説明

全身的細菌感染症の治療又は予防のための医薬組成物

【課題】 経口的に投与された場合に広範囲の病原性微生物に高レベルの抗菌活性を示す医薬組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 一般式(Ib)
【化1】


〔式中、R1は式
【化2】


(上記式中、R4は水素またはメチル基であり、pは1であり、R5はC1-4アルキルまたはシクロヘキシル基である)を有する基であり、そしてR2はメトキシ基である〕の化合物および1つ以上の生理学的に許容しうる担体または賦形剤を包含する、ヒトまたは動物の生体における全身的細菌感染症の治療又は予防のための医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌活性を有する複素環系誘導体を含む医薬組成物に関する。
【0002】本発明は、一般式(I)
【化3】


(式中、R1はR4-CHOC=O(O)pR5基を表し、ここでR4は水素原子またはC1-4アルキル基を表し、pは0または1であり、R5はC1-6アルキル、場合によりC1-3アルキル基で置換されたC5-8シクロアルキル、フェニル、またはC1-3アルコキシ基で置換されたC1-4アルキルから選ばれる基を表し、そしてR2はOR3基を表し、ここでR3はC1-5アルキル基を表すものとする)で示される化合物を提供するものである。
【0003】式(I)で定義したような固定した立体化学的配置に加えて分子はさらに4と8の位置に2つの不斉炭素原子を含有している。またR1基は、R4が水素以外である場合に少なくとも1つの不斉炭素原子を有する。これらの追加的な不斉炭素中心に由来する混合物を含む全ての立体異性体は式(I)の範囲内にあることが理解できるであろう。
【0004】一般式(I)はここに描かれている如く少なくとも4つの立体異性体とその混合物を包含し、式(1a 1b 1cおよび1d)で表すことができる。
【化4】


【0005】くさび状の結合
【化5】


は結合が紙面上にあることを示している。破線の結合----は結合が紙面下にあることを示している。式1aと1bで8−位置の炭素原子に対し示された立体配置は以下でβ−配置と呼ばれ、式1cと1dではα−配置と呼ばれる。式1bと1dで4−位置の炭素原子に対し示された立体配置は以下でα−配置と呼ばれ、式1aと1cではβ−配置と呼ばれる。
【0006】一般的には、下で命名した特定化合物におけるように8−位置でのβ−配置はS異性体に対応し、4−位置でのβ−配置はR異性体に対応する。8−位置でのα−配置はR異性体に対応し、4−位置でのα−配置はS異性体に対応する。4−と8−位置でのRまたはSの配置の帰属はCahn. IngoldおよびPrelogによるExperientia 1956, 12, 81の法則に従って行われた。ここで使用されたアルキルという用語は直鎖または分枝鎖のアルキル基を意味する。R4がC1-4のアルキル基を表す場合にこれは、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたはブチルであることができる。
【0007】R5がアルキル基を表す場合にこれは慣用的に、例えばメチル、エチル、イソプロピルまたは第三ブチルのようなC1-4アルキル基であることができる。R5がC1-3アルコキシで置換されたC1-4アルキル基を表す場合にこれは、例えばメトキシで置換されたメチル、エチル、プロピルまたはイソプロピル基であることができる。R5が場合によりC1-3アルキルで置換されたC5-8シクロアルキル基を表す場合にこれは、例えば場合によりメチルまたはエチル基で置換したシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチル基であることができる。
【0008】式(I)の化合物の好ましいクラスは8−位置でβ−配置を有するものである。4−位置にα−配置を有するこのクラスに入るものが特に好ましい。式(I)の化合物のさらに好ましいクラスはR4が水素、メチル、プロピルまたはイソプロピル、さらに特定的には水素またはメチルを表すものである。式(I)の化合物のなおさらに好ましいクラスはR5が例えばメチル、エチル、イソプロピルまたは第三ブチルのようなC1-4アルキル基、例えば1−メトキシ−1−メチルエチルのようなメトキシで置換されたC1-4アルキル基、フェニル基、または例えばエチルシクロヘキシルのような場合によりメチルまたはエチル基で置換されたシクロペンチルまたはシクロヘキシルのようなC5-6シクロアルキル基を表すものである。R2がエトキシまたはメトキシ基である式(I)の化合物は、また本発明によるさらに好ましいクラスの化合物を表わしている。
【0009】本発明による特に好ましいエステル基はR4が水素原子またはメチル基を表し、pは0または1であり、R5がメチル、エチル、イソプロピル、第三ブチル、1−メトキシ−1−メチルエチル、フェニル、シクロヘキシルまたは4−エチルシクロヘキシル基を表す場合のものである。本発明による特に好ましい基を有する化合物は8−位置での炭素原子がβ−配置であり、4−位置での炭素原子がα−配置であり、R4が水素原子またはメチル基を表し、R5が場合によりC1-2アルキル基で置換されたC1-4アルキル、C5-6シクロアルキル、フェニルまたはメトキシで置換されたC1-4アルキルを表し、pが0または1であり、R2がメトキシである基の化合物である。
【0010】特定の好ましい化合物としては、(4S,8S,9R,10S,12R)−4−メトキシ−10−(1−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボン酸のエステル、例えばピバロイルオキシメチル、1−ピバロイルオキシエチル、アセトキシメチル、1−アセトキシエチル、1−メトキシ−1−メチルエチルカルボニルオキシメチル、1−(1−メトキシ−1−メチルエチルカルボニルオキシ)エチル、1−ベンゾイルオキシエチル、1−イソプロピルオキシカルボニルオキシエチル、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、1−(4−エチルシクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチルまたはさらに特定的には1−シクロヘキシルオキシカルボニルオキシエチルエステルのようなエステルを挙げることができる。
