説明

入力装置

【課題】操作者が意図せず手などが非接触センサに接近した場合の誤動作を防ぐことができる入力装置を提供する。
【解決手段】本発明に関する入力装置は、物体から放射される赤外光を受光し、受光の量に応じた温度信号を出力する非接触温度センサと、物体の温度が通常の状態に得られる温度信号の値と、物体が意図的に温度を上昇させた状態に得られる温度信号の値との間の所定の値を閾値として出力する閾値設定手段と、非接触温度センサと閾値設定手段とに接続し、温度信号と閾値とを比較する比較手段と比較手段に接続し、温度信号が閾値より大きい場合、操作対象機器に対して所定の動作制御を行う制御手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は入力装置に関し、特に電子機器の非接触操作に適用し得る入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触センサは様々な場面で用いられている。例えば、非接触センサに操作者が手をかざすことによって、照明やトイレ洗浄などの機器のオン/オフを行う入力装置などが一般に用いられている。
【0003】
特許文献1は、非接触センサとして反射型の光センサを有し、操作者が光センサに手をかざしたか否かを検出して、照明の明るさや色を調整するものである。
【0004】
また特許文献2は、非接触式の入力装置をゲーム等の画像表示と連動させたものであり、操作者が光センサに手をかざしたか否かを検出したうえで、手をかざした回数に応じて表示画像を切り替えるものである。
【0005】
これらの入力装置は、非接触センサの検出領域内に操作者の手が存在するか否かを検出することにより、操作対象となる電子機器の動作をオン/オフする動作スイッチの役目を果たしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−166586号公報
【特許文献2】特開平7−73005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載されている入力装置は、入力操作が行われたかどうかの判断を、非接触センサの検出領域内に物体が存在するか否かを検出することで判断している。
【0008】
そのため、操作者の行動により手などの身体各部が不意に非接触センサの検出領域に入ってしまうと、入力操作を意図していないにもかかわらず、入力が実行されてしまうという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、上述した課題を解決する入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に関する入力装置は、物体から放射される赤外光を受光し、受光の量に応じた温度信号を出力する非接触温度センサと、物体の温度が通常の状態に得られる温度信号の値と、物体が意図的に温度を上昇させた状態に得られる温度信号の値との間の所定の値を閾値として出力する閾値設定手段と、非接触温度センサと閾値設定手段とに接続し、温度信号と閾値とを比較する比較手段と比較手段に接続し、温度信号が閾値より大きい場合、操作対象機器に対して所定の動作制御を行う制御手段とを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の入力装置は、操作者が意図せず手などが非接触センサに接近するなどした場合の誤動作を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態における入力装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】第2の実施形態における入力装置1の構成を示すブロック図である。
【図3】第3の実施形態における入力装置1の構成を示すブロック図である。
【図4】第3の実施形態における動作設定データ8を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1の実施形態〕以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。
【0014】
〔構造の説明〕図1は、本実施形態における入力装置1の上面図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態における入力装置1は、非接触温度センサ2と、閾値設定手段3と、比較手段4と、制御手段5とを備えている。
【0016】
非接触温度センサ2は、物体から放射される赤外光を受光して、その受光量に応じた温度信号aを比較手段4に出力する機能を有する。非接触温度センサ2は、例えばサーモパイルや焦電素子などの非接触式の温度センサであれば特に限定されない。
【0017】
