入れ子式ラック
【課題】現在でも根強い需要があって、物流業界において膨大な台数が保有されているラックを無駄にすることなく有効に活用できる入れ子式ラックを提供する。
【解決手段】前柱1の上端面と後部上梁4の上面とに亘って上レール50を架設し、積載床3の下部には上レール50と対応する位置に下レール60を設けてなる入れ子式ラックR1の上に積み重ね可能で且つそれ自体どうしネスティング可能な入れ子式ラックR2には、積載床3の下部に、ラックR1への積み重ね時にラックR1の上レール50に嵌合する下レール17を設け、前柱1の上端面1aに積み重ね用嵌合突起10を設け、前柱1の下端面には前記嵌合突起10が嵌合する積み重ね用嵌合凹部11を設け、前柱1の上端面1aと後部上梁4の上面とが同一水平面に位置して、この水平面上に下面が位置するサイド上梁5の前端側及び後端側に係合用凹部12,13を設ける。
【解決手段】前柱1の上端面と後部上梁4の上面とに亘って上レール50を架設し、積載床3の下部には上レール50と対応する位置に下レール60を設けてなる入れ子式ラックR1の上に積み重ね可能で且つそれ自体どうしネスティング可能な入れ子式ラックR2には、積載床3の下部に、ラックR1への積み重ね時にラックR1の上レール50に嵌合する下レール17を設け、前柱1の上端面1aに積み重ね用嵌合突起10を設け、前柱1の下端面には前記嵌合突起10が嵌合する積み重ね用嵌合凹部11を設け、前柱1の上端面1aと後部上梁4の上面とが同一水平面に位置して、この水平面上に下面が位置するサイド上梁5の前端側及び後端側に係合用凹部12,13を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品保管用の移動式ラックに関するもので、使用する時は積み重ねることができ、不使用時は内部に同一構造の他のラックを収納する(ネスティングする)ことができる入れ子式ラックに関する。
【背景技術】
【0002】
移動式でそれ自体どうしで積み重ね可能でネスティング可能な入れ子式ラックは、図1の(a) に示すラックR1を原点として発展し、それから派生して種々のタイプのラックが考案されてきた。しかし、ラックの歴史そのものである図1の(a) に示すようなラックR1は、現在でも根強い需要があり、その主流の一角を形成している。こうした歴史から、現在我が国には膨大な台数のラックR1が保有されているものと考えられる。
【0003】
図2の(a) はラックR1の正面図、(b) は積載床を除いた状態のラックR1の平面図、(c) はラックR1の右側面図、(d) は(a) のA−A線断面図、(e) はラックR1の背面図である。このラックR1は、左右の前柱1及び後柱2の4本の柱の下端部に矩形枠状の積載床3を設け、左右後柱2,2の上端面に亘って後部上梁4を架設し、前柱1の上端面と後部上梁4の上面とに亘って上レール50を架設し、積載床3の下部には上レール50と対応する位置に下レール60を設けてなるもので、左右前柱1,1の内法間隔Wは左右後柱2,2の外法間隔W1より広く、左右上レール50,50の内法間隔W2は左右後柱2,2の外法間隔W1より広く、更に左右下レール60,60の外法間隔W3は左右前柱1,1の内法間隔Wより狭い。上下レール50,60は夫々等辺山形鋼によって形成されている。また、上レール50には頂角が90度の等辺山形鋼が使用され、下レール60には頂角が90度よりも小さい等辺山形鋼が使用される。左右前柱1,1の前面下端部には前柱1と下レール60との結合を確実にするためのガセットプレート19が設けられ、また後部上梁4の背面側両端部には後部上梁4と上レール50との結合を確実にするためのガセットプレート板51が設けられている。
【0004】
上記ラックR1を使用する場合は、同一構造のラックR1を、上下レール50,60を介して積み重ねることができ、積み重ねた時には下段側ラックの上レール50に上段側ラックの下レール60が嵌合して安定する。また、このラックR1の左右上レール50,50の内法間隔W2を左右後柱2,2の外法間隔W1よりも広く(W2>W1)、左右下レール60,60の外法間隔W3は左右前柱1,1の内法間隔Wよりも狭く(W3<W)、従ってW>W3>W2>W1の関係にあるから、不使用時は内部には、一つのラックR1の内部に同じ形状の他のラックR1を、そのラックR1の内部に更に他のラックR1を、と云うように順次挿入して収納できる、即ちネスティングすることができる。
【0005】
一方、我が国のような地震多発国では、地震発生時に外力が作用すると、上記のような入れ子式ラック特有の構造、つまりラックの上面側平面視形状及び前面側正面視形状が共にコ字形であるため、構造的なアンバランスから入れ子式でないラックや固定棚に比べて、揺れが大きく、また捩れも大きくなる。一般的に、この種のラックにおいても、地震等による揺れや捩れが大きくなればなるほど、ラックの損壊の危険性が高くなる。従って、ラックを固定棚代わりに使用したり、上下に積み重ねた状態で比較的長期間使用する場合には、整然と配列された入れ子式ラックも、いつ起こるか分からない地震の不安に常に晒されている状態にある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたもので、一つには、ラック間の連結に重点を置いて、ラックを水平に配列した時に隣接するサイド上梁どうしを簡便に連結できるようにして地震発生時のラックの揺れを少なくし、ラックや保管物品の破損を防止できるようにする一方、上記したように現在でも根強い需要があって、物流業界において膨大な台数が保有されている入れ子式ラックR1を無駄にすることなく、このラックR1を有効に活用できる入れ子式ラックR2を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明は、左右の前柱1及び後柱2の4本の柱の下端部に積載床3を設け、左右後柱2,2の上端面に亘って後部上梁4を架設し、前柱1の上端面と後部上梁4の上面とに亘って上レール50を架設し、積載床3の下部に下レール60を設け、使用時はそれ自体どうし上下レール50,60を介して積み重ね可能で、不使用時はそれ自体どうしネスティング可能なラックR1の上に積み重ね可能なラックR2であって、それ自体どうし積み重ね可能で且つネスティング可能な入れ子式ラックR2は、下記(1).〜(4).の要件を具備する。
(1).左右の前柱1及び後柱2の4本の柱の下端部に矩形枠状の積載床3を設け、左右後柱2,2の上端面に亘って後部上梁4を架設し、前柱1の上端部側と後部上梁4の上面とに亘ってサイド上梁5を架設し、左右後柱2,2の外法間隔W1をラックR1の左右上レール50,50の内法間隔W2より狭くする。
(2).積載床3の下部にはラックR1への積み重ね時にラックR1の上レール50に嵌合する下レール17を設ける。
(3).前柱1の上端面1aに積み重ね用嵌合突起10を設け、下端面には前記嵌合突起10が嵌合する積み重ね用嵌合凹部11を設ける。
(4).前柱1の上端面1aと後部上梁4の上面とが同一水平面に位置し、この水平面上に下面が位置するサイド上梁5の前端側及び後端側にラック連結用金具21,23,24又は積載床橋架用取付部材52,53を取り付けるための係合用凹部12,13を設ける。
【0008】
請求項2は、請求項1に記載の入れ子式ラックにおいて、複数のラックR2をサイド上梁5どうしが隣接するように水平に配列する時に、隣接するサイド上梁5の隣り合う係合用凹部12,13に水平連結金具21,23,24の係合凸部21a,23a,24aを係合することによりサイド上梁5どうしを連結するようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項3は、請求項1又は2に記載の入れ子式ラックにおいて、ラックR1を左右方向に所要間隔に配置して、両ラックR1,R1の上レール50,50間に矩形枠状の積載床25を橋架すると共に、各ラックR1上にラックR2を積み重ねるにあたって、積載床25の左右各側端部には、左右各ラックR1の内側の上レール50に上方より係止する係止部材26を設け、この係止部材26上にはラックR2の下レール17が嵌合する受けレール27を取り付け、左右各ラックR1の外側の上レール50にラック積み重ね高さ調整用の嵩上げライナー28を配置し、この嵩上げライナー28は、前記外側の上レール50に上方より係止する係止部材35と、この係止部材35上に取り付けられていて、ラックR2の下レール17が嵌合する受けレール36とによって形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項4は、請求項1〜3の何れかに記載の入れ子式ラックにおいて、ラックR2を左右方向に所要間隔に配置すると共にラックR2どうし複数段に積み重ねた状態で、対向する上段側ラックR2,R2の積載床3,3間にブリッジ用積載床45を橋架するにあたり、この積載床45の下面側左右両端部の夫々前端側及び後端側に設けた前端側係合片52及び後端側係合片53を、下段側ラックR2のサイド上梁5の前端側係合凹部12及び後端側係合部13に係合させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明のラックR2によれば、複数のラックR2をサイド上梁5どうしが左右更には前後に隣接するように水平配列する時に、サイド上梁5の前端側及び後端側係合用凹部12,13にラック連結用金具21,23,24を介装することにより、ボルト等の面倒な工具を使用することなく容易に連結できて、ラックR2どうしを強固に連結することができ、それにより地震発生時のラックの揺れを少なくして、ラック自体や保管物品の破損を防止することができる。また、ラックR2を左右方向に所要間隔に配置すると共にラックR2どうし複数段に積み重ねた状態で、対向する上段側ラックR2,R2の積載床3,3間にブリッジ用積載床45を橋架する時には、サイド上梁5の前端側及び後端側係合用凹部12,13に積載床橋架用取付部材52,53を取り付けることにより、積載床45の橋架が容易となる。
【0012】