【0011】本発明による化合物は、経口的に投与された場合に広範囲の病原性微生物に高レベルの抗菌活性を示し、全てのβ−ラクタマーゼに対し極めて高い耐性を有している。さらに本発明の化合物は腎臓のデヒドロペプチダーゼに対しても比較的安定である。本発明の化合物はスタフィロコッカスアウレウス、ストレプトコッカスフェカーリス、ストレプトコッカスニューモニエ、エシェリヒエコリ、クレブシェラニューモニエ、プロテウスミラビリス、シトロバクターフロインディ、シュードモナスアエリギノーザ、クロストリジウムパーフリジェンス、バクテリロデスフラギリスおよびモルガネラモルガニイの菌株に対し有効な水準の活性を示すことがわかった。
【0012】従って本発明の化合物はヒトおよび動物における病原性細菌によってひき起こされる種々の疾病を治療するのに使用することができる。すなわち本発明の別の態様によれば、発明者はヒトまたは動物の患者における全身的細菌感染の治療または予防に使用するために式(I)の化合物を提供する本発明の更なる態様によれば、発明者はヒトおよび動物における全身的細菌感染の処置のための治療剤の製造用に式(I)の化合物の使用を提供するものである。
【0013】本発明の一層更なる態様によれば、発明者は式(I)の化合物の有効量を生体に投与することからなる細菌感染を撲滅することによるヒトまたはヒト以外の動体の生体の治療方法を提供するものである。ここでいう治療とは予防のみならず確定された感染または症候の治療をも意味することは当業者により理解されるであろう。さらに治療に使用するのに必要な本発明の化合物の量は、患者の年令および治療されるべき状況、および症状に応じて変化し、結局付き添いの医師または獣医の自由裁量によることになるであろう。しかしながら一般的には成人のヒト治療に使用される用量は、典型的に1日当たり200〜2000mgの範囲内、例えば1日当たり1000mgであろう。所望の服用量は便宜上、単一投与量または適切な間隔、例えば1日当たり2回、3回、4回またはそれ以上の小分け用量で投与される分割投与量で与えられうる。
【0014】治療用に使用するために本発明の化合物はそのままの化学物質として投与することは可能であるが、薬剤処方物の活性成分として存在させることが好ましい従って本発明はさらに式(I)の化合物を1つまたはそれ以上の薬学的に許容しうるキャリヤーと一緒にし、そして場合によっては他の治療用および/または予防用の成分を一緒にしてなる経口用投与のための薬剤処方を提供するものである。キャリヤーは薬剤処方の他の成分とは耐用性であるという意味で“許容性ある”ものでなければならず、その服用者に有害であってはならない。
【0015】本発明による薬剤組成物は、例えば結合剤(例えば予備ゲル化されたトウモロコシでんぷん、ポリビニルピドリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(例えばでんぷん、ラクトース、微小−結晶性セルロースまたはりん酸カルシウム)、潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、水素化植物油、タルク、シリカ、ポリエチレングリコール)、崩壊剤(例えば馬鈴薯でんぷんまたはナトリウムスターチグリコレート)、または湿潤剤(例えばナトリウムラウリルサルフェート)のような製薬的に許容しうる賦形剤を用いる慣用的な方法で調製された錠剤またはカプセルの形態を取ることができる。また流動助剤、例えば二酸化珪素も必要ならば使用してもよい。錠剤は従来技術で良く知られた方法でコーティングしてもよい。
【0016】経口用投与のための液体製剤は、例えば溶液、シロップまたは懸濁液の形態を取ることもできるしまたは液体としての投与のためにまたは直接的な投与のために使用する前には水または適切なビヒクルと共に用いられる構成物としての乾燥製品の形であってそして次には水または他の適切な液体で流し込むこともできるものとして提供することもできる。このような液体製剤は、例えば懸濁剤(例えばソルビトールシロップ、メチルセルロースまたは水素化可食性油脂例えば水素化ひまし油)、乳化剤または濃厚化剤(例えばレシチン、ステアリン酸アルミニウムまたはアラビアゴム)、非水性ビヒクル(例えばアーモンド油、分別したココナツ油、油性エステルまたはエチルアルコール)、防腐剤(例えばメチルまたはブチルp−ヒドロキシ安息香酸エステルまたはソルビン酸)および好適なフレーバーリング剤および甘味剤のような製薬的に許容しうる添加剤を使用して慣用的な方法で調製することができる。
【0017】式(I)の化合物は、次の式のカルボン酸(II)
【化6】


(式中、Raは水素またはヒドロキシル保護基であり、R2は式(I)で定義した通りとするかまたはその塩またはその反応性誘導体の塩)のエステル化で調製することができ、そしてもし必要ならばまたは望まれるならば、得られた化合物を立体化学異性体のいずれかへの分離にかける前にまたはその後で存在する場合の保護基Raが除去される。Raがヒドロキシル保護基を表す場合に、これは例えばトリメチルシリルまた第三ブチルジメチルシリルのようなトリアルキルシリルであるヒドロカルビルシリル基であってもよい。
【0018】式(II)の化合物またはその塩のエステル化は塩基の存在下、化合物R1Xと反応させることで行うことができ、ここでR1は式(I)で上記に定義された意味を有し、Xは例えば塩素、臭素、沃素のようなハロゲン原子または例えばメシレートまたトシレートのようなアルキルまたはアリールスルホネートのような脱離基である。反応は好ましくは溶媒の存在下に行われるが、その溶媒の性質は反応に逆の作用を及ぼさない限り限界的なものではない。好適な溶媒としてはジメチルホルムアミド、ジメチルアセタミドまたはジチメルスルホキシドを挙げることができる。
