説明

内臓脂肪測定装置

【課題】内臓脂肪の体積を精度良く測定することのできる内臓脂肪測定装置を提供する。
【解決手段】この内臓脂肪測定装置の電流印加用電極対31は、被測定体70の腹部71において、体幹軸CBを体表に投影した同一線上に配置される。電流印加用電極31Aと電流印加用電極31Bとは、一方の電極から印加された電流が内臓脂肪を通過して他方の電極に戻る経路を形成する大きさの間隔で配置される。また、電圧測定用電極対41は、被測定体70の体幹軸CB方向の位置において電流印加用電極31Aと電流印加用電極31Bとの間に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の電流印加用電極および第2の電流印加用電極を含む電流印加用電極対と、第1の電圧測定用電極および第2の電圧測定用電極を含む電圧測定用電極対とを備える内臓脂肪測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の内臓脂肪測定装置では、図5(b)に示される被測定体70の周上に電極を配置してこの周上についての断面の内臓脂肪82を測定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2002−369806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、図5(a)に示されるように内臓脂肪82は実際には三次元的な分布をしている。このため、被測定体70の周上に電極を配置する上記内臓脂肪測定装置によれば測定断面の内臓脂肪を反映した測定結果しか得られず、内臓脂肪の体積を精度良く測定することが難しい。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内臓脂肪の体積を精度良く測定することのできる内臓脂肪測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内臓脂肪測定装置は、第1の電流印加用電極および第2の電流印加用電極を含む電流印加用電極対と、第1の電圧測定用電極および第2の電圧測定用電極を含む電圧測定用電極対とを備える内臓脂肪測定装置において、被測定体の腹部において、体幹軸を体表に投影した投影線上に前記電流印加用電極対が配置され、前記第1の電流印加用電極と前記第2の電流印加用電極とは、所定の間隔をおいて配置され、前記所定の間隔は、一方の電極から印加された電流が内臓脂肪を通過して他方の電極に戻る経路を形成する大きさであり、被測定体の体幹軸方向の位置において前記第1の電流印加用電極と前記第2の電流印加用電極との間に前記電圧測定用電極対が設けられることを特徴としている。
【0007】
本発明の内臓脂肪測定装置において、前記所定の間隔は、被測定部位の皮下脂肪層と筋肉層とを合わせた厚さよりも大きい間隔であることが好ましい。
本発明の内臓脂肪測定装置において、右半身において体幹軸を体表に投影した投影線のうち前上腸骨棘を通過する線と前額面を通過する線との間、および左半身において体幹軸を体表に投影した投影線のうち前上腸骨棘を通過する線と前額面を通過する線との間の少なくとも一方に前記電流印加用電極対が配置されることが好ましい。
【0008】
本発明の内臓脂肪測定装置において、腹部の上端に前記第1の電流印加用電極が配置され、腹部の下端に前記第2の電流印加用電極が配置されることが好ましい。
本発明の内臓脂肪測定装置において、臍と同じ高さであって体幹軸と垂直に交差する面を臍面として、臍面よりも上に前記第1の電圧測定用電極が配置され、臍面よりも下に前記第2の電圧測定用電極が配置されることが好ましい。
【0009】
本発明の内臓脂肪測定装置において、前記第1の電流印加用電極および前記第1の電圧測定用電極および前記第2の電圧測定用電極および前記第2の電流印加用電極の順に、各電極が一列に配置されることが好ましい。
【0010】
本発明の内臓脂肪測定装置において、複数の前記電圧測定用電極対が含まれることが好ましい。
本発明の内臓脂肪測定装置において、前記電圧測定用電極を被測定体上において移動させるための可動部が設けられることが好ましい。
【0011】
本発明の内臓脂肪測定装置において、被測定体に接触させるための本体部を備え、この本体部には、前記電流印加用電極対および前記電圧測定用電極対が設けられることが好ましい。
【0012】
本発明の内臓脂肪測定装置において、前記電圧測定用電極対の測定電圧に基づいて内臓脂肪量を表示する表示部を備え、前記表示部は前記本体部とは別体に形成されることが好ましい。
【0013】
本発明の内臓脂肪測定装置において、前記本体部は被測定体に巻きつけて当該本体部を被測定体に固定するためのベルトを含むことが好ましい。
本発明の内臓脂肪測定装置において、前記本体部は使用者が把持するための把持部を含むことが好ましい。
【0014】
本発明の内臓脂肪測定装置において、前記本体部は、電流印加用電極および電圧測定用電極をそれぞれ取り付けおよび取り外しすることのできる配置部を含むことが好ましい。
本発明の内臓脂肪測定装置において、被測定体の肋骨下縁または前上腸骨棘を基準として前記電流印加用電極対および前記電圧測定用電極対の位置を設定するための目印部を備えることが好ましい。
【0015】
本発明の内臓脂肪測定装置において、前記電圧測定用電極対の測定電圧に基づいて内臓脂肪の体積を算出する算出手段を備えることが好ましい。
本発明の内臓脂肪測定装置において、前記電圧測定用電極対の測定電圧に基づいて内臓脂肪の三次元的な分布を表示する表示部を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、内臓脂肪の体積を精度良く測定することのできる内臓脂肪測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の内臓脂肪測定装置を具体化した第1実施形態について、同装置の構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態の内臓脂肪測定装置について、(a)は内臓脂肪測定装置の背面構造を示す背面図。(b)は内臓脂肪測定装置の正面構造を示す正面図。
【図3】同実施形態の内臓脂肪測定装置と被測定体との関係を模式的に示す模式図。
【図4】同実施形態の内臓脂肪測定装置と被測定体との関係を模式的に示す模式図。
【図5】同実施形態の内臓脂肪測定装置の測定対象となる被測定体としての人体腹部について、その内臓脂肪分布の一例を模式的に示す模式図。
【図6】同実施形態の内臓脂肪測定装置の電極の位置と被測定体との関係を模式的に示す模式図。
【図7】同実施形態の内臓脂肪測定装置の電極の位置と被測定体との関係を模式的に示す断面図。
【図8】本発明の内臓脂肪測定装置を具体化した第2実施形態について、電極の位置と被測定体との関係を模式的に示す模式図。
【図9】本発明の内臓脂肪測定装置を具体化した第3実施形態について、電極の位置と被測定体との関係を模式的に示す模式図。
【図10】本発明の内臓脂肪測定装置を具体化した第4実施形態について、電極の位置と被測定体との関係を模式的に示す模式図。
