説明

全身性炎症反応症候群の診断および/または予後診断のための方法および組成物

本発明は被験体における、症状に基づく鑑別診断、予後診断、および治療計画の決定のための方法および組成物に関する。特に本発明はSIRSを確定もしくは除外する、または、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、および/もしくはMODSを互いに、そして/もしくは非感染性SIRSと識別するために選択される方法および組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は以下についての35U.S.C.119(e)に基づく優先権を主張する:米国特許出願第60/723,194号(2005年10月3日出願)、第60/736,992号(2005年11月14日出願)、第60/763,830号(2006年1月31日出願)、第60/801,485号(2006年5月17日出願)、第60/831,604号(2006年7月17日出願)(それぞれ全ての図面および表を含むその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0002】
発明の属する分野
本発明は敗血症に関連する診断マーカーの同定および使用に関する。種々の観点において、本発明はSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、および/または多臓器不全症候群に罹患した被験体への治療経路の割り当てに使用するための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
本発明の背景に関する以下の記載は、単に読者による本発明の理解を容易にするために提供するものであり、本発明の従前の技術を記載または構成することを認めるものではない。
【0004】
“敗血症”という用語は、感染を伴う炎症の全身症状に関連する種々の臨床状態を表現するために使用されてきた。感染以外の病因に続発する炎症反応との臨床的類似性により、敗血症の同定は特に困難な診断課題となっている。近年、American College of Chest PhysiciansおよびAmerican Society of Critical Care Medicine(Boneら,Chest 101:1644-53,1992)により、“全身性炎症反応症候群”(または“SIRS”)(一般に感染性または非感染性侵襲に対する重度の全身性反応をいう)、並びに、関連する症候群“敗血症”、“重症敗血症”、および“敗血症性ショック”、更には多臓器不全症候群(“MODS”)についての定義がなされた。これらの定義について以下に記載するが、これらの語句のそれぞれを本出願の目的に適用する。
【0005】
“SIRS”とは以下の2つまたはそれ以上を示す症状をいう:
体温>38℃または<36℃;
心拍数>90/分(頻脈);
呼吸数>20/分(頻呼吸)またはPaCO2<4.3kPa;および
白血球数>12,000/mm、<4,000/mm、または幼弱(桿状核)型が>10%。
【0006】
“敗血症”とは、臨床的に顕著な、または微生物学的に確認された感染を更に伴うSIRSをいう。この感染は細菌、真菌、寄生虫、またはウィルスによるものであってもよい。
【0007】
“重症敗血症”とは、少なくとも1つの臓器不全の兆候(例えば低酸素血症、乏尿症、代謝性アシドーシス、または大脳機能異常)によって明らかである臓器低灌流を更に伴う敗血症をいう。
【0008】
“敗血症性ショック”とは、収縮期血圧<90mmHgまたは血圧保持のための薬剤介入の必要性によって明らかである低血圧を更に伴う“重症敗血症”をいう。
【0009】
MODS(多臓器不全症候群)は、急性疾患を有し、治療介入がなければホメオスタシスを保持できない患者における臓器機能異常の存在である。原発性MODSは明確な傷害の直接的な結果であり、臓器不全が早期に起こり傷害そのものに直接起因しうる。続発性MODSは宿主反応の結果として発症し、SIRSとの関連で同定される。
【0010】
SIRSの診断をもたらす全身性炎症反応は感染および多くの非感染性病因(例えば熱傷、膵炎、外傷、熱中症、および腫瘍)に関係しうる。概念的には敗血症と非敗血症性SIRSを識別することは比較的容易でありうるが、これらの関連症状を明確に識別するための診断法は報告されていない。例えば、LlewelynおよびCohen,Int.Care Med.27:S10-S32,2001参照。例えば、敗血症の症例の90%以上は細菌感染を伴うので、感染を確認するための“ゴールデン・スタンダード”は血液、尿、胸膜液、脳脊髄液、腹水、滑液、唾液、または他の組織標本からの微生物の増殖であった。しかしながらそれらの培養では、明確な敗血症の臨床所見を示す患者の50%以上で確認ができなかったことが報告されている例えばJaimesら,Int. Care Med 29:1368-71(2003年6月26日電子公開)。
【0011】
敗血症において炎症の全身症状を引き起こす生理反応は未だ解明されていない。免疫細胞の活性化はグラム陰性菌のLPS内毒素およびグラム陽性菌の外毒素に応答して起こる。この活性化により、炎症性サイトカイン、接着分子、血管作動メディエーター、および活性酸素種が介在する一連の事象が誘発される。肝臓、肺、心臓、および腎臓を含む種々の臓器は直接的または間接的にこのカスケードの影響を受ける。敗血症は播種性血管内凝固(“DIC”)とも関係しており、これにはサイトカインによる凝固の活性化が介在すると考えられる。体液および電解質の平衡もまた、毛細管灌流の上昇および組織の酸素化の低下の影響を受ける。未確認ではあるが、制御されない炎症反応の発生は虚血、臓器機能の喪失、および死亡を引き起こしうる。
【0012】
抗生物質および支持療法が可能であるにも関わらず、敗血症は死亡症例の重大な原因となっている。最近の研究における推定では、米国において毎年751,000症例の重症敗血症が発生しており、その死亡率は30-50%である。Angusら,Crit.Care Med.29:1303-10,2001。近年、“Surviving Sepsis Campaign”と称する医療グループの組織が重症敗血症および敗血症性ショックに罹患した患者の管理に関するガイドラインを発行した。Dellingerら,Crit. Care Med. 32:858-873,2004。これらのガイドラインはRiversらによって開発された“Early Goal Directed Therapy”療法などを基盤とするものである。例えばNew Engl. J. Med.345:1368-77,2001参照。
【0013】
敗血症の診断および予後診断を目的としたいくつかの実験室試験が、被験体の完全な臨床検査との併用で研究または提案されてきた。例えば以下参照:米国特許第5,639,617号および第6,303,321号;公開特許US2005/0196817、WO2005/048823、WO2004/046181、WO2004/043236、US2005/0164238;およびCharpentierら,Crit. Care Med. 32:660-65,2004;Castilloら,Int. J. Infect. Dis. 8:271-74,2004;ChuaおよびKang-Hoe,Crit. Care 8:R248-R250, 2004;Witthautら,Int. Care Med. 29:1696-1702,2003;JonesおよびKline,Ann. Int. Med. 42:714-15,2003;Maederら,Swiss Med. WkIy,133:515-18,2003;Giamarellos-Bourboulisら,Intensive Care Med. 28:1351-56,2002;Harbarthら,Am. J. Respir. Crit. Care Med. 164:396-402,2001;Martinら,Pediatrics 108:(4)e61 1-6,2001;およびBossinkら,Chest 113:1533-41,1998。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の概要
本発明は敗血症の検出マーカーの同定および使用、敗血症と他のSIRSの原因との鑑別、および敗血症患者におけるリスクの層別化に関する。本発明の方法および組成物を使用して患者の治療、並びに更なる診断および/または予後診断の指標および治療法の開発を促進することができる。
【0015】
種々の観点において、本発明は以下に関する:被験体の治療を行うために使用しうるマーカーを同定するための物質および方法;患者の治療および/または治療計画の経過のモニタリングへのそれらマーカーの使用;SIRSに関係する1つまたはそれ以上の有害転帰のリスクを有する被験体の同定におけるそれらマーカーの使用;およびそれらの症状の治療または予防において有用でありうる化合物および医薬組成物のスクリーニング。
【0016】
第1の観点において、本発明はSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、および/もしくはMODSに罹患した被験体の同定、並びに/またはこれらの症状の鑑別のための診断方法に関する。これらの方法は、被験体から得た試験サンプル(単数または複数)を以下から成る群から選択される1つまたはそれ以上のマーカーの存在または量を分析することを含む:アジポネクチン、アドレノメジュリン、アンジオテンシノーゲン、アポリポタンパク質C1、bigエンドセリン-1、BNP79-108、BNP、BNP3-108、補体C3a、カルシトニン、カスペース-3、CCL19、CCL20、CCL23、CCL26、CCL4、CCL5、CCL8、クレアチンキナーゼ・BB、C-反応性タンパク質、CXCL5、CXCL9、CXCL13、CXCL16、CXCL6、シスタチンC、D-ダイマー、sDR6、グルタチオン-S-トランスフェラーゼA、HMG-1、腸型脂肪酸結合タンパク質、肝臓型脂肪酸結合タンパク質、IGFBP-1、IL-10、IL-1β、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1RA)、IL-22、IL-2sRa、IL-6、IL-8、MCP-1、マクロファージ遊走阻止因子、マトリクスメタロプロテイナーゼ9、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、NGAL、PAI-1、プラセンタ成長因子、プロテインC(活性型)、プロテインC(潜在型)、プロテインC(総)、肺サーファクタント・プロテインA、肺サーファクタント・プロテインB、肺サーファクタント・プロテインD、PTEN、RAGE、sICAM1、スフィンゴシンキナーゼI、組織因子、TNF-α、TNF-R1a、TNF-sR14、sTNFRSF3、sTNFRSF7、sTNFRSF11A、TREM-1、TREM-1sv、UCRP、uPAR、およびVCAM-1、またはそれらに関連するマーカー。“関連するマーカー”という用語の定義については後述する。好ましいパネルは少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、更に好ましくは少なくとも4つ、更により好ましくは少なくとも5つ、そして最も好ましくは少なくとも6つまたはそれ以上の上記マーカーを含有する。これらのマーカーのうちの1つまたはそれ以上と併用してもよい他のマーカーは以下、特に実施例において記載する。それら他のマーカーは好ましくは血圧調節関連マーカー、凝固および止血関連マーカー、並びに/または炎症関連マーカーから成る群から選択される。アッセイ結果の形態としての分析結果をSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、および/もしくはMODSの存在もしくは非存在と相関させ、そして/または、1つもしくはそれ以上のこれらの症状間での鑑別を行ってもよい。
【0017】
関連する観点では、本発明は被験体の予後診断を行う方法に関する。これらの方法も同様に、被験体から得た試験サンプル(単数または複数)を以下から成る群から選択される1つまたはそれ以上のマーカーの存在または量に関して分析することを含む:アジポネクチン、アドレノメジュリン、アンジオテンシノーゲン、アポリポタンパク質C1、bigエンドセリン-1、BNP79-108、BNP、BNP3-108、補体C3a、カルシトニン、カスペース-3、CCL19、CCL20、CCL23、CCL26、CCL4、CCL5、CCL8、クレアチンキナーゼ・BB、C-反応性タンパク質、CXCL5、CXCL9、CXCL13、CXCL16、CXCL6、シスタチンC、D-ダイマー、sDR6、グルタチオン-S-トランスフェラーゼA、HMG-1、腸型脂肪酸結合タンパク質、肝臓型脂肪酸結合タンパク質、IGFBP-11、IL-10、IL-1β、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1RA)、IL-22、IL-2sRa、IL-6、IL-8、MCP-1、マクロファージ遊走阻止因子、マトリクスメタロプロテイナーゼ9、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、NGAL、PAI-1、プラセンタ成長因子、プロテインC(活性型)、プロテインC(潜在型)、プロテインC(総)、肺サーファクタント・プロテインA、肺サーファクタント・プロテインB、肺サーファクタント・プロテインD、PTEN、RAGE、sICAM1、スフィンゴシンキナーゼI、組織因子、TNF-α、TNF-R1a、TNF-sR14、sTNFRSF3、sTNFRSF7、sTNFRSF11A、TREM-1、TREM-1sv、UCRP、uPAR、およびVCAM-1、またはそれらに関連するマーカー。好ましいパネルは少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、更に好ましくは少なくとも4つ、更により好ましくは少なくとも5つ、そして最も好ましくは少なくとも6つまたはそれ以上の上記マーカーを含有する。これらのマーカーのうちの1つまたはそれ以上と併用してもよい他のマーカーは以下、特に実施例において記載する。それら他のマーカーは好ましくは、血圧調節関連マーカー、凝固および止血関連マーカー、アポトーシス関連マーカー、並びに/または炎症関連マーカーから成る群から選択される。アッセイ結果の形態としての分析結果を将来の転帰(ポジティブ(例えば被験体が生存する)またはネガティブ(例えば被験体の死亡リスクが高い)のいずれか)の可能性と相関させる。
【0018】
これら2つの関連する観点において好ましい方法は、アジポネクチン、アドレノメジュリン、アンジオテンシノーゲン、アポリポタンパク質C1、bigエンドセリン-1、BNP79-108、BNP、BNP3-108、補体C3a、カルシトニン、カスペース-3、CCL19、CCL20、CCL23、CCL26、CCL4、CCL5、CCL8、クレアチンキナーゼ・BB、C-反応性タンパク質、CXCL5、CXCL9、CXCL13、CXCL16、CXCL6、シスタチンC、D-ダイマー、sDR6、グルタチオン-S-トランスフェラーゼA、HMG-1、腸型脂肪酸結合タンパク質、肝臓型脂肪酸結合タンパク質、IGFBP-1、IL-10、IL-1β、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1RA)、IL-22、IL-2sRa、IL-6、IL-8、MCP-1、マクロファージ遊走阻止因子、マトリクスメタロプロテイナーゼ9、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、NGAL、PAI-1、プラセンタ成長因子、プロテインC(活性型)、プロテインC(潜在型)、プロテインC(総)、肺サーファクタント・プロテインA、肺サーファクタント・プロテインB、肺サーファクタント・プロテインD、PTEN、RAGE、sICAM1、スフィンゴシンキナーゼI、組織因子、TNF-α、TNF-R1a、TNF-sR14、sTNFRSF3、sTNFRSF7、sTNFRSF11A、TREM-1、TREM-1sv、UCRP、uPAR、VCAM-1のうちの1つまたはそれ以上を検出するように構築した1つまたはそれ以上のアッセイを実施することを含む。好ましいパネルは少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、更に好ましくは少なくとも4つ、更により好ましくは少なくとも5つ、そして最も好ましくは少なくとも6つまたはそれ以上の上記マーカーを含有する。上記のように、これらのアッセイうちの1つまたはそれ以上と併用してもよい。1つまたはそれ以上の他のマーカーを検出するように構築したアッセイについては以下、特に実施例において記載する。それら他のマーカーは好ましくは、血圧調節関連マーカー、凝固および止血関連マーカー、アポトーシス関連マーカー、並びに/または炎症関連マーカーから成る群から選択される。
【0019】
ある態様では、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、もしくはそれ以上または個別のマーカーを含む複数のマーカーをマーカー・パネルに合一してもよい。それらのパネルは以下:アジポネクチン、アドレノメジュリン、アンジオテンシノーゲン、アポリポタンパク質C1、bigエンドセリン-1、BNP79-108、BNP、BNP3-108、補体C3a、カルシトニン、カスペース-3、CCL19、CCL20、CCL23、CCL26、CCL4、CCL5、CCL8、クレアチンキナーゼ・BB、C-反応性タンパク質、CXCL5、CXCL9、CXCL13、CXCL16、CXCL6、シスタチンC、D-ダイマー、sDR6、グルタチオン-S-トランスフェラーゼA、HMG-1、腸型脂肪酸結合タンパク質、肝臓型脂肪酸結合タンパク質、IGFBP-1、IL-10、IL-1β、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1RA)、IL-22、IL-2sRa、IL-6、IL-8、MCP-1、マクロファージ遊走阻止因子、マトリクスメタロプロテイナーゼ9、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、NGAL、PAI-1、プラセンタ成長因子、プロテインC(活性型)、プロテインC(潜在型)、プロテインC(総)、肺サーファクタント・プロテインA、肺サーファクタント・プロテインB、肺サーファクタント・プロテインD、PTEN、RAGE、sICAM1、スフィンゴシンキナーゼI、組織因子、TNF-α、TNF-R1a、TNF-sR14、sTNFRSF3、sTNFRSF7、sTNFRSF11A、TREM-1、TREM-1sv、UCRP、uPAR、およびVCAM-1、またはそれらに関連するマーカーから成る群から選択されるマーカーのみから構成されてもよいが、更なるマーカーがそれらのパネルに含有されてもよい。更なるマーカーの例は後に詳述する。
【0020】
好ましいパネルは以下のマーカーのうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、更に好ましくは少なくとも4つ、更により好ましくは少なくとも5つ、そして最も好ましくは少なくとも6つまたはそれ以上を測定することを含む:BNP、NT-プロBNP、CCL19、CXCL5、CXCL9、シスタチンC、D-ダイマー、L-FABP、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、NGAL、sTNFRSF3、sTNFRSF7、sTNFRSF11A、活性型プロテインC、潜在型プロテインC、総プロテインC、およびUCRP、またはそれらに関連するマーカー。また、好ましい方法は以下のマーカーのうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、更に好ましくは少なくとも4つ、更により好ましくは少なくとも5つ、そして最も好ましくは少なくとも6つまたはそれ以上を検出するために構築したアッセイを実施することを含む: BNP、NT-プロBNP、CCL19、CXCL5、CXCL9、シスタチンC、D-ダイマー、L-FABP、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、NGAL、sTNFRSF3、sTNFRSF7、sTNFRSF11A、活性型プロテインC、潜在型プロテインC、総プロテインC、およびUCRP。このリストに無い他のマーカーをそれらのパネルに含有させてもよい。必要によりそれらの好ましいパネルに含有させる更なるマーカーの例は、後に詳述する。
【0021】
別の好ましい方法は複数のマーカーを検出する1つまたはそれ以上の免疫アッセイを実施することを含み、検出される該複数のマーカーの少なくとも2つは以下から成る群から選択される:NT-プロBNP、プロBNP、BNP79-108、BNP、BNP3-108、CCL19、CCL23、CRP、シスタチンC、D-ダイマー、IL-1ra、IL-2sRa、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、NGAL、リンホトキシンB受容体、ペプチドグリカン認識タンパク質、プロカルシトニン、プロカルボキシペプチダーゼB、活性型プロテインC、潜在型プロテインC、総プロテインC、およびsTNFR1a。ある態様では、アッセイ法はこの項の上記のもの以外の更なるマーカーの1つまたはそれ以上を検出する1つまたはそれ以上の更なる免疫アッセイを実施することを更に含む。免疫アッセイ結果ではない1つまたはそれ以上の変数を、これらのマーカーのうちの1つまたはそれ以上と共に使用してもよい。免疫アッセイ結果ではない変数は心拍数、体温、呼吸数、白血球数、血中ガス濃度、静脈血pH、血中乳酸濃度、腎機能、電解質濃度、血圧、肺動脈楔入圧、または血液培養結果のうちの1つまたはそれ以上を含む。
【0022】
更に別の好ましい方法は、以下から成る群から選択されるマーカーを検出する免疫アッセイを少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、更に好ましくは少なくとも4つ、更により好ましくは少なくとも5つ実施することを含む: NT-プロBNP、プロBNP、BNP79-108、BNP、BNP3-108、CCL23、CRP、D-ダイマー、IL-1ra、NGAL、ペプチドグリカン認識タンパク質、活性型プロテインC、潜在型プロテインC、総プロテインC、およびsTNFRia。
【0023】
更に別の好ましい方法は、BNP、プロBNP、NT-プロBNP、またはBNP3-108のうちの1つまたはそれ以上を検出する免疫アッセイ、活性型プロテインC、潜在型プロテインC、総プロテインCのうちの1つまたはそれ以上を検出する免疫アッセイ、およびCCL23、CRP、D-ダイマー、IL-1ra、NGAL、ペプチドグリカン認識タンパク質、およびsTNFR1aから成る群から選択されるマーカーを検出する少なくとも1つの免疫アッセイを実施することを含む。
【0024】
別の好ましい方法は、BNP、プロBNP、NT-プロBNP、またはBNP3-108のうちの1つまたはそれ以上を検出する免疫アッセイ、C-反応性プロテイン、D-ダイマー、およびIL-1raから成る群から選択されるマーカーを検出する少なくとも1つの免疫アッセイ、並びにCCL23、ペプチドグリカン認識タンパク質、およびsTNFR1aから成る群から選択されるマーカーを検出する少なくとも1つの免疫アッセイを実施することを含む。
【0025】
更に別の好ましい方法は、ペプチドグリカン認識タンパク質を検出する免疫アッセイおよびsTNFR1aを検出する免疫アッセイを実施することを含む。
【0026】
別の観点では、本発明はSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、および/またはMODSに罹患した被験体を同定する診断法に関する。これらの方法は、LIGHT、CCL16、およびMMP7から成る群から選択されるマーカーまたはそれらに関連するマーカーのうちの1つまたはそれ以上の存在または量について、被験体から得た試験サンプル(単数または複数)を分析することを含む。”関連するマーカー”という用語の定義については後述する。アッセイ結果の形態としての分析結果をSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、および/もしくはMODSの存在もしくは非存在に相関させ、そして/または、これらの症状のうちの1つもしくはそれ以上の間で鑑別を行ってもよい。好ましいアッセイはLIGHT、CCL16、および/またはMMP7を検出するように構築する。
【0027】
関連する観点では、本発明はSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、および/またはMODSに罹患した被験体の予後診断を行う方法に関する。これらの方法はLIGHT、CCL16、およびMMP7、またはそれらに関連するマーカーから成る群から選択されるマーカーのうちの1つまたはそれ以上の存在または量について、被験体から得た試験サンプル(単数または複数)を分析することを含む。アッセイ結果の形態としての分析結果を将来の転帰(ポジティブ(例えば被験体が生存する)またはネガティブ(例えば被験体の死亡リスクが高い)のいずれか)の可能性と相関させる。
【0028】
更なる観点では、被験体においてSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSを診断する、または、SIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSに罹患した被験体の1つもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクを判定する方法を提供し、方法は以下を含む:該被験体から得た1つまたはそれ以上のサンプルについてアッセイ法を行うこと(該アッセイ法は複数のマーカーを検出する1つまたはそれ以上の免疫アッセイを実施することを含み、該検出する複数のマーカーのうちの少なくとも2つはNT-プロBNP、プロBNP、BNP79-108、BNP、BNP3-108、CCL19、CCL23、CRP、シスタチンC、D-ダイマー、IL-1ra、IL-2sRa、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、NGAL、リンホトキシンB受容体、ペプチドグリカン認識タンパク質、プロカルシトニン、プロカルボキシペプチダーゼB、活性型プロテインC、潜在型プロテインC、総プロテインC、およびsTNFR1aから成る群から選択される);および、該アッセイ法から得られた免疫アッセイ結果を以下から成る群から選択される1つまたはそれ以上の診断または予後診断と相関させること:SIRSの存在または非存在、敗血症の存在または非存在、重症敗血症の存在または非存在、敗血症性ショックの存在または非存在、および、SIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、またはMODSに罹患した、または罹患したと考えられる被験体の1つまたはそれ以上の臨床転帰の予後リスク。
