説明

円板状体繰出装置

【課題】不正行為による円板状体の払い出しを確実に阻止しながらも構造の簡素化・小型化を図る。
【解決手段】円板状体1を回転移送経路に沿って移送する回転移送体8と、この回転移送体8で移送されてきた円板状体1を回転移送経路の設定送出部位において回転半径方向外方側に形成された送出口部Aに向かって送り出す送出手段Bと、該送出手段Bで送り出されてくる円板状体1との当接に伴って変位する通過感知体32を備えた通過センサが設けられ、通過感知体32が、円板状体1との当接に伴って回転する回転感知体から構成され、前記回転感知体32の逆回転を阻止する逆転防止手段Dが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、通貨であるコイン或いは遊技設備で使用される代用貨幣(メダルやトークン等)などの円板状体を一枚ずつ繰り出す装置で、詳しくは、円板状体を回転移送経路に沿って移送する回転移送体と、この回転移送体で移送されてきた円板状体を回転移送経路の設定送出部位において回転半径方向外方側に形成された送出口部に向かって送り出す送出手段と、該送出手段で送り出されてくる円板状体との当接に伴って変位する通過感知体を備えた通過センサが備えられている円板状体繰出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の円板状体繰出装置では、前記通過センサの通過感知体が、送り出される円板状体との当接に伴って揺動変位する揺動感知アームから構成され、この揺動感知アームを円板状体の通過後に通過感知位置から感知待機位置に復帰揺動付勢する復帰バネが設けられているとともに、前記揺動感知アームの通過感知位置への設定外動作に連動して前記回転移送体の駆動回転を強制的に停止する回転阻止手段が設けられている。
【0003】
前記回転阻止手段は、下記特許文献1に示すように、前記回転移送体の裏面のうち、回転移送経路に沿って所定ピッチで形成された円板状体が入り込み可能な複数の貫通孔よりも回転半径方向内方で、且つ、前記回転移送体の回転軸芯と各貫通孔の回転方向上手(回転後位)の縁とを結ぶ線分上に、下方側に突出する被係止部を設けるとともに、前記揺動感知アームには、該揺動感知アームが通過感知位置に揺動したとき、前記被係止部の回転経路内に突出して該被係止部に回転方向から当接する係止面を備えた係止部材を一体形成していた。
【0004】
そして、払出指令に基づく回転移送体の駆動回転によって円板状体が送出口部に向かって送り出されると、この円板状体との当接に伴って変位する揺動感知アームによって一枚の円板状体が送り出されたことを通過センサにて検出され、その検出枚数が払出指令枚数に達すると、前記回転移送体の駆動回転を停止して円板状体の払い出しを終了する。
【0005】
この払い出し時に、前記通過センサの揺動感知アームが何等かの不正手段で通過感知位置に強制的に揺動操作され、且つ、その状態に維持された場合には、通過センサが検出作動中の信号を出力し続けるため、前記回転移送体が駆動回転し続けて払出指令枚数以上の円板状体が払い出されることになる。
【0006】
このとき、上述の不正行為に起因する揺動感知アームの通過検知位置への設定外動作に連動する前記回転阻止手段によって回転移送体の連続回転が強制的に停止され、不正手段による後続の円板状体の払い出しが阻止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−157734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の円板状体繰出装置では、前記通過センサの揺動感知アームが何等かの不正手段で通過感知位置に強制的に揺動操作され、且つ、その状態が維持されたとき、この揺動感知アームと一体的に変位する係止部材の係止面が回転移送体に設けられた被係止部の回転経路内に突出し続け、該係止部材の係止面と被係止部との係合によって、回転移送体の駆動回転が強制的に停止されるため、前記揺動感知アーム及びそれの揺動枢支部に大きな衝撃力が作用し、揺動感知アーム及び揺動枢支部の変形・破損を招来する可能性がある。
【0009】
