説明

内燃機関のガスセンサ被水防止構造

【課題】吸気通路壁面に外方へ突出した副室を設け、該副室内にガスセンサを配置することで、吸気通路を流れる吸気に混入した水滴は主流に乗って流れるので、副室内に水滴が入り難くなりガスセンサに直接衝突することを防止して、ガスセンサの被水割れを防止することを目的とする。
【解決手段】エンジン10の吸気通路62aに取付けられたA/Fセンサに、吸気中に混入した水滴が付着するのを防止する被水防止構造において、吸気通路62aを形成する通路壁面62bに設けられた開口部63aに連続して、該通路壁面62bの外方へ突出した副室63と、該副室63内に配設された空燃比センサ58とを備えとともに、吸気通路62aを流れる吸気を副室63内に導くように開口部63の入口部に通路壁面を副室内側へ傾斜させた傾斜面63cを設たことたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の吸気通路に取付けられたガスセンサに、吸気中に混入した水滴が付着するのを簡易な手段で防止可能にする内燃機関のガスセンサ被水防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の内燃機関は、排ガス浄化装置として排ガスの一部を吸気路に再循環するEGR装置や、吸気を加圧して燃焼効率を高める過給機が設けられ、かつ燃料の噴射量や噴射時期を制御することで、出力を向上させると共に、NOxやスモークの発生を最小限に抑えることが可能になってきた。
また、ディーゼルエンジン及びその他の内燃機関では、吸気温度を下げ、単位容積当りの吸気質量を増加させて出力を向上させるため、吸気通路にインタークーラを設けている。しかし、インタークーラで吸気を冷却し過ぎると、インタークーラの出口側で吸気から凝縮水が発生する。
【0003】
この凝縮水が下流側吸気管に設けられたガスセンサなどのセンサ素子に衝突すると、素子割れによりセンサが破損するおそれがある。すなわち、センサ素子は、ヒータにより加熱されているため水滴が衝突すると熱衝撃で割れを生じるおそれがある。
また、大量の凝縮水がシリンダに進入すると、蒸気爆発が起こり、シリンダ構成機器が破損するおそれもある。
排ガス中には燃料の燃焼によって生成される水蒸気が含まれるため、含有水蒸気量は吸気より多く、EGR装置を備えた内燃機関では、排ガスの一部が吸気管に導入されることによって、インタークーラで冷却されると一層凝縮水が発生しやすい。
【0004】
特開2007−321593号公報(特許文献1)には、略水平方向に延びる排気管に取付けられたA/Fセンサに排ガス中の凝縮水が付着するのを低減するために、排気管の内部におけるA/Fセンサの上流側に、排ガスの一部を当該A/Fセンサに対して鋭角に整流するための整流板を備える構成が示されている。
この整流板により排ガスの一部がA/Fセンサに対して鋭角に整流されるため、凝縮水がA/Fセンサに付着する確率が低減する。また、整流板に付着した凝縮水は落下が促され、A/Fセンサから早期に離脱し易くなる技術が開示されている。
【0005】
特開2003−65171号公報(特許文献2)には、サージタンクの内部に向かって陥没し、かつ、内部空間に張出すように形成されたA/Fセンサ取付部を設け、このセンサ取付部に収容されるように、A/Fセンサを組付ける。A/Fセンサ取付部の底面にサージタンクの壁面を伝わって流れるオイルや水分をせき止めるための環状凸部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−321593号公報
【特許文献2】特開2003−65171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、A/Fセンサの被水を軽減するために、該A/Fセンサの上流側に整流板を設けて、排ガス中に混入している凝結水がA/Fセンサに付着する確率を低減させ、更に、付着した凝縮水は落下が促され、A/Fセンサから早期に離脱させて凝結水の付着を減少させるが、該A/Fセンサの下部は常に排ガスの主流に直接晒される状態となっており、凝結水がA/Fセンサに付着する不具合は依然として有するものである。
【0008】
また、特許文献2では、A/Fセンサ取付部の底面にサージタンクの壁面を伝わって流れるオイルや水分をせき止めるための環状凸部が設けられているが、A/Fセンサの下部は環状凸部よりサージタンクの内部空間側に突出しており、サージタンクの壁面を伝わって流れるオイルや水分が環状凸部より落下し、吸気ガスに乗ってA/Fセンサの下部に付着する可能性があり、更に、該A/Fセンサの下部は常に吸気の主流に直接晒される状態となっているため、凝結水がA/Fセンサに付着する不具合は依然として有するものである。
【0009】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、吸気通路壁面に外方へ突出した副室を設け、該副室内にガスセンサを配置することで、吸気通路を流れる吸気に混入した水滴がガスセンサに直接衝突することを防止して、ガスセンサの被水割れを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため、本発明は、内燃機関の吸気通路に取付けられたガスセンサに、吸気中に混入した水滴が付着するのを防止する被水防止構造において、前記吸気通路を形成する通路壁面に設けられた開口部に連続して、該通路壁面から外方へ突出して形成された副室と、該副室内に配設されたガスセンサとを備えたことを特徴とする。
【0011】
かかる発明によれば、吸気通路を形成する通路壁面に設けられた開口部に連続して、通路壁面から外方に突出した副室内にガスセンサを配置したので、吸気通路を流れる吸気に混入した水滴は主流に乗って流れるため、副室内に水滴が入り難くなりガスセンサに直接水滴が衝突することを防止できる。
【0012】
また、本発明において好ましくは、前記吸気通路を流れる吸気を前記副室内に導くように前記開口部の入口部に通路壁面を副室内側へ傾斜させた傾斜面を設けるとよい。
【0013】
このように、吸気通路を流れる吸気を前記副室内に導くように前記開口部の入口部に通路壁面を副室内側へ傾斜させた傾斜面を設けたので、吸気が副室内に入り易くなり、ガスセンサの誤検出及び、応答遅れを回避することができる。
【0014】
また、本発明において好ましくは、前記傾斜面は、該傾斜面の延長線が前記ガスセンサに対し吸気通路側に位置するように形成するとよい。
【0015】
このように、傾斜面は、該傾斜面の延長線がガスセンサに対し吸気通路側に位置するように形成されているので、導入した吸気に混入された水滴がガスセンサに直接衝突しないようにすることができる。
【0016】
また、本発明において好ましくは、前記傾斜面は、該記傾斜面の延長線と、該延長線と交差する副室壁面の接線とが成す角度が鈍角となるような傾斜面角度に形成されるとよい。
【0017】
このように、傾斜面の延長線と、該延長線と交差する副室壁面の接線とが成す角度が鈍角となるようにしたので、副室内に導入された吸気に混入した水滴が副室壁面に衝突して、ガスセンサに向かって跳ね返らずに、副室壁面に沿うように流れるようにする。
【0018】
また、本発明において好ましくは、前記副室は、該副室内に導入された吸気を旋回させる環状壁面を有すると共に、前記ガスセンサは、該環状壁面に沿って流れる旋回流の中心部に該旋回流の軸線に沿って配置されるとよい。
【0019】
このような構成にすることにより、副室の壁面を環状の壁面にすることで、吸気を旋回させて、吸気に混入している水滴の比重が大きいことを利用して、水滴を副室の壁面に捕捉させて水滴がガスセンサに衝突するのを効果的に防止することができる。
【0020】
また、本発明において好ましくは、前記副室壁面には、該副室壁面に捕捉された水滴を前記副室外へ排出する排出部が該副室の重力方向下側に設けるとよい。
【0021】
このような構成にすることにより、副室壁面の重力方向下側に設けることで、副室壁面に付着した水滴が旋回流に乗って、副室外へ排出されるので、副室内に水滴が入らないようにできる。
また、エンジン停止後に吸気の流れが停止し,副室内旋回流が発生しなくなった場合は、副室内に傾斜(θ3)を設けているため,エンジン停止後に副室内に残存する水滴を、センサと接触することなく排出できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、吸気通路を形成する通路壁面に設けられた開口部に連続して、通路壁面から外方に突出した副室内にガスセンサを配置したので、吸気通路を流れる吸気に混入した水滴は主流に乗って流れるため、副室内に水滴が入り難くなりガスセンサに直接水滴が衝突することを防止できる。
また、吸気通路を流れる吸気を前記副室内に導くように前記開口部の入口部に通路壁面を副室内側へ傾斜させた傾斜面を設けたので、吸気が副室内に入り易いため、ガスセンサの誤検出及び、応答遅れについても回避することができる。
さらに、吸気を旋回させて、吸気に混入している水滴の比重が大きいことを利用して、水滴を副室の壁面に捕捉させて水滴がガスセンサに衝突するのを効果的に防止することができる。
また、エンジン停止後に吸気の流れが停止し,副室内旋回流が発生しなくなった場合は、副室内に傾斜(θ3)を設けているため,エンジン停止後に副室内に残存する水滴を、センサと接触することなく排出できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】車両に搭載されたディーゼルエンジンに本発明を適用した全体構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態における図1のA−A断面図を示す。
【図3】(A)は図2のY部の部分拡大詳細図を示し、(B)は(A)のX矢視図を示す。
【図4】(A)は本発明の第2実施形態における図2のY部の部分拡大詳細図を示し、(B)は(A)のA−A断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0025】
車両に搭載されたディーゼルエンジンに本発明を適用した全体構成を図1〜図2に基づいて説明する。図1に示す本実施形態のディーゼルエンジン10において、シリンダブロック12の上部にシリンダヘッド14が設けられている。シリンダヘッド14には、シリンダブロック12内を往復運動するピストン13とシリンダヘッド14とで形成される燃焼室15の中央(各シリンダ中央)に燃料噴射装置16が設けられ、シリンダヘッド14の燃料噴射装置16の両側に、吸気導入部及び排ガス排出部が設けられている。該吸気導入部は、吸気マニホールド17を介して第2吸気管18に接続され、該排ガス排出部は、排気マニホールド19を介して排気管20に接続されている。
【0026】
第2吸気管18及び第1排気管20の途中に、第2吸気管18に設けられたコンプレッサ及び第1排気管20に設けられた排気タービンからなる過給機22が設けられている。過給機22より下流側の第2排気管21には、ディーゼル・パーティキュレート・フィルタを備えた排ガス浄化装置24が設けられている。過給機22の上流側の第1排気管20と過給機22の下流側の第2吸気管18とを接続する高圧EGR管26と、高圧EGR管26に介設され、EGRガスを浄化する触媒装置28と、高圧EGR管26の出口部に設けられ、高圧EGR管26を流れるEGRガスの流量を調節可能な高圧EGRバルブ30とからなる高圧EGR装置32が設けられている。
【0027】
過給機22の吸気系上流側には、過給機22の下流側の第2排気管21と過給機22の上流側の第1吸気管23とを接続する低圧EGR管34と、低圧EGR管34に介設された低圧EGRクーラ36と、EGR管34の出口部に設けられ、低圧EGR管34を流れるEGRガスの流量を調節可能な低圧EGRバルブ37とからなる低圧EGR装置38が設けられている。
【0028】
過給機22の下流側の第2吸気管18に、吸気を冷却するインタークーラ40が設けられている。上流側の第1吸気管23の入口23aには、フィルタ装置42と、フィルタ装置42の下流側に、吸気流量を検出するエアフローセンサ44、吸気温度センサ46及び吸気湿度センサ48が設けられている。また、これらセンサの下流側の第1吸気管23及びインタークーラ下流側の第2吸気管18に、シリンダ内に吸引される吸気量を調節する吸気スロットル弁50及び52が設けられている。各吸気マニホールド17には、吸気温度センサ54、吸気圧力を検出するブーストセンサ56及びA/Fセンサ58が設けられている。
【0029】
ディーゼルエンジン10の運転開始で、排ガスeによって過給機22の排気タービンが駆動され、過給機22のコンプレッサによって大気が上流側の第1吸気管23に吸引される。また、前記各センサ類から検出信号がECU60に入力される。ECU60は、これらの検出信号に応じて、吸気スロットル弁50,52、EGRバルブ30、36、燃料噴射装置16、及びインタークーラ40に設けられたシャッタ装置(図示省略)及び電動ファン(図示省略)等を制御する。
【0030】
かかる構成において、中低負荷時には、高圧EGR装置32で多量の排ガスを第2吸気管18に再循環させ、排ガス中NOx量を低減する。高負荷時には、低圧EGR装置38から少量の排ガスを比較的高精度で第2吸気管18に再循環させ、排ガス中のNOx量を低減する。また、第2吸気管18に設けられた吸気温度センサ46、54及びガスセンサの一つである空燃比センサ58(以後A/Fセンサと称す)により、シリンダに導入される新吸気とEGRガスとの混合ガスの温度及びO濃度を検出し、これら検出信号をECU60に入力する。ECU60は、これらの検出信号に応じて、過給圧、低圧EGR装置38及び高圧EGR装置32から導入されるEGRガス量、燃料噴射装置16の燃料噴射量、噴射時期を制御する。これによって、排ガス中のNOx量を最小限に抑えることができる。なお、過給圧は、可変ベーンを備えた過給機の可変ベーンの角度調節、又はウェイストゲートを備えた過給機のウェイストゲートの開度調節等によって調節される。
【0031】
吸気の水蒸気含有可能量Wmは、吸気aの圧力と温度に影響され、例えば、吸気aの圧力が低減すると増加し、吸気aの圧力が増加すると、減少する。また、吸気aの温度が低いと、減少し、吸気aの温度が高いと、増加する。また、水蒸気含有可能量Wmに対する影響は、圧力より温度のほうが大きい。
【0032】
従って、燃料が燃焼したとき、水が生成されるため、EGRガスの含有水蒸気量Wmは新気より多い。また、EGRガスの温度は高いため、水蒸気含有可能量Wmは新気より多くなる。従って、EGRガスが混合した後の吸気aの水蒸気量は、新気及びEGRガスに含まれる水蒸気量が合計される。過給機22によって過給された後、吸気aの圧力は上昇するが、温度も上昇するため、水蒸気含有可能量Wmは若干多くなる。その後、吸気aがインタークーラ40Aで冷却されると、水蒸気含有可能量Wmが減少し、吸気aの含有水蒸気量と水蒸気含有可能量Wmとの差が凝縮水生成量Wnとなる。
このようにして、吸気中に生成された凝縮水は、吸気aと伴に吸気通路62aを形成するサージタンク62を通過して吸気マニホールド17から燃焼室へ吸入される。これらの凝縮水がA/Fセンサ58等に付着する。
【0033】
(第1実施形態)
図2、3に基づいて、本発明にかかるガスセンサ被水防止構造の第1実施形態について説明する。
図3(A)は図2のY部の部分拡大図を示し、(B)は図3(A)のX矢視図を示す。
吸気aはサージタンク62の吸気通路62aをZ矢視方向(重力方向下側から上方へ)から吸気マニホールド17に入り、該吸気マニホールド17の分岐管17aからエンジン10の各燃焼室15に吸入される。
【0034】
吸気通路62aを形成する通路壁面62bに開口部63aが配設され、該開口部63aに連続して吸気通路62aの外方に突出した円筒状(環状)の副室壁面63bによって空間部63sが形成され、該円筒状の空間部63sの中心軸線CLが水平方向になる副室63が形成される。
そして、円筒状の中心軸線CL近傍に、該中心軸線CLに沿ってA/Fセンサ58は配設されている。
【0035】
開口部63aの吸気通路62aの上流側には、空間部63sに吸気aが導入され易くする導入傾斜面63cが形成されている。
導入傾斜面63cの傾斜角度θ1は、導入傾斜面63cの延長線L1と、該延長線L1と副室壁面63bの交差する部分P1の接線とが成す角度θ2が鈍角になるように導入傾斜面63cの傾斜角度が調整される。
これは、導入された吸気aに混入されている水滴が副室壁面63bに衝突し、跳ね返った水滴がA/Fセンサ58に付着しないようにするものである。
また、傾斜角度θ1の延長線L1は、A/Fセンサ58に接する事が無いようにすると共に、A/Fセンサ58が延長線L1に対し、吸気通路62aの反対側に位置するように、配置されている。
【0036】
このような配置にすることにより、導入された吸気aが直接A/Fセンサ58に衝突しないようにして、A/Fセンサ58の被水防止効果を高める。
また、図3(B)は、図3(A)のX矢視図を示し、A/Fセンサ58は副室63の側壁面63eから水平方向へ向けた状態で配置されている。
そして、A/Fセンサ58の先端部58aは反対側の側壁面63fに対し隙間を有して配置されている。
【0037】
更に、開口部63aの吸気通路62a上流側は、該吸気通路62aの上流側(重力方向下側)へ傾斜した排出傾斜面63dが形成されている。
排出傾斜面63dには、副室壁面63bに付着した水滴が吸気aの流れに押されて空間部63sの排出傾斜面63dに到達し、再び、水滴は排出傾斜面63dから吸気aと伴に吸気通路62aに戻っていく。
【0038】
このような構造にすることにより、吸気通路62aを流れる吸気aは導入傾斜面63cに沿って空間部63s内に導入され、円筒状の副室壁面63bに沿って円周状に回転し、比重の大きい水滴は遠心力により副室壁面63bに付着し、吸気aの水滴が分離され、A/Fセンサ58に水滴が直接衝突するのを防止できる。
また、副室壁面63bに付着した水滴は、吸気aの流れに押され、排出傾斜面63dを伝わり吸気通路62aに戻すようになっている。
空間部63s内の吸気aは、該空間部63s内で加速され、加速された吸気aに乗った水滴は比重が大きいので、吸気通路62a内に容易に進入して、再び副室63内に入ることが無く、A/Fセンサ58の被水をより効果的に防止できる。
また、エンジン停止後に吸気の流れが停止し,副室内旋回流が発生しなくなった場合は、副室内に傾斜(θ3)を設けているため,エンジン停止後に副室内に残存する水滴を、センサと接触することなく排出できる。
【0039】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について、図4(A)、及び(B)に基づいて説明する。
尚、第2実施形態は吸気aの流れ方向が、第1実施形態が下方から上方向へ流れるのに対し、水平方向に流れる場合を示しそれ以外は同じため、エンジンシステムの説明は省略し、同一部品は同一符号を付し、説明は省略する。
【0040】
図4(A)は図2のY部の部分拡大詳細図を示し、(B)は図4(A)のA−A断面を示す。
吸気aはサージタンク62の吸気通路62aをZ矢視(水平方向)から吸気マニホールド17に入り、該吸気マニホールド17の分岐管17aからエンジン10の各燃焼室15に吸入される。
該副室65の中心部にはA/Fセンサ58が配置されている。A/Fセンサ58
は図4(B)に示すように、副室65内の上側(重力方向)から下側に向け装着されている。
【0041】
図4(A)に示すように、吸気aは吸気通路62aを略水平方向に流れる場合を示している。吸気aは矢印Z方向から流れてくる。
吸気通路62aを形成する通路壁面62bに開口部65aが配設され、該開口部65aに連続して吸気通路62aの外方に突出した円筒状(環状)の副室壁面65bによって空間部65sが形成され、該円筒状の空間部65sの中心軸線CLが略水平方向になる副室65が形成される。
【0042】
開口部65aの吸気通路62aの上流側には、空間部65sに吸気aが導入され易くする導入傾斜面65cが形成されている。
そして、円筒状の中心軸線CL近傍に、該中心軸線CLに沿ってA/Fセンサ58は配設されている。
導入傾斜面65cの傾斜角度θ1は、導入傾斜面65cの延長線L1と、該延長線L1と副室壁面65bの交差する部分P1の接線とが成す角度θ2が鈍角になるように調整される。
これは、導入された吸気aに混入されている水滴が副室壁面65bに衝突し、跳ね返った水滴がA/Fセンサ58に付着しないようにするものである。
また、傾斜角度θ1の延長線L1は、A/Fセンサ58に接する事が無いようにすると共に、A/Fセンサ58が延長線L1に対し、吸気通路62aの反対側に位置するように、配置されている。
【0043】
このような配置にすることにより、導入された吸気aが直接A/Fセンサ58に衝突しないようにして、A/Fセンサ58の被水防止効果を高めるものである。
また、図4(B)は、図4(A)のA−A断面を示し、A/Fセンサ58は副室65の上壁面65eから下方(重力方向)へ向け垂下した状態で配置されている。
そして、A/Fセンサ58の先端部58aは下壁面65dに対し隙間を有して配置されている。
更に、下壁面65dは吸気通路62a側に対し下方へ傾斜した面となっており、副室壁面63bに付着した水滴が下方へ流れ、傾斜した下壁面65dを伝わり吸気通路62aに流れるようになっている。
また、エンジン停止後に吸気の流れが停止し,副室内旋回流が発生しなくなった場合は、副室内に傾斜(θ3)を設けているため,エンジン停止後に副室内に残存する水滴を、センサと接触することなく排出できる。
【0044】
このような構造にすることにより、吸気通路62aを流れる吸気aは導入傾斜面65cに沿って空間部65s内に導入され、円筒状の副室壁面65bの円周に沿って回転し、比重の大きい水滴は遠心力により副室壁面63bに付着し、吸気aの水滴が分離され、A/Fセンサ58の被水を防止できる。
また、副室壁面65bに付着した水滴は、重力により下方へ流れ、下壁面65dを伝わり吸気通路62aに流れるようになっている。
さらに、エンジン停止後に吸気の流れが停止し,副室内旋回流が発生しなくなった場合は、副室内に傾斜(θ3)を設けているため,エンジン停止後に副室内に残存する水滴を、センサと接触することなく排出できる。
これにより、分離された水滴が吸気aの流れにより再び副室65内に入ることが無く、A/Fセンサ58の被水はより効果的に防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
内燃機関の吸気又は排気通路に装着されるガスセンサが被水して破損するのを防止する被水防止構造として利用できる。
【符号の説明】
【0046】
10 ディーゼルエンジン
12 シリンダブロック
14 シリンダヘッド
16 燃料噴射装置
17 吸気マニホールド
18 第2吸気管
19 排気マニホールド
20 排気管
22 過給機
23 第1吸気管
24 排ガス浄化装置
32 高圧EGR装置
38 低圧EGR装置
40 インタークーラ
44 エアフローセンサ
50、52 吸気スロットル弁
58 A/Fセンサ(ガスセンサ)
60 ECU
62 サージタンク
62a 吸気通路
63、65 副室
63a、65a 開口部
63b、65b 副室壁面
63c、65c 導入傾斜面
a 吸気
e 排ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の吸気通路に取付けられたガスセンサの被水防止構造において、前記吸気通路を形成する通路壁面に設けられた開口部に連続して、該通路壁面から外方へ突出して形成された副室と、該副室内に配設されたガスセンサとを備えたことを特徴とする内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
【請求項2】
前記吸気通路を流れる吸気を前記副室内に導くように前記開口部の入口部に通路壁面を副室内側へ傾斜させた傾斜面を設けたことを特徴とする請求項1記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
【請求項3】
前記傾斜面は、該傾斜面の延長線が前記ガスセンサに対し吸気通路側に位置するように形成されていることを特徴とする請求項2記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
【請求項4】
前記傾斜面は、該記傾斜面の延長線と、該延長線と交差する副室壁面の接線とが成す角度が鈍角となるような傾斜面角度に形成したことを特徴とする請求項2又は3記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
【請求項5】
前記副室は、該副室内に導入された吸気を旋回させる環状壁面を有すると共に、前記ガスセンサは、該環状壁面に沿って流れる旋回流の中心部に該旋回流の軸線に沿って配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
【請求項6】
前記副室壁面には、該副室壁面に捕捉された水滴を前記副室外へ排出する排出部が該副室の重力方向下側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−44270(P2013−44270A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182081(P2011−182081)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)