントン−バレンチンロイコシジン)、hlg(γトキシン)、αトキシンおよびicaは、基礎となるクローン構造とは無関係のようであり、これは、これら遺伝子の相当な水平移動を示唆している。
【0209】
対照的に、フィブロネクチン結合プロテインB(fnbB)、β溶血素(hlb)、コラーゲン結合タンパク質(can)、TSST-1(tst)およびメチシリン耐性遺伝子(mecA)は、特定の系統と強く関連している(Boothら、2001 Infect Immun. 69(1):345-52)。同様に、Peacockら、2002(Infect Immun. 70(9):4987-96)は、集団内でのエンテロトキシン、tst、エキスホラチン(etaおよびetb)、βおよびδトキシン、sdr遺伝子(sdrD、sdrEおよびbbp)、cna、ebpSおよびefbの分布がすべて、MLST由来のクローン複合体に極めて有意に関連することを明らかにした。
【0210】
MLSTデータは、院内感染病の原因である菌株が、地域獲得疾病を起こす菌株、または無症候性保菌者から回収した菌株からの独特なサブ集団を呈示する証拠を提供していない(Feilら、2003 J Bacteriol. 185(11):3307-16)。
【0211】
本発明の好ましい免疫原性組成物は、様々なクローン系統由来のブドウ球菌に対して有効である。
【0212】
一実施形態では、免疫原性組成物は、ブドウ球菌のほとんどの分離菌に発現する1、2、3、4、好ましくは1以上のタンパク質を含む。このようなタンパク質の例として、α溶血素(hla)、フィブロネクチン結合プロテインA(fnbA)および凝集因子A(clfA)、血液凝固酵素、spa、map、pvl(パントン−バレンチンロイコシジン)、hlg(γトキシン)、ica、免疫優性ABC輸送体、RAP、自己溶解素(Ruppら、2001, J. Infect. Dis. 183; 1038)、ラミニン受容体、SitC、IsaA/PisA、SPOIIIE ()、SsaA、EbpS、SasF(Rocheら、2003, Microbiology 149; 643)、EFB(FIB)、SBI、ClfB、IsdA、IsdB、FnbB、Npase、EBP、骨シアロ結合タンパク質II、IsaB/PisB(Lorenzら、FEMS Immuno. Med. Microb. 2000, 29; 145)、SasH(Rocheら、2003, Microbiology 149; 643)、MRPI、SasD(Rocheら、2003, Microbiology 149; 643)、SasH(Rocheら、2003, Microbiology 149; 643)、オーレオリシン(AUR)/Sepp1および新規の自己溶解素。
【0213】
別の実施形態では、異なるセットのクローン株に発現する2以上のタンパク質を本発明の免疫原性組成物に含有させる。好ましくは、多数のクローン株、最も好ましくは、すべてのクローン株に対して有効である、抗原の組合せにより、免疫応答を発生させる。好ましい組合せを以下に挙げる:FnbBとβ溶血素、FnbBとCna、FnbBとTSST-1、FnbBとmecA、FnbBとSdrD、FnbBとSdrF、FnbBとEbpS、FnbBとEfb、β溶血素とCna、β溶血素とTSST-1、β溶血素とmecA、β溶血素とSdrD、β溶血素とSdrF、β溶血素とEbpS、β溶血素とEfb、CnaとTSST-1、CnaとmecA、CnaとSdrD、CnaとSdrF、CnaとEbpS、CnaとEfb、TSST-1とmecA、TSST-1とSdrD、TSST-1とSdrF、TSST-1とEbpS、TssT-1とEfb、MecAとSdrD、MecAとSdrF、MecAとEbpS、MecAとEfb、SdrDとSdrF、SdrDとEbpS、SdeDとEfb、SdrFとEbpS、SdrFとEfb、およびEbpSとEfb。
【0214】
以上挙げた好ましい組合せを、前述の別の成分と組み合わせてもよい。
【0215】
黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌からの防御
本発明の好ましい実施形態では、免疫原性組成物は、ブドウ球菌の1以上の菌株、好ましくは、黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌の両方に由来する菌株に対して、有効な免疫応答をもたらす。さらに好ましくは、ブドウ球菌の5型および8型血清型に対し、防御免疫応答を生み出す。さらに好ましくは、表皮ブドウ球菌の血清型I、IIおよびIIIに対し、防御免疫応答を生み出す。
【0216】
本発明の免疫原性組成物の使用は、例えば待機手術の患者に、病院での治療の前に接種することにより、院内感染を予防することを目的とする。この段階で、どのブドウ球菌株に患者がさらされるかを正確に予測することは難しい。従って、ブドウ球菌の様々な菌株に対して有効な免疫応答を生み出すことができるワクチンを接種するのが有利である。
【0217】
有効な免疫応答は、実施例に記載するようなマウスチャレンジモデルまたはオプソニン食作用アッセイにおいて有意な防御をもたらす免疫応答として定義する。マウスチャレンジモデルにおける有意な防御、例えば、実施例5のそれは、担体を接種したマウスと比較して、LD50の少なくとも10%、20%、50%、100%もしくは200%の増加として定義する。コトンラットチャレンジモデルにおける有意な防御、例えば、実施例8のそれは、平均観測LogCFU/鼻の少なくとも10%、20%、50%、70%もしくは90%の低下として定義される。オプソニン作用抗体の存在は、防御と相関することが知られており、従って、有意な防御は、オプソニン食作用アッセイ、例えば、実施例7のアッセイにおいて、細菌数の少なくとも10%、20%、50%、70%もしくは90%の減少により示される。
【0218】
免疫優性ABC輸送体、RNA III活性化タンパク質、ラミニン受容体、SitC、IsaA/PisA、SsaA、EbhA/EbhB、EbpSおよびAapは、黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌の間で良好に保存され、実施例8から、IsaA、ClfA、IsdB、SdrG、HarA、FnbpAおよびSbiが、交差反応性免疫応答(例えば、少なくとも1つの黄色ブドウ球菌と少なくとも1つの表皮ブドウ球菌株との間の交差反応性)を生み出しうることがわかる。PIAもまた、黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌の間で良好に保存される。
【0219】
従って、好ましい実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、PIAならびに5型および8型多糖を含み、更に1、2、3もしくは4の前記タンパク質を含む。
【0220】
ワクチン
好ましい実施形態では、本発明の免疫原性組成物を、薬学的に許容される賦形剤、さらに好ましくはアジュバントと混合することにより、ワクチンを形成する。
【0221】
本発明のワクチンにアジュバントを添加するのが好ましい。好適なアジュバントとして、アルミニウム塩、例えば、水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)またはリン酸アルミニウムが挙げられるが、カルシウム、マグネシウム、鉄もしくは亜鉛の塩でもよく、あるいは、アシル化チロシン、アシル化糖、カチオン性もしくはアニオン性に誘導体化した多糖またはホスホスファゼンの不溶性懸濁液でもよい。
【0222】
TH1またはTH2型応答のいずれかの優先的誘発物質となるようなアジュバントを選択するのが好ましい。高レベルのTh1型サイトカインは、所与の抗原に対する細胞性免疫応答の誘発を助ける傾向があるのに対し、高レベルのTh2型サイトカインは、該抗原に対する体液性免疫応答の誘発を助ける傾向がある。
【0223】
Th1およびTh2型免疫応答の区別は絶対的ではないことに留意する必要がある。実際には、個体は、主にTh1または主にTh2として表示される免疫応答を支持する。しかし、多くの場合、MosmannおよびCoffmanによりマウスCD4 +veT細胞クローンに記載されている(Mosmann, T.R.およびCoffman, R.L. (1989) TH1 and TH2 cells: different patterns of lymphokine secretion lead to different functional properties. Annual Review of Immunology, 7, p145-173)ような表現でサイトカインのファミリーを考えるのが好都合である。伝統的には、Th1-型応答は、T-リンパ球によるINF-γおよびIL-2サイトカインの生産と関連している。Th1-型免疫応答の誘発に直接関連することが多いその他のサイトカインは、T細胞(例えば、IL-12)により生産されない。対照的に、Th2型応答は、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10の分泌に関連する。主にTh1型応答を促進する好適なアジュバント系を以下に挙げる:モノオスホリルリピドAまたはその誘導体、具体的には3-デ-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)(その調製については、GB2220211 Aを参照);ならびに、モノホスホリルリピドA、好ましくは、アルミニウム塩(例えば、リン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウム)もしくは水中油形エマルションのいずれかと、3-デ-O-アシル化モノホスホリルリピドAとの組合せ。このような組合せの場合、同じ粒状構造に抗原と3D-MPLを含有させることにより、抗原および免疫刺激シグナルのさらに効率的な送達が可能になる。様々な研究から、3D-MPLはミョウバン吸着抗原の免疫原性をさらに増強できることが明らかにされた[Thoelenら、Vaccine (1998) 16:708-14; EP 689454-B1]。
【0224】
増強された系には、モノオスホリルリピドAとサポニン誘導体の組合せ、特に、WO 94/00153に開示されているようなQS21と3D-MPLの組合せ、もしくは、WO 96/33739に開示されているように、QS21をコレステロールでクエンチングする低反応原性(reactogenic)組成物が含まれる。水中油形エマルションにQS21、3D-MPLおよびトコフェロールを含む特に効力の高いアジュバントがWO 95/17210に記載されており、これは好ましい製剤である。好ましくは、前記に加え、ワクチンはサポニン、さらに好ましくはQS21を含む。製剤は、さらに水中油形エマルションとトコフェロール(WO 95/17210)を含んでもよい。本発明は、薬学的に許容される賦形剤、例えば、3D-MPLと一緒に本発明のタンパク質を混合することを含む、ワクチン製剤の製造方法も提供する。非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチド(WO 96/02555)もまたTH1応答の好ましい誘導物質であり、本発明における使用に適している。
【0225】