【0029】
上記のように、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、もしくはそれ以上または個別のマーカーを含む複数のマーカーをマーカー・パネルに合一してもよい。パネルはLIGHT、CCL16、およびMMP7から成る群から選択される全マーカーから構成されてもよいが、更なるマーカーがそれらのパネルに含有されてもよい。更なるマーカーの例は後に詳述する。それらのマーカー・パネルに含有させるのに好ましいマーカーには、血圧調節関連マーカー、凝固および止血関連マーカー、並びに/または炎症関連マーカーに関係するマーカーがある。
【0030】
ある態様では、個別のマーカーの濃度をそれぞれ、予め選択したレベル(“閾値”)と比較して1つまたはそれ以上の特定の診断、予後診断、および/または治療計画を確定または除外してもよい。これらの態様では、被験体の選択された各マーカー・レベルの相関は、特定の診断を示す目的マーカーのそれぞれの閾値との比較を含んでもよい。同様に、被験体のマーカー・レベルを各マーカーの予後診断の閾値と相関させることによって、被験体が将来1つまたはそれ以上の有害転帰を経験する可能性を測定してもよい。
【0031】
他の態様では、被験体から得たマーカー・レベルのプロフィールが特定の診断または予後診断と相関するかどうかを判定する際、パネル中の1またはそれ以上のマーカーに関する特定の閾値に依存しない。むしろ、本発明はマーカーのプロフィール全体の評価を使用して1つの結果値(例えば数値によるスコアまたはリスク百分率のいずれかで表される”パネル応答“値)を提供する。それらの態様では、ある一定のマーカー・サブセットの上昇、低下、または他の変化(例えば一定時間にわたる傾き)がある患者の特定の症状または将来の転帰を示すのに十分でありうると同時に、別のマーカー・サブセットの上昇、低下、または他の変化が別の患者の同じ、もしくは異なる症状を示すのに十分でありうる。それらの分析を実施する方法については後述する。
【0032】
更に別の態様では、1つまたはそれ以上のマーカーを複数回測定してもよく、また、マーカーの経時的変化を用いて1つまたはそれ以上の特定の診断および/または予後診断を確定または除外することができる。例えば1つまたはそれ以上のマーカーを開始時点および第2の時点で測定し、一定時間にわたるマーカー・レベル(単数または複数)の変化(または変化がないこと)を測定してもよい。それらの態様では、開始時点から第2の時点までのマーカーの上昇が特定の予後診断、特定の診断などを示してもよい。同様に、開始時点から第2の時点までのマーカーの低下が特定の予後診断、特定の診断などを示してもよい。それらのパネルでは、マーカーが互いに一致して変化する必要はない。1つまたはそれ以上のマーカーの経時的変化を1つの時点でのマーカー・レベルと併用して、マーカー・パネルの鑑別能を強化してもよい。更に別の選択として、”パネル応答”をマーカーとして処理し、パネル応答の経時的変化によって特定の予後診断、診断などを行ってもよい。
【0033】
本明細書に詳述するように、好ましくは複数のマーカーを合一し、分析の的中率(predictive value)を個々のマーカーから得られるものに比較して向上させてもよい。それらのパネルは2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、もしくはそれ以上、または個別のマーカーを含んでもよい。当業者に理解されるように、診断マーカー、鑑別診断マーカー、予後診断マーカー、開始時間マーカーなどを1つのアッセイまたは装置に合一してもよい。例えば、装置または機器で測定される一定のマーカーを用いて予後診断を行い、装置または機器で測定される別のマーカー・セットで特定の治療法を確定および/または除外してもよい;これらの各マーカー・セットは独自のマーカーを含むか、または他のセットの一方もしくは両方と重複したマーカーを含んでもよい。マーカーは、例えば異なる分析パラメーター・セット(例えば異なる中間値、直線範囲枠、および/または重み係数)を異なる目的(単数または複数)のためのマーカー(単数または複数)に適用することによって、複数の目的に広く使用してもよい。
【0034】
ある態様では、1つまたはそれ以上のマーカーを、単に指標(単数または複数)の存在または非存在によって治療、予後、症状、または疾病と相関させてもよい。他の態様では、診断または予後診断指標(単数または複数)の閾値レベル(単数または複数)を確立し、患者サンプル中の指標(単数または複数)のレベルを単純にその閾値レベル(単数または複数)と比較してもよい。診断および/または予後診断の感度および特異度は単に試験の分析的な“クオリティー”に依存するのではなく、何を異常結果とするかの定義にも依存する。実施に際しては一般に、変数値を“健常”および“疾病”群における相対頻度に対してプロットすることによって受信者動作特性曲線または“ROC”曲線を算出する。特定のマーカーでは、罹患した被験体および罹患していない被験体のマーカー・レベルの分布は重複すると考えられる。それらの条件下では、試験で正常と疾病を100%の確度で鑑別することはできず、重複する部分は試験によって正常と疾病を鑑別できない範囲であることを示している。閾値を選択し、それより上(または疾病によってマーカーがどのように変化するかによってはそれより下)では試験は異常であるとみなされ、それより下では正常であるとみなされる。ROC曲線下面積は、感知された測定値によって症状の正確な同定ができる可能性の尺度である。試験結果から必ずしも正確な数値が得られない場合でも、ROC曲線を使用することができる。結果のランク付けができれば、ROC曲線を作成することができる。例えば”疾病”サンプルについての試験結果を程度(例えば1=低、2=正常、3=高)に従ってランク付けしてもよい。このランキングを”正常”群での結果と相関させてROC曲線を作成してもよい。これらの方法は当業者に周知である。例えばHanleyら,Radiology 143:29-36(1982)参照。
【0035】
ある態様では、マーカーおよび/またはマーカー・パネルの選択は少なくとも約70%の感度、より好ましくは少なくとも約80%の感度、更に好ましくは少なくとも約85%の感度、更により好ましくは少なくとも約90%の感度、そして最も好ましくは少なくとも約95%の感度であると同時に、少なくとも約70%の特異度、より好ましくは少なくとも約80%の特異度、更に好ましくは少なくとも約85%の特異度、更により好ましくは少なくとも約90%の特異度、そして最も好ましくは少なくとも約95%の特異度となるように行う。特に好ましい態様では、感度および特異度の両方が少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%、更に好ましくは少なくとも約85%、更により好ましくは少なくとも約90%、そして最も好ましくは少なくとも約95%である。この場合の“約”という用語は所定の測定値の+/-5%を意味する。
【0036】
他の態様では、試験のリスク予測または疾病診断能力の尺度として陽性尤度比、陰性尤度比、オッズ比、または危険度を用いる。陽性尤度比の場合、1の値は、陽性結果が得られる可能性が “罹患群”および“コントロール群”の両方の被験体で等しいことを示す;1より大きい値は、陽性結果が得られる可能性が罹患群でより高いことを示す;そして1より小さい値は、陽性結果が得られる可能性がコントロール群でより高いことを示す。陰性尤度比の場合、1の値は、陰性結果が得られる可能性が “罹患群”および“コントロール群”の両方の被験体で等しいことを示す;1より大きい値は、陰性結果が得られる可能性が試験群でより高いことを示す;そして1より小さい値は、陰性結果が得られる可能性がコントロール群でより高いことを示す。ある好ましい態様では、好ましくはマーカーおよび/またはマーカー・パネルの選択は、陽性または陰性尤度比が少なくとも約1.5以上または約0.67以下、より好ましくは少なくとも約2以上または約0.5以下、更に好ましくは少なくとも約5以上または約0.2以下、更により好ましくは少なくとも約10以上または約0.1以下、そして最も好ましくは少なくとも約20以上または約0.05以下となるように行う。この場合の“約”という用語は所定の測定値の+/-5%を意味する。
【0037】
オッズ比の場合、1の値は、陽性結果が得られる可能性が “罹患群”および“コントロール群”の両方の被験体で等しいことを示す;1より大きい値は、陽性結果が得られる可能性が罹患群でより高いことを示す;そして1より小さい値は、陽性結果が得られる可能性がコントロール群でより高いことを示す。ある好ましい態様では、好ましくはマーカーおよび/またはマーカー・パネルの選択は、オッズ比が少なくとも約2以上または約0.5以下、より好ましくは少なくとも約3以上または約0.33以下、更に好ましくは少なくとも約4以上または約0.25以下、更により好ましくは少なくとも約5以上または約0.2以下、そして最も好ましくは少なくとも約10以上または約0.1以下となるように行う。この場合の“約”という用語は所定の測定値の+/-5%を意味する。
【0038】
危険率の場合、1の値は、エンドポイント(例えば死亡)の相対的リスクが “罹患群”および“コントロール群”の両方の被験体で等しいことを示す;1より大きい値はリスクが罹患群でより高いことを示す;そして1より小さい値はリスクがコントロール群でより高いことを示す。ある好ましい態様では、好ましくはマーカーおよび/またはマーカー・パネルの選択は、危険率が少なくとも約1.1以上または約0.91以下、より好ましくは少なくとも約1.25以上または約0.8以下、更に好ましくは少なくとも約1.5以上または約0.67以下、更により好ましくは少なくとも約2以上または約0.5以下、そして最も好ましくは少なくとも約2.5以上または約0.4以下となるように行う。この場合の“約”という用語は所定の測定値の+/-5%を意味する。
【0039】
代表的なパネルを本明細書に記載するが、1つまたはそれ以上のマーカーを、臨床的に有用な結果を提供するように保ちつつ、これらの代表的なパネルから置換、付加、または削除してもよい。パネルは疾病の特異的マーカー(例えば細菌感染では上昇または低下するが他の疾病状態では変化しないマーカー)、および/または非特異的マーカー(例えば原因に関係なく炎症によって上昇または低下するマーカー;原因に関係なく止血の変化によって上昇または低下するマーカーなど)の両方を含んでもよい。一定のマーカーは、個別では本明細書に記載する方法において確定的ではなく、実質的には変化の特定の “フィンガープリント”パターンとして疾病の特異的指標の役割を果たしてもよい。上記のように、変化のパターンを1つのサンプルから得てもよく、あるいは必要によりパネル中の1つまたはそれ以上のメンバーの経時的変化(またはパネル応答値の経時的変化)を考察してもよい。
【0040】
sTNFRSF3、sTNFRSF7、sTNFRSF11A、LIGHT、CCL16、CXCL5、CXCL9、MMP7、アジポネクチン、アドレノメジュリン、アンジオテンシノーゲン、アポリポタンパク質C1、bigエンドセリン-1、BNP79-108、BNP、BNP3-108、補体C3a、カルシトニン、カスペース-3、CCL19、CCL20、CCL23、CCL26、CCL4、CCL5、CCL8、クレアチンキナーゼ・BB、C-反応性タンパク質、CXCL13、CXCL16、CXCL6、シスタチンC、D-ダイマー、sDR6、グルタチオン-S-トランスフェラーゼA、HMG-1、腸型脂肪酸結合タンパク質、IGFBP-1、IL-10、IL-1β、IL-1RA、IL-22、IL-2sRa、IL-6、IL-8、L-FABP、MCP-1、マクロファージ遊走阻止因子、マトリクスメタロプロテイナーゼ9、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、NGAL、PAI-1、プラセンタ成長因子、プロテインC(活性型)、プロテインC(潜在型)、プロテインC(総)、肺サーファクタント・プロテインA、肺サーファクタント・プロテインB、肺サーファクタント・プロテインD、PTEN、RAGE、sICAM1、スフィンゴシンキナーゼI、組織因子、TNF-α、TNF-R1a、TNF-sR14、TREM-1、TREM-1sv、uPAR、UCRP、およびVCAM-1、またはそれらに関連するマーカーから成る群から選択される1つまたはそれ以上のマーカーに加え、好ましいマーカー・パネルは,例えば以下の群から選択される1つまたはそれ以上の他のマーカー(単数または複数)を含んでもよい:心房性ナトリウム利尿ペプチド(“ANP”)、NT-プロANP、プロ-ANP、NT-プロBNP、プロBNP、C型ナトリウム利尿ペプチド、NT-プロCNP、プロCNP、ウロテンシンII、アルギニンバソプレシン、アルドステロン、アンジオテンシンI、アンジオテンシンII、アンジオテンシンIII、ブラジキニン、プロカルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、カルシフォシン(calcyphosine)、エンドセリン-2、エンドセリン-3、レニン、およびウロジラチン(urodilatin)、もしくはそれらに関連するマーカー(集合的に“血圧調節関連マーカー”と称する)から成る群から選択される1つもしくはそれ以上のマーカー;および/または、急性期反応物質、細胞接着分子、例えば可溶性細胞間接着分子-1(“sICAM-1”)、可溶性細胞間接着分子-2(“sICAM-2”)、可溶性細胞間接着分子-3(“sICAM-3”)、他のインターロイキン、CXCLおよびCCLファミリー中の他のケモカイン、リポカリン型プロスタグランジンD合成酵素、マスト細胞トリプターゼ、好酸球カチオン性タンパク質、KL-6、ハプトグロビン、腫瘍壊死因子β、可溶性Fasリガンド、可溶性Fas(Apo-1)、TRAIL、TWEAK、フィブロネクチン、および血管内皮増殖因子(“VEGF”)、もしくはそれらに関連するマーカー(集合的に“炎症関連マーカー”と称する)から成る群から選択される1つもしくはそれ以上のマーカー;および/または、プラスミン、フィブリノーゲン、β-トロンボグロブリン、血小板因子4、フィブリノペプチドA、血小板由来増殖因子、プロトロンビン・フラグメント1+2、プラスミン・α2アンチプラスミン複合体、トロンビン・アンチトロンビンIII複合体、P-セレクチン、トロンビン、フォン・ヴィレブランド因子、および血栓前駆タンパク質、またはそれらに関連するマーカー(集合的に“凝固および止血関連マーカー”と称する)から成る群から選択される1つもしくはそれ以上のマーカー;および/または、スペクトリン、カテプシンD、シトクロムC、S-アセチルグルタチオン、およびユビキチン融合分解タンパク質1ホモログ、またはそれらに関連するマーカー(集合的に“アポトーシス関連マーカー”と称する)から成る群から選択される1つもしくはそれ以上のマーカー。これらの一般的な分類のそれぞれに属する他のマーカーは当業者に周知である。
【0041】
それらの“炎症関連マーカー”に加え、1つまたはそれ以上の炎症に関連するマーカーを以下から成る急性期反応物質の群から選択してもよい:ヘプシジン、HSP-60、HSP-65、HSP-70、非対称性ジメチルアルギニン(一酸化窒素合成酵素の内因性阻害剤)、マトリクス・メタロプロテイン11および3、デフェンシンHBD-1、デフェンシンHBD-2、血清アミロイドA、酸化LDL、インスリン様増殖因子、形質転換増殖因子β、インターα阻害剤、e-セレクチン、低酸素誘導因子1α、誘導性一酸化窒素合成酵素(“I-NOS”)、細胞内接着分子、乳酸脱水素酵素、n-アセチルアスパラギン酸塩、プロスタグランジンE2、核因子の受容体活性化因子、および(“RANK”)リガンド、またはそれらに関連するマーカー。一般的な急性期反応物質の分類に属する他のマーカーは当業者に周知である。
【0042】
更に、活性酸素種に関連する1つまたはそれ以上のマーカーをそれらのパネルの一部として測定してもよい。マーカー(単数または複数)は以下から選択してもよい:スーパーオキシド・ジスムターゼ、グルタチオン、αトコフェロール、アスコルビン酸塩、誘導性一酸化窒素合成酵素、脂質過酸化生成物、一酸化窒素、および呼気炭化水素(好ましくはエタン)、またはそれらに関連するマーカー。
【0043】
更なるマーカーおよび/またはマーカー類をそれらのパネルに使用し、疾病間の更なる鑑別能を得てもよい。例えば、炎症反応およびそれによる毛細血管への影響、そして組織の酸化の低下は、1つまたはそれ以上の急性期反応関連マーカー、1つまたはそれ以上の血管組織関連マーカー、および1つまたはそれ以上の組織特異的マーカー(例えばS100βのような神経特異的マーカー)に関係しており、それらのレベルは虚血状態で上昇する。従って、α-2アクチン、塩基性カルポニン1、β-1インテグリン、酸性カルポニン、カルデスモン、システインリッチタンパク質-2(“CRP 2”または“CSRP 2”)、エラスチン、フィブリリン1、潜在型形質転換増殖因子β結合タンパク質4(“LTBP4”)、平滑筋ミオシン、平滑筋ミオシン重鎖、およびトランスゲリン(transgelin)、またはそれらに関連するマーカー(集合的に“血管組織関連マーカー”と称する)から成る群から選択される1つまたはそれ以上のマーカーをそれらのパネルに含有させてもよい。更なるマーカーおよびマーカー類については後述する。
【0044】
SIRSの診断における1つもしくはそれ以上の症状の診断、および/またはSIRSの診断における1つもしくはそれ以上の症状の予後診断、および/またはSIRSの診断における症状の鑑別のための好ましいパネルは以下を検出するように構築したアッセイを実施することを含む:少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、更に好ましくは少なくとも4つ、更により好ましくは少なくとも5つ、そして最も好ましくは少なくとも6つまたはそれ以上の以下のマーカー:アドレノメジュリン、bigエンドセリン-1、BNP、プロBNP、NT-プロBNP、CCL5、CCL19、CCL23、CK-MB、補体C3a、クレアチニン、CXCL13、CXCL16、シスタチンC、D-ダイマー、HSP-60、sICAM-1、IL-1ra、IL-2sRa、IL-6、IL-10、乳酸塩、MCP-1、ミオグロビン、ミエロペルオキシダーゼ、NGAL、プロカルシトニン、活性型プロテインC、潜在型プロテインC、総プロテインC、血清アミロイドA、組織因子、TNF-R1a、TREM-1、sTNFRSF11A、TIMP-1、およびuPAR、またはそれらに関連するマーカー;並びに、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、更に好ましくは少なくとも4つ、更により好ましくは少なくとも5つ、そして最も好ましくは少なくとも6つまたはそれ以上の以下のマーカー:アジポネクチン、アンジオテンシノーゲン、アポリポタンパク質C1、CCL20、CXCL5、CXCL9、L-FABP、プラセンタ成長因子、sTNFRSF3、sTNFRSF7、およびUCRP、またはそれらに関連するマーカー。
【0045】
関連する観点では、本発明は上記の方法に使用するためのマーカーを同定する方法に関する。診断、予後診断、および/または治療に有用なパネルの構築において、一定のマーカーの存在またはレベルについて試験することによって、被験体群から多くの有望なマーカーに関するデータを得てもよい。その後、被験体群を組に分けてもよい。例えば第1組は疾病を有する、あるいはより一般的には第1の症状段階にあることが確認されている被験体を含む。この症状段階の確認は、より厳密かつ/または高価な試験(例えば敗血症中の生物体の組織サンプル培養)によって行ってもよい。以下、この第1の組の被験体を“罹患”と称する。第2の組の被験体は第1の組に分類されなかったものから選択される。以下、この第2の組の被験体を“非罹患”と称する。
【0046】
これらの組の被験体から得られるデータは複数のマーカーのレベルを含む。各患者で同じマーカーセットに関するデータが得られるのが好ましい。代表的なマーカーを本明細書に記載する。目的の疾病とマーカー(単数または複数)の関連性が実際に既知である必要はない。これらの被験体の組を1つまたはそれ以上のマーカーの関連性について比較する方法については後述する。本明細書に記載する方法および系の態様を用いて、いずれの候補マーカーが疾病もしくは症状の診断または所定の予後診断に最も関連性があるかを確認してもよい。
【0047】
更に別の観点では、本発明は本明細書に記載する方法のうちの1つまたはそれ以上を実施するための装置に関する。それらの装置は好ましくは複数の診断ゾーンを含み、そのそれぞれは目的とする特定のマーカーに関係する。それらの診断ゾーンは好ましくは1つのアッセイ装置内の分離された箇所にある。それらの装置を“アレイ”または“マイクロアレイ”と称してもよい。サンプルを装置と反応させた後、診断ゾーン(単数または複数)からシグナルが生成され、次いでこれを目的のマーカーの存在または量と相関させてもよい。多くの好適な装置は当業者に周知である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
発明の詳細な説明
本発明は被験体における兆候に基づいた鑑別診断、予後診断、および治療計画の決定のための方法および組成物に関する。特に、本発明はSIRSを確定もしくは除外する、または、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、および/もしくはMODSを互いに、および/もしくは非感染性SIRSと識別するために選択される方法および組成物に関する。
【0049】
治療を受けに来院する患者は、多くの場合、疾病を示す初期の観察可能な身体的特徴または機能の変化を1つまたはわずかに示す。多くの場合これらの“兆候”は非特異的である。すなわち可能性のある多くの疾病が同じ観察可能な兆候(単数または複数)を示す。SIRSの場合、定義によれば、以下の兆候のうち2つまたはそれ以上が存在すれば、症状が存在する:
体温>38℃または<36℃;心拍数>90/分(頻脈);呼吸数>20/分(頻呼吸)またはPaCO2<4.3kPa;および白血球数>12,000/mm、<4,000/mm、または幼弱(桿状核)型>10%。
【0050】
本発明は、観察される兆候に関する可能性のある1つ(好ましくは複数)の病因を確定または除外するために構築した診断マーカーを提供することによって1つまたはそれ以上の非特異的兆候の鑑別診断を行う助けとなる方法および組成物について記載する。本明細書に記載する兆候に基づく鑑別診断は、患者において観察される非特異的兆候の根底にある可能性のある疾病を識別するために構築した診断マーカー・パネルを用いて行う。
【0051】
定義
“治療計画”とは、疾病または症状の治療を願って医療提供者が行う1つまたはそれ以上の治療介入をいう。“早期敗血症治療計画”とは、被験体にSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、またはMODSの診断を下してから24時間以内、より好ましくは12時間以内、そして最も好ましくは6時間以内またはそれより早期に施与された場合に死亡のリスクが低減されるように設計された一連の支持療法をいう。それらの支持療法には、蘇生法、輸液、血管収縮剤投与、変力剤投与、ステロイド投与、血液製剤投与、および/または鎮静を含む一連の治療法がある。例えばDellingerら,Crit. Care Med.32:858-873,2004、およびRiversら,N. Engl. J. Med. 345:1368-1377,2001参照(本明細書で使用する“早期目標指向型治療(early goal directed therapy)”について記述している。これらはそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれる)。好ましくは、それらの早期敗血症治療計画は以下の治療のうちの1つまたはそれ以上(好ましくは複数)を含む:(好ましくは晶質および/または必要によりコロイドの投与によって)中心静脈圧を8-12mmHgに保持すること;(好ましくは血管収縮剤および/または必要により血管拡張剤の投与によって)平均動脈圧を>65mmHgに保持すること;(好ましくはヘマトクリット値が少なくとも30%となるまで輸血赤血球を投与し、そして/または必要によりドブタミンを投与することによって)中心静脈酸素飽和度>70%に保持すること;そして必要により人工呼吸の施与。
【0052】
本明細書で使用する“マーカー”という用語は、被験体から得た試験サンプルをスクリーニングするための標識として使用するタンパク質、ポリペプチド、糖タンパク質、プロテオグリカン、脂質、リポタンパク質、糖脂質、リン脂質、核酸、炭水化物など、または小分子をいう。本発明においてマーカーとして使用する“タンパク質またはポリペプチド”はそのいずれのフラグメント(特に免疫学的に検出可能なフラグメント)も含むことを意図する。マーカーは臨床“スコア”、例えば検査前確率割当、肺高血圧症“ダニエル(Daniel)”スコア、NIH卒中スコア、ElebuteおよびStonerの敗血症スコア、感染性心内膜炎デューク(Duke)基準、マンハイム(Mannheim)腹膜炎指標、“アパッチ ”スコアなどを含んでもよい。
【0053】
本明細書で使用する“関連マーカー”という用語は、特定のマーカーまたはその生合成親化合物のフラグメントのうちの1つまたはそれ以上、で、マーカーそのものの代わりに、または独立したマーカーとして検出してもよいものをいう。例えばヒトBNPは108アミノ酸前駆体分子(以下、BNP1-108と記載する)のタンパク分解によって誘導される。成熟BNP、“BNPナトリウム利尿ペプチド”または“BNP-32”はこの前駆体のアミノ酸77-108に相当する32アミノ酸分子であり、BNP77-108とも称する。以下、残りの残基1-76をBNP1-76(別名“NT-プロBNP”)と記載する。更に、関連マーカーは親マーカーの共有結合修飾、例えばメチオニン残基の酸化、ユビキチン化、システイン化、ニトロシル化(例えばにニトロチロシン残基を含む))、ハロゲン化(例えばクロロチロシンおよび/またはブロモチロシン残基を含む)、グリコシル化、複合体形成、選択的スプライシングなどの結果であってもよい。
【0054】
108アミノ酸のBNP前駆体、プロBNP(BNP1-108)の配列は以下の通りである(下線は成熟BNP(BNP77-108)):
【化1】

