内視鏡
【課題】糸巻き部における接着剤層中に空気の泡ができないようにして、糸巻き部において所望の接着強度を確実に得られる内視鏡を提供する。
【解決手段】内視鏡1は、糸巻き部において、糸部材51の巻回軸方向に沿って隣り合う糸部材部分を詰めて糸部材51を被巻回部である外皮43の外周に巻回した状態において、外皮43に巻回された隣り合う糸部材部分が接触している接触部分と、隣り合う糸部材部分が離間している離間部分とを有するように、糸部材51が外皮43に巻回されている。
【解決手段】内視鏡1は、糸巻き部において、糸部材51の巻回軸方向に沿って隣り合う糸部材部分を詰めて糸部材51を被巻回部である外皮43の外周に巻回した状態において、外皮43に巻回された隣り合う糸部材部分が接触している接触部分と、隣り合う糸部材部分が離間している離間部分とを有するように、糸部材51が外皮43に巻回されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に関し、特に、糸巻き部を有する内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内視鏡は、医療分野及び工業分野で広く利用されている。内視鏡は、細長の挿入部を有し、術者あるいは検査者は、体内あるいは検査対象装置内に挿入部を挿入して、体腔内あるいは検査対象内の所望の部位の観察及び画像記録をすることができる。
内視鏡の挿入部は、先端に設けられた先端硬質部と、その先端硬質部よりも基端側に連接された湾曲部と、その湾曲部よりも基端側に連接された可撓管部とを有している。そして、内視鏡は、先端硬質部と湾曲部の連結部、湾曲部と可撓管部の連結部等において、糸部材を用いて外皮等を固定する糸巻き部を有する場合がある。
【0003】
例えば、先端硬質部に湾曲部の外皮を固定する場合、真っ直ぐな糸部材が外皮の外側において糸部材同士が密着するように詰めて巻回され、巻回された糸部材の表面には、接着剤が塗布される。その接着剤は、ある程度の粘度を有するが、その後の乾燥工程において加熱されたときに粘度が一旦低下し、その後硬化する。これにより、密に巻回され、接着剤により固定された糸部材は、外皮を、先端硬質部の外周面に強固に固定する。
【0004】
しかし、以上のように真っ直ぐな糸部材を密巻きにしたとき、接着剤はある程度の粘度を有するが、接着剤で覆われた隣り合う糸部材と内視鏡の外皮表面との間の隙間には、接着剤が入り込めず空気溜まりが出来てしまう場合がある。その場合、その後の乾燥工程における加熱により、その空気溜まりの空気が膨張し、かつ接着剤の粘度も低くなるので、その空気は、接着剤層内に進入し、硬化した接着剤層の中に空気の泡として残ってしまう。
【0005】
図14は、接着剤層内に空気の泡が形成された状態を説明するための図である。外皮101と密巻された糸部材102の間には、空隙AGが存在し、その空隙AGの空気が、乾燥工程において加熱されることにより膨張する。膨張した空気は、粘度が低くなった接着剤層103中に進入し、接着剤の温度の低下に伴い空気の泡Bとして接着剤層103中に残ってしまう場合がある。
【0006】
接着剤層103中に空気の泡Bが存在すると、空気の泡Bの存在する部分では接着剤層103が盛り上がり薄くなるので、接着剤層103が硬化した部分において、部分的に接着強度の低下が生じ、全体的に所望の接着強度が得られないという問題がある。
【0007】
さらに、接着剤層103の薄い部分は、物理的強度が弱いだけでなく、経年変化や洗浄・消毒・滅菌の際の化学的負荷、熱的負荷よる影響を受けやすくなってしまうという問題もある。
【0008】
例えば、特開2007−195824号に記載のように、糸部材を、巻回されたときに糸部材の間隔をあけるように巻回することも可能であるが、糸部材の巻回数が少なくなると、糸部材による締め付け強度が低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−195824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、糸巻き部における接着剤層中に空気の泡ができないようにして、糸巻き部において所望の接着強度を得られる内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、糸部材が被巻回部に巻回された糸巻き部を有する内視鏡であって、前記糸部材の巻回軸方向に沿って前記隣り合う糸部材部分を詰めて前記糸部材を前記被巻回部の外周に巻回した状態において、前記被巻回部に巻回された隣り合う糸部材部分が接触している接触部分と前記隣り合う糸部材部分が離間している離間部分とを有するように、前記糸部材が前記被巻回部に巻回されている内視鏡を提供することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の内視鏡によれば、糸巻き部における接着剤層中に空気の泡ができないようにして、内視鏡の糸巻き部において所望の接着強度を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる内視鏡の構成例を示す構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係わる、湾曲部32と先端硬質部33の連結部における糸巻き部を説明するための部分断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係わる糸部材51の構成を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係わる糸部材51が先端硬質部本体61の外周部に巻回された状態を説明するための図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係わる複数の凹部52を有する糸部材51の製造方法を説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係わる糸巻き部の製造工程の流れの例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係わる糸部材81の構成を説明するための図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係わる糸部材81が先端硬質部本体61の外周部に巻回された状態を説明するための図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係わる縮れた糸部材81を製造する一の方法を説明するための図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係わる縮れた糸部材81の他の製造方法を説明するための図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係わる縮れた糸部材81のさらに他の製造方法を説明するための図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係わる糸部材91の構成を示す図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係わる糸部材91が先端硬質部本体61の外周部に巻回された状態を説明するための図である。
【図14】接着剤層内に空気の泡が形成された状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態に係わる内視鏡の構成例を示す構成図である。図1に示す内視鏡1は、操作者に保持される操作部11と、細長い挿入部12とを備えている。操作部11は挿入部12の基端部に接続されている。操作部11にはユニバーサルコード13が連結されている。ユニバーサルコード13の延出した端部にはライトガイドコネクタ14が接続されている。このコネクタ14は、図示しない内視鏡用光源装置に対して接続可能である。
