説明

内視鏡

【課題】先端部の小径化を図るとともに、観察窓、及び照明窓を確実に洗浄する。
【解決手段】内視鏡の挿入部先端に連設された先端部14aには、観察窓24、一対の照明窓25a,25b、第1及び第2の送気・送水ノズル26a,26bを備える。第1の送気・送水ノズル26aの噴射方向に沿って、噴射口35、照明窓25aが順に配置され、第2の送気・送水ノズル26bの噴射方向に沿って、噴射口38、観察窓24、照明窓25bが順に配置される。第1の送気・送水ノズル26aは、照明窓25aの表面全体を含む第1の流体噴射範囲に対して流体を噴射する。第2の送気・送水ノズル26bは、観察窓24及び照明窓25bの表面全体を含む第2の流体噴射範囲に対して流体を噴射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察窓及び照明窓に向けて流体を噴射する流体噴射ノズルを備えた内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、被検体内へ挿入される挿入部の先端部に、被検体の像光を取り込むための観察窓と、被検体に照明光を照射するための一対の照明窓と、観察窓に向けて流体(洗浄水又はエアー)を噴射する流体噴射ノズルとを備えている。従来、観察窓は、その光入射面となる表面が、挿入部の先端面から露呈する位置に設けられ、一対の照明窓は観察窓を間に挟んで配置され、流体噴射ノズルは観察窓の付近に配置されるのが一般的である。観察窓の表面には、被検体内の体液や汚物が付着するため、流体噴射ノズルの噴射口から流体を噴射して観察窓の汚れを除去する。
【0003】
特許文献1記載の内視鏡では、先端部に2つの観察窓を備えており、これらの2つの観察窓に対して流体を噴射できるように2つの流体噴射ノズルを設けている。また、特許文献1には、流体噴射ノズル及び2つの観察窓を直線上に並ぶように、先端部に配置している構成が記載されている。さらにまた、特許文献2記載の内視鏡では、1つの流体噴射ノズルに2つの噴射口が形成されており、流体噴射ノズルに流体が供給されたとき、2つの噴射口からそれぞれ流体が噴射して、観察窓及び照明窓をそれぞれ洗浄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−154155号公報
【特許文献2】特開平6−269388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の内視鏡では、観察窓を効率良く洗浄することを考慮しており、流体噴射ノズルから噴射される流体は観察窓に付着した汚れを吹き飛ばして除去することができるが、照明窓の所定部分が流体噴射範囲から外れる位置にあり、照明窓に汚れが残ってしまうことがある。あるいは、特許文献1記載の内視鏡のように洗浄を効率良く行うために、流体噴射ノズル、一対の照明窓、及び観察窓を直線上に並べることも考えられるが、これらの部品を全て直線上に配列すると、先端部の小径化を妨げることになる。
【0006】
また、特許文献2記載の内視鏡では、流体噴射ノズルの噴射方向に沿った直線上に照明窓が配置されているが、照明窓の表面全体を確実に洗浄することは考慮されていないため、照明窓の所定部分が流体噴射範囲から外れる位置にあり、照明窓の汚れを全て除去することができない。さらにまた、特許文献2では、1つの流体噴射ノズルに形成された2つの噴射孔を通して流体を噴射しているため、噴射孔を形成する位置、及び開口面積に制限があり、流体噴射範囲を広く設定することが難しい。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、先端部の小径化を図るとともに、観察窓、及び照明窓を確実に洗浄することができる内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の内視鏡は、被検体内へ挿入される挿入部の先端部に設けられた観察窓と、前記先端部に前記観察窓よりも数が多く配設され、前記被検体内へ照明光を照射するための照明窓と、前記先端部に前記観察窓よりも数が多く配設され、流体を噴射する流体噴射ノズルとを備え、前記流体噴射ノズルから流体が噴射されるそれぞれの流体噴射範囲を合わせた範囲内に、前記照明窓、前記観察窓の表面全体が位置することを特徴とする。
【0009】
前記照明窓は、前記観察窓を間に挟んだ位置に設けられ、照明光を照射するための一対の照明窓であり、前記流体噴射ノズルは、前記一対の照明窓の一方に向けて流体を噴射する第1の流体噴射ノズルと、前記一対の照明窓の他方に向けて流体を噴射する第2の流体噴射ノズルとを含み、前記第1の流体噴射ノズルから流体が噴射される第1の流体噴射範囲、及び前記第2の流体噴射ノズルから流体が噴射される第2の流体噴射範囲を合わせた範囲内に、前記照明窓、前記観察窓の表面全体が位置することが好ましい。
【0010】
前記第1の流体噴射ノズルの噴射口、前記一対の照明窓の一方が直線上に並んで順に配置され、前記第2の流体噴射ノズルの噴射口、前記観察窓、前記一対の照明窓の他方が直線上に並んで順に配置されることが好ましい。
【0011】
前記第1の流体噴射ノズルの噴射口、前記一対の照明窓の一方、前記観察窓が直線上に並んで順に配置され、前記第2の流体噴射ノズルの噴射口、前記一対の照明窓の他方、前記観察窓が直線上に並んで順に配置されることが好ましい。前記第1及び第2の流体噴射ノズルは、前記観察窓を中心にして線対称の位置に配置されることが好ましい。
【0012】
前記第1及び第2の流体噴射範囲は、前記観察窓の表面全体がそれぞれ含まれることが好ましい。あるいは、前記第1の流体噴射範囲は、前記観察窓の表面における所定部分が含まれず、前記第2の流体噴射範囲は、前記所定部分を補完することが好ましい。
【0013】
前記一対の照明窓の他方は、一方よりも外径が大きく形成され、前記第2の流体噴射ノズルは、前記第1の流体噴射ノズルよりも噴射口の幅寸法が大きく形成されていることが好ましい。