なお本実施形態では、非接触温度センサ2が検出する対象を操作者の手とした場合の説明を行っている。しかし本実施形態は、これに限定されず操作者の温度を検知できるものであれば、操作者の腕や足などの身体各部でもよい。
【0018】
操作者は操作対象機器を動作させたい場合、手を所定量こすり合わせて意図的に温度を上昇させてから非接触温度センサ2に手をかざす。操作者が手の温度を意図的に上昇させる方法としては、例えば手をこすり合わせる方法の他、息をかけて温めるなどこれに限定されない。
【0019】
閾値設定手段3は、操作者の手が何もしていない通常の状態である場合に得られる温度信号の値をあらかじめ設定した通常時温度データ6を備えている。また同様に、閾値設定手段3は、操作者の手が所定量こすり合わされて意図的に温度を上昇させた状態に得られる温度信号の値をあらかじめ設定した昇温時温度データ7を備えている。
【0020】
通常時温度データ6と昇温時温度データ7の値は、あらかじめ評価実験などを行って得られた値を設定しても良いし、操作者にキャリブレーション作業を行わせて設定しても良い。
【0021】
また閾値設定手段3は、通常時温度データ6と昇温時温度データ7とのあいだの所定の値を閾値bとして比較手段4に出力する機能を有する。つまり閾値bは、閾値設定手段3によって、操作者の手が何もしていない通常の状態である場合に得られる温度信号の値と、操作者の手が所定量こすり合わされて意図的に温度を上昇させた状態である場合に得られる温度信号の値との間の値に設定される。
【0022】
閾値bは、入力装置1が設けられている周辺環境の影響や操作者の操作のクセなどに応じて、通常時温度データ6と昇温時温度データ7の中間値としたり、どちらかの値に寄せたりして良い。
【0023】
また、周辺環境に温度信号を変動させる要因が小さい場合、閾値bは、操作者の手が何もしていない通常の状態で得られる温度信号の値と、操作者の手が意図的に温度を上昇させた場合に得られる温度信号の値との間で、固定値としてあらかじめ設定しても良い。
【0024】
比較手段4は、非接触温度センサ2から入力された温度信号aと、閾値設定手段3から入力された閾値bとを比較して、その結果を比較信号cとして制御手段5に出力する機能を有する。
【0025】
制御手段5は、比較手段4から比較信号cを入力し、温度信号aの値が閾値b以上である場合に、操作対象機器に対して所定の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御手段5は、操作対象機器(図示しない)と電気的に接続されており、温度信号aの値の大きさに基づいて、操作対象機器の動作のオン/オフの制御、複数種類の動作、またアナログ動作などを行うことができる。
【0026】
本実施形態では、操作対象機器として、例えば、トイレの洗浄スイッチ、照明用のスイッチ、自動ドアの開閉スイッチなどの非接触式のオン/オフスイッチなど幅広い分野に適用することができる。
【0027】
〔作用の説明〕次に、本実施形態における作用について説明する。
【0028】
非接触温度センサ2は、物体から放射される赤外光を受光して、その受光量に応じた温度信号aを比較手段4に出力する。なお、本実施形態では操作者の手から放射される赤外線光を受光する場合の説明を行っているが、これに限定されない。
【0029】
閾値設定手段3は、通常時温度データ6と昇温時温度データ7から両者の間における所定の閾値bを設定し、比較手段4に出力する
比較手段4は、非接触温度センサ2から入力された温度信号aと、閾値設定手段3から入力された閾値bを比較した比較信号cを制御手段5に出力する。
【0030】
制御手段5は、比較信号cを入力し、温度信号aの値が閾値b以上である場合、操作対象機器に対して所定の動作制御を行う。つまり、温度が上昇していない通常状態の手や身体の他の部分が非接触温度センサ2の検出領域に間違って入ったとしても、制御手段5は操作対象機器の動作制御を行わない。
【0031】
〔効果の説明〕本実施形態における効果について説明する。本実施形態における入力装置1は、非接触センサ2が検出した操作者の温度信号aが、通常時温度データ6と昇温時温度データ7から両者の間における所定の閾値bを超えている場合、操作対象機器に対して所定の動作制御を行う。
【0032】
上記構成により、入力装置1は、操作者が温度上昇を行っていない手や身体各部が非接触センサ2の検出領域に入ったとしても、操作対象機器は動作しない。そのため、操作者が意図せず不意に手などが非接触センサに接近するなどした場合の誤動作が解消することができる。
【0033】
操作対象機器は、温度信号aが閾値b以上である場合、すなわち、所定量こすり合わされて意図的に温度を上昇させた手が非接触温度センサ2にかざされた場合にのみ、動作を行うことができる。
【0034】
〔第2の実施形態〕次に第2の実施形態について説明をする。図2は本実施形態に関する入力装置1の構成を示すブロック図である。
