説明

内因性神経活動を強化する医療装置及び方法

電気神経刺激治療を患者に提供する方法、システム及び装置が提供される。方法は、少なくとも1つが定義済み範囲内のランダム値を含む、複数のパラメータによって定義される電気バイアス信号を発生させることと、神経構造上で内因性神経信号にバイアスをかけるために、電気バイアス信号を神経構造に適用することとを含む。かかるバイアス信号を発生させ、かつ信号を神経構造に適用する神経刺激器及び神経刺激システムが、提供され、かつ信号を発生させる刺激発生器と、信号を神経構造に送達する1つ以上の電極と、信号を電極に適用するコントローラとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、本出願と同日に、かつ同一発明者名で出願された、「医療装置を用いた内因性神経活動の強化(Enhancing Intrinsic Neural Activity Using A Medical Device)」という表題の米国特許出願第 号の関連出願である。
【0002】
本発明は、一般的に医療装置に、かつ特には、患者の医学的状態を治療するために生物組織中で内因性神経活動を強化する方法、装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトの脳は、頭蓋骨の頭蓋腔内にあり、かつ中枢神経系(CNS)を監視役で制御する。中枢神経系は一般的に、適切な管理を必要とする種々の電気及び/又は神経活動のハブである。例えば、適切に制御された電気又は神経活動によって、ヒトの脳は、種々の精神及び身体機能を正常に管理することが可能になる。しかしながら、異常な電気及び/又は神経活動は、中枢及び末梢神経系内の様々な疾患及び障害と関連する。投薬計画又は外科的介入に加えて、かかる疾患及び障害の治療となり得るものには、身体組織の電気刺激のための患者への医療装置の移植を含む。特に、患者の神経組織に連結された1つ以上の電極に治療的電気信号を選択的に適用することによって、埋め込み型医療装置は、標的神経組織位置を電気刺激できる。この刺激は、神経系疾患、状態又は障害を治療するために使用できる。
【0004】
治療的電気信号は、求心性活動電位を発生させ、かつそれにより脳に向けた、神経を上る神経信号の流れを増加させるために、迷走神経のような脳神経を刺激するために使用できる。治療的電気信号は、神経活動を阻害し、かつ神経インパルスが神経を上ることを防ぐためにも使用できる。迷走神経の治療的電気信号は、てんかん及びうつ病を治療するために使用されてきた。てんかん治療のための迷走神経刺激(VNS)治療は、参考として本明細書に組み込まれる、米国特許第4702254号、第4867164号及び第5025807号を含む多くの米国特許に記載されている。
【0005】
患者に迷走神経刺激を提供するために、神経刺激装置が、患者の体内の標的位置に移植できる。かかる神経刺激装置システムは、迷走神経に連結された神経電極を有する電気的リードに取り付けられた、刺激発生器を含むことができる。
【0006】
しかしながら、患者集団又は特定の疾患次第で、VNS治療の有効性は、著しく変化することがある。例えば、治療の効かないてんかん及びうつ病に対するVNSの有効性は、著しい改良を有する第1の患者集団の割合として一般化できる。第2の患者集団の割合は、若干の改良を有することを特徴としても良い。残りの患者集団の割合は、ほとんど改良を経験しないことがある。ある種の治療のためのVNS治療の有効性を高めることが、必要である。更なる懸念には、刺激中のいかなる副作用も減少させることを含む。
【0007】
神経刺激は、多種多様な神経系障害を治療する可能性を示したが、しかしながら神経刺激によって治療可能な障害の幅を広げる必要性が残っている。
【特許文献1】米国特許第4702254号明細書
【特許文献2】米国特許第4867164号明細書
【特許文献3】米国特許第5025807号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一側面において、本発明は、患者に神経刺激治療を提供する方法を含む。方法は、電圧の大きさ、電流の大きさ、パルス幅、パルス時間、オンタイム及びオフタイムからなる群から選択される、少なくとも1つのパラメータを含む複数のパラメータによって定義されるパルス化電気信号を含む電気バイアス信号を発生させることを含む。パラメータの少なくとも1つは、定義済み範囲内で変化するランダム値を含む。方法は、患者の神経構造に電気バイアス信号を適用することも含む。
【0009】
幾つかの実施態様において、電圧の大きさの定義済みランダム範囲は、−15.0〜15.0ボルトの範囲内のプログラムされた範囲を含むことができ、電流の定義済みランダム範囲は、−8.0〜8.0ミリアンペアの範囲内のプログラムされた範囲を含むことができ、パルス幅の定義済みランダム範囲は、1マイクロ秒〜1秒の範囲内のプログラムされた範囲を含むことができ、パルス時間の定義済みランダム範囲は、1マイクロ秒〜1秒の範囲内のプログラムされた範囲を含むことができ、オンタイムの定義済みランダム範囲は、1秒〜24時間の範囲内のプログラムされた範囲を含むことができ、かつ、オフタイムの定義済みランダム範囲は、1秒〜24時間の範囲内のプログラムされた範囲を含むことができる。
【0010】
本発明の幾つかの方法において、神経構造は、内因性神経信号を含むことができ、かつパルス化電気信号は、内因性神経信号を減衰又は増幅するために働くことができる。方法は、患者の脳が、所望の方法で内因性神経信号を解釈できるようにするために、内因性神経信号の解釈閾値を変更することを含むことができ、ここで閾値を変更することは、解釈閾値を上げること、又は解釈閾値を下げることを含む。方法は、神経構造に沿った内因性神経信号の伝達を遮断するために、パルス化電気信号によって内因性神経信号を変調することを更に含むことができる。
【0011】
幾つかの実施態様において、本発明の方法は、神経構造上の内因性神経信号を検出することを含むことができる。幾つかの方法において、検出された内因性神経信号は、内因性神経活動の閾値と比較でき、かつ発生した電気バイアス信号は、比較ステップの結果によって決まることがある。電気バイアス信号は、内因性神経信号が、脳の解釈閾値を越えることを可能にするために十分に、閾値下又は閾値上レベルから内因性神経信号にバイアスをかけることができる。
【0012】
幾つかの実施態様において、パルス化電気信号の少なくとも1つのパラメータの定義済みランダム範囲は、上限及び下限を含むことができ、かつ上限及び下限の少なくとも一方は、患者の疼痛閾値に基づき定義できる。
【0013】
もう1つの実施態様において、方法は、患者の脳による内因性神経信号の解釈を強化するために神経構造上に複数の求心性活動電位を発生させることを更に含むことができる。
【0014】
もう1つの実施態様において、本発明の方法は、ランダムであり、かつ−8.0ミリアンペア〜8.0ミリアンペアの範囲内の範囲内で変化する電流の大きさを含むパルス化電気信号を提供することを含むことができる。もう1つの実施態様において、電流の大きさは、ランダムであり、かつ−3.0〜3.0ミリアンペアの範囲内の範囲内で変化することができる。もう1つの実施態様において、パルス化電気信号は、1マイクロ秒〜1秒の範囲内の範囲内で変化するランダムパルス幅を含むことができる。更にもう1つの実施態様において、本発明の方法は、ランダムであり、かつ第1の定義済み範囲内で変化する電流の大きさと、ランダムであり、かつ第2の定義済み範囲内で変化するパルス幅とを含むパルス化電気信号を提供することを含むことができる。
【0015】
本発明の幾つかの方法において、パルス化電気信号は、ランダムであり、かつ1マイクロ秒〜1秒の範囲内の範囲内で変化するパルス時間を含む。本発明の幾つかの実施態様において、パルス化電気信号は、ランダムであり、かつ−15.0ボルト〜15.0ボルトの範囲内の範囲内で変化する電圧の大きさを含むことができる。
【0016】
幾つかの実施態様において、パルス化電気信号は、オンタイム及びオフタイムを含み、かつオンタイム及びオフタイムの少なくとも一方は、定義済み範囲内で変化するランダム値を含むことができる。特定の実施態様において、オンタイム又はオフタイムの少なくとも一方は、1秒〜24時間の範囲内の範囲内で変化することができる。
【0017】
幾つかの方法において、本発明は、電圧の大きさ、電流の大きさ、パルス幅、パルス時間、オンタイム及びオフタイムの少なくとも1つが定義済み範囲内で変化するランダム値を含む第1時間間隔と、第1時間間隔においてランダムである少なくとも1つのパラメータが非ランダムである第2時間間隔とを含むことができる。
【0018】
幾つかの実施態様において、ランダム値は、パルス毎に定義済み範囲内で変化する。他の実施態様において、ランダム値は、バースト毎に定義済み範囲内で変化する。
【0019】
更なる実施態様において、電気バイアス信号が、適用される神経構造は、患者の脳神経を含む。脳神経は、迷走神経を含むことができる。本発明の他の実施態様において、神経構造は、患者の脳内の構造を含む。なおも更なる実施態様において、神経構造は、患者の脊髄構造を含む。神経構造は、幾つかの実施態様において交感神経を含むことができる。
【0020】
本発明のある種の実施態様において、電気バイアス信号は、パルス化ノイズ信号を含む。
【0021】
もう1つの側面において、本発明の方法は、少なくとも1つの電極を提供することと、少なくとも1つの電極を神経構造に連結することと、電気信号発生器を提供することと、電気信号発生器を少なくとも1つの電極に連結することと、電気信号発生器を使用して電気バイアス信号を発生させることと、電気バイアス信号を少なくとも1つの電極に適用することとを更に含むことができる。
【0022】
もう1つの側面において、本発明は、パルス時間が定義済み範囲内で変化するランダム値を含む、電流の大きさと、パルス幅と、パルス時間とを少なくとも含む複数のパラメータによって定義されるパルス化電気信号を含む電気バイアス信号を発生させることと、電気バイアス信号を患者の神経構造に適用することとを含む、神経刺激治療を患者に提供する方法を含むことができる。
【0023】
幾つかの実施態様において、方法は、パルス時間が定義済み範囲内で変化するランダム値を含む第1時間間隔と、パルス時間が非ランダム値を有する第2時間間隔とを含むことができる。幾つかの実施態様において、パルス時間は、パルス毎に定義済み範囲内で変化するランダム値を含む。他の実施態様において、パルス時間は、バースト毎に定義済み範囲内で変化するランダム値を含む。
【0024】
本発明の幾つかの実施態様において、電流の大きさは、一定の大きさを含む。他の実施態様において、電流の大きさは、定義済み範囲内で変化するランダム値を含む。幾つかの実施態様において、パルス幅は、定義済み範囲内で変化するランダム値を含む。
【0025】
幾つかの実施態様において、電気バイアス信号は、連続電気信号を含む。
【0026】
本発明の方法の幾つかの実施態様、パルス化電気信号は、オンタイム及びオフタイムを更に含み、かつオンタイム及びオフタイムは、ランダム値又は一定値を含むことができる。
【0027】
幾つかの実施態様において、神経構造は、内因性神経信号を含み、かつ本発明の方法は、神経構造上の内因性神経信号を検出することを更に含む。
【0028】
幾つかの実施態様において、本発明の方法は、検出された内因性神経信号を内因性神経活動の閾値と比較することを更に含む。パルス化電気信号は、各々が定義済み範囲内で変化するランダム値及び一定値の一方を含む、オンタイム及びオフタイムを更に含む。オンタイム及びオフタイムの少なくとも一方は、比較ステップの結果によって決まっても良い。
【0029】
もう1つの側面において、本発明は、患者に神経刺激治療を提供する方法を含む。方法は、一定の電流の大きさと、一定のパルス幅と、オンタイム及びオフタイムとを含む複数のパラメータによって定義されるパルス化電気信号を含む電気バイアス信号を発生させることを含み、かつオンタイム及びオフタイムの少なくとも一方は、定義済み範囲内で変化するランダム値を含む。方法は、電気バイアス信号を患者の神経構造に適用することも含む。
【0030】
幾つかの実施態様において、方法は、オンタイム及びオフタイムの少なくとも一方が定義済み範囲内で変化するランダム値を含む第1時間間隔と、オンタイム及びオフタイムの少なくとも一方が非ランダム値を含む第2時間間隔とを更に含む。他の実施態様において、オンタイムは、第1の定義済み範囲内で変化するランダム値を含み、かつオフタイムは、第2の定義済み範囲内で変化するランダム値を含む。
【0031】
幾つかの実施態様において、パルス化電気信号を定義する複数のパラメータは、制御周波数、定義済み周波数範囲内のランダム周波数、及び定義済み範囲内の掃引周波数からなる群から選択される周波数を更に含む。他の実施態様において、複数のパラメータは、制御パルス時間及び定義済み範囲内で変化するランダムパルス時間からなる群から選択されるパルス時間を更に含む。
【0032】
もう1つの側面において、本発明は、患者に神経刺激治療を提供する方法を含む。方法は、電流の大きさと、オンタイム及びオフタイムの少なくとも一方とを含む複数のパラメータによって定義される電気信号を含む電気バイアス信号を発生させることを含む。電流の大きさ、オンタイム及びオフタイムの少なくとも1つは、定義済み範囲内で変化するランダム値を含む。方法は、電気バイアス信号を患者の神経構造に適用することを更に含む。
【0033】
もう1つの実施態様において、方法は、電流の大きさ、オンタイム及びオフタイムの少なくとも1つが定義済み範囲内で変化するランダム値を含む第1時間間隔と、第1時間間隔においてランダム値を含む少なくとも1つのパラメータが非ランダム値を含む第2時間間隔とを含む。
【0034】
幾つかの実施態様において、本発明の方法における電気信号は、非パルス化電気信号を含む。電気信号は、幾つかの実施態様において、電荷平衡電気信号を含むことができる。幾つかの実施態様において、電気バイアス信号は、−8.0〜8.0ミリアンペアの範囲内の範囲内で変化するランダムな電流の大きさを有するノイズ信号を含む。
【0035】
幾つかの実施態様において、オンタイムは、ランダムであり、かつ1秒〜24時間の範囲内の範囲内で変化し、かつ前記オフタイムは、同様にランダムであり、かつ同じく1秒〜24時間の範囲内の範囲内で変化する。
【0036】
