説明

入浴剤

【課題】 お湯の保温力を高め、しっとりした湯上り感が得られると同時にお湯の感触として温泉の「湯の華」のようなヌルヌルとしたヌメリ感が楽しめる入浴剤を提供する。
【解決手段】 重量平均分子量が200万〜500万の高分子量ポリエチレングリコールを0.1〜98重量%の範囲で含有する入浴剤に関する。分散剤としてグリセリン、プロピレングリコールおよび1,3-ブチレングリコールの1種または2種以上を高分子量ポリエチレングリコールに対して0.01〜10重量%含む上記入浴剤。無機塩類、香料および色素を更に含む上記の入浴剤。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は入浴剤に関する。
【0002】
【従来の技術】家庭内に浴室を有する家庭が著しく増加してきたことに伴って入浴剤が広く使用されるようになってきた。またこのような入浴剤に対する期待も様々であり、温泉の雰囲気を家庭で味わいたい、冬場に十分温まりたい、疲労感を取り除きたい、薬効を期待する等である。しかし、従来の入浴剤はいずれもしっとり感および温泉の「湯の華」のようなヌルヌルした温泉特有の感触は十分発揮できなかった。またお湯の保温という面では特別考慮も払われていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、お湯の保温力を高め、しっとりした湯上り感が得られると同時にお湯の感触として温泉の「湯の華」のようなヌルヌルとしたヌメリ感が楽しめる入浴剤を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、重量平均分子量が200万〜500万の高分子量ポリエチレングリコールを0.1〜98重量%の範囲で含有する入浴剤に関する。また、本発明は、分散剤としてグリセリン、プロピレングリコールおよび1,3-ブチレングリコールの1種または2種以上を高分子量ポリエチレングリコールに対して0.01〜40重量%含む上記入浴剤に関する。更にまた、本発明は、無機塩類、香料および着色剤を更に含む上記いずれかの入浴剤に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の入浴剤の特徴は、その成分として高分子量ポリエチレングリコールを含有することである。これによって従来の入浴剤では得られなかった、しっとりした湯上り感と湯上り後の優れた保温性を与えることができ、更に以下のような効果をもたらすことができる:1)お湯の保温力が優れ、お湯が冷めにくいので経済的である。
2)お湯の中で「温泉の湯の華」のようにヌルヌルしたヌメリ感がある。
3)お湯の刺激感がなく、まろやかになる。
4)お湯にジェットバス等を利用すると、通常より多量の発泡を楽しめる。
5)湯上り後、体の水分の蒸発を抑えるため保湿作用がある。
6)湯上り後、体に膜を張るため湯冷めしにくい。
7)湯上り後、体が乾くとツルツルする。
8)お湯に粘度を与える。
【0006】使用する高分子量ポリエチレングリコールは重量平均分子量が200万〜500万であることが好ましい。特に360万〜400万が好ましい。重量平均分子量が500万より大きいとお湯に溶ける速度が遅くなるし、200万より小さいと本発明の効果、特にしっとりした湯上り効果が得られない。高分子量ポリエチレングリコールは本発明で使用する場合は、好ましくは粒径1mm以下の粉末として使用する。高分子量ポリエチレングリコールの配合量は全入浴剤中の0.1〜98重量%、好ましくは3〜40重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。
【0007】本発明では、高分子量ポリエチレングリコールを湯中に均一に分散する目的で、分散剤としてグリセリン、プロピレングリコールおよび1,3-ブチレングリコールの1種または2種以上を高分子量ポリエチレングリコールに対して0.01〜40重量%添加することができる。
【0008】本発明の入浴剤には、高分子量ポリエチレングリコールとともに、無機塩類、香料および着色剤を配合することができる。無機塩類は入浴による温熱効果や清浄効果を高めたり、湯を柔らかくするという効果を有する。本発明で使用できる無機塩類は、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等を例示できる。上記無機塩類は複数種併用してもよい。これら無機塩類は平均粒径45〜500μm、好ましくは75〜250μmの粉体として添加される。無機塩類の配合量は全入浴剤中1〜99重量%、好ましくは20〜90重量%である。
【0009】香料は、入浴時の気分を静め、あるいは爽快にするために加えられるものであり、特に花や木の香りあるいは果実の香りが好んで使用される。配合量は一般に微量〜2重量%、好ましくは0.1〜1重量%である。
【0010】着色剤は香料とともに種々の雰囲気をかもし出し、あるいは増強するために使用される。通常、リボフラビン(ビタミンB2)、カロチン、クロロフィル、あるいは種々の色素、例えば黄色202号の(1)、黄色4号、青色1号、緑色201号、緑色204号等が用いられる。