【0019】この方法の一具体例においては、反応は便宜的にはカルボン酸(II)のアルカリ金属塩、例えばカリウム塩またはナトリウム塩のような塩を用いて、例えばトリエチルベンジルアンモニウムクロリド、トリオクチル−メチルアンモニウムクロリドまたはテトラブチルアンモニウムブロミドのような好適な第四級アンモニウム塩の存在下、そして好ましくは、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセタミドまたはN−メチルピロリジノンのような極性非プロトン溶媒の存在下に行われる。
【0020】エステル化反応は便宜的に式(II)のRaが水素原子を表す化合物を使用して行うこともできる。もしエステル化反応がRaがヒドロキシル保護基を表す式(II)の化合物で行われるならば、この基は慣用的な方法で外されうる。例えばRaが第三ブチルジメチルシリル基である場合に、これはテトラブチルアンモニウムフルオリドと酢酸で処理することにより外すことができる。式(II)の化合物は、例えばEP-A-0416953に記載されているように知られた方法で調製することができる。
【0021】式(I)の化合物は、また式(III)の化合物
【化7】


(式中、基R1とR2は式(I)で定義した意味を有し、Raはヒドロキシル保護基であり、Yは酸素原子またはホスフィン基である)の環化で調製することができる。そしてもし必要ならばまたは望まれるならば、得られた化合物を立体異性体のいずれかへの分離にかける前にまたはその後で保護基Raを外す処理に付される。
【0022】Yが酸素である式(III)の化合物の環化は便宜的には有機亜リン酸エステルの存在下に加熱して行われる。反応を60°〜200°の範囲内の温度で溶媒中または溶媒の混合物中で行うのが好ましい。好適な溶媒は適切な沸点を有する、例えばトルエンまたはキシレンのような芳香族炭化水素のような炭化水素を包含する好適な有機亜リン酸エステルには、鎖状および環状のトリアルキルホスファイト、トリアリールホスファイトおよび混合アルキルアリールホスファイトがある。
【0023】Yがホスフィン基である式(III)の化合物の環化は40〜200℃の間の温度で溶媒中で行うのが好ましい。好適な溶媒として、例えばキシレンまたはトルエンのような芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、および例えばジクロルメタン、クロロホルムおよびトリクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素からなるような炭化水素がある。好適なホスフィン基としては、例えばトリフェニルホスフィンのようなトリアリールホスフィン、例えばトリ−第三ブチルホスフィンのようなトリアルキルホスフィンが挙げられる。
【0024】ヒドロキシル保護基は、例えばProtective Groups in Organic Chemistry, 46〜119頁, JFW Mcomie(Plenum Press, 1973年発行)に記載されているような良く知られた標準的な方法で外すことができる。例えばRaが第三ブチルジチメルシリル基である場合には、これはテトラブチルアンモニウムフルオリドと酢酸で処理して外すことができる。これは便宜的に例えばテトラヒドロフランのような溶媒中で行われる。同様にRaがトリクロロエトキシカルボニル基である場合に亜鉛と酢酸で処理して外すことができる。式(III)の化合物は構造的に関連した化合物を調製するためのEP-A-041693に記載したのと類似した方法で調製することができる。
【0025】本発明をさらに充分に理解するために次の実施例を挙げて説明する。製剤および実施例において、他に断らない限り次の通りである。融点(m.p.)はGallenKamp装置で測定され、補正されなかった。全ての温度は℃を示す。赤外吸収スペクトルはFT-IR機器でクロロホルム−d1溶液で測定された。プロトン磁気共鳴(1H-NMR)はクロロホルム−d1中の溶液として300MHZで測定された。化学シフトは内部標準として使用されたテトラメチルシランMe4Siから低位の磁場(δ)をppm単位で表したものであり、シングレット(s)、ダブレット(d)、ダブレットダブレット(dd)またはマルチプレット(m)として帰属される。カラムクロマトグラフィーはシリカゲル(Merk AG Dormstadt, Germany)上で行われた。溶液は無水硫酸ナトリウム上で乾燥された。“Petrol”は沸点、40〜60℃の石油エーテルを意味する。塩化メチレンは水素化カルシウム上で再留された。テトラヒドロフランはナトリウム上で再留された。エチルエーテルはナトリウム上で再留された。キシレンは五酸化リン上で再留され、酢酸エチルは活性化したモレキュラーシーブ上で乾燥された。
【0026】中間体1(2−メトキシ−2−メチル)−プロパン酸エテニルエステル2−メトキシ−2−メチルプロパン酸(1.5g)に窒素下、酢酸水銀(II)(0.162g)、酢酸パラジウム(0.0285g)、水酸化カリウム(0.067g)および酢酸ビニル(1.2g)を加えた。得られた溶液を50℃で4時間加熱した。ついで反応混合物に追加的な酢酸ビニル(2.4g)を加え、混合物を50℃で16時間加熱した。20℃に冷却後、ジエチルエーテル(15ml)を加え、混合物をセライトのパッド上で濾過した。溶液を10%水酸化ナトリウム溶液(3×20ml)で洗浄し、水層をセライトとパッド上で濾過し、ついでジエチルエーテル(2×70ml)で抽出した。有機層を食塩水(150ml)で洗浄し、無水の硫酸ナトリウム上で乾燥し、粗製の標題の化合物をうすい黄色の油状物(0.7g)として得た。薄層クロマトグラフィー(tlc),シクロヘキサン/酢酸エチル 8:2,Rf=0.7。IR(CDCl3)νmax(cm-1),1749(C=O エステル),1640(C=C)。1H-NMR(300MHZ, CDCl3)(ppm),7.30(m), 4.983(dd), 4.648(dd), 3.297(s), 1.464(s)。