もう1つの側面において、本発明は、患者に神経刺激治療を提供する方法を含む。方法は、電流の大きさが、ランダムであり、かつ−8.0〜8.0ミリアンペアの範囲内の範囲内で変化する、少なくとも電流の大きさによって定義される非パルス化、連続電気信号を含む電気バイアス信号を発生させることを含む。方法は、電気バイアス信号を患者の神経構造に適用することも含む。
【0037】
もう1つの側面において、本発明は、電気ノイズ信号を含む電気バイアス信号を発生させることと、脳神経、脳構造、脊髄構造及び交感神経構造からなる群から選択される患者の神経構造に電気バイアス信号を適用することとを含む、患者に神経刺激治療を提供する方法を含む。
【0038】
もう1つの実施態様において、電気ノイズ信号は、ゼロ平均、擬似ランダム、又はガウスノイズ信号からなる群から選択されるノイズ信号を含む。
【0039】
もう1つの側面において、本発明は、患者に電気神経刺激治療を提供する方法を含む。方法は、脳神経上で内因性神経信号にバイアスをかけるために、電気バイアス信号を脳神経に適用することを含む。電気バイアス信号は、内因性神経信号を患者の脳の閾値刺激に至らせるために十分であっても良い。
【0040】
更なる側面において、神経刺激によって患者を治療する方法は、患者の脳神経上で内因性神経信号を検出することを含む。方法は、検出された内因性神経信号に応答して電気バイアス信号を発生させることと、脳神経上で内因性神経信号にバイアスをかけるために、電気バイアス信号を脳神経に適用し、それにより患者に電気神経刺激治療を提供することとを更に含む。
【0041】
本発明のもう1つの側面において、患者に電気神経刺激治療を提供する方法は、患者の選択された脳神経に連結された電極にバイアス刺激を適用することを含む。方法は、脳が、バイアス刺激に応答して内因性神経信号を解釈することを可能にすることを更に含む。
【0042】
本発明のもう1つの側面において、移植された神経刺激装置によって患者を治療する方法は、移植された神経刺激装置を患者の迷走神経に連結することを含む。方法は、バイアス刺激を迷走神経に適用することと、脳が、バイアス刺激に応答して迷走神経の内因性神経信号を解釈することを可能にすることとを更に含む。
【0043】
もう1つの側面において、本発明は、医学的状態を有する患者を治療する神経刺激システムを含む。システムは、患者の神経構造の少なくとも標的部分に対して電気バイアス信号を発生させる刺激発生器を含む。電気バイアス信号は、電圧の大きさ、電流の大きさ、パルス幅、パルス時間、オンタイム及びオフタイムからなる群から選択される、少なくとも1つのパラメータによって定義されるパルス化電気信号を含む。電圧の大きさ、電流の大きさ、パルス幅、パルス時間、オンタイム及びオフタイムの少なくとも1つは、定義済み範囲内で変化するランダム値を含む。システムは、前記刺激発生器及び患者の神経構造に連結された少なくとも1つの電極と、刺激発生器に操作可能に連結されたコントローラとを同様に含む。コントローラは、神経構造上で内因性神経信号にバイアスをかけるために、電気バイアス信号を神経構造に適用するように構成される。
【0044】
一実施態様において、システムは、前記少なくとも1つのパラメータの前記ランダム値を発生させるランダムデータ発生器を更に含む。システムは、ランダム値の定義済み範囲を記憶するメモリも含むことができる。
【0045】
もう1つの実施態様において、電極が連結される神経構造は、脳神経と、交感神経と、脊髄構造と、患者の脳内の構造とを含む。
【0046】
更なる実施態様において、電気バイアス信号の少なくとも1つのパラメータは、ランダムであり、かつ−15.0ボルト〜15.0ボルトの範囲内の範囲内で変化する電圧の大きさを含む。もう1つの実施態様において、電気バイアス信号の少なくとも1つのパラメータは、ランダムであり、かつ−8.0ミリアンペア〜8.0ミリアンペアの範囲内の範囲内で変化する電流の大きさを含む。電流の大きさは、−3.0ミリアンペア〜3.0ミリアンペアの範囲内の範囲内で変化するランダム値を含むことができる。
【0047】
一実施態様において、電気バイアス信号の少なくとも1つのパラメータは、ランダムであり、かつ1マイクロ秒〜1秒の範囲内の範囲内で変化するパルス幅を含む。もう1つの実施態様において、電気バイアス信号の少なくとも1つのパラメータは、ランダムであり、かつ1マイクロ秒〜1秒の範囲内の範囲内で変化するパルス時間を含む。
【0048】
更なる実施態様において、電気バイアス信号の少なくとも1つのパラメータは、ランダムであり、かつ第1の定義済み範囲内で変化する電流の大きさと、ランダムであり、かつ第2の定義済み範囲内で変化するパルス幅とを含む。
【0049】
一実施態様において、電気バイアス信号の少なくとも1つのパラメータは、ランダムであり、かつ1秒〜24時間の範囲内の範囲内で変化するオンタイムを含む。もう1つの実施態様において、電気バイアス信号の少なくとも1つのパラメータは、ランダムであり、かつ1秒〜24時間の範囲内の範囲内で変化するオフタイムを含む。
【0050】
本発明の神経刺激システムは、他の実施態様において、前記神経構造上で内因性神経信号を検出するセンサを更に含むことができる。システムは、検出された内因性神経信号を内因性神経活動の閾値と比較する信号分析ユニットを更に含むことができる。コントローラは、信号分析ユニットに応答して電気バイアス信号を神経構造に適用する交換網を更に含むことができる。更なる実施態様において、コントローラは、比較ステップに応答してパラメータの少なくとも1つを調整する刺激選択ユニットを含むことができる。
【0051】
少なくとも1つのパラメータの定義済み範囲は、システムの幾つかの実施態様において、上限及び下限を含むことができる。上限及び下限の少なくとも一方は、患者の疼痛閾値に基づき定義できる。
【0052】
幾つかの実施態様において、神経刺激システムの電気バイアス信号は、パルス化ノイズ信号を含むことができる。
【0053】
特定の実施態様において、少なくとも1つの電極は、直接刺激のために神経構造と接触する電極対を含む。もう1つの実施態様において、神経刺激システムは、通信インタフェースと、通信インタフェースと通信するプログラミングユニットとを更に含むことができる。プログラミングユニットは、電気バイアス信号を定義する少なくとも1つのパラメータをプログラムすることが可能である。
【0054】
神経刺激システムの一実施態様において、パルス化電気信号は、電圧の大きさ、電流の大きさ、パルス幅、パルス時間、オンタイム及びオフタイムの少なくとも1つが、定義済み範囲内で変化するランダム値を含む第1時間間隔と、第1時間間隔においてランダムである少なくとも1つのパラメータが非ランダムである第2時間間隔とを更に含む。
【0055】
神経刺激システムの幾つかの実施態様において、ランダム値は、パルス毎に定義済み範囲内で変化する。他の実施態様において、ランダム値は、バースト毎に定義済み範囲内で変化する。
【0056】
もう1つの側面において、本発明は、患者に電気刺激治療を提供する神経刺激器を含む。神経刺激器は、患者の神経構造内で内因性神経信号の電気バイアス信号を発生させる刺激発生器を含む。電気バイアス信号は、電流の大きさ、パルス幅、及びパルス時間を少なくとも含む複数のパラメータによって定義されるパルス化電気信号を含む。パルス時間は、定義済み範囲内で変化するランダム値を含む。神経刺激器は、刺激発生器及び神経構造に連結された少なくとも1つの電極と、刺激発生器に連結され、かつ電気バイアス信号を患者の神経構造に適用するように構成されるコントローラとを同様に含む。
【0057】
神経刺激器の幾つかの実施態様において、神経構造は、脳神経と、交感神経と、脊髄構造と、患者の脳内の構造とを含むことができる。
【0058】
一実施態様において、パルス化電気信号は、一定の大きさである電流の大きさを含む。他の実施態様において、電流の大きさは、定義済み範囲内で変化するランダム値を含む。幾つかの実施態様において、パルス幅は、定義済み範囲内で変化するランダム値を含む。
【0059】
幾つかの神経刺激器の実施態様における電気バイアス信号は、連続電気信号を含む。
【0060】
1つの神経刺激器の実施態様において、パルス化電気信号を定義する複数のパラメータは、各々がランダム値又は非ランダム値を含むことができる、オンタイム及びオフタイムを更に含む。
【0061】
一実施態様において、神経刺激器は、前記神経構造上で前記内因性神経信号を検出するセンサを更に含むことができる。神経刺激器は、検出された内因性神経信号を内因性神経活動の閾値と比較する信号分析ユニットを同様に含むことができる。コントローラは、信号分析ユニットに応答して電気バイアス信号を神経構造に適用する交換網を含むことができる。パルス化電気信号を定義する複数のパラメータは、ランダム又は非ランダムであっても良いオンタイム及びオフタイムを含むことができ、かつコントローラは、信号分析ユニットに応答してオンタイム又はオフタイムの一方を調整する刺激選択ユニットを更に含むことができる。
【0062】
もう1つの側面において、本発明は、電気刺激治療を患者に提供する神経刺激器を含む。神経刺激器は、患者の神経構造内で内因性神経信号の電気バイアス信号を発生させる刺激発生器を含む。電気バイアス信号は、一定の電流の大きさ、一定パルス幅、並びにオンタイム及びオフタイムを含む複数のパラメータによって定義されるパルス化電気信号を含む。オンタイム及びオフタイムの少なくとも一方は、定義済み範囲内で変化するランダム値を含む。神経刺激器は、刺激発生器及び神経構造に連結された少なくとも1つの電極と、刺激発生器に連結され、かつ電気バイアス信号を患者の神経構造に適用するように構成されるコントローラとを同様に含む。
【0063】
一実施態様において、オンタイムは、第1の定義済み範囲内で変化するランダム値を含み、かつオフタイムは、第2の定義済み範囲内で変化するランダム値を含む。
【0064】
もう1つの実施態様において、パルス化電気信号を定義する複数のパラメータは、非ランダム周波数、定義済み周波数範囲内のランダム周波数、又は定義済み範囲内の掃引周波数であっても良い周波数を更に含む。
【0065】
神経刺激器の更なる実施態様において、パルス化電気信号を定義する複数のパラメータは、パルス時間を更に含む。パルス時間は、一定パルス時間、又は定義済み範囲内で変化するランダムパルス時間であっても良い。
【0066】
もう1つの側面において、本発明は、電気刺激治療を患者に提供する神経刺激器を含む。神経刺激器は、患者の神経構造内で内因性神経信号の電気バイアス信号を発生させる刺激発生器を含む。電気バイアス信号は、電流の大きさ、並びにオンタイム及びオフタイムの少なくとも一方とを含む複数のパラメータによって定義される電気信号を含む。電流の大きさ、オンタイム及びオフタイムの少なくとも1つは、定義済み範囲内で変化するランダム値を含む。神経刺激器は、前記刺激発生器及び前記神経構造に連結された少なくとも1つの電極と、刺激発生器に連結され、かつ電気バイアス信号を患者の神経構造に適用するように構成されるコントローラとを更に含む。
【0067】
一実施態様において、電気信号は、非パルス化電気信号を含む。もう1つの実施態様において、電気信号は、電荷平衡電気信号を含む。なおも更なる実施態様において、電気バイアス信号は、−8.0〜8.0ミリアンペアの範囲内の範囲内で変化するランダムな電流の大きさを有するノイズ信号を含む。もう1つの実施態様において、オンタイムは、ランダムであり、かつ1秒〜24時間の範囲内の範囲内で変化し、かつオフタイムは、ランダムであり、かつ同じく1秒〜24時間の範囲内の範囲内で変化する。
【0068】
もう1つの側面において、本発明は、電気刺激治療を患者に提供する神経刺激器を含む。神経刺激器は、患者の神経構造内で内因性神経信号の電気バイアス信号を発生させる刺激発生器を含む。電気バイアス信号は、ランダムであり、かつ−8.0〜8.0ミリアンペアの範囲内の範囲内で変化する少なくとも電流の大きさによって定義される非パルス化連続電気信号を含む。神経刺激器は、刺激発生器及び神経構造に連結された少なくとも1つの電極と、刺激発生器に連結され、かつ電気バイアス信号を患者の神経構造に適用するように構成されるコントローラとを更に含む。
【0069】
もう1つの側面において、本発明は、電気刺激治療を患者に提供する神経刺激器を含む。神経刺激器は、神経構造内で内因性神経信号にバイアスをかける電気ノイズ信号を含む電気バイアス信号を発生させる刺激発生器を含む。神経構造は、脳神経、脳構造、脊髄構造、及び交感神経構造からなる群から選択される構造である。神経刺激器は、刺激発生器及び神経構造に連結された少なくとも1つの電極と、刺激発生器に連結され、かつ電気バイアス信号を患者の神経構造に適用するように構成されるコントローラとを更に含む。
【0070】
一実施態様において、電気ノイズ信号は、ゼロ平均、擬似ランダム、又はガウスノイズ信号からなる群から選択されるノイズ信号を含む。
【0071】
本発明のなおももう1つの側面において、神経刺激器のような埋め込み型医療装置は、神経系疾患、障害又は状態を治療するために提供される。神経刺激器は、脳神経に送達するための電気刺激信号を発生させる電気刺激発生器を含む。神経刺激器は、刺激発生器に操作可能に連結されたコントローラを更に含む。コントローラは、神経上で内因性神経信号にバイアスをかけ、かつ患者に電気神経刺激治療を提供するように、電気刺激信号を脳神経に適用するように構成されても良い。
【0072】
もう1つの側面において、神経刺激システムは、医学的状態を有する患者を治療するために提供される。システムは、患者の脳神経の少なくとも標的部分に電子刺激信号を発生させる電気刺激発生器を含む。神経刺激システムは、刺激発生器に操作可能に連結されたコントローラを更に含むことができる。コントローラは、脳神経上で内因性神経信号にバイアスをかけるために、電子刺激信号を脳神経の標的部分に適用するように構成されることができる。
【0073】
更にもう1つの側面において、本発明は、埋め込み型医療装置から患者に電気神経刺激治療を提供する命令によって符号化されたコンピュータ読み取り可能なプログラム記憶装置を含む。コンピュータ読み取り可能なプログラム記憶装置内の命令は、コンピュータによって実施される時、脳神経上で内因性神経信号にバイアスをかけるために、電気バイアス信号を脳神経に適用する。電気バイアス信号は、内因性神経信号を患者の脳の閾値刺激に至らせるために十分であっても良い。
【0074】
