説明

入浴装置

【課題】多量の炭酸ガスナノバブルを経済的に製造することができる入浴装置を提供する。
【解決手段】液体が蓄えられた浴槽1と、液体を取り込むとともに、液体中に炭酸ガスを吐出して炭酸ガス含有水を作製する前槽32と、炭酸ガス含有水と気体とを混合およびせん断して、炭酸ガスマイクロバブル含有水を作製する第1気体せん断部7と、炭酸ガスマイクロバブル含有水を更にせん断して炭酸ガスナノバブル含有水を作製する第2気体せん断部8と、炭酸ガスナノバブル含有水を浴槽1内に吐出する吐出口10と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸ナノバブル含有水を用いる入浴装置に関するものである。更に詳細には、炭酸ナノバブル含有磁気活水等の炭酸ナノバブル含有水を用いる入浴装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、小さな直径を有する気泡には様々な作用(洗浄作用および健康維持作用など)があることが知られており、現在、このような気泡を作製する技術およびその効果に対する研究が進みつつある。そして、上記気泡を、各種洗浄作業および健康維持等に利用しようとする試みもなされている。
【0003】
上記気泡は、その直径に応じて、マイクロバブル、マイクロナノバブルおよびナノバブルに分類することができる。具体的には、マイクロバブルは、その発生時において10μm〜数十μmの直径を有する気泡であり、マイクロナノバブルは、その発生時において数百nm〜10μmの直径を有する気泡であり、ナノバブルは、その発生時において数百nm以下の直径を有する気泡である。なお、マイクロバブルは、発生後の収縮運動によって、その一部がマイクロナノバブルに変化することがある。また、ナノバブルは、長期に渡って液体中に存在することができるという性質を有している。
【0004】
例えば、従来から、様々なナノバブルの利用方法、およびナノバブルを利用した各種装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。より具体的には、特許文献1には、ナノバブルが、浮力の減少、表面積の増加、表面活性の増大、局所高圧場の生成、または静電分極の実現によって、界面活性作用および殺菌作用を示すことが記載されている。更に、特許文献1には、ナノバブルが有する界面活性作用および殺菌作用を用いて、各種物体を洗浄する技術および汚濁水を浄化する技術が記載されている。更に、特許文献1には、ナノバブルを用いて生体の疲労を回復する方法が記載されている。なお、特許文献1では、水を電気分解するとともに、当該水に超音波振動を加えることによって、ナノバブルを作製している。
【0005】
また、従来から、液体を原料としてナノバブルを作製する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。上記作製方法は、液体中において、1)上記液体の一部を分解ガス化する工程、2)上記液体に超音波を印加する工程、または3)上記液体の一部を分解ガス化する工程および上記液体に超音波を印加する工程、からなるものである。なお、液体の一部を分解ガス化する工程として、電気分解法または光分解法を用いることができることが記載されている。
【0006】
また、従来から、オゾンガスからなるマイクロバブル(オゾンマイクロバブル)を利用する廃液処理装置が用いられている(例えば、特許文献3参照)。上記廃液処理装置では、オゾン発生装置によって作製されたオゾンガスと廃液とを、加圧ポンプを用いて混合することによって、オゾンガスからなるマイクロバブルを作製している。そして、当該マイクロバブルが廃液中の有機物と反応することによって、廃液中の有機物が酸化分解される。
【0007】
また、従来から、浴槽用マイクロバブル発生装置が用いられている(例えば、特許文献4参照)。上記マクロバブル発生装置は、炭酸ガスを発生させる炭酸ガス発生器と、上記炭酸ガスと浴槽内の湯とを混合するガス混合器と、上記浴槽に接続されて浴槽内の湯が導入されるとともに、上記ガス混合器を介して炭酸ガスと混合された湯を浴槽内に吐出するポンプとを備えている。そして、上記浴槽用マイクロバブル発生装置では、上記ガス混合器に上記炭酸ガス発生器を接続して、当該ガス混合器中を高速で流れる湯に炭酸ガスを吸引させることによって、炭酸ガスマイクロバブルを含有する湯を浴槽内に吐出している。
【特許文献1】特開2004−121962号公報(平成16年4月22日公開)
【特許文献2】特開2003−334548号公報(平成15年11月25日公開)
【特許文献3】特開2004−321959号公報(平成16年11月18日公開)
【特許文献4】特開2007−159902号公報(平成19年6月28日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の技術では、多量の炭酸ガスナノバブルを経済的に製造することができないという問題点を有していた。
【0009】
つまり、上記従来の技術では、製造できるナノバブルの量が少ないとともに、ナノバブルを製造するためには、多数のバブル発生機を用いた高価な装置を必要とするという問題点を有していた。
【0010】
ナノバブルの人体への効果は、数十nm前後の直径を有しているナノバブルが多量に存在する場合に高い、といわれている。微細なナノバブルが多量に存在すると、当該ナノバブルが皮膚から直接的に吸収されて、人体の血流量が増加すると同時に、例えば体内のインスリン様成長因子が増加する。つまり、インスリン様成長因子等の体内での作用が増強される。しかしながら、上記従来の技術では多量のナノバブルを製造することができないので、ナノバブルの効果を十分に人体に及ぼすことができないという問題点を有していた。なお、バブルの効果を人体に十分に及ぼすために、10台程度の旋回流方式のマイクロバブル発生機を用いて入浴装置を構成した事例も存在するが、当該入浴装置はコストが高く、実用には遠いといえる。
【0011】
また、上述したように、ナノバブルは、殺菌作用および汚濁水の洗浄作用を有している。しかしながら、上記従来の技術では多量のナノバブルを製造することができないので、一度使用した入浴水を十分に浄化することができないという問題点を有していた。それゆえ、上記従来の技術では、一度利用した入浴水を再利用する場合には、利用用途が限られるという問題点を有していた。
【0012】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、多量の炭酸ガスナノバブルを経済的に製造することができる入浴装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、以下の1)〜5)を見出し、本発明を完成させるに至った。つまり、
1)マイクロナノバブル含有水よりも炭酸ガスナノバブル含有磁気活水の方が血流量の増加効果が高く、血流量が低下し、患者の足が壊疽となる糖尿病等の治療には、炭酸ガスナノバブル含有磁気活水が有効であること、
2)糖尿病等の治療には、薬物療法として血糖降下薬を投与するのみならず、炭酸ガスナノバブル含有磁気活水による血流量増加治療を同時に実施した方が、より効果的であること、
3)炭酸ガス発泡剤等から発生する炭酸ガスバブルを用いて薬用植物を洗浄すると、当該薬用植物から有効成分(薬効成分)を効果的に抽出することができるとともに、上記有効成分を炭酸ガスナノバブル含有磁気活水に含有させることができること、
4)吸着材に炭酸ガス発泡剤等から発生する微細な炭酸ガスバブルを付着させ、その後、気液混合循環ポンプを運転することによって、吸着剤に付着した微細な炭酸ガスバブルを剥ぎ取る。なお、大きな炭酸ガスバブルは浮力が大きいため、効率よく第1気体せん断部に導入することができないが、吸着材から剥ぎ取られた炭酸ガスバブルは微細であるため浮力が小さく、それゆえ効率よく第1気体せん断部に導入され得る。その結果、多量の炭酸ガスナノバブルを製造することができること、
5)炭酸ガスナノバブル含有磁気活水において、バブル周囲の液体が薬効成分またはラジウムを含有していれば、炭酸ガスナノバブル含有磁気活水の血糖値低減効果が更に高まること。
【0014】
本発明の入浴装置は、上記課題を解決するために、液体が蓄えられた浴槽と、前記液体を取り込むとともに、前記液体中に炭酸ガスを吐出して炭酸ガス含有水を作製する前槽と、前記炭酸ガス含有水と気体とを混合およびせん断して、炭酸ガスマイクロバブル含有水を作製する第1気体せん断部と、前記炭酸ガスマイクロバブル含有水を更にせん断して炭酸ガスナノバブル含有水を作製する第2気体せん断部と、前記炭酸ガスナノバブル含有水を前記浴槽内に吐出する吐出手段と、を有することを特徴としている。
【0015】
上記構成によれば、前槽を有することによって、第1気体せん断部に炭酸ガス含有水を供給することができる。そして、第1気体せん断部では、炭酸ガス含有水と気体とを混合およびせん断するので、炭酸ガスマイクロバブル含有水を作製することができる。そして、第2気体せん断部では、炭酸ガスマイクロバブル含有水を更にせん断するので、炭酸ガスナノバブル含有水を作製することができる。
【0016】
