説明

全周画像計測装置

【課題】簡単な装置構成で全周画像を作成すると共に全周に位置する測定対象物の3次元データを計測可能な全周画像計測装置を提供する。
【解決手段】支持部1に水平に支持され、水平方向に回転可能に設けられた水平回転テーブル4と、水平回転テーブル4を定速で回転可能な水平回転駆動部3と、水平回転テーブル4に設けられたEDM装置11と撮像装置12とEDM装置11による測距と、撮像装置12による撮像とを同期制御する制御部13とを具備し、制御部13は水平回転駆動部3を制御して水平回転テーブル4を所定角度毎に回転させると共に撮像装置12を作動させ、所定回転角度毎の単画像を全周に亘って取得し、単画像を合成して全周画像を作成し、又、水平回転テーブル4を回転して所定回転角度毎にEDM装置からの測距光を走査して測距を行い、全周に亘る測距を行い、全周画像から測距点の水平角、鉛直角を演算し、測定点の3次元データを取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は360゜の全周画像を作成すると共に全周に位置する測定対象物の3次元データを計測する全周画像計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、全周画像を撮像するものとしては、全周カメラがある。全周カメラは、全周を撮像できる様に、6或はそれ以上のカメラ或は撮像ユニットを一体化したものである。又全周画像を撮像しつつ全周に存在する測定対象物の3次元データを計測する装置としては、撮像装置を具備したトータルステーションがある。
【0003】
前記全周カメラでは、6或はそれ以上のカメラ或は撮像ユニットを一体化した構成であるので、装置構成が複雑となると共に各カメラで撮像した画像の取込み、画像の合成の為、各カメラの同期制御が必要となる等、高価なものとなる。
【0004】
又、トータルステーションは、高精度の全周画像、3次元データを取得することができるが、非常に高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は斯かる実情に鑑み、簡単な装置構成で全周画像を作成すると共に全周に位置する測定対象物の3次元データを計測可能な全周画像計測装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、支持部に水平に支持され、水平方向に回転可能に設けられた水平回転テーブルと、該水平回転テーブルを定速で回転可能な水平回転駆動部と、前記水平回転テーブルに設けられたEDM装置と、撮像装置と、前記EDM装置による測距と、前記撮像装置による撮像とを同期制御する制御部とを具備し、該制御部は前記水平回転駆動部を制御して前記水平回転テーブルを所定角度毎に回転させると共に前記撮像装置を作動させ、所定回転角度毎の単画像を全周に亘って取得し、該単画像を合成して全周画像を作成し、又、前記水平回転テーブルを回転して所定回転角度毎に前記EDM装置からの測距光を走査して測距を行い、全周に亘る測距を行い、前記全周画像から測距点の水平角、鉛直角を演算し、測定点の3次元データを取得する全周画像計測装置に係るものである。
【0007】
又本発明は、前記EDM装置及び前記撮像装置は、傾動テーブルを介して前記水平回転テーブルに設けられ、前記傾動テーブルは、高低方向に所定角度傾斜可能であり、前記制御部は前記EDM装置、前記撮像装置が水平の状態、傾斜させた状態でそれぞれ前記水平回転テーブルを所定回転角毎に回転させ、前記撮像装置による単画像の取得、前記EDM装置による測距を行い、全周画像の作成、前記全周画像から測距点の水平角、鉛直角を演算し、測定点の3次元データを取得する全周画像計測装置に係るものである。
【0008】
又本発明は、前記制御部は、少なくとも2つの測定点の3次元データから該測定点を含む鉛直面又は水平面の特定を行う全周画像計測装置に係るものである。
【0009】