【0055】
BNP1-108は、以下の配列を有するより大きな前駆体、プレプロBNPとして合成される(太字は“プレ”配列):
【化2】

【0056】
成熟BNPそのものを本発明においてマーカーとして使用してもよいが、プレプロBNP、BNP1-108、およびBNP1-76分子は成熟BNPの代わりとして、またはそれ自体をマーカーとして測定してもよいBNP関連マーカーである。更に、これらの分子のフラグメント(BNP77-106、BNP79-106、BNP76-107、BNP69-108、BNP79-108、BNP80-108、BNP81-108、BNP83-108、BNP39-86、BNP53-85、BNP66-98、BNP30-103、BNP11-107、BNP9-106、およびBNP3-108から成る群から選択されるBNP関連ポリペプチドを含む)のうちの1つまたはそれ以上も血液循環中に存在しうる。また、ナトリウム利尿ペプチドフラグメント(BNPフラグメントを含む)は1つまたはそれ以上の酸化可能なメチオニンを含んでもよく、それらが酸化されてメチオニンスルホキシドまたはメチオニンスルホンとなることによって更なるBNP関連マーカーが生ずる。例えば米国特許第10/419,059号(2003年4月17日出願)(参照により、全ての表、図面、および特許請求の範囲を含め、その全体が本明細書に組み込まれる)参照。
【0057】
マーカーフラグメントの生成は進行性の過程であって、特に、マーカーの組織への放出を引き起こす事象の開始からサンプルを採取または分析するまでの経過時間;サンプル採取からサンプル分析までの経過時間;問題となる組織サンプルのタイプ;保存状態;存在するタンパク分解酵素の量;などの関数でありうるため、1つまたはそれ以上のマーカーのアッセイを構築する際も、またそれらのアッセイを実施する際も、この分解を考慮して正確な予後および診断結果を得る必要がある。更に、複数のマーカーフラグメント間を識別する個別の抗体を用いて、種々のフラグメントの存在または量を個別に検出してもよい。この個々の検出結果により、単一のアッセイで複数のフラグメントを検出する場合に比較して、より正確な予後または診断結果が得られうる。例えば、異なる重み係数を種々のフラグメント測定値に適用して、サンプル中に元々存在するナトリウム利尿ペプチドの量をより正確に算出してもよい。
【0058】
同様に、本明細書に記載する多くのマーカーをより大型の前駆体分子として合成し、その後加工して成熟マーカーとする;そして/またはマーカーのフラグメントの形態で血液循環中に存在する。従って、本明細書に記載する各マーカーの“関連マーカー”は、BNPについて上に記載したのと同様の方法で同定および使用してもよい。
【0059】
血液循環からのポリペプチドマーカーの除去は多くの場合、分解経路を伴う。更に、それらの分解経路の阻害剤はある種の疾病の治療に有望である。例えばTrindadeおよびRouleau, Heart Fail. Monit. 2: 2-7, 2001参照。しかしながら、ポリペプチドマーカーの測定では、一般に分子の分解状態を考慮せず、無傷型の測定に焦点が当てられてきた。ポリペプチドマーカーの分解経路およびこの分解で生成される産物を理解してアッセイを構築し、サンプル中の特定の生物学的に活性な型のポリペプチドマーカーを正確に測定してもよい。目的の生体活性型ポリペプチドマーカー(単数または複数)およびマーカーから誘導される不活性フラグメントの両方を意図せずに測定すると、サンプル中の生体活性型(単数または複数)の濃度を過剰評価しうる。
【0060】
臨床サンプル中に存在しうる分解フラグメントを考慮しなければ、診断または予後診断法の確度に関して深刻な結果を招きうる。例えば単純な事例で、BNPに関するサンドイッチ免疫アッセイを実施し、存在していた有意量(例えば50%)の生体活性型BNPが、今は不活性型に分解されているとする。生体活性型BNPおよび不活性型フラグメント(単数または複数)に共通する領域に結合する抗体で構築した免疫アッセイはサンプル中に存在する生体活性型BNPの量を2倍に過剰評価し、“偽陽性”の結果を与える可能性がある。サンプル中に存在する生体活性型(単数または複数)の過剰評価は患者管理においても深刻な結果を招きうる。再びBNPの例を考えると、BNP濃度を用いて、(例えばBNPの上昇したレベルが治療に際して正常値に回復するかどうかをモニタリングすることによって)治療が有効であるかどうかを判断してもよい。上記の同じ“偽陽性”BNP結果によって、医師は現在の治療が有効でないという誤った印象から、治療を継続、増加、または改変しうる。
【0061】
同様に、本明細書に記載する1つまたはそれ以上のマーカーの複合状態を考慮する必要がありうる。例えば、トロポニンは筋肉中で主に3つのトロポニンポリペプチド(T、I、およびC)を含む“三元複合体”として存在する。しかし、トロポニンIおよびトロポニンTは血液中ではI/T/C三元複合体以外の形態で循環する。すなわち、(i)遊離型心筋特異的トロポニンI、(ii)二元複合体(例えばトロポニンI/C複合体)、および(iii)三元複合体のそれぞれが全て血液中で循環する。更に、トロポニンIおよびTの“複合状態”は、患者において、例えば遊離型トロポニンポリペプチドが他の循環しているトロポニンポリペプチドに結合することによって、時間と共に変化しうる。トロポニンの“複合状態”を考慮していない免疫アッセイでは、目的の心筋特異的アイソフォームの全てが検出されない可能性がある。
【0062】
好ましいアッセイを、特定のマーカーを“検出するために構築”する。マーカーを“検出するために(アッセイを)構築する”とは、アッセイが、目的とする特定のマーカーの存在または生理学的に関連する濃度を示す検出可能なシグナルを生成できることを意味する。それらのアッセイは、特定のマーカーを特異的に検出する(すなわち、あるマーカーを検出するが、関連マーカーの一部または全部を検出しない)ものであってもよいが、そうである必要はない。抗体エピトープは8個のアミノ酸の序列なので、他のポリペプチドがアッセイで使用する抗体に結合する必要のあるエピトープ(単数または複数)を含んでいれば、免疫アッセイは他のポリペプチド(例えば関連マーカー)を検出する。それら他のポリペプチドはアッセイにおいて“免疫学的に検出可能”であるとみなされ、種々のアイソフォーム(例えばスプライス変異体)を含有する。サンドイッチ免疫アッセイの場合、関連マーカーは検出のために、アッセイで使用される抗体が結合するエピトープを少なくとも2つ含有しなければならない。BNP79-108を例にとると、このマーカーを検出するために構築したアッセイはBNP77-108またはBNP1-108も検出する可能性があり、これはそれらの分子がBNP79-108上に存在する、アッセイ抗体が結合するエピトープ(単数または複数)を含有しうるためである。しかしながら、(例えば目的とする特定のポリペプチドのアミノおよび/またはカルボキシル末端における)特定のエピトープの欠失に“感受性を有する”ようにそれらのアッセイを構築してもよく、これについては米国特許第2005/0148024号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。本明細書に記載するように、抗体をBNP79-108のアミノ末端に結合するように選択し、BNP77-108に結合しないようにしてもよい。BNP3-108に結合し、(例えばアミノおよび/またはカルボキシル末端で)特定のエピトープの欠失に“感受性を有する”同様のアッセイについても本明細書に記載する。
【0063】
好ましくは、以下に記載する方法は被験体由来の1つまたはそれ以上のマーカーを使用する。本明細書で使用する“被験体由来マーカー”という用語は被験体の1つまたはそれ以上の細胞で発現または生成されるタンパク質、ポリペプチド、リン脂質、核酸、プリオン、糖タンパク質、プロテオグリカン、糖脂質、脂質、リポタンパク質、炭水化物、または小分子マーカーをいう。1つまたはそれ以上のマーカーの存在、非存在、量、または量変化は特定の疾患が存在することを示してもよいし、特定の疾患が存在しないことを示してもよい。被験体由来ではなく、特定の疾患に関係する病原性または感染性生物によって発現される更なるマーカーを使用してもよい。それらのマーカーは好ましくは上記の感染性疾患を同定するタンパク質、ポリペプチド、リン脂質、核酸、プリオン、または小分子マーカーである。
【0064】
本明細書で使用する“試験サンプル”という用語は、目的の被験体(例えば患者)の診断、予後診断、または評価の目的で得た体液のサンプルをいう。ある態様では、進行中の症状の転帰または症状に対する治療計画の効果を判断する目的でそれらのサンプルを得てもよい。好ましい試験サンプルには血液、血清、血漿、脳脊髄液、尿、唾液、痰、および胸水がある。更に、当業者に認識されるように、試験サンプルは分画または精製操作(例えば全血の血清または血漿成分への分離)後のほうがより容易に分析できる場合もある。
【0065】
本明細書で使用する“複数”とは少なくとも2をいう。好ましくは、複数は少なくとも3、より好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも10、更に好ましくは少なくとも15、そして最も好ましくは少なくとも20である。特に好ましい態様では、複数は多数、すなわち少なくとも100である。
【0066】
本明細書で使用する“被験体”とは、ヒトまたは非ヒト生物をいう。従って、本明細書に記載する方法および組成物はヒトおよび動物の疾患の両方に適用できる。更に、被験体は生体が好ましいが、同様に本発明を死後分析に使用してもよい。好ましい被験体は“患者”、すなわち疾病または症状のための治療を受けている、生きたヒトである。これには、明確な疾病を有さず、病理学的兆候について検査中であるヒトが含まれる。
【0067】
本明細書で使用する“診断”とは、当業者が、患者が所定の疾病または症状に罹患しているか否かを推定および/または判定することができる方法をいう。当業者は多くの場合、1つまたはそれ以上の診断指標、すなわちマーカーに基づいて診断を下すが、そのマーカーの存在、非存在、量、または量変化は症状の存在、重篤度、または非存在を示す。
【0068】
同様に、多くの場合、予後診断は1つまたはそれ以上の“予後指標”の測定によって行われる。これらはマーカーであり、患者(または患者から得たサンプル)におけるその存在または量は所定の経過または転帰が起こる可能性を示す。例えば、1つまたはそれ以上の予後指標がそれらの患者から得たサンプル中で十分高いレベルに到達すれば、そのレベルはその患者が、より低いマーカー・レベルを示す同様の患者に比較して将来的に卒中を経験する可能性が高いことを示す。同様に、罹患率または死亡率の高さに関係する予後指標のレベルまたはレベル変化は、患者において“有害転帰の素因の高さに関係する”と見なされる。好ましい予後診断マーカーは、卒中後の患者の遅発性神経障害の発症または将来の卒中の可能性を予測できる。
【0069】
マーカーの使用に関して本明細書で使用する“相関させる”または“関係づける”という用語は、患者におけるマーカー(単数または複数)の存在または量を、所定の疾病に罹患した、もしくはそのリスクがあることが知られている患者;または所定の疾病に罹患していないことが知られている患者におけるその存在または量と比較することをいう。上記のように、患者サンプル中のマーカー・レベルを特定の診断に関係することが知られているレベルと比較することができる。サンプルのマーカー・レベルは既に診断との相関が為されていると言える。すなわち当業者はマーカー・レベルを使用して患者が特定の型の疾病に罹患しているか否かを判定し、それに従って対応することができる。あるいはまた、サンプルのマーカー・レベルを良好な転帰(例えば疾病の非存在など)に関係することが知られるマーカー・レベルと比較することができる。好ましい態様では、ROC曲線を用いてマーカー・レベルのプロフィールを総体的な可能性または特定の転帰と相関させる。
【0070】
本明細書で使用する“分離した”という用語は、非連続な表面領域をいう。すなわち、いずれの領域の部分でもない境界線が2つの領域のそれぞれを完全に包囲していれば、その2つの領域は分離している。
【0071】
本明細書で使用する“独立して処理できる(addressable)”という用語は、特定のシグナルが得られうる分離した表面領域をいう。
【0072】
本明細書で使用する“抗体”という用語は、抗原またはエピトープに特異的に結合する能力のある免疫グロブリン遺伝子(単数または複数)またはそのフラグメントから誘導された、それをモデルにした、または実質的にそれにコードされるペプチドまたはポリペプチドをいう。例えば以下参照:Fundamental Immunology, 第3版, W.E. Paul編, Raven Press, N.Y. (1993);Wilson (1994) J. Immunol. Methods 175:267-273; Yarmush (1992) J. Biochem. Biophys. Methods 25:85-97。抗体という用語は、抗原と結合する能力を保持する抗原結合部分、すなわち“抗原結合部位”(例えばフラグメント、サブ配列、相補性決定領域(CDR))を含み、それらには以下がある:(i) Fabフラグメント(VL、VH、CL、およびCH1ドメインから成る一価フラグメント);(ii) F(ab’)2フラグメント(ヒンジ領域でジスルフィド結合によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント);(iii) Fdフラグメント(VHおよびCH1ドメインから成る);(iv) Fvフラグメント(抗体の一本のアームのVLおよびVHドメインから成る);(v)dAbフラグメント(VHドメインから成る)(Wardら, (1989) Nature 341:544-546);および(vi)単離された相補性決定領域(CDR)。一本鎖抗体も参照により“抗体”の用語に含まれる。
【0073】
“特異的に結合する”という用語は、抗体がその意図される標的とのみ結合することを示すものではない。むしろ、その意図する標的への親和性が非標的分子に対する親和性に比較して約5倍高ければ、抗体は“特異的に結合する”。好ましくは、抗体の親和性は非標的分子に対する親和性に比較して少なくとも約5倍、好ましくは10倍、より好ましくは25倍、更に好ましくは50倍、そして最も好ましくは100倍またはそれ以上高い。好ましい態様では、抗体または他の結合物質と抗原間の特異的結合は少なくとも106 M-1の結合親和性を意味する。好ましい抗体は少なくとも約107 M-1、好ましくは約108 M-1から約109 M-1、約109 M-1から約1010 M-1、または約1010 M-1から約1011 M-1の親和性で結合する。
【0074】
親和性はKd =koff /konで算出する(koffは解離速度定数、konは会合速度定数、そしてKdは平衡定数である)。親和性は、平衡状態における種々の濃度(c)での標識されたリガンドの結合率(r)の測定によって確認できる。スキャッチャード式:r/c=K(n-r)を用いてデータをグラフ化する:式中、r=平衡状態における結合したリガンドのモル数/受容体のモル数;c=平衡状態における遊離型リガンド濃度;K=平衡会合定数;そしてn=受容体分子毎のリガンド結合部位の数である。グラフ分析によって、X軸上のrに対してr/cをY軸上にプロットし、スキャッチャードプロットを作成する。親和性は直線の負の傾きである。koffは結合した標識されたリガンドと未標識の過剰なリガンドとの競合によって決定される(例えば米国特許第6,316,409号参照)。ターゲッティング物質のその標的分子に対する親和性は、好ましくは少なくとも約1x10-6モル/リットル、より好ましくは少なくとも約1x10-7モル/リットル、更に好ましくは少なくとも約1x10-8モル/リットル、更により好ましくは少なくとも約1x10-9モル/リットル、そして最も好ましくは少なくとも約1x10-10モル/リットルである。スキャッチャード分析による抗体親和性の測定は当該分野で周知である。例えばvan Erpら, J. Immunoassay 12: 425-43, 1991;NelsonおよびGriswold, Comput. Methods Programs Biomed. 27: 65-8, 1988参照。
【0075】
マーカー・パネルの同定
本発明によれば、診断、予後診断、および/または好適な治療過程の決定に有用な1つまたはそれ以上のマーカーの同定のための方法および系を提供する。それらの目的に有用なマーカーの好適な同定法は以下に詳述されている:米国仮出願第60/436,392号(2002年12月24日出願)、PCT出願US03/41426号(2003年12月23日出願)、米国特許出願第10/331,127号(2002年12月27日出願)、およびPCT出願US03/41453号(それぞれ、全ての表、図面、および特許請求の範囲を含め、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0076】
当業者に認識されるように、マーカーの単変量解析を行い、複数のマーカーの単変量解析からのデータを合わせて異なる疾病状態を鑑別するためのマーカー・パネルを構築することができる。それらの方法には重回帰分析、相互作用項の決定、段階的回帰などがある。
【0077】
マーカー・パネルの構築において、ある種のマーカーの存在またはレベルに関する試験によって、可能性のある多くのマーカーに関するデータを1つの被験体群から得てもよい。被験体群を2組に分ける。第1組は、疾患を有する、転帰を有する、または、より一般的には第1症状段階にあることが確認されている被験体を含む。例えばこの第1組の患者はSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、および/またはMODSと診断され、その疾患の結果として死亡した患者であってもよい。以下、この第1組の被験体を“罹患”と称する。
【0078】
第2組の被験体は単に第1組に分類されない被験体である。以下、この第2組の被験体を“非罹患”と称する。好ましくは第1組および第2組はそれぞれほぼ同数の被験体を含む。この組は健常者、および/またはSIRSの別の要因を有する患者、および/または目的とする特定の終点まで生存した患者であってもよい。
【0079】
これらの組の被験体から得られるデータには、好ましくは複数のマーカー・レベルが含まれる。同じマーカー群に関するデータを各患者から入手できるのが好ましい。このマーカー群は、特定の疾病または症状の検出に関係する疑いのある候補マーカーを全て含んでもよい。実際の関連性が知られている必要はない。本明細書に記載する方法および系の態様を使用して、いずれの候補マーカーが疾病または症状の診断に最も関連性が高いかを確認してもよい。2組の被験体における各マーカー・レベルは、例えばガウス分布のように、広範囲にわたって分布しうる。しかしながら、分布が一致する必要はない。
【0080】
上記のように、多くの場合、単一のマーカーでは被験体を予測的に第1または第2群のいずれかに確実に同定することはできない。例えば患者のマーカー・レベルが、罹患および非罹患被験体の分布において重複した領域内にあると測定されれば、試験結果は患者の診断に役立たない。人為的なカットオフを用いて疾病または症状の検出に関するポジティブとネガティブの試験結果を識別してもよい。カットオフをどこに選択しても、診断ツールとしての単一のマーカーの有効性は影響を受けない。カットオフの変更は単に、単一マーカーの使用から得られる偽陽性数および偽陰性数間のトレードオフを生じるだけである。それらの重複を有する試験の有効性は多くの場合、ROC(受信者動作特性)曲線を用いて表される。ROC曲線は当業者に周知である。
【0081】
ROC曲線の横軸は(1-特異度)を示し、偽陽性の割合と共に増加する。曲線の縦軸は感度を示し、真陽性の割合と共に増加する。従って、選択した特定のカットオフに関して(1-特異度)の値を測定し、相当する感度を得てもよい。ROC曲線下面積は測定されたマーカー・レベルが疾病または症状の正確な同定を行うことができる可能性の尺度である。従ってROC曲線下面積を用いて試験の有効性を測定できる。
【0082】
上記のように、単一のマーカー・レベルの測定では有用性に限界があり、例えばそれは炎症によって非特異的に増加しうる。更なるマーカーの測定によって更なる情報が得られるが、関連の無い2つの有望な測定値レベルを好適に組み合わせるのは困難である。本発明の態様による方法および系では、罹患および非罹患患者の組の種々のマーカー・レベルに関係するデータを用いてマーカー・パネルを構築し、有用なパネル応答を得てもよい。データはデータベース(例えばMicrosoft Access、Oracle、他のSQLデータベース)、または単にデータファイルとして得てもよい。データベースまたはデータファイルは、例えば患者の識別子(例えば氏名または番号)、存在する種々のマーカーのレベル、および患者が罹患か非罹患を含んでもよい。
【0083】
次に、各マーカーについてまず人為的にカットオフ領域を選択してもよい。カットオフ領域の位置は最初は任意の箇所で選択してもよいが、この選択は後述する最適化処理に影響を与えうる。この点で、可能性のある最適位置近くに選択することは、最適化の実施者がより迅速に収束を行う助けとなりうる。好ましい方法では、最初にカットオフ領域を2組の患者の重複領域の中心付近に集中させる。ある態様では、単にカットオフ領域をカットオフ点としてもよい。他の態様では、カットオフ領域をゼロより大きい長さとしてもよい。この点に関して、中心値および長さで有効領域を定義してもよい。実際には、カットオフ領域の限界の初期選択は各被験体組の既定のパーセンタイルに従って行ってもよい。例えば、その点より上で罹患患者が既定のパーセンタイルとなる、という点をカットオフ領域の右(上)端として使用してもよい。
【0084】
その後、各患者の各マーカー値を指標に対してマッピングしてもよい。指標にはカットオフ領域より低い値と、カットオフ領域より高い別の値を割り当てる。例えば、一般にマーカーの値が非罹患患者でより低く、罹患患者でより高い場合、ゼロ指標を特定のマーカーの低いほうの値に割り当て、陽性診断の見込みが低い可能性があることを示す。他の態様では、多項式に基づいて指標を算出してもよい。多項式の係数は罹患および非罹患患者間のマーカー値の分布に基づいて決定してもよい。
【0085】
種々のマーカーの相対的重要度を重み係数によって示してもよい。重み係数は最初に各マーカーの係数として割り当ててもよい。カットオフ領域の場合と同じように、重み係数の初期選択は任意の許容される値で行ってもよいが、この選択は最適化処理に影響を与えうる。この点で、可能性のある最適位置近くに選択することは、最適化の実施者がより迅速に収束を行う助けとなりうる。好ましい方法では、許容される重み係数は0から1の範囲で、各マーカーの重み係数の初期値を0.5としてもよい。好ましい態様では、各マーカーの重み係数の初期値は、それ自体がマーカーの有効性と関連していてもよい。例えば、1つのマーカーについてROC曲線を作成し、ROC曲線下面積をそのマーカーの重み係数の初期値として用いてもよい。
【0086】
次に、2組のそれぞれにおける各被験体に関してパネル応答を算出してもよい。パネル応答は、各マーカー・レベルをマッピングした指標と各マーカーの重み係数の関数である。好ましい態様では、各被験体(j)のパネル応答(R)は以下のように表される:
Rj = ΣWiIi,j,
式中、iはマーカー指数であり、jは被験体指数であり、Wiはマーカーiの重み係数であり、Iは被験体jについてのマーカーiのマーカー・レベルをマッピングした指標の値であり、そしてΣは全候補マーカーiの総和である。“R”値を“パネル指数”と称する。
【0087】
