入力装置
【課題】薄型化を図るのに効果的で基板の曲がりに対しても安定した静電容量変化の安定性に優れ、さらには可動電極に加える力の大きさに対する静電容量変化特性の調整が容易な入力装置の提供を目的とする。
【解決手段】樹脂フィルム基板の表面側に導電性材料からなる可動電極を備え、当該樹脂フィルム基板の裏面に静電容量検出電極を備えた入力装置であって、可動電極は押圧により変位する変位部と樹脂フィルム基板の表面に接着固定する固定部とを有し、当該固定部は前記樹脂フィルム基板に設けた引き出し電極に電気接続してあり、前記変移部は前記樹脂フィルム基板の表面に向けて突出した突出部を有するとともに当該突出部の先端が初期状態において当該樹脂フィルム基板の表面に接触又は接着し、前記静電容量検出電極は前記変移部と対向して配置されているとともに前記樹脂フィルム基板に設けた引き出し電極に電気接続されていることを特徴とする。
【解決手段】樹脂フィルム基板の表面側に導電性材料からなる可動電極を備え、当該樹脂フィルム基板の裏面に静電容量検出電極を備えた入力装置であって、可動電極は押圧により変位する変位部と樹脂フィルム基板の表面に接着固定する固定部とを有し、当該固定部は前記樹脂フィルム基板に設けた引き出し電極に電気接続してあり、前記変移部は前記樹脂フィルム基板の表面に向けて突出した突出部を有するとともに当該突出部の先端が初期状態において当該樹脂フィルム基板の表面に接触又は接着し、前記静電容量検出電極は前記変移部と対向して配置されているとともに前記樹脂フィルム基板に設けた引き出し電極に電気接続されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可動電極の押圧状態により変化する静電容量の変化を検出することで入力信号を出力する入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器等に用いられる入力装置には操作部を押圧した強さや方向により変化した静電容量の変化量を検出し、X,Y,Z軸の1〜3軸の入力信号を出力する静電容量式フォースセンサが公知である。
【0003】
例えば、特許文献1には、基体上に電極Dx+,Dx−,Dy+,Dy−等を配置し、その上にレジスト膜をコーティングし、その上方にドーム型金属プレート及び操作用ボタンを配置した静電容量式入力検出装置を開示するが、構成に必要な部品点数が多くコスト高になるだけでなく、全体として装置が大きくなり、薄型化、小型化が困難である。
また、ドーム型金属プレートや操作用ボタンを保持するハウジングが必要なことから、曲げ性がなくこのような入力装置を電子機器の凹凸面に取り付けることができない問題もある。
さらには、従来の入力装置は操作ボタンに加えた力の大きさに対して静電容量の変化が非線形特性となり、実際に入力装置(入力機器)として使用する場合にはソフトウェア等を用いてその出力を調整しなければ快適な操作感が得られないために、調整の負荷によっては高価なCPUを選択する必要があり、コストアップの要因となる恐れもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−132872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は静電容量式入力装置において、薄型化を図るのに効果的で基板の曲がりに対しても安定した静電容量変化の安定性に優れ、さらには可動電極に加える力の大きさに対する静電容量変化特性の調整が容易な入力装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る入力装置は、樹脂フィルム基板の表面側に導電性材料からなる可動電極を備え、当該樹脂フィルム基板の裏面に静電容量検出電極を備えた入力装置であって、
可動電極は押圧により変位する変位部と樹脂フィルム基板の表面に接着固定する固定部とを有し、当該固定部は前記樹脂フィルム基板に設けた引き出し電極に電気接続してあり、前記変移部は前記樹脂フィルム基板の表面に向けて突出した突出部を有するとともに当該突出部の先端が初期状態において当該樹脂フィルム基板の表面に接触又は接着し、前記静電容量検出電極は前記変移部と対向して配置されているとともに前記樹脂フィルム基板に設けた引き出し電極に電気接続されていることを特徴とする。
ここで、樹脂フィルム基板において可動電極を設けた側を表面と表現し、静電容量検出電極を設けた側を裏面と表現する。
【0007】
本発明においては、導電性材料からなる可動電極を上から押圧する力や方向により、変形した当該可動電極と静電容量検出電極との間の静電容量変化をアナログ信号やデバイス信号として検出するものであり、樹脂フィルム基板が可動電極と静電容量検出電極との間の絶縁層として機能する。
【0008】
樹脂フィルム基板は入力装置の検出感度向上及び基板の曲げ特性向上の観点からは薄い方が好ましく、厚さが25μm〜100μmの範囲がよい。
また、強度が高い点からポリイミドフィルム又はポリエチレンテレフタレートフィルム等が好ましい。
【0009】
静電容量検出電極は、可動電極の変移部と対向するように樹脂フィルム基板の裏面に固定電極として形成する。
可動電極の押圧の力により静電容量検出電極との重なり面積が変化し、静電容量が変化するが、後段に接続する信号処理回路によりアナログ信号ないしはデジタル信号として出力が可能になる。
また、静電容量検出電極を可動電極の中心に対して、その周廻り方向に複数分割配置すれば、例えばX軸方向とY軸方向との静電容量変化量をベクトル合成すれば方向検出信号として入出力可能になる。
【0010】
次に本発明において可動電極の変移部に樹脂フィルム基板表面に向けた突出部を形成するとともにこの突出部の先端を樹脂フィルム基板の表面に接触させるか又は接着した理由を説明する。
例えば図14に示すように樹脂フィルム基板10の表面に導電性ラバーを用いて平坦状の変移部121と固定部122とからなる可動電極120を形成し、固定部に接続した接続部123を介して電気接続した引き出し電極40と変移部121に対向させて樹脂フィルム基板10の裏面に静電容量検出電極をスクリーン印刷等にて形成し、この電極と電気接続した引き出し電極40との間に周期的に変化する電圧を加える。