しかも、前記回転移送体の裏面のうち、回転移送経路に沿って所定ピッチで形成された円板状体が入り込み可能な複数の貫通孔よりも回転半径方向内方側の部位に前記被係止部が配設されているため、前記揺動感知アームの係止部材を円板状体の回転移送経路の下方位置において回転中心側に揺動作動させる必要があり、その結果、円板状体繰出装置の構造の複雑化・大型化とともに保守点検作業の煩雑化を招来する不都合がある。
【0010】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、不正行為による円板状体の払い出しを確実に阻止しながらも構造の簡素化・小型化を図ることのできる円板状体繰出装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、円板状体を回転移送経路に沿って移送する回転移送体と、この回転移送体で移送されてきた円板状体を回転移送経路の設定送出部位において回転半径方向外方側に形成された送出口部に向かって送り出す送出手段と、該送出手段で送り出されてくる円板状体との当接に伴って変位する通過感知体を備えた通過センサが備えられている円板状体繰出装置において、
前記通過感知体が、前記円板状体との当接に伴って回転する回転感知体から構成されている。
【0012】
上記構成によれば、従来の揺動形式の揺動感知アームの場合では、円板状体の通過後において、通過感知位置にある揺動感知アームを感知待機位置に必ず復帰付勢する必要があるため、不正操作によって揺動感知アームが通過感知位置に維持されるという不正行為のつけ入る隙を与えていたが、本願発明では、前記通過センサが、送出手段で送り出されてくる円板状体との当接に伴って回転する回転感知体から構成されているため、円板状体を払い出すためには回転感知体を必ず回転させなければならず、また、前記回転感知体が何等かの不正手段で強制的に逆回転操作されても、円板状体が払い出されずに計数されるだけであり、不正操作によって得られる利益はない。
【0013】
しかも、前記通過感知体を回転感知体に変更するだけでよいから、駆動回転されている回転移送体を強制停止する従来装置のように、前記通過センサを構成する部材や支承部等に大きな衝撃力が作用することがなく、通過センサ及び逆転防止手段に作用する負荷を小さくすることができるとともに、通過センサ構造の簡素化を図ることができる。
【0014】
従って、前記通過感知体を円板状体の送り出し方向に相当する一方向にのみ回転させるという合理的な改良により、不正行為による円板状体の払い出しを確実に阻止しながらも構造の簡素化・小型化を図ることができる。
【0015】
本発明では、前記回転感知体の逆回転を阻止する逆転防止手段が設けられている。
【0016】
上記構成によれば、前記円板状体が回転感知体を回転させながら送り出される途中において、電動モータに作用する過負荷等の原因で回転移送体が一時的に逆回転し、その影響で円板状体が逆移動して回転感知体が逆回転させようとしても、前記逆転防止手段によって回転感知体の逆回転を阻止することができるので、回転途中での回転感知体32の逆回転に起因する計測ミスを抑制することができる。
【0017】
本発明では、前記回転感知体を円板状体の通過移動範囲に相当する中心角度単位で位置保持する回転位置保持手段が設けられている。
【0018】
上記構成によれば、前記回転感知体を円板状体の送り出し力を利用して回転させながらも該回転感知体を円板状体の通過移動範囲に相当する中心角度単位で位置保持することにより、回転感知体を所定の感知待機状態に確実に保持することができる。
【0019】
本発明では、前記通過センサが、前記回転移送体を支持する基台に対して脱着可能なユニットケースに組み付けられている。
【0020】
上記構成によれば、前記基台からユニットケースを取り出すことにより、前記通過センに対する保守点検作業を、円板状体繰出装置外の広い空間において容易に行うことができる。
【0021】
本発明では、前記回転感知体の円周方向複数箇所に、送り出される円板状体と当接する当り部が形成されているとともに、前記当り部の隣接間には、該当り部の一つに当接した状態で通過移動する円板状体の底面の少なくとも一部を受止める受け部が、前記送出口部の送出案内面と面一又は略面一状態で設けられている。
【0022】
上記構成によれば、前記回転感知体の当り部と当接した状態で通過移動する円板状体の底面の少なくとも一部が、前記当り部の隣接間に設けられた受け部に受止められるから、前記回転感知体の回転軸芯が振動や負荷等によって振れた場合でも、前記当り部と円板状体との相対位置関係が変化し難くなり、円板状体をすり抜けのない状態で確実に通過案内することができる。
