説明

入浴剤組成物

【課題】保温性、血行促進性及び発汗性を向上させた入浴剤組成物を提供する。
【解決手段】次の一般式


(式中、R1 〜R4 は、水素原子、アルキル基又はフェニル基を示す。)で示される有機ゲルマニウム化合物を含有する入浴剤組成物とする。前記有機ゲルマニウム化合物は、好ましくは、次の式 (GeCH2CH2COOH)23で示される化合物である。前記入浴剤組成物は、好ましくは、(イ)前記一般式(1)で示される有機ゲルマニウム化合物0.01〜50.0重量%、(ロ)スピルリナ青色色素0.01〜50.0重量%、(ハ)炭酸水素ナトリウム1.0〜60.0重量%、及び、(ニ)硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩類1.0〜80.0重量%を含有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保温性、血行促進性及び発汗性を促進させることができる入浴剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の入浴剤組成物は、無機塩類、香料、生薬、生薬エキス、界面活性剤等から構成されている(特許文献1を参照。)。かかる入浴剤組成物は、浴湯に溶解して、温熱作用及び清浄作用をたかめることにより、種々の疾患の予防、治癒促進、痛みの緩解等の効果を得ている。
【0003】
従来の入浴剤組成物は、温熱作用を有する物質として硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩類を含有し、そして、清浄作用を有する物質として炭酸水素ナトリウムを含有しているが、かかる従来の入浴剤組成物が有している温熱作用及び清浄作用については、基礎的、臨床的に証明され、多くのレポートが学会に報告されてはいる。しかしながら、従来の入浴剤組成物に含有されている硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩類の温熱作用による保温性、血行促進性、及び、発汗性は、満足のいくものではなかった。
【特許文献1】特開2005−97153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
【0005】
即ち、本発明は、保温性、血行促進性及び発汗性を向上させた入浴剤組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、次の一般式
【化3】

(式中、R1 〜R4 は、水素原子、アルキル基又はフェニル基を示す。)
で示される有機ゲルマニウム化合物を含有することを特徴とする入浴剤組成物である。
【0007】
請求項2に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、前記有機ゲルマニウム化合物が、次の式
(GeCH2CH2COOH)23
で示される化合物であることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載された発明は、
(イ)次の一般式
【化4】

(式中、R1 〜R4 は、水素原子、アルキル基又はフェニル基を示す。)
で示される有機ゲルマニウム化合物0.01〜50.0重量%、(ロ)スピルリナ青色色素0.01〜50.0重量%、(ハ)炭酸水素ナトリウム1.0〜60.0重量%、及び、(ニ)硫酸ナトリウム1.0〜80.0重量%を含有することを特徴とする請求項1に記載の入浴剤組成物である。
【0009】
請求項4に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、前記(イ)の配合量が0.08〜40.0重量%であり、前記(ロ)の配合量が0.08〜40.0重量%であり、前記(ハ)の配合量が2.0〜50.0重量%であり、そして、前記(ニ)の配合量が2.0〜70.0重量%であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に記載された発明は、請求項3又は4に記載された発明において、前記有機ゲルマニウム化合物が、次の式
(GeCH2CH2COOH)23
で示される化合物であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1,2に記載された発明によれば、次の一般式
【化5】

(式中、R1 〜R4 は、水素原子、アルキル基又はフェニル基を示す。)
で示される有機ゲルマニウム化合物を含有する入浴剤組成物とするので、保温性、血行促進性及び発汗性を向上させた入浴剤組成物を提供することができる。
【0012】
請求項3〜5に記載された発明によれば、(イ)次の一般式
【化6】

(式中、R1 〜R4 は、水素原子、アルキル基又はフェニル基を示す。)
で示される有機ゲルマニウム化合物0.01〜50.0重量%、(ロ)スピルリナ青色色素0.01〜50.0重量%、(ハ)炭酸水素ナトリウム1.0〜60.0重量%、及び、(ニ)硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩類1.0〜80.0重量%を含有する入浴剤組成物とするので、保温性、血行促進性及び発汗性を向上させた入浴剤組成物を提供することができる。また、請求項3〜5に記載された発明によれば、スピルリナ青色色素0.01〜50.0重量%を含有しているので、炭酸水素ナトリウム及び硫酸ナトリウムを含有していても、有機ゲルマニウム化合物による保温性、血行促進性及び発汗性を低下させることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明者らは、次の一般式
【化7】