本発明の入浴装置では、前記第1気体せん断部は、前記炭酸ガス含有水と気体との混合物を回転運動させるためのポンプを備えるものであることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、炭酸ガス含有水と気体との混合物を回転運動させるためのポンプ(例えば、旋回流方式のポンプ)が用いられる。したがって、上記構成によれば、より高速で旋回する回転せん断流を発生させることができるので、ナノバブルを効率よく製造することができる。
【0018】
本発明の入浴装置では、前記浴槽内の液体の濁度を計測する計測手段と、前記計測手段の計測結果に基づいて、前記ポンプの回転数および前記第1気体せん断部に供給される前記気体の量の少なくとも一方を制御する制御手段と、を有することが好ましい。
【0019】
上記構成によれば、計測手段によって浴槽内の液体の濁度を測定することによって、当該液体内に含まれる炭酸ガスナノバブルの濃度を検出することができる。また、制御手段によって、上記ポンプの回転数および上記第1気体せん断部に供給される気体の量の少なくとも一方を制御することができるので、製造する炭酸ガスナノバブルの量を目的に合わせて調節することができる。
【0020】
本発明の入浴装置では、前記制御手段は、前記計測手段によって計測された濁度が1度よりも大きい場合には、前記ポンプの回転数を増加するものであることが好ましい。
【0021】
上記計測手段による測定値において濁度1度以下であれば、浴槽内に炭酸ガスナノバブルが発生していることを示している。したがって、上記構成によれば、炭酸ガスナノバブルの発生が減少した場合には、ポンプの回転数を増加させることによって、炭酸ガスナノバブルの発生量を増加させることができる。そして、それによって、浴槽内の炭酸ガスナノバブルの濃度を特定の濃度以上に保つことができる。
【0022】
本発明の入浴装置では、前記制御手段は、前記計測手段によって計測された濁度が1度よりも大きい場合には、前記第1気体せん断部に供給される気体の量を減少するものであることが好ましい。
【0023】
上記計測手段による測定値において濁度1度以下であれば、浴槽内に炭酸ナノバブルが発生していることを示している。したがって、上記構成によれば、炭酸ナノバブルの発生が減少した場合には、第1気体せん断部に供給される気体の量を減少させることによって、炭酸ナノバブルの発生量を増加させることができる。そして、それによって、浴槽内の炭酸ナノバブルの濃度を特定の濃度以上に保つことができる。
【0024】
本発明の入浴装置では、前記炭酸ガスは、前記前槽内に投入された炭酸ガス発泡剤によって、前記液体中に吐出されることが好ましい。
【0025】
上記構成によれば、炭酸ガス発泡剤が液体中に炭酸ガスを放出することによって、炭酸ガス含有水を作製することができる。そして、本発明の入浴装置は、当該炭酸ガス含有水を材料の一つとして用いて炭酸ガスナノバブル含有水を作製することができる。したがって、本発明の入浴装置は、簡便な構成によって炭酸ガスナノバブル含有水を作製することができる。
【0026】
本発明の入浴装置では、前記前槽の底部の形状は、当該底部から下方に向かって勾配を有するとともに、当該勾配が前記前槽の横断面における中央部に収束するものであることが好ましい。
【0027】
上記構成によれば、前槽中に投入された炭酸ガス発泡剤は、上記底部に設けられた勾配に沿って沈む。したがって、上記炭酸ガス発泡剤が炭酸ガス放出時に動いたとしても、その配置は、絶えず上記底部の頂点近傍、換言すれば前記前槽の横断面における中央部近傍に戻されることになる。したがって、上記構成によれば、炭酸ガス発泡剤から放出される炭酸ガスを、より均等に前槽内に拡散させることができる。
【0028】
本発明の入浴装置では、前記前槽内には、前記炭酸ガスを内部に取り込むための開口を前記底部の少なくとも中央部に対向するように配置された収容手段が備えられ、前記収容手段の内部には、前記炭酸ガスが付着する充填材および薬効成分含有材の少なくとも一方が備えられていることが好ましい。
【0029】
上記構成によれば、収容手段に備えられた開口が上記中央部に対向するように配置されているので、炭酸ガス発泡剤から放出される炭酸ガスを、上記収容手段内に濃縮することができる。そして、当該収容手段内には充填材および薬効成分含有材の少なくとも一方が備えられているので、薬効成分含有材からの薬効成分抽出効果を上昇させることができるとともに、より高濃度にて充填材の表面に炭酸ガスを付着させることができる。
【0030】
本発明の入浴装置では、前記収容手段の内部には、前記液体を前記前槽内に導入するための導入手段が備えられており、前記薬効成分含有材、前記導入手段および前記充填材は、当該順番にて下から順に配置され、前記導入手段は、前記薬効成分含有材に向かって前記液体を吐出するものであることが好ましい。
【0031】
上記構成によれば、導入手段は薬効成分含有材に向かって液体を吐出しており、充填材に向かっては液体を吐出していない。したがって、薬効成分含有材から、より効率的に薬効成分を抽出することができるとともに、充填材の表面に吸着された炭酸ガスが充填材の表面から遊離することを防止することができる。それゆえ、より高濃度にて充填材の表面に炭酸ガスを付着させることができる。
【0032】
本発明の入浴装置では、前記充填材は、ポリ塩化ビニリデンからなることが好ましい。
【0033】
上記構成によれば、ポリ塩化ビニリデンはマイナスの電荷を帯びているので、前記炭酸ガスの内の微細な炭酸ガスを、選択的にポリ塩化ビニリデンに吸着させることができる。したがって、第1気体せん断部に微細な炭酸ガスを選択的に導入することができるので、効率よく炭酸ガスナノバブル含有水を作製することができる。また、ポリ塩化ビニリデンは、磨耗や腐食にたいして耐性が高いので、半永久的に使用することができる。
【0034】
本発明の入浴装置では、前記薬効成分含有材は、朝鮮人参、ショウブ、トウキ、カミツレ、アロエおよびハマゴウからなる群より選択される少なくとも1つの薬用植物であることが好ましい。
【0035】
上記構成によれば、薬用植物由来の薬効成分を含む炭酸ガスナノバブル含有水を作製することができる。その結果、入浴者の皮膚を介して上記薬効成分を入浴者の体内に取り込ませることができる。
【0036】
本発明の入浴装置では、前記浴槽には、交流磁気を発生させるための少なくとも1つの磁気発生手段が設けられていることが好ましい。
【0037】
上記構成によれば、入浴者に対して交流磁気を照射することができる。その結果、入浴者の血流量を増加させることができる。
【0038】
本発明の入浴装置では、前記浴槽には、当該浴槽内に蓄えられた液体の水面の位置に、前記液体を前記浴槽から排出する排水口が設けられていることが好ましい。
【0039】
上記構成によれば、浴槽内の液体中の混入物を除去することができるので、浴槽内の液体を清潔に維持することができるとともに、当該液体をリサイクルすることができる。例えば、浴槽内の液体に垢等の有機物が含まれていれば、浴槽内において有機物と炭酸ガスナノバブルが接触する。その結果、当該有機物に炭酸ガスナノバブルが付着して、有機物とナノバブルとからなる複合体が形成される。上記複合体には浮力が働くので、その結果、液体表層に浮上する。そして、上記排水口は液体の水面の位置に設けられているので、当該排水口によって浴槽から上記複合体が除去される。換言すれば、浴槽内の液体を常に清潔な状態に維持することができる。
【0040】
本発明の入浴装置では、前記第2気体せん断部によって作製された炭酸ガスナノバブル含有水に磁場をかけて炭酸ガスナノバブル含有磁気活水を作製する活性化手段を有することが好ましい。
【0041】
上記構成によれば、炭酸ガスナノバブル含有水に磁気活性を付与することができるので、当該磁気活性の効果を入浴者の体に及ぼすことができる。
【0042】
本発明の入浴装置では、前記活性化手段は、前記炭酸ガスナノバブル含有水を通過させるための流路を有し、前記流路は、磁石のS極として機能する第1面と磁石のN極として機能する第2面とが対向するように配置されていることが好ましい。
【0043】
上記構成によれば、上記活性化手段は、磁石のS極として機能する第1面と磁石のN極として機能する第2面とが対向するように配置された流路を有している。したがって、当該流路中を炭酸ガスナノバブル含有水が通過することによって、当該炭酸ガスナノバブル含有水に磁場をかけることができる。そして、その結果、上記炭酸ガスナノバブル含有水に磁気活性を付与することができる。換言すれば、炭酸ガスナノバブル含有水を、炭酸ガスナノバブル含有磁気活水に変換することができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明の入浴装置は、以上のように、液体が蓄えられた浴槽と、前記液体を取り込むとともに、前記液体中に炭酸ガスを吐出して炭酸ガス含有水を作製する前槽と、前記炭酸ガス含有水と気体とを混合およびせん断して、炭酸ガスマイクロバブル含有水を作製する第1気体せん断部と、前記炭酸ガスマイクロバブル含有水を更にせん断して炭酸ガスナノバブル含有水を作製する第2気体せん断部と、前記炭酸ガスナノバブル含有水を前記浴槽内に吐出する吐出手段と、を有するものである。
【0045】
それゆえ、多量の炭酸ガスナノバブルを経済的に製造することができるという効果を奏する。
【0046】