変移部を押圧するとその力の強さにより可動電極120と静電容量検出電極30との間の静電容量が変化し、無荷重の状態に対して電圧が変化する。
この場合に押圧荷重に対する静電容量の変化(電圧)を模式的にグラフ化すると図14(e)のようになる。
即ち、このように変移部121の裏面側が平坦であり、初期の無荷重の状態では変移部と樹脂フィルム基板表面との間に隙間があるために押圧荷重が小さい範囲では静電容量の変化が小さく、変移部の裏面が樹脂フィルム基板表面に接触してからの荷重変化に対して静電容量が急激に変化した後に早い段階でサチュレートしてしまう。
また、入力装置を電子機器等の凸面や凹面等の曲面上に取り付ける場合にその形状に応じて樹脂フィルム基板10が曲がり、変移部と樹脂フィルム基板との隙間が変化するため、これにより出力信号に大きなバラツキが生じる恐れもある。
【0011】
そこで本発明は例えば図13に示すように、変移部121の裏面側に突出部121aを形成するとともにその先端を樹脂フィルム基板10の表面に接触させたものである。
しかし、この場合に樹脂フィルム基板の曲げに対する出力バラツキを小さくできるものの突出部が根元から先端に向けて外側に突出したR形状の突起形状であると、可動電極の押し始めから変移部の裏面が樹脂フィルム基板に接触し急激に出力が変化することを緩和できるが、固定電極(静電容量検出電極)との重なり面積が大きく変化し、図13(f)に示すような非線形の曲線になる。
【0012】
本発明においては、静電容量の変化特性が例えば図1(f)に示したように線形特性や図2(e)に示したように初期の変化を小さく抑えつつ、その後は線形特性になるように調整しやすくした。
そのための方策としては、第1に樹脂フィルム基板を絶縁層とし、樹脂フィルム基板の表面側に設けた可動電極の変移部に対向して、樹脂フィルム基板の裏面に静電容量検出電極を設け、この変移部から突出させた突出部の先端部にも対向して静電容量検出電極を設けるとともに予め当該突出部の先端を、この樹脂フィルム基板の表面に接触又は接着しておくことで可動電極を押圧しない初期状態において、すでに図14に示した平行電極よりも大きい静電容量を発現させることにより、その後の急激な変化を抑える方法を採用した。
第2に可動電極を押圧した際の突出部の変形(重なり面積)パターンを改良した。
具体的には次のような方法があり、これらの方法は単独で採用しても組合せて採用してもよい。
突出部の断面形状を略台形形状にしたり、前記突出部の形状を先端部から根元部に向けて側面が内側にへこんだR形状にする方法。
前記突出部の形状を先端部から根元部に向けて側面に段差部を形成しながら、拡幅する方法。
前記突出部は同心円状に複数形成されているとともに最も内側に突出部の先端が樹脂フィルム基板の表面に接触又は接着し、前記複数の突出部は外周側に向けて順次突出高さが低くなるようにする方法。
前記突出部の形状を中心部から平面視放射状に形成する方法。
可動電極は中心固定部と当該中心固定部に対して同心円状に外周固定部とを有し、前記中心固定部と外周固定部との間が変移部となっていて、当該変移部に中心固定部と同心円状に形成した突出部の内周側面と外周側面との傾斜角度を相違させる方法等が例として挙げられる。
なお、突出部の変形パターンにて重なり面積を改良することが主な目的である場合には、前記突出部の先端部に対向して静電容量検出電極を設ける必要はない。
この場合には初期の静電容量を相対的に小さく設定できる。
【0013】
また、前記静電容量検出電極の形状又は数が前記可動電極の突出部先端から遠ざかるにつれて前記変移部に対向する対向面積が広くなるように形成する方法でもよい。
【0014】
本発明において樹脂フィルム基板が曲がりやすく、出力バラツキを小さくする方法としては、
前記静電容量検出電極は複数有し、可動電極は当該隣接する静電容量検出電極の間に静電容量変化に影響を与えない突起を有し、当該突起の先端が樹脂フィルム基板の表面に接触又は接着しているようにする方法。
可動電極の固定部は前記引き出し電極との接続部を有するとともに、当該の固定部の接続部周囲に溝部を形成する方法。
可動電極は複数の固定部と複数の変移部からなり、当該固定部に樹脂フィルム基板が曲がりやすいように除肉部を有するようにする方法。
樹脂フィルム基板に接着する固定部には接着剤のはみ出しを抑えるための凹部又は溝部を有するようにする方法等が例として挙げられる。
【0015】
本発明において可動電極の固定部のうち樹脂フィルム基板の表面に接着される部位に対向した樹脂フィルム基板の裏面に電極パターンを有しないようにすると、紫外線硬化型接着剤を用いて樹脂フィルム基板の裏面側から紫外線を照射する際に電極パターンが接着の障害にならない効果がある。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る入力装置にあっては、樹脂フィルム基板の表面側に導電性材料からなる可動電極を取り付け、この絶縁性樹脂フィルム基板の裏面に固定電極として銀ペースト等を用いて静電容量検出電極を形成した構造を採用したことにより、薄型化及び小型化を図るのに有効であり、可動電極の変移部に樹脂フィルム基板表面に向けて突出させた突出部を形成するとともに無荷重状態で突出部の先端をこの樹脂フィルム基板の表面に接触させるか又はさらに接着したことにより、第1に可動電極と静電容量検出電極との間に予め従来の平行電極構造よりも大きい静電容量が発現するようにするか、第2に可動電極の押圧による突出部の重なり面積変化を突出部の断面形状や静電容量電極の配置の工夫により操作ボタンの押圧始めの急激な出力変化を緩和したり、線形に近い静電量変化特性を得ることができる。
【0017】
また、本発明においては可動電極の変移部に形成した突出部の先端を無荷重状態で樹脂フィルム基板の表面に接触又は接着してあることにより、本発明に係る入力装置にある程度の曲がりが生じても、この突出部が曲がりに対して可動電極を支持する支持部として作用し、入出力信号特性のバラツキが小さい効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】可動電極の変移部に設けた突出部の断面形状を略台形形状にした例を示す。
