免疫測定用吸収パッド、免疫測定用ストリップ及び免疫測定装置
【課題】顕著な吸水性を示し、免疫測定装置に用いた場合に、検出時間の短縮を図ることができる吸収パッドを提供すること。
【解決手段】湿度60%以下における吸湿率が30%以下であり、かつ湿度90%以上における吸湿率が40%以上であるケイ素含有粒子を、50質量%以上含有することを特徴とする免疫測定装置用吸水パッド、前記吸収パッドを吸引部として用いることを特徴とする免疫測定用ストリップ、及び前記免疫測定用ストリップを包含する免疫測定装置。
【解決手段】湿度60%以下における吸湿率が30%以下であり、かつ湿度90%以上における吸湿率が40%以上であるケイ素含有粒子を、50質量%以上含有することを特徴とする免疫測定装置用吸水パッド、前記吸収パッドを吸引部として用いることを特徴とする免疫測定用ストリップ、及び前記免疫測定用ストリップを包含する免疫測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫測定用吸収パッド、免疫測定用ストリップ及び免疫測定装置に関し、詳しくは、吸水性に顕著に優れる免疫測定用吸収パッド、及び、前記吸収パッドを利用する検出時間の短縮化された免疫測定用ストリップ、免疫測定装置並びにこれらの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
血液や尿等の検体に含まれる生体成分や薬物の分析は、病態の診断や治療経過の判定に重要である。そこでこの生体成分、薬物等を簡便に検出するための装置として、抗原抗体反応を利用して測定する免疫測定装置が用いられている。
【0003】
従来から、病態の診断や治療経過の判定において、血液、尿、粘膜分泌物等の生体から採取された生体試料の免疫学的な分析が行われてきた。免疫学的な分析に用いられる装置として、抗原抗体反応を利用する酵素免疫アッセイ装置が開発されている(特許文献1〜4参照)。
【0004】
前記酵素免疫アッセイ装置は、例えば、検体中の抗原又は抗体と、前記抗原又は抗体と反応する抗体又は抗原の酵素標識体と、更に前記抗原又は抗体と反応する抗体又は抗原との3者間で抗原抗体反応によるサンドイッチ複合体を形成させ、該複合体の有無を、酵素反応により発色する基質などを利用して検出等するものである。これらの装置においては、各成分を展開液に順次溶解させると共に、溶液を装置内の一定の方向に移動させるため(特許文献3参照)、装置の下流に当たる末端に吸収パッドが設けられている。
【0005】
吸収パッドは、吸水性の素材からなるものであり、例えば、吸水性の濾紙、ガラス繊維などでできた不織布、多孔性材料や繊維状部材(特許文献4)、などが適用可能とされていた。
【0006】
【特許文献1】特許第3248436号公報
【特許文献2】特許第3284896号公報
【特許文献3】特表2005−503556号公報
【特許文献4】特開2005−83927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の吸水性素材を用いた吸収パッドはいずれも吸水性が不十分であり、これらを用いた装置は、検出までにある程度の時間を要するものとなっていた。特に測定対象が感染症の抗原又は抗体の場合、治療を速やかに進める観点、感染症の拡大を防ぐ観点などから、検出時間はできるだけ短い方が良い。
【0008】
一方、従来の免疫測定装置の製造は、各部材をカセット内に個々に積層する方式によっており、吸収パッドとして比較的幅の広いものを利用して吸水性を高めることができた。しかし、近年は、吸収パッドを含む各部材をすべてシールで接着し一体化してからカセットに収めるラミネート方式が主流となりつつあり、この場合製造効率向上のため吸収パッドとして幅の狭いものが利用されることが多い。よって、近年の製造方式に即した、吸水性に顕著に優れる吸収パッドが要望されていた。
【0009】
ここで、免疫測定装置の検出時間を短縮するための手段として通常考えられる方針としては、展開液が吸収され移動するメンブレン部のポアを拡大する等によるキャピラリティーの向上が挙げられる。しかし、ポアを拡大すると、判定結果を示す判定ラインがシャープに出ないという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、上記従来の問題点に鑑みて、顕著な吸水性を示し、免疫測定装置に用いた場合に、検出時間の短縮を図ることができる吸収パッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は鋭意研究を行った結果、従来の吸水性パッドにも用いられてきた吸水性素材に、特定の吸湿率を示すケイ素含有粒子を一定量以上含有させることにより、吸水性が顕著に向上することを見出した。
更に、この吸水性パッドを用いた免疫測定装置は、検出時間の短縮化を図ることができ、しかも、幅の狭い吸水性パッドを用いた場合にも、幅の広い従来の吸水性パッドを装着した免疫測定装置よりも検出時間の短縮化を図ることができることも見出した。
本発明は、係る知見に基づくものである。
【0012】
本発明によれば、以下の〔1〕〜〔8〕が提供される。
〔1〕 湿度60%以下における吸湿率が30%以下であり、かつ湿度90%以上における吸湿率が40%以上であるケイ素含有粒子を、50質量%以上含有することを特徴とする免疫測定用吸収パッド。
〔2〕 前記ケイ素含有粒子が、シリカゲルである前記〔1〕に記載の免疫測定用吸収パッド。
〔3〕 検体中の抗原及び/又は抗体を抗原抗体反応により検出するためのストリップであって、
検出すべき抗原及び/又は抗体に対応する抗体及び/又は抗原の標識体を含有する標識体含有部を備え、
前記〔1〕又は〔2〕に記載の吸収パッドからなる吸引部が付設されてなることを特徴とする免疫測定用ストリップ。
〔4〕 前記標識体に対する基質を含有する基質含有部を更に備えることを特徴とする前記〔3〕に記載の免疫測定用ストリップ。
〔5〕 前記基質含有部は、吸引部の付設される末端に対し他端側に位置し、前記標識体含有部は、基質含有部と吸引部との間に位置することを特徴とする前記〔4〕に記載の免疫測定用ストリップ。
〔6〕 検体中の抗原及び/又は抗体を抗原抗体反応により測定するための装置であって、前記〔3〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の免疫測定用ストリップを包含することを特徴とする免疫測定装置。
〔7〕 前記ストリップに展開液を供給するための展開液供給部を更に備えることを特徴とする前記〔6〕に記載の免疫測定装置。
〔8〕 前記〔3〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の免疫測定用ストリップを用いて、検体中の抗原及び/又は抗体を抗原抗体反応により測定する免疫測定方法。
〔9〕 前記〔6〕又は〔7〕に記載の免疫測定装置を用いて、検体中の抗原及び/又は抗体を抗原抗体反応により測定する免疫測定方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、顕著な吸水性を示す免疫測定用吸収パッド、及び短時間で正確な検出が可能な免疫測定用ストリップ並びに免疫測定装置が提供される。したがって、本発明は、感染症等の病態の診断や治療経過の判定の迅速化に寄与するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、免疫測定用吸収パッド、前記パッドを利用した免疫測定用ストリップ及び免疫測定装置に関するものであり、以下、順に説明する。
【0015】
(1)本発明の免疫測定用吸収パッド
本発明の免疫測定用吸収パッドは、湿度60%以下における吸湿率が30%以下であり、かつ湿度90%以上における吸湿率が40%以上であるケイ素含有粒子を、50質量%以上含有することを特徴とする。
【0016】
本発明においてケイ素含有粒子とは、ケイ素(Si)やケイ素化合物を含有する粒子を意味する。ケイ素化合物とは、ケイ素と化合した物質を意味し、酸化ケイ素(石英、SiO2)、窒化ケイ素(Si3N4)、炭化ケイ素(SiC)等を挙げることができる。ケイ素やケイ素化合物の含有割合は、特に問わない。また形状については、粒状が好ましい。微粒子の平均粒子径は、細孔容積にもよるが一般的に小さいほうが望ましい。具体的には、14μm以下であることが好ましく、4.5μm以下であることがより好ましい。
平均細孔径については、25〜240オングストローム、特に70〜210オングストロームのものが好ましい。細孔容積については、0.44〜1.80ml/g、特に0.80〜1.60ml/gのものが好ましい。
【0017】
このようなケイ素含有粒子としては、シリカゲルが好ましい。シリカゲルとは、酸化ケイ素(SiO2)のゲルであり、多孔性の粉末である。本発明で好ましく用いられるシリカゲルとしては、粒子の凝集が粗で、かつ、粒子径が大きく表面積が小さく細孔容積が大きいものを挙げることができる。より具体的には、JIS Z 0701に準拠したB形シリカゲルが好ましい。すなわち、JIS Z 0701の各試験方法により測定された、相対湿度20%、50%、90%における吸湿能力が、それぞれ3.0%以上、10.0%以上、50.0%以上であり、含水率が2.5%以下であり、pH値4〜8であり、比抵抗が3,000Ω・cm以上、成分が無水ケイ酸98%以上のものを好ましく用いることができる。
【0018】
本発明においては、湿度60%以下における吸湿率が30%以下であり、かつ湿度90%以上における吸湿率が40%以上であるケイ素含有粒子を用いることが必要である。好ましくは、湿度60%以下における吸湿率が20%以下であり、かつ、湿度95%以上における吸湿量が70%以上のケイ素含有粒子を挙げることができる。上述の吸湿率の範囲を逸脱すると、免疫測定開始前にも水分を吸ってしまい、実際の免疫測定における検出時間の短縮を妨げる可能性がある。一方、吸湿率の下限については、免疫測定反応時に吸収パッドとしての機能を十分に発揮する範囲で適宜設定することができる。
尚、吸水率は、シリカゲルの吸湿質量からシリカゲルの乾燥質量を差し引いた値を、シリカゲルの乾燥質量で割った数値に100を乗じて得ることができる。
【0019】
また、本発明の吸収パッドは、上述のようなケイ素含有粒子を、乾燥重量で50質量%以上含有することが必要である。含有割合が50質量%未満の場合には、吸水率が不十分となり、検出時間の向上があまり認められない。
【0020】
吸収パッドの素材としては、吸水性を有するものであれば、特に限定されない。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、不織布、セルロース等の多孔質、スポンジ、濾紙等の合成又は天然の高分子化合物からなる材料を単独又は組み合わせて構成することができる。吸収パッドの大きさ及び厚さは限定されないが、通常縦と横が3mm〜15mm程度で厚さが0.5mm〜4mm程度のパッドを用いることが、効率よく測定を行うためには好ましい。このような吸収パッドの製造法は特に限定されず、例えば、原料(例えば濾紙)とケイ素含有粒子(シリカゲル)を有機溶媒中で混合し、その後有機溶媒を飛ばして製造することができる。
【0021】
このような本発明の免疫測定用吸収パッドは、免疫測定用ストリップの吸収パッドとして有用である。免疫測定用ストリップとは、検体中の抗原及び/又は抗体を抗原抗体反応を利用して免疫学的に測定するためのデバイスである。抗原抗体反応を利用した測定方法としては、例えば、酵素免疫測定法(EIA:Enzyme Immuno Assay)、イムノクロマト法、イムノブロット法等を挙げることができる。
本発明の吸収パッドを利用した免疫測定用ストリップとして好ましいものは、以下に述べるものである。
【0022】
(2)本発明の免疫測定用ストリップ
免疫測定用ストリップとは、上述の通り、検体中の特定の物質を免疫学的に測定するためのストリップを意味する。免疫測定用ストリップの材料は、検体、標識体、基質、展開液等が浸透し移動することができる材料の中から適宜選択することができ、特に、毛細管作用により輸液可能な材料が好ましい。例えばメンブレン(膜)素材として用いられる吸水性材料を挙げることができ、具体的には、セルロース、ニトロセルロース等のセルロース又はその誘導体、ガラス繊維等により形成されたろ紙、多孔質膜等が挙げられる。また、ストリップは、その一部をタンパク質の非特異反応による吸着を防止するために、例えば牛血清アルブミン(BSA)、カゼイン、シュークロース等でブロッキングして用いることもできる。
【0023】