更にラックR2によれば、積載床3の下部にはラックR1への積み重ね時にラックR1の上レール50に嵌合する下レール17を設けているから、ラックR1の上レール50にその上方よりラックR2の下レール17を嵌合させることにより、ラックR1の上にラックR2を安定良く積み重ねて使用することができ、従って現在でも根強い需要があって、物流業界において膨大な台数が保有されている入れ子式ラックR1を無駄にすることなく有効活用することができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、複数のラックR2をサイド上梁5どうしが隣接するように水平に配列する時に、各サイド上梁5の前端部及び後端部に設けた係合凹部12,13を利用して、水平連結具21,23,24の係合凸部21a,23a,24aを係合させることにより、隣接するサイド上梁5どうしをボルト等の面倒な工具を使用することなく容易に連結できて、ラックR2どうしを強固に連結することができ、地震発生時のラック2の揺れを少なくして、ラック2自体や保管物品の破損を防止することができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、ラックR1を左右方向に所要間隔に配置して、両ラックR1,R1の上レール50,50間に矩形枠状の積載床25を橋架すると共に、各ラックR1上にラックR2を積み重ねるようにすることにより、ラックR1及びラックR2の使用台数を減らすことができ、もってラック導入コストの低減を図ることができる。この場合、積載床25の左右各側端部には、左右各ラックR1の内側の上レール50に上方より係止する係止部材26を設け、この係止部材26上にはラックR2の下レール17が嵌合する受けレール27を取り付け、左右各ラックR1の外側の上レール50にラック積み重ね高さ調整用の嵩上げライナー28を配置することによって、積載床3を簡単に両ラックR1,R1間に簡単に橋架できると共に、嵩上げライナー28により、ラックR1上へのラックR2の積み重ねを的確に行うことができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、ラックR2を左右方向に所要間隔に配置すると共にラックR2どうし複数段に積み重ねた状態で、対向する上段側ラックR2,R2の積載床3,3間にブリッジ用積載床45を橋架するに場合には、積載床45の下面側左右両端部の夫々前端側及び後端側に設けた前端側係合片52及び後端側係合片53を、下段側ラックR2のサイド上梁5の前端側係合凹部12及び後端側係合部13に係合させることにより、ブリッジ用積載床45を上段側ラックR2,R2の積載床3,3間に簡単且つ容易に橋架することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の好適な一実施形態を図面に基づいて説明すると、図1の(a) は従来より使用されている入れ子式ラックR1の斜視図、(b) は本発明に係る入れ子式ラックR2の斜視図であり、図3の(a) はラックR2の正面図、(b) は(b) は積載床を除いた状態のラックR2の平面図、(c) はラックR2の右側面図、(d) は(a) のB−B線断面図、(e) はラックR2の背面図であり、図4の(a) は図3の(b) の矢印Cで示す部分の拡大図、(b) は平面図、(c) は左側面図、(d) は右側面図であり、図5の(a) は図3の(a) の矢印Dで示す部分の拡大図、(b) は平面図、(c) は右側面図であり、図6の(a) は図3の(b) の矢印Eで示す部分の拡大図、(b) は右側面図、(c) は平面図であり、また図7の(a) は図3の(b) の矢印Fで示す部分の拡大図、(b) は右側面図、(c) は平面図である。
【0017】
このラックR2は、左右の前柱1及び後柱2の4本の柱の下端部に矩形枠状の積載床3を設け、左右後柱2,2の上端面に亘って後部上梁4を架設し、前柱1の上端部側と後部上梁4の上面とに亘ってサイド上梁5を架設すると共に、前柱1の上端面1aと後部上梁4の上面とを同一水平面に位置させ、この水平面上に下面が位置するサイド上梁5の前端側及び後端側にラック連結用金具を介装するための係合用凹部12,13を設け、そして前柱1の上端面1aに積み重ね用嵌合突起10を設け、前柱1の下端面には積み重ね用嵌合突起10が嵌合する積み重ね用嵌合凹部11を設け、更に積載床3の下部には、在来のラックR1への積み重ね時にラックR1の上レール50に嵌合する下レール17を設けてなるもので、この下レール17は、頂角が90度よりも小さい例えば82度の等辺山形鋼により形成される。尚、図1の(a) に示すラックR1の上レール50は、頂角が90度の等辺山形鋼により形成されている。
【0018】
積載床3は、前後の横梁6,7、左右の縦梁8,8及び格子組みされた複数の中桟9とによって構成される。前柱1、後柱2、後部上梁4、サイド上梁5、積載床3の前後横梁6,7、左右縦梁8,8及び中桟9は、夫々同じ太さで断面正方形の角形鋼管からなる。また、図3の(a) に示すように、左右の前柱1,1の内法間隔をWとし、左右の後柱2,2の外法間隔をW1とすれば、W>W1で、WはW1よりわずかに広く、そして左右後柱2,2の外法間隔W1はラックR1の左右上レール50,50の内法間隔W2よりもわずかに狭く(W1<W2)、また左右下レール17,17の外法間隔W3は左右前柱1,1の内法間隔Wよりも狭くなっている(W3<W)。これはラックR2が同じ構造のラックR2に対し入れ子式に収納する(ネスティングする)ことができる条件である。
【0019】
前柱1の上端面1aに突設された積み重ね用嵌合突起10は、図4に示すように、概ね半球状に形成されたもので、前柱1の上端面1aからの突出高さは、サイド上梁5の上面5aより低い。また前柱1の下端面に設けられる積み重ね用嵌合凹部11は、この実施形態のように前柱1が角形鋼管等の中空材からなる場合は、この前柱1の下端部内をそのまま嵌合凹部とすることができ(図1の(b) に点線で示す)、また前柱1が中実材からなる場合は、その下端部に凹部を形成すればよい。
【0020】
また図4に示すように、積み重ね用嵌合突起10が突設された前柱1の上端面1aと後部上梁4の上面4aとは同一水平面に位置し、この水平面上にサイド上梁5の下面5bが位置している。このサイド上梁5の前端側には、図4の(a) ,(b) に示すように、積み重ね用嵌合突起10の背面側との間に所要間隔をおいて前端側係合用凹部12が設けられ、そしてサイド上梁5の後端側には、後部上梁4の上面4a端部との間に後端側係合用凹部13が設けられる。
【0021】
前端側係合用凹部12は、図4の(a) ,(b) に示すように、例えば断面正方形の角形鋼管材12aからなるもので、サイド上梁5の前端に固着されると共に、前柱1の背面上端部に取り付けられた取付台片14上にサイド上梁5の前端部と一緒に固着されている。
【0022】
後端側係合用凹部13は、同じく図4の(a) ,(b) に示すように、例えば前端側係合用凹部12より小さい断面長方形の角形鋼管材13aからなるもので、サイド上梁5の後端に固着されていると共に、後部上梁4の上面4aの端部にサイド上梁5の後端部と一緒に固着されている。
【0023】
また図4の(a) ,(b) ,(d) に示すように、後端側係合用凹部13を形成する角形鋼管材13aの後端面から後部上梁4の背面4cに亘ってストッパー板15が固着され、このストッパー板15の内側に位置するサイド上梁5と後部上梁4との交差部には積み重ね用柱下端部嵌合部16が形成され、このストッパー板15は積み重ね用柱下端部嵌合部16の背面部を位置規制するようになっている。ラックR2の積み重ね時には、積み重ね用柱下端部嵌合部16に上段側ラックR2の後柱2の下端部が嵌合され、後部上梁4の上面4aに支持される。
【0024】
図5、図6及び図7に示すように、積載床3の縦梁8には、頂角が例えば82度の等辺山形鋼からなる下レール17が複数の連結材18により取り付けられている。連結材18は、縦梁8と下レール17との間にフォークリフトの爪が入る空間を形成する役割も果たす。図中の19は積載床3の前面側左右端部で下レール17と前柱1と積載床3の前横梁6とを結合するためのガセットプレート、20は積載床3の背面側左右端部で下レール17と積載床3の後横梁7と連結材18とを結合するためのガセットプレートである。
【0025】
図8は、複数の入れ子式ラックR2をサイド上梁5どうしが隣接するように左右水平方向に配列して使用する状態を示す。この水平配列での使用において、隣接するサイド上梁5,5の前端側で隣り合う前端側係合用凹部12,12には前端側水平連結金具21の係合凸部22,22を係合し、また隣接するサイド上梁5,5の後端側で隣り合う後端側係合用凹部13,13には後端側水平連結金具23の係合凸部22,22を係合して、隣接するサイド上梁5,5どうしを連結する。
【0026】
図9の(a) は図8の矢印Gで示す部分の拡大平面図で、隣接するサイド上梁5,5の前端側で隣り合う前端側係合用凹部12,12を示し、(b) は前端側水平連結金具21を示す正面図、(c) は側面図である。この前端側水平連結金具21は、金具本体21oの下端側に、隣接するサイド上梁5,5の隣り合う前端側係合用凹部12,12に係合可能な位置に係合凸部21a,21aを突設し、金具本体21oの上端部に把手21bを取り付けたものである。同図の(a) には、水平連結金具21の係合凸部21a,21aを隣接するサイド上梁5,5の隣り合う前端側係合用凹部12,12に係合させた状態を一点鎖線で示している。
【0027】
図10の(a) は図8の矢印Hで示す部分の拡大平面図で、隣接するサイド上梁5,5の後端側で隣り合う後端側係合用凹部13,13を示し、(b) は後端側水平連結金具23を示す正面図、(c) は平面図、(d) は側面図である。この後端側水平連結金具23は、金具本体23oの下端側に、隣接するサイド上梁5,5の隣り合う後端側係合用凹部13,13に係合可能な位置に係合凸部23a,23aを突設し、金具本体23oの上端部に把手23bを取り付けたものである。
【0028】
図11の(a) は、複数の入れ子式ラックR2をサイド上梁5どうしが隣接するように左右水平方向及び前後水平方向に配列し、前後水平方向についてはラックR2が背中合わせの状態に配列して使用する状態を示す平面図、(b) は左右前後に隣り合う4つの後端側係合用凹部13,13,13,13に適用する水平連結金具24の正面図、(c) は側面図、(d) は平面図である。この水平連結金具24は、金具本体24oの下端側に、左右及び前後背中合わせに配列されたラックR2の左右前後に隣接するサイド上梁5,5,5,5の左右前後に隣り合う後端側係合用凹部13,13,13,13に係合可能な位置に4つの係合凸部24a,24a,24a,24aを突設し、金具本体24oの上端部に把手24bを取り付けたものである。