【0027】中間体2(2−メトキシ−2−メチル)プロパン酸,1−クロロエチルエステル酢酸エチル(50ml)中の中間体1(2.7g)の溶液に、無水の塩化水素を0℃で1時間バブルし、ついで窒素を10分間バブルさせた。溶媒を蒸発させ、残留物をクーゲルロール(Kugelrohr)蒸留(90℃/15mmHg)で精製し、標題の化合物を無色の油状物(2.1g)として得た。TLC、シクロヘキサン/酢酸エチル 9:1, Rf=0.9。IR(CDCl3)νmax(cm-1), 1755(C=O エステル), 1H-NMR(CDCl3, 300MHZ)(ppm), 6.58(q), 3.296(s), 1.837(d),1.442(s)
【0028】中間体3(1−クロロ−2−メチル)プロピルメチルカーボネート乾燥したジクロロメタン(5ml)の1−クロロ−2−メチルプロピルクロロホルメート(1.71g)の溶液を窒素下、撹拌しながら0℃で乾燥したジクロロメタン(5ml)中のメタノール(0.83ml)溶液に滴下して加えた。ついで乾燥したジクロロメタン(10ml)中のピリジン(0.80ml)の溶液を加え、反応混合物を20℃で18時間撹拌した。混合物をジクロロメタン950mlで希釈し、食塩水(3×40ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、窒素気流下、低い温度で濃縮して粗製の標題の化合物を無色の油状物として定量的収率で得た。
1H-NMR(300MHZ, CDCl3), 6.18(d), 3.86(s), 2.82-2.12(m), 1.08(d), 1.06(d)ppm。
【0029】中間体41−クロロエチル 4−エチルシクロヘキシルカーボネート乾燥したジクロロメタン(20ml)中の1−クロロエチルクロロホルメート(5.46g)の溶液を3Aモレキュラーシーブ存在下、乾燥したジクロロメタン(20ml)中の4−エチルシクロヘキサノール(5g)の撹拌した溶液に、0℃で窒素下、滴下して加えた。乾燥ジクロロメタン(20ml)中のピリジン(3g)の溶液を反応混合物に0℃で20分の間に滴下して加えた。次に混合物を20℃に温め、20時間撹拌し、食塩水(2×50ml)で洗浄し、乾燥した。溶媒を真空下、除去し、残留物を蒸留し、標題の化合物を無色の油状物(7.9g, b.p. 130°/5.2ミリバール)として得た。t.l.c., シクロヘキサン/酢酸エチル 9/1, Rf=0.88。IR(CDCl3), νmax(cm-1), 1757(C=O) 1H-NMR(300MHZ, CDCl3), 6.43(q), 6.42(q), 4.93(bs),4.59(tt), 2.14-2.01(bs), 2.00-1.88(bs), 1.88-1.78(m), 1.83(d), 1.82(d),1.60-1.50(m), 1.50-1.32(m),1.30-1.15(m), 1.28-1.18(m), 1.05-0.95(m), 0.95-0.85(m)。
【0030】中間体51−クロロ−2−メチルプロピル 2,2−ジメチルプロピオネート窒素下、−20℃で撹拌した塩化亜鉛(0.11g)とピバロイルクロリド(10g)の混合物に、10分間で2−メチルプロピオンアルデヒド(5.98g)を滴下して加えた。ついで反応混合物を23℃に温め、さらに2時間撹拌した。固形物を遠心分離で除去し、油状残留物を蒸留し、標題の化合物を無色油状物(11.55g,bp 70°/35ミリバール)として得た。
IR(CDCl3), νmax(cm-1), 1749(C=O) 1H-NMR(300MHZ,CDCl3), 6.28(d), 2.16(m), 1.22(s), 1.05(d)ppm。
【0031】中間体6シクロヘキシルクロロメチルカーボネート塩素流を分散光の下、冷却した(−10/+5°)のメチルクロロホルメート(6ml)中に徐々にバブルさせた。反応を1H-NMRでチェックし、ジクロロメチルクロロホルメートの濃度が5%モル以上になる前に停止した。窒素を溶液が無色になるまでバブルさせ、そして残留物を蒸留し、必要とする中間体のクロロメチルクロロホルメートを含む二つの主留分を得た。フラクションa(2.48g, モル比,クロロホルメート/クロロメチルクロロホルメート/ジクロロメチルクロロホルメート 19/77/4)、フラクションb(1.76g, モル比,メチルクロロホルメート/クロロメチルクロロホルメート/ジクロロメチルクロロホルメート 4/90/6)。窒素下、3Aモレキュラーシーブ存在下で乾燥ジクロロメタン(5ml)中の氷冷したシクロヘキサノール(1.37ml)溶液に、乾燥ジクロロメタン(5ml)中のフラクションa(1.7g)溶液を5分間で加えた。つぎに乾燥ジクロロメタン(5ml)中のピリジン(1.06ml)の溶液を反応混合物に0℃で30分間に加え、混合物を徐々に20〜25℃に加熱した。5時間後、溶液を濾過し、ジクロロメタン(30ml)で希釈し、水(20ml)、食塩水(3×30ml)で洗浄し、乾燥した。溶媒を蒸留し去り、残留物をシクロヘキサン/酢酸エチル=9/1を溶離剤として使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製し、標題の化合物を白色ワックス状物(1.98g, t.l.c., シクロヘキサン/酢酸エチル 9/1,Rf=0.44。IR(CDCl3),νmax(cm-1), 1759(C=O) 1H-NMR(300MHZ, CDCl3),5.73(s), 4.78-4.66(m), 2.00-1.90(m), 1.80-1.70(m),1.60-1.20(m)ppm)として得た。
【0032】