【0023】
本発明では、前記逆転防止手段に、前記回転感知体に設けられた被係合部と、該被係合部の回転移動経路内に突出する逆転規制位置と被係合部の回転移動経路外に退避した規制解除位置とに移動可能な回転規制部材と、該回転規制部材を逆転規制位置に移動付勢する付勢体と、前記回転感知体が円板状体との当接に伴って正回転するとき、前記付勢体の付勢力に抗して回転規制部材を規制解除位置に移動させる規制解除手段が備えられている。
【0024】
上記構成によれば、正常な円板状体の払い出し時には、送出手段で送り出されてくる円板状体との当接に伴って回転感知体が正回転する際、この回転感知体に設けられた被係合部の回転移動経路内に突出する逆転規制位置にある回転規制部材が、規制解除手段によって付勢体の付勢力に抗して規制解除位置に移動されるため、回転感知体の正回転によって円板状体が確実・スムーズに払い出される。
【0025】
また、不正行為によって回転感知体が正回転操作された場合でも、上述と同様に回転感知体が正回転を続けることになるため、円板状体の払い出しの無い状態で計数されることになり、不正行為によって得られる利益はない。
【0026】
さらに、不正行為によって回転感知体が逆回転操作された場合には、前記規制解除手段は働かず、前記回転感知体に設けられた被係合部が逆転規制位置にある回転規制部材に係合し、回転感知体の逆回転が阻止される。
【0027】
従って、不正行為による円板状体の払い出しを確実に阻止しながらも逆転防止構造の簡素化・小型化を図ることができる。
【0028】
本発明では、前記回転位置保持手段に、前記円板状体の通過移動範囲に相当する中心角度単位で前記回転感知体の回転軸に形成された複数の弧状凹部と、該弧状凹部に係合可能なローラを備えたアームと、該アームを係合側に付勢する付勢体が備えられている。
【0029】
上記構成によれば、前記回転感知体を押圧回転させながら円板状体が通過する際、前記付勢体の付勢力を受けているアームのローラが弧状凹部を乗り越えて次の弧状凹部に急速に係合するため、回転感知体の角速度が瞬間的に速くなり、円板状体の送り出し作用の円滑化、確実化を図ることができる。
そして、本発明による第1の特徴構成は、円板状体を回転移送経路に沿って移送する回転移送体と、この回転移送体で移送されてきた円板状体を回転移送経路の設定送出部位において回転半径方向外方側に形成された送出口部に向かって送り出す送出手段と、該送出手段で送り出されてくる円板状体との当接に伴って変位する通過感知体を備えた通過センサが備えられている円板状体繰出装置であって、
前記通過感知体が、前記円板状体との当接に伴って回転する回転感知体から構成されているとともに、前記回転感知体の逆回転を阻止する逆転防止手段が設けられている点にある。
本発明による第2の特徴構成は、前記回転感知体を円板状体の通過移動範囲に相当する中心角度単位で位置保持する回転位置保持手段が設けられている点にある。
本発明による第3の特徴構成は、前記回転感知体の円周方向複数箇所には、送り出される円板状体と当接する当り部が形成されているとともに、前記逆転防止手段には、前記回転感知体の当り部の回転移動経路内に突出する逆転規制位置と当り部の回転移動経路外に退避した規制解除位置とに移動可能な回転規制部材と、該回転規制部材を逆転規制位置に移動付勢する付勢体と、前記回転感知体が円板状体との当接に伴って正回転するとき、前記付勢体の付勢力に抗して回転規制部材を規制解除位置に移動させる規制解除手段が備えられている点にある。
本発明による第4の特徴構成は、前記規制解除手段が、前記回転感知体の正回転時に前記回転規制部材と係合する角部に形成された前記付勢体の付勢力に抗して回転規制部材を規制解除位置に移動させることが可能な弧状面から構成されている点にある。
本発明による第5の特徴構成は、前記回転移送体を支持する基台に対して脱着可能なユニットケースが、前記通過センサが組付けられる下部ケースと上部ケース、及び、前記逆転防止手段Dを覆う上側カバーとから構成されている点にある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の円板状体繰出装置の第1実施形態を示す全体の斜視図