炭酸ガスナノバブルには様々な生理効果、および有機物質分解効果があることが知られている。例えば、生理効果の一例として、血流量増加効果およびインスリン様因子の増加効果を挙げることが可能である。そして、血流量が増加すれば、中枢神経、心血管系、各種代謝経路、消化器、血液及び免疫系、運動器、皮膚を活性化できることが知られている。したがって、本願発明の入浴装置は、健康維持は勿論のこと、各種疾患の改善に用いることができる。なお、上記疾患としては、中枢神経疾患(例えば、アルツハイマー病および認知症等)、心血管系疾患(例えば、慢性心不全、高血圧、脳梗塞および心筋梗塞等)、代謝異常疾患(例えば、糖尿病、肥満および高脂血症等)、消化器系疾患(例えば、胃潰瘍および肝機能低下症等)、血液及び免疫系疾患(例えば、各種がん、赤血球産生低下症および免疫機能不活性症等)、運動器疾患(例えば、関節リウマチおよび関節炎等)、皮膚科領域疾患(例えば、しわやたるみ等の皮膚老化、白髪および脱毛等)を挙げることができる。
【0047】
また、血流量が増加した場合には、各種薬剤(例えば、スルホニル尿素剤またはビグアナイト剤等の血糖降下薬)の薬効を全身に行き渡らせることができる。これによって、各種薬剤の治療効果を上昇させることができるとともに、薬剤量が少量であっても、一定の作用効果を発揮でき、結果として医療費を減少させることができる。
【0048】
また、例えば女性を対象とした、エステ等美容の分野にも有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本明細書において「ナノバブル」とは、その発生時において数百nm以下の直径を有する気泡が意図される。また、本明細書において「磁気活水」とは、例えば人工的に作り出された磁場中に水を通過させることにより、磁界のエネルギーによって活性化された液体(例えば、水)が意図される。また、本明細書において「磁気活性」とは、磁力線の作用によって、液体または気体が備える活性が意図される。
【0050】
本実施の形態の入浴装置39は、ナノバブル発生部2、性能向上部41および浴槽部3を備えている。以下に、各構成について説明する。
【0051】
〔1.性能向上部〕
以下に、性能向上部41について説明する。
【0052】
性能向上部41は、前槽32および磁気活水作製部33を備えている。上記前槽32は、後述する浴槽1から供給される液体に対して炭酸ガスを吐出して、炭酸ガス含有水を作製するための構成である。一方、磁気活水作製部33は、後述するナノバブル発生部2によって作製された炭酸ガスナノバブル含有水に対して磁場をかけることによって当該炭酸ガスナノバブル含有水に対して磁気活性を付与するための構成である。換言すれば、磁気活水作製部33は、当該炭酸ガスナノバブル含有水から炭酸ガスナノバブル含有磁気活水を作製するための構成である。以下に、前槽32および磁気活水作製部33について説明する。
【0053】
〔1−1.前槽〕
図1に示すように、上記前槽32には、流入管26(導入手段)を介して、浴槽1から液体が供給される。そして、炭酸ガス吐出部23によって、前槽32内の液体に対して炭酸ガスが吐出され、その結果、炭酸ガス含有水が作製される。
【0054】
上記流入管26としては特に限定されないが、図1に示すように下部に多数の孔27が形成されていることが好ましい。上記構成によれば、前槽32内の液体を均等に攪拌することができるので、例えば、前槽32内に薬用植物を導入した場合には、当該薬用植物から効率よく薬効成分を抽出することができる。
【0055】
前槽32は、前槽32内の液体に対して炭酸ガス14を吐出するための炭酸ガス吐出部23を有している。炭酸ガス吐出部23の具体的な構成としては特に限定されないが、炭酸ガス発泡剤であることが好ましい。なお、炭酸ガス発泡剤としては、適宜公知の炭酸ガス発泡剤を用いればよい。上記構成によれば、安価な構成にて、しかも確実に炭酸ガスナノバブル含有水を作製することができる。
【0056】
前槽32の形状は、その内部に液体を貯蔵することができるものであればよく、特に限定されない。前槽32の底部12(底面)の形状も特に限定されないが、下方に向かって勾配を有するとともに、当該勾配が前槽32の横断面における中央部近傍に収束するものであることが好ましい。更に具体的には、底部12の形状は、円錐または四角錐などの錐体であることが好ましい。上記構成によれば、炭酸ガス吐出部23として炭酸ガス発泡剤を用いた場合、前槽32内に投入されて底部12上に沈む炭酸ガス発泡剤を、底部12の傾斜によって、絶えず前槽32の中央部近傍に配置することができる。その結果、炭酸ガス発泡剤から放出される炭酸ガスを、より均等に前槽32内に拡散させることができる。
【0057】
前槽32の内部には、炭酸ガス14を前槽32内に留めるために、収容部24(収容手段)が備えられることが好ましい。収容部24の形状としては特に限定されないが、前槽32の底部(底面)に対向する開口を有する容器であることが好ましい。このとき、上記開口は、前槽32の底部(底面)の横断面における中央部に対向していることが更に好ましい。上記構成によれば、炭酸ガス吐出部23によって吐出された炭酸ガス14を、上記開口から収容部24の内部に確実に取り込むことができるので、収容部24内の炭酸ガス14の濃度を高めることができる。換言すれば、炭酸ガス吐出部23によって吐出された炭酸ガス14の大半を、炭酸ガスナノバブルの作製に用いることができる。
【0058】
また、前槽32の内部には、炭酸ガス14のうち微細な炭酸ガスを吸着させるための充填材29が備えられることが好ましい。また、上記充填材29が備えられる位置は、前槽内部であればよく特に限定されないが、収容部24の内部に備えられることが更に好ましい。上記構成によれば、充填材29近傍における炭酸ガス14の濃度を上昇させることができるので、より多量の微細な炭酸ガスを充填材29に吸着させることができる。
【0059】
また、上記充填材29としては限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、またはポリエチレンからなる充填材であることが好ましい。また、充填材29は、ポリ塩化ビニリデンからなる充填材であることが最も好ましい。
【0060】
例えば、上記充填材29としてポリ塩化ビニリデンを用いた場合、ポリ塩化ビニリデンはマイナスの電荷を帯びているので、炭酸ガス14のうちの微細な炭酸ガスを、選択的に充填材29に付着させることができる。その結果、大きなサイズの炭酸ガスと小さなサイズの炭酸ガスとを分離して、小さなサイズの炭酸ガスのみを用いて炭酸ガスナノバブルを作製することができる。また、上記構成は耐久性が高いので、半永久的に使用することが可能である。
【0061】
また、充填材29の形状としては特に限定されないが、例えば、細い繊維を放射状に編んだ放射状の輪状体として構成されていることが好ましい。
【0062】
後述する気液混合循環ポンプ4を駆動すれば、前槽32内の液体が第1気体せん断部7の内部に引き込まれる。このとき、前槽32内にて液体の流れが生じ、当該流れによって、充填材29に付着した微細な炭酸ガスが液体中に遊離する。そして、遊離した炭酸ガスは、液体と共に第1気体せん断部7へと導入される。そして、当該炭酸ガスを原材料として、炭酸ガスナノバブルが作製される。上記構成によれば、炭酸ガスナノバブルの原料として、微細な炭酸ガスを選択的に用いることができるので、より容易に多量の炭酸ガスナノバブルを製造することができる。
【0063】
また、前槽32の内部には、前槽32内の液体に対して薬効成分を供給するための薬効成分含有材25が備えられることが好ましい。また、薬効成分含有材25が備えられる位置は、前槽32の内部であればよく特に限定されないが、収容部24の内部に備えられることが更に好ましい。上記構成によれば、薬効成分含有材25近傍における炭酸ガス14の濃度を上昇させることができるので、より多量の薬効成分を薬効成分含有材25から抽出することができる。つまり、炭酸ガスは液体を酸性にする。そして、液体が酸性になることによって、薬効成分含有材25からの薬効成分の抽出効率を上昇させることができる。
【0064】
上記薬効成分含有材25としては特に限定されないが、例えば、薬用植物であることが好ましい。上記薬用植物としても特に限定しないが、例えば、朝鮮人参、ショウブ、トウキ、カミツレ、アロエおよびハマゴウからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。また、薬用植物として、少なくともトウキを用いることが更に好ましい。トウキは血液に関係する疾病に有効であって、例えば、貧血等に有効であることが知られている。したがって、薬用植物としてトウキを用いれば、上記疾患等を予防することができる。
【0065】
上記収容部24の開口には、網15が設けられていることが好ましい。上記網15は、収容部24の内部と外部とを分けるとともに、当該網15を介して炭酸ガスを収容部24の内部に導入することができるものであればよく、その形状は特に限定されない。例えば、網15は、網目構造を有する板であり得るが、これに限定されない。上記構成によれば、収容部24の内部に薬効成分含有材25および充填材29などを設けた場合に、これらを収容部24内に隔離することができる。その結果、薬効成分含有材25および充填材29などが第1気体せん断部7内に混入することを防止することができるので、これによって、配管等が詰まることを防止することができる。