免疫測定用ストリップの形状やサイズには制限はないが、例えば幅3mm〜10mm、長さ30mm〜100mm程度のストリップ状とすることができ、特に、本発明の免疫測定用ストリップにおいては上記(1)で説明した吸収パッドを吸引部として付設しているため、より細長い形とすることも可能である。ストリップの厚さは100μm〜1mmのものを用いることが好ましい。尚、厚さについては、吸引部や後述の基質含有部ほど多量の液を含浸する必要はないので、比較的薄く形成することも可能である。
【0024】
本発明の免疫測定用ストリップは、前記(1)で説明した吸収パッドからなる吸引部が付設されてなるものである。
吸引部は、抗原、抗体、検体等のストリップへの浸透及びストリップ内の移動を容易にするための吸水性の部材であり、本発明においては、吸引部として上述した吸収パッドを用いることが必要である。これにより、検体中の微量成分の検出感度が高まり、かつ、多量の検体液の分析を行うことが可能となる。
【0025】
吸引部の形状やサイズは特に限定されないが、ストリップ上に設置できるサイズとすることが好ましい。一例を挙げると、幅は1〜10mm、特に4〜6mmとすることが好ましい。長さは10〜50mm、特に13〜17mmとすることが好ましい。厚さは0.5〜2mm、特に0.7〜1.2mmとすることが好ましい。
本発明においては吸引部として上述の吸収性に優れた吸収パッドを用いるため、より小型の細長い形状としても、優れた吸収性を発揮することができ、検出時間を短時間とすることができる。
【0026】
吸引部のストリップ上の位置については、検出時に、吸引部の作用により検体や標識体がストリップ内を特定方向に移動するような位置であれば、特に限定されないが、ストリップの一方の末端に付設されることが好ましい。吸引部としての吸引パッドのストリップへの付設は、必要に応じて粘着テープ、ホットメルト剤等によるラミネートによることができる。
【0027】
本発明の免疫測定用ストリップは、検出すべき抗原及び/又は抗体に対応する抗体及び/又は抗原の標識体を含有する標識体含有部を備える。標識体を含有させることにより、ストリップ内部において検体と共に吸引部により吸引され、検体と共に複合体を形成するので、検体の検出が容易となる。また、標識体として酵素標識体を利用する場合には、酵素標識体が基質と結合して基質結合標識体となり、更に検体と基質結合標識体がサンドイッチ複合体を形成するので、検体の検出がよりいっそう容易となる。
【0028】
標識体とは、検出すべき抗原及び/又は抗体に対応する抗体及び/又は抗原に何らかの標識物を結合させたものを意味する。すなわち、検出対象が抗原の場合には、これに対応する抗体の標識体が含有され、検出対象が抗体の場合には、これに対応する抗原の標識体が含有される。2種類以上の抗体や抗原を含有することも可能である。
【0029】
標識される抗体及び/又は抗原は、検出すべき抗原及び/又は抗体に対し抗原抗体反応を示すものである限り、製造方法などは特に限定されない。例えば、常法により細胞培養により得られる抗体及び/又は抗原を利用することもできるし、遺伝子組み換えを行って得られるリコンビナント抗体及び/又は抗原を用いることもできる。また、2以上の抗原を融合させて製造された融合抗原、Fabフラグメント、F(ab)2フラグメント等の抗体断片、ハプテン等であっても良い。
【0030】
標識物としては、例えば、酵素、放射性同位元素、ラテックス、金属コロイド粒子、蛍光粒子、着色粒子等を挙げることができる。
【0031】
酵素としては、従来、酵素免疫測定法(EIA:Enzyme Immuno Assay)に用いられる各種酵素を挙げることができる。例えば、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ等を挙げることができる。放射性同位元素としては、例えば、ヨウ素、トリチウム、炭素等の同位元素を挙げることができ、例えばボルトンハンター試薬等を用いて行う方法を用いて標識することができる。
【0032】
ラテックスとしては、例えば、ポリスチレンラテックス等の高分子化合物の粒子を挙げることができる。金属コロイド粒子とは、各種金属コロイドからなる粒子であり、例えば、セレニウム、白金、金等の金属コロイドからなる粒子を挙げることがきる。粒子の粒径は直径10nm〜1μmであることが好ましい。
【0033】
蛍光粒子とは、蛍光を発する粒子を意味し、例えば、フルオレセイン、ローダミン、シアン化白金等の蛍光物質を含むポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ガラス等の粒子を挙げることができる。着色粒子とは、各種染料、顔料等により着色された有機高分子化合物又は無機化合物で構成される粒子であり、例えばポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ガラス等を単独又は混合した材料で構成される。蛍光粒子及び着色粒子としては、粒径が10nm〜1μmであることが好ましい。
【0034】
抗体及び/又は抗原の標識物は、抗体及び/又は抗原と標識物との間に、常法により共有結合又は非共有結合を形成して製造することができる。具体的には例えば、グルタルアルデヒド法、過ヨウ素酸法、マレイミド法、ピリジル・ジスルフィド法、各種架橋剤を用いる方法等を利用することができる(例えば、「蛋白質核酸酵素」別冊31号、37〜45頁(1985)参照)。架橋剤を用いる結合方法の場合に用いることのできる架橋剤としては、例えば、N−スクシンイミジル−4−マレイミド酪酸(GMBS)、N−スクシンイミジル−6−マレイミドヘキサン酸、N−スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸等が挙げられる。
【0035】
共有結合を形成する方法の場合には、抗原又は抗体に存在する官能基を用いることができる他、例えばチオール基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基等の官能基を予め導入したのち、前記結合法により標識物を製造することができる。また非共有結合を形成する方法としては、物理吸着法等を挙げることができる。
【0036】
標識体含有部のストリップ上の位置は特に限定されず、吸引部の付設される末端以外のいずれの部分であっても良い。例えば、吸引部の付設される末端に対し他端とすることもできるし、後述する基質含有部を備えさせる場合には中央部(吸引部と基質含有部との間)に位置させることができる。
【0037】
標識体含有部は、ストリップの本体に対し、或いは標識体含有パッドとしての別個の吸水性材料に対し、乾燥させた標識体を含有させて形成することができる。標識体含有部に含有される標識体の量は、標識体含有部をストリップの一部とするか或いは別個の部材とするか、検査対象である抗体及び/又は抗原の種類、測定に用いる検体の量、等により適宜変更することができるが、通常、乾燥重量で0.01μg〜5μg程度である。
【0038】
標識体をストリップ本体に含有させる場合には、ストリップの軽量化を図ることができると共に容易に製造することができる。この場合、標識体としてラテックスや金属コロイドの標識体を含有させることが好ましい。
一方、標識体含有パッドとしてストリップとは別個の吸水性材料をストリップ上に付設することにより、標識体を十分含有させることができ、展開液のストリップ内の移動をスムーズに行わせることができ、かつ、検体を多量に用いても高い感度かつ短時間で正確な免疫測定が可能である。吸水性材料としては、標識体を多量に含有するものであるものが好ましく、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、不織布、セルロース等の多孔質、スポンジ、濾紙等の合成又は天然の高分子化合物からなる材料を挙げることができ、これらを単独又は組み合わせて使用することができる。
【0039】
標識体含有パッドの形状やサイズは特に限定されないが、ストリップ上に設置できるサイズのストリップ形状のものとすることができる。通常は、幅1〜10mm、長さ3〜30mm、厚さ0.5〜2mmのものを用いることができる。標識体含有パッドは、必要に応じて粘着テープ、ホットメルト剤等にてラミネートしてストリップ上に設置することができる。
【0040】
本発明の免疫測定用ストリップは、前記抗体及び/又は抗原の標識体に対する基質を含有する基質含有部を更に備えるものであっても良い。このような構成をとることにより、特に、ストリップに含有させる標識体が酵素標識体の場合には、基質含有部を予め酵素に対する基質を含有させて検出を簡便に行うことができるので好ましい。
尚、免疫測定用ストリップを用いた検出の際、基質のストリップへの供給は、通常、検体等を含む展開液中に添加、溶解された形でなされるので、基質、基質を展開液に溶解させた状態で含有させておくこともできる。しかし、展開液の必要量を減らし、判定結果の経時的な変化を防止し、かつ、基質の保存性を向上させる観点からは、ストリップには基質のみを含有させておくことが好ましい。
【0041】
基質とは、酵素に対し特異的に結合する物質を意味し、標識物に対応するものを適宜選択して利用することができる。標識物として酵素を用いる場合の基質を例に挙げて説明すると、酵素と結合して発色又は発光するもの、例えば発色基質、蛍光基質、発光基質等を用いることができる。発色基質、蛍光基質、及び発光基質の具体例としては、使用する酵素に対応して以下のものを挙げることができる。
【0042】
発色基質は、酵素としてパーオキシダーゼを用いる場合には、過酸化水素と組合せた2,2'−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS)、3,3',5,5'−テトラメチルベンチジン(TMB)、ジアミノベンチジン(DAB)を用いることができる。また、アルカリフォスファターゼを用いる場合には、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−リン酸(BCIP)を用いることができる。
【0043】
一方、蛍光基質は、酵素としてアルカリフォスファターゼを用いる場合には、4−メチルウムベリフェニル−ホスフェート(4MUP)を用いることができる。また、β−D−ガラクトシダーゼを用いる場合には、4−メチルウムベリフェニル−β−D−ガラクトシド(4MUG)を用いることができる。
【0044】
更に、発光基質は、酵素としてアルカリフォスファターゼを用いる場合には、3−(2'−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−(3''−ホスフォリルオキシ)フェニル−1,2−ジオキセタン・2ナトリウム塩(AMPPD)を用いることができる。また、β−D−ガラクトシダーゼを用いる場合には、3−(2'−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−(3''−β−D−ガラクトピラノシル)フェニル−1,2−ジオキセタン(AMGPD)を用いることができる。そして、パーオキシダーゼを用いる場合には、過酸化水素と組み合わせたルミノール、イソルミノールを用いることができる。
【0045】
基質の含有量は、用いる酵素や基質の種類、対象とする検体等の各種条件により適宜決定することができる。通常は、50〜200μgとすることができる。
【0046】
基質含有部のストリップ上の位置は特に限定されず、吸引部の付設される末端以外のいずれの部分であっても良い。例えば、吸引部の付設される末端に対し他端側、好ましくは他端に位置させることができる。中央部(吸引部と基質含有部との間)に位置させることができる。
【0047】
免疫測定用ストリップに基質を含有させる方法としては、基質を溶液に溶解してストリップ、又は他の吸収部材に添加した後、乾燥させることにより形成することができる。
基質はストリップの任意の部分に含有させても良いし、また、免疫測定用ストリップ上に別の吸水部材に基質を含有させた基質含有パッドとして付設することもできる。ストリップの一部とする場合には、基質をストリップに直接点着して形成することができ、一方、基質含有パッドとして付設する場合には、基質を含む吸水性のパッドを付設する方法により行うことができる。吸水性のパッドとしては、前述のストリップにおいて説明した吸水性部材をそのまま利用することができる。基質含有パッドのサイズは、検体、展開液の種類、各部のサイズなどに基づき適宜設定することができる。通常は、幅1〜10mm、長さ10〜50mm、厚さ0.5mm〜2mmのものを用いることができる。基質含有パッドのストリップへの付設は、必要に応じて粘着テープ、ホットメルト剤等によるラミネートによることができる。
