説明

内燃エンジン用レーザー点火システム及び方法

【課題】点火プラグの電極における熱損失等により、火炎が消滅したり、また、壁面上、又は壁面付近で点火が発生することにより、燃焼不良を生ずることを防止する。
【解決手段】内燃エンジン100用レーザービーム点火システム10を開示する。このレーザービーム点火システム10は、レーザービームを生成するレーザー11と、レンズとプリズムから成るビームステアリングユニット12を備える。このレンズとプリズムは連動して、内燃エンジン100の燃焼室101に供給される混合酸化燃料にレーザービームが集束するようにレーザービームを誘導する。また、内燃エンジン100の混合燃料を点火する方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して内燃エンジン用点火システムに関する。本発明は、特に、連続燃焼式内燃エンジン用レーザー点火システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃エンジンにおいて、燃料は、燃焼室で酸化剤(基本的に空気)と混合して燃焼する。このとき得られる高温の高圧ガスが膨張することによって、タービンを駆動させるタービン翼をはじめとするエンジンの可動部品の動力が生じる。このときの燃焼は、間欠的(自動車用途等)なものであっても、連続的(ガスタービン及びジェットエンジン等)なものであっても良い。
【0003】
従来の内燃エンジン用点火システムの場合、燃焼室の壁面に固定した点火プラグに高い電圧を印加することによって火花放電を生じ、混合気を燃焼させる。しかし、この種の点火システムにおいては、点火プラグが燃焼室にむき出しになっているので、点火プラグに付着した炭素が点火プラグの放電の妨げになる。更に、点火プラグの電極における熱損失により、放電で生じたトーチ又は火炎核が冷却され、火炎の状態になる前に消滅してしまう。また、壁面上又は壁面付近で点火が生じることから、壁面で燃料を燃焼させることによる不都合が混合不良に繋がることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,318,411B1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、上述のような問題点を改善した、新規の内燃エンジンの点火システム及び方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態として、内燃エンジン用レーザー点火システムを開示する。このレーザー点火システムは、レーザービームを生成するレーザーと、レンズとプリズムを有するビームステアリングユニットを備える。このレンズとプリズムは連動して、内燃エンジンの燃焼室に供給される混合酸化燃料にレーザービームが集束するようにレーザービームを誘導する。
【0007】
本発明の別の実施形態として、ビームステアリングユニットを開示する。このビームステアリングユニットは、レンズとプリズムを有する。このレンズにより、レーザービームを誘導してプリズムに集束させ、このプリズムにより、集束したレーザービームを誘導して、内燃エンジンの燃焼室に供給される混合酸化燃料にレーザービームを集束させる。
【0008】
本発明のまた別の実施形態として、内燃エンジンの混合燃料を点火する方法を開示する。この方法は、レーザービームを生成するステップと、レーザービームをレンズに通して集束レーザービームを生成するステップと、この集束レーザービームをプリズムに通して、内燃エンジンの燃焼室に供給される混合燃料にレーザービームを集束させるステップとを含む。
【0009】
本発明の更に別の実施形態として、内燃エンジン用レーザー点火システムを開示する。このレーザー点火システムは、レーザービームを生成するレーザーと、適応レンズと透過窓を有するビームステアリングユニットを備える。この適応レンズと透過窓は連動して、内燃エンジンの燃焼室の複数の位置でレーザービームが集束するようにレーザービームを誘導する。
【0010】
以下の説明とこれに関連する添付図面において、上述の又はそれ以外の本発明による態様、特徴、及び利点を更に詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による、レーザー点火システムの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態による、レーザー点火システムのビームステアリングユニットの概略図である。
【図3】本発明の別の実施形態による、ビームステアリングユニットの概略図である。
【図4】本発明の一実施形態による、レーザー点火システムの適応ビームステアリングユニットの概略図である。
【図5】本発明の別の実施形態による、1つ以上の適応光学素子を有する適応ビームステアリングユニットの概略図である。
【図6】本発明のまた別の実施形態による、適応ビームステアリングユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