【0066】
上述した炭酸ガス吐出部23、薬効成分含有材25、流入管26および充填材29の前槽32内における相対的な位置は特に限定されないが、図1に示すように、下から順に、炭酸ガス吐出部23、薬効成分含有材25、流入管26および充填材29が配置されていることが好ましい。また、このとき流入管26の孔27は、薬効成分含有材に対向するように配置されていることが好ましい。
【0067】
上記構成によれば、最下部に炭酸ガス吐出部23が配置されることによって、その上に配置される薬効成分含有材25に対して、直接炭酸ガスを吐出することができる。これによって、薬効成分含有材25から効果的に薬効成分を抽出することができるとともに、薬効成分を含む炭酸ガスバブルを生じさせることができる。なお、上記薬効成分としては、揮発性のものも含まれる。また、最上部に充填材29が配置されることによって、薬効成分を含む炭酸ガスバブルを選択的に充填材29に吸着させることができる。
【0068】
また、上記構成によれば、上記薬効成分含有材25と上記充填材29との間に流入管26が配置され、当該流入管26の孔27は、薬効成分含有材25の側に設けられている。したがって、流入管26から前槽32内に吐出される液体が、直接充填材29に向かって吐出されることがないので、充填材29に吸着された炭酸ガスは、流入管26から吐出される液体によって充填材29の表面から遊離されることはない。換言すれば、充填材29に吸着された炭酸ガスは、気液混合循環ポンプ4を駆動することによってはじめて充填材29の表面から遊離する。したがって、上記構成によれば、多量の炭酸ガスを確実に第1気体せん断部4に導入することができるので、多くの炭酸ガスナノバブルを作製することができる。
【0069】
以上のようにして作製された炭酸ガス含有水は、後述するナノバブル発生部2に導入される。そして、上記炭酸ガス含有水から、炭酸ガスナノバブル含有水が作製される。
【0070】
〔1−2.磁気活水作製部〕
図1に示すように、本実施の形態の入浴装置は、磁気活水作製部33を備えていることが好ましい。以下に、磁気活水作製部33について説明する。
【0071】
上記磁気活水作製部33は、ナノバブル発生部2によって作製された炭酸ナノバブル含有水に対して磁気活性を付与して、炭酸ガスナノバブル含有磁気活水を製造するための構成である。なお、ナノバブル発生部2に関しては、後で説明することにする。
【0072】
上記磁気活水作製部33は、炭酸ガスナノバブル含有水に対して磁場をかけることができるものであればよく、その具体的な構成は特に限定されない。例えば、図1に示すように、フランジ28は配管9cの端部に備え付けられており、フランジ40は配管60の端部に備え付けられている。また、上記磁気活水作製部33の一方の端部にはフランジ28が備え付けられているとともに、別の端部にはフランジ40が備え付けられている。そして、上記フランジ28同士、および上記フランジ40同士をボルト等によって固定することによって、上記フランジ28とフランジ40との間に磁気活水作製部33が設けられ得る。
【0073】
また、配管9cにはバルブ11が備えられており、当該バルブ11によって、磁気活水作製部33に導入される炭酸ナノバブル含有水の量が調節される。
【0074】
上記磁気活水作製部33は、炭酸ガスナノバブル含有水を通過させるための流路38を有している。そして、当該流路38の少なくとも一部は、磁石のS極として機能する領域と磁石のN極として機能する領域によって挟まれており、これによって、上記流路38中を通過する炭酸ガスナノバブル含有水に磁場をかけることが可能になる。
【0075】
上記流路38の横断面の形状は特に限定されず適宜設定することができる。上記流路38の横断面の形状としては、例えば、対向する少なくとも1対の面を有するもの(例えば、正方形または長方形など)であることが好ましい。なお、上記流路38の横断面の形状が例えば正方形または長方形である場合には、上記流路38の立体的な形状は、略平板状になることが好ましい。
【0076】
一例として、図9に、横断面の形状が長方形である流路38を有する磁気活水作製部33の断面図を示す。図9に示すように、流路38は、互いに対向する面50(第1面)および面51(第2面)を有している。そして、上記面50の側には磁石のS極35が配置されており、上記面51の側には磁石のN極34が配置されている。なお、N極34およびS極35としては、それぞれ永久磁石を用いることが可能である。また、N極34およびS極35のそれぞれ数としては特に限定されない。上記S極35とN極34との間で磁場が形成され、当該磁場の中を炭酸ガスナノバブル含有水が通過する。換言すれば、図1に示すように、上記S極35とN極34との間で形成される磁力線36の中を炭酸ガスナノバブル含有水が通過する。そして、磁場の中を通過することによって炭酸ガスナノバブル含有水に磁気活性が付与されて、その結果、炭酸ガスナノバブル含有磁気活水が作製される。
【0077】
つまり、磁力線36の中を炭酸ガスナノバブル含有水が通過すると、微弱な電流が発生する。そして、微弱な電流の作用によって水分子同士の結合が崩れ、その結果、クラスター(分子のかたまり)が細分化する。クラスターが細分化された水は、当該クラスターのすき間に酸素を吸収する作用が高いので、外気から大量の酸素を吸収して溶存酸素濃度が高くなる。それと同時に、微弱な電流の作用により、液体中にラジカルを発生させることが可能になる。したがって、炭酸ガスナノバブル含有水に磁気活性を付与すれば、当該炭酸ガスナノバブル含有水中に活性酸素を発生させることが可能になる。したがって、磁気活性を有する炭酸ガスナノバブル含有水は、ナノバブルに由来するフリーラジカルの酸化能力と、上記活性酸素に由来する酸化能力の両方を備えることが可能になり、当該強力な酸化能力によって様々な有機物を分解することができるとともに、生体内の様々な代謝経路を活性化させることができる。
【0078】
上記面50と上記面51との間の距離は特に限定されず、適宜設定することができる。例えば、上記面50と上記面51との間の距離は、30mm以下であることが好ましい。上記構成によれば、気体に対して効率よく磁気活性を付与することができる。
【0079】
また、上記流路38内の磁束密度(残留磁束密度)は、350ミリテスラ(3500ガウス以上であることが好ましく、450ミリテスラ以上であることが、より好ましい。
【0080】
なお、磁気活水作製部33としては公知の構成を用いることも可能である。例えば、株式会社ビー・シー・オー製のBK型を用いることも可能である。
【0081】
以上のようにして磁気活性が付与された炭酸ガスナノバブル含有水は、第3気体せん断部46を経て、浴槽1内に吐出される。浴槽1については、後に説明することにする。
【0082】
〔2.ナノバブル発生部〕
以下に、ナノバブル発生部2について説明する。
ナノバブル発生部2は、濁度調節計21、濁度調節計21からの信号を信号線18を介して受けるシーケンサー20(制御手段)、シーケンサー20からの信号を信号線19を介して受ける電動ニードルバルブ17、シーケンサー20からの信号を信号線18を介して受ける気液混合循環ポンプ4、気液混合循環ポンプ4に設けられている第1気体せん断部7、第1気体せん断部7に配管9aを介して接続されている第2気体せん断部8、および空気配管16を備えている。
【0083】
まず、本実施の形態の入浴装置において、ナノバブルを優先的に製造するための制御方法について説明する。
【0084】
濁度調節計21には、浴槽1に設けられている濁度計22(計測手段)からの信号が、信号線18を介して入力されている。つまり、濁度計22によって浴槽1内の液体の濁度が測定され、当該測定データが濁度調節計21に入力されている。なお、濁度計22による測定値において濁度10度以上であれば、浴槽1内にマイクロナノバブルが発生していることを示しており、濁度計22による測定値において濁度1度以下であれば、浴槽1内にナノバブルが発生していることを示している。
【0085】
なお、濁度計22としては特に限定されず、適宜、公知の構成を用いることができる。例えば、濁度計22として、東京光電株式会社製のポータブル濁度計を用いることができが、これに限定されない。なお、当該ポータブル濁度計は、センサー部を直接液体中に浸漬する方式の濁度計である。
【0086】
なお、液体の濁度を東京光電株式会社製のポータブル濁度計にて測定し、このときの液体中のナノバブル数をベックマン・コールター株式会社製の測定装置にて測定したところ、濁度1度の場合には液体中には431600個のナノバブルが含有されており、濁度10度の場合には液体中には3100個のナノバブルが含有されていることが、実験から明らかになっている。
【0087】
上記濁度調節計21では、上記測定データに基づいて、ナノバブルの製造量を多くするべきか、あるいは少なくするべきかを判断する。例えば、浴槽1内が濁度1度よりも大きければ、ナノバブルの製造量を多くするべきであると、判断される。そして、当該判断は、信号線18を介してシーケンサー20へと入力される。その後、シーケンサー20は、上記判断に基づいて、電動ニードルバルブ17の開閉動作および気液混合循環ポンプ4の回転数(出力)の両方を制御する。以下に、制御方法について具体的に説明する。