【図2】円板状体繰出部の分解斜視図
【図3】円板状体繰出部の断面側面図
【図4】円板状体繰出部の一部切欠き平面図
【図5】ユニットケースの分解斜視図
【図6】円板状体の送出初期の円板状体繰出部の断面平面図
【図7】円板状体の送出途中の円板状体繰出部の断面平面図
【図8】回転移送体の裏面側の斜視図
【図9】円板状体の非送出時(a)と送出時(b)における回転位置保持手段及び通過センサの動作説明図
【図10】逆転防止手段における回転規制部材の逆転規制位置(a)と規制解除位置(b)を示す動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0031】
〔第1実施形態〕
図1〜図4は、通貨であるコイン或いは遊技設備や地下鉄等で使用される代用貨幣(メダルやトークン等)などの円板状体1の繰出装置を示し、上方に開口するホッパーHの底部を構成する基台2の下面側には、電動モータ3に連動された減速機構4が、それの駆動軸5を基台2の上面に円形に窪み形成された装着凹部6の中心位置において上方に突出させた状態で取付けられているとともに、前記基台2の装着凹部6には、円板状体1が入り込み可能な複数個の貫通孔7及び前記駆動軸5に対して脱着自在に一体回転状態で嵌合するボス部8Aを備えた合成樹脂製の回転移送体8が設けられている。
【0032】
前記回転移送体8の裏面(下面)には、図2、図3、図8に示すように、前記貫通孔7内に入り込んだ円板状体1の一部を該貫通孔7の回転半径方向中央位置において載置支持する載置面10aを備えた円環状の環状受け部材10が一体形成されているとともに、前記装着凹部6の底面には、それと前記環状受け部材10の載置面10aとが面一となる状態で該環状受け部材10が入り込む円環状の回転ガイド溝11が形成され、さらに、前記装着凹部6の底面における前記回転ガイド溝11の回転半径方向内方側及び回転半径方向外方側に、前記回転移送体8の環状受け部材10に載置された円板状体1を回転移送経路に沿って摺動案内する円環状の移送ガイド面6A,6Bが形成されている。
【0033】
前記回転移送体8の裏面で、且つ、前記環状受け部材10の取付け部位に対応する貫通孔7の周縁における回転方向上手側部位(回転後位)には、前記貫通孔7内に入り込んだ円板状体1を回転移送経路に沿って押圧する押圧突起12が一体形成されているとともに、前記回転移送体8の貫通孔7内に入り込んで移送されてきた円板状体1を回転移送経路の設定送出部位において回転半径方向外方の送出口部Aに向かって送り出す送出手段Bと、該送出手段Bで送り出される円板状体1との当接に伴って回転する通過感知体としての回転感知体32を備えた通過センサCと、該通過センサCの回転感知体32の逆回転を阻止する逆転防止手段Dと、前記円板状体1との当接に伴って回転する回転感知体32を円板状体1の通過移動範囲に相当する中心角度単位(当該第1実施形態では120度の中心角度単位)で位置保持する回転位置保持手段Eが設けられている。
【0034】
図2に示すように、前記基台2における装着凹部6の外周側で、且つ、前記送出口部Aを含む領域には、上方及び円板状体1の送出方向下手側に開口する第2凹部9が窪み形成され、この第2凹部9に対して脱着自在なユニットケースFには、図5に示すように、前記送出口部Aと通過センサC及び逆転防止手段D、回転位置保持手段Eが組み付けられているとともに、図3に示すように、前記ユニットケースFの回転移送経路側の部位には、前記第2凹部9を通して円板状体1の送出方向から基台2の下面側に係入する張出ケース部Faが形成されている。
【0035】
前記送出口部Aを構成するに、図2〜図4に示すように、前記ユニットケースFの上面に、前記回転移送経路の設定送出部位に対して円板状体1の直径よりも少し大きな通路幅で回転半径方向から連通する送出通路14が形成され、この送出通路14の送出案内面14aが前記装着凹部6の移送ガイド面6A,6Bと面一となる同一平面上に形成されているとともに、前記送出通路14の送出口側には、送り出されてくる円板状体1を所定箇所に滑降状態で排出案内するシュート15が連設されている。
【0036】
