説明

公転・自転撹拌機

【課題】公転・自転撹拌機について、容器ホルダーの自転手段における騒音及び部品の摩耗を低減することに加え、装置のコンパクト化を実現する。
【解決手段】公転駆動手段により水平面内で回転する回転体8と、その回転中心から半径方向に距離を隔てた位置に回転中心方向に傾斜して設けた自転軸20aを中心に自転手段により自転する容器ホルダー20Aとを備えた公転・自転撹拌機1において、その公転駆動手段が回転体8の回転中心上方で容器ホルダー20Aの公転軌道内側空間に配設され駆動軸62で回転体8を回転せしめる電動モータ6Aであり、その自転手段が容器ホルダー20Aの外周面全周にわたって設けられた導電体20bと電動モータ6A外周側に磁界を形成して導電体20bに磁力を及ぼす固定式の磁石からなるものとされ、公転運動を行う導電体20bに前記磁力が作用することで容器ホルダー20Aが自転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撹拌容器を収納した容器ホルダーを公転及び自転させることによる複合遠心力を用いた公転・自転撹拌機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、撹拌容器を収容した容器ホルダーを、公転させながらその公転軌道上で遊星歯車や伝動ベルトなどの自転手段にて自転させることにより混合撹拌や脱泡を行う公転・自転撹拌機が知られており、例えば特開昭61−290946号公報、特開平10−43567号公報などに提示されている。
【0003】
前記従来の公転・自転撹拌機は、公転と自転を組み合わせた合成遠心力により撹拌・脱泡能力に優れていることから、通常の撹拌機では混合し難い混合物や脱泡し難い混合などに用いられている。しかしながら、容器ホルダーを自転させるために遊星歯車や伝動ベルト等を用いた場合、装置が複雑化して製造コストの高騰を招くことに加え、回転を伴う部品の接触部に摩耗が生じて定期的な部品交換が必要となる。また、交換作業に所定レベル以上の技術を要するとともに比較的長時間にわたって装置の稼働を停止するため、メンテナンスに要する手間とコストが過剰になるという問題がある。
【0004】
さらに、自転手段における部品の接触により騒音を生じるとともに摩耗ゴミが発生するため、例えばゴミを嫌う半導体生産ラインや医薬品生産ラインにおいては、公転・自転撹拌機の回転部分や装置全体を密閉構造にしてゴミが外部に漏れないようにする対策が必要となり、メンテナンス性の悪化を伴うとともに対策費用も過大となりやすい。
【0005】
この問題に対し、図9に示すように容器ホルダー30外周面にゴム弾性体30bを設け、この容器ホルダー30の外側母線が描く公転軌道よりも外側の公転軌道全周にわたってゴム弾性体30bに接触しながら容器ホルダー30に自転運動を附与する定位置ゴム弾性体33を設けた公転・自転撹拌機1Cが、特開平8−332367号公報に提案されている。
【0006】
また、前記特許文献において、図10に示すように容器ホルダー40外周にゴム弾性体30bの代わりに導電体による回転子40bを設けるとともに、定位置ゴム弾性体33の代わりに回転子40bに三相交流による回転磁界を与える固定子巻線を有した定位置電磁石34を設けた公転・自転撹拌機1Dも提案されている。
【0007】
図9に示した公転・自転撹拌機1Cでは、容器ホルダー30のゴム弾性体30bと定位置ゴム弾性体33による弾性体同士の摩擦を利用するものであり、図10に示した公転・自転撹拌機1Dでは、導電体による回転子40bと定位置電磁石34との間で接触することなく発揮される磁気ブレーキ(磁気摩擦)を利用したものであることから、両者とも容器ホルダーの自転手段を構成する部品の摩耗及び騒音が殆ど生じないものとなって、比較的簡易な構成でメンテナンスに要する手間とコストを低減可能としている。
【0008】
しかしながら、これらの装置では、容器ホルダー30の外側母線が描く公転軌道よりも外側の公転軌道全周にわたってゴム弾性体30bや回転子40bを設置するための周壁を設けることが必須であり、設置手段が限定される。また、容器ホルダー30,40の公転駆動手段における駆動源としての既成の電動モータ6を、回転アーム8の公転軸に一致する駆動軸7の下方又は下方側方に配置する構成であることから、電動モータ6の高さ分だけ上下方向に嵩張って装置が大型化しやすくなる、という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭61−290946号公報
【特許文献2】特開平10−43567号公報