【0029】
上記のように複数のラックR2をサイド上梁5どうしが左右更には前後に隣接するように水平配列する時に、各サイド上梁5の前端部及び後端部に設けた係合凹部12,13を利用して、上述したような水平連結具21,23,24の係合凸部21a,23a,24aを係合させることにより、隣接するサイド上梁5どうしを、ボルト等の面倒な工具を使用することなく容易に連結できて、水平に配列されたラックR2どうしを強固に連結することができ、それにより地震発生時のラックの揺れを少なくして、ラック自体や保管物品の破損を防止することができる。そして、上記のような水平連結具21,23,24は、その構造が簡単で製作が容易であるから、安価に提供することができる。
【0030】
図12は、ラックR1を左右方向に所要間隔に配置して、各ラックR1の上にラックR2を積み重ね、更にラックR2の上に同じラックR2を積み重ねて、その上段側の隣り合うラックR2,R2の積載床3,3間にブリッジ用積載床45を橋架したラック積み重ね構造体を示し、図13は図12のI線に沿った部分の拡大断面図で、下段のラックR1上にラックR2を積み重ねた状態を示している。この図13から分かるように、ラックR1,R2積み重ねた時は、下側にある下段側ラックR1の上レール50に、上方にある上段側ラックR2の下レール17が嵌合して安定する。しかもこの場合、上方に位置する下レール17の頂角(82度)は上レール50の頂角(90度)よりも小さいから、上方に位置するラックR2の荷重によって、下レール17がクッションの役割を果たして一層安定する。
【0031】
図14は、ラックR1を左右方向に所要間隔に配置して、両ラックR1,R1の対向する上レール50,50間に、矩形枠状のブリッジ用積載床25を橋架すると共に、各ラックR1の上にラックR2を積み重ね、更にラックR2上に同じラックR2を積み重ねて、図12と同様に上段側の隣り合うラックR2,R2の積載床3,3間に2段目ブリッジ用積載床45を橋架した状態のラック積み重ね構造体を示したものである。
【0032】
図14のように両ラックR1,R1の上レール50,50間にブリッジ用積載床25を橋架すると共に各ラックR1上にラックR2を積み重ねるにあたっては、積載床25の左右各側端部にはその前後両端部に、左右各ラックR1の内側の上レール(積載床25に隣接する側の上レール)50に上方より係止する前後一対のコ字形状係止部材26,26を設けると共に、前後両コ字形係止部材26,26の上面に亘って、ラックR2の下レール17が嵌合する等辺山形鋼からなる受けレール27を固着し、左右各ラックR1の外側の上レール50には、ラック積み重ね高さ調整用の嵩上げライナー28を配置する。
【0033】
図15は、左右両ラックR1,R1の夫々内側の上レール50,50間に橋架されるブリッジ用の積載床25と、左右両ラックR1,R1の夫々外側の上レール50,50に配置される左右一対の嵩上げライナー28,28を示す斜視図であり、図16の(a) はブリッジ用積載床25の平面図、(b) は正面図、(c) は背面図、(d) は右側面図、(e) は(b) の矢印Kで示す部分の拡大図、(f) は(a) のL−L線拡大断面図、(g) は(a) のM−M 拡大断面図である。
【0034】
図16から分かるように、ブリッジ用の積載床25は、夫々断面正方形の角形鋼管からなる前後の横梁29、30、左右の縦梁31,31及び格子組みされる複数の中桟32によって形成されるもので、各縦梁31の外側面の前後端部に一対のコ字形状係止部材26,26が固着され、前後両係止部材26,26の上面に亘って頂角が90度の等辺山形鋼からなる受けレール27が固着され、この受けレール27の後端にストッパー33が取り付けられている。図16において、26′は受けレール27の中間部を支持するアングル片で、縦梁31の外側面に取り付けてある。また34は、積載床25の下面側四隅部に設けられたフォークリフト荷役用の脚体で、前部側の2つの脚体34は、ラックR1の前柱1と対応する位置にあって、この積載床25が前方へ飛び出すのを防止する役割を果たすようになっている。尚、この実施形態では、各縦梁31の外側面の前後端部にコ字形状係止部材26を取り付けているが、各縦梁31の外側面の全長に亘って1本のコ字形状係止部材26を取り付けるようにしてもよい。
【0035】
左右各嵩上げライナー28は、図15及び図17に示すように、ラックR1の外側の上レール50に上方より係止する前後一対のコ字形状係止部材35,35と、両係止部材35,35の上面に亘って一体的に固着されていて、ラックR2の下レール17が嵌合するようになっている等辺山形鋼からなる受けレール36と、この受けレール36の後端に取り付けられた後端側ストッパー37と、この後端側ストッパー37に隣接する後部側係止部材35の側面部に積み重ね座38を介して取り付けられたL字形の後端側止め金具39と、前記受けレール36の前端で前端側係止部材35にL字形の前端側止め金具40と、この止め金具40に隣接して前端側係止部材35の外側面部に積み重ね座41を介して取り付けられたサイド位置決めストッパー42とを具備している。また、図17の(d) に示すように受けレール36内には複数箇所に補強材43が取り付けてある。
【0036】
左右各嵩上げライナー28において、受けレール36の後端側に取り付けられた積み重ね座38及び後端側止め金具39と、受けレール36の前端側に取り付けられた積み重ね座41及びサイド位置決めストッパー42とは、図15から分かるように、受けレール36を間に挟んで左右反対側に位置する。また、左右両嵩上げライナー28,28は、所要間隔に配置された左右両ラックR1,R1の夫々外側の上レール50,50に係止されるものであるから、図15から分かるように、積載床25を挟んで左右対称となるように形成されている。尚、この実施形態では、受けレール36の前後端部にコ字形状係止部材35が取り付けられているが、受けレール36の全長に亘って1本のコ字形状係止部材35が取り付けられるようにしてもよい。
【0037】
以上説明したような構成よりなるラックR2の使用において、このラックR2を図12に示すように在来のラックR1の上に積み重ねるには、下側にあるラックR1の上レール50に、その上方よりラックR2の下レール17を嵌合させればよく、この嵌合状態を図13に示す。この場合、上方に位置するラックR2の下レール17の頂角は上レール50の頂角よりも小さいため、上方に位置するラックR2の荷重で下レール17がクッションの役割をして一層安定する。
【0038】
また図12に示すように、ラックR1に積み重ねたラックR2の上に同じラックR2を積み重ねるには、下段側ラックR2における前柱1の上端にある積み重ね用嵌合突起10を、これから積み重ねる上段側ラックR2における前柱1の下端にある積み重ね用嵌合凹部11に嵌合させると共に、この上段側ラックR2における後柱2の下端部を、下段側ラックR2におけるサイド上梁5と後部上梁4とのコーナー部に形成される積み重ね用柱下端部嵌合部16に嵌合させて、後部上梁4の上面4aに支持させればよく、それによって上段側ラックR2は前後及び左右方向、即ち水平方向の移動が制限される。
によって形成される。
【0039】
また、図14に示すように、ラックR1を左右方向に所要間隔に配置して、両ラックR1,R1の対向する上レール50,50間に、ブリッジ用の積載床25を橋架するには、先ず積載床25の左右各端部にある前後一対のコ字形状係止部材26を、図18に示すように、左右各ラックR1の内側の上レール(積載床25に隣接する側の上レール)50に上方より係止すればよい。両ラックR1,R1間に積載床25を橋架した時、積載床25の下面側四隅部に突設してある4つの脚体34…のうち前部側2つの脚体34が各ラックR1の前柱1の真後ろに隣接位置して、積載床25の前方への飛び出しを防止するようになっている。
【0040】
上記のようにして両ラックR1,R1の上レール50,50間に積載床25を橋架しただけでは、各ラックR1にラックR2を積み重ねると、ラックR2の内端部側が上がり、外端部側が下がって傾いてしまうことから、この不都合を回避するためにラックR1の外側上レール50に嵩上げライナー28を取り付けるのである。
【0041】
この嵩上げライナー28の取り付けにあたっては、受けレール36の前端側を持ち上げて斜めにした状態でその後端部にある取付部材35をラックR1の外側の上レール50に嵌合させて滑らせながら、図19及び図20に示すように、積み重ね座38をラックR1の後部上梁4上面に載置すると共に、L字形の後端側止め金具39をラックR1の後部上梁4に内側から当接係合させ、そうして受けレール36全体をラックR1の外側上レール50に嵌合させ、図21に示すように受けレール36の前端側にあるL字形の前端側止め金具40をラックR1の外側上レール50の前端面からその下面側に係止させると共に、積み重ね座41をラックR1の前柱1の上端面1aに載置し、サイド位置決めストッパー42をラックR1の前柱1の外側面に係止させる。これにより、嵩上げライナー28は、ラックR1の外側上レール50に対し左右方向、上下方向及び後方向の移動を規制された状態で取り付けられる。
【0042】
上記のようにして両ラックR1,R1の対向する内側上レール50,50間にブリッジ用積載床25を橋架し且つ両ラックR1,R1の各外側上レール50に嵩上げライナー28を取り付けた後、各ラックR1の上にラックR2を積み重ねる。このラックR1上へのラックR2の積み重ねにあたり、ラックR2の下部の内側下レール17は、図18に示すようにブリッジ用積載床25の受けレール27に嵌合させ、ラックR2の外側下レール17は、図19に示すようにラックR1の外側上レール50に取り付けてある嵩上げライナー28の受けレール36に嵌合させる。
【0043】
そして、この場合、ラックR2の後柱2の下端面は、図19に示すように、ラックR1の後部上梁4上面に載置された嵩上げライナー28の積み重ね座38の上面で支持され、ラックR2の前柱1の下端面は、ラックR1の前柱の上端面1aに載置された嵩上げライナー28の積み重ね座41の上面で支持されるから、ラックR1の上にラックR2を積み重ねた場合のラックR2側の荷重はレール17,36,50側に負荷されず、ラックR2の前後柱1,2から積み重ね座38,41を介してラックR1の前後柱1,2により支持されることになり、これによって嵩上げライナー28は安定状態に保持される。
