説明

内燃機関用中空バルブ

【課題】キャップ部の熱を効率よく放熱できる内燃機関用中空バルブを提供する。
【解決手段】中空バルブ1Aは、傘部2とバルブガイド10にて案内されるステム部3とを有し、傘部2からステム部3にかけて中空部4が形成され、かつ中空部4が傘部2の下部に設けられたキャップ部6にて塞がれており、中空部4には、長手方向の熱伝導率が横断面方向の熱伝導率よりも高い線状の複数の炭素繊維束7が設けられ、その一端7aがキャップ部6の内面6aに、他端7bがバルブガイド10とステム部3とが接触し得る範囲に対応する高放熱範囲AR内にそれぞれ位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に中空部が形成された内燃機関用中空バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の吸気バルブ又は排気バルブとして使用され、金属ナトリウム等の冷媒が中空部に封入された中空バルブが広く知られている。また、中空部に熱伝導性の高い金属繊維からなる不整織体を充填した中空バルブが提案されている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】実開昭63−183307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の中空バルブは傘部の高温箇所であるキャップ部の熱を、不整織体を通じて放熱効果の高い軸部(ステム部)の上部へ伝達することができる。しかしながら、不整織体を構成する金属繊維は、その一本の長さがキャップ部からステム部の上端までの寸法よりも長く、しかも不規則に曲げられた状態で中空部へ充填されている。このため、不整織体がステム部の内面に不規則に接することになる。これにより、その接触部分を通じて、キャップ部の熱がステム部の上部だけでなく傘部に近い下部にも伝達されることになり、中空バルブ全体の温度が上昇してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、キャップ部の熱を効率よく放熱できる内燃機関用中空バルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内燃機関用中空バルブは、内燃機関のバルブガイドに案内される吸気バルブ又は排気バルブとして使用され、傘部と前記傘部に続き前記バルブガイドにて案内されるステム部とを有し、前記傘部から前記ステム部にかけて中空部が形成され、かつ前記中空部が前記傘部の下部に設けられたキャップ部にて塞がれた内燃機関用中空バルブにおいて、
前記中空部には、長手方向の熱伝導率が横断面方向の熱伝導率よりも高い線状の熱伝導部材が設けられ、前記熱伝導部材は、一端が前記キャップ部の内面に、他端が前記バルブガイドと前記ステム部とが接触し得る範囲に対応する前記ステム部の内面における所定範囲内に、それぞれ位置するようにして前記中空部に設けられていることにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
【0007】
熱伝導部材は長手方向の熱伝導率が横断面方向の熱伝導率よりも高いので、長手方向への熱伝導が促進される一方で横断面方向への熱伝導が制限される。つまり、熱伝導部材は熱伝導材としての機能と断熱材としての機能とを兼備するため、一端から入力された熱をその途中で放熱することを抑えつつ効率良く他端へ出力することができる。この中空バルブによれば、熱伝導部材の一端がキャップ部の内面に、他端が放熱効果の高いステム部の内面の所定範囲内にそれぞれ位置しているので、キャップ部の熱を効率良くステム部の所定範囲内に伝達できる。所定範囲内に伝達された熱はバルブガイドを通じてシリンダヘッドへ放熱される。これにより、高温になり易いキャップ部を効果的に冷却できるので、この中空バルブが組み込まれた内燃機関のノッキングを抑制できるとともに、熱によるバルブの不具合を回避することができる。
【0008】
本発明の中空バルブの一態様においては、複数の前記熱伝導部材が前記傘部及び前記ステム部の内周方向に並ぶようにして前記中空部に設けられていてもよい(請求項2)。この場合、複数の熱伝導部材によってキャップ部の熱をステム部へ伝達できるため、熱伝達量が増加して冷却効果が向上する。しかも、傘部からステム部の所定範囲に到るまでの部位においては複数の熱伝導部材が内周方向に並び、これらの熱伝導部材によって中空部の内部の熱が断熱されるためその部位の温度上昇を抑制することができる。この中空バルブを吸気バルブとして内燃機関に組み込んだ場合にはその部位が吸気ポートを横切ることになるが、その部位の温度上昇が抑制される結果として吸気温度の上昇も抑制することが可能になる。これにより、吸気温度の上昇に伴う内燃機関の充填効率の低下を防止できるため内燃機関の出力性能を向上させることができる。