更にもう1つの側面において、本発明は、埋め込み型医療装置から患者に神経刺激治療を提供する命令によって符号化されたコンピュータ読み取り可能なプログラム記憶装置を含む。コンピュータ読み取り可能なプログラム記憶装置内の命令は、コンピュータによって実施される時、電流の大きさ及びパルス幅の少なくとも一方が定義済み範囲内でパルス毎にランダムに変化する、電流の大きさ及びパルス幅を含む複数のパラメータによって定義されるパルス化電気信号を含む電気バイアス信号を発生させ、かつ電気バイアス信号を患者の神経構造に適用する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0075】
本発明は、同様の参照数字が、同様の要素を特定する、添付図面と併せて解釈される以下の記載を参照して理解できる。
【0076】
本発明は、種々の修正及び代替的形状の余地があるが、その具体的な実施態様が、図面において例として示され、かつ本明細書に詳細に記載される。しかしながら、具体的な実施態様の本明細書での記載は、本発明を開示された特定の形状に限定することが意図されず、反対に意図は、添付の請求項によって定義された、本発明の精神及び範囲内にある全ての修正、同等物及び代替物をカバーすることであることが、理解されるべきである。
【0077】
本発明の例示的な実施態様が、本明細書に記載される。明確さのために、実際の実施の全ての特徴が、本明細書に記載されるわけではない。いずれかのかかる実際の実施態様の開発において、実施によって異なる、設計に特有の目的を達成するためには、多数の実施に特有の決定がなされねばならない。かかる開発努力は、場合により複雑であり、かつ時間がかかるとはいえ、本開示を利用できる当業者にとってはしかしながら日常的な仕事であることが認識されるであろう。
【0078】
本発明の一実施態様において、方法、装置及びシステムは、バイアス刺激を神経内の内因性神経活動に提供し、神経とは、好ましくは脳神経であり、かつ更に好ましくは迷走神経である。神経上の「内因性神経活動」又は「内因性神経信号」は、患者の身体及び環境によってのみ発生し、かつ例えば移植された神経刺激器からの適用された電気信号によって発生しない、電気活動(すなわち求心性及び遠心性活動電位)を指す。ここで図1を参照すると、本発明の一実施態様による、神経刺激治療を患者に提供するための、好ましくは埋め込み型医療装置100である、医療装置が示される。埋め込み型医療装置100は、患者の脳115に移動する内因性神経信号110に、電気刺激105を送達できる。神経120又は神経120内の神経小束125は、脳115に内因性神経信号110と、電気刺激105を提供する。
【0079】
埋め込み型医療装置100は、1つ以上の電極140(1−n)に連結されたリード135を介して、電気刺激105を神経120に伝達することによって、内因性神経信号110を変調できる。例えば、電気刺激105は、選択された神経120からの内因性神経信号110の脳115及び/又はCNSによる解釈を明確にし、かつ/又は補正することによって、内因性神経信号110を強化できる。
【0080】
一実施態様と一致して、埋め込み型医療装置100は、電気神経刺激治療を患者に提供することによって、疾患、障害又は状態を治療することが可能な神経刺激装置であっても良い。このために、埋め込み型医療装置100は、患者の適切な位置に移植できる。移植された医療装置100は、1つ以上の神経線維又は神経120の神経小束125の内因性神経信号110を変調するために、電気バイアス信号を含むことができる電気刺激105を神経120に適用できる。刺激105(例えば、確率共鳴を利用する電気バイアス刺激)を適用することによって、埋め込み型医療装置100は、患者における医学的、精神医学的又は神経学的障害を治療又は制御できる。
【0081】
確率共鳴(SR)は、弱い入力信号への非線形系の応答が、非ゼロレベルのノイズの存在によって最適化されるメカニズムである。かかるメカニズムにおいてノイズは、情報伝達で建設的役割を果たす。患者における非線形系は、1つ以上の神経120又は他の神経構造(例えば脳構造、脊髄構造)からの内因性神経信号110を介して情報を受け、かつ反応して、患者における生理機能を制御又は変更する、脳115及び/又はCNSであることが理解できる。一実施態様において、電圧の大きさ、電流の大きさ(すなわち振幅)、パルス幅、パルス時間、及びパルス極性を含むが、それらに限定されない、1つ以上のランダム特性を有する電気刺激105は、小さな内因性神経信号110の効果を「増幅する」ために使用できる。換言すれば、確率共鳴は、神経120、神経小束125又は他の神経構造に適用される時に、不十分、又は過剰な内因性神経信号110を患う患者において、内因性神経信号110に含まれる情報の脳115及び/又はCNSによる解釈を強化する手段を提供できる電気バイアス刺激の形状である。先行技術は、適切なレベルのノイズを機械受容細胞に適用することが、これらの機械受容細胞による機械的力の検出を強化できることを証明した。この先行技術において、非線形系は、機械受容細胞の機械的力検出閾値である。対照的に、本発明は、内因性神経信号110に含まれる情報の解釈を強化するために、バイアス電気刺激105を、神経120又は神経小束125のような1つ以上の神経構造に適用し、ここで非線形系は、脳115及び/又はCNS、並びにその関連した入力及び出力を含む。
【0082】
脳115は、内因性神経信号110の解釈に応答して患者において生理機能を制御、伝達、又は変更するので、誤った解釈は、生理機能の誤った制御、伝達又は変更に繋がることがある。このことは、患者における1つ以上の医学的、精神医学的又は神経学的障害を、又は1つ以上の既存の障害の不十分な伝達をもたらすことがある。内因性神経信号110の誤った解釈の可能性を減少させることは、本発明の目的である。
【0083】
一実施態様において、バイアス電気刺激105を使用して、埋め込み型医療装置100は、脳115によって知覚される内因性神経信号110の質を改良することによって、神経学的、神経精神医学的、又は神経学的に関連した疾患又は障害の治療を改良できる。例えば、電気バイアス刺激を三叉神経、舌咽神経及び迷走神経の少なくとも1つ、又は他の副交感神経及び/又は交感神経に提供することは、1つ以上の神経学的、神経精神医学的、又は神経学的に伝達された疾患又は障害を患う患者において内因性神経信号110を解釈する脳115の能力を高めることができる。理論によって拘束されずに、神経精神医学的障害の改良に直接的に影響を及ぼす、脳115内の領域又は活動を標的とできる、外因性信号を脳115に導入する、従来の迷走神経刺激(VNS)と対照的に、本発明の埋め込み型医療装置100は、内因性神経信号110を変調して、脳115によるその知覚可能性に影響を及ぼすことが意図される。新しい神経「情報」を導入する方法と考えることができる、従来のVNSを使用して脳115内に神経活動又は中枢神経系(CNS)応答を単に誘発するよりも、埋め込み型医療装置100は、ランダム特性を有する「情報のない」バイアス電気刺激105を使用して、不十分な、過剰な、又は曖昧な内因性神経活動110を改良できる。本発明の方法及びシステムにおいて、電気刺激105を介して新しい情報量を提供する代わりに、情報は、神経内にすでに存在する既存の情報量を明確にし、脳が、さもなければ知覚できない信号の情報量を知覚できるようにすることを単に意図する。
【0084】
多くの神経学的に伝達された障害は、求心性内因性神経信号(例えば迷走神経の内臓感覚情報)の誤った解釈又は知覚から生じることある。電気刺激105を迷走神経に適用することにより、埋め込み型医療装置100は、脳115内での感覚感度を著しく強化できる。その上、又はあるいは、刺激105は、脳115による、感覚又は電気の、既存又は内因性神経又は迷走神経の活動の解釈を著しく強化できる。活動のこの強化された感覚感度及び/又は解釈は、神経刺激治療の有効性を実質的に改良できる。本質的に、内因性神経信号110のような神経信号によって影響を与えられることがある全ての障害は、刺激105の使用の利益を受けることある。
【0085】
例えば神経性過食症の場合、迷走神経の活動は、患者の不摂生/パージ願望の調節に重要な役割を果たすことができる。過剰な、又は不十分な迷走神経の活動(又は迷走神経の活動に対する脳感度減少)は、それらの願望の一因となることがある。同様にうつ病に関して、迷走神経の活動及び/又は感度は、うつ病及び心拍変動性減少の相関によって示唆されるように、気分の調節に重要な役割を果たすことがある。抑制された又は過剰な迷走神経の活動と、他の障害との間の類似した相関が、存在することもある。本発明の実施態様を使用すると、埋め込み型医療装置100は、広範囲の疾患、障害及び状態の治療において、神経刺激治療の有効性を実質的に増加できる。本発明の実施態様は、神経刺激に関連した副作用を著しく減少させることができる。
【0086】
埋め込み型医療装置100は、好ましくは埋め込み型として記載されるが、当業者は、本発明がそのように限定されないことを認識するであろう。例えば、1つの代替的な実施態様において、医療装置は、非埋め込み型電源及び制御源を有する、埋め込み型電極のように、部分的に埋め込み型であっても良い。もう1つの代替的な実施態様において、医療装置は、経皮的刺激装置のように、完全に非埋め込み型であっても良い。
【0087】
本発明において使用できる埋め込み型医療装置100は、特に迷走神経のような患者の脳神経を刺激するための、患者における神経構造を刺激できる神経刺激器のような、種々の電気刺激装置のいずれかを含む。埋め込み型医療装置100は、脳神経刺激、及び特に迷走神経刺激(VNS)の点で記載されるが、当業者は、本発明がそのように限定されないことを認識するであろう。例えば、埋め込み型医療装置100は、三叉神経及び/又は舌咽神経のような他の脳神経、又は患者の1つ以上の脳構造、脊髄神経及び他の脊髄構造のような他の神経組織の刺激に適用できる。1つの代替的実施態様において、本発明は、脊髄刺激器(SCS)に実装できる。もう1つの代替的実施態様において、本発明は、脳深部刺激(DBS)システムのような脳刺激器に実装できる。
【0088】
脳神経の一般に認められた臨床標識において、第10脳神経は、脳115の幹に由来する迷走神経である。迷走神経は、頭蓋骨の孔を通って頭部、頸部及び体幹の部分に進む。迷走神経は、頭蓋骨を出ると、左及び右分枝又は迷走に分岐する。左及び右迷走神経分枝は、感覚及び運動神経線維の両方を含む。迷走神経の感覚神経線維の細胞体は、神経節群において脳115の外側に位置するニューロンに取り付けられ、かつ迷走神経の運動神経線維の細胞体は、脳115の灰白質内に位置するニューロン142に取り付けられる。迷走神経は、末梢神経系(PNS)の一部の、副交感神経である。脳神経の体性神経線維は、意識的活動に関与し、かつCNSを皮膚及び骨格筋に接続する。これらの神経の自律神経線維は、無意識的活動に関与し、かつCNSを心臓、肺、胃、肝臓、膵臓、脾臓及び腸のような内臓器官に接続する。従って、迷走神経刺激(VNS)を提供するために、患者の迷走神経は、片側又は両側性に刺激でき、ここで刺激電気信号は、それぞれ迷走神経の一方又は両方の分枝に適用される。
【0089】
埋め込み型医療装置100は、刺激発生器150と、神経刺激を制御するためにそれに操作可能に連結されたコントローラ155とを含むことができる。刺激発生器150は、電気刺激105を発生させることができ、かつコントローラ155は、内因性神経信号110にバイアスをかけ、かつ電気神経刺激治療を患者に提供するために、電気刺激105を脳神経120に適用するように構成できる。コントローラ155は、迷走神経を刺激するための電気バイアス信号を発生させるために、刺激発生器150に指示できる。
【0090】
電気刺激105を発生させるために、埋め込み型医療装置100は、電池160と、メモリ165と、通信インタフェース170とを更に含むことができる。更に具体的には、電池160は、充電式でも良い電源電池を含む。電池160は、電子操作及び刺激機能を含む、埋め込み型医療装置100の操作のための電力を提供する。電池160は、一実施態様において、リチウム/塩化チオニル電池であっても良く、又はもう1つの実施態様において、リチウム/一フッ化炭素物電池であっても良い。メモリ165は、一実施態様において、操作パラメータデータ、状態データ等のような種々のデータ、並びにプログラムコードを記憶できる。通信インタフェース170は、外部ユニットへ及び外部ユニットからの電子信号及び/又は情報の伝達及び受信を提供できる。外部ユニットは、埋め込み型医療装置100をプログラムできる装置であっても良い。
【0091】
埋め込み型医療装置100は、単一の装置又は一対の装置であっても良く、移植され、かつリード135に電気的に連結され、リード135は次に、例えば迷走神経の左及び/又は右分枝上に移植される電極140に連結される。一実施態様において、電極140(1−n)は、一組の感知電極から分れた一組の刺激電極を含むことができる。もう1つの実施態様において同じ電極が、刺激及び感知するために配備できる。電極の特殊なタイプ又は組み合わせが、所与の適用のために、所望の通りに選択できる。例えば、迷走神経に連結するために適した電極が、使用できる。電極140は、好ましくは双極性刺激電極対を含む。当業者は、多くの電極の設計が、本発明において使用できることを認識するであろう。
【0092】
電極140(1−n)を使用すると、刺激発生器150は、疾患又は障害を有する患者に治療的神経刺激を提供するために、電気パルスの所定のシーケンスを選択された脳神経120に適用できる。非パルス化電気信号も、使用できる。選択された脳神経120は、迷走神経であっても良いが、電極140(1−n)は、直接的刺激のために患者の迷走神経に移植するための少なくとも1つの神経電極を含むことができる。
【0093】
図1に示した埋め込み型医療装置100の特定の実施態様が、図2に示される。そこに示されるように、電極226及び228のような複数の電極を含むことができる電極アセンブリ225は、本発明の例示的な実施態様により、迷走神経235のような神経幹に連結できる。リード135は、近くの組織への縫合接続によって、胸部及び頸部の運動により屈曲する能力を保持しながら、電極アセンブリ225に連結され、かつ固着される。電極アセンブリ225は、内因性神経信号110を変調するために、電気信号を神経幹に送達できる。電極226及び228を使用して、迷走神経235のような、選択された脳神経は、患者の体200内で刺激できる。
【0094】