【図11】本発明の内臓脂肪測定装置を具体化した第5実施形態について、電極の位置と被測定体との関係を模式的に示す模式図。
【図12】本発明の内臓脂肪測定装置を具体化した第6実施形態について、同実施形態の内臓脂肪測定装置と被測定体との関係を模式的に示す模式図。
【図13】本発明の内臓脂肪測定装置を具体化した第7実施形態について、内臓脂肪測定装置と被測定体との関係を模式的に示す模式図。
【図14】本発明の内臓脂肪測定装置を具体化した第8実施形態について、内臓脂肪測定装置の背面構造を示す背面図。
【図15】本発明の第1実施形態の変形例について、電極の位置と被測定体との関係を模式的に示す模式図。
【図16】本発明の第1実施形態の変形例について、内臓脂肪測定装置と被測定体との関係を模式的に示す模式図。
【図17】本発明の第1実施形態の変形例について、内臓脂肪測定装置と被測定体との関係を模式的に示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
図1〜図7を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1に示されるように、内臓脂肪測定装置10は、内臓脂肪の測定を行う測定部20と、当該装置10を測定対象に巻き付けて固定するためのベルト部11とを含む。
【0019】
測定部20は、測定対象(図3の被測定体70)に電流を印加して電圧を検出する検出部21と、内臓脂肪測定に必要な情報を入力するための操作部22と、各種情報を測定者に提示する表示部23と、検出部21の測定結果に基づく演算等を行う制御部50とを含む。
【0020】
検出部21は、測定対象に電流を印加する電流印加用電極対31と、測定対象の電圧を測定する電圧測定用電極対41とを備えている。電流印加用電極対31は、2つの電流印加用電極31A,31Bにより構成されている。電圧測定用電極対41は、2つの電圧測定用電極41A,41Bにより構成されている。電流印加用電極31A,31Bおよび電圧測定用電極41A,41Bはそれぞれ信号の伝達が可能な伝達線24により制御部50に接続されている。
【0021】
制御部50は、測定者が操作部22を操作して内臓脂肪の測定が開始されたとき、電流印加用電極対31による電流の印加を開始する。制御部50は、測定された電圧値および操作部22を介して入力された各種値等に基づいて、内臓脂肪量、特に内臓脂肪の体積を算出する。算出された内臓脂肪量は表示部23に表示される。具体的には、測定された電圧値および、測定者により操作部22を介して入力された腹囲、年齢、性別などのその他任意のパラメータを用いたアルゴリズムから、内臓脂肪の分布を三次元画像として表示する。
【0022】
図2を参照して、内臓脂肪測定装置10の構造について説明する。図2(a)では、内臓脂肪測定装置10の検出部21が設けられるとともに測定対象に巻きつけられた状態で測定対象と対向するベルト部11の背面11Aを示している。また、図2(b)では、背面11Aとは異なるベルト部11の前面11Bを示している。また、内臓脂肪測定装置10の長手方向を「横方向X」とする。被測定体70に巻きつけられた状態において右半身側を右側とするとともに左半身側を左側とする。また、横方向Xと垂直な短手方向を「縦方向Y」とする。被測定体70に巻きつけられた状態において頭頂側を上側とするとともに爪先側を下側とする。
【0023】
図2に示されるように、内臓脂肪測定装置10は、測定対象に対して密着して巻きつけるためのベルト部11を備えている。ベルト部11は、測定部20の横方向Xの両側に延伸して設けられている。
【0024】
測定部20には、電極面が露出した状態で電流印加用電極対31および電圧測定用電極対41が設けられている。電極材としては、SUSおよび樹脂材表面を金属めっき処理したものが用いられている。また、測定部20には内臓脂肪測定装置10に用いられる電源が内蔵されている。内臓脂肪測定装置10のベルト部11の前面11Bには、測定者が測定部20を測定対象に取り付けるときの目印となる2つの目印部12と、操作部22の操作ボタンと、表示部23のディスプレイとが設けられている。
【0025】
目印部12の一方である目印部12Aは、横方向Xにおいて測定部20の中央よりも右側、かつ縦方向Yにおいて上側端部に設けられている。他方の目印部12Bは測定部20の下側端部、かつ中央よりも右側に設けられている。
【0026】
背面11Aの右側端部および前面11Bの左側端部にはファスナ13が設けられている。測定者は、ベルト部11を測定対象に巻きつけた後に前面11Bおよび背面11Aのファスナ13を互いに貼り合わせることにより、内臓脂肪測定装置10を測定対象に固定することができる。
【0027】
各電流印加用電極31A,31Bおよび各電圧測定用電極41A,41Bは、測定部20の上側かつ右側の端部から下側かつ右側の端部にかけて電極31A、電極41A、電極41Bおよび電極31Bの順に縦方向Y上に一直線かつ等間隔に配置されている。
【0028】
前面11B側から見た各電極の詳細な配置箇所のまとめを以下に示す。
・電極31Aは、横方向Xの位置が測定部20の右側端部に設定され、かつ縦方向Yの位置が測定部20の上側端部に設定されている。
・電極31Bは、横方向Xの位置が測定部20の右側端部に設定され、かつ縦方向Yの位置が測定部20の下側端部に設定されている。
・電極41Aは、横方向Xの位置が測定部20の右側端部に設定され、かつ縦方向Yの位置が電極31Aと電極31Bとの間において電極31A寄りに設定されている。
・電極41Bは、横方向Xの位置が測定部20の右側端部に設定され、かつ縦方向Yの位置が電極31Aと電極31Bとの間において電極41Aよりも下側に設定されている。
【0029】
このように、各電流印加用電極31A,31Bおよび各電圧測定用電極41A,41Bは横方向Xにおいていずれも同一の位置に配置されている。また、各電圧測定用電極41A,41Bは縦方向Yにおいて各電流印加用電極31A,31Bの間に配置されている。
【0030】
図3および図4を参照して、内臓脂肪測定装置10を測定対象としての被測定体70に取り付けるときの手順を説明する。なお、図3は被測定体70に対する測定部20の位置あわせが行われた状態を、また図4はベルト部11が被測定体70に巻き付けられた状態をそれぞれ示している。
【0031】
ここで、被測定体70の体幹の長手方向に沿う軸線、すなわち被測定体70が立位の姿勢にあるときに頭頂から地面に垂直にひかれる軸線を「体幹軸CB」とする。また、腹部71の上端である肋骨下縁76を通過し、かつ体幹軸CBが垂直に交差する面を「肋骨面XS」とする。また、腹部71の下端において腰骨が突出している前上腸骨棘74(図5参照)を通過し、かつ体幹軸CBが垂直に交差する面を「腸骨面XH」とする。また、腹部71の臍72を通過し、かつ体幹軸CBが垂直に交差する面を「臍面XN」とする。なお、右半身および左半身はそれぞれ臍72よりも右側および左側の部分に相当する。肋骨面XSから腸骨面XHまでを腹部71とし、肋骨面XSよりも上側を胸部75とし、腸骨面XHよりも下側を腰部73とする。