【図2】突出部の断面形状において側面Sが内側にへこんだR形状にした例を示す。
【図3】突出部の断面形状において側面Sに段差部を設けた例を示す。
【図4】突出部を放射状に形成した例を示す。
【図5】突出部の先端に接着剤のはみ出しを抑えた凹部又は溝部を形成した例を示す。
【図6】突出部の外周側と内周側の傾斜角度に差を設けた例を示す。
【図7】可動電極の固定部を静電容量検出電極の間に形成した例を示す。
【図8】可動電極の固定部に溝を形成した例を示す。
【図9】可動電極の固定部に曲がりやすいように除肉部を形成した例を示す。
【図10】静電容量検出電極の形状変形例を示す。
【図11】静電容量検出電極の面積を突出部から遠ざかるにつれて大きくした例を示す。
【図12】固定電極の位置と接着部との位置が重ならないように配置した例を示す。
【図13】突出部が半球形状の例を示す。
【図14】可動電極の変移部が平坦である例を示す。
【図15】(a)は複数の突出部を同心円状に形成した例を示し、(b)は押し強度と押し方向の検出を組み合わせた例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る入力装置の構造例を以下図面に基づいて説明するが、本発明は樹脂フィルム基板の表面に導電性の可動電極を備え、裏面に固定電極として静電容量検出電極を備え、この可動電極の変移部に樹脂フィルム基板の表面に先端側を接触又は接着させた突出部を有するフォースセンサを要素とするものである。
よって、本発明はこのようなフォースセンサを要素とするものである限りにおいてアナログ入出力信号、デバイス信号、及びマトリックス信号等用途に制限はない。
【0020】
入力装置は図1に示すように樹脂フィルム基板10の表面側に可動電極20を備え、裏面に静電容量検出電極30を備えるとともに、可動電極20は導電ラバー等の導電材料からなり、押圧操作するための変移部21と樹脂フィルム基板の表面に固定するための固定部22を有する。
固定部22は、樹脂フィルム基板10の表面に銀ペースト等を用いて形成した接続部23と電気接続され、この接続部と引き出し電極40がパターン配線等により電気的に接続されている。
静電容量検出電極30は引き出し電極40a〜40dとパターン配線等により電気接続されている。
図1にて(a)は1軸検出型の断面図、(b)はその平面視を示し、樹脂フィルム基板上の電極を透視図として斜線で表現してある。
また、図1(c)はX,Y等の2軸(多軸)検出型の断面図、(d)は可動電極20を裏面側から見た外観斜視図、(e)は平面視で可動電極20を2点鎖線で表現してある。
この場合に可動電極20に中心固定部22aと外周固定部22bとを有する。
図1に示した例は可動電極20の変移部21に形成した突出部21aの断面形状が略台形形状の例である。
突出部21aの先端Tが樹脂フィルム基板10の表面に無荷重の初期状態で接触しているか、さらには接着剤を用いて接着してある。
図1(a)に示したように1軸検出型の場合には、突出部21aの外形が円錐台になる。
また、図1(b)に示したような多軸検出型の場合には、複数の円錐台形状の突出部21aを同心円状に配置してもよいが、本実施例では図1(d)に示すようにリング形状の突出部21aになっている。
図1(e)に示した静電容量検出電極の例はX軸方向の押し方向を検出するための例えば30a,30cとY軸方向の押し方向を検出するための30c,30dの周廻りに4分割にした例となっているが、分割数を多くするとその押し方向合成ベクトル精度や検出感度が向上する。
例えば図15(b)に示すように押し強度を検出するためのリング状の静電容量検出電極30と、X,Y軸押し方向を検出するための静電容量検出電極(30a〜30d)を組み合せてもよい。
また、可動電極の上に操作ボタン60を貼り付けてもよい。
このような突出部形状にすると、可動電極材料の弾性特性を考慮して、側面Sの傾斜角を選定することで図1(f)に示したような線形特性に近づけることができる。
また、図1に示した実施例は、樹脂フィルム基板10の表面に接触又は接着した突出部21aの先端部の位置にも対向して、この樹脂フィルム基板10の裏面に静電容量検出電極を有した例になっていて、初期状態にて予め図14に示した平行電極よりも大きい静電容量を有するようにした例である。
このようにすると、押圧初期の静電容量の変化をゆるやかにできるが、静電容量の変化量の範囲を大きく設定したい場合には突出部の先端部に対向した位置には部分的に静電容量検出電極を設けずに、突出部の断面形状のみで重なり面積の変化を線形にしてもよい。
【0021】
以下、図1に示した入力装置と共通する部分は、同じ符号を用い、相違する部分を中心に説明する。
図2に示した例は突出部21bの断面形状を先端から根元に向けて側面Sが内側にへこんだR形状にした例である。
このようにすると図2(e)に静電特性を模式的に示すように初期の変化が小さく、その後に線形になるように調整しやすい。
【0022】
図3に示した例は、突出部21cの側面Sに段差を形成した例である。
この段差の形状は直接的な階段状でもR形状の段差部をつなぎ合せたものでもよい。
さらには、図15(a)に示すように突出高さが外周側に向けて順次、低くなるように同心円状に形成してもよい。
このようにすると図3(e)に示すように静電特性を全体としては線形に近づけることができる。
図4に示した例は突出部21dを中心から外周側に向けて、放射状に形成した例を示す。
この場合には静電特性を図4(e)に示すように線形に近づけやすい。
【0023】
図5は可動電極の突出部の先端及び固定部を樹脂フィルム基板の表面に接着する場合に接着剤がはみ出ないように凹部24a,24bや溝部25a,25b,25cを設けた例を示す。
【0024】
図6に示した例は可動電極20に中心固定部22aと外周側に外周固定部22bとを有し、その間にリング状の突出部21f,21gを形成した場合に内周側と外周側とで側面Sの傾斜角度を異ならせた例である。
【0025】
図7に示す例は分割した静電容量検出電極30a〜30dの間に可動電極20の固定部26a〜26dを形成し、この部分で樹脂フィルム基板10の表面に接着固定する例である。