【実施例】実施例 11−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル(4S,8S,9R,10S,12R)−4−メトキシ−10−(1′−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボキシレートジメチルホルムアミド(8ml)中のカリウム(4S,8S,9R,10S,12R)−4−メトキシ−10−(1−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボキシレート(以下これを“中間体A”と呼ぶ)(0.5g)の溶液にテトラブチルアンモニウムブロミド(0.5g)と(1−クロロエチル)−シクロヘキシルカーボネート(0.65g)を22℃で加えた。得られた混合物を22℃で15時間撹拌し、次いでジエチルエーテル(60ml)中に注ぎ入れ、1%塩酸水溶液(40ml)、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(2×50ml)および食塩水(2×50ml)で洗浄し、乾燥し、濃縮した。残留物(1g)をジエチルエーテル(2ml)に溶解し、烈しく撹拌しながら軽質石油(20ml)を加えた。沈殿(0.1g)を濾去し、母液を濃縮し、残留物を得てからジエチルエーテル(1ml)に溶解し、烈しく撹拌させながら軽質石油(20ml)を加え、さらに沈殿(0.14g)を得た。沈殿を合し(0.24g)、さらにジエチルエーテル(3ml)に溶解し、烈しく撹拌しながら軽質石油(30ml)から沈殿させることで精製し、標題の化合物を白色粉末(0.160g、t.l.c. ジエチルエーテル,Rf=0.44,融点 90〜100℃)として得た。
IR(CDCl3) νmax (cm-1) 1771, 1632。1H-NMR(300MHZ,CDCl3) 6.93-6.85(q+q), 4.92(t), 4.62(m), 4.25-4.05(m), 3.30-3.15(m), 3.25(s), 3.24(s), 2.08(m), 2.0-1.2(m), 1.61(d), 1.59(d), 1.31(d), 1.30(d)。
実施例1に記載された実験方法によって、次のエステルは中間体Aと調製された。
【0033】実施例 21−(エチルオキシカルボニルオキシ)エチル(4S,8S,9R,10S,12R)−4−メトキシ−10−(1′−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボキシレートは油状物(t.l.c. ジエチルエーテル,Rf=0.42)として中間体Aと(1−クロロエチル)−エチルカーボネートから得られた。
IR(CDCl3) νmax (cm-1) 1765, 1738, 1600。1H-NMR(300MHZ, CDCl3) 6.93-6.87(q+q), 4.933(m), 4.3-3.8(m), 3.26-3.24(s+s), 3.32-3.20(m), 2.08(m), 1.94-1.3(m), 1.62(d), 1.60(d), 1.36-1.28(m)。
【0034】実施例 31−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)エチル(4S,8S,9S,10S,12R)−4−メトキシ−10−(1′−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボキシレートIR(CDCl3) νmax (cm-1) 3614, 1767, 1632。1H-NMR(300MHZ, CDCl3) 6.90(q), 6.89(q), 4.95-4.83(m), 4.3-4.2(m), 4.191(dd), 3.55-3.20(m), 3.257(s),3.243(s), 2.07(m), 1.93-1.75(m), 1.613(d), 1.33-1.29(d+d+d)。t.l.c. シクロヘキサン,酢酸エチル 4:6,Rf=0.4 は中間体Aと(1−クロロエチル)−イソプロピルカーボネートから得られた。
【0035】実施例 41−(アセトキシ)エチル(4S,8S,9R,10S,12R)−4−メトキシ−10−(1′−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボキシレートは中間体Aと(1−クロロエチル)アセテートから油状物(0.160g,t.l.c. シクロヘキサン,酢酸エチル 4:6,Rf=0.4)として得られた。
IR(CDCl3) νmax (cm-1) 3605, 1769, 1700。1H-NMR(300MHZ, CDCl3) 6.99(q), 6.98(q), 4.93(t), 4.25(m),4.19(dd), 3.3-3.2(m), 3.25(s), 3.24(s), 2.10(s), 2.07(s), 2.08(m), 1.95-1.3(m), 1.56(d), 1.55(d), 1.31(d), 1.30(d)
【0036】実施例 51−(シクロヘキシルカルボニルオキシ)エチル(4S,8S,9R,10S,12R)−4−メトキシ−10−(1′−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボキシレートIR(CDCl3) νmax (cm-1) 1774, 1750, 1630。1H-NMR(300MHZ, CDCl3) 6.997(q), 6.977(q), 4.931(t), 4.913(t), 4.24(m), 4.193(dd), 3.3-3.2(m), 3.25(s),3.245(s), 2.38-2.24(m), 2.05(m), 1.95-1.2(m), 1.65(dd), 1.566(d), 1.555(d), 1.326(d), 1.314(d)は中間体Aと(1−クロロエチル)シクロヘキサンカルボキシレートから得られた。
【0037】実施例 61−(ベンゾイルオキシ)エチル(4S,8S,9R,10S,12R)−4−メトキシ−10−(1′−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボキシレートは中間体Aと(1−クロロエチル)ベンゾエートから油状物(0.045g,t.l.c.シクロヘキサン,酢酸エチル 1:1,Rf=0.25)として得られた。
IR(CDCl3) νmax (cm-1) 1776, 1738, 1640, 1603。1H-NMR(300MHZ, CDCl3) 8.1-8.02(m), 7.58(tt), 7.48-7.4(m), 7.27(m), 4.948(t), 4.914(t), 4.3-4.2(m), 4.20(dd), 3.3-3.2(m), 3.23(s), 3.21(s), 2.05(m), 1.9-1.3(m), 1.725(d), 1.708(d), 1.326(d), 1.302(d)。