これより、添付図面を参照しながら本発明による実施形態を説明する。以下では、説明の便宜上、周知の機能又は構造の詳細な説明を割愛する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態によるレーザー点火システム10の概略図である。本発明の実施形態において、レーザー点火システム10は、レーザービームを生成し、内燃エンジン100の燃焼室101等の室内でレーザービームが集束するようにレーザービームを誘導し、この室内で混合酸化燃料等の燃焼性物質を点火させる。本明細書の「内燃エンジン」という用語には、連続燃焼式エンジンや間欠燃焼式エンジンが含まれる。内燃エンジン100としては、例えば、レシプロエンジン、ガスタービンエンジン、ジェットエンジン、ディーゼルエンジン及びロータリエンジンが挙げられるが、これ以外のものであっても良い。
【0014】
図1において、レーザー点火システム10は、レーザービームを生成するレーザー11と、ビームステアリングユニット12を備える。ビームステアリングユニット12は、レーザー11と光連通しており、内燃エンジン100の燃焼室101内でレーザービームが集束するようにレーザー11からレーザービームを誘導する。レーザー点火システム10は、更に、レーザー11に結合された、レーザー11のレーザービーム生成を制御する点火制御装置13を備える。
【0015】
図面の構成では、点火制御装置13は、レーザー11と分離しているが、その代わりに、点火制御装置13をレーザー11に組み込むこともできる。なお、本発明の実施形態は、本発明の処理タスクを実行するにあたり、特定の制御装置に限定されるわけではない。本明細書の「制御装置」という用語には、本発明に係るタスクの実行に必要な計算又は演算を行い得るあらゆる機器が含まれる。「制御装置」という用語には、当業者には明らかなように、構造化されたインプットを受け取り、インプットした内容を所定の規則に従って処理して出力し得るあらゆる機器が含まれる。
【0016】
必要に応じて、点火制御装置13を、操作者による点火要求を受け取るようにしたり、クランク角、速度、エンジン動作温度、加速ペダル位置、排気品質、測定燃料変数といったエンジン動作パラメータに基づいて動作するようにしたりできる。従って、当該技術分野において周知の光検出器(図示せず)等の検出機器を1つ以上設置して、内燃エンジン100の動作パラメータを検出し、対応する情報を点火制御装置13に中継することによって、レーザービームの生成及び/又は集束を制御する実施形態も考えられる。
【0017】
一実施形態として、点火制御装置13に、レーザー制御回路及び/又は点火タイミング制御回路を組み込むことができるが、本発明の実施形態はこれに限定されない。当該技術分野において周知のように、レーザー制御回路を用いて、レーザー発振を点火タイミングと同期させることができる。点火タイミング制御回路には、検出されたエンジンの動作状態に基づいて点火タイミングを算出する点火タイミング算出回路をはじめとする制御回路を組み込むことができる。かかる制御装置の例が、参照により本明細書に援用される米国特許第4,416,226号「内燃エンジン用レーザー点火システム(Laser ignition apparatus for an internal combustion engine)」に詳述されている。必要に応じて、電子制御装置(ECU)を点火制御装置13として用いたり、点火制御装置13と併せて用いたりもできる。
【0018】
レーザー11は、十分な量のエネルギーを放出してエネルギーを内燃エンジン100の燃焼室101内で集束させ、燃焼室内の燃料、混合気又は予混合された混合物等の燃焼性物質を点火させ得るものであれば、実施形態に応じて、当該技術分野において周知のいかなるレーザー装置であっても良い。レーザー11としては、例えば、ネオジム式レーザー、エルビウム式レーザー、その他の固体レーザー、半導体レーザーをはじめとする適宜のレーザーが挙げられるが、これら以外のものであっても良い。
【0019】
実施形態に応じて、レーザー点火プロセスを、例えば、光着火、熱着火、レーザー励起火花点火等の少なくとも3つの着火メカニズムのいずれか1つ又はこれらを組み合わせたものによって行うことができる。
【0020】
光着火の場合、レーザー光子によって燃料又は混合気等のターゲット分子を分離して、高反応性ラジカル種に変換する。これらのラジカルは、その後、急速な化学的連鎖反応、すなわち燃焼を開始する。当該技術分野において周知のように、光着火では、分子を分離させるために、レーザー励起波長とターゲット分子の吸収波長とを精密に合致させる必要がある。
【0021】
熱着火の場合、レーザーを用いて、ターゲット分子の並進、回転又は振動のいずれかの運動エネルギーを増大させる。その結果、分子結合が破壊し、化学反応が生じる。このメカニズムを用いて、固相、液相及び気相を併せ持つ燃焼性物質に点火することができる。この技術の場合、赤外レーザー等を用いて材料を加熱する。
【0022】
レーザー励起火花点火の場合、レーザービームを集束させて、プラズマ火炎核、すなわち火花を生成する。こうした火花は、周囲物質に対して光と熱と衝撃波とを放出し、燃焼開始のためのエネルギーを供給する。レーザー励起火花点火は、主に、レーザー火花と衝撃波との両方による熱を用いて点火する熱化学プロセスに含まれる。