【特許文献3】特開平8−332367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものであり、公転・自転撹拌機について、容器ホルダーの自転手段における騒音及び部品の摩耗を低減することに加え、装置のコンパクト化を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために成された本発明である公転・自転撹拌機は、基体に軸支された公転軸に固着され所定の公転駆動手段で付勢されて水平面内で回転運動を行う回転体と、前記回転体の回転中心から半径方向に距離を隔てた位置に前記回転体の回転中心方向に傾斜して設けた自転軸を中心に撹拌容器を挿入保持した状態で所定の自転手段により自転運動を行う容器ホルダーとを備えた公転・自転撹拌機において、前記公転駆動手段が、前記回転体の回転中心上方で前記容器ホルダーの公転軌道内側空間に配設され前記公転軸の中心軸線に中心軸線を一致するように突設した駆動軸で前記回転体を回転させる電動モータであるとともに、前記自転手段は、前記容器ホルダーの外周面全周にわたって設けられた導電体と容器ホルダーの内側に位置する前記電動モータにおける外周側に磁界を形成して前記導電体に磁力を及ぼす固定式の磁石からなり、前記電動モータの駆動により公転運動を行う前記容器ホルダーの前記導電体に前記磁力が作用することで前記容器ホルダーを自転させることとした。
【0012】
従来周知の公転・自転撹拌機においては、公転駆動手段が回転体の下方に配置された既成の電動モータであったことから、電動モータの高さ分だけ装置の上下方向の大型化が避けられなかったのに対し、本発明では公転駆動手段を回転体の上方で容器ホルダーの公転軌道内側空間に配置するとともに、非接触式の磁気作用(磁気ブレーキ)により容器ホルダーを自転させる構成としたことにより、容器ホルダーの外周に駆動装置を配置することを要さず、特に、既成の電動モータの分だけ高さを低く抑えて装置のコンパクト化を実現可能としたものである。
【0013】
また、この公転・自転撹拌機において、前記電動モータは、駆動軸の中心軸線周りに形成した周壁の周方向にわたって複数の電磁石が連設された状態で支持された固定子と、先端側を回転体の回転中心に固定された駆動軸の基端側で前記中心軸線周りに形成した周壁の周方向にわたって複数の永久磁石が着磁方向を周壁の厚さ方向としながら隣り合う極性の向きが逆になるように連設された状態で前記固定子の内周側に配置された回転子とからなり、その固定子は外周面が容器ホルダーの導電体に近接配置されているとともに前記電磁石が固定子の遠心方向にも磁界を形成することで前記固定式の磁石を兼ねており、固定子への通電を制御することで公転速度及び自転速度が制御可能としたことにより、自転手段専用の固定式の磁石を要することなく簡易な構成にて容器ホルダーを自転させることが可能となる。
【0014】
或いは、この場合、回転子が先端側を回転体の回転中心に固定された駆動軸の基端側で前記中心軸線周りに形成した導電体製の周壁が前記固定子の内周側に配置したものとして、通電された前記固定子が回転磁界を形成することにより回転子に誘導電流が生じて公転駆動させる場合も同様である。
【0015】
更に、上述した公転・自転撹拌機において、その電動モータの固定子は、その電磁石が周壁の内周面側と外周面側とで別個に配設されているとともに、内周面側の電磁石と外周面側の電磁石とが別個に通電制御可能とされており、前記内周面側の電磁石への通電状態を制御することにより前記回転子の公転速度を制御し、外周面側の電磁石への通電状態を制御することにより前記容器ホルダーの自転速度を前記回転子の公転速度の制御とは別に制御可能としたものとすれば、回転子の公転速度と容器ホルダーの自転とを別々に且つ精密に制御可能であり所望の撹拌・脱泡状態を実現しやすいものとなる。
【0016】
更にまた、上述した公転・自転撹拌機において、その容器ホルダーの導電体の代わりに、複数の永久磁石が着磁方向を容器ホルダーの遠心方向としながら隣り合う極性の向きが逆になるように周方向にわたって容器ホルダーの外周面に連設されたものとすれば、容器ホルダーの自転制御が一層精密に行えるものとなる。
【0017】
加えて、上述した公転・自転撹拌機において、その容器ホルダーの少なくとも一部が導電体からなり、この導電体からなる部分に対し近接しながら容器ホルダーの公転運動又は自転運動に追従しない状態で加熱用磁石が配設されて生じた磁力線が導電体を通過するものとされており、容器ホルダーが公転及び自転することにより磁力線が通過している導電体に渦電流が生じジュール熱を発生して、容器ホルダー内に保持した撹拌容器を加熱することを特徴としたものとすれば、撹拌対象に応じて撹拌容器を加熱することにより、さらに良好な混合・撹拌機能が発揮されるものとなる。
