説明

内容物回収装置

【解決手段】 搬送手段3は薬液等の液状の内容物を密閉するバッグBをその上方側で搬送する上方側搬送部T1と、その下方側で搬送する下方側搬送部T2と、上方側搬送部T1から下方側搬送部T2へ上から下に向けて搬送する周回搬送部T3とを備えている。
上記バッグBを切断する切断手段5を上記周回搬送部T3に対向する位置に設け、バッグBが下方に向けて搬送される間に切断することで、バッグB内の内容物を排出させ、ハウジング2の下方に設けた回収部2Bにより回収するようになっている。
【効果】 バッグ内の内容物をより効率的に排出することができ、また排出された内容物が各部材に付着することを極力少ない範囲に抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内容物回収装置に関し、詳しくは内容物を密封したバッグを搬送する搬送手段と、上記バッグを切断する切断手段と、切断されて排出されるバッグの内容物を回収する回収手段とを備えた内容物回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内容物を密封したバッグを搬送する搬送手段と、上記バッグを切断する切断手段と、切断されて排出されるバッグの内容物を回収する回収手段とを備えた内容物回収装置が知られている。
このような内容物回収装置として、内容物としての粉状や液状の農薬を密封したバッグを水平方向に搬送する搬送手段と、搬送中のバッグの一方の側面の一部を切断する切断手段と、切断されたバッグをはたいてバッグに残留する内容物を排出させるはたき機構とを備えたものが知られている。(特許文献1)
この特許文献1の内容物回収装置によれば、上記切断手段によってバッグを分離しないように切断した後、切断位置よりも下方に位置するバッグ内に残留する内容物を上記はたき機構により排出させるようになっている。
【特許文献1】特開昭54−114394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の内容物回収装置の場合、バッグの側面の一部を切断するため、バッグの切断位置よりも下方の部分には内容物が残留することとなる。
この状態でバッグをはたくと、内容物が飛散して内容物回収装置を構成する各部材に付着してしまう恐れがあり、また強くはたくことでバッグが落下してしまう恐れもあった。
このような問題に鑑み、本発明はバッグ内の内容物をより効率的に排出することができ、また排出された内容物がバッグやその周辺に付着することを極力抑えるようにした内容物回収装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち、本発明にかかる内容物回収装置は、内容物を密封したバッグを搬送する搬送手段と、上記バッグを切断する切断手段と、切断されて排出されるバッグの内容物を回収する回収手段とを備えた内容物回収装置において、
上記搬送手段は略水平に配置された複数の回転軸に掛け回された無端状搬送体と、この無端状搬送体に設けられてバッグを把持する把持手段とを備えるとともに、バッグを無端状搬送体の上方側で搬送する上方側搬送部と、下方側で搬送する下方側搬送部と、上方側搬送部から下方側搬送部へバッグを搬送する周回搬送部とを備え、
上記切断手段を上記無端状搬送体の周回搬送部に対向して設け、該切断手段はバッグが上方から下方に向けて周回搬送される間に切断することを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
上記発明によれば、上記切断手段を上記周回搬送部に対向する位置に設け、バッグが該周回搬送部で上方から下方に向けて搬送される間に切断するため、周回搬送部を搬送されるバッグの切断開口は遠心力により外側を向くこととなり、またバッグの切断開口はその後上記下方側搬送部に移動することで重力により下方を向くようになっている。
このため、切断したバッグをはたかなくても、バッグ内の内容物を排出することができ、また自重により内容物は排出されるので、排出された内容物が飛散することを抑えることができ、内容物が付着する範囲を最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下図示実施例について説明すると、図1は袋状密封体としてのバッグBに密封された薬液等の液状内容物を回収する内容物回収装置1を示している。