【0014】
前記第1及び第2の流体噴射ノズルのうち、第1の流体噴射ノズルからのみ流体を噴射させる第1の流体噴射状態と、第2の流体噴射ノズルからのみ流体を噴射させる第2の流体噴射状態とを選択的に切り換え可能とする切り換え手段を備えることが好ましい。
【0015】
前記第1及び第2の流体噴射ノズルは、前記先端部を構成する先端部本体に対して着脱自在とすることが好ましい。または、前記第1及び第2の流体噴射ノズルを、観察窓及び照明窓に対して平行な面内で回転させる回転機構を備えており、前記回転機構は、前記第1及び第2の流体噴射ノズルから照明窓及び観察窓の表面に流体が噴射される角度範囲で第1及び第2の流体噴射ノズルを回転させることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の内視鏡によれば、第1の流体噴射ノズルから流体が噴射される第1の流体噴射範囲、及び第2の流体噴射ノズルから流体が噴射される第2の流体噴射範囲を合わせた範囲内に、照明窓、観察窓の表面全体が位置するので、先端部の小径化を図るとともに、観察窓、及び照明窓を確実に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】電子内視鏡システムの外観斜視図である。
【図2】内視鏡の先端部の構成を示す斜視図である。
【図3】図2のA−A線に沿った断面図である。
【図4】図2のB−B線に沿った断面図である。
【図5】先端部の平面図である。
【図6】内視鏡の管路を概略的に示す管路構成図である。
【図7】送気・送水バルブの動作を示す説明図である。
【図8】3つの照明窓及び送気・送水ノズルを備えた第1実施形態の第1変形例を示す平面図である。
【図9】2つの観察窓を備えた第1実施形態の第2変形例を示す平面図である。
【図10】送気・送水ノズルを観察窓に対して線対称に配置した第2実施形態を示す平面図である。
【図11】3つの照明窓及び送気・送水ノズルを備えた第2実施形態の変形例を示す平面図である。
【図12】第1の流体噴射範囲から外れる所定部分を第2の流体噴射範囲が補完する第3実施形態を示す平面図である。
【図13】照明窓の外径に合わせて送気・送水ノズルの噴射口の幅寸法を形成した第3実施形態の変形例を示す平面図である。
【図14】送気・送水ノズルを着脱自在にした変形例を示す斜視図である。
【図15】図14のC−C線に沿った断面図である。
【図16】送気・送水ノズルを回転させる回転機構を備えた変形例を示す平面図である。
【図17】図16のD−D線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示すように、電子内視鏡システム2は、電子内視鏡10、プロセッサ装置11、光源装置12、及び送気・送水装置13などから構成されている。送気・送水装置13は、光源装置12に内蔵され、エアーの送気を行う周知の送気装置(ポンプなど)13aと、光源装置12の外部に設けられ、洗浄水を貯留する洗浄水タンク13bから構成されている。電子内視鏡10は、被検体内に挿入される可撓性の挿入部14と、挿入部14の基端部分に連設された操作部15と、プロセッサ装置11や光源装置12に接続されるユニバーサルコード16とを備えている。
【0019】
挿入部14は、その先端に設けられ、被検体内撮影用の撮像素子としてのCCD型イメージセンサ(図4参照。以下、CCDという)32等が内蔵された先端部14aと、先端部14aの基端に連設された湾曲自在な湾曲部14bと、湾曲部14bの基端に連設された可撓性を有する可撓管部14cとからなる。以下、挿入部14の先端側を単に「先端側」といい、挿入部14の基端側を単に「基端側」という。
【0020】
ユニバーサルコード16の先端には、コネクタ17が取り付けられている。コネクタ17は複合タイプのコネクタであり、プロセッサ装置11、及び光源装置12、送気・送水装置13がそれぞれ接続されている。
【0021】
プロセッサ装置11は、ユニバーサルコード16及びコネクタ17を介してCCD32から入力された撮像信号に各種画像処理を施して、映像信号に変換するとともに、CCD32の駆動を制御する駆動制御信号を送信する。プロセッサ装置11で変換された映像信号は、プロセッサ装置11にケーブル接続されたモニタ18に内視鏡画像として表示される。また、プロセッサ装置11は、光源装置12と電気的に接続しており、電子内視鏡システム2全体の動作を統括的に制御する。
【0022】
操作部15には、注射針や高周波メスなどが先端に配された各種処置具が挿通される鉗子口19と、送気・送水ボタン20、湾曲操作ノブ21などが設けられている。湾曲操作ノブ21が操作されると、挿入部14内に挿設されたワイヤが押し引きされることにより、湾曲部14bが上下左右方向に湾曲動作する。これにより、先端部14aが体腔内の所望の方向に向けられる。
【0023】
図2、図3及び図4に示すように、先端部14aは、先端部本体22、この先端部本体22の先端側に装着される先端保護キャップ23、観察窓24、一対の照明窓25a,25b、第1及び第2の送気・送水ノズル26a,26b、及び鉗子出口27を備える。先端部本体22の後端は、湾曲部14bを構成する先端側の湾曲駒28に連結されている。
【0024】
先端保護キャップ23は、先端部本体22の先端側を覆う先端板部23aと、先端部本体22の外周面を覆う円筒部23bとからなる。湾曲部14bの外周面を覆う外皮層29が先端部本体22まで延在し、外皮層29の先端と円筒部23bの後端とが突き合わされて端部同士が接着剤などにより固着されている。
【0025】
先端板部23aには、先端側から視たとき、先端部14aの中央付近の位置に、観察窓24を露呈させる貫通孔23cが形成され、貫通孔23cの周囲には、第1及び第2の送気・送水ノズル26a,26bを露呈させる貫通孔23d,23e、照明窓25a,25bを露呈させる貫通孔23f,23g、及び鉗子出口27が形成されている。