【0044】
図22は、図12及び図14に示すラックR1,R2の積み重ね構造体において2段目ラックR2,R2の積載床3,3間に橋架される2段目のブリッジ用積載床45の一例を示したもので、(a) は2段目ブリッジ用積載床45の平面図、(b) は正面図、(c) は背面図、(d) は側面図である。このブリッジ用積載床45は、図12及び図14に示すように上段側の隣り合うラックR2,R2の積載床3,3間に橋架されるもので、前後の横梁46,47、左右の縦梁48,48及び格子組みされた複数の中桟49とによって構成され、前後横梁46,47、左右縦梁48,48及び中桟49は夫々、ラックR2の前後柱1,2等と同じ太さの断面正方形角形鋼管からなる。
【0045】
このブリッジ用積載床45には左右各縦梁48の下面の前端側及び後端側に、下段側ラックR2(1段目ラックR2)のサイド上梁5上面に載置される前端側台座50及び後端側台座51が取り付けられ、この前端側台座50にはサイド上梁5の前端側係合凹部12に係合する係合片52が、また後端側台座51にはサイド上梁5の後端側係合凹部13に係合する係合片53が夫々下向きに突設されている。また、ブリッジ用積載床45の前後横梁46,47の夫々下面両端部には、左右方向位置規制ガイド片54,55が夫々下向きに突設されている。尚、前端側台座50及び後端側台座51は、ブリッジ用積載床45のレベルが上段側ラックR2の積載床3と同じレベルになるようにレベル調整するための台座である。
【0046】
そして、上記ブリッジ用積載床45を図12及び図14に示すように2段目ラックR2,R2の積載床3,3間に橋架するには、この積載床45を2段目ラック(上段側)R2,R2の積載床3,3間に配置して、積載床45の左右各縦梁48に設けてある前端側係合片52及び後端側係合片53を、1段目ラック(下段側)R2,R2のサイド上梁5の前端側係合凹部12及び後端側係合部13に係合させるだけで、このブリッジ用積載床45を2段目ラック(上段側)R2,R2の積載床3,3間にこの積載床3と同一レベルに簡単に橋架することができる。
【0047】
また、図14に示す実施形態のように、ラックR1を左右方向に所要間隔に配置して、両ラックR1,R1の上レール50,50間に矩形枠状の積載床25を橋架すると共に、各ラックR1上にラックR2を積み重ねるようにすることにより、ラックR1及びラックR2の使用台数を減らすことができ、それによってラック導入コストの低減を図ることができる。そしてこの場合、積載床25の左右各側端部には、左右各ラックR1の内側の上レール50に上方より係止する係止部材26を設け、この係止部材26上にラックR2の下レール17が嵌合する受けレール27を取り付けておいて、左右各ラックR1の外側の上レール50にラック積み重ね高さ調整用の嵩上げライナー28を配置することにより、積載床3を簡単に両ラックR1,R1間に簡単且つ容易に橋架できると共に、嵩上げライナー28によってラックR1上へのラックR2の積み重ねを的確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】(a) は従来より使用されている入れ子式ラックR1の斜視図、(b) は本発明に係る入れ子式ラックR2の斜視図である。
【図2】(a) はラックR1の正面図、(b) は積載床を除いた状態のラックR1の平面図、(c) はラックR1の右側面図、(d) は(a) のA−A線断面図、(e) はラックR1の背面図である。
【図3】(a) はラックR2の正面図、(b) は(b) は積載床を除いた状態のラックR2の平面図、(c) はラックR2の右側面図、(d) は(a) のB−B線断面図、(e) はラックR2の背面図である。
【図4】(a) は図3の(b) の矢印Cで示す部分の拡大図、(b) は平面図、(c) は左側面図、(d) は右側面図である。
【図5】(a) は図3の(a) の矢印Dで示す部分の拡大図、(b) は平面図、(c) は右側面図である。
【図6】(a) は図3の(b) の矢印Eで示す部分の拡大図、(b) は右側面図、(c) は平面図である。
【図7】(a) は図3の(b) の矢印Fで示す部分の拡大図、(b) は右側面図、(c) は平面図である。
【図8】図8は、複数の入れ子式ラックR1をサイド上梁5どうしが隣接するように左右水平方向に配列して使用する状態を示す斜視図である。
【図9】(a) は図8の矢印Gで示す部分の拡大平面図で、隣接するサイド上梁の前端側で隣り合う前端側係合用凹部を示す平面図、(b) は前端側水平連結金具を示す正面図、(c) は側面図である。
【図10】(a) は図8の矢印Hで示す部分の拡大平面図で、隣接するサイド上梁の後端側で隣り合う後端側係合用凹部を示す平面図、(b) は後端側水平連結金具を示す正面図、(c) は平面図、(d) は側面図である。
【図11】(a) は、複数の入れ子式ラックR2をサイド上梁どうしが隣接するように左右水平方向及び前後水平方向に配列し、前後水平方向についてはラックR2が背中合わせの状態に配列して使用する状態を示す平面図、(b) は左右前後に隣り合う4つの後端側係合用凹部に適用する水平連結金具の正面図、(c) は側面図、(d) は平面図である。
【図12】ラックR1を左右方向に所要間隔に配置して、各ラックR1の上にラックR2を積み重ね、更にラックR2の上に同じラックR2を積み重ねた状態を示す斜視図である。
【図13】図12のI線に沿った部分の拡大断面図である。
【図14】ラックR1を左右方向に所要間隔に配置して、両ラックR1,R1の対向する上レール間にブリッジ用積載床を橋架すると共に、各ラックR1の上にラックR2を積み重ねた状態を示す斜視図である。
【図15】ブリッジ用積載床と左右一対の嵩上げライナーを示す斜視図である。
【図16】(a) はブリッジ用積載床の平面図、(b) は正面図、(c) は背面図、(d) は右側面図、(e) は(b) の矢印Kで示される部分の拡大図、(f) は(a) のL−L線拡大断面図、(g) は(a) のM−M 拡大断面図である。
【図17】(a) は嵩上げライナーの正面図、(b) は(a) の矢印Nで示す部分の拡大図、(c) は(a) に示す嵩上げライナーの左側面図、(d) は(a) のO−O 断面図、(e) は(a) のP−P 断面図、(f) は(a) の矢印Qで示す部分の拡大図、(g) は(f) の拡大図の右側面図である。
【図18】図14のJ線に沿った部分の拡大断面図である。
【図19】図14のR線に沿った部分の拡大断面図である。
【図20】嵩上げライナー取付部の後端部側を示す断面図である。
【図21】嵩上げライナー取付部の前端部側を示す断面図である。
【図22】(a) は2段目のブリッジ用積載床を示す平面図、(b) は正面図、(c) は背面図、(d) は側面図である。
【図23】図12のS線に沿った部分の拡大断面図で、2段目ブリッジ用積載床の取付状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0049】
R1 在来の入れ子式ラック
R2 本発明に係る入れ子式ラック
1 前柱
2 後柱
3 積載床
4 後部上梁
10 積み重ね用嵌合突起
12 前端側係合用凹部
13 後端側係合用凹部
17 ラックR2の下レール
25 ブリッジ用積載床
45 ブリッジ用積載床
50 ラックR1の上レール
60 ラックR1の下レール
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品保管用の移動式ラックに関するもので、使用する時は積み重ねることができ、不使用時は内部に同一構造の他のラックを収納する(ネスティングする)ことができる入れ子式ラックに関する。
【背景技術】
【0002】
移動式でそれ自体どうしで積み重ね可能でネスティング可能な入れ子式ラックは、図1の(a) に示すラックR1を原点として発展し、それから派生して種々のタイプのラックが考案されてきた。しかし、ラックの歴史そのものである図1の(a) に示すようなラックR1は、現在でも根強い需要があり、その主流の一角を形成している。こうした歴史から、現在我が国には膨大な台数のラックR1が保有されているものと考えられる。
【0003】
図2の(a) はラックR1の正面図、(b) は積載床を除いた状態のラックR1の平面図、(c) はラックR1の右側面図、(d) は(a) のA−A線断面図、(e) はラックR1の背面図である。このラックR1は、左右の前柱1及び後柱2の4本の柱の下端部に矩形枠状の積載床3を設け、左右後柱2,2の上端面に亘って後部上梁4を架設し、前柱1の上端面と後部上梁4の上面とに亘って上レール50を架設し、積載床3の下部には上レール50と対応する位置に下レール60を設けてなるもので、左右前柱1,1の内法間隔Wは左右後柱2,2の外法間隔W1より広く、左右上レール50,50の内法間隔W2は左右後柱2,2の外法間隔W1より広く、更に左右下レール60,60の外法間隔W3は左右前柱1,1の内法間隔Wより狭い。上下レール50,60は夫々等辺山形鋼によって形成されている。また、上レール50には頂角が90度の等辺山形鋼が使用され、下レール60には頂角が90度よりも小さい等辺山形鋼が使用される。左右前柱1,1の前面下端部には前柱1と下レール60との結合を確実にするためのガセットプレート19が設けられ、また後部上梁4の背面側両端部には後部上梁4と上レール50との結合を確実にするためのガセットプレート板51が設けられている。
【0004】
上記ラックR1を使用する場合は、同一構造のラックR1を、上下レール50,60を介して積み重ねることができ、積み重ねた時には下段側ラックの上レール50に上段側ラックの下レール60が嵌合して安定する。また、このラックR1の左右上レール50,50の内法間隔W2を左右後柱2,2の外法間隔W1よりも広く(W2>W1)、左右下レール60,60の外法間隔W3は左右前柱1,1の内法間隔Wよりも狭く(W3<W)、従ってW>W3>W2>W1の関係にあるから、不使用時は内部には、一つのラックR1の内部に同じ形状の他のラックR1を、そのラックR1の内部に更に他のラックR1を、と云うように順次挿入して収納できる、即ちネスティングすることができる。