【0015】
図1に示すように、操作部11は、操作者が手で把持する把持部21と、挿入部12の後述する湾曲部32を所望の方向に湾曲させる際に操作されるアングル操作ノブ22を備えている。その他、操作部11は、図示しないが、送気・送水操作釦や吸引操作釦等の操作釦類を備えている。把持部21の挿入部12側には、処置具挿通口23が設けられている。操作部11の挿入部12に対して遠位側には、接眼部24が設けられている。
【0016】
図1に示すように、挿入部12は、操作部11に近い側から先端側に向かって順に、軟性の可撓部31と、この可撓部31の先端に接続された湾曲部32と、この湾曲部32の先端に接続された先端硬質部33とを備えている。
【0017】
可撓部31は所定の大きさ以上の外力によって弾力性を呈して曲がり得る可撓性を有する管状部分である。湾曲部32は操作部11のアングル操作ノブ22を操作することにより所望の方向に湾曲可能な管状部分である。そして、先端硬質部33の先端方向、すなわち内視鏡の視野方向は、湾曲部32の湾曲に応じて、すなわちその湾曲状態に応じて、変更される。
【0018】
図2は、湾曲部32と先端硬質部33の連結部における糸巻き部を説明するための部分断面図である。
湾曲部32は、複数の湾曲駒41が互いに軸部材41aにより連結された関節湾曲機構42と、関節湾曲機構42を被覆する外皮部材(以下、外皮という)43とを有して構成されている。各湾曲駒41が軸部材41aを中心軸として回動可能に構成されているので、湾曲部32は湾曲可能となっている。
【0019】
湾曲部32の外皮43は、先端硬質部33を構成する先端硬質部本体61に、糸部材51と接着剤62により固定される。具体的には、先端硬質部本体61の基端側の外周面には、段差部63が形成されている。また、外皮43の先端側の外周面にも、わずかな段差部64が形成されている。外皮43は、関節湾曲機構42の外周部と、先端硬質部本体61の基端側の外周面の一部を覆っている。外皮43に覆われた湾曲駒41の一部41bが、先端硬質部本体61の基端側の外周部に設けられた突起部に突き当たり、外皮43の先端部が先端硬質部本体61の段差部63を覆うように、先端硬質部本体61に嵌入される。
【0020】
そして、外皮43の段差部64の所定の範囲Rに亘り、糸部材51が、密巻きに巻回される。よって、糸部材51が巻回される範囲Rが、糸巻き部である。すなわち、糸巻き部では、糸部材51が、被巻回部である外皮43に巻回されている。そして、糸部材51は、糸部材51の巻回軸Wの方向に沿って、隣り合う糸部分を詰めて被巻回部である外皮43に巻回されている。
図2に示すように、所定の範囲Rに巻回された糸部材51の表面に、点線で示す接着剤62が塗布され、そして、その後接着剤62を硬化させることによって、外皮43は先端硬質部33に固定される。
【0021】
糸部材51は、外皮34を先端硬質部本体1に固定するための緊縛手段であり、その糸部材51が硬化した接着剤62により固定されることにより、外皮43は先端硬質部33に強固に固定される。
そして、糸巻き部における接着剤層中に空気の泡ができないようにして、内視鏡1の糸巻き部において所望の接着強度を確実に得られるように、糸巻き部は構成されている。
【0022】
本実施の形態では、糸部材51の直径d1は、例えば、0.05mmから0.2mmの範囲の値である。先端硬質部33の段差部63の直径Dは、例えば、10mmである。上述したように、図4及び他の図面においては、部材の縮尺は、本実施の形態の構成の説明を容易にするために、これらの寸法とは異なり、変更されている。
【0023】
糸部材51は、モノフィラメントであり、糸部材51の材質は、例えば、ポリアミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)、あるいはポリフッ化ビニリデンである。接着剤62は、例えば、エポキシ樹脂系接着剤である。
【0024】
図3は、第1の実施の形態に係る糸部材51の構成を示す図である。糸部材51は、糸自体は真っ直ぐであるが、表面に複数の凹部52を有する。複数の凹部52は、例えば所定の間隔P1で設けられている。
【0025】
図4は、糸部材51が先端硬質部本体61の外周部に巻回された状態を説明するための図である。糸部材51は、先端硬質部本体61に所定の張力下で、隣り合う糸部材同士が密着するように巻回されるが、糸部材51が複数の凹部52を有するため、図4に示すように、密巻きされた状態においても、隣り合う糸部材51間には、多くの隙間G1が形成される。隙間G1は、凹部52の深さに対応する。
【0026】
すなわち、糸部材51の巻回軸W方向に沿って隣り合う糸部材部分を詰めて、糸部材51が被巻回部である外皮43の外周に巻回された状態において、外皮43に巻回された隣り合う糸部材部分が接触している接触部分と隣り合う糸部材部分が離間している離間部分とを有するように、糸部材51が被巻回部である外皮43に巻回されている。図4において、凹部52の無い隣り合う糸部材部分同士は接触し、隣り合う糸部材部分の少なくとも一方に凹部52がある場合には、その凹部52の部分が、離間部分となる。よって、糸部材51の各凹部により、離間部分が形成されている。なお、被巻回部である外皮43は、管状であるので、巻回軸Wは、管状被巻回部である外皮43の軸と一致する。
【0027】
従って、巻回された糸部材51の表面に接着剤62が塗布された場合に、接着剤62は、隣り合う糸部材51間の隙間G1から外皮43まで入り込み易く、さらに、接着剤62が乾燥工程において加熱されたときにも、隙間G1から外皮43まで入り込み易い。
【0028】
よって、従来のように、凹凸のない表面が真っ直ぐな糸部材、すなわちその中心軸に平行な方向において表面が真っ直ぐな糸部材を密巻きにした場合には、外皮表面との間の隙間に空気溜まりが出来て、その空気溜まりの空気が加熱によって接着剤の中で空気の泡となってしまう場合があったが、上述したような複数の凹部52を有する糸部材51を密巻きにすることによって、硬化した接着剤の中に空気の泡が形成されることがない。
【0029】
次に、複数の凹部52を有する糸部材51の製造方法について説明する。
図5は、複数の凹部52を有する糸部材51の製造方法を説明するための図である。凹凸のない表面が真っ直ぐな糸部材71に対して、上記の所定の間隔P1毎に、ブレードのような先端部が硬い部材72を押し当てることによって、表面に複数の凹部52を有する糸部材51を製造することができる。部材72の糸部材71に当たる部分は、凹部52の形状に対応する形状を有する。
【0030】
例えば、凹凸のない表面が真っ直ぐな糸部材71を、表面が平らな台73上に固定し、その固定した糸部材に対して、部材72を押し当てるあるいは打ち付けることによって、打痕のような物理的な変形が生じて凹部52が形成される。凹部52の深さは、部材72の押し当て時あるいは打ち付け時の力量に応じて調整可能である。
【0031】
一つの凹部52を形成した後、台73あるいは糸部材51を、矢印Aの方向に、所定の間隔P1だけ移動させて、再度部材72を糸部材71に押し当てるあるいは打ち付ける。このような動作を繰り返すことにより、表面に複数の凹部52を有する糸部材51を製造することができる。
なお、所定の間隔P1だけ互いに離れて並べられた複数の部材72を有する装置を用いて、一回の押し当てあるいは打ち付けで、複数箇所に凹部52を形成するようにしてもよい。
【0032】
