説明

内燃力発電機運転制御装置及び方法

【課題】マイクログリッドにおける内燃力発電機の制御に関して、内燃力発電機の出力が低出力になることを回避して、NOxの発生を抑制することができる内燃力発電機運転制御装置及び方法を提供すること。
【解決手段】内燃力発電機運転制御装置10は、NOxの発生量を発電出力及び気象データに対応付けて内燃力発電機101ごとに記憶するNOx抑制DB51と、内燃力発電機101の運転状況に関するデータを時刻ごとの気象データと対応付けて記憶する運転記録DB52とを備え、運転記録DB52に記憶された実績データを参照してマイクログリッド100における負荷量を予測し、予測した負荷量に対応する発電量を決定し、決定した発電量と、NOx抑制DB51に記憶された内燃力発電機101ごとのNOxの発生量とに基づいて、運転させる内燃力発電機101の出力がNOxの急増する低出力にならないような組み合わせを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素酸化物の発生の抑制を考慮した内燃力発電機運転制御装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、大規模発電設備からの送電電力に依拠することなく、電力の地域需給を可能とするマイクログリッドと呼ばれる小規模の電力供給網が知られている。このようなマイクログリッドは、離島部のような既存の大規模電力供給網を延長することが困難な地域で好適に利用されており、比較的小規模の発電設備(例えば、内燃力発電機)により独自に発電することで、電力の供給が行われている。
【0003】
ところで、マイクログリッドのような小規模の電力供給網では、急激な負荷変動が生じた場合や、台風又は落雷を原因とする事故が発生した場合等に、系統周波数が変動してしまう問題が知られている。
このような問題に対して、例えば、特許文献1には、予測機能と、需給計画機能と、経済負荷配分による制御とにより、安定して系統周波数を維持した電力供給を行うマイクログリッドの需給制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−114900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような、特許文献1の需給制御装置によれば、安定した系統周波数を維持することは可能なものの、系統周波数を維持する際の環境保護の観点から、更なる工夫の余地がある。すなわち、マイクログリッドで用いられる内燃力発電機は、低出力域における窒素酸化物(以下、「NOx」という場合がある)の発生が危惧されており、このようなNOxの発生に対する更なる対策の余地がある。
【0006】
そこで、本発明は、マイクログリッドにおける内燃力発電機の制御に関して、内燃力発電機の出力が低出力になることを回避して、NOxの発生を抑制することができる内燃力発電機運転制御装置及び方法を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
(1) マイクログリッドにおける複数の内燃力発電機の発電を制御する内燃力発電機運転制御装置であって、発電時に前記内燃力発電機から発生する窒素酸化物の発生量を、発電時の発電出力及び当該発電時の気象データに対応付けて、前記内燃力発電機ごとに記憶するNOx抑制記憶部と、前記マイクログリッドにおける負荷量と前記内燃力発電機の運転状況に関するデータとを、時刻ごとの気象データと対応付けて実績データとして記憶する運転記録記憶部と、前記運転記録記憶部に記憶された前記実績データを参照して前記負荷量を予測し、予測した前記負荷量に対応する発電量を決定する発電量決定部と、前記発電量決定部が決定した前記発電量と、前記NOx抑制記憶部に記憶された前記内燃力発電機ごとの窒素酸化物の発生量とに基づいて、運転させる前記内燃力発電機の出力が窒素酸化物の急増する低出力にならないような組み合わせを選択する発電機運転選択部と、を備える内燃力発電機運転制御装置。
【0008】