前記送出手段Bを構成するに、図2〜図4、図6〜図8に示すように、前記装着凹部6の移送ガイド面6A,6Bの設定送出部位に、回転移送経路に沿って移送されてくる円板状体1に当接して該円板状体1を回転半径方向外方側に送り出すピン状の第1・第2送出突起16,17が設けられ、そのうち、回転半径方向外側方の移送ガイド面6Bに設けられる第2送出突起17は、回転半径方向内側方の移送ガイド面6Aに設けられる第1送出突起16よりも回転方向下手側部位(回転前位)に配置されているとともに、前記回転移送体8の裏面における外周側で、且つ、前記貫通孔7の隣接間相当箇所には、前記円板状体1を回転半径方向外方に送り出す板状の第3送出突起18が一体形成されている。
【0037】
前記第3送出突起18は、それの回転半径方向内方側に対応位置する前記押圧突起12よりも少し回転方向上手側部位(回転後位)に偏倚した部位に配置されているとともに、それの送出面18aが、回転半径方向外方側ほど回転方向上手側部位(回転後位)に位置する傾斜面又は弧状面に形成されている。
【0038】
さらに、前記装着凹部6の外周縁部における送出通路14の一側脇に、第1・第2送出突起16,17を通る延長線上において送り出されてくる円板状体1を送出通路14の入り口に送り出す送出ローラ21が配置されている。
【0039】
この送出ローラ21を回転自在に支持するブラケット22は、前記装着凹部6の略接線方向に沿って基台2に形成された溝部23に移動可能に装着されているとともに、前記ブラケット22の後端面とこれに対向する溝部23の一端面との間には、送出ローラ21を突出側に移動付勢するコイルバネ24が設けられている。
【0040】
そして、前記送出ローラ21に当接している円板状体1に一時的に過負荷が作用したとき、前記送出ローラ21を支持するブラケット22がコイルバネ24の弾性付勢力に抗して逃げ移動することにより、円板状体1を送出通路14側に送り出すことができる。
【0041】
図2〜図4、図6〜図8に示すように、前記装着凹部6の移送ガイド面6A,6Bのうち、回転半径方向外方側に位置する移送ガイド面6Bの外周縁側部位には、駆動軸5の回転軸芯を半径中心とする円形状の環状溝19が形成されているとともに、前記第3送出突起18の各々には、前記装着凹部6の移送ガイド面6Bに形成された環状溝19内に沿って入り込み状態で移動可能な仕切り部20が、それの外側面20aが回転移送体8の外周面8aと面一状態で一体形成され、さらに、前記回転移送体8の裏面を基準とする前記仕切り部20の下方への突出代が、第3送出突起18の突出代の約2倍に構成されている。
【0042】
前記基台2の装着凹部6に回転移送体8を装着したとき、前記回転移送体8の外周面8a及び仕切り部20の外面20aが、装着凹部6の内周壁面6Cに近接する状態で相対回転可能に構成されているとともに、前記仕切り部20の回転方向下手(回転前位)側の端面20bが、前記第3送出突起18の送出面18aと面一状態で同一の傾斜面又は弧状面に形成されている。
【0043】
そして、前記駆動軸5と回転移送体8のボス部8Aとの対向面間、及び、前記回転移送体8の外周面8aと装着凹部6の内周壁面6Cとの対向面間等に存在する融通(隙間)によって基台2や回転移送体8等が振動し、前記回転移送経路の設定送出部位において、前記回転移送体8の第3送出突起18の裏面(下面)と装着凹部6の回転半径方向外方側の移送ガイド面6Bとの対向面に円板状体1が回転方向上手(回転後位)側に通過可能な隙間が発生した場合でも、前記回転移送体8の裏面における外周側で、且つ前記貫通孔7の隣接間相当箇所に設けられた仕切り部20が、前記装着凹部6の移送ガイド面6Bに形成された環状溝19内に沿って入り込み状態で移動しているため、前記送出手段Bによって径方向外方に送出すべき円板状体1が前記隙間を通して後続の貫通孔7側に移動することを阻止することができる。
【0044】
前記ユニットケースFは、図2、図5に示すように、前記基台2の装着凹部6の両側脇にビス止めされる取付け板部25Aを備えた合成樹脂製の下部ケース25と、これに対して脱着可能に上方から外嵌装着される合成樹脂製の上部ケース26と、該上部ケース26のうち、前記送出通路14の一側脇に突出形成された台座部26Aに取付けられる前記逆転防止手段Dを覆う合成樹脂製の上側カバー27とから構成されている。
【0045】