【発明の効果】
【0018】
公転駆動手段が回転体の上方で容器ホルダーの回転軌道内側空間に配置されるとともにその外周側に磁界を形成するものとして公転運動を行う容器ホルダーに磁力が作用することで自転運動を行うものとした簡易な構成の本発明によれば、自転手段における騒音及び部品の摩耗を低減することに加え装置のコンパクト化の実現が可能なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の好ましい実施の形態を示す説明図。
【図2】図1に示した実施の形態において電源手段、ケーシング、容器ホルダーを除いた部分の分解斜視図。
【図3】本発明の異なる実施の形態を示す説明図。
【図4】本発明の異なる実施の形態を示す説明図。
【図5】本発明の異なる実施の形態を示す説明図。
【図6】本発明の異なる実施の形態を示す説明図。
【図7】本発明の実施の形態の応用例を示す説明図。
【図8】本発明の異なる実施の応用例を示す説明図。
【図9】従来例を示す説明図。
【図10】従来例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
【0021】
図1は、本発明の好ましい実施の形態を示すものであり、公転・自転撹拌機1はドーナツ状の基体3cに軸支された公転軸62に固着され後述する公転駆動手段により付勢されて水平面で回転運動を行う両端側が上向きに傾斜した板状の回転体8と、この回転体8の両端側上向き傾斜部で回転中心から半径方向に所定距離を隔てた位置に回転体8の回転中心方向に傾斜した自転軸20a,20aを中心に、撹拌容器を挿入保持した状態で後述する自転手段により自転軸線Y,Yを中心に自転運動を行う容器ホルダー20A,20Aとを備えたものであり、以上の構成部分は図7,8に示したものを含めて従来例とほぼ共通している。
【0022】
そして、上述した図7,8に示したような従来例において公転駆動手段である既成の電動モータ6が回転体8の下方に配置されていることで装置のコンパクト化が困難であったのに対し、本実施の形態においては、公転駆動手段である電動モータ6Aが回転体8の回転中心上方で2つの容器ホルダー20a,20aによる公転軌道内側空間に配設されているため、電動モータ6Aの高さが装置全体の高さの一部を占めないものとなっている。
【0023】
即ち、本実施の形態では、電動モータ6Aは、例えば装置の筺体であるケーシング3Aの蓋部3b下面中心部分から配線が通る管状の腕部材90により固定子61Aが吊り下げ支持されて回転体8の上方で容器ホルダー20A,20Aによる公転軌道内側空間に位置しているとともに、回転子60Aから下向きに突設された駆動軸62が回転体8の回転中心に固定された公転軸5に中心軸線を一致した状態で一体とされており、少なくとも図7,8に示した従来の回転子8の下方に配置した既成の電動モータ6Aの高さ分だけ装置の高さを低く抑えることを可能としたものである。
【0024】
また、固定子61Aは、本実施の形態では図2の分解斜視図に示すように駆動軸62の中心軸線(=公転軸線X)周りに形成した傘状の周壁の傾斜面周方向にわたって複数の電磁石61a,61a,61a,・・・が連設されてなるものであり、これら電磁石61aは、磁芯の長さ方向を周壁の厚さ方向に一致した状態で周壁を貫通して各々配置されており、スイッチング電源10、インバータ回路11を介して通電制御することにより、通電方向の正逆を切替えるようになっている。
【0025】
そして、回転子60Aは、先端側が回転体8の回転中心に固定された駆動軸62の基端側で中心軸線周りに形成した傘状の周壁の傾斜面周方向にわたって複数の永久磁石60a,60b,・・・が着磁方向を周壁の厚さ方向としながら隣り合う極性の向きが逆になるように連設されて、前述の固定子61Aの内周側に所定間隔を置いて配置されてなるものであり、固定子60Aの各電磁石61aへの通電の正逆を切替え制御することで駆動軸62を介し回転体8を回転させて容器ホルダー20A,20Aを公転運動させるようになっている。
【0026】
一方、自転手段は、図1に示したように容器ホルダー20Aの外周面全周にわたって設けられた回転子としての導電体20bと、前述した電動モータ6Aの固定子61Aに設けた電磁石61a,61a,61a,・・・とで構成され、各電磁石61aの券線回路に通電することにより電動モータ6A外周側(遠心方向)に回転磁界を形成するものである。
【0027】