【0035】
本実施形態の入力装置1は、図2に示すように、第1の実施形態と異なる点は、制御手段5が動作設定データ8を設けている点である。それ以外の構成・接続関係は、第1の実施形態と同様である。つまり、第2の実施形態の入力装置1は、非接触温度センサ2と、閾値設定手段3と、比較手段4と、制御手段5とを備えている。
【0036】
本実施形態における入力装置1は、制御手段5が動作設定データ8を設けている。動作設定データ8は、非接触温度センサ2が検出する温度信号aの大きさと、操作対象機器の複数の動作とを対応付けたデータを有している。
【0037】
つまり比較手段4から比較信号cを入力し、温度信号aの値が閾値b以上である場合、制御手段5は動作設定データ8を参照し、温度信号aの大きさに応じた所定の動作制御を操作対象機器に対して行う。なお温度信号aの値が閾値bより小さい場合は、制御手段5は操作対象機器に対して動作は行わない。
【0038】
なお、動作設定データ8が有する温度信号aの大きさと、所定の動作に関する対応付けは、温度信号aの関数として記述しておき、操作対象機器に対してアナログ制御を行ってもよい。
【0039】
〔作用の説明〕次に、本実施形態における作用について説明する。
【0040】
非接触温度センサ2は、物体から放射される赤外光を受光して、その受光量に応じた温度信号aを比較手段4に出力する。
【0041】
閾値設定手段3は、通常時温度データ6と昇温時温度データ7から両者のあいだの所定の閾値bを設定し、比較手段4に出力する
比較手段4は、非接触温度センサ2から入力された温度信号aと、閾値設定手段3から入力された閾値bを比較した比較信号cを制御手段5に出力する。
【0042】
制御手段5は、比較信号cを入力し、温度信号aの値が閾値b以上である場合、動作設定データ8を参照し、温度信号aの大きさに応じて設定されている動作を、操作対象機器に行う。
【0043】
〔効果の説明〕本実施形態における効果について説明する。本実施形態における入力装置1は、温度信号aの値が閾値b以上である場合、制御手段5は動作作設定データ8を参照し、温度信号aの大きさに応じて設定されている動作制御を、操作対象機器に対して行う。つまり制御手段5は、手のこすり合わせの度合いによる温度の大きさに応じて、操作対象機器に対して複数種類の入力操作やアナログ入力操作を行うことができる。
【0044】
例えば、本実施形態における入力装置1は、照明のON/OFFだけでなく、明るさも制御することができる。このとき動作設定データ8は、閾値bより温度信号が大きい閾値b1を設けている。制御手段5は、非接触温度センサ2から入力される温度信号aが、閾値bより大きい場合、照明のスイッチをONとする。さらに制御手段5は、温度信号aが閾値bより大きく、閾値b1より小さいときは、照明を通常の明るさになるように制御を行う。一方、温度信号が閾値b1より大きい場合は、制御手段5は照明の明るさを通常時よりさらに明るくなるように制御を行う。
【0045】
上記構成のように、本実施形態における入力装置1は、操作者が意図しない入力操作による誤動作を解消することができる。また非接触温度センサ2が1個であっても、かざした手の温度の大きさに応じた複数種類の入力操作を行うことができる。そのため入力装置1は、複数の入力操作を行うに際し、非接触温度センサ2を1つ設ければよいので、装置全体の小型化やコスト削減に貢献することができる。
【0046】
また本実施形態は、例えばコンピュータゲームの操作などに適用できる。コンピュータゲームのうち、ロールプレイングゲームと呼ばれるジャンルのゲームでは、敵への魔法攻撃や味方の体力回復などのコマンドが使用できるようになっているが、これらのコマンドは、通常その発現効果に応じて複数段階に分けて設定されている。
【0047】
そこで例えば、上記のコマンド入力に本実施形態を適用すると、手を非接触温度センサ2にかざすときの手のこすり合わせの度合いに応じて発現効果を異ならせることができる。すなわち、より多くこすり合わせて温度を高くした方が、効果が高い魔法攻撃や体力回復が発現するようなゲームが実現することできる。
【0048】
〔第3の実施形態〕次に第3の実施形態について説明をする。図3は本実施形態に関する入力装置1の構成を示すブロック図である。
【0049】
本実施形態の入力装置1は、図3に示すように、第1の実施形態と異なる点は、非接触温度センサ2を複数備えている点である。それ以外の構成・接続関係は、第1の実施形態と同様である。つまり、第3の実施形態の入力装置1は、非接触温度センサ2と、閾値設定手段3と、比較手段4と、制御手段5とを備えている。
【0050】
本実施形態における入力装置1は、非接触センサ2を複数設けている。少なくとも1つは、右手側非接触センサ2aであり、少なくとももう一方は左手側非接触センサ2bである。
【0051】