【0005】
一方、我が国のような地震多発国では、地震発生時に外力が作用すると、上記のような入れ子式ラック特有の構造、つまりラックの上面側平面視形状及び前面側正面視形状が共にコ字形であるため、構造的なアンバランスから入れ子式でないラックや固定棚に比べて、揺れが大きく、また捩れも大きくなる。一般的に、この種のラックにおいても、地震等による揺れや捩れが大きくなればなるほど、ラックの損壊の危険性が高くなる。従って、ラックを固定棚代わりに使用したり、上下に積み重ねた状態で比較的長期間使用する場合には、整然と配列された入れ子式ラックも、いつ起こるか分からない地震の不安に常に晒されている状態にある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたもので、一つには、ラック間の連結に重点を置いて、ラックを水平に配列した時に隣接するサイド上梁どうしを簡便に連結できるようにして地震発生時のラックの揺れを少なくし、ラックや保管物品の破損を防止できるようにする一方、上記したように現在でも根強い需要があって、物流業界において膨大な台数が保有されている入れ子式ラックR1を無駄にすることなく、このラックR1を有効に活用できる入れ子式ラックR2を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明は、左右の前柱1及び後柱2の4本の柱の下端部に積載床3を設け、左右後柱2,2の上端面に亘って後部上梁4を架設し、前柱1の上端面と後部上梁4の上面とに亘って上レール50を架設し、積載床3の下部に下レール60を設け、使用時はそれ自体どうし上下レール50,60を介して積み重ね可能で、不使用時はそれ自体どうしネスティング可能なラックR1の上に積み重ね可能なラックR2であって、それ自体どうし積み重ね可能で且つネスティング可能な入れ子式ラックR2は、下記(1).〜(4).の要件を具備する。
(1).左右の前柱1及び後柱2の4本の柱の下端部に矩形枠状の積載床3を設け、左右後柱2,2の上端面に亘って後部上梁4を架設し、前柱1の上端部側と後部上梁4の上面とに亘ってサイド上梁5を架設し、左右後柱2,2の外法間隔W1をラックR1の左右上レール50,50の内法間隔W2より狭くする。
(2).積載床3の下部にはラックR1への積み重ね時にラックR1の上レール50に嵌合する下レール17を設ける。
(3).前柱1の上端面1aに積み重ね用嵌合突起10を設け、下端面には前記嵌合突起10が嵌合する積み重ね用嵌合凹部11を設ける。
(4).前柱1の上端面1aと後部上梁4の上面とが同一水平面に位置し、この水平面上に下面が位置するサイド上梁5の前端側及び後端側にラック連結用金具21,23,24又は積載床橋架用取付部材52,53を取り付けるための係合用凹部12,13を設ける。
【0008】
請求項2は、請求項1に記載の入れ子式ラックにおいて、複数のラックR2をサイド上梁5どうしが隣接するように水平に配列する時に、隣接するサイド上梁5の隣り合う係合用凹部12,13に水平連結金具21,23,24の係合凸部21a,23a,24aを係合することによりサイド上梁5どうしを連結するようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項3は、請求項1又は2に記載の入れ子式ラックにおいて、ラックR1を左右方向に所要間隔に配置して、両ラックR1,R1の上レール50,50間に矩形枠状の積載床25を橋架すると共に、各ラックR1上にラックR2を積み重ねるにあたって、積載床25の左右各側端部には、左右各ラックR1の内側の上レール50に上方より係止する係止部材26を設け、この係止部材26上にはラックR2の下レール17が嵌合する受けレール27を取り付け、左右各ラックR1の外側の上レール50にラック積み重ね高さ調整用の嵩上げライナー28を配置し、この嵩上げライナー28は、前記外側の上レール50に上方より係止する係止部材35と、この係止部材35上に取り付けられていて、ラックR2の下レール17が嵌合する受けレール36とによって形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項4は、請求項1〜3の何れかに記載の入れ子式ラックにおいて、ラックR2を左右方向に所要間隔に配置すると共にラックR2どうし複数段に積み重ねた状態で、対向する上段側ラックR2,R2の積載床3,3間にブリッジ用積載床45を橋架するにあたり、この積載床45の下面側左右両端部の夫々前端側及び後端側に設けた前端側係合片52及び後端側係合片53を、下段側ラックR2のサイド上梁5の前端側係合凹部12及び後端側係合部13に係合させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明のラックR2によれば、複数のラックR2をサイド上梁5どうしが左右更には前後に隣接するように水平配列する時に、サイド上梁5の前端側及び後端側係合用凹部12,13にラック連結用金具21,23,24を介装することにより、ボルト等の面倒な工具を使用することなく容易に連結できて、ラックR2どうしを強固に連結することができ、それにより地震発生時のラックの揺れを少なくして、ラック自体や保管物品の破損を防止することができる。また、ラックR2を左右方向に所要間隔に配置すると共にラックR2どうし複数段に積み重ねた状態で、対向する上段側ラックR2,R2の積載床3,3間にブリッジ用積載床45を橋架する時には、サイド上梁5の前端側及び後端側係合用凹部12,13に積載床橋架用取付部材52,53を取り付けることにより、積載床45の橋架が容易となる。
【0012】
更にラックR2によれば、積載床3の下部にはラックR1への積み重ね時にラックR1の上レール50に嵌合する下レール17を設けているから、ラックR1の上レール50にその上方よりラックR2の下レール17を嵌合させることにより、ラックR1の上にラックR2を安定良く積み重ねて使用することができ、従って現在でも根強い需要があって、物流業界において膨大な台数が保有されている入れ子式ラックR1を無駄にすることなく有効活用することができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、複数のラックR2をサイド上梁5どうしが隣接するように水平に配列する時に、各サイド上梁5の前端部及び後端部に設けた係合凹部12,13を利用して、水平連結具21,23,24の係合凸部21a,23a,24aを係合させることにより、隣接するサイド上梁5どうしをボルト等の面倒な工具を使用することなく容易に連結できて、ラックR2どうしを強固に連結することができ、地震発生時のラック2の揺れを少なくして、ラック2自体や保管物品の破損を防止することができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、ラックR1を左右方向に所要間隔に配置して、両ラックR1,R1の上レール50,50間に矩形枠状の積載床25を橋架すると共に、各ラックR1上にラックR2を積み重ねるようにすることにより、ラックR1及びラックR2の使用台数を減らすことができ、もってラック導入コストの低減を図ることができる。この場合、積載床25の左右各側端部には、左右各ラックR1の内側の上レール50に上方より係止する係止部材26を設け、この係止部材26上にはラックR2の下レール17が嵌合する受けレール27を取り付け、左右各ラックR1の外側の上レール50にラック積み重ね高さ調整用の嵩上げライナー28を配置することによって、積載床3を簡単に両ラックR1,R1間に簡単に橋架できると共に、嵩上げライナー28により、ラックR1上へのラックR2の積み重ねを的確に行うことができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、ラックR2を左右方向に所要間隔に配置すると共にラックR2どうし複数段に積み重ねた状態で、対向する上段側ラックR2,R2の積載床3,3間にブリッジ用積載床45を橋架するに場合には、積載床45の下面側左右両端部の夫々前端側及び後端側に設けた前端側係合片52及び後端側係合片53を、下段側ラックR2のサイド上梁5の前端側係合凹部12及び後端側係合部13に係合させることにより、ブリッジ用積載床45を上段側ラックR2,R2の積載床3,3間に簡単且つ容易に橋架することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の好適な一実施形態を図面に基づいて説明すると、図1の(a) は従来より使用されている入れ子式ラックR1の斜視図、(b) は本発明に係る入れ子式ラックR2の斜視図であり、図3の(a) はラックR2の正面図、(b) は(b) は積載床を除いた状態のラックR2の平面図、(c) はラックR2の右側面図、(d) は(a) のB−B線断面図、(e) はラックR2の背面図であり、図4の(a) は図3の(b) の矢印Cで示す部分の拡大図、(b) は平面図、(c) は左側面図、(d) は右側面図であり、図5の(a) は図3の(a) の矢印Dで示す部分の拡大図、(b) は平面図、(c) は右側面図であり、図6の(a) は図3の(b) の矢印Eで示す部分の拡大図、(b) は右側面図、(c) は平面図であり、また図7の(a) は図3の(b) の矢印Fで示す部分の拡大図、(b) は右側面図、(c) は平面図である。
【0017】
このラックR2は、左右の前柱1及び後柱2の4本の柱の下端部に矩形枠状の積載床3を設け、左右後柱2,2の上端面に亘って後部上梁4を架設し、前柱1の上端部側と後部上梁4の上面とに亘ってサイド上梁5を架設すると共に、前柱1の上端面1aと後部上梁4の上面とを同一水平面に位置させ、この水平面上に下面が位置するサイド上梁5の前端側及び後端側にラック連結用金具を介装するための係合用凹部12,13を設け、そして前柱1の上端面1aに積み重ね用嵌合突起10を設け、前柱1の下端面には積み重ね用嵌合突起10が嵌合する積み重ね用嵌合凹部11を設け、更に積載床3の下部には、在来のラックR1への積み重ね時にラックR1の上レール50に嵌合する下レール17を設けてなるもので、この下レール17は、頂角が90度よりも小さい例えば82度の等辺山形鋼により形成される。尚、図1の(a) に示すラックR1の上レール50は、頂角が90度の等辺山形鋼により形成されている。