外部プログラミングユーザインタフェース202は、神経刺激器205のような埋め込み型医療装置100を初期プログラムし、かつ/又は後で再プログラムするために、特定の患者の医療従事者によって使用できる。神経刺激器205は、プログラム可能であっても良い刺激発生器150を含むことができる。医師が、一連の電気インパルスの電気及び時間調整パラメータのプログラムをできるようにするために、外部プログラミングシステム210は、コンピュータ、携帯情報端末(PDA)装置、又は他の適切な計算装置のような、プロセッサベース計算装置を含むことができる。
【0095】
外部プログラミングユーザインタフェース202を使用すると、外部プログラミングシステム210の利用者は、神経刺激器205をプログラムできる。神経刺激器205と、外部プログラミングシステム210との間の通信は、当該技術分野において公知の種々の従来の技術のいずれかを使用して達成できる。神経刺激器205は、信号が、ワンド(wand)のような外部プログラミングユーザインタフェース202と、神経刺激器205との間で無線通信することを可能にする、(コイルのような)トランシーバを含むことができる。
【0096】
ヘッダ220内に電導性コネクタを有する、ケース215を有する神経刺激器205は、例えばペースメーカパルス発生器が移植されるのと同じに、皮膚のすぐ下に移植外科医によって形成されるポケット又は空洞内で、患者の胸部に移植できる。好ましくは電極対を含む刺激神経電極アセンブリ225は、好ましくはリード線対を含み、かつヘッダ220内でコネクタに近位端が取り付けられた、絶縁された導電性リード135の遠位端に導電的に接続される。電極アセンブリ225は、患者の頸部において、迷走神経235に外科的に連結される。電極アセンブリ225は好ましくは、全体が本明細書に参考として組み込まれる、1986年3月4日にBullaraに交付された米国特許第4573481号に記載された電極対のような、双極性刺激電極対226及び228を含む。当業者は、多くの電極の設計が、本発明において使用できることを認識するであろう。2つの電極226及び228は好ましくは、迷走神経の周囲に巻かれ、かつ電極アセンブリ225は、1990年12月25日にReese S.Terry,Jr.に交付され、かつ本出願と同じ譲受人に譲渡された、米国特許第4979511号に開示されたような、螺旋形固定綱230によって神経235に固着される。
【0097】
一実施態様において、自己サイズ決定し、かつ可撓性である(上述のBullara特許に詳細に記載された)電極アセンブリ225の開放螺旋状設計は、神経への機械的外傷を最小化し、かつ体液が、神経と入れ替わることを可能にする。電極アセンブリ225は、神経の形状と一致し、大きい刺激接触面積を可能にすることによって、低い刺激閾値を提供する。構造的に、電極アセンブリ225は、白金、イリジウム、白金−イリジウム合金及び/又は前述のものの酸化物のような導電材料の2つの電極リボン(図示せず)を含む。電極リボンは、3ループ螺旋状アセンブリの2つの螺旋形ループを含むことができる、2つの螺旋形電極のエラストマ本体部分の内面に個別に結合される。
【0098】
一実施態様において、リードアセンブリ230は、2つの導電素子が導電性電極リボンの一方にそれぞれ連結される、2つの異なるリード線又は同軸ケーブルを含むことができる。リード線又はケーブルを電極に連結する1つの適切な方法は、1996年7月2日にSteven Maschinoらに交付され、かつ本出願と同じ譲受人に譲渡された、米国特許第5531778号に表されたようなスペーサアセンブリを含むが、他の公知の連結技術も使用できる。各ループのエラストマ本体部分は、好ましくはシリコーンゴムからなり、かつ第3ループは、電極アセンブリ225のための固定綱の役割を果たす。
【0099】
一実施態様において、埋め込み型医療装置100(図1)の電極140(1−n)は、患者の体200内のいかなる標的パラメータも感知又は検出できる。例えば、患者の迷走神経235に連結された電極140は、内因性神経信号110を検出できる。電極140(1−n)は、電気信号(例えば内因性神経電気活動を示す電圧)を感知又は検出できる。圧力変換器、音響要素、フォトニック要素(すなわち発光又は吸光)、血液pHセンサ、血圧センサ、血糖センサ、身体運動センサ(例えば加速度計)、又は患者の身体パラメータを表す感知信号を提供できる他のいずれかの要素のような、他のセンサが、用いられ得る。
【0100】
一実施態様において、神経刺激器205は、電気バイアス信号を連続的に、規則的な時間間隔で(例えば5分毎)周期的に、又は不規則な時間間隔で(例えば、オンデマンド又は概日リズムに従って)断続的に送達するようにプログラムできる。神経刺激は、パルスバーストとして知られる離散的刺激時間でパルス化電気信号として頻繁に送達され、それは、プログラムされた非ランダムかつ一定の電流、例えば1ミリアンペア、プログラムされた周波数、例えば30Hz、プログラムされたパルス幅、例えば500マイクロ秒、プログラムされたパルス極性、例えば電極226から電極228への電流の流れを、ある期間、例えば30秒、有する一連の制御パルスを構成する。刺激信号が送達される期間(実施例において30秒)は、本明細書においてオンタイムと呼ばれる。バーストは、もう1つの期間、例えば5分によって、隣接バーストから概して分離される。刺激信号の送達の間の期間(実施例において5分)は、本明細書においてオフタイムと呼ばれる。先行技術の実施態様において、電流、パルス幅、極性、オンタイム及びオフタイムは、一定の、非ランダム値としてプログラムされる。最初の数秒にわたる電流若しくは電圧、又はパルスバース(pulse burse)のパルスのランピングは、全振幅でのバーストの初期パルスを有することと関連し得る疼痛を回避するために時々用いられる。ランピング信号は、様々であるが、非ランダムな値を有し、かつパルスバーストの残りは、一定でもあり、かつ非ランダムでもある。複数の類似した隣接するパルス毎の間隔によって決定される周波数はまた、一般的に一定値であるが、掃引又はランダムに設定された値を用いることが、知られている。パルス毎の間隔は、本明細書において、パルス時間と呼ばれ、かつパルス時間が隣接するパルス時間から独立しているという点で周波数とは異なるが、他方で周波数は、定義上、複数の類似した隣接パルス時間を必要とする。
【0101】
本明細書で使用されるような、連続信号は、明白なオンタイム及びオフタイムのない電気信号を指す。連続信号は、一定又はランダムパルス時間又は周波数を有するパルス化信号として、又は電流の流れにおいて全く中断がない純粋に連続した信号として(但し、電流の大きさ及び極性のような他のパラメータは、信号内で変化することがある)、明白なオンタイム及びオフタイムなしに送達できる。本明細書で使用されるような、非パルス化信号は、オンタイム期間中の電流の流れが、電流の流れのない短い期間(概して数ミリ秒又は数秒)によって分離されるパルス化信号とは異なるものとして、電流がオンタイム期間中に常に送達される信号を指す。非パルス化信号が、(例えば刺激された神経組織の回復/不応期間を可能にするために)プログラムされた、又はランダムなオンタイム及びオフタイムによって送達できることに、注意されるべきである。しかしながら、オンタイム期間が、各オンタイム期間内の電流の流れにおいて中断を有さない限り、信号は、本明細書で使用されるような非パルス化信号のままである。
【0102】
電気バイアス信号の1つ以上のパラメータは、パルス毎、又は(非連続信号に関して)バースト毎にランダムに変化することが可能にされ得る。ある実施態様において、パラメータは、(同等にパルス列と呼ぶことができる)パルスバースト内で、又は(オンタイム及びオフタイムが存在しない場合に)連続的に、パルス毎にランダムに変化できる。例えば、30秒のオンタイムを有するパルスバースト内の全てのパルスの電流の大きさは、0.5ミリアンペアの下限から2.0ミリアンペアの上限までランダムに変化することが可能にされることができ、その後に5分のオフタイム期間が続き、その後にプロセスが反復される。連続信号に関して、同じ又は異なるランダムな変化が、無期限に継続することを可能にされ得る。他の実施態様において、パラメータは、パルスバースト毎にランダムに変化することを可能にされ得るが、パルスバースト内では一定のままである。かかる変化は、定義済みオンタイム及びオフタイムを有する非連続信号に関して適用されるだけである。例えば、電流の大きさは、30秒のオンタイムの間続く、(パルス列の開始及び/又は終了時のいずれかのランピング機能を除き)バースト内の全パルスに関して一定値として維持される、0.75ミリアンペアとしてパルスバーストにランダムに割り当てられることができる。2分のオフタイムに続き、1.25ミリアンペアの新しい電流の大きさは、第2パルスバーストに関してランダムに決定でき(又は上限と下限との間のもう1つの値)、かつバースト内の全パルスに、同じ大きさが与えられる。パルス毎及びバースト毎両方のランダム化は、少なくとも1つのパラメータが、パルス毎又はバースト毎にランダム値を含む限り、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0103】
バースト毎のランダム化に加えて、電気バイアス信号が、第1期間内の少なくとも1つのランダム値と、第2期間に関する非ランダム値とを含む、他の刺激療法が、用いられ得る。信号がランダム化及び非ランダム化される交互期間が、提供できる。例えば、(第1パルスバーストのオンタイムを含むことができるか、又は単に連続信号の定義済み第1部分であっても良い)30秒の第1期間において、パルス幅は、100マイクロ秒〜1000マイクロ秒の間でランダムに変化することが可能にされ得る。(第2離散的パルスバーストのオンタイム又は連続信号の定義済み第2部分を含むことができる)第2期間において、パルス幅は、500マイクロ秒の一定値として維持できる。このように、患者にとって治療的な利点を有し、かつ/又は副作用を減少させる混合されたランダム及び非ランダム信号が、提供できる。全てのかかる実施態様は、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0104】
神経刺激器205は、事象の検出で、又は対応する監視された患者のパラメータを示す1つ以上のセンサから受信された信号に基づき患者へのプログラムされた治療を送達する、他の発生で、電気バイアス信号を開始するようにプログラムできる。図1に示すような電極140(1−n)は、本発明の幾つかの実施態様において、電極アセンブリ225を介して迷走神経235への電気刺激治療の投与を引き起こすために使用できる。刺激治療を引き起こす又は開始するためのかかる感知された身体信号の使用は、以下で、投与の「能動的」、「引き起こされた」又は「フィードバック」モードと呼ばれる。本発明の他の実施態様は、治療送達を引き起こすために、センサを使用せずにプログラムされたオン/オフ動作周期に従って、神経組織に適用される周期的、又は断続的な刺激信号を利用する。このタイプの送達は、「受動的」又は「非フィードバック」治療モードと呼ばれることができる。能動的及び受動的の両方の電気バイアス信号は、組み合わせられるか、又は本発明による単一の神経刺激器によって送達できる。一方又は両方モードが、監視中の具体的な患者の場合に、診断される特定の障害を治療するために適切であっても良い。
【0105】
刺激発生器150は、議会図書館、著作権原簿で、本出願の譲受人によって著作権で保護されたタイプのプログラミングソフトウェア、又は本明細書の記載に基づく他の適切なソフトウェア、及び外部プログラミングシステム210と刺激発生器150との間の無線周波数(RF)通信を容易にするプログラミングワンド(外部プログラミングユーザーインタフェース202)を使用してプログラムできる。ワンド202及びソフトウェアは、神経刺激器205が移植された後、刺激発生器150との非侵襲性通信を可能にする。ワンド202は、好ましくは内部電池によって駆動され、かつ通信のための充分な電力を示すための「電源オン」灯を与えられる。データ伝達がワンド202と神経刺激器205との間に発生していることを示すために、他の表示灯が提供され得る。
【0106】
一実施態様において、神経精神医学的障害のための電気神経刺激治療は、電気バイアス信号を患者200の迷走神経235に適用することによって投与できる。神経精神医学的障害は、非限定的な例として、うつ病、強迫性障害(OCD)、注意力欠損/活動亢進障害(ADHD)、精神分裂症及び境界人格異常を含むことができる。このために、神経刺激器205は、患者の首、すなわち頸部内で迷走神経刺激(VNS)治療を提供できる。神経刺激器205は、電極226及び228を介して、選択された脳神経に電気バイアス信号を送達するために、手動により又は自動的に起動できる。神経刺激器205は、起動された時にバイアス信号を連続的、周期的又は断続的に送達するようにプログラムでき、かつ信号は、パルス化又は非パルス化されても良い。刺激を定義する少なくとも1つのパラメータは、好ましくは定義済み範囲内のランダム値を含む。
【0107】
図3に示すように、神経刺激器205は、確率的電気バイアス信号302を内因性神経信号300に適用でき、結果として本発明の1つの代表的な実施態様と一致する、迷走神経235のような選択された脳神経120内の内因性神経信号を強化するために確率的バイアスが加えられた変調信号305をもたらす。図3は、信号の様式化及び一般化された表示であり、かつ本発明の概念を説明する。神経120は、1つ以上の神経線維からなることができるので、図3の内因性神経信号300及び確率的バイアスが加えられた変調信号305は、個別の神経活動電位及び神経120によって脳115に通信される複合情報量の一方又は両方を表すことができる。縦軸は、正規化された。結果として変調信号305をもたらす確率的電気バイアス信号302の使用によって、脳115が、内因性神経信号110内のさもなければ検出不可能な/解釈可能な電気情報を検出及び/又は解釈できるようになり得る。加齢、疾患、傷害、化学平衡失調及び他の障害は、情報運搬神経120、情報解釈脳115及び/又は内臓器官のような、但しそれに限定されない身体200の情報生成領域の機能を低下させることがある。機能を低下させることは、神経活動の増加及び/又は減少、及び/又は検出及び/又は解釈閾値を含むことができる。しかしながら、確率的電気バイアス信号302の使用によって、内因性神経信号110を伝達又は処理する脳神経、交感神経、副交感神経、脊髄及び/又は脳細胞内のニューロンの神経性能が強化できる。