【0032】
図3に示されるように、被測定体70は立位の状態で腹部71の表面にベルト部11の背面11A(図2(a)参照)を当てる。このとき、目印部12Aの横方向Xの位置を肋骨下縁76に合わせる。また、目印部12Aの縦方向Yの位置を肋骨面XS付近かつ同面XSよりも下側に合わせる。また、目印部12Bの横方向Xの位置を前上腸骨棘74に合わせる、また、目印部12Bの縦方向Yの位置を腸骨面XH付近かつ同面XHよりも上側に合わせる。そして、ベルト部11の横方向Xの両端部を背中側に回してファスナ13によりベルト部11を被測定体70に固定する。
【0033】
図4に示されるように、ベルト部11が被測定体70の腹部71に巻きつけられたとき、電流印加用電極対31および電圧測定用電極対41は被測定体70の体表面に接触している。電極31A,31B,41A,41Bは、体幹軸CBを凹凸のある体表面に投影した投影線CS上に配置される。そして、この状態で測定者が操作部22を操作することにより内臓脂肪82の測定が開始される。
【0034】
図5を参照して、内臓脂肪測定装置10の被測定体70の体脂肪80の構造について説明する。ここで、被測定体70の前部71Aと背部71Bの境界を通過し、かつ体幹軸CBと平行な面を「前額面YF」とする。また右半身において前額面YFと一致する部位を右脇腹71Cとし、左半身において前額面YFと一致する部位を左脇腹71Dとする。
【0035】
図5(a)は被測定体70の肋骨面XSから腸骨面XHまでの三次元的な体脂肪80の分布をそれぞれ示している。図5(b)は被測定体70の臍面XNの体脂肪80の分布を示している。図5(c)は被測定体70の腸骨面XHの体脂肪80の分布を示している。なお、図5(a)においては内臓脂肪82の分布をハッチングにより示している。図5(b)および図5(c)においては皮下脂肪81および内臓脂肪82を含めた体脂肪80の分布をハッチングにより示している。
【0036】
図5(a)および図5(b)に示されるように、被測定体70の臍72を通り体幹軸CBに垂直な断面において、被測定体70の体表面下には皮下脂肪81が全周において層状に存在し、かつ前部71Aおよび背部71Bにおいて皮下脂肪81により厚みのある層が形成されている。一方、左脇腹71Dおよび右脇腹71Cにおいては比較的薄い皮下脂肪81の層が形成されている。また、皮下脂肪81の層と筋肉83の層とを隔てた腹腔内の臓器の間には内臓脂肪82が存在している。体脂肪80は背骨77を中心に略左右対称となるように分布している。被測定体70の体脂肪80は、体幹軸CBに対して垂直な各断面で異なる。
【0037】
図5(b)および(c)に示されるように、腸骨面XHにおいて、右脇腹71Cおよび左脇腹71Dよりも臍72側において前上腸骨棘74が突出している。
内臓脂肪82は図5(a)および図5(b)中の破線で囲んだ部分に示されるように、腹部71の上側において、前部71Aの右脇腹71Cと右半身の前上腸骨棘74、および左脇腹71Dと左半身の前上腸骨棘74との間において特に多く分布している。また、筋肉83に囲まれた腹腔内において、中央よりも外周側に偏って分布している。
【0038】
図6および図7を参照して、被測定体70に対する電流印加用電極対31および電圧測定用電極対41の配置、並びに体脂肪80の測定方法の概要について説明する。なお図6では、ベルト部11を被測定体70の腹部71に巻きつけた状態において、被測定体70の腹部71を肋骨面XSおよび腸骨面XHで切り取った円筒形状として模式的に示している。
【0039】
以下では、電流印加用電極31Aと電流印加用電極31Bとを結ぶ線を「電極間線A1」とする。また、縦方向Yにおける電流印加用電極31Aの位置を縦位置LAとする。また、縦方向Yにおける電流印加用電極31Bの位置を縦位置LBとする。
【0040】
図6に示されるように、電流印加用電極対31は、右半身の右脇腹71Cと前上腸骨棘74との間に設けられている。すなわち、電流印加用電極31Aは右脇腹71Cと前上腸骨棘74との間かつ肋骨面XSの下側に配置されている。また、電流印加用電極31Bは右脇腹71Cと前上腸骨棘74との間かつ腸骨面XHの上側に配置されている。
【0041】
縦位置LAから縦位置LBまでの縦方向Yの範囲を「電極間範囲RX」としたとき、電圧測定用電極対41の配置は次のように説明することができる。
電圧測定用電極対41は、縦位置LAと縦位置LBとの間に配置されている。すなわち、各電圧測定用電極41A,41Bの双方が電極間範囲RX内に配置されている。また、各電極41A,41Bは電極間線A1かつ投影線CS上に配置されている。また、電圧測定用電極対41の中間位置は電流印加用電極対31の中間位置および臍面XNと一致している。
【0042】
図7に示されるように、電流印加用電極31Aと電流印加用電極31Bとの距離TAは、皮下脂肪81および筋肉83の層を足した厚さTB(一般に、10〜40mm)よりも大きい。このため、電流印加用電極対31に電流が印加されたとき、電圧測定用電極対41により測定される電圧は、内臓脂肪82の部位をよく反映したものとなる。
【0043】
次に、内臓脂肪82の測定態様について説明する。
電流印加用電極31Aから電流印加用電極31Bに向けて流される電流は、体幹軸CBに沿う態様で被測定体70の内部を流れる。電流が被測定体70の内部を流れる際に、被測定体70の組成、皮下脂肪81、内臓脂肪82および筋肉83のそれぞれの抵抗値に基づいて電圧が変化する。
【0044】
測定者の操作により内臓脂肪82の測定が開始されたとき、各電流印加用電極31A,31Bの間で電流が流されるとともに、この電流の電圧値が各電圧測定用電極41A,41Bにより測定される。そして、測定された電圧値に基づいて各電極31A,31Bの間、およびこれら電極31A,31B付近の内臓脂肪82の量として右半身側の内臓脂肪82の体積が算出される。そして、この算出結果に基づいて表示部23に内臓脂肪82の体積が表示される。
【0045】
以上詳述したように、本実施形態によれば以下に示す効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、被測定体70の腹部71において体幹軸CBを体表に投影した投影線CS上に電流印加用電極対31が設けられる。電流印加用電極31Aおよび電流印加用電極31Bの距離は、被測定体70の測定部の皮下脂肪81の層と筋肉83の層とを合わせた厚さより大きい。そして、電流印加用電極対31に電流が印加されたときには、被測定体70を縦方向Yに流れる電流の電圧を測定することになるため、内臓脂肪82の立体的な分布に基づいた測定結果を得ることができるようになる。
【0046】
また、電流印加用電極31Aと電流印加用電極31Bとの距離TAが、被測定体70の測定部の皮下脂肪層と筋肉層とを合わせた厚さTBより大きい。すなわち、電極31Aと電極31Bとは、電極31Aから印加された電流が内臓脂肪82を通過して他方の電極に戻る経路を形成する間隔を備えて配置されているため、電流が内臓脂肪82に達する。このため、内臓脂肪82をよく反映した電圧を検出することができる。従って、内臓脂肪82の体積を精度良く測定することができる。