【0088】
本実施の形態の入浴装置にて製造される炭酸ガスナノバブルの量は、空気配管16を介して第1気体せん断部7に供給される気体の量を、電動ニードルバルブ17の開閉動作によって調節することによって調節され得る。なお、当該気体の種類としては特に限定されず、例えば、空気、窒素、炭酸ガス等であり得る。上記気体として空気を用いる場合には、図1に示すように、空気配管16の一端を例えば屋外等に開放しておけばよい。一方、上記気体として窒素、オゾンまたは炭酸ガス等を用いる場合には、空気配管16の一端に、当該気体が貯蔵されているボンベ等を接続すればよい。
【0089】
空気配管16を介して第1気体せん断部7に供給される気体の量とバブルサイズとの関係は、マイクロナノバブルを製造する場合に供給される気体の量よりも、ナノバブルを製造する場合に供給される気体の量の方が少ない。更に具体的にいえば、例えば新規の浴槽水を用いる場合、空気配管16を介して0.8リットル/分以上の量の気体を第1気体せん断部7に供給すれば、マイクロナノバブルが製造され、空気配管16を介して0.7リットル/分以下の量の気体を第1気体せん断部7に供給すれば、ナノバブルが製造される。
【0090】
したがって、濁度計22の測定データによって、浴槽1内にマイクロナノバブルの量が多いことが判明すれば、シーケンサー20によって電動ニードルバルブ17が閉じられる。これによって、空気配管16を介して第1気体せん断部7に供給される気体の量が減少し、その結果、本実施の形態の入浴装置によって製造されるナノバブルの量を多くすることができる。
【0091】
また、本実施の形態の入浴装置にて製造される炭酸ガスナノバブルの量は、気液混合循環ポンプ4の回転数(出力)によっても調節され得る。具体的には、気液混合循環ポンプ4の回転数を上げれば、より多くのナノバブルを製造することができる。したがって、濁度計22の測定データによって、浴槽1内にマイクロナノバブルの量が多いことが判明すれば、シーケンサー20によって気液混合循環ポンプ4の回転数が上げられる。これによって、本実施の形態の入浴装置によって製造されるナノバブルの量を多くすることができる。
【0092】
なお、本実施の形態の入浴装置では、浴槽1内の液体は、濁度10度以上であることが好ましく、濁度20度以上であることが更に好ましい。
【0093】
次いで、ナノバブル発生部2によって炭酸ナノバブルが製造される工程について説明する。なお、炭酸ナノバブルは、大まかに言えば2つの工程(第1気体せん断工程および第2気体せん断工程)を経て製造される。以下に、第1気体せん断工程および第2気体せん断工程について更に詳細に説明する。
【0094】
〔2−1:第1気体せん断工程〕
第1気体せん断工程では、前槽32にて作製される炭酸ガス含有水と空気配管16を介して取り込まれる気体とを用いて、炭酸ガスマイクロバブル含有水が作製される。なお、当該炭酸ガスマイクロバブル含有水は、炭酸ガスからなるマイクロバブルと、空気配管16を介して取り込まれた気体からなるマイクロバブルとの両方を含んでいる。
【0095】
第1気体せん断工程では、第1気体せん断部7において、気液混合循環ポンプ4を用いて気体と液体との混合物の圧力が流体力学的に制御されるとともに、負圧部に対して気体が吸入される。なお、「負圧部」とは、気体と液体との混合物の中で周りと比較して圧力が小さな領域を意図する。そして、上記混合物を高速流体運動させて負圧部を形成しながら気体をせん断することによって、微細なマイクロバブルを発生させることができる。換言すれば、液体と気体とを効果的に自給混合溶解するとともに、圧送する。これによって、より微細なマイクロバブルを含有するマイクロバブル含有水を形成することができる。
【0096】
上記気液混合循環ポンプ4としては特に限定されないが、揚程40m以上(4kg/cmの圧力)の高揚程のポンプであることが好ましい。また、気液混合循環ポンプ4としてはトルクが安定している2ポールのポンプを用いることが好ましい。上記構成によれば、第1気体せん断部7内のマイクロバブル含有水に対して所望の圧力を加えることが可能であり、その結果、マイクロバブル含有水に含まれるマイクロバブルをより微細にせん断することができる。
【0097】
また、気液混合循環ポンプ4では、ポンプの吐出圧力(ポンプの回転数)が制御されていることが好ましい。例えば、気液混合循環ポンプ4の回転数が、インバーター等の回転制御部(図示せず)によって制御されていることが好ましい。なお、上記回転制御部は、更にシーケンサー20によって制御され得る。上記構成によれば、上記第1気体せん断部7の中の炭酸ガスマイクロバブル含有水に対して所望の圧力を加えることが可能となり、その結果、炭酸ガスマイクロバブル含有水に含まれるマイクロバブルを所望のサイズに揃えることができる。
【0098】
上記第1気体せん断部7を構成する材料は特に限定されないが、ステンレス、プラスチック、または樹脂であることが好ましい。上記材料の中では、ステンレスが最も好ましい。上記構成によれば、マイクロバブル含有水中に不純物が混入することを防止することができるとともに、第1気体せん断部7が振動することを防止することができる。
【0099】
また、上記第1気体せん断部7の厚さ(隔壁の厚さ)は特に限定されないが、6mm〜12mmであることが好ましい。一般的に、第1気体せん断部7の厚さが薄ければ、第1気体せん断部7中の炭酸ガスマイクロバブル含有水の運動によって、第1気体せん断部7が振動する。つまり、炭酸ガスマイクロバブル含有水の運動エネルギーが振動として外部に伝播して失われるので、マイクロバブル含有水の高速流動運動が低下し、その結果、せん断エネルギーが低下する。しかしながら、上記構成によれば、第1気体せん断部7の振動を防ぐことかできるので、効率よくマイクロバブルを作製することができる。
【0100】
次いで、気液混合循環ポンプ4を有する第1気体せん断部7がマイクロバブルを発生させるメカニズムについて更に詳細に説明する。
【0101】
まず、上記第1気体せん断部7において、炭酸ガスマイクロバブル含有水の構成成分である液体と気体とからなる混相旋回流を発生させる。具体的には、例えば、インペラと呼ばれる羽を超高速で回転させて、液体と気体とからなる混相旋回流を発生させる。このとき、第1気体せん断部7の中心部には、高速旋回する気体空洞部が形成される。
【0102】
次いで、上記気体空洞部を圧力によって竜巻状に細くして、より高速で旋回する回転せん断流を発生させる。このとき、上記気体空洞部に対しては、当該気体空洞部の負圧を利用して、気体を自動的に供給させる。そして、さらにマイクロバブルを切断・粉砕しながら混相旋回流を回転させる。なお、上記切断・粉砕は、第1気体せん断部7の出口内外における気液二相流体の回転速度の差によって生じる。なお、上記回転速度の差は、500〜600回転/秒であることが好ましい。
【0103】
すなわち、第1気体せん断部7において、気液混合循環ポンプ4によって炭酸ガスマイクロバブル含有水を高速流体運動させることによって負圧部を形成するとともに、流体力学的にマイクロバブル含有水の圧力を制御することによって上記負圧部に対して気体を供給している。その結果、第1気体せん断部7では、マイクロバブルを発生させることができる。換言すれば、気液混合循環ポンプ4を用いて液体と気体とを効果的に自給混合溶解しながら圧送することにより炭酸ガスマイクロバブル含有水を製造することができる。
【0104】
上記第1気体せん断部7の内腔の横断面の形状は特に限定されないが、楕円形であることが好ましく、真円形であることが最も好ましい。また、上記第1気体せん断部7の内腔表面は、鏡面仕上げによって形成されていることが好ましい。上記構成によれば、第1気体せん断部7の内部表面の摩擦が小さいので、気体と液体との混合物を高速旋回させることができるとともに、気体を効率良くせん断することができる。その結果、多くの微細なマイクロバブルを発生させることができるとともに、最終的に多くのナノバブルを発生させることができる。
【0105】
また、第1気体せん断部7の内部表面(内腔表面)には、溝が設けられていることが好ましい。また、上記溝の数は特に限定されないが、2本以上設けられていることが好ましい。また、上記溝は、第1気体せん断部7の内部表面上に形成され、かつ凹形状を有するものであればよく、その形状は特に限定されない。例えば、上記溝は、深さ略0.3mm〜0.6mm、幅略0.8mm以内であることが好ましい。上記構成によれば、第1気体せん断部7内の液体と気体との混合物の旋回乱流の発生を制御することができるので、多くの微細なマイクロバブルを発生させることができるとともに、最終的に多くのナノバブルを発生させることができる。
【0106】
また、上記第1気体せん断部7へは、配管5を介して炭酸ガス含有水が供給され、配管9aを介して炭酸ガスマイクロバブル含有水が吐出されている。このとき、炭酸ガス含有水を供給する配管の内腔の横断面の面積は、炭酸ガスマイクロバブル含有水を吐出する配管の内腔の横断面の面積よりも大きいことが好ましい。上記構成によれば、炭酸ガスマイクロバブル含有水の吐出圧力を高めることができるので、安定的にマイクロバブルを発生させることができる。
【0107】
〔2−2:第2気体せん断工程〕