【0038】実施例 71−〔(1,1−ジメチルエチル)カルボニルオキシ〕エチル(4S,8S,9R,10S,12R)−4−メトキシ−10−(1′−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボキシレートは中間体Aと1−〔(1,1−ジメチルエチル)カルボニルオキシ〕エチルクロリドから油状物(0.160g)(t.l.c. シクロヘキサン,酢酸エチル 4:6,Rf=0.37)として得られた。
IR(CDCl3) νmax (cm-1) 3666, 1766, 1744, 1632。1H-NMR(300MHZ, CDCl3) 6.982(q), 6.941(q), 4.94-4.88(m), 4.3-4.16(m), 3.3-3.18(m), 3.238(s), 3.20(s), 2.05(m), 1.9-1.2(m), 1.565(d), 1.554(d), 1.317(d), 1.306(d), 1.207(s), 1.179(s)。
【0039】実施例 81−〔2−メトキシ−2−メチル−プロパノイルオキシ〕エチル(4S,8S,9R,10S,12R)−4−メトキシ−10−(1′−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボキシレートは中間体Aと2−メトキシ−2−メチル−プロパン酸クロロエチルエステルから油状物(0.130g)(t.l.c. ジエチルエーテル,Rf=0.35)として得られた。
IR(CDCl3) νmax (cm-1) 1772, 1603。1H-NMR(300MHZ,CDCl3) 7.028(q), 6.984(q), 4.914(m), 4.3-4.2(m), 4.190(dd), 3.3-3.2(m), 3.260(s), 3.248(s),3.290(s), 3.226(s),2.06(m), 1.9-1.35(m), 1.604(m),1.437(s), 1.429(s),1.403(s), 1.400(s), 1.315(d)。
【0040】実施例 9アセトキシメチル(4S,8S,9R,10S,12R)−4−メトキシ−10−(1′−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボキシレートは中間体Aとクロロメチルアセテートから油状物(0.240g)(t.l.c. シクロヘキサン,酢酸エチル 4:6,Rf=0.24)として得られた。
IR(CDCl3) νmax (cm-1) 1769, 1730, 1640。1H-NMR(300MHZ, CDCl3) 4.996(t), 4.802(s), 4.3-4.2(m), 4.23(dd), 3.774(s), 3.36-3.24(m+dd), 3.28(s), 2.1(m), 1.94-1.30(m), 1.769(d), 1.327(d)。
【0041】実施例 10〔(1,1−ジメチル−エチル)カルボニルオキシ〕メチル(4S,8S,9R,10S,12R)−4−メトキシ−10−(1′−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボキシレートは中間体Aと〔(1,1−ジメチルエチル)カルボニルオキシ〕メチルヨーダイドから油状物(0.260g)(t.l.c. シクロヘキサン,酢酸エチル 1:1,Rf=0.26)として得られた。
IR(CDCl3) νmax (cm-1) 3569, 1772, 1751, 1600。1H-NMR(300MHZ, CDCl3) 5.95(d), 5.85(d), 4.88(t), 4.24(m), 4.20(dd), 3.27(m), 3.25(dd), 3.23(s),2.1(m), 2.0(bs), 1.95-1.6(m), 1.5-1.20(m), 1.31(d), 1.21(s)。
【0042】実施例 111−(2−メトキシ−2−メチル−プロパノイルオキシ)メチル(4S,8S,9R,10S,12R)−4−メトキシ−10−(1′−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボキシレートは中間体Aと(2−メトキシ−2−メチル)プロパン酸クロロメチルエステルから油状物(0.110g)(t.l.c. ジエチルエーテル,Rf=0.33)として得られた。
IR(CDCl3) νmax (cm-1) 3600, 1772, 1740, 1640。1H-NMR(300MHZ, CDCl3) 5.964(d+d), 4.904(m), 4.242(m), 4.203(dd), 3.984(dd), 3.33-3.22(m+dd), 3.292(s), 3.240(s), 2.1(m), 1.95-1.2(m), 1.441(s), 1.429(s), 1.315(s)。
【0043】実施例 121−(メチルオキシカルボニルオキシ)−2−メチルプロピル(4S,8S,9R,10S,12R)−4−メトキシ−10−(1′−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボキシレートは中間体Aと(1−クロロ−2−メチル)プロピルメチルカーボネートから油状物(0.040g)(t.l.c. シクロヘキサン,酢酸エチル 4:6,Rf=0.36)として得られた。
IR(CDCl3) νmax (cm-1) 1767, 1734, 1680。1H-NMR(300MHZ, CDCl3)6.661(d), 6.636(d), 4.974(m), 4.936(m), 4.3-4.15(m), 3.824(s), 3.805(s), 3.262(s), 3.242(s), 3.32-3.18(m), 1.327(d), 1.306(d), 1.15-0.95(m), 2.4-1.2(m)。