又本発明は、前記制御部は、前記EDM装置、前記撮像装置が水平の状態、傾斜させた状態で取得した少なくとも3つの測定点の3次元データから該測定点を含む面の特定を行う全周画像計測装置に係るものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、支持部に水平に支持され、水平方向に回転可能に設けられた水平回転テーブルと、該水平回転テーブルを定速で回転可能な水平回転駆動部と、前記水平回転テーブルに設けられたEDM装置と、撮像装置と、前記EDM装置による測距と、前記撮像装置による撮像とを同期制御する制御部とを具備し、該制御部は前記水平回転駆動部を制御して前記水平回転テーブルを所定角度毎に回転させると共に前記撮像装置を作動させ、所定回転角度毎の単画像を全周に亘って取得し、該単画像を合成して全周画像を作成し、又、前記水平回転テーブルを回転して所定回転角度毎に前記EDM装置からの測距光を走査して測距を行い、全周に亘る測距を行い、前記全周画像から測距点の水平角、鉛直角を演算し、測定点の3次元データを取得するので、鉛直角、水平角を検出する角度検出器がなくとも、測定点の3次元データの取得が可能であり、安価で簡便な構成とすることができる。
【0011】
又本発明によれば、前記EDM装置及び前記撮像装置は、傾動テーブルを介して前記水平回転テーブルに設けられ、前記傾動テーブルは、高低方向に所定角度傾斜可能であり、前記制御部は前記EDM装置、前記撮像装置が水平の状態、傾斜させた状態でそれぞれ前記水平回転テーブルを所定回転角毎に回転させ、前記撮像装置による単画像の取得、前記EDM装置による測距を行い、全周画像の作成、前記全周画像から測距点の水平角、鉛直角を演算し、測定点の3次元データを取得するので、平面の特定に必要な3点の3次元データが簡単な構成で容易に取得することができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明が実施される全周画像計測装置の全体斜視図である。
【図2】該全周画像計測装置の制御部の概略構成図である。
【図3】該全周画像計測装置の作動を示すフローチャートである。
【図4】(A)(B)は画像中から測定点を検出する場合の説明図である。
【図5】単画像を合成して全周画像を作成する場合の説明図である。
【図6】全周画像と測定点との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0014】
図1は、本発明が実施される全周画像計測装置10の概略を示しており、図中、1は支持部としての三脚を示し、該三脚1の上端には整準部2が設けられ、該整準部2には水平回転駆動部3を介して水平回転テーブル4が設けられている。該水平回転テーブル4は、鉛直方向に延びる水平回転軸心5を中心に全周回転可能となっている。
【0015】
前記水平回転駆動部3は、駆動源として水平回転モータ(図示せず)を具備し、該水平回転モータとしては回転量が制御可能な、例えばステッピングモータが用いられ、連続回転が可能となっていると共に所定角度単位で回転するので間欠駆動が可能となっている。
【0016】
前記水平回転テーブル4には傾動軸6を介して傾動テーブル7が傾動可能に設けられている。前記傾動軸6には傾動駆動部8が連結され、該傾動駆動部8は駆動源として傾動モータ(図示せず)を具備し、前記傾動駆動部8は水平に対して前記傾動テーブル7を一定角度Vだけ高低方向に回転させることができる様になっている。尚、前記傾動駆動部8による一定角度の回転はモータの回転量を電気的に制御してもよいし、或は前記傾動テーブル7の水平位置、及び一定角度傾斜させた位置で、それぞれ前記傾動テーブル7に当接するストッパを設け、機械的に回転を規制してもよい。
【0017】
前記傾動テーブル7にEDM(Electronic Distance Meter)装置11及び撮像装置12が設けられている。
【0018】
前記EDM装置11はノンプリズムタイプの光波距離計であり、例えば市販のハンディタイプの小型光波距離計を用いることができる。前記撮像装置12としては、1画像ずつ撮像するスチールカメラ、連続画像を撮像するビデオカメラのいずれでもよく、デジタル画像を取得できるものであればよい。
【0019】
前記撮像装置12は前記EDM装置11に積重ねられて設けられてもよく、或は前記傾動テーブル7に並列に設けられてもよい。いずれの場合も、前記EDM装置11と前記撮像装置12の光軸は平行であり、又両光軸の関係は既知となっている。
【0020】
前記水平回転テーブル4には制御部13が設けられ、該制御部13は前記整準部2、前記水平回転駆動部3、前記傾動駆動部8、前記EDM装置11、前記撮像装置12と電気的に接続され、これらの駆動、作動を制御する。
【0021】