第2気体せん断工程では、第2気体せん断部8において、上記第1気体せん断工程にて作製された炭酸ガスマイクロバブル含有水から炭酸ガスナノバブル含有水が作製される。なお、当該炭酸ガスナノバブル含有水は、炭酸ガスからなるナノバブルと、空気配管16を介して取り込まれた気体からなるナノバブルとの両方を含んでいる。なお、必要に応じて第3気体せん断部46を更に備えることができる。第3気体せん断部46を備えれば、第2気体せん断部8によって作製されたナノバブルの大きさを更に小さくすることができるとともに、ナノバブルの量を増加させることができる。上記第3気体せん断部46の設置位置としては特に限定されない。例えば、磁気活水作製部33よりも下流側に設置することも可能であり、磁気活水作製部33よりも上流側に設置することも可能である。磁気活水作製部33よりも下流側に第3気体せん断部46を設置する場合には、図1に示すように、浴槽1の側面に設けられた吐出口10(吐出手段)内に設けられることが好ましい。
【0108】
上記気液混合循環ポンプ4によって、炭酸ガスマイクロバブル含有水が第1気体せん断部7から第2気体せん断部8へ、さらには第3気体せん断部46へ圧送される。マイクロバブル含有水が第1気体せん断部4から第2気体せん断部5へ、さらには第5気体せん断部14へと配管9a〜配管9cを介して圧送される場合には、炭酸ガスマイクロバブル含有水が圧送される方向に向かって、徐々にまたは段階的に配管9a〜配管9cの横断面の直径が小さくなることが好ましい。また、第2気体せん断部8および第3気体せん断部46内における液体を通過させる配管の横断面の直径は、配管5の横断面の直系よりも小さいことが好ましい。上記構成によれば、炭酸ガスマイクロバブル含有水をより高速で流体運動しながら竜巻状に細くすることができる。換言すれば、より高速で旋回する回転せん断流を発生させることができる。その結果、マイクロバブルからナノバブルを効率よく発生させることができるとともに、ナノバブル含有水中に超高温の極限反応場を形成することができる。
【0109】
上記極限反応場が形成されると、ナノバブル含有水が局部的に高温高圧状態となり、当該局所にて不安定なフリーラジカルができるとともに、同時に熱が発生される。フリーラジカルは不対電子を有する原子または分子であって、他の原子または分子から電子を奪い取って安定化しようとする。それゆえ、フリーラジカルを含むナノバブル含有水は、強い酸化力を示すことになる。したがって上記構成によれば、フリーラジカルの作用によって、有機物などの汚れを酸化分解することができるとともに、各種生理活性を上昇させることができる。
【0110】
第2気体せん断部7および第3気体せん断部46を構成する材料は特に限定されないが、例えばステンレス、プラスチック、または樹脂によって形成されていることが好ましい。
【0111】
また、第2気体せん断部8および第3気体せん断部46の内腔の横断面の形状は、楕円形であることが好ましく、真円形であることが最も好ましい。上記構成によれば、第2気体せん断部8および第3気体せん断部46の内部表面の抵抗(摩擦)が小さいので、炭酸ガスマイクロバブル含有水を高速旋回させることができるとともに、炭酸ガスマイクロバブル含有水を効率良くせん断することができ、その結果、多くの炭酸ガスナノバブルを発生させることができる。
【0112】
また、第2気体せん断部8および第3気体せん断部46の内部表面には、孔が開いていることが好ましい。上記孔の開口の直径は特に限定されないが、4mm〜9mmであることが好ましい。上記構成によれば、上記第2気体せん断部8および第3気体せん断部46の内部におけるバブル含有水の旋回運動を制御することができる。つまり、上記構成によれば、上記第2気体せん断部8および第3気体せん断部46の内部の旋回乱流の発生を制御することができる。その結果、第2気体せん断部8および第3気体せん断部46によって、安定にナノバブルを発生させることができる。
【0113】
なお、上述した気液混合循環ポンプ4、第1気体せん断部7、第2気体せん断部8および第3気体せん断部46の具体的な構成としては、市販のものを用いることが可能である。各々の構成としては特に限定しないが、例えば、株式会社 協和機設社製のバビダスHYK型を用いることが可能である。
【0114】
以上のようにして作製された、炭酸ガスナノバブル含有水は、次いで磁気活水作製部33に導入されて炭酸ガスナノバブル含有磁気活水に変換される。なお、磁気活水作製部33に関しては既に説明したので、ここではその説明を省略する。
【0115】
〔3.浴槽部〕
浴槽部3には、浴槽1が備えられている。
【0116】
上記浴槽1の内部には、入浴水としての液体が貯蔵されているとともに、本実施の形態の入浴装置によって作製された炭酸ガスナノバブル含有磁気活水が吐出されている。なお、浴槽1に対する上記液体の供給量は、バルブ31によって制御されている。また、上記バルブ31は、シーケンサー20によって制御されるように構成されることも可能である。
【0117】
上記液体は入浴水として用いられる液体であって、特に限定されず、例えば水などを用いることができる。また、上記液体の温度も適宜設定することができ、例えば温水または冷水等を用いることができる。
【0118】
上記浴槽1の形状としては特に限定されない。例えば、浴槽1の一部分として、入浴者の体の少なくとも一部に沿った形状を有する固定部が設けられることが好ましい。上記固定部の形状としても特に限定されないが、例えば、入浴者の臀部に沿った形状であることが好ましい。上記構成であれば、上記固定部に沿った状態で、入浴者の体を浴槽1内に安定に固定することができる。
【0119】
また、上記浴槽1には、交流磁気を発生させるための少なくとも1つの電磁石45が設けられている。なお、本明細書において「交流磁気」とは、各種電源を使用して磁力線を発生させるとともに、N極とS極とが1秒間に数十回入れ替わる磁気が意図される。交流磁気のような強力な磁場を形成すれば、当該磁場は、体の深部までとどく。そして、当該磁場の影響によって体内に電流が流れ、細胞の外側に存在するカルシウムイオン、ナトリウムイオン等の無機イオンを磁力線によって刺激し、その結果、平滑筋が開いたり、閉じたりすることによって、血流量を増加させることができる。そして、入浴者の血流量を増加させることによって、様々な効果を入浴者に及ぼすことができる。
【0120】
電磁石45としては特に限定されず、適宜公知の構成を用いることができる。例えば、上記電磁石45として、例えば交流磁気治療器を用いることができる。なお、交流磁気治療器としては特に限定されず、適宜公知の交流磁気治療器を用いることができる。例えば、GTR型の交流磁気治療器(株式会社マグネタイザー製)を用いることができるが、これに限定されない。
【0121】
図1に示すように、上記電磁石45は、第1極43および第2極44を備えている。つまり、上記電磁石45は、1対の第1極43および第2極44からなる。上記第1極43および第2極44は、ともに、磁石のN極またはS極に切り替えられ得る。具体的には、例えば、1秒間に50回〜60回切り替えられ得る。このとき、一方がN極として機能している時には、他方はS極として機能している。そして、上記第1極39および第2極40の極性を連続的に切り替えることによって、上記第1極と第2極との間に交流磁気を発生させることができる。
【0122】
上記電磁石45の数は特に限定されず、必要に応じて適宜設定することができる。例えば、上記電磁石45の数は、多いほど好ましい。更に具体的には、電磁石45の数は、1つの槽1につき4〜8個であることが好ましい。電磁石45の数が多ければ多いほど、入浴者の体全体に均等に交流磁気を照射することができる。
【0123】
上記電磁石45が設けられている位置は特に限定されない。例えば、上記固定部に沿って備えられていることが好ましい。また、上記電磁石45は、上記固定部内における入浴者の頭部が配置される領域内に設けられることが好ましい。一般に脳からの指令に基づいて血液循環、およびホルモンのバランスが調整される。したがって、上記構成によれば、脳に交流磁気を照射することによって、ホルモン疾患や、血液循環と関係する糖尿病、または慢性疾患高血圧を改善することができる。
【0124】
上記電磁石45によって形成される磁場の強さは特に限定されないが、例えば800ガウス以上の強さであることが好ましい。磁場による体内への影響を測定する方法として、血液中のセロトニンの量を測定する方法が知られている。上記磁場の強さが800ガウス以上の場合、血液中のセロトニンの量が変化する。つまり、上記磁場の強さが800ガウス以上の場合、磁場による治療効果を確実に体に及ぼすことができる。
【0125】
また、上記浴槽1には、浴槽1内に蓄えられる液体の水面の位置に、当該液体を浴槽1から排出するための排水口65が設けられていることが好ましい。なお、当該排水口65による液体の排水は、バルブ30の開閉動作によって制御され得、更にバルブ30の開閉動作は、シーケンサー20によって制御され得る。
【0126】