さらになお、上述した例は、部材72の押し当てあるいは打ち付けにより凹部52を形成しているが、凹部52は、表面をナイフ等のような、先端が鋭利な刃物によって削り取るようにして、形成するようにしてもよい。
また、部材72を高温にして、糸部材71に押し当てたときに表面が溶けるようにして、凹部52を形成するようにしてもよい。
【0033】
よって、図5に示すような方法を用いることによって、図3に示すような複数の凹部52を有する糸部材51を製造することができる。
なお、隣り合う凹部52の間隔は、ランダムであってもよいし、一定であってもよい。糸を巻き付ける対象物の直径に伴い適宜設定すればよく、好ましくは糸が一巻きする間に少なくとも一つの凹部52が出現するように凹部52が配置される。
【0034】
従って、本実施の形態によれば、糸巻き部における接着剤層中に空気の泡ができないようにして、内視鏡の糸巻き部において所望の接着強度を確実に得られる内視鏡を実現することができる。
【0035】
次に、糸巻き部の製造工程について説明する。
図6は、糸巻き部の製造工程の流れの例を示すフローチャートである。まず、外皮43が湾曲部42の最も先端の湾曲駒41の一部41bを介して段差部63に被せられた状態で、所定の範囲Rの外周に、複数の凹部52を有する糸部材51を、隣り合う糸部材51同士が密着するように糸巻きを行う(S1)。
【0036】
そして、巻回された糸部材51の表面に接着剤62を塗布し(S2)、接着剤62が塗布された内視鏡1を真空炉内に配置して、減圧する(S3)。この減圧処理は、接着剤62内の空気を、より確実に放出させるための処理である。その後、糸巻き部を加熱して、接着剤62を硬化させる(S4)。
なお、加熱処理(S4)は、減圧処理(S3)中に、赤外線放射などにより同時に行うようにしてもよい。また、加熱の他に紫外線を照射して接着剤を硬化させてもよい。
【0037】
以上のように、本実施の形態によれば、複数の凹部を有する糸部材を用いたので、糸巻き部における接着剤層中に空気の泡ができないようにして、内視鏡の糸巻き部において所望の接着強度を確実に得られる内視鏡を実現することができる。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、糸巻き部において表面に複数の凹部を有する糸部材が密巻きにされているが、本第2の実施の形態では、糸巻き部において縮れた形状を有する糸部材が密巻きされる。
第2の実施の形態における内視鏡の構成は、第1の実施の形態で説明した内視鏡1と同様であるので、同一構成要素については同じ符号を用いて説明は省略し、異なる構成の糸部材を主として説明する。
【0038】
図7は、本実施の形態に係わる糸部材81の構成を説明するための図である。糸部材81は、真っ直ぐな形状ではなく、縮れた形状を有する。縮れ状態の糸部材81の波形状は、周期P2を有する。糸部材81の縮れ状態は、糸部材81に掛かる張力に応じて変化するが、糸部材81が、所定の張力の下で先端硬質部本体61の外周面に密状態で巻回されたときであっても、糸部材81は、縮れ状態が全く無くならない。
【0039】
図8は、糸部材81が先端硬質部本体61の外周部に巻回された状態を説明するための図である。糸部材81は、先端硬質部本体61に所定の張力下で、隣り合う糸部材同士が密着するように巻回されるが、所定の張力で引っ張られても糸部材81は縮れた形状を有するため、図8に示すように、密巻きされた状態においても、隣り合う糸部材81間には、多くの隙間G2が形成される。
【0040】
すなわち、糸部材81の巻回軸W方向に沿って隣り合う糸部材部分を詰めて、糸部材51が被巻回部である外皮43の外周に巻回された状態において、外皮43に巻回された隣り合う糸部材部分が接触している接触部分と隣り合う糸部材部分が離間している離間部分とを有するように、糸部材81が被巻回部である外皮43に巻回されている。図8において、隣り合う糸部材部分で波状の形状が一致あるいは略一致すると、その部分は接触し、隣り合う糸部材部分で波状の形状が一致あるいは略一致しない場合には、その部分が、離間部分となる。言い換えれば、糸部材81の縮れた形状により、離間部分が形成されている。
【0041】
よって、巻回された糸部材81の表面に接着剤62が塗布された場合に、接着剤62は、隣り合う糸部材81間の隙間G2から外皮43まで入り込み易く、さらに、接着剤62が乾燥工程において加熱されたときにも、隙間G2から外皮43まで入り込み易い。
【0042】
従って、従来のように、その中心軸に平行な方向において表面が真っ直ぐな糸部材を密巻きにした場合には、外皮表面との間の隙間に空気溜まりが出来て、その空気溜まりの空気が加熱によって接着剤の中で空気の泡となってしまう場合があったが、上述したような縮れた糸部材81を密巻きにすることによって、硬化した接着剤の中に空気の泡が形成されることがない。
【0043】
次に、縮れた糸部材81を製造するクリンプ加工の方法について説明する。
図9は、縮れた糸部材81を製造する一の方法を説明するための図である。図9に示すように、真っ直ぐな糸部材71を、所定の直径を有する棒部材91の周りに所定の張力で巻回する。そして、糸部材71が図7に示すような縮れ形状を保持するようになるまで、その巻回された状態を維持する。その後、糸部材71を棒部材91から外すと、糸部材71は、図7に示すような糸部材81となる。なお、糸部材81が縮れ形状を保持し易くするために、図9に示したような状態で、糸部材71を所定の温度になるまで加熱するようにしてもよい。
よって、図9に示すようなクリンプ加工方法を用いることによって、図7に示すような糸部材81を製造することができる。
【0044】
図10は、縮れた糸部材81の他の製造方法を説明するための図である。図10に示すように、真っ直ぐな糸部材71を表面が波状の凹凸を有する2つの板82の間に挟むことによって、糸部材71は、図7に示すような糸部材81となる。2つの板82は、糸部材71を間に挟むように密着させたときに、2つの板92の表面の凹凸部分が、互いに嵌り合うように形成されている。よって、2つの板82の間に挟まれた糸部材71は、2つの板82の凹凸に沿った波状となる。
【0045】
点線で示すように、2つの板82の一方を、他方の板92に、矢印A1で示すように押し杖、真っ直ぐな糸部材71を所定の圧力で挟み、糸部材71が図7に示すような縮れ形状を保持するようになるまで、その状態を維持する。その後、2つの板82を引き離し、糸部材71を取り出すと、糸部材71は、図7に示すような糸部材81となる。なお、糸部材81が縮れ形状を保持し易くするために、2つの板部材82を加熱して糸部材71が所定の温度になるまで加熱するようにしてもよい。
よって、図10に示すようなクリンプ加工方法を用いることによって、図7に示すような糸部材81を製造することができる。
【0046】
図11は、縮れた糸部材81のさらに他の製造方法を説明するための図である。図11に示す方法は、図10の2つの板82に代わり、複数の棒状部材を用いる。すなわち、所定の間隔をもって配置された第1の棒部材群93と、同じ所定の間隔をもって配置された第2の棒部材群94との間に糸部材71を配置した状態で、棒部材群93の各棒部材が、棒部材群94の2つの棒部材の間に位置するように、矢印A2で示す方向に第1の棒部材群93を第2の棒部材群94に移動させて、2つの棒部材群93,94を密着させることによって、糸部材71は、図7に示すような糸部材81となる。2つの棒部材群93,94の間に挟まれた糸部材71は、2つの各棒部材の曲面に沿った波状となる。
【0047】