(式中、R1 〜R4 は、水素原子、アルキル基又はフェニル基を示す。)
で示される有機ゲルマニウム化合物を入浴剤組成物に含有させたところ、保温性、血行促進性及び発汗性を向上させることができることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明の入浴剤組成物は、前記一般式(1)で示される有機ゲルマニウム化合物を含有している。前記一般式(1)で示される有機ゲルマニウム化合物は、好ましくは、次の式
(GeCH2CH2COOH)23
で示される化合物である。
【0015】
このように、前記一般式(1)で示される有機ゲルマニウム化合物を含有する入浴剤組成物とすると、保温性、血行促進性及び発汗性を向上させた入浴剤組成物を提供することができる。本発明における入浴剤組成物は、浴湯中における濃度が0.1〜10000ppmになるように、浴湯中に添加して溶解させる。
【0016】
従来の入浴剤組成物が、温熱作用を有する物質として硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩類を含有し、そして、清浄作用を有する物質として炭酸水素ナトリウムを含有していることは、前述したとおりである。本発明者は、かかる入浴剤組成物に有機ゲルマニウム化合物を含有させると、前記炭酸水素ナトリウムは弱アルカリ性であり、そして、有機ゲルマニウム化合物は弱酸性であるので、それらが反応して、該入浴剤組成物における有機ゲルマニウム化合物の弱酸性を維持できなくなり、そのために、有機ゲルマニウム化合物が有している保温性、血行促進性及び発汗性を向上させるという特性がでなくなることを見出した。そこで、本発明者は、有機ゲルマニウム化合物による保温性、血行促進性及び発汗性を低下させないようにする配合物を探求したところ、スピルリナ青色色素を該入浴剤組成物に含有させると、該スピルリナ青色色素が該入浴剤組成物における有機ゲルマニウム化合物の弱酸性を維持することができ、そのために、該入浴剤組成物における該有機ゲルマニウム化合物による保温性、血行促進性及び発汗性を低下させないようにすることができることを見出して、次に示す本発明を完成するに至った。
【0017】
即ち、本発明の入浴剤組成物は、(イ)次の一般式
【化8】

(式中、R1 〜R4 は、水素原子、アルキル基又はフェニル基を示す。)
で示される有機ゲルマニウム化合物0.01〜50.0重量%、(ロ)スピルリナ青色色素0.01〜50.0重量%、(ハ)炭酸水素ナトリウム1.0〜60.0重量%、及び、(ニ)硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩類1.0〜80.0重量%を含有している。前記(イ)の配合量は、好ましくは、0.08〜40.0重量%であり、前記(ロ)の配合量は、好ましくは、0.08〜40.0重量%であり、前記(ハ)の配合量は、好ましくは、2.0〜50.0重量%であり、そして、前記(ニ)の配合量は、好ましくは、2.0〜70.0重量%である。前記一般式で示される有機ゲルマニウム化合物は、好ましくは、次の式
(GeCH2CH2COOH)23
で示される化合物である。
【0018】
このように、(イ)次の一般式
【化9】