そして、その磁界の範囲内に位置する容器ホルダー20Aの導電体20bに磁力が作用した状態で容器ホルダー20Aが公転動作を行うことにより、公転軌道外周側に自転用の磁石を設けることなく容器ホルダー20Aの自転を可能としている。尚、公転軌道外周側に自転用の磁石を設けないことは、装置における横方向のコンパクト化にも貢献している。
【0028】
図3は、本発明の異なる実施の形態を示しており、上述した図1の公転・自転撹拌機1における回転子60Aを、導電体による周壁からなり永久磁石60a,60bを用いない構成の回転子60Bとした点を特徴とするものである。この場合も、電動モータ6Bにおいて固定子61Aが作る回転磁界により回転子60Bに誘導電流が生じ回転トルクを発生して回転体8を回転させるものであり、前述の実施の形態と同様の作用・効果が発揮される。
【0029】
図4は、本発明の更に異なる実施の形態を示しており、図1の公転・自転撹拌機1における固定子61Aを、その周壁を1つの電磁石61aが貫通した構成から、周壁の内周面側の電磁石61b,61b,61b,・・・と外周面側の電磁石61c,61c,61c,・・・との内外二重式の電磁石を備えた構成の電動モータ6Cとしたことを特徴とするものである。
【0030】
この場合、電動モータ6Cにおいて内周面側と外周面側とで別個に通電制御可能なものとなるが、このように公転駆動のための電磁石61bと自転駆動のための電磁石61cとを別に配置したことで、容器ホルダー20Aの自転を公転速度制御とは別個に自転速度を所望に且つ精密に制御することができる。尚、図5は、図3の回転子60Bと図4の固定子61Bを組み合わせた電動モータ6Cとした応用例を示しており、このようにしても図4のものと同様の作用・効果を発揮する。
【0031】
図6は、図4の容器ホルダー20Aにおける導電体20bの代わりに、複数の永久磁石201,202が着磁方向を容器ホルダー20Aの遠心方向としながら隣り合う極性の向きが逆になるように(外周面側がN,S,N,S,・・・)周方向にわたって容器ホルダー20Bの外周面に連設してなる磁石体20cを配設した実施の形態を示している。このようにしたことで、容器ホルダー20Bについて公転速度の制御とは別に自転速度を一層精密に制御することができる。尚、図示は省略するが、図5において容器ホルダー20Aをこのような容器ホルダー20Bとしても同様である。
【0032】
ところで、撹拌対象物によっては混合・撹拌時に加熱を行うことにより、一層良好な混合・撹拌状態が確保されることが知られていることから、混合・撹拌作業と同時に加熱も行えればさらに有用性の高いものとなる。そこで、図7に示すように、図3に示したものにおいて少なくとも外周面上部側を導電体製とした容器ホルダー20Cの外周面上部側に近接・対向するように、磁力レベルが調整可能な電磁石61dを固定子61Aに設けてなる固定子61Cとすることにより、容器ホルダー20Cが公転・自転することでその電磁石61dによる磁力線が通過している導電体部分に渦電流及びジュール熱が生じ、容器ホルダー20Cが加熱されて撹拌容器及び撹拌対象物も加熱され、電磁石61dの磁力レベルを調整することで温度調整も可能なものとなる。
【0033】
或いは、図8に示すように、図4に示したものにおいて少なくとも底面側を導電体製(総て導電体製であればさらに良い)とした容器ホルダー20Dの底面側に、近接・対向するように永久磁石60cを回転体8に設け、容器ホルダー20Dが公転・自転することでその永久磁石60cによる磁力線が通過している導電体部分に渦電流及びジュール熱が生じて容器ホルダー20Dが加熱されるようにしても良い。この場合も、容器ホルダー20Dの自転速度を電磁石61cで調整することにより温度調整が可能である。
【0034】
尚、上述した各実施の形態において、電源に三相交流を用いる場合にはインバータ回路11を配設しなくても公転・自転駆動させることが可能となるが、この場合、公転・自転速度の制御が困難になる。また、固定子の電磁石を内外二重にして公転制御とは別に自転制御を行うものでは、別途整流制御手段を要することになる。さらに、回転体に設ける容器ホルダーは2個に限定されるものではなく、公転軸から重心がずれない範囲で3個以上設けてもよいことは言うまでもない。
【0035】
以上、述べたように、公転・自転撹拌機について、本発明により、容器ホルダーの自転手段における騒音及び部品の摩耗を低減することに加え、装置のコンパクト化が容易なものとなった。
【符号の説明】
【0036】
1 公転・自転撹拌機、3c 基体、5 公転軸、6A,6B,6C,6D 電動モータ、8 回転体、20A,20B 容器ホルダー、20a 自転軸、20b 導電体、20c 磁石体、60A,60B 回転子、61A,61B 固定子、60a,60b,201,202 永久磁石、61a,61b,61c 電磁石、62 駆動軸