【0047】
また、被測定体70の体幹軸CB方向の位置において電流印加用電極31Aと電流印加用電極31Bとの間に電圧測定用電極対41が設けられるため、電圧測定用電極対41が電極31Aと電極31Bとの間の外側に設けられた場合と比較して、電圧を高感度で検出することができる。
【0048】
(2)腹部71の周方向においては、右半身の前上腸骨棘74と右脇腹71Cとの間、および左半身の前上腸骨棘74と左脇腹71Dとの間に最も内臓脂肪82がつく傾向にある。本実施形態では、右半身の前上腸骨棘74と右脇腹71Cとの間に電流印加用電極対31が配置されるため、右半身においてもっとも内臓脂肪82の多い部位をよく反映した電圧を検出することができる。内臓脂肪82の多い部位と全体の内臓脂肪82量とはよく相関するため、内臓脂肪82の体積を精度良く測定することができる。
【0049】
(3)本実施形態では、電流印加用電極31Aは肋骨下縁76付近に配置され、電流印加用電極31Bは前上腸骨棘74付近に配置される。したがって、電流印加用電極対31の電流は腹部71の中心部分まで到達するため、右半身の内臓脂肪82の全体量をよく反映した電圧を検出することができる。
【0050】
(4)腹部71の体幹軸CB方向においては、臍面XN付近にもっとも内臓脂肪82がつく傾向にある。本実施形態では、電圧測定用電極41Aは臍面XNよりも上側に配置され、電圧測定用電極41Bは臍面XNよりも下側に配置されているため、もっとも内臓脂肪82の多い部位をよく反映した電圧を検出することができる。また、肥満やメタボリックシンドロームの判定には、臍面XNの位置における体脂肪量が基準値としてよく用いられる。従って、このように臍面XN付近の内臓脂肪82をよく反映した値を算出することで、前述の基準値との比較を行うことができる。
【0051】
(5)本実施形態では、電流印加用電極31Aおよび電圧測定用電極41Aおよび電圧測定用電極41Bおよび電流印加用電極31Bがこの順に一列に配置されている。このため、電極31A,41A,41B,31Bを一列に配置しない場合と比較して電流印加用電極対31と電圧測定用電極対41との距離が小さくなるため、高感度で電圧測定を行うことができる。
【0052】
(6)本実施形態では、ベルト部11に電流印加用電極対31および電圧測定用電極対41が設けられている。このため、内臓脂肪82の測定にあたり電流印加用電極対31と電圧測定用電極対41との位置関係、および各電極の位置関係を内臓脂肪82の測定毎に同じものにすることができる。
【0053】
(7)本実施形態では、測定部20を被測定体70に固定するためのベルト部11が設けられている。このため、測定者が測定部20を手で保持しながら内臓脂肪82の測定を行う場合に比べて被測定体70に対する各電極対31,41の位置のずれを小さくすることができる。また、内臓脂肪82の測定時に測定者が測定部20を手で保持する必要がないため、測定者の負担を軽減することができる。
【0054】
(8)本実施形態では、被測定体70の前上腸骨棘74を基準として電流印加用電極対31および電圧測定用電極対41の位置を設定するための目印部12Bを備えている。また、被測定体70の肋骨下縁76を基準として電流印加用電極対31および電圧測定用電極対41の位置を設定するための目印部12Aを備えている。従って、内臓脂肪82の測定毎に測定位置が大きく異なることが抑制されるため、被測定体70の同一部位についての内臓脂肪82の経時的な変化を適切に測定することができるようになる。
【0055】
(9)本実施形態では、電圧測定用電極対41の測定電圧に基づいて内臓脂肪82の体積を算出する。このため、測定者が被測定体70の各部位の内臓脂肪82の体積を把握することができる。
【0056】
(10)本実施形態では、電圧測定用電極対41の測定電圧に基づいて内臓脂肪82の三次元的な分布を表示する表示部23を備えている。このため、測定者は内臓脂肪82の立体的な分布を視認することができる。
【0057】
(第2実施形態)
図8を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態では、第1実施形態の検出部21の電流印加用電極および電圧測定用電極の配置を変更している。以下にこの変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0058】
図8に示されるように、検出部21の電流印加用電極対31および電圧測定用電極対41を構成する電極31A,41A,41B,31Bは、右脇腹71Cにおいて、この順で投影線CS上に一列に配置されている。
【0059】
電流印加用電極31Aは右脇腹71C付近かつ肋骨面XSの下側に配置されている。また、電流印加用電極31Bは右脇腹71C付近かつ腸骨面XHの上側に配置されている。
電圧測定用電極対41は、縦位置LAと縦位置LBとの間に配置されている。すなわち、電圧測定用電極41A,41Bは電極間範囲RX内に双方とも配置されている。また、各電極41A,41Bは電極間線A1かつ投影線CS上に配置されている。また、電圧測定用電極対41の中間位置は電流印加用電極対31の中間位置および臍面XNと一致している。
【0060】
以上詳述したように、本実施形態によれば内臓脂肪82の立体的な分布に基づいた測定結果を得ることができる旨の(1)の効果および(3)〜(10)に準じた効果を奏することができる。
【0061】
(第3実施形態)
図9を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態では、第1実施形態の検出部21の電流印加用電極および電圧測定用電極の配置を変更している。以下にこの変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0062】
図9に示されるように、検出部21の電流印加用電極対31および電圧測定用電極対41を構成する電極31A,41A,41B,31Bは、臍72を通過する被測定体70の周上の位置において、この順で臍72を通過する投影線CS上に一列に配置されている。
【0063】
電流印加用電極31Aは肋骨面XSの下側に配置されている。また、電流印加用電極31Bは腸骨面XHの上側に配置されている。
電圧測定用電極対41は、縦位置LAと縦位置LBとの間に配置されている。すなわち、電圧測定用電極41A,41Bは電極間範囲RX内に配置されている。また、各電極41A,41Bは電極間線A1上に配置されている。また、電圧測定用電極対41の中間位置は電流印加用電極対31の中間位置および臍面XNと一致している。
【0064】
以上詳述したように、本実施形態によれば内臓脂肪82の立体的な分布に基づいた測定結果を得ることができる旨の(1)の効果および(3)〜(10)に準じた効果を奏することができる。
【0065】
(第4実施形態)
図10を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態では、第1実施形態の検出部21の電圧測定用電極の配置を変更している。以下にこの変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0066】