図2は、前記制御部13のブロック図を示している。該制御部13は主に、制御演算部(CPU)15、記憶部16、同期制御部17、画像処理部18を具備し、前記記憶部16は更にプログラムを格納する第1記憶部16a、画像データ、測距データを格納する第2記憶部16bを有している。尚、前記第1記憶部16a、前記第2記憶部16bは個別なメモリであっても、或は1つのメモリをプログラム格納部と、データ格納部に区分してもよい。
【0022】
前記同期制御部17には前記EDM装置11、前記撮像装置12が接続され、該EDM装置11、撮像装置12は前記同期制御部17を介して前記制御演算部15に接続されている。又前記制御演算部15には操作部21、表示部22が接続されると共に前記整準部2、前記水平回転駆動部3、前記傾動駆動部8が接続されている。
【0023】
前記整準部2は前記水平回転テーブル4に設けられた傾斜センサ23を有し、該傾斜センサ23からの検出結果は前記整準部2に入力される様になっている。前記水平回転駆動部3或は水平回転テーブル4には、該水平回転テーブル4の回転についての基準位置を検出する基準位置検出センサ24が設けられており、前記水平回転テーブル4の基準位置(回転角0゜)を検出する様になっている。尚、前記基準位置検出センサ24としては、光学式のフォトインタラプタ、磁気式の近接センサ等、任意の検出センサを使用することが可能である。
【0024】
前記同期制御部17は、前記EDM装置11による測距、前記撮像装置12による撮像を制御し、測定点と撮像画像の対応付け(即ち、画像中での測定点の位置の特定)が可能となる様になっている。
【0025】
前記第1記憶部16aには、前記EDM装置11、前記撮像装置12、前記整準部2、前記水平回転駆動部3、前記傾動駆動部8を駆動制御する為の制御プログラム、前記撮像装置12で得られた画像データに対して所要の画像処理を行う画像処理プログラム、画像に基づき3次元データを測定する為の3次元データ演算プログラム等のプログラムが格納されている。
【0026】
前記第2記憶部16bには前記EDM装置11で得られた測距データを格納する測距データ格納部25、前記撮像装置12で撮像された画像データを格納する画像データ格納部26、前記画像データを処理して得られる合成画像データを格納する全周画像格納部27を有している。
【0027】
前記画像処理部18は、前記画像処理プログラムにより画像データを合成して周囲360゜の全周画像を作成し、作成した全周画像は前記全周画像格納部27に格納する。又、画像中の測定点を特定する為、測距している状態の画像と測距していない状態での画像との比較で測定点(測距光が照射されている点)を抽出し、測定点と画像との関連付けを行う。
【0028】
次に、図3、図4(A)、図4(B)を参照して本実施例の計測作動について説明する。尚、図3で示す計測は、室内に全周画像計測装置を設置して、室内に関する計測を行う場合を示している。
【0029】
室内の任意の位置に全周画像計測装置10を設置し、全周計測を開始する。
【0030】
先ず、整準が開始され、前記水平回転テーブル4が水平に設定される。尚、前記水平回転テーブル4の整準は、自動でなく、手動で行ってもよい(STEP:01)。
【0031】
整準が完了すると、整準が完了した位置を第1の位置として前記撮像装置12により第1画像が取得される(STEP:02)。取得された第1画像は前記画像データ格納部26に格納される。
【0032】
画像が取得されると、前記EDM装置11により第1画像内での測距が実行される(STEP:03)。尚、測距の開始は前記基準位置検出センサ24が0゜を検出している状態で開始されることが好ましい。尚、前記EDM装置11により測距されている状態では、前記撮像装置12による画像取得は行われない。
【0033】
前記EDM装置11の第1画像内での測距は、前記EDM装置11の所定時間間隔での測距と、前記水平回転駆動部3での前記水平回転テーブル4の定速回転とが同期されて実行される。測定範囲は、前記水平回転テーブル4が所定角度回転され、測距光は1画像の右端から左端迄、水平方向に走査される。即ち、1画像の水平方向の画角分だけ所定ピッチ間隔で測距が実行される。又、前記EDM装置11と前記撮像装置12の光軸は平行であり、前記EDM装置11の測距光の走査位置は、前記撮像装置12の画像中心から両光軸間の距離だけ上下方向にずれている。図示では、走査位置は画像の中心から光軸間の距離だけ下方にずれている。測距データは前記第1画像データに関連付けられて前記測距データ格納部25に格納される。
【0034】