【0009】
本発明の一態様においては、前記熱伝導部材の前記一端が前記傘部と前記キャップ部との接合部に位置していてもよい(請求項3)。キャップ部は傘部に対して溶接等の接合手段によって接合されることが一般的である。この態様によれば、接合部を効率良く冷却できるため、温度上昇に伴う接合部の強度低下を抑制できる。
【0010】
本発明の一態様においては、前記熱伝導部材の前記一端が前記キャップ部の前記内面の中央部に位置していてもよい(請求項4)。内燃機関の運転中の吸気バルブ又は排気バルブのキャップ部の温度分布は中央部が最も高く中央部から外側に向かって温度が低下する形態を示す。この態様によれば、温度が最も高いキャップ部の内面における中央部に熱伝導部材の一端が位置しているため、キャップ部をより速やかに冷却することが可能になる。また、キャップ部の温度分布の高低差を緩和できるから、キャップ部に生じる熱応力を低減することができる。
【0011】
熱伝導部材を複数設けた場合、複数の前記熱伝導部材には、前記一端が前記キャップ部の前記内面の中央部に位置する熱伝導部材と、前記一端が前記中央部よりも外側に位置する熱伝導部材とが含まれていてもよい(請求項5)。この場合には、キャップ部の内面の広い範囲で熱が入力されるから、効率良くキャップ部を冷却することができる。
【0012】
また、複数の前記熱伝導部材には、前記他端の位置が前記所定範囲内で互いに異なっている少なくとも二つの熱伝導部材が含まれていてもよい(請求項6)。この場合、熱伝導部材から熱の出力が所定範囲内の一つの位置に集中することを防止できるため、ステム部を利用した放熱の効率が向上する。
【0013】
本発明に係る熱伝導部材は上述した機能を如何なる態様で実現してもよいが、例えば、前記熱伝導部材は、複数の炭素繊維がその繊維方向を一方向に揃えられた状態で束ねられた炭素繊維束にて構成され又は当該炭素繊維束と金属材料とが組合わされた炭素繊維強化金属にて構成されていてもよい(請求項7)。繊維方向が一方向に揃えられた炭素繊維束は、長手方向つまり繊維方向の熱伝導率が横断面方向の熱伝導率よりも数十倍程度高く、繊維方向の引張強度が高く、耐熱性があり、なおかつ軽量な材料であることが知られている。従って、本発明に係る熱伝導部材を炭素繊維束で構成した場合には、内燃機関の吸気バルブ又は排気バルブとしての使用に適した信頼性の高い軽量な中空バルブを提供することができる。なお、熱伝導部材を上記の炭素繊維束と金属材料とが組合わされた炭素繊維強化金属で構成した場合には、炭素繊維束を用いる場合よりも中空部への取り付け性が向上する利点がある。ここで言う、炭素繊維強化金属は炭素繊維束と金属とをメッキ等の手段で組合わせたものでもよいし、他の手段で組合わせたものでもよい。
【0014】
本発明に係る中空部には、その内部に冷媒が封入されていてもよい(請求項8)。この場合には、従来から知られている冷媒による熱伝達と、上述した熱伝導部材による熱伝達とが行われるばかりでなく、熱伝導部材の一端とキャップ部との間に冷媒が介在することにより、その一端への熱の入力が促進されるため、キャップ部の冷却効果が一層向上する。また、冷媒の上下移動が不活発な内燃機関の低回転域におけるキャップ部に対する冷却効率の低下を熱伝導部材を利用した熱伝達により補うことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、熱伝導部材の一端がキャップ部の内面に、他端が放熱効果の高いステム部の内面の所定範囲内にそれぞれ位置しているので、キャップ部の熱を効率良くステム部の所定範囲内に伝達できる。所定範囲内に伝達された熱はバルブガイドを通じてシリンダヘッドへ放熱される。これにより、高温になり易いキャップ部を効果的に冷却できるので、この中空バルブが組み込まれた内燃機関のノッキングを抑制できるとともに、熱によるバルブの不具合を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の形態)