【0026】
観察窓24は、対物レンズユニット30を構成する最先端側の対物レンズであり、カバーガラスを兼ねるものである。この観察窓24は、略円板状の外形に形成されている。観察窓24を含む対物レンズユニット30の光学系は、鏡胴31に保持される。
【0027】
鏡胴31は、観察窓24の外周面の基端側を保持する。観察窓24は、外周面の先端側が先端保護キャップ23の貫通孔23cに嵌合する。鏡胴31は、先端部本体22の貫通孔22aに嵌合するとともに、先端面が先端保護キャップ23の先端板部23aに突き当たって取り付けられている。
【0028】
なお、観察窓24としては、対物レンズユニット30の最先端側に位置し、レンズ効果を有しないカバーガラスであってもよい。また、観察窓24は、対物レンズユニット30を構成するものでなくてもよく、例えばカバーガラスとして、先端保護キャップ23の貫通孔23cに直接嵌合して固着されるようにしてもよい。
【0029】
対物レンズユニット30の奥には、CCD32が取り付けられている。CCD32は、例えばインターライントランスファ型のCCDからなる。なお、撮像素子としては、CCD32に限らず、CMOSでもよい。
【0030】
一対の照明窓25a,25bは、観察窓24を間に挟んだ位置に配されており、裏面側にライトガイド33の出射端が面している。ライトガイド33は、多数の光ファイバー(例えば、石英からなる)を束ねて形成されたものである。このライトガイド33は、挿入部14、操作部15、ユニバーサルコード16、及びコネクタ17の内部を通っており、被検体内の被観察部位に光源装置12からの照明光を照明窓25a,25bに導く。照明窓25a,25bは、照射レンズを兼ねており、被検体内の被観察部位に光源装置12からの照明光を照射する。
【0031】
第1の送気・送水ノズル26aは、先端側の噴射筒部34aと、基端側の接続筒部34bとが一体に形成されている。接続筒部34bは、送気・送水チャンネル41の先端側外周面に嵌合して送気・送水チャンネル41に接続される。また、接続筒部34b及び送気・送水チャンネル41は、先端部本体22の貫通孔22bに嵌合している。噴射筒部34aは、接続筒部34bから先端の噴射口38へ滑らかに曲折され、噴射方向に沿って延びる筒状に形成されており、先端保護キャップ23の貫通孔23dを通して外部に露呈している。
【0032】
第2の送気・送水ノズル26bは、第1の送気・送水ノズル26aと同様に、先端側の噴射筒部37aと、基端側の接続筒部37bとが一体に形成されている。接続筒部34bは、送気・送水チャンネル42に接続され、接続筒部37b及び送気・送水チャンネル42は、先端部本体22の貫通孔22cに嵌合している。噴射筒部34aは、接続筒部34bから先端の噴射口38へ滑らかに曲折され、噴射方向に沿って延びる筒状に形成されており、先端保護キャップ23の貫通孔23eを通して外部に露呈している。
【0033】
図5に示すように、第1及び第2の送気・送水ノズル26a,26b(流体噴射ノズル)は、互いに近接する位置に設けられ、互いに異なる噴射方向に洗浄水又はエアーを噴射する。第1及び第2の送気・送水ノズル26a,26bは、噴射口35,38の幅寸法D1,D2が互いに同じ大きさであり、洗浄水又はエアーを噴射するときの流量も略同じである。なお、ここでいう「幅寸法」とは、観察窓24及び照明窓25a,25bの表面と平行、且つ噴射方向と直交する方向の寸法を示す。
【0034】
第1の送気・送水ノズル26aの噴射方向に沿って、噴射口35、照明窓25aが順に配置され、一方、第2の送気・送水ノズル26bの噴射方向に沿って、噴射口38、観察窓24、照明窓25bが順に配置される。さらに、噴射口35、照明窓25bの中心が直線上に並んで位置し、一方、噴射口38、観察窓24、照明窓25bの中心が直線上に並んで位置する。
【0035】
第1の送気・送水ノズル26aは、照明窓25aの表面全体を含む第1の流体噴射範囲(点線で挟まれた範囲)が設定され、この第1の流体噴射範囲に対して流体を噴射する。第2の送気・送水ノズル26bは、観察窓24及び照明窓25bの表面全体を含む第2の流体噴射範囲(2点鎖線で挟まれた範囲)が設定され、この第2の流体噴射範囲に対して流体を噴射する。
【0036】
また、鉗子出口27は、挿入部14内に配設された鉗子チャンネル(図示せず)に接続され、操作部15の鉗子口19に連通している。鉗子口19に挿通された各種処置具は、その先端が鉗子出口27から露呈される。
【0037】
図6に示すように、挿入部14及び操作部15の内部には、一端が第1の送気・送水ノズル26aに通じる第1の送気・送水チャンネル41と、一端が第2の送気・送水ノズル26bに通じる第2の送気・送水チャンネル42とが設けられている。
【0038】
第1の送気・送水チャンネル41の他端は、第1の送気管路41aと第1の送水管路41bとに分岐している。第2の送気・送水チャンネル42の他端は、第2の送気管路42aと第2の送水管路42bとに分岐している。第1及び第2の送水管路41b,42bは、操作部15に設けられた送気・送水バルブ43にそれぞれ接続している。第1及び第2の送気管路41a,42aは、操作部15内で1つに合流にして送気・送水バルブ43に接続している。
【0039】
送気・送水バルブ43(流体供給バルブ)には、第1及び第2の送気管路41a,42a、第1及び第2の送水管路41b,42bの他に、送気装置13aに通じる送気源管路44の一端と、洗浄水タンク13bに通じる第1及び第2の送水源管路45a,45bの一端とが接続されている。第1及び第2の送水源管路45a,45bは他端で合流して1つの送水源管路45となる。送気源管路44、送水源管路45は、ユニバーサルコード16に挿通されて、コネクタ17の口金17aまで延設される。この口金17aに連結チューブ46が着脱自在に接続され、この連結チューブ46の先端が洗浄水タンク13bに連結される。連結チューブ46を洗浄水タンク13bに連結することによって送水源管路45が洗浄水タンク13bの液面下に連通され、送気源管路44が液面上に連通される。