マーカー値ではなく指標値を用いる利点の一つは、異常に高いまたは低いマーカー・レベルによって特定のマーカーに関する罹患または非罹患の診断の見込みが変化しないことである。一般に、一定レベルより高いマーカー値は一定の疾病状態を示す。そのレベルより高いマーカー値も、同じ確かさで疾病状態を示す。従って、異常に高いマーカー値が、その疾病状態の見込みが異常に高いことを示すとは限らない。カットオフ領域の片側で一定である指標を使用することにより、この問題を回避できる。
【0088】
パネル応答はマーカー・レベルおよび他の因子、例えば患者の人種および性別を含むいくつかのパラメータの一般関数であってもよい。パネル応答に寄与する他の因子には一定時間にわたる特定のマーカー値の傾きがある。例えば、患者が最初に病院に到着した時点で特定のマーカーを測定してもよい。同じマーカーを1時間後に測定し、変化のレベルをパネル応答に反映させてもよい。更に、更なるマーカーが他のマーカーから誘導され、パネル応答値に寄与してもよい。例えば、2つのマーカー値の比率がパネル応答の算出における因子であってもよい。
【0089】
それぞれの被験体組の各被験体でパネル応答を得た後、各組のパネル応答の分布を分析してもよい。有効パネルの選択を容易にするために目的関数を定義してもよい。目的関数は一般的にパネルの有効性を示すものであり、例えば罹患組の被験体のパネル応答と非罹患組の被験体のパネル応答の重複によって表される。このように、目的関数を最適化して、例えば重複を最小にすることによって、パネルの有効性を最大限にしてもよい。
【0090】
好ましい態様では、2組の被験体のパネル応答を表すROC曲線を用いて目的関数を定義してもよい。例えば、目的関数はROC曲線下面積を反映してもよい。曲線下面積を最大化することによって、マーカー・パネルの有効性を最大限にしてもよい。他の態様では、ROC曲線の他の特徴を用いて目的関数を定義してもよい。例えば、ROC曲線の傾きが1と等しくなる点は有用な特徴であり得る。他の態様では、感度および特異度の積が最大となる点を“ニー(knee)”と称することがあるが、これを用いてもよい。ある態様では、ニーでの感度が最大である。更なる態様では、既定の特異度レベルでの感度を用いて目的関数を定義してもよい。他の態様では、既定の感度レベルでの特異度を用いてもよい。更に別の態様では、これらROC曲線の特徴の2つまたはそれ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0091】
パネル中のマーカーの一つが診断を行う疾病または症状に特異的であることも可能である。それらのマーカーがある閾値より上または下であれば“陽性”試験結果を示すようにパネル応答を調整してもよい。しかしながら、閾値が満足のいくものでない場合でも、マーカーのレベルを可能性のある寄与因子として目的関数に使用してもよい。
【0092】
最適化アルゴリズムを用いて目的関数を最大化または最小化してもよい。最適化アルゴリズムは当業者に周知であり、それらには一般的に使用できる最小化または最大化関数(例えばSimplex法および他の制約付き最適化法)がある。当業者に理解されるように、いくつかの最小化関数は(局所的最小値ではなく)大域的最小値の探索の場合に、他より優れている。最適化処理で、各マーカーのカットオフ領域の位置およびサイズを変化させ、マーカーごとに少なくとも2自由度を提供してもよい。本明細書ではそれらの変数パラメータを独立変数と称する。好ましい態様では、最適化アルゴリズムの反復にわたって各マーカーの重み係数を変化させることができる。種々の態様では、これらのパラメータの順列を独立変数として使用してもよい。
【0093】
上記のパラメータに加え、各マーカーの向き(sense)を独立変数として用いてもよい。例えば多くの場合、あるマーカーがより高いレベルであることが一般に罹患状態または非罹患状態のいずれを示しているのか、知られていない。それらの場合、両側で最適化処理を行うのが有用であり得る。実際には、これはいくつかの方法で行ってもよい。例えば、ある態様では、向きは全く別個の独立変数であって、最適化処理でプラスとマイナスが逆転してもよい。あるいはまた、向きは重み係数をマイナスとすることによって行われる。
【0094】
最適化アルゴリズムは同様に一定の制約付きで構築してもよい。例えば得られるROC曲線を特定の値より高い曲線下面積となるように制約してもよい。曲線下面積が0.5であるROC曲線は完全な無秩序を示し、1.0の曲線下面積は2組が完全に分離されていることを示す。従って、特に目的関数に曲線下面積が組み込まれない場合、許容される最小値(例えば0.75)を制約として用いてもよい。他の制約には特定のマーカーの重み係数の制限がある。更なる制限によって、全ての重み係数の合計を特定の値(例えば1.0)に制限してもよい。
【0095】
最適化アルゴリズムの反復は一般に、制約を満たしつつ、目的関数を最小化または最大化させるように独立パラメータを変化させる。最適化処理において反復数を制限してもよい。更に、2つの連続する反復間の目的関数の相違が既定の閾値未満であって、最適化アルゴリズムが局所的最小値または最大値の領域に達したことが確認されたら、最適化処理を終了してもよい。
【0096】
従って、最適化処理によって、各マーカーの重み係数およびマーカー値を指標に対してマッピングするためのカットオフ領域を含むマーカー・パネルを得てもよい。その後、一定のマーカーを変化させるか、またはパネルから除去し、十分な結果が得られるまで処理を反復する。パネル中の各マーカーの有効な寄与を確認し、マーカーの相対的重要度を同定してもよい。ある態様では、最適化処理から得られた重み係数を用いて各マーカーの相対的重要度を決定してもよい。最も係数が低いマーカーを除去または置換してもよい。
【0097】
場合によっては、最も低い重み係数が最も低い重要度を示さないこともある。同様に、最も高い重み係数が最も高い重要度を示さないかも知れない。例えば、関連するマーカーが診断に無関係であっても、最適化処理によって高い係数となりうる。この場合、係数を低くする利点はないかもしれない。この係数を変化させても目的関数の値に影響しないかもしれない。
【0098】
試験の確度の測定を可能とするために、“ゴールド・スタンダード(gold standard)”となる試験基準を選択し、それによって前記の方法による比較のために被験体を2つまたはそれ以上の群に選択することができる。敗血症の場合、このゴールド・スタンダードは血液、尿、胸膜液、脳脊髄液、腹水、滑液、唾液、または他の組織標本の培養液からの微生物の回収であってもよい。これは、ゴールド・スタンダードに関してネガティブであれば敗血症に罹患していない、ということを示唆している;しかしながら上記のように、敗血症の有力な臨床的証拠を示す患者の50%以上は培養でネガティブである。この場合、敗血症の臨床的証拠は示すがゴールド・スタンダードの結果がネガティブである患者を比較群から除外してもよい。あるいはまた、確認されている敗血症被験体の初期比較として、健常コントロール被験体と比較してもよい。予後診断の場合、死亡率が一般的な試験基準である。
【0099】
試験の確度の基準はFischerら, Intensive Care Med. 29: 1043-51, 2003に記載されるようにして得てもよく、これを使用して所定のマーカーまたはマーカー・パネルの有効度を決定してもよい。これらの基準には感度および特異度、的中率、尤度比、診断オッズ比、およびROC曲線面積がある。上記のように、好適な試験およびアッセイはこれらの種々の基準について、下記の結果のうちの1つまたはそれ以上を示す:少なくとも75%の感度で少なくとも75%の特異度;ROC曲線面積が少なくとも0.6、好ましくは少なくとも0.7、より好ましくは少なくとも0.8、更に好ましくは少なくとも0.9、そして最も好ましくは少なくとも0.95;および/または陽性尤度比(=感度/(1-特異度))が少なくとも5、より好ましくは少なくとも10、そして最も好ましくは少なくとも20であり、陰性尤度比(=(1-感度)/特異度)が0.3またはそれ未満、より好ましくは0.2またはそれ未満、そして最も好ましくは0.1またはそれ未満。
【0100】
マーカー
アジポネクチン
アジポネクチン(ヒト前駆体:Swiss-Prot Q15848)は炎症および造血反応の負の調節因子である。血漿レベルの低下は肥満、インシュリン耐性、およびII型糖尿病にも関連する。
【0101】
アラニンアミノトランスフェラーゼ(血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)
アラニンアミノトランスフェラーゼ(ヒト前駆体:Swiss-Prot P24298)は肝臓および心臓で発現される酵素であり、肝臓または心臓が損傷を受けると血中に放出されうる。これは細胞での窒素代謝および肝臓でのグルコース新生に関与する。
【0102】
BNP3-108およびBNP79-108
B型ナトリウム利尿ペプチド(ヒト前駆体:Swiss-Prot P16860)はナトリウム利尿、利尿、血管緊張低下、並びにレニンおよびアルドステロンの分泌阻害を含む種々の生体作用を有する心臓ホルモンである。これは134残基の前駆体として合成され、開裂して108残基のプロBNP分子となる。プロBNP分子は更に開裂されて32残基の成熟BNP分子となる。
【0103】
プロBNPおよび成熟BNPのN-末端から最初の2個の残基が除去された循環BNP関連ペプチドが報告されている。例えば米国特許出願US2005/0148024参照。好ましいアッセイは“N-末端の分解に特異的”である。それらのアッセイは、BNP3-108(またはBNP79-108)を測定する際に等モル量のBNP1-108(またはBNP77-108)に比較して少なくとも5倍、最も好ましくは10倍またはそれ以上高いシグナルを生成するように構築する。
【0104】
PASP
カルボキシペプチダーゼB(ヒト前駆体:Swiss-Prot P15086)は標的タンパク質からのC-末端リジンおよびアルギニン残基の遊離を触媒する分泌膵酵素である。PASPはチモーゲン(プロカルボキシペプチダーゼB)として分泌され、95残基の活性化ペプチドの除去によって活性化される。活性型および活性化ペプチドはいずれも急性膵炎における重篤度のマーカーであると報告されている。PASPアッセイは、1つまたはそれ以上のプロカルボキシペプチダーゼB(活性型カルボキシペプチダーゼBではない)および活性化ペプチドを検出してもよい。好ましいPASPアッセイはプロカルボキシペプチダーゼB(活性型カルボキシペプチダーゼBではない)、活性型カルボキシペプチダーゼB(プロカルボキシペプチダーゼBではない)、またはプロおよび活性型の両方を検出する。
【0105】
CCL4
小型誘導性サイトカインA4(ヒト:Swiss-Prot P13236、別名マクロファージ炎症性タンパク質1β)はケモカインのC-Cモチーフ・ファミリーのメンバーである。CCL4はホモダイマーとしても、MIP-1α(4-69)とヘテロダイマーを形成する加工型のMIP-1β(3-69)としても存在し、CCR5およびCCR8と結合することが報告されている。
【0106】
CCL16
小型誘導性サイトカインA16(ヒト:Swiss-Prot O15467)はケモカインのC-Cモチーフ・ファミリーのメンバーである。CCL16はIL-10によって誘導されるが、リンパ球および単球の遊走能、並びに(可能性として)骨髄抑制活性を示す。
【0107】
CXCL5
小型誘導性サイトカインB5(ヒト前駆体:Swiss-Prot P42830、別名ENA-78)はインタークリン・アルファ(ケモカインCxC)ファミリーのメンバーである。N-末端加工型ENA-78(8-78)およびENA-78(9-78)は、末梢血単球からの分泌後、タンパク質開裂によって生成する。
【0108】
CXCL6
小型誘導性サイトカインB6(ヒト前駆体:Swiss-Prot P80162、別名顆粒球遊走タンパクGCP-2)はインタークリン・アルファ(ケモカインCxC)ファミリーのメンバーである。前駆体の残基40-114、43-114、および46-114を含有するN-末端加工型が報告されている。
【0109】
CXCL9
小型誘導性ケモカインB9(ヒト前駆体:Swiss-Prot Q07325、別名γ-インターフェロン誘導性モノカインまたはMIG)はインタークリン・アルファ(ケモカインCxC)ファミリーのメンバーである。
【0110】
sDR6(可溶性DR6)
腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー・メンバー21(ヒト前駆体:Swiss-Prot 075509、別名DR6)はアポトーシスに関係するI型膜タンパク質である。細胞外ドメイン配列を含有する可溶性循環型を測定してもよい。
【0111】
GSTA
グルタチオン-S-トランスフェラーゼ・アルファ(GSTA1ヒト:Swiss-Prot P08263;GSTA2ヒト:Swiss-Prot P09210;GSTA3ヒト:Swiss-Prot Q16772;GSTA4ヒト:Swiss-Prot 015217)はグルタチオンのタンパク質標的への移動を触媒するタンパク質ファミリーである。GSTA1およびGSTA2はホモダイマーまたはGSTA1およびGSTA2のヘテロダイマーとして存在する。他のアイソフォームはホモダイマーとして存在する。本明細書で使用するGSTAアッセイは、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ・アルファ・ファミリーのメンバーのうちの1つまたはそれ以上を検出するアッセイである。好ましいアッセイは、例えばGSTA1に対して産生させた抗体を用いて構築する。それらのアッセイはGSTA1ホモダイマーに加え、GSTAの循環型(GSTA2ホモダイマーおよびGSTA1/GSTA2ヘテロダイマーを含む)に結合することが必要とされうる。
【0112】
I-FABP
腸型脂肪酸結合タンパク質(ヒト:Swiss-Prot P12104)はトリグリセリド高含有リポタンパク質合成に関係していると信じられる。I-FABPは飽和長鎖脂肪酸には高い親和性で、不飽和長鎖脂肪酸には低い親和性で結合する。また、I-FABPは脂質センサーとしての機能によって、エネルギー・ホメオスタシスの保持の一端を担っている可能性がある。これは腸虚血のマーカーとして報告されている。例えば米国特許第5,225,329号参照。
【0113】
L-FABP
肝臓型脂肪酸結合タンパク質(ヒト:Swiss-Prot P82289)は直鎖および分枝鎖脂肪酸代謝に関与していると信じられる。例えばAtshavesら,J. Biol. Chem. 279:30954-65,2004参照。
【0114】
NGAL
好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(ヒト前駆体:Swiss-Prot P80188)はMMP-9とヘテロダイマーを形成するリポカリン・ファミリーのメンバーである。NGALは炎症による白血球の活性化により循環中に放出され、腎損傷の早期マーカーであることが報告されている。例えばWO2005/121788参照。
【0115】
PGRP-S
ペプチドグリカン認識タンパク質(ヒト前駆体:Swiss-Prot 075594)は先天性免疫に関与する分泌型タンパク質である。PGRP-Sは細菌のペプチドグリカン(N-アセチルグルコサミンおよびN-アセチルムラミン酸残基が交互に結合した直鎖から形成される細菌細胞壁中の層であり、各N-アセチルムラミン酸基は短い(4から5残基の)アミノ酸鎖に結合し、通常は異常アミノ酸であるD-アラニン、D-グルタミン酸、およびメソジアミノピメリン酸を含有する)に結合する。
【0116】
PLGF
胎盤成長因子(ヒト前駆体:Swiss-Prot P49763)は血管新生に関係する成長因子である。これはホモダイマーとしてもVEGFとのヘテロダイマーの両方としても循環する。好ましいアッセイはPLGF-1およびPLGF-2アイソフォームに関して“非感受性”である。“非感受性”のアッセイは、PLGF-1およびPLGF-2に関してこの語を使用する場合、等モル量のPLGF-1およびPLGF-2についてのアッセイ結果を比較すると5倍以内、より好ましくは2倍以内、そして最も好ましくは20%以内のシグナルを生成するように構築する。他の好ましいアッセイは他のアイソフォームに比較してPLGF-1およびPLGF-2アイソフォーム に“特異的”である。それらの“特異的”アッセイは、目的のPLGFアイソフォームを測定すると、等モル量の他のPLGFアイソフォームと比較して少なくとも5倍、最も好ましくは10倍またはそれ以上高いシグナルを生成するように構築する。
【0117】
プロテインC
プロテインC(ヒト前駆体:Swiss-Prot P04070)は血液凝固に関係するビタミンK依存性セリンプロテアーゼである。プロテインCは1本鎖前駆体として合成され、ジスルフィド結合によって結合された軽鎖および重鎖に開裂される。その後、トロンビンによってアミノ末端からペプチドが開裂され、潜在型の酵素が活性化される。好ましいアッセイは潜在型に比較して“活性型プロテインCに特異的”である。それらの“特異的アッセイ“は活性型プロテインCを測定すると等モル量の潜在型プロテインCに比較して少なくとも5倍、最も好ましくは10倍またはそれ以上のシグナルを生成するように構築する。他の好ましいアッセイは潜在型に特異的であり、潜在型プロテインCを測定すると等モル量の活性型プロテインCに比較して少なくとも5倍、最も好ましくは10倍またはそれ以上のシグナルを生成するように構築する。更に別の好ましいアッセイは活性型プロテインCおよび潜在型プロテインCの両方を検出し、等モル量の潜在型および活性型プロテインCを測定すると5倍以内、より好ましくは2倍以内、そして最も好ましくは20%以内のシグナルを生成するようにアッセイを構築する。
【0118】
IL2sRA(IL-2可溶性受容体アルファ)
IL-2受容体アルファ・サブユニット(ヒト前駆体:Swiss-Prot P01589)はインターロイキン2に結合するI型膜タンパク質である。この膜結合型受容体はベータ鎖で形成されたヘテロダイマーである。細胞外ドメイン配列を有する可溶性循環型を測定してもよい。
【0119】
LIGHT
腫瘍壊死因子リガンド・スーパーファミリー・メンバー14(ヒト:Swiss-Prot 043557)はTNFRSF3に結合してNFΚBを活性化し、T細胞の増殖を刺激するサイトカインである。II型膜タンパク質型(Swiss-Prot 043557-1)および可溶型(Swiss-Prot 043557-2)の両方が報告されている。
【0120】
MMP7
マトリクス・メタロプロテアーゼ-7(ヒト前駆体:Swiss-Prot P09237)はカゼイン、I型、III型、IV型、およびV型ゼラチン、並びにフィブロネクチンを加水分解し、プロコラゲナーゼを活性化する金属結合型タンパク分解酵素である。多くのMMP同様、MMP7は不活性な“潜在型”プロタンパク質として分泌され、活性化ペプチドの開裂によって活性化される。MMP7はMMPファミリーのほとんどのメンバーと異なり、保存されたC-末端タンパク質ドメインを有さない。
【0121】
スフィンゴシンキナーゼI
スフィンゴシンキナーゼI(ヒト:Swiss-Prot Q9NYA1)はスフィンゴシンのホスホリル化を触媒し、脂質メディエーターであるスフィンゴシン1リン酸を生成させる。これはカルシウム結合タンパク質、カルモジュリンに結合する。
【0122】
sTREM-1(可溶性TREM-1)
骨髄性細胞1上で発現されるトリガー受容体(ヒト前駆体:Swiss-Prot Q9NP99)は細菌および真菌感染に対する炎症反応に関係するI型膜タンパク質である。細胞外ドメイン配列を含有する可溶性循環型を測定してもよい。
【0123】
TREM-1sv(TREM-1可溶性変異体)
骨髄性細胞1上で発現されるトリガー受容体の可溶性変異体(ヒト前駆体:Swiss-Prot Q9NP99-2)であるTREM-1svは生体サンプル中で検出可能である。
【0124】
sTNFRSF3(可溶性TNFRSF3)
腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー・メンバー3(ヒト前駆体:Swiss-Prot P36941)は、LTAおよびLTBを含有するヘテロトリマー・リンホトキシン、並びにTNFS14/LIGHTの受容体として作用するI型膜タンパク質である。細胞外ドメイン配列を含有する可溶性循環型を測定してもよい。
【0125】
sTNFRSF7(可溶性TNFRSF7)
腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー・メンバー7(ヒト前駆体:Swiss-Prot P26842、別名CD27またはCD27リガンド受容体)はTNFSF7/CD27Lの受容体として作用するI型膜タンパク質である。細胞外ドメイン配列を含有する可溶性循環型を測定してもよい。
【0126】
sTNFRSF11A(可溶性TNFRSF11A)
腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー・メンバー11A(ヒト前駆体:Swiss-Prot Q9Y6Q6、別名RANK)はTNFSF11/RANKL/TRANCE/OPGLの受容体として作用するI型膜タンパク質である。RANKはTRAF1、TRAF2、TRAF3、TRAF5、およびTRAF6と相互作用する。細胞外ドメイン配列を含有する可溶性循環型を測定してもよい。
【0127】
TNF-sR14(可溶性TNFRSF14)
腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー・メンバー14(ヒト前駆体:Swiss-Prot Q92956)はTNFSF14(LIGHT)の受容体として作用するI型膜タンパク質であり、リンパ球の活性化に関係する。細胞外ドメイン配列を含有する可溶性循環型を測定してもよい。
【0128】
UCRP
ユビキチン交差反応タンパク質(ヒト前駆体:Swiss-Prot P05161、別名インターフェロン誘導性17kDaタンパク質)はユビキチンと同様の方法で、しかし別の酵素経路を介して、一定の標的タンパク質にコンジュゲートする。標的にはSERPINA3G、JAK1、MAPK3、およびPLCG1がある。C-末端オクタペプチドを除去すると15kDaの成熟型となる。
【0129】
uPAR
ウロキナーゼ型プラスミノーゲン・アクチベーター表面受容体(ヒト前駆体:Swiss-Prot Q03405)はウロキナーゼ型プラスミノーゲン・アクチベーターの受容体であるGPIアンカー型膜タンパク質である。分泌型スプライス変異体も報告されている。
【0130】
本明細書に記載するマーカーおよび/またはその関連マーカーから成るパネルを構築し、目的の診断に関係する必要情報を得てもよい。それらのパネルは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上の個別マーカーを使用して構築してもよい。当業者は単一のマーカー、またはより大きなマーカー・パネルを含むマーカー・サブセットの分析を行い、種々の臨床状況における臨床的感度または特異度を最適化することができる。これらには、限定されるわけではないが外来、緊急診療、救命救急診療、集中治療、モニタリングユニット、入院患者、外来患者、診療所、クリニック、および健康診断の状況がある。更に、当業者は単一のマーカー、またはより大きなマーカー・パネルを含むマーカー・サブセットを、前記の各状況で診断域の調整をしながら使用し、臨床的感度および特異度を最適化することができる。
【0131】
以下の表に、本発明で使用するための更なる好ましいマーカーの一覧を示す。更なる詳細は米国特許出願US2005/0148029号に記載されており、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載するように、これらの各マーカーに関連するマーカーも本発明に包含される。
【0132】
【表1】