図1に示すように、本実施の形態の入浴装置では、吐出口10から浴槽1内に炭酸ガスナノバブル含有磁気活水が吐出されているとともに、吸入口6から浴槽1内の液体が前槽32に向かって流出している。その結果、浴槽1内では、常に液体が水流37を形成している。したがって、浴槽1内の液体に垢等の有機物が含まれていれば、当該有機物と炭酸ガスナノバブルが接触する機会が多くなる。その結果、当該有機物に炭酸ガスナノバブルが付着して、有機物とナノバブルとからなる複合体が効率よく形成される。当該複合体には浮力が働くので、液体表層に浮上する。その結果、当該複合体は、排水口65によって浴槽1から除去され得る。換言すれば、浴槽1内の液体を常に清潔な状態に維持することができる。
【0127】
また、浴槽1には、浴槽1内の液体を排出するためのドレーンバルブ13が設けられていることが好ましい。当該構成によれば、浴槽1内の液体の全てを、容易に排出することができる。
【0128】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について、図2に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0129】
本実施の形態の入浴装置は、収容部24内に薬効成分含有材25が設けられていない点が、実施の形態1とは異なっている。
【0130】
本実施の形態の入浴装置は、薬効成分の入浴者に対する効果は期待できないが、炭酸ガスナノバブルが有する効果、磁気活水が有する効果、および交流磁気が有する効果を入浴者に対して及ぼすことができる。したがって、本実施の形態の入浴装置は、簡便な構成によって入浴者の血流量を上昇させることができる。
【0131】
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施の形態について、図3に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0132】
本実施の形態の入浴装置では、薬効成分含有材25の代わりに、ラジウム鉱石42が備えられている。
【0133】
したがって、本実施の形態の入浴装置では、入浴者に対してラジウム鉱石の効果を及ぼすことができる。
【0134】
上記ラジウム鉱石42としては特に限定されず、適宜公知のラジウム鉱石を用いることができる。例えば、ラジウム鉱石42としては、0.136マイクロシーベルト/時の強度を有するラジウム鉱石を用いることが好ましく、当該ラジウム鉱石は、例えばアイケーシー株式会社から購入することができる。
【0135】
ラジウム温泉としては、秋田県仙北郡にある玉川温泉が有名である。しかしながら、本実施の形態の入浴装置によれば、入浴者の血流量を上昇させる点において、天然のラジウム温泉以上の効果が期待できる。
【0136】
〔実施の形態4〕
本発明の他の実施の形態について、図4に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0137】
本実施の形態の入浴装置では、浴槽1に電磁石45が設けられていない点が、実施の形態1とは異なっている。
【0138】
本実施の形態の入浴装置は、入浴者に対する交流磁気の効果は期待できないが、炭酸ガスナノバブルが有する効果、磁気活水が有する効果、および薬効を入浴者に対して及ぼすことができる。したがって、本実施の形態の入浴装置は、簡便な構成によって入浴者の血流量を上昇させることができる。
【0139】
〔実施の形態5〕
本発明の他の実施の形態について、図5に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0140】
本実施の形態の入浴装置では、磁気活水作製部33が設けられていない点が、実施の形態1とは異なっている。
【0141】
本実施の形態の入浴装置は、入浴者に対する磁気活水の効果は期待できないが、炭酸ガスナノバブルが有する効果、交流磁気が有する効果、および薬効を入浴者に対して及ぼすことができる。したがって、本実施の形態の入浴装置は、簡便な構成によって入浴者の血流量を上昇させることができる。
【0142】
また、本実施の形態の入浴装置は、その製造に必要とするコストを低減させることができる。
【0143】
〔実施の形態6〕
本発明の他の実施の形態について、図6に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態5と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態5の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0144】
本実施の形態の入浴装置は、収容部24内に薬効成分含有材25が設けられていない点が、実施の形態5とは異なっている。
【0145】
本実施の形態の入浴装置は、入浴者に対する磁気活水の効果および薬効は期待できないが、炭酸ガスナノバブルが有する効果、および交流磁気が有する効果を入浴者に対して及ぼすことができる。したがって、本実施の形態の入浴装置は、簡便な構成によって入浴者の血流量を上昇させることができる。
【0146】
〔実施の形態7〕
本発明の他の実施の形態について、図7に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態3と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態3の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0147】
本実施の形態の入浴装置では、磁気活水作製部33が設けられていない点が、実施の形態3とは異なっている。
【0148】
本実施の形態の入浴装置は、入浴者に対する磁気活水の効果および薬効は期待できないが、炭酸ガスナノバブルが有する効果、ラジウム鉱石が有する効果、および交流磁気が有する効果を入浴者に対して及ぼすことができる。したがって、本実施の形態の入浴装置は、簡便な構成によって入浴者の血流量を上昇させることができる。
【0149】
また、本実施の形態の入浴装置は、その製造に必要とするコストを低減させることができる。
【0150】
〔実施の形態8〕
本発明の他の実施の形態について、図8に基づいて説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0151】
本実施の形態の入浴装置は、収容部24内に薬効成分含有材25が設けられていない点、磁気活水作製部33が設けられていない点、および電磁石45が設けられていない点が、実施の形態1とは異なっている。
【0152】
本実施の形態の入浴装置は、入浴者に対する磁気活水の効果、薬効および交流磁気の効果は期待できないが、炭酸ガスナノバブルが有する効果を入浴者に対して及ぼすことができる。したがって、本実施の形態の入浴装置は、簡便な構成によって入浴者の血流量を上昇させることができる。
【実施例】
【0153】
〔1.処理装置の作製〕
図1に基づいて、入浴装置を作製した。当該入浴装置では、浴槽1の容量を0.2mとし、2.2kwの電動機からなる気液混合循環ポンプ4を用いた。より具体的には、気液混合循環ポンプ4、第1気体せん断部7、第2気体せん断部8、第3気体せん断部46、および電動ニードルバルブ17からなるナノバブル発生機(株式会社協和機設製のHYK型)を、ナノバブル発生部2として用いた。
【0154】
また、磁気活水作製部33としては、全長800mm、横幅160mm、縦幅310mmのものを用いた。なお、具体的に上記磁気活水作製部33としては、株式会社ビー・シー・オー製のBK型を用いた。
【0155】
また、前槽32、および収容部24としては、腐蝕の恐れのないプラスチック容器を成型して用いた。また、充填材29としては、TBR株式会社製のポリ塩化ビニリデン充填物であるバイオコード(登録商標)を用いた。
【0156】
本実施例の入浴装置によって作製される炭酸ガスバブルのサイズを、ベックマン・コールター株式会社に依頼して測定した。
図1に基づいて、入浴装置を製作した。当該入浴装置では、槽1として容量が約0.3mのものを用いるとともに、3.7kwの電動機からなる第1気液混合循環ポンプ3として株式会社協和機設製のHYK型を用いた。また、第1磁気活水作製部9として、全長800mm、横幅160mm、縦幅310mmのものを用いた。なお、具体的に上記第1磁気活水作製部9としては、株式会社ビー・シー・オー製のBK型を用いた。
【0157】
そして、上記槽1に水道水を250リットル投入して入用装置を12分運転し、作製されたナノバブルをベックマンコールター株式会社製の測定器にて測定した。その結果、0.1μmを中心として略正規分布するナノバブルを確認できた。また、磁気活性に由来する酸化還元電位をORR計HC型(東亜ディーケーケー株式会社製)で測定したところ、プラス400mvであった。
【0158】
【表1】

【0159】
表1に示すように、直径が0.10μmの炭酸ガスバブルを多く作製することができた。
【0160】
〔2.血流量に対する効果(1)〕
本実施例の入浴装置を用いて、様々なバブル径を有する炭酸ガスバブルを作製し、当該バブル含有水の血流量増加効果を測定した。
【0161】
なお、血流量としては、ナノバブル含有水またはマイクロバブル含有水を作用させる前の血流量(Q0)に対する、ナノバブル含有水またはマイクロバブル含有水を作用させた後の血流量(Q)の比、すなわち(Q/Q0)の数値を示した。また、血流量の測定には、オメガフロー社製のFLO型の測定器を用いた。
【0162】
【表2】