上記内容物回収装置1は、装置の周囲を取り囲むハウジング2と、ハウジング2の内部に設けられてバッグBを搬送する搬送手段3と、該搬送手段3にバッグBを供給するための供給部4と、搬送手段3によって搬送されるバッグBを切断する切断手段5と、切断されたバッグBを揺動させる複数の揺動手段6と、空になったバッグBを搬送手段3より解放する開放手段7とを備えている。
図2に示すように、上記バッグBは2枚の合成樹脂製のシートを相互に重ね合わせ、その外周部分を相互に溶着させた構成を有し、内部には液状の内容物が密封されている。
【0007】
上記ハウジング2は上記切断手段5および開放手段7を含む上記搬送手段3の周囲を覆う外周部2Aと、底面に設けられた回収部2Bとから構成され、ハウジング2の上面は全面的に開放されている。
上記回収部2Bには、図示右方となる上記切断手段5の下方の位置で最も深くなるように設けられた斜面2Baと、該斜面2Baの図示左端部で上記開放手段7の下方に設けられた開口部2Bbとが形成されている。
上記斜面2Baの最も深い位置には排出口2Bcが設けられ、開口部2Bbの下方にはバッグBを回収する回収箱8が設けられている。
【0008】
図1ないし図3に示すように、上記搬送手段3はそれぞれに略水平に配置された回転軸に固定されたスプロケット11,12と、両スプロケット11,12に掛け回された無端状搬送体としてのコンベヤチェーン13とを備え、これらスプロケット11,12とコンベヤチェーン13とは搬送経路の両側に、少なくとも一対のコンベヤチェーン13が互いに平行となるように配置されている。
このように両側で対をなす各コンベヤチェーン13には、各コンベヤチェーン13間で相互に対向し長手方向に等間隔に設けられ、対向する一対で上記バッグBを把持する複数の把持手段14が設けられ、該把持手段14は揺動支持手段15を介して各コンベヤチェーン13に揺動可能に取り付けられている。
また両スプロケット11,12の間には上記コンベヤチェーン13に沿ってガイド部材16が設けられ、コンベヤチェーン13が垂れ下がらずに水平に移動するようになっている。
図3は図1の図示右側に位置するスプロケット11の近傍を示す平面図であって、この図に示すように上記スプロケット11およびコンベヤチェーン13は所定の間隔で平行に設けられ、これと同様スプロケット12も所定の間隔で平行に設けられている。
上記スプロケット11の回転軸は駆動軸17として構成され、該駆動軸17は図示しないモータの駆動力によって図1における図示時計周り、すなわち掛け回されたコンベヤチェーン13を上から下へ送るように回転し、またモータは間欠的に回転することで把持手段14を間欠的に移動させるようになっている。
【0009】
上記搬送手段3は上記バッグBをコンベヤチェーン13の上方側で保持しながら図示左から右に搬送する上方側搬送部T1と、バッグBをコンベヤチェーン13の下方側で保持しながら図示右から左に搬送する下方側搬送部T2と、上方側搬送部T1の最下流となる図示右側に位置して、バッグBを上記上方側搬送部T1から下方側搬送部T2に向けて上から下に上記スプロケット11に沿って周回させて搬送する周回搬送部T3と、下方側搬送部T2の最下流となる図示左側に位置して上記下方側搬送部T2から上方側搬送部T1に向けて下から上に上記スプロケット12に沿って周回させて搬送する回送部T4とを備えている。
上記供給部4は上記搬送手段3の上方側搬送部T1に設けられ、上記切断手段5は上記周回搬送部T3に対向した位置に設けられ、上記揺動手段6は下方側搬送部T2に設けられ、上記開放手段7は上記回送部T4に設けられている。
【0010】
以下、図2、図4を用いて上記把持手段14および揺動支持手段15について説明する。
ここで、図2では把持手段14はバッグBを図示下方から上方に向けて搬送し、図4(a)、(b)は把持手段14が上記上方側搬送部T1に位置している状態を、図4(c)は把持手段14が上記下方側搬送部T2に位置している状態をそれぞれ示しており、左右で対をなす把持手段14の進行方向に対して左方側の把持手段14を示している。