〔動作の説明〕右手側非接触センサ2aは、右手から放射される赤外光を受光して、その受光量に応じた右手側温度信号a1を比較手段4に出力する。また同様に左手側非接触センサ2bは、左手から放射される赤外光を受光して、その受光量に応じた左手側温度信号a1を比較手段4に出力する。
【0052】
なお本実施形態では、複数のセンサが検知する対象を、右手と左手としているがこれに限定されず、手や足や頭など意図的に温度を上昇することができる身体各部の組み合わせであればこれに限定されない。
【0053】
比較手段4は、右手側非接触センサ2aから入力された右手側温度信号a1と、左手側非接触センサ2bから入力された左手側温度信号a2とをそれぞれ閾値設定手段3から入力された閾値bと比較する。比較手段4は、右手側温度信号a1および左手側温度信号a2と閾値bとの大小関係を組み合わせた組み合わせ信号hを制御手段5に出力するする。
【0054】
制御手段5は、右手側温度信号a1と左手側温度信号a2と閾値bとの大小関係の組み合わせと、操作対象機器における複数の動作とがあらかじめ対応付けされている動作設定データ8を備えている。
【0055】
制御手段5は、比較手段4から入力された組み合わせ信号hと動作設定データ8を参照し、右手側温度信号a1および左手側温度信号a2と閾値bとの大小関係の組み合わせに対応した種類の動作を操作対称機器に対して行う。
【0056】
〔効果の説明〕本実施形態における入力装置1は、複数の非接触温度センサ2を備えているため、例えば両手のかざし方の組み合わせにより、操作対象機器に対して複数の入力操作を行うことができる。
【0057】
通常、一般的な入力センサが2個の場合には、2つともオン、一方のみオン、もう一方のみオンの3種類の組み合わせの入力操作しか行うことができない。
【0058】
本実施形態における入力装置1の2つの非接触温度センサ2は、それぞれ「昇温状態」「通常状態」「オフ」と3つの状態を検知する。そのため本実施形態は、2つの非接触温度センサ2で3×3=9種類の状態を検知できるが、入力操作を意図しない行動による誤動作を防ぐために、少なくとも一方に「昇温状態」の入力を行う必要がある。結果、上述の9種類のうち、以下に記載の5種類の入力操作を実現することができる。
【0059】
上記5種類の入力操作を具体的に説明する。非接触温度センサ2を2つ設けた場合、2つとも「昇温状態」、一方が「昇温状態」で他方が「オフ」の状態が左右で2通り、一方が「昇温状態」で他方が「通常の状態」が左右で2通りと、合計5種類の入力操作を行うことができる。
【0060】
以下、例えば音楽プレーヤーが内蔵されたヘッドホンに、本実施形態の入力装置1を用いた場合のメリットを説明する。
【0061】
右手側非接触温度センサ2aと左手側非接触温度センサ2bをヘッドホンの左右に配置し、操作対象機器を音楽プレーヤーとして、動作設定データ8を図4に示す動作設定とする。
【0062】
図4の中では、右手がかざされていない状態を[a1=0]と表し、左手がかざされていない状態を[a2=0]と表す。
【0063】
また、手を所定量こすり合わせて意図的に温度を上昇させてから非接触温度センサ2a、2bに両手をかざした状態を、右手の場合は[a1≧b]とし、左手の場合は[a2≧b]と表す。
【0064】
一方、意図的に温度は上昇させていない通常温度で非接触温度センサ2a、2bに両手をかざした状態を、右手の場合は[0<a1<b]とし、左手の場合は[0<a2<b]と表す。
【0065】
上記の動作を組み合わせることにより、音楽プレーヤーを内蔵したヘッドホンに対して、曲の再生と停止、音量の増減、曲の選択といった3つの動作を制御することができる。以下、上記の制御方法について順に説明する。
【0066】
音楽プレーヤーを内蔵したヘッドホンの曲の再生と停止は、以下のように行う。こすり合わせるなどして温度を上昇させた右手と左手とを、ヘッドホンの左右にある右手側非接触温度センサ2aと左手側非接触温度センサ2bに同時にかざす。すなわち[a1≧b,a2≧b]とすること、曲の再生/停止の動作を交互に行う。
【0067】
次に、音楽プレーヤーを内蔵したヘッドホンの曲の音量の増減は以下のように行う。こすり合わせるなどして温度を上昇させた右手もしくは左手の一方の手だけを、ヘッドホンの左右にある右手側非接触温度センサ2a、もしくは左手側非接触センサ2bにかざす。
【0068】
例えば、昇温状態の右手のみを右手側非接触温度センサ2aにかざした場合、つまり[a1≧b,a2=0]の場合には音量を増加させる。一方、昇温状態の左手のみを左手側非接触温度センサ2bにかざした場合、つまり[a1=0,a2≧b]の場合には音量を減少させる。なお、音量の増減動作は、かざした手を外す、すなわち[a1=0,a2=0]となった時点で終了とする。
【0069】