【0011】本発明入浴剤には、上記各成分に加えて、所望により種々の特性を付与するために、無機フィラー、酵素、生薬、香料、着色剤等の添加剤を配合することができる。無機フィラーは、湯に濁りを付与し、温泉様の雰囲気をかもし出す等の目的で使用するものである。このような目的で使用できる無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、無水ケイ酸、酸化チタン等を例示できる。これらの無機フィラーは湯中への分散を良くするために適当な処理剤によって表面処理を施しておいてもよい。これら無機フィラーは1μm以下、好ましくは0.5μm以下を通過する粒度の粉体として添加される。粒度が1μmより大きいとフィラーの沈降が早く長時間にわたって均一な分散状態を保持できないため好ましくない。無機フィラー類の配合量は全入浴剤中1〜10重量%、好ましくは2〜8重量%である。
【0012】酵素は皮膚を清浄にするために配合される。酵素の例としては、パパイン、パンクレアチン、蛋白質分解酵素等が例示される。酵素は通常0.05〜3重量%、好ましくは0.1〜1重量%の量で配合される。生薬は、保熱効果を高めるために使用される。生薬の例としては、ウイキョウ、オウゴン、オウバク、カミツレ、コウボク、米発酵エキス、ジュウヤク、ショウブ、センキョウ、チンビ、トウキ、トウヒ、ニンジン、ユズ、ヨモギ、アロエ、ボウフウ、ハッカ葉、もも葉、ショウキョウ、甘草、ケイヒが例示できる。生薬は通常0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%の量で配合される。
【0013】その他の添加剤として、保湿剤、有機酸類、その他を配合してもよい。保湿剤としては液状ラノリン、ホホバ油、グリセリン、カゼイン、ステアリルアルコール、オリーブ油、大豆油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、脱脂粉乳、スクワラン、海草エキス、ハチミツ、ポリエチレングリコール等が例として挙げられる。有機酸は重曹等の炭酸塩と組み合わせて配合し、湯のpHを調整して炭酸ガスを発生させるために利用される。このような有機酸としてはコハク酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、マレイン酸、酒石酸、乳酸等が例示できる。その他、無水ケイ酸、カンフル、サリチリ酸メチル、テレビン油、メントール、デキストリン、酸化チタン等も配合することができる。
【0014】本発明の入浴剤を製造するには、香料等の液体を高分子量ポリエチレングリコールおよび/または無機塩類に吸着させ、これに色素を分散し、更に高分子量ポリエチレングリコールおよび他の配合物を加え撹拌混合し、すべての成分が均一に混合された粉体として製品を得る。
【0015】
【実施例】以下、本発明を実施例により、より具体的に且つ詳細に説明する。
実施例 1粉体混合機、楯菱電産製400L撹拌機に炭酸水素ナトリウム60重量部、高分子量ポリエチレングリコール(重量平均分子量380万)2重量部を入れ、更に香料として「バスソルトスダチ32745」(スダチの香り)(大保香料社製)0.9重量部を加えて十分混合した後、無水ケイ酸0.1重量部、塩化ナトリウム16重量部、炭酸ナトリウム12重量部、無水硫酸ナトリウム4重量部、沈降炭酸カルシウム3重量部、被覆酸化チタン2重量%を加えて更に撹拌を続け十分混合して、入浴剤を調製した。これをアルミニウムラミネートしたポリエチレンフィルムに内容量25gで密封包装した。この入浴剤を200Lの浴湯中に投じたところ、お湯の刺激感がなく、湯ざわりがヌルヌルとしたヌメリ感があり、湯上り後はしっとりした状態で、体を乾かすとスベスベした。そして、高分子量ポリエチレングリコールが配合されていない入浴剤以上に体がポカポカとし、湯冷めがしにくく感じられた。また、お湯にジェットバスを利用すると、通常より多量の発泡を楽しめた。ジェットバスを止めると発泡はすぐに消えた。
【0016】実施例 2粉体混合機、ナウターミキサー式撹拌機(容量1000kg)に炭酸水素ナトリウム30重量部、高分子量ポリエチレングリコール(重量平均分子量380万)2.5重量部を入れ、更に香料として「バスユズエクストラコンク47746」(ゆずの香り)(大保香料社製)0.9重量部、グリセリン0.1重量部、植物エキスとして米ヌカエキス0.1重量部を加えて十分混合した。次いでこれに色素として黄色4号、黄色202号の(1)を適量加えて混合したのち、無水ケイ酸0.25重量部、無水硫酸ナトリウム61重量部、被覆酸化チタン4重量部、無水チオ硫酸ナトリウム1重量部を加えて更に十分混合して、入浴剤を調製した。これをアルミニウムラミネートしたポリエチレンフィルムに内容量30gで密封包装した。この入浴剤を200Lの浴湯中に投じたところ、お湯の刺激感がなく、湯ざわりがヌルヌルとしたヌメリ感があり、湯上り後は実施例1よりもさらにしっとりした状態で、体を乾かすとスベスベした。そして、高分子量ポリエチレングリコールが配合されていない入浴剤以上に体がポカポカとし、湯冷めがしにくく感じられた。また、お湯にジェットバスを利用すると、実施例1よりも更に多量の発泡を楽しめた。ジェットバスを止めると発泡はすぐに消えた。
