説明

内蔵真空ポンプを持つレベル補正器

本発明は、構造物に固定される固定管と、固定管の内部に配置され、上下運動する中空型スライダーと、固定管とスライダーの間に配置され、スライダーの移動を伸縮自在に支えるスプリングとを含み、前記スライダーの内部空間には、一端に流入口が、他端に排気口が、側壁に吸入孔が形成された真空ポンプが装着される、真空システムに使用されるレベル補正器に関する。スライダーの上端開口に導かれた圧縮空気が、真空ポンプの流入口と排気口の間を貫通してスライド側壁の排出口を通じて排出されるとき、スライダーの下部に通じる空気がスライダーの内部空間に吸い込まれ、真空ポンプの吸入孔を通じて圧縮空気とともに排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は真空システムに使用されるレベル補正器に係り、より詳しくは内部に真空ポンプを含むレベル補正器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1を参照すれば、通常の真空システムは、空気流入口、排出口及び吸入口を持つ真空ポンプ1と、真空ポンプ1の吸入口と通じる包囲空間を提供する円筒状または箱状のハウジング2と、ハウジング2に吸入ライン3を介して連結される中空型マニホールド4と、マニホールド4に連結された多数の真空パッド5とからなる。圧縮空気が高速で流入して真空ポンプ1を通じて排出されるとき、真空パッド5の内部空気が吸入口に吸い込まれて圧縮空気とともに排出されることにより、真空パッド5の内部に負圧が発生する。発生された負圧は作業対象物を把持して持ち上げるか移動させる目的で使用される。
【0003】
作業対象物の表面が平らであれば、多数の真空パッド5が同一レベルで固定されることは問題にならない。しかし、その表面が湾曲しているか段差が形成されている場合にもすべての真空パッド5のレベルが均等になっていれば、作業対象物に対するそれぞれの真空パッド5の接触姿勢や位置が不安定になり、作業対象物の表面損傷または破損などが発生することがある。よって、真空パッド5とともにレベル補正器6が使用される。
【0004】
図2及び図3は従来技術によるレベル補正器をそれぞれ例示する。便宜上、両図において機能的に同一の要素に対しては同一符号を付けた。従来のレベル補正器は、円筒状固定管7と、固定管7を貫通して上下運動する管状スライダー8と、固定管7とスライダー8の間に配置され、スライダー8の移動を伸縮自在に支えるスプリング9とからなる。前記スライダー8の下端に結合される真空パッドはスライダー8とともに移動し、よって作業対象物の表面状態によって適切なレベルに補正される。前記レベル補正器には作業対象物に加わる衝撃を緩衝させる役目もある。
【0005】
通常の真空システムにおいて、前述した従来のレベル補正器が作業対象物の表面状態によって真空パッドのレベルを適切に補正する手段として使用されることは事実である。しかし、このレベル補正器は既定の用途にだけ使用されるという限界がある点、その使用によってシステムが一層複雑になる点、その使用によって吸入ラインがさらに長くなる点などの問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前述した従来のレベル補正器の問題点を解決するためになされたものである。本発明の目的は、真空システムをより簡単に構成することができるレベル補正器を提供することである。本発明の他の目的は、真空システムにおける吸入ラインを排除して真空応答速度をより速くしたレベル補正器を提供することである。本発明のさらに他の目的は、効率よく騒音を減らすことができるレベル補正器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、レベル補正器は、構造物に固定される固定管と、固定管の内部に配置され、上下運動する中空型スライダーと、固定管とスライダーの間に配置され、スライダーの移動を伸縮自在に支えるスプリングとを含む。特に、前記スライダーの内部空間には、一端に流入口が、他端に排気口が、側壁に吸入孔が形成された真空ポンプが装着される。また、スライダーの上端開口に導かれた圧縮空気が、真空ポンプの流入口と排気口の間を貫通してスライド側壁の排出口を通じて排出されるとき、スライダーの下部に通じる空気がスライダーの内部空間に吸い込まれ、真空ポンプの吸入孔を通じて圧縮空気とともに排出される。