【0133】
【表2】

【0134】
【表3】

【0135】
【表4】

【0136】
【表5】

【0137】
【表6】

【0138】
【表7】

【0139】
【表8】

【0140】
【表9】

【0141】
タンパク質の修飾および敗血症
ユビキチン介在型タンパク分解は多くの過程、例えば細胞外物質が細胞内に取り込まれる経路、細胞膜からの生化学シグナルの移動、および細胞機能の調節(例えば転写オン/オフスイッチ)の制御において重要な役割を果たす。ユビキチン系は免疫の応答および構築との関係が明らかになっている。ユビキチンは分解の標的となるタンパク質にコンジュゲートする76アミノ酸のポリペプチドである。ユビキチン-タンパク質コンジュゲートはユビキチンをタンパク質から分離させる26Sタンパク分解複合体によって認識され、次いで分解される。
【0142】
敗血症は骨格筋中の非リソソーム系エネルギー依存型タンパク分解経路によるタンパク質分解を刺激すると報告されているが、ユビキチンmRNAの筋肉レベルも上昇したために、結果は、敗血症によって誘導される筋タンパク質の分解はエネルギー・ユビキチン依存型タンパク分解経路の亢進的活性化によって起こることを示していると解釈された。同じタンパク分解経路が除神経、絶食、アシドーシス、癌、および火傷によって起こる筋肉の分解と関連づけられている。従って、一般的にはユビキチン化されたタンパク質、または特異的ユビキチン-タンパク質コンジュゲートもしくはそのフラグメントのレベルは、本発明の更なるマーカーとして測定できる。Tiaoら, J. Clin. Invest. 99: 163-168, 1997参照。更に、ユビキチンそのものの循環レベルは本明細書に記載する方法において有用なマーカーであり得る。例えばMajetschakら,Blood 101:1882-90, 2003参照。
【0143】
興味深いことに、タンパク質またはタンパク質フラグメントのユビキチン化によって、敗血症の非特異的マーカーがより特異的なマーカーに変換されうる。例えば筋肉損傷によって循環中の筋肉タンパク質の濃度は増加する。しかし敗血症では、ユビキチン化経路の特異的かつ亢進的調節によって、ユビキチン化された筋肉タンパク質の増加が起こり、従って、非特異的筋肉損傷と敗血症によって誘導される筋肉損傷を識別することができる。
【0144】
当業者に認識されるように、ユビキチン・アッセイは、ユビキチンそのもの、ユビキチン-タンパク質コンジュゲート、またはユビキチンおよびユビキチン-タンパク質コンジュゲートの両方を認識するように構築してもよい。例えばサンドイッチ免疫アッセイに使用する抗体は、固相抗体および標識された抗体がいずれも、コンジュゲートしていないユビキチンおよびユビキチン・コンジュゲートの両方にある結合可能なユビキチンの一部を認識するように構築する。あるいはまた、筋タンパク質トロポニンのユビキチン・コンジュゲートに特異的なアッセイは、ユビキチンを認識する抗体(固相上または標識)およびトロポニンを認識する第2の抗体(他の固相上または標識)を用いてもよい。
【0145】
本発明は本明細書に記載する任意のマーカーのユビキチン・コンジュゲートの測定を意図する。マーカーとして検出するのに好ましいユビキチン-筋タンパク質コンジュゲートには、限定されるわけではないがトロポニンI-ユビキチン、トロポニンT-ユビキチン、トロポニンC-ユビキチン、二元および三元トロポニン複合体-ユビキチン、アクチン-ユビキチン、ミオシン-ユビキチン、トロポミオシン-ユビキチン、およびαアクチニン-ユビキチン、並びにそれに関連するユビキチン化されたマーカーがある。
【0146】
同様に、本明細書に記載するマーカーの改変体またはそれらに関連するマーカーを検出してもよい。例えばニトロチロシン、クロロチロシン、および/またはブロモチロシンは敗血症におけるミエロペルオキシダーゼの作用によって形成されうる。例えば米国特許第6,939,716号参照。ニトロチロシン、クロロチロシン、および/またはブロモチロシンのアッセイは、これらの個別の修飾されたアミノ酸のうちの1つもしくはそれ以上、修飾されたアミノ酸のうちの1つもしくはそれ以上を含有する1つもしくはそれ以上のマーカー、または修飾されたアミノ酸(単数または複数)および修飾されたマーカー(単数または複数)の両方を認識するように構築してもよい。
【0147】
代表的なSIRSマーカーおよびマーカー・パネル
代表的なマーカーおよびマーカー・パネルの構築は、好ましくは敗血症を診断し、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、および/またはMODSを他のSIRSの原因と識別し、敗血症患者におけるリスクの層別化を促進し、そして最も好ましくは被験体を治療するように行う。潜在型、活性型、および/または総プロテインC、BNP3-108、BNP79-108、CCL4、CXCL6、sDR6、グルタチオン-S-トランスフェラーゼA、腸型脂肪酸結合タンパク質、プラセンタ成長因子、IL2sRA、スフィンゴシンキナーゼI、並びにuPARに加え、特に好ましいマーカーは以下である:マトリクス・メタロプロテアーゼ9(MMP-9)、インターロイキン-1β(IL-1β)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-8(IL-8)、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-22(IL-22)、IL-1受容体アゴニスト(IL-1ra)、CXCL6、CXCL13、CXCL16、CCL8、CCL19、CCL20、CCL23、CCL26、D-ダイマー、HMG-1、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、B型ナトリウム利尿タンパク質(BNP)、A型ナトリウム利尿タンパク質(ANP)、B型ナトリウム利尿タンパク質(BNP)、C-反応性タンパク質(CRP)、カスペース-3、カルシトニン、プロカルシトニン3-116、可溶性DPP-IV、可溶性FASリガンド(sFasL)、クレアチンキナーゼ-BB(CK-BB)、血管内皮増殖因子(VEGF)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、および可溶性細胞間接着分子(sICAM-1)、または免疫学的に検出可能な関連するポリペプチド(これらのタンパク質のフラグメントまたはその生合成前駆体を含む)。
【0148】
好ましいパネルは以下を含む:1つもしくはそれ以上の炎症関連マーカーおよび1つもしくはそれ以上の血圧調節関連マーカー;1つもしくはそれ以上の炎症関連マーカーおよび1つもしくはそれ以上の凝固および止血関連マーカー;または、1つもしくはそれ以上の炎症関連マーカー、1つもしくはそれ以上の凝固および止血関連マーカー、および1つもしくはそれ以上の血圧調節関連マーカー。
【0149】
アッセイ測定法
本発明のマーカーを検出および分析するための多くの方法および装置は当業者に周知である。患者の試験サンプル中のポリペプチドまたはタンパク質に関しては、多くの場合、免疫アッセイ装置および方法が使用される。例えば米国特許第6,143,576号;6,113,855号;6,019,944号;5,985,579号;5,947,124号;5,939,272号;5,922,615号;5,885,527号;5,851,776号;5,824,799号;5,679,526号;5,525,524号;および5,480,792号参照(それぞれ、全ての表、図面、および特許請求の範囲を含むその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。これらの装置および方法は、種々のサンドイッチ、競合、または非競合アッセイ形式において標識された分子を利用し、目的の分析物の存在または量に関係するシグナルを生成させることができる。更に、一定の方法および装置、例えばバイオセンサーおよび光学免疫アッセイを使用して、標識された分子を必要とせずに分析物の存在または量を測定してもよい。例えば米国特許第5,631,171号および第5,955,377号参照(それぞれ、全ての表、図面、および特許請求の範囲を含むその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。また、当業者に認識されるように、本明細書に記載する免疫アッセイを実施することのできる免疫アッセイ分析装置の中にはロボット装置(限定されるわけではないが例えばBeckman Access、Abbott AxSym、Roche ElecSys、Dade Behring Stratusシステム)がある。
【0150】
マーカーの分析は免疫アッセイ(最も好ましくはサンドイッチ免疫アッセイ)を用いて行うのが好ましいが、他の方法も当業者に周知である(例えばマーカーRNAレベルの測定)。マーカーの存在または量は、一般に各マーカーに特異的な抗体を用い、特異的結合を検出することによって測定する。任意の好適な免疫アッセイを使用してもよく、それらには例えば酵素結合型免疫アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、競合結合アッセイなどがある。抗体のマーカーへの特異的免疫学的結合は直接または間接的に検出してもよい。直接標識には蛍光または発光タグ、金属、色素、放射性核種などが抗体に結合したものがある。間接標識には当業者に周知の種々の酵素、例えばアルカリホスファターゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼなどがある。
【0151】
マーカーに特異的な固定化された抗体の使用も本発明で企図される。抗体は種々の固相支持体上に固定化してもよく、それらには例えば磁気またはクロマトグラフィー充填剤粒子、アッセイ箇所(例えばマイクロタイターウェル)の表面、固体担体物質片または膜(例えばプラスチック、ナイロン、紙)などがある。固相支持体上に抗体または配列させた複数の抗体をコーティングして、アッセイ・ストリップを調製することができる。次いでこのストリップを試験サンプルに浸漬した後、洗浄および検出段階で迅速に処理し、測定可能なシグナル(例えば着色スポット)を得る。
【0152】
マーカーの個別または連続アッセイでは、好適な装置には臨床検査分析装置、例えばElecSys(Roche)、AxSym(Abbott)、Access(Beckman)、AD VIA(登録商標)CENTAUR(登録商標)(Bayer)免疫アッセイシステム、NICHOLS ADVANTAGE(登録商標)(Nichols Institute)免疫アッセイシステムなどがある。好ましい装置は、1つの検査装置で複数のマーカーの同時アッセイを行う。特に有用な物理フォーマットは、複数の異なる分析物を検出するための複数の分離した、独立して処理できる箇所を有する表面を含む。それらのフォーマットにはタンパク質マイクロアレイまたは“タンパク質チップ”(例えばNgおよびIlag, J. Cell Mol. Med. 6:329-340(2002)参照)およびある種のキャピラリー装置(例えば米国特許第6,019,944号参照)がある。これらの態様では、分離した表面箇所のそれぞれは、各箇所での検出のために1つまたはそれ以上の分析物(単数または複数)(例えばマーカー)を固定化する抗体を含んでもよい。あるいはまた、表面は表面の分離した位置に固定化された1つまたはそれ以上の分離した粒子(例えばマイクロ粒子またはナノ粒子)を含んでもよく、マイクロ粒子は検出のために1つの分析物(例えばマーカー)を固定化する抗体を含む。
【0153】
本発明の好ましいアッセイ装置は、1つまたはそれ以上のアッセイのために、固相にコンジュゲートした第1の抗体およびシグナル発生要素にコンジュゲートした第2の抗体を含む。それらのアッセイ装置は1つまたはそれ以上の分析物のためのサンドイッチ免疫アッセイを実施するように構築される。これらのアッセイ装置は好ましくはサンプル適用ゾーン、およびサンプル適用ゾーンから固相にコンジュゲートした第1の抗体を含む第2の装置内領域への流路を更に含む。
【0154】
流路に沿ったサンプルの流れは受動的(例えばキャピラリー、静水、または一度サンプルを適用すれば装置の更なる操作を必要としない他の力による)、能動的(例えば機械ポンプ、電気浸透ポンプ、遠心力、高空気圧などを介して生じる力の適用による)、または受動的および能動的駆動力を組み合わせたものによって駆動してもよい。最も好ましくは、サンプル適用ゾーンに適用したサンプルは流路に従って、固相にコンジュゲートした第1の抗体およびシグナル発生要素にコンジュゲートした第2の抗体の両方に接触する(サンドイッチアッセイ形式)。当業者の必要に応じて、更なる要素、例えば血漿または血清を血液から分離するフィルター、混合チャンバーなどを含ませてもよい。代表的な装置はThe Immunoassay Handbook(第2版)David Wild(編), Nature Publishing Group, 2001の41章に“Near Patient Tests: Triage(登録商標)Cardiac System”のタイトルで記載されている(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0155】
上記のマーカーから成るパネルを構築し、鑑別診断に関係する必要情報を得てもよい。それらのパネルは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、もしくはそれ以上、または個別のマーカーを用いて構築してもよい。当業者は単一のマーカー、またはより大きなマーカー・パネルを含むマーカー・サブセットの分析を行い、種々の臨床状況における臨床的感度または特異度を最適化することができる。これらには、限定されるわけではないが外来、緊急診療、救命救急診療、集中治療、モニタリングユニット、入院患者、外来患者、診療所、クリニック、および健康診断の状況がある。更に、当業者は単一のマーカー、またはより大きなマーカー・パネルを含むマーカー・サブセットを、前記の各状況で診断域の調整をしながら使用し、臨床的感度および特異度を最適化することができる。アッセイの臨床的感度はそのアッセイが正確に予測する罹患者のパーセンテージとして定義され、アッセイの特異度はそのアッセイが正確に予測する非罹患者のパーセンテージとして定義される(Tietz Textbook of Clinical Chemistry(第2版), Carl BurtisおよびEdward Ashwood(編), W.B. Saunders and Company, p. 496)。
【0156】
マーカーの分析は種々の物理フォーマットで同様に実施できる。例えば、マイクロタイタープレートの使用または自動化によって大量の試験サンプルの処理を容易にすることができる。あるいはまた、単一サンプル形式を構築し、例えば外来輸送(ambulatory transport)または緊急治療室の状況で、時機を逸することなく迅速な治療および診断を行う助けとしてもよい。
【0157】
別の態様では、本発明はマーカー分析のためのキットを提供する。好ましくはそれらのキットは少なくとも1つの試験サンプルを分析するための装置および試薬、並びにアッセイを実施するための説明書を含む。必要により、キットは一定の診断を確定または除外するためにマーカー・パネルについて実施する免疫アッセイから得られる情報を使用するための1つまたはそれ以上の方法を含んでもよい。本明細書に記載する方法に適用できる他の測定法にはクロマトグラフィー(例えばHPLC)、質量分析法、受容体に基づくアッセイ、およびそれらを組み合わせたものがある。
【0158】
抗体の選択
抗体の産生および選択を行うにはいくつかの方法がある。例えばある方法は目的のポリペプチドを精製するか、または(例えば当該分野で周知の固相ペプチド合成法によって)目的のポリペプチドを合成するものである。例えばGuide to Protein Purification, Murray P. Deutcher(編), Meth. Enzymol. Vol 182 (1990);Solid Phase Peptide Synthesis, Greg B. Fields(編), Meth. Enzymol. Vol 289 (1997);Kisoら, Chem. Pharm. Bull. (Tokyo) 38: 1192-99, 1990;Mostafaviら, Biomed. Pept. Proteins Nucleic Acids 1: 255-60, 1995;Fujiwaraら, Chem. Pharm. Bull. (Tokyo) 44: 1326-31, 1996参照。次いで、選択されたポリペプチドを、例えばマウスまたはウサギに投与し、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体を産生させる。当業者に認識されるように、例えばAntibodies, A Laboratory Manual(編), Harlow and David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory (1988), Cold Spring Harbor, N.Y.に記載されるように、抗体の産生のための多くの方法がある。当業者に認識されるように、抗体を模倣した結合フラグメントまたはFabフラグメントを種々の方法で遺伝情報から調製することもできる(Antibody Engineering:A Practical Approach (Borrebaeck, C(編)), 1995, Oxford University Press, Oxford;J. Immunol. 149, 3914-3920 (1992))。
【0159】
更に、選択した標的への結合に関するポリペプチド・ライブラリーの構築およびスクリーニングを行うためのファージディスプレー法の使用が多くの文献に報告されている。例えばCwirlaら, Proc. Natl Acad. Sci USA 87, 6378-82, 1990;Devlinら, Science 249, 404-6, 1990, ScottおよびSmith, Science 249, 386-88, 1990;およびLadnerら, 米国特許第5,571,698号参照。ファージディスプレー法の基本コンセプトはスクリーニングすべきポリペプチドをコードするDNAおよびポリペプチド間の物理的結合の構築である。この物理的結合は、ポリペプチドをコードするファージゲノムを封入したカプシドの一部としてポリペプチドを提示するファージ粒子によって得られる。ポリペプチドおよびその遺伝物質間の物理的結合の確立によって、異なるポリペプチドを保有する大量のファージの同時マススクリーニングが可能となる。標的に対する親和性を有するポリペプチドを提示するファージは標的に結合し、これらのファージは標的に対するアフィニティースクリーニングによって濃縮される。これらのファージから提示されるポリペプチドの同一性はその各ゲノムから決定される。その後これらの方法を用いて、所望の標的に対して結合親和性を有すると同定されたポリペプチドを慣例的な方法によって大量合成できる。例えば米国特許第6,057,098号参照(全ての表、図面、および特許請求の範囲を含むその全体が、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0160】
これらの方法で生成した抗体を、まず精製された目的のポリペプチドとの親和性および特異度に関してスクリーニングし、必要により、その結果を結合から排除されることが所望されるポリペプチドと抗体との親和性および特異度と比較することによって選択してもよい。スクリーニング法は、マイクロタイタープレートの分離されたウェルに精製されたポリペプチドを固定化させることを伴ってもよい。その後、有望な抗体または抗体群を含む溶液をそれぞれのマイクロタイターウェルに注入し、約30分から2時間インキュベートする。次いでマイクロタイターウェルを洗浄し、標識した2次抗体(例えば産生される抗体がマウス抗体の場合、アルカリホスファターゼにコンジュゲートした抗マウス抗体)をウェルに添加し、約30分間インキュベートした後、洗浄する。ウェルに基質を添加し、固定化されたポリペプチド(単数または複数)に対する抗体が存在する箇所を色素反応で明らかにする。
【0161】
その後、そのようにして同定した抗体を、選択したアッセイ設計における親和性および特異度について更に分析してもよい。標的タンパク質に関する免疫アッセイの構築では、精製した標的タンパク質は、既に選択が行われた抗体を用いる免疫アッセイの親和性および特異度の判定のための標準物質の役割をする。種々の抗体の結合親和性は異なりうる;抗体対(例えばサンドイッチアッセイで)は立体的に互いに干渉しうる、などのため、抗体のアッセイ挙動は、抗体の絶対的な親和性および特異度よりも重要な基準である。
【0162】
当業者に認識されるように、抗体または結合フラグメントの生成、並びに種々のポリペプチドに対する親和性および特異度に関するスクリーニングおよび選択において多くの方法を取りうるが、これらの方法は本発明の範囲に変化を与えない。
【0163】
治療計画の選択
特定の非特異的兆候の考え得る原因は多種多様な疾病でありうるため、これらの可能性のある原因に対する好適な治療も同様に多種多様でありうる。しかしながら、一度診断が下されると、臨床医はその診断に適合する治療計画を容易に選択することができる。本明細書に記載する診断法に関連して検討される多数の疾患についての好適な治療は当業者に周知である。例えばMerck Manual of Diagnosis and Therapy(第17版) Merck Research Laboratories, Whitehouse Station, NJ, 1999参照。SIRS、重症敗血症、および敗血症性ショックに関しては、最近のガイドラインから臨床医のための更なる情報が得られる。例えばDellingerら, Crit. Care Med. 32:858-73, 2004参照(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0164】
本発明を用いて任意のSIRSに関連する(すなわちSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、およびMODSに適用できる)治療を行うべきか否かを決定しても全く問題ないが、好ましくは、SIRSに関連する治療計画のうちの2つまたはそれ以上の可能な選択肢の中から特定の治療計画を確定するために本発明を用いる。例えば代表的な態様では、本発明を用いて被験体に標準的な治療または早期目標指向型治療を行うべきか否かを決定する。従って、本明細書に記載する方法および組成物を用いて以下の治療のうちの1つまたそれ以上を選択し、治療計画に加えてもよい:抗生物質の静脈内投与;中心静脈圧を8-12mmHgに保持すること;晶質および/またはコロイドを投与し、好ましくはそれらの中心静脈圧に保持すること;平均動脈圧を≧65mmHgに保持すること;1つまたはそれ以上の血管収縮剤(例えばノルエピネフリン、ドーパミン、および/またはバソプレシン)および/または血管拡張剤(例えばプロスタサイクリン、ペントキシフィリン、N-アセチル-システイン)の投与;1つまたはそれ以上の副腎皮質ステロイド(例えばヒドロコルチゾン)の投与;組換え活性型プロテインCの投与;中心静脈血酸素飽和度≧70%に保持すること;輸血赤血球を投与してヘマトクリット値を少なくとも30%とすること;1つまたはそれ以上の変力剤(例えばドブタミン)の投与;および人工呼吸器の施与。
【0165】
このリストは制限を意味するものではない。更に、本明細書に記載する方法および組成物から予後に関する情報が得られるため、本発明のパネルおよびマーカーを使用して治療経過をモニタリングしてもよい。例えば予後状態の改善または悪化は特定の治療が有効であるか否かを示す。
【実施例】
【0166】
以下の実施例は本発明を例証するためのものである。これらの実施例は本発明の範囲を全く制限しないことを意図する。
【0167】
実施例1 被験体群およびサンプル採取
Biosite社が実施する敗血症の前向き研究の一環として、米国内の10カ所の臨床現場で疾病の範疇に含まれる被験体を登録した。登録基準は以下の通りである:18歳以上で2つまたはそれ以上のSIRS基準を有して来院し、感染が確認されたか、もしくはその疑いがあり、そして/または乳酸レベルが2.5mmol/Lより高い。除外の基準は以下の通りである:妊娠、心停止、および蘇生禁止(DNR)指示患者。訓練を受けた人員が、抗凝血剤としてEDTAを含有する標準的な血液採取管にサンプルを採取した。遠心分離によって血漿を細胞から分離して凍結し、分析まで-20℃以下で保存した。血漿は1時間以内に凍結した。各患者の病歴を入手でき、これはアッセイデータの統計分析の一助となる。患者の最終診断は、臨床現場において医師が、各臨床現場で使用される標準的な医療基準を用いて行った。患者は全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、または多臓器不全症候群(MODS)と診断された。
【0168】
明らかに健康な血液ドナー由来のサンプルをGolden West Biologicals社(Temecula, CA)から購入し、既定のプロトコールに従って回収した。臨床上の疑いまたは疾病の証拠がない健常者からサンプルを採取した。訓練を受けた人員が、抗凝血剤としてEDTAを含有する標準的な採血管に血液を採取した。遠心分離によって血漿を細胞から分離して凍結し、分析まで-20℃以下で保存した。
【0169】
実施例2 生化学分析
標準的な免疫アッセイを用いて分析物(例えばマーカーおよび/またはそれに関連するポリペプチド)を測定した。これらの技術は目的の分析物(単数または複数)に特異的に結合する抗体の使用を伴う。TECAN Genesis RSP 200/8もしくはPerkin Elmer Minitrak Workstationsを用いて、またはBiosite社製のマイクロ流体素子を用い、本質的にWO98/43739、WO98/08606、WO98/21563、およびWO93/24231に記載されるように免疫アッセイを実施した。目的の分析物の特徴および濃度範囲によって、サンドイッチ免疫アッセイ、または必要により競合免疫アッセイを用いて分析物の測定を行ってもよい。分析のために、血漿のアリコートを解凍し、下記のようにサンプルを分析した。活性型プロテインCにベンズアミジンを添加して最終濃度2mMとした。
【0170】
精製されたタンパク質(選択した分析物と同じであるか、またはそれに関連するものであり、アッセイで検出可能なもの)を、サンプル集団標本と同様に処理したEDTA血漿に重量測定的に希釈したものを使用して、アッセイのキャリブレーションを行った。精製したマーカータンパク質の添加以前に血漿中に存在する分析物の内因性レベルを測定し、マーカー値をキャリブレーター中に割り当てる際に考慮に入れた。キャリブレーター中の内因性レベルを減少させる必要がある場合には、標準的な免疫アフィニティー法を用いて内因性分析物を血漿から除去した。サンプル集団標本と同様にしてキャリブレーターのアッセイを行い、得られたデータを用いて“用量応答”曲線(分析物濃度の関数としてのアッセイシグナル)を作成したが、これを使用して被験体標本から得られるアッセイシグナルから分析物濃度を測定してもよい。
【0171】
個々のアッセイを以下のマーカーと結合するように構築したが、結果は以下の単位を用いて以下の実施例で報告する:アジポネクチン(ng/mL);アドレノメジュリン(pg/mL);アンジオテンシノーゲン(μg/mL);アポリポタンパク質C1(ng/mL);BigET-1(pg/mL);BNP(pg/mL);BNP1-108(pg/mL);BNP3-108(pg/mL);BNP79-108(pg/mL);カルシトニン(pg/mL);カスペース-3(ng/mL);CCL4(pg/mL);CCL5(ng/mL);CCL8(ng/mL);CCL16(ng/mL);CCL19(ng/mL);CCL20(pg/mL);CCL23(ng/mL);CCL26(pg/mL);CK-BB(ng/mL);CK-MB(ng/mL);CRP(μg/mL);CXCL5(pg/mL);CXCL6(pg/mL);CXCL9(ng/mL);CXCL13(pg/mL);CXCL16(ng/mL);相補的C3A(ng/mL);シスタチンC(ng/mL);D-ダイマー(ng/mL);sDR6(ng/mL);sFasL(ng/mL);グルタチオン-S-トランスフェラーゼA(ng/mL);HSP-60(ng/mL);HMG-1(ng/mL);sICAM-1(ng/mL);I-FABP(ng/mL);IGFBP-1(ng/mL);IL2sRA(ng/mL);IL-10(pg/mL);IL-1β(pg/mL);IL-1ra(pg/mL);IL-6(pg/mL);IL-8(pg/mL);IL-22(pg/mL);MCP1(pg/mL);MIF(pg/mL);MMP-9(ng/mL);MPO(ng/mL);プロテインC(活性型または活性型+潜在型の総和)(ng/mL);ミオグロビン(ng/mL);NGAL(ng/mL);PAI-1(pg/mL);PLGF(pg/mL);Pten(ng/mL);肺サーファクタント・プロテインA(ng/mL);、肺サーファクタント・プロテインB(ng/mL);肺サーファクタント・プロテインD(ng/mL);RAGE(ng/mL);スフィンゴシンキナーゼI(ng/mL);TIMP-1(μg/mL);TNF-α(pg/mL);TNFR1a(pg/mL);sTNFRSF3(ng/mL);sTNFRSF7(ng/mL);sTNFRSF11A(ng/mL);sTNFRSF14(pg/mL);sTREM-1(ng/mL);TREM-1sv(ng/mL);組織因子(pg/mL);UCRP(ng/mL);uPAR(ng/mL);およびVCAM-1(ng/mL)。
【0172】
実施例3 マイクロタイタープレートに基づく生化学分析
マイクロタイタープレートでのサンドイッチ免疫アッセイで、選択した分析物に対するモノクローナル抗体をビオチン化した(N-ヒドロキシスクシンイミドビオチン(NHS-ビオチン)を抗体あたり約5部の割合で使用)。その後、抗体-ビオチン・コンジュゲートを標準的なアビジン384ウェル・マイクロタイタープレートのウェルに添加し、プレートに結合しなかった抗体コンジュゲートを除去した。これによってマイクロタイタープレート中に“抗マーカー”を生成した。同じ分析物に対する別のモノクローナル抗体をアルカリホスファターゼにコンジュゲートさせた(例えばスクシンイミジル4-[N-マレイミドメチル]-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)およびN-スクシンイミジル3-[2-ピリジルジチオ]プロピオネート(SPDP)(Pierce, Rockford, IL)を使用)。
【0173】
ビオチン化された抗体を予めアビジンでコーティングしておいたマイクロタイタープレートにピペッティングし、60分間インキュベートした。未結合の抗体を含む溶液を除去し、ウェルを洗浄バッファー(150mM NaCl、0.1%アジ化ナトリウム、および0.02% Tween-20を含有する20mMホウ酸塩(pH 7.42)から成る)で洗浄した。添加したHAMA阻害剤を含有する血漿サンプル(10μL、またはCCL4の場合は20μL)をマイクロタイタープレートのウェルにピペッティングし、60分間インキュベートした。次いでサンプルを除去し、ウェルを洗浄バッファーで洗浄した。その後、抗体-アルカリホスファターゼ・コンジュゲートをウェルに添加し、更に60分間インキュベートした後、抗体コンジュゲートを除去し、ウェルを洗浄バッファーで洗浄した。基質(AttoPhos(登録商標), Promega, Madison, WI)をウェルに添加し、蛍光産物の生成速度を、試験したサンプル中の分析物の濃度と相関させた。
【0174】
マイクロタイタープレートでの競合免疫アッセイでは、選択した分析物に対するマウスモノクローナル抗体をマイクロタイタープレートのウェルに添加し、予めマイクロタイタープレートのウェル表面に吸着させておいたヤギ抗マウス抗体(Pierce, Rockford, IL)に結合させて固定化した。60分間のインキュベーション後、未結合のマウスモノクローナル抗体を除去した。これによってマイクロタイタープレート中に“抗マーカー”を生成した。選択した分析物と同じ、またはそれに関係し、モノクローナル抗体が結合できる精製ポリペプチドを、抗体のビオチン化に関して上に記載したのと同様にビオチン化した。このビオチン化したポリペプチドをHAMA阻害剤の存在下でサンプルと混合し、外因的に添加したビオチン化ポリペプチドおよびサンプルに内在する未標識分析物分子の両方を含有する混合物を得た。添加するモノクローナル抗体およびビオチン化マーカーの量は種々の因子に依存し、実験的に漸増させて、選択した分析物について満足のいく用量応答曲線を得た。
【0175】
この混合物をマイクロタイタープレートに添加し、マウスモノクローナル抗体と120分間反応させた。120分のインキュベーション後、未結合の物質を除去し、Neutralite-アルカリホスファターゼ(Southern Biotechnology;Birmingham, AL)を添加して固定化されたビオチン化ポリペプチドに結合させた。基質(上記)をウェルに添加し、蛍光産物の生成速度を結合したビオチン化ポリペプチドの量と相関させ、従って、標本中の内因性の分析物量と逆相関させた。
【0176】
実施例4 マイクロ流体素子に基づく生化学分析
本質的に以下に記載されるようにマイクロ流体素子を用いて免疫アッセイを行った:”Immunoassay Handbook”第2版(David Wild編,Nature Publishing Group,2001)の第41章“Near Patient Tests:Triage(登録商標) Cardiac System”。
【0177】
サンドイッチ免疫アッセイでは、全ての必要なアッセイ試薬(HAMA阻害剤を含む)を乾燥状態で含有するマイクロ流体素子に血漿サンプルを添加する。血漿をフィルターに通過させ、粒子状物質を除去する。血漿はキャピラリー作用によって“反応槽”に入る。この反応槽は目的の分析物に好適な蛍光ラテックス粒子-抗体コンジュゲート(以下、FETL-抗体コンジュゲートと称する)を含有し、いくつかの選択された分析物に対するFETL-抗体コンジュゲートを含有してもよい。FETL-抗体コンジュゲートは血漿中に溶解して反応混液となり、これはインキュベーション時間中(約1分間)、反応槽に保持され、血漿中の目的の分析物(単数または複数)が抗体に結合することが可能となる。インキュベーション時間の後、反応混液はキャピラリー作用によって検出レーンに移動する。目的の分析物(単数または複数)に対する抗体を“検出レーン”の表面上の分離した捕捉ゾーンに固定化する。反応槽で生成された分析物/抗体-FETL複合体は好適な検出ゾーン上で捕捉されてサンドイッチ複合体を形成し、未結合のFETL-抗体コンジュゲートは過剰の血漿によって検出レーンから廃液槽に洗浄除去される。捕捉ゾーンに結合した分析物/抗体-FETL複合体の量を蛍光光度計(Triage(登録商標) MeterPlus, Biosite社)で定量し、血漿標本中の選択した分析物の量と相関させる。
【0178】
競合免疫アッセイでは、操作および工程は、以下の点を除いて、サンドイッチ免疫アッセイでの記載と同様である。ある形態では、蛍光ラテックス粒子-マーカー(FETL-マーカー)コンジュゲートを反応槽に施与し、血漿中に溶解させて反応混液とする。この反応混液はサンプルに内在する未標識の分析物およびFETL-マーカー・コンジュゲートの両方を含有する。反応混液を目的の分析物の捕捉ゾーンと接触させると、未標識の内因性分析物およびFETL-マーカー・コンジュゲートは限定された数の抗体結合部位を巡って競合する。従って、捕捉ゾーンに結合したFETL-マーカー・コンジュゲートの量は血漿標本中に存在する内因性の分析物の量に逆相関する。別の形態では、サンドイッチアッセイに関して上に記載したように、抗体-FETLコンジュゲートを反応槽に施与する。この形態では、捕捉ゾーンは検出レーンの表面上に固定化されたマーカーを含む。遊離の抗体-FETLコンジュゲートは捕捉ゾーン上のこの固定化されたマーカーに結合するが、目的の分析物に結合した抗体-FETLコンジュゲートはこの固定化されたマーカーには容易には、または全く結合しない。この場合も、ゾーンに捕捉されたFETLの量は血漿標本中の選択した分析物の量に逆相関する。当業者に認識されるように、選択した分析物(単数または複数)の特性および濃度によって、いずれの形態を使用してもよい。
【0179】
実施例5 マーカー・パネル
PCT出願US03/41426(2003年12月23日出願)に記載される方法を用いてSIRSの診断およびリスク層別化のための代表的なパネルを同定した。多数の可能性のあるマーカーから開始し、反復法を適用した。この方法では、マーカーに関する個々の閾値濃度をカットオフそのものとして使用せず、各患者に関するアッセイ値を比較および標準化するための値として使用する。むしろ、マーカーの最小および最大濃度間のアッセイ値の“ウィンドウ”(下表中の中点±中点x直線範囲として算出)を測定する。最大値以上のマーカー濃度測定値には1を割り当て、最小値未満のマーカー濃度測定値には0を割り当てる;ウィンドウ内のマーカー濃度測定は0から1の間の値に直線的に補間する。次いでその値と重み係数(下表の重みの平均)との積を求める。全ての個別のマーカーに関する重みの絶対値の和は1以内である。マーカーの重みが負であるのは、コントロール群に関するアッセイ値が罹患群のものより高いことを示している。中点、直線範囲“ウィンドウ”、および重み係数を用いて“パネル応答”を算出する。“罹患群”および“コントロール”の全集団に関するパネル応答についてROCおよび/または相関分析を行い、パネル応答のカットオフを選択して、“罹患”および“非罹患”集団を区別するための所望の感度および特異度を得る。各反復セットの後、等式への寄与が最も少ない因子を除去し、マーカーの数を減らして反復過程を再開してもよい。許容されるパネル感度および特異度が得られる最小数のマーカーとなるまで、この過程を継続する。
【0180】
この方法を使用し、選択したマーカーの同一性、最終的なパネルのマーカー数、および最適化を実施するための“罹患”および“非罹患”集団の選択によって、種々のパネルを構築してもよい。100の個別に算出した“アニール”から算出した平均ROC面積、感度、および特異度を用いて特定のパネルのパラメーターを決定する。
【0181】
多くの異なるマーカーを組み合わせて使用し、診断および/または予後診断パネルを構築してもよい。“罹患”および“非罹患”集団の選択によって、得られるパネルから、治療計画によって更なる予後診断情報が得られる。本明細書に記載するように、平均ROC面積により、試験を行う2つの群が特定のパネル(マーカーおよびそれに関係するパラメーターによって規定される)を用いてどの程度識別されるかが示される。同じパネル(または同じパネル中の異なるマーカー・サブセット)から複数のパネル応答閾値が算出されうるが、それぞれの閾値から異なる情報が得られる。例えば、SIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、およびMODSは異なる(しかし関連のある)臨床状態を示すので、個々の閾値からは1つまたはそれ以上の臨床状態に関する診断および予後診断情報を得ることができる。あるいはまた、ある閾値から予後情報を、別の閾値から診断情報を、そして/または別の閾値から治療割り当てを得てもよい。
【0182】
実施例6 個別マーカーの使用
本明細書に記載する種々のマーカーは、パネルでの使用に加え、これを個別に使用して予後および診断情報を得てもよい。下表に全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、または多臓器不全症候群(MODS)と診断された患者および健常コントロールにおける個別のマーカーの測定値からの統計値を示す。患者で測定されたサンプルは実施例1に記載する研究において登録時に得た“初期サンプル(first draws)”である。
【0183】
【表10】