(1)の構成によれば、本発明に係る内燃力発電機運転制御装置は、発電時に内燃力発電機から発生する窒素酸化物の発生量を、発電時の発電出力及び当該発電時の気象データに対応付けて、内燃力発電機ごとに記憶するNOx抑制記憶部と、マイクログリッドにおける負荷量と内燃力発電機の運転状況に関するデータとを、時刻ごとの気象データと対応付けて実績データとして記憶する運転記録記憶部とを備える。そして、内燃力発電機運転制御装置は、運転記録記憶部に記憶された前記実績データを参照してマイクログリッドにおける負荷量を予測し、予測した負荷量に対応する発電量を決定し、決定した発電量と、NOx抑制記憶部に記憶された内燃力発電機ごとの窒素酸化物の発生量とに基づいて、運転させる内燃力発電機の出力が窒素酸化物の急増する低出力にならないような組み合わせを選択する。
【0009】
したがって、本発明に係る内燃力発電機運転制御装置は、マイクログリッドにおける内燃力発電機の制御に関して、内燃力発電機の出力が低出力になることを回避して、NOxの発生を抑制することができる。
【0010】
(2) 前記マイクログリッドにおける負荷量の変動を収集し、前記運転記録記憶部に記憶させる運転状況監視部と、前記運転状況監視部によって収集された前記負荷量の変動に応じて、前記発電機運転選択部によって前記内燃力発電機の組み合わせを選択させ、運転中の前記内燃力発電機の出力が窒素酸化物の急増する低出力にならないように制御する発電機運転制御部と、をさらに備える(1)に記載の内燃力発電機運転制御装置。
【0011】
したがって、(2)に係る発電機運転制御装置は、負荷量の変動に応じて適切な発電量を供給する際に、内燃力発電機の出力が低出力になることを回避して、NOxの発生を抑制することができる。
【0012】
(3) 前記運転記録記憶部に記憶された前記実績データに基づいて、前記内燃力発電機の出力が窒素酸化物の急増する低出力になる出力域を抽出する低出力域抽出部をさらに備える、(1)又は(2)に記載の内燃力発電機運転制御装置。
【0013】
したがって、(3)に係る発電機運転制御装置は、実績データ(発電の出力や気象条件)に基づいて、低出力になる出力域を抽出するので、内燃力発電機の出力が、低出力になることを回避して、NOxの発生を抑制することができる。
【0014】
(4) マイクログリッドにおける複数の内燃力発電機の発電を制御する内燃力発電機運転制御装置が実行する方法であって、前記内燃力発電機運転制御装置は、発電時に前記内燃力発電機から発生する窒素酸化物の発生量を、発電時の発電出力及び当該発電時の気象データに対応付けて、前記内燃力発電機ごとに記憶するNOx抑制記憶部と、前記マイクログリッドにおける負荷量と前記内燃力発電機の運転状況に関するデータとを、時刻ごとの気象データと対応付けて実績データとして記憶する運転記録記憶部と、を備え、前記方法は、前記運転記録記憶部に記憶された前記実績データを参照して前記負荷量を予測し、予測した前記負荷量に対応する発電量を決定する発電量決定ステップと、前記発電量決定ステップが決定した前記発電量と、前記NOx抑制記憶部に記憶された前記内燃力発電機ごとの窒素酸化物の発生量とに基づいて、運転させる前記内燃力発電機の出力が窒素酸化物の急増する低出力にならないような組み合わせを選択する発電機運転選択ステップと、を備える方法。
【0015】
したがって、本発明に係る方法は、(1)と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、内燃力発電機の運転において、内燃力発電機の出力が低出力になることを回避して、NOxの発生を抑制することができる。すなわち、NOxの増加が予測される低出力域を回避させるように発電機の運転を制御することで、様々な系統条件においても環境に配慮した経済的なシステムを構築することができる。
さらに、本発明によれば、発電機の低出力を回避することにより系統安定度を向上させ、発電機の劣化を防止するとことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る内燃力発電機運転制御装置と、マイクログリッドとの関連を示す概念図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る内燃力発電機運転制御装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る内燃力発電機運転制御装置のNOx抑制DBの例である。
【図4】本発明の一実施形態に係る内燃力発電機運転制御装置の運転記録DBの例である。