上記把持手段14は上記コンベヤチェーン13に等間隔に設けられたL字型のブラケット21に揺動支持手段15を介して保持されており、また把持手段14は平行に設けられたコンベヤチェーン13のそれぞれに相互に対向するように設けられている。
上記揺動支持手段15は上記ブラケット21に固定された保持部材22と、該保持部材22に支持されて把持手段14を回転自在に懸吊する回転軸23と、保持部材22の所要の位置に設けられたストッパ部材24とから構成されている。
上記保持部材22はコンベヤチェーン13の進行方向に上記把持手段14を挟むように設けられた2枚のプレート片22aを備える断面コ字型の部材であって、その基部は上記ブラケット21に固定され、上記2枚のプレート片22aはコンベヤチェーン13の移動経路に対して外側に突出するようになっている。
上記回転軸23は、上記コンベヤチェーン13の移動経路に対して外側に突出した上記プレート片22aの先端部分に設けられている。
上記ストッパ部材24は、保持部材22の基部と上記回転軸23との間で、平行するコンベヤチェーン13の内側に向けて突設されている。
【0011】
上記把持手段14は、上記保持部材22のプレート片22aの間で上記回転軸23により回転自在に懸吊された回動部材25と、図4(a)、(b)における上記回動部材25の下部に固定されるとともにその上面に上記バッグBを載置する載置台26と、該載置台26との間で上記バッグBを挟持するアーム27と、該アーム27を開閉させるレバー28と、上記アーム27とレバー28とを連動させるリンク部材29とから構成されている。
上記回動部材25は上記アーム27の基部を回転可能に軸着しており、その軸着する位置は図4(a)、(b)において、上記回転軸23よりも上方、すなわち載置台26から離れる方向で、平行なコンベヤチェーン13の外側寄りとなっている。
図2に示すように、上記載置台26は保持部材22のプレート片22aの間から、平行して設けられたコンベヤチェーン13の内側に向けて突出するように設けられ、相対する載置台26の間には所要の間隔が設けられている。
また図4(a)、(b)に示すように、把持手段14が上記上方側搬送部T1に位置している際には、載置台26の下面に設けられた当接部材26bが上記保持部材22に設けられたストッパ部材24に上方から当接して、ほぼ水平に保持されるようになっている。
また載置台26は平面視で略L字型の形状を有し、このL字型の先端部分が搬送方向に対して後方を向くように設けられるとともに、当該部分で上記バッグBを下方から支持するようになっている。
【0012】
上記アーム27は上記載置台26と同様、平面視で略L字型の形状を有し、このL字型の先端部分には4つの金属製の押圧部材27aが設けられている。
上記載置台26には貫通孔26aが形成されており、載置台26とアーム27でバッグBを挟んだ際に、押圧部材27aがバッグBを介して貫通孔26aに嵌合することで、確実にバッグBを把持するようになっている。
上記レバー28は2枚のプレート片を備え、その基部は上記回動部材25を跨ぐようにして上記回転軸23に回転自在に支持されている。またレバー28の先端部には回転自在なローラからなるカムフォロア30が設けられている。
上記レバー28はこのカムフォロア30を介して操作するようになっており、レバー28を平行なコンベヤチェーン13の外側寄りに倒した状態では、該レバー28の先端が上記載置台26の外側に突出した部分に当接するようになっている。
上記リンク部材29はその一端が上記アーム27の基部からやや先端側にずれた位置に回転可能に軸着され、他端が上記レバー28の先端部近傍に回転可能に軸着されている。
【0013】
このような構成により、図4(a)に示すように上記レバー28を外側に倒した状態では、アーム27が起立されて把持手段14は載置台26とアーム27とが相互に離隔した開放状態に維持されるようになっている。
一方、この状態から図4(b)に示すようにレバー28を内側に回動させて起立させると、リンク部材29を介してアーム27が内側に倒され、把持手段14は載置台26とアーム27とが当接した閉鎖状態となる。