【0184】
【表11】

【0185】
【表12】

【0186】
【表13】

【0187】
【表14】

【0188】
【表15】

【0189】
【表16】

【0190】
【表17】

【0191】
このデータを用いてROC分析を行い、種々の群を比較した(便宜上“コントロール”および“罹患”と示す)。下記の予後診断群において、検討した被験体は全身性炎症性応答症候群(SIRS)、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、または多臓器不全(MODS)と診断された全ての患者であって、これを30日後死亡率に基づいて群に分けた。本明細書に記載するように、2つの診断群を識別するのに好ましいマーカーのROC曲線面積は少なくとも0.6、より好ましくは0.7、更に好ましくは少なくとも0.8、更により好ましくは少なくとも0.9、そして最も好ましくは少なくとも0.95である。これらの好ましいマーカーは個別で、または本明細書に記載するマーカー・パネルの一部として使用してもよい。
【0192】
【表18】

【0193】
【表19】

【0194】
【表20】

【0195】
【表21】

【0196】
【表22】

【0197】
【表23】

【0198】
【表24】

【0199】
【表25】

【0200】
【表26】

【0201】
【表27】

【0202】
【表28】

【0203】
【表29】

【0204】
【表30】

【0205】
【表31】

【0206】
【表32】

【0207】
【表33】

【0208】
ペプチドグリカン認識タンパク質に関して、最小検出レベル0.81ng/mL、最大レベル400ng/mLのアッセイを構築した。以下のデータにおいて、SIRS/敗血症とはSIRSの診断を受けたが明白な敗血症を確認できなかった被験体をいう。“>0で重症敗血症および/またはショック”というカテゴリーは医療機関への来訪時は重症敗血症または敗血症性ショックのいずれも有さなかったが、重症敗血症および/またはショックの診断に至った被験体をいう。これは、重症敗血症または敗血症性ショックのいずれかを有して来院した被験体を指す“重症敗血症および/またはショック”カテゴリーと対照をなす。測定したサンプルは全て、被験体の来院時のものである。
【0209】
【表34】

【0210】
敗血症を診断し、敗血症の原因を識別するペプチドグリカン認識タンパク質の能力を、標準的なROC分析を用いて算出した。結果を下表に要約する。
【0211】
【表35】

【0212】
カルボキシペプチダーゼBに関して、サンドイッチアッセイにおいて活性型ペプチドに結合する抗体を有することによってプロカルボキシペプチダーゼBは検出するが活性型カルボキシペプチダーゼBは検出しないようにアッセイを構築する。このアッセイの最小検出可能レベルは0.1ng/mL、最大レベルは200ng/mLである。以下のデータにおいて、SIRS/敗血症とはSIRSの診断を受けたが明白な敗血症を確認できなかった被験体をいう。“>0で重症敗血症および/またはショック”というカテゴリーは医療機関への来訪時は重症敗血症または敗血症性ショックのいずれも有さなかったが、重症敗血症および/またはショックの診断に至った被験体をいう。これは、重症敗血症または敗血症性ショックのいずれかを有して来院した被験体を指す“重症敗血症および/またはショック”カテゴリーと対照をなす。測定したサンプルは全て、被験体の来院時のものである。
【0213】
【表36】

【0214】
敗血症を診断し、敗血症の原因を識別するためのプロカルボキシペプチダーゼBの能力を、標準的なROC分析を用いて算出した。結果を下表に要約する。
【0215】
【表37】

【0216】
アラニンアミノトランスフェラーゼに関して、最小検出可能レベル2.21ng/mL、最大レベル1000ng/mLを示すアッセイを構築した。以下のデータにおいて、SIRS/敗血症とはSIRSの診断を受けたが明白な敗血症を確認できなかった被験体をいう。“>0で重症敗血症および/またはショック”というカテゴリーは医療機関への来訪時は重症敗血症または敗血症性ショックのいずれも有さなかったが、重症敗血症および/またはショックの診断に至った被験体をいう。これは、重症敗血症または敗血症性ショックのいずれかを有して来院した被験体を指す“重症敗血症および/またはショック”カテゴリーと対照をなす。測定したサンプルは全て、被験体の来院時のものである。
【0217】
【表38】

【0218】
敗血症を診断し、敗血症の原因を識別するためのペプチドグリカン認識タンパク質の能力を、標準的なROC分析を用いて算出した。結果を下表に要約する。
【0219】
【表39】