【図5】本発明の一実施形態に係る内燃力発電機運転制御装置の運転計画DBの例である。
【図6】本発明の一実施形態に係る内燃力発電機運転制御装置によって、内燃力発電機の運転を制御した場合の運転状態を説明する図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る内燃力発電機運転制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る内燃力発電機運転制御装置の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る内燃力発電機運転制御装置10と、マイクログリッド100との関連を示す概念図である。
【0019】
図1において、マイクログリッド100は、風力発電機102や太陽光発電機103等の再生可能エネルギを利用する発電機及び内燃力発電機101を含む発電設備と、電力貯蔵装置104と、電力が供給される負荷110とから構成されている。
内燃力発電機101には、NOx抑制対象外の発電機と、NOx抑制対象の発電機との2種類が存在する。本発明の内燃力発電機運転制御装置10は、運転状況(例えば、発電機出力、NOx発生値、気象データ等)を記録し、記録したデータに基づいて、NOx抑制対象の内燃力発電機101の出力を、NOxが増加する低出力にならないように制御する。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態に係る内燃力発電機運転制御装置10の機能構成を示す機能ブロック図である。図3は、本発明の一実施形態に係る内燃力発電機運転制御装置10のNOx抑制DB51の例である。図4は、本発明の一実施形態に係る内燃力発電機運転制御装置10の運転記録DB52の例である。図5は、本発明の一実施形態に係る内燃力発電機運転制御装置10の運転計画DB53の例である。
【0021】
図2を参照して、内燃力発電機運転制御装置10は、発電量決定部11と、発電機運転選択部12と、運転状況監視部13と、発電機運転制御部14と、NOx抑制DB(データベース)51と、運転記録DB52とを備えている。以下、構成について詳述する。
【0022】
NOx抑制DB51は、それぞれの内燃力発電機101ごとのNOx発生量(例えば、NOx濃度値)を記憶する。このとき、図3に示すように、NOx抑制DB51は、NOx発生量を、発電出力及び気象データ(重量絶対湿度)に対応付けて記憶する。例えば、NOx抑制DB51は、発電機G1の内燃力発電機101について、発電出力「3.0未満」に対して、湿度(重量絶対湿度)「3未満」である場合のNOx発生量を「870」と記憶し、湿度(重量絶対湿度)「5以上」である場合のNOx発生量を「770」と記憶する。なお、発電出力及び気象データが同一であったとしても、内燃力発電機101のNOx発生量が異なる場合があるため、NOx抑制DB51に記憶されるNOx発生量は、日々の運転状況により適宜更新される。これにより、NOx抑制DB51には、内燃力発電機101の最新の状況が記憶される。
さらに、内燃力発電機運転制御装置10は、後述する運転記録DB52に蓄積されたデータ(例えば、内燃力発電機101ごとの出力値とNOx発生量とのデータ)を解析して、NOxの発生が増加する発電の出力域を示すために、NOx急増情報をNOx抑制DB51に記憶してもよい。例えば、図3において、NOx急増情報である「*」は、発電機G1の発電出力「3.0未満」、湿度(重量絶対湿度)「3未満」の場合に、NOxの発生量が急増することを示している。このようなNOx急増情報は、低出力域でのみ出現し、高出力域では出現しない。なお、湿度は、必要に応じて重量絶対湿度と相対湿度との換算を行い参照する。
【0023】
運転記録DB52は、マイクログリッド100における負荷量と、発電設備の運転状況に関するデータとを、時刻ごとに実績データとして記憶する。このとき、運転記録DB52は、実績データとして、時刻ごとの気象データも併せて記憶する。具体的には、図4において示す様に、運転記録DB52は、日付及び時刻に対応付けて、負荷量と、気象データ(気温、風速、湿度、気圧等)と、内燃力発電機101ごとの出力値及びNOx発生量と、を含む運転状況のデータを記憶している。