本発明の好ましい組成物は、リポソーム構造を形成する組成物である。ステロール/免疫学的には活性のサポニン画分がISCOM構造を形成する組成物も本発明の一態様をなす。
【0226】
QS21:ステロールの比は、典型的におよそ1:100〜1:1重量/重量(w/w)である。好ましくは、過剰ステロールが存在し、QS21:ステロールの比は、少なくとも1:2w/wである。ヒトへの投与のために、典型的には、QS21とステロールは、1用量当たり約1μg〜約100μg、好ましくは約10μg〜約50μgの範囲でワクチンに存在する。
【0227】
リポソームは、好ましくは、中性脂質、例えば、ホスファチジルコリンを含み、これは、室温で非晶質であるのが好ましく、例えば、卵黄ホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリンもしくはジラウリルホスファチジルコリンである。リポロームはまた、飽和脂質からなるリポソームのリポソーム−QS21構造の安定性を高める荷電脂質を含んでもよい。これらのケースでは、荷電脂質の量は好ましくは1〜20%w/w、最も好ましくは5〜10%である。ステロールとリン脂質の比は1〜50%(モル/モル)、最も好ましくは20〜25%である。
【0228】
好ましくは、本発明の組成物は、MPL(3-脱アシル化モノ-ホスホリルリピドA、3D-MPLとしても知られる)を含む。3D-MPLは、3種類の脱-O-アシル化モノホスホリルリピドAと4、5もしくは6のアシル化鎖の混合物としてGB 2 220 211(Ribi)から知られ、Ribi Immunochem(モンタナ州)により製造される。好ましい形態は、国際公開出願番号92/116556に開示されている。
【0229】
本発明の好適な組成物は、初めに、MPLなしでリポソームを調製し、次に、好ましくは100 nm粒子としてMPLを添加する。従って、MPLは小胞膜内に含まれない(MPLアウトとして知られる)。MPLが小胞膜内に含まれる(MPLインとして知られる)組成物も本発明の一態様をなす。抗原は、小胞膜内または小胞膜外のいずれに含有させてもよい。可溶性抗原は膜外にあるのが好ましく、また、疎水性もしくは脂質化抗原は膜内または外のいずれに含有させてもよい。
【0230】
本発明のワクチン製剤を用いて、全身または粘膜経路を介した該ワクチンの投与により、感染しやすい哺乳動物を防御または治療することができる。このような投与としては、筋内、腹腔内、皮内もしくは皮下経路;または、口内/消化管、気道、尿生殖管への粘膜投与が挙げられる。肺炎または耳炎媒体の治療のためにはワクチンの鼻内投与が好ましい(肺炎球菌の鼻咽頭保有は、より有効に予防することができ、従って、早期段階で感染を軽減するため)。本発明のワクチンは単一用量として投与することもできるが、その成分を同時に、または時間を変えて共投与してもよい(例えば、免疫応答相互の最適な協調を達成するために、肺炎球菌多糖は、ワクチンの細菌タンパク質成分の投与と同時に、またはその1〜2週間後、別々に投与することができる)。共投与のために、任意のTh1アジュバントを様々な投与形態の一部または全部に存在させてもよいが、これは、ワクチンの細菌タンパク質成分と組み合わせて含有する場合に好ましい。単一の投与経路以外にも、2つの異なる投与経路を用いてもよい。例えば、多糖をIM(またはID)投与し、細菌タンパク質をIN(またはID)投与することができる。さらには、本発明のワクチンを初回免疫ではIM投与し、追加免疫ではIN投与することも可能である。
【0231】
各ワクチン用量におけるコンジュゲート抗原の量は、典型的なワクチンにおいて有意な有害副作用を起こさずに、免疫防御性応答を誘発する量として選択する。このような量は、どの具体的免疫原を用いたか、またどのようにそれが提示されるかに応じて変動する。一般に、各用量は、0.1〜100μgの多糖、好ましくは0.1〜50μgの多糖コンジュゲート、好ましくは0.1〜10μg、さらに好ましくは1〜10μgの多糖を含み、中でも1〜5μgがさらに好ましい範囲である。しかしながら血清型6Bにおいて、好ましい製剤は3〜10μgの多糖を含む。
【0232】
タンパク質抗原の含量は、典型的には1〜100μg、好ましくは5〜50μg、最も典型的には5〜25μgの範囲にある。最初のワクチン接種後、適切な間隔をおいて、1または複数回の追加免疫を被検者に実施してもよい。
【0233】
ワクチン製剤は、Vaccine Design(“The subunit and adjuvant approach” (Powell M.F.およびNewman M.J.編) (1995 Plenum Press New York)に概要が記載されている。リポソーム内への包膜はFullertonにより、米国特許第4,235,877号に記載されている。
【0234】
本発明のワクチンは溶液として、または凍結乾燥させて保存することができる。好ましくは、スクロース、トレハロースもしくはラクトースのような糖の存在下で溶液を凍結乾燥する。さらには、凍結乾燥し、使用前に即座に再構成するのが好ましい。凍結乾燥によって、さらに安定した組成物(ワクチン)が得られ、3D-MPLの存在下で、しかもアルミニウム主体のアジュバントの非存在下で、より高い抗体力価を達成できると考えられる。
【0235】
抗体および受動免疫
本発明の別の態様は、本発明のワクチンで受容者を免疫し、該受容者から免疫グロブリンを単離する各ステップを含む、ブドウ球菌感染の予防または治療に用いるための免疫グロブリンの調製方法である。この方法により調製した免疫グロブリンもまた本発明の別の態様である。本発明の免疫グロブリンと薬学的に許容される担体を含む医薬組成物は、ブドウ球菌疾患の治療または予防のための薬剤の製造に用いることができる本発明の別の態様である。有効な量の本発明の医薬調製物を患者に投与するステップを含む、ブドウ球菌感染の治療または予防方法も、本発明の別の態様である。
【0236】
ポリクローナル抗体生産のための接種物は、典型的に、生理学的に許容される希釈液(例えば、塩水)、またはヒトへの使用に適したその他のアジュバントに抗原性組成物を分散させて、水性組成物を形成することにより調製する。免疫刺激量の接種物を哺乳動物に投与した後、抗原性組成物が防御抗体を誘発するのに十分な時間、接種した哺乳動物を維持する。
【0237】
周知の技術(例えば、アフィニティークロマトグラフィー)により所望の程度まで抗体を単離することができる(HarlowおよびLane, Antibodies; a laboratory manual 1988)。
【0238】
抗体としては、通常用いられる多種の動物、例えば、ヤギ、霊長類、ロバ、白鳥、ウマ、モルモット、ラットもしくはヒトに由来する抗血清製剤が挙げられる。動物から採血し、血清を回収する。
【0239】
本発明に従い生産される免疫グロブリンとしては、全抗体、抗体フラグメントもしくはサブフラグメントが挙げられる。抗体は、あらゆるクラス、例えば、IgG、IgM、IgA、IgDもしくはIgEの全免疫グロブリン、キメラ抗体、もしくは本発明の2以上の抗原に対し二重特異性を有するハイブリッド抗体でよい。これらはまた、フラグメント、例えば、F(ab’)2、Fab’、Fab、Fvなど(ハイブリッドフラグメントを含む)でもよい。また、免疫グロブリンには、特定の抗原に結合して、複合体を形成することにより、抗体のように作用する天然、合成もしくは遺伝子工学により作製したタンパク質も含まれる。
【0240】
本発明のワクチンを受容者に投与することもでき、この後、該受容者は、具体的ワクチンからのチャレンジに応答して産生される免疫グロブリンの供給源としての役割を果たす。このような処理を受けた被検者が血漿を供与し、この血漿から、通常の血漿分画方法によって超免疫グロブリンが得られる。ブドウ球菌感染に対する耐性を賦与するか、またはそのような感染を治療するために、上記超免疫グロブリンを別の被検者に投与する。本発明の免疫グロブリンは、特に、小児、免疫弱体化個体の治療または予防、あるいは治療が必要な場合および個体がワクチン接種に応答して抗体を産生する時間がない場合に有用である。
【0241】
本発明の別の態様は、本発明の免疫原性組成物の少なくとも2つの成分に対して反応性の2以上のモノクローナル抗体(もしくはそのフラグメント;好ましくは、ヒトまたはヒト化)を含む医薬組成物であり、これを用いて、グラム陽性菌、好ましくは、ブドウ球菌、さらに好ましくは黄色ブドウ球菌または表皮ブドウ球菌の感染を治療または予防することができる。
【0242】
このような医薬組成物はモノクローナル抗体を含み、該モノクローナル抗体は、本発明の2以上の抗原に対し特異性を有する、あらゆるクラス(例えば、IgG、IgM、IgDもしくはIgE)の全免疫グロブリン、キメラ抗体もしくはハイブリッド抗体でよい。これらはまた、フラグメント、例えば、F(ab’)2、Fab’、Fab、Fvなど(ハイブリッドフラグメントを含む)でもよい。
【0243】
モノクローナル抗体を製造する方法は当分野では周知であり、骨髄腫細胞と脾細胞の融合物を含む(KohlerおよびMilstein 1975 Nature 256; 495; Antibodies - a laboratory manual Harlow and Lane 1988)。あるいは、モノクローナルFvフラグメントは、好適なファージ展示ライブラリーをスクリーニングすることにより得られる(Vaughan TJら、1998 Nature Biotechnology 16; 535)。モノクローナル抗体は、周知の方法によりヒト化または一部をヒト化することができる。
【0244】
方法
本発明は、本発明の免疫原性組成物およびワクチンを製造する方法も包含する。
【0245】
本発明の好ましい方法は、抗原を混合して、本発明の免疫原性組成物を製造し、薬学的に許容される賦形剤を添加する各ステップを含む、ワクチンの製造方法である。
【0246】
治療方法
本発明はまた、ブドウ球菌感染、特に、病院で獲得する院内感染の治療方法も包含する。
【0247】
本発明の免疫原性組成物またはワクチンは、選択的外科手術の患者に用いるのが特に有利である。このような患者は、手術日を事前に知っているため、前もって接種することができる。黄色ブドウ球菌または表皮ブドウ球菌感染に患者が暴露されるかどうかはわからないため、前述したように、両方を防御する本発明のワクチンを接種するのが好ましい。好ましくは、選択的外科手術を待機中の16歳以上の成人を本発明の免疫原性組成物およびワクチンで治療する。
【0248】
本発明のワクチンで保健機関職員を接種するのも有利である。
【0249】
本発明のワクチン製剤を用いて、全身または粘膜経路から上記ワクチンを投与することにより、感染しやすい哺乳動物を防御または治療することができる。このような投与として、筋内、腹腔内、皮内もしくは皮下経路;または、口内/消化管、気道、尿生殖管への粘膜投与が挙げられる。
【0250】
各ワクチン用量における抗原の量は、典型的なワクチンにおいて有意な有害副作用を起こすことなく、免疫防御性応答を誘発する量として選択する。このような量は、どの具体的免疫原を用いたか、またどのようにそれが提示されるかに応じて変動する。ワクチンのタンパク質の含量は、典型的には1〜100μg、好ましくは5〜50μg、最も典型的には10〜25μgの範囲にある。一般に、各用量は、0.1〜100μgの多糖(存在する場合には)、好ましくは0.1〜50μgの多糖、好ましくは0.1〜10μgの多糖を含み、中でも1〜5μgが最も好ましい範囲である。具体的ワクチンについての最適量は、被検者における適切な免疫応答の観察を含む標準的試験により確認することができる。最初のワクチン接種後、適切な間隔をおいて、1または数回の追加免疫を被検者に実施することができる。