【0220】
当業者に容易に認識されるように、本発明は目的を実施し、記載する結果および利点、並びにそれ固有のものを得るために十分適合する。本明細書に記載する実施例は好ましい態様の代表的なものであり、例であって、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【0221】
当業者に容易に理解されるように、本発明の範囲および意図から逸脱することなく、本明細書に開示した発明に種々の置換および改変を行ってもよい。
【0222】
本明細書に記載する全ての特許および文献は通常の当業者の程度を示している。全ての特許および文献は、個々の文献それぞれが参照により組み込まれていることを明確かつ個別に示しているのと同様に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0223】
本明細書において例証的に記載した本発明は、適宜に本明細書では特に開示していない任意の要素(単数または複数)、制限(単数または複数)を除外して実施してもよい。従って、例えば本明細書における各事例で、“を含む”、“本質的に…から成る”、および“から成る”という用語は互いに他の2つのいずれかと置き換えてもよい。使用した用語および表現は記述用語として使用したものであって制限を意味するものではなく、それらの用語および表現の使用において表示および記載する特徴の同等物またはその一部を除外する意図はなく、認識されるように本発明の特許請求の範囲内で種々の改変が可能である。従って、本発明について好ましい態様および随意的な特徴によって具体的に記載したが、当業者は本明細書に開示する概念の改変および変更を行ってもよく、それらの改変および変更は添付の特許請求の範囲に規定する本発明の範囲内にあるとみなされる。
【0224】
他の態様は添付の特許請求の範囲に記載する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体におけるSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSの診断、または、SIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSに罹患した被験体に関する1つもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクの割り当てのための方法であって:
該被験体から得た1つまたはそれ以上のサンプルについてアッセイ法を実施し、ここで、該アッセイ法は複数の免疫アッセイを実施することを含み、該複数の免疫アッセイの少なくとも2つはNT-プロBNP、プロBNP、BNP79-108、BNP、BNP3-108、CCL19、CCL23、CRP、シスタチンC、D-ダイマー、IL-1ra、IL-2sRa、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、NGAL、リンホトキシンB受容体、ペプチドグリカン認識タンパク質、プロカルシトニン、プロカルボキシペプチダーゼB、活性型プロテインC、潜在型プロテインC、総プロテインC、およびsTNFR1aから成る群から選択されるマーカーを検出し;そして
該アッセイ法から得られる免疫アッセイ結果をSIRSの存在または非存在、敗血症の存在または非存在、重症敗血症の存在または非存在、敗血症性ショックの存在または非存在、およびSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、またはMODSに罹患している、または罹患していると考えられる被験体に関する1つまたはそれ以上の臨床転帰の予後リスクから成る群から選択される1つまたはそれ以上の診断または予後診断と相関させる、
ことを含む上記方法。
【請求項2】
該アッセイ法が、NT-プロBNP、プロBNP、BNP79-108、BNP、BNP3-108、CCL23、CRP、D-ダイマー、IL-1ra、NGAL、ペプチドグリカン認識タンパク質、活性型プロテインC、潜在型プロテインC、総プロテインC、およびsTNFR1aから成る群から選択されるマーカーを検出する免疫アッセイを少なくとも2つ実施することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
該アッセイ法が、NT-プロBNP、プロBNP、BNP79-108、BNP、BNP3-108、CCL23、CRP、D-ダイマー、IL-1ra、NGAL、ペプチドグリカン認識タンパク質、活性型プロテインC、潜在型プロテインC、総プロテインC、およびsTNFR1aから成る群から選択されるマーカーを検出する免疫アッセイを少なくとも3つ実施することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
該アッセイ法が、NT-プロBNP、プロBNP、BNP79-108、BNP、BNP3-108、CCL23、CRP、D-ダイマー、IL-1ra、NGAL、ペプチドグリカン認識タンパク質、活性型プロテインC、潜在型プロテインC、総プロテインC、およびsTNFR1aから成る群から選択されるマーカーを検出する免疫アッセイを少なくとも4つ実施することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
該アッセイ法が、NT-プロBNP、プロBNP、BNP79-108、BNP、BNP3-108、CCL23、CRP、D-ダイマー、IL-1ra、NGAL、ペプチドグリカン認識タンパク質、活性型プロテインC、潜在型プロテインC、総プロテインC、およびsTNFR1aから成る群から選択されるマーカーを検出する免疫アッセイを少なくとも5つ実施することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
該方法が、請求項1に記載する以外の1つまたはそれ以上の更なるマーカーを検出する1つまたはそれ以上の更なる免疫アッセイを実施することを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
該方法が、敗血症の診断または死亡の予後リスクに関して少なくとも0.7のROC面積を提供する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
方法が、BNP、プロBNP、NT-プロBNP、またはBNP3-108のうちの1つまたはそれ以上を検出する免疫アッセイを実施することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
方法が、C-反応性タンパク質を検出する免疫アッセイを実施することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
方法が、CCL23を検出する免疫アッセイを実施することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
方法が、D-ダイマーを検出する免疫アッセイを実施することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
方法が、NGALを検出する免疫アッセイを実施することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
方法が、活性型プロテインC、潜在型プロテインC、総プロテインCのうちの1つまたはそれ以上を検出する免疫アッセイを実施することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
方法が、ペプチドグリカン認識タンパク質を検出する免疫アッセイを実施することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
方法が、sTNFR1aを検出する免疫アッセイを実施することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
方法が、IL-1raを検出する免疫アッセイを実施することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
サンプルがヒト由来である、請求項1記載の方法。
【請求項18】
サンプルが、血液、血清、および血漿から成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項19】
固相上に複数の分離した箇所を含み、そのそれぞれが該免疫アッセイを実施するための抗体を含有する、請求項1記載の方法を実施するための装置。
【請求項20】
相関段階が、各免疫アッセイから得られる結果をSIRSの存在もしくは非存在、敗血症の存在もしくは非存在、重症敗血症の存在もしくは非存在、敗血症性ショックの存在もしくは非存在、またはSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSに罹患している、もしくは罹患していると考えられる被験体に関する1つもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクを示すために選択した既定の閾値レベルと比較することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項21】
相関段階が、単一の結果をSIRSの存在もしくは非存在、敗血症の存在もしくは非存在、重症敗血症の存在もしくは非存在、敗血症性ショックの存在もしくは非存在、またはSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSに罹患している、もしくは罹患していると考えられる被験体に関する1つもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクを示すために選択した既定の閾値レベルと比較することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項22】
相関段階が、該アッセイ法から得られる免疫アッセイ結果および免疫アッセイ結果ではない1つまたはそれ以上の変数の両方を、SIRSの存在もしくは非存在、敗血症の存在もしくは非存在、重症敗血症の存在もしくは非存在、敗血症性ショックの存在もしくは非存在、またはSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSに罹患している、もしくは罹患していると考えられる被験体に関するvもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクから成る群から選択される1つまたはそれ以上の診断または予後診断と比較することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項23】
免疫アッセイ結果ではない変数が、心拍数、体温、呼吸数、白血球数、血中ガス濃度、静脈血pH、血中乳酸濃度、腎機能、電解質濃度、血圧、肺動脈楔入圧、または血液培養結果のうちの1つまたはそれ以上を含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
方法が、BNP、プロBNP、NT-プロBNP、またはBNP3-108のうちの1つまたはそれ以上を検出する免疫アッセイ、活性型プロテインC、潜在型プロテインC、総プロテインCのうちの1つまたはそれ以上を検出する免疫アッセイ、並びに、CCL23、CRP、D-ダイマー、IL-1ra、NGAL、ペプチドグリカン認識タンパク質、およびsTNR1aから成る群から選択されるマーカーを検出する少なくとも1つの免疫アッセイを実施することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項25】
方法が、BNP、プロBNP、NT-プロBNP、またはBNP3-108のうちの1つまたはそれ以上を検出する免疫アッセイ、C-反応性プロテイン、D-ダイマー、およびIL-1raから成る群から選択されるマーカーを検出する少なくとも1つの免疫アッセイ、並びに、CCL23、ペプチドグリカン認識タンパク質、およびsTNFR1aから成る群から選択されるマーカーを検出する少なくとも1つの免疫アッセイを実施することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項26】
方法が、ペプチドグリカン認識タンパク質を検出する免疫アッセイおよびsTNFR1aを検出する免疫アッセイを実施することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項27】
方法が、BNP、プロBNP、NT-プロBNP、またはBNP3-108のうちの1つまたはそれ以上を検出する免疫アッセイ、並びに、CCL19、CCL23、CRP、シスタチンC、D-ダイマー、IL-1ra、IL-2sRa、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、NGAL、リンホトキシンB受容体、ペプチドグリカン認識タンパク質、プロカルシトニン、プロカルボキシペプチダーゼB、活性型プロテインC、潜在型プロテインC、総プロテインC、およびsTNFR1aから成る群から選択されるマーカーを検出する少なくとも1つの免疫アッセイを実施することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項28】
被験体におけるSIRSの診断、被験体におけるSIRSの原因の鑑別、またはSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSに罹患した被験体への1つもしくはそれ以上の将来的な臨床転帰の予後リスクの割り当ての方法であって:
アラニンアミノトランスフェラーゼ、NT-プロBNP、プロBNP、BNP79-108、BNP、BNP3-108、CCL19、CRP、シスタチンC、D-ダイマー、IL-2sRa、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、NGAL、リンホトキシンB受容体、ペプチドグリカン認識タンパク質、プロカルシトニン、プロカルボキシペプチダーゼB、活性型プロテインC、潜在型プロテインC、総プロテインC、およびTNFR1aから成る群から選択される2つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築したアッセイを実施し;そして
該アッセイの結果を被験体におけるSIRSの存在もしくは非存在、または被験体における敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSの存在もしくは非存在、またはSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSに罹患しているか、もしくは罹患していると考えられる被験体に関する1つもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクと相関させる、
ことを含む上記方法。
【請求項29】
方法が、アラニンアミノトランスフェラーゼ、リンホトキシンB受容体、ペプチドグリカン認識タンパク質、およびプロカルボキシペプチダーゼBから成る群から選択される1つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
方法が、リンホトキシンB受容体、ペプチドグリカン認識タンパク質、およびプロカルボキシペプチダーゼBから成る群から選択される2つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項28記載の方法。
【請求項31】
方法が、アラニンアミノトランスフェラーゼ、BNP、CRP、シスタチンC、D-ダイマー、IL-2sRa、NGAL、リンホトキシンB受容体、ペプチドグリカン認識タンパク質、プロカルシトニン、プロカルボキシペプチダーゼB、総プロテインC、およびTNFR1aのうちの2つまたはそれ以上を検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項26記載の方法。
【請求項32】
方法が、アラニンアミノトランスフェラーゼ、BNP、CRP、シスタチンC、D-ダイマー、IL-2sRa、NGAL 、リンホトキシンB受容体、ペプチドグリカン認識タンパク質、プロカルシトニン、プロカルボキシペプチダーゼB、総プロテインC、およびTNFR1aのうちの3つまたはそれ以上を検出するように構築したアッセイを実施することを含み、BNPを検出するように構築した該アッセイが、必要によりBNP3-108、NT-プロBNP、プロBNP、またはBNP79-108を検出するように構築したアッセイで置換され、そして総プロテインCを検出するように構築した該アッセイが、必要により活性型プロテインCまたは潜在型プロテインCを検出するように構築したアッセイで置換される、請求項28記載の方法。
【請求項33】
方法が、アラニンアミノトランスフェラーゼ、BNP、CRP、シスタチンC、D-ダイマー、IL-2sRa、NGAL 、リンホトキシンB受容体、ペプチドグリカン認識タンパク質、プロカルシトニン、プロカルボキシペプチダーゼB、総プロテインC、およびTNFR1aのうちの4つまたはそれ以上を検出するように構築したアッセイを実施することを含み、BNPを検出するように構築した該アッセイが、必要によりBNP3-108、NT-プロBNP、プロBNP、またはBNP79-108を検出するように構築したアッセイで置換され、そして総プロテインCを検出するように構築した該アッセイが、必要により活性型プロテインCまたは潜在型プロテインCを検出するように構築したアッセイで置換される、請求項28記載の方法。
【請求項34】
方法が、アラニンアミノトランスフェラーゼ、BNP、CRP、シスタチンC、D-ダイマー、IL-2sRa、NGAL 、リンホトキシンB受容体、ペプチドグリカン認識タンパク質、プロカルシトニン、プロカルボキシペプチダーゼB、総プロテインC、およびTNFR1aのうちの5つまたはそれ以上を検出するように構築したアッセイを実施することを含み、BNPを検出するように構築した該アッセイが、必要によりBNP3-108、NT-プロBNP、プロBNP、またはBNP79-108を検出するように構築したアッセイで置換され、そして総プロテインCを検出するように構築した該アッセイが、必要により活性型プロテインCまたは潜在型プロテインCを検出するように構築したアッセイで置換される、請求項28記載の方法。
【請求項35】
方法が、アラニンアミノトランスフェラーゼ、BNP、BNP3-108、NT-プロBNP、プロBNP、BNP79-108、シスタチンC、D-ダイマー、IL-2sRa、NGAL、リンホトキシンB受容体、ペプチドグリカン認識タンパク質、プロカルシトニン、プロカルボキシペプチダーゼB、D-ダイマー、総プロテインC、活性型プロテインC、および潜在型プロテインCから成る群から選択される2つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項28記載の方法。
【請求項36】
方法が、アラニンアミノトランスフェラーゼ、BNP、BNP3-108、NT-プロBNP、プロBNP、BNP79-108、シスタチンC、D-ダイマー、IL-2sRa、NGAL、リンホトキシンB受容体、ペプチドグリカン認識タンパク質、プロカルシトニン、プロカルボキシペプチダーゼB、D-ダイマー、総プロテインC、活性型プロテインC、および潜在型プロテインCから成る群から選択される3つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項28記載の方法。
【請求項37】
方法が、アラニンアミノトランスフェラーゼ、BNP、BNP3-108、NT-プロBNP、プロBNP、BNP79-108、シスタチンC、D-ダイマー、IL-2sRa、NGAL、リンホトキシンB受容体、ペプチドグリカン認識タンパク質、プロカルシトニン、プロカルボキシペプチダーゼB、D-ダイマー、総プロテインC、活性型プロテインC、および潜在型プロテインCから成る群から選択される4つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項28記載の方法。
【請求項38】
方法が、アラニンアミノトランスフェラーゼ、BNP、BNP3-108、NT-プロBNP、プロBNP、BNP79-108、シスタチンC、D-ダイマー、IL-2sRa、NGAL、リンホトキシンB受容体、ペプチドグリカン認識タンパク質、プロカルシトニン、プロカルボキシペプチダーゼB、D-ダイマー、総プロテインC、活性型プロテインC、および潜在型プロテインCから成る群から選択される5つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項28記載の方法。
【請求項39】
方法が、アラニンアミノトランスフェラーゼ、NT-プロBNP、プロBNP、BNP79-108、BNP、BNP3-108、CCL19、CRP、シスタチンC、D-ダイマー、IL-2sRa、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、NGAL、リンホトキシンB受容体、ペプチドグリカン認識タンパク質、プロカルシトニン、プロカルボキシペプチダーゼB、活性型プロテインC、潜在型プロテインC、総プロテインC、およびTNFR1aから成る群から選択されるマーカーに加えて1つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築した1つまたはそれ以上の更なるアッセイを実施することを含み;そして、
該相関段階が、該アッセイの結果および該更なるアッセイ(単数または複数)の結果を被験体におけるSIRSの存在もしくは非存在、または被験体における敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSの存在もしくは非存在、またはSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSに罹患しているか、もしくは罹患していると考えられる被験体に関する1つもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクと相関させることを含む、請求項28-38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
BNPを検出するように構築したアッセイが、BNP3-108、NT-プロBNP、プロBNP、およびBNP79-108のうちの1つまたはそれ以上も検出する、請求項39記載の方法。
【請求項41】
被験体におけるSIRSの診断、被験体におけるSIRSの原因の鑑別、またはSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSに罹患した被験体への1つもしくはそれ以上の将来的な臨床転帰の予後リスクの割り当ての方法であって:
アジポネクチン、アンジオテンシノーゲン、アポリポタンパク質C1、CCL20、CXCL5、CXCL9、L-FABP、NGAL、ペプチドグリカン認識タンパク質、プロカルボキシペプチダーゼB、プラセンタ成長因子-1、プラセンタ成長因子-2、sTNFRSF3、sTNFRSF7、およびUCRPから成る群から選択される1つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築した1つまたはそれ以上のアッセイを実施し;
アッセイの結果(単数または複数)を被験体におけるSIRSの存在もしくは非存在、または被験体における敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSの存在もしくは非存在、またはSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSに罹患しているか、もしくは罹患していると考えられる被験体に関する1つもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクと相関させる、
ことを含む上記方法。
【請求項42】
該方法が、該被験体から得た血液、血清、または血漿サンプルについて、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アドレノメジュリン、bigエンドセリン-1、NT-プロBNP、プロBNP、BNP79-108、BNP、BNP3-108、補体C3a、カルシトニン、カスペース-3、CCL19、CCL23、CCL26、CCL4、CCL5、CCL8、クレアチンキナーゼ・BB、C-反応性タンパク質、CXCL13、CXCL16、CXCL6、シスタチンC、D-ダイマー、sDR6、グルタチオン-S-トランスフェラーゼA、HMG-1、腸型脂肪酸結合タンパク質、IGFBP-1、IL-10、IL-1β、IL-1RA、IL-22、IL-2sRa、IL-6、IL-8、MCP-1、マクロファージ遊走阻止因子、マトリクスメタロプロテイナーゼ9、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、PAI-1、プロカルシトニン、プロテインC(活性型)、プロテインC(潜在型)、プロテインC(総)、肺サーファクタント・プロテインA、肺サーファクタント・プロテインB、肺サーファクタント・プロテインD、PTEN、RAGE、sICAM1、スフィンゴシンキナーゼI、組織因子、TIMP-1、TNF-α、TNF-R1a、TNF-sR14、sTNFRSF11A、sTREM-1、TREM-1sv、uPAR、およびVCAM-1から成る群から選択される1つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築した1つまたはそれ以上の更なるアッセイを実施して、1つまたはそれ以上のアッセイ結果を得ることを含み;そして、該相関段階が、該アッセイの結果(単数または複数)および該更なるアッセイ(単数または複数)の結果を被験体におけるSIRSの存在もしくは非存在、または被験体における敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSの存在もしくは非存在、またはSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSに罹患しているか、もしくは罹患していると考えられる被験体に関する1つもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクと相関させることを含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
該方法が、アンジオテンシノーゲン、アポリポタンパク質C1、CCL20、CXCL5、CXCL9、L-FABP、NGAL、プロテオグリカン認識タンパク質、プロカルボキシペプチダーゼB、プラセンタ成長因子-1、プラセンタ成長因子-2、sTNFRSF3、sTNFRSF7、およびUCRP、またはその生合成前駆体から成る群から選択される2つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項41記載の方法。
【請求項44】
SIRSの原因の鑑別法が、敗血症と重症敗血症または敗血症性ショックとを鑑別する、請求項41記載の方法。
【請求項45】
SIRSの原因の鑑別法が、敗血症または重症敗血症と敗血症性ショックとを鑑別する、請求項41記載の方法。
【請求項46】
1つまたはそれ以上の更なるマーカーが、血圧調節関連マーカー、炎症関連マーカー、アポトーシス関連マーカー、並びに凝固および止血関連マーカーから成る群から選択される、請求項42記載の方法。
【請求項47】
被験体がヒトである、請求項41記載の方法。
【請求項48】
アッセイが免疫アッセイである、請求項41記載の方法。
【請求項49】
該1つまたはそれ以上の更なるアッセイが、アラニンアミノトランスフェラーゼ、NT-プロBNP、プロBNP、BNP79-108、BNP、BNP3-108、CRP、シスタチンC、D-ダイマー、IL-2sRa、NGAL、リンホトキシンB受容体、プロカルシトニン、活性型プロテインC、潜在型プロテインC、総プロテインC、およびTNFR1aから成る群から選択される1つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築した1つまたはそれ以上の更なるアッセイを含む、請求項45記載の方法。
【請求項50】
方法が死亡の予後リスクを提供する、請求項41記載の方法。
【請求項51】
方法が、BNP、NT-プロBNP、プロBNP、BNP3-108、またはBNP79-108のうちの1つまたはそれ以上を検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項42記載の方法。
【請求項52】
方法が、BNP、NT-プロBNP、プロBNP、BNP3-108、またはBNP79-108を検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項42記載の方法。
【請求項53】
BNPを検出するように構築したアッセイが、BNP3-108、NT-プロBNP、プロBNP、およびBNP79-108のうちの1つまたはそれ以上も検出する、請求項52記載の方法。
【請求項54】
被験体におけるSIRSの診断、被験体におけるSIRSの原因の鑑別、またはSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSに罹患した被験体への1つもしくはそれ以上の将来的な臨床転帰の予後リスクの割り当ての方法であって:
NT-プロBNP、プロBNP、BNP79-108、BNP、BNP3-108、CCL19、D-ダイマー、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、活性型プロテインC、潜在型プロテインC、および総プロテインCから成る群から選択される2つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築した1つまたはそれ以上のアッセイを、該被験体から得た1つまたはそれ以上のサンプルについて実施して、1つまたはそれ以上のアッセイ結果を取得し;そして
アッセイ結果を被験体におけるSIRSの存在もしくは非存在、または被験体における敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSの存在もしくは非存在、またはSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSに罹患しているか、もしくは罹患していると考えられる被験体に関する1つもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクと相関させる、
ことを含む上記方法。
【請求項55】
方法が、BNP、CCL19、D-ダイマー、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、および総プロテインCから成る群から選択される2つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項54記載の方法。
【請求項56】
方法が、BNP、CCL19、D-ダイマー、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、および総プロテインCから成る群から選択される3つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項54記載の方法。
【請求項57】
方法が、BNP、CCL19、D-ダイマー、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、および総プロテインCから成る群から選択される4つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項54記載の方法。
【請求項58】
方法が、BNP、CCL19、D-ダイマー、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、および総プロテインCから成る群から選択される5つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項54記載の方法。
【請求項59】
方法が、BNP、CCL19、D-ダイマー、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、および総プロテインCから成る群から選択される各マーカーを検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項54記載の方法。
【請求項60】