このようにすると静電容量変化に影響を与えることなく、入力装置を曲げやすくすることができる。
【0026】
図8に示した例は、可動電極20を樹脂フィルム基板10の表面に接着する場合に接着剤がついてはならない接続部23の周囲に溝部27a〜27dを設けることで接着固定する際に固定部のストレスを緩和し、静電容量変化特性への影響を抑えることができる。
【0027】
図9に示した例はセンサ部をマトリックス状に配置するような入力装置の場合に入力装置が曲がりやすいように変移部と変移部との間の固定部には溝状の除肉部28を形成した例である。
【0028】
図10に静電容量検出電極の形状を可動電極の突出部21aの先端に位置する(c)部から内周側に遠ざかるにつれて面積が大きくなる逆三角形状の(i)部と、外周側に向けて遠ざかるにつれて面積が大きくなる逆三角形状の(o)部をつなぎ合せた形状にした例を示し、図11にこの突出部21aの先端から内外方向に遠ざかるにつれて電極に開けた穴30eの数を減した例を示す。
このように静電容量検出電極側にても静電特性を調整することができる。
【0029】
図12に示した例は、可動電極の固定部の接着部位50a,50bと、固定電極パターンとが平面視において上下に重ならないように配置した例を示す。
このようにすると、紫外線硬化型接着剤を用いて接着固定する場合に透明な樹脂フィルム基板の裏面側から電極パターンの影響を受けることなく紫外線を照射でき、生産性が向上する。
【符号の説明】
【0030】
10 樹脂フィルム基板
20 可動電極
21 変移部
21a 突出部
22 固定部
23 接続部
30 静電容量検出電極
40 引き出し電極
60 操作ボタン
【技術分野】
【0001】
本発明は可動電極の押圧状態により変化する静電容量の変化を検出することで入力信号を出力する入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器等に用いられる入力装置には操作部を押圧した強さや方向により変化した静電容量の変化量を検出し、X,Y,Z軸の1〜3軸の入力信号を出力する静電容量式フォースセンサが公知である。
【0003】
例えば、特許文献1には、基体上に電極Dx+,Dx−,Dy+,Dy−等を配置し、その上にレジスト膜をコーティングし、その上方にドーム型金属プレート及び操作用ボタンを配置した静電容量式入力検出装置を開示するが、構成に必要な部品点数が多くコスト高になるだけでなく、全体として装置が大きくなり、薄型化、小型化が困難である。
また、ドーム型金属プレートや操作用ボタンを保持するハウジングが必要なことから、曲げ性がなくこのような入力装置を電子機器の凹凸面に取り付けることができない問題もある。
さらには、従来の入力装置は操作ボタンに加えた力の大きさに対して静電容量の変化が非線形特性となり、実際に入力装置(入力機器)として使用する場合にはソフトウェア等を用いてその出力を調整しなければ快適な操作感が得られないために、調整の負荷によっては高価なCPUを選択する必要があり、コストアップの要因となる恐れもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−132872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は静電容量式入力装置において、薄型化を図るのに効果的で基板の曲がりに対しても安定した静電容量変化の安定性に優れ、さらには可動電極に加える力の大きさに対する静電容量変化特性の調整が容易な入力装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る入力装置は、樹脂フィルム基板の表面側に導電性材料からなる可動電極を備え、当該樹脂フィルム基板の裏面に静電容量検出電極を備えた入力装置であって、
可動電極は押圧により変位する変位部と樹脂フィルム基板の表面に接着固定する固定部とを有し、当該固定部は前記樹脂フィルム基板に設けた引き出し電極に電気接続してあり、前記変移部は前記樹脂フィルム基板の表面に向けて突出した突出部を有するとともに当該突出部の先端が初期状態において当該樹脂フィルム基板の表面に接触又は接着し、前記静電容量検出電極は前記変移部と対向して配置されているとともに前記樹脂フィルム基板に設けた引き出し電極に電気接続されていることを特徴とする。
ここで、樹脂フィルム基板において可動電極を設けた側を表面と表現し、静電容量検出電極を設けた側を裏面と表現する。
【0007】
本発明においては、導電性材料からなる可動電極を上から押圧する力や方向により、変形した当該可動電極と静電容量検出電極との間の静電容量変化をアナログ信号やデバイス信号として検出するものであり、樹脂フィルム基板が可動電極と静電容量検出電極との間の絶縁層として機能する。
【0008】
樹脂フィルム基板は入力装置の検出感度向上及び基板の曲げ特性向上の観点からは薄い方が好ましく、厚さが25μm〜100μmの範囲がよい。
また、強度が高い点からポリイミドフィルム又はポリエチレンテレフタレートフィルム等が好ましい。
【0009】
静電容量検出電極は、可動電極の変移部と対向するように樹脂フィルム基板の裏面に固定電極として形成する。
可動電極の押圧の力により静電容量検出電極との重なり面積が変化し、静電容量が変化するが、後段に接続する信号処理回路によりアナログ信号ないしはデジタル信号として出力が可能になる。
また、静電容量検出電極を可動電極の中心に対して、その周廻り方向に複数分割配置すれば、例えばX軸方向とY軸方向との静電容量変化量をベクトル合成すれば方向検出信号として入出力可能になる。
【0010】
次に本発明において可動電極の変移部に樹脂フィルム基板表面に向けた突出部を形成するとともにこの突出部の先端を樹脂フィルム基板の表面に接触させるか又は接着した理由を説明する。
例えば図14に示すように樹脂フィルム基板10の表面に導電性ラバーを用いて平坦状の変移部121と固定部122とからなる可動電極120を形成し、固定部に接続した接続部123を介して電気接続した引き出し電極40と変移部121に対向させて樹脂フィルム基板10の裏面に静電容量検出電極をスクリーン印刷等にて形成し、この電極と電気接続した引き出し電極40との間に周期的に変化する電圧を加える。