【0251】
本発明のワクチンはあらゆる経路により投与することができるが、皮膚内(ID)への前記ワクチンの投与は、本発明の一実施形態を形成する。ヒトの皮膚は、角質層と呼ばれる、外側の「角質」表皮を含み、これは表皮を覆っている。この表皮の下に、真皮と呼ばれる層があり、この層は皮下組織を覆っている。研究者らは、皮膚、特に真皮にワクチンを注射すると、免疫応答を刺激することを明らかにしたが、これも多くのさらなる利点を伴うと考えられる。本明細書に記載するワクチンの皮内接種は、本発明の好ましい形態である。
【0252】
皮内注射の通常の方法、すなわち、「マントウー法」は、皮膚を清浄した後、一方の手で引き伸ばし、狭いゲージ針(26〜31ゲージ)の斜端を上方に向け、10〜15°の角度で針を挿入する。針の斜端を挿入したら、針の軸を下げ、わずかに圧力を加えながらさらに進め、皮膚の下で持ち上げる。次に、極めてゆっくりと液体を挿入することにより、皮膚表面に水泡または隆起を形成した後、針をゆっくりと引き抜く。
【0253】
さらに近年になり、皮膚内または皮膚を介した液体薬剤投与のために専用に設計された装置が記載されており、例えば、WO 99/34850および欧州特許第1092444に記載されている装置、また、例えば、以下の文献に記載のジェット式注射装置が挙げられる: WO 01/13977;米国特許第5,480,381号、米国特許第5,599,302号、米国特許第5,334,144号、米国特許第5,993,412号、米国特許第5,649,912号、米国特許第5,569,189号、米国特許第5,704,911号、米国特許第5,383,851号、米国特許第5,893,397号、米国特許第5,466,220号、米国特許第5,339,163号、米国特許第5,312,335号、米国特許第5,503,627号、米国特許第5,064,413号、米国特許第5,520,639号、米国特許第4,596,556号、米国特許第4,790,824号、米国特許第4,941,880号、米国特許第4,940,460号、WO 97/37705およびWO 97/13537。ワクチン製剤の皮内投与の別の方法として、従来の注射器と針、固体ワクチンのバリスチックデリバリー(ballistic delivery)のために設計された装置(WO 99/27961)、または経皮パッチ(WO 97/48440;WO 98/28037);もしくは、皮膚の表面に適用するもの(経皮送達:WO 98/20734;WO 98/28037)。
【0254】
本発明のワクチンを皮膚、あるいはさらに具体的には真皮に投与する場合には、ワクチンは低液量、具体的には、約0.05 ml〜0.2 mlの量である。
【0255】
本発明の皮膚または皮内ワクチンにおける抗原の含量は、筋内ワクチンに存在する通常の用量(前記参照)と同様でよい。しかし、製剤が「低用量」であることが皮膚または皮内ワクチンの特徴である。従って、「低用量」ワクチンにおけるタンパク質抗原は、1用量当たり0.1〜10μg、好ましくは0.1〜5μgほどの少量存在するのが好ましく;多糖(好ましくは結合した)抗原は、1用量当たりの多糖が0.01〜1μg、好ましくは0.01〜0.5μgの範囲で存在しうる。
【0256】
本明細書で用いる用語「皮内送達」とは、皮膚における真皮の領域にワクチンを送達することを意味する。しかし、ワクチンは、必ずしも真皮だけに位置させるわけではない。真皮は、ヒトの皮膚表面から約1.0〜約2.0 mmの間に位置する皮膚であるが、個体間や、身体の各部でいくらか差がある。一般に、皮膚の表面から1.5 mm下に進めば真皮に到達すると考えられる。真皮は、表面の角質層および表皮と、下方の皮下層との間に位置する。送達方法に応じて、ワクチンは最終的に真皮内だけ、または主に真皮内に位置させることもあり、あるいは、最終的に表皮および真皮内に分布させることもある。
【0257】
本発明の好ましい実施形態は、ブドウ球菌感染または疾患を予防または治療する方法であって、本発明の免疫原性組成物またはワクチンを、それが必要な患者に投与するステップを含む、上記方法である。
【0258】
好ましい実施形態では、患者は選択的手術を待機中である。
【0259】
本発明の別の好ましい実施形態は、ブドウ球菌感染または疾患、好ましくは手術後のブドウ球菌感染を治療または予防するためのワクチンの製造に本発明の免疫原性組成物を用いることである。
【0260】
用語「ブドウ球菌感染」は、哺乳動物、好ましくはヒト宿主に感染を引き起こすことができる黄色ブドウ球菌および/または表皮ブドウ球菌ならびにその他のブドウ球菌株により引き起こされる感染を包含する。
【0261】
本明細書の用語「含んでなる」、「含む」は、本発明者らによれば、すべてのケースで、それぞれ「〜から構成された」、「〜からなる」で随意に言い換えることができるものとする。
【0262】
本明細書に引用する参照文献および特許出願はすべて、本明細書に参照として組み込むものとする。
【0263】
本発明がさらによく理解されるように、以下に実施例を記載する。これらの実施例は、説明を目的にするにすぎず、いかなる意味でも本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
【実施例】
【0264】
実施例1:組換えタンパク質を発現させるためのプラスミドの構築
A:クローニング
ブドウ球菌遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドに作製した適切な制限部位により、大腸菌発現プラスミドpET24dまたはpQE-30にPCR産物の定方向クローニングを可能にし、これによって、タンパク質が、NまたはC末端で(His)6アフィニティークロマトグラフィータグを含む融合タンパク質として発現できるようにする。
【0265】
用いたプライマーは以下の通りであった:
αトキシン - 5’-CGCGGATCCGCAGATTCTGATATTAATATTAAAAC-3’ および5’-CCCAAGCTTTTAATTTGTCATTTCTTCTTTTTC-3’
EbpS - 5’-CGCGGATCCGCTGGGTCTAATAATTTTAAAGATG-3’および5’-CCCAAGCTTTTATGGAATAACGATTTGTTG-3’
ClfA - 5’-CGCGGATCCAGTGAAAATAGTGTTACGCAATC-3および5-’CCCAAGCTTTTACTCTGGAATTGGTTCAATTTC-3’
FnbpA - 5’-CGCGGATCCACACAAACAACTGCAACTAACG-3’および5’-CCCAAGCTTTTATGCTTTGTGATTCTTTTTCAAAC3’
Sbi - 5’-CGCGGATCCAACACGCAACAAACTTC-3および5’-GGAACTGCAGTTATTTCCAGAATGATAATAAATTAC-3’
SdrC - 5’-CGCGGATCCGCAGAACATACGAATGGAG-3’および5’-CCCAAGCTTTTATGTTTCTTCTTCGTAGTAGC-3’
SdrG - 5’-CGCGGATCCGAGGAGAATTCAGTACAAG-3’および5’-CCCAAGCTTTTATTCGTCATCATAGTATCCG-3’
Ebh - 5’-AAAAGTACTCACCACCACCACCACC-3’および5’-AAAAGTACTCACTTGATTCATCGCTTCAG-3’
Aaa - 5’-GCGCGCCATGGCACAAGCTTCTACACAACATAC-3’および5’-GCGCGCTCGAGATGGATGAATGCATAGCTAGA-3’
IsaA - 5’-GCATCCATGGCACCATCACCATCACCACGAAGTAAACGTTGATCAAGC-3’および5’-AGCACTCGAGTTAGAATCCCCAAGCACCTAAACC-3’
HarA - 5’-GCACCCATGGCAGAAAATACAAATACTTC-3’および5’-TTTTCTCGAGCATTTTAGATTGACTAAGTTG-3’
自己溶解素グルコサミニダーゼ - 5’-CAAGTCCCATGGCTGAGACGACACAAGATCAAC-3’および5’-CAGTCTCGAGTTTTACAGCTGTTTTTGGTTG-3’
自己溶解素アミダーゼ - 5’-AGCTCATATGGCTTATACTGTTACTAAACC-3’および5’-GCGCCTCGAGTTTATATTGTGGGATGTCG-3’
IsdA - 5’-CAAGTCCCATGGCAACAGAAGCTACGAACGCAAC-3’および5’-ACCAGTCTCGAGTAATTCTTTAGCTTTAGAGCTTG-3’
IsdB - 5’-TATTCTCGAGGCTTTGAGTGTGTCCATCATTTG-3’および5’ GAAGCCATGGCAGCAGCTGAAGAAACAGGTGG-3’
MRPII - 5’-GATTACACCATGGTTAAACCTCAAGCGAAA-3’および5’-AGGTGTCTCGAGTGCGATTGTAGCTTCATT-3’
最初に、製造者の指示に従い、上位10の細菌細胞を用いて、pGEM-Tクローニングベクター(Novagen)にPCR産物を導入した。この中間構築物を用いて、発現ベクターへのクローニングを促進させた。DNA挿入片を含む形質転換体を制限酵素分析により選択した。消化後、アガロースゲル電気泳動(トリス−酢酸−EDTA(TAE)バッファー中の0.8%アガロース)により反応物の約20μlアリコートを分析した。ゲル電気泳動および臭化エチジウム染色後、UV照射によりDNA断片を視覚化した。試験サンプルと平行して、DNA分子サイズ標準(1kbラダー、Life Technologies)を電気泳動させ、これを用いて、DNA断片のサイズを推定する。次に、各クローニングについて選択した形質転換体から精製したプラスミドを、製造者(Life Technologies)の推奨する好適な制限酵素で完了まで連続的に消化した。消化したDNA断片を、シリカゲルを用いたスピンカラムにより精製した後、pET24dまたはpQE-30プラスミドと結合させる。pET24dプラスミド を用いて、Ebh(H2断片)、AaA、IsdA、IsdB、HarA、Atl-アミダーゼ、Atl-グルコサミン、MRP、IsaAのクローニングを、またpQE-30プラスミドを用いて、ClfA、SdrC、SdrE、FnbpA、SdrG/Fbe、αトキシンおよびSbiのクローニングをそれぞれ実施した。
【0266】
B:発現ベクターの作製
結合のための発現プラスミドpET24dまたはpQE-30を調製するために、適切な制限酵素で、完了までこれを消化した。調製したベクターの約5倍モル過剰量の消化断片を用いて、結合反応をプログラムした。当分野で周知の方法により、T4 DNAリガーゼ(約2.0単位/反応、Life Technologies)を用いて、標準的約20μl結合反応(約16℃、約16時間)を実施した。結合物のアリコート(約5μl)を用いて、M15(pREP4)またはBT21::DE3エレクトロ−コンピテント細胞を形質転換した。約1.0 mlのLBブロスにおいて37℃で約2〜3時間成長させた後、形質転換細胞を、アンピシリン(100μg/ml)および/またはカナマイシン(30μg/ml)含有のLB寒天プレートで平板培養した。