【0023】
図1において、ビームステアリングユニット12は、内燃エンジン100上に配置され、燃焼室101と連通している。これにより、レーザー11からのレーザービームは、燃焼室101内に誘導されて燃焼室内で集束し、室内の燃料及び混合気が点火する。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態によるレーザー点火システム10のビームステアリングユニット12の概略図である。なお、図2の構成はあくまでも例示である。図解の便宜上、レーザー11及び点火制御装置13を図示していない。内燃エンジン100のノズル20を用いて、噴霧状の燃焼性物質と燃焼室101内のレーザービームの点火位置が示されている。
【0025】
図2において、内燃エンジン100は、開口(参照符号なし)を有する。ビームステアリングユニット12は、ハウジング21とレンズ22とプリズム23から成る。ハウジング21は、その端部の一方が開口内に収容されており、これによって、ハウジング21が内燃エンジン100上に保持され、燃焼室101と連通するようになっている。レンズ22とプリズム23は、ハウジング21内に収容されている。必要に応じて、ビームステアリングユニット12に、1つ以上のレンズ、1つ以上のプリズム及び/又はその他の光学素子を含めることもできる。
【0026】
ハウジング21は、例えば、中空円筒形状をなしてレンズ22とプリズム23を収容しているが、これ以外の形態であっても良い。ハウジング21の形状は、レンズとプリズム23の保持に適したものであれば、その他の形状であっても良い。図示の構成では、レンズ22及びプリズム23は、ハウジング21内に設置されている。動作時、レーザービームはレンズ22を通り、プリズム23で集束する。レンズ22からの集束レーザービームは、その後、プリズム23を通過して、レンズ22の軸方向(図示せず)からオフセットしながらノズル20の方へと進み、燃焼室101に入射し、室内の所望の位置においてノズル20から噴霧される燃焼性物質に点火する。プリズム23の底部分(参照符号なし)が、ハウジング21の下側部分から燃焼室101内まで延在している実施形態もある。また、ノズル20からの燃焼性物質の噴霧形状が円錐形の実施形態もあるが、その他の形状で噴霧を行っても良い。
【0027】
構成に応じて、レンズ22は、従来式レンズであっても、効率が良く焦点が良好であればいかなるレンズであっても良い。プリズム23は、集束レーザービームを中継して燃焼室101内の点火位置において燃焼性物質に点火するのに適していれば、いかなるプリズムであっても良い。プリズム23は、例えば反射プリズムであるが、これ以外のものであっても良い。図示のプリズム23は、四側面型反射プリズムである。
【0028】
図3は、本発明のまた別の実施形態によるビームステアリングユニット12の概略図である。図解の便宜上、図面を通じて同様の要素には同様の参照符号が付与されている。図3の構成は、図2の構成と同様であり、ビームステアリングユニット12は、ハウジング21とレンズ22、四側面型反射プリズム23の代わりに三側面型(三角柱型)反射プリズム24を備えている。従って、レーザービームはレンズ22を通り、プリズム24で集束する。プリズム24によって、集束レーザービームは、レンズ22の軸方向からオフセットしながらノズル20に向かい、燃焼室101内の所望の位置においてノズル20からの燃焼性物質に点火する。
【0029】
図示の構成では、レンズ22及びプリズム24は、燃焼室101内まで延在していない。これにより、レンズ22及びプリズム24は、燃焼室101内の空力特性を妨げることなく、燃焼室101の熱から部分的に遮蔽される。更に、プリズム23及び/又は24を用いて、例えば、一般的な全反射作用を利用してレーザービームを反射させることができるが、この方法をとらなくても良く、代わりに、プリズム23及び/又は24を、当業者に想起可能な反射コーティングにより被覆して、レーザービームを反射させても良い。
【0030】
必要に応じて、ビームステアリングユニットを適応型にすることもできる。すなわち、ビームステアリングユニットを、レーザー11から発せられるレーザービームの集束位置の調節に適した1つ以上の適応光学素子とすることができる。一部の実施形態に関して、本明細書の「適応」という用語は、光学素子を任意の方法で調節及び制御することによって、レーザー放射線を、例えば燃焼室101内の任意の位置に向けられるようにすることを指す。当業者には明らかなように、本発明の実施形態において適応光学素子は、様々な態様をとり得る。
【0031】
図4は、本発明の一実施形態による1つ以上の適応光学素子を含む適応ビームステアリングユニット14の概略図である。図4において、ビームステアリングユニット14は、ハウジング21とレンズ22と三側面型反射プリズム24とコイルドライバ25とから成る。図示の構成では、ハウジング21は、内燃エンジン100内に回転可能に保持されており、ハウジング21の少なくとも一部分210は、磁化されている。コイルドライバ25は、ハウジング21のまわりに延在しており、コイルドライバ25が電源(図示せず)により付勢されると、コイルドライバ25とハウジング21の磁化部分210が一緒に動作して、ハウジング21を回転させる。