図1は本発明の一形態に係る中空バルブの断面図であり、図2は図1のII−IIに関する断面図、図3は図1のIII−IIIに関する断面図、図4は図1のIV−IVに関する断面図である。これらの図に示すように、中空バルブ1Aは内燃機関のバルブガイド10にて案内される吸気バルブ又は排気バルブとして使用される。中空バルブ1Aは傘部2とこの傘部2に続きバルブガイド10にて案内されるステム部3とを有し、傘部2からステム部3にかけて中空部4が形成されている。中空部4には金属ナトリウム等の冷媒5が所定量封入されており、その中空部4は傘部2の下部に設けられた円板状のキャップ部6にて塞がれる。キャップ部6は溶接等の接合手段により傘部2に接合されている。
【0017】
中空部4の内面4a、即ち傘部2の内面2a及びステム部3の内面3aには、熱伝導部材としての線状の炭素繊維束7が複数設けられている。なお、図示された炭素繊維束7の本数は便宜上のものであって実際の本数とは必ずしも一致しない。各炭素繊維束7は、その一端7aがキャップ部6の内面6aに、他端7bがステム部3の内面3aの高放熱範囲AR内にそれぞれ位置するようにして中空部4に設けられている。図示の形態では、炭素繊維束7の一端7aが、傘部2とキャップ部6との接合部8に位置している。また、各炭素繊維束7はステム部3の中心線CLの方向に沿うように配置されていて、これらの炭素繊維束7は傘部2の内面2a及びステム部3の内面3aの内周方向に略等間隔で並べられている。高放熱範囲ARはバルブガイド10とステム部3とが接触し得る範囲に対応しており、この高放熱範囲ARの熱はバルブガイド10を通じて不図示のシリンダヘッドへ放熱される。つまり、高放熱範囲ARはステム部3の他の範囲よりも放熱し易い範囲であり、本発明に係る所定範囲に相当する。
【0018】
図5は炭素繊維束7の詳細を示している。炭素繊維束7は直径が数μm程度のピッチ系の炭素繊維70が複数本束ねられ、それらの炭素繊維70の繊維方向は一方向に揃えられている。炭素繊維束7は長手方向つまり繊維方向の熱伝導率がこれと直交する横断面方向の熱伝導率よりも数十倍程度高い。横断面方向の熱伝導率は中空バルブ1Aの構成材料である耐熱鋼よりも低くなっている。このため、炭素繊維束7は長手方向への熱伝導が促進される一方で横断面方向への熱伝導が制限される。つまり、炭素繊維束7は熱伝導材としての機能と断熱材としての機能とを兼備し、一端から入力された熱をその途中で放熱することを抑えつつ効率良く他端へ出力することができる。なお、一般に熱伝導率は温度依存性があり、温度が高くなるほど熱伝導率が低下する傾向を示すが、中空バルブ1Aが使用される温度範囲内において炭素繊維束7の繊維方向、横断面方向の及び中空バルブ1Aの構成材料の熱伝導率の大小関係は上記の通りに保持される。
【0019】
中空部4の内面4aに対する炭素繊維束7の取り付けは種々の方法で行ってよい。例えば、炭素繊維束7をクロムメッキ等の金属メッキで固めた状態にし、これを中空部4の内面4aにクロムメッキ等の金属メッキで固定することにより、炭素繊維束7を中空部4の内面4aに取り付けることができる。また、アルミニウム、ナトリウム、銅等の金属を中空部4の内面4aに溶着させ、その溶着層に炭素繊維束7を埋設し、その後炭素繊維束7の表面が現れるように溶着層を研磨することにより、炭素繊維束7を中空部4の内面4aに取り付けることもできる。また、例えばポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂を主成分とする耐熱性を有した接着剤を利用して炭素繊維束7を中空部4の内面4aに接着により取り付けることもできる。
【0020】
中空バルブ1Aによれば、内燃機関に組み込まれた際に高温になり易いキャップ部6の熱が、炭素繊維束7の一端7aに入力され途中の放熱を抑えつつ高放熱範囲ARに位置する他端7aから出力される。即ち、キャップ部6の熱を効率良くステム部3の高放熱範囲AR内に伝達できる。これにより、高温になり易いキャップ部6を効果的に冷却できるので、この中空バルブ1Aが組み込まれた内燃機関のノッキングを抑制できるとともに、熱によるバルブの不具合を回避することができる。
【0021】
また、炭素繊維束7の一端7aが傘部2とキャップ部6との接合部8に位置することにより、接合部8を効率良く冷却できるため接合部8の温度上昇に伴う強度低下を抑制できる。更に、複数の炭素繊維束7が傘部2の内面2a及びステム部3の内面3aの内周方向に並んでいるから、単一の炭素繊維束7を設ける場合と比較して熱伝達量が増加するためキャップ部6の冷却効果が向上する。しかも、傘部2からステム部3の高放熱範囲ARに到るまでの部位9においては、図1に示すように複数の炭素繊維束7が内周方向に並び、これらの炭素繊維束7によって中空部4の内部の熱が断熱されるためその部位9の温度上昇を抑制することができる。従って、中空バルブ1Aを吸気バルブとして内燃機関に組み込んだ場合にはその部位9が吸気ポートを横切ることになるが、その部位9の温度上昇が抑制される結果として吸気温度の上昇も抑制することができる。これにより内燃機関の出力性能を向上させることができる。