次に、測定が開始されて最初に撮像された画像については、画像と測定点の関係を特定する工程が実行される(STEP:04〜STEP:06、図4(A),(B)参照)。
【0035】
この工程では、測距光を照射している状態で、或は前記EDM装置11から可視光のポイント光29が照射されている状態で、前記撮像装置12により静止画像を取得し(図4(A))、次にポイント光29を消灯し、静止画像を取得し、ポイント光29が照射されている画像と、消灯している画像との差を求めることで背景画像が消去され、ポイント光29が抽出される(STEP:05)。
【0036】
ポイント光29が抽出されると、ポイント光29の重心位置が演算により検出される。この重心位置がポイント光(測距光)の照射位置であり、重心位置を検出することで、画像と測定点の関係を特定できる(STEP:06)。特定された結果は、前記測距データ格納部25又は前記画像データ格納部26に格納される。
【0037】
前記水平回転テーブル4が所定回転すると、前記EDM装置11による1画像分のスキャンが完了する(STEP:07)。前記水平回転テーブル4の所定角度回転は、前記水平回転駆動部3を所定回転角毎に間欠駆動する様予め設定しておいてもよく、或は、等角度毎にセンサを設け所定角度水平回転テーブル4が回転したことを検出し、或は固定側にセンサを1つ設け、前記水平回転テーブル4側に等角度毎にセンサを動作させるセンサ作動片(センサがフォトセンサであれば、作動片は光路遮断片)を設けて、前記水平回転テーブル4の等角度回転を検出する(STEP:08)。
【0038】
尚、前記水平回転テーブル4の所定角度回転は、1回転(360゜)を整数nで分割した値であり、又、前記撮像装置12が持つ水平方向の画角より小さく、所定量の重なりが得られる角度とする(後述する様に画像合成に必要なオーバラップ量が得られる量)。
【0039】
前記EDM装置11が1画像分について走査が完了すると、即ち前記水平回転テーブル4が所定角度回転すると、前記基準位置検出センサ24が前記水平回転テーブル4の1回転を検出したかどうかが確認され(STEP:09)、1回転していない場合は、前記水平回転テーブル4が所定角度回転(STEP:10)され、第2の位置に停止される。第2の位置で前記撮像装置12により第2画像が撮像される(STEP:02)。次に、第2画像の範囲で、前記EDM装置11による水平方向の走査が実行され、測距データが取得される。第2画像、第2画像に関する測距データはそれぞれ関連付けられて、前記測距データ格納部25、或は前記画像データ格納部26に格納される。
【0040】
更に、所定角度回転され、画像の取得と、取得された画像についての測距走査が、繰返し実行され、角度位置の変更回数がnに達すると、前記基準位置検出センサ24によって360゜回転されたことが確認される。
【0041】
前記水平回転テーブル4の1回転が確認されると、前記傾動駆動部8が駆動され、前記傾動テーブル7が所定角度(V)傾斜される。この傾斜は、測定が完了する迄維持される(STEP:11)。
【0042】
前記傾動テーブル7が傾斜した状態で、前記水平回転テーブル4の第1の位置で前記撮像装置12による第1画像が取得され(STEP:12)、次に前記水平回転テーブル4が所定角度回転される。該水平回転テーブル4を介して前記EDM装置11が傾斜した状態で水平方向に所定角度回転され、前記第1画像の範囲で前記EDM装置11による水平に走査が行われ、測距データが取得される。画像データ、測距データは、それぞれ関係付けられ、更に前記EDM装置11、前記撮像装置12が傾斜した状態で取得されたことの情報と共に、前記測距データ格納部25、前記画像データ格納部26に格納される(STEP:13)。
【0043】
前記EDM装置11の走査が完了(STEP:14)すると、前記水平回転テーブル4が所定角度回転され、第2の位置に停止され、第2の位置で前記撮像装置12による画像が取得され、更に第2画像について前記EDM装置11の測距、走査が実行される。更に、画像の取得、測距走査が停止位置、各画像について実行される。
【0044】
更に、前記水平回転テーブル4の2回目の全周回転(360゜)が前記基準位置検出センサ24によって検出されると、画像データの取得、測距データの取得が完了し(STEP:15〜STEP:17)、画像処理、更に測定点の3次元データ(3次元座標)の演算が開始される。
【0045】