また、この状態ではレバー28とリンク部材29とが同一直線上に位置し、リンク部材29のアーム27に軸着させた部分の先端は回動部材25に当接することで、起立したレバー28の軸着部分と回動部材25との間にリンク部材29が嵌り込んだ状態となる。
この状態からアーム27を上方へ回動させようとしても、リンク部材29の上方への移動はレバー28により規制され、またレバー28の回動はリンク部材29に規制されているため、上記レバー28を操作しない限り、この閉鎖状態を維持することができるようになっている。
【0014】
以上の構成において、載置台26およびアーム27は平行するコンベヤチェーン13の内側に長く突出していることから、上記回転軸23は閉鎖状態となっている把持手段14の重心部分を軸支しておらず、把持手段14の重心部分は回転軸23よりも載置台26やアーム27の先端側に位置している。
このため、図4(b)に示すように閉鎖状態の把持手段14が上方側搬送部T1に位置した状態では、載置台26の中程に設けた当接部材26bが上記保持部材22に設けられたストッパ部材24に上方から当接し、これにより載置台26がほぼ水平に支持されるようになっている。
一方、図4(c)に示すように把持手段14が下方側搬送部T2に位置した状態では、把持手段14は上記回転軸23を中心に回動し、載置台26の外側の端部に設けた当接部材26cが上記保持部材22の基部に当接して、載置台26およびアーム27の先端が斜め下方を向いた状態となる。
【0015】
図5は供給部4を示し、供給部4には供給テーブル31と、バッグBを供給するロボット32と、上記把持手段14を開放状態から閉鎖状態に切り換える閉鎖手段33(33A、33B)とを備えている。
ここで図5の図示右方の閉鎖手段33Aは上記把持手段14が閉鎖状態とされる前の非作動状態を、図示左方の閉鎖手段33Bは上記把持手段14が閉鎖状態とされた後の作動状態をそれぞれ示している。
上記供給テーブル31は搬送手段3の上方側搬送部T1に設けられており、この供給テーブル31の位置で上記把持手段14は開放状態で停止し、このとき上記載置台26は上記ストッパ部材24によって水平な状態となっている。
そして供給テーブル31は両側のコンベヤチェーン13の中間に設けられ、対向する2つの把持手段14の載置台26の間にこれらと干渉しないように配置されている。また、該供給テーブル31の上面の位置は上記載置台26の上面の位置と同じ高さに設定されている。
上記ロボット32のアームの先端には吸着ヘッド32aが備えられ、ロボット32は図示しないバッグBの供給位置でバッグBを吸着保持した後、上記供給テーブル31上にバッグBを移載するようになっている。
【0016】
上記閉鎖手段33は、上記把持手段14を操作する第1カム34と、該第1カム34を昇降させる昇降手段35とから構成されている。
上記第1カム34はコンベヤチェーン13の移動方向に沿って所定の長さを有するとともに、コンベヤチェーン13の両側方に位置し、非作動状態では下方に位置して、供給テーブル31の両側に停止した開放状態の把持手段14におけるレバー28のカムフォロア30よりも下方に位置するようになっている。(図示右側の閉鎖手段33A参照)
上記昇降手段35は、上記第1カム34を取り付けた保持部材36と、リンク機構37を介して保持部材36を昇降させるエアシリンダ38とから構成されている。
上記リンク機構37は、一端がハウジング2の内側に固定された取付部2eに回転可能に軸支された平行な2つのリンク部材37aと、上方に設けられたリンク部材37aの回転軸に連結固定されたレバー37bと、リンク部材37aの軸支されない他端部を回転可能に連結するアーム37cとから構成されている。
レバー37bの先端には上記エアシリンダ38のピストンロッドが連結されており、上方に設けられたリンク部材37aとレバー37bとは所定の角度を保って固定されている。
また、アーム37cが固定され、下方のリンク部材37aに連結される回転軸に上記保持部材36が固定されている。
このような構成により、エアシリンダ38がピストンロッドを伸長させることでレバー37bおよびリンク部材37aを介してアーム37cが持ち上げられ、これにより保持部材36に取り付けられた上記第1カム34が上昇する。