変移部を押圧するとその力の強さにより可動電極120と静電容量検出電極30との間の静電容量が変化し、無荷重の状態に対して電圧が変化する。
この場合に押圧荷重に対する静電容量の変化(電圧)を模式的にグラフ化すると図14(e)のようになる。
即ち、このように変移部121の裏面側が平坦であり、初期の無荷重の状態では変移部と樹脂フィルム基板表面との間に隙間があるために押圧荷重が小さい範囲では静電容量の変化が小さく、変移部の裏面が樹脂フィルム基板表面に接触してからの荷重変化に対して静電容量が急激に変化した後に早い段階でサチュレートしてしまう。
また、入力装置を電子機器等の凸面や凹面等の曲面上に取り付ける場合にその形状に応じて樹脂フィルム基板10が曲がり、変移部と樹脂フィルム基板との隙間が変化するため、これにより出力信号に大きなバラツキが生じる恐れもある。
【0011】
そこで本発明は例えば図13に示すように、変移部121の裏面側に突出部121aを形成するとともにその先端を樹脂フィルム基板10の表面に接触させたものである。
しかし、この場合に樹脂フィルム基板の曲げに対する出力バラツキを小さくできるものの突出部が根元から先端に向けて外側に突出したR形状の突起形状であると、可動電極の押し始めから変移部の裏面が樹脂フィルム基板に接触し急激に出力が変化することを緩和できるが、固定電極(静電容量検出電極)との重なり面積が大きく変化し、図13(f)に示すような非線形の曲線になる。
【0012】
本発明においては、静電容量の変化特性が例えば図1(f)に示したように線形特性や図2(e)に示したように初期の変化を小さく抑えつつ、その後は線形特性になるように調整しやすくした。
そのための方策としては、第1に樹脂フィルム基板を絶縁層とし、樹脂フィルム基板の表面側に設けた可動電極の変移部に対向して、樹脂フィルム基板の裏面に静電容量検出電極を設け、この変移部から突出させた突出部の先端部にも対向して静電容量検出電極を設けるとともに予め当該突出部の先端を、この樹脂フィルム基板の表面に接触又は接着しておくことで可動電極を押圧しない初期状態において、すでに図14に示した平行電極よりも大きい静電容量を発現させることにより、その後の急激な変化を抑える方法を採用した。
第2に可動電極を押圧した際の突出部の変形(重なり面積)パターンを改良した。
具体的には次のような方法があり、これらの方法は単独で採用しても組合せて採用してもよい。
突出部の断面形状を略台形形状にしたり、前記突出部の形状を先端部から根元部に向けて側面が内側にへこんだR形状にする方法。
前記突出部の形状を先端部から根元部に向けて側面に段差部を形成しながら、拡幅する方法。
前記突出部は同心円状に複数形成されているとともに最も内側に突出部の先端が樹脂フィルム基板の表面に接触又は接着し、前記複数の突出部は外周側に向けて順次突出高さが低くなるようにする方法。
前記突出部の形状を中心部から平面視放射状に形成する方法。
可動電極は中心固定部と当該中心固定部に対して同心円状に外周固定部とを有し、前記中心固定部と外周固定部との間が変移部となっていて、当該変移部に中心固定部と同心円状に形成した突出部の内周側面と外周側面との傾斜角度を相違させる方法等が例として挙げられる。
なお、突出部の変形パターンにて重なり面積を改良することが主な目的である場合には、前記突出部の先端部に対向して静電容量検出電極を設ける必要はない。
この場合には初期の静電容量を相対的に小さく設定できる。
【0013】
また、前記静電容量検出電極の形状又は数が前記可動電極の突出部先端から遠ざかるにつれて前記変移部に対向する対向面積が広くなるように形成する方法でもよい。
【0014】
本発明において樹脂フィルム基板が曲がりやすく、出力バラツキを小さくする方法としては、
前記静電容量検出電極は複数有し、可動電極は当該隣接する静電容量検出電極の間に静電容量変化に影響を与えない突起を有し、当該突起の先端が樹脂フィルム基板の表面に接触又は接着しているようにする方法。
可動電極の固定部は前記引き出し電極との接続部を有するとともに、当該の固定部の接続部周囲に溝部を形成する方法。
可動電極は複数の固定部と複数の変移部からなり、当該固定部に樹脂フィルム基板が曲がりやすいように除肉部を有するようにする方法。
樹脂フィルム基板に接着する固定部には接着剤のはみ出しを抑えるための凹部又は溝部を有するようにする方法等が例として挙げられる。
【0015】
本発明において可動電極の固定部のうち樹脂フィルム基板の表面に接着される部位に対向した樹脂フィルム基板の裏面に電極パターンを有しないようにすると、紫外線硬化型接着剤を用いて樹脂フィルム基板の裏面側から紫外線を照射する際に電極パターンが接着の障害にならない効果がある。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る入力装置にあっては、樹脂フィルム基板の表面側に導電性材料からなる可動電極を取り付け、この絶縁性樹脂フィルム基板の裏面に固定電極として銀ペースト等を用いて静電容量検出電極を形成した構造を採用したことにより、薄型化及び小型化を図るのに有効であり、可動電極の変移部に樹脂フィルム基板表面に向けて突出させた突出部を形成するとともに無荷重状態で突出部の先端をこの樹脂フィルム基板の表面に接触させるか又はさらに接着したことにより、第1に可動電極と静電容量検出電極との間に予め従来の平行電極構造よりも大きい静電容量が発現するようにするか、第2に可動電極の押圧による突出部の重なり面積変化を突出部の断面形状や静電容量電極の配置の工夫により操作ボタンの押圧始めの急激な出力変化を緩和したり、線形に近い静電量変化特性を得ることができる。
【0017】
また、本発明においては可動電極の変移部に形成した突出部の先端を無荷重状態で樹脂フィルム基板の表面に接触又は接着してあることにより、本発明に係る入力装置にある程度の曲がりが生じても、この突出部が曲がりに対して可動電極を支持する支持部として作用し、入出力信号特性のバラツキが小さい効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】可動電極の変移部に設けた突出部の断面形状を略台形形状にした例を示す。