【0108】
信号を定義するパラメータが非ランダムである電気信号を使用する代わりに、電気刺激105は、定義済み範囲内でランダムに変化する(例えばホワイトノイズ)1つ以上のパラメータ、例えば電流の大きさの範囲を含むことができる。少なくとも1つのランダムパラメータを含む電気バイアス信号を、解釈閾値未満である内因性神経信号110に加えることによって、加えられたバイアスは、脳が内因性神経信号を解釈できる解釈閾値を、内因性神経信号110が越えることを可能にする。図3に表すように、信号300が、情報を表し、かつ1の正規化レベルが、脳による活動としての解釈閾値を表すならば、信号300におけるピークは、閾値の僅かに下に留まる。バイアス信号302を加えることは、結果として変調信号305をもたらし、その中でピークは閾値を越える。変調信号305内のランダム変化自体は、脳によって「非情報」として無視される。しかしながら、閾値を越えることは、周期的又は非周期的確率共鳴に基づき解釈される。バイアス信号は、解釈可能な情報を効果的に「増加させた」か、又は脳の解釈閾値を「減少させた」。図3の谷を参照すると、0の正規化レベルが、脳による不活動としての解釈閾値を表すならば、信号300における谷は、閾値の僅かに上に留まる。バイアス信号302を加えることは、結果として閾値より下に越える変調信号305の谷をもたらす。バイアス信号は、解釈可能な情報を効果的に「減少させた」か、又は脳の解釈閾値を「増加させた」。
【0109】
1つ以上のランダムパラメータを有する信号の使用は、小振幅信号、すなわち内因性神経信号110からの予想されたよりも大きな衝撃を達成し得るので、非線形系の性能を強化するノイズのかかる使用は、確率共鳴と呼ばれる。すなわち、一般的に脳115は、時間とともに完全に非ランダムな電気刺激に適応することができ、それに適応するか、無視し始めることができ、脳が信号に適応するにつれて、有効性の損失に繋がる。しかしながら、電気刺激105は、比較的小振幅によってランダム信号を既存の、内因性神経信号110に導入及び/又は重ね合わせる。このようにして、神経刺激器205は、脳115が迷走神経235のような選択された脳神経120から、内因性神経信号110を検出及び/又は解釈できるようにすることができる。
【0110】
1つの例示的実施態様によれば、脳115内のニューロン142が一定の、又は周期的入力に適応できるので、刺激発生器150は、電気刺激105又は電気バイアス信号302を発生させるために(固定バイアスの代わりに)相加性ノイズを使用できる。電気刺激105又は電気バイアス信号302は、複合(多軸索、多目的)神経信号、すなわち内因性神経信号110の解釈及び可用性を改良できる。迷走神経幹は、各々が一般的に一方向にのみ、すなわち脳へ(求心性線維)又は脳から(遠心性線維)、電気信号を伝導する数万の個別の神経軸索を含む。このようにして、内因性神経信号110は、脳115へ、かつ脳115から情報を伝達する多くの個別の神経線維の複合体を含む。それが搬送する大量の神経情報のために、迷走神経235は、多様な情報収集を伝達するためのパイプライン又は電気バスと考えられる。
【0111】
理論によって拘束されずに、神経組織自体の内部の軸索の性能を改良する代わりに、刺激発生器150は、内因性神経信号110に存在する情報を解釈する脳115の性能を改良できる。従って、埋め込み型医療装置100は、脳115によって知覚されるような、既存の迷走神経信号、例えば内因性神経信号110の質、又は脳115による信号110の解釈を改良できる。
【0112】
何人かの患者において、迷走神経活動は、不十分なことがあり、その一方で他の患者において、迷走神経活動は、活動亢進なことがある。それ故に、比較的高いVNS刺激レベルを単に提供することは、結果として必ずしも特定の患者にとって改良された有効性をもたらさないことがある。しかしながら、確率共鳴バイアスを適用することによって、神経刺激器205は、内因性神経信号110を脳115によって解釈可能な帯域内に至らせるために、内因性神経信号110にバイアスをかけることができる。(個別の線維のための求心性活動電位を生成する)個別の感覚細胞の二進閾値の解釈とは異なり、神経刺激器205は、内因性神経信号110を解釈の閾値下又は閾値上にするために、内因性神経信号110にバイアスをかけることができる。神経刺激器205は、脳115への神経信号の誤った解釈又は不規則な可用性を除去又は補正できる。
【0113】
図4A〜図4Eを参照すると、波形の一実施態様は、本発明における使用に適した電気刺激105又は電気バイアス信号302を示す。説明図は主に、パルス化電気信号を発生させるために刺激発生器150によって使用できる、電流の大きさ、パルス幅、パルス時間(すなわち隣接パルスの開始間の時間間隔)、及びパルス極性を含む、パルス化電気信号を定義するために使用できる複数のパラメータの用語を明確にする目的で提示される。他のパラメータ(図示せず)には、非連続信号のオンタイム及び信号オフタイムを含む。本発明の実施態様において、電圧の大きさ、電流の大きさ、パルス幅、パルス時間、パルス極性、並びに(非連続信号に関して)信号オンタイム及び信号オフタイムの少なくとも1つは、定義済み範囲内のランダム値を含む。脳115への神経信号の誤った解釈又は不規則な可用性を明確にする、又は補正するために内因性神経信号110にバイアスをかけるための刺激発生器150の操作に関する定義済み範囲の例は、図4A〜図4Eを参照して記載され、それらは、神経刺激器250の出力部によって電極アセンブリ225に送達されるパルス化出力信号波形の、理想的な表示での一般的性質を示す。1つ以上のバイアスパラメータは、定義済み範囲内で変化するパルス化電気信号を発生させるために、刺激発生器150によってランダムに発生することができる。
【0114】
図4Aは、本発明の実施態様によって提供される代表的なパルス化電気バイアス信号を示す。電気バイアス信号は、オンタイム及びオフタイムによって定義される非連続信号であっても良いか、又は離散的パルスバーストのない連続信号(すなわち明白なオンタイム及びオフタイムを含まない信号)を含むことができる。電気バイアス信号は、あるいは刺激時間中に電流中断のない(連続又は非連続であっても良い)非パルス化信号を含むことができる。連続であれ、非連続であれ、本発明は、1つ以上のバイアス信号パラメータが、パルス列内の特定パルスに関して(パルス毎のランダム化)、あるいは隣接パルス列内のパルスに関して(バースト毎のランダム化)のランダムに変更される信号を含む。バースト毎のランダム化は、オフタイム及び/又はオフタイムのみを変更することを含むことができ、その場合にパルスの各々は、電圧、電流、パルス幅、パルス時間、又は周波数のいずれかによって定義されるように、非ランダムであっても良いが、隣接パルスバースト期間又はそれらを隔てる間隔は、ランダム時間間隔を含むことができる。
【0115】
特に、図4Aが示すように、神経刺激器205によって提供される電気バイアス電流信号内の電気信号パルスは、それぞれ第1、第2及び第3ランダム振幅を有するパルスよって示されるように電流振幅において、かつ/又はそれぞれ第1、第2及び第3ランダムパルス幅を有するパルスによって示されるようにパルス幅においてランダムに変化することがある。例えば、パルスの電流の大きさは、ランダムであっても良く、かつ任意の電荷平衡により、−3.0〜3.0ミリアンペア、又は0.25〜1.5ミリアンペアのような、−8.0ミリアンペア(mA)〜8.0ミリアンペアの範囲内のいずれかの任意に定義された範囲内で変化できる。同様に、パルス幅は、ランダムであっても良く、かつ50〜750マイクロ秒又は200〜500マイクロ秒のような、1マイクロ秒〜1秒の範囲内のいずれかの任意に定義された範囲内で変化できる。
【0116】
電流の大きさ及びパルス幅に加えて、図4Aは、幾つかの実施態様において、パルス極性が、水平なゼロ電流線の上にピークを有するパルスによって示される第1極性と、ゼロ電流線の下のピークによって示される第2の反極性との間でランダムに変化できることを更に示す。図4Aは、便宜上特定のパルスに関するいかなる電荷平衡成分も省略する。しかしながら、各パルスが、受動的又は能動的電荷平衡成分を含むことができると、理解される。図4Aは、第1、第2及び第3ランダムパルス時間を有する隣接パルス対によって示されるように、電気パルスのパルス時間が、同様にランダムに変化できることを更に示す。例えば、パルスのパルス時間は、ランダムであっても良く、かつ1マイクロ秒〜1秒の範囲内のいずれかの任意に定義された範囲内、例えば50マイクロ秒〜200ミリ秒でランダムに変化できる。
【0117】
図4Aには示さないが、オフタイム及びオフタイムによって定義される非連続電気バイアス信号に関して、オンタイム及びオフタイムの一方又は両方は、定義済み範囲内でランダムに変化できる。例えば、パルスバースト(又は非パルス化信号)を定義するオンタイムは、ランダムであっても良く、かつ1秒〜24時間の範囲内のいずれかの任意に定義された範囲内でランダムに変化でき、かつパルスバースト又は非パルス化信号を定義するオフタイムは、同様にランダムであっても良く、かつ1秒〜24時間の範囲内のいずれかの任意に定義された範囲内でランダムに変化できる。
【0118】
図4Aは、パルス化電気バイアス信号302のパラメータランダム化を記載するが、パラメータの類似したランダム化が、非パルス化電気バイアス信号に提供できる。特に、パルス幅又はパルス間隔によって定義されないが、非パルス化信号は、それにもかかわらず、電流振幅及び電極極性の1つ以上によって定義でき、かつ非連続非パルス化信号は、オンタイム及びオフタイムによって更に定義できる。前述のパラメータの1つ以上が、前掲のパルス化信号に関して記載されたものと同じように、非パルス化信号に関してランダム化できる。
【0119】
ランダム化電気バイアス電流パルス化信号を発生させるために、刺激発生器150は、図4B及び図4Cに示すように、バイアスレベル及び/又はバイアスパラメータ範囲をランダムに、かつ/又は周期的に変化させることができる。本発明の一実施態様によれば、一方のバイアスレベルから他方のバイアスレベルまで、第1バイアスパラメータ範囲は、第2バイアスパラメータ範囲に変化できる。刺激発生器150は、図4Bでゼロ平均を中心とすることができる第1バイアスレベルを、図4Cに示した第2バイアスレベル又は平均に調整又はシフトできる。例えば、バイアスレベルは、0mAから0.7mAに変化し、かつバイアスパラメータは、0から+0.5mAに、かつ0から−0.5mAから0から+0.25mAに、かつ0から−0.25mAに変動する。バイアスレベル又はバイアスパラメータ範囲の調整は、疼痛閾値テスト又は医学的状態に基づくフィードバックによって決まることがある。
【0120】
図4D及びは、信号が、第1期間に関してランダム化信号と、第2期間に関して非ランダム化信号とを含むことを示す。バイアスパラメータは、パルス毎にランダムであり、かつランダム及び/又は周期的時間間隔にわたり定義済み範囲内で変化するが、その他の点では非ランダムである信号特性を含むことができる。例えば、パルス時間、振幅、パルス幅、極性及び/又はその組み合わせは、1秒から24時間に変動する第1時間間隔に関して定義済み範囲内でランダムに変化できる。1つ以上のバイアスパラメータは、第1期間中、第1及び第2時間範囲内でランダムに変化できる。例えば、パルス時間は、50マイクロ秒〜750マイクロ秒の値で30秒の期間ランダムに変化できる。第2期間において、パルス時間は、非ランダム値、例えば1分の期間に関して500マイクロ秒を含むことができる。他の実施態様において、ランダム化パラメータの範囲は、スプリット範囲を含むことができる。例えば、電流の大きさは、0.25〜0.75ミリアンペアの範囲内で、かつ同様に1.25〜1.50ミリアンペアの範囲内でパルス毎に変化することが可能にできる。従って、電流は、0.76ミリアンペア〜1.24ミリアンペアを含む値を除き、0.25ミリアンペア〜1.50ミリアンペアの間のいかなる値も含むことができる。かかるスプリット範囲ランダム化は、何人かの患者にとって有益であることができ、かつ本発明の範囲内にあると考えられる。
【0121】
神経刺激器205によって提供されるランダム化電気バイアス電流信号は、特定の組織を励起のために標的にするための種々の電極(以下に記載)の選択的起動を実行することに向けることができる。神経刺激器205によって提供される代表的なランダム化電気バイアス電流パルス信号は、図4Aに記載され、そこでパルス信号のランダムに変化する極性が、示される。一実施態様において、ランダムに変化する極性は、具体的な組織を標的にする交流電極と併せて用いることができる。図4Eは、振幅変化及び極性変化に対応する、種々のランダム位相を提供するパルスを有する代表的なランダム化パルス化電気バイアス信号を示す。上記のように、パルスの位相は、種々の形状、及びゼロアンペアの電流レベルを含む電流レベルをランダムに呈することができる。一実施態様において、ゼロ電流を有する位相は、パルスの2つの電流送達位相の間の時間遅延として使用できる。
【0122】
図4Eは、ランダム化電気バイアス信号を示し、かつ第1電荷Qに関する第1ランダム振幅に対応する第1位相と、第2電荷Qに関する第2ランダム振幅に対応する第2位相とを有する。図4Eに示した信号において、第2電荷Qは、第1電荷Qの負の値と実質的に等しい。従って、電荷Q及びQは、互いに平衡を保ち、電荷の能動的及び/又は受動的放電の必要性を低減する。それ故、図4Eに示されるパルス信号は、電荷平衡の、ランダム化電気バイアス電流パルス信号である。能動的及び/又は受動的放電を実行する必要性を低減することは、電荷放電の低減からの省電力、少ない回路の要求等のような種々の利点を提供できる。例えば、電気バイアス信号302を適用することは、電気バイアス信号302から生じた電荷の平衡を保つために、電荷平衡信号を適用することを含むことができる。電気バイアス信号302に関して、パルスの電流の大きさは、ランダムであっても良く、かつ−8.0ミリアンペア〜8.0ミリアンペアの範囲内のいずれかの任意に定義された範囲内で変化できる。種々の他のパルス形状が、本発明の実施態様によって提供されるランダム化電気バイアス信号の概念において用いることができ、かつ本発明の範囲及び精神内に留まっている。
【0123】