図10に示されるように、検出部21の電流印加用電極対31は、右半身の右脇腹71Cと前上腸骨棘74との間に設けられている。すなわち、電流印加用電極31Aは右脇腹71Cと前上腸骨棘74との間かつ肋骨面XSの下側に配置されている。また、電流印加用電極31Bは右脇腹71Cと前上腸骨棘74との間かつ腸骨面XHの上側に配置されている。
【0067】
電圧測定用電極対41は、縦位置LAと縦位置LBとの間に配置されている。すなわち、電圧測定用電極41A,41Bは電極間範囲RX内に配置されている。また、各電極41A,41Bは電極間線A1よりも臍72に近い位置に配置されている。また、電圧測定用電極対41および電流印加用電極対31の中間位置は、それぞれ臍面XNと一致している。
【0068】
以上詳述したように、本実施形態によれば内臓脂肪82の立体的な分布に基づいた測定結果を得ることができる旨の(1)の効果および(2)〜(4)および(6)〜(10)に準じた効果を奏することができる。
【0069】
(第5実施形態)
図11を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。
本実施形態では、第2実施形態の検出部21の電圧測定用電極の配置を変更している。以下にこの変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0070】
図11に示されるように、検出部21は、電流印加用電極対31と、6つの電圧測定用電極対41,42,43,44,45,46とから構成されている。電圧測定用電極対42は、電極42Aおよび電極42Bにより構成されている。電圧測定用電極対43は、電極43Aおよび電極43Bにより構成されている。電圧測定用電極対44は、電極44Aおよび電極44Bにより構成されている。電圧測定用電極対45は、電極45Aおよび電極45Bにより構成されている。電圧測定用電極対46は、電極46Aおよび電極46Bにより構成されている。
【0071】
電流印加用電極対31および電圧測定用電極対41を構成する各電極31A,41A,41B,31Bは、右脇腹71Cにおいて、この順で投影線CS上に一列に配置されている。
【0072】
電極対42は、電極対41と横方向Xにおいて平行かつ、右半身において電極対41よりも臍72側に配置されている。
電極対43は、電極対42と横方向Xにおいて平行かつ、右半身において電極対42よりも臍72側に配置されている。
【0073】
電極対44は、電極対43と横方向Xにおいて平行かつ、左半身において臍72付近に配置されている。
電極対45は、電極対44と横方向Xにおいて平行かつ、左半身において電極対44よりも左脇腹71D側に配置されている。
【0074】
電極対46は、電極対45と横方向Xにおいて平行かつ、左脇腹71D上に配置されている。
すなわち、電極41A,42A,43A,44A,45A,46Aは臍面XNと平行かつ臍面XNよりも上方側の同一面上に配置される。電極41B,42B,43B,44B,45B,46Bは臍面XNと平行かつ臍面XNよりも下方側の同一面上に配置されている。
【0075】
電圧測定用電極対41〜46は、いずれも縦位置LAと縦位置LBとの間に配置されている。すなわち、電圧測定用電極41A,41B,42A,42B,43A,43B,44A,44B,45A,45B,46A,46Bは電極間範囲RX内に配置されている。また、電圧測定用電極対41〜46の中間位置は電流印加用電極対31の中間位置および臍面XNと一致している。
【0076】
測定者の操作により内臓脂肪82の測定が開始されたとき、電流印加用電極対31の間で電流が流される。そしてこのとき、まず電圧測定用電極対41により電圧値が検出される。次に、電圧測定用電極対42により電圧値が検出される。以降同様に、電圧測定用電極対43〜46により順次電圧値が検出される。
【0077】
電極対41の電圧値は、右脇腹71C付近の内臓脂肪82を反映する。
電極対42の電圧値は、右半身において電極対41よりも臍72側付近の内臓脂肪82を反映する。
【0078】
電極対43の電圧値は、右半身において電極対42よりも臍72側付近の内臓脂肪82を反映する。
電極対44の電圧値は、左半身において臍72付近の内臓脂肪82を反映する。
【0079】
電極対45の電圧値は、左半身において電極対44よりも左脇腹71D側付近の内臓脂肪82を反映する。
電極対46の電圧値は、左脇腹71D付近の内臓脂肪82を反映する。
【0080】
そして、これら電極対41〜46の電圧値に基づいて周方向における各位置の内臓脂肪82の分布を表示部23に表示する。また、これら電圧値から算出される内臓脂肪量を平均して、腹部71全体の内臓脂肪量を算出し、これを表示部23に表示する。
【0081】
以上詳述したように、本実施形態によれば第3実施形態の効果に加えて以下の効果を奏することができる。
(11)本実施形態では、6つの電圧測定用電極対41〜46を備えている。このため、電流印加用電極対31の間のさまざまな位置での電圧測定を行うことができる。従って、より精度良く内臓脂肪82の体積を測定することができる。
【0082】
(12)本実施形態では、電流印加用電極対31を右脇腹71Cの付近に配置するとともに、電圧測定用電極対46を左脇腹71Dの付近に配置している。すなわち、電流印加用電極対31と電圧測定用電極対46とは被測定体70の対向位置に配置されている。これにより、腹部71において電流が流れる最も遠い位置の電圧を含む電圧を測定することができるため、より精度のよい測定が可能となる。
【0083】
(14)本実施形態では、1つの電流印加用電極対31の間に複数の電圧測定用電極対41〜46を備えている。従って、電極対を構成する電極の組み合わせを測定目的に応じて選択および切り替えることができる。
【0084】
(第6実施形態)
図12を参照して、本発明の第6実施形態について説明する。
本実施形態では、第5実施形態の検出部21の電流印加用電極の形状および配置を変更している。以下にこの変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0085】
図12に示されるように、検出部21は、電流印加用電極32A,32Bから構成される電流印加用電極対32と、6つの電圧測定用電極対41〜46とを含んで構成されている。
【0086】
電流印加用電極32Aは、被測定体70の右脇腹71Cから左脇腹71Dにかけて臍面XNと平行な方向に延びる帯状の電極として構成されている。電流印加用電極32Bは、被測定体70の右脇腹71Cから左脇腹71Dにかけて臍面XNと平行な方向に延びる帯状の電極として構成されている。
【0087】
以上詳述したように、本実施形態によれば第5実施形態の効果に加えて以下の効果を奏することができる。
(15)本実施形態では、電流印加用電極32Aを帯状としているので、前部71Aの広範囲に電流を印加することができるようになる。そして6つの電圧測定用電極対41,〜46を設けて電圧値を測定しているので、精度良く内臓脂肪82の体積を測定することができる。