次に、前記通過センサCを構成するに、図5、図9、図10に示すように、前記下部ケース25の底面に形成された軸受け筒部30とこれに相対向する上部ケース26の台座部26Aに形成された軸受け筒部31とにわたって、前記回転感知体32のボス部32Aを回転自在に貫通支持する支持軸33が架設され、この支持軸33における回転感知体32と下側軸受け筒部30との間に位置する部位には、光センサ部34の発光部34Aと受光部34Bとの対向面間を通して回転可能で、且つ、外周部に遮光部分35aと切欠き形成された透光部分35bとが交互に配置された検出回転体35が貫通支持されている。
【0046】
前記回転感知体32と検出回転体35との対向面間には、上下方向から噛合することにより円板状体1によって押圧回動される回転感知体32の回転力を検出回転体35に伝達する回転伝達用歯部36,37が一体形成されている。
【0047】
そして、当該実施形態では、前記検出回転体35の遮光部分35aと透光部分35bは三つずつ形成され、送出される円板状体1の一回の通過移動で前記回転感知体32が120度の中心角度単位で回転され、これと一体回転する検出回転体35の1/3回転により光センサ部34から一つのパルス信号が出力され、円板状体1の払い出し枚数が1枚として計数するように構成されている。
【0048】
前記回転感知体32のボス部32Aの円周方向複数箇所(当該実施形態では三箇所)には、送り出される円板状体1と当接する当り部32Bが放射状に一体形成されているとともに、前記当り部32Bの隣接間には、該当り部32Bの一つに当接した状態で通過移動する円板状体1の底面の一部を受止める受け部32Cが、前記送出口部Aの送出案内面14aと面一又は略面一状態で一体形成されている。
【0049】
そして、前記回転感知体32の当り部32Bと当接した状態で通過移動する円板状体1の底面の一部が、前記当り部32Bの隣接間に設けられた受け部32Cに受止められるから、前記回転感知体32の回転軸芯が振動や負荷等によって振れた場合でも、前記当り部32Bと円板状体1との相対位置関係が変化し難くなり、円板状体1をすり抜けのない状態で確実に通過案内することができる。
【0050】
前記逆転防止手段Dを構成するに、前記回転感知体32に設けられる被係合部を兼用構成する前記当り部32Bと、この当り部32Bの回転移動経路内に突出する逆転規制位置と当り部32Bの回転移動経路外に退避した規制解除位置とに移動可能な回転規制部材40と、該回転規制部材40を逆転規制位置に移動付勢する付勢体の一例であるコイルスプリング41と、前記回転感知体32が円板状体1との当接に伴って正回転するとき、前記コイルスプリング41の弾性付勢力に抗して回転規制部材40を規制解除位置に移動させる規制解除手段42が備えられている。
【0051】
前記回転規制部材40の一端部には、横向き姿勢の支承軸44に上下揺動自在に枢着されるボス部40Aが形成されているとともに、前記上部ケース26の台座部26Aの上面には、前記支承軸44を上下方向に脱着自在に横架する一対のコの字状の軸受突起部43が一体形成されている。
【0052】
前記回転規制部材40の一端部の下面側には、前記上部ケース26の台座部26Aに形成された開口45を通して当り部32Bの回転移動経路内に突出可能な板片状の係合部40Bが一体形成され、前記回転規制部材40の一端部の上面側には、前記コイルスプリング41の下端部を受止めるバネ受け部46が形成されている。
【0053】
前記バネ受け部46の中心位置には、コイルスプリング41に挿通される装着ピン47が一体形成されているとともに、この装着ピン47からのコイルスプリング41の抜止め移動を、上部ケース26の台座部26Aに着脱自在に取付けられる上側カバー27の内面で阻止するように構成されている。
【0054】
前記回転感知体32の各当り部32Bにおける回転方向両側の角部32a,32bのうち、前記回転感知体32の逆回転時に前記回転規制部材40の一端部に形成された係合部40Bと係合する第1角部32aは直角に形成して、各当り部32Bの一側面に回転規制部材40の係合部40Bと確実に係合する係合面を構成するとともに、前記回転感知体32の正回転時に前記回転規制部材40の係合部40Bと係合する第2角部32bは、前記コイルスプリング41の弾性付勢力に抗して回転規制部材40の係合部40Bを規制解除位置に持ち上げ揺動させることが可能な大きな弧状面に形成して、この弧状面である第2角部32bをもって前記規制解除手段42が構成されている。
【0055】