【0018】
積載床3は、前後の横梁6,7、左右の縦梁8,8及び格子組みされた複数の中桟9とによって構成される。前柱1、後柱2、後部上梁4、サイド上梁5、積載床3の前後横梁6,7、左右縦梁8,8及び中桟9は、夫々同じ太さで断面正方形の角形鋼管からなる。また、図3の(a) に示すように、左右の前柱1,1の内法間隔をWとし、左右の後柱2,2の外法間隔をW1とすれば、W>W1で、WはW1よりわずかに広く、そして左右後柱2,2の外法間隔W1はラックR1の左右上レール50,50の内法間隔W2よりもわずかに狭く(W1<W2)、また左右下レール17,17の外法間隔W3は左右前柱1,1の内法間隔Wよりも狭くなっている(W3<W)。これはラックR2が同じ構造のラックR2に対し入れ子式に収納する(ネスティングする)ことができる条件である。
【0019】
前柱1の上端面1aに突設された積み重ね用嵌合突起10は、図4に示すように、概ね半球状に形成されたもので、前柱1の上端面1aからの突出高さは、サイド上梁5の上面5aより低い。また前柱1の下端面に設けられる積み重ね用嵌合凹部11は、この実施形態のように前柱1が角形鋼管等の中空材からなる場合は、この前柱1の下端部内をそのまま嵌合凹部とすることができ(図1の(b) に点線で示す)、また前柱1が中実材からなる場合は、その下端部に凹部を形成すればよい。
【0020】
また図4に示すように、積み重ね用嵌合突起10が突設された前柱1の上端面1aと後部上梁4の上面4aとは同一水平面に位置し、この水平面上にサイド上梁5の下面5bが位置している。このサイド上梁5の前端側には、図4の(a) ,(b) に示すように、積み重ね用嵌合突起10の背面側との間に所要間隔をおいて前端側係合用凹部12が設けられ、そしてサイド上梁5の後端側には、後部上梁4の上面4a端部との間に後端側係合用凹部13が設けられる。
【0021】
前端側係合用凹部12は、図4の(a) ,(b) に示すように、例えば断面正方形の角形鋼管材12aからなるもので、サイド上梁5の前端に固着されると共に、前柱1の背面上端部に取り付けられた取付台片14上にサイド上梁5の前端部と一緒に固着されている。
【0022】
後端側係合用凹部13は、同じく図4の(a) ,(b) に示すように、例えば前端側係合用凹部12より小さい断面長方形の角形鋼管材13aからなるもので、サイド上梁5の後端に固着されていると共に、後部上梁4の上面4aの端部にサイド上梁5の後端部と一緒に固着されている。
【0023】
また図4の(a) ,(b) ,(d) に示すように、後端側係合用凹部13を形成する角形鋼管材13aの後端面から後部上梁4の背面4cに亘ってストッパー板15が固着され、このストッパー板15の内側に位置するサイド上梁5と後部上梁4との交差部には積み重ね用柱下端部嵌合部16が形成され、このストッパー板15は積み重ね用柱下端部嵌合部16の背面部を位置規制するようになっている。ラックR2の積み重ね時には、積み重ね用柱下端部嵌合部16に上段側ラックR2の後柱2の下端部が嵌合され、後部上梁4の上面4aに支持される。
【0024】
図5、図6及び図7に示すように、積載床3の縦梁8には、頂角が例えば82度の等辺山形鋼からなる下レール17が複数の連結材18により取り付けられている。連結材18は、縦梁8と下レール17との間にフォークリフトの爪が入る空間を形成する役割も果たす。図中の19は積載床3の前面側左右端部で下レール17と前柱1と積載床3の前横梁6とを結合するためのガセットプレート、20は積載床3の背面側左右端部で下レール17と積載床3の後横梁7と連結材18とを結合するためのガセットプレートである。
【0025】
図8は、複数の入れ子式ラックR2をサイド上梁5どうしが隣接するように左右水平方向に配列して使用する状態を示す。この水平配列での使用において、隣接するサイド上梁5,5の前端側で隣り合う前端側係合用凹部12,12には前端側水平連結金具21の係合凸部22,22を係合し、また隣接するサイド上梁5,5の後端側で隣り合う後端側係合用凹部13,13には後端側水平連結金具23の係合凸部22,22を係合して、隣接するサイド上梁5,5どうしを連結する。
【0026】
図9の(a) は図8の矢印Gで示す部分の拡大平面図で、隣接するサイド上梁5,5の前端側で隣り合う前端側係合用凹部12,12を示し、(b) は前端側水平連結金具21を示す正面図、(c) は側面図である。この前端側水平連結金具21は、金具本体21oの下端側に、隣接するサイド上梁5,5の隣り合う前端側係合用凹部12,12に係合可能な位置に係合凸部21a,21aを突設し、金具本体21oの上端部に把手21bを取り付けたものである。同図の(a) には、水平連結金具21の係合凸部21a,21aを隣接するサイド上梁5,5の隣り合う前端側係合用凹部12,12に係合させた状態を一点鎖線で示している。
【0027】
図10の(a) は図8の矢印Hで示す部分の拡大平面図で、隣接するサイド上梁5,5の後端側で隣り合う後端側係合用凹部13,13を示し、(b) は後端側水平連結金具23を示す正面図、(c) は平面図、(d) は側面図である。この後端側水平連結金具23は、金具本体23oの下端側に、隣接するサイド上梁5,5の隣り合う後端側係合用凹部13,13に係合可能な位置に係合凸部23a,23aを突設し、金具本体23oの上端部に把手23bを取り付けたものである。
【0028】
図11の(a) は、複数の入れ子式ラックR2をサイド上梁5どうしが隣接するように左右水平方向及び前後水平方向に配列し、前後水平方向についてはラックR2が背中合わせの状態に配列して使用する状態を示す平面図、(b) は左右前後に隣り合う4つの後端側係合用凹部13,13,13,13に適用する水平連結金具24の正面図、(c) は側面図、(d) は平面図である。この水平連結金具24は、金具本体24oの下端側に、左右及び前後背中合わせに配列されたラックR2の左右前後に隣接するサイド上梁5,5,5,5の左右前後に隣り合う後端側係合用凹部13,13,13,13に係合可能な位置に4つの係合凸部24a,24a,24a,24aを突設し、金具本体24oの上端部に把手24bを取り付けたものである。
【0029】
上記のように複数のラックR2をサイド上梁5どうしが左右更には前後に隣接するように水平配列する時に、各サイド上梁5の前端部及び後端部に設けた係合凹部12,13を利用して、上述したような水平連結具21,23,24の係合凸部21a,23a,24aを係合させることにより、隣接するサイド上梁5どうしを、ボルト等の面倒な工具を使用することなく容易に連結できて、水平に配列されたラックR2どうしを強固に連結することができ、それにより地震発生時のラックの揺れを少なくして、ラック自体や保管物品の破損を防止することができる。そして、上記のような水平連結具21,23,24は、その構造が簡単で製作が容易であるから、安価に提供することができる。
【0030】
図12は、ラックR1を左右方向に所要間隔に配置して、各ラックR1の上にラックR2を積み重ね、更にラックR2の上に同じラックR2を積み重ねて、その上段側の隣り合うラックR2,R2の積載床3,3間にブリッジ用積載床45を橋架したラック積み重ね構造体を示し、図13は図12のI線に沿った部分の拡大断面図で、下段のラックR1上にラックR2を積み重ねた状態を示している。この図13から分かるように、ラックR1,R2積み重ねた時は、下側にある下段側ラックR1の上レール50に、上方にある上段側ラックR2の下レール17が嵌合して安定する。しかもこの場合、上方に位置する下レール17の頂角(82度)は上レール50の頂角(90度)よりも小さいから、上方に位置するラックR2の荷重によって、下レール17がクッションの役割を果たして一層安定する。
【0031】
図14は、ラックR1を左右方向に所要間隔に配置して、両ラックR1,R1の対向する上レール50,50間に、矩形枠状のブリッジ用積載床25を橋架すると共に、各ラックR1の上にラックR2を積み重ね、更にラックR2上に同じラックR2を積み重ねて、図12と同様に上段側の隣り合うラックR2,R2の積載床3,3間に2段目ブリッジ用積載床45を橋架した状態のラック積み重ね構造体を示したものである。
【0032】
図14のように両ラックR1,R1の上レール50,50間にブリッジ用積載床25を橋架すると共に各ラックR1上にラックR2を積み重ねるにあたっては、積載床25の左右各側端部にはその前後両端部に、左右各ラックR1の内側の上レール(積載床25に隣接する側の上レール)50に上方より係止する前後一対のコ字形状係止部材26,26を設けると共に、前後両コ字形係止部材26,26の上面に亘って、ラックR2の下レール17が嵌合する等辺山形鋼からなる受けレール27を固着し、左右各ラックR1の外側の上レール50には、ラック積み重ね高さ調整用の嵩上げライナー28を配置する。
【0033】
図15は、左右両ラックR1,R1の夫々内側の上レール50,50間に橋架されるブリッジ用の積載床25と、左右両ラックR1,R1の夫々外側の上レール50,50に配置される左右一対の嵩上げライナー28,28を示す斜視図であり、図16の(a) はブリッジ用積載床25の平面図、(b) は正面図、(c) は背面図、(d) は右側面図、(e) は(b) の矢印Kで示す部分の拡大図、(f) は(a) のL−L線拡大断面図、(g) は(a) のM−M 拡大断面図である。
【0034】
図16から分かるように、ブリッジ用の積載床25は、夫々断面正方形の角形鋼管からなる前後の横梁29、30、左右の縦梁31,31及び格子組みされる複数の中桟32によって形成されるもので、各縦梁31の外側面の前後端部に一対のコ字形状係止部材26,26が固着され、前後両係止部材26,26の上面に亘って頂角が90度の等辺山形鋼からなる受けレール27が固着され、この受けレール27の後端にストッパー33が取り付けられている。図16において、26′は受けレール27の中間部を支持するアングル片で、縦梁31の外側面に取り付けてある。また34は、積載床25の下面側四隅部に設けられたフォークリフト荷役用の脚体で、前部側の2つの脚体34は、ラックR1の前柱1と対応する位置にあって、この積載床25が前方へ飛び出すのを防止する役割を果たすようになっている。尚、この実施形態では、各縦梁31の外側面の前後端部にコ字形状係止部材26を取り付けているが、各縦梁31の外側面の全長に亘って1本のコ字形状係止部材26を取り付けるようにしてもよい。