これにより、上記第1カム34が把持手段14のカムフォロア30に下方から当接し、把持手段14のレバー28を倒れた状態から倒立した状態に操作して、把持手段14が開放状態から閉鎖状態に切り換えられ、供給テーブル31上に載置されたバッグBが載置台26とアーム27とによって把持される。(図示左側の閉鎖手段33B参照)
【0017】
次に、図1、図3を用いて上記切断手段5について説明すると、切断手段5は、搬送手段3の周回搬送部T3に対向して設けられた回転カッタ41と、バッグBを挟んで上記回転カッタ41の反対側に設けられた切断ガイド42とから構成されている。
上記回転カッタ41はその外周部分に刃先が形成された円盤状のカッタであって、回転カッタ41は駆動軸43に取り付けられている。該駆動軸43の回転中心は上記スプロケット11の回転中心と同じ高さに設けられている。
また、上記駆動軸43はハウジング2の外部に設けられたプーリー44を介してモータ45の駆動力により駆動し、図1における図示反時計周りすなわち、周回搬送部T3に対向して上方から下方に回転するようになっている。
上記切断ガイド42は、その外周部分に上記回転カッタ41の刃先が挿入される2つのスリット42aが形成された円盤状の部材であって、この切断ガイド42の回転中心は上記回転カッタ41の駆動軸43の中心と同じ高さに位置するとともに、2枚のスプロケット11,11の略中間となる位置に配置されている。
このような構成により、回転カッタ41と切断ガイド42との間を把持手段14に把持されたバッグBが通過すると、バッグBを切断する位置でバッグBの移動と同じく上から下へ回転する回転カッタ41によって、バッグBが2つに切断分離される。
なお、バッグBの内容物を飛散させることなく切開するため、上記回転カッタ41の駆動軸43の回転中心を、上記スプロケット11の回転中心と同じ高さか、もしくはそれよりも若干下方とすることが望ましい。
【0018】
揺動手段6は、図1に示すように上記搬送手段3の下方側搬送部T2に3ヶ所設けられ、図6に示すように各揺動手段6はそれぞれ第2カム51および第3カム52によって構成されている。
図6は第2、第3カム51、52を上方から見た図であって、バッグBは図示上から下に向けて搬送されるようになっている。また図7は図6におけるVII−VII部の断面図を示している。
上記把持手段14が揺動手段6に到達する前の状態において、該把持手段14は周回搬送部T3を通過して下方側搬送部T2に移動している。このとき把持手段14は閉鎖状態を維持したまま上記揺動支持手段15により回転しており、切断されたバッグBの切断箇所は斜め下方を向いた状態で保持されている。
そして把持手段14が第2カム51の搬送方向上流側の端部に到達すると、図7に示すように該第2カム51が把持手段14のカムフォロア30に外側から当接するようになっている。
その後把持手段14が第2カム51の搬送方向下流側の端部に到達するまでの間、第2カム51はカムフォロア30を内側へと押圧し、これにより把持手段14は閉鎖状態を維持したまま、回転軸23を中心に略水平方向となるまで押し上げられる。
そして把持手段14が第2カム51を通過すると、把持手段14は上記揺動支持手段15により当接部材26cが保持部材22に当接する上記図4(c)の状態まで先端が落下するように回動し、その衝撃によってバッグBに残留する内容物を排出させることができる。
上記第3カム52は、上記第2カム51を通過した把持手段14が図4(c)の状態まで回動しない場合に、カムフォロア30の内側から当接して、強制的に図4(c)の状態に回動させるために設けられている。
そして、上記構成を有する揺動手段6を複数設けることで、より確実にバッグB内の内容物を排出することができる。
【0019】
開放手段7は図1に示すように上記搬送手段3の回送部T4に沿って設けられた以下の第4〜第7カム53〜56によって構成されている。
図8は開放手段7による各部での把持手段14の動作を示しており、図8(a)は図1におけるa−a部を、図8(b)はb−b部を、図8(c)はc−c部をそれぞれ示している。
最初に、下方側搬送部T2を搬送されて開放手段7に到達する直前の把持手段14は、図4(c)に示すように載置台26と閉じた状態のアーム27とが斜めの状態となっており、バッグBは切断された開口部を下方に向けて位置している。