【0032】
すなわち、ハウジング21と一緒にレンズ22とプリズム24が回転すると、レーザービームは、燃焼室101内で複数の集束位置を回転させながらノズル20の方向に誘導され、ノズル20から噴霧される燃焼性物質に点火する。コイルドライバ25は、例えば、銅巻線ドライバ等の金属巻線ドライバであるが、これ以外のものであっても良い。図示の構成では、コイルドライバ25は、内燃エンジン100上に組み付けられ、ハウジング21のまわりに配置されているが、その代わりに、コイルドライバ25を、ハウジング21上に組み付けても良い。
【0033】
図5は、本発明のまた別の実施形態による適応ビームステアリングユニット14の概略図である。図5において、適応ビームステアリングユニット14は、ハウジング21とレンズ22とプリズム24とホルダ26とコイルドライバ27とから成る。ハウジング21は、内燃エンジン100に取り付けられている。レンズ22は、ホルダ26内に配置されている。ホルダ26は、磁化された状態でハウジング21内に移動可能に収容されている。コイルドライバ27は、ハウジング21のまわりに配置されており、これによって、コイルドライバ27が電源(図示せず)により付勢されると、コイルドライバ27が磁化されたホルダ26をハウジング21内で直線的に移動させるようになっている。従って、ホルダ26が移動すると、レンズ22がハウジング21内で移動し、レーザービームが燃焼室101内の様々な位置で集束するようにレーザービームを誘導することができる。
【0034】
コイルドライバ27も、例えば、コイルドライバ25と同様に銅巻線ドライバ等の金属巻線ドライバであって良い。図示においては、コイルドライバ27は、ハウジング21上に組み付けられている。コイルドライバ27を、その代わりに、エンジン100上に組み付け、ハウジング21のまわりに配置しても良い。また、プリズム24もハウジング内で移動可能に収容されている場合もある。
【0035】
必要に応じて、図4及び図5の構成を組み合わせて、レンズ22を内燃エンジン100に対して(回転しながら且つ/又は直線的に)移動させ、燃焼室101内の様々な位置にレーザービームが集束するように誘導することもできる。ビームステアリングユニット14は、例えば、磁化ハウジング21と磁化ホルダ26とレンズ22とプリズム24と、レンズ22を内燃エンジン100に対して回転させながら且つ/又は直線的に移動させる、当業者に想起可能な1つ以上のドライバ25及び27とから成る。プリズムは、図4及び図5の構成において、反射プリズム23をはじめとする適宜のプリズムであって良い。
【0036】
図6は、本発明のまた別の実施形態による適応ビームステアリングユニット14の概略図である。図6の構成は、図5のものと同様である。図6において、適応ビームステアリングユニット14は、ハウジング21とレンズ22と磁化ホルダ26とコイルドライバ27と、プリズム24の代わりに透過窓28を備える。
【0037】
図示の実施形態の場合、ハウジング21は磁化されていないが、ハウジング21は磁化されていてもよい。透過窓28は、レーザー放射線の伝送に適した任意の材料製で、エンジン100の開口内に設置されている。一実施形態において、透過窓28は、石英又はサファイア製であるが、当業者に明らかなように、工業用ダイヤモンド、従来のガラス又は溶融石英その他の材料製であって良い。
【0038】
コイルドライバ27は、図5の構成と同様に、電源(図示せず)により付勢されると、磁化ホルダ26をハウジング21内で移動させる。ホルダ26が移動すると、それに伴ってレンズ22がハウジング21内で移動して、レーザービームが透過窓28を通過するように誘導され、レンズ22の軸方向に沿った燃焼室101内の複数の位置にレーザービームが集束する。図6の構成と図4の構成を組み合わせて、レンズ22を内燃エンジン100に対して回転させながら移動させる実施形態も考えられる。
【0039】
レンズ22を移動させるにあたり、ビームステアリングユニット14に、図4、図5及び図6の構成の銅巻線ドライバ25又は27に加えて、圧電アクチュエータ、油圧式ドライバ及び/又は空気式ドライバ等の、当業者に想起可能なその他のドライバを追加した実施形態も考えられる。従って、実施形態によっては、ハウジング21(図4参照)が磁化されていない、且つ/又は、磁化ホルダ26が磁化されていないか用いられていないことがある。また、必要に応じて、点火制御装置13にドライバを接続することによって、内燃エンジン100の動作パラメータに基づいて、点火制御装置13でビームステアリングユニット14を制御したり、レーザー11とビームステアリングユニット14とを連動させることによって、レーザービームを燃焼室101内の1つ以上の位置で集束させ易くしたりできる。
【0040】
以上、典型的な実施形態を用いて本発明を図解しながら説明したが、これらにいかなる改変及び置換を加えても、本発明の企図を逸脱することはない。従って、本発明の実施形態が、本明細書に記載の細部に限定されることはない。すなわち、通常の実験を通じて得られる、本明細書に開示した実施形態の当業者に想起可能な改変及び等価の措置は全て、添付の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