【0017】実施例 3粉体混合機、タニナカ式撹拌機(容量1450L)に炭酸水素ナトリウム30重量部、高分子量ポリエチレングリコール(重量平均分子量380万)5重量部を入れ、更に香料として「BC.木の香り46092」(森林の香り)(大保香料社製)1重量部、グリセリン0.1重量部、植物エキスとしてアロエエキスおよびユキノシタエキス各0.1重量部を加えて十分混合した。次いでこれに色素として青色1号および黄色4号を適量加えて混合したのち、無水ケイ酸0.3重量部、無水硫酸ナトリウム50重量部、塩化ナトリウム12重量部、無水チオ硫酸ナトリウム1重量部、蛋白質分解酵素0.1重量部、を加えて更に十分混合して、入浴剤を調製した。これをアルミニウムラミネートしたポリエチレンフィルムに内容量25gで密封包装した。この入浴剤を200Lの浴湯中に投じたところ、お湯の刺激感がなく、湯ざわりがヌルヌルとしたヌメリ感があり、湯上り後は実施例2よりもさらにしっとりした状態で、体を乾かすとスベスベした。そして、高分子量ポリエチレングリコールが配合されていない入浴剤以上に体がポカポカとし、湯冷めがしにくく感じられた。また、お湯にジェットバスを利用すると、実施例2よりも更に多量の発泡を楽しめた。ジェットバスを止めると発泡はすぐに消えた。
【0018】実施例 4粉体混合機、タニナカ式撹拌機(容量1450L)に炭酸水素ナトリウム30重量部、高分子量ポリエチレングリコール(重量平均分子量380万)10重量部を入れ、更に香料として「BC.フローラル46006」(フローラルフルーティーの香り)(大保香料社製)0.9重量部、プロピレングリコール2重量部、1,3-ブチレングリコール2重量部を加えて十分混合した。次いでこれに色素として赤色106号および黄色202号の(1)を適量加えて混合したのち、無水ケイ酸1重量部、無水硫酸ナトリウム53重量部、無水チオ硫酸ナトリウム1重量部を加えて更に十分混合して、入浴剤を調製した。これをアルミニウムラミネートしたポリエチレンフィルムに内容量25gで密封包装した。この入浴剤を200Lの浴湯中に投じたところ、お湯の刺激感がなく、実施例3よりも更に湯ざわりがヌルヌルとしたヌメリ感があり、湯上り後は実施例3よりもさらにしっとりした状態で、体を乾かすとスベスベした。そして、高分子量ポリエチレングリコールが配合されていない入浴剤以上に体がポカポカとし、湯冷めがしにくく感じられた。また、お湯にジェットバスを利用すると、実施例3よりも更に多量の発泡を楽しめた。ジェットバスを止めると発泡はすぐに消えた。
【0019】実施例 5粉体混合機タニナカ式撹拌機(容量1450L)に無水硫酸ナトリウム73重量部、高分子量ポリエチレングリコール(重量平均分子量380万)20重量部を入れ、更に香料として「ハーバルウッディー46579」(森林の香り)(大保香料社製)0.5重量部、グリセリン4重量部を加えて十分混合した。次いでこれに色素として青色1号および黄色4号を適量加えて混合したのち、無水ケイ酸1.2重量部、無水チオ硫酸ナトリウム1重量部を加えて更に十分混合して、入浴剤を調製した。これをアルミニウムラミネートしたポリエチレンフィルムに内容量50gで密封包装した。この入浴剤を200Lの浴湯中に投じたところ、お湯の刺激感がなく、実施例4よりも更に湯ざわりがヌルヌルとしたヌメリ感があり、湯上り後は実施例4よりもさらにしっとりした状態で、体を乾かすとスベスベした。そして、高分子量ポリエチレングリコールが配合されていない入浴剤以上に体がポカポカとし、湯冷めがしにくく感じられた。また、お湯にジェットバスを利用すると、実施例4よりも更に多量の発泡を楽しめた。ジェットバスを止めると発泡はすぐに消えた。
【0020】
【発明の効果】本発明の入浴剤は以下のような特徴のある効果を提供することができる:1)お湯の保温力が優れ、お湯が冷めにくいので経済的である。
2)お湯の中で「温泉の湯の華」のようにヌルヌルしたヌメリ感がある。
3)お湯の刺激感がなく、まろやかになる。
4)お湯にジェットバス等を利用すると、通常より多量の発泡を楽しめる。
5)湯上り後、体の水分の蒸発を抑えるため保湿作用がある。
6)湯上り後、体に膜を張るため湯冷めしにくい。
7)湯上り後、体が乾くとツルツルする。
8)お湯に粘度を与える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 重量平均分子量が200万〜500万の高分子量ポリエチレングリコールを0.1〜98重量%の範囲で含有する入浴剤。
【請求項2】 分散剤としてグリセリン、プロピレングリコールおよび1,3-ブチレングリコールの1種または2種以上を高分子量ポリエチレングリコールに対して0.01〜40重量%含む請求項1に記載の入浴剤。
【請求項3】 無機塩類、香料および着色剤を更に含む請求項1または2に記載の入浴剤。

【公開番号】特開2001−192329(P2001−192329A)
【公開日】平成13年7月17日(2001.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−2665(P2000−2665)
【出願日】平成12年1月11日(2000.1.11)
【出願人】(500019959)株式会社ユーア化学研究所 (1)
【Fターム(参考)】