【0044】実施例 131−(アセチルオキシ)ブチル(4S,8S,9R,10S,12R)−4−メトキシ−10−(1′−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボキシレートは中間体Aと1−ブロモブチルアセテートから油状物(0.050g)(t.l.c. シクロヘキサン,酢酸エチル 1:1,Rf=0.33)として得られた。R(CDCl3) νmax (cm-1) 1769, 1732, 1632。1H-NMR(300MHZ, CDCl3) 6.925(q), 4.948(m), 4.28-4.16(m), 3.3-3.2(m), 3.251(s), 3.243(s), 2.105(s), 2.069(s),2.12-2.04(m), 1.94-1.74(m), 1.74-1.58(m), 1.54-1.349(m), 1.318(d),1.307(d), 0.962(t), 0.957(t)
【0045】実施例 141−〔(4−エチルシクロヘキシルオキシ)カルボニルオキシ)エチル(4S,8S,9R,10S,12R)−4−メトキシ−10−(1′−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボキシレートN,N−ジメチルホルムアミド(5ml)中の中間体A(0.3g)の溶液に窒素下、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド(0.3g)と中間体4(0.47g)を加え、22℃で16時間撹拌を続けた。反応混合物をジエチルエーテル(15ml)で希釈し、飽和塩化アンモニウム(2×20ml)、食塩水(2×20ml)で洗浄し、乾燥し、真空で蒸発させた。油状残留物を溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチル 7/3を使用するシリカゲル上のクロマトグラフィーにかけ、標題の化合物を白色泡沫状物(0.169g)(t.l.c. シクロヘキサン/酢酸エチル 1/1,Rf=0.41)として得た。
IR(CDCl3) νmax (cm-1) 3640(OH), 1761(C=O), 1634(C=C)。1H-NMR(300MHZ,CDCl3) 6.88(m), 4.92(m), 4.91(m), 4.95-4.85(m), 4.54(m) 4.28-4.18(m), 4.18(dd), 3.30-3.20(m), 3.24(s), 3.23(s), 2.05(m), 2.00-1.75(m), 1.70-1.50(m), 1.60(m), 1.50-1.09(m),1.31(d), 1.29(d), 1.25-1.15(m), 0.86(m)(ppm)。
【0046】実施例 15(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)メチル(4S,8S,9R,10S,12R)−4−メトキシ−10−(1′−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボキシレートN,N′−ジメチルホルムアミド(6.5ml)中の中間体A(0.22g)の溶液に3Aモレキュラーシーブの存在下、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド(0.222g)と中間体6(0.191g)を加えた。得られた混合物を22℃で5時間撹拌し、ジエチルエーテル(50ml)で希釈し、水(30ml)、飽和アンモニウムクロリド(2×30ml)、5%酸性炭酸ナトリウム水溶液(30ml)、食塩水(2×30ml)水(30ml)で洗浄し、乾燥した。溶媒を真空下除去し、残留物をシクロヘキサン/酢酸エチル 100/0〜65/35を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製し、標題の化合物を白色の泡沫状物(0.1g,t.l.c.シクロヘキサン/酢酸エチル 1/1,Rf=0)として得た。
IR(CDCl3) νmax (cm-1) 3614(OH), 1722(C=O, β−ラクタム), 1717(C=O, エステル), 1640(C=C)。1H-NMR(300MHZ, CDCl3) 5.90(dd), 4.93(t), 4.67(m), 4.30-4.20(m), 4.20(dd), 3.35-3.25(m), 3.25(s), 2.08(m),2.00-1.80(m), 1.80-1.30(m), 1.32(d)ppm。
【0047】実施例 161−〔(1,1−ジメチルエチル)カルボニルオキシ〕2−メチルプロピル(4S,8S,9R,10S,12R)−4−メトキシ−10−(1′−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボキシレートN,N′−ジメチルホルムアミド(5ml)中の中間体A(0.3g)の溶液に窒素下、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド(0.3g)と中間体5(0.389g)を加え、撹拌を22℃で16時間続けた。反応混合物をジエチルエーテル(15ml)で希釈し、飽和塩化アンモニウム(2×30ml)、食塩水(2×30ml)で洗浄し、乾燥し、真空中で蒸発させた。油状残留物を溶離剤としてシクロヘキサン/酢酸エチル7/3を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにかけ、標題の化合物を無色の油状物(0.057g)(t.l.c. シクロヘキサン/酢酸エチル 1/1,Rf=0.45)として得た。
IR(CDCl3) νmax (cm-1) 3611(NH), 1774(C=O, β−ラクタム), 1747(C=O, エステル), 1632(C=C)。1H-NMR(300MHZ, CDCl3) 6.76(d), 6.72(d), 4.95(t), 4.92(t),4.30-4.16(m), 3.23-3.19(m), 3.24(s), 3.23(s), 2.10(m), 2.06(m), 1.94-1.80(m), 1.75-1.60(m), 1.50-1.20(m), 1.32(d), 1.31(d), 1.22(s), 1.19(s), 1.06-0.98(d)ppm。