2つの棒部材群93,94は、真っ直ぐな糸部材71を所定の圧力で押圧し、糸部材71が図7に示すような縮れ形状を保持するようになるまで、その状態を維持する。その後、2つの棒部材群93,94を矢印A2とは逆方向に離し、糸部材71を取り出すと、糸部材71は、図7に示すような糸部材81となる。なお、糸部材81が縮れ形状を保持し易くするために、図11の点線で示したような状態で、棒部材群93,94の少なくとも一方を加熱して位置部材71が所定の温度になるまで加熱するようにしてもよい。
なお、各棒部材群93,94の隣り合う2つの棒部材間の距離を変更できるようにして、2つの棒部材群93と94の間に、糸部材71を配置させ、その後、各棒部材群93,94の隣り合う2つの棒部材間の距離を縮めながら、図11に示すように、2つの棒部材群93,94を密着させるようにして、図7に示すような糸部材81を製造するようにしてもよい。
よって、図11に示すようなクリンプ加工方法を用いることによって、図7に示すような糸部材81を製造することができる。
【0048】
なお、糸部材81の波形状の周期は、ランダムであってもよいし、一定であってもよい。
また、糸巻き部の製造工程は、第1の実施の形態の工程と同様である。
【0049】
従って、本実施の形態によれば、縮れた糸部材を用いたので、糸巻き部における接着剤層中に空気の泡ができないようにして、内視鏡の糸巻き部において所望の接着強度を確実に得られる内視鏡を実現することができる。
(第3の実施の形態)
第1及び第2の実施の形態では、縮れた形状を有する糸部材あるいは表面に複数の凹部を有する糸部材が密巻きにされているが、本第3の実施の形態では、表面に小さな粒状部材を有する糸部材が密巻きされる。
第3の実施の形態における内視鏡の構成は、第1の実施の形態で説明した内視鏡1と同様であるので、同一構成要素については同じ符号を用いて説明は省略し、異なる構成の糸部材を主として説明する。
【0050】
図12は、第3の実施の形態に係る糸部材91の構成を示す図である。糸部材91は、糸自体は真っ直ぐであるが、表面には複数の粒状部材92が付着している。複数の粒状部材92は、例えば所定の間隔P3で設けられている。粒状部材92の直径は、例えば、糸部材91の径d1よりは小さいのが好ましい。なお、隣り合う粒状部材92の間隔は、ランダムであってもよい。
【0051】
粒状部材92の材質は、接着作用に影響のない材料であれば何でもよいが、相溶性の観点から、接着剤62と同じ材料であることが好ましい。上述の場合、接着剤62は、エポキシ樹脂系であれば、接着剤62が固まったもの、あるいはその固まった接着剤を粉砕したものである。
【0052】
図13は、糸部材91が先端硬質部本体61の外周部に巻回された状態を説明するための図である。糸部材91は、先端硬質部本体61に所定の張力下で、隣り合う糸部材同士が密着するように巻回されるが、糸部材91がその表面に複数の粒状部材92が固着しているため、図12に示すように、密巻きされた状態においても、隣り合う糸部材91間には、多くの隙間G3が形成される。隙間G2は、粒状部材92の大きさに対応する。
【0053】
すなわち、糸部材91の巻回軸W方向に沿って隣り合う糸部材部分を詰めて、糸部材91が被巻回部である外皮43の外周に巻回された状態において、外皮43に巻回された隣り合う糸部材部分が接触している接触部分と隣り合う糸部材部分が離間している離間部分とを有するように、糸部材91が被巻回部である外皮43に巻回されている。図13において、隣り合う糸部材部分間に、粒状部材92が存在する部分とその近傍は、離間部分となり、離間部分以外で、隣り合う糸部材部分が接触している部分が、接触部分となる。言い換えれば、糸部材91の各粒状部材92が隣り合う糸部材部分に挟まれることにより、離間部分が形成されている。
【0054】
よって、巻回された糸部材91の表面に接着剤62が塗布された場合に、接着剤62は、隣り合う糸部材91間の隙間G3から外皮43まで入り込み易く、さらに、接着剤62が乾燥工程において加熱されたときにも、隙間G3から外皮43まで入り込み易い。
【0055】
よって、従来のように、その中心軸に平行な方向において表面が真っ直ぐな糸部材を密巻きにした場合には、外皮表面との間の隙間に空気溜まりが出来て、その空気溜まりの空気が加熱によって接着剤の中で空気の泡となってしまう場合があったが、上述したような複数の粒状部材92を有する糸部材91を密巻きにすることによって、硬化した接着剤の中に空気の泡が形成されることがない。
【0056】
次に、複数の粒状部材92を有する糸部材91の製造方法について説明する。糸部材91は、例えば、粒状部材92の材料を溶かし、その溶けた材料を、注射針のような器具を用いて、所定の間隔P2で付着させて硬化させることによって、複数の粒状部材92が表面に固着した糸部材91を製造することができる。
【0057】
あるいは、凹凸のない表面が真っ直ぐな糸部材71の表面に接着剤を塗布し、その表面に、粒状部材92を吹き付け等により付着させることによっても、複数の粒状部材92が表面に固着した糸部材91製造することができる。
また、糸巻き部の製造工程は、第1の実施の形態の工程と同様である。
【0058】
従って、本実施の形態によれば、複数の粒状部材が固着した糸部材を用いたので、糸巻き部における接着剤層中に空気の泡ができないようにして、内視鏡の糸巻き部において所望の接着強度を確実に得られる内視鏡を実現することができる。
【0059】
ところで、糸部材の周囲に粒状部材を付着させる代わりに、被巻回部の表面に複数の粒状部材を付着させ、複数の粒状部材が付着した被巻回部に、凹凸のない表面が真っ直ぐな糸部材を巻回するようにしてもよい。このようにしても、隣り合う糸部材間に、隙間を形成することができる。
【0060】
以上のように、上述した各実施の形態に係る内視鏡によれば、糸巻き部における接着剤層中に空気の泡ができないようにして、内視鏡の糸巻き部において所望の接着強度を確実に得ることができる。
【0061】
なお、上述した各実施の形態の糸部材は、表面がコーティング剤でコーティングされていてもよい。
さらになお、上述した各実施の形態の糸巻き部の構成は、先端硬質部と湾曲部の連結部に形成されるが、湾曲部と可撓管の連結部にも適用できるものであり、さらに、他の部位における糸部材による締結部分にも適用可能である。
【0062】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 内視鏡、11 操作部、12 挿入部、13 ユニバーサルコード、14 コネクタ、21 把持部、22 操作ノブ、23 処置具挿通口、24 接眼部、31 可撓部、32 湾曲部、33 先端硬質部、41 湾曲駒、41a 軸部材、42 関節湾曲機構、43 外皮、51、71,81 糸部材、52 凹部、61 先端硬質部本体、62 接着剤、63、64 段差部、72 部材、73 台、82 板、91 棒部材、93,94 棒状部材、101 外皮、102 糸部材、103 接着剤層
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に関し、特に、糸巻き部を有する内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内視鏡は、医療分野及び工業分野で広く利用されている。内視鏡は、細長の挿入部を有し、術者あるいは検査者は、体内あるいは検査対象装置内に挿入部を挿入して、体腔内あるいは検査対象内の所望の部位の観察及び画像記録をすることができる。
内視鏡の挿入部は、先端に設けられた先端硬質部と、その先端硬質部よりも基端側に連接された湾曲部と、その湾曲部よりも基端側に連接された可撓管部とを有している。そして、内視鏡は、先端硬質部と湾曲部の連結部、湾曲部と可撓管部の連結部等において、糸部材を用いて外皮等を固定する糸巻き部を有する場合がある。
【0003】