【0267】
抗生物質を選択(selection)に加えた。プレートを37℃で一晩~16時間インキュベートした。個々のApR/KanRコロニーを滅菌楊枝で採取し、新鮮なLB ApR/KanRプレート、ならびに約10 ml LB Ap/Kanブロス培養物を「パッチ」接種した。パッチプレートおよびブロス培養物の両方を37℃で、標準的インキュベーター(プレート)または振盪水浴のいずれかで一晩インキュベートした。形質転換体がDNA挿入片を含むことを確認するために、全細胞ベースのPCR分析を用いた。ここで、約1.0 mlの一晩のLB Ap/Kanブロス培養物を1.5 mlポリプロピレン管に移し、Beckmannミクロ遠心分離機(約3分、室温、約12,000×g)での遠心分離により細胞を回収した。細胞ペレットを約200μlの滅菌水に懸濁させ、約10μlアリコートを用いて、フォワードおよびリバース増幅プライマーを含む約50μl最終量のPCR反応をプログラムした。最初の95℃変性ステップを3分まで延長することにより、細菌細胞の熱破壊とプラスミドDNAの遊離を確実にした。ABIモデル9700サーマルサイクラーおよび32サイクル、3段階熱増幅プロフィール(すなわち、95℃、45秒;55~58℃、45秒、72℃、1分)を用いて、溶解した形質転換体サンプルからBASB203断片を増幅した。熱増幅後、約20μlアリコートの反応物をアガロースゲル電気泳動(トリス−酢酸−EDTA(TAE)バッファー中0.8%アガロース)により分析した。ゲル電気泳動および臭化エチジウム染色後、UV照射によりDNA断片を視覚化した。試験サンプルと平行して、DNA分子サイズ標準(1Kbラダー、Life Technologies)を電気泳動させ、これを用いて、PCR産物のサイズを推定した。推定サイズのPCR産物を産生した形質転換体を、タンパク質発現構築物を含む菌株として識別した。次に、発現プラスミド含有菌株を組換えタンパク質の誘導性発現について分析した。
【0268】
C:PCR陽性形質転換体の発現分析
一晩の種培地のアリコート(約1.0 ml)を、約25 mlのLB Ap/Kanブロスを含む125 ml三角フラスコに接種し、培養物濁度が約0.5の O.D.600、すなわち中期対数期に達するまで(通常、約1.5〜2.0時間)、振盪(約250 rpm)しながら、37℃で増殖させた。この時点で、培養物の約半分(約12.5 ml)を第2の125 mlフラスコに移し、IPTG(滅菌水で調製した1.0 M原液、Sigma)を最終濃度1.0 mMまで添加することにより、組換えタンパク質の発現を誘導した。IPTG誘導および非誘導培養物両者のインキュベーションを振盪しながら、37℃でさらに約4時間継続した。誘導時間後、誘導および非誘導培養物両者のサンプル(約1.0 ml)を取り出し、室温で~3分、ミクロ遠心分離機での遠心分離により細胞を回収した。個々の細胞ペレットを約50μlの滅菌水に懸濁させた後、2-メルカプトエタノールを含む等量の2X Laemelli SDS-PAGEサンプルバッファーと混合し、沸騰水浴に約3分導入することによりタンパク質を変性させた。いずれも等量(約15μl)の粗IPTG誘導および非誘導細胞溶解物を同一の12%トリス/グリシンポリアクリルアミドゲル(厚さ1mmのMini-gels、Novex)に添加した。標準的SDS/トリス/グリシンランニングバッファー(BioRad)を用いて、通常の条件下で、前染色した分子重量マーカー(SeeBlue, Novex)と一緒に、誘導および非誘導細胞溶解物を電気泳動させた。電気泳動後、1つのゲルをクマシーブリリアントブルーR250(BioRad)で染色した後、脱染することにより新たなIPTG誘導性タンパク質を視覚化する。BioRad Mini-Protean IIブロッティング装置およびトウビン(Towbin)メタノール(20%)トランスファーバッファーを用いて、第2のゲルをPVDF膜(孔径0.45ミクロン、Novex)に4℃で~2時間エレクトロブロッティングした。膜の遮断および抗体インキュベーションを当分野で周知の方法に従い実施した。モノクローナル抗RGS(His)3抗体、次に、HRP(QiaGen)に結合させた第2ウサギ抗マウス抗体を用いて、組換えタンパク質の発現および同一性を確認した。ABT不溶性基質、またはAmersham ECL化学発光系を含むハイパーフィルムのいずれかを用いて、抗His抗体反応性パターンの視覚化を達成した。
【0269】
実施例2:組換えタンパク質の生産
細菌株
プラスミド(pQE30)を含む大腸菌の組換え発現菌株M15(pREP4)またはブドウ球菌タンパク質をコードするpET24dプラスミドを含むBL21::DE3を用いて、細胞塊を生産させ、組換えタンパク質を精製した。
【0270】
培地
組換えタンパク質の生産に用いた発酵培地は、100μg/ml Apおよび/または30μg/ml Kmを含む2X YTブロス(Difco)からなる。発酵槽用の培地に消泡剤(Antifoam 204, Sigma)を0.25 ml/L添加した。組換えタンパク質の発現を誘導するために、IPTG(イソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド)を発酵槽に添加した(最終濃度1mM)。
【0271】
組換えタンパク質の生産
天然の条件下
IPTGを最終濃度1mMまで添加し、培養物をさらに4時間生育した。次に、培養物を6,000 rpmで10分遠心分離し、ペレットを、プロテアーゼインヒビターカクテルを含むリン酸バッファー(50 mM K2HPO4、K2HPO4(pH 7))に再懸濁させた。このサンプルを、圧力1,500バールのフレンチプレス溶解に付した(2ラン)。15,000 rpmで30分の遠心分離後、上清をさらに精製するために保存し、NaClを0.5Mまで添加した。次に、50 mM K2HPO4、K2HPO4(pH 7)でコンディショニングしたNi-NTA樹脂(XK 16カラム:Pharmacia、Ni-NTA樹脂:Qiagen)にサンプルを添加した。サンプルを添加した後、カラムをバッファーA(0.2M NaH2PO4 pH7、0.3M NaCl、10%グリセロール)で洗浄した。結合タンパク質を溶離するために、比率を変えながらバッファーB(0.2M NaH2PO4(pH7)、0.3M NaCl、10%グリセロールおよび200 mMイミダゾール)をバッファーAに添加する、段階的勾配を用いた。バッファーBの比率は、10%〜100%まで徐々に増加させた。精製後、タンパク質を含む溶出画分をプールし、濃縮してから、0.002M K2HPO4/K2HPO4(pH 7)、0.15M NaClに対して透析した。
【0272】
この方法を用いて、ClfA、SdrG、IsdA、IsaB、HarA、Atl-グルコサミンおよびαトキシンを精製した。
【0273】
変性条件下
IPTGを最終濃度1mMまで添加し、培養物をさらに4時間生育した。次に、培養物を6,000 rpmで10分遠心分離し、ペレットを、プロテアーゼインヒビターカクテルを含むリン酸バッファー(50 mM K2HPO4、K2HPO4(pH 7))に再懸濁させた。このサンプルを圧力1,500バールのフレンチプレス溶解に付した(2ラン)。15,000 rpmで30分の遠心分離後、1M尿素を含むリン酸バッファーでペレットを洗浄した。サンプルを15,000 rpmで30分遠心分離した後、8M尿素、0.1M NaH2PO4(pH7)、0.5M NaCl、0.01Mトリス−HCl(pH8)にペレットを再懸濁させ、室温で一晩維持した。サンプルを15,000 rpmで20分遠心分離した後、上清をさらに精製するために保存した。次に、8M尿素、0.1M NaH2PO4 pH7、0.5M NaCl、0.01Mトリス−HCl(pH8)でコンディショニングしたNi-NTA樹脂(XK 16カラム:Pharmacia、Ni-NTA樹脂:Qiagen)にサンプルを添加した。フロースルーの通過後、カラムをバッファーA(8M尿素、0.1M NaH2PO4、0.5M NaCl、0.01Mトリス(pH8.0))、バッファーC(8M尿素、0.1M NaH2PO4、0.5M NaCl、0.01Mトリス(pH6.3))、バッファーD(8M尿素、0.1M NaH2PO4、0.5M NaCl、0.01Mトリス(pH5.9))およびバッファーE(8M尿素、0.1M NaH2PO4、0.5M NaCl、0.01Mトリス(pH4.5))で洗浄した。バッファーDおよびEでの洗浄中、カラムから組換えタンパク質を溶離した。変性した組換えタンパク質は、尿素を全く含まない溶液中に溶解させることができた。この目的のために、8M尿素に含まれる変性タンパク質を4M尿素、0.1M NaH2PO4、0.01Mトリス−HCl(pH7.1)、2M尿素、0.1M NaH2PO4、0.01Mトリス−HCl(pH7.1)、0.5Mアルギニンおよび0.002M K2HPO4/K2HPO4(pH 7.1)、0.15M NaCl、0.5Mアルギニンに対して透析した。
【0274】
この方法を用いて、Ebh(H2断片)、AaA、SdrC、FnbpA、Sbi、Atl-アミダーゼおよびIsaAを精製した。
【0275】
精製したタンパク質をSDS-PAGEにより分析した。天然の条件下で精製した1タンパク質(αトキシン)および変性条件下で精製した1タンパク質(SdrC)についての結果を図3および4に示す。
【0276】
実施例3:多糖の調製
Joyceら、2003, Carbohydrate Research 338; 903-922に記載されているように、PNAGを調製した。
【0277】
Infection and Immunity (1990) 58(7);2367に記載されているように、5型および8型多糖を黄色ブドウ球菌から抽出した。
【0278】
Fischer W, et al Eur. J. Biochem. (1983) 133; 523またはMorath et al J. Exp. Med. 2001; 193; 393-397に記載されているように、LTAをブドウ球菌から抽出した。
【0279】
活性化および結合化学:
天然の多糖をNaCl 2Mまたは水に溶解させる。すべての血清型について最適多糖濃度を評価したところ、2mg/ml〜5mg/mlであった。
【0280】
アセトニトリル中100 mg/ml原液から、CDAP(CDAP/PS比:0.75 mg/mg PS)を多糖溶液に添加する。1.5分後、0.2Mトリエチルアミンを添加して、特定の活性化pH(pH 8.5〜10.0)を得る。このpHおよび25℃で2分多糖の活性化を実施する。活性化多糖に、1/1モル比を達成するのに十分な量の担体タンパク質を添加し、特定のpHで1時間結合反応を実施する。
【0281】
次に、グリシンを用いて、25℃で30分、続いて4℃で一晩反応をクエンチングする。
【0282】
0.2M NaClで平衡化したSephacryl 500 HRゲル濾過カラムを用いて、ゲル濾過によりコンジュゲートを精製する。
【0283】
溶出画分の炭水化物およびタンパク質含量を決定する。コンジュゲートをプールし、0.22μm滅菌膜で滅菌濾過する。コンジュゲート調製物におけるPS/タンパク質比を決定する。
【0284】
特性決定:
タンパク質および多糖含量について各コンジュゲートを特性決定する。