【0048】実施例 171−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル(4S,8S,9R,10S,12R)−4−メトキシ−10−(1′−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボキシレートジメチルホルムアミド(8ml)中のナトリウム(4S,8S,9R,12R)−4−メトキシ−10−(1−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボキシレート(194mg)の溶液にトリエチルベンジルアンモニウムクロリド(146mg)と(1−クロロエチル)−シクロヘキシルカーボネート(0.142ml)を室温で加えた。得られた混合物を60℃で97分撹拌し、ジエチルエーテル(30ml)で希釈し、冷水(60ml)で洗浄した。水層をジエチルエーテル(30ml)で再抽出し、合した有機層を食塩水(30ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。有機層を減圧下、濃縮し、得られた白色泡沫物(288mg)をジエチルエーテル/石油から結晶化し、標題の化合物(220mg)を白色の固体として得た。
【0049】調 剤 例錠剤例A mg/錠実施例1の化合物 320ラクトース 150エチルセルロース 20ナトリウムラウリルサルフェート 7マグネシウムステアレート 3錠 剤 芯 500活性成分とラクトースを一緒に配合し、次いで造粒流体として水を用いて粒状化した。乾燥した顆粒をエチルセルロース、ナトリウムラウリルサルフェートおよびマグネシウムステアレートと配合し、錠剤芯は適切なパンチを用いて打ち抜かれた。次いで錠剤は慣用的な方法とコーティング手段でコーティングされうる。
【0050】
例B mg/錠実施例1の化合物 320圧縮砂糖 170ナトリウムラウリルサルフェート 7マグネシウムステアレート 3錠 剤 芯 500活性成分と賦形剤を一緒に配合し、次いで適切なパンチを用いて圧縮した。もし所望ならばこのように成形された錠剤は慣用的な方法でコーティングされうる。
【0051】顆粒例C mg/単位用量実施例1の化合物 320殿 粉 100セルロース 40ポリメタクリレート 30ナトリウムラウリルサルフェート 7マグネシウムステアレート 3フレーバーリング剤 適量例D mg/単位用量実施例1の化合物 320エチルセルロース 140ポリメタクリレート 30ナトリウムラウリルサルフェート 7マグネシウムステアレート 3フレーバーリング剤 適量例E mg/単位用量実施例1の化合物 320圧縮砂糖 140ポリメタクリレート 30ナトリウムラウリルサルフェート 7マグネシウムステアレート 3フレーバーリング剤 適量
【0052】エタノール中の活性成分溶液を主な賦形剤と共に入れた適切な流動床造粒機中で噴霧させる。このように形成された粒体を乾燥し、篩にかける。必要ならば好適な腸溶性コーティングで被覆し乾燥させる。乾燥された粒体を任意のフレーバーリング剤を含む残りの賦形剤と共に配合し、例えば腸溶性のコーティングで被覆する。このように得られた顆粒を一回の用量投与のためにカプセルまたはカプセル様剤中に充填するかまたは複数回用量の経口による液体投与のためのボトルに充填する。
【0053】活性データマウスを使用しての慣用法で行われた防御テストにおいて経口的に投与された本発明の化合物は病原性細菌に対し、次の表で示したように極めて高い活性を示した。ここでこれらの化合物をよく知られた経口的に投与しうる広域抗菌スペクトルを有する抗生物質セフロキシムアキセチルと比較している。
【表1】


【0054】また本発明の化合物は治療的に使用する投与量レベルでは本質的に無毒である。例えば、実施例1の化合物を経口的にマウスにkg当たり1000mgまでの用量で投与する場合でも悪影響は認められなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 一般式(Ib)
【化1】


〔式中、R1は式
【化2】


(上記式中、R4は水素またはメチル基であり、pは1であり、R5はC1-4アルキルまたはシクロヘキシル基である)を有する基であり、そしてR2はメトキシ基である〕の化合物および1つ以上の生理学的に許容しうる担体または賦形剤を包含する、ヒトまたは動物の生体における全身的細菌感染症の治療又は予防のための医薬組成物。
【請求項2】 前記式(Ib)において、R4がメチル基であり、そしてR5がエチル、イソプロピル、第三ブチルまたはシクロヘキシル基である化合物を包含する請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】 1−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)エチル(4S,8S,9R,10S,12R)−4−メトキシ−10−(1−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボキシレート、1−(エトキシカルボニルオキシ)エチル(4S,8S,9R,10S,12R)−4−メトキシ−10−(1−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボキシレート、または1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル(4S,8S,9R,10S,12R)−4−メトキシ−10−(1−ヒドロキシエチル)−11−オキソ−1−アザトリシクロ〔7.2.0.03.8〕ウンデカ−2−エン−2−カルボキシレートを包含する請求項1記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2000−351730(P2000−351730A)
【公開日】平成12年12月19日(2000.12.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−144232(P2000−144232)
【分割の表示】特願平3−513660の分割
【出願日】平成3年8月20日(1991.8.20)
【出願人】(591151646)グラクソ・ソシエタ・ペル・アツイオーニ (1)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO SOCIETA PER AZIONI