【0008】
より具体的には、前記スライダーは、上側固定管内部に配置される中空型ボディーと、ボディーの上端開口に挿入されるガイド管と、ボディーの内部でガイド管の挿入端部と離隔して対向するように形成され、ボディーの内部空間と真空パッドを通じさせる通孔及びボディーの内部空間とボディーの側壁排出口を通じさせる通路が形成された支持部とを含む。また、前記真空ポンプは、一端に流入口が、他端に排気口が、側壁に吸入孔が形成され、そして前記真空ポンプは、流入口がガイド管の挿入端部に接続され、排気口が支持部の通路入口に接続されるように、前記ボディーの内部空間に装着される。
【0009】
本発明によれば、真空ポンプはレベル補正器の内部空間に装着される。すなわち、レベル補正器は吸入ラインではない真空生成部として使用される。したがって、本発明のレベル補正器を用いる真空システムにおいては、真空ポンプの包囲空間を提供するハウジングや吸入ラインなどの使用が排除されるので、真空システムの構成が簡単になり、圧縮空気に対する真空応答速度が非常に速くなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のレベル補正器は内蔵の真空ポンプを持つ。したがって、負圧を形成する真空システムの構成が簡単になり、圧縮空気に対する真空応答速度が非常に速くなる効果がある。一方、吸音材による騒音抑制及びフィルターによる空気濾過が効果的になる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】通常の真空システムの構成図及び作用図である。
【図2】従来技術によるレベル補正器を例示した断面図である。
【図3】従来技術によるレベル補正器を例示した断面図である。
【図4】本発明の最適な実施例によるレベル補正器の断面図である。
【図5】図2及び図3のレベル補正器を利用した真空システム構成及び作用図である。
【符号の説明】
【0012】
10:レベル補正器 11:固定管
12:スライダー 13:真空ポンプ
15:ボディー 16:ガイド管
17:連結管 20:排出口
26:ホール 29:フィルター
30:カバーリング 31:吐出口
【発明を実施するための形態】
【0013】
前述した、またはその他の本発明の特徴及び作用効果は、添付図面を参照する以下の説明からより明らかになるであろう。
【0014】
図4及び図5を参照すれば、本発明の最適な実施例によるレベル補正器は符号10で表示される。前記レベル補正器10は、円筒状の固定管11と、固定管11を貫通して上下運動可能なように配置されるスライダー12と、スライダー12の内部に装着される真空ポンプ13とを含む。
【0015】
前記固定管11は、マニホールド、フレーム、ブラケットその他の構造物に結合される部材であり、この固定管11によってレベル補正器10の全体が位置固定される。固定管11の表面には、他の構造物との結合のためのネジが形成されており、ナット部材が提供されている。そして、固定管11の上端にはスライダー12のボディー15の上端外面に接する内向縮径部14が形成される。
【0016】
前記スライダー12は、固定管11より長い長さを有し、上側が固定管11の内部に配置される中空型スライドボディー15と、ボディー15の上端開口に一定の深さで装着されるガイド管16と、ボディー15の下端に固定される連結管17とを含む。前記連結管17の下部には真空パッド41が結合される。
【0017】
前記ボディー15の表面には、固定管11の下端内面に接する外向拡径部18が形成され、外向拡径部18の下側に突出フランジ19が形成され、フランジ19の下側に空気排出口20が形成される。そして、固定管11の内向縮径部14とボディー15の外向拡径部18によって上下に延びる空間にスプリング21が挿入される。他の実施例において、前記スプリング21は固定管11の下端11aとフランジ19の間に配置することができ(図2b参照)、この場合には本実施例の内向縮径部14及び外向拡径部18は不要である。
【0018】