【0040】
コネクタ17には、エアーチューブ47が接続されており、このエアーチューブ47は、送気源管路44に連通されている。また、エアーチューブ47は、コネクタ17を光源装置12に接続することによって、光源装置12内の管路に連通され、この管路を介して送気装置13aに連通される。送気装置13aを駆動してエアーを送気させると、エアーチューブ47を介して送気源管路44にエアーが送気される。なお、送気源管路44の先端が送気・送水バルブ43で遮断されている場合には、エアーチューブ47に給気されたエアーは、洗浄水タンク13bの液面上に供給される。これにより、洗浄水タンク13bの内圧が高まって送水源管路45に洗浄水が送液され、さらに送水源管路45から第1及び第2の送水源管路45a,45bへ洗浄水が送液される。
【0041】
送気・送水バルブ43は、第1の送水管路41bと第1の送水源管路45aとの間を接続又は遮断し、また、第2の送水管路41bと第2の送水源管路45bとの間を接続又は遮断し、さらにまた、第1及び第2の送気管路41a,42aと送気源管路44との間を接続又は遮断するために設けられており、操作部15を把持する指で操作を行うことができるようになっている。
【0042】
図7に示すように、送気・送水バルブ43は、シリンダ48とピストン49から成り、シリンダ48は、操作部15のケース50に固定されている。シリンダ48には、前述した第1及び第2の送気管路41a,42a、第1及び第2の送水管路41b,42b、送気源管路44、第1及び第2の送水源管路45a,45bが接続される。また、シリンダ48の頭部にはボタン受け51が固着される。このボタン受け51の内部には、送気・送水ボタン20を押下操作した際に当接するスプリング52が設けられている。
【0043】
一方、ピストン49はシリンダ48に対して出没自在に支持されている。ピストン49の外周面には、周方向に二つの溝53,54が全周にわたって形成されている。また、ピストン49には中心軸に沿って通気孔55が形成されている。ピストン49の頭部には、送気・送水ボタン20が取り付けられ、この送気・送水ボタン20には、通気孔55に連通するリーク孔56が形成される。ピストン49は、送気・送水ボタン20とボタン受け51との間に介在させたスプリング57によって突出方向に付勢される。したがって、送気・送水ボタン20を押下操作すると、まず、図7(B)に示すように、スプリング57が圧縮される。以下、この押下操作を第1段押下操作という。そして、送気・送水ボタン20をさらに押下操作すると、図7(C)に示すように送気・送水ボタン20の下端部がスプリング52を圧縮し、ピストン49がシリンダ48に没入される。以下、この押下操作を第2段押下操作という。第1段押下操作と第2段押下操作では、スプリング52の分だけ抵抗力が大きくなるので、操作感が変化する。よって、第1段押下操作と第2段押下操作を区別して操作することができる。
【0044】
なお、図7において符号58はOリングであり、シリンダ48の内周面とピストン49の外周面との隙間を塞いでいる。
【0045】
図7(A)に示した状態は、送気・送水ボタン20を押下しない状態(すなわち無操作状態)であり、第1及び第2の送気管路41a,42aと送気源管路44が連通されるとともに、この第1及び第2の送気管路41a,42aと送気源管路44が通気孔55、リーク孔56を介して外気に連通される。したがって、無操作状態では、送気源管路44に供給されたエアが通気孔55、リーク孔56を介して外部に流れ、第1及び第2の送気管路41a,42aには送気されない。また、この状態では、第1及び第2の送水管路41b,42b、第1及び第2の送水源管路45a,45bはそれぞれ遮断されている。よって、無操作状態では、第1及び第2の送気管路41a,42aへの送気や、第1及び第2の送水管路41b,42bへの送水も行われない。
【0046】
図7(A)に二点鎖線で示すように、送気・送水ボタン20を押下せずにリーク孔56を指Yで塞ぐと(以下、閉塞操作状態という)、リーク孔56が閉塞されるので、送気源管路44は、第1及び第2の送気管路41a,42aに連通される。よって送気源管路44に供給されたエアが第1及び第2の送気管路41a,42aに流れ、送気・送水ノズル26a,26bからエアが噴射される。
【0047】
図7(B)に示す第1段押下操作状態では、第1の送水管路41bと第1の送水源管路45aとが、ピストン49の溝53を介して連通されている。また、この状態では、第1及び第2の送気管路41a,42a、送気源管路44、第2の送水管路42b、第2の送水源管路45bが遮断されている。したがって、送気源管路44が他の管路と遮断されるので、送気装置13aから供給したエアは、洗浄水タンク13bの液面上に送気される。これにより、洗浄水タンク13bの内圧が上昇し、洗浄水タンク13bの水が第1及び第2の送水源管路45a,45bに送液される。よって、第1の送水源管路45aを流れる水が、ピストン49の溝53を介して第1の送水管路41bに流れ、第1の送気・送水ノズル26aから噴射される。
【0048】
図7(C)に示す第2段押下操作状態では、第2の送水管路42bと第2の送水源管路45bとが、ピストン49の溝54を介して連通される。また、この状態では、第1及び第2の送気管路41a,42a、送気源管路44、第1の送水管路41b、及び第1の送水源管路45aが遮断されている。よって、第2の送水源管路45bを流れる水が、溝54を介して第2の送水管路42bに流れ、第2の送気・送水ノズル26bから噴射される。
【0049】