運転記録DB52は、後述する運転状況監視部13によって収集されるデータを実績データとして蓄積する。運転記録DB52は、別システムによって作成されてもよい。
【0024】
発電量決定部11は、運転記録DB52に記憶された運転状況に基づいて、当日のマイクログリッド100における負荷量を予測する。ここで、負荷量の予測は、任意の方法により行うことができ、例えば、過去の実績を参照することで、すなわち、当日の気象データと類似する過去の気象データにおける負荷量を参照することで、当日の時刻ごとの負荷量を予測する。また、発電量決定部11は、予測した負荷量に対応する発電量を決定する。このとき、発電量決定部11は、風力発電機102や太陽光発電機103等の発電量を予測し、対応する発電量の補正を行ってもよい。
【0025】
発電量決定部11は、発電量を決定すると、決定した発電量を発電計画値として運転計画DB53に記憶する。ここで、作成した運転計画の一例を図5に示す。図5に示す様に、運転計画DB53は、時刻に対応付けて、負荷予測値と、気象データ予測値(気温、風速、湿度、気圧等)と、発電計画値と、後述する発電機運転選択部12によって選択された発電設備とを記憶している。
【0026】
発電機運転選択部12は、発電量決定部11によって決定された発電量と、NOx抑制DB51に記憶された内燃力発電機101ごとのデータとに基づいて、運転させる内燃力発電機101の出力がNOxの急増する低出力にならないような組み合わせを選択する。
例えば、NOx抑制DB51に記憶されたデータが図3で示すような値であり、発電計画値が図5で示すような値である場合、発電機運転選択部12は、当日の発電計画値の最大値を出力できるように、内燃力発電機101の組み合わせ(例えば、G1〜G5、G6、G7)を選択する。次に、発電機運転選択部12は、各時刻における発電計画値と気象データ予測値とから、運転させる内燃力発電機101の出力がNOxの急増する低出力(例えば、3MW未満)にならないような組み合わせで発電計画値(例えば、1時において14.6MW)を出力できるように、内燃力発電機101の組み合わせ(例えば、G1:3.5MW、G2:3.5MW、G3:3.5MW、G4:3.5MW、G6:2MW)を選択する。
このようにして、発電機運転選択部12は、選択した内燃力発電機101の組み合わせを運転計画DB53に記憶させる。
【0027】
運転状況監視部13は、発電設備の運転状況に関するデータを収集し、運転記録DB52に記憶させる。具体的には、運転状況監視部13は、マイクログリッド100における負荷量、気象データ(気温、風速、湿度、気圧等)、内燃力発電機101ごとの出力値、NOx発生量等の運転状況に関するデータを発電設備の運転中に収集し、運転記録DB52に記憶する。運転記録DB52に記憶されたデータは、データを収集した日の翌日以降の運転計画を作成する際のデータとしてフィードバックされる他、後述の発電機運転制御部14による運転中の発電設備の制御に用いられる。
【0028】
発電機運転制御部14は、運転状況監視部13によって収集されたデータに応じて、発電機運転選択部12によって内燃力発電機101の組み合わせを選択させ、運転中の内燃力発電機101の出力がNOxの急増する低出力にならないように制御する。具体的には、発電機運転制御部14は、運転状況監視部13によって収集されたデータ(例えば、負荷量の変動)に応じて、発電機運転選択部12によって内燃力発電機101の組み合わせ、例えば、発電出力を増大させるために運転する内燃力発電機101を追加させる場合に、追加した内燃力発電機101の出力がNOxの急増する低出力にならないように、運転中の内燃力発電機101の出力を制御する。また、収集されたデータ(例えば、負荷量の変動)に応じて、発電出力を減少させる場合に、発電機運転制御部14は、運転している内燃力発電機101を停止させたり、出力を減少させたりして、運転中の内燃力発電機101の出力がNOxの急増する低出力にならないように制御する。
これにより、発電機運転制御部14は、通常はNOx抑制対象の内燃力発電機101が低出力運転となる場合においても、NOx抑制対象の内燃力発電機101とNOx抑制対象外の内燃力発電機101の出力配分を調整したり、NOx抑制対象の内燃力発電機101の運転台数を調整したりして、NOx抑制対象の内燃力発電機101の出力が低出力とならないような運転を行わせて、NOxの発生を抑制することができる。