ボディー15の下端内部には、前記ガイド管16の挿入端部と離隔して対向する支持部22が全体的に形成される。前記支持部22には、ボディー15の内部空間と連結管17を通じさせる通孔23と、ボディー15の内部空間と排出口20を通じさせる通路20aとが形成される。
【0019】
前記ガイド管16はボディー15の上端開口に一定の深さで装着され、上側にフランジ24が形成されることにより、ガイド管16及びボディー15が固定管11の上端面11bにかかるようになっている。
【0020】
前記連結管17はボディー15の下端に固定され、ボディー15と真空パッド41を通じさせる部材である。ただ、他の実施例において、真空パッドがボディー15の下端に直接固定されるように設計することもできる。連結管17の上側にはボディー15のフランジ19と対向するフランジ25が形成され、一つの側には内部を貫通する真空解除用ホール26が形成される。連結管17はボディー15側の大内径部27と真空パッド41側の小内径部28とに区分され、大内径部27にはフィルター29が装着できる。この際、前記ホール26はフィルター29より上側に位置する。
【0021】
互いに対向する二つのフランジ19、25の間には、吐出口31が形成された円筒状カバーリング30が備えられ、吐出口31はボディー15の排出口20と通じる。この際、ボディー15とカバーリング30の間に形成された空間には装置の騒音除去のための吸音材32が配置される。排気効率及び吸音効率を考慮すると、前記吸音材32は好ましくは螺旋形のものである。
【0022】
前記真空ポンプ13は、一端に流入口33を、他端に排気口34を持ち、側壁に吸入孔35が形成された通常の回転対称形エアポンプである。図示されていないが、真空ポンプ13の内部には直列のノズルが装着されている。通常のものと同様に、この真空ポンプ13は、内部のノズルを高速で通過する圧縮空気の作用によって、吸入孔35と通じる包囲空間に真空を発生させる。本発明において、包囲空間はボディー15の内部空間になる。
【0023】
真空ポンプ13は、流入口33がガイド管16の挿入端部に接続され、排気口34が通路20aの入口に接続されるように、ボディー15の内部空間に同軸上に装着される。もちろん、真空ポンプ13の表面はボディー15の内面に接触しない。
【0024】
本発明を利用した真空システムは、レベル補正器10と、連結管17の下部に固定される真空パッド41とからなり、前記レベル補正器10を固定させるための構造物42を備える。固定管11が構造物42に結合され、本発明のレベル補正器10が装着される。この真空システムは、レベル補正器とは別に備えられる真空ポンプ、ハウジング及び吸入ラインなどを含む従来の真空システム(図1参照)に比べ、非常に簡単に構成されることが分かる。
【0025】
構造物42としてマニホールドを例示しているが、他のフレームやブラケットなどが使用できる。一方、圧縮空気は構造物42を通じて各レベル補正器10に供給されるものを例示しているが、構造物42を通じないでレベル補正器10に直接供給することもできる。この場合には、真空システムがより簡素化できる。
【0026】
例えば、構造物42が下降して、図4のように、作業対象物Pの表面の高低によって真空パッド41に圧力が加えられれば、レベル補正器10のスライダー12が上側に移動しながら衝撃を吸収するとともに真空パッド41のレベルが弾力的に補正される。
【0027】
それぞれの真空パッド41が作業対象物Pの表面に接触した状態で、構造物42に供給されてガイド管16に流入した圧縮空気が真空ポンプ13を高速で通過して最終出口である吐出口31を通じて外部に吐き出される(図4の矢印参照)。圧縮空気の吐出の際、装置の騒音は螺旋形吸音材によって発生が抑制される。
【0028】
この際、真空パッド41の内部空気は真空ポンプ13の吸入孔35に吸い込まれて圧縮空気とともに外部に吐き出される。真空パッド41の内部空気中のほこりや異物はフィルター29によって濾過されて真空ポンプ13の内部に流入しない。
【0029】
空気の吐出過程で、スライドボディー15の内部空間に真空が発生するとともに、真空パッド41の内部には負圧が形成される。このように、本発明において、レベル補正器10は吸入ラインではない真空生成部として用いられる。すなわち、このシステムにおいては、吸入ラインが排除されることにより、圧縮空気に対する真空応答速度が非常に速くなる。前記発生した負圧によって真空パッド41は作業対象物Pを把持し、移送可能になる。