このように本実施形態の送気・送水バルブ43は二段押下操作構造になっており、リーク孔56の閉塞操作を行うことによって送気・送水ノズル26a,26bからエアが噴射され、送気・送水ボタン20を第1段押下操作することによって送気・送水ノズル26aから水が噴射され、送気・送水ボタン20を第2段押下操作することによって送気・送水ノズル26bから水が噴射される。よって、送気・送水ボタン20の操作のみで、第1の送気・送水ノズル26aからのみ洗浄水を噴射する第1の送水状態(第1の流体噴射状態)と、第2の送気・送水ノズル26bからのみ洗浄水を噴射する第2の送水状態(第2の流体噴射状態)と、送気・送水ノズル26a,26bからエアーを噴射する送気状態とを選択的に切り換えることができる。
【0050】
電子内視鏡10を用いた内視鏡検査中に、送気・送水ノズル26a,26bからエアー又は洗浄水を噴射して観察窓24、照明窓25a,25bの洗浄を行うときのプロセスを説明する。術者は、観察窓24から取り込まれる観察画像をモニタ18で観察して、先端部14aに汚れが付着していることを認識する。特に、鉗子出口27から処置具を突出させて処置を行った場合、汚れが付着しやすいため、術者は送気・送水ボタン20を操作して観察窓24、及び照明窓25a,25bの洗浄を行う。
【0051】
洗浄を行うときは先ず、送気・送水ボタン20を無操作状態からリーク孔56を塞いで閉塞操作状態とし、さらに送気・送水ボタン20を押下して第1段押下操作状態とすると、第1の送気・送水ノズル26aからのみ洗浄水が噴射される第1の送水状態となる。第1の送気・送水ノズル26aから第1の流体噴射範囲へ噴射された洗浄水が照明窓25bの表面全体に当たって汚物を除去することができる。
【0052】
次に、送気・送水ボタン20をさらに押下して第2段押下操作状態にすると、第2の送気・送水ノズル26bからのみ洗浄液が噴射される第2の送水状態となる。第2の送気・送水ノズル26bから第2の流体噴射領域へ噴射された洗浄水が観察窓24及び照明窓29bの表面全体に当たって汚物を除去することができる。
【0053】
そして、観察窓24、及び照明窓25a,25bの表面全体から汚れが除去されるまで第1段押下操作状態と、第2段押下操作状態とを交互に繰り返す。観察窓24、及び照明窓25a,25bから汚れが十分に除去された後は、送気・送水ボタン20を第1段押下操作状態又は第2押下操作状態から、閉塞操作状態に復帰させる。これにより、送気・送水ノズル26a,26bからエアーが噴射され、観察窓24、送気・送水ノズル26a,26b、及び照明窓25a,25bに付着した水滴を吹き飛ばすことができる。
【0054】
以上のように、第1及び第2の送気・送水ノズル26a,26bから洗浄水又はエアーが噴射される第1及び第2の流体噴射範囲を合わせた範囲内に、観察窓24、及び一対の照明窓25a,25bの表面全体が位置するため、観察窓24、及び照明窓25a,25bを確実に洗浄することができる。また、2つの送気・送水ノズル26a,26bを備えることで、送気・送水ノズルの噴射口、一対の照明窓、及び観察窓を直線上に並べる必要がなくなり、部品配置の自由度が向上するので、先端部14aの小径化を図ることができる。さらにまた、送気・送水ボタン20を押下操作するだけで、第1の送水状態及び第2の送水状態に簡単に切り換えることができる。
【0055】
なお、上記第1実施形態では、1つの観察窓24と、1対の照明窓25a,25bと、第1及び第2の送気・送水ノズル26a,26bとを先端部14aに設けているが、本発明はこれに限らず、観察窓よりも照明窓及び送気・送水ノズル(流体噴射ノズル)の数を多く設けていればよく、図8に示す変形例の先端部60のように、1つの観察窓24に対して3つの照明窓61a〜61cと、3つの送気・送水ノズル62a〜62cとを設けてもよい。また、この変形例では、照明窓の個数を増やした分、上記第1実施形態より照明窓の外径を小さくしてもよい。
【0056】
図8に示す変形例の場合、送気・送水ノズル62a〜62cは、先端保護キャップ23に形成された貫通孔23d,23e,23hから露呈し、照明窓61a〜61cは、貫通孔23f,23g、23iから露呈する。照明窓61a〜61cは、観察窓24を囲むほぼ正三角形の頂点に位置する。第1の送気・送水ノズル62aから洗浄水又はエアーが噴射される第1の流体噴射範囲(点線で挟まれた範囲)に照明窓61aの表面全体が含まれ、第2の送気・送水ノズル62bから洗浄水又はエアーが噴射される第2の流体噴射範囲(2点鎖線で挟まれた範囲)に観察窓24及び照明窓61bの表面全体が含まれ、第3の送気・送水ノズル62cから洗浄水又はエアーが噴射される第3の流体噴射範囲(1点鎖線で挟まれた範囲)に照明窓61cの表面全体が含まれる。また、第1〜第3の送気・送水ノズル62a〜62cの送気・送水状態は、例えば送気・送水バルブで切り換えられ、送気・送水ボタンの操作で、第1の送気・送水ノズル62aからのみ洗浄水を噴射する第1の送水状態と、第2の送気・送水ノズル62bからのみ洗浄水を噴射する第2の送水状態と、第3の送気・送水ノズル62cからのみ洗浄水を噴射する第3の送水状態と、送気・送水ノズル62a〜62cからエアーを噴射する送気状態とを選択的に切り換える。
【0057】
以上の構成により、第1〜第3の送気・送水ノズル62a〜62cから洗浄水又はエアーが噴射される第1〜第3の流体噴射範囲を合わせた範囲内に、観察窓24、及び照明窓61a〜61cの表面全体が位置するため、観察窓24、及び照明窓61a〜61cを確実に洗浄することができるとともに、先端部60の小径化を図ることができる。
【0058】
また、先端部14aに設ける観察窓の数は1つに限定されるものではなく、複数の観察窓を設けるとともに、観察窓よりも照明窓及び送気・送水ノズル(流体噴射ノズル)の数を多く設けてもよく、図9に示す別の変形例の先端部65のように、2つの観察窓66a,66bと、3つの照明窓67a〜67cと、3つの送気・送水ノズル68a〜68cとを設けてもよい。
