説明

内燃機関

【課題】回転数が特定の値をとる際に吸気圧センサが検知する吸気脈動そのものを低減し、応答性を維持しつつ吸気圧センサの誤作動を防止又は抑制する。
【解決手段】吸気経路2中のスロットル弁23よりも下流側に一端が連通するホース5と、このホース5の他端に設けた吸気圧センサ94とを具備する内燃機関0において、前記ホース5の長さLを、内燃機関0の吸気脈動周波数の振動を低減可能な共鳴周波数に対応する長さに設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に設けられる内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、吸気経路内の圧力を検知する吸気圧センサを吸気経路内に設け、この吸気圧センサから出力される信号に基づき内燃機関の制御が行われてきている。このような内燃機関において、回転数が特定の値をとる際に吸気経路内において大きな吸気脈動が発生し、この吸気経路内に設けた吸気圧センサが吸気脈動の影響により誤作動し、吸気圧センサの誤作動によりトルク変動が発生し、このトルク変動に伴いサージ(大きな車体振動)がさらに発生するという問題が起こりうる。
【0003】
このような問題に対処する手段の一つとして、吸気圧センサから出力される信号を所定の時間間隔でサンプリングし、得られた信号をデジタルフィルタ処理するものにおいて、内燃機関の運転状態に応じてデジタルフィルタのフィルタ定数を変更するものが挙げられる(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
ところが、前記特許文献1記載の構成は、吸気脈動が発生した後、吸気圧センサから出力される信号に対するフィルタ処理により吸気脈動による影響を除去するものであり、吸気脈動そのものが低減されるものではない。また、吸気圧センサから出力される信号に対してフィルタ処理を行うので、フィルタ処理に時間を要し、応答性が低くなるという不具合が発生しうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−151753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の点に着目し、回転数が特定の値をとる際に吸気圧センサが検知する吸気脈動そのものを低減し、応答性を維持しつつ吸気圧センサの誤作動を防止又は抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る内燃機関は、吸気経路中のスロットル弁よりも下流側に一端が連通するホースと、このホースの他端に設けた吸気圧センサとを具備する内燃機関であって、前記ホースの長さが、内燃機関の吸気脈動周波数の振動を低減可能な共鳴周波数に対応する長さであることを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、回転数が特定の値をとる際の吸気経路内における吸気脈動が発生した際に、一端を吸気経路に連通させたホースが吸気脈動に共鳴することによりレゾネータとして機能し、ホースの他端に伝わる吸気脈動を低減させた上でホースの他端に設けた吸気圧センサにより吸気圧を測定しているので、吸気脈動に伴う吸気圧センサの誤作動を防止又は抑制できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回転数が特定の値をとる際に吸気圧センサが検知する吸気脈動そのものを低減し、応答性を維持しつつ吸気圧センサの誤作動を防止又は抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関を概略的に示す図。
【図2】同実施形態に係る内燃機関の吸気経路を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態における車両用内燃機関0の概要を示す。内燃機関0は、複数の気筒1(図1には、そのうち一つを図示している)と、各気筒1内に燃料を噴射するインジェクタ11と、各気筒1内に供給された混合気に着火するための点火プラグ12と、各気筒1に吸気を供給するための吸気経路2と、各気筒1から排気を排出するための排気経路3とを少なくとも備えている。
【0012】
吸気経路2は、外部から空気を取り入れて気筒1の吸気ポートへと導く。吸気経路2上には、吸気ダクト21、エアクリーナ22、電子スロットルバルブ23、サージタンク24及び吸気マニホルド25を、上流からこの順序に配置している。
【0013】
排気経路3は、気筒1内で燃料を燃焼させることで発生する燃焼ガス、即ち排気を気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気経路3上には、排気マニホルド32及び三元触媒31を配置している。
【0014】
内燃機関0の運転制御を司るECU(電子制御装置)4は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。
【0015】
入力インタフェースには、車速を検出する車速センサ91から出力される車速信号a、エンジン回転数を検出する回転数センサ92から出力される回転数信号b、アクセルペダルの踏込量を検出するアクセルセンサ93から出力されるアクセル開度要求信号c、サージタンク24内の吸気圧を検出する吸気圧センサ94から出力される吸気圧信号d、サージタンク24の吸気温を検出する温度センサ95から出力される吸気温信号e等が入力される。
【0016】
出力インタフェースからは、インジェクタ11に対して燃料噴射信号f、点火プラグ12(のイグニッションコイル)に対して点火信号g、電子スロットルバルブ23に対して開度操作信号h等を出力する。
【0017】
ECU4のプロセッサは、予めメモリに格納されているプログラムを解釈、実行して、内燃機関0の運転を制御する。ECU4は、内燃機関0の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、eを入力インタフェースを介して取得し、それらに基づいて吸気量や要求燃料噴射量、点火時期、要求EGRガス量等を演算する。そして、演算結果に対応した各種制御信号f、g、hを出力インタフェースを介して印加する。
【0018】
しかして本実施形態では、前記図1、及びこの内燃機関の側面を概略的に示す図である図2に示すように、前記サージタンク24に一端5aが連通するホース5を設けている。また、このホース5の他端5bに、前記吸気圧センサ94を設けている。
【0019】
このホース5の長さLは、内燃機関0の回転数が特定の値となった場合に発生する吸気脈動の周波数fに対応する長さに設定している。より具体的には、内燃機関0の吸気脈動の周波数をf、音速をcとした際に次の式(1)により算出される長さL1の奇数倍、例えば1倍の長さにこのホース5の長さLを設定している。なお、内燃機関0の吸気脈動の周波数fは、予め実験により決定する。
【0020】
f=c/4L1 (1)
すなわち、吸気経路2内において吸気脈動が発生した際には、ホース5がこの吸気脈動に共鳴し、ホース5の共鳴により該ホース5内においては吸気脈動が打ち消されて吸気圧センサ94側の端部にサージタンク24内の圧力が伝達される。換言すれば、このホース5は吸気圧センサ側に伝達される吸気脈動を低減するためのレゾネータとして機能し、吸気圧センサ94は吸気脈動が打ち消された状態で吸気圧を計測する。
【0021】
以上に述べたように、本実施形態の構成によれば、回転数が特定の値をとる際の吸気経路2内における吸気脈動が発生した際に、一端5a側をサージタンク24に連通させたホース5が吸気脈動に共鳴することによりレゾネータとして機能し、ホース5の他端5b側に伝わる吸気脈動が低減された状態でホース5の他端5bに設けた吸気圧センサ94により吸気圧が測定される。従って、フィルタ処理を行う代わりに吸気脈動そのものを低減することにより応答性を維持しつつ、吸気圧センサ94の誤作動を防止又は抑制することができる。
【0022】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0023】
例えば、ホースの長さは、上述した式(1)により算出される長さL1の奇数倍であれば、前記長さL1の1倍でなく3倍や5倍等に設定してもよい。
【0024】
また、上述した実施形態では、吸気経路中のサージタンクにホースの一端が連通する態様を採用しているが、吸気経路中のスロットル弁よりも下流側であれば、どの部位にホースの一端を連通させるようにしてもよい。
【0025】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。
【符号の説明】
【0026】
0…内燃機関
2…吸気経路
5…ホース
94…吸気圧センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気経路中のスロットル弁よりも下流側に一端が連通するホースと、このホースの他端に設けた吸気圧センサとを具備する内燃機関であって、前記ホースの長さが、内燃機関の吸気脈動周波数の振動を低減可能な共鳴周波数に対応する長さであることを特徴とする内燃機関。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−64376(P2013−64376A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204224(P2011−204224)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)