ここで図5を参照すると、神経刺激器205は、本発明の1つの例示的実施態様により、電気刺激105又は電気バイアス信号302を迷走神経235に適用するために、患者の体200内に移植できる。神経刺激器205は、刺激発生器150と、電池160と、メモリ165とを含む。一実施態様において、メモリ165は、電気バイアスパラメータデータ400と、バイアスルーチン405とを記憶できる。電気バイアスパラメータデータ400は、変動する振幅、時間、極性及び/又は種々の形状を有するバイアスパラメータを含むことができ、かつ選択電極と併せて、神経伝導又は神経阻害を増加させるために患者の身体の種々の部分を過分極、減極、及び/又は再分極するために用いることができる。
【0124】
バイアスルーチン405は、内因性電気神経活動の解釈を行うための電気神経刺激を可能にする、電気刺激105又は電気バイアス信号302を発生させるために、ソフトウェア及び/又はファームウェア命令を含むことができる。バイアスルーチン405は、ランダム化電気バイアス信号を提供するために、ランダムデータ発生器425を使用できる。例えば、電気バイアスパラメータデータ400に基づき、ランダムデータ発生器425は、ランダムバイアスパラメータデータ400に対してバイアスルーチン405によって提供されるランダム又は擬似ランダム数に対応するランダムデータ値又はデータ範囲を発生させることができる。このようにして、刺激発生器150は、ランダム化電気バイアス信号を発生させることができる。神経刺激器205は次に、所望の電気神経刺激治療を提供するために、ランダム化電気バイアス信号を迷走神経235のような神経構造に適用できる。上記のように、内因性神経信号110にバイアスをかけるために、神経刺激器205を利用して、減極に先立つ過分極が、神経線維及び/又は患者の身体の他の部分の神経刺激の調整を可能にするために実行できる。
【0125】
本発明の実施態様によれば、神経刺激器205は、通信インタフェース170を更に含むことができる。外部プログラミングユーザインタフェース202と通信インタフェース170との間の通信は、無線通信、又は一般的に図5で線410によって示される他のタイプの通信を介して発生できる。同様に、電池160の端子は、電源コントローラ415の入力側に電気接続できる。電源コントローラ415は、神経刺激器205の種々の電子及び刺激送達部分への電力潮流を制御及び監視するための回路と、プロセッサとを含むことができる。電源コントローラ415内のプロセッサは、プログラムコードを実行することが可能であっても良い。一実施態様において、電源コントローラ415は、神経刺激器205の電力消費を監視すること、及び適切な状態信号を発生させることが可能である。
【0126】
神経刺激器205は、外部プログラミングユーザインタフェース202を使用して神経刺激器205にプログラムできるパラメータに従って、神経組織に送達される電気刺激105を定義する刺激コントローラ420を更に含むことができる。プログラムコードを実行できるプロセッサを含むことができる刺激コントローラ420は、刺激発生器150の操作を制御し、刺激発生器150は、一実施態様において、電気バイアス信号パラメータデータ400によって定義されるパラメータにより、電気刺激105を発生させ、かつリードアセンブリ135及び電極アセンブリ225を介して患者に送達するために、ヘッダ220上で電気コネクタにこの信号を提供する。
【0127】
神経刺激器205は、電気バイアスパラメータデータ400の値及び/又は範囲をランダムに、かつ/又は周期的に発生させることができるランダムデータ発生器425を更に含むことができる。ランダム及び/又は周期的値及び/又は範囲は、ガウス、ゼロ平均、擬似ランダムノイズのような種々の電気ノイズ形状を提供し、かつ/又は刺激コントローラ420によって定義されたバイアス刺激信号に従って、以上に論じたような他のいずれかのパラメータをランダム化するために使用できる。擬似ランダムノイズに関して、種々の電気ノイズ形状の一部は、ランダムであり、かつ残りの部分は、ランダムである部分によって決まる。
【0128】
補正又は明確にされる神経刺激のタイプに関係する電気バイアスパラメータデータ400に基づき、刺激コントローラ420は、内因性神経信号110にバイアスをかけるために、神経刺激器205によって送達される特定のタイプの電気刺激105を選択するための制御信号を提供する。ランダムデータ発生器425は、電気バイアス信号として使用するための、ランダム化ノイズ信号のような、多数の電気ノイズ波形を発生させるために使用できるランダム化データを発生させることが可能である。ランダム化ノイズ信号は、ガウス、ゼロ平均、擬似ランダムノイズのような種々のランダムノイズタイプを含むことができる。特定のノイズタイプは、特定の神経線維を標的とすること、前分極又は過分極を実行すること等のような、種々の理由から使用できる。具体的なノイズタイプを選択することによって、電流の大きさ又はパルス幅のような種々の属性が、調整できる。
【0129】
ランダムデータ発生器425は、好ましくは時間調整装置と、ランダム化データを発生させる他の電子回路とを含む。ランダムデータ発生器425は、制御された(すなわち一定及び/又は非ランダム)電流の大きさ、制御されたパルス幅、制御されたパルス時間、第1の定義済み範囲内で変化するランダムオンタイム、及び第2の定義済み範囲内で変化するランダムオフタイムを含む複数のパラメータによって定義される、非連続パルス化電気信号を含む電気バイアス信号の定義に使用する電気バイアス信号ランダム化データを発生させることも可能である。他の実施態様において、電流の大きさ及びパルス幅の1つ以上は、オンタイム及び/又はオフタイムによってランダム化できる。もう1つの実施態様において、ランダムデータ発生器425は、制御された電流の大きさ及びパルス幅、並びに定義済み範囲内で変化するランダムパルス時間の少なくとも1つを含む複数のパラメータによって定義される、連続パルス化電気信号を含む電気バイアス信号の定義に使用するランダム化データを発生させることが可能である。他の実施態様において、電流の大きさ及びパルス幅の片方又は両方は、同様にランダム化できる。なおも更なる実施態様において、ランダムデータ発生器425は、(ランダム化又は制御されても良い)電流の大きさ、(ランダム化又は制御されても良い)パルス幅、(ランダム化又は制御されても良い)極性、並びに任意に、制御又はランダム化されたオンタイム及び制御又はランダム化されたオフタイムの少なくとも1つを含む複数のパラメータによって定義される、連続パルス化電気信号を含む電気バイアス信号の定義に使用するランダム化データを発生させることが可能である。
【0130】
ここで図6を参照すると、本発明の実施態様における使用に適した刺激コントローラ420が提供される。コントローラ420は、本発明の1つの例示的実施態様によれば、刺激データインタフェース510と、刺激選択ユニット520とを含む。刺激データインタフェース510は、神経刺激パルスを定義するデータを受信でき、かつ刺激選択ユニット520は、刺激コントローラ420によって実行される神経刺激のタイプを選択することが可能であっても良い。神経刺激のタイプの例には、(いずれかの1つ以上のパラメータのランダム化を含む)ランダム、擬似ランダム、及び周期的にランダム(すなわち、信号がランダム化期間にランダム化され、かつ次に非ランダム化期間に非ランダム化される、交互期間)を含む。
【0131】
刺激データインタフェース510は、一実施態様において、神経刺激器205を含む、埋め込み型医療装置100の種々の他の部分と連動できる。例えば、刺激データインタフェース510は、実行される特定のタイプの神経刺激をプログラムする、外部プログラミングユーザインタフェース202から患者のデータを受信するための通信ユニット170(図1)と連動できる。
【0132】
一実施態様において、刺激データインタフェース510は、内因性神経信号110に適用されるバイアス刺激のタイプに関するパラメータを提供できる、電気バイアスパラメータデータ400からのデータをその上、受信できる。刺激データインタフェース510は、刺激選択ユニット520にデータを提供でき、刺激選択ユニット520は次に、神経刺激器205によって送達される特定のタイプの神経刺激を選択する。例えば、刺激選択ユニット520は、外部プログラミングユーザインタフェース202及びバイアスルーチン405(図5)を介して神経刺激のタイプを手動又はプログラムによって選択できる。
【0133】
一実施態様と一致して、刺激選択ユニット520は、プログラムコードを実行することが可能なプロセッサを含むハードウェアユニットであっても良い。代替的実施態様において、刺激選択ユニット520は、ソフトウェアユニット、ファームウェアユニット、又はハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアの組み合わせであっても良い。刺激選択ユニット520は、刺激データインタフェース510を介して外部プログラミングユーザインタフェース202からデータを受信でき、ユニット520が、神経刺激器205による送達のために特定の電気バイアス信号302(図3)を選択することを促す。
【0134】
一実施態様において、電気バイアスパラメータデータ400は、感知された身体パラメータ又は感知されたパラメータを示す信号を含むことができ、かつバイアスルーチン405は、電気神経刺激が望ましいか決定するために、感知された電気神経活動を分析する、ソフトウェア及び/又はファームウェア命令を含むことができる。電気神経刺激が望ましいと、バイアスルーチン405が決定するならば、神経刺激器205は、適切な電気バイアス信号302を、迷走神経235のような神経構造に提供できる。
【0135】
刺激コントローラ420は、ある種の実施態様において、活動検出器525を更に含むことができるが、純粋に受動的な刺激を提供する実施態様において、それは存在しないことがある。活動検出器525は、電気神経刺激が望ましいか決定するために、電気神経活動データを引き出す、患者パラメータ又は感知されたパラメータを示す信号を検出できる。検出された患者パラメータは、医学的状態の表示又は事象の表示を提供できる。
【0136】
感知電極対を使用して、例えば活動検出器525は、てんかん発作中の活動電位を検出するために迷走神経235上の電圧変動を測定できる。電気神経刺激が望ましいと、活動検出器525が決定するならば、活動検出器525は、バイアスルーチン405に、刺激発生器150と併せて、迷走神経235上で電気バイアス信号302を内因性神経信号110に発生させ、かつ適用させる。活動検出器525は、刺激コントローラ420に、迷走神経235上で、検出された内因性神経信号110に基づき神経刺激器205によって用いられる種々の電極を切り替えさせることもできる。(モジュールと呼ぶこともできる)ブロック405〜425の1つ以上が、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアユニット、又はそのいずれかの組み合わせを含むことができることが認識されるであろう。
【0137】
刺激コントローラ420は、電気バイアス信号302を患者に送達するための制御された電流信号を提供する電流源530も含む。電流源530は、一実施態様において、(以下で記載するように)リードにわたるインピーダンスが変化するとしても、制御された電流を提供することが可能であり、それにより電気バイアス信号302を神経刺激器205から迷走神経235のような神経構造に送達する。その上、刺激コントローラ420は、種々の極性及び電線を介して切り替えることが可能な交換網535を含むことができる。例えば、交換網535は、種々の電極、すなわち神経刺激器205によって駆動できる電極140(1−n)を切り替えることができる。それ故に、刺激コントローラ420の特定のサブモジュール(例えばサブモジュール510〜535)を使用して、神経刺激器205は、種々のノイズ形状、時間及び極性において電気バイアス信号を送達し、かつ種々の組み合わせで、電極140(1−n)の複数の電極内で神経刺激を調整することが可能である。
【0138】
ある種の実施態様において、埋め込み型医療装置100は、図1〜図5に記載された電子機器が封入及び密封され得る、本体としてケース215を有する神経刺激器205を含むことができる。導電性リード135の近位端に接続するための端子コネクタによって設計されたヘッダ220は、本体に連結できる。本体は、チタンシェルを含むことができ、かつヘッダは、透明アクリル、又はポリカーボネートのような他の硬質の生体適合性ポリマー、又は人体への移植に適したいずれかの生体適合材料を含むことができる。ヘッダの導電性リードアセンブリ230から突き出るリード135は、リード135を迷走神経235の組織に取り付ける種々の方法を利用して、迷走神経235のような神経構造に連結された、電極140(1−n)の遠位端で連結できる。従って、電流の流れは、リード135の1つの端子から、組織、例えば迷走神経235を介して電極226(図2)のような電極に、電極228のような第2電極、及びリード135の第2端子に生じることができる。
【0139】
図7を参照すると、フローチャートは、本発明の1つの例示的実施態様による、患者の脳115による解釈を可能にするか、又は改良するための、迷走神経235のような神経構造における内因性神経信号110にバイアスをかける方法のステップを示す。最初に、患者の解釈閾値を上昇させる、又は閾値を低下させるために信号を提供するか、決定をせねばならない(ブロック700)。神経刺激器205は、内因性神経信号110の全体的レベルを上昇させる、又はそれを低下させる(すなわち脳115による神経活動の解釈閾値を調整し、かつこのようにして、その解釈閾値を変更する)ように定義された電気バイアス信号を提供できる。そのために、神経刺激器205は、ランダム化電気バイアス信号、制御電気バイアス信号又はランダム化もされ、制御もされる電気バイアス信号を発生させるために使用できる。
【0140】
解釈閾値を低下させることが望ましい場合、電気バイアス信号302は、内因性神経信号110を効果的に増幅することによって解釈閾値を低下させるように、定義でき、かつ神経構造に適用できる(ブロック705)。刺激発生器150は、値が定義済み範囲内で変化する1つ以上のランダム化パラメータ、例えば内因性神経信号110を効果的に増幅する、ランダム化された電流の大きさ、パルス幅、パルス時間、又はパルス極性を有する電気バイアス信号302を提供できる。刺激発生器150は、電気バイアス信号302を神経構造に、連続的、周期的又は断続的に適用できる。
【0141】