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体に軸支された公転軸に固着され所定の公転駆動手段で付勢されて水平面内で回転運動を行う回転体と、前記回転体の回転中心から半径方向に距離を隔てた位置に前記回転体の回転中心方向に傾斜して設けた自転軸を中心に撹拌容器を挿入保持した状態で所定の自転手段により自転運動を行う容器ホルダーとを備えた公転・自転撹拌機において、前記公転駆動手段が、前記回転体の回転中心上方で前記容器ホルダーの公転軌道内側空間に配設され前記公転軸の中心軸線に中心軸線を一致するように突設した駆動軸で前記回転体を回転させる電動モータであるとともに、前記自転手段は、前記容器ホルダーの外周面全周にわたって設けられた導電体と容器ホルダーの内側に位置する前記電動モータにおける外周側に磁界を形成して前記導電体に磁力を及ぼす固定式の磁石からなり、前記電動モータの駆動により公転運動を行う前記容器ホルダーの前記導電体に前記磁力が作用することで前記容器ホルダーが自転することを特徴とする公転・自転撹拌機。
【請求項2】
前記電動モータは、前記駆動軸の中心軸線周りに形成した周壁の周方向にわたって複数の電磁石が連設された状態で支持された固定子と、先端側を前記回転体の回転中心に固定された前記駆動軸の基端側で前記中心軸線周りに形成した周壁の周方向にわたって複数の永久磁石が着磁方向を前記周壁の厚さ方向としながら隣り合う極性の向きが逆になるように連設された状態で前記固定子の内周側に配置された回転子とからなり、前記固定子は外周面が前記容器ホルダーの導電体に近接配置されているとともに前記電磁石が前記固定子の遠心方向にも磁界を形成するものとして前記固定式の磁石を兼ねており、前記固定子への通電を制御することで公転速度及び自転速度が制御可能であることを特徴とする請求項1に記載した公転・自転撹拌機。
【請求項3】
前記電動モータが、前記駆動軸の中心軸線周りに形成した周壁の周方向にわたって複数の電磁石が連設された状態で支持された固定子と、先端側を回転体の回転中心に固定された駆動軸の基端側で前記中心軸線周りに形成した導電体製の周壁が前記固定子の内周側に配置された回転子とからなり、前記固定子は外周面が前記容器ホルダーの導電体に近接配置されているとともに前記電磁石が前記固定子の遠心方向にも磁界を形成するものとして前記固定式の磁石を兼ねており、通電された前記固定子が回転磁界を形成することにより前記回転子に誘導電流が生じて公転駆動させ、前記固定子への通電を制御することで公転速度及び自転速度が制御可能であることを特徴とする請求項1に記載した公転・自転撹拌機。
【請求項4】
前記電動モータの固定子における前記電磁石が前記周壁の内周面側と外周面側とで別個に配設されているとともに、前記内周面側の電磁石と外周面側の電磁石とが別個に通電制御可能であり、前記内周面側の電磁石への通電状態を制御することにより前記回転子の公転速度を制御し、外周面側の電磁石への通電状態を制御することにより前記容器ホルダーの自転速度を前記回転子の公転速度の制御とは別に制御可能としたことを特徴とする請求項1,2または3に記載した公転・自転撹拌機。
【請求項5】
前記容器ホルダーが、前記導電体の代わりに複数の永久磁石が着磁方向を前記容器ホルダーの遠心方向としながら隣り合う極性の向きが逆になるように周方向にわたって外周面に連設されていることを特徴とする請求項1,2,3または4に記載した公転・自転撹拌機。
【請求項6】
前記容器ホルダーの少なくとも一部が導電体からなり、前記導電体からなる部分に対し近接しながら前記容器ホルダーの公転運動又は自転運動に追従しない状態で加熱用磁石が配設されて生じた磁力線が導電体を通過するものであって、前記容器ホルダーが公転及び自転することにより前記磁力線が通過している導電体に渦電流が生じてジュール熱を発生し、前記容器ホルダー内に保持した撹拌容器を加熱することを特徴とする請求項1,2,3,4または5に記載した公転・自転攪拌機。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−110479(P2011−110479A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267901(P2009−267901)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(309023092)
【出願人】(509325248)
【Fターム(参考)】