【0285】
多糖含量はレソルシノール(Resorcinol)試験により、またタンパク質含量はローリー(Lowry)試験によりそれぞれ測定する。濃度の比により最終PS/PD比(w/w)を決定する。
【0286】
残留DMAP含量(ng/μg PS):
CDAPによる多糖の活性化により、シアネート基が多糖に導入され、DMAP(4-ジメチルアミノ−ピリジン)が遊離する。GSKで開発および確認された特定のアッセイにより残留DMAP含量を決定する。
【0287】
遊離多糖の含有率(%):
4℃で維持した、または37℃で7日保存したコンジュゲートの遊離多糖含有率を、α担体抗体および飽和硫酸アンモニウムと一緒にインキュベーション後遠心分離により得られた上清について決定する。
【0288】
上清の遊離多糖の定量にはα-PS/α-PS ELISAを用いる。また、コンジュゲートの非存在もα担体/α-PS ELISAにより制御する。
【0289】
実施例4:製剤化
アジュバント組成物
前記実施例から得たタンパク質を個別、または一緒に、ブドウ球菌多糖の組合せと製剤化することができ、アジュバントとして、該製剤は、3脱-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)と水酸化アルミニウム、または3脱-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)とリン酸アルミニウム、もしくは、随意に油/水エマルションにおける3D-MPLおよび/またはQS21を含んでもよく、さらには、随意に、コレステロール、またはアルミニウム塩だけ、好ましくはリン酸アルミニウムと一緒に製剤化してもよい。
【0290】
3D-MPL:これは、グラム陰性菌サルモネラ・ミンネソタ(Salmonella minnesota)のリポ多糖(LPS)の化学的に解毒された形態である。
【0291】
GSK Biologicalsで実施された実験から、様々なビヒクルと組み合わせた3D-MPLは、液体性およびTH1型細胞免疫の両方を強度に増強することがわかった。
【0292】
QS21:これは、バラ科キラヤ(Quillaja Saponaria Molina)の樹皮の粗抽出物から精製した1種のサポニンであり、強いアジュバント活性を有する。これは、抗原特異的リンパ球増殖および数種の抗原に対するCTLの両方を活性化する。
【0293】
3D-MPLとミョウバン(alum)を含む本発明の抗原を含有するワクチンは、WO 93/19780または92/16231に記載の方法と同様に調製することができる。GSK Biologicalsで実施された実験から、液体性およびTH1型細胞免疫両方の誘導において3D-MPLとQS21の組合せの明らかな相乗効果が証明されている。このような抗原を含むワクチンは、米国特許第5750110号に記載されている。
【0294】
油/水エマルションは、2種の油(トコフェロールとスクアレン)、および乳化剤としてTween 80を含むPBSから構成される。5%スクアレンと5%トコフェロールおよび0.4%Tween 80を含んでなり、平均粒径が180 nmのエマルションが、SB62として知られている(WO 95/17210を参照)。
【0295】
GSK Biologicalsで実施された実験により、MPL/QS21にO/Wエマルションを添加すると、免疫刺激性がさらに高まることが証明されている。
【0296】
エマルションSB62の調製(2倍濃縮物)
Tween 80をリン酸緩衝食塩水(PBS)に溶解することにより、PBSにおける2%溶液を調製する。100 mlの2倍濃縮エマルションを取得するために、5gのDLαトコフェロールと5mlのスクアレンを攪拌し、完全に混合する。90 mlのPBS/Tween溶液を添加し、完全に混合する。得られたエマルションをシリンダーに通過させ、M110Sマイクロフルーディクス機を用いて、最終的にマイクロ流動体化する。こうして得られた液滴のサイズは約180 nmである。
【0297】
実施例5
動物実験
生後8〜10週間の雌CD-1マウスをCharles River Laboratories(マサチューセッツ州キングストン)から入手する。致死率試験のために、CSAプレートで生育した黄色ブドウ球菌の連続的希釈物で、1グループが9〜11匹のCD-1マウスからなる5グループを腹腔内(i.p.)チャレンジした。接種材料のサイズは、約1010〜108CFU/マウスである。3日間毎日死亡率を評価する。用量応答関係のプロビットモデルを用いることにより、50%致死用量(LD50)を評価する。公算比試験により、共通LD50の帰無仮説(null hypothesis)を試験した。約2×106 CFU/マウスの静脈内(i.v.)経路、または約2×107 CFU/マウスのi.p.経路で、8〜20匹のマウスのグループをチャレンジすることにより、致死量以下の菌血症を開始する。接種後、指定時間に、各グループのマウスの尾から採血し、5%ヒツジ血液を含むトリプシン処理ダイズ寒天プレート上で2回繰り返して実施した定量平板菌数カウント(Beckton Dickinson Microbiology Systems)により、菌血レベルを評価する。非対合スチューデントt検定のウェルチ(Welch)改良法を用いて統計的有意性を決定する。
【0298】
実施例6
各種哺乳動物において抗体応答を決定する一般的方法
ELISAにより、ブドウ球菌多糖に対するIgG抗体について血清を試験した。手短には、ATCC(Rockville, Md. 20852)からの精製莢膜多糖を、リン酸緩衝食塩水(PBS)中25μg/mlで、高度結合マイクロタイタープレート(Nunc Maxisorp)に4℃で一晩コーティングする。プレートを10%ウシ胎仔血清(FCS)で1時間37℃にてブロックする。20μg/ml細胞壁多糖(Statens Serum Institute、コペンハーゲン)および10%FCSで血清サンプルを30分室温にて前インキュベートすることにより、この抗原に対する抗体を中和する。次に、マイクロプレート上のサンプルをPBS中の10%FCSで2倍希釈し、攪拌しながら1時間室温で平衡化する。洗浄後、PBS中の10%FCSで1:4,000希釈したペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgG Fcモノクローナル抗体(HP6043-HRP、Stratech Scientific Ltd)でマイクロプレートを1時間室温で攪拌しながら平衡化させた。ELISAを実施することにより、1:5,000のJackson ImmunoLaboratories Inc. ペルオキシダーゼ結合AffiniPureヤギ抗ラットIgG(H+L)(コード112-035-003)を用いて、ラットIgGを測定する。SoftMax Proによるロジスティック対数比較を用いて、各血清について、滴定曲線を標準血清と参照する。ELISAプレートをコーティングするのに用いた多糖濃度は10〜20μg/mlである。14μl H2O2を含むpH 4.5 0.1Mクエン酸バッファー10 ml当たり4mgのOPD(Sigma)を用いて、室温および暗所で発色させる。反応を50μl HClで停止し、650 nmに対する490 nmで光学濃度を読み取る。SoftMax Proソフトウエアにより計算した4-パラメーターロジスティック対数等式を用いてモデル化した較正曲線と滴定点の参照により、IgG濃度を決定する。
【0299】
ブドウ球菌多糖に対するマウスおよびラットIgGを測定するELISAは下記を除いて前記と同様である。Jackson ImmunoLaboratories Inc. ペルオキシダーゼ結合affiniPureヤギ抗マウスIgG(H+L)およびAffiniPureヤギ抗ラットIgG(H+L)を用いて、結合IgGを検出した。
【0300】
HP6043-HRPは、ヒトおよびRhesus精製IgGと等しく反応するので、この試薬はRhesus抗血清に対して使用される。
【0301】
下記の変更を除いて、多糖ELISAと同様にタンパク質ELISAを実施する。PBS中2.0μg/mlのタンパク質をコーティングする。10%ウシ胎仔血清と0.1%ポリビニルアルコールを含むPBSで血清サンプルを希釈する。ヒトIgG Fcに対するSigmaペルオキシダーゼ結合ヤギアフィニティー精製抗体(対照標準A-2290)を用いて、結合ヒト抗体を検出する。
【0302】
実施例7
オプソニン食作用アッセイ
Xuら、1992 Infect. Immun. 60; 1358に記載のように、ヒト多形核白血球(PMN)による、黄色ブドウ球菌のin vitroオプソニン食作用での死滅を実施する。3%デキストランT-250における沈降によりヘパリン化血液からヒトPMNを調製する。オプソニン反応混合物(1ml)は、10%熱不活性化ウシ胎仔血清を補充したRPMI 1640培地中の約106 PMN、約108 CFUの黄色ブドウ球菌、および0.1 mlの試験血清またはIgG調製物を含む。超免疫したウサギ血清を正の対照として用い、0.1 mlの非免疫ウサギ血清をIgGサンプルの完全な供給源として用いた。反応混合物を37℃でインキュベートし、細菌サンプルを0分、60分、および120分後に水に移し、希釈してから、トリプシン処理ダイズ寒天プレートに塗布し、37℃でインキュベートし、一晩インキュベートした後、細菌数をカウントする。
【0303】
実施例8
マウスおよびウサギにおけるブドウ球菌タンパク質の免疫原性
精製したブドウ球菌タンパク質で動物を免疫することにより、超免疫血清を産生させる。Specolに添加した10μgの各タンパク質で3回(第0日、14日および28日)マウスを免疫した。ウサギは、Specolに添加した20μgの各タンパク質で3回(第0日、21日および42日)免疫した。免疫血清を回収し、抗タンパク質および抗死滅全細胞ELISAで評価した。
【0304】
抗タンパク質ELISA:
精製タンパク質をリン酸緩衝食塩水(PBS)中1μg/mlで、高度結合マイクロタイタープレート(Nunc Maxisorp)に4℃で一晩コーティングした。攪拌しながら室温で30分プレートをPBS-BSA1%でブロックした。次に、試験サンプルを1/1,000希釈し、攪拌しながら室温で1時間インキュベートした。洗浄後、PBS-Tween 0.05%に1:5,000希釈したJackson ImmunoLaboratories Inc. ペルオキシダーゼ結合affiniPureヤギ抗マウスIgG(H+L)(参照番号:115-035-003)またはAffiniPureヤギ抗ウサギIgG(H+L)(参照番号:11-035-003)を用いて、結合マウスまたはウサギ抗体を検出した。検出抗体を攪拌しながら室温で30分インキュベートした。pH 4.5 0.1Mクエン酸バッファー10 ml当たり4mgのOPD(Sigma)+5μlのH2O2を用いて、室温の暗所で15分発色させた。反応を50μl のHClで停止し、650 nmに対する490 nmで光学濃度を読み取った。Post IIIの1/1,000希釈物についてのO.D.を、前免疫血清の同じ希釈物で得たO.D.と比較した。
【0305】
マウスおよびウサギ血清を用いて得られた結果を図5に示す。各抗原に対して優れたセロコンバージョンが観察された。SBIに対する血清の評価は、このタンパク質のIg結合活性のために損なわれた。
【0306】
抗死滅全細胞ELISA:
5型および8型黄色ブドウ球菌または表皮ブドウ球菌株Hay由来の死滅全細胞(熱またはホルムアルデヒド不活性化)をリン酸緩衝食塩水(PBS)中20μg/mlで、蒸発により、高度結合マイクロタイタープレート(Nunc Maxisorp)に4℃で一晩コーティングした。攪拌しながら、室温で30分プレートをPBS-BSA1%でブロックした。PBS-Tween 0.05%で希釈した10μg/mlのアフィニティー精製ニワトリ抗プロテインA(ICL参照番号:CPA-65A-2)の添加により、プロテインAを中和した後、室温で1時間インキュベートした。次に、1/10の出発希釈物から、PBS- Tween 0.05%で試験サンプルをマイクロプレート上で2倍希釈し、攪拌しながら室温で1時間インキュベートした。洗浄後、PBS-Tween 0.05%で1:5,000希釈したJackson ImmunoLaboratories Inc. ペルオキシダーゼ結合affiniPureヤギ抗マウスIgG(H+L)(参照番号:115-035-003)またはAffiniPureヤギ抗ウサギIgG(H+L)(参照番号:11-035-003)を用いて、結合マウスまたはウサギ抗体を検出した。検出抗体を攪拌しながら室温で30分インキュベートした。pH 4.5 0.1Mクエン酸バッファー10 ml当たり4mgのOPD(Sigma)+5μlの H2O2を用いて、室温の暗所で15分発色させた。反応を50μlのHClで停止し、650 nmに対する490 nmで光学濃度を読み取った。
【0307】
ブドウ球菌におけるタンパク質の発現レベルは、培養条件に応じて変動しうることに留意すべきである。従って、陰性の結果は、免疫原性の不足というより、不適正な培養条件の選択を反映していると考えられる。
【0308】
マウス血清を用いた結果を表5に示し、該グラフのいくつかを図6に示す。黄色ブドウ球菌株5の弱い認識がSdrC、FnbpA、Ebh、SbiおよびIsaAに対する血清で認められる。黄色ブドウ球菌株8の認識は、Sbiにする血清にしか認められない。表皮ブドウ球菌株Hayの弱い認識が、Atlアミダーゼ、MRP、IsdA、IsaA、Ebh、AaaおよびSbiに対する血清に認められる。
【0309】
ウサギ血清を用いて得られた結果の抜粋を図7に示し、表6にまとめる。3つの菌株の非常に優れた認識がIsaAおよびIsdBで認められた。動物は、他のタンパク質に用いた3回の注射ではなく、1回の注射しか受けていなかったが、3つの菌株の弱い認識がHarAで認められた。
【表5】

【表6】

【0310】
実施例9
鼻内コロニー形成モデルにおけるブドウ球菌タンパク質の組合せの効能
1グループにつき3匹のコトン(cotton)ラットからなる15のグループに8種のブドウ球菌抗原の組合せを接種し、対照として用いる5匹のコトンラットは抗原で処理しなかった。これら16のグループは以下の通りである:
グループ1:Atl-グルコサミン、Atl-アミダーゼ、AAA、αトキシン、SdrC、SdrG、Ebh、Sbi
グループ2:Atl-グルコサミン、Atl-アミダーゼ、IsdA、IsdB、ClfA、SdrC、Ebh、FnbpA
グループ3:Atl-グルコサミン、Atl-アミダーゼ、HarA、IsdA、MPR、IsdB、AAA、αトキシン
グループ4:Atl-グルコサミン、HarA、IsdA、AAA、ClfA、IsaA、Ebh、Sbi
グループ5:HarA、MPR、AAA、αトキシン、ClfA、SdrC、Ebh、FnbpA
グループ6:IsdA、IsdB、AAA、αトキシン、ClfA、SdrG、Sbi、FnbpA
グループ7:Atl-アミダーゼ、IsdA、MPR、AAA、IsaA、SdrG、Ebh、FnbpA
グループ8:対照
グループ9:Atl-グルコサミン、IsdA、MPR、αトキシン、IsaA、SdrG、Sbi、FnbpA
グループ10:Atl-グルコサミン、MRP、IsdB、AAA、ClfA、IsaA、SdrC、SdrG
グループ11:Atl-アミダーゼ、MPR、IsaB、αトキシン、ClfA、IsaA、Ebh、Sbi
グループ12:Atl-グルコサミン、HarA、IsdB、αトキシン、IsaA、SdrG、Ebh、FnbpA
グループ13:Atl-アミダーゼ、HarA、IsdB、AAA、IsaA、SdrG、Sbi、FnbpA
グループ14:Atl-グルコサミン、Atl-アミダーゼ、HarA、、MRP、ClfA、SdrC、Sbi、FnbpA
グループ15:Atl-アミダーゼ、HarA、IsdA、αトキシン、ClfA、IsaA、SdrG
グループ16:HarA、IsdA、MRP、IsdB、SdrC、SdrG、Ebh、Sbi
抗原の各混合物には、MPLとQS21を含むリポソームからなるアジュバントと混合した3μgの各抗原を含有させた。実験の第1、14および28日に、コトンラットに計3回接種した。接種から2週間後、Kokai-Kunら(2003)Antimicrob. Agents. Chemother. 47;1589-1597に記載のように、鼻内コロニー形成アッセイを用いて、免疫の効力を評価した。
【0311】
「デザインエキスパート(Design Expert)6」ソフトウエアを用いて、古典的な多重線形回帰分析を実施した。抗原の存在を+1として、また抗原の非存在を−1としてそれぞれ符号化した。モデルの等式を用いて、どの抗原が、1匹当たりの鼻内コロニー数の大幅な減少をもたらした主要抗原であるかを決定することができた。
【0312】
結果
鼻内コロニー形成アッセイの結果を表7に示す。対照グループは、一匹当たりの平均対数CFUが3.51335であり、ブドウ球菌タンパク質を接種したコトンラットの全グループについて鼻内コロニー形成の減少が認められた。グループ4、9および13は、1匹当たりのCFU減少が2対数(log)を超えるという、最も大きな減少を示した。グループ12および16も良好な結果をもたらし、1匹当たりCFUの約2対数(log)の減少を示している。
【表7】

【0313】
鼻内コロニー形成データの多重線形回帰分析を用いて、抗原混合物内の特定の抗原の貢献度を計算した。最終モデルは、7つの最良抗原を含む。これらの抗原についての結果を表8に示す。タンパク質混合物に関しては、HarAの含有により、鼻内コロニー形成の最大の減少が達成され、これにIsaA、Sbi、SdrC、自己溶解素−グルコサミン、MRPおよびEbhが続く。
【表8】

【図面の簡単な説明】
【0314】
【図1.1】好ましいタンパク質のポリペプチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図1.2】好ましいタンパク質のポリペプチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図1.3】好ましいタンパク質のポリペプチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図1.4】好ましいタンパク質のポリペプチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図1.5】好ましいタンパク質のポリペプチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図1.6】好ましいタンパク質のポリペプチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図1.7】好ましいタンパク質のポリペプチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図1.8】好ましいタンパク質のポリペプチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図1.9】好ましいタンパク質のポリペプチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図1.10】好ましいタンパク質のポリペプチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図1.11】好ましいタンパク質のポリペプチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.1】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.2】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.3】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.4】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.5】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.6】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.7】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.8】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.9】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.10】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.11】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.12】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.13】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.14】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.15】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.16】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.17】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.18】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.19】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.20】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.21】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.22】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.23】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.24】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.25】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.26】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図2.27】好ましいタンパク質をコードするヌクレオチド配列を示す。表1は、各配列番号で表示するタンパク質情報を提供する。