例えば、先端硬質部に湾曲部の外皮を固定する場合、真っ直ぐな糸部材が外皮の外側において糸部材同士が密着するように詰めて巻回され、巻回された糸部材の表面には、接着剤が塗布される。その接着剤は、ある程度の粘度を有するが、その後の乾燥工程において加熱されたときに粘度が一旦低下し、その後硬化する。これにより、密に巻回され、接着剤により固定された糸部材は、外皮を、先端硬質部の外周面に強固に固定する。
【0004】
しかし、以上のように真っ直ぐな糸部材を密巻きにしたとき、接着剤はある程度の粘度を有するが、接着剤で覆われた隣り合う糸部材と内視鏡の外皮表面との間の隙間には、接着剤が入り込めず空気溜まりが出来てしまう場合がある。その場合、その後の乾燥工程における加熱により、その空気溜まりの空気が膨張し、かつ接着剤の粘度も低くなるので、その空気は、接着剤層内に進入し、硬化した接着剤層の中に空気の泡として残ってしまう。
【0005】
図14は、接着剤層内に空気の泡が形成された状態を説明するための図である。外皮101と密巻された糸部材102の間には、空隙AGが存在し、その空隙AGの空気が、乾燥工程において加熱されることにより膨張する。膨張した空気は、粘度が低くなった接着剤層103中に進入し、接着剤の温度の低下に伴い空気の泡Bとして接着剤層103中に残ってしまう場合がある。
【0006】
接着剤層103中に空気の泡Bが存在すると、空気の泡Bの存在する部分では接着剤層103が盛り上がり薄くなるので、接着剤層103が硬化した部分において、部分的に接着強度の低下が生じ、全体的に所望の接着強度が得られないという問題がある。
【0007】
さらに、接着剤層103の薄い部分は、物理的強度が弱いだけでなく、経年変化や洗浄・消毒・滅菌の際の化学的負荷、熱的負荷よる影響を受けやすくなってしまうという問題もある。
【0008】
例えば、特開2007−195824号に記載のように、糸部材を、巻回されたときに糸部材の間隔をあけるように巻回することも可能であるが、糸部材の巻回数が少なくなると、糸部材による締め付け強度が低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−195824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、糸巻き部における接着剤層中に空気の泡ができないようにして、糸巻き部において所望の接着強度を得られる内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、糸部材が被巻回部に巻回された糸巻き部を有する内視鏡であって、前記糸部材の巻回軸方向に沿って前記隣り合う糸部材部分を詰めて前記糸部材を前記被巻回部の外周に巻回した状態において、前記被巻回部に巻回された隣り合う糸部材部分が接触している接触部分と前記隣り合う糸部材部分が離間している離間部分とを有するように、前記糸部材が前記被巻回部に巻回されている内視鏡を提供することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の内視鏡によれば、糸巻き部における接着剤層中に空気の泡ができないようにして、内視鏡の糸巻き部において所望の接着強度を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる内視鏡の構成例を示す構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係わる、湾曲部32と先端硬質部33の連結部における糸巻き部を説明するための部分断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係わる糸部材51の構成を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係わる糸部材51が先端硬質部本体61の外周部に巻回された状態を説明するための図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係わる複数の凹部52を有する糸部材51の製造方法を説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係わる糸巻き部の製造工程の流れの例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係わる糸部材81の構成を説明するための図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係わる糸部材81が先端硬質部本体61の外周部に巻回された状態を説明するための図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係わる縮れた糸部材81を製造する一の方法を説明するための図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係わる縮れた糸部材81の他の製造方法を説明するための図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係わる縮れた糸部材81のさらに他の製造方法を説明するための図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係わる糸部材91の構成を示す図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係わる糸部材91が先端硬質部本体61の外周部に巻回された状態を説明するための図である。
【図14】接着剤層内に空気の泡が形成された状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態に係わる内視鏡の構成例を示す構成図である。図1に示す内視鏡1は、操作者に保持される操作部11と、細長い挿入部12とを備えている。操作部11は挿入部12の基端部に接続されている。操作部11にはユニバーサルコード13が連結されている。ユニバーサルコード13の延出した端部にはライトガイドコネクタ14が接続されている。このコネクタ14は、図示しない内視鏡用光源装置に対して接続可能である。
【0015】
図1に示すように、操作部11は、操作者が手で把持する把持部21と、挿入部12の後述する湾曲部32を所望の方向に湾曲させる際に操作されるアングル操作ノブ22を備えている。その他、操作部11は、図示しないが、送気・送水操作釦や吸引操作釦等の操作釦類を備えている。把持部21の挿入部12側には、処置具挿通口23が設けられている。操作部11の挿入部12に対して遠位側には、接眼部24が設けられている。
【0016】
図1に示すように、挿入部12は、操作部11に近い側から先端側に向かって順に、軟性の可撓部31と、この可撓部31の先端に接続された湾曲部32と、この湾曲部32の先端に接続された先端硬質部33とを備えている。
【0017】
可撓部31は所定の大きさ以上の外力によって弾力性を呈して曲がり得る可撓性を有する管状部分である。湾曲部32は操作部11のアングル操作ノブ22を操作することにより所望の方向に湾曲可能な管状部分である。そして、先端硬質部33の先端方向、すなわち内視鏡の視野方向は、湾曲部32の湾曲に応じて、すなわちその湾曲状態に応じて、変更される。
【0018】
図2は、湾曲部32と先端硬質部33の連結部における糸巻き部を説明するための部分断面図である。
湾曲部32は、複数の湾曲駒41が互いに軸部材41aにより連結された関節湾曲機構42と、関節湾曲機構42を被覆する外皮部材(以下、外皮という)43とを有して構成されている。各湾曲駒41が軸部材41aを中心軸として回動可能に構成されているので、湾曲部32は湾曲可能となっている。
【0019】