【図2】突出部の断面形状において側面Sが内側にへこんだR形状にした例を示す。
【図3】突出部の断面形状において側面Sに段差部を設けた例を示す。
【図4】突出部を放射状に形成した例を示す。
【図5】突出部の先端に接着剤のはみ出しを抑えた凹部又は溝部を形成した例を示す。
【図6】突出部の外周側と内周側の傾斜角度に差を設けた例を示す。
【図7】可動電極の固定部を静電容量検出電極の間に形成した例を示す。
【図8】可動電極の固定部に溝を形成した例を示す。
【図9】可動電極の固定部に曲がりやすいように除肉部を形成した例を示す。
【図10】静電容量検出電極の形状変形例を示す。
【図11】静電容量検出電極の面積を突出部から遠ざかるにつれて大きくした例を示す。
【図12】固定電極の位置と接着部との位置が重ならないように配置した例を示す。
【図13】突出部が半球形状の例を示す。
【図14】可動電極の変移部が平坦である例を示す。
【図15】(a)は複数の突出部を同心円状に形成した例を示し、(b)は押し強度と押し方向の検出を組み合わせた例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る入力装置の構造例を以下図面に基づいて説明するが、本発明は樹脂フィルム基板の表面に導電性の可動電極を備え、裏面に固定電極として静電容量検出電極を備え、この可動電極の変移部に樹脂フィルム基板の表面に先端側を接触又は接着させた突出部を有するフォースセンサを要素とするものである。
よって、本発明はこのようなフォースセンサを要素とするものである限りにおいてアナログ入出力信号、デバイス信号、及びマトリックス信号等用途に制限はない。
【0020】
入力装置は図1に示すように樹脂フィルム基板10の表面側に可動電極20を備え、裏面に静電容量検出電極30を備えるとともに、可動電極20は導電ラバー等の導電材料からなり、押圧操作するための変移部21と樹脂フィルム基板の表面に固定するための固定部22を有する。
固定部22は、樹脂フィルム基板10の表面に銀ペースト等を用いて形成した接続部23と電気接続され、この接続部と引き出し電極40がパターン配線等により電気的に接続されている。
静電容量検出電極30は引き出し電極40a〜40dとパターン配線等により電気接続されている。
図1にて(a)は1軸検出型の断面図、(b)はその平面視を示し、樹脂フィルム基板上の電極を透視図として斜線で表現してある。
また、図1(c)はX,Y等の2軸(多軸)検出型の断面図、(d)は可動電極20を裏面側から見た外観斜視図、(e)は平面視で可動電極20を2点鎖線で表現してある。
この場合に可動電極20に中心固定部22aと外周固定部22bとを有する。
図1に示した例は可動電極20の変移部21に形成した突出部21aの断面形状が略台形形状の例である。
突出部21aの先端Tが樹脂フィルム基板10の表面に無荷重の初期状態で接触しているか、さらには接着剤を用いて接着してある。
図1(a)に示したように1軸検出型の場合には、突出部21aの外形が円錐台になる。
また、図1(b)に示したような多軸検出型の場合には、複数の円錐台形状の突出部21aを同心円状に配置してもよいが、本実施例では図1(d)に示すようにリング形状の突出部21aになっている。
図1(e)に示した静電容量検出電極の例はX軸方向の押し方向を検出するための例えば30a,30cとY軸方向の押し方向を検出するための30c,30dの周廻りに4分割にした例となっているが、分割数を多くするとその押し方向合成ベクトル精度や検出感度が向上する。
例えば図15(b)に示すように押し強度を検出するためのリング状の静電容量検出電極30と、X,Y軸押し方向を検出するための静電容量検出電極(30a〜30d)を組み合せてもよい。
また、可動電極の上に操作ボタン60を貼り付けてもよい。
このような突出部形状にすると、可動電極材料の弾性特性を考慮して、側面Sの傾斜角を選定することで図1(f)に示したような線形特性に近づけることができる。
また、図1に示した実施例は、樹脂フィルム基板10の表面に接触又は接着した突出部21aの先端部の位置にも対向して、この樹脂フィルム基板10の裏面に静電容量検出電極を有した例になっていて、初期状態にて予め図14に示した平行電極よりも大きい静電容量を有するようにした例である。
このようにすると、押圧初期の静電容量の変化をゆるやかにできるが、静電容量の変化量の範囲を大きく設定したい場合には突出部の先端部に対向した位置には部分的に静電容量検出電極を設けずに、突出部の断面形状のみで重なり面積の変化を線形にしてもよい。
【0021】
以下、図1に示した入力装置と共通する部分は、同じ符号を用い、相違する部分を中心に説明する。
図2に示した例は突出部21bの断面形状を先端から根元に向けて側面Sが内側にへこんだR形状にした例である。
このようにすると図2(e)に静電特性を模式的に示すように初期の変化が小さく、その後に線形になるように調整しやすい。
【0022】
図3に示した例は、突出部21cの側面Sに段差を形成した例である。
この段差の形状は直接的な階段状でもR形状の段差部をつなぎ合せたものでもよい。
さらには、図15(a)に示すように突出高さが外周側に向けて順次、低くなるように同心円状に形成してもよい。
このようにすると図3(e)に示すように静電特性を全体としては線形に近づけることができる。
図4に示した例は突出部21dを中心から外周側に向けて、放射状に形成した例を示す。
この場合には静電特性を図4(e)に示すように線形に近づけやすい。
【0023】
図5は可動電極の突出部の先端及び固定部を樹脂フィルム基板の表面に接着する場合に接着剤がはみ出ないように凹部24a,24bや溝部25a,25b,25cを設けた例を示す。
【0024】
図6に示した例は可動電極20に中心固定部22aと外周側に外周固定部22bとを有し、その間にリング状の突出部21f,21gを形成した場合に内周側と外周側とで側面Sの傾斜角度を異ならせた例である。
【0025】