【0029】
なお、発電機運転制御部14は、内燃力発電機101の起動及び停止に際し、NOxの発生値が規制値を超えないように、起動に際し所定の条件(例えば、停止から20分以上が経過)を満たす場合に起動し、停止に際し所定の条件(例えば、運転が20分以内又は60分以上継続)を満たす場合に停止する制御も行う。
【0030】
さらに、低出力域抽出部15は、運転記録DB52に記憶された実績データに基づいて、内燃力発電機101の出力がNOxの急増する低出力になる出力域を抽出する。具体的には、低出力域抽出部15は、運転記録DB52に記憶された発電出力及び気象データ(気温、温度、気圧等)と、NOxの発生量とを統計的に解析し、NOxの発生量が急増する条件、例えば、発電の出力域及び気象条件(重量絶対湿度)を抽出し、NOx抑制DB51に記憶させる。
【0031】
図6は、本発明の一実施形態に係る内燃力発電機運転制御装置10によって、内燃力発電機101の運転を制御した場合の運転状態を説明する図である。
図6において、内燃力発電機運転制御装置10は、運転計画DB53に基づいて、内燃力発電機101のうちNOx抑制対象G1〜G5、NOx抑制対象外G6、G7を運転させ、運転状況監視部13によって収集されたデータのうち負荷量が6時台の負荷予測値(マーク1002)よりも急激に減少していることに応じて、内燃力発電機101の組み合わせを選択し、出力を制御する。その結果、通常であれば、負荷量が減少する変動に応じて、内燃力発電機101の出力が低出力になるところ、図6のマーク1001内は、負荷量の変動に対し内燃力発電機運転制御装置10が、内燃力発電機101の出力を低出力にならないように制御し、G1〜G4の出力を3.0MWに保ち、G6及びG7を停止させていることを示している。
【0032】
図7は、本発明の一実施形態に係る内燃力発電機運転制御装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。図7に示すように、内燃力発電機運転制御装置10は、CPU2011、メモリ2012、操作部2013、表示部2014、I/Oコントローラ1070、通信I/F1040及び機器I/F2016がバスライン2050により接続されて構成されている。
【0033】
CPU2011は、内燃力発電機運転制御装置10を統括的に制御する部分であり、メモリ2012に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。メモリ2012は、適宜読み出して実行されるプログラムを記憶し、プログラムの実行によって作成される種々の情報を記憶する。
【0034】
操作部2013は、各種設定や入力操作を行う操作ボタン群、決定操作ボタン等を備えており、操作部2013による入力情報はCPU2011の制御下で処理される。すなわち、ユーザは、操作部2013を介して、入力等の必要な各種の操作、又は指定操作等が可能である。表示部2014は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)によって構成され、各種情報を表示する。
【0035】
I/Oコントローラ1070には、ハードディスク1074等の記憶手段を接続することができる。ハードディスク1074は、内燃力発電機運転制御装置10が本発明の機能を実行するためのプログラムを記憶している。さらに、ハードディスク1074は、測定したデータや、予め記憶しているデータとして、例えば、NOx抑制DB51、運転記録DB52、運転計画DB53等を記憶している。
【0036】
通信I/F1040は、内燃力発電機運転制御装置10を専用ネットワーク又は公共ネットワークを介して他のサーバ等と接続するためのネットワーク・アダプタである。
【0037】
機器I/F2016は、内燃力発電機運転制御装置10と、内燃力発電機101、気象データ測定装置111及びNOx測定装置112とを接続し、発電出力値や、気象データ、NOx発生値を受信できるようにし、内燃力発電機運転制御装置10からの制御情報を内燃力発電機101に送信できるようにするためのインターフェースである。
【0038】
図8は、本発明の一実施形態に係る内燃力発電機運転制御装置10の処理内容を示すフローチャートである。
【0039】