【0035】
左右各嵩上げライナー28は、図15及び図17に示すように、ラックR1の外側の上レール50に上方より係止する前後一対のコ字形状係止部材35,35と、両係止部材35,35の上面に亘って一体的に固着されていて、ラックR2の下レール17が嵌合するようになっている等辺山形鋼からなる受けレール36と、この受けレール36の後端に取り付けられた後端側ストッパー37と、この後端側ストッパー37に隣接する後部側係止部材35の側面部に積み重ね座38を介して取り付けられたL字形の後端側止め金具39と、前記受けレール36の前端で前端側係止部材35にL字形の前端側止め金具40と、この止め金具40に隣接して前端側係止部材35の外側面部に積み重ね座41を介して取り付けられたサイド位置決めストッパー42とを具備している。また、図17の(d) に示すように受けレール36内には複数箇所に補強材43が取り付けてある。
【0036】
左右各嵩上げライナー28において、受けレール36の後端側に取り付けられた積み重ね座38及び後端側止め金具39と、受けレール36の前端側に取り付けられた積み重ね座41及びサイド位置決めストッパー42とは、図15から分かるように、受けレール36を間に挟んで左右反対側に位置する。また、左右両嵩上げライナー28,28は、所要間隔に配置された左右両ラックR1,R1の夫々外側の上レール50,50に係止されるものであるから、図15から分かるように、積載床25を挟んで左右対称となるように形成されている。尚、この実施形態では、受けレール36の前後端部にコ字形状係止部材35が取り付けられているが、受けレール36の全長に亘って1本のコ字形状係止部材35が取り付けられるようにしてもよい。
【0037】
以上説明したような構成よりなるラックR2の使用において、このラックR2を図12に示すように在来のラックR1の上に積み重ねるには、下側にあるラックR1の上レール50に、その上方よりラックR2の下レール17を嵌合させればよく、この嵌合状態を図13に示す。この場合、上方に位置するラックR2の下レール17の頂角は上レール50の頂角よりも小さいため、上方に位置するラックR2の荷重で下レール17がクッションの役割をして一層安定する。
【0038】
また図12に示すように、ラックR1に積み重ねたラックR2の上に同じラックR2を積み重ねるには、下段側ラックR2における前柱1の上端にある積み重ね用嵌合突起10を、これから積み重ねる上段側ラックR2における前柱1の下端にある積み重ね用嵌合凹部11に嵌合させると共に、この上段側ラックR2における後柱2の下端部を、下段側ラックR2におけるサイド上梁5と後部上梁4とのコーナー部に形成される積み重ね用柱下端部嵌合部16に嵌合させて、後部上梁4の上面4aに支持させればよく、それによって上段側ラックR2は前後及び左右方向、即ち水平方向の移動が制限される。
によって形成される。
【0039】
また、図14に示すように、ラックR1を左右方向に所要間隔に配置して、両ラックR1,R1の対向する上レール50,50間に、ブリッジ用の積載床25を橋架するには、先ず積載床25の左右各端部にある前後一対のコ字形状係止部材26を、図18に示すように、左右各ラックR1の内側の上レール(積載床25に隣接する側の上レール)50に上方より係止すればよい。両ラックR1,R1間に積載床25を橋架した時、積載床25の下面側四隅部に突設してある4つの脚体34…のうち前部側2つの脚体34が各ラックR1の前柱1の真後ろに隣接位置して、積載床25の前方への飛び出しを防止するようになっている。
【0040】
上記のようにして両ラックR1,R1の上レール50,50間に積載床25を橋架しただけでは、各ラックR1にラックR2を積み重ねると、ラックR2の内端部側が上がり、外端部側が下がって傾いてしまうことから、この不都合を回避するためにラックR1の外側上レール50に嵩上げライナー28を取り付けるのである。
【0041】
この嵩上げライナー28の取り付けにあたっては、受けレール36の前端側を持ち上げて斜めにした状態でその後端部にある取付部材35をラックR1の外側の上レール50に嵌合させて滑らせながら、図19及び図20に示すように、積み重ね座38をラックR1の後部上梁4上面に載置すると共に、L字形の後端側止め金具39をラックR1の後部上梁4に内側から当接係合させ、そうして受けレール36全体をラックR1の外側上レール50に嵌合させ、図21に示すように受けレール36の前端側にあるL字形の前端側止め金具40をラックR1の外側上レール50の前端面からその下面側に係止させると共に、積み重ね座41をラックR1の前柱1の上端面1aに載置し、サイド位置決めストッパー42をラックR1の前柱1の外側面に係止させる。これにより、嵩上げライナー28は、ラックR1の外側上レール50に対し左右方向、上下方向及び後方向の移動を規制された状態で取り付けられる。
【0042】
上記のようにして両ラックR1,R1の対向する内側上レール50,50間にブリッジ用積載床25を橋架し且つ両ラックR1,R1の各外側上レール50に嵩上げライナー28を取り付けた後、各ラックR1の上にラックR2を積み重ねる。このラックR1上へのラックR2の積み重ねにあたり、ラックR2の下部の内側下レール17は、図18に示すようにブリッジ用積載床25の受けレール27に嵌合させ、ラックR2の外側下レール17は、図19に示すようにラックR1の外側上レール50に取り付けてある嵩上げライナー28の受けレール36に嵌合させる。
【0043】
そして、この場合、ラックR2の後柱2の下端面は、図19に示すように、ラックR1の後部上梁4上面に載置された嵩上げライナー28の積み重ね座38の上面で支持され、ラックR2の前柱1の下端面は、ラックR1の前柱の上端面1aに載置された嵩上げライナー28の積み重ね座41の上面で支持されるから、ラックR1の上にラックR2を積み重ねた場合のラックR2側の荷重はレール17,36,50側に負荷されず、ラックR2の前後柱1,2から積み重ね座38,41を介してラックR1の前後柱1,2により支持されることになり、これによって嵩上げライナー28は安定状態に保持される。
【0044】
図22は、図12及び図14に示すラックR1,R2の積み重ね構造体において2段目ラックR2,R2の積載床3,3間に橋架される2段目のブリッジ用積載床45の一例を示したもので、(a) は2段目ブリッジ用積載床45の平面図、(b) は正面図、(c) は背面図、(d) は側面図である。このブリッジ用積載床45は、図12及び図14に示すように上段側の隣り合うラックR2,R2の積載床3,3間に橋架されるもので、前後の横梁46,47、左右の縦梁48,48及び格子組みされた複数の中桟49とによって構成され、前後横梁46,47、左右縦梁48,48及び中桟49は夫々、ラックR2の前後柱1,2等と同じ太さの断面正方形角形鋼管からなる。
【0045】
このブリッジ用積載床45には左右各縦梁48の下面の前端側及び後端側に、下段側ラックR2(1段目ラックR2)のサイド上梁5上面に載置される前端側台座50及び後端側台座51が取り付けられ、この前端側台座50にはサイド上梁5の前端側係合凹部12に係合する係合片52が、また後端側台座51にはサイド上梁5の後端側係合凹部13に係合する係合片53が夫々下向きに突設されている。また、ブリッジ用積載床45の前後横梁46,47の夫々下面両端部には、左右方向位置規制ガイド片54,55が夫々下向きに突設されている。尚、前端側台座50及び後端側台座51は、ブリッジ用積載床45のレベルが上段側ラックR2の積載床3と同じレベルになるようにレベル調整するための台座である。
【0046】
そして、上記ブリッジ用積載床45を図12及び図14に示すように2段目ラックR2,R2の積載床3,3間に橋架するには、この積載床45を2段目ラック(上段側)R2,R2の積載床3,3間に配置して、積載床45の左右各縦梁48に設けてある前端側係合片52及び後端側係合片53を、1段目ラック(下段側)R2,R2のサイド上梁5の前端側係合凹部12及び後端側係合部13に係合させるだけで、このブリッジ用積載床45を2段目ラック(上段側)R2,R2の積載床3,3間にこの積載床3と同一レベルに簡単に橋架することができる。
【0047】
また、図14に示す実施形態のように、ラックR1を左右方向に所要間隔に配置して、両ラックR1,R1の上レール50,50間に矩形枠状の積載床25を橋架すると共に、各ラックR1上にラックR2を積み重ねるようにすることにより、ラックR1及びラックR2の使用台数を減らすことができ、それによってラック導入コストの低減を図ることができる。そしてこの場合、積載床25の左右各側端部には、左右各ラックR1の内側の上レール50に上方より係止する係止部材26を設け、この係止部材26上にラックR2の下レール17が嵌合する受けレール27を取り付けておいて、左右各ラックR1の外側の上レール50にラック積み重ね高さ調整用の嵩上げライナー28を配置することにより、積載床3を簡単に両ラックR1,R1間に簡単且つ容易に橋架できると共に、嵩上げライナー28によってラックR1上へのラックR2の積み重ねを的確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】(a) は従来より使用されている入れ子式ラックR1の斜視図、(b) は本発明に係る入れ子式ラックR2の斜視図である。
【図2】(a) はラックR1の正面図、(b) は積載床を除いた状態のラックR1の平面図、(c) はラックR1の右側面図、(d) は(a) のA−A線断面図、(e) はラックR1の背面図である。
【図3】(a) はラックR2の正面図、(b) は(b) は積載床を除いた状態のラックR2の平面図、(c) はラックR2の右側面図、(d) は(a) のB−B線断面図、(e) はラックR2の背面図である。
【図4】(a) は図3の(b) の矢印Cで示す部分の拡大図、(b) は平面図、(c) は左側面図、(d) は右側面図である。
【図5】(a) は図3の(a) の矢印Dで示す部分の拡大図、(b) は平面図、(c) は右側面図である。
【図6】(a) は図3の(b) の矢印Eで示す部分の拡大図、(b) は右側面図、(c) は平面図である。