(式中、R1 〜R4 は、水素原子、アルキル基又はフェニル基を示す。)
で示される有機ゲルマニウム化合物0.01〜50.0重量%、(ロ)スピルリナ青色色素0.01〜50.0重量%、(ハ)炭酸水素ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩類1.0〜60.0重量%、及び、(ニ)硫酸ナトリウム1.0〜80.0重量%を含有する入浴剤組成物とすると、保温性、血行促進性及び発汗性を向上させた入浴剤組成物を提供することができる。また、スピルリナ青色色素0.01〜50.0重量%を含有していると、炭酸水素ナトリウムを含有していても、有機ゲルマニウム化合物による保温性、血行促進性及び発汗性を低下させることはない。本発明における入浴剤組成物は、浴湯中に添加されて、その浴湯中における濃度が0.1〜10000ppmとされる。
【0019】
本発明の入浴剤組成物には、香料、生薬、生薬エキス、パラフィン類、界面活性剤等の添加剤を添加することができる。香料としては、例えば、ヘリオトロープ、リモネン、ヒノキチールを用いることができ、生薬としては、例えば、トウキ、センキュウ、チンピ、ケイカ、及び、コウボクを用いることができ、生薬エキスとしては、例えば、ヨモギエキス、モモ葉エキス、及び、ビワ葉エキスを用いることができ、界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルを用いることができる。かかる入浴剤組成物を溶解した浴湯中には、別途、消臭殺菌剤及び清澄剤を添加することができる。消臭殺菌剤としては、次亜塩素酸ナトリウムを用いることができ、そして、清澄剤としては、硫酸バンドを用いることができる。また、本発明の入浴剤組成物における前記一般式(1)で示される有機ゲルマニウム化合物は、腫瘍発症の抑制作用、アトピー等の免疫機能改善作用、消炎鎮痛作用、慢性関節リウマチの症状改善作用、本態性高血圧の血圧降下発現持続作用、腎臓機能改善作用等の作用を有する物質として斯界で知られている。
【実施例】
【0020】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0021】
(実施例1)
次の式
(GeCH2CH2COOH)23
で示されるエチルカルボキシゲルマニウムセスキオキシド(以下、「ECGeSO」という。)0.6g、次亜塩素酸ナトリウム2.0g、及び、硫酸バンド10.0gを配合して入浴剤組成物とした。
【0022】
(実施例2)
ECGeSO 0.6g、スピルリナ色素(スピ・ブルーD、ジャパンアルジェ社製)3.0g、硫酸ナトリウム5.2g、炭酸水素ナトリウム1.2g、及び、香料0.8gを配合して入浴剤組成物とした。
【0023】
(実施例3)
ECGeSO 1.2g、スピルリナ色素(スピ・ブルーD、ジャパンアルジェ社製)6.0g、硫酸ナトリウム5.2g、炭酸水素ナトリウム1.2g、及び、香料0.8gを配合して入浴剤組成物とした。
【0024】
(実施例4)
ECGeSO 60.0g、スピルリナ色素(スピ・ブルーD、ジャパンアルジェ社製)30.0g、硫酸ナトリウム52.0g、炭酸水素ナトリウム12.0g、及び、香料0.8gを配合して入浴剤組成物とした。
【0025】
(実施例5)
ECGeSO 0.6g、スピルリナ色素(スピ・ブルーD、ジャパンアルジェ社製)1.0g、硫酸ナトリウム7.2g、炭酸水素ナトリウム1.2g、及び、香料0.8gを配合して入浴剤組成物とした。
【0026】
(実施例6)
ECGeSO 0.6g、スピルリナ色素(スピ・ブルーD、ジャパンアルジェ社製)4.0g、硫酸ナトリウム4.2g、炭酸水素ナトリウム1.2g、及び、香料0.8gを配合して入浴剤組成物とした。
【0027】
(比較例1)
炭酸水素ナトリウム1.2g、及び、香料0.8gを配合して入浴剤組成物とした。
【0028】
(比較例2)
ECGeSO 0.6g、硫酸ナトリウム5.2g、炭酸水素ナトリウム1.2g、及び、香料0.8gを配合して入浴剤組成物とした。
【0029】
以上、実施例1〜6及び比較例1〜2で得た入浴剤組成物をそれぞれ200リットルの浴湯に入れて充分に攪拌して溶解させ、この浴湯を用いて保温性及び血行促進性の試験を行った。前記保温性及び血行促進性の試験は、前記浴湯を39〜41℃に保持し、この浴湯に手を入れて、血管が拡張することにより、手が赤変する時間を測定した。そして、前記保温性及び血行促進性の試験は、各実施例について、6症例づつ行った。測定結果は、次の表1に示される。
【0030】
【表1】

【0031】
同様に、実施例1〜6及び比較例1〜2で得た入浴剤組成物をそれぞれ200リットルの浴湯に入れて充分に攪拌して溶解させ、この浴湯を用いて発汗性の試験を行った。前記発汗性の試験は、前記39〜41℃に保持した浴湯に1日に1回30分間入浴して、入浴後の体重を測定することにより行った。そして、この試験は、30日間にわたり継続して行った。測定結果は、次の表2に示される。表2において、上段は、性別、年齢を示し、中段は、体重変化を示し、そして、下段は、減量/回を示す。
【0032】
【表2】

【0033】
表1,2から次のことがわかる。即ち、表1によれば、実施例1〜5で得た入浴剤組成物による手が赤変する時間は、いずれも、5分以内であるが、比較例1〜2で得た入浴剤組成物による手が赤変する時間は、いずれも、7分をこえている。表2によれば、実施例1〜5で得た入浴剤組成物による減量は、いずれも、150g以上であるが、比較例1〜2で得た入浴剤組成物による減量は、いずれも、70g以下である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式
【化1】

(式中、R1 〜R4 は、水素原子、アルキル基又はフェニル基を示す。)
で示される有機ゲルマニウム化合物を含有することを特徴とする入浴剤組成物。
【請求項2】
前記有機ゲルマニウム化合物が、次の式
(GeCH2CH2COOH)23
で示される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の入浴剤組成物。
【請求項3】
(イ)次の一般式
【化2】

(式中、R1 〜R4 は、水素原子、アルキル基又はフェニル基を示す。)
で示される有機ゲルマニウム化合物0.01〜50.0重量%、(ロ)スピルリナ青色色素0.01〜50.0重量%、(ハ)炭酸水素ナトリウム1.0〜60.0重量%、及び、(ニ)硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩類1.0〜80.0重量%を含有することを特徴とする入浴剤組成物。
【請求項4】
前記(イ)の配合量が0.08〜40.0重量%であり、前記(ロ)の配合量が0.08〜40.0重量%であり、前記(ハ)の配合量が2.0〜50.0重量%であり、そして、前記(ニ)の配合量が2.0〜70.0重量%であることを特徴とする請求項3に記載の入浴剤組成物。
【請求項5】
前記有機ゲルマニウム化合物が、次の式
(GeCH2CH2COOH)23
で示される化合物であることを特徴とする請求項3又は4に記載の入浴剤組成物。