図7に示す例は分割した静電容量検出電極30a〜30dの間に可動電極20の固定部26a〜26dを形成し、この部分で樹脂フィルム基板10の表面に接着固定する例である。
このようにすると静電容量変化に影響を与えることなく、入力装置を曲げやすくすることができる。
【0026】
図8に示した例は、可動電極20を樹脂フィルム基板10の表面に接着する場合に接着剤がついてはならない接続部23の周囲に溝部27a〜27dを設けることで接着固定する際に固定部のストレスを緩和し、静電容量変化特性への影響を抑えることができる。
【0027】
図9に示した例はセンサ部をマトリックス状に配置するような入力装置の場合に入力装置が曲がりやすいように変移部と変移部との間の固定部には溝状の除肉部28を形成した例である。
【0028】
図10に静電容量検出電極の形状を可動電極の突出部21aの先端に位置する(c)部から内周側に遠ざかるにつれて面積が大きくなる逆三角形状の(i)部と、外周側に向けて遠ざかるにつれて面積が大きくなる逆三角形状の(o)部をつなぎ合せた形状にした例を示し、図11にこの突出部21aの先端から内外方向に遠ざかるにつれて電極に開けた穴30eの数を減した例を示す。
このように静電容量検出電極側にても静電特性を調整することができる。
【0029】
図12に示した例は、可動電極の固定部の接着部位50a,50bと、固定電極パターンとが平面視において上下に重ならないように配置した例を示す。
このようにすると、紫外線硬化型接着剤を用いて接着固定する場合に透明な樹脂フィルム基板の裏面側から電極パターンの影響を受けることなく紫外線を照射でき、生産性が向上する。
【符号の説明】
【0030】
10 樹脂フィルム基板
20 可動電極
21 変移部
21a 突出部
22 固定部
23 接続部
30 静電容量検出電極
40 引き出し電極
60 操作ボタン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルム基板の表面側に導電性材料からなる可動電極を備え、当該樹脂フィルム基板の裏面に静電容量検出電極を備えた入力装置であって、
可動電極は押圧により変位する変位部と樹脂フィルム基板の表面に接着固定する固定部とを有し、当該固定部は前記樹脂フィルム基板に設けた引き出し電極に電気接続してあり、前記変移部は前記樹脂フィルム基板の表面に向けて突出した突出部を有するとともに当該突出部の先端が初期状態において当該樹脂フィルム基板の表面に接触又は接着し、
前記静電容量検出電極は前記変移部と対向して配置されているとともに前記樹脂フィルム基板に設けた引き出し電極に電気接続されていることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記突出部の形状が先端部から根元部に向けて側面が内側にへこんだR形状になっていることを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記突出部の形状が先端部から根元部に向けて側面に段差部を形成しながら、拡幅されていることを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項4】
前記突出部は同心円状に複数形成されているとともに最も内側に突出部の先端が樹脂フィルム基板の表面に接触又は接着し、前記複数の突出部は外周側に向けて順次突出高さが低くなっていることを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項5】
前記突出部の形状が中心部から平面視放射状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項6】
可動電極は中心固定部と当該中心固定部に対して同心円状に外周固定部とを有し、前記中心固定部と外周固定部との間が変移部となっていて、当該変移部に中心固定部と同心円状に形成した突出部の内周側面と外周側面との傾斜角度が相違することを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項7】
可動電極を押圧しない初期状態において、
前記突出部の先端が樹脂フィルム基板の表面に接触又は接着しているとともに、当該突出部の先端部分にも対向して前記樹脂フィルム基板の裏面に静電容量検出電極を有し、当該初期状態にて予め所定量の静電容量を有するように設定したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の入力装置。
【請求項8】
前記静電容量検出電極は複数有し、可動電極は当該隣接する静電容量検出電極の間に静電容量変化に影響を与えない突起を有し、当該突起の先端が樹脂フィルム基板の表面に接触又は接着していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の入力装置。
【請求項9】
可動電極の固定部は前記引き出し電極との接続部を有するとともに、当該の固定部の接続部周囲に溝部を形成したことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の入力装置。
【請求項10】
前記変位部に設けた前記突出部は樹脂フィルム基板が曲がる際に可動電極を支持する支持部となることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の入力装置。
【請求項11】
可動電極は複数の固定部と複数の変移部からなり、当該固定部は樹脂フィルム基板が曲がりやすいように除肉部を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の入力装置。
【請求項12】
樹脂フィルム基板に接着する固定部には接着剤のはみ出しを抑えるための凹部又は溝部を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の入力装置。
【請求項13】
前記静電容量検出電極の形状又は数が前記可動電極の突出部先端から遠ざかるにつれて前記変移部に対向する対向面積が広くなるように形成されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の入力装置。