この状態で把持手段14が上記a−a部に差し掛かると、図8(a)に示すように第4カム53がカムフォロア30に外側から当接して、載置台26をストッパ部材24に引き寄せるように把持手段14およびバッグBを回動させる。
【0020】
次に、把持手段14がa−a部からb−b部まで移動する間、上記第4カム53は上記カムフォロア30をさらに内側に押圧し、把持手段14を回転させて載置台26の当接部材26bとストッパ部材24とを当接させた状態とする。
またb−b部からc−c部にかけて、図8(b)に示す第5〜第7カム54〜56が設けられている。
第5カム54はストッパ部材24に当接した載置台26の一方の当接部材26bに当接し、第6カム55は載置台26の他方の当接部材26cに当接して、当接部材26bがストッパ部材24に当接した状態を保持するようになっている。
また第7カム56は上記カムフォロア30を挟んで第4カム53に対向して位置するようになっている。
この状態で把持手段14がb−b部からc−c部まで移動する間、上記第4カム53および第7カム56は、上記カムフォロア30を間に挟んだ状態を維持したまま、図8(c)に示すようにカムフォロア30をコンベヤチェーン13の外側に押圧し、レバー28を載置台26に対して起立した状態から倒すようになっている。
このように第4カム53および第7カム56によってレバー28を操作することで、リンク部材29によって連動したアーム27が載置台26より引き離されて把持手段14が開放され、これによりバッグBが下方に落下される。
【0021】
以下、上記構成を有する内容物回収装置1の動作について説明する。
最初に、開放状態の把持手段14が上記供給部4の供給テーブル31に隣接した位置に停止すると、上記ロボット32がバッグBを供給テーブル31上に載置する。
バッグBが供給テーブル31に載置されると、閉鎖手段33を図5の右方側の状態(33A)から左方側の状態(33B)となるように作動させ、これにより上記第1カム34が上昇して把持手段14のレバー28が操作され、把持手段14が閉鎖状態となってバッグBが載置台26とアーム27との間に挟持される。
バッグBが把持手段14によって把持されると、該把持手段14は下流側に所定回数だけ間欠移動され、周回搬送部T3の手前で停止される。
その後、バッグBは次の間欠移動の際に周回搬送部T3を通過するように搬送され、この周回搬送部T3を通過する間に、バッグBは上記切断ガイド42によって外周側に押圧されながら、上記回転カッタ41によって2つに切断分離される。
このように、上方側搬送部T1において搬送経路の両側から、対向する各把持手段14により把持したバッグBを、周回搬送部T3においてスプロケット11に沿って周回移動させる間に、各把持手段14による把持位置の中間部分を周回方向外方から回転カッタ14により切断するため、バッグBの切断された開口部分が遠心力によって外方を向き、また内容物を遠心力によって排出させることができる。その結果、バッグB内の内容物が液体と固形物との混合物であったり、粘性を有する液体である場合であっても確実に排出することができる。
さらに、バッグBを切断する位置での回転カッタ41の回転方向が、バッグBの搬送方向と同じ上方から下方へ向けられているため、切断時に回転カッタ41に触れた内容物は下方に飛散し、ハウジング2の開放された上面からハウジング2の外部に飛散したり、回転カッタ41以外の部分に付着しないようになっている。
【0022】
切断手段5によってバッグBが2つに切断分離され、その後把持手段14が下方側搬送部T2に到達して停止すると、把持手段14は図4(c)に示すように揺動支持手段15により下方に揺動され、切断されたバッグBは切断された開口部が下方を向いた状態で斜めに保持されることとなる。
このように、周回搬送部T3を搬送されたバッグBは下方側搬送部T2まで移動することで、バッグBの切断開口が下方を向き、バッグBより排出された内容物はハウジング2の回収部2Bに落下し、排出口2Bcを介して回収される。