【0048】
免疫測定用ストリップは、免疫測定の際、表面のいずれかに検体が点着される。検体の点着される部位は、ストリップの表面であればいずれであっても良く、ストリップに含有される標識体と検体が結合可能な部位を適宜選択することができる。
【0049】
免疫測定用ストリップには、検体中に検出すべき抗原及び/又は抗体が存在するか否かを確認するための検出部位を形成することができる。
【0050】
検出部位は、ストリップの表面に対応する抗体及び/又は抗原を固定することにより形成することができる。固定は、共有結合等の化学結合、物理吸着等の方法によることができる。
また、検出すべき抗原及び/又は抗体に対応する抗体及び/又は抗原を、不溶性の担体に結合させ、これをストリップ内に含有させてもよい。不溶性の担体としては、ゼラチン、アラビアゴム及びヘキサメタリン酸ナトリウムからなる混合物を不溶化して得られる粒子(特公昭63−29223号公報参照)、ポリスチレンラテックス、各種動物赤血球、ガラス繊維等を挙げることができる。不溶性の担体と抗体及び/又は抗原との結合は、前記化学結合又は物理吸着によることができる。検出部の形状は、線状、円形状等の各種形状とすることができるが、中でも、線状とし、検体、基質、展開液等の輸液方向と直交するように形成することにより、検出感度を向上させることができるので好ましい。
【0051】
検出部位に固定する抗原及び/又は抗体の製造方法は問わず、標識体含有部の説明において挙げたものを利用することができる。また、複数種類の抗原及び/又は抗体を固定することもでき、この場合、各抗原及び/又は抗体をストリップ上の異なる位置にそれぞれ固定することにより、それぞれの抗原及び/又は抗体に対する抗体及び/又は抗原を分別して(例えば、2本の判定ラインとして)検出することが可能である。一方、各抗原及び/又は抗体を混合して固定することにより、それぞれの抗原及び/又は抗体に対する抗体及び/又は抗原を区別せずに検出することもできる。
【0052】
検出部位の位置は、ストリップの表面であれば特に限定されないが、吸引部に隣接して設けることが好ましい。
【0053】
本発明の免疫測定用ストリップの一例を図1〜図2に示す。図1は、本発明の免疫測定用ストリップの一例を、表面上方より見た時の模式図である。図1の装置は、ストリップ1の一端に吸引部3が載置され、もう一方の端部には、標識体含有部4が設けられている。更に検出部位6が、吸引部と標識体を含有する部分とに挟まれる領域に位置するように設けられている。
【0054】
一方、基質含有パッドを付設する場合の本発明の免疫測定用ストリップの別の例を図3〜図5に示す。
図3は、本発明の免疫測定用ストリップの一例を、表面上方より見た時の模式図である。図3の装置は、ストリップ1の一端に吸引部3が設けられ、もう一端に基質含有部5が別の部材(基質含有パッド)として載置されている。また、中央部に標識体含有部4が別の部材(標識体含有パッド)として載置されている。また、標識体含有部4と吸引部3の間に、検出部位6が設けられている。吸引部3の幅は、ストリップ1の幅と比較して広く、また、標識体含有部4や基質含有部5の幅も、ストリップ本体2と比較して若干広い。
【0055】
図4は、本発明の免疫測定装置の更に別の一例を側面から見たときの模式図である。また、図5は、図4の装置を上面から見たときの模式図である。
図4の装置は、図3と同様の構成をとるが、ストリップ1の下に台紙7が設けられている点、台紙7とストリップ1と吸引部3との間、台紙7とストリップ1と基質含有部5との間、及び基質含有部5と標識体含有部4との間が、粘着テープ(シール)8で接続されている。台紙7は、吸引部3の長さよりも若干長く作られている。
【0056】
免疫測定用ストリップは、標識物の種類によりプラスチック、金属、紙等の支持部材上に積層し固定して用いることもできる。
免疫測定用ストリップは、検体を必要に応じて展開液に混合した状態でストリップ上に供給することにより、所望の抗体や抗原の検体における存在の有無を調べることができる。例えば、図1及び図2の例では、標識体含有部に展開液で希釈した検体をピペット等により供給して、操作を行うことができる。また、図3〜図5の例では、測定開始時に基質含有部を展開液の入った容器に浸して行うことができる。
【0057】
本発明における検体は、免疫測定の対象となり得る試料を意味し、例えば、血清、血漿、全血、尿、粘膜分泌液(鼻腔吸引液、咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液など)等の各種生体試料とすることができる。
展開液とは、抗体や抗原が可溶性な液体であれば特に限定されず、各種緩衝液を用いることができ、また、必要に応じて界面活性剤、緩衝剤等を適宜含有させることができる。緩衝剤を含む緩衝液としては、例えば酢酸緩衝液、ほう酸緩衝液、トリス−塩酸緩衝液、ジエタノールアミン緩衝液等を挙げることができる。展開液の含有量、検体の希釈割合は、基質や展開液の組成などに応じて適宜設定することができる。
【0058】
このような本発明の免疫測定用ストリップは、免疫測定装置として有用であり、以下(3)にて説明するように、本発明はこのような免疫測定装置をも提供するものである。
【0059】
(3)本発明の免疫測定装置
本発明の免疫測定装置は、検体中の抗原及び/又は抗体を抗原抗体反応により測定するための装置を意味し、前記の免疫測定用ストリップを包含することを特徴とする。
【0060】
本発明の免疫測定装置は、上述した免疫測定用ストリップをカセット(ケース、容器)に収納した形の構成とすることができる。カセットの形状は、上述した各部を支持し、保護するものであれば良い。カセットには、検体の点着や検体の判定を容易にするため、ストリップにおける検出部位での検体の反応を観察するための検出判定窓や、検体を点着するための検体点着窓を設けることができる。
【0061】
検体は、通常、展開液に溶解させてからカセット内の免疫測定用ストリップに供給されるが、カセット内に、免疫測定用ストリップに展開液を供給するための展開液供給部を設けることもできる。
【0062】
ストリップへの展開液の供給は、測定開始時に展開液供給部を展開液の入った容器に浸して行うことや、スポイトで供給することができるが、展開液を収容した展開液収容部を別途設け、測定開始時に該収容部を破断して測定を開始することもできる。
【0063】
展開液収容部は、展開液を収容できる液槽であれば良く、更に衝撃により破断して展開液供給部に展開液を供給できる構造であることが好ましい。例えば、開口部を有する容器であって、その内部に展開液が蓄えられ、かつ開口部は、アルミフィルムなどの金属箔又は薄いプラスチックフィルムのような、指の力で破断できる破断性膜で被覆される構造とすることができる。
【0064】
更に、展開液収容部の位置は、通常、免疫測定用ストリップに隣接する位置とすることができ、ストリップとして基質含有部を設ける場合には、基質含有部に隣接する部位とすることが好ましい。このようにすることにより、測定時に液槽を破って展開液とストリップを接触させて測定を開始することができる。
【0065】
また、展開液収容部からストリップへの展開液の供給を容易にする観点から、展開液収容部の上部に、凸部を備え、凸部内部に、前記した展開液収容部の開口部のフィルム等を破断するための突起が敷設されているものが好ましい。更に、展開液を蒸散させるための蒸散窓を吸水部の上面に設ける構造とすることもできる。
カセットの材料は特に限定されず、柔軟性、取り扱いの容易性の観点から、プラスチックとすることが好ましい。
【0066】
免疫測定用ストリップをカセットで包含し免疫測定装置とするにあたり、先述の図3の形態のように粘着テープで接合しない免疫測定用ストリップを用いる場合には、各部材をカセットにはめ込み固定する形で製品として供することができ、一方、図4のような粘着テープ8で各部を接続することにより、全体を一体としてカセットにはめ込むことができる。この場合、図5に示すように、吸引部3の幅をストリップ1の幅と一致させることにより、装置の製造が容易になると共に、材料を有効活用してより多量の製品を製造することができる。また、台紙7に穴7aを設けることにより、穴7aをカセットのピンにはめて装着することが容易となる。
【0067】
カセットを備える免疫分析装置の例を、図6に示す。図6の装置2では、凸部12を押すと、凸部が変形して内部の突起(図示せず)が下の展開液収納部(図示せず)を破裂させ、基質含有部5に展開液を供給することができる。また、検体をストリップ上に点着するための検体滴下窓10が設けられ、また、検出部位6上には、検出窓11が設けられている。
【0068】
このような本発明の免疫測定装置は、各種検体中の抗原及び/又は抗体を抗原抗体反応により測定することができる。すなわち、検体中に特定の抗原及び/又は抗体が含まれているか否かを調べること(検出)、検体中に含まれる抗原及び/又は抗体の種類を特定すること(同定)、検体中に含まれる抗原及び/又は抗体の量を測定すること(定量)を目的として、用いることができる。検体については、免疫測定用パッドの検体について述べたのと同様である。
【0069】
本発明の免疫測定装置を用いた免疫測定方法の一例を、更に詳細に説明すると以下の通りである。
まず、検体(例えば、血清など)を装置(例えば、標識体を含有する部分)に供給する。供給された検体中に測定対象である抗原及び/又は抗体が含まれている場合は、この抗原及び/又は抗体が、免疫測定装置中のストリップに含まれる抗体及び/又は抗原の標識体と反応し複合体を形成する。
一方、展開液を、検体と混合した状態で、或いは検体とは別個に検体供給と同時に又は順次、装置に供給すると、展開液は、前記複合体をストリップに浸透させると共に該複合体を毛細管現象により吸引部側に向かって移動させる。基質をストリップに含有させる場合、展開液は、上記複合体中の標識物(例えば酵素)と基質とを結合させ、これらの結合体を毛細管現象により吸引部側に向かって移動させる。上記複合体又は結合体が展開液によりストリップを移動して検出部位に到達すると、前記複合体又は基質の結合体、及び検体中の抗原及び/又は抗体は、検出部位に固定化されている抗体及び/又は抗原にトラップされ、検出部位にとどまる。その結果、前記複合体又は結合体が発色又は発光するので、検出部位上で発色を確認することができる。尚、検出部位でトラップされなかった成分や展開液は、吸引部に吸収される。
【0070】
これに対し、検体中に測定対象である抗原及び/又は抗体が含まれなかった場合、標識体との複合体が形成されないため、検出部位に固定化されている抗体及び/又は抗原にトラップされることがなく吸引部に吸収される。従って、検出部位上に発色や発光が観察されない。
【0071】
発色や発光の観察方法は、標識物の種類により適宜定めることができ、目視のほか、シンチレーションカウンター、比色計、蛍光光度計、フォトンカウンター、感光フィルム等の測定装置を用いて実施することも可能である。例えば、標識物として酵素を用い発色基質により生成する色素(判定ライン)の有無を定性的に目視で測定する方法が簡便である。この場合、抗体の濃度に対応した色票(カラーチャート)を用いることにより半定量的な分析が可能となる。
【実施例】
【0072】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
〔シリカゲル入り吸収パッドの吸水量の測定〕
以下の実施例1〜2及び比較例1〜2では、シリカゲルの含有量を変えた吸収パッドを用いた免疫測定装置を用意し、各装置における吸収パッドの吸水量を測定して、吸収パッドにおけるシリカゲルの含有量と吸水量との関連を調べた。
【0073】
実施例1