湾曲部32の外皮43は、先端硬質部33を構成する先端硬質部本体61に、糸部材51と接着剤62により固定される。具体的には、先端硬質部本体61の基端側の外周面には、段差部63が形成されている。また、外皮43の先端側の外周面にも、わずかな段差部64が形成されている。外皮43は、関節湾曲機構42の外周部と、先端硬質部本体61の基端側の外周面の一部を覆っている。外皮43に覆われた湾曲駒41の一部41bが、先端硬質部本体61の基端側の外周部に設けられた突起部に突き当たり、外皮43の先端部が先端硬質部本体61の段差部63を覆うように、先端硬質部本体61に嵌入される。
【0020】
そして、外皮43の段差部64の所定の範囲Rに亘り、糸部材51が、密巻きに巻回される。よって、糸部材51が巻回される範囲Rが、糸巻き部である。すなわち、糸巻き部では、糸部材51が、被巻回部である外皮43に巻回されている。そして、糸部材51は、糸部材51の巻回軸Wの方向に沿って、隣り合う糸部分を詰めて被巻回部である外皮43に巻回されている。
図2に示すように、所定の範囲Rに巻回された糸部材51の表面に、点線で示す接着剤62が塗布され、そして、その後接着剤62を硬化させることによって、外皮43は先端硬質部33に固定される。
【0021】
糸部材51は、外皮34を先端硬質部本体1に固定するための緊縛手段であり、その糸部材51が硬化した接着剤62により固定されることにより、外皮43は先端硬質部33に強固に固定される。
そして、糸巻き部における接着剤層中に空気の泡ができないようにして、内視鏡1の糸巻き部において所望の接着強度を確実に得られるように、糸巻き部は構成されている。
【0022】
本実施の形態では、糸部材51の直径d1は、例えば、0.05mmから0.2mmの範囲の値である。先端硬質部33の段差部63の直径Dは、例えば、10mmである。上述したように、図4及び他の図面においては、部材の縮尺は、本実施の形態の構成の説明を容易にするために、これらの寸法とは異なり、変更されている。
【0023】
糸部材51は、モノフィラメントであり、糸部材51の材質は、例えば、ポリアミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)、あるいはポリフッ化ビニリデンである。接着剤62は、例えば、エポキシ樹脂系接着剤である。
【0024】
図3は、第1の実施の形態に係る糸部材51の構成を示す図である。糸部材51は、糸自体は真っ直ぐであるが、表面に複数の凹部52を有する。複数の凹部52は、例えば所定の間隔P1で設けられている。
【0025】
図4は、糸部材51が先端硬質部本体61の外周部に巻回された状態を説明するための図である。糸部材51は、先端硬質部本体61に所定の張力下で、隣り合う糸部材同士が密着するように巻回されるが、糸部材51が複数の凹部52を有するため、図4に示すように、密巻きされた状態においても、隣り合う糸部材51間には、多くの隙間G1が形成される。隙間G1は、凹部52の深さに対応する。
【0026】
すなわち、糸部材51の巻回軸W方向に沿って隣り合う糸部材部分を詰めて、糸部材51が被巻回部である外皮43の外周に巻回された状態において、外皮43に巻回された隣り合う糸部材部分が接触している接触部分と隣り合う糸部材部分が離間している離間部分とを有するように、糸部材51が被巻回部である外皮43に巻回されている。図4において、凹部52の無い隣り合う糸部材部分同士は接触し、隣り合う糸部材部分の少なくとも一方に凹部52がある場合には、その凹部52の部分が、離間部分となる。よって、糸部材51の各凹部により、離間部分が形成されている。なお、被巻回部である外皮43は、管状であるので、巻回軸Wは、管状被巻回部である外皮43の軸と一致する。
【0027】
従って、巻回された糸部材51の表面に接着剤62が塗布された場合に、接着剤62は、隣り合う糸部材51間の隙間G1から外皮43まで入り込み易く、さらに、接着剤62が乾燥工程において加熱されたときにも、隙間G1から外皮43まで入り込み易い。
【0028】
よって、従来のように、凹凸のない表面が真っ直ぐな糸部材、すなわちその中心軸に平行な方向において表面が真っ直ぐな糸部材を密巻きにした場合には、外皮表面との間の隙間に空気溜まりが出来て、その空気溜まりの空気が加熱によって接着剤の中で空気の泡となってしまう場合があったが、上述したような複数の凹部52を有する糸部材51を密巻きにすることによって、硬化した接着剤の中に空気の泡が形成されることがない。
【0029】
次に、複数の凹部52を有する糸部材51の製造方法について説明する。
図5は、複数の凹部52を有する糸部材51の製造方法を説明するための図である。凹凸のない表面が真っ直ぐな糸部材71に対して、上記の所定の間隔P1毎に、ブレードのような先端部が硬い部材72を押し当てることによって、表面に複数の凹部52を有する糸部材51を製造することができる。部材72の糸部材71に当たる部分は、凹部52の形状に対応する形状を有する。
【0030】
例えば、凹凸のない表面が真っ直ぐな糸部材71を、表面が平らな台73上に固定し、その固定した糸部材に対して、部材72を押し当てるあるいは打ち付けることによって、打痕のような物理的な変形が生じて凹部52が形成される。凹部52の深さは、部材72の押し当て時あるいは打ち付け時の力量に応じて調整可能である。
【0031】
一つの凹部52を形成した後、台73あるいは糸部材51を、矢印Aの方向に、所定の間隔P1だけ移動させて、再度部材72を糸部材71に押し当てるあるいは打ち付ける。このような動作を繰り返すことにより、表面に複数の凹部52を有する糸部材51を製造することができる。
なお、所定の間隔P1だけ互いに離れて並べられた複数の部材72を有する装置を用いて、一回の押し当てあるいは打ち付けで、複数箇所に凹部52を形成するようにしてもよい。
【0032】
さらになお、上述した例は、部材72の押し当てあるいは打ち付けにより凹部52を形成しているが、凹部52は、表面をナイフ等のような、先端が鋭利な刃物によって削り取るようにして、形成するようにしてもよい。
また、部材72を高温にして、糸部材71に押し当てたときに表面が溶けるようにして、凹部52を形成するようにしてもよい。
【0033】
よって、図5に示すような方法を用いることによって、図3に示すような複数の凹部52を有する糸部材51を製造することができる。
なお、隣り合う凹部52の間隔は、ランダムであってもよいし、一定であってもよい。糸を巻き付ける対象物の直径に伴い適宜設定すればよく、好ましくは糸が一巻きする間に少なくとも一つの凹部52が出現するように凹部52が配置される。
【0034】
従って、本実施の形態によれば、糸巻き部における接着剤層中に空気の泡ができないようにして、内視鏡の糸巻き部において所望の接着強度を確実に得られる内視鏡を実現することができる。
【0035】
次に、糸巻き部の製造工程について説明する。
図6は、糸巻き部の製造工程の流れの例を示すフローチャートである。まず、外皮43が湾曲部42の最も先端の湾曲駒41の一部41bを介して段差部63に被せられた状態で、所定の範囲Rの外周に、複数の凹部52を有する糸部材51を、隣り合う糸部材51同士が密着するように糸巻きを行う(S1)。
【0036】
そして、巻回された糸部材51の表面に接着剤62を塗布し(S2)、接着剤62が塗布された内視鏡1を真空炉内に配置して、減圧する(S3)。この減圧処理は、接着剤62内の空気を、より確実に放出させるための処理である。その後、糸巻き部を加熱して、接着剤62を硬化させる(S4)。
なお、加熱処理(S4)は、減圧処理(S3)中に、赤外線放射などにより同時に行うようにしてもよい。また、加熱の他に紫外線を照射して接着剤を硬化させてもよい。
【0037】