【0059】
図9に示す変形例の場合、観察窓66a,66bは、先端保護キャップ23に形成された貫通孔23c,23jから露呈する。照明窓67a,67bは、観察窓66aを間に挟んだ位置に配され、照明窓67b,67cは、観察窓66bを間に挟んだ位置に配される。第1の送気・送水ノズル68aから洗浄水又はエアーが噴射される第1の流体噴射範囲(点線で挟まれた範囲)に照明窓67aの表面全体が含まれ、第2の送気・送水ノズル68bから洗浄水又はエアーが噴射される第2の流体噴射範囲(2点鎖線で挟まれた範囲)に観察窓66a及び照明窓67bの表面全体が含まれ、第3の送気・送水ノズル68cから洗浄水又はエアーが噴射される第3の流体噴射範囲(1点鎖線で挟まれた範囲)に観察窓66b、及び照明窓67cの表面全体が含まれる。
【0060】
上記第1実施形態では、第1の送気・送水ノズル26aから洗浄水又はエアーが噴射される第1の流体噴射範囲に照明窓25aの表面全体が含まれ、第2の送気・送水ノズル26bから洗浄水又はエアーが噴射される第2の流体噴射範囲に観察窓24及び照明窓25bの表面全体が含まれるが、本発明はこれに限らず、第1及び第2の流体噴射範囲とを合わせた範囲内に、観察窓及び照明窓の表面全体が配置されていればよく、以下で説明する本発明の第2実施形態では、図10に示す先端部70のように、第1及び第2の送気・送水ノズル71a,71bから洗浄水又はエアーが噴射される第1及び第2の流体噴射範囲に観察窓24の表面全体がそれぞれ含まれる。なお、図10においては、上記第1実施形態と同じ部品を用いているものについては、同じ符号を付して説明を省略する。また、この先端部70以外の構成は上記第1実施形態の電子内視鏡10と同様である。
【0061】
第2実施形態の先端部70は、第1の送気・送水ノズル71aの噴射口72、照明窓25a、観察窓24が直線上に並んで順に配置され、第2の送気・送水ノズル71bの噴射口73、照明窓25b、観察窓24が直線上に並んで順に配置される。なお、第1及び第2の送気・送水ノズル71a,71bは、上記第1実施形態の第1及び第2の送気・送水ノズル26a,26bと同様の形状に形成されており、送気・送水チャンネル41,42に接続されている。さらに、第1及び第2の送気・送水ノズル71a,71bは、観察窓24を中心にして線対称の位置に配置されている。
【0062】
第1の送気・送水ノズル71aから洗浄水又はエアーが噴射される第1の流体噴射範囲には、照明窓25a、観察窓24の表面全体が含まれ、第2の送気・送水ノズル71bから洗浄水又はエアーが噴射される第2の流体噴射範囲には、照明窓25b、観察窓24の表面全体が含まれる。これにより、上記第1実施形態と同様に観察窓24、及び照明窓25a,25bを確実に洗浄することができるとともに、先端部70の小径化を図ることができる。
【0063】
なお、図11に示す変形例の先端部75のように、1つの観察窓24に対して3つの照明窓76a〜76cと、3つの送気・送水ノズル77a〜77cとを設け、第1〜第3の送気・送水ノズル77a〜77cから洗浄水又はエアーが噴射される第1〜第3の流体噴射範囲に観察窓24の表面全体がそれぞれ含まれるようにしてもよい。
【0064】
図11に示す変形例の場合、照明窓76a〜76cは、観察窓24を囲むほぼ正三角形の頂点に位置する。第1の送気・送水ノズル77aから洗浄水又はエアーが噴射される第1の流体噴射範囲には、照明窓76a、観察窓24の表面全体が含まれ、第2の送気・送水ノズル77bから洗浄水又はエアーが噴射される第2の流体噴射範囲には、照明窓76b、観察窓24の表面全体が含まれ、第3の送気・送水ノズル77cから洗浄水又はエアーが噴射される第3の流体噴射範囲には、照明窓76c、観察窓24の表面全体が含まれる。これにより、観察窓24、及び照明窓76a〜76cを確実に洗浄することができるとともに、先端部75の小径化を図ることができる。
【0065】
上記第1及び第2実施形態では、第1及び第2の流体噴射範囲のいずれか1つ、又は両方に観察窓の表面全体が含まれているが、本発明はこれに限るものではなく、図12に示す第3実施形態の先端部80のように、観察窓の表面のうち、第1の送気・送水ノズル81aから洗浄水又はエアーが噴射される第1の流体噴射範囲に含まれない所定部分を、第2の送気・送水ノズル81bから洗浄水又はエアーが噴射される第2の流体噴射範囲が補完するようにしてもよい。なお、この先端部80以外の構成は上記第1実施形態の電子内視鏡10と同様である。
【0066】
第3実施形態の先端部80は、第1の送気・送水ノズル81aの噴射口82、照明窓25a、観察窓24が直線上に並んで順に配置され、第2の送気・送水ノズル81bの噴射口83、照明窓25b、観察窓24が直線上に並んで順に配置される。第1の送気・送水ノズル81aは、照明窓25aに向かって洗浄水又はエアーを噴射し、第1の流体噴射範囲には照明窓25aの表面全体が含まれる。第2の送気・送水ノズル81bは、照明窓25bに向かって洗浄水又はエアーを噴射し、第2の流体噴射範囲には照明窓25bの表面全体が含まれる。なお、第1及び第2の送気・送水ノズル81a,81bは、上記第1実施形態の第1及び第2の送気・送水ノズル26a,26bと同様の形状に形成されており、送気・送水チャンネル41,42に接続されている。
【0067】
本実施形態では、観察窓24の中心に対して、第1の送気・送水ノズル81aの噴射口82、照明窓25aの中心が先端部80の中央寄りの位置にずれて配置されている。これにより、観察窓24の表面全体のうち、先端部80の外周面寄りの位置に、第1の流体噴射範囲に含まれない所定部分24aがある。一方、第2の送気・送水ノズル81bは、噴射口83、観察窓24、照明窓25aの中心が直線上に並んで位置し、第2の流体噴射範囲に、観察窓24の所定部分24aが含まれる。よって、第1の流体噴射範囲に含まれない所定部分24aを第2の流体噴射範囲が補完して観察窓24の表面全体に洗浄水又はエアーを噴射することができるため、照明窓25a,25bとともに観察窓24を確実に洗浄することができる。