図5(A)、図5(B)は、前記水平回転テーブル4の各回転位置で撮像した画像を用いて全周のパノラマ画像を合成する様子を示している。図示では、前記水平回転テーブル4は全周を5等分した角度Hだけ回転する様に設定されている。即ち、5の前記水平回転テーブル4の回転位置でそれぞれ画像が取得され、更に各画像について測距走査が実行された場合を示している。尚、以下の説明では、前記傾動テーブル7を傾斜させた場合については、同様の処理であるので説明を省略している。
【0046】
前記水平回転テーブル4の5の回転位置で、それぞれ第1画像31a〜第5画像31e迄取得され、これらの画像は前記画像データ格納部26に格納されている。
【0047】
又、取得された画像31の水平方向の画角は、前記水平回転角Hより大きくなっており、パノラマ画像を作成する場合は、隣接する画像の左右両端部32m,32nでオーバラップする様になっている。
【0048】
隣接する画像を合成する場合は、オーバラップする左右両端部32m,32nに於いて、画像マッチングを行う。尚、画像マッチングの手法としては、SSDA法(Sequential similarity detection algorithm:テンプレートとマッチングウィンドウとの濃淡値の残差を求め、残差が最小となる位置を求める)、正規化相互相関法(Cross correlation:テンプレートとマッチングウィンドウとの相関値を算出して対応点を検索する)、最小二乗マッチング法(Least squares matching:アフィン変換を用いてマッチングウィンドウの形状も未知パラメータとして設定し、テンプレートに対するマッチングウィンドウの位置及び形状を求める)等が挙げられる。
【0049】
隣接する画像の前記左右両端部32m,32n部分で画像マッチングを行うことで、左右の単画像が連続した合成画像となり、第1画像31a〜第5画像31e迄順次画像マッチングで構成することで、画角が360°の全周画像が合成できる(STEP:18)。
【0050】
前記撮像装置12によって全周画像を取得することから、又前記基準位置検出センサ24によって、基準位置及び全周回転を検出することができることから、展開したパノラマ画像から水平方向の角度(水平角)、例えば図5(B)は前記第1画像31a〜第5画像31eを合成したパノラマ画像33であるが、該パノラマ画像33の両端は中央を基準位置水平角0°とすると、両端の水平角は±180゜であり、両端間を360分割すると1分割は水平角1゜となる。従って、全周画像を取得することで、室内の全ての方向を画像から測定することができる。
【0051】
図6は、パノラマ画像33と測定点34の関係を示している。
【0052】
該測定点34は水平面上に位置し、点の軌跡としては画像上に水平線として現れる。又、前記水平回転テーブル4が基準位置(水平角0゜)の時を前記測定点34の始点とすると、前記EDM装置11の測距光の照射を等時間間隔とし、前記水平回転テーブル4の回転速度を定速度(既知の回転速度)とすれば、測距光の発光時間間隔と前記水平回転テーブル4の回転速度で測定点間の水平角度ピッチが演算できる。尚、測定点34の始点、或は画像の始点の判断は、測定開始時に抽出したレーザポインタに基づき行ってもよいし、或は画像を合成する過程で、画像上から判断してもよい。
【0053】
更に、前記測定点34の距離が測定されることで、測定点34の2次元座標が演算できる。更に又、室内は殆どが鉛直面と水平面とで構成されていることを考慮し、面が鉛直であることを条件として面内の2点の座標が分ることで面を特定でき(面を示す式が演算でき)、画像上で任意の位置を特定すると、画像上で水平角、高低角が求められ、高低角と水平角と面を示す式とで面内の任意の位置の3次元座標を演算することができる(STEP:19)。又、隣接する面と面とは両面についてそれぞれ求めた面を表す式から交線(角の位置)を演算により求めることができる。
【0054】
次に、STEP:11〜STEP:17の測定を実行することで、STEP:02〜STEP:10で測定した水平線に対して高低角の方向で水平方向に走査した測定点の測距データが得られる。
【0055】
従って、平面に対して3以上の異なった点での3次元座標が得られ、平面が傾斜している場合でも、面の特定(面を表す演算式の決定)をすることができる。従って、前記傾動テーブル7を傾斜させることで、前記EDM装置11を傾斜させ、更に該EDM装置11を一周させて高低角の異なる位置での全周の測距データを取得することで、室内の全ての平面を特定することができる。従って、画像上で指定した任意の点の3次元座標を求めることができる。