以上のように、本実施の形態によれば、複数の凹部を有する糸部材を用いたので、糸巻き部における接着剤層中に空気の泡ができないようにして、内視鏡の糸巻き部において所望の接着強度を確実に得られる内視鏡を実現することができる。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、糸巻き部において表面に複数の凹部を有する糸部材が密巻きにされているが、本第2の実施の形態では、糸巻き部において縮れた形状を有する糸部材が密巻きされる。
第2の実施の形態における内視鏡の構成は、第1の実施の形態で説明した内視鏡1と同様であるので、同一構成要素については同じ符号を用いて説明は省略し、異なる構成の糸部材を主として説明する。
【0038】
図7は、本実施の形態に係わる糸部材81の構成を説明するための図である。糸部材81は、真っ直ぐな形状ではなく、縮れた形状を有する。縮れ状態の糸部材81の波形状は、周期P2を有する。糸部材81の縮れ状態は、糸部材81に掛かる張力に応じて変化するが、糸部材81が、所定の張力の下で先端硬質部本体61の外周面に密状態で巻回されたときであっても、糸部材81は、縮れ状態が全く無くならない。
【0039】
図8は、糸部材81が先端硬質部本体61の外周部に巻回された状態を説明するための図である。糸部材81は、先端硬質部本体61に所定の張力下で、隣り合う糸部材同士が密着するように巻回されるが、所定の張力で引っ張られても糸部材81は縮れた形状を有するため、図8に示すように、密巻きされた状態においても、隣り合う糸部材81間には、多くの隙間G2が形成される。
【0040】
すなわち、糸部材81の巻回軸W方向に沿って隣り合う糸部材部分を詰めて、糸部材51が被巻回部である外皮43の外周に巻回された状態において、外皮43に巻回された隣り合う糸部材部分が接触している接触部分と隣り合う糸部材部分が離間している離間部分とを有するように、糸部材81が被巻回部である外皮43に巻回されている。図8において、隣り合う糸部材部分で波状の形状が一致あるいは略一致すると、その部分は接触し、隣り合う糸部材部分で波状の形状が一致あるいは略一致しない場合には、その部分が、離間部分となる。言い換えれば、糸部材81の縮れた形状により、離間部分が形成されている。
【0041】
よって、巻回された糸部材81の表面に接着剤62が塗布された場合に、接着剤62は、隣り合う糸部材81間の隙間G2から外皮43まで入り込み易く、さらに、接着剤62が乾燥工程において加熱されたときにも、隙間G2から外皮43まで入り込み易い。
【0042】
従って、従来のように、その中心軸に平行な方向において表面が真っ直ぐな糸部材を密巻きにした場合には、外皮表面との間の隙間に空気溜まりが出来て、その空気溜まりの空気が加熱によって接着剤の中で空気の泡となってしまう場合があったが、上述したような縮れた糸部材81を密巻きにすることによって、硬化した接着剤の中に空気の泡が形成されることがない。
【0043】
次に、縮れた糸部材81を製造するクリンプ加工の方法について説明する。
図9は、縮れた糸部材81を製造する一の方法を説明するための図である。図9に示すように、真っ直ぐな糸部材71を、所定の直径を有する棒部材91の周りに所定の張力で巻回する。そして、糸部材71が図7に示すような縮れ形状を保持するようになるまで、その巻回された状態を維持する。その後、糸部材71を棒部材91から外すと、糸部材71は、図7に示すような糸部材81となる。なお、糸部材81が縮れ形状を保持し易くするために、図9に示したような状態で、糸部材71を所定の温度になるまで加熱するようにしてもよい。
よって、図9に示すようなクリンプ加工方法を用いることによって、図7に示すような糸部材81を製造することができる。
【0044】
図10は、縮れた糸部材81の他の製造方法を説明するための図である。図10に示すように、真っ直ぐな糸部材71を表面が波状の凹凸を有する2つの板82の間に挟むことによって、糸部材71は、図7に示すような糸部材81となる。2つの板82は、糸部材71を間に挟むように密着させたときに、2つの板92の表面の凹凸部分が、互いに嵌り合うように形成されている。よって、2つの板82の間に挟まれた糸部材71は、2つの板82の凹凸に沿った波状となる。
【0045】
点線で示すように、2つの板82の一方を、他方の板92に、矢印A1で示すように押し杖、真っ直ぐな糸部材71を所定の圧力で挟み、糸部材71が図7に示すような縮れ形状を保持するようになるまで、その状態を維持する。その後、2つの板82を引き離し、糸部材71を取り出すと、糸部材71は、図7に示すような糸部材81となる。なお、糸部材81が縮れ形状を保持し易くするために、2つの板部材82を加熱して糸部材71が所定の温度になるまで加熱するようにしてもよい。
よって、図10に示すようなクリンプ加工方法を用いることによって、図7に示すような糸部材81を製造することができる。
【0046】
図11は、縮れた糸部材81のさらに他の製造方法を説明するための図である。図11に示す方法は、図10の2つの板82に代わり、複数の棒状部材を用いる。すなわち、所定の間隔をもって配置された第1の棒部材群93と、同じ所定の間隔をもって配置された第2の棒部材群94との間に糸部材71を配置した状態で、棒部材群93の各棒部材が、棒部材群94の2つの棒部材の間に位置するように、矢印A2で示す方向に第1の棒部材群93を第2の棒部材群94に移動させて、2つの棒部材群93,94を密着させることによって、糸部材71は、図7に示すような糸部材81となる。2つの棒部材群93,94の間に挟まれた糸部材71は、2つの各棒部材の曲面に沿った波状となる。
【0047】
2つの棒部材群93,94は、真っ直ぐな糸部材71を所定の圧力で押圧し、糸部材71が図7に示すような縮れ形状を保持するようになるまで、その状態を維持する。その後、2つの棒部材群93,94を矢印A2とは逆方向に離し、糸部材71を取り出すと、糸部材71は、図7に示すような糸部材81となる。なお、糸部材81が縮れ形状を保持し易くするために、図11の点線で示したような状態で、棒部材群93,94の少なくとも一方を加熱して位置部材71が所定の温度になるまで加熱するようにしてもよい。
なお、各棒部材群93,94の隣り合う2つの棒部材間の距離を変更できるようにして、2つの棒部材群93と94の間に、糸部材71を配置させ、その後、各棒部材群93,94の隣り合う2つの棒部材間の距離を縮めながら、図11に示すように、2つの棒部材群93,94を密着させるようにして、図7に示すような糸部材81を製造するようにしてもよい。
よって、図11に示すようなクリンプ加工方法を用いることによって、図7に示すような糸部材81を製造することができる。
【0048】
なお、糸部材81の波形状の周期は、ランダムであってもよいし、一定であってもよい。
また、糸巻き部の製造工程は、第1の実施の形態の工程と同様である。
【0049】
従って、本実施の形態によれば、縮れた糸部材を用いたので、糸巻き部における接着剤層中に空気の泡ができないようにして、内視鏡の糸巻き部において所望の接着強度を確実に得られる内視鏡を実現することができる。
(第3の実施の形態)
第1及び第2の実施の形態では、縮れた形状を有する糸部材あるいは表面に複数の凹部を有する糸部材が密巻きにされているが、本第3の実施の形態では、表面に小さな粒状部材を有する糸部材が密巻きされる。
第3の実施の形態における内視鏡の構成は、第1の実施の形態で説明した内視鏡1と同様であるので、同一構成要素については同じ符号を用いて説明は省略し、異なる構成の糸部材を主として説明する。
【0050】
図12は、第3の実施の形態に係る糸部材91の構成を示す図である。糸部材91は、糸自体は真っ直ぐであるが、表面には複数の粒状部材92が付着している。複数の粒状部材92は、例えば所定の間隔P3で設けられている。粒状部材92の直径は、例えば、糸部材91の径d1よりは小さいのが好ましい。なお、隣り合う粒状部材92の間隔は、ランダムであってもよい。