【0068】
上記第3実施形態においては、送気・送水ノズル81a,81bは噴射口の幅寸法が互いに同じ大きさに形成されているが、本発明はこれに限らず、図13に示す変形例の先端部85のように、照明窓86a,86bの外径に合わせて第1及び第2の送気・送水ノズル87a,87bの噴射口88,89の幅寸法をそれぞれ異なる大きさにしてもよい。先端部85では、照明窓86bの外径R2が、照明窓86aの外径R1よりも大きく形成されており、照明窓86a,86bの外径R1,R2の大きさに比例するように、第2の送気・送水ノズル87bの噴射口89の幅寸法D2が、第1の送気・送水ノズル87aの噴射口88の幅寸法D1よりも大きく形成されている。
【0069】
この先端部85では、第1の送気・送水ノズル87aは、照明窓86aに向かって洗浄水又はエアーを噴射し、第1の流体噴射範囲には照明窓86aの表面全体が含まれる。一方、第2の送気・送水ノズル87bは、照明窓86bに向かって洗浄水又はエアーを噴射し、第2の流体噴射範囲には照明窓86bの表面全体が含まれる。上記第3実施形態と同様に、第1の流体噴射範囲に含まれない所定部分24aを第2の流体噴射範囲が補完して観察窓24の表面全体に洗浄水又はエアーを噴射するため、照明窓86a,86bとともに観察窓24を確実に洗浄することができる。さらに、照明窓86a,86bの外径R1,R2に合わせて送気・送水ノズル87a,87bの噴射口73,74の幅寸法D1,D2が形成されているため、先端部85の小径化を妨げることがない。
【0070】
上記第1〜第3実施形態においては、送気・送水ノズルは先端部本体22に固着されているが、本発明はこれに限らず、図14及び図15に示す変形例の先端部90のように、先端部本体91に対して送気・送水ノズル92a,92bを着脱自在にしてもよい。この場合、送気・送水ノズル92a,92bには、嵌合部93a,93bが一体に設けられている。嵌合部93a,93bは、樹脂などにより形成されており、先端部本体91に形成された開口凹部91a,91bに対して着脱自在に嵌合する。開口凹部91a,91bは、先端保護キャップ23の貫通孔23d,23eと位置を合わせて形成されている。また、嵌合部93a,93bには、キー突起部93c,93dが一体に形成されている。キー突起部93c,93dは、開口凹部91a,91bに形成されたキー溝91c,91dに嵌合する。嵌合部93a,93bが開口凹部91a,91bに嵌合するとともに、キー突起部93c,93dがキー溝91c,91dに嵌合することで先端部本体91に対する送気・送水ノズル92a,92bの位置決めがなされる。
【0071】
また、嵌合部93a,93bの外周面には、シール部材94a,94bが設けられている。開口凹部91a,91bに嵌合部93a,93bが嵌合するとき、シール部材94a,94bが開口凹部91a,91bに密着して嵌合部93a,93bと開口凹部91a,91bとの間を気密及び液密に塞ぐ。シール部材94a,94bは、例えば市販のOリングが使用される。
【0072】
この先端部90では、送気・送水チャンネル41,42は、開口凹部91a,91bの底面から内部へ突出して配設される。開口凹部91a,91bに嵌合部93a,93bが嵌合するとき、送気・送水ノズル92a,92bに送気・送水チャンネル41,42が接続される。以上のように、送気・送水ノズル92a,92bを先端部本体91に対して着脱自在とすることで、送気・送水ノズル92a,92bに汚れが強固に付着したときなどは、送気・送水ノズル92a,92bを開口凹部91a,91bから取り外して交換すればよい。
【0073】
また、図16及び図17に示す変形例の先端部95のように、先端部本体96に対して送気・送水ノズル97a,97bを回転させる回転機構98を備えてもよい。なお、先端部95は、先端部本体96と、この先端部本体96の先端側に装着される先端保護キャップ99とを備える。先端保護キャップ99には、先端側から視たとき、先端部95の中央付近の位置に、観察窓24を露呈させる貫通孔99aが形成され、貫通孔99aの周囲には、第1及び第2の送気・送水ノズル97a,97bを露呈させる貫通孔99b,99c、照明窓25a,25bを露呈させる貫通孔99d,99e、及び鉗子出口27が形成されている。送気・送水ノズル97a,97bは、送気・送水チャンネル41,42に接続される。
【0074】
図17に示すように、回転機構98は、第1の送気・送水ノズル97aと一体に設けられたギア100 、駆動モータ101、駆動モータ101に接続され、ギア100に噛合するギア102とを備える。第1の送気・送水ノズル97aは、送気チャンネル41とともに、観察窓24及び照明窓25a,25bと平行な面内で、先端部本体96に回転自在に支持される。駆動モータ101は、例えばパルスモータが用いられ、図示しないモータドライバからの制御信号により回転が制御される。モータドライバは、送気・送水ボタン20の押下操作に連動して駆動モータ101を制御する。ギア102は駆動モータ101の回転をギア100に伝達して第1の送気・送水ノズル97aを回転させる。なお、第2の送気・送水ノズル97bにも同様の回転機構98が設けられている。
【0075】
回転機構98は、送気・送水ボタン20が押下操作されると、駆動モータ101が回転し、第1及び第2の送気・送水ノズル97a,97bから照明窓25a,25b及び観察窓24の表面に洗浄水又はエアーが噴射される角度範囲で第1及び第2の送気・送水ノズル97a,97bを回転させる。第1及び第2の送気・送水ノズル97a,97bから洗浄水又はエアーが噴射される第1及び第2の流体噴射範囲を合わせた範囲内に、観察窓24、及び照明窓25a,25bの表面全体が位置するため、観察窓24、及び照明窓25a,25bを確実に洗浄することができる。また、上記各実施形態と同様の流体噴射範囲を保ちつつ、第1及び第2の送気・送水ノズル97a,97bを上記各実施形態よりも小さく形成することができるため、先端部95の小径化を図ることができる。