他方で、解釈閾値を上昇させることが望ましい場合に、神経信号の全体的レベルを減衰するように、電気バイアス信号302によって、内因性神経信号110にバイアスをかけることができる。この実施態様において、埋め込み型医療装置100は、脳が信号に適応し、かつ「耳を貸さない」ことを可能にするように意図される電気バイアス信号を加え、それにより内因性神経信号に関する脳の解釈閾値を上昇させる。このことは、ランダム化又は非ランダム化信号を提供することにより行うことができ、かついずれのタイプの信号が、適用されるべきであるかに関する決定がなされる(ブロック710)。
【0142】
これを達成するための1つの方法は、制御された非ランダム化電気バイアス信号を提供することによる(ブロック720)。非連続制御電気バイアス信号は、例えば、従来の迷走神経刺激として当該技術分野において公知である。しかしながら、ある種の実施態様において、本発明は、神経構造に連続制御信号、すなわち定義済みオンタイム及びオフタイムを有さない非ランダム信号を提供することを含むことができる。理論によって拘束されずに、離散的オンタイム及びオフタイムを回避することは、内因性神経信号のある部分を無視することを脳に教示する際にそれらを提供し、それにより内因性神経信号110を解釈するために脳に必要とされる活動の閾値を上昇させること、より効果的であり得る。しかしながら、かかる信号に適応する脳の能力は、電極/神経の連結不良、刺激される構造、又は1つ以上の脳構造への神経損傷、薬物及び他の要因を含む種々の要因のために、限定又は損なわれることがある。
【0143】
従って、解釈閾値を上昇させるための本発明の実施態様は、既存の非ランダム化神経刺激療法よりも大きく、かつ/又は制御されたように見える信号を脳に提示するために、1つ以上の信号のランダム化を使用できる(ブロック715)。1つのかかる実施態様において、信号パラメータが、厳重に制御された間隔内でランダム化でき、例えば電気バイアス信号302は、電流の大きさが、1.0ミリアンペア〜1.25ミリアンペアでランダム化される、パルス化非連続信号を含むことができるが、制御されたパルス幅、パルス時間、並びにオンタイム及びオフタイムを有する。かかる信号は、ランダム化が、単純な1.0ミリアンペアの信号よりも多種多様な神経軸索を補充できるので、それ程制御されない信号よりも、制御されていると脳に見られることがある。理論によって拘束されずに、かかる限定されたランダム化方式は、疼痛のような副作用を最小化することに役立ち、かつそれ故に患者が、以前用いられたよりも強力な信号に耐えることを可能にでき、それは、本質的に一定の信号として、より脳に知覚可能であり、かつそれ故に適応反応を引き起こし、解釈閾値を上昇させるので、このことは、部分的に可能であり得る。あるいは、内因性神経信号が不活動レベルより上に留まるならば、ランダム化バイアス信号を加えることで、信号が不活動レベルより下に越えることを可能にでき、かつ不活動の適切な解釈を可能にできる。
【0144】
代替的実施態様において、電気バイアス信号は、ランダム及び非ランダム信号の両方を含むことができる。例えば、非連続パルス化信号が使用される場合、1つ以上のランダム化パラメータ、例えば電流、パルス幅、及び/又は周波数を有するパルスバーストは、第1オンタイムで神経に提供でき、その後に制御された又はランダムなオフタイムが続き、かつ非ランダムパルスバーストは、次に提供でき、かつ第2オンタイムで神経に適用でき、その後に交互のランダム及び非ランダムパルスバーストが続く。(連続擬似ランダム刺激を含む)いずれかの刺激パラメータにおける擬似ランダム変動も、用いることができる。
【0145】
更なる代替的実施態様において、電気刺激105は、求心性神経路又は神経線維内の内因性迷走神経活動の(0〜100%の間の)一部が、伝搬しないように、すなわち遮断でき、それにより内因性神経信号110を減衰させるように適用できる。電気刺激105は、閾値下アノード電流を使用して活動電位を減速するためにも使用できる。これらの代替的アプローチにおいて、電気バイアスは、全体的情報量を明確にするために、神経交通(neural traffic)の一部の伝導を遮断するために、閾値下(すなわち、迷走神経235上に活動電位を発生させるために必要なレベル以下)であっても良い。
【0146】
内因性神経信号110の解釈閾値を上昇させるにせよ、低下させるにせよ、電気刺激105の電気バイアス信号302は、受動的又は能動的に神経構造に適用できる。刺激を能動的に引き起こすためにセンサを用いるか、又は純粋に受動的な刺激を使用するかの決定は、潜在的動力費又は状態及び治療に基づく種々の有効性に基づくことができる。個々の神経線維のための活動電位を発生させることは、一般的に「全か無か」の閾値に基づく現象であるが、本発明の電気バイアス信号302は、迷走神経235のような神経120内の数千の線維が考慮される時に、広い連続体にわたって調整を提供できる。結果として脳による総体的(すなわちバイアスをかけられた)信号の改良された解釈をもたらす、神経120又は神経幹内で所望のレベルのニューロン発火を生成するために、神経刺激は、神経束内で時間的又は空間的加重を利用できる。
【0147】
好適には、本発明による神経刺激器205は、状況により刺激強度を減少させても、既存又は内因性迷走神経活動を明確にするために十分である電気バイアス信号を提供できる。改良された神経刺激は、パターン化されるより確率的であり得るので、本発明による神経刺激器205はまた、幾つかのVNS副作用を除去できる。既存又は内因性迷走神経活動の感知又は検出は、電気刺激105を決定するために使用できるが、本発明の一実施態様において、既存又は内因性迷走神経活動のかかる感知又は検出は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきでないことが理解されるべきである。
【0148】
図8を参照すると、本発明の1つの例示的実施態様による、電気バイアス信号302のような電気刺激105を、迷走神経235のような神経構造に適用するステップのフローチャート表示が、提供される。電気刺激105の適用は、患者の脳115が、内因性神経信号110内の以前解読不能であった電気信号を解釈することを可能にでき、それにより神経学的に伝達された疾患、状態又は障害を有する患者に治療を提供する。図6を参照すると、神経刺激器205内の活動検出器525は、患者の脳115に提供された、迷走神経235のような神経構造内の内因性神経信号110の活動レベルを検出できる(ブロック800)。バイアスルーチン405は、解釈のために内因性神経信号110にバイアスをかけることを決定するために、電気バイアスパラメータデータ400内に記憶された、疼痛閾値のような閾値と、活動レベルを比較できる(ブロック805)。
【0149】
決定は、電気バイアス信号が内因性神経信号を明確にし、又は補正するために望ましいか、確認して、脳115によるその解釈を可能にするか、改良するために、神経刺激器205に関してバイアスルーチン405によって行うことができる(決定ブロック810)。神経刺激を調整する必要性が、表示されるならば、刺激発生器150は、電気バイアス信号302を脳神経120のような神経構造に提供できる(ブロック815)。電気バイアス信号302の送達は、内因性神経信号110を明確にし、かつ/又は補正する感知された内因性神経信号活動レベルに基づき、内因性神経信号110にバイアスをかけることができる(ブロック820)。反対に、バイアスルーチン405は、電気刺激105が望ましいか確認し続ける(決定ブロック810)。
【0150】
図9を参照すると、フローチャートは、本発明の1つの例示的実施態様による、患者の脳115による解釈を可能にするか、又は改良するために、迷走神経235のような神経からの内因性神経信号110にバイアスをかけるステップを示す。そのために、刺激発生器150は、ランダム化電気バイアス信号を発生させることができる(ブロック900)。内因性神経信号110の全体的レベルを上昇又は低下させるために、かつそれ故に脳によるその解釈閾値を変更するために、電気バイアス信号302は、迷走神経235に適用でき、それは、理論によって拘束されずに、迷走神経内で多数の活動電位を発生させることができる(ブロック905)。活動検出器525は、センサとして1つ以上の電極140(1−n)を使用して、バイアスをかけられた内因性迷走神経活動を検出できる(ブロック910)。刺激発生器150は、電気バイアスパラメータを調整でき、かつランダム化電気バイアス信号を内因性神経信号110に連続的、周期的又は断続的に適用できる(ブロック915)。
【0151】
内因性神経信号110には、解釈閾値を低下させて、又は神経信号の情報レベルを効果的に上昇(すなわち増幅)させることによって、バイアスをかけることができる。例えば、神経刺激器205のような埋め込み型医療装置100は、迷走神経235の内因性神経信号にノイズを加えることができ、そのことは、結果として脳が内因性迷走神経活動を解釈するために効果的に低下した閾値をもたらす。もう1つの実施態様において、内因性神経信号110は、バイアスをかけた内因性迷走神経活動を使用して神経信号の全体的レベルを減衰(すなわち低下)させることによってバイアスをかけることができる。この実施態様において、埋め込み型医療装置100は、神経活動を除去し、かつチャッタを減少することによって解釈閾値を上昇させるために、阻害刺激を適用する。
【0152】
一実施態様において、電気刺激105は、消費電力問題に対処して、連続低レベル確率的刺激を含むことができる。同様に、求心性迷走神経ニューロンにバイアスをかけるための確率共鳴の使用は、結果として、てんかん及びパーキンソン病のような運動障害、うつ病、双極性障害、不安症、強迫性障害、精神分裂症、自閉症及び注意力欠損/活動亢進障害を含む神経精神医学的障害、過食症、肥満及び神経性食欲不振を含む摂食障害、物質中毒、慢性疲労症候群及び睡眠発作のような睡眠障害、片頭痛及び群発頭痛のような疼痛状態、心的外傷後ストレス障害、痴呆を含むアルツハイマー病、敏捷性、眠気、記憶機能、批判的思考、推理、発語、作業/教育性能、応答阻害、言語技能、解釈の理解を含む認知障害、糖尿病を含む内分泌障害、運動過剰、低運動、クローン病、大腸炎を含む消化障害、外傷性脳外傷、変性疾患、学習障害、運動及び協調疾患、心臓疾患、免疫系欠陥、肺及び呼吸障害、並びに自律神経系によって影響を与えられる、又はそれに関するあらゆる障害を含むが、それらに限定されない疾患及び/又は障害の宿主における治療改良をもたらすことがある。
【0153】
一実施態様において、利益が、経費を上回るならば、本発明の神経刺激器205は、疾患、障害又は医学的状態の治療のためだけでなく、感知、又は神経機能の強化(例えば認知技能)のためにも使用できる。更に、疾患の治療は、本発明の神経刺激器205の利益を受けることができる。神経刺激器205によるVNS治療は、人体内の種々の神経のいずれにも適用できる。例えば迷走神経求心性刺激である。しかしながら、本発明の治療に基づく電気バイアス信号302は、いかなる脳神経にも適用できる。その上、本発明の方法及び装置は、CNSのいかなる部分、例えば脊髄及び/又は脳にも適用できる。
【0154】
本発明の電気バイアス信号は、末梢神経系(PNS)のいかなる部分にも同様に適用できる。神経刺激の様式は、確率共鳴(SR)単独、従来のVNS(すなわち非ランダム信号)による確率共鳴、並びに確率共鳴及び他の形状の従来の神経刺激を含むことができる。すべての形状の神経刺激に適用される、確率共鳴に基づくバイアスは、様々な疾患、障害又は認知技能欠陥を患う患者の治療に有益であり得る。そのために、神経刺激器205は、VNS治療のための種々の形状のバイアス刺激を提供できる。このように、神経刺激器205は、疾患、障害又は認知技能欠陥の治療を著しく改良できるか、又は内因性神経情報のCNS解釈を改良するために、(非ランダム又はランダム)バイアス信号を使用することによって強化された治療を提供できる。
【0155】
しかしながら、幾つかの実施態様において、迷走神経刺激(VNS)治療を提供するために、患者の医学的状態は、神経刺激器205を使用して監視できる。電極140(1−n)のような感知タイプの電極が、迷走神経235に、又はその近くに移植できる。感知電極140(1−n)を使用して、患者の医学的状態は、検出でき、かつ関連データが、所定の閾値レベルに対して測定できる。患者の医学的状態が、所与の期間にわたって所定の閾値レベルを超えるならば、刺激発生器150は、治療電気バイアス信号を適用するために、始動できる。治療電気バイアス信号302は、周期的に適用できるか、又は外部制御装置を使用して、刺激発生器150を手動で起動することによる患者の介入の結果として適用できる。
【0156】
神経刺激器205の使用は、多くの神経学的、又は神経精神医学的条件でのVNS治療の効力を改良できる。特に、ある感情が、患者の体200内で内臓的変化及び情動性感情(例えば不安症及びうつ病)を引き起こす感覚の求心性情報を運搬する迷走神経信号の脳の解釈から生じる時、治療電気バイアス信号302は、所望の作用機序を提供できる。脳へのこの神経情報の誤った解釈又は不規則な可用性を含む他の不安障害は、電気バイアス信号を含む本発明の方法及び装置によって同様に治療できる。従って電気刺激105は、適当な作用機構を所望の神経刺激に提供する方法で、内因性神経信号110にバイアスをかけることができる。このように、神経刺激器205は、幾つかの神経学的、又は神経精神医学的の医学的状態におけるVNS治療の効力を改良できる。
【0157】
本発明は、本明細書の教示内容を利用できる当業者に明らかな、異なるが同等な方法で修正及び実施できるので、以上に開示された特定の実施態様は、専ら例示的である。更に、以下の請求項に記載された以外の、本明細書に示した構成又は設計の詳細への限定は、意図されない。従って、以上に開示された特定の実施態様が、変更又は修正でき、かつすべてのかかる応用例が、本発明の範囲及び精神内にあると考えられることは、明瞭である。従って、本明細書で求められる保護は、請求項に示される。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明の1つの例示的実施態様による神経刺激により患者を治療するために、電気刺激を神経幹の神経束内の1つ以上の神経線維に送達する埋め込み型医療装置の様式化された略図である。
【図2】本発明の例示的実施態様による、外部プログラミングユーザインタフェースによって、電気刺激を迷走神経に提供するために患者の体内に移植された埋め込み型医療装置の様式化された図である。