【0051】
粒状部材92の材質は、接着作用に影響のない材料であれば何でもよいが、相溶性の観点から、接着剤62と同じ材料であることが好ましい。上述の場合、接着剤62は、エポキシ樹脂系であれば、接着剤62が固まったもの、あるいはその固まった接着剤を粉砕したものである。
【0052】
図13は、糸部材91が先端硬質部本体61の外周部に巻回された状態を説明するための図である。糸部材91は、先端硬質部本体61に所定の張力下で、隣り合う糸部材同士が密着するように巻回されるが、糸部材91がその表面に複数の粒状部材92が固着しているため、図12に示すように、密巻きされた状態においても、隣り合う糸部材91間には、多くの隙間G3が形成される。隙間G2は、粒状部材92の大きさに対応する。
【0053】
すなわち、糸部材91の巻回軸W方向に沿って隣り合う糸部材部分を詰めて、糸部材91が被巻回部である外皮43の外周に巻回された状態において、外皮43に巻回された隣り合う糸部材部分が接触している接触部分と隣り合う糸部材部分が離間している離間部分とを有するように、糸部材91が被巻回部である外皮43に巻回されている。図13において、隣り合う糸部材部分間に、粒状部材92が存在する部分とその近傍は、離間部分となり、離間部分以外で、隣り合う糸部材部分が接触している部分が、接触部分となる。言い換えれば、糸部材91の各粒状部材92が隣り合う糸部材部分に挟まれることにより、離間部分が形成されている。
【0054】
よって、巻回された糸部材91の表面に接着剤62が塗布された場合に、接着剤62は、隣り合う糸部材91間の隙間G3から外皮43まで入り込み易く、さらに、接着剤62が乾燥工程において加熱されたときにも、隙間G3から外皮43まで入り込み易い。
【0055】
よって、従来のように、その中心軸に平行な方向において表面が真っ直ぐな糸部材を密巻きにした場合には、外皮表面との間の隙間に空気溜まりが出来て、その空気溜まりの空気が加熱によって接着剤の中で空気の泡となってしまう場合があったが、上述したような複数の粒状部材92を有する糸部材91を密巻きにすることによって、硬化した接着剤の中に空気の泡が形成されることがない。
【0056】
次に、複数の粒状部材92を有する糸部材91の製造方法について説明する。糸部材91は、例えば、粒状部材92の材料を溶かし、その溶けた材料を、注射針のような器具を用いて、所定の間隔P2で付着させて硬化させることによって、複数の粒状部材92が表面に固着した糸部材91を製造することができる。
【0057】
あるいは、凹凸のない表面が真っ直ぐな糸部材71の表面に接着剤を塗布し、その表面に、粒状部材92を吹き付け等により付着させることによっても、複数の粒状部材92が表面に固着した糸部材91製造することができる。
また、糸巻き部の製造工程は、第1の実施の形態の工程と同様である。
【0058】
従って、本実施の形態によれば、複数の粒状部材が固着した糸部材を用いたので、糸巻き部における接着剤層中に空気の泡ができないようにして、内視鏡の糸巻き部において所望の接着強度を確実に得られる内視鏡を実現することができる。
【0059】
ところで、糸部材の周囲に粒状部材を付着させる代わりに、被巻回部の表面に複数の粒状部材を付着させ、複数の粒状部材が付着した被巻回部に、凹凸のない表面が真っ直ぐな糸部材を巻回するようにしてもよい。このようにしても、隣り合う糸部材間に、隙間を形成することができる。
【0060】
以上のように、上述した各実施の形態に係る内視鏡によれば、糸巻き部における接着剤層中に空気の泡ができないようにして、内視鏡の糸巻き部において所望の接着強度を確実に得ることができる。
【0061】
なお、上述した各実施の形態の糸部材は、表面がコーティング剤でコーティングされていてもよい。
さらになお、上述した各実施の形態の糸巻き部の構成は、先端硬質部と湾曲部の連結部に形成されるが、湾曲部と可撓管の連結部にも適用できるものであり、さらに、他の部位における糸部材による締結部分にも適用可能である。
【0062】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 内視鏡、11 操作部、12 挿入部、13 ユニバーサルコード、14 コネクタ、21 把持部、22 操作ノブ、23 処置具挿通口、24 接眼部、31 可撓部、32 湾曲部、33 先端硬質部、41 湾曲駒、41a 軸部材、42 関節湾曲機構、43 外皮、51、71,81 糸部材、52 凹部、61 先端硬質部本体、62 接着剤、63、64 段差部、72 部材、73 台、82 板、91 棒部材、93,94 棒状部材、101 外皮、102 糸部材、103 接着剤層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸部材が被巻回部に巻回された糸巻き部を有する内視鏡であって、
前記糸部材の巻回軸方向に沿って前記隣り合う糸部材部分を詰めて前記糸部材を前記被巻回部の外周に巻回した状態において、前記被巻回部に巻回された隣り合う糸部材部分が接触している接触部分と前記隣り合う糸部材部分が離間している離間部分とを有するように、前記糸部材が前記被巻回部に巻回されていることを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記糸部材は、表面に複数の凹部を有し、各凹部により、前記離間部分が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記糸部材は、縮れた形状を有し、前記縮れた形状により、前記離間部分が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記糸部材は、表面に複数の粒状部材を有し、各粒状部材が前記隣り合う糸部材部分に挟まれることにより、前記離間部分が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項1】
糸部材が被巻回部に巻回された糸巻き部を有する内視鏡であって、
前記糸部材の巻回軸方向に沿って前記隣り合う糸部材部分を詰めて前記糸部材を前記被巻回部の外周に巻回した状態において、前記被巻回部に巻回された隣り合う糸部材部分が接触している接触部分と前記隣り合う糸部材部分が離間している離間部分とを有するように、前記糸部材が前記被巻回部に巻回されていることを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記糸部材は、表面に複数の凹部を有し、各凹部により、前記離間部分が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記糸部材は、縮れた形状を有し、前記縮れた形状により、前記離間部分が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記糸部材は、表面に複数の粒状部材を有し、各粒状部材が前記隣り合う糸部材部分に挟まれることにより、前記離間部分が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−213482(P2012−213482A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80249(P2011−80249)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
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