【0030】
移送が完了すれば、圧縮空気は真空解除ホール26に流入され、真空パッド41の内部に供給される。圧縮空気の供給ポート16、26は電磁バルブによって選択的に開放または閉鎖される。ホール26に流入された空気によって真空パッド41内の負圧が解除され、真空パッド41と作業対象物Pは分離される。この際、流入される圧縮空気は下向きにフィルター29を通過しながらフィルター29の下面に濾過された異物を叩き落とす。したがって、フィルターの寿命が延長される利点がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に固定される固定管と、固定管の内部に配置され、上下運動する中空型スライダーと、固定管とスライダーの間に配置され、スライダーの移動を伸縮自在に支えるスプリングとを含み、前記スライダーの内部空間には、一端に流入口が、他端に排気口が、側壁に吸入孔が形成された真空ポンプが装着され、スライダーの上端開口に導かれた圧縮空気が、真空ポンプの流入口と排気口の間を貫通してスライド側壁の排出口を通じて排出されるとき、スライダーの下部に通じる空気がスライダーの内部空間に吸い込まれ、真空ポンプの吸入孔を通じて圧縮空気とともに排出されることを特徴とする、レベル補正器。
【請求項2】
前記スライダーは、固定管の内部上側に配置される中空型ボディーと、ボディーの上端開口に装着されるガイド管と、ボディーの内部でガイド管の挿入端部と離隔して対向するように形成され、ボディーの内部空間と真空パッドを通じさせる通孔及びボディーの内部空間とボディーの側壁排出口を通じさせる通路が形成された支持部を含み、前記真空ポンプは、一端に流入口が、他端に排気口が、側壁に吸入孔が形成され、そして前記真空ポンプは、流入口がガイド管の挿入端部に接続され、排気口が支持部の通路入口に接続されるように、前記ボディーの内部空間に装着されることを特徴とする、請求項1に記載のレベル補正器。
【請求項3】
前記ガイド管は、固定管の上端面にかかる上側フランジ24を含むことを特徴とする、請求項2に記載のレベル補正器。
【請求項4】
前記スライダーはボディーの下端に固定され、ボディーと真空パッドを通じさせるよう媒介する連結管を含むことを特徴とする、請求項2に記載のレベル補正器。
【請求項5】
前記連結管の側壁には真空解除用ホールが形成されたことを特徴とする、請求項4に記載のレベル補正器。
【請求項6】
前記連結管の内部にはエアフィルターが備えられることを特徴とする、請求項4に記載のレベル補正器。
【請求項7】
前記連結管の側壁には真空解除用ホールが形成され、内部にはエアフィルターが配置され、ホールの位置はフィルターより上側であることを特徴とする、請求項4に記載のレベル補正器。
【請求項8】
前記ボディーの側壁排出口の上側に突出フランジ19が形成され、前記連結管の上側に対向フランジ25が形成され、両フランジ19、25の間には排出口と通じる吐出口が形成されたカバーリングが備えられることを特徴とする、請求項4に記載のレベル補正器。
【請求項9】
前記ボディーとカバーリング間の空間には吸音材が備えられることを特徴とする、請求項8に記載のレベル補正器。
【請求項10】
前記吸音材は螺旋形であることを特徴とする、請求項9に記載のレベル補正器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−522646(P2010−522646A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500817(P2010−500817)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【国際出願番号】PCT/KR2008/000535
【国際公開番号】WO2008/117928
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(508190964)コリア ニューマティック システム カンパニー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】