【請求項14】
可動電極の固定部のうち樹脂フィルム基板の表面に接着される部位に対向した樹脂フィルム基板の裏面に電極パターンを有していないことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の入力装置。
【請求項1】
樹脂フィルム基板の表面側に導電性材料からなる可動電極を備え、当該樹脂フィルム基板の裏面に静電容量検出電極を備えた入力装置であって、
可動電極は押圧により変位する変位部と樹脂フィルム基板の表面に接着固定する固定部とを有し、当該固定部は前記樹脂フィルム基板に設けた引き出し電極に電気接続してあり、前記変移部は前記樹脂フィルム基板の表面に向けて突出した突出部を有するとともに当該突出部の先端が初期状態において当該樹脂フィルム基板の表面に接触又は接着し、
前記静電容量検出電極は前記変移部と対向して配置されているとともに前記樹脂フィルム基板に設けた引き出し電極に電気接続されていることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記突出部の形状が先端部から根元部に向けて側面が内側にへこんだR形状になっていることを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記突出部の形状が先端部から根元部に向けて側面に段差部を形成しながら、拡幅されていることを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項4】
前記突出部は同心円状に複数形成されているとともに最も内側に突出部の先端が樹脂フィルム基板の表面に接触又は接着し、前記複数の突出部は外周側に向けて順次突出高さが低くなっていることを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項5】
前記突出部の形状が中心部から平面視放射状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項6】
可動電極は中心固定部と当該中心固定部に対して同心円状に外周固定部とを有し、前記中心固定部と外周固定部との間が変移部となっていて、当該変移部に中心固定部と同心円状に形成した突出部の内周側面と外周側面との傾斜角度が相違することを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項7】
可動電極を押圧しない初期状態において、
前記突出部の先端が樹脂フィルム基板の表面に接触又は接着しているとともに、当該突出部の先端部分にも対向して前記樹脂フィルム基板の裏面に静電容量検出電極を有し、当該初期状態にて予め所定量の静電容量を有するように設定したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の入力装置。
【請求項8】
前記静電容量検出電極は複数有し、可動電極は当該隣接する静電容量検出電極の間に静電容量変化に影響を与えない突起を有し、当該突起の先端が樹脂フィルム基板の表面に接触又は接着していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の入力装置。
【請求項9】
可動電極の固定部は前記引き出し電極との接続部を有するとともに、当該の固定部の接続部周囲に溝部を形成したことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の入力装置。
【請求項10】
前記変位部に設けた前記突出部は樹脂フィルム基板が曲がる際に可動電極を支持する支持部となることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の入力装置。
【請求項11】
可動電極は複数の固定部と複数の変移部からなり、当該固定部は樹脂フィルム基板が曲がりやすいように除肉部を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の入力装置。
【請求項12】
樹脂フィルム基板に接着する固定部には接着剤のはみ出しを抑えるための凹部又は溝部を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の入力装置。
【請求項13】
前記静電容量検出電極の形状又は数が前記可動電極の突出部先端から遠ざかるにつれて前記変移部に対向する対向面積が広くなるように形成されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の入力装置。
【請求項14】
可動電極の固定部のうち樹脂フィルム基板の表面に接着される部位に対向した樹脂フィルム基板の裏面に電極パターンを有していないことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−159599(P2011−159599A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22581(P2010−22581)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【特許番号】特許第4585615号(P4585615)
【特許公報発行日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(510059077)株式会社オーギャ (3)
【出願人】(000236920)富山県 (197)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【特許番号】特許第4585615号(P4585615)
【特許公報発行日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(510059077)株式会社オーギャ (3)
【出願人】(000236920)富山県 (197)
【Fターム(参考)】
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