【0163】
表1に示すように、マイクロバブル含有水と比較して、ナノバブル含有水の方が血流量増加効果が高いことが明らかになった。
【0164】
〔3.血流量に対する効果(2)〕
本実施例の入浴装置を用いて、炭酸ガスナノバブル含有水および炭酸ガスナノバブル含有磁気活水を作製し、当該バブル含有水の血流量増加効果を測定した。
【0165】
なお、血流量としては、ナノバブル含有水または炭酸ガスナノバブル含有磁気活水を作用させる前の血流量(Q0)に対する、ナノバブル含有水または炭酸ガスナノバブル含有磁気活水を作用させた後の血流量(Q)の比、すなわち(Q/Q0)の数値を示した。また、血流量の測定には、オメガフロー社製のFLO型の測定器を用いた。
【0166】
【表3】

【0167】
表2に示すように、ナノバブル含有水と比較して、炭酸ガスナノバブル含有磁気活水の方が血流量増加効果が高いことが明らかになった。
【0168】
〔4.血糖値に対する効果〕
本実施例の入浴装置に継続的に入浴した後、食後1時間および2時間の血糖値の値を測定した。なお、対照としては、本実施例の入浴装置に継続的に入浴する前の、食後1時間および2時間の血糖値の値を用いた。なお、それぞれの場合について、3回ずつ血糖値の値を測定した。なお、血糖値の測定は、発明者(年齢58歳、身長170cm、体重61kg)自身の血糖値を測定した。また、血糖値の測定には、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製の自己検査用グルコース測定器であるアキュチェックコンフォート(登録商標)を用いた。
【0169】
【表4】

【0170】
表4に示すように、本実施例の入浴装置に継続的に入浴した場合の方が、血糖値の値が低いことが明らかになった。つまり、日によって異なるものの、本実施例の入浴装置に入浴した場合の血糖値は、入浴しない場合の血糖値の約78%〜90%にまで低下することが明らかになった。このことは、本実施例の入浴装置に継続的に入浴することによって、炭酸ガスナノバブル含有磁気活水の作用によって血流量が増加するとともに、血糖値が下がることを示唆している。
【0171】
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0172】
また、本願出願時に未公開である本願関連出願である特願2007−050639、特願2007−099912、特願2007−142645および特願2007−193172に記載の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【産業上の利用可能性】
【0173】
本発明は、各種入浴装置やその部品を製造する分野に利用することができる。更に詳細には、本発明は、健康維持や各種疾患の治療にもちいることができる各種入浴装置やその部品を製造する分野に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】本発明における入浴装置の実施の一形態を示す模式図である。
【図2】本発明における入浴装置の他の実施の一形態を示す模式図である。
【図3】本発明における入浴装置のさらに他の実施の一形態を示す模式図である。
【図4】本発明における入浴装置のさらに他の実施の一形態を示す模式図である。
【図5】本発明における入浴装置のさらに他の実施の一形態を示す模式図である。
【図6】本発明における入浴装置のさらに他の実施の一形態を示す模式図である。
【図7】本発明における入浴装置のさらに他の実施の一形態を示す模式図である。
【図8】本発明における入浴装置のさらに他の実施の一形態を示す模式図である。
【図9】上記入浴装置における磁気活水作製部33の断面図である。
【符号の説明】
【0175】
1 浴槽
2 ナノバブル発生部
3 浴槽部
4 気液混合循環ポンプ
6 吸入口
7 第1気体せん断部
8 第2気体せん断部
9・60 配管
10 吐出口(吐出手段)
12 底部
14 炭酸ガス
16 空気配管
17 電動ニードルバルブ
18・19 信号線
20 シーケンサー(制御手段)
21 濁度調節計
22 濁度計(計測手段)
23 炭酸ガス吐出部
24 収容部(収容手段)
25 薬効成分含有材
26 流入管(導入手段)
27 孔
28・40 フランジ
29 充填材
30・31 バルブ
32 前槽
33 磁気活水作製部
34 N極
35 S極
36 磁力線
37 水流
38 流路
39 入浴装置
41 性能向上部
42 ラジウム鉱石
43 第1極
44 第2極
45 電磁石
46 第3気体せん断部
50 面(第1面)
51 面(第2面)
65 排水口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が蓄えられた浴槽と、
前記液体を取り込むとともに、前記液体中に炭酸ガスを吐出して炭酸ガス含有水を作製する前槽と、
前記炭酸ガス含有水と気体とを混合およびせん断して、炭酸ガスマイクロバブル含有水を作製する第1気体せん断部と、
前記炭酸ガスマイクロバブル含有水を更にせん断して炭酸ガスナノバブル含有水を作製する第2気体せん断部と、
前記炭酸ガスナノバブル含有水を前記浴槽内に吐出する吐出手段と、を有することを特徴とする入浴装置。
【請求項2】
前記第1気体せん断部は、前記炭酸ガス含有水と気体との混合物を回転運動させるためのポンプを備えるものであることを特徴とする請求項1に記載の入浴装置。
【請求項3】
前記浴槽内の液体の濁度を計測する計測手段と、
前記計測手段の計測結果に基づいて、前記ポンプの回転数および前記第1気体せん断部に供給される前記気体の量の少なくとも一方を制御する制御手段と、を有することを特徴とする請求項2に記載の入浴装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記計測手段によって計測された濁度が1度よりも大きい場合には、前記ポンプの回転数を増加するものであることを特徴とする請求項3に記載の入浴装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記計測手段によって計測された濁度が1度よりも大きい場合には、前記第1気体せん断部に供給される気体の量を減少するものであることを特徴とする請求項3に記載の入浴装置。
【請求項6】
前記炭酸ガスは、前記前槽内に投入された炭酸ガス発泡剤によって、前記液体中に吐出されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の入浴装置。
【請求項7】
前記前槽の底部の形状は、当該底部から下方に向かって勾配を有するとともに、当該勾配が前記前槽の横断面における中央部に収束するものであることを特徴とする請求項6に記載の入浴装置。
【請求項8】
前記前槽内には、前記炭酸ガスを内部に取り込むための開口を前記底部の少なくとも中央部に対向するように配置された収容手段が備えられ、
前記収容手段の内部には、前記炭酸ガスが付着する充填材および薬効成分含有材の少なくとも一方が備えられていることを特徴とする請求項7に記載の入浴装置。
【請求項9】
前記収容手段の内部には、前記液体を前記前槽内に導入するための導入手段が備えられており、
前記薬効成分含有材、前記導入手段および前記充填材は、当該順番にて下から順に配置され、
前記導入手段は、前記薬効成分含有材に向かって前記液体を吐出するものであることを特徴とする請求項8に記載の入浴装置。
【請求項10】
前記充填材は、ポリ塩化ビニリデンからなることを特徴とする請求項8に記載の入浴装置。
【請求項11】
前記薬効成分含有材は、朝鮮人参、ショウブ、トウキ、カミツレ、アロエおよびハマゴウからなる群より選択される少なくとも1つの薬用植物であることを特徴とする請求項8に記載の入浴装置。
【請求項12】
前記浴槽には、交流磁気を発生させるための少なくとも1つの磁気発生手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の入浴装置。
【請求項13】
前記浴槽には、当該浴槽内に蓄えられた液体の水面の位置に、前記液体を前記浴槽から排出する排水口が設けられていることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の入浴装置。
【請求項14】
前記第2気体せん断部によって作製された炭酸ガスナノバブル含有水に磁場をかけて炭酸ガスナノバブル含有磁気活水を作製する活性化手段を有することを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の入浴装置。
【請求項15】
前記活性化手段は、前記炭酸ガスナノバブル含有水を通過させるための流路を有し、
前記流路は、磁石のS極として機能する第1面と磁石のN極として機能する第2面とが対向するように配置されていることを特徴とする請求項14に記載の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−60987(P2009−60987A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−229565(P2007−229565)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】