シリカゲルを50%(乾燥重量における%。本明細書において吸収パッド中のシリカゲルの含有割合を表す「%」は、乾燥重量における%を表すものとする。)含有するシリカゲル入り吸収パッド(長さ15mm、幅5mm、厚さ1mm:安積濾紙株式会社)を用意した。この吸収パッドを、ストリップとしてのメンブレン、標識体含有部及び基質含有部としての吸水性部材に積層してシールでラミネートし、メンブレンを台紙に貼り付けてこれをカセットに固定し、図6に示す免疫測定装置を作成した。尚、免疫測定装置において、免疫測定用ストリップとしてはニトロセルロース膜(長さ50mm、幅5mm、厚さ0.25mm)を用いた。また、標識体として、アルカリフォスファターゼ(Alp)標識インフルエンザ抗体を用い、該抗体を、BSA(1〜0.5%含有)、アルカリ処理カゼイン(1〜0.5%含有)、界面活性剤(トライトンX−100)およびシュークロースを含む溶液に溶解して吸水性部材(ポリビニルアルコール製、長さ21mm、幅5mm、厚さ0.5mm)に点着、乾燥させ標識体含有部として用いた。更に、基質(Sub.)としては、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−リン酸二ナトリウム塩(BCIP、Na)20mMを用いた。そして、展開液(running buffer)としては、0.1M 2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、1mM 塩化マグネシウム、0.05%アジ化ナトリウム、及び0.001%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)からなるpH9.8の緩衝液を用い、これらをシール(ARCare7815)でラミネートした。
【0074】
検体希釈液(0.095%アジ化ナトリウム、及び界面活性剤、BSAを含むトリス緩衝液)30μLを検体滴下部に加え、カセットの凸部を押して展開液を供給した。2,4,6,8,10及び12分経過後に吸収パッドを取り出して重量を測定し、吸収前の吸収パッド重量との差を吸水量として算出した。吸収パッドの吸水量の経時的変化を図7に示す。
【0075】
実施例2
シリカゲル入り吸収パッドとして、シリカゲルを70%の割合で含有するもの(長さ15mm、幅5mm、厚さ1mm:安積濾紙株式会社)を用いた他は、実施例1と同様にして試験を行った。吸収パッドの吸水量の経時的変化を図7に示す。
【0076】
比較例1
シリカゲル入り吸収パッドとして、シリカゲルを30質量%の割合で含有するもの(長さ15mm、幅5mm、厚さ1mm:安積濾紙株式会社)を用いた他は、実施例1と同様にして試験を行った。吸収パッドの吸水量の経時的変化を図7に示す。
【0077】
比較例2
シリカゲル入り吸収パッドの代わりにワイン濾紙(ワットマンジャパン株式会社製、商品名:ワイン濾紙、長さ15mm、幅10mm、厚さ1mm)を用いた他は、実施例1と同様にして試験を行った。吸収パッドの吸水量の経時的変化を図7に示す。
【0078】
図7から、実施例1〜2及び比較例1〜2の各装置の吸水量は、シリカゲル30%含有吸収パッドを用いた装置(比較例1)では、コントロールの装置(比較例2)よりも低いが、シリカゲル50%含有吸収パッドを用いた装置(実施例1)ではコントロール(比較例2)の濾紙の大きさよりも吸収パッドの大きさが小さいにもかかわらず吸水量が若干高く、シリカゲル70%含有吸収パッド(実施例2)では、コントロール(比較例2)よりもはるかに優れていることが分かる。
この結果から、シリカゲルを50%以上含有する吸収パッドを用いた免疫測定装置は、吸水に優れ検出時間の短縮を図ることができることが明らかとなった。
【0079】
〔シリカゲル含有吸収パッドの感度試験〕
以下の実施例3〜4及び比較例3〜4では、シリカゲルの含有量を変えた吸収パッドを用いた免疫測定装置を用意し、各装置における検出時間を測定して、吸収パッドにおけるシリカゲルの含有量と検出時間との関連を調べた。
【0080】
実施例3
シリカゲルを50%の割合で含有するシリカゲル入り吸収パッド(実施例1と同様のもの)を用意し、ラミネートを白カセットで包んで図6に示す免疫測定装置を作成した。
尚、免疫測定装置は、ストリップはニトロセルロース膜を用い、また、標識体含有部、基質、展開液及びシールは実施例1と同様のものを用いて、実施例1と同様に作製した。
【0081】
組み換えA型、B型インフルエンザ抗原を上記実施例1の検体希釈液で80万〜640万倍に希釈したもの30μLを検体滴下部に加え、カセットの凸部を押して展開液を供給し、検出部に判定ラインが表示されるまでの時間を測定し、これを検出時間とした。検出条件は、25.1〜25.5℃、湿度55〜57%とした。検出までに要する時間(検出時間)を図8に示す。
【0082】
実施例4
シリカゲル入り吸収パッドとして、シリカゲルを70質量%の割合で含有するもの(実施例2と同じもの)を用いた他は、実施例3と同様にして試験を行った。吸収パッドの吸水量の経時的変化を図8に示す。
【0083】
比較例3
シリカゲル入り吸収パッドとして、シリカゲルを30質量%の割合で含有するもの(比較例1と同様のもの)を用いた他は、実施例3と同様にして試験を行った。検出時間を図8に示す。
【0084】
比較例4
シリカゲル入り吸収パッドの代わりにワイン濾紙を用いた他は、実施例3と同様にして試験を行った。検出時間を図8に示す。
【0085】
図8から明らかなように、各装置の検出時間は、シリカゲル30%含有吸収パッドを用いた装置(比較例3)において、コントロールである濾紙を用いた装置(比較例4)よりも大幅に延長するのに対し、シリカゲル50%含有吸収パッド(実施例3)ではコントロールよりも若干短縮化され、シリカゲル70%含有吸収パッド(実施例4)では、はるかに短縮化された。
このことから、シリカゲルを50%以上含有する吸収パッドを用いた免疫測定装置は、検出時間を短縮することができることが明らかとなった。
【0086】
〔吸収パッドの幅〕
以下の実施例5及び比較例5〜6では、シリカゲルを含有する吸収パッドと含有しない吸収パッドとで、吸収パッドの幅を狭くした場合の検出時間を測定して、吸収パッドの幅とシリカゲルの有無とが検出時間に与える影響を調べた。
【0087】
実施例5
シリカゲルを70%の割合で含むシリカゲル入り吸収パッド(安積シリカ濾紙、長さ15mm、幅5mm、厚さ1mm)を用意し、図4又は図5に示すようにアクリル系粘着テープでラミネートを白カセットで包んで、図6に示す免疫測定装置を作成した。
【0088】
鼻腔吸引抽出検体液30μLを各装置の検体滴下部に加え、カセットの凸部を押して展開液を供給し、検出部に判定ラインが表示されるまでの時間を測定し、これを検出時間とした。
【0089】
比較例5
実施例5の吸収パッドの代わりに、同様のサイズ(長さ15mm、幅5mm、厚さ1mm)のワイン濾紙を用いて、実施例5と同様の免疫測定装置を作成した。この装置について、検出時間を実施例5と同様に測定した。
【0090】
比較例6
実施例5の吸収パッドの代わりに、幅の広いサイズ(15mm×5mm×1mm)のワイン濾紙を用いて、各部材をシールで接着せずに免疫測定装置を作成した。この装置について、検出時間を実施例5と同様に測定した。
【0091】
実施例5と比較例6の検出時間の比較を図9に示す。比較例5と比較例6の検出時間の比較を図10に示す。
【0092】
図10に示すように、比較例6よりも比較例5の方が検出時間が長いことから、シリカゲルを含まない吸収パッドの場合には、幅を狭くすることにより検出時間がより長時間化することが分かる。一方、図9に示すように、実施例5よりも比較例6の方が検出時間が長いことから、シリカゲル含有吸収パッドを用いた場合には、幅を狭くしても検出時間が延長しないどころか、むしろ短縮されることが明らかである。
このことから、シリカゲルを含有する吸収パッドを用いることにより、吸収パッドの幅をラミネートに適した幅まで狭小化しても、短時間での検出を測る免疫測定装置を得られることが明らかとなった。
【0093】
〔シリカゲルの平均粒子径〕
以下の実施例6〜9では、シリカゲルの平均粒子径が検出時間に与える影響について調べた。
【0094】
実施例6
平均粒子径の範囲が3.5〜4.5μmのシリカゲルを70%含有するシリカゲル含有吸収パッド(安積濾紙株式会社)を用意し、実施例1と同様に図6に示す免疫測定装置を作成した。実施例3と同様の手順、条件にて検出時間を測定した。結果を図11に示す。
【0095】
実施例7
実施例6の吸収パッドの代わりに、平均粒子径の範囲が13〜14μmのシリカゲルを70%含有するシリカゲル含有吸収パッド(安積濾紙株式会社)を用いて、実施例6と同様の免疫測定装置を作成した。この装置について、検出時間を実施例6と同様に測定した。結果を図11に示す。
【0096】
実施例8
実施例6の吸収パッドの代わりに、平均粒子径の範囲が2.5〜3μmのシリカゲルを70%含有するシリカゲル含有吸収パッド(安積濾紙株式会社)を用いて、実施例6と同様の免疫測定装置を作成した。この装置について、検出時間を実施例6と同様に測定した。結果を図11に示す。
【0097】
実施例9
実施例6の吸収パッドの代わりに、平均粒子径の範囲が6.5〜7.0μmのシリカゲルを70%含有するシリカゲル含有吸収パッド(安積濾紙株式会社)を用いて、実施例6と同様の免疫測定装置を作成した。この装置について、検出時間を実施例6と同様に測定した。結果を図11に示す。
【0098】
図11から明らかなように、実施例6〜9の各装置の検出時間はいずれも7分〜9分の間であり、特に実施例6(平均粒子径の範囲が3.5〜4.5μm)と実施例8(平均粒子径の範囲が2.5〜3.0μm)では、7分前半と非常に短かった。
このことから、シリカゲルを含有する吸収パッドを用いた免疫測定装置にうよれば、短時間での検出が可能であり、特に平均粒子径の範囲が4.5μm以下のシリカゲルを含有する吸収パッドを用いた場合には検出時間をより短縮化できることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】図1は、本発明の免疫測定用パッドの一例を、表面上方より見たときの模式図である。
【図2】図2は、本発明の免疫測定用パッドの一例を側面から見たときの模式図である。
【図3】図3は、本発明の免疫測定用パッドの一例を、表面上方より見たときの模式図である。
【図4】図4は、本発明の免疫測定用パッドの一例を側面から見たときの模式図である。
【図5】図5は、図4の装置を上面から見たときの模式図である。
【図6】図6は、カセットを備える免疫測定装置を側面から見たときの模式図である。
【図7】図7は、実施例1及び2、並びに比較例1及び2の各免疫測定装置における吸収パッドの吸水量の経時的変化を示す図である。
【図8】図8は、実施例3及び4、並びに比較例3及び4の各免疫測定装置における検出時間を示す図である。
【図9】図9は、実施例5を用いた免疫測定装置と、比較例6を用いた免疫測定装置との検出時間の比較を示す図である。
【図10】図10は、比較例5を用いた免疫測定装置と、比較例6を用いた免疫測定装置との検出時間の比較を示す図である。
【図11】図11は、実施例6〜9の各免疫測定装置における検出時間を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
1 免疫測定用ストリップ
2 免疫測定装置
3 吸引部
4 標識体含有部
5 基質含有部
6 検出部位
7 台紙(基材)
8 粘着テープ(シール)
9 カセット(ケース)
10 検体滴下窓
11 検出窓
12 凸部
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫測定用吸収パッド、免疫測定用ストリップ及び免疫測定装置に関し、詳しくは、吸水性に顕著に優れる免疫測定用吸収パッド、及び、前記吸収パッドを利用する検出時間の短縮化された免疫測定用ストリップ、免疫測定装置並びにこれらの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
血液や尿等の検体に含まれる生体成分や薬物の分析は、病態の診断や治療経過の判定に重要である。そこでこの生体成分、薬物等を簡便に検出するための装置として、抗原抗体反応を利用して測定する免疫測定装置が用いられている。
【0003】
従来から、病態の診断や治療経過の判定において、血液、尿、粘膜分泌物等の生体から採取された生体試料の免疫学的な分析が行われてきた。免疫学的な分析に用いられる装置として、抗原抗体反応を利用する酵素免疫アッセイ装置が開発されている(特許文献1〜4参照)。
【0004】
前記酵素免疫アッセイ装置は、例えば、検体中の抗原又は抗体と、前記抗原又は抗体と反応する抗体又は抗原の酵素標識体と、更に前記抗原又は抗体と反応する抗体又は抗原との3者間で抗原抗体反応によるサンドイッチ複合体を形成させ、該複合体の有無を、酵素反応により発色する基質などを利用して検出等するものである。これらの装置においては、各成分を展開液に順次溶解させると共に、溶液を装置内の一定の方向に移動させるため(特許文献3参照)、装置の下流に当たる末端に吸収パッドが設けられている。
【0005】
吸収パッドは、吸水性の素材からなるものであり、例えば、吸水性の濾紙、ガラス繊維などでできた不織布、多孔性材料や繊維状部材(特許文献4)、などが適用可能とされていた。
【0006】
【特許文献1】特許第3248436号公報
【特許文献2】特許第3284896号公報