そして、正常な円板状体1の払い出し時には、送出手段Bで送り出されてくる円板状体1との当接に伴って回転感知体32が正回転する際、この回転感知体32の当り部32B(被係合部を兼用)の回転移動経路内に突出する逆転規制位置にある回転規制部材40の係合部40Bが、規制解除手段を構成する弧面状の第2角部32bによってコイルスプリング41の弾性付勢力に抗して規制解除位置に強制的に移動されるため、回転感知体32の正回転によって円板状体1が確実・スムーズに払い出される。
【0056】
また、不正行為によって前記回転感知体32が正回転操作された場合でも、上述と同様に回転感知体32が正回転を続けることになるため、円板状体1の払い出しの無い状態で計数されることになり、不正行為によって得られる利益はない。
【0057】
さらに、前記円板状体1が回転感知体32を回転させながら送り出される途中において、電動モータ3に作用する過負荷等の原因で回転移送体8が一時的に逆回転し、その影響で円板状体1が逆移動して回転感知体32が逆回転させようとしても、前記規制解除手段を構成する弧面状の第2角部32bは働かず、これとは反対側に位置する直角の第1角部32aが逆転規制位置にある回転規制部材40の係合部40Bに係合し、回転感知体32の逆回転が確実に阻止されるので、回転途中での回転感知体32の逆回転に起因する計測ミスを抑制することができる。
【0058】
前記回転位置保持手段Eには、前記検出回転体35のボス部35Aの外周面に、前記円板状体1の通過移動範囲に相当する中心角度範囲で前記回転感知体32の回転軸心側に円弧状に窪み形成された複数(当該実施形態では三箇所)の弧状凹部50と、該弧状凹部50に係合可能なローラ51を一端部側に備えたアーム52と、該アーム52を係合側に付勢する付勢体の一例であるコイルスプリング53が備えられている。
【0059】
前記下部ケース25には、前記アーム52の他端部に形成されたボス部52Aに挿通された枢支ピン54を支承する軸受け部55が形成されているとともに、前記アーム52の一端部に形成されたバネ受け部52Bと下部ケース25に形成されたバネ受け部25Bとにわたって前記コイルスプリング53が装着されている。
【0060】
そして、前記回転感知体32を押圧回転させながら円板状体1が通過する際、前記コイルスプリング53の弾性付勢力を受けているアーム52のローラ51が弧状凹部50を乗り越えて次の弧状凹部50に急速に係合するため、回転感知体32の角速度が瞬間的に速くなり、円板状体1の送り出し作用の円滑化、確実化を図ることができる。
【0061】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、前記円板状体1が入り込み可能な複数個の貫通孔7を形成した回転移送体8を例に挙げて説明したが、前記貫通孔7の代わりに回転方向外方に開口する切欠き部を形成してある回転移送体8を用いて実施してもよい。
【0062】
(2)上述の第1実施形態では、前記回転移送体8の裏面における外周側で、且つ前記貫通孔7の隣接間相当箇所の各々に、前記装着凹部6の移送ガイド面6Bに形成された環状溝19内に沿って入り込み状態で移動する仕切り部20を設けたが、この仕切り部20と装着凹部6の内周壁面6Cとの摺接によって回転移送体8の振れが小さくなり、前記回転移送体8の第3送出突起18の裏面(下面)と装着凹部6の回転半径方向外側方の移送ガイド面6Bとの対向面に円板状体1が回転方向上手(回転後位)側に通過可能な隙間が発生し難くなっている場合には、前記仕切り部20を前記貫通孔7の隣接間相当箇所の一部にだけ設けて実施してもよい。
【0063】
(3)上述の第1実施形態では、前記ユニットケースFの回転移送経路側の部位に、前記第2凹部9を通して円板状体1の送出方向から基台2の下面側に係入する張出ケース部Faを形成したが、このような張出ケース部Faを削除して、ユニットケースFを回転移送体8の外側脇を通して上方にそのまま抜き出せるように構成してもよい。
【0064】
(4)上述の第1実施形態では、前記回転感知体32の当り部32Bを利用して逆転防止手段Dの被係合部を構成したが、前記回転感知体32に、逆転規制位置にある回転規制部材40と係合可能な部位に専用の被係合部を設けてもよい。
【0065】