【図3】天然の条件下でのαトキシンの精製を示す。パネルAは、αトキシンの精製時に調製したサンプルのクマシー染色SDS-PAGEを示す。レーン1−分子量マーカー、レーン2−過剰発現したαトキシンを含む可溶性画分、レーン3−Ni-NTAカラムからの素通り画分、レーン4−10%バッファーBで溶離した画分、レーン5−20%バッファーBで溶離した画分、レーン6−30%バッファーBで溶離した画分、レーン7−50%バッファーBで溶離した画分、レーン8−75%バッファーBで溶離した画分、レーン9および10−100%バッファーBで溶離した画分、レーン11−誘導前のT=0時点での細菌、レーン12−誘導後のT=4時間の時点での細菌、レーン13−細胞溶解物、レーン14−可溶性画分、レーン15−不溶性画分。パネルBは、10、5、2および1μlの精製αトキシンのクマシー染色SDS-PAGEを示す。
【図4】変性条件下でのSdrCの精製を示す。パネルAは、αトキシンの精製時に調製したサンプルのクマシー染色SDS-PAGEを示す。レーンM−分子量マーカー、出発レーン−過剰発現したSdrCを含む不溶性画分から形成した上清、レーンFT1−Ni-NTAカラムからの素通り画分、レーンC−洗浄バッファーCで溶離した画分、レーンD−バッファーDで溶離した画分、レーンE−バッファーEで溶離した画分。パネルBは、1、2、5および10μlの精製SdrCのクマシー染色SDS-PAGEを示す。
【図5.1】精製タンパク質をコーティングしたプレートにおけるブドウ球菌タンパク質に対する抗血清についてのELISA結果を示す。プールマウス(免疫前):接種前のマウスから抽出したプール血清を用いて得られた結果。プールマウス(III免疫後):接種後に抽出したプールマウス血清を用いて得られた結果。プールウサギ(免疫前):接種前のウサギから抽出したプール血清を用いて得られた結果。プールウサギ(III免疫後):接種後に抽出したプールウサギ血清を用いて得られた結果。Blc:負の対照。
【図5.2】精製タンパク質をコーティングしたプレートにおけるブドウ球菌タンパク質に対する抗血清についてのELISA結果を示す。プールマウス(免疫前):接種前のマウスから抽出したプール血清を用いて得られた結果。プールマウス(III免疫後):接種後に抽出したプールマウス血清を用いて得られた結果。プールウサギ(免疫前):接種前のウサギから抽出したプール血清を用いて得られた結果。プールウサギ(III免疫後):接種後に抽出したプールウサギ血清を用いて得られた結果。Blc:負の対照。
【図5.3】精製タンパク質をコーティングしたプレートにおけるブドウ球菌タンパク質に対する抗血清についてのELISA結果を示す。プールマウス(免疫前):接種前のマウスから抽出したプール血清を用いて得られた結果。プールマウス(III免疫後):接種後に抽出したプールマウス血清を用いて得られた結果。プールウサギ(免疫前):接種前のウサギから抽出したプール血清を用いて得られた結果。プールウサギ(III免疫後):接種後に抽出したプールウサギ血清を用いて得られた結果。Blc:負の対照。
【図5.4】精製タンパク質をコーティングしたプレートにおけるブドウ球菌タンパク質に対する抗血清についてのELISA結果を示す。プールマウス(免疫前):接種前のマウスから抽出したプール血清を用いて得られた結果。プールマウス(III免疫後):接種後に抽出したプールマウス血清を用いて得られた結果。プールウサギ(免疫前):接種前のウサギから抽出したプール血清を用いて得られた結果。プールウサギ(III免疫後):接種後に抽出したプールウサギ血清を用いて得られた結果。Blc:負の対照。
【図5.5】精製タンパク質をコーティングしたプレートにおけるブドウ球菌タンパク質に対する抗血清についてのELISA結果を示す。プールマウス(免疫前):接種前のマウスから抽出したプール血清を用いて得られた結果。プールマウス(III免疫後):接種後に抽出したプールマウス血清を用いて得られた結果。プールウサギ(免疫前):接種前のウサギから抽出したプール血清を用いて得られた結果。プールウサギ(III免疫後):接種後に抽出したプールウサギ血清を用いて得られた結果。Blc:負の対照。
【図6.1】死滅ブドウ球菌をコーティングしたプレートにおけるブドウ球菌タンパク質に対するマウス抗血清についてのELISA結果を示す。パネルAは、黄色ブドウ球菌血清型5死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルBは、黄色ブドウ球菌血清型8死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルCは、表皮ブドウ球菌死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。正方形を付けた線は、表示したブドウ球菌タンパク質で3回免疫したマウスからの血清を用いたELISA結果を示す。ひし形を付けた線は免疫前のマウス血清についてのELISA結果を示す。
【図6.2】死滅ブドウ球菌をコーティングしたプレートにおけるブドウ球菌タンパク質に対するマウス抗血清についてのELISA結果を示す。パネルAは、黄色ブドウ球菌血清型5死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルBは、黄色ブドウ球菌血清型8死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルCは、表皮ブドウ球菌死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。正方形を付けた線は、表示したブドウ球菌タンパク質で3回免疫したマウスからの血清を用いたELISA結果を示す。ひし形を付けた線は免疫前のマウス血清についてのELISA結果を示す。
【図6.3】死滅ブドウ球菌をコーティングしたプレートにおけるブドウ球菌タンパク質に対するマウス抗血清についてのELISA結果を示す。パネルAは、黄色ブドウ球菌血清型5死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルBは、黄色ブドウ球菌血清型8死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルCは、表皮ブドウ球菌死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。正方形を付けた線は、表示したブドウ球菌タンパク質で3回免疫したマウスからの血清を用いたELISA結果を示す。ひし形を付けた線は免疫前のマウス血清についてのELISA結果を示す。
【図6.4】死滅ブドウ球菌をコーティングしたプレートにおけるブドウ球菌タンパク質に対するマウス抗血清についてのELISA結果を示す。パネルAは、黄色ブドウ球菌血清型5死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルBは、黄色ブドウ球菌血清型8死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルCは、表皮ブドウ球菌死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。正方形を付けた線は、表示したブドウ球菌タンパク質で3回免疫したマウスからの血清を用いたELISA結果を示す。ひし形を付けた線は免疫前のマウス血清についてのELISA結果を示す。
【図6.5】死滅ブドウ球菌をコーティングしたプレートにおけるブドウ球菌タンパク質に対するマウス抗血清についてのELISA結果を示す。パネルAは、黄色ブドウ球菌血清型5死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルBは、黄色ブドウ球菌血清型8死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルCは、表皮ブドウ球菌死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。正方形を付けた線は、表示したブドウ球菌タンパク質で3回免疫したマウスからの血清を用いたELISA結果を示す。ひし形を付けた線は免疫前のマウス血清についてのELISA結果を示す。
【図7.1】死滅ブドウ球菌でコーティングしたプレートにおけるブドウ球菌タンパク質に対するウサギ抗血清についてのELISA結果を示す。パネルAは、黄色ブドウ球菌血清型5死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルBは、黄色ブドウ球菌血清型8死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルCは、表皮ブドウ球菌死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。正方形の符号を付けた線は、表示したブドウ球菌タンパク質で3回免疫した(1回の免疫しか投与していないHarAを除いて)ウサギからの血清を用いたELISA結果を示す。ひし形を付けた線は免疫前のウサギ血清についてのELISA結果を示す。
【図7.2】死滅ブドウ球菌でコーティングしたプレートにおけるブドウ球菌タンパク質に対するウサギ抗血清についてのELISA結果を示す。パネルAは、黄色ブドウ球菌血清型5死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルBは、黄色ブドウ球菌血清型8死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルCは、表皮ブドウ球菌死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。正方形の符号を付けた線は、表示したブドウ球菌タンパク質で3回免疫した(1回の免疫しか投与していないHarAを除いて)ウサギからの血清を用いたELISA結果を示す。ひし形を付けた線は免疫前のウサギ血清についてのELISA結果を示す。
【図7.3】死滅ブドウ球菌でコーティングしたプレートにおけるブドウ球菌タンパク質に対するウサギ抗血清についてのELISA結果を示す。パネルAは、黄色ブドウ球菌血清型5死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルBは、黄色ブドウ球菌血清型8死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルCは、表皮ブドウ球菌死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。正方形の符号を付けた線は、表示したブドウ球菌タンパク質で3回免疫した(1回の免疫しか投与していないHarAを除いて)ウサギからの血清を用いたELISA結果を示す。ひし形を付けた線は免疫前のウサギ血清についてのELISA結果を示す。