【特許文献3】特表2005−503556号公報
【特許文献4】特開2005−83927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の吸水性素材を用いた吸収パッドはいずれも吸水性が不十分であり、これらを用いた装置は、検出までにある程度の時間を要するものとなっていた。特に測定対象が感染症の抗原又は抗体の場合、治療を速やかに進める観点、感染症の拡大を防ぐ観点などから、検出時間はできるだけ短い方が良い。
【0008】
一方、従来の免疫測定装置の製造は、各部材をカセット内に個々に積層する方式によっており、吸収パッドとして比較的幅の広いものを利用して吸水性を高めることができた。しかし、近年は、吸収パッドを含む各部材をすべてシールで接着し一体化してからカセットに収めるラミネート方式が主流となりつつあり、この場合製造効率向上のため吸収パッドとして幅の狭いものが利用されることが多い。よって、近年の製造方式に即した、吸水性に顕著に優れる吸収パッドが要望されていた。
【0009】
ここで、免疫測定装置の検出時間を短縮するための手段として通常考えられる方針としては、展開液が吸収され移動するメンブレン部のポアを拡大する等によるキャピラリティーの向上が挙げられる。しかし、ポアを拡大すると、判定結果を示す判定ラインがシャープに出ないという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、上記従来の問題点に鑑みて、顕著な吸水性を示し、免疫測定装置に用いた場合に、検出時間の短縮を図ることができる吸収パッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は鋭意研究を行った結果、従来の吸水性パッドにも用いられてきた吸水性素材に、特定の吸湿率を示すケイ素含有粒子を一定量以上含有させることにより、吸水性が顕著に向上することを見出した。
更に、この吸水性パッドを用いた免疫測定装置は、検出時間の短縮化を図ることができ、しかも、幅の狭い吸水性パッドを用いた場合にも、幅の広い従来の吸水性パッドを装着した免疫測定装置よりも検出時間の短縮化を図ることができることも見出した。
本発明は、係る知見に基づくものである。
【0012】
本発明によれば、以下の〔1〕〜〔8〕が提供される。
〔1〕 湿度60%以下における吸湿率が30%以下であり、かつ湿度90%以上における吸湿率が40%以上であるケイ素含有粒子を、50質量%以上含有することを特徴とする免疫測定用吸収パッド。
〔2〕 前記ケイ素含有粒子が、シリカゲルである前記〔1〕に記載の免疫測定用吸収パッド。
〔3〕 検体中の抗原及び/又は抗体を抗原抗体反応により検出するためのストリップであって、
検出すべき抗原及び/又は抗体に対応する抗体及び/又は抗原の標識体を含有する標識体含有部を備え、
前記〔1〕又は〔2〕に記載の吸収パッドからなる吸引部が付設されてなることを特徴とする免疫測定用ストリップ。
〔4〕 前記標識体に対する基質を含有する基質含有部を更に備えることを特徴とする前記〔3〕に記載の免疫測定用ストリップ。
〔5〕 前記基質含有部は、吸引部の付設される末端に対し他端側に位置し、前記標識体含有部は、基質含有部と吸引部との間に位置することを特徴とする前記〔4〕に記載の免疫測定用ストリップ。
〔6〕 検体中の抗原及び/又は抗体を抗原抗体反応により測定するための装置であって、前記〔3〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の免疫測定用ストリップを包含することを特徴とする免疫測定装置。
〔7〕 前記ストリップに展開液を供給するための展開液供給部を更に備えることを特徴とする前記〔6〕に記載の免疫測定装置。
〔8〕 前記〔3〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の免疫測定用ストリップを用いて、検体中の抗原及び/又は抗体を抗原抗体反応により測定する免疫測定方法。
〔9〕 前記〔6〕又は〔7〕に記載の免疫測定装置を用いて、検体中の抗原及び/又は抗体を抗原抗体反応により測定する免疫測定方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、顕著な吸水性を示す免疫測定用吸収パッド、及び短時間で正確な検出が可能な免疫測定用ストリップ並びに免疫測定装置が提供される。したがって、本発明は、感染症等の病態の診断や治療経過の判定の迅速化に寄与するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、免疫測定用吸収パッド、前記パッドを利用した免疫測定用ストリップ及び免疫測定装置に関するものであり、以下、順に説明する。
【0015】
(1)本発明の免疫測定用吸収パッド
本発明の免疫測定用吸収パッドは、湿度60%以下における吸湿率が30%以下であり、かつ湿度90%以上における吸湿率が40%以上であるケイ素含有粒子を、50質量%以上含有することを特徴とする。
【0016】
本発明においてケイ素含有粒子とは、ケイ素(Si)やケイ素化合物を含有する粒子を意味する。ケイ素化合物とは、ケイ素と化合した物質を意味し、酸化ケイ素(石英、SiO2)、窒化ケイ素(Si3N4)、炭化ケイ素(SiC)等を挙げることができる。ケイ素やケイ素化合物の含有割合は、特に問わない。また形状については、粒状が好ましい。微粒子の平均粒子径は、細孔容積にもよるが一般的に小さいほうが望ましい。具体的には、14μm以下であることが好ましく、4.5μm以下であることがより好ましい。
平均細孔径については、25〜240オングストローム、特に70〜210オングストロームのものが好ましい。細孔容積については、0.44〜1.80ml/g、特に0.80〜1.60ml/gのものが好ましい。
【0017】
このようなケイ素含有粒子としては、シリカゲルが好ましい。シリカゲルとは、酸化ケイ素(SiO2)のゲルであり、多孔性の粉末である。本発明で好ましく用いられるシリカゲルとしては、粒子の凝集が粗で、かつ、粒子径が大きく表面積が小さく細孔容積が大きいものを挙げることができる。より具体的には、JIS Z 0701に準拠したB形シリカゲルが好ましい。すなわち、JIS Z 0701の各試験方法により測定された、相対湿度20%、50%、90%における吸湿能力が、それぞれ3.0%以上、10.0%以上、50.0%以上であり、含水率が2.5%以下であり、pH値4〜8であり、比抵抗が3,000Ω・cm以上、成分が無水ケイ酸98%以上のものを好ましく用いることができる。
【0018】
本発明においては、湿度60%以下における吸湿率が30%以下であり、かつ湿度90%以上における吸湿率が40%以上であるケイ素含有粒子を用いることが必要である。好ましくは、湿度60%以下における吸湿率が20%以下であり、かつ、湿度95%以上における吸湿量が70%以上のケイ素含有粒子を挙げることができる。上述の吸湿率の範囲を逸脱すると、免疫測定開始前にも水分を吸ってしまい、実際の免疫測定における検出時間の短縮を妨げる可能性がある。一方、吸湿率の下限については、免疫測定反応時に吸収パッドとしての機能を十分に発揮する範囲で適宜設定することができる。
尚、吸水率は、シリカゲルの吸湿質量からシリカゲルの乾燥質量を差し引いた値を、シリカゲルの乾燥質量で割った数値に100を乗じて得ることができる。
【0019】
また、本発明の吸収パッドは、上述のようなケイ素含有粒子を、乾燥重量で50質量%以上含有することが必要である。含有割合が50質量%未満の場合には、吸水率が不十分となり、検出時間の向上があまり認められない。
【0020】
吸収パッドの素材としては、吸水性を有するものであれば、特に限定されない。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、不織布、セルロース等の多孔質、スポンジ、濾紙等の合成又は天然の高分子化合物からなる材料を単独又は組み合わせて構成することができる。吸収パッドの大きさ及び厚さは限定されないが、通常縦と横が3mm〜15mm程度で厚さが0.5mm〜4mm程度のパッドを用いることが、効率よく測定を行うためには好ましい。このような吸収パッドの製造法は特に限定されず、例えば、原料(例えば濾紙)とケイ素含有粒子(シリカゲル)を有機溶媒中で混合し、その後有機溶媒を飛ばして製造することができる。
【0021】
このような本発明の免疫測定用吸収パッドは、免疫測定用ストリップの吸収パッドとして有用である。免疫測定用ストリップとは、検体中の抗原及び/又は抗体を抗原抗体反応を利用して免疫学的に測定するためのデバイスである。抗原抗体反応を利用した測定方法としては、例えば、酵素免疫測定法(EIA:Enzyme Immuno Assay)、イムノクロマト法、イムノブロット法等を挙げることができる。
本発明の吸収パッドを利用した免疫測定用ストリップとして好ましいものは、以下に述べるものである。
【0022】
(2)本発明の免疫測定用ストリップ
免疫測定用ストリップとは、上述の通り、検体中の特定の物質を免疫学的に測定するためのストリップを意味する。免疫測定用ストリップの材料は、検体、標識体、基質、展開液等が浸透し移動することができる材料の中から適宜選択することができ、特に、毛細管作用により輸液可能な材料が好ましい。例えばメンブレン(膜)素材として用いられる吸水性材料を挙げることができ、具体的には、セルロース、ニトロセルロース等のセルロース又はその誘導体、ガラス繊維等により形成されたろ紙、多孔質膜等が挙げられる。また、ストリップは、その一部をタンパク質の非特異反応による吸着を防止するために、例えば牛血清アルブミン(BSA)、カゼイン、シュークロース等でブロッキングして用いることもできる。
【0023】
免疫測定用ストリップの形状やサイズには制限はないが、例えば幅3mm〜10mm、長さ30mm〜100mm程度のストリップ状とすることができ、特に、本発明の免疫測定用ストリップにおいては上記(1)で説明した吸収パッドを吸引部として付設しているため、より細長い形とすることも可能である。ストリップの厚さは100μm〜1mmのものを用いることが好ましい。尚、厚さについては、吸引部や後述の基質含有部ほど多量の液を含浸する必要はないので、比較的薄く形成することも可能である。
【0024】
本発明の免疫測定用ストリップは、前記(1)で説明した吸収パッドからなる吸引部が付設されてなるものである。
吸引部は、抗原、抗体、検体等のストリップへの浸透及びストリップ内の移動を容易にするための吸水性の部材であり、本発明においては、吸引部として上述した吸収パッドを用いることが必要である。これにより、検体中の微量成分の検出感度が高まり、かつ、多量の検体液の分析を行うことが可能となる。
【0025】
吸引部の形状やサイズは特に限定されないが、ストリップ上に設置できるサイズとすることが好ましい。一例を挙げると、幅は1〜10mm、特に4〜6mmとすることが好ましい。長さは10〜50mm、特に13〜17mmとすることが好ましい。厚さは0.5〜2mm、特に0.7〜1.2mmとすることが好ましい。
本発明においては吸引部として上述の吸収性に優れた吸収パッドを用いるため、より小型の細長い形状としても、優れた吸収性を発揮することができ、検出時間を短時間とすることができる。
【0026】
吸引部のストリップ上の位置については、検出時に、吸引部の作用により検体や標識体がストリップ内を特定方向に移動するような位置であれば、特に限定されないが、ストリップの一方の末端に付設されることが好ましい。吸引部としての吸引パッドのストリップへの付設は、必要に応じて粘着テープ、ホットメルト剤等によるラミネートによることができる。
【0027】
本発明の免疫測定用ストリップは、検出すべき抗原及び/又は抗体に対応する抗体及び/又は抗原の標識体を含有する標識体含有部を備える。標識体を含有させることにより、ストリップ内部において検体と共に吸引部により吸引され、検体と共に複合体を形成するので、検体の検出が容易となる。また、標識体として酵素標識体を利用する場合には、酵素標識体が基質と結合して基質結合標識体となり、更に検体と基質結合標識体がサンドイッチ複合体を形成するので、検体の検出がよりいっそう容易となる。
【0028】
標識体とは、検出すべき抗原及び/又は抗体に対応する抗体及び/又は抗原に何らかの標識物を結合させたものを意味する。すなわち、検出対象が抗原の場合には、これに対応する抗体の標識体が含有され、検出対象が抗体の場合には、これに対応する抗原の標識体が含有される。2種類以上の抗体や抗原を含有することも可能である。
【0029】