【0088】
(第7実施形態)
図13を参照して、本発明の第7実施形態について説明する。
本実施形態では、第1実施形態の測定部20を変更している。以下にこの変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0089】
図13に示されるように、ベルト部11には、被測定体70に対して電圧測定用電極41A,41Bを周方向に移動させるための可動部14が設けられている。可動部14は、測定部20上において各電圧測定用電極41A,41Bをスライドさせるためのレールを含めて構成されている。電圧測定用電極41Aと電圧測定用電極41Bとは、接続部15により互いに接続されている。接続部15が測定者により操作されたとき、接続部15の移動にともない各電極41A,41Bが対応する可動部14上を移動する。測定者は、横方向Xにおいての可動部14の右端位置としての右脇腹71Cから左端位置としての左脇腹71Dまでの間で各電極41A,41Bを移動させることができる。なお、電圧の測定時には各電極41A,41Bを可動部14に固定することができる。
【0090】
以上詳述したように、本実施形態によれば上記各実施形態の(1)〜(14)に準じた効果に加えて以下の効果を奏することができる。
(16)本実施形態では、電圧測定用電極41A,41Bを被測定体70上において移動させるための可動部14を設けているため、複数の電圧測定用電極対を備えなくとも体表面上のさまざまな位置で電圧を測定することができる。
【0091】
(17)本実施形態では、電圧測定用電極41Aと電圧測定用電極41Bとを接続部15により接続している。このため、電圧測定用電極41Aと電圧測定用電極41Bとの相対的な位置関係を一定に維持したまま体表面上のさまざまな位置で電圧を測定することができる。
【0092】
(第8実施形態)
図14を参照して、本発明の第8実施形態について説明する。
本実施形態では、第1実施形態の測定部20を変更している。以下にこの変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0093】
図14(a)に示されるように、測定部120には、電流印加用電極および電圧測定用電極をそれぞれ取り付けおよび取り外し可能な複数の配置部16が設けられている。配置部16としては、縦方向Yに5列および横方向Xに6列の計30個が設けられている。
【0094】
配置部16には、制御部50に接続される伝達線24が接続されている。各配置部16に電流印加用電極および電圧測定用電極が嵌め込まれたとき、電流印加用電極および電圧測定用電極が伝達線24と接続される。以下、電流印加用電極および電圧測定用電極の配置態様の例を示す。
【0095】
図14(b)に示されるように、電流印加用電極33Aを右側端部かつ上側端部の位置に配置する。また、電流印加用電極33Bを右側端部かつ下側端部の位置に配置する。また、電圧測定用電極47Aを右側端部かつ電極33Aよりも下側に配置する。また、電圧測定用電極47Bを右側端部かつ電極33Bよりも上側に配置する。このとき、各電流印加用電極により1つの電流印加用電極対33が構成され、各電圧測定用電極により1つの電圧測定用電極対47が構成される。なお、この電極配置は第1実施形態の電極配置に相当する。
【0096】
図14(c)に示されるように、電流印加用電極33Aを右側端部かつ上側端部の位置に配置する。また、電流印加用電極33Bを右側端部かつ下側端部の位置に配置する。また、横方向Xおよび縦方向Yにおいて各電流印加用電極の内側の位置、かつ電極間の中間位置が各電流印加用電極の電極間の中間位置と一致するように各電圧測定用電極47A,47B,47C,47D,47E,47F,47G,47H,47I,47J,47K,47Lを配置部16に配置する。このとき、各電流印加用電極により1つの電流印加用電極対33が構成され、各電圧測定用電極により1つの電圧測定用電極対47が構成される。なお、この電極配置は第5実施形態の電極配置に相当する。
【0097】
以上詳述したように、本実施形態によれば上記各実施形態の(1)〜(14)の効果に準じた効果に加えて以下の効果を奏することができる。
(18)本実施形態では、ベルト部11に電流印加用電極および電圧測定用電極を取り付けおよび取り外し可能な配置部16が設けられている。これにより、1つの内臓脂肪測定装置10で複数の電極の数および配置を選択できるため測定の自由度を高めることができる。
【0098】
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記実施形態に限られるものではなく、例えば以下に示す態様をもって実施することもできる。また以下の各変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0099】
・上記第1実施形態では、電圧測定用電極対41を構成する電極41A,41Bをいずれも電極間線A1上かつ同一の投影線CS上に配置したが、電圧測定用電極対41の配置としてはこれに限られない。例えば、図15に示すように、電極41Aおよび電極41Bを縦方向Yについては同じであってかつ横方向Xにおいては異なるように配置することもできる。また、電極41Aおよび電極41Bを横方向Xおよび縦方向Yのいずれも異なるように配置することもできる。
【0100】
・上記第1実施形態では、各電極31A,41A,41B,31Bの間隔を同じ大きさにしたが、電極間の間隔をこれとは異なる大きさに変更することもできる。その例としては以下のものが挙げられる。
・各電極31A,31Bの間隔を第1実施形態の間隔よりも小さくする。
・各電極31A,31Bの間隔を第1実施形態の間隔よりも大きくする。
・各電極41A,41Bの間隔を第1実施形態の間隔よりも小さくする。
・各電極41A,41Bの間隔を第1実施形態の間隔よりも大きくする。
【0101】
・上記第1実施形態では、右半身に配置した電圧測定用電極対41により右半身の内臓脂肪82を測定したが、一方の半身に配置した電極対による半身の測定結果に基づいて他方の半身の内臓脂肪82を推定することもできる。また、一方の半身の測定結果に基づいて全体の内臓脂肪量を推定することもできる。
【0102】
・上記第5および第6実施形態では、各電圧測定用電極対41〜46を横方向Xに沿って配列したが、各電極対の配置態様を例えば次のように変更することもできる。すなわち、電極対41〜46の隣り合う電極同士の横方向Xの間隔を、それぞれ異なる大きさに設定することもできる。また、6つの電極対の少なくとも1つの中間位置を臍面XNと一致しないところに変更することもできる。
【0103】
・上記第5および第6実施形態では、6つの電圧測定用電極対41〜46を設けたが、電圧測定用電極対の数を5つ以上に変更することもできる。または、6つの電極対41〜46のうちの1〜5つの電極対を省略することもできる。
【0104】