【0076】
上記第1〜第3実施形態においては、送気・送水バルブ43によって、第1の送水状態、第2の送水状態、及び送気状態に選択的に切り換え可能とする構成としているが、本発明はこれに限らず、例えば、先端部に設けられた全ての送気・送水ノズルから洗浄水を噴射する送水状態、及びエアーを噴射する送気状態の間で選択的に切り換えるようにしてもよい。
【0077】
また、上記第1〜第3実施形態においては、流体噴射ノズルから噴射する流体として洗浄水、エアーを上げて説明しているが、観察窓、照明窓を洗浄できる液体、気体であればこれらに限るものではなく、例えば、水に洗剤を混入した洗浄液などでもよい。さらにまた、上記第1〜第3実施形態においては、撮像素子を用いて被検体の状態を撮像した画像を観察する電子内視鏡を上げて説明しているが、本発明はこれに限るものではなく、光学的イメージガイドを採用して被検体の状態を観察する内視鏡にも適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
2 電子内視鏡
13a 送気装置
13b 洗浄水タンク
14 挿入部
14a 先端部
24,66a,66b 観察窓
25a,25b,61a〜61c,67a〜67c,76a〜76c,86a,86b 照明窓
26a,62a,68a,71a,77a,81a,87a,92a,97a 第1の送気・送水ノズル
26b,62b,68b,71b,77b,81b,87b,92b,97b 第2の送気・送水ノズル
41 第1の送気・送水チャンネル
42 第2の送気・送水チャンネル
43 送気・送水バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内へ挿入される挿入部の先端部に設けられた観察窓と、
前記先端部に前記観察窓よりも数が多く配設され、前記被検体内へ照明光を照射するための照明窓と、
前記先端部に前記観察窓よりも数が多く配設され、流体を噴射する流体噴射ノズルとを備え、
前記流体噴射ノズルから流体が噴射されるそれぞれの流体噴射範囲を合わせた範囲内に、前記照明窓、前記観察窓の表面全体が位置することを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記照明窓は、前記観察窓を間に挟んだ位置に設けられ、照明光を照射するための一対の照明窓であり、
前記流体噴射ノズルは、前記一対の照明窓の一方に向けて流体を噴射する第1の流体噴射ノズルと、前記一対の照明窓の他方に向けて流体を噴射する第2の流体噴射ノズルとを含み、
前記第1の流体噴射ノズルから流体が噴射される第1の流体噴射範囲、及び前記第2の流体噴射ノズルから流体が噴射される第2の流体噴射範囲を合わせた範囲内に、前記照明窓、前記観察窓の表面全体が位置することを特徴とする請求項1記載の内視鏡。
【請求項3】
前記第1の流体噴射ノズルの噴射口、前記一対の照明窓の一方が直線上に並んで順に配置され、
前記第2の流体噴射ノズルの噴射口、前記観察窓、前記一対の照明窓の他方が直線上に並んで順に配置されることを特徴とする請求項2記載の内視鏡。
【請求項4】
前記第1の流体噴射ノズルの噴射口、前記一対の照明窓の一方、前記観察窓が直線上に並んで順に配置され、
前記第2の流体噴射ノズルの噴射口、前記一対の照明窓の他方、前記観察窓が直線上に並んで順に配置されることを特徴とする請求項2記載の内視鏡。
【請求項5】
前記第1及び第2の流体噴射ノズルは、前記観察窓を中心にして線対称の位置に配置されることを特徴とする請求項4記載の内視鏡。
【請求項6】
前記第1及び第2の流体噴射範囲は、前記観察窓の表面全体がそれぞれ含まれることを特徴とする請求項5記載の内視鏡。
【請求項7】
前記第1の流体噴射範囲は、前記観察窓の表面における所定部分が含まれず、
前記第2の流体噴射範囲は、前記所定部分を補完することを特徴とする請求項4記載の内視鏡。
【請求項8】
前記一対の照明窓の他方は、一方よりも外径が大きく形成され、
前記第2の流体噴射ノズルは、前記第1の流体噴射ノズルよりも噴射口の幅寸法が大きく形成されていることを特徴とする請求項7記載の内視鏡。
【請求項9】
前記第1及び第2の流体噴射ノズルのうち、第1の流体噴射ノズルからのみ流体を噴射させる第1の流体噴射状態と、第2の流体噴射ノズルからのみ流体を噴射させる第2の流体噴射状態とを選択的に切り換え可能とする切り換え手段を備えたことを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の内視鏡。
【請求項10】
前記第1及び第2の流体噴射ノズルは、前記先端部を構成する先端部本体に対して着脱自在とすることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の内視鏡。
【請求項11】
前記第1及び第2の流体噴射ノズルを、観察窓及び照明窓に対して平行な面内で回転させる回転機構を備えており、
前記回転機構は、前記第1及び第2の流体噴射ノズルから照明窓及び観察窓の表面に流体が噴射される角度範囲で第1及び第2の流体噴射ノズルを回転させることを特徴とする請求項2〜10のいずれか1項に記載の内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−9896(P2013−9896A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145384(P2011−145384)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】