標識される抗体及び/又は抗原は、検出すべき抗原及び/又は抗体に対し抗原抗体反応を示すものである限り、製造方法などは特に限定されない。例えば、常法により細胞培養により得られる抗体及び/又は抗原を利用することもできるし、遺伝子組み換えを行って得られるリコンビナント抗体及び/又は抗原を用いることもできる。また、2以上の抗原を融合させて製造された融合抗原、Fabフラグメント、F(ab)2フラグメント等の抗体断片、ハプテン等であっても良い。
【0030】
標識物としては、例えば、酵素、放射性同位元素、ラテックス、金属コロイド粒子、蛍光粒子、着色粒子等を挙げることができる。
【0031】
酵素としては、従来、酵素免疫測定法(EIA:Enzyme Immuno Assay)に用いられる各種酵素を挙げることができる。例えば、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ等を挙げることができる。放射性同位元素としては、例えば、ヨウ素、トリチウム、炭素等の同位元素を挙げることができ、例えばボルトンハンター試薬等を用いて行う方法を用いて標識することができる。
【0032】
ラテックスとしては、例えば、ポリスチレンラテックス等の高分子化合物の粒子を挙げることができる。金属コロイド粒子とは、各種金属コロイドからなる粒子であり、例えば、セレニウム、白金、金等の金属コロイドからなる粒子を挙げることがきる。粒子の粒径は直径10nm〜1μmであることが好ましい。
【0033】
蛍光粒子とは、蛍光を発する粒子を意味し、例えば、フルオレセイン、ローダミン、シアン化白金等の蛍光物質を含むポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ガラス等の粒子を挙げることができる。着色粒子とは、各種染料、顔料等により着色された有機高分子化合物又は無機化合物で構成される粒子であり、例えばポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ガラス等を単独又は混合した材料で構成される。蛍光粒子及び着色粒子としては、粒径が10nm〜1μmであることが好ましい。
【0034】
抗体及び/又は抗原の標識物は、抗体及び/又は抗原と標識物との間に、常法により共有結合又は非共有結合を形成して製造することができる。具体的には例えば、グルタルアルデヒド法、過ヨウ素酸法、マレイミド法、ピリジル・ジスルフィド法、各種架橋剤を用いる方法等を利用することができる(例えば、「蛋白質核酸酵素」別冊31号、37〜45頁(1985)参照)。架橋剤を用いる結合方法の場合に用いることのできる架橋剤としては、例えば、N−スクシンイミジル−4−マレイミド酪酸(GMBS)、N−スクシンイミジル−6−マレイミドヘキサン酸、N−スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸等が挙げられる。
【0035】
共有結合を形成する方法の場合には、抗原又は抗体に存在する官能基を用いることができる他、例えばチオール基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基等の官能基を予め導入したのち、前記結合法により標識物を製造することができる。また非共有結合を形成する方法としては、物理吸着法等を挙げることができる。
【0036】
標識体含有部のストリップ上の位置は特に限定されず、吸引部の付設される末端以外のいずれの部分であっても良い。例えば、吸引部の付設される末端に対し他端とすることもできるし、後述する基質含有部を備えさせる場合には中央部(吸引部と基質含有部との間)に位置させることができる。
【0037】
標識体含有部は、ストリップの本体に対し、或いは標識体含有パッドとしての別個の吸水性材料に対し、乾燥させた標識体を含有させて形成することができる。標識体含有部に含有される標識体の量は、標識体含有部をストリップの一部とするか或いは別個の部材とするか、検査対象である抗体及び/又は抗原の種類、測定に用いる検体の量、等により適宜変更することができるが、通常、乾燥重量で0.01μg〜5μg程度である。
【0038】
標識体をストリップ本体に含有させる場合には、ストリップの軽量化を図ることができると共に容易に製造することができる。この場合、標識体としてラテックスや金属コロイドの標識体を含有させることが好ましい。
一方、標識体含有パッドとしてストリップとは別個の吸水性材料をストリップ上に付設することにより、標識体を十分含有させることができ、展開液のストリップ内の移動をスムーズに行わせることができ、かつ、検体を多量に用いても高い感度かつ短時間で正確な免疫測定が可能である。吸水性材料としては、標識体を多量に含有するものであるものが好ましく、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、不織布、セルロース等の多孔質、スポンジ、濾紙等の合成又は天然の高分子化合物からなる材料を挙げることができ、これらを単独又は組み合わせて使用することができる。
【0039】
標識体含有パッドの形状やサイズは特に限定されないが、ストリップ上に設置できるサイズのストリップ形状のものとすることができる。通常は、幅1〜10mm、長さ3〜30mm、厚さ0.5〜2mmのものを用いることができる。標識体含有パッドは、必要に応じて粘着テープ、ホットメルト剤等にてラミネートしてストリップ上に設置することができる。
【0040】
本発明の免疫測定用ストリップは、前記抗体及び/又は抗原の標識体に対する基質を含有する基質含有部を更に備えるものであっても良い。このような構成をとることにより、特に、ストリップに含有させる標識体が酵素標識体の場合には、基質含有部を予め酵素に対する基質を含有させて検出を簡便に行うことができるので好ましい。
尚、免疫測定用ストリップを用いた検出の際、基質のストリップへの供給は、通常、検体等を含む展開液中に添加、溶解された形でなされるので、基質、基質を展開液に溶解させた状態で含有させておくこともできる。しかし、展開液の必要量を減らし、判定結果の経時的な変化を防止し、かつ、基質の保存性を向上させる観点からは、ストリップには基質のみを含有させておくことが好ましい。
【0041】
基質とは、酵素に対し特異的に結合する物質を意味し、標識物に対応するものを適宜選択して利用することができる。標識物として酵素を用いる場合の基質を例に挙げて説明すると、酵素と結合して発色又は発光するもの、例えば発色基質、蛍光基質、発光基質等を用いることができる。発色基質、蛍光基質、及び発光基質の具体例としては、使用する酵素に対応して以下のものを挙げることができる。
【0042】
発色基質は、酵素としてパーオキシダーゼを用いる場合には、過酸化水素と組合せた2,2'−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS)、3,3',5,5'−テトラメチルベンチジン(TMB)、ジアミノベンチジン(DAB)を用いることができる。また、アルカリフォスファターゼを用いる場合には、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−リン酸(BCIP)を用いることができる。
【0043】
一方、蛍光基質は、酵素としてアルカリフォスファターゼを用いる場合には、4−メチルウムベリフェニル−ホスフェート(4MUP)を用いることができる。また、β−D−ガラクトシダーゼを用いる場合には、4−メチルウムベリフェニル−β−D−ガラクトシド(4MUG)を用いることができる。
【0044】
更に、発光基質は、酵素としてアルカリフォスファターゼを用いる場合には、3−(2'−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−(3''−ホスフォリルオキシ)フェニル−1,2−ジオキセタン・2ナトリウム塩(AMPPD)を用いることができる。また、β−D−ガラクトシダーゼを用いる場合には、3−(2'−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−(3''−β−D−ガラクトピラノシル)フェニル−1,2−ジオキセタン(AMGPD)を用いることができる。そして、パーオキシダーゼを用いる場合には、過酸化水素と組み合わせたルミノール、イソルミノールを用いることができる。
【0045】
基質の含有量は、用いる酵素や基質の種類、対象とする検体等の各種条件により適宜決定することができる。通常は、50〜200μgとすることができる。
【0046】
基質含有部のストリップ上の位置は特に限定されず、吸引部の付設される末端以外のいずれの部分であっても良い。例えば、吸引部の付設される末端に対し他端側、好ましくは他端に位置させることができる。中央部(吸引部と基質含有部との間)に位置させることができる。
【0047】
免疫測定用ストリップに基質を含有させる方法としては、基質を溶液に溶解してストリップ、又は他の吸収部材に添加した後、乾燥させることにより形成することができる。
基質はストリップの任意の部分に含有させても良いし、また、免疫測定用ストリップ上に別の吸水部材に基質を含有させた基質含有パッドとして付設することもできる。ストリップの一部とする場合には、基質をストリップに直接点着して形成することができ、一方、基質含有パッドとして付設する場合には、基質を含む吸水性のパッドを付設する方法により行うことができる。吸水性のパッドとしては、前述のストリップにおいて説明した吸水性部材をそのまま利用することができる。基質含有パッドのサイズは、検体、展開液の種類、各部のサイズなどに基づき適宜設定することができる。通常は、幅1〜10mm、長さ10〜50mm、厚さ0.5mm〜2mmのものを用いることができる。基質含有パッドのストリップへの付設は、必要に応じて粘着テープ、ホットメルト剤等によるラミネートによることができる。
【0048】
免疫測定用ストリップは、免疫測定の際、表面のいずれかに検体が点着される。検体の点着される部位は、ストリップの表面であればいずれであっても良く、ストリップに含有される標識体と検体が結合可能な部位を適宜選択することができる。
【0049】
免疫測定用ストリップには、検体中に検出すべき抗原及び/又は抗体が存在するか否かを確認するための検出部位を形成することができる。
【0050】
検出部位は、ストリップの表面に対応する抗体及び/又は抗原を固定することにより形成することができる。固定は、共有結合等の化学結合、物理吸着等の方法によることができる。
また、検出すべき抗原及び/又は抗体に対応する抗体及び/又は抗原を、不溶性の担体に結合させ、これをストリップ内に含有させてもよい。不溶性の担体としては、ゼラチン、アラビアゴム及びヘキサメタリン酸ナトリウムからなる混合物を不溶化して得られる粒子(特公昭63−29223号公報参照)、ポリスチレンラテックス、各種動物赤血球、ガラス繊維等を挙げることができる。不溶性の担体と抗体及び/又は抗原との結合は、前記化学結合又は物理吸着によることができる。検出部の形状は、線状、円形状等の各種形状とすることができるが、中でも、線状とし、検体、基質、展開液等の輸液方向と直交するように形成することにより、検出感度を向上させることができるので好ましい。
【0051】
検出部位に固定する抗原及び/又は抗体の製造方法は問わず、標識体含有部の説明において挙げたものを利用することができる。また、複数種類の抗原及び/又は抗体を固定することもでき、この場合、各抗原及び/又は抗体をストリップ上の異なる位置にそれぞれ固定することにより、それぞれの抗原及び/又は抗体に対する抗体及び/又は抗原を分別して(例えば、2本の判定ラインとして)検出することが可能である。一方、各抗原及び/又は抗体を混合して固定することにより、それぞれの抗原及び/又は抗体に対する抗体及び/又は抗原を区別せずに検出することもできる。
【0052】
検出部位の位置は、ストリップの表面であれば特に限定されないが、吸引部に隣接して設けることが好ましい。
【0053】
本発明の免疫測定用ストリップの一例を図1〜図2に示す。図1は、本発明の免疫測定用ストリップの一例を、表面上方より見た時の模式図である。図1の装置は、ストリップ1の一端に吸引部3が載置され、もう一方の端部には、標識体含有部4が設けられている。更に検出部位6が、吸引部と標識体を含有する部分とに挟まれる領域に位置するように設けられている。
【0054】
一方、基質含有パッドを付設する場合の本発明の免疫測定用ストリップの別の例を図3〜図5に示す。