(5)また、上述の第1実施形態では、前記回転規制部材40の上下揺動により、被係合部(当り部32B)の回転移動経路内に突出する逆転規制位置と被係合部(当り部32B)の回転移動経路外に退避した規制解除位置とに変更可能に構成したが、前記回転規制部材40の水平揺動により逆転規制位置と規制解除位置とに変更可能に構成してもよい。
【0066】
(6)さらに、前記回転感知体32に設けた被係合部の回転経路の特定部位に、前記回転感知体32が正回転するとき、被係合部との係合に連れて回転し、且つ、前記回転感知体32が逆回転するとき、被係合部との係合によって回転感知体32の回転を阻止する一方向回転機構を設けて実施してもよい。
要するに、前記逆転防止手段Dとしては、上述の第1実施形態で説明した構造に限定されるものではなく、回転感知体32の逆回転を阻止することのできる構成であれば、如何なる構造に構成してもよい。
【0067】
(7)前記回転位置保持手段Eとしては、上述の第1実施形態で説明した構造に限定されるものではなく、前記回転感知体32を円板状体1の通過移動範囲に相当する中心角度単位で位置保持することのできる構成であれば、如何なる構造に構成してもよい。
【符号の説明】
【0068】
A 送出口部
B 送出手段
C 通過センサ
D 逆転防止手段
E 回転位置保持手段
F ユニットケース
1 円板状体
8 回転移送体
14a 送出案内面
32 通過感知体(回転感知体)
32B 当り部(被係合部)
32C 受け部
40 回転規制部材
41 付勢体(コイルスプリング)
42 規制解除手段
50 弧状凹部
51 ローラ
52 アーム
53 付勢体(コイルスプリング)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状体を回転移送経路に沿って移送する回転移送体と、この回転移送体で移送されてきた円板状体を回転移送経路の設定送出部位において回転半径方向外方側に形成された送出口部に向かって送り出す送出手段と、該送出手段で送り出されてくる円板状体との当接に伴って変位する通過感知体を備えた通過センサが備えられている円板状体繰出装置であって、
前記通過感知体が、前記円板状体との当接に伴って回転する回転感知体から構成されているとともに、前記回転感知体の逆回転を阻止する逆転防止手段が設けられている円板状体繰出装置。
【請求項2】
前記回転感知体を円板状体の通過移動範囲に相当する中心角度単位で位置保持する回転位置保持手段が設けられている請求項1記載の円板状体繰出装置。
【請求項3】
前記回転感知体の円周方向複数箇所には、送り出される円板状体と当接する当り部が形成されているとともに、前記逆転防止手段には、前記回転感知体の当り部の回転移動経路内に突出する逆転規制位置と当り部の回転移動経路外に退避した規制解除位置とに移動可能な回転規制部材と、該回転規制部材を逆転規制位置に移動付勢する付勢体と、前記回転感知体が円板状体との当接に伴って正回転するとき、前記付勢体の付勢力に抗して回転規制部材を規制解除位置に移動させる規制解除手段が備えられている請求項1又は請求項2記載の円板状体繰出装置。
【請求項4】
前記規制解除手段が、前記回転感知体の正回転時に前記回転規制部材と係合する角部に形成された前記付勢体の付勢力に抗して回転規制部材を規制解除位置に移動させることが可能な弧状面から構成されている請求項3記載の円板状体繰出装置。
【請求項5】
前記回転移送体を支持する基台に対して脱着可能なユニットケースが、前記通過センサが組付けられる下部ケースと上部ケース、及び、前記逆転防止手段を覆う上側カバーとから構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の円板状体繰出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−60263(P2011−60263A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295484(P2009−295484)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【分割の表示】特願2009−210775(P2009−210775)の分割
【原出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(390006345)ハイメックス株式会社 (8)
【Fターム(参考)】