【図7】(a) は図3の(b) の矢印Fで示す部分の拡大図、(b) は右側面図、(c) は平面図である。
【図8】図8は、複数の入れ子式ラックR1をサイド上梁5どうしが隣接するように左右水平方向に配列して使用する状態を示す斜視図である。
【図9】(a) は図8の矢印Gで示す部分の拡大平面図で、隣接するサイド上梁の前端側で隣り合う前端側係合用凹部を示す平面図、(b) は前端側水平連結金具を示す正面図、(c) は側面図である。
【図10】(a) は図8の矢印Hで示す部分の拡大平面図で、隣接するサイド上梁の後端側で隣り合う後端側係合用凹部を示す平面図、(b) は後端側水平連結金具を示す正面図、(c) は平面図、(d) は側面図である。
【図11】(a) は、複数の入れ子式ラックR2をサイド上梁どうしが隣接するように左右水平方向及び前後水平方向に配列し、前後水平方向についてはラックR2が背中合わせの状態に配列して使用する状態を示す平面図、(b) は左右前後に隣り合う4つの後端側係合用凹部に適用する水平連結金具の正面図、(c) は側面図、(d) は平面図である。
【図12】ラックR1を左右方向に所要間隔に配置して、各ラックR1の上にラックR2を積み重ね、更にラックR2の上に同じラックR2を積み重ねた状態を示す斜視図である。
【図13】図12のI線に沿った部分の拡大断面図である。
【図14】ラックR1を左右方向に所要間隔に配置して、両ラックR1,R1の対向する上レール間にブリッジ用積載床を橋架すると共に、各ラックR1の上にラックR2を積み重ねた状態を示す斜視図である。
【図15】ブリッジ用積載床と左右一対の嵩上げライナーを示す斜視図である。
【図16】(a) はブリッジ用積載床の平面図、(b) は正面図、(c) は背面図、(d) は右側面図、(e) は(b) の矢印Kで示される部分の拡大図、(f) は(a) のL−L線拡大断面図、(g) は(a) のM−M 拡大断面図である。
【図17】(a) は嵩上げライナーの正面図、(b) は(a) の矢印Nで示す部分の拡大図、(c) は(a) に示す嵩上げライナーの左側面図、(d) は(a) のO−O 断面図、(e) は(a) のP−P 断面図、(f) は(a) の矢印Qで示す部分の拡大図、(g) は(f) の拡大図の右側面図である。
【図18】図14のJ線に沿った部分の拡大断面図である。
【図19】図14のR線に沿った部分の拡大断面図である。
【図20】嵩上げライナー取付部の後端部側を示す断面図である。
【図21】嵩上げライナー取付部の前端部側を示す断面図である。
【図22】(a) は2段目のブリッジ用積載床を示す平面図、(b) は正面図、(c) は背面図、(d) は側面図である。
【図23】図12のS線に沿った部分の拡大断面図で、2段目ブリッジ用積載床の取付状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0049】
R1 在来の入れ子式ラック
R2 本発明に係る入れ子式ラック
1 前柱
2 後柱
3 積載床
4 後部上梁
10 積み重ね用嵌合突起
12 前端側係合用凹部
13 後端側係合用凹部
17 ラックR2の下レール
25 ブリッジ用積載床
45 ブリッジ用積載床
50 ラックR1の上レール
60 ラックR1の下レール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の前柱1及び後柱2の4本の柱の下端部に積載床3を設け、左右後柱2,2の上端面に亘って後部上梁4を架設し、前柱1の上端面と後部上梁4の上面とに亘って上レール50を架設し、積載床3の下部に下レール60を設け、使用時はそれ自体どうし上下レール50,60を介して積み重ね可能で、不使用時はそれ自体どうしネスティング可能なラックR1の上に積み重ね可能なラックR2であって、それ自体どうし積み重ね可能で且つネスティング可能な入れ子式ラックR2は、下記(1).〜(4).の要件を具備する。
(1).左右の前柱1及び後柱2の4本の柱の下端部に矩形枠状の積載床3を設け、左右後柱2,2の上端面に亘って後部上梁4を架設し、前柱1の上端部側と後部上梁4の上面とに亘ってサイド上梁5を架設し、左右後柱2,2の外法間隔W1をラックR1の左右上レール50,50の内法間隔W2より狭くする。
(2).積載床3の下部にはラックR1への積み重ね時にラックR1の上レール50に嵌合する下レール17を設ける。
(3).前柱1の上端面1aに積み重ね用嵌合突起10を設け、下端面には前記嵌合突起10が嵌合する積み重ね用嵌合凹部11を設ける。
(4).前柱1の上端面1aと後部上梁4の上面とが同一水平面に位置し、この水平面上に下面が位置するサイド上梁5の前端側及び後端側にラック連結用金具21,23,24又は積載床橋架用取付部材52,53を取り付けるための係合用凹部12,13を設ける。
【請求項2】
複数のラックR2をサイド上梁5どうしが隣接するように水平に配列する時に、隣接するサイド上梁5の隣り合う係合用凹部12,13に水平連結金具21,23,24の係合凸部21a,23a,24aを係合することによりサイド上梁5どうしを連結するようにした請求項1に記載の入れ子式ラック。
【請求項3】
ラックR1を左右方向に所要間隔に配置して、両ラックR1,R1の上レール50,50間に矩形枠状の積載床25を橋架すると共に、各ラックR1上にラックR2を積み重ねるにあたって、積載床25の左右各側端部には、左右各ラックR1の内側の上レール50に上方より係止する係止部材26を設け、この係止部材26上にはラックR2の下レール17が嵌合する受けレール27を取り付け、左右各ラックR1の外側の上レール50にラック積み重ね高さ調整用の嵩上げライナー28を配置し、この嵩上げライナー28は、前記外側の上レール50に上方より係止する係止部材35と、この係止部材35上に取り付けられていて、ラックR2の下レール17が嵌合する受けレール36とによって形成した請求項1又は2に記載の入れ子式ラック。
【請求項4】
ラックR2を左右方向に所要間隔に配置すると共にラックR2どうし複数段に積み重ねた状態で、対向する上段側ラックR2,R2の積載床3,3間にブリッジ用積載床45を橋架するにあたり、この積載床45の下面側左右両端部の夫々前端側及び後端側に設けた前端側係合片52及び後端側係合片53を、下段側ラックR2のサイド上梁5の前端側係合凹部12及び後端側係合部13に係合させるようにした請求項1〜3の何れかに記載の入れ子式ラック。
【請求項1】
左右の前柱1及び後柱2の4本の柱の下端部に積載床3を設け、左右後柱2,2の上端面に亘って後部上梁4を架設し、前柱1の上端面と後部上梁4の上面とに亘って上レール50を架設し、積載床3の下部に下レール60を設け、使用時はそれ自体どうし上下レール50,60を介して積み重ね可能で、不使用時はそれ自体どうしネスティング可能なラックR1の上に積み重ね可能なラックR2であって、それ自体どうし積み重ね可能で且つネスティング可能な入れ子式ラックR2は、下記(1).〜(4).の要件を具備する。
(1).左右の前柱1及び後柱2の4本の柱の下端部に矩形枠状の積載床3を設け、左右後柱2,2の上端面に亘って後部上梁4を架設し、前柱1の上端部側と後部上梁4の上面とに亘ってサイド上梁5を架設し、左右後柱2,2の外法間隔W1をラックR1の左右上レール50,50の内法間隔W2より狭くする。
(2).積載床3の下部にはラックR1への積み重ね時にラックR1の上レール50に嵌合する下レール17を設ける。
(3).前柱1の上端面1aに積み重ね用嵌合突起10を設け、下端面には前記嵌合突起10が嵌合する積み重ね用嵌合凹部11を設ける。
(4).前柱1の上端面1aと後部上梁4の上面とが同一水平面に位置し、この水平面上に下面が位置するサイド上梁5の前端側及び後端側にラック連結用金具21,23,24又は積載床橋架用取付部材52,53を取り付けるための係合用凹部12,13を設ける。
【請求項2】
複数のラックR2をサイド上梁5どうしが隣接するように水平に配列する時に、隣接するサイド上梁5の隣り合う係合用凹部12,13に水平連結金具21,23,24の係合凸部21a,23a,24aを係合することによりサイド上梁5どうしを連結するようにした請求項1に記載の入れ子式ラック。
【請求項3】
ラックR1を左右方向に所要間隔に配置して、両ラックR1,R1の上レール50,50間に矩形枠状の積載床25を橋架すると共に、各ラックR1上にラックR2を積み重ねるにあたって、積載床25の左右各側端部には、左右各ラックR1の内側の上レール50に上方より係止する係止部材26を設け、この係止部材26上にはラックR2の下レール17が嵌合する受けレール27を取り付け、左右各ラックR1の外側の上レール50にラック積み重ね高さ調整用の嵩上げライナー28を配置し、この嵩上げライナー28は、前記外側の上レール50に上方より係止する係止部材35と、この係止部材35上に取り付けられていて、ラックR2の下レール17が嵌合する受けレール36とによって形成した請求項1又は2に記載の入れ子式ラック。
【請求項4】
ラックR2を左右方向に所要間隔に配置すると共にラックR2どうし複数段に積み重ねた状態で、対向する上段側ラックR2,R2の積載床3,3間にブリッジ用積載床45を橋架するにあたり、この積載床45の下面側左右両端部の夫々前端側及び後端側に設けた前端側係合片52及び後端側係合片53を、下段側ラックR2のサイド上梁5の前端側係合凹部12及び後端側係合部13に係合させるようにした請求項1〜3の何れかに記載の入れ子式ラック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2010−111465(P2010−111465A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−284592(P2008−284592)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(592114415)
【出願人】(508079393)株式会社松井工業 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(592114415)
【出願人】(508079393)株式会社松井工業 (3)
【Fターム(参考)】
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