ステップS11において、CPU2011(発電量決定部11)は、運転計画の発電量を決定する。より具体的には、CPU2011は、運転記録DB52に記憶された負荷データに基づいて、例えば、本日の日付のうち月日時刻に対応する同じ月日時刻の過去の負荷データの平均値に基づいて、本日の時刻ごとの負荷量を予測し、予測した負荷量に対応する発電量を決定し、発電計画値として運転計画DB53に記憶させる。このとき、CPU2011(低出力域抽出部15)は、運転記録DB52に蓄積された内燃力発電機101ごとの出力値及びNOx発生量のデータを解析してNOx抑制DB51を更新すると共に、NOxの発生が増加する発電の出力域を抽出し、NOx急増情報をNOx抑制DB51に記憶させる。その後、CPU2011は、処理をステップS12に移す。
【0040】
ステップS12において、CPU2011(発電機運転選択部12)は、運転計画の発電設備を選択する。より具体的には、CPU2011は、運転計画DB53に記憶された内燃力発電機101の発電計画値と、気象データ予測値とから、NOx抑制DB51に記憶された内燃力発電機101ごとの気象データ(気温、湿度及び気圧から換算された重量絶対湿度)及びNOx発生量に基づいて、NOxの急増する低出力にならない内燃力発電機101の組み合わせであって、運転計画DB53の発電計画値に達するような内燃力発電機101の組み合わせを選択する。次に、CPU2011は、選択した内燃力発電機101の組み合わせを運転計画DB53に記憶させる。その後、CPUは、処理をステップS13に移す。
【0041】
ステップS13において、CPU2011(運転状況監視部13)は、運転状況を監視する。より具体的には、CPU2011は、マイクログリッド100における負荷量、気象データ(気温、風速、湿度、気圧等)、内燃力発電機101ごとの出力値、NOx発生量等の運転状況に関するデータを収集し、運転記録DB52に記憶させる。その後、CPUは、処理をステップS14に移す。
【0042】
ステップS14において、CPU2011(発電機運転制御部14)は、内燃力発電機101の出力を制御する。より具体的には、CPU2011は、ステップS13において収集された負荷量の変動データに応じて発電出力を増大させるために運転する内燃力発電機101を追加させる場合に、追加した内燃力発電機101の出力がNOxの急増する低出力にならないように、運転中の内燃力発電機101の出力を制御し、収集された負荷量の変動データに応じて発電出力を減少させる場合に、運転している内燃力発電機101を停止させたり、出力を減少させたりして、運転中の内燃力発電機101の出力がNOxの急増する低出力にならないように制御する。その後、CPUは、処理をステップS15に移す。
【0043】
ステップS15において、CPU2011は、新たな運転計画を作成するか否かを判断する。より具体的には、CPU2011は、時刻が24時を経過したか否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU2011は、処理をステップS11に移し、NOの場合、CPU2011は、処理をステップS13に移す。
【0044】
本実施形態によれば、内燃力発電機運転制御装置10は、発電時に内燃力発電機101から発生するNOxの発生量を、発電時の発電出力及び当該発電時の気象データに対応付けて、内燃力発電機101ごとに記憶するNOx抑制DB51と、マイクログリッド100における負荷量と内燃力発電機101の運転状況に関するデータとを、時刻ごとの気象データと対応付けて実績データとして記憶する運転記録DB52とを備える。そして、内燃力発電機運転制御装置10は、運転記録DB52に記憶された実績データを参照してマイクログリッド100における負荷量を予測し、予測した負荷量に対応する発電量を決定し、決定した発電量と、NOx抑制DB51に記憶された内燃力発電機101ごとのNOxの発生量とに基づいて、運転させる内燃力発電機101の出力がNOxの急増する低出力にならないような組み合わせを選択する。さらに、内燃力発電機運転制御装置10は、マイクログリッド100における負荷量の変動を収集し、運転記録DB52に記憶させ、収集した負荷量の変動に応じて、内燃力発電機101の組み合わせを選択し、運転中の内燃力発電機101の出力がNOxの急増する低出力にならないように制御する。さらに、内燃力発電機運転制御装置10は、運転記録DB52に記憶された実績データに基づいて、内燃力発電機101の出力がNOxの急増する低出力になる出力域を抽出する。
したがって、内燃力発電機運転制御装置10は、マイクログリッド100における内燃力発電機101の制御に関して、内燃力発電機101の出力が低出力になることを回避して、NOxの発生を抑制することができ、さらに負荷量の変動に応じて適切な発電量を供給する際に、内燃力発電機101の出力が低出力になることを回避して、NOxの発生を抑制することができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0046】
10 内燃力発電機運転制御装置
11 発電量決定部
12 発電機運転選択部
13 運転状況監視部
14 発電機運転制御部
15 低出力域抽出部
51 NOx抑制DB
52 運転記録DB
53 運転計画DB
100 マイクログリッド
101 内燃力発電機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクログリッドにおける複数の内燃力発電機の発電を制御する内燃力発電機運転制御装置であって、
発電時に前記内燃力発電機から発生する窒素酸化物の発生量を、発電時の発電出力及び当該発電時の気象データに対応付けて、前記内燃力発電機ごとに記憶するNOx抑制記憶部と、
前記マイクログリッドにおける負荷量と前記内燃力発電機の運転状況に関するデータとを、時刻ごとの気象データと対応付けて実績データとして記憶する運転記録記憶部と、
前記運転記録記憶部に記憶された前記実績データを参照して前記負荷量を予測し、予測した前記負荷量に対応する発電量を決定する発電量決定部と、
前記発電量決定部が決定した前記発電量と、前記NOx抑制記憶部に記憶された前記内燃力発電機ごとの窒素酸化物の発生量とに基づいて、運転させる前記内燃力発電機の出力が窒素酸化物の急増する低出力にならないような組み合わせを選択する発電機運転選択部と、
を備える内燃力発電機運転制御装置。
【請求項2】
前記マイクログリッドにおける負荷量の変動を収集し、前記運転記録記憶部に記憶させる運転状況監視部と、
前記運転状況監視部によって収集された前記負荷量の変動に応じて、前記発電機運転選択部によって前記内燃力発電機の組み合わせを選択させ、運転中の前記内燃力発電機の出力が窒素酸化物の急増する低出力にならないように制御する発電機運転制御部と、
をさらに備える請求項1に記載の内燃力発電機運転制御装置。
【請求項3】
前記運転記録記憶部に記憶された前記実績データに基づいて、前記内燃力発電機の出力が窒素酸化物の急増する低出力になる出力域を抽出する低出力域抽出部を、
さらに備える請求項1又は2に記載の内燃力発電機運転制御装置。
【請求項4】
マイクログリッドにおける複数の内燃力発電機の発電を制御する内燃力発電機運転制御装置が実行する方法であって、
前記内燃力発電機運転制御装置は、
発電時に前記内燃力発電機から発生する窒素酸化物の発生量を、発電時の発電出力及び当該発電時の気象データに対応付けて、前記内燃力発電機ごとに記憶するNOx抑制記憶部と、
前記マイクログリッドにおける負荷量と前記内燃力発電機の運転状況に関するデータとを、時刻ごとの気象データと対応付けて実績データとして記憶する運転記録記憶部と、を備え、
前記方法は、
前記運転記録記憶部に記憶された前記実績データを参照して前記負荷量を予測し、予測した前記負荷量に対応する発電量を決定する発電量決定ステップと、
前記発電量決定ステップが決定した前記発電量と、前記NOx抑制記憶部に記憶された前記内燃力発電機ごとの窒素酸化物の発生量とに基づいて、運転させる前記内燃力発電機の出力が窒素酸化物の急増する低出力にならないような組み合わせを選択する発電機運転選択ステップと、
を備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−93933(P2013−93933A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233256(P2011−233256)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】