・上記第5および第6実施形態では、電圧測定用電極対41〜46のそれぞれの電圧値から算出される内臓脂肪量を平均して、腹部71全体の内臓脂肪量を算出するようにしたが、それぞれの電圧値から算出される内臓脂肪量を加算して、腹部71全体の内臓脂肪量を算出するようにしてもよい。
【0105】
・上記第7実施形態では、電圧測定用電極41A,41Bが接続部15により接続されて、一体となって可動するようにしたが、電圧測定用電極41A,41Bが個々に移動できるようにしてもよい。
【0106】
・上記第7実施形態では、電圧の測定時には各電極41A,41Bが可動部14に固定されるようにしたが、各電極41A,41Bを可動部14のレールに沿って被測定体70上を移動させながら測定することもできる。
【0107】
・上記第8実施形態では、図14に示される数および配列で複数の配置部16を設けたが、配置部16の数および配列はこれに限らず適宜変更することができる。
・上記第8実施形態では、電極の取り付けおよび取り外しが可能な複数の配置部16を測定部20に設けることにより、電極の配置の自由度を高めるようにしたが、このための構成は同実施形態に例示した構成に限られるものではない。例えば、測定部20および各電極に互いに係合するフックを設け、このフックにより測定部20に対する電極の取り付けおよび取り外しを可能にすることもできる。
【0108】
・上記第1および第2および第4および第5および第7実施形態では、電流印加用電極31対を右半身に配置したが、臍72位置を挟んで左半身の左右対称位置に配置するようにしてもよい。
【0109】
・上記各実施形態では、腹部71の上端を肋骨面XSとして電流印加用電極31Aを肋骨面XS付近かつ肋骨面XSよりも下側に設けるようにしたが、腹部71の定義としてはこれに限られない。例えば腹腔の上端、すなわち横隔膜を腹部上端とすることもできる。また、胸骨下端部を腹部上端とすることもできる。そして、腹部の範囲内であれば、電流印加用電極31Aを肋骨面XS付近かつ肋骨面XSよりも上側に配置するようにしてもよい。
【0110】
・上記各実施形態では、電流印加用電極31Bを腸骨面XH付近かつ腸骨面XHよりも上側に設けるようにしたが、腹部71の定義としてはこれに限られない。例えば腹腔の下端を腹部下端とすることもできる。また、大腿骨上端を腹部下端とすることもできる。そして、腹部の範囲内であれば、電流印加用電極31Bを腸骨面XH付近かつ腸骨面XHよりも下側に配置するようにしてもよい。
【0111】
・上記各実施形態では、電流印加用電極対31〜33を1対のみ備えるようにしたが、複数の電流印加用電極対を備えるようにしてもよい。このときの測定方法としては、まず1つ目の電流印加用電極対に電流を印加し、電圧測定用電極にて電圧を測定する。次に、2つ目の電流印加用電極対に電流を印加し、電圧測定用電極にて電圧を測定する。これを電流印加用電極対の数に応じて繰り返し、電流印加位置の異なる、同一位置での電圧を測定する。
【0112】
・上記各実施形態では、各電極を右脇腹71Cと左脇腹71Dとの間であって前部71A側に配置するようにしたが、背部71B側に配置するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、電流印加用電極対および電圧測定用電極対の中間位置が一致するようにこれら電極対を配置したが、電流印加用電極対および電圧測定用電極対の中間位置が異なるようにこれら電極対を配置することもできる。
【0113】
・上記各実施形態では、ベルト部11と測定部20とを含めて内臓脂肪測定装置10を構成したが、ベルト部11を省略することもできる。または、図16(a)に示されるようにベルト部11に代えて測定者が把持できる棒状の把持部17を測定部20に取り付ける構成とすることもできる。この構成によれば、使用者は把持部17を持って電極31A,31B,41A,41Bを全て体表に接触させた状態、かつ電極31A,31B,41A,41Bを投影線CS上に配置した状態で内臓脂肪測定装置10の測定をすることができる。また、把持部17を省略して直接的に測定部20を把持する構成とすることもできる。また、図16(b)に示されるように、操作部22および表示部23を測定部20とは別体に形成することもできる。なお、把持部17の取り付け位置としては図16に示されるものに限らず、被測定体70の体表とは反対側の面に設けることもできる。さらに、測定部20の両側面に把持部を設けることもできる。この場合、使用者が両手で把持するとともに腹部71に電極31A,31B,41A,41Bを押し当てることができる。
【0114】
・上記各実施形態では、操作部22および表示部23および制御部50をベルト部11に設けるようにしたが、操作部22および表示部23および制御部50をベルト部11とは別に設けることもできる。例えば、図17に示されるように、検出部30の設けられる本体とは別体の体重計台18を備える内臓脂肪測定装置として構成することもできる。この場合、表示部23を体重計台18に設ける。この表示部23によれば、被測定体70が内臓脂肪82の測定結果を容易に視認できるようになる。
【0115】
・上記各実施形態では、目印部12を肋骨下縁76および前上腸骨棘74に合わせるようにしたが、臍72または背骨77に対応した目印部を設けて、この目印部を臍72または背骨77に合わせることもできる。
【0116】
・上記各実施形態では、肋骨下縁76および前上腸骨棘74に対して直接的に位置を合わせる目印部12を設けたが、ベルト部11から上側に向けて突出した目盛部を設けるとともに、この目盛部を用いて肋骨下縁76からベルト部11の上端部までの距離を合わせることもできる。また、ベルト部11から下側に向けて突出した目盛部を設けるとともに、この目盛部を用いて前上腸骨棘74からベルト部11の上端部までの距離を合わせることもできる。
【0117】
・上記各実施形態では、内臓脂肪82の測定結果としての内臓脂肪82の体積を三次元画像で表示部23に表示するようにしたが、内臓脂肪82の測定結果を数値で表示することもできる。この場合の例の1つとして、「腹部右:50cm、腹部上:30cm」のように被測定体70の部位毎に内臓脂肪82の体積を表示するものが挙げられる。また、メタボリックシンドロームの判定に関する内臓脂肪量の基準とされる臍面XN(すなわち図5(b)の断面)においての内臓脂肪82の面積を表示することもできる。
【0118】
・上記各実施形態では、測定された電圧に基づいて内臓脂肪量を算出し、これを表示部23に表示するようにしたが、測定電圧を直接的に表示部23に表示することもできる。
・上記各実施形態では、内臓脂肪82の測定結果を表示部23に表示するようにしたが、測定者に対して測定結果を伝達するための方法はこれに限らない。例えば、表示部23に加えてまたは表示部23に代えて、測定者に対して音声により測定結果を伝達する音声部を備えることもできる。
【0119】
・上記各実施形態では、電極材としてSUSおよび樹脂材表面を金属めっき処理したものを用いたが、これに代えてゲル材を用いることもできる。
・上記各実施形態では、測定部20に電源を内蔵するようにしたが、内臓脂肪測定装置10の外部から電源の供給を受けるようにすることもできる。
【0120】