図3は、本発明の免疫測定用ストリップの一例を、表面上方より見た時の模式図である。図3の装置は、ストリップ1の一端に吸引部3が設けられ、もう一端に基質含有部5が別の部材(基質含有パッド)として載置されている。また、中央部に標識体含有部4が別の部材(標識体含有パッド)として載置されている。また、標識体含有部4と吸引部3の間に、検出部位6が設けられている。吸引部3の幅は、ストリップ1の幅と比較して広く、また、標識体含有部4や基質含有部5の幅も、ストリップ本体2と比較して若干広い。
【0055】
図4は、本発明の免疫測定装置の更に別の一例を側面から見たときの模式図である。また、図5は、図4の装置を上面から見たときの模式図である。
図4の装置は、図3と同様の構成をとるが、ストリップ1の下に台紙7が設けられている点、台紙7とストリップ1と吸引部3との間、台紙7とストリップ1と基質含有部5との間、及び基質含有部5と標識体含有部4との間が、粘着テープ(シール)8で接続されている。台紙7は、吸引部3の長さよりも若干長く作られている。
【0056】
免疫測定用ストリップは、標識物の種類によりプラスチック、金属、紙等の支持部材上に積層し固定して用いることもできる。
免疫測定用ストリップは、検体を必要に応じて展開液に混合した状態でストリップ上に供給することにより、所望の抗体や抗原の検体における存在の有無を調べることができる。例えば、図1及び図2の例では、標識体含有部に展開液で希釈した検体をピペット等により供給して、操作を行うことができる。また、図3〜図5の例では、測定開始時に基質含有部を展開液の入った容器に浸して行うことができる。
【0057】
本発明における検体は、免疫測定の対象となり得る試料を意味し、例えば、血清、血漿、全血、尿、粘膜分泌液(鼻腔吸引液、咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液など)等の各種生体試料とすることができる。
展開液とは、抗体や抗原が可溶性な液体であれば特に限定されず、各種緩衝液を用いることができ、また、必要に応じて界面活性剤、緩衝剤等を適宜含有させることができる。緩衝剤を含む緩衝液としては、例えば酢酸緩衝液、ほう酸緩衝液、トリス−塩酸緩衝液、ジエタノールアミン緩衝液等を挙げることができる。展開液の含有量、検体の希釈割合は、基質や展開液の組成などに応じて適宜設定することができる。
【0058】
このような本発明の免疫測定用ストリップは、免疫測定装置として有用であり、以下(3)にて説明するように、本発明はこのような免疫測定装置をも提供するものである。
【0059】
(3)本発明の免疫測定装置
本発明の免疫測定装置は、検体中の抗原及び/又は抗体を抗原抗体反応により測定するための装置を意味し、前記の免疫測定用ストリップを包含することを特徴とする。
【0060】
本発明の免疫測定装置は、上述した免疫測定用ストリップをカセット(ケース、容器)に収納した形の構成とすることができる。カセットの形状は、上述した各部を支持し、保護するものであれば良い。カセットには、検体の点着や検体の判定を容易にするため、ストリップにおける検出部位での検体の反応を観察するための検出判定窓や、検体を点着するための検体点着窓を設けることができる。
【0061】
検体は、通常、展開液に溶解させてからカセット内の免疫測定用ストリップに供給されるが、カセット内に、免疫測定用ストリップに展開液を供給するための展開液供給部を設けることもできる。
【0062】
ストリップへの展開液の供給は、測定開始時に展開液供給部を展開液の入った容器に浸して行うことや、スポイトで供給することができるが、展開液を収容した展開液収容部を別途設け、測定開始時に該収容部を破断して測定を開始することもできる。
【0063】
展開液収容部は、展開液を収容できる液槽であれば良く、更に衝撃により破断して展開液供給部に展開液を供給できる構造であることが好ましい。例えば、開口部を有する容器であって、その内部に展開液が蓄えられ、かつ開口部は、アルミフィルムなどの金属箔又は薄いプラスチックフィルムのような、指の力で破断できる破断性膜で被覆される構造とすることができる。
【0064】
更に、展開液収容部の位置は、通常、免疫測定用ストリップに隣接する位置とすることができ、ストリップとして基質含有部を設ける場合には、基質含有部に隣接する部位とすることが好ましい。このようにすることにより、測定時に液槽を破って展開液とストリップを接触させて測定を開始することができる。
【0065】
また、展開液収容部からストリップへの展開液の供給を容易にする観点から、展開液収容部の上部に、凸部を備え、凸部内部に、前記した展開液収容部の開口部のフィルム等を破断するための突起が敷設されているものが好ましい。更に、展開液を蒸散させるための蒸散窓を吸水部の上面に設ける構造とすることもできる。
カセットの材料は特に限定されず、柔軟性、取り扱いの容易性の観点から、プラスチックとすることが好ましい。
【0066】
免疫測定用ストリップをカセットで包含し免疫測定装置とするにあたり、先述の図3の形態のように粘着テープで接合しない免疫測定用ストリップを用いる場合には、各部材をカセットにはめ込み固定する形で製品として供することができ、一方、図4のような粘着テープ8で各部を接続することにより、全体を一体としてカセットにはめ込むことができる。この場合、図5に示すように、吸引部3の幅をストリップ1の幅と一致させることにより、装置の製造が容易になると共に、材料を有効活用してより多量の製品を製造することができる。また、台紙7に穴7aを設けることにより、穴7aをカセットのピンにはめて装着することが容易となる。
【0067】
カセットを備える免疫分析装置の例を、図6に示す。図6の装置2では、凸部12を押すと、凸部が変形して内部の突起(図示せず)が下の展開液収納部(図示せず)を破裂させ、基質含有部5に展開液を供給することができる。また、検体をストリップ上に点着するための検体滴下窓10が設けられ、また、検出部位6上には、検出窓11が設けられている。
【0068】
このような本発明の免疫測定装置は、各種検体中の抗原及び/又は抗体を抗原抗体反応により測定することができる。すなわち、検体中に特定の抗原及び/又は抗体が含まれているか否かを調べること(検出)、検体中に含まれる抗原及び/又は抗体の種類を特定すること(同定)、検体中に含まれる抗原及び/又は抗体の量を測定すること(定量)を目的として、用いることができる。検体については、免疫測定用パッドの検体について述べたのと同様である。
【0069】
本発明の免疫測定装置を用いた免疫測定方法の一例を、更に詳細に説明すると以下の通りである。
まず、検体(例えば、血清など)を装置(例えば、標識体を含有する部分)に供給する。供給された検体中に測定対象である抗原及び/又は抗体が含まれている場合は、この抗原及び/又は抗体が、免疫測定装置中のストリップに含まれる抗体及び/又は抗原の標識体と反応し複合体を形成する。
一方、展開液を、検体と混合した状態で、或いは検体とは別個に検体供給と同時に又は順次、装置に供給すると、展開液は、前記複合体をストリップに浸透させると共に該複合体を毛細管現象により吸引部側に向かって移動させる。基質をストリップに含有させる場合、展開液は、上記複合体中の標識物(例えば酵素)と基質とを結合させ、これらの結合体を毛細管現象により吸引部側に向かって移動させる。上記複合体又は結合体が展開液によりストリップを移動して検出部位に到達すると、前記複合体又は基質の結合体、及び検体中の抗原及び/又は抗体は、検出部位に固定化されている抗体及び/又は抗原にトラップされ、検出部位にとどまる。その結果、前記複合体又は結合体が発色又は発光するので、検出部位上で発色を確認することができる。尚、検出部位でトラップされなかった成分や展開液は、吸引部に吸収される。
【0070】
これに対し、検体中に測定対象である抗原及び/又は抗体が含まれなかった場合、標識体との複合体が形成されないため、検出部位に固定化されている抗体及び/又は抗原にトラップされることがなく吸引部に吸収される。従って、検出部位上に発色や発光が観察されない。
【0071】
発色や発光の観察方法は、標識物の種類により適宜定めることができ、目視のほか、シンチレーションカウンター、比色計、蛍光光度計、フォトンカウンター、感光フィルム等の測定装置を用いて実施することも可能である。例えば、標識物として酵素を用い発色基質により生成する色素(判定ライン)の有無を定性的に目視で測定する方法が簡便である。この場合、抗体の濃度に対応した色票(カラーチャート)を用いることにより半定量的な分析が可能となる。
【実施例】
【0072】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
〔シリカゲル入り吸収パッドの吸水量の測定〕
以下の実施例1〜2及び比較例1〜2では、シリカゲルの含有量を変えた吸収パッドを用いた免疫測定装置を用意し、各装置における吸収パッドの吸水量を測定して、吸収パッドにおけるシリカゲルの含有量と吸水量との関連を調べた。
【0073】
実施例1
シリカゲルを50%(乾燥重量における%。本明細書において吸収パッド中のシリカゲルの含有割合を表す「%」は、乾燥重量における%を表すものとする。)含有するシリカゲル入り吸収パッド(長さ15mm、幅5mm、厚さ1mm:安積濾紙株式会社)を用意した。この吸収パッドを、ストリップとしてのメンブレン、標識体含有部及び基質含有部としての吸水性部材に積層してシールでラミネートし、メンブレンを台紙に貼り付けてこれをカセットに固定し、図6に示す免疫測定装置を作成した。尚、免疫測定装置において、免疫測定用ストリップとしてはニトロセルロース膜(長さ50mm、幅5mm、厚さ0.25mm)を用いた。また、標識体として、アルカリフォスファターゼ(Alp)標識インフルエンザ抗体を用い、該抗体を、BSA(1〜0.5%含有)、アルカリ処理カゼイン(1〜0.5%含有)、界面活性剤(トライトンX−100)およびシュークロースを含む溶液に溶解して吸水性部材(ポリビニルアルコール製、長さ21mm、幅5mm、厚さ0.5mm)に点着、乾燥させ標識体含有部として用いた。更に、基質(Sub.)としては、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−リン酸二ナトリウム塩(BCIP、Na)20mMを用いた。そして、展開液(running buffer)としては、0.1M 2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、1mM 塩化マグネシウム、0.05%アジ化ナトリウム、及び0.001%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)からなるpH9.8の緩衝液を用い、これらをシール(ARCare7815)でラミネートした。
【0074】
検体希釈液(0.095%アジ化ナトリウム、及び界面活性剤、BSAを含むトリス緩衝液)30μLを検体滴下部に加え、カセットの凸部を押して展開液を供給した。2,4,6,8,10及び12分経過後に吸収パッドを取り出して重量を測定し、吸収前の吸収パッド重量との差を吸水量として算出した。吸収パッドの吸水量の経時的変化を図7に示す。
【0075】
実施例2
シリカゲル入り吸収パッドとして、シリカゲルを70%の割合で含有するもの(長さ15mm、幅5mm、厚さ1mm:安積濾紙株式会社)を用いた他は、実施例1と同様にして試験を行った。吸収パッドの吸水量の経時的変化を図7に示す。
【0076】
比較例1
シリカゲル入り吸収パッドとして、シリカゲルを30質量%の割合で含有するもの(長さ15mm、幅5mm、厚さ1mm:安積濾紙株式会社)を用いた他は、実施例1と同様にして試験を行った。吸収パッドの吸水量の経時的変化を図7に示す。
【0077】
比較例2
シリカゲル入り吸収パッドの代わりにワイン濾紙(ワットマンジャパン株式会社製、商品名:ワイン濾紙、長さ15mm、幅10mm、厚さ1mm)を用いた他は、実施例1と同様にして試験を行った。吸収パッドの吸水量の経時的変化を図7に示す。
【0078】
図7から、実施例1〜2及び比較例1〜2の各装置の吸水量は、シリカゲル30%含有吸収パッドを用いた装置(比較例1)では、コントロールの装置(比較例2)よりも低いが、シリカゲル50%含有吸収パッドを用いた装置(実施例1)ではコントロール(比較例2)の濾紙の大きさよりも吸収パッドの大きさが小さいにもかかわらず吸水量が若干高く、シリカゲル70%含有吸収パッド(実施例2)では、コントロール(比較例2)よりもはるかに優れていることが分かる。
この結果から、シリカゲルを50%以上含有する吸収パッドを用いた免疫測定装置は、吸水に優れ検出時間の短縮を図ることができることが明らかとなった。