【0022】
更にまた、中空部4には冷媒5が封入されているので、従来から知られている冷媒5による熱伝達と、上述した炭素繊維束7による熱伝達とが行われ、加えて炭素繊維束7の一端7aとキャップ部6との間に冷媒5が介在することにより、その一端7aへの熱の入力が促進されるため、キャップ部6の冷却効果が一層向上する。また、冷媒5の上下移動が不活発な内燃機関の低回転域におけるキャップ部6に対する冷却効率の低下を炭素繊維束7を利用した熱伝達により補うことができる。
【0023】
(第2の形態)
次に、本発明の第2の形態を図6及び図7を参照して説明する。この形態は、炭素繊維束7の一端7aの位置に特徴がある。その特徴以外は第1の形態と同一構成を有しているので、各図に同一符号を付して説明を省略する。図6は第2の形態に係る中空バルブの断面図であり、図7は図6のVII−VIIに関する断面図である。中空バルブ1Bは、第1の形態と同様に中空部4の内面4aに複数の炭素繊維束7が設けられているが、それらの一端7aはキャップ部6の内面6aの中央部Cに位置している。他端7bの位置は第1の形態と同様に高放熱範囲ARに位置している。各炭素繊維束7は中空部4の内面4aに沿うように、即ち、キャップ部6の内面6a、傘部2の内面2a及びステム部3の内面3aのそれぞれに沿うように引き回されている。
【0024】
一般に、内燃機関の運転中の吸気バルブ又は排気バルブのキャップ部の温度分布は中央部が最も高く中央部から外側に向かって温度が低下する形態を示す。中空バルブ1Bは温度が最も高いキャップ部6の内面6aの中央部Cに炭素繊維束7の一端7aが位置しているため、キャップ部6をより速やかに冷却することが可能になる。また、キャップ部6の温度分布の高低差を緩和できるから、キャップ部6に生じる熱応力を低減することができる。
【0025】
(第3の形態)
次に、本発明の第3の形態を図8及び図9を参照して説明する。この形態は、炭素繊維束7の一端7a及び他端7bのそれぞれの位置に特徴がある。その特徴以外は第1の形態と同一構成を有しているので、各図に同一符号を付して説明を省略する。図8は第3の形態に係る中空バルブの断面図であり、図9は図8のIX−IXに関する断面図である。中空バルブ1Cは第1の形態と同様に中空部4の内面4aに複数の炭素繊維束7が設けられているが、それらの一端7a及び他端7bの位置が全てにおいて揃っていない。即ち、図9に示すように複数の炭素繊維束7のうち、ある炭素繊維束7はその一端7aがキャップ部6の内面6aの中央部Cに位置しており、他の炭素繊維束7はその一端7aが中央部Cよりも外側に位置している。この形態の場合は、一端7aが中央部Cに位置する炭素繊維束7と一端7aが中央部Cよりも外側に位置する炭素繊維束7とが周方向に交互に並べられている。一方、図8に示すように複数の炭素繊維束7のそれぞれの他端7bの位置は高放熱範囲AR内において相互に異なっている。この形態では、全ての炭素繊維束7の他端7bの位置が異なっているが、他端7bの位置が同一位置にある炭素繊維束7を含むようにしてもよい。複数の炭素繊維束7のなかに、他端7bの位置が相違する少なくとも二つの炭素繊維束7が存在していれば一定の効果を発揮できる。
【0026】
中空バルブ1Cによれば、キャップ部6の内面6aの広い範囲で熱が入力されるから、効率良くキャップ部6を冷却できるとともに、炭素繊維束7から熱の出力が高放熱範囲AR内の一つの位置に集中することを防止できるため、ステム部3を利用した放熱の効率が向上する。なお、図示の形態は、炭素繊維束7の一端7a及び他端7bの位置をずらす一例であり、図示の形態とは異なる形態でこれらの位置をずらしてもよい。また、炭素繊維束7の一端7a又は他端7bのいずれか一方の位置を相互にずらし、いずれか他方の位置を上述した第1又は第2の形態のように揃えることも可能である。
【0027】