曲の選択は、一方の手は温度が上昇した昇温状態であり、他方の手は通常状態である場合に、右手および左手をヘッドホンの左右にある右手側非接触温度センサ2aと左手側非接触温度センサ2bに同時にかざすことで行う。
【0070】
例えば、右手は温度が上昇した昇温状態で左手は通常状態で、右手側非接触温度センサ2aと左手側非接触温度センサ2bに両手をかざした場合、つまり[a1≧b,0<a2<b]の場合には曲を1曲分送る。
【0071】
一方、右手は通常状態で左手は温度が上昇した昇温状態で、右手側非接触温度センサ2aと左手側非接触温度センサ2bに両手をかざした場合、つまり[0<a1<b,a2≧b]の場合は曲を1曲分戻す。
【0072】
なお、両手のうちの一方のみの温度を上昇させるには、一方の手の平のみを太ももなどの手以外の部分にこすり合わせる、手のひらと手の甲をこすり合わせて両手の平をかざす、両手の平をこすり合わせて一方は手の平をもう一方は手の甲をかざす、などの方法を用いればよい。
【0073】
各入力操作には、[a1≧b]あるいは[a2≧b]、すなわち、右手もしくは左手の一方をこすり合わせて意図的に温度を上昇させた手を非接触温度センサ2a、2bにかざす行為を行う。そのため操作者は、入力操作を意図しない行動による誤動作をなくすことができる。
【0074】
音楽プレーヤーなどを、本実施形態の入力装置1を搭載することで非接触入力操作化すると、音楽を聴いてランニングを行っている場合などに、ランニングを中断して細かなボタン操作を行う負担などを解消することができる。また、料理中やお菓子を食べながらなど手が汚れている状態においても、入力部分を汚すことなく操作を行うことができる。
【符号の説明】
【0075】
1 入力装置
2 非接触温度センサ
2a 右手側非接触温度センサ
2b 左手側非接触温度センサ
3 閾値設定手段
4 比較手段
5 制御手段
6 通常時温度データ
7 昇温時温度データ
8 動作設定データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体から放射される赤外光を受光して、その受光量に応じた温度信号を出力する非接触温度センサと
前記物体の温度が通常の状態である場合の温度信号の値と、前記物体の温度を意図的に上昇させた状態である場合の温度信号の値のあいだの所定の値を閾値として出力する閾値設定手段と、
前記非接触温度センサと前記閾値設定手段とに接続し、前記温度信号と前記閾値とを比較する比較手段と
前記比較手段に接続し、前記温度信号が前記閾値より大きい場合、操作対象機器に対して所定の動作制御を行う制御手段とを備えることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記閾値設定手段は、前記物体の通常時の温度データである通常時温度データと
前記物体が意図的に温度を上昇させた温度データである昇温時温度データとを備えていることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記物体の温度を意図的に上昇させた状態とは、前記物体をこすり合わせたり、息をかけるなどして温度を上昇させた状態であることを特徴とする請求項2記載の入力装置。
【請求項4】
前記温度信号の大きさに応じて前記操作対象機器の動作を複数設定する動作設定データを備えていることを特徴とする請求項1乃至3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記動作設定データに基づいて、前記温度信号に対応する所定の動作制御を前記操作対象機器に対して行うことを特徴とする請求項4に記載の入力装置。
【請求項6】
前記非接触センサを複数設け、
前記比較手段は、少なくとも一方の前記非接触センサから入力される第1温度信号と、少なくとも他方の前記非接触温度センサから入力される第2温度信号とに対してそれぞれ前記閾値と比較を行い、
前記制御手段は、前記第1温度信号と前記第2温度信号と前記閾値と大小関係の組み合わせにより、前記操作対象機器に対して複数の動作制御を行うことを特徴とする請求項5に記載の入力装置。
【請求項7】
少なくとも1つの前記接触センサは右手の赤外光を検知する右手側非接触温度センサであり、
少なくとも1つの別の前記非接触センサは左手の赤外光を検知する左手側非接触温度センサであることを特徴とする請求項6に記載の入力装置。
【請求項8】
前記非接触温度センサは、サーモパイルあるいは焦電素子であることを特徴とする請求項1乃至7に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−47515(P2012−47515A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188076(P2010−188076)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】