・上記各実施形態では、測定方法の例として被測定体70が立位にある状態での測定方法を示したが、被測定体70が座位または仰臥位にある状態でも上記各実施形態での測定方法に準じて内臓脂肪82の測定を行うことができる。
【0121】
・上記各実施形態では、測定対象の例として人体を示したが、動物を測定対象とすることもできる。
【符号の説明】
【0122】
10…内臓脂肪測定装置、11…ベルト部(本体部)、11A…背面、11B…前面、12,12A,12B…目印部、13…ファスナ、14…可動部、15…接続部、16…配置部、17…把持部、18…体重計台、20,120…測定部、21…検出部、22…操作部、23…表示部、24…伝達線、30…検出部、31〜39…電流印加用電極対、31A,31B,32A,32B,33A,33B…電流印加用電極、41〜47…電圧測定用電極対、41A,41B,42A,42B,43A,43B,44A,44B,45A,45B,46A,46B,47A〜47L…電圧測定用電極、50…制御部(算出手段)、70…被測定体、71…腹部、71A…前部、71B…背部、71C…右脇腹、71D…左脇腹、72…臍、73…腰部、74…前上腸骨棘、75…胸部、76…肋骨下縁、77…背骨、80…体脂肪、81…皮下脂肪、82…内臓脂肪、83…筋肉。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電流印加用電極および第2の電流印加用電極を含む電流印加用電極対と、第1の電圧測定用電極および第2の電圧測定用電極を含む電圧測定用電極対とを備える内臓脂肪測定装置において、
被測定体の腹部において、体幹軸を体表に投影した投影線上に前記電流印加用電極対が配置され、
前記第1の電流印加用電極と前記第2の電流印加用電極とは、所定の間隔をおいて配置され、前記所定の間隔は、一方の電極から印加された電流が内臓脂肪を通過して他方の電極に戻る経路を形成する大きさであり、
被測定体の体幹軸方向の位置において前記第1の電流印加用電極と前記第2の電流印加用電極との間に前記電圧測定用電極対が設けられる
ことを特徴とする内臓脂肪測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内臓脂肪測定装置において、
前記所定の間隔は、被測定部位の皮下脂肪層と筋肉層とを合わせた厚さよりも大きい間隔である
ことを特徴とする内臓脂肪測定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の内臓脂肪測定装置において、
右半身において体幹軸を体表に投影した投影線のうち前上腸骨棘を通過する線と前額面を通過する線との間、および左半身において体幹軸を体表に投影した投影線のうち前上腸骨棘を通過する線と前額面を通過する線との間の少なくとも一方に前記電流印加用電極対が配置される
ことを特徴とする内臓脂肪測定装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の内臓脂肪測定装置において、
腹部の上端に前記第1の電流印加用電極が配置され、腹部の下端に前記第2の電流印加用電極が配置される
ことを特徴とする内臓脂肪測定装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の内臓脂肪測定装置において、
臍と同じ高さであって体幹軸と垂直に交差する面を臍面として、臍面よりも上に前記第1の電圧測定用電極が配置され、臍面よりも下に前記第2の電圧測定用電極が配置される
ことを特徴とする内臓脂肪測定装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の内臓脂肪測定装置において、
前記第1の電流印加用電極および前記第1の電圧測定用電極および前記第2の電圧測定用電極および前記第2の電流印加用電極の順に、各電極が一列に配置される
ことを特徴とする内臓脂肪測定装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の内臓脂肪測定装置において、
複数の前記電圧測定用電極対が含まれる
ことを特徴とする内臓脂肪測定装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の内臓脂肪測定装置において、
前記電圧測定用電極を被測定体上において移動させるための可動部が設けられる
ことを特徴とする内臓脂肪測定装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の内臓脂肪測定装置において、
被測定体に接触させるための本体部を備え、
この本体部には、前記電流印加用電極対および前記電圧測定用電極対が設けられる
ことを特徴とする内臓脂肪測定装置。
【請求項10】
請求項9に記載の内臓脂肪測定装置において、
前記電圧測定用電極対の測定電圧に基づいて内臓脂肪量を表示する表示部を備え、
前記表示部は前記本体部とは別体に形成される
ことを特徴とする内臓脂肪測定装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の内臓脂肪測定装置において、
前記本体部は被測定体に巻きつけて当該本体部を被測定体に固定するためのベルトを含む
ことを特徴とする内臓脂肪測定装置。
【請求項12】
請求項9または10に記載の内臓脂肪測定装置において、
前記本体部は使用者が把持するための把持部を含む
ことを特徴とする内臓脂肪測定装置。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか一項に記載の内臓脂肪測定装置において、
前記本体部は、電流印加用電極および電圧測定用電極をそれぞれ取り付けおよび取り外しすることのできる配置部を含む
ことを特徴とする内臓脂肪測定装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の内臓脂肪測定装置において、
被測定体の肋骨下縁または前上腸骨棘を基準として前記電流印加用電極対および前記電圧測定用電極対の位置を設定するための目印部を含む
ことを特徴とする内臓脂肪測定装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の内臓脂肪測定装置において、
前記電圧測定用電極対の測定電圧に基づいて内臓脂肪の体積を算出する算出手段を備える
ことを特徴とする内臓脂肪測定装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の内臓脂肪測定装置において、
前記電圧測定用電極対の測定電圧に基づいて内臓脂肪の三次元的な分布を表示する表示部を備える
ことを特徴とする内臓脂肪測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−200305(P2011−200305A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68375(P2010−68375)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】