本発明は、上記各形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の形態にて実施することができる。上述した炭素繊維束7の配置形態はあくまで例示であって図示の形態に限定されるものではない。また炭素繊維束7の数も単数でも複数でもよい。炭素繊維束7は炭素繊維の状態のままで各形態を実施してもよいが、その取り扱いを容易にするため、例えば炭素繊維束7をクロムメッキ等の金属メッキで固めることにより、炭素繊維束7と金属材料とが組合わされた炭素繊維強化金属(以下、CFRMという。)を作成し、このCFRMを使用して各形態を実施してもよい。メッキ以外の他の方法により炭素繊維束7と金属材料との組み合わせてCFRMを得てもよい。
【0028】
また、本発明に係る熱伝導部材としては、炭素繊維束7又はこれと金属材料との組み合わせであるCFRMの代りに、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)又は中空部を持つ管状の銅パイプ、薄板状の銅板といった形状を工夫して接触面積を調整した銅部材を使用しても上記と同等の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の形態に係る中空バルブの断面図。
【図2】図1のII−IIに関する断面図。
【図3】図1のIII−IIIに関する断面図。
【図4】図1のIV−IVに関する断面図。
【図5】炭素繊維束の詳細を示した説明図。
【図6】第2の形態に係る中空バルブの断面図。
【図7】図6のVII−VIIに関する断面図。
【図8】第3の形態に係る中空バルブの断面図。
【図9】図8のIX−IXに関する断面図。
【符号の説明】
【0030】
1A〜1C 中空バルブ
2 傘部
2a 内面
3 ステム部
3a 内面
4 中空部
4a 内面
5 冷媒
6 キャップ部
6a 内面
7 炭素繊維束(熱伝導部材)
7a 一端
7b 他端
10 バルブガイド
70 炭素繊維
AR 高放熱範囲(所定範囲)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のバルブガイドに案内される吸気バルブ又は排気バルブとして使用され、傘部と前記傘部に続き前記バルブガイドにて案内されるステム部とを有し、前記傘部から前記ステム部にかけて中空部が形成され、かつ前記中空部が前記傘部の下部に設けられたキャップ部にて塞がれた内燃機関用中空バルブにおいて、
前記中空部には、長手方向の熱伝導率が横断面方向の熱伝導率よりも高い線状の熱伝導部材が設けられ、前記熱伝導部材は、一端が前記キャップ部の内面に、他端が前記バルブガイドと前記ステム部とが接触し得る範囲に対応する前記ステム部の内面における所定範囲内に、それぞれ位置するようにして前記中空部に設けられていることを特徴とする内燃機関用中空バルブ。
【請求項2】
複数の前記熱伝導部材が前記傘部及び前記ステム部の内周方向に並ぶようにして前記中空部に設けられている請求項1に記載の内燃機関用中空バルブ。
【請求項3】
前記熱伝導部材の前記一端が前記傘部と前記キャップ部との接合部に位置している請求項1又は2に記載の内燃機関用中空バルブ。
【請求項4】
前記熱伝導部材の前記一端が前記キャップ部の前記内面の中央部に位置している請求項1又は2に記載の内燃機関用中空バルブ。
【請求項5】
複数の前記熱伝導部材には、前記一端が前記キャップ部の前記内面の中央部に位置する熱伝導部材と、前記一端が前記中央部よりも外側に位置する熱伝導部材とが含まれている請求項2に記載の内燃機関用中空バルブ。
【請求項6】
複数の前記熱伝導部材には、前記他端の位置が前記所定範囲内で互いに異なっている少なくとも二つの熱伝導部材が含まれている請求項2又は5に記載の内燃機関用中空バルブ。
【請求項7】
前記熱伝導部材は、複数の炭素繊維がその繊維方向を一方向に揃えられた状態で束ねられた炭素繊維束にて構成され又は当該炭素繊維束と金属材料とが組合わされた炭素繊維強化金属にて構成されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の内燃機関用中空バルブ。
【請求項8】
前記中空部の内部に冷媒が封入されている請求項1〜7のいずれか一項に記載の内燃機関用中空バルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−114887(P2009−114887A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286389(P2007−286389)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000215785)帝国ピストンリング株式会社 (80)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)