【図7.4】死滅ブドウ球菌でコーティングしたプレートにおけるブドウ球菌タンパク質に対するウサギ抗血清についてのELISA結果を示す。パネルAは、黄色ブドウ球菌血清型5死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルBは、黄色ブドウ球菌血清型8死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルCは、表皮ブドウ球菌死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。正方形の符号を付けた線は、表示したブドウ球菌タンパク質で3回免疫した(1回の免疫しか投与していないHarAを除いて)ウサギからの血清を用いたELISA結果を示す。ひし形を付けた線は免疫前のウサギ血清についてのELISA結果を示す。
【図7.5】死滅ブドウ球菌でコーティングしたプレートにおけるブドウ球菌タンパク質に対するウサギ抗血清についてのELISA結果を示す。パネルAは、黄色ブドウ球菌血清型5死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルBは、黄色ブドウ球菌血清型8死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルCは、表皮ブドウ球菌死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。正方形の符号を付けた線は、表示したブドウ球菌タンパク質で3回免疫した(1回の免疫しか投与していないHarAを除いて)ウサギからの血清を用いたELISA結果を示す。ひし形を付けた線は免疫前のウサギ血清についてのELISA結果を示す。
【図7.6】死滅ブドウ球菌でコーティングしたプレートにおけるブドウ球菌タンパク質に対するウサギ抗血清についてのELISA結果を示す。パネルAは、黄色ブドウ球菌血清型5死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルBは、黄色ブドウ球菌血清型8死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルCは、表皮ブドウ球菌死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。正方形の符号を付けた線は、表示したブドウ球菌タンパク質で3回免疫した(1回の免疫しか投与していないHarAを除いて)ウサギからの血清を用いたELISA結果を示す。ひし形を付けた線は免疫前のウサギ血清についてのELISA結果を示す。
【図7.7】死滅ブドウ球菌でコーティングしたプレートにおけるブドウ球菌タンパク質に対するウサギ抗血清についてのELISA結果を示す。パネルAは、黄色ブドウ球菌血清型5死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルBは、黄色ブドウ球菌血清型8死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルCは、表皮ブドウ球菌死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。正方形の符号を付けた線は、表示したブドウ球菌タンパク質で3回免疫した(1回の免疫しか投与していないHarAを除いて)ウサギからの血清を用いたELISA結果を示す。ひし形を付けた線は免疫前のウサギ血清についてのELISA結果を示す。
【図7.8】死滅ブドウ球菌でコーティングしたプレートにおけるブドウ球菌タンパク質に対するウサギ抗血清についてのELISA結果を示す。パネルAは、黄色ブドウ球菌血清型5死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルBは、黄色ブドウ球菌血清型8死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。パネルCは、表皮ブドウ球菌死滅全細胞をコーティングしたプレートを用いる。正方形の符号を付けた線は、表示したブドウ球菌タンパク質で3回免疫した(1回の免疫しか投与していないHarAを除いて)ウサギからの血清を用いたELISA結果を示す。ひし形を付けた線は免疫前のウサギ血清についてのELISA結果を示す。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブドウ球菌PNAG及び黄色ブドウ球菌の5型および/または8型莢膜多糖またはオリゴ糖を含む、免疫原性組成物。
【請求項2】
表皮ブドウ球菌のI型、および/またはII型および/またはIII型莢膜多糖またはオリゴ糖を更に含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
前記PNAGがブドウ球菌由来である、請求項1または2に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
ブドウ球菌タンパク質またはその断片を更に含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
前記ブドウ球菌のタンパク質またはその断片が、ラミニン受容体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質、EbhA、EbhB、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EFB(FIB)、SBI、自己溶解素、ClfA、SdrC、SdrG、SdrH、リパーゼGehD、SasA、FnbA、FnbB、Cna、ClfB、FbpA、Npase、IsaA/PisA、SsaA、EPB、SSP-1、SSP-2、HBP、ビトロネクチン結合タンパク質、フィブリノーゲン結合タンパク質、血液凝固酵素、FigおよびMAPからなる群から選択される細胞外成分結合タンパク質である、請求項4に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
前記ブドウ球菌タンパク質またはその断片が、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitCおよびNi ABC輸送体からなる群より選択される輸送体タンパク質である、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記ブドウ球菌タンパク質またはその断片が、αトキシン(Hla)、αトキシンH35R突然変異体、RNA III活性化タンパク質(RAP)からなる群より選択される、ビルレンス調節物質または毒素である、請求項4に記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
a群)ラミニン受容体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質、EbhA、EbhB、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EFB(FIB)、SBI、自己溶解素、ClfA、SdrC、SdrG、SdrH、リパーゼGehD、SasA、FnbA、FnbB、Cna、ClfB、FbpA、Npase、IsaA/PisA、SsaA、EPB、SSP-1、SSP-2、ビトロネクチン結合タンパク質、フィブリノーゲン結合タンパク質、血液凝固酵素、FigおよびMAPからなる群より選択される少なくとも1つのブドウ球菌細胞外成分結合タンパク質またはその断片;
b群)免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitCおよびNi ABC輸送体からなる群より選択される少なくとも1つのブドウ球菌輸送体タンパク質またはその断片;
c群)αトキシン(Hla)、αトキシンH35R突然変異体、RNA III活性化タンパク質(RAP)からなる群より選択される少なくとも1つのブドウ球菌のビルレンス調節物質、毒素またはそれらの断片;
から選択される少なくとも2つの異なる群から選択される2つ以上のブドウ球菌タンパク質を含む、請求項4〜7のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
ブドウ球菌多糖がタンパク質担体と結合される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
前記PNAGがタンパク質担体と結合される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
前記タンパク質担体が、ラミニン受容体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質、EbhA、EbhB、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EFB(FIB)、SBI、自己溶解素、ClfA、SdrC、SdrG、SdrH、リパーゼGehD、SasA、FnbA、FnbB、Cna、ClfB、FbpA、Npase、IsaA/PisA、SsaA、EPB、SSP-1、SSP-2、HBP、ビトロネクチン結合タンパク質、フィブリノーゲン結合タンパク質、血液凝固酵素、Fig、MAP、免疫優性ABC輸送体、IsdA、IsdB、Mg2+輸送体、SitC、Ni ABC輸送体、αトキシン(Hla)、αトキシンH35R突然変異体およびRNA III活性化タンパク質(RAP)からなる群から選択される、ブドウ球菌タンパク質またはその断片を含む、請求項9または10に記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
前記タンパク質担体が、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、CRM197、インフルエンザ菌プロテインD、緑膿菌エキソプロテインA、肺炎球菌ニューモリシンおよびαトキソイドからなる群より選択される、請求項9または10に記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌に対して有効な免疫応答を生じさせる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の免疫原性組成物と、薬学的に許容される賦形剤を含むワクチン。
【請求項15】
抗原を混合して、請求項1〜13のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を調製し、薬学的に許容される賦形剤を添加する各ステップを含む、ワクチンの製造方法。
【請求項16】
請求項14に記載のワクチンを、それが必要な患者に投与するステップを含む、ブドウ球菌感染を予防または治療する方法。
【請求項17】
ブドウ球菌感染を治療または予防するためのワクチンの製造における、請求項1〜13のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2008−513409(P2008−513409A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531718(P2007−531718)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010260
【国際公開番号】WO2006/032500
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】