【0079】
〔シリカゲル含有吸収パッドの感度試験〕
以下の実施例3〜4及び比較例3〜4では、シリカゲルの含有量を変えた吸収パッドを用いた免疫測定装置を用意し、各装置における検出時間を測定して、吸収パッドにおけるシリカゲルの含有量と検出時間との関連を調べた。
【0080】
実施例3
シリカゲルを50%の割合で含有するシリカゲル入り吸収パッド(実施例1と同様のもの)を用意し、ラミネートを白カセットで包んで図6に示す免疫測定装置を作成した。
尚、免疫測定装置は、ストリップはニトロセルロース膜を用い、また、標識体含有部、基質、展開液及びシールは実施例1と同様のものを用いて、実施例1と同様に作製した。
【0081】
組み換えA型、B型インフルエンザ抗原を上記実施例1の検体希釈液で80万〜640万倍に希釈したもの30μLを検体滴下部に加え、カセットの凸部を押して展開液を供給し、検出部に判定ラインが表示されるまでの時間を測定し、これを検出時間とした。検出条件は、25.1〜25.5℃、湿度55〜57%とした。検出までに要する時間(検出時間)を図8に示す。
【0082】
実施例4
シリカゲル入り吸収パッドとして、シリカゲルを70質量%の割合で含有するもの(実施例2と同じもの)を用いた他は、実施例3と同様にして試験を行った。吸収パッドの吸水量の経時的変化を図8に示す。
【0083】
比較例3
シリカゲル入り吸収パッドとして、シリカゲルを30質量%の割合で含有するもの(比較例1と同様のもの)を用いた他は、実施例3と同様にして試験を行った。検出時間を図8に示す。
【0084】
比較例4
シリカゲル入り吸収パッドの代わりにワイン濾紙を用いた他は、実施例3と同様にして試験を行った。検出時間を図8に示す。
【0085】
図8から明らかなように、各装置の検出時間は、シリカゲル30%含有吸収パッドを用いた装置(比較例3)において、コントロールである濾紙を用いた装置(比較例4)よりも大幅に延長するのに対し、シリカゲル50%含有吸収パッド(実施例3)ではコントロールよりも若干短縮化され、シリカゲル70%含有吸収パッド(実施例4)では、はるかに短縮化された。
このことから、シリカゲルを50%以上含有する吸収パッドを用いた免疫測定装置は、検出時間を短縮することができることが明らかとなった。
【0086】
〔吸収パッドの幅〕
以下の実施例5及び比較例5〜6では、シリカゲルを含有する吸収パッドと含有しない吸収パッドとで、吸収パッドの幅を狭くした場合の検出時間を測定して、吸収パッドの幅とシリカゲルの有無とが検出時間に与える影響を調べた。
【0087】
実施例5
シリカゲルを70%の割合で含むシリカゲル入り吸収パッド(安積シリカ濾紙、長さ15mm、幅5mm、厚さ1mm)を用意し、図4又は図5に示すようにアクリル系粘着テープでラミネートを白カセットで包んで、図6に示す免疫測定装置を作成した。
【0088】
鼻腔吸引抽出検体液30μLを各装置の検体滴下部に加え、カセットの凸部を押して展開液を供給し、検出部に判定ラインが表示されるまでの時間を測定し、これを検出時間とした。
【0089】
比較例5
実施例5の吸収パッドの代わりに、同様のサイズ(長さ15mm、幅5mm、厚さ1mm)のワイン濾紙を用いて、実施例5と同様の免疫測定装置を作成した。この装置について、検出時間を実施例5と同様に測定した。
【0090】
比較例6
実施例5の吸収パッドの代わりに、幅の広いサイズ(15mm×5mm×1mm)のワイン濾紙を用いて、各部材をシールで接着せずに免疫測定装置を作成した。この装置について、検出時間を実施例5と同様に測定した。
【0091】
実施例5と比較例6の検出時間の比較を図9に示す。比較例5と比較例6の検出時間の比較を図10に示す。
【0092】
図10に示すように、比較例6よりも比較例5の方が検出時間が長いことから、シリカゲルを含まない吸収パッドの場合には、幅を狭くすることにより検出時間がより長時間化することが分かる。一方、図9に示すように、実施例5よりも比較例6の方が検出時間が長いことから、シリカゲル含有吸収パッドを用いた場合には、幅を狭くしても検出時間が延長しないどころか、むしろ短縮されることが明らかである。
このことから、シリカゲルを含有する吸収パッドを用いることにより、吸収パッドの幅をラミネートに適した幅まで狭小化しても、短時間での検出を測る免疫測定装置を得られることが明らかとなった。
【0093】
〔シリカゲルの平均粒子径〕
以下の実施例6〜9では、シリカゲルの平均粒子径が検出時間に与える影響について調べた。
【0094】
実施例6
平均粒子径の範囲が3.5〜4.5μmのシリカゲルを70%含有するシリカゲル含有吸収パッド(安積濾紙株式会社)を用意し、実施例1と同様に図6に示す免疫測定装置を作成した。実施例3と同様の手順、条件にて検出時間を測定した。結果を図11に示す。
【0095】
実施例7
実施例6の吸収パッドの代わりに、平均粒子径の範囲が13〜14μmのシリカゲルを70%含有するシリカゲル含有吸収パッド(安積濾紙株式会社)を用いて、実施例6と同様の免疫測定装置を作成した。この装置について、検出時間を実施例6と同様に測定した。結果を図11に示す。
【0096】
実施例8
実施例6の吸収パッドの代わりに、平均粒子径の範囲が2.5〜3μmのシリカゲルを70%含有するシリカゲル含有吸収パッド(安積濾紙株式会社)を用いて、実施例6と同様の免疫測定装置を作成した。この装置について、検出時間を実施例6と同様に測定した。結果を図11に示す。
【0097】
実施例9
実施例6の吸収パッドの代わりに、平均粒子径の範囲が6.5〜7.0μmのシリカゲルを70%含有するシリカゲル含有吸収パッド(安積濾紙株式会社)を用いて、実施例6と同様の免疫測定装置を作成した。この装置について、検出時間を実施例6と同様に測定した。結果を図11に示す。
【0098】
図11から明らかなように、実施例6〜9の各装置の検出時間はいずれも7分〜9分の間であり、特に実施例6(平均粒子径の範囲が3.5〜4.5μm)と実施例8(平均粒子径の範囲が2.5〜3.0μm)では、7分前半と非常に短かった。
このことから、シリカゲルを含有する吸収パッドを用いた免疫測定装置にうよれば、短時間での検出が可能であり、特に平均粒子径の範囲が4.5μm以下のシリカゲルを含有する吸収パッドを用いた場合には検出時間をより短縮化できることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】図1は、本発明の免疫測定用パッドの一例を、表面上方より見たときの模式図である。
【図2】図2は、本発明の免疫測定用パッドの一例を側面から見たときの模式図である。
【図3】図3は、本発明の免疫測定用パッドの一例を、表面上方より見たときの模式図である。
【図4】図4は、本発明の免疫測定用パッドの一例を側面から見たときの模式図である。
【図5】図5は、図4の装置を上面から見たときの模式図である。
【図6】図6は、カセットを備える免疫測定装置を側面から見たときの模式図である。
【図7】図7は、実施例1及び2、並びに比較例1及び2の各免疫測定装置における吸収パッドの吸水量の経時的変化を示す図である。
【図8】図8は、実施例3及び4、並びに比較例3及び4の各免疫測定装置における検出時間を示す図である。
【図9】図9は、実施例5を用いた免疫測定装置と、比較例6を用いた免疫測定装置との検出時間の比較を示す図である。
【図10】図10は、比較例5を用いた免疫測定装置と、比較例6を用いた免疫測定装置との検出時間の比較を示す図である。
【図11】図11は、実施例6〜9の各免疫測定装置における検出時間を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
1 免疫測定用ストリップ
2 免疫測定装置
3 吸引部
4 標識体含有部
5 基質含有部
6 検出部位
7 台紙(基材)
8 粘着テープ(シール)
9 カセット(ケース)
10 検体滴下窓
11 検出窓
12 凸部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿度60%以下における吸湿率が30%以下であり、かつ湿度90%以上における吸湿率が40%以上であるケイ素含有粒子を、50質量%以上含有することを特徴とする免疫測定用吸収パッド。
【請求項2】
前記ケイ素含有粒子が、シリカゲルである請求項1に記載の免疫測定用吸収パッド。
【請求項3】
検体中の抗原及び/又は抗体を抗原抗体反応により検出するためのストリップであって、
検出すべき抗原及び/又は抗体に対応する抗体及び/又は抗原の標識体を含有する標識体含有部を備え、
請求項1又は2に記載の吸収パッドからなる吸引部が付設されてなることを特徴とする免疫測定用ストリップ。
【請求項4】
前記標識体に対する基質を含有する基質含有部を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の免疫測定用ストリップ。
【請求項5】
前記基質含有部は、吸引部の付設される末端に対し他端側に位置し、前記標識体含有部は、基質含有部と吸引部との間に位置することを特徴とする請求項4に記載の免疫測定用ストリップ。
【請求項6】
検体中の抗原及び/又は抗体を抗原抗体反応により測定するための装置であって、請求項3〜5のいずれか一項に記載の免疫測定用ストリップを包含することを特徴とする免疫測定装置。
【請求項7】
前記ストリップに展開液を供給するための展開液供給部を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の免疫測定装置。
【請求項8】
請求項3〜5のいずれか一項に記載の免疫測定用ストリップを用いて、検体中の抗原及び/又は抗体を抗原抗体反応により測定する免疫測定方法。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の免疫測定装置を用いて、検体中の抗原及び/又は抗体を抗原抗体反応により測定する免疫測定方法。
【請求項1】
湿度60%以下における吸湿率が30%以下であり、かつ湿度90%以上における吸湿率が40%以上であるケイ素含有粒子を、50質量%以上含有することを特徴とする免疫測定用吸収パッド。
【請求項2】
前記ケイ素含有粒子が、シリカゲルである請求項1に記載の免疫測定用吸収パッド。
【請求項3】
検体中の抗原及び/又は抗体を抗原抗体反応により検出するためのストリップであって、
検出すべき抗原及び/又は抗体に対応する抗体及び/又は抗原の標識体を含有する標識体含有部を備え、
請求項1又は2に記載の吸収パッドからなる吸引部が付設されてなることを特徴とする免疫測定用ストリップ。
【請求項4】
前記標識体に対する基質を含有する基質含有部を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の免疫測定用ストリップ。
【請求項5】
前記基質含有部は、吸引部の付設される末端に対し他端側に位置し、前記標識体含有部は、基質含有部と吸引部との間に位置することを特徴とする請求項4に記載の免疫測定用ストリップ。
【請求項6】
検体中の抗原及び/又は抗体を抗原抗体反応により測定するための装置であって、請求項3〜5のいずれか一項に記載の免疫測定用ストリップを包含することを特徴とする免疫測定装置。
【請求項7】
前記ストリップに展開液を供給するための展開液供給部を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の免疫測定装置。
【請求項8】
請求項3〜5のいずれか一項に記載の免疫測定用ストリップを用いて、検体中の抗原及び/又は抗体を抗原抗体反応により測定する免疫測定方法。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の免疫測定装置を用いて、検体中の抗原及び/又は抗体を抗原抗体反応により測定する免疫測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−248073(P2007−248073A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−68239(P2006−68239)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(306008724)富士レビオ株式会社 (55)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(306008724)富士レビオ株式会社 (55)
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