さらにその後、下方側搬送部T2では、バッグBは切断開口が下方を向いた状態で搬送され、この下方側搬送部T2には複数の揺動手段6が設けられており、この揺動手段6によりバッグBを把持手段14ごと上下に揺動させることで排出を促進し、より確実にバッグB内の内容物を排出させることができるようになっている。
このときバッグBより排出された内容物は、自重によりハウジングの回収部2Bの斜面2Baに落下し、該斜面2Baを伝って排出口2Bcを介して回収される。
【0023】
そして、切断されて空となったバッグBが回送部T4に到達すると、上記開放手段7によって上記把持手段14は載置台26の当接部材26bがストッパ部材24に当接した状態とされるとともに、アーム27が引き離されて把持手段14が開放状態とされる。
その結果、把持手段14に把持されていた空のバッグBが下方に落下し、ハウジング2に形成された開口部2Bbを介してバッグ回収箱8内に収納される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施例にかかる内容物回収装置の側面図。
【図2】搬送手段についての平面図。
【図3】切断手段についての平面図。
【図4】把持手段および回転手段についての側面図を示し、(a)は把持手段の開放状態を、(b)は把持手段の閉鎖状態を、(c)は把持手段が回転手段によって回転した状態を示す。
【図5】供給手段についての側面図。
【図6】揺動手段についての平面図。
【図7】揺動手段についての側面図。
【図8】開放手段での動作を説明する図であって、(a)は図1のa−a部の図を、(b)はb−b部の図を、(c)はc−c部の図をそれぞれ示す。
【符号の説明】
【0025】
1 内容物回収装置 2 ハウジング
3 搬送手段 5 切断手段
6 揺動手段 7 開放手段
11,12 スプロケット 13 コンベヤチェーン
14 把持手段 15 揺動支持手段
41 回転カッタ 42 切断ガイド
B バッグ
T1 上方側搬送部 T2 下方側搬送部
T3 周回搬送部 T4 回送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を密封したバッグを搬送する搬送手段と、上記バッグを切断する切断手段と、切断されて排出されるバッグの内容物を回収する回収手段とを備えた内容物回収装置において、
上記搬送手段は略水平に配置された複数の回転軸に掛け回された無端状搬送体と、この無端状搬送体に設けられてバッグを把持する把持手段とを備えるとともに、バッグを無端状搬送体の上方側で搬送する上方側搬送部と、下方側で搬送する下方側搬送部と、上方側搬送部から下方側搬送部へバッグを搬送する周回搬送部とを備え、
上記切断手段を上記無端状搬送体の周回搬送部に対向して設け、該切断手段はバッグが上方から下方に向けて周回搬送される間に切断することを特徴とする内容物回収装置。
【請求項2】
上記搬送手段は平行に設けられた少なくとも一対の無端状搬送体を備え、上記把持手段は各無端状搬送体に相互に対向し、かつ揺動支持手段を介して揺動可能に設けられ、
上記上方側搬送部において、上記把持手段により上記バッグを両側から把持し、
上記周回搬送部において、上記切断手段により対向する把持手段の間でバッグを切断し、
上記下方側搬送部において、上記揺動支持手段により把持手段を下方へ揺動させ、把持したバッグの切断開口が下方を向いた状態で搬送することを特徴とする請求項1に記載の内容物回収装置。
【請求項3】
上記切断手段は回転カッタであって、バッグを切断する位置での該回転カッタの回転方向が上方から下方へ向いていることを特徴とする請求項1または2に記載の内容物回収装置。
【請求項4】
上記搬送手段の下方側搬送部に、上記把持手段を上下に揺動させる揺動手段を設け、
該揺動手段により把持手段に把持されたバッグを揺動させて、バッグ内の内容物の排出を促進させることを特徴とする請求項2または3に記載の内容物回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−1325(P2009−1325A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166515(P2007−166515)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】