【図3】本発明の1つの代表的な実施態様と一致する、患者の脳が、求心性内因性神経信号を解釈できるようにするために、本発明の神経刺激器が迷走神経に適用できるものを示す適用された確率的バイアスを有する信号の様式化された略図である。
【図4A−4E】本発明の種々の例示的実施態様による、図1及び2の埋め込み型医療装置によって提供される種々のランダム化電気バイアス出力電流信号の図である。
【図5】本発明の1つの例示的実施態様による、電気バイアス信号を迷走神経に適用するための、図2の神経刺激器の様式化された略図である。
【図6】本発明の1つの例示的実施態様による、図4の刺激コントローラの様式化された略図である。
【図7】本発明の1つの例示的実施態様による、埋め込み型医療装置からの神経刺激によって患者を治療する方法のフローチャート表示である。
【図8】本発明の1つの例示的実施態様による、患者の脳が、神経上の内因性神経信号を解釈できるようにするために、バイアス刺激を迷走神経に適用する方法のフローチャート表示である。
【図9】本発明の1つの例示的実施態様による、迷走神経からの内因性神経信号内の内因性迷走神経活動が、神経刺激に基づく所望のレベルの解釈に関して、患者の脳で神経刺激を明確にし、かつ/又は補正する方法のフローチャート表示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医学的状態を有する患者を治療する神経刺激システムであって、
患者の神経構造の少なくとも標的部分に対して電気バイアス信号を発生させる刺激発生器であって、前記電気バイアス信号が、電圧の大きさ、電流の大きさ、パルス幅、パルス時間、オンタイム及びオフタイムからなる群から選択される、少なくとも1つのパラメータによって定義されるパルス化電気信号を含み、かつ前記電圧の大きさ、前記電流の大きさ、前記パルス幅、前記パルス時間、前記オンタイム及び前記オフタイムの少なくとも1つが、定義済み範囲内で変化するランダム値を含む刺激発生器と、
前記刺激発生器及び患者の神経構造に連結された少なくとも1つの電極と、
神経構造上で内因性神経信号にバイアスをかけるために、前記電気バイアス信号を前記神経構造に適用するように構成される、前記刺激発生器に操作可能に連結されたコントローラとを含むシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのパラメータの前記ランダム値を発生させるランダムデータ発生器を更に含む請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記定義済み範囲を記憶するメモリを更に含む請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記神経構造は、脳神経と、交感神経と、脊髄構造と、患者の脳内の構造とを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
電気バイアス信号の前記少なくとも1つのパラメータは、電圧の大きさを含み、かつ前記パルスの前記電圧の大きさは、ランダムであり、かつ−15.0ボルト〜15.0ボルトの範囲内の範囲内で変化する請求項1に記載の神経刺激システム。
【請求項6】
電気バイアス信号の前記少なくとも1つのパラメータは、電流の大きさを含み、かつ前記パルスの前記電流の大きさは、ランダムであり、かつ−8.0ミリアンペア〜8.0ミリアンペアの範囲内の範囲内で変化する請求項1に記載の神経刺激システム。
【請求項7】
前記パルスの前記電流の大きさは、ランダムであり、かつ−3.0ミリアンペア〜3.0ミリアンペアの範囲内の範囲内で変化する請求項6に記載の神経刺激システム。
【請求項8】
電気バイアス信号の前記少なくとも1つのパラメータは、パルス幅を含み、かつ前記パルスの前記パルス幅は、ランダムであり、かつ1マイクロ秒〜1秒の範囲内の範囲内で変化する請求項1に記載の神経刺激システム。
【請求項9】
電気バイアス信号の前記少なくとも1つのパラメータは、電流の大きさと、パルス幅とを含み、かつ前記電流の大きさは、第1の定義済み範囲内で変化するランダム値を含み、かつ前記パルス幅は、第2の定義済み範囲内で変化するランダム値を含む請求項1に記載の神経刺激システム。
【請求項10】
電気バイアス信号の前記少なくとも1つのパラメータは、パルス時間を含み、かつ前記パルスの前記パルス時間は、ランダムであり、かつ1マイクロ秒〜1秒の範囲内の範囲内で変化する請求項1に記載の神経刺激システム。
【請求項11】
電気バイアス信号の前記少なくとも1つのパラメータは、オンタイムを含み、かつ前記オンタイムは、ランダムであり、かつ1秒〜24時間の範囲内の範囲内で変化する請求項1に記載の神経刺激システム。
【請求項12】
電気バイアス信号の前記少なくとも1つのパラメータは、オフタイムを含み、かつ前記オフタイムは、ランダムであり、かつ1秒〜24時間の範囲内の範囲内で変化する請求項1に記載の神経刺激システム。
【請求項13】
前記神経構造上で内因性神経信号を検出するセンサを更に含む請求項1に記載の神経刺激システム。
【請求項14】
前記検出された内因性神経信号を内因性神経活動の閾値と比較する信号分析ユニットを更に含み、
前記コントローラが、前記信号分析ユニットに応答して前記電気バイアス信号を前記神経構造に適用する交換網を更に含む請求項13に記載の神経刺激システム。
【請求項15】
前記コントローラは、前記比較ステップに応答して前記少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つを調整する刺激選択ユニットを更に含む請求項14に記載の神経刺激システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのパラメータの前記定義済み範囲は、上限及び下限を含み、かつ前記上限及び前記下限の少なくとも一方は、患者の疼痛閾値に基づき定義される請求項1に記載の神経刺激システム。
【請求項17】
前記電気バイアス信号は、パルス化ノイズ信号を含む請求項1に記載の神経刺激システム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの電極は、その直接刺激のために前記神経構造と接触する電極対を含む請求項1に記載の神経刺激システム。
【請求項19】
通信インタフェースと、前記通信インタフェースと通信するプログラミングユニットとを更に含み、前記プログラミングユニットが、前記電気バイアス信号を定義する前記少なくとも1つのパラメータをプログラムすることが可能である請求項1に記載の神経刺激システム。
【請求項20】
前記パルス化電気信号は、前記電圧の大きさ、前記電流の大きさ、前記パルス幅、前記パルス時間、前記オンタイム及び前記オフタイムの少なくとも1つが、定義済み範囲内で変化するランダム値を含む第1時間間隔と、前記第1時間間隔においてランダム値を含む前記少なくとも1つのパラメータが非ランダム値を含む第2時間間隔とを更に含む請求項1に記載の神経刺激システム。
【請求項21】
前記ランダム値は、パルス毎に定義済み範囲内で変化する請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記ランダム値は、バースト毎に定義済み範囲内で変化する請求項1に記載の方法。
【請求項23】
電気刺激治療を患者に提供する神経刺激器であって、
患者の神経構造内の内因性神経信号に対して電気バイアス信号を発生させる刺激発生器であって、前記電気バイアス信号が、電流の大きさ、パルス幅、及びパルス時間を少なくとも含む複数のパラメータによって定義されるパルス化電気信号を含み、前記パルス時間が、定義済み範囲内で変化するランダム値を含む刺激発生器と、
前記刺激発生器及び前記神経構造に連結された少なくとも1つの電極と、
前記刺激発生器に連結され、かつ前記電気バイアス信号を患者の前記神経構造に適用するように構成されるコントローラとを含む神経刺激器。
【請求項24】
前記神経構造は、脳神経と、交感神経と、脊髄構造と、患者の脳内の構造とを含む請求項23に記載の神経刺激器。
【請求項25】
前記電流の大きさは、一定の大きさを含む請求項23に記載の神経刺激器。
【請求項26】
前記電流の大きさは、定義済み範囲内で変化するランダム値を含む請求項23に記載の神経刺激器。
【請求項27】
前記パルス幅は、定義済み範囲内で変化するランダム値を含む請求項23に記載の神経刺激器。
【請求項28】
前記電気バイアス信号は、連続電気信号を含む請求項23に記載の神経刺激器。
【請求項29】
前記パルス化電気信号を定義する前記複数のパラメータは、オンタイム及びオフタイムを更に含み、かつ前記オンタイム及び前記オフタイムは、ランダム値又は非ランダム値を含むことができる請求項23に記載の神経刺激器。
【請求項30】
前記神経構造上で前記内因性神経信号を検出するセンサを更に含む請求項23に記載の神経刺激器。
【請求項31】
前記検出された内因性神経信号を内因性神経活動の閾値と比較する信号分析ユニットを更に含み、
前記コントローラが、前記信号分析ユニットに応答して前記電気バイアス信号を前記神経構造に適用する交換網を更に含む請求項30に記載の神経刺激システム。
【請求項32】
前記パルス化電気信号を定義する前記複数のパラメータは、オンタイム及びオフタイムを更に含み、かつ前記オンタイム及び前記オフタイムは、定義済み範囲内のランダム値、又は非ランダム値を含むことができ、かつ前記コントローラは、前記信号分析ユニットに応答して前記オンタイム又は前記オフタイムの一方の前記非ランダム値、又は前記定義済み範囲の少なくとも一方を調整する刺激選択ユニットを更に含む請求項31に記載の神経刺激システム。
【請求項33】
電気刺激治療を患者に提供する神経刺激器であって、
患者の神経構造内の内因性神経信号に対して電気バイアス信号を発生させる刺激発生器であって、前記電気バイアス信号が、一定の電流の大きさ、一定パルス幅、オンタイム及びオフタイムを含む複数のパラメータによって定義されるパルス化電気信号を含み、前記オンタイム及び前記オフタイムの少なくとも一方が、定義済み範囲内で変化するランダム値を含む刺激発生器と、
前記刺激発生器及び前記神経構造に連結された少なくとも1つの電極と、
前記刺激発生器に連結され、かつ前記電気バイアス信号を患者の前記神経構造に適用するように構成されるコントローラとを含む神経刺激器。
【請求項34】
前記オンタイムは、第1の定義済み範囲内で変化するランダム値を含み、かつ前記オフタイムは、第2の定義済み範囲内で変化するランダム値を含む請求項30に記載の神経刺激器。
【請求項35】
前記パルス化電気信号を定義する前記複数のパラメータは、非ランダム周波数、定義済み周波数範囲内のランダム周波数、又は定義済み範囲内の掃引周波数からなる群から選択される周波数を更に含む請求項30に記載の神経刺激器。
【請求項36】
前記パルス化電気信号を定義する前記複数のパラメータは、一定パルス時間、及び定義済み範囲内で変化するランダムパルス時間からなる群から選択されるパルス時間を更に含む請求項30に記載の神経刺激器。
【請求項37】
電気刺激治療を患者に提供する神経刺激器であって、
患者の神経構造内の内因性神経信号に対して電気バイアス信号を発生させる刺激発生器であって、前記電気バイアス信号が、電流の大きさ、並びにオンタイム及びオフタイムの少なくとも一方を含む複数のパラメータによって定義される電気信号を含み、前記電流の大きさ、前記オンタイム及び前記オフタイムの少なくとも1つが、定義済み範囲内で変化するランダム値を含む刺激発生器と、
前記刺激発生器及び前記神経構造に連結された少なくとも1つの電極と、
前記刺激発生器に連結され、かつ前記電気バイアス信号を患者の前記神経構造に適用するように構成されるコントローラとを含む神経刺激器。
【請求項38】
前記電気信号は、非パルス化電気信号を含む請求項37に記載の神経刺激器。
【請求項39】
前記電気信号は、電荷平衡電気信号を含む請求項37に記載の神経刺激器。
【請求項40】
前記電気バイアス信号は、−8.0〜8.0ミリアンペアの範囲内の範囲内で変化するランダムな電流の大きさを有するノイズ信号を含む請求項37に記載の神経刺激器。
【請求項41】
前記オンタイムは、ランダムであり、かつ1秒〜24時間の範囲内の範囲内で変化し、かつ前記オフタイムは、ランダムであり、かつ1秒〜24時間の範囲内の範囲内で変化する請求項37に記載の神経刺激器。
【請求項42】
電気刺激治療を患者に提供する神経刺激器であって、
患者の神経構造内の内因性神経信号に対して電気バイアス信号を発生させる刺激発生器であって、前記電気バイアス信号が、少なくとも電流の大きさによって定義される非パルス化連続電気信号を含み、前記電流の大きさが、ランダムであり、かつ−8.0〜8.0ミリアンペアの範囲内の範囲内で変化する刺激発生器と、
前記刺激発生器及び前記神経構造に連結された少なくとも1つの電極と、
前記刺激発生器に連結され、かつ前記電気バイアス信号を患者の前記神経構造に適用するように構成されるコントローラとを含む神経刺激器。
【請求項43】
電気刺激治療を患者に提供する神経刺激器であって、
脳神経、脳構造、脊髄構造、及び交感神経構造からなる群から選択された、神経構造内で内因性神経信号にバイアスをかける電気ノイズ信号を含む電気バイアス信号を発生させる刺激発生器と、
前記刺激発生器及び前記神経構造に連結された少なくとも1つの電極と、
前記刺激発生器に連結され、かつ前記電気バイアス信号を患者の前記神経構造に適用するように構成されるコントローラとを含む神経刺激器。
【請求項44】
前記電気ノイズ信号は、ゼロ平均、擬似ランダム、又はガウスノイズ信号からなる群から選択されるノイズ信号を含む請求項43に記載の神経刺激器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−505689(P2009−505689A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523890(P2008−523890)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/024991
【国際公開番号】WO2007/018793
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(508025585)サイバーロニックス,インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】