方法が、BNP、CCL19、D-ダイマー、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、および総プロテインCから成る群から選択されるマーカー(単数または複数)に加えて1つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項54-59記載の方法。
【請求項61】
被験体におけるSIRSの診断、被験体におけるSIRSの原因の鑑別、またはSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSに罹患した被験体への1つもしくはそれ以上の将来的な臨床転帰の予後リスクの割り当ての方法であって:
該被験体から得た1つまたはそれ以上のサンプルについて BNP、CCL19、D-ダイマー、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、および総プロテインCから成る群から選択されるマーカーまたはそれらに関連するマーカーのうちの2つまたはそれ以上の存在または量を測定して、1つまたはそれ以上のアッセイ結果を取得し;そして
アッセイ結果を被験体におけるSIRSの存在もしくは非存在、または被験体における敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSの存在もしくは非存在、またはSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSに罹患しているか、もしくは罹患していると考えられる被験体に関する1つもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクと相関させる、
ことを含む上記方法。
【請求項62】
方法が、BNP、CCL19、D-ダイマー、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、および総プロテインC、またはそれらに関連するマーカーから成る群から選択される3つまたはそれ以上のマーカーの存在または量を測定することを含む、請求項61記載の方法。
【請求項63】
方法が、BNP、CCL19、D-ダイマー、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、および総プロテインC、またはそれらに関連するマーカーから成る群から選択される4つまたはそれ以上のマーカーの存在または量を測定することを含む、請求項61記載の方法。
【請求項64】
方法が、BNP、CCL19、D-ダイマー、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、および総プロテインC、またはそれらに関連するマーカーから成る群から選択される5つまたはそれ以上のマーカーの存在または量を測定することを含む、請求項61記載の方法。
【請求項65】
方法が、BNP、CCL19、D-ダイマー、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、および総プロテインC、またはそれらに関連するマーカーから成る群から選択される各マーカーの存在または量を測定することを含む、請求項61記載の方法。
【請求項66】
方法が、BNP、CCL19、D-ダイマー、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、および総プロテインC、またはそれらに関連するマーカーから成る群から選択されるマーカー(単数または複数)に加えて1つまたはそれ以上のマーカーの存在または量を測定することを含む、請求項61-65記載の方法。
【請求項67】
被験体におけるSIRSの診断、被験体におけるSIRSの原因の鑑別、またはSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSに罹患した被験体への1つもしくはそれ以上の将来的な臨床転帰の予後リスクの割り当ての方法であって:
該被験体から得た血液、血清、または血漿サンプルについて、アドレノメジュリン、アンジオテンシノーゲン、アポリポタンパク質C1、bigエンドセリン-1、NT-プロBNP、プロBNP、BNP79-108、BNP、BNP3-108、補体C3a、カルシトニン、カスペース-3、CCL19、CCL20、CCL23、CCL26、CCL4、CCL5、CCL8、クレアチンキナーゼ・BB、C-反応性タンパク質、CXCL13、CXCL16、CXCL6、CXCL5、CXCL9、シスタチンC、D-ダイマー、sDR6、グルタチオン-S-トランスフェラーゼA、HMG-1、腸型脂肪酸結合タンパク質、IGFBP-1、IL-10、IL-1β、IL-1RA、IL-22、IL-2sRa、IL-6、IL-8、L-FABP、MCP-1、マクロファージ遊走阻止因子、マトリクスメタロプロテイナーゼ9、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、NGAL、PAI-1、プラセンタ成長因子、プロテインC(活性型)、プロテインC(潜在型)、プロテインC(総)、肺サーファクタント・プロテインA、肺サーファクタント・プロテインB、肺サーファクタント・プロテインD、PTEN、RAGE、sICAM1、スフィンゴシンキナーゼI、組織因子、TIMP-1、TNF-α、TNF-R1a、TNF-sR14、sTNFRSF3、sTNFRSF7、sTNFRSF11A、sTREM-1、TREM-1sv、uPAR、UCRP、およびVCAM-1、またはそれらの生合成前駆体から成る群から選択される1つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築した1つまたはそれ以上のアッセイを実施して、1つまたはそれ以上のアッセイ結果を取得し;そして
アッセイ結果(単数または複数)を被験体におけるSIRSの存在もしくは非存在、または被験体における敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSの存在もしくは非存在、またはSIRS、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSに罹患しているか、もしくは罹患していると考えられる被験体に関する1つもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクと相関させる、
ことを含む上記方法。
【請求項68】
該方法が、アンジオテンシノーゲン、アポリポタンパク質C1、CCL20、CXCL5、CXCL9、L-FABP、NGAL、プラセンタ成長因子、sTNFRSF3、sTNFRSF7、およびUCRP、またはそれらの生合成前駆体から成る群から選択される1つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築した1つまたはそれ以上のアッセイを実施することを含む、請求項67記載の方法。
【請求項69】
SIRSの原因の鑑別法が、敗血症と重症敗血症または敗血症性ショックとを鑑別する、請求項67記載の方法。
【請求項70】
SIRSの原因の鑑別法が、敗血症または重症敗血症と敗血症性ショックとを鑑別する、請求項67記載の方法。
【請求項71】
方法が、該被験体から得た血液、血清、または血漿サンプルについて1つまたはそれ以上の更なるマーカーを検出するように構築した1つまたはそれ以上のアッセイを実施して、1つまたはそれ以上の更なるアッセイ結果を得ることを含み、相関段階が、アッセイ結果および更なるアッセイ結果(単数または複数)を被験体におけるSIRSの存在もしくは非存在、または被験体における敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSの存在もしくは非存在、または被験体に関する1つもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクと相関させることを含む、請求項67記載の方法。
【請求項72】
1つまたはそれ以上の更なるマーカーが、血圧調節関連マーカー、炎症関連マーカー、アポトーシス関連マーカー、並びに凝固および止血関連マーカーから成る群から選択される、請求項71記載の方法。
【請求項73】
被験体がヒトである、請求項67記載の方法。
【請求項74】
アッセイが免疫アッセイである、請求項67記載の方法。
【請求項75】
該1つまたはそれ以上の更なるマーカーが、心房性ナトリウム利尿因子、C型ナトリウム利尿ペプチド、乳酸塩、ウロテンシンII、アルギニンバソプレシン、アルドステロン、アンジオテンシンI、アンジオテンシンII、アンジオテンシンIII、ブラジキニン、プロカルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、カルシフォシン、クレアチニン、エンドセリン-2、エンドセリン-3、レニン、およびウロジラチン、またはそれらの生合成前駆体から成る群から選択されるマーカーを少なくとも1つ含む、請求項71記載の方法。
【請求項76】
該1つまたはそれ以上の更なるマーカーが、LIGHT、CCL16、MMP7、細胞間接着分子-1、細胞間接着分子-2、細胞間接着分子-3、リポカリン型プロスタグランジンD合成酵素、マスト細胞トリプターゼ、好酸球カチオン性タンパク質、KL-6、ハプトグロビン、腫瘍壊死因子β、フィブロネクチン、および血管内皮増殖因子、またはそれらの生合成前駆体から成る群から選択されるマーカーを少なくとも1つ含む、請求項71記載の方法。
【請求項77】
該1つまたはそれ以上の更なるマーカーが、ヘプシジン、HSP-60、HSP-65、HSP-70、S-FASリガンド、非対称性ジメチルアルギニン、マトリクス・メタロプロテイナーゼ11、マトリクス・メタロプロテイナーゼ3、デフェンシンHBD-1、デフェンシンHBD-2、血清アミロイドA、酸化LDL、インスリン様増殖因子、形質転換増殖因子β、インターα阻害剤、e-セレクチン、低酸素誘導因子1α、誘導性一酸化窒素合成酵素、細胞内接着分子-1、乳酸脱水素酵素、n-アセチルアスパラギン酸塩、プロスタグランジンE2、および核因子リガンドの受容体活性化因子、またはそれらの生合成前駆体から成る群から選択されるマーカーを少なくとも1つ含む、請求項71記載の方法。
【請求項78】
該1つまたはそれ以上の更なるマーカーが、プラスミン、フィブリノーゲン、β-トロンボグロブリン、血小板因子4、フィブリノペプチドA、血小板由来増殖因子、プロトロンビン・フラグメント1+2、プラスミン-α2アンチプラスミン複合体、トロンビン-アンチトロンビンIII複合体、P-セレクチン、トロンビン、フォン・ヴィレブランド因子、および血栓前駆タンパク質、またはそれらの生合成前駆体から成る群から選択されるマーカーを少なくとも1つ含む、請求項71記載の方法。
【請求項79】
方法が、BNP、CCL19、D-ダイマー、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、および総プロテインC、またはそれらの生合成前駆体のうちの2つまたはそれ以上を検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項71記載の方法。
【請求項80】
方法がB、NP、CCL19、D-ダイマー、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、および総プロテインC、またはそれらの生合成前駆体のうちの3つまたはそれ以上を検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項71記載の方法。
【請求項81】
方法が、BNP、CCL19、D-ダイマー、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、および総プロテインC、またはそれらの生合成前駆体のうちの4つまたはそれ以上を検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項71記載の方法。
【請求項82】
方法が、BNP、CCL19、D-ダイマー、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、および総プロテインC、またはそれらの生合成前駆体を検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項71記載の方法。
【請求項83】
方法が、BNP、CCL19、D-ダイマー、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、および総プロテインC、またはそれらの生合成前駆体のうちの2つまたはそれ以上を検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項71記載の方法。
【請求項84】
方法が死亡の予後リスクを提供する、請求項67記載の方法。
【請求項85】
方法が、BNP、NT-プロBNP、プロBNP、BNP3-108、またはBNP79-108のうちの1つまたはそれ以上を検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項71記載の方法。
【請求項86】
方法が、BNP、NT-プロBNP、プロBNP、BNP3-108、またはBNP79-108を検出するように構築したアッセイを実施することを含む、請求項67記載の方法。
【請求項87】
方法が、該被験体から得た血液、血清、または血漿サンプルについて少なくとも2つの更なるマーカーを検出するように構築した少なくとも2つの更なるアッセイを実施して、少なくとも2つの更なるアッセイ結果を得ることを含み、相関段階が、アッセイ結果および更なるアッセイ結果(単数または複数)を被験体におけるSIRSの存在もしくは非存在、または被験体における敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSの存在もしくは非存在、または被験体に関する1つもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクと相関させることを含む、請求項71記載の方法。
【請求項88】
方法が、該被験体から得た血液、血清、または血漿サンプルについて少なくとも3つの更なるマーカーを検出するように構築した少なくとも3つの更なるアッセイを実施して、少なくとも3つの更なるアッセイ結果を得ることを含み、相関段階が、アッセイ結果および更なるアッセイ結果(単数または複数)を被験体におけるSIRSの存在もしくは非存在、または被験体における敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSの存在もしくは非存在、または被験体に関する1つもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクと相関させることを含む、請求項87記載の方法。
【請求項89】
該方法が、アドレノメジュリン、アンジオテンシノーゲン、アポリポタンパク質C1、bigエンドセリン-1、NT-プロBNP、プロBNP、BNP79-108、BNP、BNP3-108、補体C3a、カルシトニン、カスペース-3、CCL19、CCL20、CCL23、CCL26、CCL4、CCL5、CCL8、クレアチンキナーゼ・BB、C-反応性タンパク質、CXCL13、CXCL16、CXCL6、CXCL5、CXCL9、シスタチンC、D-ダイマー、sDR6、グルタチオン-S-トランスフェラーゼA、HMG-1、腸型脂肪酸結合タンパク質、IGFBP-1、IL-10、IL-1β、IL-1RA、IL-22、IL-2sRa、IL-6、IL-8、L-FABP、MCP-1、マクロファージ遊走阻止因子、マトリクスメタロプロテイナーゼ9、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、NGAL、PAI-1、プラセンタ成長因子、プロテインC(活性型)、プロテインC(潜在型)、プロテインC(総)、肺サーファクタント・プロテインA、肺サーファクタント・プロテインB、肺サーファクタント・プロテインD、PTEN、RAGE、sICAM1、スフィンゴシンキナーゼI、組織因子、TIMP-1、TNF-α、TNF-R1a、TNF-sR14、sTNFRSF3、sTNFRSF7、sTNFRSF11A、sTREM-1、TREM-1sv、uPAR、UCPR、およびVCAM-1、またはそれらの生合成前駆体から成る群から選択される少なくとも2つのマーカーを検出するように構築したアッセイを実施すること含む、請求項67記載の方法。
【請求項90】
該方法が、アドレノメジュリン、アンジオテンシノーゲン、アポリポタンパク質C1、bigエンドセリン-1、NT-プロBNP、プロBNP、BNP79-108、BNP、BNP3-108、補体C3a、カルシトニン、カスペース-3、CCL19、CCL20、CCL23、CCL26、CCL4、CCL5、CCL8、クレアチンキナーゼ・BB、C-反応性タンパク質、CXCL13、CXCL16、CXCL6、CXCL5、CXCL9、シスタチンC、D-ダイマー、sDR6、グルタチオン-S-トランスフェラーゼA、HMG-1、腸型脂肪酸結合タンパク質、IGFBP-1、IL-10、IL-1β、IL-1RA、IL-22、IL-2sRa、IL-6、IL-8、L-FABP、MCP-1、マクロファージ遊走阻止因子、マトリクスメタロプロテイナーゼ9、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、NGAL、PAI-1、プラセンタ成長因子、プロテインC(活性型)、プロテインC(潜在型)、プロテインC(総)、肺サーファクタント・プロテインA、肺サーファクタント・プロテインB、肺サーファクタント・プロテインD、PTEN、RAGE、sICAM1、スフィンゴシンキナーゼI、組織因子、TIMP-1、TNF-α、TNF-R1a、TNF-sR14、sTNFRSF3、sTNFRSF7、sTNFRSF11A、sTREM-1、TREM-1sv、uPAR、UCPR、およびVCAM-1、またはそれらの生合成前駆体から成る群から選択される少なくとも3つのマーカーを検出するように構築したアッセイを実施すること含む、請求項89記載の方法。
【請求項91】
該方法が、アドレノメジュリン、アンジオテンシノーゲン、アポリポタンパク質C1、bigエンドセリン-1、NT-プロBNP、プロBNP、BNP79-108、BNP、BNP3-108、補体C3a、カルシトニン、カスペース-3、CCL19、CCL20、CCL23、CCL26、CCL4、CCL5、CCL8、クレアチンキナーゼ・BB、C-反応性タンパク質、CXCL13、CXCL16、CXCL6、CXCL5、CXCL9、シスタチンC、D-ダイマー、sDR6、グルタチオン-S-トランスフェラーゼA、HMG-1、腸型脂肪酸結合タンパク質、IGFBP-1、IL-10、IL-1β、IL-1RA、IL-22、IL-2sRa、IL-6、IL-8、L-FABP、MCP-1、マクロファージ遊走阻止因子、マトリクスメタロプロテイナーゼ9、ミエロペルオキシダーゼ、ミオグロビン、NGAL、PAI-1、プラセンタ成長因子、プロテインC(活性型)、プロテインC(潜在型)、プロテインC(総)、肺サーファクタント・プロテインA、肺サーファクタント・プロテインB、肺サーファクタント・プロテインD、PTEN、RAGE、sICAM1、スフィンゴシンキナーゼI、組織因子、TIMP-1、TNF-α、TNF-R1a、TNF-sR14、sTNFRSF3、sTNFRSF7、sTNFRSF11A、sTREM-1、TREM-1sv、uPAR、UCPR、およびVCAM-1、またはそれらの生合成前駆体から成る群から選択される少なくとも4つのマーカーを検出するように構築したアッセイを実施すること含む、請求項67記載の方法。
【請求項92】
被験体におけるSIRSの診断、被験体におけるSIRSの原因の鑑別、またはSIRSに罹患した被験体への1つもしくはそれ以上の将来的な臨床転帰の予後リスクの割り当ての方法であって:
該被験体から得た血液、血清、または血漿サンプルについて、アンジオテンシノーゲン、アポリポタンパク質C1、CCL20、CXCL5、CXCL9、L-FABP、プラセンタ成長因子、sTNFRSF3、sTNFRSF7、およびUCRP、またはそれらに関連するマーカーから成る群から選択される1つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築した1またはそれ以上のアッセイを実施して、1またはそれ以上のアッセイ結果を取得し;そして
アッセイの結果(単数または複数)を被験体におけるSIRSの存在もしくは非存在、または被験体における敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSの存在もしくは非存在、または被験体に関する1つもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクと相関させる、
ことを含む上記方法。
【請求項93】
方法が、該被験体から得た血液、血清、または血漿サンプルについて、アドレノメジュリン、bigエンドセリン-1、BNP、プロBNP、NT-プロBNP、CCL5、CCL19、CCL23、CK-MB、補体C3a、クレアチニン、CXCL13、CXCL16、シスタチンC、D-ダイマー、HSP-60、sICAM-1、IL-1ra、IL-2sRA、IL-6、IL-10、乳酸塩、MCP-1、ミオグロビン、ミエロペルオキシダーゼ、NGAL、プロカルシトニン、活性型プロテインC、潜在型プロテインC、総プロテインC、血清アミロイドA、組織因子、TNF-R1a、TREM-1、sTNFRSF11A、TIMP-1、およびuPAR、またはそれらに関連するマーカーから成る群から選択される1つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築した1つまたはそれ以上のアッセイを実施して、1つまたはそれ以上の更なるアッセイ結果を得ることを更に含み;該相関段階が、アッセイ結果(単数または複数)および更なるアッセイ結果(単数または複数)を被験体におけるSIRSの存在もしくは非存在、または被験体における敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSの存在もしくは非存在、または被験体に関する1つもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクと相関させることを含む、請求項92記載の方法。
【請求項94】
被験体におけるSIRSの診断、被験体におけるSIRSの原因の鑑別、またはSIRSに罹患した被験体への1つもしくはそれ以上の将来的な臨床転帰の予後リスクの割り当ての方法であって:
該被験体から得た1つまたはそれ以上のサンプルについて、活性型プロテインC、BNP79-108、CCL4、CXCL6、sDR6、グルタチオン-S-トランスフェラーゼA、腸型脂肪酸結合タンパク質、プラセンタ成長因子、IL2sRA、スフィンゴシンキナーゼI、sTREM-1、TREM-1sv、およびuPARから成る群から選択される1つまたはそれ以上のマーカーを検出するように構築した1つまたはそれ以上のアッセイを実施して、1つまたはそれ以上のアッセイ結果を取得し;そして
アッセイ結果を被験体におけるSIRSの存在もしくは非存在、または被験体における敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSの存在もしくは非存在、または被験体に関する1つもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクと相関させる、
ことを含む上記方法。
【請求項95】
SIRSの原因の鑑別法が、敗血症と重症敗血症または敗血症性ショックとを鑑別する、請求項94記載の方法。
【請求項96】
SIRSの原因の鑑別法が、敗血症または重症敗血症と敗血症性ショックとを鑑別する、請求項94記載の方法。
【請求項97】
請求項1に記載する以外の1つまたはそれ以上の更なるマーカーを検出するために構築した1つまたはそれ以上のアッセイを実施して、1つまたはそれ以上の更なるアッセイ結果を得ることを含み、相関段階が、アッセイ結果および更なるアッセイ結果を被験体におけるSIRSの存在もしくは非存在、または被験体における敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSの存在もしくは非存在、または被験体に関する1つもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクと相関させることを含む、請求項94記載の方法。
【請求項98】
1つまたはそれ以上の更なるマーカーが、血圧調節関連マーカー、炎症関連マーカー、アポトーシス関連マーカー、並びに凝固および止血関連マーカーから成る群から選択される、請求項97記載の方法。
【請求項99】
被験体がヒトである、請求項94記載の方法。
【請求項100】
1つまたはそれ以上のサンプル(単数または複数)が、血液、血清、および血漿から成る群から選択される、請求項94記載の方法。
【請求項101】
アッセイ(単数または複数)が免疫アッセイ(単数または複数)である、請求項94記載の方法。
【請求項102】
方法が、心房性ナトリウム利尿因子、B型ナトリウム利尿ペプチド、B型ナトリウム利尿ペプチド関連マーカー、C型ナトリウム利尿ペプチド、ウロテンシンII、アルギニンバソプレシン、アルドステロン、アンジオテンシンI、アンジオテンシンII、アンジオテンシンIII、ブラジキニン、カルシトニン、プロカルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、アドレノメジュリン、カルシフォシン、エンドセリン-2、エンドセリン-3、レニン、およびウロジラチンから成る群から選択される1つまたはそれ以上の更なるマーカーを検出するように構築した1つまたはそれ以上のアッセイを実施して、1つまたはそれ以上の更なるアッセイ結果を得ることを含み、相関段階が、アッセイ結果および更なるアッセイ結果を被験体におけるSIRSの存在もしくは非存在、または被験体における敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSの存在もしくは非存在、または被験体に関する1つもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクと相関させることを含む、請求項94記載の方法を含む。
【請求項103】
方法が、急性期反応物質、TNFRSF3、TNFRSF7、TNFRSF11A、LIGHT、CCL16、CXCL5、CXCL9、MMP7、血管細胞接着分子、細胞間接着分子-1、細胞間接着分子-2、細胞間接着分子-3、C-反応性タンパク質、HMG-1、IL-1β、IL-6、IL-8、インターロイキン-1受容体アゴニスト、単球走化性タンパク質-1、カスペース-3、リポカリン型プロスタグランジンD合成酵素、マスト細胞トリプターゼ、好酸球カチオン性タンパク質、KL-6、ハプトグロビン、腫瘍壊死因子α、腫瘍壊死因子β、フィブロネクチン、マクロファージ遊走阻止因子、および血管内皮増殖因子から成る群から選択される1つまたはそれ以上の更なるマーカーを検出するように構築した1つまたはそれ以上のアッセイを実施して、1つまたはそれ以上の更なるアッセイ結果を得ることを含み、相関段階が、アッセイ結果および更なるアッセイ結果を被験体におけるSIRSの存在もしくは非存在、または被験体における敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSの存在もしくは非存在、または被験体に関する1つもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクと相関させることを含む、請求項94記載の方法。
【請求項104】
急性期反応物質が、ヘプシジン、HSP-60、HSP-65、HSP-70、S-FASリガンド、非対称性ジメチルアルギニン、マトリクス・メタロプロテイン11、3、および9、デフェンシンHBD-1、デフェンシンHBD-2、血清アミロイドA、酸化LDL、インスリン様増殖因子、形質転換増殖因子β、インターα阻害剤、e-セレクチン、低酸素誘導因子1α、誘導性一酸化窒素合成酵素、細胞内接着分子、乳酸脱水素酵素、探求走化性ペプチド-1、n-アセチルアスパラギン酸塩、プロスタグランジンE2、核因子リガンドの受容体活性化因子、TNF受容体スーパーファミリー・メンバー1A、およびシスタチンCから成る群から選択される、請求項103記載の方法。
【請求項105】
方法が、プラスミン、フィブリノーゲン、D-ダイマー、β-トロンボグロブリン、血小板因子4、フィブリノペプチドA、血小板由来増殖因子、プロトロンビン・フラグメント1+2、プラスミン-α2アンチプラスミン複合体、トロンビン-アンチトロンビンIII複合体、P-セレクチン、トロンビン、フォン・ヴィレブランド因子、組織因子、および血栓前駆タンパク質から成る群から選択される1つまたはそれ以上の更なるマーカーを検出するように構築した1つまたはそれ以上のアッセイを実施して、1つまたはそれ以上の更なるアッセイ結果を得ることを含み、相関段階が、アッセイ結果および更なるアッセイ結果を被験体におけるSIRSの存在もしくは非存在、または被験体における敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSの存在もしくは非存在、または被験体に関する1つもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクと相関させることを含む、請求項94記載の方法。
【請求項106】
方法が、NP、プロBNP、およびNT-プロBNPから成る群から選択される1つまたはそれ以上の更なるマーカーを検出するように構築した1つまたはそれ以上のアッセイを実施して、1つまたはそれ以上の更なるアッセイ結果を得ることを含み、相関段階が、アッセイ結果および更なるアッセイ結果を被験体におけるSIRSの存在もしくは非存在、または被験体における敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくはMODSの存在もしくは非存在、または被験体に関する1つもしくはそれ以上の臨床転帰の予後リスクと相関させることを含む、請求項94記載の方法。
【請求項107】
方法が、死亡の予後リスクを提供する、請求項94記載の方法。
【請求項108】
方法が、活性型プロテインCを検出するように構築した免疫アッセイを実施することを含む、請求項94記載の方法。
【請求項109】
方法が、BNP79-108を検出するように構築した免疫アッセイを実施することを含む、請求項94記載の方法。
【請求項110】
方法が、CCL4を検出するように構築した免疫アッセイを実施することを含む、請求項94記載の方法。
【請求項111】
方法が、CXCL6を検出するように構築した免疫アッセイを実施することを含む、請求項94記載の方法。
【請求項112】
方法が、sDR6を検出するように構築した免疫アッセイを実施することを含む、請求項94記載の方法。
【請求項113】
方法が、グルタチオン-S-トランスフェラーゼAを検出するように構築した免疫アッセイを実施することを含む、請求項94記載の方法。
【請求項114】
方法が、腸型脂肪酸結合タンパク質を検出するように構築した免疫アッセイを実施することを含む、請求項94記載の方法。
【請求項115】
方法が、プラセンタ成長因子を検出するように構築した免疫アッセイを実施することを含む、請求項94記載の方法。
【請求項116】
方法が、IL2sRAを検出するように構築した免疫アッセイを実施することを含む、請求項94記載の方法。
【請求項117】
方法が、スフィンゴシンキナーゼIを検出するように構築した免疫アッセイを実施することを含む、請求項94記載の方法。
【請求項118】
方法が、sTREM-1を検出するように構築した免疫アッセイを実施することを含む、請求項94記載の方法。
【請求項119】
方法が、TREM-1svを検出するように構築した免疫アッセイを実施することを含む、請求項94記載の方法。
【請求項120】
方法が、uPARを検出するように構築した免疫アッセイを実施することを含む、請求項94記載の方法。


【公表番号】特表2009−510478(P2009−510478A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534639(P2008−534639)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/038755
【国際公開番号】WO2007/041623
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(500204577)バイオサイト インコーポレイテッド (14)