【0056】
尚、上記測定で直接得られる3次元座標は、前記EDM装置11の回転中心を原点とする極座標であるが、水平角H、鉛直角Vはそれぞれパノラマ画像33上から算出できるので、直交座標への変換は、X=rsinV・cosH、Y=rsinV・sinH、Z=rcosV(ここで、rは測定点迄の距離)で変換でき、求められた測定結果に基づき室内の平面図を作成することができる(STEP:20)。
【0057】
上記した様に、本実施例では水平角を検出する為のエンコーダ等の高価な角度検出が不要であり、又、市販の光波距離計、デジタルカメラを用いて容易に構成できるので、安価な構成とすることができる。
【0058】
尚、上記実施例では、前記EDM装置11、前記撮像装置12が前記傾動テーブル7に設けられ、一体に傾斜する様に構成されたが、室内計測の様に、測定対象物が垂直面と水平面のみで構成されている場合は、前記EDM装置11、前記撮像装置12は前記水平回転テーブル4に直接設置してもよい。
【0059】
又、前記水平回転テーブル4を水平に対して90°回転できる様にしてもよい。この場合、前記水平回転テーブル4は水平軸心を中心に回転し、前記EDM装置11、前記撮像装置12も水平軸心を中心に回転するので、床、天井についても画像の取得、測距が行え、床、天井についての全周画像計測が可能となる。尚、この場合、床、天井について2つの測定点の3次元座標が得られれば、水平面の特定が可能となる。
【符号の説明】
【0060】
1 三脚
2 整準部
3 水平回転駆動部
4 水平回転テーブル
5 水平回転軸心
6 傾動軸
7 傾動テーブル
8 傾動駆動部
10 全周画像計測装置
11 EDM装置
12 撮像装置
13 制御部
15 制御演算部
16 記憶部
17 同期制御部
18 画像処理部
21 操作部
22 表示部
23 傾斜センサ
24 基準位置検出センサ
25 測距データ格納部
26 画像データ格納部
27 全周画像格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部に水平に支持され、水平方向に回転可能に設けられた水平回転テーブルと、該水平回転テーブルを定速で回転可能な水平回転駆動部と、前記水平回転テーブルに設けられたEDM装置と、撮像装置と、前記EDM装置による測距と、前記撮像装置による撮像とを同期制御する制御部とを具備し、該制御部は前記水平回転駆動部を制御して前記水平回転テーブルを所定角度毎に回転させると共に前記撮像装置を作動させ、所定回転角度毎の単画像を全周に亘って取得し、該単画像を合成して全周画像を作成し、又、前記水平回転テーブルを回転して所定回転角度毎に前記EDM装置からの測距光を走査して測距を行い、全周に亘る測距を行い、前記全周画像から測距点の水平角、鉛直角を演算し、測定点の3次元データを取得することを特徴とする全周画像計測装置。
【請求項2】
前記EDM装置及び前記撮像装置は、傾動テーブルを介して前記水平回転テーブルに設けられ、前記傾動テーブルは、高低方向に所定角度傾斜可能であり、前記制御部は前記EDM装置、前記撮像装置が水平の状態、傾斜させた状態でそれぞれ前記水平回転テーブルを所定回転角毎に回転させ、前記撮像装置による単画像の取得、前記EDM装置による測距を行い、全周画像の作成、前記全周画像から測距点の水平角、鉛直角を演算し、測定点の3次元データを取得する請求項1の全周画像計測装置。
【請求項3】
前記制御部は、少なくとも2つの測定点の3次元データから該測定点を含む鉛直面又は水平面の特定を行う請求項1又は請求項2の全周画像計測装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記EDM装置、前記撮像装置が水平の状態、傾斜させた状態で取得した少なくとも3つの測定点の3次元データから該測定点を含む面の特定を行う請求項2の全周画像計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−173114(P2012−173114A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34948(P2011−34948)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)