10 レーザー点火システム
11 レーザー
12 ビームステアリングユニット
13 点火制御装置
20 ノズル
21 ハウジング
22 レンズ
23 プリズム
24 プリズム
25 コイルドライバ
27 コイルドライバ
26 ホルダ
28 透過窓
100 内燃エンジン
101 燃焼室
210 部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃エンジン(100)用レーザー点火システム(10)であって、
レーザービームを生成するレーザー(11)と、
前記内燃エンジン(100)の燃焼室(101)に供給される混合酸化燃料に前記レーザービームが集束するように前記レーザービームを誘導する、相互に連動するレンズ(22)とプリズム(23、24)を有するビームステアリングユニット(12)とを備える、レーザー点火システム(10)。
【請求項2】
前記プリズム(23、24)が反射プリズムから成り、
前記レンズ(22)によって、前記レーザービームが前記反射プリズムで集束するように前記レーザービームを誘導し、
前記反射プリズム(23、24)によって、前記集束したレーザービームが前記内燃エンジン(100)の前記燃焼室(101)に供給される前記混合酸化燃料に集束するように、前記集束したレーザービームを誘導する、請求項1に記載のレーザー点火システム。
【請求項3】
前記レーザーに接続された、前記レーザービームの生成を制御する点火制御装置(13)を更に有し、
前記プリズム(23、24)が、四側面型反射プリズム又は三側面型反射プリズムから成る、請求項2に記載のレーザー点火システム。
【請求項4】
前記ビームステアリングユニット(12)が、前記内燃エンジン(100)の前記燃焼室(101)に取り付けられたハウジング(21)を更に有し、
前記レンズ(22)と前記プリズム(23、24)が、前記ハウジング(21)内に設置されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレーザー点火システム。
【請求項5】
前記レンズ(22)と前記プリズム(23、24)と前記ハウジング(21)が連動するように、前記ハウジング(21)が前記内燃エンジン(100)の前記燃焼室(101)に移動可能に取り付けられており、
前記ビームステアリングユニット(12)が、圧電アクチュエータ、油圧式ドライバ、空気式ドライバ及び金属巻線ドライバ(25、27)のうちいずれか1つ以上を更に有し、
前記ビームステアリングユニット(12)によって前記ハウジング(21)が移動する、請求項4に記載のレーザー点火システム。
【請求項6】
前記ビームステアリングユニット(12)が、前記ハウジング(21)内で移動可能に保持されている、前記レンズ(22)を保持するホルダ(26)を更に有し、
該ホルダ(26)が磁化されており、且つ、
前記ビームステアリングユニット(12)が、前記ハウジング(21)のまわりに設置された、前記磁化ホルダ(26)を付勢する金属巻線ドライバ(25、27)を更に有する、請求項4に記載のレーザー点火システム。
【請求項7】
内燃エンジン(100)の混合燃料を点火する方法であって、
レーザービームを生成するステップと、
前記レーザービームをレンズ(22)に通すことによって、集束レーザービームを生成するステップと、
前記集束レーザービームをプリズム(23、24)に通すことによって、前記レーザービームが前記内燃エンジン(100)の燃焼室(101)に供給される前記混合燃料に集束するように前記レーザービームを誘導するステップを含む方法。
【請求項8】
前記レンズ(22)と前記プリズム(23、24)が、ハウジング(21)内に設置されており、
該ハウジング(21)が、前記内燃エンジン(100)の前記燃焼室(101)に結合されている、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記レーザービームが前記内燃エンジン(100)の前記燃焼室(101)内の複数の位置で集束するように、前記レンズ(22)を移動させるステップを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
内燃エンジン(100)用レーザー点火システム(10)であって、
レーザービームを生成するレーザー(11)と、
前記レーザービームが前記内燃エンジン(100)の燃焼室(101)内の複数の位置で集束するように前記レーザービームを誘導する、相互に連動する適応レンズ(22)と透過窓(28)を有するビームステアリングユニット(12)とを備える、レーザー点火システム(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−1952(P2011−1952A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135771(P2010−135771)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY