説明

内燃機関の円筒型空気濾過清浄器の再生方法

【課題】費用や再組付け工数を削減することができる内燃機関の円筒型空気濾過清浄器の再生方法を提供する。
【解決手段】使用済みの円筒型空気濾過清浄器の外筒を剥離して、濾過紙からなるフィルタを撤去し、最内側円筒体の外表面に、第1繊維材24を巻装する。この第1繊維材24の外表面に、炭素繊維素材からなる吸入空気活性材25を巻装し、さらに、吸入空気活性材25の外表面に、第2繊維材を巻装する。その後、前記第2繊維材の外周表面又は外側に、ホルミシス効果を奏する第3繊維材を巻装すると共に、空気濾過清浄器の鍔29の対向面間に予め立設した単一又は複数の平板バー28a〜28cに、前記第3繊維材の両端を面ファスナーで脱着自在に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両や船舶又は航空機等の各種の内燃機関の吸気系に配設した円筒型空気濾過清浄器を再生する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関の空気濾過清浄器の例として特許文献1に示すものがある。これについて図7を参照して説明すれば、1Aは、円筒型空気濾過清浄器の例であって、内筒4A及び外筒2Aにはエキスパンドメタル又はパンチングメタルで構成し、その内外筒4A、2A間にジグザグ状に形成した濾過紙からなるフィルタ3Aを配置している。そして、外気、つまり、燃焼用空気は矢印Bのように外筒2Aから流入し、矢印Cのように内筒4Aから吐出すると共に内燃機関側へ流過する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−193524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の空気濾過清浄器によれば、長時間の使用に際し、前記フィルタ3Aの汚れが激しくなり、該フィルタ3Aの目詰まり現象も惹起され最悪のときは、燃焼用空気が内燃機関側へ流過しなくなる。そこで、前記フィルタ3Aや当該空気濾過清浄器1A全体を取替える必要があり、その費用や再組付け工数が増大するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る内燃機関の円筒型空気濾過清浄器の再生方法は叙上の問題点を解決すべく発明したものであり、次の構成、手段から成立する。
【0006】
すなわち、請求項1記載の発明は、内燃機関の吸入空気流通経路に配置される円筒型空気濾過清浄器の再生方法であって、
使用済みの空気濾過清浄器の外筒を剥離して、濾過紙からなるフィルタを撤去する工程と、エキスパンドメタル又はパンチングメタルで構成された最内側円筒体の外表面に、ホルミシス効果を奏する第1繊維材を巻装する工程と、前記円筒型第1繊維材の外表面に、炭素繊維素材からなる吸入空気活性材を単一又は複数回巻装する工程と、前記円筒型吸入空気活性材の外表面に、ホルミシス効果を奏する第2繊維材を単一又は複数回巻装する工程と、前記第2繊維材の外周表面又は外側に、ホルミシス効果を奏する第3繊維材を単一又は複数回巻装すると共に、空気濾過清浄器の鍔の対向面間に予め立設した単一又は複数の平板バーに、前記第3繊維材の両端を面ファスナーで固定する工程と、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る円筒型空気濾過清浄器の再生方法は、上述した構成を有するので次の効果がある。
すなわち、使用済み円筒型空気濾過清浄器のエキスパンドメタル等で構成される最内側円筒体や鍔を有効活用できるので、組立の迅速化と合理化が図れる。
また、空気中に含まれていた塵埃等によって、第3繊維材が汚れている場合は、面ファスナーで取り付けている第3繊維材を取り外し、水洗いをした後乾燥させることで繰り返し何度も使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る内燃機関の円筒型空気濾過清浄器の再生方法を適用して得られた円筒型空気濾過清浄器を示す断面図である。
【図2】前記円筒型空気濾過清浄器に適用する第3繊維材の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る円筒型空気濾過清浄器の再生方法を示す斜視図であって、(a)は使用済みの空気濾過清浄器を、(b)は外筒を剥離する状態をそれぞれ示すものである。
【図4】本発明に係る円筒型空気濾過清浄器の再生方法を示す斜視図であって、(a)は最内側円筒体を、(b)は上下の鍔に第1ないし第3平板バーを固定した状態をそれぞれ示すものである。
【図5】本発明に係る円筒型空気濾過清浄器の再生方法を示す斜視図であって、(a)は第1繊維材を巻装した状態を、(b)は吸入空気活性材を巻装した状態をそれぞれ示すものである。
【図6】本発明に係る円筒型空気濾過清浄器の再生方法を示す斜視図であって、(a)は第2繊維材を巻装した状態を、(b)は第3繊維材を巻装した状態をそれぞれ示すものである。
【図7】従来の円筒型空気濾過清浄器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る内燃機関の円筒型空気濾過清浄器の再生方法の実施の形態について添付図面に基づき詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明に係る円筒型空気濾過清浄器の再生方法を適用して得られる円筒型空気濾過清浄器Aの断面図を示すものである。
該円筒型空気濾過清浄器Aは、内燃機関の吸気系としての吸入空気流通経路に設置される。23は、内燃機関側に於ける枠体としての最内側円筒体であって、エキスパンドメタル又はパンチングメタル等で構成されている。
このエキスパンドメタルは、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム鋼等の材料で形成され、例えば、原型メッシュを圧延し、薄板状に同一平面にし、亜鉛メッキ加工若しくはコーテング等各種の表面処理を行なう。そして、薄板平板状にした該エキスパンドメタルを最内側円筒体23に成形する。また、該最内側円筒体23は、例えば、パンチングメタルを使用し、薄板平板状にパターン化した孔を穿けて成形することもできる。
尚、最外側にも当該内側円筒体23と同一構成の円筒枠体を配備してもよい。
【0011】
24は、第1繊維材であって、前記最内側円筒体23の外側又は外表面に巻装し円筒型に形成している。該第1繊維材24は、ホルミシス効果を奏する放射線を放射し、遠赤外線を発生させると共に外部より取入れた吸入空気に反応してマイナスイオンを発生させる素材を塗布し、それを沈着した繊維で構成し、単一部材からなる。
【0012】
25は、円筒型吸入空気活性材であり、前記第1繊維材24の外側又は外表面に巻装又は介装され、その材料は、炭素繊維素材、トルマリン粉粒剤、モナズ石粉粒剤、セラミック粉粒剤、炭素粉粒剤、シリコン粉粒剤、ガラス繊維粉粒剤のいずれかを充填して作製し、また、上記各粉粒剤を適宜に選択混合して作製する。
また、トルマリン粉粒剤は黒トルマリン又は赤トルマリンを使用し、紅寒水石、リチア石青方解石又は隆寒水石や珪酸塩鉱物又は炭素素材の粉粒体でもよい。そして、上述したトルマリン粉粒等は、後述するホルミシス効果を奏する繊維材で構成した外側円筒体層と協調してマイナスイオンや遠赤外線を発生させる素材として有効である。
【0013】
また、本発明では放射線発生素材としてモナズ石粉粒剤や微量のコバルト、ストロンチューム、ヨウ素、ナトリウム、セシウム、ラジウム、ウラン、ラドン、プルトニウム、リン、カリウム及び鉄等を含有する各種の鉱物の粉粒体を使用してもよい。
そして、上述した円筒型吸入空気活性材の素材を適宜選択し混合・調整することにより各種内燃機関の設計仕様等に合理的に適合させることができる。該円筒型吸入空気活性材25は、単一又は複数層、例えば、3層の円筒体で構成されている。
【0014】
26は、前記第1繊維材24と同材料で構成された第2繊維材であり、前記円筒型吸入空気活性材25の外側又は外表面に巻装されて円筒型を構成し、単一又は複数個の層を形成している。図1は4層からなる第2繊維材26を示している。また、最外側には前記第1及び第2繊維材24、26と同材料、同一形状の第3繊維材27を巻装している。この第3繊維材27は、第2繊維材26に於ける外気導入側であって単一又は多層で構成されてあって、脱着自在に覆設かつ構成し脱着用繊維材として機能を有する。
【0015】
前記第1、第2繊維材24、26は、予め上下の薄い平板状のリング又は鍔の対向面側の周縁部に、ホットボンド又は接着剤等で巻方向に立設・固定されている金属製又は硬質プラスチック製の第1及び第2平板バー28a、28bの内側に巻装されている。そして、前記第3繊維材27は巻方向に対し略直角方向であってかつ上下の鍔の対向面側の周縁部にホットボンド又は接着剤等で立設・固定された第3平板バー28cの両側面に雄型・雌型の面ファスナー27a、27bで接着・固定されている。そして、前記第1ないし第3平板バー28a、28b、28cは図4に示すように当該円筒型空気濾過清浄器Aの中心から例えば略120ーの角度を有して互いに隔離して配備している。
【0016】
尚、脱着用繊維材としての第3繊維材27は、図2に示すように略矩形体からなる平板状に形成され、その両端には雄型・雌型の面ファスナー27a、27bを固着してあり、これを巻装した後この面ファスナー27a、27bで第3平板バー28cの両側面に固定する。
【0017】
而して、吸入空気が例えば3m/秒の速度で吸気管としての吸入空気流通経路に流送されると、図1に示す吸入空気P1が第3及び第2繊維材27、26を経由して円筒型吸入空気活性材25、第1繊維材24を流過し、それ自体がホルミシス効果を奏する放射線を放射し、遠赤外線を発生させると共に外部より取入れた吸入空気に反応してマイナスイオンを発生させ、円筒型吸入空気活性材25によりこれに協調し、さらに、当該マイナスイオン及び遠赤外線を活性させる作用を行い、その活性化した吸入空気P2が内燃機関の燃焼室へ流送される。本発明はこのように構成されたので、全体が簡易な構成からなる円筒型空気濾過清浄器Aを製作できると共に内燃機関の燃焼効率を向上することができる。
【0018】
次に、前記円筒型空気濾過清浄器Aの組立手順や方法等について説明する。
図3(a)に示すような使用済みの空気濾過清浄器1Aに於いて、先ず、エキスパンドメタル又はパンチングメタル等で構成した外筒2Aを図3(b)に示すように剥離する。そして、濾過紙からなるフィルタ3Aを撤去する(図4(a)参照)。
【0019】
次に、図4(b)に示すように、最内側円筒体23の各上下に設けられた鍔29、29の相互対向面の周縁部29a、29bに、例えば金属製又は硬質プラスチック製の前記第1、第2及び第3平板バー28a、28b、28cを懸架しかつホットボンドや接着剤等で立設・固定する。このとき、前記第1及び第2平板バー28a、28bは、最内側円筒体23の面に対して平行であって、その接線方向に配置される。また、第3平板バー28cは、最内側内筒体23の面に対して垂直方向に配置される。かくして、該最内側内筒体23の面と該第1ないし第3平板バー28aないし28cの面とで間隔Sを形成し、この間隔S内に図1に示す第1繊維材24、炭素繊維素材等で構成した円筒型空気活性材25及び単一又は多層からなる第2繊維材26を巻装する。
【0020】
さらに、図5(a)に示すように、前記最内側円筒体23の外表面に第1繊維材24を巻装し、その両端を接着剤等により固定すると共に該第1繊維材24を最内側円筒体23に固定する。この第1繊維材24の機能は、吸入空気が当該円筒型空気濾清浄器Aに流過した際、この吸入空気により例えば炭素繊維素材に包含される炭素分の微粒子が内燃機関内に混入することを防止する。そして、当該第1ないし第3繊維材24、26、27は、ホルミシス効果を奏する微量の放射線を照射し、遠赤外線を発生させると共に外部より取入れた吸入空気に反応してマイナスイオンを発生させ、濾過としての機能も併有する。
【0021】
次に、図5(b)に示すように前記第1繊維材24の外周表面、外表面又は外側に、円筒型吸入空気活性材25を単一又は複数回巻装し、この両端をホットボンド又は接着剤等で固定する。
尚、円筒型吸入空気活性材25は、例えば炭素繊維素材で構成されるが、これに限定されず、前述したようにトルマリン粉粒剤やモナズ石粉粒剤等各種の材料が考えられる。そして、これらの材料を適宜混合し、作製してもよい。
【0022】
さらに、図6(a)に示すように、前記円筒型吸入空気活性材25の外周表面又は外側に単一又は複数回に渉り、第2繊維材26を巻装する。この際、上下の鍔29、29の対向面に於ける周縁部29a、29bに立設・固定された第1ないし第3平板バー28a、28b、28cの内側、つまり間隔S内をくぐらせるようにして巻装し、該第2繊維材26の端部をホットボンド又は接着剤等で固定する。尚、第2繊維材26の端部に雄型又は雌型の面ファスナーを貼付け、これを結合することにより固定してもよい。
【0023】
そして、図6(b)に示すように、第3繊維材27を第2繊維材26の外周表面又は外側に単一又は複数回を巻装する。このとき、該第3繊維材27は、図1に示すように前記第1、第2平板バー28a、28bを被覆すると共にその両端には雄型・雌型の面ファスナー27a、27bを固着し、この雄型・雌型面ファスナー27a、27bが、第3平板バー28cの両側面を密着固定する。
【0024】
上述した組立手順により使用済みの円筒型空気濾過清浄器1Aを再生することができる。このようにすれば、エキスパンドメタル等で構成される最内側円筒体23や上下の鍔29、29を有効活用でき、組立の迅速化と合理化が図れる。
また、再生された円筒型空気濾過清浄器Aを取り付けた車両が、数千キロメートル或いは数万キロメートル走行後の点検等で、内燃機関内に吸入される空気中に含まれていた塵埃等によって、脱着用繊維材すなわち、第3繊維材27が汚れている場合は、その円筒型空気濾過清浄器Aに雄型・雌型の面ファスナー27a、27bで取り付けている第3繊維材27を取り外し、中性洗剤等を用いて水洗いをし、その後よくすすいで乾燥させることで繰り返し何度も使用することができる。
【符号の説明】
【0025】
23 最内側円筒体(枠体)
24 第1繊維材
25 円筒型吸入空気活性材
26 第2繊維材
27 第3繊維材(脱着用繊維材)
27a 雄型・雌型面ファスナー
27b 雄型・雌型面ファスナー
28a 第1平板バー
28b 第2平板バー
28c 第3平板バー
29 鍔(リング)
29a 鍔の対向面の周縁部
29b 鍔の対向面の周縁部
A 円筒型空気濾過清浄器
1A 使用済みの円筒型空気濾過清浄器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の吸入空気流通経路に配置される円筒型空気濾過清浄器の再生方法であって、
使用済みの空気濾過清浄器の外筒を剥離して、濾過紙からなるフィルタを撤去する工程と、
エキスパンドメタル又はパンチングメタルで構成された最内側円筒体の外表面に、ホルミシス効果を奏する第1繊維材を巻装する工程と、
前記円筒型第1繊維材の外表面に、炭素繊維素材からなる吸入空気活性材を単一又は複数回巻装する工程と、
前記円筒型吸入空気活性材の外表面に、ホルミシス効果を奏する第2繊維材を単一又は複数回巻装する工程と、
前記第2繊維材の外周表面又は外側に、ホルミシス効果を奏する第3繊維材を単一又は複数回巻装すると共に、空気濾過清浄器の鍔の対向面間に予め立設した単一又は複数の平板バーに、前記第3繊維材の両端を面ファスナーで固定する工程と、からなることを特徴とする内燃機関の円筒型空気濾過清浄器の再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−116920(P2010−116920A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298531(P2009−298531)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【分割の表示】特願2006−15981(P2006−15981)の分割
【原出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(506028650)
【出願人】(508304479)
【Fターム(参考)】